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光学ガラス、プリフォーム及び光学素子
説明

光学ガラス、プリフォーム及び光学素子

【課題】可視領域に対する透明性が高く、且つガラスの作製時及び加工時に失透や曇りが生じ難く、研磨加工によるプリフォーム材や光学素子の作製を行い易い光学ガラスと、これを用いたプリフォームを提供する。
【解決手段】酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でBi成分を70.0%以上90.0%以下、B成分を6.0%以上20.0%以下及びSiO成分を0%超20%以下の成分をそれぞれ含有することを特徴とする光学ガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器をはじめ、各種光学機器に用いられるレンズ等の光学素子に対する高精度化、軽量、及び小型化の要求は、ますます強まっている。
【0003】
光学素子を作製する光学ガラスの中でも特に、光学素子の軽量化及び小型化を図ることが可能な所望な高い屈折率(n)及びアッベ数(ν)を有し、高屈折率及び高分散を有するガラスの需要が非常に高まっている。
【0004】
こうした光学素子の製造には、ガラス材料を加熱軟化してプレス成形(リヒートプレス成形)して得られた成形ガラスを研削及び研磨する方法や、ゴブ又はガラスブロックを切断し研削及び研磨したプリフォーム材、若しくは公知の浮上成形等により成形されたフォーム材を加熱軟化して、高精度な成形面を持つ金型でプレス成形する方法(精密プレス成形)が用いられている。
【0005】
また、高い部分分散比(θg,F)を有する光学ガラスは、アッベ数(νd)が低いほど可視光に対する透明性が低く(λ70の値が大きく)なるため、黄色や橙色に着色し、可視領域の光を透過させる用途には適さない。
【0006】
一方、特許文献1〜特許文献3には、所望のアッベ数、部分分散比及び分光透過率を有する光学ガラスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−42556号公報
【特許文献2】特開2011−93731号公報
【特許文献3】特開2009−149521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜特許文献3で開示されたガラスは、アッベ数(ν)が低いほど可視光に対する透明性が低く(λ70の値が長く)、アッベ数(ν)の低いガラスは黄色や橙色に着色している。そのため、特許文献1〜特許文献3で開示されたガラスは、所望の屈折率及び高分散を有していても、可視領域の光を透過させる用途には適さない。また、特許文献1〜特許文献3に開示された光学ガラスは、ガラスを作製する際に失透が発生し易い問題点があった。さらに、ガラスを作製した際の失透を免れたガラスは、リヒートプレスによりプレス成形されたガラスを研磨加工する際や、ガラスを研磨加工してプリフォーム材を作製する際に、曇りが生じ易い問題点があった。ひとたび失透や曇りが生じたガラスからは、特に可視領域の光を制御するような光学素子を作製することが困難であった。また、着色したガラスは、可視域の波長における光線透過率が低下しているため、光学素子の材料として適切なものではなかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、Bi成分の含有量、B成分の含有量及びSiO成分の含有量の含有量を所定の範囲内にすることによって、高い屈折率(n)、低い部分分散比(θg,F)及び所望の範囲内のアッベ数(νd)を有しながらも、分光透過率(5%)、分光透過率(70%)が短波長側に波長を有し、可視領域に対する透明性が高く、且つガラスの作製時及び加工時に失透や曇りが生じ難く、研磨加工によるプリフォーム材や光学素子の作製を行い易い光学ガラスと、これを用いたプリフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意試験研究を重ねた結果、Bi成分の含有量及びB成分の含有量及びSiO成分の含有量を所定の範囲内にすることによって、光学ガラスの屈折率(n)、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)を所望の範囲に有しながらも、分光透過率(5%)及び分光透過率(70%)を示す波長が短波長側に有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の実施形態に係る光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でBi成分を70.0%以上90.0%以下、B成分を6.0%以上20.0%以下及びSiO成分を0%超20%以下の成分をそれぞれ含有することを特徴とする。
【0012】
前記光学ガラスにおいて、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でBi成分とB成分とSiO成分とを合計で90.0%以上含有してもよい。
【0013】
前記光学ガラスにおいて、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でBi成分とNb成分とZrO成分とを合計で70.0%以上含有してもよい。
【0014】
前記光学ガラスにおいて、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でMgO成分、CaO成分、SrO成分、BaO成分及びZnO成分のうちいずれか1種以上が0%を超えて含有してもよい。
【0015】
前記光学ガラスにおいて、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で、LiO成分 0〜8.0%、NaO成分 0〜8.0%、KO成分 0〜8.0%、Al成分 0〜10.0%、ZrO成分 0〜10.0%、Ta成分 0〜10.0%、WO成分 0〜10.0%、La成分 0〜10.0%、Gd成分 0〜10.0%、Y成分 0〜10.0%、Yb成分 0〜10.0%、P成分 0〜10.0%、Sb成分 0〜5.0%の各成分をさらに含有してもよい。
【0016】
前記光学ガラスにおいて、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でTeO成分を0%以上5%以下含有してもよい。
