説明

光学シート、光源ユニット、および液晶表示装置

【課題】全体としての輝度むらと、端部の輝度むらとの双方を効果的に抑制可能な光学シートを提供すること。
【解決手段】複数の点状光源が配列されてなる光源の上方に配設される光学シート(1)であって、シート状の基材(15)と、基材(15)の少なくとも一方の面上の光透過性を制御する部位(16)と、を有し、光学シート(1)の中央部領域において、非透過成分率が光学シート(1)面内の所定の方向に沿って略周期的に変化し、所定の方向における光学シート(1)面内の相対位置を横軸にとり、光学シート(1)面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、非透過成分率のピーク値と非透過成分率のボトム値が複数有り、光学シート(1)の端部領域における非透過成分率の最大値と最小値の差は、中央部領域における非透過成分率の最大値と最小値の差より大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の点状光源が配列されてなる光源に用いる光学シート、これを用いた光源ユニット、および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶パネルとこの液晶パネルに光を供給する光源ユニット(バックライト)を備える装置である。従来、このバックライトは、液晶パネルの真下に位置する導光板の側部に光源となる冷陰極管を有し、該導光板の反射面とその対向面との間を反射しつつ進行する光を該対向面から取り出すことで面状発光させるエッジライト型が主流であった。しかしながら、近年では、高い輝度と価格の安さとの希求により、光源自体が液晶パネルの真下にある直下型が一般的になりつつある。直下型バックライトでは、光源として冷陰極管等の線状光源やLED等の点状光源を用い、光源上に拡散板、拡散シートなどの光を拡散させる性質を有する光学シートを積層することによって、点状または線状の発光を面状発光に変化させている。
【0003】
直下型バックライトを使用した液晶表示装置は、近年の薄型化指向を受けて、光源とその上に積層される光学シートとの距離をより狭くする方向で開発が進められている。また、省電力化のために光源数を減らす傾向もある。このような薄型化、光源数減少を推し進めると、画面の輝度むらが発生しやすくなるため、輝度むらのより効果的な解消方法が必要となっている。
【0004】
直下型バックライトにおいては、光源直上の投影領域が高輝度となり光源間の投影領域が低輝度となることに由来する輝度むらが知られている。この輝度むらの解消方法の一例としては、光源直上の投影領域の拡散角度を、光源間の投影領域の拡散角度よりも大きくなるようにした拡散シートを使用する技術が特許文献1に開示されている。
【0005】
また、これとは別に、画面の端部が帯状に暗くなるという輝度むらが知られている。特許文献2にはこの輝度むらを解消する技術として、端部に拡散部を形成していない拡散板を使用することにより、端部の輝度を向上させるという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−244846号公報
【特許文献2】特開2009−98312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年では、更なる高輝度化と省電力化を目指して、光源が線状光源(冷陰極管)から点状光源(LED)にシフトしている。ところが、LED光源を用いた場合、画面の端部が帯状に暗くなることに加え、画面端部にスポット的に明るい部分が発生してしまう。このような輝度むらに対して、例えば特許文献2の拡散板を用いると、端部の透過性が良好であるため、むしろ輝度むらを増大させてしまう。このように、複数の点状光源が配列されてなる光源を用いた直下型バックライトにおいて発生するさまざまなパターンの輝度むらに対して効果的な光学シートは未だ存在しなかった。
【0008】
上記問題に鑑み、本発明は、複数の点状光源が配列されてなる光源を用いた光源ユニットにおいて、全体としての輝度むらと、端部の輝度むらとの双方を効果的に抑制可能な光学シートを提供することを目的とする。また、これを用いた光源ユニット、および液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光学シートは、複数の点状光源が配列されてなる光源の上方に配設される光学シートであって、シート状の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上の光透過性を制御する部位と、を有し、前記光学シートの中央部領域において、非透過成分率が前記光学シート面内の所定の方向に沿って略周期的に変化し、前記所定の方向における前記光学シート面内の相対位置を横軸にとり、前記光学シート面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク値と前記非透過成分率のボトム値が複数有り、前記光学シートの端部領域における非透過成分率の最大値と最小値の差は、前記中央部領域における非透過成分率の最大値と最小値の差より大きいことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、中央部の非透過成分率が周期的に変化する部位によって、全体の輝度むらが抑制され、端部の非透過成分率の最大値と最小値との差が中央部より大きくなるようにすることで、端部の輝度を相対的に高め、端部の輝度むらを抑制できるため、全体としての輝度むらと、端部の輝度むらとの双方を効果的に抑制可能な光学シートが提供される。
【0011】
本発明の光学シートにおいて、前記基材の光透過性を制御する部位は、光反射性インクで形成された不連続パターンからなっても良い。
【0012】
本発明の光学シートにおいて、前記基材の少なくとも一方の面上に凹凸パターンが設けられた層を有しても良い。
【0013】
本発明の光学シートにおいて、前記凹凸パターンが干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された不規則な凹凸パターンであり、所定の拡散角度を示しても良い。
【0014】
本発明の光学シートにおいて、前記光源の最外周に位置する点状光源の一つの投影領域について、前記光学シート面内において同じ非透過成分率の点を結んだ線(等高線)によって形成される形状が、光学シートの縁に向かって狭くなる形状になっていても良い。
【0015】
上記構成によれば、端部において高非透過成分率領域の面積が減少するため、端部が暗くなることを防止することができる。また、最外周の点状光源上に位置する部分を高非透過成分率領域とし、しかも光量分布により適応した非透過成分率分布により、画面輝度の均一化をさらに向上させることが可能である。
【0016】
本発明の光学シートにおいて、非透過成分率のピーク値を示す位置が、前記光学シート面内において正方格子状に配置されても良い。
【0017】
