説明

光学ガラス

【課題】本発明は、屈折率(n)が1.59以上で、アッベ数(ν)が63以上である光学恒数を有し、ガラスの熔解安定性に優れ、精密プレス成形に適した軟化温度とプリフォーム用ゴブ成形性に好適な液相粘性を有し、しかも化学的耐久性に優れた光学ガラスの提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、酸化物基準の質量%で、P:30〜50%、BaO:18〜43%、B:2〜12%、Al:1.4〜5%、LiO:0超〜6%、La:0超〜9%、MgO:0.1〜8%、CaO:0〜10%、SrO:0〜15%、ZnO:0〜5%、Gd:0〜7%、SiO:0〜3%、を含み、n:1.59〜1.63、ν:63〜68の光学恒数を有する光学ガラスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低屈折率・低分散で、精密プレス成形が可能で、板材成形性やプリフォーム用ゴブ成形性に優れるリン酸塩系光学ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
低分散ガラスは光学素子の収差補正に有用なガラスである。デジタルカメラを代表とした撮像系レンズでは、レンズ枚数を少なくして、光学系を小型化する要求が高まっており、非球面形状に精密プレスされたガラスモールドレンズが多用されている。収差補正のためには低分散であるほど好ましい。
【0003】
低分散化のためには、ガラス中にフッ素を導入する手法もあるが、ガラス熔解の際に環境負荷のあるフッ素が揮発するため、除外装置が必要であったり、フッ素の揮発による組成ずれによる脈理の発生、フッ素が入ることによる極端な低軟化によってガラス融体の成形が難しくなる。
【0004】
以上のことと、製造コストを考慮すると、酸化物ガラスであることが好ましい。そこで酸化物系ガラスで低分散化が期待されるリン酸・バリウム系ガラスの研究(特許文献1〜4)がなされているが、レンズのコンパクト化の観点からは、低分散と同時に高屈折率が望ましいものの、所定の高屈折率領域(n≧1.59)で充分な低分散性(ν≧63)を有し、かつ、熔解安定性、プレス成形性及び化学的耐久性に優れたものがなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63−20775号公報
【特許文献2】特開2005−8518号公報
【特許文献3】特開2007−15904号公報
【特許文献4】特開2006−111499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、屈折率(n)が1.59以上で、アッベ数(ν)が63以上である光学恒数を有し、ガラスの熔解安定性に優れ、精密プレス成形に適した軟化温度とプリフォーム用ゴブ成形性に好適な液相粘性を有し、しかも化学的耐久性に優れた光学ガラスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、酸化物基準の質量%で、
:30〜50%、
BaO:18〜43%、
:2〜12%、
Al:1.4〜5%、
LiO:0超〜6%、
La:0超〜9%、
MgO:0.1〜8%、
CaO:0〜10%、
SrO:0〜15%、
ZnO:0〜5%、
Gd:0〜7%、
SiO:0〜3%、
を含み、n:1.59〜1.63、ν:63〜68の光学恒数を有する光学ガラスを提供する。なお、特に断りがない場合には、上記化学組成の数値範囲の下限値は以上を、上限値は以下をそれぞれ示すものとする。また、0超%とは、必須成分として含有することを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のリン酸塩系の光学ガラス(以下、本ガラスという)は、P、BaO、B、Al、LiO、La、MgO、を必須成分とするため、屈折率n:1.59〜1.63、アッベ数ν:63〜68の光学特性が得られる。また、本ガラスは、La、MgO及びLiOとを必須成分として含むため、化学的耐久性(主に、La及びMgO成分による)と低分散性(主にLiO成分による)とを両立させることもできる。
【0009】
