説明

光変調装置

【課題】光変調装置の安定な特性を得ること。
【解決手段】光変調器10と、一端が前記光変調器に電気的に接続されたボンディングワイヤ30と、前記ボンディングワイヤの他端と電気的に接続され、絶縁層上に設けられてなるインダクタ成分を有する第1金属層56と、前記第1金属層と電気的に直列に接続された接地パターンを備えた第2金属層52と、を具備する光変調装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調装置に関し、例えば、整合回路を有する光変調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速光通信用の光モジュール等には、送信光を変調する光変調器が用いられる。光変調器は、電気入力信号に応じ出力する光信号を強度変調する。例えば、特許文献1には、EA(Electro-Absorption)光変調器を用いた光モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−252251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力信号が入力する光変調器の電極は、整合回路を用い所定のインピーダンスで終端される。整合回路は、例えばボンディングワイヤを含んでおり、ボンディングワイヤの長さにより、インピーダンス整合条件が変わってしまう。このため、光変調装置の製造過程において、ボンディングワイヤの長さが異なると、インピーダンスが異なってしまい、光変調装置の所望の特性が得られなくなってしまう。
【0005】
本発明は、光変調装置の安定な特性を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光変調器と、一端が前記光変調器に電気的に接続されたボンディングワイヤと、前記ボンディングワイヤの他端と電気的に接続され、絶縁層上に設けられてなるインダクタ成分を有する第1金属層と、前記第1金属層と電気的に直列に接続された接地パターンを備えた第2金属層と、を具備することを特徴とする光変調装置である。本発明によれば、光変調装置の安定な特性を得ることができる。
【0007】
上記構成において、前記ボンディングワイヤの他端と前記第2金属層との間に電気的に直列に接続された抵抗を具備する構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記ボンディングワイヤの他端と前記第2金属層との間に前記抵抗を介して直列に接続されたキャパシタを具備する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第1金属層は、分布定数線路である構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記分布定数線路は、コプレーナ線路もしくはマイクロストリップ線路である構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記ボンディングワイヤは、1.0mm以下である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記ボンディングワイヤの他端は、前記キャパシタの上面電極の中央よりも前記光変調器に近い領域に接続している構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記第1金属層と前記第2金属層とは、前記絶縁層を貫くビアホールを介して接続してなる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光変調装置の安定な特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)は、比較例に係る光変調装置の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面模式図である。
【図2】図2は、比較例に係る光変調装置の回路図である。
【図3】図3(a)は、実施例1に係る光変調装置の平面図、図3(b)は、図3(a)のA−A断面模式図である。
【図4】図4は、実施例1の光変調装置の回路図である。
【図5】図5(a)は、実施例2に係る光変調装置の平面図、図5(b)は、図5(a)のA−A断面模式図である。
【図6】図6は、実施例2の光変調装置の回路図である。
【図7】図7(a)は、実施例3に係る光変調装置の平面図、図7(b)は、図7(a)のA−A断面模式図である。
【図8】図8(a)は実施例4に用いる誘電体基板の平面図、図8(b)は、実施例4に係る光変調装置の平面図である。
【図9】図9は実施例4の変形例に係る光変調装置の平面図である。
【図10】図10(a)は、キャップを外した実施例5に係る光モジュールの上面図、図10(b)は、図10(a)のA−A断面図である