本発明の光源ユニットは、2つ以上の点状光源が配列されてなる光源と、上述した光学シートと、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の光源ユニットにおいて、前記光学シートの中央部領域および端部領域で、前記所定の方向における前記光学シート面内の相対位置を横軸にとり、前記光学シートに入光する相対位置での光量を縦軸にとった光量分布図が、ピーク値とボトム値を複数有し、かつ前記光量分布図のピーク値の位置が、前記非透過成分率分布図のピーク値の位置と略等しく、かつ前記光量分布図のボトム値の位置が、前記非透過成分率分布図のボトム値の位置と略等しくても良い。
【0019】
本発明の光源ユニットにおいて、前記光学シートと前記光源の間に配置され、内部に拡散剤を含有する拡散板と、前記光源の前記光学シートに対する反対側に配置される光反射シートと、を備えても良い。
【0020】
本発明の光源ユニットにおいて、前記光学シートの前記光源に対する反対側に配置されるレンズシートを備えても良い。
【0021】
本発明の光源ユニットにおいて、前記光学シートの前記光源に対する反対側に配置されるプリズムシートを備えても良い。
【0022】
本発明の光源ユニットにおいて、前記光学シートの前記光源に対する反対側に配置される反射型偏光シートを備えても良い。
【0023】
本発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する上述した光源ユニットと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、全体としての輝度むらと、端部の輝度むらとの双方を効果的に抑制可能な光学シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る光学シートを示す図である。
【図2】本実施の形態に係る光学シートの断面模式図である。
【図3】本実施の形態に係る光学シートの中央部と端部の定義、および点状光源の配列を示す図である。
【図4】光学シート面内における光源直上の投影領域と光源間の投影領域を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る光学シートの非透過成分率の面内の相対位置に対する分布を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る光学シートの高非透過成分率領域と低非透過成分率領域の配置の一例を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る光学シートにおけるドット密度の一例を示す図である。
【図8】本実施の形態の光学シートの端部の非透過成分率分布の減衰形状の一例を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る光源ユニットの具体的構成の概略斜視図である。
【図10】本実施の形態に係る光源ユニットの具体的構成の概略斜視図である。
【図11】実施例に係る光源ユニットの点光源の配列を示す図である。
【図12】実施例に係るLEDの出光分布を示す図である。
【図13】実施例に係る光学シートを示す図である。
【図14】実施例に係る光学シートの、端部領域と中央部領域における非透過成分率分布を示す図である。
【図15】実施例に係るLEDの配置と輝度ムラ判定位置の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明者は、中央部に非透過成分率が周期的に変化する部位を有し、端部の非透過成分率の最大値と最小値との差が、中央部より大きい光学シートによって、全体としての輝度むらと、端部の輝度むらとの双方を効果的に抑制可能であることを見出した。これは、中央部の非透過成分率が周期的に変化する部位によって、全体の輝度むらが抑制されるためである。また、端部の非透過成分率の最大値と最小値との差が中央部より大きくなるようにすることで、中央部よりも大きくなる端部の輝度むらに対応可能となり、端部の輝度むらを抑制できるためである。なお、非透過成分率とは、シート面内に光源からの光が入射したときにシートから透過する成分以外の成分(例えば、反射成分、吸収成分、散乱成分)の総和を百分率で表した指標をいう。
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係る光学シート及び光源ユニットについて図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係る光学シート1の構成例を示す平面図である。図2は、本実施の形態に係る光学シート1の構成例を示す断面模式図である。図1及び図2に示されるように、本実施の形態に係る光学シート1は、シート状の基材15と、基材15の少なくとも一方の面上に配置され、光透過性を制御する光透過性制御部位16と、を備える。
【0029】
また、図2に示されるように、光学シート1は凹凸パターン層(光拡散性を示す凹凸パターンを有する層)17を有していても良い。光学シートを透過する光が凹凸パターン層17によって適度に拡散されることで、斜めから見た際の輝度ムラ抑制性能(「斜めムラ抑制性能」と呼ぶ。)が格段に向上するためである。この場合、光透過性制御部位16は、基材15と凹凸パターン層17との間に設けてもよく(図2A参照)、凹凸パターン層17上に設けてもよく(図2B参照)、基材15の他方の面上に設けてもよい(図2C参照)。なお、これらの中でも、輝度の低下を最小限に抑えつつ輝度むらを低減するという観点から、図2Cで示した構成のものが特に好ましい。
【0030】
光学シート1の中央部領域では、光透過性制御部位16の配置パターン等に起因して、非透過成分率が光学シート1面内の所定の方向に沿って周期的に変化している。例えば、図1に示されるように、光学シート1は、高非透過成分率領域(非透過成分率が相対的に高い領域)A3と、低非透過成分率領域(非透過成分率が相対的に低い領域)A4とが周期的に繰り返される構造を有している。この場合、所定の方向における光学シート1面内の相対位置を横軸にとり、光学シート1面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、前記非透過成分率の極大値(ピーク値)と前記非透過成分率の極小値(ボトム値)が複数存在する。
【0031】
また、同様に、光透過性制御部位16の配置パターン等に起因して、光学シート1の中央部領域より非透過成分率の最大値と最小値の差が大きくなっている。
【0032】
このような構成の光学シート1では、中央部の非透過成分率が周期的に変化する部位によって、全体の輝度むらが抑制される。また、端部の非透過成分率の最大値と最小値との差が中央部より大きくなるようにすることで、中央部よりも大きくなる端部の輝度むらに対応可能となり、端部の輝度むらを抑制できる。このため、上述した構成を採用することで、全体の輝度むらと、端部の輝度むらを効果的に抑制可能な光学シート1を実現できる。
【0033】
「非透過成分率」とは、上述したように、光学シート1面内に光源からの光が入射したとき、光学シート1から透過する成分以外の成分(例えば、反射成分、吸収成分、散乱成分)の総和を表す指標である。より具体的には、「非透過成分率」は、次のようにして算出される。まず、下記式(1)により、波長550nmにおける入射光強度と透過光強度との比の百分率(透過成分率)を求める。その後、透過成分率と、下記式(2)とから非透過成分率を算出する。
