説明

光増幅分配装置

【課題】 光線路が断線したときに漏れ出す信号光が人体に危険を及ぼすのを回避するとともに、断線した光線路のみの信号光を遮断し他の光線路に影響を与えることのないようにすること。
【解決手段】 光増幅分配装置1に入力された信号光は、光増幅部2で光増幅され、光分配器3で分配され安全機構4を介して光出力ポート5から出力される。安全機構4は、光線路からの反射戻り光を分岐する光カプラと、光カプラからの分岐光を電気信号に変換する光/電気信号変換部と、光遮断部と、光/電気信号変換部からの信号に基づき光遮断部を駆動して光遮断させる制御部を備えている。光コネクタが離脱したり光線路が切断される等、光線路が断線すると、その光線路での反射戻り光が急増する。この反射戻り光は上記安全機構4の光カプラで分岐され電気信号に変換され制御部により光遮断部を動作させ光路を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センタ局などから複数の加入者装置などへ信号光を分配するシステムにおいて、途中の光線路に複数設置される光増幅分配装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ通信システムに使用される光増幅分配器は、信号光を増幅し複数の光路に分配するものであり、それぞれの出力ポートからアンプにより増幅された高レベルの信号光を出力する。この高レベルの信号光は、複数の光線路へ出力され、光コネクタなどで同種の光増幅分配器や他の光通信装置などへ接続される。上記光増幅分配器において、各出力ポートに使用されている光コネクタが正常に接続されている場合には問題ないが、何らかの事情で光コネクタが離脱したときには、出力ポートまたはそれに接続されている光コネクタの端面から高レベルの信号光が漏れ出す。また、同様に、出力ポートより先の光線路が事故等により切断されてしまった場合も、その切断部分から高レベルの信号光が漏れ出す。
【0003】上記の高レベルの信号光は、人体に危険であり場合によっては目に入り、失明することもある。このように、高レベルの信号光が出力された状態で光コネクタの脱着作業を行った場合や、光コネクタより先の光線路が切断された場合等の光線路の断線時の漏れ光が問題となる。このため、適切な保護手段が必要になっている。従来の手段では、光増幅分配装置から出力されているある光線路の光コネクタが離脱した場合に、それを検知し光増幅部の増幅度を低下させ光増幅部からの光出力を弱めるものや、コネクタの離脱を検知すると光増幅部の出力部に設けられた光遮断器により、光増幅部からの信号光を遮断するものなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように光増幅分配装置の光増幅部からの光出力を弱めたり、遮断したりするものでは、光コネクタが離脱していない光出力ポートの出力レベルも低下することになり、その光増幅分配装置から先のすべての光線路の伝送信号品質を劣化してしまうという大きな問題が発生する。本発明は、上記課題を解決し、例えば光コネクタが離脱する等、断線した光線路のみ信号光を遮断することができ、他の光線路に影響を与えることのない光増幅分配装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記課題を次のように解決する。信号光を受信し、高レベルの信号光に増幅する光アンプと、前記光アンプから送信された信号光を複数の光路に分配するための光分配器と、前記光分配器により分配されたそれぞれの信号光を出力する複数の光出力ポートを有する光増幅分配装置において、上記光分配器と前記複数の光出力ポートとの間の複数の光路に、以下の手段を備えた安全機構をそれぞれ設ける。
■安全機構に入射した信号光を遮断する光遮断部。
■光出力ポートに接続された光線路からの反射戻り光を分岐する光カプラ。
■光カプラで分岐された反射戻り光を電気信号に変換するための光/電気信号変換器。
■光/電気信号変換器からの電気信号により上記光遮断部を駆動させるための信号を送出する制御部。
【0006】本発明においては、上記安全機構を光分配器と前記複数の光出力ポートとの間の複数の光路にそれぞれ設けたので、断線した光線路から高レベルの出力光が漏れ、人体へ危険を及ぼすことを回避することができ、かつ、光線路が断線していない他の出力ポートの信号光を遮断したり、出力レベルを低下させることが防止される。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明の光増幅分配装置の実施形態を示す構成図である。図1に示す光増幅分配装置1は、光増幅部2、光分配器3、光線路が断線したときに作動する安全機構4および光出力ポート5を有している。図2は、上記光線路が断線したときに作動する安全機構4(以下単に安全機構4と略記する)の構成を示す図であり、6は光カプラ、7は光/電気信号変換部、8は光遮断部制御部、9は光遮断部である。図2において、光カプラ6は光出力ポート5を介して、光線路からの反射戻り光を分岐するものである。光/電気信号変換部7は光カプラ6で分岐された反射戻り光を電気信号に変換する。光遮断部制御部8は、光/電気信号変換部7で電気信号に変換された信号に基づいて、光遮断部9を駆動する。
