説明

光合成微生物培養装置および光合成微生物培養方法

【課題】バイオマスの生産を効率よく行うことができる光合成微生物培養装置を提供する。
【解決手段】光合成微生物培養装置1は、培養槽2と、当該培養槽2内を循環する培養液MにCO2含有ガスを供給するCO2含有ガス供給手段5と、を有する光合成微生物培養装置であって、前記培養液Mの溶存CO2濃度を計測する溶存CO2濃度計3を有し、前記溶存CO2濃度計3で計測した溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合成微生物培養装置および光合成微生物培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、燃焼機関の多くは化石燃料を利用している。化石燃料のエネルギーとしての利用は、地中に固定されている炭素源を二酸化炭素(CO2)ガスとして大気中へ放散することにつながる。CO2ガスは、温室効果ガスのひとつとされ、地球温暖化の要因とされている。また、化石燃料は有限な資源であるため、枯渇の問題もある。
【0003】
そのため、CO2ガスの排出量を抑制するための技術の開発や、大気中のCO2を固定して大気中のCO2濃度を低減するための技術の開発が大いに進められている。
【0004】
特に、バイオマス由来の原料から生産されたバイオエタノールやバイオディーゼル燃料、バイオジェット燃料といったバイオ燃料の生産とその利用に対する技術の開発に対する期待が高まっている。
【0005】
バイオ燃料の原料となるバイオマスとして大豆、トウモロコシ、パームなどの可食性作物を利用することやジャトロファ、カメリナなどの非食性植物を利用することもできるが、可食性作物の利用は食糧不足への懸念から問題となっており、非食性植物の利用は単位面積当たりの生産量が低いことが問題となっている。
【0006】
一方、池や沼に広く生息する光合成微生物や原生動物は、植物と同様の光合成能を持ち、水と大気中のCO2から油脂や炭水化物といったバイオマスを生合成し、細胞内に数十質量%蓄積する。その生産量は、植物に比べて高く、単位面積当たりで、これらの生産量が高いと言われるパームの10倍以上あることが知られている。
【0007】
光合成微生物や原生動物の培養は、屋外において開水路で行われることが多く、培養液には、CO2含有ガスを供給するCO2含有ガス供給手段からCO2含有ガスを供給する場合もある。
【0008】
このような開水路での培養は、CO2含有ガス供給手段によるCO2含有ガスの供給効率が悪く、また、開水路であるため培養液と大気の気液界面においてCO2濃度平衡が起こる。したがって、光合成によってCO2ガスが固定化されることとも相俟って、CO2含有ガス供給手段から遠ざかるほど(培養液が循環する場合は、下流になるほど)培養液中のCO2濃度は低くなり、バイオマスの生産が効率よく行われない状況となる。
【0009】
特許文献1には、高濃度のCO2雰囲気下で生育することが可能なユーグレナ属に属する原生動物の培養に、0.03〜80%、より好ましくは40〜80%といった高濃度のCO2を含むガスや化石燃料の使用で発生する排気ガスを利用し、光合成によって固定することでCO2量を削減する方法が記載されている。そして、特許文献1によれば、CO2を含む気体からCO2を効率良く資化固定して、当該気体のCO2を除去することが可能になる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−203948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1には、ユーグレナ属に属する原生動物に高濃度のCO2含有ガスを通気して培養することは記載されているものの、培養時における培養液中の溶存CO2濃度を適切に維持管理する手段や方法などについての記載はなく、バイオマスの生産が効率よく行われないおそれがある。
【0012】
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、バイオマスの生産を効率よく行うことができる光合成微生物培養装置および光合成微生物培養方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係る光合成微生物培養装置は、培養槽と、当該培養槽内を循環する培養液にCO2含有ガスを供給するCO2含有ガス供給手段と、を有する光合成微生物培養装置であって、前記培養液の溶存CO2濃度を計測する溶存CO2濃度計を有し、前記溶存CO2濃度計で計測した溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給することを特徴としている。
【0014】
(2)前記(1)に記載の光合成微生物培養装置においては、光強度を計測する光強度計を有し、当該光強度計で計測した光強度と前記溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給するのが好ましい。
【0015】
(3)本発明に係る光合成微生物培養装置は、培養液にCO2含有ガスを供給しつつ培養槽内を循環させて光合成微生物を培養する光合成微生物培養装置であって、前記培養液の溶存CO2濃度を計測する溶存CO2濃度計と、前記溶存CO2濃度計で計測した溶存CO2濃度に応じてCO2含有ガスの供給量を制御するCO2含有ガス供給量制御手段と、前記CO2含有ガス供給量制御手段によって供給量が制御されたCO2含有ガスを前記培養液に供給するCO2含有ガス供給手段と、を具備することを特徴としている。
