説明

光学アセンブリおよびその形成方法

【課題】光電子パッケージと光レセプタクルとの間の光学的および機械的接続を可能にする光学アセンブリを提供する。
【解決手段】光学アセンブリ1は、光電子部品9を含む光電子パッケージ3、光電子パッケージハウジング、光レセプタクル33からなり、光レセプタクルが光電子パッケージハウジングに溶接固定されている。位置合わせスリーブは、光レセプタクルおよび光電子パッケージハウジングに溶接され、溶接の前に光ファイバの長手方向および/または横方向に沿って光ファイバを光電子部品に整列させられるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に光電子工学の分野に関する。特に、本発明は、光電子パッケージと光ファイバコネクタとの間の光学的および機械的接続を可能にする光学アセンブリに関する。本発明はまたそのような光学アセンブリを形成する方法に関する。本発明は、送信器(TOSA)、受信器(ROSA)、または送受信機光学サブアセンブリのような光電子サブアセンブリ(OSA)のためのハウジングを含み、かつ光ファイバコネクタと接続することのできる、微小光学部品アセンブリの製造に特定の適用可能性を見出す。
【背景技術】
【0002】
レーザダイオードのような光電子デバイスは、例えば電気通信産業で多種多様な用途に使用される。既存の商業用TOSA光学サブアセンブリは、レーザダイオードおよびモニタダイオードを含むTO−canヘッダアセンブリに基づくプロセスを使用して製造される。典型的なTO−can型パッケージは、例えば米国特許出願公開第2004/0240497A1号に記載されている。ヘッダアセンブリはまた、光学的に透明な窓またはレンズをも有し、光電子デバイスに出入する光信号を通過させる。レーザ光を光レセプタクルに集束させるために、従来のTO−canTOSAパッケージは、相互に位置合せして所定の位置に溶接または結合された筒状の機械加工された副部品を組み込む。
【0003】
寿命信頼性および信頼でき、エラーの無いデータを送信する能力に関するレーザの性能は、レーザの動作温度に依存する。レーザを含む光電子パッケージに加えられるかなりの熱負荷およびかかるパッケージが取り付けられた光学アセンブリを考慮すると、かかるパッケージおよびアセンブリにおける熱管理は、深刻な難問をもたらし得る。従来のTO−can気密パッケージはしばしば、構成材料としてKOVAR(商標)合金、鉄−ニッケル合金を使用する。この材料はその熱膨張係数(CTE)が、気密封止する必要のあるパッケージ内に入る電気接続用の典型的な材料であるガラスおよびセラミックのCTEと適切に整合することから使用される。KOVAR合金は典型的に、光学的位置合せ後にTOSA基台に光レセプタクルを固定する際にYAGレーザ溶接するその能力のためにも使用される。しかし、この材料は比較的低い熱伝導率を有する。それゆえに、熱管理の観点からは、KOVARの有用性は限定的である。熱管理の問題は例えば、高温での高周波性能が特に難しい課題である非冷却レーザダイの場合、ならびに消費電力が増大し続けているシステムラック、ルータ、およびスイッチ内で、特に重要になる。加えて、TOSAパッケージの形成におけるKOVAR合金の使用は、該材料の比較的高いコストの結果として、パッケージのコストを著しく増大させ得る。したがって、レセプタクルを溶接することを可能にし、かつ有益な熱管理特性をもたらす、低コストの材料を光学アセンブリに使用することが求められる。
【0004】
現在、TO−can光学アセンブリを製造するための重要な基本設備(infrastructure)が存在する。かかる製造基本設備としては、例えば、光電子部品に対するレセプタクル内のファイバの能動的な光学的位置合せ後に、TO−canパッケージをファイバレセプタクルに溶接するために典型的に使用される、YAGレーザ溶接ラインが挙げられる。レーザ溶接はサブミクロンの位置合せ公差を可能にし、特に単一モードTOSAの業界標準になりつつある。かかる既存のTO−can製造基本設備を利用する光学アセンブリおよびその作成方法を提供することが望ましい。さらに、既存の基本設備が従来のTO−canアセンブリを基礎として設計されているため、適用の観点から、かかる光学サブアセンブリをTO−canのドロップイン交換品として使用することができることが有用である。
