説明

光合分波器

【課題】精密な寸法調整を必要とせずにモード分離を行うことができる光合分波器を提供する。
【解決手段】第一のコア21と、第一のコアが延びる延在方向Zに平行に、第一のコアに対して延在方向に直交する並列方向Xに並べて配置された第二のコア30と、を有し、第一のコアの延在方向に直交する基準平面による断面形状は、並列方向に平行な並列側基準線C1に対して鏡映対称に形成されるとともに、並列方向および延在方向にそれぞれ直交する直交方向Yに平行な直交側基準線C2に対して鏡映対称に形成され、並列方向の長さの方が直交方向の長さより短く設定され、第二のコアの基準平面による断面形状は、第一のコアの基準平面による断面形状を延在方向回りに90°回転させた形状に等しくなるとともに、第一のコアの中心軸線C6の並列方向側に第二のコアの中心軸線C7が配置されるように形成され、第一のコアと第二のコアとは同一の材料で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合分波器、特に、モード多重伝送のモード合波・分波に用いられる光合分波器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光通信の伝送容量限界を打破する方法としてモード多重光通信があるが、その実現のためには簡便なモード分離が不可欠である。
例えば、光通信におけるモード分離には、空間分布の違いを利用する方法があるが、各モードの空間分布に重なりがあるため、100%の分離は困難である。また、モード分離を行うためにホログラフィーを使う方法も提案されている(例えば、非特許文献1参照)が、この方法では空間系を利用した精密な調整を必要とするため、振動などに弱いという問題がある。一方で、モード分離を行うために、モードの伝搬定数差を利用する方法も提案されている(例えば、非特許文献2参照)が、コアごとに伝搬定数(等価屈折率)を制御する必要があり、設計・作成に高度な技術を必要とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】CLEO(Conference on Lasers and Electro−Optics) 2006年、 Paper CMNN2
【非特許文献2】斎藤他、 「Opt. Express 18」、 2010年、 p.4709−4716
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、精密な寸法調整、屈折率分布の調整を必要とせずにモード分離を行うことができる光合分波器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の光合分波器は、第一のコアと、前記第一のコアが延びる延在方向に平行に、前記第一のコアに対して前記延在方向に直交する並列方向に並べて配置された第二のコアと、を有し、前記第一のコアの前記延在方向に直交する基準平面による断面形状は、前記並列方向に平行な並列側基準線に対して鏡映対称に形成されるとともに、前記並列方向および前記延在方向にそれぞれ直交する直交方向に平行な直交側基準線に対して鏡映対称に形成され、前記並列方向の長さの方が前記直交方向の長さより短く設定され、前記第二のコアの前記基準平面による断面形状は、前記第一のコアの前記基準平面による断面形状を前記延在方向回りに90°回転させた形状に等しくなるとともに、前記第一のコアの中心軸線の前記並列方向側に前記第二のコアの中心軸線が配置されるように形成され、前記第一のコアと前記第二のコアとは同一の材料で形成されていることを特徴としている。
【0006】
また、上記の光合分波器において、前記第一のコアおよび前記第二のコアを包むクラッドを備えることがより好ましい。
また、上記の光合分波器において、前記第一のコアを包む第一のクラッドと、前記第二のコアを包む第二のクラッドと、を備え、前記第一のクラッドと前記第二のクラッドとは、前記第一のコアと前記第二のコアとの間で互いに当接していることがより好ましい。
また、上記の光合分波器において、前記第一のクラッドおよび前記第二のクラッドは、それぞれ平板状に形成され、前記第一のクラッドと前記第二のクラッドとは、それぞれの板厚方向で当接していることがより好ましい。
【0007】
また、上記の光合分波器において、前記第一のクラッドは平板状に形成され、前記第二のクラッドは筒状に形成されるとともに外周面に平坦部を有し、前記第一のクラッドの一方の面と前記第二のクラッドの前記平坦部とが互いに当接していることがより好ましい。
また、上記の光合分波器において、前記第一のクラッドは筒状に形成されるとともに外周面に第一の平坦部を有し、前記第二のクラッドは筒状に形成されるとともに外周面に第二の平坦部を有し、前記第一のクラッドの前記第一の平坦部と前記第二のクラッドの前記第二の平坦部とが互いに当接していることがより好ましい。
【0008】
また、上記の光合分波器において、前記クラッドの外面に加熱部を備えることがより好ましい。
