説明

光反射板、及び、照明装置

【課題】広範囲に光を拡散可能な光反射板、及び、照明装置を提供すること。
【解決手段】平面視環状の底面部と、該底面部の外縁から径方向外方に向けて上り勾配となって延びる第1環状傾斜面部と、前記底面部の内縁から径方向内方に向けて上り勾配となって延びる第2環状傾斜面部とが備えられており、周方向に間隔を設けて前記底面部に複数の点光源が配され、前記第1環状傾斜面部と前記第2環状傾斜面部とが前記点光源の光を反射させるための反射面として用いられ、前記第1環状傾斜面部の仰角が0度を超え30度未満であり、且つ、前記第2環状傾斜面部の仰角が75度以上90度以下であることを特徴とする光反射板等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点光源が発する光を反射させるための光反射板と、該光反射板が備えられた照明装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白色の発光ダイオード(LED)が開発され、該白色LEDは、一般的な蛍光灯や白熱電球に比べてエネルギー効率が高く、長寿命であることからその用途を急速に拡大させている。
例えば、従来の蛍光灯などに代えて白色LEDのような点光源を複数搭載した照明装置を用いることが検討されている。
【0003】
しかし、一般にLEDは、その最も明るい点から光度が半減するまでの範囲を示す“指向角”の値が小さく、そのままの状態では局部的に強い光を照射するばかりで一定以上の光量をある程度の面積にわたって照射させることが難しい。
このようなことから、LEDの指向角を増大させる取り組みがなされており、指向角が120度程度のものが市販されるようになってきてはいるものの一般的な照明光として利用するためにはより広範囲に光を拡散させることが求められている。
【0004】
また、下記特許文献1などにおいては、LEDを収容する逆多角錐台形状の収容凹部を縦横に配列させた光反射板を光の反射性に優れた平板状の部材を用いて形成させるとともに該光反射板と対面するように光拡散性に優れた板状の光拡散部材を備えさせた照明装置を用いることが記載されており、前記光反射板の収容凹部に配したLEDが発する光を前記光反射板の内壁面に反射させ反射光を光拡散部材で拡散させることが記載されている。
しかし、このような照明装置は、前面方向に照射させる光の均一化に一定の効果を期待することができるものの側方に照射される光量を増大させる効果を期待することが難しい。
即ち、従来の照明装置においては、指向角以外の方向に十分な光を照射することが困難な状況になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2007/037035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような問題を解決することを目的としており、LEDのような点光源を用いた照明装置において、より広範囲に光を拡散させることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく光反射板に着目して鋭意検討を行った結果、光反射板に所定の形状を付与することにより、LEDなどの点光源が発する光をより広範囲に拡散させ得ることを見出して本発明を完成させるに至ったものである。
【0008】
即ち、光反射板に係る本発明は、平面視環状の底面部と、該底面部の外縁から径方向外方に向けて上り勾配となって延びる第1環状傾斜面部と、前記底面部の内縁から径方向内方に向けて上り勾配となって延びる第2環状傾斜面部とが備えられており、周方向に間隔を設けて前記底面部に複数の点光源が配され、前記第1環状傾斜面部と前記第2環状傾斜面部とが前記点光源の光を反射させるための反射面として用いられ、前記第1環状傾斜面部の仰角が0度を超え30度以下であり、且つ、前記第2環状傾斜面部の仰角が75度以上90度以下であることを特徴としている。
【0009】
