光増感剤とMRI増感剤
本発明は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための医薬または光線療法薬の製造のための、式3の化合物またはその塩の使用に関する。本発明は、また、上記の疾患の治療方法に関する。本発明は、更に、上記の疾患だけでなく、動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患または皮膚病をも検出するための、光線診断薬の製造のための、式3の化合物またはその塩の使用に関する。本発明は、また、光線診断による、これらの疾患を検出する方法に関する。本発明は、更に、外科器具または他の器具を低温殺菌する方法であって、前記器具上に、式3の化合物またはその塩を供給すること、および、前記器具に照射処理または音波処理を供することを含む方法に関する。本発明は、更に、磁性元素に結合または接着した式3の化合物またはその塩に関する。このような化合物は、MRI増感剤として使用できる。本発明は、また、このようなMRI増感剤を使用してMRIスキャンを実施する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための医薬または光線療法薬の製造のための、式3の化合物またはその塩の使用に関する。本発明は、また、上記の疾患の治療方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、上記の疾患だけでなく、動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患または皮膚病をも検出するための、光線診断薬の製造のための、式3の化合物またはその塩の使用に関する。本発明は、また、光線診断による、これらの疾患を検出する方法に関する。
【0003】
本発明は、更に、外科器具または他の器具を低温殺菌する方法であって、前記器具上に、式3の化合物またはその塩を供給すること、および、前記器具に照射処理または音波処理を供することを含む方法に関する。
【0004】
本発明は、更に、磁性元素に結合または接着した式3の化合物またはその塩に関する。このような化合物は、MRI増感剤として使用できる。本発明は、また、このようなMRI増感剤を使用してMRIスキャンを実施する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
光線力学療法(PDT)は、光を利用し、例えばガン組織を死滅させる既知の治療法である。サイトルミネスセント療法(CLT)は、光線力学療法の1つの形態である。光線力学療法およびサイトルミネスセント療法の両方において、光増幅剤を、患者に、一般的には経口でまたは静脈内に投与する。この光増感剤は、例えば、ガン組織、その他の病変細胞、コレステロール斑、新血管、ウィルス、細菌および真菌において、選択的に凝集する。光の照射を受けた時、光増感剤が活性化され、高エネルギーを持つフリーラジカル状態の酸素(一重項酸素として知られている)を生み出す。一重項酸素は、内部からガン組織およびその他の病変細胞などを死滅させるが、大部分の正常の組織細胞には影響を及ぼさない。ガン組織、他の病変細胞などに直接光をもたらすために、身体に挿入した光ファイバーカテーテルもしくは内診鏡を使用することにより、または、体内により深く届かせることを可能とするより高波長の光を外部から使用することにより、投与した光増感剤を光に暴露させ、活性化させることができる。
【0006】
大部分の既知の光増感剤には多くの欠陥があり、例えば、調製および精製することが困難であり、または腫瘍組織に蓄積する速度が遅い等である。例えば、RU-2183956は、Spirulinaバイオマスを抽出することによって得られるパープリン-5およびパープリン-18、アルカリ金属塩、クロリン-e6の混合物に基づく光増感剤が開示されている。しかし、RU-2183956に開示されている光増感剤は、腫瘍組織に対する選択性が低く、正常な器官または組織に対し高い毒性があり、そして、腫瘍細胞に対して低い治療光活性を有する。更にその上、これらの光増感剤は、化学的におよび光化学的において不安定であるが、ゆっくりと代謝され、通常な組織から、ゆっくりと除去される。
【特許文献1】RU-2183956
【特許文献2】PCT/IB2004/051998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、本発明の目的は、例えば、腫瘍組織または他の病変組織に対する高い選択性、腫瘍組織または他の病変組織における最適な蓄積速度、正常な組織からの迅速な除去、腫瘍組織または他の病変組織からの遅い除去、高い光線力学活性、光感受性を誘導する低い傾向、正常な組織に対する低い毒性、保存期間における医薬形態の均一性および化学的安定性、ならびに工業的な量での調製および精製の容易性などの、特定の望む物理学的、化学的、光物理学的および生物学的な特性を有する光増感剤の新規な使用を提供することである。
【0008】
本発明者は、フィトクロリンまたはクロリン-e6としても知られている、下記の式1の化合物、18-カルボキシ-20-(カルボキシメチル)-8-エテニル-13-エチル-2,3-ジヒドロ-3,7,12,17-テトラメチル-21H,23H-ポルフィン-2-プロパン酸、ならびにその誘導体および金属錯体を研究した。
【0009】
【化1】
【0010】
本発明者は、更に、クロリン-6eの誘導体および金属錯体の製造方法を開発した。この方法は、単純で効率的であり、毒性試薬が残留することなく誘導体および金属錯体を提供する。この方法は、共同国際出願であるPCT/IB2004/051998号に開示されており、この出願は、全体を、特に、この出願に開示されているクロリン-e6の誘導体および金属錯体の製造方法に関して、参照によって本願明細書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための医薬の製造のための、下記の式3の化合物またはその塩の使用に関する。
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0014】
好ましくは、この医薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための、光線力学療法またはサイトルミネスセント療法において使用するための光線療法薬である。
【0015】
本発明の第1の態様は、更に、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のための光線診断薬の製造のための、下記の式3の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0018】
好ましくは、この光線診断薬は、上記疾患の蛍光または燐光性の検出用である。好ましくは、この光線診断薬は、上記疾患の蛍光または燐光性の検出および定量化に使用できる。
【0019】
本発明の第1の態様の光線診断薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のために使用することができる。好ましくは、この光線診断薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの検出のために使用することができる。好ましくは、この光線診断薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの検出のために使用することができる。
【0020】
本発明の第1の態様の医薬または光線療法薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のために使用することができる。好ましくは、この医薬または光線療法薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの治療のために使用することができる。
【0021】
好ましくは、本発明の第1の態様の医薬、光線療法薬または光線診断薬は、早期ガンの治療または検出用である。本発明の目的のためには、用語「早期ガン」とは、in situカルチノーマ、または裸眼で見ることができ、典型的には5mm、3mmまたは1mm未満の少量で存在する小領域のガンを意味する。これらは、一般的な検出方法を用いた検出が困難である。
【0022】
好ましくは、本発明の第1の態様の医薬、光線治療薬または光線診断薬は、照射処理または音波処理を供すると同時、またはこれらの処理前の投与に適している。より好ましくは、この医薬、光線治療薬または光線診断薬は、照射処理の前の投与に適している。
【0023】
一般には、医薬または光線療法薬は、照射処理の10から100時間前に、より典型的には、50から90時間前に、または約72時間前に投与する。医薬または光線療法薬の投与と照射処理との間の遅延時間により、この医薬または光線療法薬を、正常な組織および皮膚から除去することができる。一般的には、光線診断薬は、照射処理の3から60時間前に、より典型的には、照射処理の8から40時間前に投与する。光線診断方法においては、あまり多くの薬が必要でないので、光線療法よりも光線診断では、より短い遅延時間を必要とする。医薬または光線療法薬は、約3から5週間、異常組織に強固に接着するので、光線療法は、皮膚および正常な組織に対して光毒性の恐れをもたらすことなしに、広い領域に渡って実施することができる。
【0024】
使用する照射処理および音波処理の正確な波長は、人体または動物に投与する化合物の種類により決まる。しかし、一般的には、照射処理は、500nmから1000nmの、好ましくは600nmから900nmの、より好ましくは620nmから820nmの、更により好ましくは630nmから710nmの波長を有する電磁波照射である。治療および診断目的では、一般的に、照射処理または音波処理は、1分間から5時間、より一般的には、2分間から1時間、更により一般的には、5分間から30分間行う。
【0025】
本発明の第2の態様は、必要とするヒトまたは動物に、治療上有効量の、下記の式3の化合物またはその塩を投与することを含む、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療方法である。
【0026】
【化4】
【0027】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0028】
好ましくは、ヒトや動物が、さらなる照射処理または音波処理を受ける。
【0029】
本発明の第2の態様は、更に、必要とするヒトまたは動物に、治療上有効量の、下記の式3の化合物またはその塩を投与すること、および、前記ヒトまたは動物を照射処理または音波処理に供することを含む、ヒトまたは動物の疾患の光線力学療法またはサイトルミネスセント療法であって、前記疾患が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンである方法を提供する。
【0030】
【化5】
【0031】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0032】
本発明の第2の態様は、更に、ヒトまたは動物に、下記の式3の化合物またはその塩を投与すること、および、前記ヒトまたは動物を照射処理または音波処理に供することを含む、前記ヒトまたは動物における、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のための光線診断方法を提供する。
【0033】
【化6】
【0034】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0035】
好ましくは、この光線診断薬は、上記の疾患の蛍光または燐光性の検出用である。好ましくは、光線診断は、上記の疾患の蛍光または燐光性の検出のために使用できる。
【0036】
本発明の第2の態様の光線診断方法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のために使用することができる。好ましくは、この光線診断方法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの検出のために使用することができる。好ましくは、この光線診断方法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの検出のために使用することができる。
【0037】
本発明の第2の態様の治療方法または療法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のために使用することができる。好ましくは、この治療方法または療法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの治療のために使用することができる。
【0038】
好ましくは、本発明の第2の態様の方法は、早期ガンの治療または検出用である。本発明の目的のためには、用語「早期ガン」とは、in situカルチノーマ、または裸眼で見ることができ、典型的には5mm、3mmまたは1mm未満の少量で存在する小領域のガンを意味する。これらは、一般的な検出方法を用いた検出が困難である。
【0039】
好ましくは、本発明の第2の態様の方法においては、ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与と同時、または投与後に、照射処理または音波処理に供する。より好ましくは、ヒトまたは動物は、式3の化合物またはその塩の投与後に、照射処理または音波処理に供する。
【0040】
治療目的のために、一般には、化合物は、照射処理の10から100時間前に、より典型的には、50から90時間前に、または約72時間前に投与する。化合物の投与と照射処理との間の遅延時間により、この化合物を、正常な組織および皮膚から除去することができる。診断目的のために、一般的には、化合物は、照射処理の3から60時間前に、より典型的には、照射処理の8から40時間前に投与する。光線診断方法においては、あまり多くの薬が必要でないので、光線療法よりも光線診断では、より短い遅延時間を必要とする。化合物は、約3から5週間、異常組織に強固に接着するので、光線療法は、皮膚および正常な組織に対して光毒性の恐れをもたらすことなしに、広い領域に渡って実施することができる。
【0041】
使用する照射処理および音波処理の正確な波長は、人体または動物に投与する化合物の種類により決まる。しかし、一般的には、照射処理は、500nmから1000nmの、好ましくは600nmから900nmの、より好ましくは620nmから820nmの、更により好ましくは630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である。治療および診断目的では、一般的に、照射処理または音波処理は、1分間から5時間、より一般的には、2分間から1時間、更により一般的には、5分間から30分間行う。
【0042】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定することができる。好ましくは、化合物は、モノマー形態で固定される。好ましくは、タンパク質は、ヒト血清アルブミン(SHA)またはウシ血清アルブミン(BSA)、より好ましくはヒト血清アルブミン(SHA)である。好ましくは、ポリペプチドは、低分子量ポリペプチド、より好ましくは、ポリリジンまたはポリアスパラギンである。好ましくは、ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0043】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、ルミネスセンスならびに深部腫瘍または病変のための診断能力および感度を増大するためのナノ-ドットなどの感光性物質に結合することができる。量子ドットとも呼ばれるナノ-ドットは、小分子でもバクル固体でもないナノメートルスケールの粒子である。その組成および小さなサイズ(数百から数千アトム)により、これらのドットに、ドットのサイズと組成を変化することによって容易にカスタマイズすることができる著しい光学特性が付与される。量子ドットは、照明により強く蛍光を発する。
【0044】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物のMは、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素である。金属ハロゲン化物は、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物またはこれらの混合物とすることができる。2つの置換基を有するケイ素は、SiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)とすることができる。
【0045】
好ましくは、特に、化合物が固定されている場合は、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである。好ましくは、Mは、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0046】
好ましくは、特に、化合物が固定されていない場合は、Mは、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0047】
本発明の目的のために、本発明の第1および第2の態様で使用される化合物の「塩」は、化合物のカルボン酸官能基と適したカチオンとの間で形成される。適したカチオンには、制限するわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムが含まれる。好ましくは、塩は、医薬的に許容可能な塩である。塩は、モノ-、ジ-またはトリ-塩とすることができる。好ましくは、塩は、モノ-またはジ-リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはアンモニウム塩である。より好ましくは、塩は、モノ-またはジ-ナトリウム塩である。
【0048】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、基R1からR14を含む。好ましくは、各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである。好ましくは、R1およびR3は水素である。好ましくは、R5、R8およびR11は水素である。
【0049】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、基R15を含む。好ましくは、R15は、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはリジンである。
【0050】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、少なくとも2つのキラル中心1*および2*を有し、それ故、少なくとも4つの立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、これらの立体異性体の全て、およびこれらの混合物の使用を包含する。立体異性体の混合物は、一般的な方法、例えば、キラルクロマトグラフィー、分別再結晶化(fractional recrystallisation)、ジアステレオマーを形成するための誘導体化およびその後の分離、ならびに酵素を使用した分離によって分離することができる。代替的には、化合物は、光学選択的または立体選択的な合成によって、実質的に光学選択的に純粋な形態で、直接調製することができる。
【0051】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、少なくとも95%の、好ましくは、少なくとも98%の、より好ましくは、少なくとも99%の1つの光学異性体を好ましくは含む。好ましくは、化合物は、実質的に、光学的に純粋であり、この用語は、本発明の目的のためには、化合物が少なくとも99%の1つの光学異性体を含むという意味で定義される。
【0052】
好ましくは、示すように、式3において、R1およびR3は水素であり、R1は下側への配置であり、R3は上側への配置である。より好ましくは、R1およびR3は水素であり、R2は(CH2)2CO2Hであり、R4はCO2Hであり、キラル中心1*および2*は、(S)-配置である。
【0053】
最も好ましい実施態様においては、本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、式2である。
【0054】
【化7】
【0055】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、医薬的に許容可能な担体または希釈剤と一緒に使用できる。
【0056】
好ましくは、化合物は、経口、(静脈内、皮下、筋肉内、皮内、気管内、腹腔内、関節内、腹部内、頭蓋内および硬膜外を含む)非経口、経皮、気道(噴霧)、直腸、膣内または(口腔、粘膜または舌下を含む)局所投与に適した形態で、最も好ましくは、経口または非経口投与に適した形態である。
【0057】
経口投与については、化合物は、好ましくは、錠剤、カプセル、ハードもしくはソフトゼラチンカプセル、カプレット、トローチまたは薬用キャンディーの形態で、粉末もしくは顆粒として、または水性溶液、懸濁物もしくは分散物として提供される。
【0058】
代替的には、化合物は、非経口投与、具体的には静脈内投与に適した形態とすることができ、この場合、医薬組成物は、好ましくは、6から8.5のpHを有する水性溶液または懸濁物である。
【0059】
治療目的のためには、化合物は、好ましくは、一日当り0.01から10mg/kgの、より好ましくは、一日当り0.1から5mg/kgの、更により好ましくは、一日当り約2mg/kgの式3の化合物またはその塩を提供するのに適した形態である。
【0060】
診断目的のためには、化合物は、好ましくは、診断当り0.1から20mgの、より好ましくは、0.5から10mgの、更により好ましくは、1から3mgの式3の化合物またはその塩を提供するのに適した形態である。
【0061】
好ましくは、本発明の第1および第2の態様において治療または診断されるヒトまたは動物は、ヒトである。
【0062】
本発明の第3の態様は、下記の式3の化合物またはその塩を、外科器具または他の器具上に供給すること、および、前記器具を照射処理または音波処理に供することを含む、前記器具を低温殺菌する方法である。
【0063】
【化8】
【0064】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0065】
好ましくは、器具を、式3の化合物またはその塩の器具上への供給と同時に、または供給後に、照射処理または音波処理に供する。より好ましくは、器具は、式3の化合物またはその塩の器具上への供給後に、照射処理に供する。一般的には、化合物は、器具上に、照射処理の1から60分前に、より一般的には、照射処理の1から45分前に、更により一般的には、照射処理の2から30分前に供給する。
【0066】
使用する照射処理および音波処理の正確な波長は、低温殺菌のために使用する化合物の種類により決まる。しかし、一般的には、照射処理は、500nmから1000nmの、好ましくは600nmから900nmの、より好ましくは620nmから820nmの、更により好ましくは630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である。一般的に、器具は、1分間から24時間、より一般的には、10分間から5時間、照射処理または音波処理に供する。
【0067】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定することができる。好ましくは、化合物は、モノマー形態で固定される。好ましくは、タンパク質は、ヒト血清アルブミン(SHA)またはウシ血清アルブミン(BSA)、より好ましくはヒト血清アルブミン(SHA)である。好ましくは、ポリペプチドは、低分子量ポリペプチド、より好ましくは、ポリリジンまたはポリアスパラギンである。好ましくは、ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0068】
本発明の第3の態様で使用される化合物のMは、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素である。金属ハロゲン化物は、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物またはこれらの混合物とすることができる。2つの置換基を有するケイ素は、SiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)とすることができる。