また、上記の光合分波器において、前記第一のクラッドおよび前記第二のクラッドの少なくとも一方の外面に加熱部を備えることがより好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光合分波器によれば、精密な寸法調整、屈折率分布の調整を必要とせずにモード分離を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態の光合分波器の平面図である。
【図2】図1中の基準平面による断面図である。
【図3】同光合分波器の直状部で伝送される光のモード分布を示す図である。
【図4】同直状部で伝送されるモードごとの等価屈折率を示す図である。
【図5】同光合分波器の第一のコア部および第二のコア部で伝送される光のモード分布を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態の光合分波器における基準平面による断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の光合分波器における基準平面による断面図である。
【図8】同光合分波器を分離したときの基準平面による断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の変形例の光合分波器における基準平面による断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の光合分波器における基準平面による断面図である。
【図11】本発明の実施形態の光合分波器の変形例におけるコア部の断面形状を説明する図である。
【図12】同光合分波器の第一のコア部で伝送される光のモード分布を示す図である。
【図13】同光合分波器のコア部で伝送される光のモード分布を示す図である。
【図14】同光合分波器のコア部で伝送される光のモード分布を示す図である。
【図15】同光合分波器のコア部で伝送される光のモード分布を示す図である。
【図16】同光合分波器のコア部で伝送される光のモード分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る光合分波器の第1実施形態を、図1から図5を参照しながら説明する。
図1および図2に示すように、本光合分波器1は、クラッド10と、クラッド10内に包まれた第一のコア部20および第二のコア部(第二のコア)30とを備えている。
この例では、クラッド10は平板状に形成されている。
【0012】
第一のコア部20は、延在方向Zに延びるように形成された直状部(第一のコア)21と、直状部21の延在方向Zのうちの一方側Z1に設けられた先端側湾曲部22と、直状部21の一方側X1に対する反対側となる他方側Z2に設けられた他端側湾曲部23とを有している。
第二のコア部30は、延在方向Zに平行に延びるとともに、直状部21に対して延在方向Zに直交する並列方向Xに並べて配置されている。
【0013】
ここで、図2を用いて、直状部21および第二のコア部30の延在方向Zに直交する基準平面P(図1参照)による断面形状(光の導波方向に垂直な断面形状)について詳しく説明する。
直状部21の断面形状は、並列方向Xに平行な並列側基準線C1に対して鏡映対称に形成されるとともに、並列方向Xおよび延在方向Zにそれぞれ直交する直交方向Yに平行な直交側基準線C2に対して鏡映対称に形成されている。換言すれば、直状部21の断面形状は、並列側基準線C1および直交側基準線C2に対してそれぞれ線対称に形成されている。
具体的には、本実施形態では、直状部21の断面形状は楕円形状に形成されている。
直状部21は、並列方向Xの長さLの方が直交方向Yの長さLより短く設定されている。
【0014】
第二のコア部30の基準平面Pによる断面形状は、直状部21の基準平面Pによる断面形状を延在方向Z回りに90°回転させた形状に等しくなるように形成されている。すなわち、第二のコア部30の断面形状は、並列方向Xが長軸となるような楕円形状に形成されている。
第二のコア部30は、直状部21の中心軸線C6の並列方向X側に第二のコア部30の中心軸線C7が配置されるように形成されている。
このように、直状部21の短軸および第二のコア部30の長軸は、同一直線上に配置されている。
【0015】
図1に示すように、先端側湾曲部22および他端側湾曲部23は、第二のコア部30から離間するように湾曲している。直状部21、先端側湾曲部22、および他端側湾曲部23における、導波方向に垂直な断面形状は等しくなっている。直状部21および先端側湾曲部22、直状部21および他端側湾曲部23は、それぞれ一体に形成されている。
クラッド10およびコア部20、30の材料としては、クラッド10よりもコア部20、30の屈折率が高く設定されていれば、石英ガラス、高分子(ポリマー)、プラスチックなどの公知の材料を用いることができる。第一のコア部20と第二のコア部30とは、同一の材料で形成されている。
光合分波器1は、1つのクラッド10内に2つのコア部20、30が配置された平面光導波路(PLC:Planar Lightwave Circuit)となっている。
【0016】