また、照明装置に係る本発明は、複数の点光源を備えた発光装置と、光反射板と、光拡散部材とを有し、前記発光装置の点光源が発する光を前記光反射板の一面側に反射させ、該反射光を、前記光反射板の光の反射方向前方に配した前記光拡散部材で拡散させ得るように構成されている照明装置であって、前記光反射板には平面視環状の底面部と、該底面部の外縁から径方向外方に向けて上り勾配となって延びる第1環状傾斜面部と、前記底面部の内縁から径方向内方に向けて上り勾配となって延びる第2環状傾斜面部とが備えられ、前記発光装置の点光源が周方向に間隔を設けて前記底面部に配されて前記第1環状傾斜面部と前記第2環状傾斜面部とが前記点光源の光を反射させるための反射面として用いられており、前記第1環状傾斜面部の仰角が0度を超え30度以下であり、且つ、前記第2環状傾斜面部の仰角が75度以上90度以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、点光源が配される光反射板の底面部が平面視環状に配されており、該底面部の内外に点光源の光を反射させるための反射面として用いられる第1環状傾斜面部と第2環状傾斜面部とが設けられており、前記底面部の内縁から径方向内方に向けて上り勾配となって延びる第2環状傾斜面部が75度以上90度以下の大きな仰角となって形成されているため、該第2環状傾斜面部を利用して点光源が発する光を径方向外方に低い角度で反射させ得る。
しかも、前記底面部の外縁から径方向外方に向けて上り勾配となって延びる第1環状傾斜面部が0度を超え30度以下の小さな仰角となって形成されているため、前記第2環状傾斜面部が反射した光が第1環状傾斜面部に再び反射されて径方向外方への光の照射が阻害されるおそれを抑制させ得る。
従って、本発明の光反射板は、LEDなどの点光源が発する光を径方向外方に低い角度で反射させることができ、該光反射板を用いることで光を広範囲に照射可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】光反射板の全体形状を示す概略平面図。
【図2】光反射板を構成する分割片の概略平面図。
【図3】図2のX−X線概略断面図。
【図4】他の光反射板の態様を示した概略断面図。
【図5】(a)光反射板の評価に用いた試料を示す概略平面図、(b)Z−Z線概略断面図。
【図6】照明装置を模擬した(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図。
【図7】実施例4等の評価試料を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態の光反射板を示す概略平面図であり、該光反射板100は、平面視における形状がドーナッツ形(中抜円板状)となるように形成されている。
また、図2は、光反射板100を周方向に4分割した分割片の平面図であり、本実施形態の光反射板100は、この分割片1を組み合わせて形成されている。
より具体的には、前記分割片1は、このドーナッツ形の光反射板100の中心を通り、互いに直交する2本の直線に沿って光反射板を切断した形状を有しており、平面視における形状が扇形となっている。
すなわち、前記分割片1は、光反射板100の外周縁を画定する円の半径と同じ曲率半径で描かれた円弧(円の4分の1)と、光拡散板の径方向における幅と同じ長さで前記円弧の両端部から光反射板の中心方向に向けてそれぞれ延びる2本の直線と、光反射板の内周縁を画定する円の半径と同じ曲率半径で描かれた、前記2本の直線どうしを結ぶ円弧との4辺によって画定される扇形の輪郭形状を有している。
【0013】
なお、図3は、図2に示すX−X線の矢視断面図であり、この図3にも示されているように前記分割片1は、厚みの一定なシート体で形成されている。
より具体的には、前記分割片1は、熱可塑性樹脂シートが熱成形されたものであり、該熱成形によって立体形状が付与されたものである。
【0014】
この分割片1が組み合わせられてなる本実施形態に係る光反射板100には、平面視円環状となる底面部10が備えられており、4つの円環状の底面部10が同心状に配置されている(以後、内側から順に、第1底面部、第2底面部、第3底面部、及び、第4底面部ともいう)。
この4つの底面部10の内の最も内側の第1底面部と、該第1底面部を外側から包囲するように設けられた第2底面部とは、径方向に所定の間隔を設けて配されており、前記第1底面部の外縁と前記第2底面部の内縁との間の距離が全周において略一定となるように配されている。
同様に、前記第2底面部と該第2底面部を外側から包囲するように設けられた第3底面部との間、第3底面部と最も外周側に配された第4底面部との間も所定の距離が設けられている。
【0015】
なお、前記分割片1は、光反射板を形成させた際に、前記第1底面部が全周において略面一な状態となるように形成されており、該第1底面部を傾斜や凹凸のない水平面とし得るように形成されている。
そして、前記分割片1は、該第1底面部を径方向外側に延出させた仮想平面と、前記第2底面部とが面一になるように形成されており、前記仮想平面が、第3底面部と第4底面部とも面一になるように形成されている。
即ち、本実施形態の光反射板は、第1底面部から第4底面部までの全ての底面部が水平面となるように形成されており、全ての底面部が同一平面上に位置するように形成されている。