【0016】
(4)前記(3)に記載の光合成微生物培養装置においては、さらに、光強度を計測する光強度計を具備し、前記CO2含有ガス供給量制御手段は、前記光強度計で計測した光強度と、前記溶存CO2濃度計で計測した溶存CO2濃度と、に応じてCO2含有ガスの供給量を制御するのが好ましい。
【0017】
(5)前記(2)または(4)に記載の光合成微生物培養装置においては、前記光強度が光合成を行うのに十分でない場合には、前記CO2含有ガスの供給を減少または停止するのが好ましい。
【0018】
(6)前記(1)から(5)のうちのいずれか1つに記載の光合成微生物培養装置においては、前記溶存CO2濃度計で計測される溶存CO2濃度が100〜450mg/Lとなるように前記CO2含有ガスを供給するのが好ましい。
【0019】
(7)前記(1)から(6)のうちのいずれか1つに記載の光合成微生物培養装置においては、循環する前記培養液との関係で、前記溶存CO2濃度計を前記CO2含有ガス供給手段の上流側に設けるのが好ましい。
【0020】
(8)前記(1)から(7)のうちのいずれか1つに記載の光合成微生物培養装置においては、前記溶存CO2濃度計および前記CO2含有ガス供給手段を複数設けるのが好ましい。
【0021】
(9)本発明に係る光合成微生物培養方法は、培養槽内を循環する培養液にCO2含有ガスを供給して光合成微生物を培養する光合成微生物培養方法であって、前記培養液の溶存CO2濃度を計測し、計測した溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給することを特徴としている。
【0022】
(10)前記(9)に記載の光合成微生物培養方法においては、光強度を計測し、計測した光強度と前記溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給するのが好ましい。
【0023】
(11)本発明に係る光合成微生物培養方法は、培養液にCO2含有ガスを供給しつつ培養槽内を循環させて光合成微生物を培養する光合成微生物培養方法であって、前記培養液の溶存CO2濃度を計測する溶存CO2濃度計測ステップと、前記溶存CO2濃度計測ステップで計測した溶存CO2濃度に応じてCO2含有ガスの供給量を制御するCO2含有ガス供給量制御ステップと、前記CO2含有ガス供給量制御ステップによって供給量が制御されたCO2含有ガスを前記培養液に供給するCO2含有ガス供給ステップと、を有することを特徴としている。
【0024】
(12)前記(11)に記載の光合成微生物培養方法においては、前記溶存CO2濃度計測ステップの前に、光強度を計測する光強度計測ステップを有し、前記CO2含有ガス供給量制御ステップは、前記光強度計測ステップで計測した光強度と、前記溶存CO2濃度計測ステップで計測した溶存CO2濃度と、に応じてCO2含有ガスの供給量を制御するのが好ましい。
【0025】
(13)前記(10)または(12)のうちのいずれか1つに記載の光合成微生物培養方法においては、前記光強度が光合成を行うのに十分でない場合には、前記CO2含有ガスの供給を減少または停止するのが好ましい。
【0026】
(14)前記(9)から(13)のうちのいずれか1つに記載の光合成微生物培養方法においては、計測される前記溶存CO2濃度が100〜450mg/Lとなるように前記CO2含有ガスを供給するのが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る光合成微生物培養装置および光合成微生物培養方法によれば、バイオマスの生産を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る光合成微生物培養装置の一実施形態を説明する斜視図である。
【図2】CO2含有ガスの供給量を制御する一実施形態を説明するフロー図である。
【図3】光合成微生物の溶存CO2濃度に対するバイオマス生産量比を示すグラフである。なお、横軸は溶存CO2濃度[mg/L]であり、縦軸はバイオマス生産量比である。
【図4】本発明に係る光合成微生物培養装置の他の実施形態を説明する斜視図である。
【図5】CO2含有ガスの供給量を制御する他の実施形態を説明するフロー図である。
【図6】CO2含有ガスの供給量を制御する他の実施形態を説明するフロー図である。
【図7】本発明に係る光合成微生物培養方法の一実施形態を説明するフロー図である。
【図8】本発明に係る光合成微生物培養装置の他の実施形態を説明する斜視図である。
【図9】本発明に係る光合成微生物培養装置の他の実施形態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、適宜図面を参照して本発明に係る光合成微生物培養装置および光合成微生物培養方法を実施するための形態について説明する。
【0030】
<光合成微生物培養装置>
はじめに、図1を参照して本発明に係る光合成微生物培養装置の一実施形態について説明する。
【0031】
図1に示すように、本発明に係る光合成微生物培養装置1は、培養槽2と、この培養槽2内を循環する培養液MにCO2含有ガスを供給するCO2含有ガス供給手段5と、を有する光合成微生物培養装置であって、培養液Mの溶存CO2濃度を計測する溶存CO2濃度計3を有し、この溶存CO2濃度計3で計測した溶存CO2濃度に応じてCO2含有ガスを供給するというものである。なお、図1中、培養液M中に示している矢印は培養液Mの流れの向きを表している。
【0032】