【0069】
好ましくは、特に、化合物が固定されている場合は、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである。好ましくは、Mは、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0070】
好ましくは、特に、化合物が固定されていない場合は、Mは、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0071】
本発明の目的のために、本発明の第3の態様で使用される化合物の「塩」は、化合物のカルボン酸官能基と適したカチオンとの間で形成される。適したカチオンには、制限するわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムが含まれる。好ましくは、塩は、医薬的に許容可能な塩である。塩は、モノ-、ジ-またはトリ-塩とすることができる。好ましくは、塩は、モノ-またはジ-リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはアンモニウム塩である。より好ましくは、塩は、モノ-またはジ-ナトリウム塩である。
【0072】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、基R1からR14を含む。好ましくは、各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである。好ましくは、R1およびR3は水素である。好ましくは、R5、R8およびR11は水素である。
【0073】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、基R15を含む。好ましくは、R15は、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはリジンである。
【0074】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、少なくとも2つのキラル中心1*および2*を有し、それ故、少なくとも4つの立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、これらの立体異性体の全て、およびこれらの混合物の使用を包含する。立体異性体の混合物は、一般的な方法、例えば、キラルクロマトグラフィー、分別再結晶化(fractional recrystallisation)、ジアステレオマーを形成するための誘導体化およびその後の分離、ならびに酵素を使用した分離によって分離することができる。代替的には、化合物は、光学選択的または立体選択的な合成によって、実質的に光学選択的に純粋な形態で、直接調製することができる。
【0075】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、少なくとも95%の、好ましくは、少なくとも98%の、より好ましくは、少なくとも99%の1つの光学異性体を好ましくは含む。好ましくは、化合物は、実質的に、光学的に純粋であり、この用語は、本発明の目的のためには、化合物が少なくとも99%の1つの光学異性体を含むという意味で定義される。
【0076】
好ましくは、示すように、式3において、R1およびR3は水素であり、R1は下側への配置であり、R3は上側への配置である。より好ましくは、R1およびR3は水素であり、R2は(CH2)2CO2Hであり、R4はCO2Hであり、キラル中心1*および2*は、(S)-配置である。
【0077】
最も好ましい実施態様においては、本発明の第3の態様で使用される化合物は、式2である。
【0078】
【化9】
【0079】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、担体または希釈剤と一緒に使用できる。
【0080】
本発明の第4の態様は、磁気元素に結合または接着した、下記の式3の化合物またはその塩である。
【0081】
【化10】
【0082】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0083】
好ましくは、この磁性元素は、Gd、FeまたはMnである。
【0084】
本発明の第4の態様の化合物は、MRI増感剤として使用することができる。磁気共鳴映像法(MRI)は、ヒトの身体の内部の高品質な映像を得るために、医療機関で主として使用されている映像機器である。MRIは、核磁気共鳴(NMR)の原理に基づく。実際には、MRIは、異なる組織の磁気強度の差異を測定する。
【0085】
例えば腫瘍に選択的に接着し、磁気元素を含む本発明の第4の態様の化合物を用いれば、MRIは、より正確に、悪性組織を同定する。本発明の第4の態様の化合物は、MRIスキャンのために、照明または音波によって光活性化される必要はない。本発明の第4の態様の化合物は、腫瘍または他の疾患組織において、磁気元素を凝集するための担体として作用し、それにより、現在の手法では不可能な方法で、MRIスキャンでその組織を高度に可視化することが可能となる。
【0086】
本発明の第4の態様の化合物は、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定することができる。好ましくは、化合物は、モノマー形態で固定される。好ましくは、タンパク質は、ヒト血清アルブミン(SHA)またはウシ血清アルブミン(BSA)、より好ましくはヒト血清アルブミン(SHA)である。好ましくは、ポリペプチドは、低分子量ポリペプチド、より好ましくは、ポリリジンまたはポリアスパラギンである。好ましくは、ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0087】
本発明の第4の態様で使用される化合物のMは、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素である。金属ハロゲン化物は、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物またはこれらの混合物とすることができる。2つの置換基を有するケイ素は、SiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)とすることができる。
【0088】
好ましくは、特に、化合物が固定されている場合は、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである。好ましくは、Mは、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0089】
好ましくは、特に、化合物が固定されていない場合は、Mは、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0090】
本発明の目的のために、本発明の第4の態様の化合物の「塩」は、化合物のカルボン酸官能基と適したカチオンとの間で形成される。適したカチオンには、制限するわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムが含まれる。好ましくは、塩は、医薬的に許容可能な塩である。塩は、モノ-、ジ-またはトリ-塩とすることができる。好ましくは、塩は、モノ-またはジ-リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはアンモニウム塩である。より好ましくは、塩は、モノ-またはジ-ナトリウム塩である。
【0091】
本発明の第4の態様の化合物は、基R1からR14を含む。好ましくは、各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである。好ましくは、R1およびR3は水素である。好ましくは、R5、R8およびR11は水素である。
【0092】
本発明の第4の態様の化合物は、基R15を含む。好ましくは、R15は、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはリジンである。
【0093】
本発明の第4の態様の化合物は、少なくとも2つのキラル中心1*および2*を有し、それ故、少なくとも4つの立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、これらの立体異性体の全て、およびこれらの混合物の使用を包含する。立体異性体の混合物は、一般的な方法、例えば、キラルクロマトグラフィー、分別再結晶化(fractional recrystallisation)、ジアステレオマーを形成するための誘導体化およびその後の分離、ならびに酵素を使用した分離によって分離することができる。代替的には、化合物は、光学選択的または立体選択的な合成によって、実質的に光学選択的に純粋な形態で、直接調製することができる。
【0094】
本発明の第4の態様の化合物は、少なくとも95%の、好ましくは、少なくとも98%の、より好ましくは、少なくとも99%の1つの光学異性体を好ましくは含む。好ましくは、化合物は、実質的に、光学的に純粋であり、この用語は、本発明の目的のためには、化合物が少なくとも99%の1つの光学異性体を含むという意味で定義される。
【0095】
好ましくは、示すように、式3において、R1およびR3は水素であり、R1は下側への配置であり、R3は上側への配置である。より好ましくは、R1およびR3は水素であり、R2は(CH2)2CO2Hであり、R4はCO2Hであり、キラル中心1*および2*は、(S)-配置である。
【0096】
最も好ましい実施態様においては、本発明の第4の態様の化合物は、式2である。
【0097】
【化11】
【0098】
本発明の第4の態様の化合物は、医薬的に許容可能な担体または希釈剤と一緒に使用できる。
【0099】
好ましくは、化合物は、経口、(静脈内、皮下、筋肉内、皮内、気管内、腹腔内、関節内、腹部内、頭蓋内および硬膜外を含む)非経口、経皮、気道(噴霧)、直腸、膣内または(口腔、粘膜または舌下を含む)局所投与に適した形態で、最も好ましくは、経口または非経口投与に適した形態である。
【0100】
経口投与については、化合物は、好ましくは、錠剤、カプセル、ハードもしくはソフトゼラチンカプセル、カプレット、トローチまたは薬用キャンディーの形態で、粉末もしくは顆粒として、または水性溶液、懸濁物もしくは分散物として提供される。
【0101】
代替的には、化合物は、非経口投与、具体的には静脈内投与に適した形態とすることができ、この場合、医薬組成物は、好ましくは、6から8.5のpHを有する水性溶液または懸濁物である。
【0102】
化合物は、好ましくは、診断当り0.1から20mgの、より好ましくは、0.5から10mgの、更により好ましくは、1から3mgの式3の化合物またはその塩を提供するのに適した形態である。
【0103】
本発明の第4の態様の化合物は、更に、本発明の第4の態様の化合物をMRI増感剤として使用することを含む、MRIスキャンを実施する方法を提供する。
【0104】
本発明の第4の態様は、更に、本発明の第4の態様の化合物の、MRI増感剤としての使用を提供する。
【0105】
好ましくは、MRIスキャンは、ヒトまたは動物で、より好ましくはヒトで実施する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0106】
式3の化合物およびその塩について、2つの経路が存在する。
【0107】
第1の経路(以下の実施例1および2を参照せよ)は、クロリン-e6とも称される、市販の式4の化合物と、金属化合物とを、pH≧9の水溶液中で混合することにより、式3の化合物を産生することを含む。式3の化合物は、モノマーの形態で、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭などのイモビライザー(immobilizer)に、調合の際に式3の化合物にイモビライザーを加えることによって固定することができる。
【0108】
より具体的には、クロリン-e6は、pH≧9の水溶液に溶解する。pH≧9は、例えば、アンモニアを水溶液に添加することによって達成することができる。
【0109】
その後、ほぼ等モル量の金属化合物、例えば酢酸亜鉛を、反応混合物に加える。溶液をほぼ室温で混合すると、クロリン-e6と金属イオンが、錯体を形成する。錯体形成反応の進展と終了を、分光光度計でモニターすることができる。
【0110】
錯体形成反応が終了すると、ほぼ等モル量のタンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭などのイモビライザー、例えば、ヒト血清アルブミン(SHA)またはポリビニルピロリドン(PVP)を、反応混合物に加える。式3の化合物が、イモビライザーに固定されるまで、溶液をほぼ室温で混合する。固定化反応の進展と終了を、分光光度計でモニターすることができる。
【0111】
第2の経路(以下の実施例3から6を参照せよ)は、(i)式4の化合物を、イモビライザーと、pH≧9の水溶液中で混合することにより、固定化した化合物4を産生すること、および(ii)金属化合物を、固定化した化合物4に加えて、固定化した式3の化合物を産生することを含む。好ましくは、式4の化合物は、モノマーの形態で、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定される。錯体形成反応の進展と終了を、分光光度計でモニターすることができる。
【0112】
それ故、水溶性のイモビライザー、例えばヒト血清アルブミン(SHA)またはポリビニルピロリドン(PVP)を、クロリン-e6に対してほぼ等モル量で反応混合物に、錯体形成反応を実施する前に(経路2)または実施した後に(経路1)、加える。
【0113】
式3の化合物が、モノマー分子形態で、イモビライザーに固体することができるという事実は驚くべきものであり、何故ならば、式3のモノマー化合物は、特には、水溶液で安定でないからである。必要なイモビライザーの量は、固定化する分子の部位の数によって決まり、それは、式3の化合物については1つである。
【0114】
理論に束縛されるのを望むわけではないが、光活性形態であり、光線療法薬または光線診断薬として有用とすることができるのは、式3の化合物のモノマー形態であると考えられる。しかしながら、固定化していない式3の化合物は、予測不能な物理的、化学的、光物理的および生物学的特性を有する凝集(ダイマー、トリマーおよび未知の構造のオリゴマー)を形成する傾向を有し、特に、式3の化合物が9より低いpHに供されると、その傾向を有する。例えば、Zn-クロリン-e6の凝集体は、化学的に非常に安定であり、例えば、pHを増加させ、加熱し、極性溶媒を使用する等のZn-クロリン-e6凝集体を非凝集化する試みは、失敗してきた。それ故、凝集化工程は、不可能ではないにしても、反対方向に向けることは困難である。本発明は、この問題を、如何なる凝集も生じる前に、式3の化合物をモノマー形態で固定化することによって、解決している。
【0115】
式3の化合物は光増感剤であり、したがって、光線力学療法での使用のための医薬組成物および医薬において有用である。更にその上、式3の光増感剤は、光線診断薬として使用することができる。
【0116】
本発明で使用することができる化合物、医薬組成物、医薬、光線療法薬または光線診断薬は、経口、(静脈内、皮下、筋肉内、皮内、気管内、腹腔内、関節内、腹部内、頭蓋内および硬膜外を含む)非経口、経皮、気道(噴霧)、直腸、膣内または(口腔、粘膜または舌下を含む)局所投与によって投与することができる。
【0117】
経口投与については、化合物、医薬組成物、医薬、光線療法薬または光線診断薬は、一般的に、錠剤、カプセル、ハードもしくはソフトゼラチンカプセル、カプレット、トローチまたは薬用キャンディーの形態で、粉末もしくは顆粒として、または水性溶液、懸濁物もしくは分散物として提供される。
【0118】
経口投与のための錠剤は、活性成分を、医薬的に許容可能な賦形剤、例えば不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、甘味剤、芳香剤、着色剤および防腐剤と混合して含むことができる。適した不活性希釈剤には、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カルシウム、ならびにラクトースが含まれる。コーンスターチおよびアルギン酸は、崩壊剤に適する。結合剤には、スターチおよびデンプンが含まれうる。潤滑剤は、存在する場合は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクとすることができる。望むならば、錠剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの物質でコーティングし、消化管における吸収を遅延することができる。
【0119】
経口使用のための錠剤は、活性成分が固体の希釈剤と混合しているハードゼラチンカプセル、および活性成分が水またはピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などの油と混合しているソフトゼラチンカプセルを含む。
【0120】
直腸投与のための調合物は、例えばココアバターまたはサリチル酸塩を含む適した基剤を有する座薬として提示することができる。
【0121】
膣内投与に適した調合物は、活性剤に加えて、当該業界において適切であると知られている担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー調合物として提示することができる。
【0122】
非経口の使用については、活性成分は、一般的に、適切なpHおよび等張性に緩衝化した、滅菌水溶液または懸濁物で提供される。適した水溶性ベヒクルには、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウムまたはグルコースが含まれる。水性懸濁物には、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよびトラガカントゴムなどの懸濁剤、およびレシチンなどの湿潤剤が含みうる。水性懸濁物に適した防腐剤には、エチルおよびn-プロピル p-ヒドロキシベンゾエートが含まれる。活性成分は、また、リポソーム調合物として提示することができる。
【0123】
局所および経皮投与については、活性成分は、一般的に、軟膏、パッブ(湿布)、ペースト、粉末、包帯、クリーム、膏薬またはパッチの形態で提供する。
【0124】
適した懸濁物および溶液は、気道(噴霧)投与のための吸入器において使用することができる。
【0125】
一般的には、適した治療投与量は、一日当りレシピエントの体重キログラム当り0.01から10mgの活性成分の範囲、好ましくは、一日当り体重キログラム当り0.1から5mgの範囲、より好ましくは、一日当り体重キログラム当り約2mgである。望ましい投与は、好ましくは、一日一回であるが、一日を通して適した間隔で投与した二回、三回、四回またはそれより多く投与することができる。これらの複数回投与は、例えば、投与形態単位当り1から1000mgの、好ましくは、10から800mgの、最も好ましくは20から500mgの活性成分を含む投与形態単位で投与することができる。
【0126】
一般的には、適した診断投与量は、診断当り0.1から20mgの、より好ましくは、0.5から10mgの、更により好ましくは、1から3mgの活性成分の範囲である。
【0127】
本発明を、以下の実施例を参照にして記載する。以下に続く記載は例示のみを目的とするものであり、細部の修正は、発明の範囲内において実施することができることは理解されよう。
【実施例】
【0128】
[合成実験の詳細]
(実施例1)
アンモニアを、溶液のpHが9以上になるまで、水に加えた。その後、クロリン-e6(1.0g)を、水溶液に溶かした。等モル量の酢酸亜鉛(0.22g)を加え、反応混合物を、15分間約20℃で攪拌し、錯体形成反応を達成した。反応の進展および終了を、分光光度計によってモニターした。錯体形成反応の終了に際して、ヒト血清アルブミン(HAS)(71g)を、イモビライザーとして反応混合物に加えた。分光光度計によってモニターした、固定化反応の終了に際して、反応性生物であるSHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体を、透析によって精製した。
【0129】
図1は、水中における、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)Zn-クロリン-e6錯体(λmax=632nm)、および(3)SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。
【0130】
図1で示されるように、Zn-クロリン-e6錯体の形成は、長波長側の吸収ピークが24nm短い波長へシフトすることによって達成され、タンパク質へのZn-クロリン-e6の固定化は、4nm長い波長へのシフトをもたらす。このような長波長側のピークのシフトは、金属との錯体形成およびタンパク質への固定化の両方に典型的なものであり、反応の完全性および純度を証明するものである。更にその上、λmax=502nmにおける中程度のクロリン-e6の特徴的な吸収ピークは、実質的に、Zn-クロリン-e6については消失し、代わりに、λmax=514nmが現れ、このことも、反応の完全性および純度を実証するものである。
【0131】
比較のために、図2は、水中における、開始物質クロリン-e6の350nmまでの可視光吸収スペクトルを示す。主な吸収ピークの最大値は、λmax=402、502および656nmである。
【0132】
(実施例2)
固定化したZn-クロリン-e6の合成を、イモビライザーとして、ポリビニルピロリドン(PVP)(62g)をSHAの代わりに使用したことを除き、実施例1で記載したように実施した。
【0133】
図4で示されるように、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)Zn-クロリン-e6錯体(λmax=632nm)、および(3)PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=638nm)の可視光吸収スペクトルのスペクトル図は、実質的に、図1で示した結果と同一である。金属錯体形成による、長波長側のピークの24nm短い波長への著しいシフトと、ポリマーPVPへの固体化による、6mm長い波長への軽微なシフトが見られる。λmax=502nmにおける中程度のクロリン-e6のピークは、Zn-クロリン-e6錯体を形成する場合に、実質的に消失する。全てのこれらの変化により、反応の完全性ならびに得られた生成物の純度および均一性が証明される。
【0134】
(実施例3)
アンモニアを、溶液のpHが9以上になるまで、水に加えた。その後、クロリン-e6(1.0g)を、水溶液に溶かした。等モル量のSHA(71g)を加え、反応混合物を、17分間約20℃で攪拌し、SHAにクロリン-e6を固定化させた。その後、等モル量の酢酸亜鉛(0.22g)を加え、反応混合物を室温で攪拌し、Znをクロリン-e6へと錯体化させた。これは、分光光度計でモニターした。反応の生成物であるSHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体は、透析によって精製した。
【0135】
図3は、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)SHAに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。第1の合成反応(実施例1を参照せよ)と異なり、タンパク質に固定化したクロリン-e6を形成する際に、最初に、吸収ピークが6nm長い波長へシフトし、その後、SHAに固定化したZn-クロリン-e6を形成する際に、26nm短い波長へシフトした。このような吸収ピークのシフトは、合成した生成物の特性と一致し、反応の完全性および得られた生成物の純度を証明するものである。更にその上、クロリン-e6の中程度のピーク(λmax=502nm)は、クロリン-e6のスペクトルだけでなく、タンパク質に固定化したクロリン-e6のスペクトルにも見出されたが、タンパク質に固定化したZn-クロリン-e6のスペクトルにおいては消失し、λmax=514nmのピークへと移動する。