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0240497A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、現状技術に関係する1以上の問題を解決する改善された光学アセンブリ、およびその形成方法が当該技術分野において求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に従って、光学アセンブリが提供される。該光学アセンブリは、単結晶シリコンを含む基体および該基体上の光電子部品を含む光電子パッケージと、該光電子パッケージが中に配置された光電子パッケージハウジングと、レセプタクルハウジングを備えた光レセプタクルとを含み、光レセプタクルは溶接によって光電子パッケージハウジングに対して固定されている。
【0008】
本発明のさらなる態様に従って、光学アセンブリが提供される。該光学アセンブリは:基体および該基体上の光電子部品を含む光電子パッケージと;該光電子パッケージが中に配置された光電子パッケージハウジングであって、光電子パッケージがその上に取り付けられた基台を含み、かつ該基台が亜鉛またはその合金から構成された、パッケージハウジングと;レセプタクルハウジングを含む光レセプタクルと;を含む。光レセプタクルは光電子パッケージハウジングに対して固定されている。
【0009】
本発明の例示的態様では、光レセプタクルハウジングは亜鉛またはその合金から構成することができる。光レセプタクルはレーザ溶接によって、光電子パッケージハウジングに対して固定され得る。光学アセンブリはさらに、光レセプタクルの周囲に配置された位置合せスリーブを含んでもよく、その場合、位置合せスリーブは光レセプタクルおよび光電子パッケージハウジングにレーザ溶接され、溶接前に、位置合せスリーブは、光ファイバの長手方向および/または横方向に沿って、光ファイバを光電子部品に整列させることができる。光レセプタクルは光電子パッケージハウジングにレーザ溶接されることが有利であり得る。他の態様では、光電子パッケージハウジングは、そこに圧入された金属リングをさらに含んでもよく、その場合、光レセプタクルは金属リング部でレーザ溶接される。光電子パッケージはそれ自体気密封止され得る。光電子パッケージハウジングは、パッケージ基台上のパッケージ蓋を含み得、その場合、光電子パッケージはハウジング基台上に取り付けられる。光電子パッケージは、光電子部品が配置される容積を密閉する、基体に取り付けられた単結晶シリコンを含む蓋を含み得る。光電子パッケージの基体は、第1表面および第1表面の反対側の第2表面であってその中に局所的薄化領域を有する第2表面;ならびに局所的薄化領域で基体を貫通して第1表面まで延びる複数の導電性マイクロビア;を含むことができ、光電子デバイスは導電性マイクロビアに接続される。さらになお、光学アセンブリは光電子パッケージに取り付けられたフレックス回路を含んでもよい。光学アセンブリはTO−can光学アセンブリのドロップイン交換品を形成することが有利であり得る。光学アセンブリは、4ミリ以下の直径を有するような寸法であり得る。さらなる態様では、光レセプタクルはMUまたはLC光ファイバコネクタに対して接続可能かつ適合可能である。さらなる態様では、光アイソレータが光電子パッケージハウジングまたは光レセプタクルに取り付けられ得る。さらなる態様では、光ファイバがレセプタクルハウジング内に配置され得る。
【0010】
本発明のさらなる態様に従って、例えば上述したような光学アセンブリを形成する方法が提供される。該方法は:(a)単結晶シリコンを含む基体と基体上の光電子部品とを含む光電子パッケージを提供することと;(b)光電子パッケージが中に配置された光電子パッケージハウジングを提供することと;(c)レセプタクルハウジングを含む光レセプタクルを提供することと;(d)光レセプタクルを光電子部品に能動的に位置合せさせるステップと;(e)(d)の後に光レセプタクルを光電子パッケージハウジングに対して溶接により固定すること;を含む。
【0011】