本発明に係る光合成微生物培養装置1の構成を具体的に説明すると、図1に示すように、培養液MにCO2含有ガスを供給しつつ培養槽2内を循環させて光合成微生物を培養するものであって、溶存CO2濃度計3と、CO2含有ガス供給量制御手段4と、CO2含有ガス供給手段5と、を具備している。
【0033】
ここで、CO2含有ガスは、大気中のCO2ガス濃度よりも高濃度であることが望ましいが、生産性が低くならない場合には大気をそのまま用いることができる。
【0034】
培養槽2は、無終端開水路を用いるのが好ましいが、培養液Mを収容してこれにCO2含有ガスを供給しつつ当該培養槽2内を循環させて溶存CO2濃度の均一化を図ることができるものであればどのようなものでも使用することができる。例えば、プールのような比較的大型の収容容器を使用することができる。また、培養槽2は、屋外に設置することもできるが、太陽光を十分に照射させることのできるビニールハウスなどの施設内に設置することもできる。このようにすれば風雨を避けることもできる。なお、培養槽2は、プラスチック、コンクリート、ビニールシートなどの素材で形成することができる。
【0035】
溶存CO2濃度計3は、培養液M内に溶存しているCO2の濃度を計測する計測器である。溶存CO2濃度計3は、市販されているものを使用することができる。
溶存CO2濃度計3の設置位置は、循環する培養液Mとの関係で、CO2含有ガス供給手段5の上流側に設けるのが好ましい。このようにすれば、CO2含有ガス供給手段5から遠ざかり下流になるほど、つまり、CO2含有ガス供給手段5のすぐ上流であるほど培養液M中のCO2濃度が低くなるため、この位置の溶存CO2濃度を十分なものとすれば、培養槽2内の培養液M全体が十分な溶存CO2濃度を有するように制御することが可能となるためである。
【0036】
CO2含有ガス供給量制御手段4は、溶存CO2濃度計3で計測した溶存CO2濃度に応じて供給するCO2含有ガスの供給量を制御するものである。
CO2含有ガス供給量制御手段4は、例えば、CO2含有ガスの供給量を制御するためのプログラムを実行し、溶存CO2濃度に応じた開度となるように配管バルブ42を開閉させる命令信号を配管バルブ42に向けて発信する制御部41と、制御部41からの命令信号を受信して開度を制御することのできる配管バルブ42と、により具現することができる。なお、制御部41としては、前記したプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)を備えたコンピュータを用いることができる。
【0037】
CO2含有ガス供給量制御手段4によるCO2含有ガスの供給量の制御は次のようにして行うことができる。
例えば、図2に示すように、ステップS11にて溶存CO2濃度計3で培養液Mの溶存CO2濃度を計測し、計測した溶存CO2濃度が基準値より小さい場合(ステップS12にて「溶存CO2濃度<基準値」の場合)は、ステップS13に進んでCO2含有ガスの配管バルブ42を開いてCO2含有ガスの供給量を増加させる。
【0038】
また、計測した溶存CO2濃度が基準値である場合(ステップS12にて「溶存CO2濃度=基準値」の場合)は、ステップS14に進んでCO2含有ガスの配管バルブ42の開度をそのまま維持する。
【0039】
そして、計測した溶存CO2濃度が基準値より大きい場合(ステップS12にて「溶存CO2濃度>基準値」の場合)は、ステップS15に進んでCO2含有ガスの配管バルブ42を閉じてCO2含有ガスの供給量を減少させ、またはCO2含有ガスの供給を停止させる。なお、配管バルブ42の弁の開閉は比例制御などでもON・OFF制御などでもよい。
【0040】
図3は、培養液1L当たりの光合成微生物の溶存CO2濃度[mg/L]に対するバイオマス生産量比を示すグラフであるが、当該グラフが示すように、溶存CO2濃度が約100mg/Lになると、溶存CO2濃度が0mg/Lのバイオマス生産量比を1とした場合と比較してバイオマス生産量比は約2倍となり、溶存CO2濃度が約250mg/Lになるとバイオマス生産量比は約2.5倍となり、以降、少なくとも溶存CO2濃度が約450mg/Lまではバイオマス生産量比が約2.7〜2.8倍に微増し、ほぼ飽和状態となる。
したがって、基準値(基準範囲)は、溶存CO2濃度を基準とする場合、100〜450mg/L、好ましくは100〜400mg/L、より好ましくは100〜250mg/Lなどとすることができる。
【0041】
CO2含有ガス供給手段5は、CO2含有ガス供給量制御手段4によって供給量が制御されたCO2含有ガスを培養液Mに供給するものである。
CO2含有ガス供給手段5は、図示しないCO2含有ガス供給元から配管パイプ51内を通じて送られてくるCO2含有ガスに対して圧力を付与してCO2含有ガスを送出するポンプ52と、ポンプ52と接続され、培養液M中に位置するよう設置された散気管53と、で構成することができる。なお、前記したCO2含有ガス供給量制御手段4の配管バルブ42は、ポンプ52の下流である配管パイプ51の任意の位置に設けられている。
【0042】
ポンプ52によって圧力を付与されて送出されてきたCO2含有ガスは、散気管53により細かい気泡となって培養液M中に放出される。CO2含有ガスの気泡は、微細化するほどCO2含有ガスの溶解効率が高くなるのでできるだけ細かくするのが好ましい。
【0043】
散気管53は、高分子ポリマー製のメンブレンや金属メッシュなどによって気泡を発生させることができればよく、その形状は、チューブ型やディスク型などとすることができる。