式(1)
透過成分率(%)=(550nmにおける透過光強度)/(550nmにおける入射光強度)×100
式(2)
非透過成分率(%)=100−透過成分率(%)
【0034】
光学シート1における非透過成分率は、例えば、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、MPC−2200)を用いて、光源、非透過成分率調整パターン、基材という順になるように光学シートをセットし、透過波長550nmにおける入射光強度および透過光強度を検出し、上記式(1)及び上記式(2)によって算出することができる。
【0035】
図3は、光学シート1における中央部領域7と端部領域6とを示す模式図である。図3Aは点状光源2が千鳥格子状に配列されてなる光源に用いられる光学シート1の平面模式図を示し、図3Bは点状光源2が正方格子状に配列されてなる光源に用いられる光学シート1の平面模式図を示す。
【0036】
端部領域6とは、点状光源2のうち、最外周に位置する点状光源の光源直上の投影領域からシート最端部(シートの縁)に至るまでを含み、前記最外周に位置する点状光源以外の点状光源の光源直上の投影領域を含まない長方形枠状の領域(図3中破線で囲まれていない領域)を指す。ここで、図3Aの千鳥格子状配列においては、上から2行目と4行目の両端の点状光源は最外周に位置するものであるが、上から3行目と5行目の両端の点状光源は最外周に位置する点状光源ではないものとする。中央部領域7とは、この端部領域6に囲まれた長方形の領域(図3中破線で囲まれた領域)を指す。つまり、中央部領域7は、最外周に位置する点状光源を除いた点状光源2の光源直上の投影領域4を含む長方形の領域であり、端部領域6は中央部領域7の外側の長方形枠状の領域である。そして、本発明においては、中央部領域7と端部領域6が異なるパターンの非透過成分率を有する。
【0037】
本実施の形態に係る光学シート1は、中央部領域7においては、光学シート1面に垂直に光線を入射した場合の出射光の非透過成分率が、光学シート1面内の所定の方向に沿って周期的に変化することが特徴である。点状光源が一定の周期で配列されているため、画面上では光源の直上か、光源間の上かによって光量分布が異なり、画面の輝度むらが生じる。例えば、図4に示されるように、光源直上の投影領域4では光量は大きくなる傾向にあるのに対して、光源間の投影領域5では光量は小さくなる。そこで、このような周期的な光量分布に応じて光学シート1の非透過成分率を変化させることにより、画面の輝度むらを抑制することが可能になる。所定の方向とは、面上のある直線方向のことであって、通常は画面に対して縦方向や横方向であるが、図4に示されるように、斜め方向であってもよい。また複数の方向であってもよい。
【0038】
非透過成分率の変化の状態は、前記所定の方向における前記光学シート1面内の相対位置を横軸にとり、前記光学シート1の面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図によって示される。点状光源の位置を直線で結んだ方向を前記所定の方向と定義して非透過成分率分布図を描くと、本発明の光学シート1の特性が端的に示される。
【0039】
図5A〜図5Fは、光学シート1面内の所定の方向における非透過成分率の分布例を示す図である。
【0040】
光学シート面内の各領域における非透過成分率は、相対的に非透過成分率が高い領域(以下、「高非透過成分率領域」という。)を光源直上の投影領域に配置してもよく、相対的に非透過成分率が低い領域(以下、「低非透過成分率領域」という。)を光源直上の投影領域に配置してもよい。また、高非透過成分率領域と低非透過成分領域との間の非透過成分率はなめらかに変化することが好ましい。特に、輝度むら低減の観点からは、高非透過成分率領域において、連続する複数のピーク値を有することが好ましい(例えば、図5C参照)。
【0041】
図5Fに示すパターンは、非透過成分率の分布がピーク値を含み、上に凸の曲線形状を有する第一の区間D1と、非透過成分率の分布がボトム値を含み下に凸の曲線形状を有する第二の区間D2とを有している。このようなパターンは光源が点状光源である場合、特に効果的である。点状光源として、例えば、LED(発光ダイオード)を用いる場合、光の出光角度によらず照度分布に対して本実施の形態に係る光学シートにおける非透過成分率を設計することができる。
【0042】
ここで、高非透過成分率領域とは、ピーク値の最大値とボトム値の最小値との算術平均値より大きい非透過成分率領域とし、低非透過成分率領域とは、ピーク値の最大値とボトム値の最小値との算術平均値より小さい非透過成分率領域とする。なお、これらの領域は、端部領域と中央部領域のそれぞれにおいて設定される。本実施の形態において、ピーク値とボトム値との算術平均値は、上記定義に基づく非透過成分率の分布を用いて算出するものとする。なお、一周期の中で、ピーク値、ボトム値は1つとは限らず、同一の値が複数存在していてもよい。図5Cに示す非透過成分率の分布がその一例である。
【0043】
また、「周期的に」変化するとは、繰り返されたパターン同士を比較して、同じ繰り返しに相当するピーク値及びピーク値を与える周期の開始点からの変位、並びに、ボトム値及びボトム値を与える周期の開始点からの変位が、それぞれ、全繰り返しパターンの平均値の±15%以内(好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内)の範囲内にあることをいう。また、上記の周期性を示す方向は、光学シート面内に少なくとも一つあれば良く、光学シート面について非透過成分率の分布を作成することにより特定することができる。本実施の形態においては、繰り返された複数のピーク値の非透過成分率は、測定された全てのピーク値の非透過成分率の差が3%以内となることが好ましく、2%以内がより好ましく、1%以内であることが最も好ましい。ボトム値についても同様である。
【0044】
図6は、本実施の形態に係る光学シート1の高非透過成分率領域A3及び低非透過成分率領域A4の配置例について示す模式図である。
【0045】
図6Aに示す例においては、光学シート1のシート面内において、円形形状の高非透過成分率領域A3が格子状に所定の周期C2で設けられ、高非透過成分率領域A3の間に低非透過成分率領域A4が存在する。光学シート1面内の非透過成分率は、各高非透過成分率領域A3の中心点P1近傍でピーク値となり、各低非透過成分率領域A4内でボトム値となる。すなわち、図6Aに示す光学シートにおいては、高非透過成分率領域A3と低非透過成分率領域A4とが、光学シート1面内のx軸方向及びy軸方向において周期的に存在する。図6Bに示す例においては、光学シート1のシート面内において、円形形状の高非透過成分率領域A3が格子状に所定の周期C2及びC3で設けられ、高非透過成分率領域A3の間に低非透過成分率領域A4が存在する。図6Bに示す例においても光学シート1のx軸またはy軸方向の断面においては図5のように非透過成分率が推移している。このようなパターンは点状光源に対して用いることが好適である。
【0046】
以下、光学シート1の各構成要素の詳細について説明する。
【0047】
〈基材〉