【0136】
(実施例4)
固定化したZn-クロリン-e6の合成は、イモビライザーとして、ポリビニルピロリドン(PVP)(62g)をSHAの代わりに使用したことを除き、実施例3で記載したように実施した。
【0137】
図5は、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=638nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。実施例3のように、PVPにクロリン-e6を固定化する際に、吸収ピークが6nm長い波長へシフトし、その後、Znイオンをクロリン-e6へと導入してPVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体を形成した後に、吸収スペクトルが24nm短い波長へシフトした。これらの結果によって、反応の完全性および得られた生成物の純度が実証される。これらは、また、λmax=502nmにおける中程度のクロリン-e6のピークの挙動によっても証明され、このピークは、クロリン-e6のスペクトルだけでなく、PVPに固定化したクロリン-e6にも存在するが、PVPに固定化したZn-クロリン-e6のスペクトルでは消失する。
【0138】
前記で論じた2つの異なる経路によって合成した生成物のスペクトル(経路1:実施例1および2、経路2:実施例3および4)が、同一であるという事実は、実施例1から4の最終段落で導いた結果が正しいことであるを証明している。
【0139】
[更なるスペクトルの考察]
図6から8は、350から700nmのスペクトル範囲における、Zn-クロリン-e6錯体、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体およびPVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体それぞれの水中での可視光吸収スペクトルを示す。吸収スペクトルは、Zn-クロリン-e6錯体については、λmax=414および634nmに、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体については、λmax=418および636nmに、そして、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体については、λmax=416および638nmに主な吸収ピークを有する。モノマー生成物の純度および安定性に関するこれらの吸収スペクトルから得られた結果によって、蛍光分光による非常に高感度な分析方法で、合成の各段階を確認した(以下に論じる実施例9から14を参照せよ)。
【0140】
図9おび10は、それぞれ、水中での、Zn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを示す。モノマーZn-クロリン-e6錯体は、特徴的なλmax=643nmを有する蛍光スペクトル、およびλmax=412および607nmで主なピークを有する蛍光励起スペクトルを有する、すなわち、吸収スペクトルで観察されたピークと類似している。このことは、蛍光が、モノマーZn-クロリン-e6錯体に属し、蛍光データによって、研究対象の生成物の高い純度および均一性が証明されることを示すものである。
【0141】
図11および12は、それぞれ、水中での、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを示す。蛍光スペクトルは、水中でのZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトルに類似しているが、赤色領域へとわずかにシフトし(λmax=645nm)、より小さな半値幅のピークとなり、このことは、これらのスペクトルに観察されたZn-クロリン-e6錯体の中心と、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の中心との間の高い構造類似性を実証している。図12で示す、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光励起スペクトルは、図7に示すその吸収スペクトルと非常に類似しており、吸収スペクトルのピークと比較して、より小さな半値幅を有し、より左右対称とした形状のλmax=446および673nmの2つの主なーピークを示す。このことは、蛍光が、SHAに固定化したモノマーZn-クロリン-e6に属し、研究対象の生成物が高い均一性と純度を有することを証明している。
【0142】
図13および14は、それぞれ、水中での、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを示す。蛍光スペクトルの形状は、前記で論じた蛍光スペクトルに非常に類似しており、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体のスペクトルのように、λmax=645nmでピークを有する。蛍光励起スペクトルは、λmax=429および727nmで主なピークを有し、これは、その吸収スペクトルと一致し、蛍光がPVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体に属しており、生成物が高い純度を有することを示している。
【0143】
図15および16は、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体を含む調製物を腹腔内に注入した実験用動物(マウス)から取り出した、腹水腫瘍の沈殿物上の液体に由来する生物学的サンプルの蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを示す。図15および16で示した生物学的サンプルのスペクトルを、図9から14で示す対応するモデルスペクトルと比較することによって示されるように、生物学的サンプルのスペクトルのピークは、類似のλmax(図15における蛍光スペクトル:λmax=645nm;図16における蛍光励起スペクトル:λmax=418および641nm)で生じ、モデルスペクトルのピークと類似のピーク形状およびピーク強度比を有する。このことは、実験動物に注入した調合物は、実質的な構造変化を受けず、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体について観察されたような、吸収中心および蛍光中心の高い構造均一性を有するZn-クロリン-e6を含むことを意味している。
【0144】
(実施例5)
PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体を、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(実施例4を参照せよ)と類似の方法で合成した。図17は、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体(λmax=646nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。図18は、水中での、PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体のモノマー形態の350から750nmの範囲の吸収スペクトルを示す。図18に示すように、モノマー形態のPVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体のスペクトルは、それぞれ、λmax=424および646nmで2つの主なピークを有する。
【0145】
(実施例6)
PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体を、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(実施例4を参照せよ)と類似の方法で合成した。図19は、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。図20は、水中での、PVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体のモノマー形態の350から750nmの範囲の吸収スペクトルを示す。図20に示すように、モノマー形態のPVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体のスペクトルは、固定化したZn-クロリン-e6錯体および固定化したCd-クロリン-e6錯体のモノマースペクトルとは異なる。モノマー形態のPVPで固定化したCu-クロリン-e6錯体の吸収スペクトルは、それぞれ、λmax=410、505および636nmで3つの主なピークを有する。
【0146】
[臨床前薬物動態学的研究]
固定化したモノマーZn-クロリン-e6錯体の顕著で重要な特徴は、6から8.5のpHでモノマーZn-クロリン-e6錯体の安定な形態を調製できる可能性があることである。この特徴は、注入の用途に必要である。注入に適したZn-クロリン-e6錯体調合物は、合成終了後に、反応媒体を酸性化することによって調製することができる。Zn-クロリン-e6錯体の構造安定性および調合物の均一性に干渉しない、医薬的に許容可能な付加物を、注入に適したこのような調製物に加えることができる。
【0147】
器官、組織、生物学的液体および腫瘍(胎児性ガン)中での30時間にわたる、SHAに固体化したZn-クロリン-e6錯体の薬物動態学的分布を研究した。20から21gの体重のラインBalb/cのメスマウスを、実験動物として使用した。薬物動態学的研究を、Perkin-Elmer分光光度計を使用して、体重kg当り25mgの投与量でのSHAに固定化したZn-クロリン-e6の腹腔内注入後に取り出した器官および組織のホモジネートについて実施した。これらの薬物動態学的分布の結果を図21に示し、以下の表1にまとめる。
【0148】
【表1】
【0149】
[結果]
A. 体重kg当り25mgの投与量での、SHAに固定化したZnクロリン-e6錯体の腹腔内注入は、注入直後および30時間後の両方で、如何なる毒性の兆候も無く、動物によって良く持続され、行動様式に影響を及ぼさなかった。
【0150】
B. 固定化された錯体は、迅速に、腹腔から血液へと吸収され、注入後最初の数時間は肝臓に堆積した。肝臓組織におけるその含量は、血液中のレベルよりも10から14倍高かった。
【0151】
C. 顕著な量の固定化した錯体が、注入後最初の12時間で腎臓にも蓄積したが(肝臓よりも2から2.5倍少ないだけであった)、固定化した錯体は、実質的に尿には存在していなかった。次の18時間では、固定化した錯体は、腎臓組織から血液へと激しく放出された。腎臓の分泌機能は、観察期間全般にわたって影響を受けなかった。
【0152】
D. 肝臓内の固定化した錯体の最大濃度は、注入後最初の8時間で見られた。次の24時間では、余剰の固定化した錯体は、小腸へと激しく放出された。肝臓および小腸の分布曲線の動態は、正確にお互いに関連している。腫瘍で最大の濃度を達成するためには、5から10倍少ない投与量の固定化した錯体を注入すれば十分であろう。
【0153】
E. 肝臓または腫瘍と比較して、脾臓および肺に蓄積した固定化した錯体は、5から8倍少なく、注入して24時間後には、腎臓および肺は、読み数が見られた。
【0154】
F. 皮膚と筋肉組織の両方は、実質的に同一の蓄積動態を有しており、唯一の差異は、筋肉内の固定化した錯体含量が、皮膚内の固定化した錯体よりも最初の15時間で1.5倍高かったことである。
【0155】
G. 腫瘍中の固定化した錯体の蓄積は、注入の瞬間から徐々に増加し、注入後15時間で最大に達した。最大濃度でのプラトーな状態(12から20時間)が、クロリン-e6注入後よりも極めて長いことが見出され、最初の24時間までにわずかに低下した後、濃度の最大の読値にまで増加した固定化した錯体濃度の第2の増加が、24から30時間の間に見出された。「シザース(scissors)」効果(肝臓中で固定化した錯体濃度が減少する一方で、腫瘍中の固定化した錯体濃度が増加する)は、肝臓および腫瘍について2回見出され、1回は注入後12時間で、もう1回は注入後24時間でより更に顕著に見出された。
【0156】
要約すると、腹腔内での固定化した錯体の吸収、血液から組織への再分布、そして、余剰な固定化した錯体の最初の24時間における肝臓による除去の後に、固定化した錯体は、肝臓よりも2.5倍高く、皮膚、筋肉および他の実質器官よりも6倍高い濃度で腫瘍組織に蓄積した。ダイマー形態の薬物動態と比較して、モノマー形態は、極めて優れた腫瘍選択性および組織における化学構造の極めて優れた安定性が実証された。
【0157】
上記で論じた分光データ(図1から20を参照)および薬物動態学的データ(図21を参照)は、固定化した調製物が、モノマー構造を保存し、Zn-クロリン-e6錯体のポルフィリン核のモノマー構造、純度および化学的安定性を保存することを示している。
【0158】
[急性毒性パラメーターの定義]
パラメーターLD10とLD50を定義するため、3つの調製物の投与量(体重kg当り100、125および150mg)を、単独の腹腔内注入のために選択した。クロリン-e6の読値(LD10が体重kg当り119mgであり、LD50が体重kg当り160mgである)を、原型として用いた。
【0159】
上記で述べた投与量でのSHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の注入後における、注入による最初の反応は、唯一、第三の動物群(体重kg当り150mg)で見られた、なぜならば、この調製物を、3ml生理学的溶液で注入したことによって、腹腔の膨張を原因とする一時的な動物の静止状態がもたらされたからである。しかしながら、余剰液体の吸収後、これらの動物は、行動応答(移動活動、抵抗反応、食物反応、毛皮状況)において、他の2つの群の動物と差異はなくなった。
【0160】
続く72時間の間、急性毒性の兆候(緩慢な応答、へこんだ側面、下痢、抵抗力無しおよび食物に対する無反応)が現れなかった。動物は、更に二週間観察下に置き続けた。
【0161】
同じように、体重kg当り175、200および225mgだけでなく、体重kg当り300、350および450mgの腹腔内注入を行い、更なる試験を実施した。これらの濃度の全てで、毒性は証明されなかった。
【0162】
本発明は、例示のみを目的で、前記に開示したことは理解されよう。実施例は、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。請求項によって定義される本発明の精神を逸脱することなく、様々な修飾および実施態様が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】図1は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)Zn-クロリン-e6錯体(λmax=632nm)、および(3)SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の吸収スペクトルを示す。
【図2】図2は、水中における、クロリン-e6(λmax=402、502および656nm)の吸収スペクトルを示す。
【図3】図3は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)SHAに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の吸収スペクトルを示す。
【図4】図4は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)Zn-クロリン-e6錯体(λmax=632nm)、および(3)PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=638nm)の吸収スペクトルを示す。
【図5】図5は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=638nm)の吸収スペクトルを示す。
【図6】図6は、水中における、Zn-クロリン-e6錯体(λmax=414および634nm)の吸収スペクトルを示す。
【図7】図7は、水中における、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=418および636nm)の吸収スペクトルを示す。
【図8】図8は、水中における、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=416および638nm)の吸収スペクトルを示す。
【図9】図9は、水中における、Zn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトル(λmax=643nm)を示す。
【図10】図10は、水中における、Zn-クロリン-e6錯体の蛍光励起スペクトル(λmax=412および607nm)を示す。
【図11】図11は、水中における、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトル(λmax=645nm)を示す。
【図12】図12は、水中における、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光励起スペクトル(λmax=446および673nm)を示す。
【図13】図13は、水中における、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトル(λmax=645nm)を示す。
【図14】図14は、水中における、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光励起スペクトル(λmax=429および727nm)を示す。
【図15】図15は、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体を含む調製物を腹腔内に注入した実験用動物(マウス)から取り出した、腹水腫瘍の沈殿物上の液体に由来する生物学的サンプルの蛍光スペクトル(λmax=645nm)を示す。
【図16】図16は、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体を含む調製物を腹腔内に注入した実験用動物(マウス)から取り出した、腹水腫瘍の沈殿物上の液体に由来する生物学的サンプルの蛍光励起スペクトル(λmax=418および641nm)を示す。
【図17】図17は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体(λmax=646nm)の吸収スペクトルを示す。
【図18】図18は、水中における、PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体の吸収スペクトル(λmax=424および646nm)を示す。
【図19】図19は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の吸収スペクトルを示す。
【図20】図20は、水中における、PVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体の吸収スペクトル(λmax=410、505および636nm)を示す。
【図21】図21は、薬物動態学的分布研究の結果を示す。器官、組織、生物学的液体および腫瘍(胎児性ガン)中での30時間にわたる、SHAに固体化したZn-クロリン-e6錯体の薬物動態学的分布を研究した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための医薬または光線療法薬の製造のための、式3の化合物またはその塩の使用に関する。本発明は、また、上記の疾患の治療方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、上記の疾患だけでなく、動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患または皮膚病をも検出するための、光線診断薬の製造のための、式3の化合物またはその塩の使用に関する。本発明は、また、光線診断による、これらの疾患を検出する方法に関する。
【0003】
本発明は、更に、外科器具または他の器具を低温殺菌する方法であって、前記器具上に、式3の化合物またはその塩を供給すること、および、前記器具に照射処理または音波処理を供することを含む方法に関する。
【0004】
本発明は、更に、磁性元素に結合または接着した式3の化合物またはその塩に関する。このような化合物は、MRI増感剤として使用できる。本発明は、また、このようなMRI増感剤を使用してMRIスキャンを実施する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
光線力学療法(PDT)は、光を利用し、例えばガン組織を死滅させる既知の治療法である。サイトルミネスセント療法(CLT)は、光線力学療法の1つの形態である。光線力学療法およびサイトルミネスセント療法の両方において、光増幅剤を、患者に、一般的には経口でまたは静脈内に投与する。この光増感剤は、例えば、ガン組織、その他の病変細胞、コレステロール斑、新血管、ウィルス、細菌および真菌において、選択的に凝集する。光の照射を受けた時、光増感剤が活性化され、高エネルギーを持つフリーラジカル状態の酸素(一重項酸素として知られている)を生み出す。一重項酸素は、内部からガン組織およびその他の病変細胞などを死滅させるが、大部分の正常の組織細胞には影響を及ぼさない。ガン組織、他の病変細胞などに直接光をもたらすために、身体に挿入した光ファイバーカテーテルもしくは内診鏡を使用することにより、または、体内により深く届かせることを可能とするより高波長の光を外部から使用することにより、投与した光増感剤を光に暴露させ、活性化させることができる。
【0006】
大部分の既知の光増感剤には多くの欠陥があり、例えば、調製および精製することが困難であり、または腫瘍組織に蓄積する速度が遅い等である。例えば、RU-2183956は、Spirulinaバイオマスを抽出することによって得られるパープリン-5およびパープリン-18、アルカリ金属塩、クロリン-e6の混合物に基づく光増感剤が開示されている。しかし、RU-2183956に開示されている光増感剤は、腫瘍組織に対する選択性が低く、正常な器官または組織に対し高い毒性があり、そして、腫瘍細胞に対して低い治療光活性を有する。更にその上、これらの光増感剤は、化学的におよび光化学的において不安定であるが、ゆっくりと代謝され、通常な組織から、ゆっくりと除去される。
【特許文献1】RU-2183956
【特許文献2】PCT/IB2004/051998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、本発明の目的は、例えば、腫瘍組織または他の病変組織に対する高い選択性、腫瘍組織または他の病変組織における最適な蓄積速度、正常な組織からの迅速な除去、腫瘍組織または他の病変組織からの遅い除去、高い光線力学活性、光感受性を誘導する低い傾向、正常な組織に対する低い毒性、保存期間における医薬形態の均一性および化学的安定性、ならびに工業的な量での調製および精製の容易性などの、特定の望む物理学的、化学的、光物理学的および生物学的な特性を有する光増感剤の新規な使用を提供することである。
【0008】
本発明者は、フィトクロリンまたはクロリン-e6としても知られている、下記の式1の化合物、18-カルボキシ-20-(カルボキシメチル)-8-エテニル-13-エチル-2,3-ジヒドロ-3,7,12,17-テトラメチル-21H,23H-ポルフィン-2-プロパン酸、ならびにその誘導体および金属錯体を研究した。
【0009】
【化1】
【0010】
本発明者は、更に、クロリン-6eの誘導体および金属錯体の製造方法を開発した。この方法は、単純で効率的であり、毒性試薬が残留することなく誘導体および金属錯体を提供する。この方法は、共同国際出願であるPCT/IB2004/051998号に開示されており、この出願は、全体を、特に、この出願に開示されているクロリン-e6の誘導体および金属錯体の製造方法に関して、参照によって本願明細書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための医薬の製造のための、下記の式3の化合物またはその塩の使用に関する。
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0014】