本ガラスによれば、上記特性以外にもガラス転移点(Tg)を好ましくは570℃以下とできるため生産性よく精密プレス成形ができる。また、本ガラスの液相温度粘性(ηLT)は好ましくは6dPa・s以上とできるためファインゴブ製造もできる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、屈折率(n)が1.59以上、アッベ数(ν)が63以上で、化学的耐久性に優れた光学ガラスを得るために種々検討した結果に基づくものである。本ガラスの各成分範囲を設定した理由は、以下のとおりである。なお、本明細書では、以下、特に断りのない限り%は質量%を意味するものとする。また、化学組成は、酸化物基準とする。
【0011】
本ガラスにおいて、Pは必須の成分であり、ガラスを形成する主成分(ガラス形成酸化物)であるとともに、ガラスの粘性を高める成分である。本ガラスにおいて、P含有量が少なすぎると、ガラスが不安定になるとともに粘性が低くなるおそれがあるため、本ガラスではP含有量は30%以上である。P含有量が33%以上であると好ましく、P含有量が35%以上であるとより好ましい。一方、P含有量が多すぎると屈折率が下がってしまうため、本ガラスではP含有量は、50%以下である。P含有量が48%以下であると好ましく、P含有量が46%以下であるとより好ましい。
【0012】
本ガラスにおいて、BaOは必須の成分であり、ガラスの屈折率を高めるとともにガラスの安定化及び化学的耐久性を高める効果がある。含有量が少なすぎると化学的耐久性が不充分となるおそれがあるので、18%以上とする。BaO含有量が20%以上であると好ましく、BaO含有量が21%以上であるとさらに好ましく、BaO含有量が25%以上であると特に好ましい。一方、BaO含有量が多すぎると分散性が大きくなり低分散化の達成が難しくなるので、BaO含有量は43%以下とする。BaO含有量が40%以下であると好ましく、BaO含有量が38%以下であるとさらに好ましく、BaO含有量が30%以下であると特に好ましい。
【0013】
本ガラスにおいて、Bは必須の成分であり、ガラスの熔解性や安定性、耐久性を向上するために有効な成分である。効果を発揮するためには、含有量は2%以上とする。B含有量が2.5%以上が好ましく、B含有量が5%以上であるとさらに好ましく、B含有量が6%以上であると特に好ましい。一方、含有量が多すぎるとガラスが不安定となるおそれがあるため、B含有量は12%以下である。B含有量が11.5%以下であると好ましく、B含有量が11%以下であるとさらに好ましく、B含有量が10%以下であると特に好ましい。
【0014】
本ガラスにおいて、Alは必須の成分であり、ガラスの化学的耐久性を向上する効果がある。含有量が少なすぎると化学的耐久性向上の効果が不充分となるため、Al含有量は1.4%以上である。Al含有量が1.7%以上であると好ましく、Al含有量が2%以上であるとさらに好ましい。一方、多すぎるとガラスを不安定にし、失透傾向が強くなる。したがって、Al含有量は、5%以下である。Al含有量が4.5%以下であると好ましく、Al含有量が4%以下であるとさらに好ましい。
【0015】
本ガラスにおいて、LiOは必須の成分であり、ガラスを軟化させる成分であると同時に、化学的耐久性の向上に効果がある。また、低分散化のために有効である。本ガラスにおいて、LiO含有量が少なすぎると、粘性が高くなってしまい、ガラス転移温度や屈服点が上昇してプレス成形温度が高くなってしまう。また、十分な低分散化を達成できない。さらに化学的耐久性の向上の効果が低くなってしまう。そのため、LiO含有量は0超%以上である。LiO含有量が0.1%以上であると好ましく、LiO含有量が0.5%以上であるとさらに好ましい。
【0016】
一方、LiO含有量多すぎるとガラスが不安定になり、失透傾向が強くなる。また、液相温度粘性が低下するためにゴブプリフォームの製造が難しくなる。また、化学的耐久性が低下してしまう。そのため、LiO含有量は6%以下である。LiO含有量が5.5%以下であると好ましく、LiO含有量が5%以下であるとさらに好ましい。
【0017】
本ガラスにおいて、Laは必須の成分であり、ガラスを高屈折率化させる効果があると同時にガラスを形成し、化学的耐久性を向上させる効果もある。また、高粘性のためファインゴブ化のための粘性調整に適する成分でもある。したがって、La含有量は0超%以上である。La含有量が0.5%以上であると好ましく、La含有量が1%以上であるとさらに好ましい。一方、La含有量が多すぎると高分散となるほか、軟化温度が上昇し成形性が低下する。そのため、La含有量は、9%以下である。La含有量が7%以下であると好ましく、La含有量が4%以下であるとさらに好ましい。