本発明のさらなる態様に従って、例えば上述したような光学アセンブリを形成する方法が提供される。かかるさらなる態様の一つでは、該方法は:(a)単結晶シリコンを含む基体と基体上の光電子部品とを含む光電子パッケージを提供することと、(b)光電子パッケージが中に配置された光電子パッケージハウジングであって、光電子パッケージがその上に取り付けられる基台を含み、該基台が亜鉛またはその合金から構成されたパッケージハウジングを提供することと;(c)レセプタクルハウジングを含む光レセプタクルを提供することと;(d)光レセプタクルを光電子部品に能動的に位置合せさせるステップと;(e)(d)の後に光レセプタクルを光電子パッケージハウジングに対して固定するステップと;を含む。
【0012】
本発明のさらなる態様に従って、送信光学サブアセンブリ(TOSA)が提供される。該サブアセンブリは:基体および該基体上の光電子部品を含む光電子パッケージと;該光電子パッケージが中に配置された光電子パッケージハウジングと;レセプタクルハウジングを含む光レセプタクルと;を含み、該サブアセンブリは次の特徴の2つ以上を有する:(a)10Gb/s以上のデータレート(data rate)で動作するのに適する;(b)4mm未満の直径および14mm未満の長さを有する;または、(c)8以上のリードをサポートすることのできる電気配線密度を有する。
【0013】
本発明のさらなる態様に従って、上述したような光学アセンブリまたはTOSAを含む送受信機が提供される。
【0014】
本明細書で使用する場合、「上」は、介在する層または構造の存在または不在を包含する。「微細構造」は、必ずしもウェハレベルではないが、典型的にはウェハレベルにおける微細加工またはナノ加工プロセスによって形成された構造を指す。「ウェハレベル」とは、複数のダイが同一基体または基体部分から形成される場合に、例えば完全なウェハまたはその一部分を含め、複数のダイがそこから形成される任意の基体で行なわれるプロセスを指す。「金属」は、元素金属、例えば亜鉛金属と指定しない限り、金属合金を包含する。
【0015】
本発明について、添付の図面を参照しながら説明する。図面において、同様の参照番号は同様の特徴を表わす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明について、ここで、本発明に関する例示的TOSA光学アセンブリ1を等角図、断面図、および分解組立図でそれぞれ示す、図1〜3を参照しながら説明する。図示する光学アセンブリはTOSAであるが、光学アセンブリがROSAのみならず、送受信機光学アセンブリにも適用することができることは明らかである。光学アセンブリ1は光電子パッケージ3を含む。光電子パッケージは、様々な表面特徴がその中および/または上に形成される上面7を有する基体5を含む。基体5は典型的に、例えばシリコン、例えば<100>単結晶シリコン、シリコン−オン-インシュレータ(SOI)、ガリウムヒ素、リン化インジウム、もしくはニオブ酸リチウムのような、ウェハまたはチップの形態を取ることのできる半導体材料から、またはセラミック、ポリマ、もしくは金属から形成される。典型的に基体は、単結晶シリコンまたは単結晶シリコン−オン−インシュレータ(SOI)、例えば<100>単結晶シリコンから形成される。1以上の光電子部品2、9および任意選択的に1以上の光学部品、例えばボールレンズ11は、基体上面7に結合される。光電子パッケージに用途を見出す典型的な光電子デバイスは例えば、端面発光型レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)、およびポンプレーザのようなレーザダイ、センサ、ならびに光検出器を含む。図示するアセンブリは、レーザダイ9およびモニタフォトダイオード2を含む。光電子パッケージ3で有用な典型的な光学部品は例えば、光ファイバ、例えばボールレンズのようなレンズ、成形ガラスレンズ、光学フィルタ、および光アイソレータを含む。光電子パッケージに用途を見出す典型的な電気デバイスは例えば抵抗器、インダクタ、コンデンサ、トランスインピーダンス増幅器、ならびに制御インピーダンス伝送線およびトレースを含む。
【0017】