光学シート1の基材15は、樹脂、ガラス等の材料からなる光透過性の基材であればよい。特に、基材15単体での非透過成分率が25%以下のものが好ましく用いられる。基材15の厚さは特に限定されないが、通常、50μm〜500μmの範囲内である。樹脂材料からなる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー、アクリレート系のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電磁放射線で硬化させた樹脂、等で構成された透明性基材を用いることができる。また、ガラスからなる基材としては、ソーダ硝子、硼珪酸硝子等を用いることができる。
【0048】
なお、基材15に凹凸パターン層17を設ける場合、基材15の凹凸パターン層17と反対側の面は、平滑面、凹凸面、マット面などであってもよい。輝度向上、および輝度ムラ軽減の観点から、平滑面であることが特に好ましい。なお、光学シート1を積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、凹凸パターン層17と反対側の面に極微量のビーズを塗布しても良い。
【0049】
〈光透過性制御部位〉
光学シート1の光透過性制御部位16は、例えば、光反射性材料を基材15の全部または一部に塗布することで構成される。光反射性材料としては、例えば塗料や金属ペーストなどの光反射性インク、シリコンビーズ、アクリルビーズなどの光拡散剤、蛍光増白剤などの光吸収剤、表面凹凸形状、有機/無機フィラーなどが挙げられる。光透過性制御部位16における光反射性材料の占める面積や厚み、密度などによって、透過率、反射率をコントロールすることができる。中でも、透過率と反射率を容易にコントロールでき、大面積化が可能であるという観点から光反射性インクが好ましく、なかでも反射率が高く吸収率が少ないという観点から白色インクが好ましい。また、塗布方法としては、白色インク硬化物のパターンを自由に形成できるため、印刷法が好ましい。
【0050】
ここで、白色インク硬化物とは、白色インク組成物を印刷硬化させたものを意味し、白色インク組成物には、溶剤、白色顔料、分散剤、及び対象物表面への固着剤としての樹脂が基本成分として含まれる。白色インク組成物における白色顔料としては、具体的には、酸化チタン(TiO、チタンホワイト)、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ケイ酸アルミニウム、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、ジンクホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、チタンストロンチウムホワイト)、硫酸バリウム(BaSO)などが単独または混合系で使用できる。特に、酸化チタンは、他の無機白色顔料と比べると比重が小さいため分散安定性があり、屈折率が大きく光学散乱性に優れ、化学的、物理的にも安定である。このため、顔料としての隠蔽力や光学散乱性が大きいので、本発明に使用される無機白色顔料としては酸化チタンを主成分として用いるのが好ましい。拡散光の色目を調整する目的で、上記白色顔料を混合することも可能である。白色顔料の混合率は、白色インク組成物全体の30質量%〜60質量%とするのが好ましい。酸化チタン以外の白色顔料は、必要により分散補助等の目的で顔料全体の3割程度までの量で使用するのが一般的である。
【0051】
白色インク組成物における樹脂としては、例えば、ケトン樹脂、スルホアミド樹脂、マレイン酸樹脂、エステルガム、キシレン樹脂、アルキド樹脂、ロジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂などが使用できるが、中でもアクリル系樹脂が好適に使用できる。
【0052】
白色インク組成物における有機溶剤は、樹脂の溶解、粘度の調整などを目的として使用するものでありトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどのシクロパラフィン系溶剤などが単独又は混合物の形で使用できる。有機溶剤の使用量は、白色インク組成物全体の30質量%〜60質量%程度である。
【0053】
また、白色インク組成物中に光学効果をもつ光学剤を含有してもよい。光学剤は光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーとしては、アクリル、アクリロニトリル、無黄変ウレタン、スチレンなどを用いることができる。印刷インクによる膨潤性の低さからは無機フィラーが好ましく、有機フィラーの中ではウレタン系フィラーが好ましい。
【0054】
光学剤の配合量は、白色インク組成物中の樹脂100質量部に対して10質量部以上80質量部以下が好ましく、20質量部以上60質量部以下が特に好ましい。これは、光学剤の配合量が上記範囲未満であると、輝度均一効果が不十分となってしまい、逆に、光学剤の配合量が上記範囲を越えると、光調整パターンを形成する樹脂組成物の塗工が困難となってしまうことからである。
【0055】
基材15の光透過性制御部位16に印刷法で光反射性の材料を塗布する場合、パターン印刷部の形状については特に制限されない。例えば、円形状、三角形状、四角形状、楕円形状などのドットや、帯状などが挙げられる。パターン形成においては、汎用的であることから、円形状のドットが好ましい。この形状が円形状のドットである場合、その直径は5μm〜500μmであることが好ましい。
【0056】
また、印刷方法については、従来公知の方法であればよく、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、並びに熱転写リボンを用いた熱溶融印刷、及び熱昇華印刷などのいずれの方法でもよい。なかでもオフセット印刷は網点の鮮明な印刷が可能で、さらに版が直接シートに触れず胴の磨耗が少ないため、大量印刷に適しているため、生産効率の面ではよい。
【0057】
また、印刷インクは、印刷に使用可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、蒸発乾燥型インク、酸化重合型インク、加熱硬化型インク、2液反応型インク、紫外線硬化型インク、熱溶融型インク、熱昇華型インク等が挙げられる。中でも、フィルム印刷に適する紫外線硬化型インクが好ましい。なお、光学効果向上のためには、印刷インクは白色あるいは、灰色が好ましい。ただし、透明インク中に、無機フィラーや有機フィラーを添加して拡散効果を向上する方法でもよい。
【0058】
非透過成分率の分布は、光反射性インク硬化物で形成されたドットからなるパターンにおける、ドット密度とドット濃度の分布により生じさせることができる。
【0059】
光反射性インク硬化物のドット密度とは、下記式(3)に示すように光反射性インク硬化物と基材が接触している部分を基材平面に対して法線方向から観察した際の面積(以下「インク面積」という。)を、観察した単位面積で除した値の百分率を指す。インク面積は、例えば、キーエンス社製超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)や光学顕微鏡で測定することができる。ドット密度が大きくなると、その部位の反射率は増加し、透過率は減少する。