【0018】
本ガラスにおいて、MgOは必須の成分であり、ガラスの化学的耐久性を向上するとともに低分散化のために有効な成分である。また、含有することによりガラス転移点、屈服点の温度を下げ、ガラスモールド成形性も向上する。そのため、MgO含有量は0.1%以上である。MgO含有量が0.2%以上であると好ましく、MgO含有量が0.4%以上であるとさらに好ましい。一方、過剰に導入すると失透傾向が増し、ガラスが不安定となる。したがって、MgO含有量は、8%以下である。MgO含有量が6%以下であると好ましく、MgO含有量が5%以下であるとさらに好ましい。
【0019】
本ガラスにおいて、CaOは必須の成分ではないが、化学的耐久性の向上に有効な成分である。含有する場合は、CaO含有量が0.5%以上であると好ましく、CaO含有量が1%以上であるとさらに好ましい。一方、過剰に導入すると失透傾向が増し、ガラスが不安定となる。したがって、含有する場合でもCaO含有量は、10%以下である。CaO含有量が9%以下であると好ましく、CaO含有量が7%以下であるとさらに好ましい。
【0020】
本ガラスにおいて、SrOは必須の成分ではないが、ガラスの化学的耐久性の向上に有効な成分である。含有する場合は、SrO含有量が0.1%以上であると好ましく、SrO含有量が0.2%以上であるとさらに好ましい。一方、過剰に導入すると失透傾向が増し、ガラスが不安定となる。したがって、含有する場合でもSrO含有量は、15%以下である。SrO含有量が10%以下であると好ましく、SrO含有量が7%以下であるとさらに好ましい。
【0021】
本ガラスにおいて、ZnOは必須の成分ではないが、ガラスの熔解性や安定性、耐久性を向上するために有効な成分である。含有する場合は、ZnO含有量が0.3%以上であると好ましく、ZnO含有量が0.7%以上であるとさらに好ましい。一方、過剰に導入すると失透傾向が増し、ガラスが不安定となる。したがって、含有する場合でもZnO含有量は、5%以下である。ZnO含有量が4%以下であると好ましく、ZnO含有量が3%以下であるとさらに好ましい。
【0022】
本ガラスにおいて、Gdは必須の成分ではないが、高屈折率化に寄与する成分である。含有する場合は、Gd含有量が0.5%以上であると好ましく、Gd含有量が1%以上であるとさらに好ましい。一方、過剰に導入すると失透傾向が増し、ガラスが不安定となる。したがって、含有する場合でもGd含有量は、7%以下である。Gd含有量が5%以下であると好ましく、Gd含有量が3%以下であるとさらに好ましい。
【0023】
本ガラスにおいて、SiOは必須の成分ではないが、ガラスの安定化に効果のある成分である。含有する場合は、SiO含有量が0.1%以上であると好ましく、SiO含有量が0.3%以上であるとさらに好ましい。一方、過剰に導入すると所望の光学恒数が得られにくくなる。したがって、含有する場合でもSiO含有量は、3%以下である。SiO含有量が2.5%以下であると好ましく、SiO含有量が2%以下であるとさらに好ましい。
【0024】
本ガラスにおいて、上記成分の合計が95%以上であると、諸特性のバランスが取れるため好ましい。上記成分の合計が98%以上であるとさらに好ましく、本ガラスが上記成分から実質的になると特に好ましい。なお、本明細書において、「上記成分から実質的になる」とは、「不可避的不純物を除いては、上記成分からなる」との意味である。
【0025】
本ガラスにおいて、NaO、KO、Y、ZrO、Nb又はTaの各成分は、いずれも必須成分ではないが、単独で又は複数で添加できる。含有量が少ないと光学特性の調整効果がほとんど得られないことから、含有量としては、それぞれ単独で、含有量が0.1%以上であると好ましく、前記含有量が1.0%以上であるとより好ましく、前記含有量が2%以上であると特に好ましい。
【0026】
一方、前記各成分中、NaO又はKOは、含有量が多すぎると屈折率が低下する。そのため、それぞれ単独で5.0%以下とするのが好ましく、4.0%以下とするとより好ましく、3.0%以下とすると特に好ましい。同様に、Y、ZrO、Nb又はTaの各成分は、含有量が多くなるとガラスが不安定になったり、原料が比較的高価であるため、原価面からこれらの成分含有量を極力抑えることが好ましい。したがって、それぞれ単独で5.0%以下とするのが好ましく、4.0%以下とするとより好ましく、3.0%以下とすると特に好ましい。