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、比較例に係る光変調装置について説明する。図1(a)は、比較例に係る光変調装置の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面模式図である。図1(a)および図1(b)に示すように、比較例の光変調装置101においては、例えば酸化アルミニウムまたはセラミック等からなる誘電体基板50の上面に、例えばAuまたはCu等からなる金属層58が形成されている。金属層58は、第2金属層52及び第3金属層54を含む。第2金属層52と第3金属層54とは電気的に分離されている。第2金属層52はグランド電位等の定電位に設定されている。第2金属層52上に、誘電体基板41および光変調器10が配置されている。誘電体基板41は、酸化アルミニウムまたはセラミック等からなる。誘電体基板41の下面は第2金属層52と接しており、誘電体基板41の上面に例えばAuまたはCu等の金属膜からなる配線パターン42が形成されている。配線パターン42と第2金属層52とは分布定数線路40としてマイクロストリップ線路を形成する。
【0017】
分布定数線路40は、入力信号を光変調器10に伝送する。光変調器10は、上面に入力信号が入力する電極11を有している。電極11は、ストライプ状の電極11aとストライプ状の電極11aに接続されたパッド電極11bとを有している。ボンディングワイヤ32の一端は、パッド電極11bに接合し、他端は、分布定数線路40の端部に接合する。これにより、分布定数線路40の端部と電極11とが電気的に接続される。光変調器10は、例えばEA変調器であり、入力信号に応じ出力する光を変調する。
【0018】
第3金属層54上にはチップコンデンサ20が配置されている。チップコンデンサ20の上面と下面にはそれぞれ電極22および24が設けられている。チップコンデンサの下面の電極24は、第3金属層54上に、第3金属層54と電気的に接続するように配置されている。ボンディングワイヤ30の一端は、パッド電極11bに接合し、他端は、チップコンデンサ20の上面の電極22に接合する。これにより、電極11とチップコンデンサ20の電極22とが電気的に接続される。抵抗素子14の一端は、第3金属層54に電気的に接続し、他端は、第2金属層52に電気的に接続されている。ボンディングワイヤ30および32は、例えばAu等の金属からなる。
【0019】
図2は、比較例に係る光変調装置の回路図である。図2に示すように、入力端子Tinは、分布定数線路L3およびインダクタL1を介しノードN1に電気的に接続されている。分布定数線路L3は、分布定数線路40に相当し、インダクタL1はボンディングワイヤ32に相当する。ノードN1は、電極11に相当する。ノードN1には、光変調器10のアノードが接続し、光変調器10のカソードは、第2金属層52を介し接地される。ノードN1は、インダクタL2、キャパシタC、ノードN2および抵抗Rを直列に介し接地される。インダクタL2は、ボンディングワイヤ30に相当する。キャパシタCは、チップコンデンサ20に相当する。ノードN2は、第3金属層54に相当する。抵抗Rは抵抗素子14に相当する。
【0020】
インダクタL2、キャパシタCおよび抵抗Rは、インピーダンス整合回路38を形成する。インピーダンス整合回路38は、光変調器10の終端インピーダンスを、例えば50Ωに整合させる。この場合、例えば抵抗Rの抵抗値を終端インピーダンスと同じ50Ωとする。
【0021】
比較例においては、ボンディングワイヤ30の長さのばらつきにより、インピーダンス整合回路38のインダクタンス成分が変化して、インピーダンス整合条件が変化してしまう。例えば、10Gbpsまたは40Gbpsの光通信に用いる光変調器においては、入力信号は数十GHzに変調されている。このため、ボンディングワイヤ30の長さのばらつきがインダクタンス成分に大きく影響する。このように、光変調器10の安定な特性を得ることができない。
【実施例1】
【0022】
以下に、光変調装置の安定な特性を得るための実施例について説明する。図3(a)は、実施例1に係る光変調装置の平面図、図3(b)は、図3(a)のA−A断面模式図である。図3(a)および図3(b)に示すように、比較例の図1(a)および図1(b)に比べ、実施例1の光変調装置100においては、金属層58として、第2金属層52と第3金属層54とに加え第1金属層56が形成されている。誘電体基板50の上面に形成された第1金属層56は、第2金属層52と一端が接続され、他端が抵抗素子14に接続されている。また、ボンディングワイヤ30の他端は、チップコンデンサ20の上面の電極22の光変調器10に近い領域に接合している。その他の構成は比較例の図1(a)および図1(b)と同じであり説明を省略する。
