説明

光子エネルギー帯域区分装置及びその方法

【課題】光子計数検出装置を小型化して高解像度画像を提供するためのマルチエネルギー放射線に含まれた光子のエネルギー帯域を区分する光子エネルギー帯域区分装置及びその方法を提供する。
【解決手段】センサに入射されたマルチエネルギー放射線に含まれた光子を、各エネルギー帯域に対して区分して計数する読み取り回路を含む光子のエネルギー帯域を区分する装置において、センサによる光子から光電変換を受けて変換された電気信号が入力されて累積する積分器と、積分器によって累積された電気信号と、複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値とを比較する比較器と、比較結果に従って、いずれか一つの臨界値から他の臨界値へ順次に変更することを指示し、比較器から入力された変更された臨界値それぞれについて順次に比較した結果に基づいて光子のエネルギー帯域を区分するデジタル信号を出力する信号処理部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光子計数検出装置に関し、特に、マルチエネルギー放射線に含まれた光子のエネルギー帯域を区分するための装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線を利用した医療機器が使用中あるいは開発中にある。
放射線を利用した医療画像機器であるX線画像撮影システムが、アナログ方式からデジタル方式にいち早く変化している。
かような趨勢に合わせ、デジタルX線システムの核心部品であるX線検出装置も、非常に速く発展している。デジタルX線検出技術は、X線を可視光に変えた後、可視光信号を電気信号に変換して画像を生成する間接方式と、X線信号を直ちに電気信号に変換して画像を生成する直接方式とに大別される。
【0003】
直接方式では、一定時間の間、発生する電気信号を累積して画像信号を生成する積分方式と、入射するX線光子の個数を計数して画像信号を生成する光子計数方式とに分けられる。このうち、光子計数方式は、1回の撮影だけでも、X線エネルギー帯域区分可能な画像を作ることができ、少ないX線露出だけで、高画質の画像を得ることができる方式であり、最近研究が非常に活発に展開されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来のデジタルX線検出技術における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、光子計数検出装置を小型化して高解像度画像を提供するためのマルチエネルギー放射線に含まれた光子のエネルギー帯域を区分する光子エネルギー帯域区分装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明による光子エネルギー帯域区分装置は、センサに入射されたマルチエネルギー放射線に含まれた光子を、各エネルギー帯域に対して区分して計数する読み取り回路を含む光子のエネルギー帯域を区分する装置において、前記センサによる前記光子から光電変換を受けて変換された電気信号が入力されて累積する積分器と、前記積分器によって累積された前記電気信号と、複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値とを比較する比較器と、前記比較結果に従って、前記いずれか一つの臨界値から他の臨界値へ順次に変更することを指示し、前記比較器から入力された前記変更された臨界値それぞれについて順次に比較した結果に基づいて光子のエネルギー帯域を区分するデジタル信号を出力する信号処理部とを有することを特徴とする。
【0006】
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号と、前記複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値との比較結果に対応するデジタル信号を出力することが好ましい。
前記比較器に、前記複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値を出力するマルチプレクサをさらに有することが好ましい。
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記臨界値のうち最小臨界値より大きいという比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに臨界値を変更することを指示することが好ましい。
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記変更された臨界値より大きいという比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに臨界値を変更することを指示することが好ましい。
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記変更された臨界値より小さいという比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに最小臨界値を出力するよう指示し、前記積分器に対してリセットを指示することが好ましい。
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記臨界値のうち最大臨界値との比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに最小臨界値を出力するよう指示し、前記積分器に対してリセットを指示することが好ましい。
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記臨界値のうち最小臨界値及び最大臨界値を除外した臨界値の内のいずれか一つの臨界値より大きいという比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに臨界値を変更することを指示することが好ましい。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明による光子エネルギー帯域区分方法は、センサに入射されたマルチエネルギー放射線に含まれた光子を、各エネルギー帯域に対して区分して計数する読み取り回路を含む光子のエネルギー帯域を区分する方法において、前記センサによって変換された電気信号が入力され累積された電気信号と、複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値とを比較した結果を入力する段階と、前記比較結果に従って、前記臨界値を順次に変更することを指示する段階と、前記変更された臨界値それぞれについて順次に入力された比較結果に基づいて光子のエネルギー帯域を区分するデジタル信号を出力する段階とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る光子エネルギー帯域区分装置及びその方法によれば、1つの比較器を利用してマルチエネルギー放射線に含まれた光子のエネルギー帯域を区分することができ、光子のエネルギー帯域を区分する装置を小型化することができるという効果がある。