【0027】
また、本ガラスにおいては、成形温度の観点や環境面への影響等からPbO、TeO、F、Asを実質的に含有しないことが好ましい。本明細書においては、成分Xを実質的に含有しないとは、不可避的な不純物として混入するものを別にして、積極的に添加しないことを意味する。その目安としては含有量が0.05%未満程度である。
【0028】
本ガラスにおいて、Sbは、必須の成分ではないがガラス溶融の際の清澄剤として添加できる。その含有量としては、1%以下が好ましく、0.5%以下であるとさらに好ましく、0.1%以下であると特に好ましい。本ガラスにおいて、Sbを添加する場合の下限としては、0.01%以上であると好ましく、0.05%以上であるとさらに好ましく、0.1%以上であるとより好ましい。
【0029】
本ガラスの光学特性としては、屈折率(n)が1.59以上、アッベ数(ν)は63以上である。また、nが1.59以上、分散νが66以上の光学恒数か、又はnが1.62以上、分散νが63以上の光学恒数を有するものであると好ましい。
【0030】
本ガラスのガラス転移点(Tg)としては570℃以下、屈服点(At)としては610℃以下が生産性よくプレス成形できるので好ましい。
【0031】
また、本ガラスの液相温度粘性(ηLT)としては、6dPa・s以上がファインゴブを生産するために好ましい。本ガラスの液相温度粘性が、6.5dPa・s以上であるとより好ましく、7dPa・s以上であると特に好ましい。なお、ndが1.62以上、分散νdが63以上の光学恒数を有するガラスの場合には、液相温度粘性(ηLT)が12dPa・s以上であると特に好ましい。
【0032】
本ガラスの粉末法による耐水性(Dw)としては、0.3%以下であると好ましく、Dwが0.2%以下であるとさらに好ましい。Dwが0.1%以下であると特に好ましい。同様に、粉末法による耐酸性(Da)としては、3%以下であると好ましく、Daが2.5%以下であるとさらに好ましい。Daが1.5%以下であると特に好ましい。
【0033】
本ガラスの製造法としては、特に制限されるものではなく、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の通常の光学ガラスで用いられる原料を秤量・混合し、白金ルツボ、金ルツボ、石英ルツボ、アルミナルツボ等通常光学ガラスで用いられるルツボに入れて、約1000〜1250℃で2〜10時間溶融、清澄、撹拌後、液相温度(L)よりも高い温度で、450〜550℃に予熱した金型に鋳込等した後、徐冷して製造できる。
【0034】
上記の原料の内、炭酸塩で導入する酸化物として、例えばNaCOを、硝酸塩で導入する酸化物として、NaNOを、それぞれ用いることでバッチ溶解時の原料の噴き上がりを抑制し、噴きこぼれを抑制できるので、原料コスト、製造時の発泡の制御のし易さを考慮して適宜、選定すればよい。
【0035】
本ガラスを用いたプリフォーム用ゴブ成形の方法としては、溶融ガラスをノズル先端から流出し、所望の質量の溶融ガラス塊を分離し、金型上に窒素ガスにて浮上させながら受けて、全面火づくり面のガラス塊を製造する方法が一例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
また、本ガラスを光学素子に成形する方法としては、特に制限されるものではないが、本ガラスのガラス液相温度(L)をもとにして、プリフォーム用ゴブ成形により作製したプリフォームを、型表面に保護膜を形成した、高精度に加工されたプレス型(型材質としては、例えば、SiC質、超硬など)内にセットし、所定の圧力、時間プレスして所望の形状とする方法、ガラス融液を流出させて一度板材とし、次に、その板材からプレス成形に好適なガラス塊を加工により作り出して加工プリフォームとする。次に、加工プリフォームをプレス型内にセット後、プレス成形する方法などが例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例等を説明する。例1〜例17が本発明の実施例である。
[化学組成・試料作製法]