好ましくは、この医薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための、光線力学療法またはサイトルミネスセント療法において使用するための光線療法薬である。
【0015】
本発明の第1の態様は、更に、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のための光線診断薬の製造のための、下記の式3の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0018】
好ましくは、この光線診断薬は、上記疾患の蛍光または燐光性の検出用である。好ましくは、この光線診断薬は、上記疾患の蛍光または燐光性の検出および定量化に使用できる。
【0019】
本発明の第1の態様の光線診断薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のために使用することができる。好ましくは、この光線診断薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの検出のために使用することができる。好ましくは、この光線診断薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの検出のために使用することができる。
【0020】
本発明の第1の態様の医薬または光線療法薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のために使用することができる。好ましくは、この医薬または光線療法薬は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの治療のために使用することができる。
【0021】
好ましくは、本発明の第1の態様の医薬、光線療法薬または光線診断薬は、早期ガンの治療または検出用である。本発明の目的のためには、用語「早期ガン」とは、in situカルチノーマ、または裸眼で見ることができ、典型的には5mm、3mmまたは1mm未満の少量で存在する小領域のガンを意味する。これらは、一般的な検出方法を用いた検出が困難である。
【0022】
好ましくは、本発明の第1の態様の医薬、光線治療薬または光線診断薬は、照射処理または音波処理を供すると同時、またはこれらの処理前の投与に適している。より好ましくは、この医薬、光線治療薬または光線診断薬は、照射処理の前の投与に適している。
【0023】
一般には、医薬または光線療法薬は、照射処理の10から100時間前に、より典型的には、50から90時間前に、または約72時間前に投与する。医薬または光線療法薬の投与と照射処理との間の遅延時間により、この医薬または光線療法薬を、正常な組織および皮膚から除去することができる。一般的には、光線診断薬は、照射処理の3から60時間前に、より典型的には、照射処理の8から40時間前に投与する。光線診断方法においては、あまり多くの薬が必要でないので、光線療法よりも光線診断では、より短い遅延時間を必要とする。医薬または光線療法薬は、約3から5週間、異常組織に強固に接着するので、光線療法は、皮膚および正常な組織に対して光毒性の恐れをもたらすことなしに、広い領域に渡って実施することができる。
【0024】
使用する照射処理および音波処理の正確な波長は、人体または動物に投与する化合物の種類により決まる。しかし、一般的には、照射処理は、500nmから1000nmの、好ましくは600nmから900nmの、より好ましくは620nmから820nmの、更により好ましくは630nmから710nmの波長を有する電磁波照射である。治療および診断目的では、一般的に、照射処理または音波処理は、1分間から5時間、より一般的には、2分間から1時間、更により一般的には、5分間から30分間行う。
【0025】
本発明の第2の態様は、必要とするヒトまたは動物に、治療上有効量の、下記の式3の化合物またはその塩を投与することを含む、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療方法である。
【0026】
【化4】
【0027】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0028】
好ましくは、ヒトや動物が、さらなる照射処理または音波処理を受ける。
【0029】
本発明の第2の態様は、更に、必要とするヒトまたは動物に、治療上有効量の、下記の式3の化合物またはその塩を投与すること、および、前記ヒトまたは動物を照射処理または音波処理に供することを含む、ヒトまたは動物の疾患の光線力学療法またはサイトルミネスセント療法であって、前記疾患が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンである方法を提供する。
【0030】
【化5】
【0031】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0032】
本発明の第2の態様は、更に、ヒトまたは動物に、下記の式3の化合物またはその塩を投与すること、および、前記ヒトまたは動物を照射処理または音波処理に供することを含む、前記ヒトまたは動物における、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のための光線診断方法を提供する。
【0033】
【化6】
【0034】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0035】
好ましくは、この光線診断薬は、上記の疾患の蛍光または燐光性の検出用である。好ましくは、光線診断は、上記の疾患の蛍光または燐光性の検出のために使用できる。
【0036】
本発明の第2の態様の光線診断方法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のために使用することができる。好ましくは、この光線診断方法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの検出のために使用することができる。好ましくは、この光線診断方法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの検出のために使用することができる。
【0037】
本発明の第2の態様の治療方法または療法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のために使用することができる。好ましくは、この治療方法または療法は、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの治療のために使用することができる。
【0038】
好ましくは、本発明の第2の態様の方法は、早期ガンの治療または検出用である。本発明の目的のためには、用語「早期ガン」とは、in situカルチノーマ、または裸眼で見ることができ、典型的には5mm、3mmまたは1mm未満の少量で存在する小領域のガンを意味する。これらは、一般的な検出方法を用いた検出が困難である。
【0039】
好ましくは、本発明の第2の態様の方法においては、ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与と同時、または投与後に、照射処理または音波処理に供する。より好ましくは、ヒトまたは動物は、式3の化合物またはその塩の投与後に、照射処理または音波処理に供する。
【0040】
治療目的のために、一般には、化合物は、照射処理の10から100時間前に、より典型的には、50から90時間前に、または約72時間前に投与する。化合物の投与と照射処理との間の遅延時間により、この化合物を、正常な組織および皮膚から除去することができる。診断目的のために、一般的には、化合物は、照射処理の3から60時間前に、より典型的には、照射処理の8から40時間前に投与する。光線診断方法においては、あまり多くの薬が必要でないので、光線療法よりも光線診断では、より短い遅延時間を必要とする。化合物は、約3から5週間、異常組織に強固に接着するので、光線療法は、皮膚および正常な組織に対して光毒性の恐れをもたらすことなしに、広い領域に渡って実施することができる。
【0041】
使用する照射処理および音波処理の正確な波長は、人体または動物に投与する化合物の種類により決まる。しかし、一般的には、照射処理は、500nmから1000nmの、好ましくは600nmから900nmの、より好ましくは620nmから820nmの、更により好ましくは630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である。治療および診断目的では、一般的に、照射処理または音波処理は、1分間から5時間、より一般的には、2分間から1時間、更により一般的には、5分間から30分間行う。
【0042】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定することができる。好ましくは、化合物は、モノマー形態で固定される。好ましくは、タンパク質は、ヒト血清アルブミン(SHA)またはウシ血清アルブミン(BSA)、より好ましくはヒト血清アルブミン(SHA)である。好ましくは、ポリペプチドは、低分子量ポリペプチド、より好ましくは、ポリリジンまたはポリアスパラギンである。好ましくは、ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0043】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、ルミネスセンスならびに深部腫瘍または病変のための診断能力および感度を増大するためのナノ-ドットなどの感光性物質に結合することができる。量子ドットとも呼ばれるナノ-ドットは、小分子でもバクル固体でもないナノメートルスケールの粒子である。その組成および小さなサイズ(数百から数千アトム)により、これらのドットに、ドットのサイズと組成を変化することによって容易にカスタマイズすることができる著しい光学特性が付与される。量子ドットは、照明により強く蛍光を発する。
【0044】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物のMは、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素である。金属ハロゲン化物は、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物またはこれらの混合物とすることができる。2つの置換基を有するケイ素は、SiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)とすることができる。
【0045】
好ましくは、特に、化合物が固定されている場合は、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである。好ましくは、Mは、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0046】
好ましくは、特に、化合物が固定されていない場合は、Mは、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0047】
本発明の目的のために、本発明の第1および第2の態様で使用される化合物の「塩」は、化合物のカルボン酸官能基と適したカチオンとの間で形成される。適したカチオンには、制限するわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムが含まれる。好ましくは、塩は、医薬的に許容可能な塩である。塩は、モノ-、ジ-またはトリ-塩とすることができる。好ましくは、塩は、モノ-またはジ-リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはアンモニウム塩である。より好ましくは、塩は、モノ-またはジ-ナトリウム塩である。
【0048】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、基R1からR14を含む。好ましくは、各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである。好ましくは、R1およびR3は水素である。好ましくは、R5、R8およびR11は水素である。
【0049】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、基R15を含む。好ましくは、R15は、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはリジンである。
【0050】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、少なくとも2つのキラル中心1*および2*を有し、それ故、少なくとも4つの立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、これらの立体異性体の全て、およびこれらの混合物の使用を包含する。立体異性体の混合物は、一般的な方法、例えば、キラルクロマトグラフィー、分別再結晶化(fractional recrystallisation)、ジアステレオマーを形成するための誘導体化およびその後の分離、ならびに酵素を使用した分離によって分離することができる。代替的には、化合物は、光学選択的または立体選択的な合成によって、実質的に光学選択的に純粋な形態で、直接調製することができる。
【0051】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、少なくとも95%の、好ましくは、少なくとも98%の、より好ましくは、少なくとも99%の1つの光学異性体を好ましくは含む。好ましくは、化合物は、実質的に、光学的に純粋であり、この用語は、本発明の目的のためには、化合物が少なくとも99%の1つの光学異性体を含むという意味で定義される。
【0052】
好ましくは、示すように、式3において、R1およびR3は水素であり、R1は下側への配置であり、R3は上側への配置である。より好ましくは、R1およびR3は水素であり、R2は(CH2)2CO2Hであり、R4はCO2Hであり、キラル中心1*および2*は、(S)-配置である。
【0053】
最も好ましい実施態様においては、本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、式2である。
【0054】
【化7】
【0055】
本発明の第1および第2の態様で使用される化合物は、医薬的に許容可能な担体または希釈剤と一緒に使用できる。
【0056】
好ましくは、化合物は、経口、(静脈内、皮下、筋肉内、皮内、気管内、腹腔内、関節内、腹部内、頭蓋内および硬膜外を含む)非経口、経皮、気道(噴霧)、直腸、膣内または(口腔、粘膜または舌下を含む)局所投与に適した形態で、最も好ましくは、経口または非経口投与に適した形態である。
【0057】
経口投与については、化合物は、好ましくは、錠剤、カプセル、ハードもしくはソフトゼラチンカプセル、カプレット、トローチまたは薬用キャンディーの形態で、粉末もしくは顆粒として、または水性溶液、懸濁物もしくは分散物として提供される。
【0058】
代替的には、化合物は、非経口投与、具体的には静脈内投与に適した形態とすることができ、この場合、医薬組成物は、好ましくは、6から8.5のpHを有する水性溶液または懸濁物である。
【0059】
治療目的のためには、化合物は、好ましくは、一日当り0.01から10mg/kgの、より好ましくは、一日当り0.1から5mg/kgの、更により好ましくは、一日当り約2mg/kgの式3の化合物またはその塩を提供するのに適した形態である。
【0060】
診断目的のためには、化合物は、好ましくは、診断当り0.1から20mgの、より好ましくは、0.5から10mgの、更により好ましくは、1から3mgの式3の化合物またはその塩を提供するのに適した形態である。
【0061】
好ましくは、本発明の第1および第2の態様において治療または診断されるヒトまたは動物は、ヒトである。
【0062】
本発明の第3の態様は、下記の式3の化合物またはその塩を、外科器具または他の器具上に供給すること、および、前記器具を照射処理または音波処理に供することを含む、前記器具を低温殺菌する方法である。
【0063】
【化8】
【0064】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0065】
好ましくは、器具を、式3の化合物またはその塩の器具上への供給と同時に、または供給後に、照射処理または音波処理に供する。より好ましくは、器具は、式3の化合物またはその塩の器具上への供給後に、照射処理に供する。一般的には、化合物は、器具上に、照射処理の1から60分前に、より一般的には、照射処理の1から45分前に、更により一般的には、照射処理の2から30分前に供給する。
【0066】
使用する照射処理および音波処理の正確な波長は、低温殺菌のために使用する化合物の種類により決まる。しかし、一般的には、照射処理は、500nmから1000nmの、好ましくは600nmから900nmの、より好ましくは620nmから820nmの、更により好ましくは630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である。一般的に、器具は、1分間から24時間、より一般的には、10分間から5時間、照射処理または音波処理に供する。
【0067】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定することができる。好ましくは、化合物は、モノマー形態で固定される。好ましくは、タンパク質は、ヒト血清アルブミン(SHA)またはウシ血清アルブミン(BSA)、より好ましくはヒト血清アルブミン(SHA)である。好ましくは、ポリペプチドは、低分子量ポリペプチド、より好ましくは、ポリリジンまたはポリアスパラギンである。好ましくは、ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0068】
本発明の第3の態様で使用される化合物のMは、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素である。金属ハロゲン化物は、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物またはこれらの混合物とすることができる。2つの置換基を有するケイ素は、SiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)とすることができる。
【0069】
好ましくは、特に、化合物が固定されている場合は、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである。好ましくは、Mは、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0070】
好ましくは、特に、化合物が固定されていない場合は、Mは、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0071】
本発明の目的のために、本発明の第3の態様で使用される化合物の「塩」は、化合物のカルボン酸官能基と適したカチオンとの間で形成される。適したカチオンには、制限するわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムが含まれる。好ましくは、塩は、医薬的に許容可能な塩である。塩は、モノ-、ジ-またはトリ-塩とすることができる。好ましくは、塩は、モノ-またはジ-リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはアンモニウム塩である。より好ましくは、塩は、モノ-またはジ-ナトリウム塩である。
【0072】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、基R1からR14を含む。好ましくは、各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである。好ましくは、R1およびR3は水素である。好ましくは、R5、R8およびR11は水素である。
【0073】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、基R15を含む。好ましくは、R15は、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはリジンである。
【0074】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、少なくとも2つのキラル中心1*および2*を有し、それ故、少なくとも4つの立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、これらの立体異性体の全て、およびこれらの混合物の使用を包含する。立体異性体の混合物は、一般的な方法、例えば、キラルクロマトグラフィー、分別再結晶化(fractional recrystallisation)、ジアステレオマーを形成するための誘導体化およびその後の分離、ならびに酵素を使用した分離によって分離することができる。代替的には、化合物は、光学選択的または立体選択的な合成によって、実質的に光学選択的に純粋な形態で、直接調製することができる。
【0075】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、少なくとも95%の、好ましくは、少なくとも98%の、より好ましくは、少なくとも99%の1つの光学異性体を好ましくは含む。好ましくは、化合物は、実質的に、光学的に純粋であり、この用語は、本発明の目的のためには、化合物が少なくとも99%の1つの光学異性体を含むという意味で定義される。
【0076】
好ましくは、示すように、式3において、R1およびR3は水素であり、R1は下側への配置であり、R3は上側への配置である。より好ましくは、R1およびR3は水素であり、R2は(CH2)2CO2Hであり、R4はCO2Hであり、キラル中心1*および2*は、(S)-配置である。
【0077】
最も好ましい実施態様においては、本発明の第3の態様で使用される化合物は、式2である。
【0078】
【化9】
【0079】
本発明の第3の態様で使用される化合物は、担体または希釈剤と一緒に使用できる。
【0080】
本発明の第4の態様は、磁気元素に結合または接着した、下記の式3の化合物またはその塩である。
【0081】
【化10】
【0082】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
【0083】
好ましくは、この磁性元素は、Gd、FeまたはMnである。
【0084】
本発明の第4の態様の化合物は、MRI増感剤として使用することができる。磁気共鳴映像法(MRI)は、ヒトの身体の内部の高品質な映像を得るために、医療機関で主として使用されている映像機器である。MRIは、核磁気共鳴(NMR)の原理に基づく。実際には、MRIは、異なる組織の磁気強度の差異を測定する。
【0085】
例えば腫瘍に選択的に接着し、磁気元素を含む本発明の第4の態様の化合物を用いれば、MRIは、より正確に、悪性組織を同定する。本発明の第4の態様の化合物は、MRIスキャンのために、照明または音波によって光活性化される必要はない。本発明の第4の態様の化合物は、腫瘍または他の疾患組織において、磁気元素を凝集するための担体として作用し、それにより、現在の手法では不可能な方法で、MRIスキャンでその組織を高度に可視化することが可能となる。
【0086】
本発明の第4の態様の化合物は、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定することができる。好ましくは、化合物は、モノマー形態で固定される。好ましくは、タンパク質は、ヒト血清アルブミン(SHA)またはウシ血清アルブミン(BSA)、より好ましくはヒト血清アルブミン(SHA)である。好ましくは、ポリペプチドは、低分子量ポリペプチド、より好ましくは、ポリリジンまたはポリアスパラギンである。好ましくは、ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0087】