式(3)
ドット密度(%)=(インク面積)/(観察した単位面積)×100
【0060】
光反射性インク硬化物のドット濃度とは、任意の面上におけるインク濃度(インク硬化物における光反射成分の割合)と厚みによって支配される。この場合、インク組成物中における光反射成分の濃度が予め分かっているので、インクの種類を変更する毎にその濃度を把握することができる。ドットの厚みは、例えば、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(キーエンス社製、VK−9500)で測定することができる。ここでドット厚みとは、例えばインクが水含有性インクや溶剤含有性インクの場合、水や溶剤などの溶媒成分が揮発した後のドット厚みを表す。ドット濃度が大きくなると、その部位の反射率は増加し、透過率は減少する。
【0061】
光透過率の分布を制御しやすいという観点から、非透過成分率の分布は、光反射性インク硬化物のドット濃度、すなわち「ドット厚み」と「インク濃度」を一定にし、ドット密度を変化させて形成することが好ましい。図7は、光学シート1におけるドット密度変化の一例を示す図である。光学シート1のドット密度を変化させるにあたっては、光反射性インク硬化物21のドット間のピッチPを一定にして、ドット面積を変化させることでドット密度を変化させてもよい(図7A)。また、ドット面積を一定にして、ピッチPを変化させることでドット密度を変化させてもよい(図7B)。また、ドット面積とピッチPとを変化させることでドット密度を変化させても良い(図7C)。
【0062】
また、同様の理由から、非透過成分率分布を平面図としてプロットした際、最外周の高非透過成分率領域の形状が、光学シート1の最端部(光学シート1の縁)に向かって狭くなる形状をとることが好ましい。または、光源の最外周に位置する点状光源の一つの投影領域について、同じ非透過成分率の点を結んだ線(等高線)によって形成される形状が、光学シート1の縁に向かって狭くなる形状になっていることが好ましい。つまり、同じ非透過成分率を表す等高線の間隔が、光学シート1の縁に向かって狭くなっていることが好ましい。投影領域が等高線によって囲まれる場合には、等高線によって囲まれる領域が、光学シート1の縁に向かって狭くなるということもできる。高非透過成分率領域がこのような形状をとることによって、画面端部では高非透過成分率領域の面積が減少するため、画面端部が暗くなることを防止することができる。また、最外周の点状光源上に位置する部分を高非透過成分率領域とし、しかも光量分布により適応した非透過成分率分布により、画面輝度の均一化をさらに向上させることが可能である。
【0063】
図8は、光学シート1における高非透過成分率領域の形状を示す模式図である。図8Aに示されるように、非透過成分率の等高線が、光学シート1の縁に向かって狭くなっている。このように、非透過成分率の等高線が光学シートの最端部に向かって狭くなる形状としては、例えば、先端が尖った多角形(図8B)、水滴形状等のように曲線で囲まれた形状(図8C)、台形(図8D)、三角形(図8E)などがある。狭くなる先端部は、一点に集約されるように尖っていてもよいし、先端部が平坦あるいは丸い形状でもよい。また、非透過成分率は、ピーク点からシート最端部に向かって減衰する。図8では、色の濃い部分が非透過成分率のピーク値を示し、薄い方にむかって減衰する。減衰の形状は直線状でもよいが、なだらかな曲線状であることが好ましい。より好ましくは、シート端部におけるピーク点からシート最端部に向かって、上に凸の曲線から、変曲点を挟んで下に凸の曲線となることである。図8の光学シート1において、画面に水平な、点状光源上に相当する点線上での非透過成分率分布図は、図5Fのような形状で、端部に相当する部分のピーク値が、中央部のピーク値より大きく、かつシート端部におけるピーク点からシート最端部に向かって、上に凸の曲線から、変曲点を挟んで下に凸となる曲線を描く。
【0064】
〈凹凸パターン層〉
光学シート1は、凹凸パターン層17を有することが好ましい。光学シート1を光源ユニットに組み込んだ際に、光学シート1を透過する光が凹凸パターンによって適度に拡散されることで、光源ユニットを斜めから見た際の輝度ムラ抑制性能(「斜めムラ抑制性能」と呼ぶ。)が格段に向上するためである。
【0065】
凹凸パターンとは、例えば、表面に多数の突起部が設けられた構造である。突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物面状のいずれでもよく、各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましく用いることができる。この擬似ランダム構造としては、非平面スペックルによって特徴付けられた微細な3次元構造であることが好ましい。上記突起部の典型的な高さは0.1μm〜10μm、最高拡散角度を示す方向のピッチは0.5μm〜50μm程度である。
【0066】
ここで、「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう。この拡散角度は、光学シートの非透過成分率調整パターンを除いた上で、例えば、Photon(株)社製のファーフィールドプロファイラーLD8900で、光学シートの凹凸パターン層の法線方向から、凹凸パターン層側より入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求めることができる。
【0067】
凹凸がランダム構造であっても、数mm角四方程度の部分領域での集合的な光学性能はシート面内でほぼ一定であることが好ましいので、凹凸パターンの拡散角度はシート面内において所定の角度であることが好ましい。所定の角度である、とは、シート面内の拡散角度が、面内の拡散角度の平均値に対して±10%の範囲内に収まっていることを表す。
【0068】
凹凸パターンの拡散角度は等方的でも異方的でもよく、もっとも高拡散となる拡散軸において、10度〜120度の範囲内であることが、斜めムラ抑制性能の観点で好ましく、30度〜90度の範囲内であることが、斜めムラ抑制性能と正面輝度の観点からさらに好ましい。
【0069】
非平面スペックルによって特徴付けられた3次元構造は、機械加工では困難であった10μm以下の微細な凹凸構造の形成に適している。この非平面スペックルによる凹凸構造の製造方法については後述する。
【0070】
また、マイクロレンズのような等方的な形状や、レンチキュラーレンズのような異方的な形状も容易に形成することができる。この凹凸構造は、モアレ抑制などの観点から、高さ及びピッチが不規則であることが好ましい。
【0071】
このような凹凸パターン層が光学シート内に存在すると、光学シートに入射してきた光を拡散することが可能となる。本実施の形態に係る光学シートは、シート面内に上記のような光を拡散する光学的機能を示す部分を有するが、光学的機能を有する必要のない部分、例えばシート周辺部など、シートを固定するために使用される部分であって光拡散性を要求されない部分においては、光学シート表面が平滑になっている部分が存在していても良い。
【0072】