表1〜3に示す化学組成(質量%)となるように原料を秤量した。なお、表1〜3の化学組成をモル%表示にしたものを参考までに表4〜6に示す。各ガラスの原料は、Pの場合はHPO、BPO、Ba(POを、Bの場合はHBO又はBPOを、BaOの場合はBaCO、Ba(NO又はBa(POを、LiOの場合はLiCO又はLiPOを、SiO、MgO、La、ZnOの場合は酸化物を、それぞれ使用した。
秤量した原料を混合し、内容積約300ccの白金ルツボ内に入れて、約1250℃で1〜1.5時間溶融、清澄、撹拌後、1100℃で1時間保持し、およそ450〜550℃に予熱した縦100mm×横50mmの長方形のモールドに鋳込み後、約0.5℃/分で徐冷してサンプルとした。
【0038】
[評価方法]
屈折率(n)はヘリウムd線に対する屈折率であり、屈折率計(カルニュー光学工業社製、商品名:KRP−2000)で測定した。屈折率の値は、小数点以下第5位まで測定した。
アッベ数(ν)は、ν=(n−1)/(n−n)により算出し、小数点以下第2位を四捨五入して小z.00数点以下第1位として記載した。ただし、n、nは、それぞれ水素F線及びC線に対する屈折率である。
ガラス転移温度(Tg)及び、屈伏点(At)は、得られた各ガラスを棒状に加工し、熱分析装置(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:TMA4000SA)で熱膨張法により、昇温速度5℃/分で測定した。
液相温度(L)は、白金皿にガラス試料約5gを入れ、それぞれ870℃〜940℃まで5℃刻みにて1時間保持したものを自然放冷により冷却した後、結晶析出の有無を顕微鏡により観察して、結晶の認められない最低温度を液相温度とした。
透過率は、分光光度計(パーキンエルマー社製、商品名:Lambda950)を用い、厚さ10mmに両面研磨した試料について、1nmきざみで測定した。
液相粘性(ηLT)回転円筒法により粘度を測定し、液相温度(L)での粘性とした。
ガラスの溶解性等については、上記サンプル作製時に目視で観察した結果、溶解性に問題がないこと、得られたガラスサンプルには泡や脈理のないことを確認した。
比重(SG)は、試料の質量と、圧力101.325kPa(標準気圧)のもとにおける、それと同体積の4℃の純水の質量との比をSGとして表示し、JIS Z 8807(1976)「液中で秤量する測定方法」に基づいて求めた。
粉末法耐水性(Dw)は、SGに相当する質量の粉末ガラス(粒度425〜600μm)を白金かごに入れ、それを純水(pH=6.5〜7.5)80mlの入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その減量率(%)を求めた。
粉末法耐酸性(Da)は、Dwの測定方法と同様に、フラスコ内に0.01mol/l硝酸水溶液を入れて処理し、その減量率(%)を求めた。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
【表5】

【0044】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本ガラスは、屈折率ndが1.59以上、分散νdが63以上の新規な組成である。化学的耐久と低分散性を両立した精密プレス成形用光学ガラスとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物基準の質量%で、酸化物基準の質量%で、
:30〜50%、
BaO:18〜43%、
:2〜12%、
Al:1.4〜5%、
LiO:0超〜6%、
La:0超〜9%、
MgO:0.1〜8%、
CaO:0〜10%、
SrO:0〜15%、
ZnO:0〜5%、
Gd:0〜7%、
SiO:0〜3%、
を含み、n:1.59〜1.63、ν:63〜68の光学恒数を有する光学ガラス。
【請求項2】
:1.59以上、νd:66以上である請求項1記載の光学ガラス。
【請求項3】
:1.62以上、νd:63以上である請求項1記載の光学ガラス。
【請求項4】
液相温度粘性(ηLT)が6dPa・s以上である請求項1、2又は3記載の光学ガラス。
【請求項5】
液相温度粘性(ηLT)が12dPa・s以上である請求項4記載の光学ガラス。

【公開番号】特開2012−51781(P2012−51781A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159941(P2011−159941)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】