基体上面7は、様々な部品を保持するためにその中またはその上に形成された1以上の表面特徴を含む。表面特徴は例えば、光ファイバを保持するためのV字形またはU字形溝のような溝、ボールレンズのようなレンズを保持するための孔8、および光電子部品9の電気的接続のための金属特徴を含み得る。典型的な金属特徴は例えば、光電子部品9がはんだ付けされるコンタクトパッド、金属線、メタライズビア15、および電源に接続するためのボンディングパッドを含む。溝および孔は、公知のマスキングならびにウェットおよび/またはドライエッチング技術を使用して形成することができる一方、メタライズ構造は、スパッタリング、蒸着、メッキ、および/またはエッチング技術によって形成することができる。
【0018】
図4〜5に示す通り、例示的光電子パッケージ3では、基体5はその表面に局所的薄化領域13、金属線18、および局所的薄化領域で光電子部品9(図示しないモニタフォトダイオード)への電気的接続性をもたらすために基体を貫通する複数の導電性マイクロビア15を有する。図示するとおり、光電子部品9は、局所的薄化領域および導電性ビア15が形成された表面とは反対側の基体表面上に配置され得る。代替的に、電子デバイスは、ビアを含む基体5に封止される蓋17を形成する別個の基体上に配置され得る。パッケージ蓋17は、光電子部品9が配置される容積20を密閉する。該容積は典型的に気密封止される。蓋は上述した材料から形成され得る。パッケージの蓋または他の部分は、光がパッケージに入出することを可能にする光貫通接続、例えば窓または蓋の材料自体の一部分のような光貫通接続を含む。蓋および基体の両方が単結晶シリコン材から形成され得るように、典型的に蓋17は、<100>単結晶シリコンのような単結晶シリコンまたは単結晶シリコン−オン−インシュレータ(SOI)から形成される。
【0019】
光電子パッケージ3への電気的接続は、任意の公知の手段によって達成することができる。例示的実施形態では、フレックス回路19がこの目的のために設けられるが、セラミックまたは繊維ガラス配線板のような別の好適なキャリアを使用してもよい。フレックス回路のボンディングパッド21は、光電子パッケージ3の下面の対応するボールグリッドアレイソルダ部位にはんだ付けされ、それらは導電性マイクロビア15および光電子デバイス9に電気的に接続される。マイクロビアおよびソルダボールの組合せは高密度の電気配線構造をもたらし、12本またはそれ以上の電気配線を有する小型OSAを可能にする。
【0020】
再び図1〜3を参照すると、光電子パッケージ基台23が設けられ、その上に光電子パッケージ3が配置される。パッケージ基台は、例えば、機械加工、射出成形のような成形、ダイカスト、金属射出成形、または打抜き成形された金属および合金または熱伝導性プラスチックをはじめとするプラスチックから構成され得る。パッケージ基台は、亜鉛またはその合金、例えばZA−8合金(8重量%がアルミニウム)のような亜鉛アルミニウム合金から有利に構成することができる。はんだ付け性を向上する目的で、パッケージ基台23および/またはパッケージハウジングの他の部分を、例えば金でオーバコートされたニッケル、または金でオーバコートされたニッケルでオーバコートされた銅、または他の好適なコーティングもしくはメッキのように、1層またはそれ以上の金属層でコーティングすることが望ましい場合もあり得る。上述の通り亜鉛または亜鉛合金を本発明の光学アセンブリのパッケージ基台23および様々な他の部品に使用することにより、優れた伝熱性および機械的(例えば強度および剛性)特性を有する低コスト材料がもたらされるので、好都合である。例えばZA−8亜鉛合金の熱伝導率は約115W/mKであるのに対して、KOVAR合金の場合はわずか17W/mKである。さらに、典型的な亜鉛合金はダイカストすることができ、成形されるパーツの低コスト化を助長し、かつレーザ溶接可能である。
【0021】
光電子パッケージカバー25は光電子パッケージ3を密閉するために設けられ、取扱いおよび/または環境要因からの保護を提供する。カバー25はパッケージ基台に関連して上述した材料から形成することができ、典型的に、パッケージ基台23に取り付けられる打抜き成形された金属から形成される。パッケージ基台23およびカバー25は同一または異なる材料から形成することができる。カバー25は典型的にステンレス鋼、亜鉛、またはその合金から形成される。取付けは、カバー25を基台23にスナップ嵌合することによって、またははんだ付けもしくは結合技術のような他の技術によって行うことができる。
【0022】