【0017】
前記光学ガラスにおいて、厚み10mmのサンプルで分光透過率(5%)を示す波長(λ)が350nm以上450nm以下であり、厚み10mmのサンプルで分光透過率(70%)を示す波長(λ70)が380nm以上500nm以下であってもよい。
【0018】
前記光学ガラスにおいて、部分分散比(θg,F)が0.63以上0.67以下であってもよい。
【0019】
前記光学ガラスにおいて、屈折率(n)が1.95以上であり、アッベ数(ν)が15以上25以下であってもよい。
【0020】
本発明の実施形態に係る精密プレス成形用のプリフォームは、前記いずれか一に記載の光学ガラスからなることを特徴とする。
【0021】
本発明の実施形態に係る光学素子は、前記いずれか一に記載の光学ガラスを含んでなることを特徴とする。
【0022】
前記光学素子において、前記プリフォームを精密プレスすることにより成形されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、Bi成分の含有量、B成分の含有量及びSiO成分の含有量の含有量を所定の範囲内にすることによって、所望の屈折率(n)、低い部分分散比(θg,F)及び所望の範囲内のアッベ数(ν)を有しながらも、分光透過率(5%)、分光透過率(70%)が短波長側に波長を有し、可視領域に対する透明性が高く、且つガラスの作製時及び加工時に失透や曇りが生じ難く、研磨加工によるプリフォーム材や光学素子の作製を行い易い光学ガラスと、これを用いたプリフォームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例及び比較例に係る光学ガラスにおいて、屈折率(n)と分光透過率(5%)との関係を示す図である。
【図2】本発明の実施例及び比較例に係る光学ガラスにおいて、屈折率(n)と分光透過率(70%)との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施例及び比較例に係る光学ガラスにおいて、屈折率(n)とアッベ数(ν)との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例及び比較例に係る光学ガラスにおいて、部分分散比(θg,f)と分光透過率(5%)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でBi成分を70.0%以上90.0%以下、B成分を6.0%以上20.0%以下及びSiO成分を0%超20.0%以下それぞれ含有することによって、屈折率(n)が1.95以上、部分分散比(θg,F)が0.63以上0.67以下、アッベ数(νd)が15以上25以下を有しながらも、分光透過率(5%)を350nm以上450nm以下、分光透過率(70%)を380nm以上500nm以下にすることができる。これによって、分光透過率(5%)及び分光透過率(70%)が短波長側に波長を有し、可視領域に対する透明性が高く、且つガラスの作製時及び加工時に失透や曇りが生じ難く、研磨加工によるプリフォーム材や光学素子の作製を行い易い光学ガラスと、これを用いたプリフォームを提供することができる。
【0026】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々な態様で実施することができる。
【0027】
[ガラス成分]
本発明の実施形態に係る光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。各成分は酸化物換算組成の全質量に対する質量%にて表現する。ここで「酸化物基準」とは、本発明の実施形態に係るガラス構成成分の原料として使用される酸化物、硝酸塩等が溶融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の質量の総和を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
【0028】
<必須成分、任意成分について>
SiO成分は、ガラスの安定性を向上して失透を低減させる成分であり、且つガラスの低分散化を図る効果、透過率、科学的耐久性、摩耗度の向上及び液相温度に対する粘性を高くする効果のある成分であり、本発明の実施例に係る光学ガラスの必須成分である。しかしながら、SiO成分の含有量が多すぎると、ガラスの屈折率(n)や部分分散比が低下し易く、ガラスの溶融性も悪化し易い。従って、SiO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは20.0%以下、より好ましくは10.0%より少なく、さらに好ましくは6.0%以下、最も好ましくは3.0%以下を上限とする。一方、SiO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%を超え、より好ましくは1.0%、最も好ましくは1.5%を下限とする。SiO成分は、原料として例えばSiO等を用いてガラス内に含有することができ、石英ガラス坩堝を用いてSiOを含有させる事もできる。
【0029】
成分は、ガラスの安定性を向上して失透を低減し、且つガラスの部分分散比を高く維持して、化学的耐久性を向上させる効果のある必須成分である。しかしながら、B成分の含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下し易くなって失透が発生し易くなり、且つガラスが低屈折率化及び低分散化し易くなる。従って、B成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%、最も好ましくは17.0%を上限とする。一方、B成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは6.0%、より好ましくは7.0%、最も好ましくは11.0%を下限とする。B成分は、原料として例えばHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0030】
Al成分は、ガラスの化学的耐久性や機械的強度、摩耗度の向上及び液相温度に対する粘性を高くするために有用な任意成分である。しかしながら、Al成分の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が低下し易くなり失透性が増し、ガラス屈伏点を高くする傾向にある。従って、Al成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。Al成分は、原料として例えばAl、Al(OH)等を用いてガラス内に含有することができる。