【0044】
なお、培養槽2内における培養液Mの循環は、任意の手段によって行うことができる。例えば、図1に示すように、軸部材の胴体表面から垂直に設けた板材を複数枚有するパドル6を軸回りに回転させることで行うことができる。
【0045】
本発明で用いることのできる光合成微生物としては、ユーグレナ(Euglena)を挙げることができる。ユーグレナは鞭毛虫の一群で、運動性のある藻類として有名なミドリムシを含む。大部分のユーグレナは、葉緑体を持っており、光合成を行って独立栄養生活を行うが、捕食性のものや吸収栄養性のものもある。
ユーグレナは、動物学と植物学の双方に分類される属である。
動物学では、原生動物門(Protozoa)の鞭毛虫綱(Mastigophorea)、植物鞭毛虫亜綱(Phytomastigophorea)に属する目の中にミドリムシ目(Euglenida)があり、これは三つの亜目、Euglenoidina、Peranemoidina、Petalomonadoidinaよりなる。
Euglenoidinaには、属としてEuglena、Trachelemonas、Strombonas、Phacus、Lepocinelis、Astasia、Colaciumが含まれる。
植物学では、ミドリムシ植物門(Euglenophyta)があり、その下にミドリムシ藻類綱(Euglenophyceae)、ミドリムシ目(Euglenales)があって、この目に含まれる属としてはEuglenaの他、動物分類表と同様である。
これ以外にも、シアノバクテリア、緑藻およびトレボキシア、プラシノ藻(緑色藻類)、原始紅藻類、珪藻、円石藻、渦べん毛藻、真眼点藻、黄金色藻などから1種または2種以上を選択して用いることができる。
【0046】
なお、シアノバクテリアとしては、例えば、Chroococcacae、Stigonematacae、MastigocladacaeおよびOscillatroriacaeを挙げることができる。また、その他にも、Synechococcus lividusおよびSynechococcus elongatusなどのSynechococcusや、Synechocystis minervaeなどのSynechocystisや、Mastigocladus laminosusなどのMastigocladusや、Phormidium laminosusなどのPhormidiumや、Symploca thermalisなどのSymplocaや、Aphanocapsa thermalisなどのAphanocapsaや、Fisherellaなどを挙げることができる。
さらには、アナべナ(Anabaena)属に属するアナべナ・バリアビリス(Anabanena variabilis)ATCC 29413、シアノテセ(Cyanothece)属のCyanothece sp. ATCC 51142、シネココッカス(Synechococcus)属に属するSynechococcus sp. PCC 7942およびアナシスティス(Anacystis)属に属するアナシスティス・ニデュランス(Anacystis nidulans)および好熱性シアノバクテリアなどを用いることができる。
【0047】
緑藻およびトレボキシアとしては、例えば、クロレラ(系統学的に分けられたパラクロレラを含む)、クラミドモナス、ドナリエラ、セネデスムス、ボトリオコッカス、スティココッカス、ナンノクロリス、およびデスモデスムスなどの気生藻を挙げることができる。具体的には、Chlorella vulgarisおよびChlorella saccharophilaなどのクロレラ(Chlorella)、Dunaliella salina、Dunaliella tertiolectaなどのDunaliella、並びに光合成などの基本的な性質は同じであるが、分子系統解析によりトレボキシア藻網として分類されるParachlorella kessleri(Chlorella kessleri)を挙げることができる。また、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属するクラミドモナス・ラインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)、クラミドモナス・モエブシィ(Chlamydomonas moewusii)、クラミドモナス・ユーガメタス(Chlamydomonas eugametos)、クラミドモナス・セグニス(Chlamydomonas segnis)、セネデスムス(Senedesmus)属に属するセネデスムス・オブリクス(Senedesmus obliquus)、スティココッカス(Stichococcus)属に属するスティココッカス・アンプリフォルミス(Stichococcus ampliformis)、ナンノクロリス(Nannochloris)属に属するナンノクロリス・バシラリス(Nannochloris bacillaris)、およびデスモデスムス(Desmodesmus)属に属するデスモデスムス・スブスピカツス(Desmodesmus subspicatus)などを挙げることができる。
【0048】
また、プラシノ藻(緑色藻類)としては、例えば、テトラセルミスなどを挙げることができ、原始紅藻類としては、例えば、シアニディオシゾン、シアニディウム、ガルディエリア、ポルフィリディウムなどを挙げることができる。
なお、本発明で用いることのできる光合成微生物は、光合成によりバイオマスを生成し、細胞内に蓄積することができるものであればどのようなものでも用いることができ、前記したものに限定されない。