光学シート表面の凹凸パターン層を、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成する製造方法について述べる。干渉露光によるスペックルパターンを用いる微細な3次元構造の形成方法は、機械加工では困難であった10μm以下の微細な凹凸構造の形成に適している。特に、非平面スペックルを用いて凹凸を形成する方法は、光学シート上の領域に応じて、拡散角度を変えるような場合にも、適した製法である。また、マイクロレンズのような等方的な形状や、レンチキュラーレンズのような異方的な形状も容易に形成することができる。この凹凸構造は、モアレ抑制などの観点から、個々の凹部又は凸部の深さ又は高さ及びピッチが不規則であることが好ましい。
【0073】
干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された凹凸パターン層を基材の表面に形成し、面内において所定の拡散角度を有する凹凸パターン層付基材は、具体的には次のようにして製造することができる。
【0074】
まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度あるいはアスペクト比が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成したサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えサブマスタ型のスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、所定の拡散角度をもつ凹凸構造を記録することができ、これを用いて製造される凹凸パターン付基材の拡散角度を制御することができる。
【0075】
一般に、複数の凹部又は凸部からなる凹凸構造によって実現される凹凸パターン付基材の拡散角度は、凹部又は凸部の平均サイズ及び形状に依存する。各凹部又は凸部のサイズが小さいほど、凹部又は凸部から構成される凹凸構造を表面に有する凹凸パターン付基材の拡散角度は大きくなる。
【0076】
また、各凹部又は凸部の開口又は底面の形状が等方性であると、凹部又は凸部から構成される凹凸パターン層を表面に有する凹凸パターン付基材の拡散角度は方向によらず均一となり、異方性のものであると、拡散角度が方向によって異なる(ただし、各凹部又は凸部が同じ方向に方向性をもち、同じ向きに配置されている場合)。具体的には、各凹部又は凸部スペックルの開口又は底面の形状が横方向に長い楕円であれば、この楕円が同じ向きに複数個配列された凹凸パターン付基材の光拡散分布の形は縦方向に長い楕円となる。すなわち、縦方向の拡散角度が大きく、横方向の拡散角度が小さくなる。
【0077】
なお、凹凸パターン層17と光透過性制御部位16とを組み合わせて用いることにより、高非透過成分率領域A3と低非透過成分率領域A4とを任意に調整することができる。この点においても、凹凸パターン層17を用いることは好ましい。
【0078】
〈光学シートの製造方法〉
光学シート1の製造方法は、例えば次の通りである。図2Aに示される光学シート1は、例えば、基材15上に光反射性インクを印刷して基材15の一方の面上に光透過性制御部位16を設け、その上に凹凸パターン層17を設けることにより製造される。
【0079】
図2Bに示される光学シート1は、基材15上に凹凸パターン層17を設け、凹凸パターン層17上に光反射性インクを印刷して光透過性制御部位16を設けることにより製造される。
【0080】
図2Cに示される光学シート1は、基材15の一方の面上に凹凸パターン層17を設け、基材15の他方の面上に光反射性インクを印刷して光透過性制御部位16を設けることにより製造される。
【0081】
〈光源ユニット〉
次に、上述した本発明に係る光学シートを用いた光源ユニットについて説明する。
【0082】
光源ユニットは、図9A〜D、図10A〜Cに示すように、本発明の光学シート1と共に光反射シート3、拡散板8、レンズシート9、プリズムシート10、反射型偏光フィルム11を設けても良い。
【0083】
図9Aに示す光源ユニットは、光反射シート3上に設けられた複数の点状光源2と、当該点状光源2の上方に配設され点状光源2の光を拡散させる拡散板8と、当該拡散板8の上方に配設された本発明に係る光学シート1とを具備する。この構成は正面輝度均一性とユニットのコストの面で優れる。図9Bに示す光源ユニットは、図9Aの構成において、光学シート1の上方に配設され集光する機能を持つレンズシート9を具備する。この構成は図9Aの構成に比べ、輝度均一性に優れ、正面輝度が高い。図9Cに示す光源ユニットは、図9Bの構成において、レンズシート9の上方にプリズムシート10と反射型偏光フィルム11を順に配設したものである。この構成は図9Bの構成に比べ、さらに正面に光を集光している上に、出射光に偏光フィルタリングをかけているので、液晶テレビとして液晶パネルを備えた際に、図9Bの構成より正面輝度が高くなる。図9Dに示す光源ユニットは、図9Aの構成において、光学シート1の上方にプリズムシート10と反射型偏光フィルム11を順に配設したものである。この構成は図9Cの構成に比べ、コストと光源ユニット全体の厚みの面で優れている。
【0084】
図10Aに示す光源ユニットは、図9Bの構成において、レンズシート9の上方にさらに2枚のレンズシート9を配設したものである。この構成は図9Bの構成に比べ、さらに輝度均一性に優れ、正面輝度が高い。図10Bに示す光源ユニットは、図9Bの構成において、光学シート1の上方にさらに2枚のプリズムシート10を配設したものである。この構成は図9B、図10Aの構成に比べ、さらに輝度均一性に優れ、正面輝度が高い。図10Cに示す光源ユニットは、図9Cの構成において、プリズムシート10をレンズシート9に置き換えたものである。この構成は図9Cの構成に比べコストの面で優れる。
【0085】
光反射シート3としては、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネートなどの樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート、などを用いることができる。また、前記光反射シートは、表面に凹凸形状が形成されていても良い。これらには、必要に応じて、表面に無機微粒子などを添加したものを用いることができる。光反射シートは光を高効率で反射させるものであり、光源ユニットとして光の利用効率を高める場合に好ましく使用できる。光源ユニット中では光源の下方に設けることが好ましい。また、バックライトユニット内側面や光学フィルムの側面に配置することで、光の利用効率を向上させることも可能である。
【0086】
拡散板8としては、光を拡散させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えばポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどに、光を拡散させる効果がある有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。これらの拡散板は、光を拡散させ、下部光源の光を均一化させる効果がある。また、前記拡散板は、表面に凹凸形状が形成されていても良い。これらには、必要に応じて、前記有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。また、2成分以上の樹脂を混合し、延伸してシート状とした拡散板も用いることができる。拡散板は光をよく拡散させるものであり、光源ユニットとして出射光の輝度の面内均一性を高める場合に好ましく使用され、本発明の光源ユニットにも好ましく使用できる。光源ユニット中では本発明の光学シート1の上方・下方に設けることが出来るが、本発明の光学シート1の機能発揮の観点で、下方に設けることがより好ましい。