【0031】
成分は、ガラスを低分散化して、高屈折率化するために有用な任意成分である。しかしながら、その含有量が多すぎるとガラス安定性を低下させやすくなる。したがって、Y成分の含有量については、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。
【0032】
La成分は、ガラスを低分散化して、高屈折率化するために有用な任意成分である。しかしながら、その含有量が多すぎるとガラス安定性を低下させやすくなる。したがって、La成分の含有量については、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。
【0033】
Gd成分は、ガラスを低分散化して、高屈折率化するために有用な任意成分である。しかしながら、その含有量が多すぎるとガラス安定性を低下させやすくなる。したがって、Gd成分の含有量については、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。
【0034】
Yb成分はガラスを低分散化して、高屈折率化するために有用な任意成分である。しかしながら、その含有量が多すぎるとガラス安定性を低下させやすくなる。したがって、Yb成分の含有量については、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。
【0035】
成分、La成分、Gd成分及びYb成分は、ガラスの化学的耐久性の向上に効果があり、任意に添加し得る成分であるが、その量が多いと分散が低分散になる傾向があり、耐失透性も増加しやすくなる。しかしながら、これらの含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下して可視領域の光に対する透過率が低下し易くなる。また、Ln成分(式中、Lnは、Y、La、Gd及びYbからなる群より選択される1種以上である)の質量和は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。ガラス成分のY成分、La成分、Gd成分及びYb成分は、原料として例えばLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)、Gd、Y、Yb等を用いることができる。
【0036】
TiO成分は、ガラスの屈折率(n)、部分分散比を高めるためには効果的な任意成分である。しかしながら、その含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下して透過率が低下し易くなる。従って、TiO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。TiO成分は、原料として例えばTiO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0037】
ZrO成分は、ガラスの化学的耐久性や機械的強度を向上するために有用な任意成分である。しかしながら、ZrO成分の含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下して透過率が低下し易くなる。従って、ZrO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。一方、ZrO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%、より好ましくは0.2%、最も好ましくは0.3%を下限とする。ZrO成分は、原料として例えばZrO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0038】
Nb成分は、ガラスの屈折率(n)、部分分散比の向上、ガラスの失透性を改善させるために有用な必須成分である。しかしながら、Nb成分の含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下して透過率が低下し易くなる。従って、Nb成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは0.6%を上限とする。一方、Nb成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%、より好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%を上限とする。Nb成分は、原料として例えばNb等を用いてガラス内に含有することができる。
【0039】
Ta成分は、ガラスの屈折率(n)を高め、ガラスの安定性を向上するために有用な任意成分である。しかしながら、Ta成分の含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下して透過率が低下し易くなり、且つガラスの原料コストが大幅に上昇する。従って、Ta成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラス内に含有することができる。
【0040】
WO成分は、ガラスの屈折率(n)を高め、ガラスの部分分散比を向上させ、且つ低Tg(ガラス転移点)化を図るために有用な任意成分である。しかしながら、その含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下して透過率が低下し易くなる。従って、WO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。WO成分は、原料として例えばWO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0041】
ZnO成分は、ガラスの化学的耐久性、耐失透性を向上させることに有用な必須成分である。しかしながら、その含有量が多すぎると所望の部分分散比とアッベ数(ν)が得にくくなる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%、最も好ましくは2.0%を上限とする。また、ZnO成分を含有しなくとも、本発明の実施形態において所望の光学特性を有する光学ガラスを作製することはできるが、後述する部分分散比とアッベ数(ν)の調整を容易にするためには、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.9%を下限としてZnO成分を含有する。