【0016】
本実施形態における光反射板は、周方向に所定の間隔を設けて前記底面部10に複数の点光源が配されるように構成されており、具体的には、LEDなどの点光源を当該光反射板の裏面側から挿通させ得るように複数の貫通孔11が所定間隔で底面部10に設けられている。
そして、本実施形態における光反射板には、この環状の底面部の内外に点光源が発する光を反射させるための光反射面が備えられており各底面部の外縁から径方向外方に向けて上り勾配となって延び、平面視における形状が底面部と同心状の円環形状となる第1環状傾斜面部20を有している。
また、本実施形態における光反射板には、各底面部の内縁から径方向内方に向けて上り勾配となって延び、平面視における形状が底面部と同心状の円環形状となる第2環状傾斜面部30がさらに備えられている。
これらの環状傾斜面部は、前記光反射面として機能させるべく備えられており、全周において一定幅となるように形成され、傾斜の角度も全周において一定している。
なお、前記第4底面部の外側の第1環状傾斜面部は、その他の底面部の外側に設けられた第1環状傾斜面部20と違って、略平坦な状態となっており、極僅かにしか傾斜されていない。
【0017】
また、本実施形態においては、径方向において内外に隣接する2つの底面部の第1環状傾斜面部と、第2環状傾斜面部とは、間に別の反射面等を介することなく直接接続されており、例えば、第1底面部の外縁から延びる第1環状傾斜面部と、第2底面部の内縁から延びる第2環状傾斜面部とは、その先端どうしを直接接続させている。
即ち、本実施形態の光反射板においては、前記第1環状傾斜面部と前記第2環状傾斜面部との境界線を稜線とした山形の突起が第1底面部と第2底面部との間に形成されている。
【0018】
前記第2環状傾斜面部は、その外側の底面部に配される点光源が発する光をより多く径方向外方に反射させるために設けられており、光反射板を中心として、より広範囲に光を拡散させるためには該第2環状傾斜面部が水平面に対して高い角度となって形成されていることが重要である。
一方で、底面部を介してこの第2環状傾斜面部の外側に配される第1環状傾斜面部が、該第2環状傾斜面部と同様に水平面に対して高い角度となっていると前記第2環状傾斜面部が反射した光を再び光反射板の中心方向に反射してしまうおそれを有する。
このようなことから、光源から照射される光を光反射板で広範囲に拡散させる上においては、前記第1環状傾斜面部の仰角が0度を超え30度以下であり、且つ、前記第2環状傾斜面部の仰角が75度以上90度以下であることが重要である。
【0019】
なお、本実施形態の光反射板に形成させる全ての第1環状傾斜面部と第2環状傾斜面部とは、全て共通する角度とする必要はなく、例えば、第1底面部から延びる第1環状傾斜面部と第2底面部から延びる第1環状傾斜面部とが、角度や高さを異ならせていても良い。
【0020】
また、一つの第1環状傾斜面部や、第2環状傾斜面部のなかで角度を変化させても良い。
例えば、底面部の外縁からの立ち上がり部において仰角が30度で、頂部に向かうに従って角度を低下させて第2環状傾斜面部との境界付近において略水平となるような形で第1環状傾斜面部を形成させてもよい。
また、例えば、底面部の内縁からの立ち上がり部において仰角が75度で、頂部に向かうに従って角度を増大させて第1環状傾斜面部との境界付近において略垂直(90度)となるような形で第2環状傾斜面部を形成させてもよい。
即ち、第1環状傾斜面部と第2環状傾斜面部とは、図3に示す断面形状において直線状となるように形成されている必要はなく、緩やかにカーブする弧状となるように形成されていてもよい。
【0021】
また、径方向外方への光量を増大させるには、内周側よりも外周側に配された光源の光を利用することが有効であるため、要すれば、第3底面部と第4底面部との内外に配する第2環状傾斜面部と第1環状傾斜面部とを上記範囲内の角度とし、第1底面部と第2底面部との内外に配する第2環状傾斜面部と第1環状傾斜面部とを上記範囲外の角度とし、これらによって前面側への光量を一定以上に確保させるようにすることも可能である。
【0022】
さらに、本実施形態においては、径方向において内外に隣接する2つの底面部の内の内側の底面部の外縁から延びる第1環状傾斜面部と、外側の底面部の内縁から延びる第2環状傾斜面部とを直接接続させ、これらの底面部の間に断面形状が山形となる突起を形成させる場合を例示しているが、図4に示すように第1環状傾斜面部と第2環状傾斜面部との間に他の平面を介在させ、断面形状が台形等となるような突起を形成させるようにしてもよい。