【0008】図1、図2において、本実施形態の光増幅分配装置は次のように動作する。光増幅分配装置1に入力された信号光は、光増幅部2で光増幅され、光分配器3に送られる。光分配器3は光増幅部2で増幅された高レベルの信号光を複数の光路に分配する。光分配器3で分配された信号光は図2に示した複数の安全機構4を介して光出力ポート5から出力される。光線路に断線のないときは、光線路からの反射戻り光は少ないので、上記安全機構4の光遮断部9は光を遮断せず、上記安全機構4に入射した信号光は光出力ポート5にそのまま送りだされる。
【0009】ここで、何らかの事情で出力側のある光線路の光コネクタが離脱したり、光出力ポート5から先の光線路が切断されると、その光線路での光コネクタ又は切断部分での反射戻り光が急増する。この反射戻り光は光カプラ6で分岐され、通常時よりも高いレベルで光/電気信号変換部7に入射される。光/電気信号変換部7はこの反射戻り光を電気信号に変換し、光遮断部制御部8に送出する。光遮断部制御部8は光/電気信号変換部7からの電気信号を受信することで光遮断部9を動作させ、光路を遮断する。
【0010】以上のように、図1、図2に示した光増幅分配装置においては、出力側のある光線路が断線したことを、その光線路に接続されている安全機構4が検知した場合、この安全機構4の光遮断部9を遮断するように構成したので、漏れ光の発生を防止できるとともに、光線路の断線が生じていない光出力ポートに影響を与えることが防止され、その光増幅分配装置から先のすべての光線路の伝送信号品質を劣化してしまうという問題を回避することができる。
【0011】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の光増幅分配装置によれば、断線の発生した光線路における高レベルの出力光が人体へ危険を及ぼすことを回避することができる。また、漏れ光の心配のない他の出力ポートの信号光を遮断したり、出力レベルを低下させることがないため、その光増幅分配器から先の光線路へ影響を発生させることが防止される。したがって、光通信システムの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光増幅分配装置の実施形態を示す構成図である。
【図2】光線路が断線したとき作動する安全機構の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 光増幅分配装置
2 光増幅器
3 光分配器
4 光線路断線時に作動する安全機構
5 光出力ポート
6 光カプラ
7 光/電気信号変換部
8 光遮断部制御部
9 光遮断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 信号光を受信し、該信号光を増幅する光アンプと、該光アンプから送信された信号光を複数の光路に分配するための光分配器と、該光分配器により分配されたそれぞれの信号光を出力する複数の光出力ポートを有する光増幅分配装置であって、上記光分配器と前記複数の光出力ポートとの間の複数の光路に、前記光出力ポートに接続された光線路における断線を検知した際、該光出力ポートへの信号光の光路を遮断する光遮断部をそれぞれ設けたことを特徴とする光増幅分配装置。
【請求項2】 前記光線路からの反射戻り光を分岐する光カプラと、該光カプラで分岐された反射戻り光を電気信号に変換するための光/電気信号変換器と、前記光/電気信号変換器からの電気信号により上記光遮断部を駆動させるための信号を送出する制御部をそれぞれ設けたことを特徴とする光増幅分配装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−310727(P2000−310727A)
【公開日】平成12年11月7日(2000.11.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−121723
【出願日】平成11年4月28日(1999.4.28)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】