【0042】
MgO成分は、ガラスの高分散化と耐失透性の向上に有用な任意成分である。しかしながら、MgO成分の含有量が多すぎると、ガラスの安定性、可視光の透過率が低下し易くなり、且つプレス成形時の再加熱処理によって失透し易くなる。従って、MgO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。MgO成分は、原料として例えばMgO、MgCO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0043】
CaO成分は、透過率、ガラスの低分散化と耐失透性、化学的耐久性の向上に有用な任意成分である。しかしながら、CaO成分の含有量が多すぎると、ガラスの耐失透性が低下し易くなる。従って、CaO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは5.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは0.5%を上限とする。一方、CaO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%を下限とする。CaO成分は、原料として例えばCaCO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0044】
SrO成分は、ガラスの耐失透性の向上に有用な成分である。しかしながら、SrO成分の含有量が多すぎると、耐失透性が低下し易くなる。また、所望の部分分散比やアッベ数(ν)を得ることが困難になる。従って、SrO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは5.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは0.6%を上限とする。一方、SrO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%を下限とする。SrO成分は、原料として例えばSr(NO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0045】
BaO成分は、ガラスの耐失透性の向上に有用な任意成分である。しかしながら、BaO成分の含有量が多すぎると、ガラスの屈折率(n)が得られにくくなり、所望の部分分散比やアッベ数(ν)を得ることが困難になる。従って、BaO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、最も好ましくは1.5%を上限とする。一方、BaO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%を下限とする。BaO成分は、原料として例えばBaCO、Ba(NO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0046】
本発明の実施形態に係る光学ガラスでは、RO成分(RはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる1種又は2種以上)は、ガラスの耐失透性や分散、機械的強度、液相温度に対する粘性等のあらゆる物性を調整するために有用な成分である。しかしながら、RO成分の合計含有量が多すぎると、所望の部分分散比やアッベ数(ν)を得ることが困難になる。従って、RO成分の合計含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%未満、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。一方、RO成分を含有しなくとも、本発明の実施形態における所望の特性を有する光学ガラスを作製できるが、RO成分の少なくともいずれかを含有することで、ガラスの耐失透性を高めながらも、ガラスの部分分散比とアッベ数(ν)の調整及び液相温度に対する粘性を下げることが容易にできる。RO成分の合計含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%を下限とする。
【0047】
LiO成分は、ガラスの安定性を向上させて失透を低減させる成分であり、且つガラスの低Tg化に効果のある任意成分である。しかしながら、LiO成分の含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下し易くなり、高い屈折率(n)が得られにくくなり、部分分散比が低く且つ機械的強度が低下し易くなる。従って、LiO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは8.0%、より好ましくは7.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。LiO成分は、原料として例えばLiCO、LiNO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0048】
NaO成分は、ガラスの失透性を改善させ、ガラスの部分分散比とアッベ数(ν)を調整して、ガラスの低Tg化に効果のある任意成分である。しかしながら、NaO成分の含有量が多すぎると、ガラスの屈折率(n)が下がり、ガラスの安定性が低下し易くなり、ガラスの化学的耐久性及び機械的強度も低下し易くなる。従って、NaO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは8.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。一方、NaO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.002%、最も好ましくは0.003%を下限とする。NaO成分は、原料として例えばNaCO、NaNO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0049】