この図4は、図3と同様に光反射板(分割片)の断面構造を示す断面図であり、ここに示す光反射板は、第2底面部の外縁から径方向外側に延びる第1環状傾斜面部と、第3底面部の内縁から内側に延びる第2環状傾斜面部との間に底面部と同心状となるように形成された平面視環状の接続部40を同心状に2面形成させており、さらに、第3底面部と第4底面部との間にも接続部40を形成させている。
このような接続部40を設けることにより、例えば、光反射板の光の反射方向前方に、該光反射板と対面するように板状の光拡散部材を備えさせた際に、該光拡散部材によって光源側に反射された光を再び当該接続部40で前面側に反射させることができる。
即ち、接続部40を設けることにより、多重反射による光の拡散性をより顕著に発揮させることができる。
【0023】
なお、この図4に示す実施形態の光反射板は、第1底面部と第2底面との内縁から内側に延びる第2環状傾斜面部を75度未満の仰角とさせており、第3底面部と第4底面部との内外から延びる第1環状傾斜面部と第2環状傾斜面部とを先に規定した範囲内の仰角となるように形成させている。
【0024】
即ち、前記に規定する角度となって形成された第1環状傾斜面部と第2環状傾斜面部との外側に、前記第2環状傾斜面部が反射する光の進路を著しく阻害するような構成を備えさせない限りにおいて、本発明の光反射板は、上記に例示の態様以外にも種々の形状とすることができる。
【0025】
なお、径方向外方への光量を増大させる目的において、山形や台形の突起の高さ、即ち、2つの底面部の間の光反射板の高さは、内縁側から外縁側に向かうに従って低くさせることが好ましく、このようにすることによって、反射光が内側から外向きに照射されるのを外側の突起が阻害することを抑制させることができる。
また、径方向外方への光量の増大を光反射板の内側から外側に向かって段階的に負荷させる上においては、第1環状傾斜面部の角度を外側のものほど小さくする一方、第2環状傾斜面部の角度を外側ほど大きくさせること好ましい。
【0026】
このような光反射板は、例えば、複数の点光源を備えた発光装置と、前記光反射板の反射した反射光を前記光反射板の光の反射方向前方において拡散させるための光拡散部材と組み合わせて用いることができ、前記発光装置の点光源が発する光を一面側に反射させ得るように照明装置に備えさせることができる。
前記光反射板には平面視環状の底面部と、該底面部の外縁から径方向外方に向けて上り勾配となって延びる第1環状傾斜面部と、前記底面部の内縁から径方向内方に向けて上り勾配となって延びる第2環状傾斜面部とが備えられているため、前記発光装置の点光源を周方向に間隔を設けて前記底面部に配することで前記第1環状傾斜面部と前記第2環状傾斜面部とを前記点光源の光を反射させるための反射面として利用することができる。
しかも、前記第1環状傾斜面部の仰角が0度を超え30度以下で、前記第2環状傾斜面部の仰角が75度以上90度以下であることから、例えば、指向角が100〜120度程度のLEDを備えた発光装置に装着させても広範囲に光を拡散させうる。
【0027】
より、具体的には、前記光反射板は、該光反射板の第1底面部から第4底面部に相当する4重の同心円となるように環状配置された複数のLEDを有する発光装置に装着させて照明装置を構成させることができる。
なお、光反射板には、底面部の貫通孔11をLEDの配置に一致させて当該光反射板を発光装置に固定させるための固定部を設けることが好ましい。
例えば、各分割片1の第1環状傾斜面部等にダイスカップ状の凹入部を何箇所か設けておき、しかも、その底部が底面部と同じ垂直位置となるようにこの凹入部を設けておいて、該凹入部の前記底部に螺子やリベットなどの締結具による固定のための貫通孔をさらに形成させて発光装置に固定させるための前記固定部とすることができる。
そして、発光装置の基板の所定位置に各分割片を固定することで、該発光装置の光源位置と光反射板の底面部10に設けた貫通孔11の位置とが一致するように基板表面に前記固定部の固定位置をマーキングするなどすれば該発光装置と前記光反射板とによって照明装置を組立て容易なものとすることができる。
【0028】
なお、各分割片には、輪郭形状が直線状となっている部分に余長を設けておき、隣接する分割片の直線状部分どうしを上下に重なり合わせて発光装置に固定させ、隣り合う分割片どうしの間に隙間が形成され、該隙間から光が背面側に漏洩することを抑制させることが好ましい。
また、前記凹入部を備えた分割片を締結具等で発光装置に固定した後は、この凹入部を蓋部材などで閉止して凹入部によって第1環状傾斜面部の光反射性が損なわれないようにすることが好ましい。
【0029】