本発明の第4の態様で使用される化合物のMは、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素である。金属ハロゲン化物は、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物またはこれらの混合物とすることができる。2つの置換基を有するケイ素は、SiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)とすることができる。
【0088】
好ましくは、特に、化合物が固定されている場合は、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである。好ましくは、Mは、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0089】
好ましくは、特に、化合物が固定されていない場合は、Mは、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である。好ましくは、Mは、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである。より好ましくは、MはZnである。
【0090】
本発明の目的のために、本発明の第4の態様の化合物の「塩」は、化合物のカルボン酸官能基と適したカチオンとの間で形成される。適したカチオンには、制限するわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムが含まれる。好ましくは、塩は、医薬的に許容可能な塩である。塩は、モノ-、ジ-またはトリ-塩とすることができる。好ましくは、塩は、モノ-またはジ-リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはアンモニウム塩である。より好ましくは、塩は、モノ-またはジ-ナトリウム塩である。
【0091】
本発明の第4の態様の化合物は、基R1からR14を含む。好ましくは、各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである。好ましくは、R1およびR3は水素である。好ましくは、R5、R8およびR11は水素である。
【0092】
本発明の第4の態様の化合物は、基R15を含む。好ましくは、R15は、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはリジンである。
【0093】
本発明の第4の態様の化合物は、少なくとも2つのキラル中心1*および2*を有し、それ故、少なくとも4つの立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、これらの立体異性体の全て、およびこれらの混合物の使用を包含する。立体異性体の混合物は、一般的な方法、例えば、キラルクロマトグラフィー、分別再結晶化(fractional recrystallisation)、ジアステレオマーを形成するための誘導体化およびその後の分離、ならびに酵素を使用した分離によって分離することができる。代替的には、化合物は、光学選択的または立体選択的な合成によって、実質的に光学選択的に純粋な形態で、直接調製することができる。
【0094】
本発明の第4の態様の化合物は、少なくとも95%の、好ましくは、少なくとも98%の、より好ましくは、少なくとも99%の1つの光学異性体を好ましくは含む。好ましくは、化合物は、実質的に、光学的に純粋であり、この用語は、本発明の目的のためには、化合物が少なくとも99%の1つの光学異性体を含むという意味で定義される。
【0095】
好ましくは、示すように、式3において、R1およびR3は水素であり、R1は下側への配置であり、R3は上側への配置である。より好ましくは、R1およびR3は水素であり、R2は(CH2)2CO2Hであり、R4はCO2Hであり、キラル中心1*および2*は、(S)-配置である。
【0096】
最も好ましい実施態様においては、本発明の第4の態様の化合物は、式2である。
【0097】
【化11】
【0098】
本発明の第4の態様の化合物は、医薬的に許容可能な担体または希釈剤と一緒に使用できる。
【0099】
好ましくは、化合物は、経口、(静脈内、皮下、筋肉内、皮内、気管内、腹腔内、関節内、腹部内、頭蓋内および硬膜外を含む)非経口、経皮、気道(噴霧)、直腸、膣内または(口腔、粘膜または舌下を含む)局所投与に適した形態で、最も好ましくは、経口または非経口投与に適した形態である。
【0100】
経口投与については、化合物は、好ましくは、錠剤、カプセル、ハードもしくはソフトゼラチンカプセル、カプレット、トローチまたは薬用キャンディーの形態で、粉末もしくは顆粒として、または水性溶液、懸濁物もしくは分散物として提供される。
【0101】
代替的には、化合物は、非経口投与、具体的には静脈内投与に適した形態とすることができ、この場合、医薬組成物は、好ましくは、6から8.5のpHを有する水性溶液または懸濁物である。
【0102】
化合物は、好ましくは、診断当り0.1から20mgの、より好ましくは、0.5から10mgの、更により好ましくは、1から3mgの式3の化合物またはその塩を提供するのに適した形態である。
【0103】
本発明の第4の態様の化合物は、更に、本発明の第4の態様の化合物をMRI増感剤として使用することを含む、MRIスキャンを実施する方法を提供する。
【0104】
本発明の第4の態様は、更に、本発明の第4の態様の化合物の、MRI増感剤としての使用を提供する。
【0105】
好ましくは、MRIスキャンは、ヒトまたは動物で、より好ましくはヒトで実施する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0106】
式3の化合物およびその塩について、2つの経路が存在する。
【0107】
第1の経路(以下の実施例1および2を参照せよ)は、クロリン-e6とも称される、市販の式4の化合物と、金属化合物とを、pH≧9の水溶液中で混合することにより、式3の化合物を産生することを含む。式3の化合物は、モノマーの形態で、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭などのイモビライザー(immobilizer)に、調合の際に式3の化合物にイモビライザーを加えることによって固定することができる。
【0108】
より具体的には、クロリン-e6は、pH≧9の水溶液に溶解する。pH≧9は、例えば、アンモニアを水溶液に添加することによって達成することができる。
【0109】
その後、ほぼ等モル量の金属化合物、例えば酢酸亜鉛を、反応混合物に加える。溶液をほぼ室温で混合すると、クロリン-e6と金属イオンが、錯体を形成する。錯体形成反応の進展と終了を、分光光度計でモニターすることができる。
【0110】
錯体形成反応が終了すると、ほぼ等モル量のタンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭などのイモビライザー、例えば、ヒト血清アルブミン(SHA)またはポリビニルピロリドン(PVP)を、反応混合物に加える。式3の化合物が、イモビライザーに固定されるまで、溶液をほぼ室温で混合する。固定化反応の進展と終了を、分光光度計でモニターすることができる。
【0111】
第2の経路(以下の実施例3から6を参照せよ)は、(i)式4の化合物を、イモビライザーと、pH≧9の水溶液中で混合することにより、固定化した化合物4を産生すること、および(ii)金属化合物を、固定化した化合物4に加えて、固定化した式3の化合物を産生することを含む。好ましくは、式4の化合物は、モノマーの形態で、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定される。錯体形成反応の進展と終了を、分光光度計でモニターすることができる。
【0112】
それ故、水溶性のイモビライザー、例えばヒト血清アルブミン(SHA)またはポリビニルピロリドン(PVP)を、クロリン-e6に対してほぼ等モル量で反応混合物に、錯体形成反応を実施する前に(経路2)または実施した後に(経路1)、加える。
【0113】
式3の化合物が、モノマー分子形態で、イモビライザーに固体することができるという事実は驚くべきものであり、何故ならば、式3のモノマー化合物は、特には、水溶液で安定でないからである。必要なイモビライザーの量は、固定化する分子の部位の数によって決まり、それは、式3の化合物については1つである。
【0114】
理論に束縛されるのを望むわけではないが、光活性形態であり、光線療法薬または光線診断薬として有用とすることができるのは、式3の化合物のモノマー形態であると考えられる。しかしながら、固定化していない式3の化合物は、予測不能な物理的、化学的、光物理的および生物学的特性を有する凝集(ダイマー、トリマーおよび未知の構造のオリゴマー)を形成する傾向を有し、特に、式3の化合物が9より低いpHに供されると、その傾向を有する。例えば、Zn-クロリン-e6の凝集体は、化学的に非常に安定であり、例えば、pHを増加させ、加熱し、極性溶媒を使用する等のZn-クロリン-e6凝集体を非凝集化する試みは、失敗してきた。それ故、凝集化工程は、不可能ではないにしても、反対方向に向けることは困難である。本発明は、この問題を、如何なる凝集も生じる前に、式3の化合物をモノマー形態で固定化することによって、解決している。
【0115】
式3の化合物は光増感剤であり、したがって、光線力学療法での使用のための医薬組成物および医薬において有用である。更にその上、式3の光増感剤は、光線診断薬として使用することができる。
【0116】
本発明で使用することができる化合物、医薬組成物、医薬、光線療法薬または光線診断薬は、経口、(静脈内、皮下、筋肉内、皮内、気管内、腹腔内、関節内、腹部内、頭蓋内および硬膜外を含む)非経口、経皮、気道(噴霧)、直腸、膣内または(口腔、粘膜または舌下を含む)局所投与によって投与することができる。
【0117】
経口投与については、化合物、医薬組成物、医薬、光線療法薬または光線診断薬は、一般的に、錠剤、カプセル、ハードもしくはソフトゼラチンカプセル、カプレット、トローチまたは薬用キャンディーの形態で、粉末もしくは顆粒として、または水性溶液、懸濁物もしくは分散物として提供される。
【0118】
経口投与のための錠剤は、活性成分を、医薬的に許容可能な賦形剤、例えば不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、甘味剤、芳香剤、着色剤および防腐剤と混合して含むことができる。適した不活性希釈剤には、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カルシウム、ならびにラクトースが含まれる。コーンスターチおよびアルギン酸は、崩壊剤に適する。結合剤には、スターチおよびデンプンが含まれうる。潤滑剤は、存在する場合は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクとすることができる。望むならば、錠剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの物質でコーティングし、消化管における吸収を遅延することができる。
【0119】
経口使用のための錠剤は、活性成分が固体の希釈剤と混合しているハードゼラチンカプセル、および活性成分が水またはピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などの油と混合しているソフトゼラチンカプセルを含む。
【0120】
直腸投与のための調合物は、例えばココアバターまたはサリチル酸塩を含む適した基剤を有する座薬として提示することができる。
【0121】
膣内投与に適した調合物は、活性剤に加えて、当該業界において適切であると知られている担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー調合物として提示することができる。
【0122】
非経口の使用については、活性成分は、一般的に、適切なpHおよび等張性に緩衝化した、滅菌水溶液または懸濁物で提供される。適した水溶性ベヒクルには、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウムまたはグルコースが含まれる。水性懸濁物には、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよびトラガカントゴムなどの懸濁剤、およびレシチンなどの湿潤剤が含みうる。水性懸濁物に適した防腐剤には、エチルおよびn-プロピル p-ヒドロキシベンゾエートが含まれる。活性成分は、また、リポソーム調合物として提示することができる。
【0123】
局所および経皮投与については、活性成分は、一般的に、軟膏、パッブ(湿布)、ペースト、粉末、包帯、クリーム、膏薬またはパッチの形態で提供する。
【0124】
適した懸濁物および溶液は、気道(噴霧)投与のための吸入器において使用することができる。
【0125】
一般的には、適した治療投与量は、一日当りレシピエントの体重キログラム当り0.01から10mgの活性成分の範囲、好ましくは、一日当り体重キログラム当り0.1から5mgの範囲、より好ましくは、一日当り体重キログラム当り約2mgである。望ましい投与は、好ましくは、一日一回であるが、一日を通して適した間隔で投与した二回、三回、四回またはそれより多く投与することができる。これらの複数回投与は、例えば、投与形態単位当り1から1000mgの、好ましくは、10から800mgの、最も好ましくは20から500mgの活性成分を含む投与形態単位で投与することができる。
【0126】
一般的には、適した診断投与量は、診断当り0.1から20mgの、より好ましくは、0.5から10mgの、更により好ましくは、1から3mgの活性成分の範囲である。
【0127】
本発明を、以下の実施例を参照にして記載する。以下に続く記載は例示のみを目的とするものであり、細部の修正は、発明の範囲内において実施することができることは理解されよう。
【実施例】
【0128】
[合成実験の詳細]
(実施例1)
アンモニアを、溶液のpHが9以上になるまで、水に加えた。その後、クロリン-e6(1.0g)を、水溶液に溶かした。等モル量の酢酸亜鉛(0.22g)を加え、反応混合物を、15分間約20℃で攪拌し、錯体形成反応を達成した。反応の進展および終了を、分光光度計によってモニターした。錯体形成反応の終了に際して、ヒト血清アルブミン(HAS)(71g)を、イモビライザーとして反応混合物に加えた。分光光度計によってモニターした、固定化反応の終了に際して、反応性生物であるSHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体を、透析によって精製した。
【0129】
図1は、水中における、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)Zn-クロリン-e6錯体(λmax=632nm)、および(3)SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。
【0130】
図1で示されるように、Zn-クロリン-e6錯体の形成は、長波長側の吸収ピークが24nm短い波長へシフトすることによって達成され、タンパク質へのZn-クロリン-e6の固定化は、4nm長い波長へのシフトをもたらす。このような長波長側のピークのシフトは、金属との錯体形成およびタンパク質への固定化の両方に典型的なものであり、反応の完全性および純度を証明するものである。更にその上、λmax=502nmにおける中程度のクロリン-e6の特徴的な吸収ピークは、実質的に、Zn-クロリン-e6については消失し、代わりに、λmax=514nmが現れ、このことも、反応の完全性および純度を実証するものである。
【0131】
比較のために、図2は、水中における、開始物質クロリン-e6の350nmまでの可視光吸収スペクトルを示す。主な吸収ピークの最大値は、λmax=402、502および656nmである。
【0132】
(実施例2)
固定化したZn-クロリン-e6の合成を、イモビライザーとして、ポリビニルピロリドン(PVP)(62g)をSHAの代わりに使用したことを除き、実施例1で記載したように実施した。
【0133】
図4で示されるように、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)Zn-クロリン-e6錯体(λmax=632nm)、および(3)PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=638nm)の可視光吸収スペクトルのスペクトル図は、実質的に、図1で示した結果と同一である。金属錯体形成による、長波長側のピークの24nm短い波長への著しいシフトと、ポリマーPVPへの固体化による、6mm長い波長への軽微なシフトが見られる。λmax=502nmにおける中程度のクロリン-e6のピークは、Zn-クロリン-e6錯体を形成する場合に、実質的に消失する。全てのこれらの変化により、反応の完全性ならびに得られた生成物の純度および均一性が証明される。
【0134】
(実施例3)
アンモニアを、溶液のpHが9以上になるまで、水に加えた。その後、クロリン-e6(1.0g)を、水溶液に溶かした。等モル量のSHA(71g)を加え、反応混合物を、17分間約20℃で攪拌し、SHAにクロリン-e6を固定化させた。その後、等モル量の酢酸亜鉛(0.22g)を加え、反応混合物を室温で攪拌し、Znをクロリン-e6へと錯体化させた。これは、分光光度計でモニターした。反応の生成物であるSHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体は、透析によって精製した。
【0135】
図3は、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)SHAに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。第1の合成反応(実施例1を参照せよ)と異なり、タンパク質に固定化したクロリン-e6を形成する際に、最初に、吸収ピークが6nm長い波長へシフトし、その後、SHAに固定化したZn-クロリン-e6を形成する際に、26nm短い波長へシフトした。このような吸収ピークのシフトは、合成した生成物の特性と一致し、反応の完全性および得られた生成物の純度を証明するものである。更にその上、クロリン-e6の中程度のピーク(λmax=502nm)は、クロリン-e6のスペクトルだけでなく、タンパク質に固定化したクロリン-e6のスペクトルにも見出されたが、タンパク質に固定化したZn-クロリン-e6のスペクトルにおいては消失し、λmax=514nmのピークへと移動する。
【0136】
(実施例4)
固定化したZn-クロリン-e6の合成は、イモビライザーとして、ポリビニルピロリドン(PVP)(62g)をSHAの代わりに使用したことを除き、実施例3で記載したように実施した。
【0137】
図5は、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=638nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。実施例3のように、PVPにクロリン-e6を固定化する際に、吸収ピークが6nm長い波長へシフトし、その後、Znイオンをクロリン-e6へと導入してPVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体を形成した後に、吸収スペクトルが24nm短い波長へシフトした。これらの結果によって、反応の完全性および得られた生成物の純度が実証される。これらは、また、λmax=502nmにおける中程度のクロリン-e6のピークの挙動によっても証明され、このピークは、クロリン-e6のスペクトルだけでなく、PVPに固定化したクロリン-e6にも存在するが、PVPに固定化したZn-クロリン-e6のスペクトルでは消失する。
【0138】
前記で論じた2つの異なる経路によって合成した生成物のスペクトル(経路1:実施例1および2、経路2:実施例3および4)が、同一であるという事実は、実施例1から4の最終段落で導いた結果が正しいことであるを証明している。
【0139】
[更なるスペクトルの考察]
図6から8は、350から700nmのスペクトル範囲における、Zn-クロリン-e6錯体、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体およびPVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体それぞれの水中での可視光吸収スペクトルを示す。吸収スペクトルは、Zn-クロリン-e6錯体については、λmax=414および634nmに、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体については、λmax=418および636nmに、そして、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体については、λmax=416および638nmに主な吸収ピークを有する。モノマー生成物の純度および安定性に関するこれらの吸収スペクトルから得られた結果によって、蛍光分光による非常に高感度な分析方法で、合成の各段階を確認した(以下に論じる実施例9から14を参照せよ)。
【0140】
図9おび10は、それぞれ、水中での、Zn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを示す。モノマーZn-クロリン-e6錯体は、特徴的なλmax=643nmを有する蛍光スペクトル、およびλmax=412および607nmで主なピークを有する蛍光励起スペクトルを有する、すなわち、吸収スペクトルで観察されたピークと類似している。このことは、蛍光が、モノマーZn-クロリン-e6錯体に属し、蛍光データによって、研究対象の生成物の高い純度および均一性が証明されることを示すものである。
【0141】
図11および12は、それぞれ、水中での、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを示す。蛍光スペクトルは、水中でのZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトルに類似しているが、赤色領域へとわずかにシフトし(λmax=645nm)、より小さな半値幅のピークとなり、このことは、これらのスペクトルに観察されたZn-クロリン-e6錯体の中心と、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の中心との間の高い構造類似性を実証している。図12で示す、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光励起スペクトルは、図7に示すその吸収スペクトルと非常に類似しており、吸収スペクトルのピークと比較して、より小さな半値幅を有し、より左右対称とした形状のλmax=446および673nmの2つの主なーピークを示す。このことは、蛍光が、SHAに固定化したモノマーZn-クロリン-e6に属し、研究対象の生成物が高い均一性と純度を有することを証明している。
【0142】
図13および14は、それぞれ、水中での、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを示す。蛍光スペクトルの形状は、前記で論じた蛍光スペクトルに非常に類似しており、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体のスペクトルのように、λmax=645nmでピークを有する。蛍光励起スペクトルは、λmax=429および727nmで主なピークを有し、これは、その吸収スペクトルと一致し、蛍光がPVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体に属しており、生成物が高い純度を有することを示している。
【0143】
図15および16は、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体を含む調製物を腹腔内に注入した実験用動物(マウス)から取り出した、腹水腫瘍の沈殿物上の液体に由来する生物学的サンプルの蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを示す。図15および16で示した生物学的サンプルのスペクトルを、図9から14で示す対応するモデルスペクトルと比較することによって示されるように、生物学的サンプルのスペクトルのピークは、類似のλmax(図15における蛍光スペクトル:λmax=645nm;図16における蛍光励起スペクトル:λmax=418および641nm)で生じ、モデルスペクトルのピークと類似のピーク形状およびピーク強度比を有する。このことは、実験動物に注入した調合物は、実質的な構造変化を受けず、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体について観察されたような、吸収中心および蛍光中心の高い構造均一性を有するZn-クロリン-e6を含むことを意味している。