パッケージ基台23およびパッケージカバー25は光電子パッケージ3用のハウジングを形成する。本質的に、パッケージ内の光電子パッケージが提供される。パッケージハウジングは、例えば光学アセンブリを組み立てるときの位置合せ、光電子デバイスによって発生する望ましくない熱を除去する放熱、フレックス回路19からの応力を解放する歪み除去、光電子パッケージ3の機械的保護、プリント配線板または他の電子基体への取付け能力、および後で行なわれるはんだ付けプロセス中の先に形成されたはんだ接合のはんだリフローを防止する熱分離を含め、1以上の機能を提供する。光電子パッケージハウジングはモノリシック構造の形態、または例示的構造に示すようにパッケージ基台23およびカバー25のような複数の部材の形を取ることができる。
【0023】
光学パッケージハウジングは任意に、1以上の上記光学部品(例えば光ファイバ、ボールレンズのようなレンズ、フィルタ、および光アイソレータ49)のような、1以上の部品を保持するための装備を含むことができる。かかる構造は、より小さい設置面積を有し、かつ/または改善された製造能力を達成するパッケージを可能にし得る。図2および3は例えば、パッケージハウジングに組み込まれたガーネット28、磁石30、およびアイソレータ基体4を含む光アイソレータ49を示す。上述の光アイソレータ49または他の光学部品は、任意選択的に光学アセンブリの別の部分に、例えばフェルールレセプタクルのような光レセプタクル33に取り付けられてもよい。
【0024】
光電子パッケージハウジングは、フレックス回路19がそこを通して気密包封体内に入る開口、例えばスロット29を含み得る。例示的構造におけるスロット29は、パッケージ基台23とカバー25との間の開口によって形成される。フレックス回路19の周囲のスロット29の空き領域は、例えばエポキシすなわち接着剤31で封止され得る。かかる封止は気密包封体の提供を可能にし、かつさらに、可撓性回路の歪み除去をもたらし、デリケートなはんだ接続を保護することができる。
【0025】
本発明の光学アセンブリはさらに、光レセプタクル33を含む。光レセプタクルは、光コネクタ(図示せず)に、例えば光ファイバフェルールを含む光ファイバコネクタに光学的かつ機械的に嵌合するために提供される。光コネクタは、例えば光ファイバピグテールに取り付けられ得る。図示するように、光レセプタクル33は光フェノールレセプタクルであってもよいが、それに限らない。図示するように、光レセプタクル33はレセプタクルハウジング35を含み、それは外側を金属から構成され、かつ典型的に光コネクタとの位置合せのためにセラミック割スリーブ36を含む。レセプタクルハウジング35は例えばステンレス鋼から、または好ましくは亜鉛もしくはその合金、亜鉛アルミニウム合金(例えばZA−8合金のような亜鉛アルミニウム合金)から構成され得る。ハウジングまたはその一部分を、金でオーバコートされたニッケル、ニッケルでオーバコートされた銅、または他の適切なコーティングもしくはメッキのように、1層またはそれ以上の金属層でコーティングすることが望ましい場合もある。光レセプタクル33は、例えば京セラ株式会社から商業的に入手可能なもののような、中の光ファイバスタブ39の長さを持つ両面研磨フェルールスタブ37を含み得る。さらに、光レセプタクルはフェルールまたはファイバを含まないものであることが想定される。光学ハウジングは例えばファイバ以外の光学要素、例えば光レセプタクル内に光を集束またはコリメートさせるためのレンズを含み得る。
【0026】
光レセプタクル33は直接または間接的にパッケージハウジングに接続され得る。図示した光学アセンブリ1では、レセプタクル33とパッケージハウジングとの間の間接接続がZスリーブ41によってもたらされる。Zスリーブは、光レセプタクル33の長手軸に沿った光レセプタクルと光電子部品9との間の能動的な光学的位置合せを可能にするために設けられる。光レセプタクルおよびZスリーブは、例えばレーザ溶接によって相互に固定されるまで、この長手軸に沿って相互に摺動係合状態にある。光レセプタクルとは反対側のZスリーブの表面43は、パッケージハウジングの表面45に接合するように設けられる。例示的構造では、接合面45はパッケージハウジングの基体基部側にあり、光信号を通過させるためにアパーチャ47が設けられたリング形状を有する。Zスリーブの表面43は、例えばレーザ溶接によって相互に固定されるまで、パッケージハウジングの接合面45と摺動接触状態にあり、それに対して横方向(xy方向)に可動である。光学アセンブリはさらに、パッケージハウジングと光レセプタクルとの間の光路に、窓(典型的にガラス)を含み得る。例示的アセンブリは筒状の形で図示されているが、矩形のような他の形状およびそれらの組合せを使用してもよいことは明らかである。