このようにして得られる照明装置は、複数のLEDを備えた発光装置と、光反射板とを有し、光反射板の発光装置に接している側とは逆側の面に前記発光装置のLEDが発する光を反射させ、該LEDが発する光を前面側に照射させつつ多くの反射光を外方に向けて反射するため、例えば、該光反射板と同じか僅かに大きな内径を有する円筒状の光拡散部材をさらに備えさせることにより、優れた光拡散性を発揮させることができる。
例えば、光反射板を包囲するような形で円筒状の光拡散部材を照明装置に備えさせた場合には、光反射板によって径方向外方に反射された光が、前記光反射板の前方に向かって延びる光拡散部材の内壁面に照射され、該反射光が光拡散部材を通過して外側に通り抜けるのに際して種々の方向に拡散されることになる。
従って、前記光拡散部材の外側において周方向における光度バラツキが生じることを抑制させることができる。
【0030】
なお、このような円筒状の光拡散部材に代えて、光反射板全体を覆うことができるドーム状の光拡散部材を採用し光反射板の径方向外方のみならず光反射板の真正面において正対する部分においても光を拡散させるようにしてもよい。
【0031】
このような照明装置を、一般的な屋内照明に利用するような場合であれば、特に限定されるものではないが、例えば、前記光反射板の内縁側の曲率半径(図2の“R11”)は、100mm〜200mm程度とされ、光反射板の径方向の幅(図2の“R12”)は、100mm〜200mm程度とされる。
また、径方向における底面部の幅は、例えば、5mm〜10mm程度とされ、径方向において隣り合う底面部間の距離(径方向における底面部のピッチ)は、20mm〜50mmとされる。
さらに、第1環状傾斜面部や第2環状傾斜面部の高さは、例えば、3mm〜15mm程度とされる。
特に、第2環状傾斜面部は、光源が発する光をその指向角内において反射するように設けられることが好ましく、当該第2環状傾斜面部の頂部と光源とを結ぶ線分と、光源を通る垂線とのなす角が光源の指向角の1/2以下となるように形成させることが好ましい。
【0032】
なお、本実施形態においては、このような立体形状を形成させやすい点において、光反射板を構成する分割片を熱可塑性樹脂シートによって形成させ、該熱可塑性樹脂シートを熱成形することにより前記分割片を形成させる場合を例示しているが、本発明の光反射板の形成材料については、特に限定されるものではなく金属シートなどのシート材も光反射板の形成材料として利用することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、ドーナッツ形の光反射板を周方向に4分割させた分割片で形成させる場合を例示しているが、分割方向は周方向ではなく径方向などとしてもよい。
例えば、第1底面部、第2底面部、及び、その内外の第1環状傾斜面部と第2環状傾斜面部とを一体成形物とし、第3底面部、第4底面部、及び、その内外の第1環状傾斜面部と第2環状傾斜面部とを別の一体成形物として、大小二つの円環状の分割片とすることもできる。
【0034】
さらに、本実施形態においては、発光装置の光源の配置に生じる誤差を光反射板側で調整することが容易である点において光反射板を複数の分割片によって構成させる場合を例示しているが本発明の光反射板は分割片を組み合わせて構成させる必要はなく一体成形されたものであっても良い。
例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる発泡シート、非発泡シート、又は、発泡シートと非発泡シートとが積層されてなる積層発泡シートに真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形などの熱成形を施して一体物の光反射板を形成させることもでき、アルミニウム、ステンレスなどからなる金属シートにプレス成形や絞り成形を行って光反射板を形成させることもできる。
【0035】
なお、本発明の光反射板は、厚み均一なシート状に形成させる必要もなく、光反射面側に所定の形状が付与されていれば、射出成形などによって全体を立体的な形状とすることも可能である。
【0036】
また、本実施形態においては、複数のLEDを円環状に配置した発光装置と、平面視円環状の底面部を有する光反射板を例示しているが、例えば、正六角形や正方形などの多角環状に点光源が配置された発光装置に用いられる多角環状の底面部を有する光反射板も本発明が意図する範囲のものである。
そして、本発明の光反射板や照明装置には、上記に示した事例以外に種々の変更を採用しうることは詳述するまでもなく当然の事柄である。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでもない。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