【0144】
(実施例5)
PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体を、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(実施例4を参照せよ)と類似の方法で合成した。図17は、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体(λmax=646nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。図18は、水中での、PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体のモノマー形態の350から750nmの範囲の吸収スペクトルを示す。図18に示すように、モノマー形態のPVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体のスペクトルは、それぞれ、λmax=424および646nmで2つの主なピークを有する。
【0145】
(実施例6)
PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体を、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(実施例4を参照せよ)と類似の方法で合成した。図19は、(1)開始物質であるクロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の可視光吸収スペクトルの長波長側を示す。図20は、水中での、PVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体のモノマー形態の350から750nmの範囲の吸収スペクトルを示す。図20に示すように、モノマー形態のPVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体のスペクトルは、固定化したZn-クロリン-e6錯体および固定化したCd-クロリン-e6錯体のモノマースペクトルとは異なる。モノマー形態のPVPで固定化したCu-クロリン-e6錯体の吸収スペクトルは、それぞれ、λmax=410、505および636nmで3つの主なピークを有する。
【0146】
[臨床前薬物動態学的研究]
固定化したモノマーZn-クロリン-e6錯体の顕著で重要な特徴は、6から8.5のpHでモノマーZn-クロリン-e6錯体の安定な形態を調製できる可能性があることである。この特徴は、注入の用途に必要である。注入に適したZn-クロリン-e6錯体調合物は、合成終了後に、反応媒体を酸性化することによって調製することができる。Zn-クロリン-e6錯体の構造安定性および調合物の均一性に干渉しない、医薬的に許容可能な付加物を、注入に適したこのような調製物に加えることができる。
【0147】
器官、組織、生物学的液体および腫瘍(胎児性ガン)中での30時間にわたる、SHAに固体化したZn-クロリン-e6錯体の薬物動態学的分布を研究した。20から21gの体重のラインBalb/cのメスマウスを、実験動物として使用した。薬物動態学的研究を、Perkin-Elmer分光光度計を使用して、体重kg当り25mgの投与量でのSHAに固定化したZn-クロリン-e6の腹腔内注入後に取り出した器官および組織のホモジネートについて実施した。これらの薬物動態学的分布の結果を図21に示し、以下の表1にまとめる。
【0148】
【表1】
【0149】
[結果]
A. 体重kg当り25mgの投与量での、SHAに固定化したZnクロリン-e6錯体の腹腔内注入は、注入直後および30時間後の両方で、如何なる毒性の兆候も無く、動物によって良く持続され、行動様式に影響を及ぼさなかった。
【0150】
B. 固定化された錯体は、迅速に、腹腔から血液へと吸収され、注入後最初の数時間は肝臓に堆積した。肝臓組織におけるその含量は、血液中のレベルよりも10から14倍高かった。
【0151】
C. 顕著な量の固定化した錯体が、注入後最初の12時間で腎臓にも蓄積したが(肝臓よりも2から2.5倍少ないだけであった)、固定化した錯体は、実質的に尿には存在していなかった。次の18時間では、固定化した錯体は、腎臓組織から血液へと激しく放出された。腎臓の分泌機能は、観察期間全般にわたって影響を受けなかった。
【0152】
D. 肝臓内の固定化した錯体の最大濃度は、注入後最初の8時間で見られた。次の24時間では、余剰の固定化した錯体は、小腸へと激しく放出された。肝臓および小腸の分布曲線の動態は、正確にお互いに関連している。腫瘍で最大の濃度を達成するためには、5から10倍少ない投与量の固定化した錯体を注入すれば十分であろう。
【0153】
E. 肝臓または腫瘍と比較して、脾臓および肺に蓄積した固定化した錯体は、5から8倍少なく、注入して24時間後には、腎臓および肺は、読み数が見られた。
【0154】
F. 皮膚と筋肉組織の両方は、実質的に同一の蓄積動態を有しており、唯一の差異は、筋肉内の固定化した錯体含量が、皮膚内の固定化した錯体よりも最初の15時間で1.5倍高かったことである。
【0155】
G. 腫瘍中の固定化した錯体の蓄積は、注入の瞬間から徐々に増加し、注入後15時間で最大に達した。最大濃度でのプラトーな状態(12から20時間)が、クロリン-e6注入後よりも極めて長いことが見出され、最初の24時間までにわずかに低下した後、濃度の最大の読値にまで増加した固定化した錯体濃度の第2の増加が、24から30時間の間に見出された。「シザース(scissors)」効果(肝臓中で固定化した錯体濃度が減少する一方で、腫瘍中の固定化した錯体濃度が増加する)は、肝臓および腫瘍について2回見出され、1回は注入後12時間で、もう1回は注入後24時間でより更に顕著に見出された。
【0156】
要約すると、腹腔内での固定化した錯体の吸収、血液から組織への再分布、そして、余剰な固定化した錯体の最初の24時間における肝臓による除去の後に、固定化した錯体は、肝臓よりも2.5倍高く、皮膚、筋肉および他の実質器官よりも6倍高い濃度で腫瘍組織に蓄積した。ダイマー形態の薬物動態と比較して、モノマー形態は、極めて優れた腫瘍選択性および組織における化学構造の極めて優れた安定性が実証された。
【0157】
上記で論じた分光データ(図1から20を参照)および薬物動態学的データ(図21を参照)は、固定化した調製物が、モノマー構造を保存し、Zn-クロリン-e6錯体のポルフィリン核のモノマー構造、純度および化学的安定性を保存することを示している。
【0158】
[急性毒性パラメーターの定義]
パラメーターLD10とLD50を定義するため、3つの調製物の投与量(体重kg当り100、125および150mg)を、単独の腹腔内注入のために選択した。クロリン-e6の読値(LD10が体重kg当り119mgであり、LD50が体重kg当り160mgである)を、原型として用いた。
【0159】
上記で述べた投与量でのSHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の注入後における、注入による最初の反応は、唯一、第三の動物群(体重kg当り150mg)で見られた、なぜならば、この調製物を、3ml生理学的溶液で注入したことによって、腹腔の膨張を原因とする一時的な動物の静止状態がもたらされたからである。しかしながら、余剰液体の吸収後、これらの動物は、行動応答(移動活動、抵抗反応、食物反応、毛皮状況)において、他の2つの群の動物と差異はなくなった。
【0160】
続く72時間の間、急性毒性の兆候(緩慢な応答、へこんだ側面、下痢、抵抗力無しおよび食物に対する無反応)が現れなかった。動物は、更に二週間観察下に置き続けた。
【0161】
同じように、体重kg当り175、200および225mgだけでなく、体重kg当り300、350および450mgの腹腔内注入を行い、更なる試験を実施した。これらの濃度の全てで、毒性は証明されなかった。
【0162】
本発明は、例示のみを目的で、前記に開示したことは理解されよう。実施例は、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。請求項によって定義される本発明の精神を逸脱することなく、様々な修飾および実施態様が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】図1は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)Zn-クロリン-e6錯体(λmax=632nm)、および(3)SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の吸収スペクトルを示す。
【図2】図2は、水中における、クロリン-e6(λmax=402、502および656nm)の吸収スペクトルを示す。
【図3】図3は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)SHAに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の吸収スペクトルを示す。
【図4】図4は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)Zn-クロリン-e6錯体(λmax=632nm)、および(3)PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=638nm)の吸収スペクトルを示す。
【図5】図5は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=638nm)の吸収スペクトルを示す。
【図6】図6は、水中における、Zn-クロリン-e6錯体(λmax=414および634nm)の吸収スペクトルを示す。
【図7】図7は、水中における、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=418および636nm)の吸収スペクトルを示す。
【図8】図8は、水中における、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体(λmax=416および638nm)の吸収スペクトルを示す。
【図9】図9は、水中における、Zn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトル(λmax=643nm)を示す。
【図10】図10は、水中における、Zn-クロリン-e6錯体の蛍光励起スペクトル(λmax=412および607nm)を示す。
【図11】図11は、水中における、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトル(λmax=645nm)を示す。
【図12】図12は、水中における、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光励起スペクトル(λmax=446および673nm)を示す。
【図13】図13は、水中における、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光スペクトル(λmax=645nm)を示す。
【図14】図14は、水中における、PVPに固定化したZn-クロリン-e6錯体の蛍光励起スペクトル(λmax=429および727nm)を示す。
【図15】図15は、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体を含む調製物を腹腔内に注入した実験用動物(マウス)から取り出した、腹水腫瘍の沈殿物上の液体に由来する生物学的サンプルの蛍光スペクトル(λmax=645nm)を示す。
【図16】図16は、SHAに固定化したZn-クロリン-e6錯体を含む調製物を腹腔内に注入した実験用動物(マウス)から取り出した、腹水腫瘍の沈殿物上の液体に由来する生物学的サンプルの蛍光励起スペクトル(λmax=418および641nm)を示す。
【図17】図17は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体(λmax=646nm)の吸収スペクトルを示す。
【図18】図18は、水中における、PVPに固定化したCd-クロリン-e6錯体の吸収スペクトル(λmax=424および646nm)を示す。
【図19】図19は、水中における、(1)クロリン-e6(λmax=656nm)、(2)PVPに固定化したクロリン-e6(λmax=662nm)、および(3)PVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体(λmax=636nm)の吸収スペクトルを示す。
【図20】図20は、水中における、PVPに固定化したCu-クロリン-e6錯体の吸収スペクトル(λmax=410、505および636nm)を示す。
【図21】図21は、薬物動態学的分布研究の結果を示す。器官、組織、生物学的液体および腫瘍(胎児性ガン)中での30時間にわたる、SHAに固体化したZn-クロリン-e6錯体の薬物動態学的分布を研究した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための医薬の製造のための、式3:
【化1】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩の使用。
【請求項2】
ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための、光線力学療法またはサイトルミネスセント療法において使用するための光線療法薬の製造のための、式3:
【化2】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩の使用。
【請求項3】
ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のための光線診断薬の製造のための、式3:
【化3】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩の使用。
【請求項4】
前記光線診断薬が、前記疾患の蛍光または燐光性の検出用である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記光線診断薬が、前記疾患の蛍光または燐光性の検出用および定量用である、請求項3または4に記載の使用。
【請求項6】
前記光線診断薬が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの検出用である、請求項3から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記医薬、光線療法薬または光線診断薬が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの治療または検出用である、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記医薬、光線療法薬または光線診断薬が、早期ガンの治療または検出用である、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記医薬、光線療法薬または光線診断薬が、照射処理または音波処理を供すると同時に、またはこれらの処理を供する前に投与するのに適している、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記医薬、光線療法薬または光線診断薬が、照射処理を供する前に投与するのに適している、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記医薬または光線療法薬が、照射処理の10から100時間前に投与するのに適している、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記医薬または光線療法薬が、照射処理の50から90時間前に投与するのに適している、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記医薬または光線療法薬が、照射処理の約72時間前に投与するのに適している、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記光線診断薬が、照射処理の3から60時間前に投与するのに適している、請求項10に記載の使用。
【請求項15】
前記光線診断薬が、照射処理の8から40時間前に投与するのに適している、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記照射が、500nmから1000nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項9から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記照射が、600nmから900nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記照射が、620nmから820nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記照射が、630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記Mが、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項1から19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記化合物が、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定化されている、請求項1から20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記化合物が、モノマー形態で固定化されている、請求項1から21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記化合物が、ヒト血清アルブミン(SHA)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはポリビニルピロリドン(PVP)に固定化されている、請求項21または22に記載の使用。
【請求項24】
前記化合物が、低分子量ポリペプチドに固定化されている、請求項21または22に記載の使用。
【請求項25】
前記化合物が、ポリリジンまたはポリアスパラギンに固定化されている、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記化合物が、感光性物質に結合している、請求項1から25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記感光性物質が、ナノ-ドットである、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項1から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記Mが、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記Mが、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項20または30に記載の使用。
【請求項32】
前記Mが、Znである、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14のそれぞれが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである、請求項1から32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
前記R1およびR3が、水素である、請求項1から33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記R5、R8およびR11が、水素である、請求項1から34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記R15が、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である、請求項1から35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
前記R15が、アスパラギン酸またはリジンである、請求項1から36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記化合物が、実質的に、光学異性体的に純粋である、請求項1から37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記式3において、R1およびR3が水素であり、R1が下側への配置であり、R3が上側への配置である、請求項1から38のいずれか一項に記載の使用。
【請求項40】
前記R1およびR3が水素であり、前記R2が(CH2)2CO2Hであり、前記R4がCO2Hであり、キラル中心1*および2*が(S)-配置である、請求項1から39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
前記化合物が、式2:
【化4】
の化合物である、請求項1から40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
必要とするヒトまたは動物に、治療上有効量の、式3:
【化5】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩を投与することを含む、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療方法。
【請求項43】
前記ヒトまたは動物を、更に、照射処理または音波処理に供する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
必要とするヒトまたは動物に、治療上有効量の、式3:
【化6】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩を投与すること、および、前記ヒトまたは動物を照射処理または音波処理に供することを含む、ヒトまたは動物の疾患の光線力学療法またはサイトルミネスセント療法であって、前記ヒトまたは動物の疾患が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンである方法。
【請求項45】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与と同時に、または投与後に、照射処理または音波処理に供する、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与後に、照射処理に供する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の10から100時間後に、照射処理に供する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の50から90時間後に、照射処理に供する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の約72時間後に、照射処理に供する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
ヒトまたは動物に、式3:
【化7】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩を投与すること、および、前記ヒトまたは動物を照射処理または音波処理に供することを含む、前記ヒトまたは動物における、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のための光線診断方法。