また、最小臨界値と比較した結果を利用して、センサによって発生する漏れ電流及びノイズを除去することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による医療画像システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した光子計数検出装置の一例を示す図である。
【図3】図1に示した光子計数検出装置の他の例を示す概略断面図である。
【図4】図3に示した読み取り回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図3に示した読み取り回路の一例を示す概略回路図である。
【図6】本発明の一実施形態による光子エネルギー帯域区分方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る光子エネルギー帯域区分装置及びその方法を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による医療画像システムの構成を示す図である。
図1を参照すると、図1に示す一実施形態による医療画像システムは、放射線発生装置10、光子計数検出装置(photon counting detector)11、及び画像生成装置12を含む。
【0012】
放射線を利用する医療画像システムは、人体のような被検体を透過したマルチエネルギー(multi−energy)放射線をセンサを介して検出し、センサによって検出されたマルチエネルギー放射線に含まれた光子を、エネルギー帯域によって区分して計数(counting)した結果に基づいて、人体領域の画像をエネルギー帯域別に生成する。
【0013】
マルチエネルギー放射線が照射された被検体の種類、密度又は放射線のエネルギー帯域によって、被検体が放射線を吸収する程度は異なる。例えば、骨は、X線を多く吸収し、反対に筋肉などは、骨に比べて、X線をあまり吸収しない。従って、放射線発生装置10から発生した放射線に含まれた光子は、骨を透過した場合と異なる人体組織を透過した場合に検出される光子の数が互いに異なる。
【0014】
また、放射線発生装置10から発生した放射線に含まれる光子のエネルギー帯域によって、骨を透過した場合と異なる人体組織を透過した場合に検出される光子のエネルギー帯域別の個数は、互いに異なる。画像生成装置12は、光子計数検出装置11で、光子をエネルギー帯域によって区分して計数した結果を利用して、人体組織を鮮明に区分するX線画像を生成することができる。
【0015】
放射線発生装置10は、放射線を発して患者に照射する。
放射線発生装置10から発せられる放射線は、超音波、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、及び中性子線など、さまざまであってもよい。ただし、一般的に放射線といえば、電離現象を起こして人体に有害となるX線を意味する。本発明の容易な説明のために、X線を例に挙げて説明するが、X線以外の放射線にも本発明が適用されることは、本発明が属する技術分野で当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0016】
光子計数検出装置11は、放射線を利用して被検体を撮影しようとする撮影領域に対応し、撮影領域の各ピクセルに対応する読み取り回路を含んでいる。
光子計数検出装置11は、それぞれの読み取り回路で計数した結果を、画像生成装置12に出力するために、同じ撮影領域内に、ピクセルの数を増加させるほど、ピクセルに対応する読み取りチップの読み取り回路が多くなるので、画像生成装置12は、高解像度の画像を生成することができる。すなわち、ピクセルの大きさを小さくするほど、高解像度の画像を生成することができる。
【0017】
光子計数検出装置11の最も大きい技術的問題のうちの一つは、高解像度のための小型読み取り回路を具現することである。
すなわち、ピクセルの大きさを小さくするために、各ピクセルに対応する読み取り回路を小型化しなければならない。読み取りチップ内に、アレイ状に含まれる読み取り回路は、読み取り回路に対応する単位センサから入力された電気信号を光子のエネルギー帯域によって区分してデジタル信号に変換し、画像生成装置12に出力する。
【0018】
単位センサは、センサの一定領域に該当し、単位出力端を介して、対応する読み取りチップ内の読み取り回路で検出された光子による電気信号を出力する。
読み取り回路で単位センサから入力された電気信号を読み取る方法としては、電荷蓄積方式(charge integration mode)と光子計数型方式(photon counting mode)とがある。
【0019】
電荷蓄積方式は、電荷蓄積用キャパシタを利用する方式であり、一定の時間の間、発せられた電気信号をキャパシタに蓄積し、A/D変換器(analog to digital convertor)を介して読み取る方式である。この方式は、光子のエネルギー帯域に関係なく、あらゆる帯域の光子によって発せられる電気信号が蓄積されることによって、光子のエネルギー帯域によって区分してデジタル信号に変換することが不可能である。
【0020】
しかし、光子計数型方式の読み取り回路は、光子を検出する単位センサから入力された電気信号を、比較器を介して任意の臨界値と比較し、「1」又は「0」のデジタル信号を出力し、計数器で、「1」が何回出てきたかを計数し、デジタル形態でデータを出力する。
光子計数型方式は、単一光子によって信号が発せられるたびに、比較器を介して、予め設定された臨界値と比較して計数する方式を使用する。
光子計数検出装置11は、光子計数型方式を利用した読み取り回路を具現し、各単位センサで検出された光子を、単位センサに対応する読み取り回路で、エネルギー帯域によって区分して計数する。
【0021】
図2は、図1に示した光子計数検出装置11の一例を示す図である。