O成分は、ガラスの失透性を改善させ、ガラスの部分分散比とアッベ数(ν)を調整して、ガラスの低Tg化に効果のある任意成分である。しかしながら、KO成分の含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下し易くなり、ガラスの化学的耐久性及び機械的強度も低下し易くなる。従って、KO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは8.0%、より好ましくは7.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。KO成分は、原料として例えばKCO、KNO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0050】
本発明の実施形態に係る光学ガラスでは、RnO成分(RnはLi、Na及びKから選ばれる1種又は2種以上)の含有量の質量和が、5.0%以下であることが好ましい。この質量和を5.0%以下にすることで、ガラスのアッベ数(ν)を所望の範囲に調整しつつ、ガラスの安定性をより高めて透過率の低下を抑えることができる。特に、RnO成分の質量和を1.0%以下にすることで、部分分散比の低下が抑制されるため、所望の高い部分分散比をより得易くすることができる。従って、RnO成分(RnはLi、Na及びKから選ばれる1種又は2種以上)の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。
【0051】
なお、RO成分及びRnO成分は、ガラスの溶融性と安定性の向上、低Tg化に効果があり、更に可視域におけるガラス透明性の向上に大きな役割を果たすので、これらの成分のいずれかが必要不可欠である。これら成分の1種または2種合計の含有量が少なすぎると効果が見られず、多すぎると液相温度の上昇やガラス安定性が悪くなる。従って、RO及びRnO成分の合計含有量は、好ましくは0%を超え、さらに好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%を下限とする。一方、RO及びRnO成分の合計含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。
【0052】
Sb成分は、ガラスの清澄を促す効果がある任意成分である。しかしながら、その含有量が多すぎると、溶融性の悪化、ガラスの透過率及び耐失透性が低下する。従って、Sb成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、最も好ましくは0.1%を上限とする。一方、Sb成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%、より好ましくは0.002%、最も好ましくは0.005%を上限とする。Sb成分は、原料として例えばSb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラス内に含有することができる。なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤や脱泡剤、或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
【0053】
成分は、ガラスの着色の改善に効果があり、ガラスの透過率を向上するために有用な任意成分である。しかしながら、P成分の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が低下し易くなる。従って、P成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。P成分は、原料として例えばAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、Na(PO)、BPO、HPO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0054】
Bi成分は、ガラスの屈折率(n)を高め、ガラスの部分分散比を大きくし、且つガラスの高分散化に効果がある必須成分である。また、低Tg化、耐水性の向上等にも効果がある成分であり、本発明の実施形態に係る光学ガラスに欠かすことができない成分である。ここで、Bi成分の含有量を70.0%以上にすることで、所望の高い屈折率(n)を有する光学ガラスを得易くすることができる。従って、Bi成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは70.0%、より好ましくは71.0%、最も好ましくは73.0%を下限とする。一方、Bi成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは90.0%、より好ましくは89.0%、最も好ましくは87.0%を上限とすることで、ガラスの安定性が高められるため、ガラスの着色を低減できる。Bi成分は、原料として例えばBi等を用いてガラス内に含有することができる。
【0055】
Bi成分、Nb成分及びZrO成分は併用することで、高い透過率を維持したまま、ガラスの安定化に寄与し、さらに、部分分散比をより一層高めることができる。従って、Bi成分、Nb成分及びZrO成分の合計含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは70.0%、より好ましくは71.0%、さらに好ましくは72.0%、最も好ましくは78%を下限とする。
【0056】
Bi成分、B成分及びSiO成分は、ガラス形成成分であり、ガラスの失透性の低減及び液相温度に対する粘性を高くするのに非常に効果がある成分である。しかしながら、これらの含有量が多すぎると、所望の部分分散比やアッベ数(ν)が得難くなる。従って、SiO成分、B成分及びBi成分の合計質量和は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは90.0%、より好ましくは91.0%、さらに好ましくは92.0%、最も好ましくは96.0%を下限とする。なお、SiOはBと同時に使用することにより、ガラスの液相温度を下げ、耐失透性を向上させ、ガラスの溶融性、安定性及び化学耐久性が増すと共に、可視域における透明性も向上するため、同時に使うのが好ましい。
【0057】