次に、このように構成された光合分波器1において、直状部21の短軸の長さLを16μm、長軸の長さLを24μm、比屈折率差を0.5%としたときの、直状部21で伝送される光のモード分布の例を図3に示す。モード分布の色が白から黒に移るほど、光の電界強度が強いことを示している。
図3(a)はモード1の場合、図3(b)はモード2の場合、図3(c)はモード3の場合、図3(d)はモード4の場合、そして、図3(e)はモード5の場合をそれぞれ示している。
図4に、直状部21のモードごとの等価屈折率(伝搬定数)を示す。なお、モード6以降はクラッドモードである。
【0017】
一般的に、導波路型の光合分波器でモード結合が起きるためには、第1の条件として、第一のコア部と第二のコア部との伝搬定数が等しいことと、第2の条件として、第一のコア部および第二のコア部にモードの重なりがあることが必要である。
図5に、光合分波器1のコア部20、30で伝送される光のモード分布の例を示す。
図5(a)はモード1の場合、図5(b)はモード2の場合、図5(c)はモード3の場合、そして、図5(d)はモード4の場合をそれぞれ示している。
第一のコア部20および第二のコア部30は、断面形状が互いに等しく、かつ、同一の材料で形成されているため、伝搬定数が互いに等しくなる。これにより、どのモードに於いてもモード結合が起きるための第1の条件は成立している。
【0018】
図5(a)〜図5(d)においてモード結合が起きる第2の条件であるモードの重なりをみると、モード2とモード3では一方の導波路の電界強度が最も弱い部分と他方の導波路の電界強度が最も強い部分とが近接していることがわかる。具体的には、モード2の状態を表す図5(b)において、直状部21の電界強度が最も弱い部分である範囲R1と、第二のコア部30の電界強度が最も強い部分である範囲R2とが近接している。
図5(b)および図5(c)に示すモード2およびモード3のような場合には、モードの重なりは無く、モード結合は生じにくい。これに対して、図5(a)および図5(d)に示すモード1およびモード4では、電界強度の強い部分が近接してモードの重なりが生じるため、モード結合が生じやすい。
このように、同一の光学特性をもつ2本の導波路は伝搬定数が等しいため、各モードがそれぞれ結合する可能性がある。そこで、導波路のモード分布を考慮し、モードごとにモードの重なりが異なる配置をとることで、結合するモードを選別することができる。
【0019】
なお、光合分波器1が本実施形態のような構成をとらず、比較例として、両方のコア部の基準平面Pによる断面形状が真円あるいは正方形の場合について説明する。
この場合、モード2およびモード3において光のモード分布が同じとなり、伝搬定数が縮退し、混合状態となる。このため、たとえば、第一のコア部のモード2と第二のコア部30のモード3との間でもモード結合が生じることになる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の光合分波器1によれば、直状部21の短軸および第二のコア部30の長軸を同一直線上に配置することで、モード2およびモード3のモード結合を抑制する。これにより、屈折率分布の調整を必要とせずに、簡単な寸法調整だけでモード分離を行うことができる。
コア部20、30として断面形状が同一のものを用いることができるため、光合分波器1の製造コストを低減させることができる。
1つのクラッド10内にコア部20、30を配置するため、光合分波器1の量産性を向上させることができる。
光合分波器1はクラッド10を備えるため、第一のコア部20と第二のコア部30との相対位置を安定させ、両コア部20、30を確実に離間させることができる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように、本実施形態の光合分波器2は、第一の導波路40および第二の導波路50を備えている。
第一の導波路40は、第一のコア部(第一のコア)41と、第一のコア部41を包む第一のクラッド42とを備えている。同様に、第二の導波路50は、第二のコア部(第二のコア)51と、第二のコア部51を包む第二のクラッド52とを備えている。
第一のクラッド42と第二のクラッド52とは、第一のコア部41と第二のコア部51との間で互いに当接している。
【0022】
第一のコア部41の基準平面Pによる断面形状は、矩形状に形成されている。この断面形状は、並列側基準線C1に対して鏡映対称に形成されるとともに、直交側基準線C2に対して鏡映対称に形成されている。第一のコア部41は、並列方向Xの長さLの方が直交方向Yの長さLより短く設定されている。
第一のクラッド42は、平板状に形成されている。第一のコア部41は、並列側基準線C1が第一のクラッド42の板厚方向に平行になるように第一のクラッド42内に配置されている。
第二のコア部51の基準平面Pによる断面形状は、第一のコア部41の基準平面Pによる断面形状を延在方向Z回りに90°回転させた形状に等しくなるように形成されている。
【0023】
第二のコア部51は、第一のコア部41の中心軸線C6の並列方向X側に第二のコア部51の中心軸線C7が配置されるように形成されている。