【0087】
レンズシート9としては、例えばアクリル系樹脂の球状ビーズがポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に塗布されたシートを用いることができる。また、他には紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に転写されたシートを用いることもできる。このようなレンズシートは、光を拡散させ均一化させる効果とともに、拡散された光を集光する機能を有する。これらのレンズシートと、本発明の光学シート1とを組み合わせて使用することにより、輝度ムラを軽減することができる。レンズシートは光源ユニットの出射光の輝度の面内均一性を高める効果と、正面輝度の向上効果を持つものであり、光源ユニットにおいてよく使用され、本発明の光源ユニットにも好ましく使用できる。光源ユニット中では本発明の光学シート1の上方・下方に設けることが出来るが、本発明の光学シート1の機能発揮の観点で、上方に設けることがより好ましい。
【0088】
プリズムシート10としては、例えばアレイ状のプリズム配列構造を有する光学シートを用いることができる。プリズムシートは強い正面輝度向上効果を持つと共に、光源ユニット中での光のリサイクル効果を高め出射光の輝度の面内均一性を高める効果を持つものであり、光源ユニットにおいてよく使用され、本発明の光源ユニットにも好ましく使用できる。光源ユニット中では本発明の光学シート1の上方・下方に設けることが出来るが、本発明の光学シート1の機能発揮の観点で、上方に設けることがより好ましい。
【0089】
反射型偏光フィルム11としては、たとえば3M社のDBEFなどを用いることができる。反射型偏光フィルムは、併せて配置される液晶パネルにおいて使用される偏光成分のみを液晶パネルに供給し、不要な偏光成分は光源ユニット側に反射させて、再度液晶パネルにおいて利用可能な変更成分を生み出す効果を持ち、光源ユニットの光の利用効率を高めるために使用されるもので、本発明の光源ユニットにも好ましく使用できる。光源ユニット中では光源ユニットを構成するシート類の最上部に設けることが好ましい。
【0090】
これらの光源ユニットに液晶表示パネルを配設して、液晶表示パネルに光を供給することで、液晶表示装置として用いることができる。
【0091】
なお、光学シート1を光源ユニットに組み込む際には、中央部領域および端部領域で、前記所定の方向における前記光学シート面内の相対位置を横軸にとり、前記光学シートに入光する相対位置での光量を縦軸にとった光量分布図が、ピーク値とボトム値を複数有し、かつ前記光量分布図のピーク値の位置が、前記非透過成分率分布図のピーク値の位置と略等しく、かつ前記光量分布図のボトム値の位置が、前記非透過成分率分布図のボトム値の位置と略等しくすることが、輝度ムラ抑制能の観点で好ましい。
【0092】
光学シート1の入光面に入射する光量を示す光量分布は、例えばELDIM社のEZContrastXL88などによって測定することができる。具体的には、本発明の光学シートが設けられる光源ユニットを用意し、前記光学シートだけを取り除き、光学シートの入光面が位置する箇所に装置の焦点を定めて全方位輝度分布を測定し、その結果から積算光束量(Integrated Intensity)を得る、ということを面内測定対象範囲において繰り返すことで測定する。
【0093】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例について説明する。
【0094】
[実施例1]
本実施例では上記実施の形態に示した光学シート及びLED光源を使用して光源ユニットを作製し、輝度ムラの評価を行った。詳細を以下に示す。
【0095】
<LED光源>
図11A、Bに示すように、白色LEDをLED間隔n1:49.0mm、n2:47.9mmの正方格子状配置で180個実装し、画面サイズ509×915mmのLEDバックライト評価装置を作製した。白色LEDとして、図12に示す出光分布特性を有するものを用いた。また、図11Cに示すように、最外周のLEDの外側には、最外周LEDからn1方向に41.2mm、n2方向に38.9mmの距離に画面端部を設けた。なお、LED光源において、最外周LEDから所定の距離はなれた部分(縁の部分)は斜面になっており、光学シートの端の一部を折り曲げて配置可能になっている。
【0096】
<光学シートA>
図2Cに示す構成の光学シートAを作製した。光学シートAは、非透過成分率が面内で変化しており、非透過成分率が高い領域が、図13に示すように間隔n1:49.0mm、n2:47.9mmの正方格子状に配置されるように作製した。また、光学シートAの最外周の非透過成分率が高い領域は、その等高線によって囲まれる形状が、光学シートAの縁(最端部)に向かって狭くなる形状となるように作製した。また、端部領域の非透過成分率の最大値と最小値の差を、中央領域のそれよりも大きくした。具体的には、例えば、図13に示される光学シートAにおいて、中央部領域の線Bにおける非透過成分率分布では非透過成分率の最大値と最小値の差は20%であるのに対し、端部領域の線Aにおける非透過成分率分布では非透過成分率の最大値と最小値の差は36%である(図14参照)。
【0097】
また、光学シートAの凹凸パターン層には、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された不規則な凹凸パターンを適用した。当該凹凸パターンの拡散角度は、シート面内で一様に80度であった。
【0098】
<光源ユニット>
上記LED光源と光学シートAとを用いて光源ユニットを作製した。光源ユニットの構成は、図10Cに示すものとした。LED光源の上に、光反射シートを両面テープで貼り付けた。また、拡散板と光反射シートとの平均距離Hが10mmになるよう拡散板を光反射シート上方に固定した。拡散板としては、表面にレンチキュラーレンズ形状を持ち、内部に拡散材を含有するものを用いた。そして、光学シートA内の非透過成分率が極大となる部分がLED光源直上の投影領域に合うように、拡散板の上に光学シートAを配設した。なお、光学シートAは、LED光源の縁の形状に合うように端の一部を折り曲げて配置した。さらに、光学シートAの上方に、拡散シート、プリズムシート(プリズム列が画面短辺方向)、プリズムシート(プリズム列が画面長辺方向)、反射型偏光シート(3M社製DBEF−D400)をこの順で配置し、光源ユニットとした。
【0099】
<輝度ムラ評価>