【0049】
培養液Mは、例えば、光合成微生物としてユーグレナを用いる場合、窒素源、リン源、ミネラルなどの栄養塩類を添加した培養液、例えば、改変Cramer-Myers培地((NH42HPO4 1.0g/L、KH2PO4 1.0g/L、MgSO4・7H2O 0.2g/L、CaCl2・2H2O 0.02g/L、Fe2(SO23・7H2O 3mg/L、MnCl2・4H2O 1.8mg/L、CoSO4・7H2O 1.5mg/L、ZnSO4・7H2O 0.4mg/L、Na2MoO4・2H2O 0.2mg/L、CuSO4・5H2O 0.02g/L、チアミン塩酸塩(ビタミンB1) 0.1mg/L、シアノコバラミン(ビタミンB12)、(pH3.5))を用いることができる。なお、(NH42HPO4は、(NH42SO4やNH3aqに変換することも可能である。
なお、培養液Mは、培養する光合成微生物に適した培地を用いればよく、これに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0050】
また、培養液MのpHは2〜6とするのが好ましく、2〜4.5とするのがより好ましい。このように、pHを酸性にすれば、光合成微生物は他の微生物よりも優勢に生育することができるため、コンタミネーションを抑制することができる。その結果、回分培養法の他、連続培養法を適用することが可能となる。
【0051】
培養液MのpHの調整は、粉末試薬や試薬水溶液を適宜に用いて行うことができる。粉末試薬としては、重曹などを挙げることができ、試薬水溶液としては、硫酸、酢酸などの酸性液や水酸化ナトリウム水溶液などの塩基性溶液を挙げることができる。
【0052】
培養液Mの液深さは50cm以下とするのが好ましく、10〜30cmとするのがより好ましい。このようにすれば、培養がすすんで光合成微生物が増殖しても、パドル6により培養液Mが上下撹拌されるので、効率的に光合成を行わせることができる。
【0053】
CO2含有ガスは、CO2を含有するガスであればよく、例えば、CO2ガスを収容するボンベからこれを供給するようにしたり、工場や火力発電所から排出される燃焼排ガスからこれを供給するようにしたりするとよい。なお、このような燃焼排ガスを利用する場合は、集塵機、脱硝設備、脱硫設備などにより燃焼排ガス中の塵埃、NOxおよびSOxを取り除いておくのが好ましい。ただし、用いる光合成微生物がNOxやSOxなどに対して耐性があったり、浄化作用があったりする場合は、前記した装置等を設けなくともよい。
【0054】
本発明に係る光合成微生物培養装置1においては、以上に説明した構成以外にも、培養中の水温を一定に保つ恒温装置や、蒸発した水分を補充する補給水装置、培養液Mを補充する培養液補充装置などを具備させることができる。
【0055】
次に、図4を参照して本発明に係る光合成微生物培養装置の他の実施形態について説明する。
図4に示すように、他の実施形態に係る光合成微生物培養装置10は、既に説明した光合成微生物培養装置1の構成に光強度計7を具備させたものであり、この光強度計7で計測した光強度と溶存CO2濃度計3で計測した溶存CO2濃度に応じてCO2含有ガスを供給するものである。なお、光強度計7以外の構成については光合成微生物培養装置1での説明と重複するため省略する。
【0056】
光強度計7は、培養槽2の周囲の光の強さ(光強度)を計測する計測器である。この光強度計7は、市販されているものを使用することができる。光強度計7は、培養槽2の周囲の光強度を計測することができればよく、設置場所は特に限定されるものではないが、培養液M上に設置するのが好ましい。なお、光強度計7は照度や輝度を測定するものであってもよい。
【0057】
光合成微生物培養装置10のように、光強度計7を具備している場合、CO2含有ガス供給量制御手段4によるCO2含有ガスの供給量の制御は、次のようにして行うことができる。
【0058】
図5に示すように、ステップS21にて光強度計7で光強度を計測し、計測した光強度が光補償点よりも低い場合(ステップS22にて「光強度<光補償点」の場合)は、ステップS23に進んでCO2含有ガスの配管バルブ42を閉じてCO2含有ガスの供給量を減少させ、またはCO2含有ガスの供給を停止させる。
なお、光補償点とは、光合成量と呼吸量がつり合うときの光強度をいう。光補償点は、光合成微生物によって異なる場合があるので、用いる光合成微生物にあわせて適宜設定するのが好ましい。したがって、用いようとする光合成微生物を使用して予備実験を行ない、予め光補償点を求めておくのが好ましい。
【0059】
前記したように、光強度が光補償点よりも低くなる場合とは、具体的には夜間や雨天、曇天である場合などが該当し、光合成が行われないか、または光合成が行われたとしてもその効率が悪い状態となる。そのため、積極的にCO2含有ガスを供給する必要がないので、前記したように、CO2含有ガスの配管バルブ42を閉じてCO2含有ガスの供給量を減少させ、またはCO2含有ガスの供給を停止させる。
【0060】
計測した光強度が予備実験等により予め求めて設定した光補償点以上の場合(ステップS22にて「光強度≧光補償点」の場合)は、ステップS24に進み、溶存CO2濃度計3で培養液Mの溶存CO2濃度を計測する。
そして、計測した溶存CO2濃度が基準値より小さい場合(ステップS25にて「溶存CO2濃度<基準値」の場合)は、ステップS26に進んでCO2含有ガスの配管バルブ42を開いてCO2含有ガスの供給量を増加させる。なお、溶存CO2濃度の基準値は、前記したものと同様とすることができる。