図2を参照すると、光子計数検出装置11は、センサ21及び読み取りチップ22を含む。
センサ21は、人体のような被検体を透過したマルチエネルギー放射線に含まれた光子を検出し、検出された光子を電気信号に変換し、光子が検出された領域に対応する読み取りチップ22の読み取り回路23に、センサ21の単位出力端を介して電気信号を出力する。
センサ21は、撮影領域に対応し、撮影領域の各ピクセルが対応するセンサ21の一定領域を単位センサという。単位センサは、入射した光子を電気信号に変換し、単位センサに対応する単位出力端を介して電気信号を出力する。
【0022】
読み取りチップ22は、撮影領域及びセンサ21に対応し、撮影領域の各ピクセルに対応する読み取り回路23を含む。
従って、撮影領域の大きさが決定されれば、これに対応する読み取りチップ22の大きさも決定される。もし同じ撮影領域を、多数のピクセルに分割されるためには、各ピクセルに対応する読み取り回路23も、小さくしなければならないために、撮影領域のピクセルに対応する読み取り回路23の小型化が要求される。
読み取り回路23を小型化し、同じ撮影領域を多数のピクセルに分割すれば、同じ撮影領域を介して、高解像度のエネルギー帯域別画像を生成することができる。
【0023】
図3は、図1に示した光子計数検出装置11の他の例を示す概略断面図である。
図3を参照すると、光子計数検出装置11は、センサ31及び読み取りチップ32を含む。
センサ31は、光子を検出して電気信号に変換し、変換された電気信号を、ボンディング34を介して、センサの各領域に対応する読み取りチップ32の読み取り回路33に出力する。センサ31は、光子がセンサ31の空乏領域(depletion region)312に入射されれば、電子・正孔対を発し、電子・正孔対は、電界の影響で、N型中性領域(quasi−neutral n−region)311とP型中性領域(quasi−neutral p−region)313とに引っ張られ、外部に電流が流れる。
【0024】
例えば、センサ31に、マルチエネルギーX線が入射されれば、センサ31は、入射したマルチエネルギーX線に含まれた光子のエネルギー帯域によって、異なる大きさの電気信号を発し、発せられた電気信号を、センサ31の各領域に対応するP型中性領域313を介して、読み取りチップ32の読み取り回路33に出力する。
P型中性領域313は、センサ31の単位センサに対応する単位出力端であり、センサ31は、撮影領域の各ピクセルに対応する単位センサで光子を検出すれば、単位出力端を介して、電気信号を読み取りチップ32の各読み取り回路33に出力する。
【0025】
センサ31は、入射されたマルチエネルギーX線に含まれた光子のエネルギー帯域によって、互いに異なる大きさの電気信号を発し、センサ31に入射されたマルチエネルギーX線に含まれた光子の数に対応して電気信号を発する。
センサ31は、光子が入射されれば、電気信号を発生させ、発せられた電気信号間には、時間間隔が存在しうる。発せられた電気信号間の時間間隔は、光子計数検出装置11で入力された電気信号を介して光子のエネルギー帯域を区分するのに十分な時間である。
ただし、センサ31で発せられた電気信号が、光子計数検出装置11で区分して検出することができないほどの短時間の間隔を有する場合があるが、このような場合が発生する確率は非常に低いために、全体画像生成に及ぼす影響は微小である。
【0026】
図3では、センサ31がN型中性領域311、空乏領域312及びP型中性領域313を含む場合を一例として示したが、それに限定されずに、光子を検出する多様なセンサが利用されるということは、本実施形態が属する技術分野で当業者であるならば、理解することができるであろう。
また、図3では、センサ31と読み取りチップ32とがボンディング34で接続されている場合を例として挙げたが、センサ31と読み取りチップ32は、ボンディング34だけではなく、蒸着(evaporation)などの方法を介して接続することも可能である。
【0027】
読み取りチップ32は、センサ31の各領域に対応する読み取り回路33のアレイからなり、読み取り回路33は、センサ31から入力された光子による電気信号を介して、センサ31に入射された光子のエネルギー帯域を区分して計数し、計数したデータを画像生成装置12に出力する。
読み取りチップ32は、撮影領域に対応する大きさを有し、読み取りチップに含まれたそれぞれの読み取り回路33は、撮影領域のそれぞれのピクセルに対応する。従って、高解像度の画像を生成するためには、同じ撮影領域内に、多数のピクセルが含まれなければならないために、各ピクセルに対応する読み取り回路33の小型化が要求される。
画像生成装置12が撮影領域の各ピクセルについて生成する画像は、撮影領域の各ピクセルに対応する読み取り回路33で、光子を計数した結果に基づいて生成される。
【0028】
読み取り回路33は、センサ31に入射されたマルチ・エネルギー放射線に含まれた光子のエネルギー帯域を区分し、区分した結果によって、光子のエネルギー帯域を示すデジタル信号を出力し、光子をエネルギー帯域別に計数する。
読み取り回路33は、対応する単位センサから電気信号が入力されれば、予め設定された臨界値と順次に比較する工程を介して、マルチエネルギー放射線に含まれた光子を、エネルギー帯域によって区分して計数する。
【0029】
例えば、読み取り回路33は、対応する単位センサから入力された電気信号を、予め設定された臨界値と順次に比較した結果、5Vの臨界値より大きく、6Vの臨界値より小さい場合、センサ31から入力された電気信号が、5Vと6Vとの間の大きさを有するということを確認することができ、読み取り回路33は、確認された電気信号の大きさに対応するデジタル信号を介して、センサ31に入射された光子のエネルギー帯域を区分して計数する。
【0030】
ボンディング(bonding)34は、センサ31と、読み取りチップ32のそれぞれの読み取り回路33とを接続し、読み取り回路33に対応するセンサ31の領域で発せられた電気信号を、読み取りチップ32の読み取り回路33に移動させる。
図3では、センサ31と、読み取りチップ32の読み取り回路33とを接続する方式として、ボンディング34を例に挙げて示しているが、センサ31と、読み取りチップ32の読み取り回路と33を接続する方式は、読み取りチップ32上にセンサ31を、半導体工程を介して蒸着する方式を使用することもでき、ボンディング及び蒸着などの方式に限定されないということは、本実施形態が属する技術分野で当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0031】