GeO成分は、ガラスの耐失透性、ガラスの屈折率(n)を高め、高い部分分散比の向上に効果がある成分であるが、高価であるために任意に添加し得る成分である。しかしながら、GeO成分の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が低下し易くなる。従って、GeO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。GeO成分は、原料として例えばGeO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0058】
TeO成分は、ガラスの清澄を促し、高屈折率の維持及びガラスの低分散化の効果がある任意成分である。しかしながら、その含有量が多すぎると、ガラスの耐失透性が低下し易くなる。従って、TeO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは5.0%以下、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。一方、TeO成分の含有量は、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、好ましくは0%以上、より好ましくは0.2%、最も好ましくは0.4%を下限とする。TeO成分は、原料として例えばTeO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0059】
CeO成分は、ガラスの光学定数を調整し、ガラスの脱泡を促進する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、CeO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスのソラリゼーションを低下させることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するCeO成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは0.09%、最も好ましくは0.08%を上限とする。但し、CeO成分を含有すると可視域の特定の波長に吸収が生じ易くなるため、ガラスの着色の面では、CeO成分を実質的に含まないことが好ましい。CeO成分は、原料として例えばCeO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0060】
<含有させるべきでない成分について>
本発明の実施形態においては、他の成分を本発明の実施形態に係る光学ガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Tiを除くV,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合においても、ガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じさせる。したがって、可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。ここで「実質的に含まない」とは、不純物として混入される場合を除き、人為的に含有させないことを意味する。
【0061】
Th成分は高屈折率化又はガラスとしての安定性向上を目的として、Cd及びTl成分は低Tg化を目的として含有することができる。しかし、Th、Cd、Osの各成分は、近年有害な化学物質成分として使用を控える傾向にあるため、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。したがって、環境上の影響を重視する場合には実質的に含まない方が好ましい。
【0062】
鉛成分は、ガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があるため、コストが高くなり、本発明の実施例に係る光学ガラスに鉛成分を含有させるべきでない。
【0063】
As成分は、ガラスを溶融する際、泡切れ(脱法性)を良くするために使用されている成分であるが、ガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があるため、本発明の実施例に係る光学ガラスにAsを含有させることが好ましくない。
【0064】
[製造方法]
本発明の実施形態に係る光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を石英坩堝又は金坩堝に入れて750℃〜950℃の温度範囲で2〜3時間溶融して攪拌均質化を行い、800℃〜650℃程度の温度に下げてから1時間程度経過した後、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
【0065】
[物性]
本発明の実施形態に係る光学ガラスは、所望の屈折率(n)、低い部分分散比(θg,F)及び所望の範囲内のアッベ数(νd)を有しながらも、分光透過率(5%)、分光透過率(70%)が短波長側に波長を有するため、光学素子の色収差の補正に顕著な効果を奏することができ、光学設計の自由度を広げることができる。また、ガラス転移点が低い為、非球面レンズとして用いる事で光学系における素子の点数を削減できるため、光学系全体の小型化を図ることができる。より具体的には、本発明の実施形態に係る光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは2.3、より好ましくは2.2、最も好ましくは2.16を上限とする。一方、本発明の実施形態に係る光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.95、より好ましくは1.98、最も好ましくは2.02を下限とする。これにより、光学設計の自由度が広がり、さらに光学素子の薄型化を図ることができる。本発明の実施形態に係る光学ガラスの部分分散比(θg・F)は、好ましくは0.67、より好ましくは0.66、最も好ましくは0.658を上限とする。一方、本発明の実施形態に係る光学ガラスの部分分散比(θg・F)は、好ましくは0.63、より好ましくは0.635、最も好ましくは0.639を下限とする。これにより、光学素子の色収差の補正に顕著な効果を奏することができ、光学設計の自由度を広げることができる。また、光学系における素子の点数を削減できるため、光学系全体の小型化を図ることができる。