【0023】
図4は、実施例1の光変調装置の回路図である。図4に示すように、インピーダンス整合回路38は、インダクタL2、キャパシタC、抵抗Rに加えインダクタL4を有している。インダクタL4は、抵抗Rとグランドとの間に接続されている。インダクタL4は、第1金属層56に相当する。その他の構成は、比較例の図2と同じであり、説明を省略する。
【0024】
実施例1によれば、図3(a)から図4に示すように、ボンディングワイヤ30(第1ボンディングワイヤ)の一端が光変調器10に電気的に接続され、他端が第1金属層56に電気的に接続されている。第1金属層56は、絶縁層である誘電体基板50上に設けられ、インダクタ成分を有する。第2金属層52は第1金属層56と電気的に直列に接続された接地パターンを備えている。このように、インダクタL4に相当する第1金属層56を設けることにより、所望のインダクタンス成分をインダクタL4を用い形成することができる。このため、インダクタL2のインダクタンス成分を最小にすることができる。すなわち、ボンディングワイヤ30を最短で形成することができる。これにより、ボンディングワイヤ30の長さのばらつきを小さくでき、インダクタL2のインダクタンス成分のばらつきを小さくできる。
【0025】
また、抵抗Rがボンディングワイヤ30の他端と第2金属層52との間に電気的に直列に接続されている。これにより、インピーダンス整合回路38はリアクタンス成分に加え抵抗成分を整合させることができる。
【0026】
また、ボンディングワイヤ30の他端は、チップコンデンサ20の上面の電極22の光変調器10に近い領域に接合している。例えば、ボンディングワイヤ30の他端は、チップコンデンサ20の上面の電極22の中央より光変調器10に近い領域に接続している。このことから、ボンディングワイヤ30をさらに短く形成することができる。これにより、ボンディングワイヤ30の長さのばらつきをさらに小さくでき、インダクタL2のインダクタンス成分のばらつきをさらに小さくできる。
【0027】
なお、ボンディングワイヤ30の長さは、1.0mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、ボンディングワイヤ30の長さは、0.7mm以下であることが好ましい。また、ボンディングワイヤ32の長さについてもインダクタンス成分のばらつき抑制の観点から短くすることが好ましい。
【0028】
実施例1に係る光変調装置100においては、キャパシタCを設けず、ボンディングワイヤ30と抵抗Rとは直接接続してもよい。しかしながら、直流成分を遮断するため、ボンディングワイヤ30の他端と第2金属層52との間に電気的に直列にキャパシタCが接続されていることが好ましい。これにより、抵抗Rに直流電流が流れないため、消費電流を抑制することができる。また、キャパシタCは、ボンディングワイヤ30の他端と第2金属層52との間に抵抗Rを介して直列に接続されていればよい。
【実施例2】
【0029】
実施例2について説明する。図5(a)は、実施例2に係る光変調装置の平面図、図5(b)は、図5(a)のA−A断面模式図である。図5(a)および図5(b)に示すように、実施例1の図3(a)および図3(b)に比べ、実施例2の光変調装置100bにおいては、第1金属層56の両側に第2金属層52が設けられている。第1金属層56と第2金属層52とは分布定数線路16としてコプレーナ線路を形成する。ボンディングワイヤ30の長さは比較例より短い。光変調器10の厚さは例えば0.1mm、チップコンデンサ20の厚さは例えば0.3〜0.4mm、ボンディングワイヤ30の長さは例えば0.5〜1.0mmである。ボンディングワイヤ30の直径は例えば25μmである。その他の構成は実施例1の図3(a)および図3(b)と同じであり説明を省略する。
【0030】
図6は、実施例2の光変調装置の回路図である。図6に示すように、インピーダンス整合回路38は、インダクタL2、キャパシタC、抵抗Rに加え分布定数線路L5(分布定数線路16に相当する)を有している。その他の構成は、実施例1の図4と同じであり、説明を省略する。
【0031】
実施例2によれば、図5(a)から図6に示したように、ボンディングワイヤ30(第1ボンディングワイヤ)の一端が光変調器10の電極11に接合されている。抵抗R(抵抗素子14)がボンディングワイヤ30の他端とグランドとの間に接続されている。分布定数線路L5(第1分布定数線路)が抵抗Rと直列に接続されている。第1金属層56と第2金属層52とで分布定数線路L5を形成することにより、分布定数線路L5を用い、所望のインダクタンス成分を形成できる。これにより、インダクタL2のインダクタンス成分を最小にすることができる。すなわち、ボンディングワイヤ30を最短で形成することができる。よって、ボンディングワイヤ30の長さのばらつきを小さくでき、インダクタL2のインダクタンス成分のばらつきを小さくできる。このとき、分布定数線路L5は、誘電体基板50の上面に形成された第2金属層52および第1金属層56で形成されているため、分布定数線路L5のばらつきは小さい。なお、ボンディングワイヤ30の長さは、1.0mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、ボンディングワイヤ30の長さは、0.7mm以下であることが好ましい。また、ボンディングワイヤ32の長さについてもインダクタンス成分のばらつき抑制の観点から短くすることが好ましい。以上により、光変調装置100bの安定な特性を得ることができる。