輝度ムラの評価は、上述した光源ユニットにつき、正面方向から二次元輝度分布を測定することで行った。輝度測定には、コニカミノルタ社CA2000を用いた。測定した二次元輝度分布において、図15中の位置A、B、Cに対応する輝度断面中の各測定点をLEDピッチn1の移動平均値で割り、輝度断面を平滑化する。この平滑化した規格化輝度断面の標準偏差値が、位置A、B、Cにおいて0.014以下であれば○、0.014より大きければ×と判定した。標準偏差値が0.014以下であれば目視で輝度むらが確認できなくなる。
【0100】
上記評価の結果、輝度ムラは、位置A、B、Cのいずれの場所においても確認されなかった(位置A:○、位置B:○、位置C:○)。
【0101】
[比較例1]
比較例として、光学シートAを光学シートBに代えて同様の評価を行った。光学シートB以外については、実施例1と同様とした。
【0102】
<光学シートB>
図2Cに示す構成の光学シートBを作製した。光学シートBは、非透過成分率が面内で変化しており、非透過成分率が高い領域が、間隔n1:49.0mm、n2:47.9mmの正方格子状に配置されるように作製した。また、光学シートBの最外周の非透過成分率が高い領域は、その非透過成分率の等高線(同じ非透過成分率の点を結んだ線)が、シート中央部においても端部においても同一となるように作製した。また、端部領域の非透過成分率の最大値と最小値の差を、中央部領域のそれと同じ20%とした。
【0103】
輝度ムラ評価の結果、位置Aにおいて輝度ムラは確認されなかったが、位置B、Cにおいて輝度ムラが確認された(位置A:○、位置B:×、位置C:×)。
【0104】
以上の結果を表1に示す。この結果から、光学シート端部の非透過成分率の最大値と最小値の差が中央部における非透過成分率の最大値と最小値の差よりも大きく、非透過成分率の等高線によって囲まれる形状が、光学シートの縁の部分に向かって狭くなる光学シートは、画面端部の輝度むら軽減に対して効果的であることが分かる。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、複数の点状光源が配列されてなる光源、例えば、LED光源を用いた直下型バックライトに適用する光学シートとして有用である。
【符号の説明】
【0106】
1 光学シート
2 点状光源
3 光反射シート
4 光源直上の投影領域
5 光源間の投影領域
6 端部領域
7 中央部領域
8 拡散板
9 レンズシート
10 プリズムシート
11 反射型偏光シート
15 基材
16 光透過性制御部位
17 凹凸パターン層
21 光反射性インク硬化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点状光源が配列されてなる光源の上方に配設される光学シートであって、
シート状の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上の光透過性を制御する部位と、を有し、
前記光学シートの中央部領域において、非透過成分率が前記光学シート面内の所定の方向に沿って略周期的に変化し、前記所定の方向における前記光学シート面内の相対位置を横軸にとり、前記光学シート面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク値と前記非透過成分率のボトム値が複数有り、
前記光学シートの端部領域における非透過成分率の最大値と最小値の差は、前記中央部領域における非透過成分率の最大値と最小値の差より大きいことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記基材の光透過性を制御する部位は、光反射性インクで形成された不連続パターンからなることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記基材の少なくとも一方の面上に凹凸パターンが設けられた層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記凹凸パターンが干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された不規則な凹凸パターンであり、所定の拡散角度を示すことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学シート。
【請求項5】
前記光源の最外周に位置する点状光源の一つの投影領域について、前記光学シート面内において同じ非透過成分率の点を結んだ線によって形成される形状が、光学シートの縁に向かって狭くなる形状になっていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学シート。
【請求項6】
非透過成分率のピーク値を示す位置が、前記光学シート面内において正方格子状に配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学シート。
【請求項7】
2つ以上の点状光源が配列されてなる光源と、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学シートと、を備えることを特徴とする光源ユニット。
【請求項8】
前記光学シートの中央部領域および端部領域で、前記所定の方向における前記光学シート面内の相対位置を横軸にとり、前記光学シートに入光する相対位置での光量を縦軸にとった光量分布図が、ピーク値とボトム値を複数有し、かつ前記光量分布図のピーク値の位置が、前記非透過成分率分布図のピーク値の位置と略等しく、かつ前記光量分布図のボトム値の位置が、前記非透過成分率分布図のボトム値の位置と略等しいことを特徴とする請求項7に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記光学シートと前記光源の間に配置され、内部に拡散剤を含有する拡散板と、前記光源の前記光学シートに対する反対側に配置される光反射シートと、を備えることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記光学シートの前記光源に対する反対側に配置されるレンズシートを備えることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項11】
前記光学シートの前記光源に対する反対側に配置されるプリズムシートを備えることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項12】
前記光学シートの前記光源に対する反対側に配置される反射型偏光シートを備えることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項13】
液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する請求項7から請求項12のいずれかに記載の光源ユニットと、を備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−163785(P2012−163785A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24344(P2011−24344)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】