第二のクラッド52は、平板状に形成されている。第一のクラッド42と第二のクラッド52とは、それぞれの板厚方向で当接している。
コア部41、51は第一のコア部20と同一の材料で、クラッド42、52はクラッド10と同一の材料でそれぞれ形成されている。
光合分波器2は、2つの平面光導波路を板厚方向に重ねた構成となっている。
【0024】
このように構成された本実施形態の光合分波器2によれば、精密な寸法調整、屈折率分布の調整を必要とせずに、モード分離を行うことができる。
さらに、光合分波器2を互いに分離可能な導波路40、50で構成することで、特性が同じ導波路を選別して使用することができる。
【0025】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7から図9を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態の光合分波器3は、第一の導波路60および第二の導波路70を備えている。
第一の導波路60は、第一のコア部(第一のコア)61と、第一のコア部61を包む第一のクラッド62とを備えている。同様に、第二の導波路70は、前述の第二のコア部30と、第二のコア部30を包む第二のクラッド72とを備えている。
【0026】
第一のコア部61の基準平面Pによる断面形状は、直状部21の基準平面Pによる断面形状と同一の楕円形状に形成されている。
第一のクラッド62は、延在方向Zに延びる筒状に形成されている。第一のクラッド62の外周面には、延在方向Zに平行な第一の平坦部62aが形成されている。
第二のクラッド72は、延在方向Zに延びる筒状に形成されている。第二のクラッド72の外周面には、延在方向Zに平行な第二の平坦部72aが形成されている。
第一のクラッド62の第一の平坦部62aと第二のクラッド72の第二の平坦部72aとは、互いに当接している。
【0027】
このように構成された第一の導波路60および第二の導波路70は、図8に示すように分離される。
ここで、第一のクラッド62に、第一の平坦部62aより外方の切欠き領域S1にクラッド材を配するとともに、第二のクラッド72に、第二の平坦部72aより外方の切欠き領域S2にクラッド材を配することで、第一の導波路60と第二の導波路70とは同一の構成となる。すなわち、基準平面Pによる断面形状が楕円形状であるコア部を有する円柱状の光ファイバにおいて、クラッドの外周面にコア部の短軸に直交するように平坦部を形成することで第一の導波路60が形成され、クラッドの外周面にコア部の長軸に直交するように平坦部を形成することで第二の導波路70が形成される。
平坦部は、クラッドの外周面を切削し、研磨することなどで形成することができる。
導波路60、70は、埋め込み型の光導波路と同様の構造とみなすことができる。そして、光合分波器3は、2つの光ファイバを径方向に接続した構成となっている。
【0028】
このように構成された本実施形態の光合分波器3によれば、簡単な構成でモード分離を行うことができる。
さらに、円柱状の導波路から導波路60、70を形成できるため、屈折率やコア部の寸法をそろえるために特別な努力は必要なくなり、光合分波器3の生産性を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、図9に示す光合分波器4のように、第二のコア部51が第二のクラッド72に包まれた第二の導波路80が第一の導波路40に接続された構成としてもよい。
この例では、第一のクラッド42の一方の面42aと第二のクラッド72の第二の平坦部(平坦部)72aとが互いに当接している。
光合分波器4は、光ファイバと平面光導波路とを接続した構成となっている。
【0030】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図10を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図10に示すように、本実施形態の光合分波器5は、前記第1実施形態の光合分波器1の各構成に加えて、クラッド10の外面に加熱部90を備えている。
クラッド10は、ポリイミドで形成されている。
加熱部90としては、電気式のヒータなどを用いることができる。
【0031】
加熱部90により加熱部90の近傍のクラッド10が加熱されると、加熱されたクラッド10は温度上昇に応じて屈折率が低下して光合分波器5が光を伝送しなくなる。
このように構成された本実施形態の光合分波器5によれば、加熱部90により加熱量を調節することで、光合分波器5が光を伝送する量を安定して制御することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、光合分波器1のクラッド10の外面に加熱部90を備えた。しかし、加熱部は、前述の光合分波器2〜4の第一のクラッドおよび第二のクラッドの少なくとも一方の外面に備えられていてもよい。
この場合においても、前述の光合分波器5と同様の効果を奏することができる。
【0033】