【0027】
光学アセンブリ1はさらに、様々な部品間の受動的位置合せを可能にする表面特徴を含み得る。例えば、フレックス回路19を受動的に位置決めするための位置合せピン、および光学パッケージ3を受動的に位置決めするためのパッケージ基台23中にトレンチおよび/または隆起領域を設けてもよい。
【0028】
上述の通り、光電子パッケージ基台23、カバー25、レセプタクル33を含む光学ハウジング、および光学アセンブリの他のパーツを作製するために亜鉛または亜鉛合金、例えばZA−8合金のような亜鉛アルミニウム合金を使用することにより様々な利点、例えばその低コストおよびKOVAR合金と比較して優れた熱伝導率のような様々な利点がもたらされる。亜鉛および亜鉛合金から製造することのできる記載した光学アセンブリの例示的な他の部品として、セラミックスリーブ36とファイバスタブ39を含むファイバフェルール37とを一体に保持し、光フェルールレセプタクル、Zスリーブ41等のような位置合せスリーブなどを備えた、レセプタクルハウジング35およびレセプタクル保持器38のようなレセプタクルパーツが挙げられる。亜鉛または亜鉛合金からかかるパーツを形成する能力は結果的に、材料費および例えば亜鉛ダイカスト鋳造に関連する製造コストの両方の観点から、著しいコスト削減を達成し得る。
【0029】
図6A〜Bは、本発明のさらなる態様に関する例示的光学アセンブリの断面図および端面図を示す。このアセンブリでは、光電子パッケージ基体23は、優れた熱伝導特性を示す、金属射出成形(MIM)またはダイカスト鋳造に適合する亜鉛、銅、それらの合金、または他の材料から形成することができる。かかる材料は低コストであることも望ましい。上述の通り、はんだ付け性の目的のために、1以上の金属コーティングまたはメッキを設けることができる。レーザ溶接のためにより高コストの材料を使用することが望ましい場合、レーザ溶接可能な材料、例えばKOVAR合金またはステンレス鋼のリング47を、光レセプタクルが溶接される光電子パッケージ基台23の表面に固着させることができる。リング47は、例えばパッケージ基台23に圧入することができる。このようにして、より高価な溶接可能な材料の量を最小化し、したがって低コストの溶接可能なパッケージハウジングをもたらしながら、材料費を低減することができる。かかるリング構造は、溶接される光学アセンブリの他の部品にも同様に使用することができる。
【0030】
本発明の光学アセンブリは、例えば既存のTO−can基本設備を使用するYAGレーザ溶接によって、光学的に位置合せして溶接されることが有利であり得る。例えば図1〜3の上述した光学アセンブリの場合、光レセプタクル33はその長手軸(z方向)に沿って光電子部品9に対して移動可能である一方、レセプタクルはZスリーブ41と一緒に、xy方向に光電子パッケージハウジングの正面45に沿って横方向に摺動することができる。光レセプタクルをz方向に能動的に位置合せした後、レセプタクルをZスリーブ41にレーザ溶接することができる。次にレセプタクルおよびZスリーブ41をxy方向に能動的に位置合せすることができ、ひとたび位置合せされると、Zスリーブ41をパッケージハウジング表面45にレーザ溶接することができる。
【0031】
例示的光学アセンブリの動作について、ここで、図1および4を参照しながら説明する。TOSAデバイス1を実施例として使用すると、送信データ信号は、フレックス回路19の伝送線に沿って、フレックス回路を光電子パッケージ基台5の下面に接続するはんだ接続を介し、マイクロビア15を介し、パッケージ基台の上面7に配置された伝送線18に沿って、レーザダイオードのような光電子デバイス9まで伝搬する。変調レーザ光信号はレンズ11によって集められ、フェルール37と接合するようにレセプタクル33内に挿入される接合フェルール(図示せず)と接続するために、光レセプタクル33のセラミックフェルール37内のファイバスタブ39内に集束され結合される。