【0061】
また、計測した溶存CO2濃度が基準値である場合(ステップS25にて「溶存CO2濃度=基準値」の場合)は、ステップS27に進んでCO2含有ガスの配管バルブ42の開度をそのまま維持する。
【0062】
そして、計測した溶存CO2濃度が基準値より大きい場合(ステップS25にて「溶存CO2濃度>基準値」の場合)は、ステップS22の計測した光強度が光補償点よりも低い場合(「光強度<光補償点」の場合)と同様、ステップS23に進んでCO2含有ガスの配管バルブ42を閉じてCO2含有ガスの供給量を減少させ、またはCO2含有ガスの供給を停止させる。
【0063】
また、光合成微生物培養装置10のように光強度計7を具備している場合、CO2含有ガス供給量制御手段4によるCO2含有ガスの供給量の制御の他の実施形態として、次のように制御することもできる。
【0064】
図6に示すように、ステップS31にて光強度計7で光強度を計測し、計測した光強度をデータとして取得する(ステップS32)。
また、ステップS33にて溶存CO2濃度計3で溶存CO2濃度を計測し、計測した溶存CO2濃度をデータとして取得する(ステップS34)。
前記したCO2含有ガス供給量制御手段4の制御部41では、取得した光強度のデータおよび溶存CO2濃度のデータから、光合成微生物の光合成を好適に行わせることができるよう、培養液中の溶存CO2濃度を最適とするためのCO2含有ガス供給量を計算し(ステップS35)、CO2含有ガス供給量のデータを取得する(ステップS36)。
【0065】
そして、CO2含有ガス供給量制御手段4は、CO2含有ガス供給量のデータに基づいて配管バルブ42を開く、維持するまたは閉じる制御を行ない(ステップS37)、計算されたCO2含有ガス供給量のCO2含有ガスをCO2含有ガス供給手段5が供給することで、培養液中の溶存CO2濃度を最適な濃度とする。
【0066】
<光合成微生物培養方法>
次に、本発明に係る光合成微生物培養方法の一実施形態について説明する。
この実施形態に係る光合成微生物培養方法は、培養槽2内を循環する培養液MにCO2含有ガスを供給して光合成微生物を培養する光合成微生物培養方法であって、培養液Mの溶存CO2濃度を計測し、計測した溶存CO2濃度に応じてCO2含有ガスを供給するというものである。
【0067】
この実施形態に係る光合成微生物培養方法の内容を具体的に説明すると、図7に示すように、溶存CO2濃度計測ステップS42と、CO2含有ガス供給量制御ステップS43と、CO2含有ガス供給ステップS44と、を有する。
【0068】
溶存CO2濃度計測ステップS42は、培養液Mの溶存CO2濃度を計測するステップである。
この溶存CO2濃度計測ステップS42は、前記した溶存CO2濃度計3で培養液Mの溶存CO2濃度を計測することにより行うことができる。
【0069】
次いで行うCO2含有ガス供給量制御ステップS43は、前記した溶存CO2濃度計測ステップS42で計測した溶存CO2濃度に応じてCO2含有ガスの供給量を制御するステップである。
このCO2含有ガス供給量制御ステップS43は、前記したCO2含有ガス供給量制御手段4で行うことができる。
【0070】
次いで行うCO2含有ガス供給ステップS44は、CO2含有ガス供給量制御ステップS43によって供給量が制御されたCO2含有ガスを培養液Mに供給するステップである。
このCO2含有ガス供給ステップS44は、前記したCO2含有ガス供給手段5により行うことができる。
【0071】
次に、他の実施形態に係る光合成微生物培養方法について説明する。
この他の実施形態に係る光合成微生物培養方法は、前記した一実施形態に係る光合成微生物培養方法の内容に加えて、さらに、光強度を計測し、計測した光強度と前記溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給するというものである。
【0072】
他の実施形態に係る光合成微生物培養方法の内容を具体的に説明すると、図7に示すように、溶存CO2濃度計測ステップS42の前に光強度を計測する光強度計測ステップS41を有する点で、前記した実施形態に係る光合成微生物培養方法とは相違している。
つまり、この他の実施形態に係る光合成微生物培養方法は、光強度計測ステップS41を行った後、前記した溶存CO2濃度計測ステップS42と、CO2含有ガス供給量制御ステップS43と、CO2含有ガス供給ステップS44と、を行う。
【0073】
この他の実施形態に光合成微生物培養方法の場合、CO2含有ガス供給量制御ステップS43では、光強度計測ステップS41で計測した光強度と、溶存CO2濃度計測ステップS42で計測した溶存CO2濃度と、に応じてCO2含有ガスの供給量を制御する。
【0074】
以上、発明を実施するための形態により、本発明に係る光合成微生物培養装置および光合成微生物培養方法について、詳細に説明したが、本発明の内容は前記した説明に限定されるものではなく、発明の趣旨は特許請求の範囲の記載された範囲内で広く解釈されなければならない。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変、変形等することができ、これらも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0075】