図4は、図3に示した読み取り回路33の構成の一例を示すブロック図である。
図4を参照すると、読み取り回路33は、積分器41、比較器42、信号処理部43、マルチプレクサ44、及び計数器45を含む。
【0032】
積分器41は、センサ31から検出された光子を変換した電気信号が入力されて累積し、累積された電気信号を比較器42に出力する。
積分器41は、信号処理部43からリセット指示を入力されるまで、センサ31から入力される電気信号を累積し、信号処理部43からリセット指示を入力されれば、電気信号を累積する前の状態に戻す。積分器41は、出力端で累積された電気信号による電圧値をリセット指示があるまでは維持するために、比較器42に、一定の電圧値を続けて出力する。従って、積分器41は、パルス形態の信号ではない、DC(direct current)電圧のように、大きさが一定した形態の信号を出力する。
【0033】
比較器42は、積分器41によって累積された電気信号と、マルチプレクサ44から入力された臨界値の大きさとを比較し、その比較結果を信号処理部43に出力する。臨界値は、マルチエネルギー放射線に含まれた光子のエネルギー帯域を、少なくとも二つ以上に区分するために、予め設定された大きさの電圧値である。従って、比較する臨界値が多いほど、光子のエネルギー帯域を細密に分けて検出することができる。
【0034】
比較器42が信号処理部43に出力する比較結果は、積分器41によって累積された電気信号が臨界値より大きいか、あるいは臨界値が積分器41によって累積された電気信号より大きいというものである。
例えば、比較器42は、積分器41によって累積された電気信号が、臨界値より大きい場合、信号処理部43に「1」を出力し、積分器41によって累積された電気信号が、臨界値より小さい場合、信号処理部43に「0」を出力することができる。
上記では、累積された信号が臨界値より大きい場合、信号処理部43に「1」を伝達することを例に挙げて説明したが、反対の場合も可能である。
【0035】
比較器42は、積分器41から入力された電気信号と、マルチプレクサ44から入力された臨界値とを順次に比較する。
比較器42は、積分器41から入力された電気信号と、マルチプレクサ44から入力された臨界値とを比較し、比較結果を信号処理部43に出力する。比較器42は、マルチプレクサ44から入力された臨界値が変更されれば、変更された臨界値と、積分器41から入力された電気信号とをさらに比較し、その比較結果を信号処理部43に出力する。比較器42は、臨界値が変更されるたびに、比較した結果を順次に計数器45に出力する。従って、積分器41によって累積された電気信号を順次に臨界値と比較し、1つの比較器だけでも積分器41によって累積された電気信号の大きさを区分することができる。
【0036】
積分器41の出力端で累積された電気信号による電圧値が維持されるために、比較器42は、積分器41から電圧値を続けて入力され、パルス信号が入力されるときに比べて、動作速度が速いというわけではないにしても、積分器41から入力された電気信号と、マルチプレクサ44から入力される臨界値とを順次に比較することができる。
すなわち、パルス信号が入力されるときには、比較器は、パルス信号が一定電圧値以下に落ちないうちに比較を終了しなければならないために、早い動作を必要とする。
【0037】
しかし、積分器41は、累積された電気信号による電圧を、信号処理部43のリセット指示があるまでは維持するために、比較器42は、積分器41から累積された電気信号による電圧を続けて入力され、これを利用し、臨界値と順次に比較することができる。
動作速度が速い比較器は、動作速度が相対的に遅い比較器に比べ、大きい電流を必要とするために、電力消費が激しい。比較器42は、積分器41から継続的に電圧を入力されるために、動作速度が速くなくともいいので、小さい電流で動作する比較器を具現し、電力消費を減らすことができる。
【0038】
信号処理部43は、比較器42で、臨界値と、積分器41によって累積された電気信号とを順次に比較した結果を入力され、マルチエネルギー放射線に含まれた光子のエネルギー帯域を区分するデジタル信号を、計数器45に出力する。
比較器42の比較結果、積分器41によって累積された電気信号が、臨界値より大きい場合、信号処理部43は、マルチプレクサ44に、マルチプレクサ44から比較器42に出力する臨界値を変更するように指示し、これに対応するデジタル信号を、計数器45に出力する。
【0039】
もし臨界値を変更した後での比較結果で、積分器41によって累積された電気信号が変更された臨界値より大きい場合、前述の工程を反復する。マルチプレクサ44から比較器42に出力する臨界値を変更するときには、臨界値の大きさ順に順次に変更する。
もし臨界値を変更した後での比較結果で、積分器41によって累積された電気信号が、変更された臨界値より小さい場合、信号処理部43は、これに対応するデジタル信号を計数器45に出力する。積分器41によって累積された電気信号が変更された臨界値がより小さい場合、信号処理部43は、積分器41にリセットを指示し、マルチプレクサ44に最小臨界値を出力するように指示する。
【0040】
信号処理部43は、積分器41によって累積された電気信号と臨界値とを比較した結果を、比較器42から入力される。比較器42から入力される比較結果は、積分器41によって累積された電気信号と臨界値とのうち、積分器41によって累積された電気信号が大きいか、あるいは臨界値が大きいということを示す。
例えば、信号処理部43は、積分器41によって累積された電気信号が、臨界値より大きい場合、比較器42から「1」を入力され、累積された信号が臨界値より小さい場合、比較器42から「0」を入力される。
前記では、累積された信号が臨界値より大きい場合に、信号処理部43が比較器42から「1」を伝達することを例に挙げて説明したが、反対の場合も可能である。
【0041】
信号処理部43は、比較器42から入力された比較結果が、積分器41によって累積された電気信号と、いかなる臨界値とを比較した結果であるかということによって、それに対応するデジタル信号を、計数器45に出力する。
信号処理部43は、積分器41によって累積された電気信号が、光子のエネルギー帯域に対応する臨界値より小さい場合、当該臨界値より小さいということを示すデジタル信号を、計数器45に出力し、積分器41によって累積された電気信号が、光子のエネルギー帯域に対応する臨界値より大きい場合、当該臨界値より大きいということを示すデジタル信号を、計数器45に出力する。