【0032】
実施例2に係る光変調装置100bにおいては、キャパシタCは設けられず、ボンディングワイヤ30と抵抗Rとは直接接続されていてもよい。しかしながら、直流成分を遮断するため、ボンディングワイヤ30と抵抗Rとの間に直列にキャパシタCが接続されていることが好ましい。これにより、抵抗Rに直流電流が流れないため、消費電流を抑制することができる。
【0033】
分布定数線路L5は、抵抗RとインダクタL2との間に設けられてもよい。しかしながら、分布定数線路L5は抵抗Rとグランドとの間に接続されることが好ましい。抵抗Rとグランドの間に分布定数線路L5を挿入することにより周波数特性への影響が少なくなる。これは、グランドが全周波数帯に対して特性インピーダンスが0Ωであることから、分布定数線路L5をグランドに直接接続することで、周波数特性への影響を少なくすることができるためである。一方、抵抗Rとボンディングワイヤ30との間に分布定数線路L5を挿入すると、特性インピーダンスの変化が大きくなってしまう。これは、抵抗Rに係る寄生容量などのリアクタンス成分により周波数特性が変化してしまい周波数帯によっては、周波数特性への影響が大きくなってしまうためである。このように、実施例2においては、分布定数線路L5の一端がグランドに直接接続されているため、周波数特性の変化を少なくすることができる。
【0034】
分布定数線路40(第2分布定数線路)は、入力信号を電極11に伝送する。これにより、入力信号の損失を抑制できる。分布定数線路40の特性インピーダンスは、例えば50Ωであり、インピーダンス整合回路38の抵抗Rと同じであることが好ましい。また、分布定数線路40の特性インピーダンスは、所望のインピーダンスに設定されることが好ましい。
【0035】
分布定数線路16としてコプレーナ線路を例に説明した。この場合、誘電体基板50の下面はフローティングである。誘電体基板50の下面が定電位の場合、分布定数線路16の特性インピーダンスは、誘電体基板50の下面を考慮して設定される。また、分布定数線路40としてマイクロストリップ線路を例に説明したが、コプレーナ線路を用いてもよい。
【実施例3】
【0036】
実施例3について説明する。図7(a)は、実施例3に係る光変調装置の平面図、図7(b)は、図7(a)のA−A断面模式図である。図7(a)および図7(b)に示すように、実施例2の図4(a)および図4(b)に比べ、実施例3の光変調装置100cにおいては、分布定数線路16の代わりに分布定数線路18が形成されている。分布定数線路18は、分布定数線路16と同じく所望のインダクタンス成分を形成できる。よって、所望のインダクタンス成分を分布定数線路L5で形成することができる。このため、インダクタL2におけるインダクタンス成分を最小にすることができる。
【0037】
誘電体基板50の上面には、全面に第2金属層52が形成されている。第2金属層52の上面には絶縁層として誘電体基板51が配置されている。誘電体基板51の上面には、金属層58として、第3金属層54、第1金属層56および金属層55が形成されている。誘電体基板51を貫通し金属層55と第2金属層52とを電気的に接続するビアホール57が形成されている。誘電体基板51は、酸化アルミニウムまたはセラミック等からなる。金属層58は、例えばAuまたはCu等からなる。
【0038】
誘電体基板51の上面には、チップコンデンサ20と抵抗素子14が配置されている。チップコンデンサ20は、第3金属層54上に配置されている。第2金属層52の上面に搭載された誘電体基板51と誘電体基板51に形成された第1金属層56とで、分布定数線路18としてマイクロストリップ線路を形成している。なお、抵抗素子14の一端は、第1金属層56に電気的に接続し、他端は、第2金属層52に電気的に接続されている。また、第1金属層56の一端は、抵抗素子14と接続しており、第1金属層56の他端は、金属層55とビアホール57を介して第2金属層52と接続されている。その他の構成は、実施例2の図5(a)および図5(b)と同じであり、説明を省略する。なお、実施例3においては、分布定数線路L5の一端が金属層55とビアホール57を介してグランドに接続されているため、周波数特性の変化を少なくすることができる。