例えば、図8に示す光合成微生物培養装置20のように、溶存CO2濃度計3と、ポンプ52および散気管53で構成されるCO2含有ガス供給手段5と、配管バルブ42と、を複数設けるようにしてもよい。なお、このCO2含有ガス供給手段5の下流に、培養液Mを循環させるためのパドル6を併せて設けるのが好ましい。そして、この一組の溶存CO2濃度計3、CO2含有ガス供給手段5およびパドル6は、培養槽2において、等間隔となるように設置するのが好ましい。
【0076】
このようにすれば、例えば、無終端開水路として構成した培養槽2の水路の長さが長い場合であっても、培養液中の溶存CO2濃度を均一に保つことが容易となるため、光合成微生物の光合成をより好適に行わせることができるようになる。
【0077】
また、例えば、図9に示す光合成微生物培養装置30のように、培養液Mを循環させるための手段として、パドル6に替えて、エアリフト部61としても培養液Mを循環させることができる。
【0078】
このエアリフト部61は、無終端水路として構成した培養槽2の一部を深く掘り下げた深溝部81と、この深溝部81内において水路の幅方向と平行な方向であって水路の深さよりも深い位置に下端が配置されるように設けられた仕切板82と、前記した仕切板82で仕切られた深溝部81内のいずれか一方の区画の底部近傍に設けられた散気管53(CO2含有ガス供給手段5)と、で構成される。
【0079】
このような構成のエアリフト部61とすれば、いずれか一方の区画に設けられた散気管53から吐出されたCO2含有ガスの気泡の上昇によって、培養液Mに対して培養槽2内を循環させる推進力を付与することができる(エアリフト効果)。
なお、深溝部81と仕切板82とで構成される他方の区画、つまり、散気管53が設けられていない区画から、前記した一方の区画に向けて継続的に培養液Mが流入し、当該一方の区画において散気管53により培養槽2内を循環する推進力が付与される。
【0080】
この場合、パドル6のような装置を駆動させる必要がないことから、初期設備投資コストやこれを駆動させるランニングコストを抑えることができる点で好適である。また、培養液Mと培養槽2の底部に沈みがちである光合成微生物と、をより確実に撹拌し得る点でも好適である。
【0081】
光合成微生物培養装置30の場合、溶存CO2濃度計3は、前記した散気管53が設けられていない区画(他方の区画)に設けるとよい。かかる区画は、CO2含有ガス供給手段5の上流側であり、培養液中の溶存CO2濃度が最も低くなるため、この位置の溶存CO2濃度を十分なものとすれば、培養槽2内の培養液M全体が十分な溶存CO2濃度を有するように制御することが可能となる。
【0082】
また、光合成微生物培養装置30の場合も図9に示すように、溶存CO2濃度計3およびCO2含有ガス供給手段5を含むエアリフト部61を複数設けるようにしてもよい。より好ましくは、溶存CO2濃度計3およびCO2含有ガス供給手段5を含むエアリフト部61は、これらを1セットとした場合に複数セットを等間隔に設けるようにするとよい。このようにすれば、CO2含有ガス供給量制御手段4でそれぞれのCO2含有ガス供給手段5を適宜に制御することにより、無終端開水路として構成した培養槽2の水路の長さが長い場合であっても、培養液中の溶存CO2濃度を均一に保つことが容易となるため、光合成微生物の光合成をより好適に行わせることができるようになる。
【0083】
さらに、図9に示すように、散気管53の上方には、培養液M中に溶存しなかったCO2含有ガスを回収するためのCO2含有ガス回収カバー9、9を設けるのが好ましい。さらに、配管パイプ54によって、このCO2含有ガス回収カバー9、9とポンプ52とを接続するようにするのが好ましい。このようにすれば、CO2含有ガス回収カバー9、9で回収したCO2含有ガスを、ポンプ52を介して再びCO2含有ガス供給手段5の散気管53から培養液Mに溶存させることができる。また、このようにすれば、大気中へのCO2含有ガスの放散を抑制することができる。
【0084】
さらに、本発明に係る光合成微生物培養装置の制御部41は、用いる光合成微生物が、例えば、午前に光合成が活発であるならば午前にCO2の供給量を多くするように制御し、午後に光合成が活発であるならば午後にCO2の供給量を多くするように制御し、夜間に光合成が行われないならば夜間はCO2の供給を停止するというように、より細かく適切な制御を行うように設定することもできる。このようにすれば、用いる光合成微生物の活動状況に応じて適切にCO2を供給することができ、CO2の無駄な消費を抑制することや、光合成微生物に取り込まれなかったCO2が大気中に放散されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0085】
1、10、20、30 光合成微生物培養装置
2 培養槽
3 溶存CO2濃度計
4 CO2含有ガス供給量制御手段
41 制御部
42 配管バルブ
5 CO2含有ガス供給手段
51、54 配管パイプ
52 ポンプ
53 散気管
6 パドル
61 エアリフト部
7 光強度計
81 深溝部
82 仕切板
9 CO2含有ガス回収カバー
M 培養液
S41 光強度計測ステップ
S42 溶存CO2濃度計測ステップ
S43 CO2含有ガス供給量制御ステップ
S44 CO2含有ガス供給ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養槽と、当該培養槽内を循環する培養液にCO2含有ガスを供給するCO2含有ガス供給手段と、を有する光合成微生物培養装置であって、
前記培養液の溶存CO2濃度を計測する溶存CO2濃度計を有し、