(評価方法)
評価に際しては、図5((a)概略平面図、(b)Z−Z線概略断面図)に示すように発光装置Sと光反射板1xとを組み合わせたものを用いた。
【0038】
(発光装置)
まず、評価に先立って、基板寸法が245mm×132mmで縦横に35mmピッチで4列×7個(計28個)のLED(Cree社製『SMD LED Model ♯LU6−FWH1−03−N5−NS』、チップサイズ:3.3mm×3.5mm×2mmH、放射角度:180°、指向角(中心の光の明るさが半分の明るさの値になる角度=半値角):120°)が配設されてなる動作電力が2.8W(0.1W/個)の発光装置Sを用意した。
【0039】
(光反射板)
熱可塑性樹脂発泡シートの一面に熱可塑性樹脂非発泡シートが積層一体化された積層発泡シート(厚み:0.8mm、全体の密度:0.8g/cm3、熱可塑性樹脂非発泡シート面における光線全反射率が98.5%、拡散反射率が96.3%、光線全反射率に占める拡散反射率の割合が97.8%)をその表面温度が140℃となるように加熱し、熱成形により、前記発光装置と略同じ輪郭形状を有し、下記表1に記載する各部寸法となるように作製した。
なお、ここでは、発光装置の各LED列に相当するように長手方向に延在する直線状の底面部を35mmピッチで4列形成させ、該底面部にLEDを背面側から挿通させるためのφ6mmの貫通孔を形成させた。
【0040】
(評価用試料)
この光反射板1xを、底面部10xに設けた前記貫通孔から発光装置SのLED(符号A)を露出させるようにして前記発光装置Sに装着させ評価用試料とした。
なお、図5(b)に示されているように、ここでの評価においては、平面視長方形の発光装置Sの一方の長辺側(図5(b)正面視右側、光源第4列側)を照明装置の外側として想定しており、他方の長辺側(図5(b)正面視左側、光源第1列側)を照明装置の中心側として想定している。
即ち、表1の第1列における「α」の値は、例えば、図2の分割片を組み合わせて形成される光反射板の第1底面部の内縁から延びる第2環状傾斜面部の仰角に相当し、「β」は、第1底面部の外縁から延びる第1環状傾斜面部の仰角に相当するものである。
また、「Ha」、「Hb」は、それぞれ第1底面部から第2環状傾斜面部の頂部までの垂直距離(高さ)と第1環状傾斜面部の頂部までの垂直距離(高さ)とに相当し、「La」、「Lb」は光源位置から第2環状傾斜面部の頂部までの水平距離と第1環状傾斜面部の頂部までの水平距離とに相当するものである。
以下においては、図5(b)正面視右側(第4列側)を照明装置の外側、発光装置の外側などともいい、図5(b)正面視左側(第1列側)を照明装置の中心側、発光装置の中心側などともいう。
【0041】
(照明装置)
次いで、図6に示すように、天井壁部が325mm×172mmの長方形で、この天井壁部の長辺側の一方から直角に垂下する側壁部をさらに有する光拡散部材Eを用意し、前記光反射板1xを装着した発光装置Sを水平な台上に載置して、この発光装置Sの外側に前記側壁部E2が22.5mm離れた状態となり、且つ、前記LEDから前記天井壁部E1が60mm離れた状態となるようにして発光装置Sの上面側と一側面側とを光拡散部材Eで覆い照明装置を模擬させた。
なお、このとき用いた光拡散部材Eの厚みは3mmで光透過率は58%であった。
【0042】
(前面照度、側面照度の測定)
前記発光装置Sを、前記光拡散部材Eの天井壁部E1に投影させた領域(245mm×132mm)の内、中央部の240mm×120mmの領域を、長手方向において4等分、短手方向において2等分し、図6(a)に(1)〜(8)で示した8つの測定領域を設定した。
また、同様に、前記発光装置Sを光拡散部材Eの側壁部E2に投影させた領域の上側に240mm×40mmの領域を設定し、これを長手方向において4等分、短手方向において2等分して図6(b)に(イ)〜(チ)で示した8つの測定領域を設定した。
前記発光装置Sを通電しLEDを発光させた状態で、光拡散部材Eの天井壁部E1の(1)〜(8)の測定領域の各中央部に照度計(コニカミノルタ社製『デジタル照度計T−1』)の受光部を上方から垂直に接触させて照度を測定し相加平均値を照明装置の前面照度とした。
また、同様に、側壁部E2の(イ)〜(チ)の測定領域の各中央部に照度計の受光部を真正面から接触させて照度を測定し、相加平均値を照明装置の側面照度とした。
なお、側面照度の評価においては、後述するように単なる平板状の光反射板を採用した比較例3の側面照度を100%とした際に、各実施例、比較例においてこの比較例3の側面照度に対してどれくらいの増減が見られるかを測定結果から算出した。