すなわち、信号処理部43は、比較器42から入力された比較結果が、いかなる臨界値と比較した結果であるかが、マルチプレクサ44の制御を介して分かり、光子のエネルギー帯域に対応する臨界値との比較結果を、デジタル信号を介して計数器45に出力する。
【0042】
信号処理部43は、積分器41に対してリセットすることを指示し、積分器41によって累積された電気信号を除去する。
すなわち、前述の比較工程を介して、積分器41によって累積された電気信号の大きさが確認されれば、次に、積分器41に入力される電気信号を新たに累積するために、信号処理部43は、積分器41に対してリセットを指示する。
【0043】
例えば、積分器41によって累積された電気信号をVin、マルチプレクサ44から出力される臨界値を、順次にVthd、Vth_low、Vth_mid、Vth_highとするとき、Vthdは、センサ31による漏れ電流又はノイズに対応する大きさの最小臨界値であり、Vth_low、Vth_mid、及びVth_highは、光子のエネルギー帯域に対応する臨界値である。
inがVthdより小さい場合には、Vinがセンサ31による漏れ電流又はノイズであるか、あるいは光子による電気信号であるかを確認することができないために、信号処理部43は、積分器41に入力される電気信号を続けて累積することができるように、積分器41にリセット指示を行わず、マルチプレクサ44にも、臨界値を変更せよという指示を行わない。
【0044】
inがVthdより大きい場合には、Vinが光子による電気信号であるために、信号処理部43は、積分器41にリセット指示をせずに、マルチプレクサ44に、臨界値をVthdからVth_lowに変更することを指示し、比較器42に、VinとVthd_lowとを比較させる。
inがVth_lowより小さい場合には、信号処理部43は、Vinをセンサ31による漏れ電流又はノイズであると判断し、信号処理部43は、積分器41にリセット指示をし、マルチプレクサ44に、臨界値をVthdに変更することを指示し、比較器42に、次のVinとVthdとを比較させる。また、この場合、信号処理部43は、VinがVth_lowより小さいというデジタル信号を計数器45に出力する。
【0045】
inがVth_lowより大きい場合には、Vinが光子による電気信号であるために、信号処理部43は、積分器41にリセット指示を行わず、マルチプレクサ44に、臨界値をVth_lowからVth_midに変更することを指示し、比較器42に、VinとVth_midとを比較させる。また、この場合、信号処理部43は、VinがVth_lowより大きいというデジタル信号を計数器45に出力する。
inがVth_midより小さい場合には、信号処理部43は、積分器41にリセット指示を行い、マルチプレクサ44に、臨界値をVth_midからVthdに変更することを指示する。この場合、信号処理部43は、VinがVth_midより小さいというデジタル信号を計数器43に出力する。
【0046】
inがVth_midより大きい場合には、信号処理部43は、積分器41にリセット指示を行わず、マルチプレクサ44に、臨界値をVth_midからVth_highに変更することを指示し、比較器42に、VinとVth_highとを比較させる。この場合、信号処理部43は、VinがVth_midより大きいというデジタル信号を計数器45に出力する。
inがVth_highより小さい場合には、信号処理部43は、積分器41にリセット指示を行い、マルチプレクサ44に、臨界値をVth_highからVthdに変更することを指示する。この場合、信号処理部43は、VinがVth_highより小さいというデジタル信号を計数器45に出力する。
【0047】
inがVth_highより大きい場合には、信号処理部43は、積分器41にリセット指示を行い、マルチプレクサ44に、臨界値をVth_highからVthdに変更することを指示する。この場合、信号処理部43は、VinがVth_highより大きいというデジタル信号を計数器45に出力する。
ここで、Vthd、Vth_low、Vth_mid、及びVth_highは、順次に大きい値を示す。
すなわち、Vthdは、Vth_lowより小さく、Vth_lowは、Vth_midより小さく、Vth_midは、Vth_highより小さい。Vthdは、臨界値の内の最小値である。
【0048】
上述の一例では、臨界値が4つである場合について説明したが、臨界値がN個である場合も、最小臨界値であるVthdより小さい場合を除き、残りの臨界値と順次に比較した結果、Vinが残りの臨界値より小さい場合、信号処理部43は、積分器41に対してリセットを指示することができる。すなわち、Vinが光子のエネルギー帯域を区分するための臨界値より小さい場合、計数器45は、積分器41に対してリセットを指示することができる。
【0049】
Vthdは、積分器41によって累積された電気信号が、センサ31による漏れ電流又はノイズによるものであるかを判断するための臨界値である。
センサ31による漏れ電流の大きさは、センサ31に放射線を照射していない状態で、センサ31自体によって生じた電流の大きさを測定して分かる。このように測定された漏れ電流の大きさによって、Vthdの大きさをあらかじめ設定し、積分器41によって累積された信号と比較することによって、積分器41によって累積された電気信号が、放射線に含まれた光子によるものではなく、センサ31の漏れ電流によるものであるということを判断することができる。
【0050】
Vth_low、Vth_mid、及びVth_highは、光子のエネルギー帯域を区分するために予め設定された電圧値であり、光子のエネルギー帯域によって、センサ31によって発生する電気信号の大きさを測定し、測定結果を基に、Vth_low、Vth_mid、及びVth_highなどの電圧値を設定することによって、センサ31によって検出された光子のエネルギー帯域を区分することができる。
【0051】
信号処理部43が、比較器42の比較結果によって、計数器45に出力するデジタル信号は、次の通りである。
OUT_low=「0」は、積分器41によって累積された電気信号が、Vth_lowより小さいというデジタル信号であり、OUT_low=「1」は、積分器41によって累積された電気信号が、Vth_lowより大きいというデジタル信号である。
OUT_mid=「0」は、積分器41によって累積された電気信号が、Vth_midより小さいというデジタル信号であり、OUT_mid=「1」は、積分器41によって累積された電気信号が、Vth_midより大きいというデジタル信号である。