前記溶存CO2濃度計で計測した溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給する
ことを特徴とする光合成微生物培養装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光合成微生物培養装置において、
光強度を計測する光強度計を有し、
当該光強度計で計測した光強度と前記溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給する
ことを特徴とする光合成微生物培養装置。
【請求項3】
培養液にCO2含有ガスを供給しつつ培養槽内を循環させて光合成微生物を培養する光合成微生物培養装置であって、
前記培養液の溶存CO2濃度を計測する溶存CO2濃度計と、
前記溶存CO2濃度計で計測した溶存CO2濃度に応じてCO2含有ガスの供給量を制御するCO2含有ガス供給量制御手段と、
前記CO2含有ガス供給量制御手段によって供給量が制御されたCO2含有ガスを前記培養液に供給するCO2含有ガス供給手段と、を具備する
ことを特徴とする光合成微生物培養装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光合成微生物培養装置において、
さらに、光強度を計測する光強度計を具備し、
前記CO2含有ガス供給量制御手段は、前記光強度計で計測した光強度と、前記溶存CO2濃度計で計測した溶存CO2濃度と、に応じてCO2含有ガスの供給量を制御する
ことを特徴とする光合成微生物培養装置。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載の光合成微生物培養装置において、
前記光強度が光合成を行うのに十分でない場合には、前記CO2含有ガスの供給を減少または停止する
ことを特徴とする光合成微生物培養装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の光合成微生物培養装置において、
前記溶存CO2濃度計で計測される溶存CO2濃度が100〜450mg/Lとなるように前記CO2含有ガスを供給する
ことを特徴とする光合成微生物培養装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の光合成微生物培養装置において、
循環する前記培養液との関係で、前記溶存CO2濃度計を前記CO2含有ガス供給手段の上流側に設けた
ことを特徴とする光合成微生物培養装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の光合成微生物培養装置において、
前記溶存CO2濃度計および前記CO2含有ガス供給手段を複数設けた
ことを特徴とする光合成微生物培養装置。
【請求項9】
培養槽内を循環する培養液にCO2含有ガスを供給して光合成微生物を培養する光合成微生物培養方法であって、
前記培養液の溶存CO2濃度を計測し、計測した溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給する
ことを特徴とする光合成微生物培養方法。
【請求項10】
請求項9に記載の光合成微生物培養方法において、
光強度を計測し、計測した光強度と前記溶存CO2濃度に応じて前記CO2含有ガスを供給する
ことを特徴とする光合成微生物培養方法。
【請求項11】
培養液にCO2含有ガスを供給しつつ培養槽内を循環させて光合成微生物を培養する光合成微生物培養方法であって、
前記培養液の溶存CO2濃度を計測する溶存CO2濃度計測ステップと、
前記溶存CO2濃度計測ステップで計測した溶存CO2濃度に応じてCO2含有ガスの供給量を制御するCO2含有ガス供給量制御ステップと、
前記CO2含有ガス供給量制御ステップによって供給量が制御されたCO2含有ガスを前記培養液に供給するCO2含有ガス供給ステップと、を有する
ことを特徴とする光合成微生物培養方法。
【請求項12】
請求項11に記載の光合成微生物培養方法において、
前記溶存CO2濃度計測ステップの前に、光強度を計測する光強度計測ステップを有し、
前記CO2含有ガス供給量制御ステップは、前記光強度計測ステップで計測した光強度と、前記溶存CO2濃度計測ステップで計測した溶存CO2濃度と、に応じてCO2含有ガスの供給量を制御する
ことを特徴とする光合成微生物培養方法。
【請求項13】
請求項10または請求項12に記載の光合成微生物培養方法において、
前記光強度が光合成を行うのに十分でない場合には、前記CO2含有ガスの供給を減少または停止する
ことを特徴とする光合成微生物培養方法。
【請求項14】
請求項9から請求項13のうちのいずれか1項に記載の光合成微生物培養方法において、
計測される前記溶存CO2濃度が100〜450mg/Lとなるように前記CO2含有ガスを供給する
ことを特徴とする光合成微生物培養方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−23978(P2012−23978A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163386(P2010−163386)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【出願人】(506141225)株式会社ユーグレナ (12)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】