【実施例4】
【0039】
図8(a)は実施例4に用いる誘電体基板の平面図、図8(b)は、実施例4に係る光変調装置の平面図である。図8(a)に示すように、実施例4の光変調装置102においては、誘電体基板50上に、第2金属層52、第3金属層54および第1金属層56が形成されている。第3金属層54と第1金属層56との間には、窒化タンタル(TaN)等からなる薄膜抵抗14aが形成されている。薄膜抵抗14aの抵抗値は例えば50Ωである。第1金属層56と、第1金属層56から離間して設けられた第2金属層52と、で分布定数線路16が形成されている。
【0040】
図8(b)に示すように、第2金属層52上に分布定数線路40、光変調器10およびチップコンデンサ20が設けられている。光変調器10は、半導体レーザ12と同じチップに形成されている。半導体レーザ12上に、半導体レーザ12に駆動電流を供給する電極13が形成されている。第3金属層54上にチップコンデンサ20が設けられている。チップコンデンサ20の容量値は例えば100nFである。電極11と分布定数線路40の配線パターン42の端部とはボンディングワイヤ32により電気的に接続されている。電極11とチップコンデンサ20の上面とは、ボンディングワイヤ30により電気的に接続されている。半導体レーザ12の上面の電極13とチップコンデンサ28の上面とはボンディングワイヤ34により接続されている。チップコンデンサ28の上面にはボンディングワイヤ36が接続され、ボンディングワイヤ36にはレーザの駆動電源が接続されている。チップコンデンサ28はノイズ除去用のキャパシタである。チップコンデンサ28の下面は第2金属層52を介し接地されている。チップコンデンサ28の容量値は例えば100pFである。
【0041】
ボンディングワイヤ34を介し半導体レーザ12に電流が供給されることにより、半導体レーザ12からレーザ光が出射される。例えば、電極13から第2金属層52に流れる直流電流は供給される。直流電流が供給されるため半導体レーザ12の出射光は変調されていない。分布定数線路40を介し光変調器10の電極11に高周波の入力信号が入力されることにより、半導体レーザ12から出射された光は変調されて出射する。
【0042】
図9は実施例4の変形例に係る光変調装置の平面図である。図9に示すように、実施例4の変形例の光変調装置104においては、半導体レーザ12は光変調器10とは別のチップに形成されている。半導体レーザ12と光変調器10とを光結合するレンズ19が設けられている。その他の構成は実施例4の図8(b)と同じであり、説明を省略する。
【0043】
実施例4のように、光変調器10は、半導体レーザ12と同じチップに形成されていてもよく、実施例4の変形例のように、光変調器10と半導体レーザ12とは別のチップでもよい。
【0044】
実施例1から実施例4およびその変形例において、光変調器10の例としてEA変調器を用い説明したが、光変調器10として、マッハツェンダ型光変調器、またはLN(ニオブ酸リチウム)光変調器を用いてもよい。
【実施例5】
【0045】
実施例5は、実施例1から実施例4およびその変形例に係る光変調装置を含む光モジュールの例である。図10(a)は、キャップを外した実施例5に係る光モジュールの上面図、図10(b)は、図10(a)のA−A断面図である。なお、レセクタプル98については断面でなく側面を図示している。図10(a)および図10(b)に示すように、光モジュール106において、筐体84内に、光変調器10、半導体レーザ12、レーザ駆動IC(Integrated
Circuit)74等が収納されている。
【0046】
例えば金属等からなる筐体84の底面にTEC(Thermoelectric Cooler)68等の温度制御部が配置されている。TEC68上に、例えば酸化アルミニウムまたはセラミック等の絶縁性からなり、かつ熱伝導率の高いキャリア70が配置されている。キャリア70上にサブキャリア71とレンズホルダ78とが配置されている。
【0047】
サブキャリア71は、実施例1から実施例4およびその変形例に係る光変調装置の誘電体基板50に対応する。サブキャリア71上に、誘電体基板41、光変調器10および半導体レーザ12が一体となったチップ、およびフォトディテクタ79が配置されている。レンズホルダ78にはレンズ80が保持されている。誘電体基板41の上面には配線パターン42が形成されている。配線パターン42と誘電体基板41が上面に形成された第1金属層(不図示)は分布定数線路40を形成する。
【0048】
さらに、筐体84の底面には銅タングステン(CuW)または銅モリブデン(CuMo)等の金属からなるヒートシンク66が配置されている。ヒートシンク66上には、レーザ駆動IC74、伝送線路73を有する基板72が配置されている。ヒートシンク66の上面とサブキャリア71の上面とはほぼ同じ高さである。ヒートシンク66の上面とサブキャリア71の上面と間に伝送線路を有するブリッジ76が配置されている。