【0032】
さらなる態様では、本発明は、高いデータレートで、例えば10Gb/sまたはそれ以上、例えば25から40Gb/sで動作するのに適しており、かつ例えば4mm未満の直径および例えば14mm未満の長さを有する小型縮小サイズのTOSAの製造を可能にする。さらに、光学アセンブリは、12本までまたはそれ以上のリードをサポートすることのできる電気配線密度を有することができる。TOSAは、新興のSFP+フォームファクタのような、高データレート小フォームファクタの送受信機内で使用することができる。小型TOSAは任意選択的に、より低いデータレートのSFP型送受信機内で現在使用されている単一モードTOSAのための、より高いデータレートのドロップイン交換品として使用することができる。
【0033】
本発明の光学アセンブリは、光ポート密度の増加を可能にする。例えば図7は、本発明に関する例示的送受信機50の背面等角図を示す。該送受信機は、細いMU光ファイバコネクタを利用した小型TOSAを組み込んでいる。該送受信機は典型的なベイルラッチ機構51およびホットプラグ可能コネクタ52を含む。該送受信機は、例えば4.5mm間隔および11.2mm幅の送信器対受信器光ポート53を有することができる(米国電気通信工業会文書(Telecommunications Industry Association document)TIA−604−17、「Fiber Optic Connector Intermateability Standard,Type MU」を参照されたい)。図8は、図7に示したのと同じ送受信機50の正面等角図を示す。SFP送受信機の幅は典型的に13.5mmであるので、MUデバイスはリニアポート密度が約17%増加する。面密度のさらなる改善は、送受信機の高さの低減によって実現することができる。
【0034】
図9は、MUベースの送受信機50に取り付けられた上記光学アセンブリ1の等角図を示す。該送受信機は、TOSA1およびROSA56を横方向におよび光軸に沿って位置決めするクレードル54を組み込んでいる。
【0035】
図10は、例えば送受信機プリント配線板(PCB)縁部からTOSA1の後部までの距離を最小化することによって、使用可能なPCB領域を最大化することのできる構成で、MU送受信機50中の上述の光学アセンブリ1を、可撓性回路19を介して送受信機プリント配線板(PCB)58に接続する状態を示す。このデバイスでは、電気信号はPCB上のレーザドライバ集積回路により発生し、可撓性回路19、シリコンパッケージ5、およびマイクロビア15を介して、伝送線18を伝搬し、レーザ9を駆動する。
【0036】
本発明をその特定の実施形態に関連して詳述したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変化および修正を施すことができ、かつ均等物を使用することができることは、当業者には明白である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に関する例示的光学アセンブリの等角図を示す。
【図2】図1に示した例示的光学アセンブリの断面図を示す。
【図3】図1に示した例示的光学アセンブリの組立分解図を示す。
【図4】図1に示した光学アセンブリに含まれる例示的光電子パッケージを示す。
【図5】図4の光電子パッケージの例示的光電子パッケージ基体の等角図を示す。
【図6A】本発明に関する例示的光学アセンブリの断面図を示す。
【図6B】本発明に関する例示的光学アセンブリの端面図を示す。
【図7】本発明に関する例示的送受信機の背面等角図を示す。
【図8】本発明に関する図7に示す例示的送受信機の前面等角図を示す。
【図9】図7に示した例示的送受信機の例示的TOSAおよびROSAの等角図を示す。
【図10】本発明に関する、フレックス回路を備えたプリント配線板に接続された例示的TOSAの等角図を示す。
【符号の説明】
【0038】
1 光学アセンブリ
2 モニタフォトダイオード
3 光電子パッケージ
4 アイソレータ基体
5 基体
7 基体上面
8 レンズを保持するための孔
9 光電子部品
11 ボールレンズ
13 局所的薄化領域
15 メタライズビア
17 蓋
18 金属線
19 フレックス回路
20 容積