OUT_high=「0」は、積分器41によって累積された電気信号が、Vth_highより小さいというデジタル信号であり、OUT_high=「1」は、積分器41によって累積された電気信号がVth_highより大きいというデジタル信号である。
上述の例は、「1」と「0」とで信号の大小を表現したが、反対の場合も可能であり、本発明が属する技術分野で当業者であるならば、比較結果を出力する信号は、上述の場合以外にも、可能であるということが分かるであろう。
【0052】
マルチプレクサ44は、信号処理部43の指示によって臨界値を変更し、比較器42に順次に臨界値を出力する。
マルチプレクサ44は、Vthdを比較器42に出力し、積分器41によって累積された電気信号が、Vthdより大きい場合、信号処理部43の指示によって、Vth_lowを比較器42に出力する。
また、積分器41によって累積された電気信号が、Vth_lowより大きい場合、信号処理部43の指示によって、Vth_midを比較器42に出力する。
上述の工程は、積分器41によって累積された電気信号が比較される臨界値より大きい場合、マルチプレクサ44が、Vth_highを出力するまで反復される。そのとき、Vthd、Vth_low、Vth_mid、及びVth_highは、順次に大きい値を有する。
【0053】
計数器45は、信号処理部43から入力されたデジタル信号によって、光子のエネルギー帯域を区分して計数する。
計数器45は、信号処理部43から積分器41によって累積された電気信号の大きさによるデジタル信号を入力される。例えば、信号処理部43から入力されたデジタル信号は、OUT_low=「0」、OUT_low=「1」、OUT_mid=「0」、OUT_mid=「1」、OUT_high=「0」、OUT_high=「1」である。
【0054】
計数器45は、Lowカウンタ、Midカウンタ及びHighカウンタを含んでもよい。Lowカウンタは、Vth_lowに対応するエネルギー帯域を有する光子を計数し、Midカウンタは、Vth_midに対応するエネルギー帯域を有する光子を計数し、Highカウンタは、Vth_highに対応するエネルギー帯域を有する光子を計数する。
【0055】
計数器45は、信号処理部43からOUT_low=「1」を入力されれば、Lowカウンタで計数し、信号処理部43からOUT_mid=「1」を入力されれば、Midカウンタで計数し、信号処理部43からOUT_high=「1」を入力されれば、Highカウンタで計数する。
上述のように、計数器45は、Lowカウンタ、Midカウンタ及びHighカウンタに、信号処理部43から光子のエネルギー帯域を区分した結果による信号を各々入力して計数する。
【0056】
Lowカウンタ、Midカウンタ、及びHighカウンタは、デジタル計数器であってもよい。
デジタル計数器は、一定のクロックを入力とし、予め決められた順序で計数する回路を示す。デジタル計数器は、カウント方向により、アップ計数器(up counter)、ダウン計数器(down counter)に区分される。
例えば、Lowカウンタ、Midカウンタ、及びHighカウンタがアップ計数器である場合、Lowカウンタ、Midカウンタ、及びHighカウンタは、信号処理部43から入力されたデジタル信号によって、光子を計数するたびに数字を増加させて保存する。
例えば、計数器45が、信号処理部43からOUT_low=「1」を3回入力されれば、Lowカウンタでは3回計数し、「3」という値を保存する。
【0057】
図5は、図3に示した読み取り回路33の一例を示す概略回路図である。
図5を参照すると、図4に示した読み取り回路33の構成要素の一部を回路図で示した。
従って、以下省略された内容であっても、読み取り回路33について以上で記述した内容は、図5の実施形態による読み取り回路33にも適用される。
【0058】
積分器51は、増幅器511、キャパシタ512及びスイッチ513などを含む。
増幅器511は、キャパシタ512及びスイッチ513と並列に接続される。すなわち、増幅器511の入力端と出力端とに、キャパシタ512及びスイッチ513が接続される。増幅器511とキャパシタ512とが並列に接続されれば、積分器51に入力された電流は、増幅器511の入力端の高い抵抗によって、増幅器511に入力されず、キャパシタ512にいずれも蓄積される。キャパシタ512は、蓄積された電荷によって、両端に電圧差が生じる。キャパシタ512の両端に生じた電圧差ほど、増幅器511の出力端は、入力端より高い電圧を有する。キャパシタ512の両端の電圧V(t)は、下記の数式1のように計算される。
【0059】
【数1】


(出願時イメージ貼付)

ここで、Cは、キャパシタ512の静電容量であり、I(τ)は、積分器51に入力される電流を示し、V(0)は、キャパシタ512の初期電圧を示す。
【0060】
マルチプレクサ54は、臨界値の個数ほどのスイッチを含み、スイッチの動作を制御し、臨界値を比較器52に出力する。それぞれのスイッチは、回路外部から提供されるそれぞれの電圧源と接続される。電圧源それぞれは、Vthd、Vth_low、Vth_mid、及びVth_highの大きさを有する電圧を提供する。
従って、計数器55の指示によって、マルチプレクサ54は、スイッチのうちいずれか1つのスイッチを閉じ、スイッチが閉じられれば、スイッチと接続された電圧源の電圧が、マルチプレクサ54から出力される。例えば、マルチプレクサ54の最初スイッチが、Vthdを供給する電圧源と連結された場合、最初のスイッチが閉じられれば、マルチプレクサ54は、比較器52にVthdを出力する。
【0061】
図6は、本発明の一実施形態による光子エネルギー帯域区分方法を説明するためのフローチャートである。
図6を参照すると、本実施形態による光子のエネルギー帯域を区分する方法は、図3に示した読み取り回路33で、時系列的に処理される段階で構成される。
従って、以下で省略された内容があっても、読み取り回路33について上記で説明した内容は、本実施形態による光子のエネルギー帯域を区分する方法にも適用される。
読み取り回路33で、1つの比較器を利用した光子計数方法は、次のようなステップから構成される。
【0062】
ステップS61で信号処理部43は、積分器41にリセットを指示する。
信号処理部43のリセット指示によって、積分器41は、いかなる信号も累積していない初期状態となる。
ステップS62で信号処理部43は、マルチプレクサ44が比較器42にVthdを出力するように指示する。
【0063】
ステップS63で信号処理部43は、比較器42から入力された比較結果が「1」である場合、ステップS64に進み、「0」である場合、ステップS62にもどる。