【0049】
筐体84の前側壁にはレンズ82が保持されている。さらに、筐体84の前面にレセプタクル98が固定されている。筐体84の後側壁には、主に絶縁体からなるフィードスルー60が埋め込まれている。フィードスルー60内には、筐体84内の端子64と筐体84外の端子62とを電気的に接続する配線が設けられている。
【0050】
端子64と基板72の伝送線路73とはボンディングワイヤ90により電気的に接続されている。伝送線路73とレーザ駆動IC74とは、ボンディングワイヤ92により電気的に接続されている。レーザ駆動IC74とブリッジ76とは、ボンディングワイヤ94により電気的に接続されている。ブリッジ76と分布定数線路40とは、ボンディングワイヤ96により電気的に接続されている。光変調装置の詳細は、実施例1から実施例4およびその変形例と同じであり説明を省略する。
【0051】
高周波信号である入力信号は、端子62からフィードスルー60内の配線、端子64、ボンディングワイヤ90、伝送線路73およびボンディングワイヤ92を介し、レーザ駆動IC74に入力する。レーザ駆動IC74は入力信号を増幅し出力する。出力された入力信号は、ボンディングワイヤ94、ブリッジ76およびボンディングワイヤ96を介し分布定数線路40に入力する。その後、実施例1から実施例4およびその変形例と同様に、入力信号は、光変調器10の電極に入力する。光変調器10は、半導体レーザ12の出力光を強度変調し出射する。光変調器10とレセプタクル98中のファイバ端とは、レンズ80および82により光結合されている。これにより、光変調器10から出射された光はファイバ内の導入される。フォトディテクタ79は、半導体レーザ12の裏面から出射された光の強度を検出する。図示していない制御回路が、フォトディテクタ79の出力に応じ、半導体レーザ12に印加する電流をフィードバック制御する。TEC68は、半導体レーザ12および光変調器10の温度を一定に保持する。これにより、光変調器10から出射される光の波長をロックすることができる。
【0052】
実施例5のように、光モジュール106に実施例1から実施例4およびその変形例に係る光変調装置を用いることができる。実施例5においては、レーザ駆動IC74を内蔵する光モジュールを例に説明したが、レーザ駆動IC74は、光モジュールに内蔵されていなくてもよい。
【0053】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 光変調器
11 電極
14 抵抗素子
16、18 分布定数線路
20 チップコンデンサ
30、32 ボンディングワイヤ
50 誘電体基板
52 第2金属層
54 第3金属層
56 第1金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器と、
一端が前記光変調器に電気的に接続されたボンディングワイヤと、
前記ボンディングワイヤの他端と電気的に接続され、絶縁層上に設けられてなるインダクタ成分を有する第1金属層と、
前記第1金属層と電気的に直列に接続された接地パターンを備えた第2金属層と、
を具備することを特徴とする光変調装置。
【請求項2】
前記ボンディングワイヤの他端と前記第2金属層との間に電気的に直列に接続された抵抗を具備することを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項3】
前記ボンディングワイヤの他端と前記第2金属層との間に前記抵抗を介して直列に接続されたキャパシタを具備することを特徴とする請求項2記載の光変調装置。
【請求項4】
前記第1金属層は、分布定数線路であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の光変調装置。
【請求項5】
前記分布定数線路は、コプレーナ線路もしくはマイクロストリップ線路であることを特徴とする請求項4記載の光変調装置。
【請求項6】
前記ボンディングワイヤは、1.0mm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の光変調装置。
【請求項7】
前記ボンディングワイヤの他端は、前記キャパシタの上面電極の中央よりも前記光変調器に近い領域に接続していることを特徴とする請求項3記載の光変調装置。
【請求項8】
前記第1金属層と前記第2金属層とは、前記絶縁層を貫くビアホールを介して接続してなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の光変調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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