21 ボンディングパッド
23 光電子パッケージ基台
25 光電子パッケージカバー
28 ガーネット
29 スロット
30 磁石
31 接着剤
33 光レセプタクル
35 レセプタクルハウジング
36 セラミック割スリーブ
37 両面研磨フェルールスタブ
38 レセプタクル保持器
39 光ファイバスタブ
41 Zスリーブ
43 Zスリーブの表面
45 パッケージ筐体の表面
47 アパーチャ
49 光アイソレータ
50 送受信機
51 ベイルラッチ機構
52 ホットプラグ可能コネクタ
53 送信器対受信器光ポート
54 クレードル
56 ROSA
58 送受信機プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコンを含む基体および該基体上の光電子部品を含む光電子パッケージと;
前記光電子パッケージが中に配置された光電子パッケージハウジングと;
レセプタクルハウジングを含む光レセプタクルと;
を含み、
前記光レセプタクルが溶接によって前記光電子パッケージハウジングに対して固定されている、光学アセンブリ。
【請求項2】
基体および該基体上の光電子部品を含む光電子パッケージと;
前記パッケージが中に配置された光電子パッケージハウジングであって、前記光電子パッケージがその上に取り付けられた基台を含み、かつ前記基台が亜鉛またはその合金から構成された、パッケージハウジングと;
レセプタクルハウジングを含む光レセプタクルと;
を含み、
前記光レセプタクルが前記光電子パッケージハウジングに対して固定されている、光学アセンブリ。
【請求項3】
前記光レセプタクルハウジングが亜鉛またはその合金から構成される、請求項1または2記載の光学アセンブリ。
【請求項4】
前記光レセプタクルの周囲の配置された位置合せスリーブをさらに含み、前記位置合せスリーブが前記光レセプタクルおよび前記光電子パッケージハウジングにレーザ溶接され、溶接の前に前記位置合せスリーブが光ファイバの長手方向および/または横方向に沿って光ファイバを前記光電子部品に整列させることを可能にする、請求項1から3のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項5】
前記光レセプタクルが前記光電子パッケージハウジングにレーザ溶接される、請求項1から4のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項6】
前記光電子パッケージハウジングがそれに圧入された金属リングをさらに含み、前記光レセプタクルが前記金属リング部でレーザ溶接される、請求項1から5のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項7】
前記光電子パッケージハウジングまたは前記光レセプタクルに取り付けられた光アイソレータをさらに含む、請求項1から6のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項8】
前記光電子パッケージハウジングがパッケージ基台上のパッケージ蓋を含み、前記光電子パッケージが前記ハウジング基台に取り付けられる、請求項1から7のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の光学アセンブリを含む送受信機。
【請求項10】
基体および該基体上の光電子部品を含む光電子パッケージと;
前記光電子パッケージが中に配置された光電子パッケージハウジングと;
レセプタクルハウジングを含む光レセプタクルと;
を含む送信光サブアセンブリであって、
次の特徴の2つ以上を有する送信光サブアセンブリ:
(a)10Gb/s以上のデータレートで動作するのに適する;
(b)4mm未満の直径および14mm未満の長さを有する;または
(c)5本以上のリードをサポートすることのできる電気配線密度を有する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−304903(P2008−304903A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−83742(P2008−83742)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】