信号処理部43が比較器42から入力された比較結果が「1」である場合は、積分器41によって累積された電気信号がVthdより大きい場合であり、比較器42から入力された比較結果が「0」である場合は、積分器41によって累積された電気信号がVthdより小さい場合である。
【0064】
ステップS64で信号処理部43は、マルチプレクサ44に、臨界値をVthdからVth_lowに変更するように指示する。
信号処理部43の指示によって、マルチプレクサ44から比較器42に出力する臨界値が変更される。
【0065】
ステップS65で信号処理部43は、比較器42から入力された比較結果が「1」である場合にステップS66に進み、「0」である場合にステップS67に進む。
信号処理部43が比較器42から入力された比較結果が「1」である場合は、積分器41によって累積された電気信号がVth_lowより大きい場合であり、比較器42から入力された比較結果が「0」である場合は、積分器41によって累積された電気信号がVth_lowより小さい場合である。
【0066】
ステップS66で信号処理部43は、計数器45に、OUT_low=「1」という信号を出力し、マルチプレクサ44に、臨界値をVth_midに変更するように指示する。
信号処理部43は、計数器45に、OUT_low=「1」という信号を出力し、計数器45がLowカウンタで計数できるようにし、マルチプレクサ44から比較器42に出力する臨界値を、Vth_midに変更するように指示し、ステップS68で、比較器42に、積分器41によって累積された電気信号とVth_midとを比較させる。
【0067】
ステップS67で信号処理部43は、計数器45に、OUT_low=「0」という信号を出力し、ステップS61にもどる。信号処理部43が計数器45にOUT_low=「0」を出力するときは、計数器45は計数しない。
【0068】
ステップS68で信号処理部43は、比較器42から入力された比較結果が「1」である場合にステップS69に進み、「0」である場合にステップS70に進む。
信号処理部43が比較器42から入力された比較結果が「1」である場合は、積分器41によって累積された電気信号がVth_midより大きい場合であり、比較器42から入力された比較結果が「0」である場合は、積分器41によって累積された電気信号がVth_midより小さい場合である。
【0069】
ステップS69で信号処理部43は、計数器45に、OUT_mid=「1」という信号を出力し、マルチプレクサ44に、臨界値をVth_highに変更するように指示する。
信号処理部43は、計数器45に、OUT_mid=「1」という信号を出力し、計数器45がMidカウンタで計数できるようにし、マルチプレクサ44から比較器42に出力する臨界値を、Vth_highに変更するように指示し、ステップS71で、比較器42に、積分器41によって累積された電気信号とVth_highとを比較させる。
【0070】
ステップS70で信号処理部43は、計数器45に、OUT_mid=「0」という信号を出力し、ステップS61にもどる。信号処理部43が計数器45に、OUT_mid=「0」を出力するときは、計数器45は計数しない。
【0071】
ステップS71で信号処理部43は、比較器42から入力された比較結果が「1」である場合にステップS72に進み、「0」である場合にステップS73に進む。
信号処理部43が比較器42から入力された比較結果が「1」である場合は、積分器41によって累積された電気信号がVth_highより大きい場合であり、比較器42から入力された比較結果が「0」である場合は、積分器41によって累積された電気信号がVth_highより小さい場合である。
【0072】
ステップS72で信号処理部43は、計数器45に、OUT_high=「1」という信号を出力し、ステップS61にもどる。信号処理部43は、計数器45に、OUT_high=「1」という信号を出力し、計数器45がHighカウンタで計数できるようにする。
ステップS73で信号処理部43は、計数器45に、OUT_high=「0」という信号を出力し、ステップS61にもどる。信号処理部43が計数器45に、OUT_high=「0」を出力するときは、計数器45は計数しない。
【0073】
信号処理部43は、上述のステップを制御し、積分器41によって累積された電気信号を臨界値と順次に比較し、比較結果を計数器45に出力することができる。
【0074】
一方、上述の方法は、コンピュータで実行することができるプログラムで作成可能であり、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を利用し、前記プログラムを動作させる汎用デジタル・コンピュータで具現される。
また、上述の方法で使われたデータの構造は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に、さまざまな手段を介して記録される。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、マグネチック記録媒体(例えば、ROM(read−only memory)、RAM(random−access memory)、USB(universal serial bus)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的記録媒体(例えば、CD(compact disc)−ROM、DVD(digital versatile disc)など)を含む。
【0075】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、放射線を利用した医療機器関連の技術分野、例えば、X線画像撮影システム等に好適に利用される。
【符号の説明】
【0077】
10 放射線発生装置
11 光子計数検出装置
12 画像生成装置
21、31 センサ
22、32 読み取りチップ
23、33 読み取り回路
34 ボンディング
41、51 積分器
42、52 比較器
43、53 信号処理部
44、54 マルチプレクサ
45、55 計数器
311 N型中性領域
312 空乏領域
313 P型中性領域
511 増幅器
512 キャパシタ
513 スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサに入射されたマルチエネルギー放射線に含まれた光子を、各エネルギー帯域に対して区分して計数する読み取り回路を含む光子のエネルギー帯域を区分する装置において、
前記センサによる前記光子から光電変換を受けて変換された電気信号が入力されて累積する積分器と、