【0066】
また、本発明の実施形態に係る光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは25、より好ましくは22、最も好ましくは20.5を上限とする。一方、本発明の実施形態に係る光学ガラスのアッベ数(ν)の下限は特に限定されないが、好ましくは15、より好ましくは16、さらに好ましくは17であることが好ましい。これにより、光学設計の自由度が広がり、さらに素子の薄型化を図ることができる。また、光学系における素子の点数を削減できるため、光学系全体の小型化を図ることができる。
【0067】
本発明の実施形態に係る光学ガラスの分光透過率(70%)は、好ましくは500nm、より好ましくは470nm、最も好ましくは462nmを上限とする。一方、本発明の実施形態に係る光学ガラスの分光透過率(70%)は、好ましくは380nm、より好ましくは420nm、最も好ましくは436nmを下限とする。分光透過率(5%)は、好ましくは450nm、より好ましくは420nm、最も好ましくは414nmを上限とする。一方、本発明の実施形態に係る光学ガラスの分光透過率(5%)は、好ましくは350nm、より好ましくは380nm、最も好ましくは399nmを下限とする。これらの分光透過率により、ガラスの吸収端が紫外領域の近傍に位置するようになり、可視域におけるガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスをレンズ等の光学素子の材料として好ましく用いることができる。
【0068】
また、本発明の実施形態に係る光学ガラスの液相温度は、好ましくは800℃、より好ましくは750℃、最も好ましくは723℃を上限とする。これにより、光学ガラスの結晶化が低減されるため、酸素成分の必要以上の蒸発や、設備に含まれる成分の溶出を抑え、光学ガラスの透過率をより高めることができる。また、このような光学ガラスはガラス化が進められ易いため、より短時間で光学ガラスを作製できる。一方、本発明の実施形態に係る光学ガラスの液相温度は、好ましくは550℃、より好ましくは600℃、最も好ましくは625℃を下限とする。
【0069】
また、上述の光学ガラスの液相温度と、液相温度における粘性は、量産時のガラス溶解成形の指標とされる物性である。このうち、光学ガラスの液相温度における粘性が低すぎるとガラスプリフォームに脈理が入りやすくなり、高すぎると、自重と表面張力によるガラスの切断が困難になる。従って、光学ガラスの高品質かつ安定した生産のためには、液相温度における粘度(dPa・s)の対数logηの値が好ましくは0.5、より好ましくは0.6、最も好ましくは0.75を下限とする。一方、液相温度における粘度(dPa・s)の対数logηの値が好ましくは2.5、より好ましくは2.0、最も好ましくは1.8を上限とする。
【0070】
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、例えば研磨加工を行って作製したプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。本発明の実施形態に係る光学ガラスからなるガラス成形体は、例えばレンズ、プリズム、ミラー等の光学素子の用途に用いることができ、典型的にはデジタルカメラやプロジェクタ等に用いることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
【実施例】
【0071】
本発明の実施例1〜32の組成及び比較例1の組成、並びに、屈折率(n)、分光透過率(70%)を示す波長(λ70)、分光透過率(5%)を示す波長(λ)、アッベ数(ν)及び部分分散比(θg・F)の結果を表1〜表4に示す。表1〜表4に示した屈折率(n)、分光透過率(5%)を示す波長(λ)、アッベ数(ν)及び部分分散比(θg・F)から、図1は、本発明の実施例及び比較例に係る光学ガラスにおいて、屈折率(n)と分光透過率(5%)との関係を示す図である。図2は、本発明の実施例及び比較例に係る光学ガラスにおいて、屈折率(n)と分光透過率(70%)との関係を示す図である。図3は、本発明の実施例及び比較例に係る光学ガラスにおいて、屈折率(n)とアッベ数(ν)との関係を示す図である。図4は、本発明の実施例及び比較例に係る光学ガラスにおいて、部分分散比(θg,f)と分光透過率(5%)との関係を示す図である。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
【0072】
表1〜表4に示した本発明の実施例1〜32及び比較例1に係る光学ガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度の原料を選定した。表1〜表4に示した各実施例の組成及び各比較例の組成で、ガラス重量が400gになるように秤量して均一に混合した後、石英坩堝又は金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で750℃〜950℃の温度範囲で2時間〜3時間溶融して攪拌均質化を行い、800℃〜650℃程度の温度に下げてから1時間程度経過した後、金型に鋳込んで徐冷することにより作製した。
【0073】
ここで、実施例1〜32及び比較例1に係る光学ガラスの屈折率(n)及びアッベ数(ν)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01−2003に基づいて測定した。なお、本測定に用いた光学ガラスは、徐冷降温速度を−25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
【0074】
実施例1〜32及び比較例1に係る光学ガラスの可視域の波長の光線透過率については、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200nm〜800nmの分光透過率を測定し、反射損失を含む分光透過率(λ)(分光透過率5%時の波長)と分光透過率(λ70)(分光透過率70%時の波長)とを求めた。
【0075】