【請求項51】
前記光線診断が、前記疾患の蛍光または燐光性の検出のためである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記光線診断が、前記疾患の蛍光または燐光性の検出のため、および定量のためである、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与と同時に、または投与後に、照射処理または音波処理に供する、請求項50から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与後に、照射処理に供する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の3から60時間後に、照射処理に供する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の8から40時間後に、照射処理に供する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記光線診断が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの検出のためである、請求項50から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記照射が、500nmから1000nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項43から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記照射が、600nmから900nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記照射が、620nmから820nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記照射が、630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記治療方法、診療方法または光線診断方法が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの治療または検出のためである、請求項42から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記治療方法、療法または光線診断方法が、早期ガンの治療または検出のためである、請求項42から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記Mが、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物が、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定化されている、請求項42から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記化合物が、モノマー形態で固定化されている、請求項42から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記化合物が、ヒト血清アルブミン(SHA)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはポリビニルピロリドン(PVP)に固定化されている、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
前記化合物が、低分子量ポリペプチドに固定化されている、請求項65または66に記載の方法。
【請求項69】
前記化合物が、ポリリジンまたはポリアスパラギンに固定化されている、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物が、感光性物質に結合している、請求項42から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記感光性物質が、ナノ-ドットである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項42から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記Mが、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記Mが、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項64または74に記載の方法。
【請求項76】
前記Mが、Znである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14のそれぞれが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである、請求項42から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記R1およびR3が、水素である、請求項42から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記R5、R8およびR11が、水素である、請求項42から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記R15が、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である、請求項42から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記R15が、アスパラギン酸またはリジンである、請求項42から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記化合物が、実質的に、光学異性体的に純粋である、請求項42から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記式3において、R1およびR3が水素であり、R1が下側への配置であり、R3が上側への配置である、請求項42から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記R1およびR3が水素であり、前記R2が(CH2)2CO2Hであり、前記R4がCO2Hであり、キラル中心1*および2*が(S)-配置である、請求項42から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記化合物が、式2:
【化8】
の化合物である、請求項42から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
式3:
【化9】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩を、外科器具または他の器具上に供給すること、および、前記器具を照射処理または音波処理に供することを含む、前記器具を低温殺菌する方法。
【請求項87】
前記器具を、式3の化合物またはその塩の器具上への供給と同時に、または供給後に、照射処理または音波処理に供する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記器具を、式3の化合物またはその塩の器具上への供給後に、照射処理に供する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記照射が、500nmから1000nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項86から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記照射が、600nmから900nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記照射が、620nmから820nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記照射が、630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記Mが、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項86から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記化合物が、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定化されている、請求項86から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記化合物が、モノマー形態で固定化されている、請求項86から94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記化合物が、ヒト血清アルブミン(SHA)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはポリビニルピロリドン(PVP)に固定化されている、請求項94または95に記載の方法。
【請求項97】
前記化合物が、低分子量ポリペプチドに固定化されている、請求項94または95に記載の方法。
【請求項98】
前記化合物が、ポリリジンまたはポリアスパラギンに固定化されている、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項86から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記Mが、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記Mが、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項93または101に記載の方法。
【請求項103】
前記Mが、Znである、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14のそれぞれが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである、請求項86から103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記R1およびR3が、水素である、請求項86から104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記R5、R8およびR11が、水素である、請求項86から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記R15が、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である、請求項86から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記R15が、アスパラギン酸またはリジンである、請求項86から107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記化合物が、実質的に、光学異性体的に純粋である、請求項86から108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記式3において、R1およびR3が水素であり、R1が下側への配置であり、R3が上側への配置である、請求項86から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記R1およびR3が水素であり、前記R2が(CH2)2CO2Hであり、前記R4がCO2Hであり、キラル中心1*および2*が(S)-配置である、請求項86から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記化合物が、式2:
【化10】
の化合物である、請求項86から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
磁性元素に結合または接着した式3:
【化11】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩。
【請求項114】
前記磁性元素が、Gd、FeまたはMnである、請求項113に記載の化合物。
【請求項115】
前記Mが、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項113または114に記載の化合物。
【請求項116】
前記化合物が、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定化されている、請求項113から115のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項117】
前記化合物が、モノマー形態で固定化されている、請求項113から116のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項118】
前記化合物が、ヒト血清アルブミン(SHA)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはポリビニルピロリドン(PVP)に固定化されている、請求項116または117に記載の化合物。
【請求項119】
前記化合物が、低分子量ポリペプチドに固定化されている、請求項116または117に記載の化合物。
【請求項120】
前記化合物が、ポリリジンまたはポリアスパラギンに固定化されている、請求項119に記載の化合物。
【請求項121】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項113から120のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項122】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである、請求項121に記載の化合物。
【請求項123】
前記Mが、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項122に記載の化合物。
【請求項124】
前記Mが、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項115または123に記載の化合物。
【請求項125】
前記Mが、Znである、請求項124に記載の化合物。
【請求項126】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14のそれぞれが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである、請求項113から125のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項127】
前記R1およびR3が、水素である、請求項113から126のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項128】
前記R5、R8およびR11が、水素である、請求項113から127のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項129】
前記R15が、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である、請求項113から128のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項130】
前記R15が、アスパラギン酸またはリジンである、請求項113から129のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項131】
前記化合物が、実質的に、光学異性体的に純粋である、請求項113から130のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項132】
前記式3において、R1およびR3が水素であり、R1が下側への配置であり、R3が上側への配置である、請求項113から131のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項133】
前記R1およびR3が水素であり、前記R2が(CH2)2CO2Hであり、前記R4がCO2Hであり、キラル中心1*および2*が(S)-配置である、請求項113から132のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項134】
前記化合物が、式2:
【化12】
の化合物である、請求項113から133のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項135】
請求項113から134のいずれか一項に記載の化合物をMRI増感剤として使用することを含む、MRIスキャンを実施する方法。
【請求項136】
MRI増感剤としての、請求項113から134のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項1】
ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための医薬の製造のための、式3:
【化1】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩の使用。
【請求項2】
ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療のための、光線力学療法またはサイトルミネスセント療法において使用するための光線療法薬の製造のための、式3:
【化2】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩の使用。
【請求項3】
ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のための光線診断薬の製造のための、式3:
【化3】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩の使用。
【請求項4】
前記光線診断薬が、前記疾患の蛍光または燐光性の検出用である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記光線診断薬が、前記疾患の蛍光または燐光性の検出用および定量用である、請求項3または4に記載の使用。
【請求項6】
前記光線診断薬が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの検出用である、請求項3から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記医薬、光線療法薬または光線診断薬が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの治療または検出用である、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記医薬、光線療法薬または光線診断薬が、早期ガンの治療または検出用である、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記医薬、光線療法薬または光線診断薬が、照射処理または音波処理を供すると同時に、またはこれらの処理を供する前に投与するのに適している、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記医薬、光線療法薬または光線診断薬が、照射処理を供する前に投与するのに適している、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記医薬または光線療法薬が、照射処理の10から100時間前に投与するのに適している、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記医薬または光線療法薬が、照射処理の50から90時間前に投与するのに適している、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記医薬または光線療法薬が、照射処理の約72時間前に投与するのに適している、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記光線診断薬が、照射処理の3から60時間前に投与するのに適している、請求項10に記載の使用。
【請求項15】
前記光線診断薬が、照射処理の8から40時間前に投与するのに適している、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記照射が、500nmから1000nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項9から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記照射が、600nmから900nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記照射が、620nmから820nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記照射が、630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記Mが、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項1から19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記化合物が、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定化されている、請求項1から20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記化合物が、モノマー形態で固定化されている、請求項1から21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記化合物が、ヒト血清アルブミン(SHA)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはポリビニルピロリドン(PVP)に固定化されている、請求項21または22に記載の使用。
【請求項24】
前記化合物が、低分子量ポリペプチドに固定化されている、請求項21または22に記載の使用。
【請求項25】
前記化合物が、ポリリジンまたはポリアスパラギンに固定化されている、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記化合物が、感光性物質に結合している、請求項1から25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記感光性物質が、ナノ-ドットである、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項1から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記Mが、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記Mが、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項20または30に記載の使用。
【請求項32】
前記Mが、Znである、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14のそれぞれが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである、請求項1から32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