以上、本発明の第1実施形態から第4実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態から第4実施形態では、コア部の基準平面Pによる断面形状は楕円形状または矩形状とした。しかし、この断面形状は、これらの形状に限ることなく、以下に説明する様々な形状にすることができる。これらの形状は、いずれも、並列側基準線C1に対して鏡映対称に形成されるとともに、直交側基準線C2に対して鏡映対称に形成されている。さらに、並列方向Xの長さの方が直交方向Yの長さより短く設定されている。
この断面形状は、図11(a)に示すコア部101ではひょうたん形状に、図11(b)に示すコア部102では鼓形状に、図11(c)に示すコア部103では6角形状に、図11(d)に示すコア部104では菱形を中心をずらして2つ重ねた形状にそれぞれ形成されている。
【0034】
ここで、断面形状が矩形状の第一のコア部41、そして、コア部101〜104で伝送される光のモード分布の例を図12〜図16にそれぞれ示す。それぞれの図において、(a)がモード1の場合、(b)がモード2の場合、そして、(c)がモード3の場合を示している。
【0035】
前記第1実施形態から第4実施形態では、クラッドを備えずに、屈折率が1である空気を利用してエアクラッドとしてもよい。このように構成しても、前記実施形態と同様の効果を奏することができるからである。
【符号の説明】
【0036】
1、2、3、4、5 光合分波器
10 クラッド
21 直状部(第一のコア)
30 第二のコア部(第二のコア)
41、61 第一のコア部(第一のコア)
42、62 第一のクラッド
42a 一方の面
51 第二のコア部(第二のコア)
52、72 第二のクラッド
62a 第一の平坦部
72a 第二の平坦部(平坦部)
90 加熱部
101、102、103、104 コア部(第一のコア、第二のコア)
C1 並列側基準線
C2 直交側基準線
C6、C7 中心軸線
P 基準平面
X 並列方向
Y 直交方向
Z 延在方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のコアと、
前記第一のコアが延びる延在方向に平行に、前記第一のコアに対して前記延在方向に直交する並列方向に並べて配置された第二のコアと、
を有し、
前記第一のコアの前記延在方向に直交する基準平面による断面形状は、
前記並列方向に平行な並列側基準線に対して鏡映対称に形成されるとともに、前記並列方向および前記延在方向にそれぞれ直交する直交方向に平行な直交側基準線に対して鏡映対称に形成され、
前記並列方向の長さの方が前記直交方向の長さより短く設定され、
前記第二のコアの前記基準平面による断面形状は、
前記第一のコアの前記基準平面による断面形状を前記延在方向回りに90°回転させた形状に等しくなるとともに、前記第一のコアの中心軸線の前記並列方向側に前記第二のコアの中心軸線が配置されるように形成され、
前記第一のコアと前記第二のコアとは同一の材料で形成されていることを特徴とする光合分波器。
【請求項2】
前記第一のコアおよび前記第二のコアを包むクラッドを備えることを特徴とする請求項1に記載の光合分波器。
【請求項3】
前記第一のコアを包む第一のクラッドと、
前記第二のコアを包む第二のクラッドと、
を備え、
前記第一のクラッドと前記第二のクラッドとは、前記第一のコアと前記第二のコアとの間で互いに当接していることを特徴とする請求項1に記載の光合分波器。
【請求項4】
前記第一のクラッドおよび前記第二のクラッドは、それぞれ平板状に形成され、
前記第一のクラッドと前記第二のクラッドとは、それぞれの板厚方向で当接していることを特徴とする請求項3に記載の光合分波器。
【請求項5】
前記第一のクラッドは平板状に形成され、
前記第二のクラッドは筒状に形成されるとともに外周面に平坦部を有し、
前記第一のクラッドの一方の面と前記第二のクラッドの前記平坦部とが互いに当接していることを特徴とする請求項3に記載の光合分波器。
【請求項6】
前記第一のクラッドは筒状に形成されるとともに外周面に第一の平坦部を有し、
前記第二のクラッドは筒状に形成されるとともに外周面に第二の平坦部を有し、
前記第一のクラッドの前記第一の平坦部と前記第二のクラッドの前記第二の平坦部とが互いに当接していることを特徴とする請求項3に記載の光合分波器。
【請求項7】
前記クラッドの外面に加熱部を備えることを特徴とする請求項2に記載の光合分波器。
【請求項8】
前記第一のクラッドおよび前記第二のクラッドの少なくとも一方の外面に加熱部を備えることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の光合分波器。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【図5】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−242596(P2012−242596A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112406(P2011−112406)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】