その結果、比較例3に対して25%以上側面照度が増加しているものを合格「○」と判定し、側面照度の増加が25%未満、あるいは、側面照度が比較例3に比べて減少している場合を不合格「×」と判定した。
【0043】
(均一視認性の評価)
照明装置の天井壁部E1における発光状態を目視判断に基づき評価した。
なお、発光ムラが殆ど視認されない場合を“均一視認性良(○)”と判定し、線状の発光ムラ(陰影)がやや視認される場合を“均一視認可(△)”として判定した。
また、明確な線状の発光ムラ(陰影)が視認された場合を“均一視認不可(×)”として判定した。
【0044】
(総合判定)
側面照度と均一視認性との評価結果に基づき、総合判定を行った。
ここでは側面照度が合格判定「○」で、且つ、均一視認性が“良(○)”又は“可(△)”の場合を総合判定「合格(○)」とし、いずれかに不合格判定(×)が得られているものについては、総合判定「不合格(×)」とした。
これらの評価結果を併せて下記表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
なお、比較例3では、熱成形を行う前の積層発泡シートにLEDを挿通させるための貫通孔を設けただけの単なる平板を光反射板として用いた。
また、実施例4、比較例2では、それぞれ「La」の値に「Lb」の値を加算したものがピッチ(35mm)に至っていないが、これは、図7に示すように間に別の平面部(接続部40x)が存在していることを示すものである。
【0047】
この平板状の光反射板を用いた比較例3では、側面照度が低く、また、内側の反射面の角度を70度としている比較例1や、外側の反射面の角度を40度とした比較例2でも各実施例に比べて側面照度が十分な値となっていないことがわかる。
即ち、本発明によれば広範囲に光を拡散可能な光反射板、及び、照明装置を提供し得ることがわかる。
【符号の説明】
【0048】
1:(光反射板の)分割片、10:底面部、20:第1環状傾斜面部、30:第2環状傾斜面部、40:接続部、100:光拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視環状の底面部と、該底面部の外縁から径方向外方に向けて上り勾配となって延びる第1環状傾斜面部と、前記底面部の内縁から径方向内方に向けて上り勾配となって延びる第2環状傾斜面部とが備えられており、周方向に間隔を設けて前記底面部に複数の点光源が配され、前記第1環状傾斜面部と前記第2環状傾斜面部とが前記点光源の光を反射させるための反射面として用いられ、前記第1環状傾斜面部の仰角が0度を超え30度以下であり、且つ、前記第2環状傾斜面部の仰角が75度以上90度以下であることを特徴とする光反射板。
【請求項2】
複数の前記底面部が同心状に配されており、内側の底面部の外縁から延びる第1環状傾斜面部と、該底面部の外側に配された底面部の内縁から延びる第2環状傾斜面部とが直接、又は、これらの底面部と同心状に配された平面視環状の接続部を介して接続されている請求項1記載の光反射板。
【請求項3】
熱可塑性樹脂シートが熱成形されてなる請求項1又は2記載の光反射板。
【請求項4】
複数の分割片に分解可能である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光反射板。
【請求項5】
複数の点光源を備えた発光装置と、光反射板と、光拡散部材とを有し、前記発光装置の点光源が発する光を前記光反射板の一面側に反射させ、該反射光を、前記光反射板の光の反射方向前方に配した前記光拡散部材で拡散させ得るように構成されている照明装置であって、
前記光反射板には平面視環状の底面部と、該底面部の外縁から径方向外方に向けて上り勾配となって延びる第1環状傾斜面部と、前記底面部の内縁から径方向内方に向けて上り勾配となって延びる第2環状傾斜面部とが備えられ、前記発光装置の点光源が周方向に間隔を設けて前記底面部に配されて前記第1環状傾斜面部と前記第2環状傾斜面部とが前記点光源の光を反射させるための反射面として用いられており、前記第1環状傾斜面部の仰角が0度を超え30度以下であり、且つ、前記第2環状傾斜面部の仰角が75度以上90度以下であることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−255818(P2012−255818A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127285(P2011−127285)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】