前記積分器によって累積された前記電気信号と、複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値とを比較する比較器と、
前記比較結果に従って、前記いずれか一つの臨界値から他の臨界値へ順次に変更することを指示し、前記比較器から入力された前記変更された臨界値それぞれについて順次に比較した結果に基づいて光子のエネルギー帯域を区分するデジタル信号を出力する信号処理部とを有することを特徴とする光子エネルギー帯域区分装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号と、前記複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値との比較結果に対応するデジタル信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の光子エネルギー帯域区分装置。
【請求項3】
前記比較器に、前記複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値を出力するマルチプレクサをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の光子エネルギー帯域区分装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記臨界値のうち最小臨界値より大きいという比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに臨界値を変更することを指示することを特徴とする請求項3に記載の光子エネルギー帯域区分装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記変更された臨界値より大きいという比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに臨界値を変更することを指示することを特徴とする請求項4に記載の光子エネルギー帯域区分装置。
【請求項6】
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記変更された臨界値より小さいという比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに最小臨界値を出力するよう指示し、前記積分器に対してリセットを指示することを特徴とする請求項4に記載の光子エネルギー帯域区分装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記臨界値のうち最大臨界値との比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに最小臨界値を出力するよう指示し、前記積分器に対してリセットを指示することを特徴とする請求項3に記載の光子エネルギー帯域区分装置。
【請求項8】
前記信号処理部は、前記積分器によって累積された電気信号が、前記臨界値のうち最小臨界値及び最大臨界値を除外した臨界値の内のいずれか一つの臨界値より大きいという比較結果が入力された場合、前記マルチプレクサに臨界値を変更することを指示することを特徴とする請求項3に記載の光子エネルギー帯域区分装置。
【請求項9】
センサに入射されたマルチエネルギー放射線に含まれた光子を、各エネルギー帯域に対して区分して計数する読み取り回路を含む光子のエネルギー帯域を区分する方法において、
前記センサによって変換された電気信号が入力され累積された電気信号と、複数の臨界値の内のいずれか一つの臨界値とを比較した結果を入力する段階と、
前記比較結果に従って、前記臨界値を順次に変更することを指示する段階と、
前記変更された臨界値それぞれについて順次に入力された比較結果に基づいて光子のエネルギー帯域を区分するデジタル信号を出力する段階とを有することを特徴とする光子エネルギー帯域区分方法。
【請求項10】
前記デジタル信号を出力する段階は、前記累積された電気信号と、前記複数の臨界値の内のいずれか1つの臨界値との比較結果に対応するデジタル信号を出力することを特徴とする請求項9に記載の光子エネルギー帯域区分方法。
【請求項11】
前記臨界値を順次に変更することを指示する段階は、前記入力された比較結果が、前記累積された電気信号より、前記臨界値のうち最小臨界値が小さい場合、前記最小臨界値を次の臨界値に変更することを指示することを特徴とする請求項9に記載の光子エネルギー帯域区分方法。
【請求項12】
前記臨界値を順次に変更することを指示する段階は、前記入力された比較結果が、前記累積された電気信号より、前記変更された次の臨界値が小さい場合、前記変更された次の臨界値を他の臨界値に変更することを指示することを特徴とする請求項11に記載の光子エネルギー帯域区分方法。
【請求項13】
前記臨界値を順次に変更することを指示する段階は、前記入力された比較結果が、前記累積された電気信号より、前記変更された臨界値が大きい場合、前記変更された臨界値を最小臨界値に変更することを指示する段階と、
前記累積された電気信号をリセットすることを指示する段階とを含むことを特徴とする請求項9に記載の光子エネルギー帯域区分方法。
【請求項14】
前記臨界値を順次に変更することを指示する段階は、前記入力された比較結果が、前記累積された電気信号と、前記臨界値のうち最大臨界値との比較結果である場合、前記最大臨界値を最小臨界値に変更するように指示する段階と、
前記累積された電気信号をリセットすることを指示する段階とを含むことを特徴とする請求項9に記載の光子エネルギー帯域区分方法。
【請求項15】
前記臨界値を順次に変更することを指示する段階は、前記入力された比較結果が、前記累積された電気信号より、前記臨界値のうち最小臨界値及び最大臨界値を除外した臨界値の内のいずれか一つの臨界値が小さい場合、前記臨界値を次の臨界値に変更することを指示することを特徴とする請求項9に記載の光子エネルギー帯域区分方法。
【請求項16】
請求項9乃至請求項15のいずれか1項に記載の光子エネルギー帯域区分方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40935(P2013−40935A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179243(P2012−179243)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】