実施例1〜32及び比較例1に係る光学ガラスの液相温度は、原料ガラスと同じ組成を有するガラスから形成され、直径2mm程度の粒状に粉砕したガラス試料を白金板上に載せ、500℃〜900℃の温度傾斜のついた炉内で30分間保持した後取り出し、冷却後にガラス中の結晶の有無を倍率80倍の顕微鏡にて観察することで測定される、ガラス中に結晶が認められず失透が生じない最も低い温度から求められる。また、液相温度における粘性の値は、球引き上げ式粘度計(有限会社オプト企業社製 型番BVM−13LH)により粘度η(Pa・s)から求められる。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
表1〜表4に示すように、本発明の実施例1〜32に係る光学ガラスは、屈折率(n)が2.021以上2.111以下であり、アッベ数(ν)が17.8以上20.3以下であり、部分分散比(θg・F)が0.639以上0.658以下であり、分光透過率(λ)(分光透過率5%時の波長)が399nm以上414nm以下であり、分光透過率(λ70)(分光透過率70%時の波長)が436nm以上462nm以下であった。一方で、比較例1の光学ガラスは屈折率(n)が2.092であり、アッベ数(ν)が16.5であり、部分分散比(θg・F)が0.676であり、分光透過率(λ)(分光透過率5%時の波長)が432であり、分光透過率(λ70)(分光透過率70%時の波長)が477であった。
【0081】
図1は、縦軸に屈折率(n)、横軸に分光透過率(5%)を示し、「◇」を実施例とし、「□」を比較例とした。図2は、縦軸に屈折率(n)、横軸に分光透過率(70%)を示し、「◇」を実施例とし、「□」を比較例とした。図3は、縦軸に屈折率(n)、横軸にアッベ数(ν)を示し、「◇」を実施例とし、「□」を比較例とした。図4は、縦軸に部分分散比(θg,f)、横軸に分光透過率(5%)を示し、「◇」を実施例とし、「□」を比較例とした。従って、本発明の実施例に係る光学ガラスは、所望の屈折率(n)、低い部分分散比(θg,F)及び所望の範囲内のアッベ数(ν)を有しながらも、分光透過率(5%)、分光透過率(70%)が短波長側に波長を有することが明らかになった。
【0082】
本発明の実施例に係る光学ガラスは、Bi成分の含有量、B成分の含有量及びSiO成分の含有量の含有量を所定の範囲内にすることによって、所望の屈折率(n)、低い部分分散比(θg,F)及び所望の範囲内のアッベ数(ν)を有しながらも、分光透過率(5%)、分光透過率(70%)が短波長側に波長を有することが明らかになった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でBi成分を70.0%以上90.0%以下、B成分を6.0%以上20.0%以下及びSiO成分を0%超20%以下の成分をそれぞれ含有することを特徴とする光学ガラス。
【請求項2】
酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でBi成分とB成分とSiO成分とを合計で90.0%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項3】
酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でBi成分とNb成分とZrO成分とを合計で70.0%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学ガラス。
【請求項4】
酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でMgO成分、CaO成分、SrO成分、BaO成分及びZnO成分のうちいずれか1種以上が0%を超えて含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学ガラス。
【請求項5】
酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で、
LiO成分 0〜8.0%
NaO成分 0〜8.0%
O成分 0〜8.0%
Al成分 0〜10.0%
ZrO成分 0〜10.0%
Ta成分 0〜10.0%
WO成分 0〜10.0%
La成分 0〜10.0%
Gd成分 0〜10.0%
成分 0〜10.0%
Yb成分 0〜10.0%
成分 0〜10.0%
Sb成分 0〜5.0%
の各成分をさらに含有する請求項1乃至4のいずれか記載の光学ガラス。
【請求項6】
酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でTeO成分を0%以上5%以下含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学ガラス。
【請求項7】
厚み10mmのサンプルで分光透過率(5%)を示す波長(λ)が350nm以上450nm以下であり、厚み10mmのサンプルで分光透過率(70%)を示す波長(λ70)が380nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光学ガラス。
【請求項8】
部分分散比(θg,F)が0.63以上0.67以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学ガラス。
【請求項9】
屈折率(n)が1.95以上であり、アッベ数(ν)が15以上25以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光学ガラス。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の光学ガラスからなることを特徴とする精密プレス成形用のプリフォーム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の光学ガラスを含んでなることを特徴とする光学素子。
【請求項12】
請求項10に記載のプリフォームを精密プレスすることにより成形されることを特徴とする光学素子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−87009(P2013−87009A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228121(P2011−228121)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000128784)株式会社オハラ (539)
【Fターム(参考)】