前記R1およびR3が、水素である、請求項1から33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記R5、R8およびR11が、水素である、請求項1から34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記R15が、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である、請求項1から35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
前記R15が、アスパラギン酸またはリジンである、請求項1から36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記化合物が、実質的に、光学異性体的に純粋である、請求項1から37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記式3において、R1およびR3が水素であり、R1が下側への配置であり、R3が上側への配置である、請求項1から38のいずれか一項に記載の使用。
【請求項40】
前記R1およびR3が水素であり、前記R2が(CH2)2CO2Hであり、前記R4がCO2Hであり、キラル中心1*および2*が(S)-配置である、請求項1から39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
前記化合物が、式2:
【化4】
の化合物である、請求項1から40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
必要とするヒトまたは動物に、治療上有効量の、式3:
【化5】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩を投与することを含む、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの治療方法。
【請求項43】
前記ヒトまたは動物を、更に、照射処理または音波処理に供する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
必要とするヒトまたは動物に、治療上有効量の、式3:
【化6】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩を投与すること、および、前記ヒトまたは動物を照射処理または音波処理に供することを含む、ヒトまたは動物の疾患の光線力学療法またはサイトルミネスセント療法であって、前記ヒトまたは動物の疾患が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンである方法。
【請求項45】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与と同時に、または投与後に、照射処理または音波処理に供する、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与後に、照射処理に供する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の10から100時間後に、照射処理に供する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の50から90時間後に、照射処理に供する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の約72時間後に、照射処理に供する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
ヒトまたは動物に、式3:
【化7】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩を投与すること、および、前記ヒトまたは動物を照射処理または音波処理に供することを含む、前記ヒトまたは動物における、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガン、または動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病、関節炎、リウマチ性関節炎、真菌感染症、ウイルス感染症、クラミジア感染症、細菌感染症、ナノ細菌感染症もしくは寄生虫感染症、HIV、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、乾癬、心血管疾患もしくは皮膚病の検出のための光線診断方法。
【請求項51】
前記光線診断が、前記疾患の蛍光または燐光性の検出のためである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記光線診断が、前記疾患の蛍光または燐光性の検出のため、および定量のためである、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与と同時に、または投与後に、照射処理または音波処理に供する、請求項50から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与後に、照射処理に供する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の3から60時間後に、照射処理に供する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒトまたは動物を、式3の化合物またはその塩の投与の8から40時間後に、照射処理に供する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記光線診断が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、アジア(ニワトリ)インフルエンザウィルス、子宮頸部形成異常、または血液ガン、頸ガン、鼻咽頭ガン、気管ガン、喉頭ガン、気管支ガン、細支気管ガン、膀胱ガン、食道ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、前立腺ガン、中空器官ガン、胆管ガン、尿管ガン、腎ガン、子宮ガン、膣ガンもしくはその他の女性の付属器官ガンの検出のためである、請求項50から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記照射が、500nmから1000nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項43から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記照射が、600nmから900nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記照射が、620nmから820nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記照射が、630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記治療方法、診療方法または光線診断方法が、ニキビ、エイズ、ウィルス性肝炎、糖尿病性の網膜病、SARSウィルス感染、冠動脈狭窄、頚動脈狹窄、間欠性跛行、またはアジア(ニワトリ)インフルエンザウィルスの治療または検出のためである、請求項42から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記治療方法、療法または光線診断方法が、早期ガンの治療または検出のためである、請求項42から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記Mが、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物が、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定化されている、請求項42から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記化合物が、モノマー形態で固定化されている、請求項42から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記化合物が、ヒト血清アルブミン(SHA)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはポリビニルピロリドン(PVP)に固定化されている、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
前記化合物が、低分子量ポリペプチドに固定化されている、請求項65または66に記載の方法。
【請求項69】
前記化合物が、ポリリジンまたはポリアスパラギンに固定化されている、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物が、感光性物質に結合している、請求項42から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記感光性物質が、ナノ-ドットである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項42から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記Mが、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記Mが、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項64または74に記載の方法。
【請求項76】
前記Mが、Znである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14のそれぞれが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである、請求項42から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記R1およびR3が、水素である、請求項42から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記R5、R8およびR11が、水素である、請求項42から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記R15が、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である、請求項42から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記R15が、アスパラギン酸またはリジンである、請求項42から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記化合物が、実質的に、光学異性体的に純粋である、請求項42から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記式3において、R1およびR3が水素であり、R1が下側への配置であり、R3が上側への配置である、請求項42から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記R1およびR3が水素であり、前記R2が(CH2)2CO2Hであり、前記R4がCO2Hであり、キラル中心1*および2*が(S)-配置である、請求項42から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記化合物が、式2:
【化8】
の化合物である、請求項42から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
式3:
【化9】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩を、外科器具または他の器具上に供給すること、および、前記器具を照射処理または音波処理に供することを含む、前記器具を低温殺菌する方法。
【請求項87】
前記器具を、式3の化合物またはその塩の器具上への供給と同時に、または供給後に、照射処理または音波処理に供する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記器具を、式3の化合物またはその塩の器具上への供給後に、照射処理に供する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記照射が、500nmから1000nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項86から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記照射が、600nmから900nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記照射が、620nmから820nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記照射が、630nmから710nmの範囲の波長を有する電磁波照射である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記Mが、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項86から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記化合物が、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定化されている、請求項86から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記化合物が、モノマー形態で固定化されている、請求項86から94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記化合物が、ヒト血清アルブミン(SHA)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはポリビニルピロリドン(PVP)に固定化されている、請求項94または95に記載の方法。
【請求項97】
前記化合物が、低分子量ポリペプチドに固定化されている、請求項94または95に記載の方法。
【請求項98】
前記化合物が、ポリリジンまたはポリアスパラギンに固定化されている、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項86から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記Mが、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記Mが、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項93または101に記載の方法。
【請求項103】
前記Mが、Znである、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14のそれぞれが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである、請求項86から103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記R1およびR3が、水素である、請求項86から104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記R5、R8およびR11が、水素である、請求項86から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記R15が、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である、請求項86から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記R15が、アスパラギン酸またはリジンである、請求項86から107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記化合物が、実質的に、光学異性体的に純粋である、請求項86から108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記式3において、R1およびR3が水素であり、R1が下側への配置であり、R3が上側への配置である、請求項86から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記R1およびR3が水素であり、前記R2が(CH2)2CO2Hであり、前記R4がCO2Hであり、キラル中心1*および2*が(S)-配置である、請求項86から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記化合物が、式2:
【化10】
の化合物である、請求項86から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
磁性元素に結合または接着した式3:
【化11】
(式中、
M は、M(II)酸化状態の金属原子、金属ハロゲン化物、金属酸化物または2つの置換基を有するケイ素であり、
各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、(CH2)n-CHO、(CH2)n-CO2R15、または1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基であり、
nは、0、1、2 または3であり、
各R15は、独立して、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、1つもしくは複数の-OHおよび-NH2で置換されていてもよいC1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である)
の化合物またはその塩。
【請求項114】
前記磁性元素が、Gd、FeまたはMnである、請求項113に記載の化合物。
【請求項115】
前記Mが、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項113または114に記載の化合物。
【請求項116】
前記化合物が、タンパク質、ポリペプチド、ポリマーまたは活性炭に固定化されている、請求項113から115のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項117】
前記化合物が、モノマー形態で固定化されている、請求項113から116のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項118】
前記化合物が、ヒト血清アルブミン(SHA)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはポリビニルピロリドン(PVP)に固定化されている、請求項116または117に記載の化合物。
【請求項119】
前記化合物が、低分子量ポリペプチドに固定化されている、請求項116または117に記載の化合物。
【請求項120】
前記化合物が、ポリリジンまたはポリアスパラギンに固定化されている、請求項119に記載の化合物。
【請求項121】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、ランタニドまたはSiR2(式中、RはC1-C8の飽和もしくは不飽和アルキル基である)である、請求項113から120のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項122】
前記Mが、Mg、Ca、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pbまたはランタニドである、請求項121に記載の化合物。
【請求項123】
前記Mが、Zn、Cu、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項122に記載の化合物。
【請求項124】
前記Mが、Zn、Cd、Ca、Mn、AuまたはCoである、請求項115または123に記載の化合物。
【請求項125】
前記Mが、Znである、請求項124に記載の化合物。
【請求項126】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14のそれぞれが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、CO2H、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hである、請求項113から125のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項127】
前記R1およびR3が、水素である、請求項113から126のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項128】
前記R5、R8およびR11が、水素である、請求項113から127のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項129】
前記R15が、水素、ナトリウム、C1-C6の飽和もしくは不飽和アルキル基、または天然に存在するアミノ酸である、請求項113から128のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項130】
前記R15が、アスパラギン酸またはリジンである、請求項113から129のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項131】
前記化合物が、実質的に、光学異性体的に純粋である、請求項113から130のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項132】
前記式3において、R1およびR3が水素であり、R1が下側への配置であり、R3が上側への配置である、請求項113から131のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項133】
前記R1およびR3が水素であり、前記R2が(CH2)2CO2Hであり、前記R4がCO2Hであり、キラル中心1*および2*が(S)-配置である、請求項113から132のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項134】
前記化合物が、式2:
【化12】
の化合物である、請求項113から133のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項135】
請求項113から134のいずれか一項に記載の化合物をMRI増感剤として使用することを含む、MRIスキャンを実施する方法。
【請求項136】
MRI増感剤としての、請求項113から134のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2008−534670(P2008−534670A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504863(P2008−504863)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051142
【国際公開番号】WO2006/106383
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507080134)フォト・ダイアグノスティック・デバイシィズ・(ピーディーディー)・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051142
【国際公開番号】WO2006/106383
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507080134)フォト・ダイアグノスティック・デバイシィズ・(ピーディーディー)・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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