説明

光学シートの製造方法および光学シートの製造装置

【課題】 光学シートの光学特性を、幅方向の全体にわたって連続的かつ安定的に測定することを可能とし、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造することができる光学シートの製造方法および光学シートの製造装置を提供する。
【解決手段】 送り出し部2が、長尺のシート状材料Sを連続的に送り出し、加熱処理部3が、送り出されたシート状材料Sに加熱処理を施す。巻き取り部4は、加熱処理部3によって加熱処理されたシート状材料Sを連続的に巻き取る。受発光ユニット10は、照射部5および受光部6からなり、照射部5は、加熱処理部3によって加熱処理されてから巻き取り部4に巻き取られるまでのシート状材料Sの一部に光を照射し、受光部6は、照射部5から照射され、シート状材料Sを透過した透過光を受光する。検出部20は受発光ユニット10を複数含み、受発光ユニット10はシート状材料Sの幅方向全体にわたって一定の間隔で配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シートの製造方法および光学シートの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を透過または反射することによって特定の透過光または反射光を生じさせる光学的特徴を有する光学シートが、表示装置の視認性、防汚性、防眩性などを改良するために用いられる。光学シートにおける光の透過特性および反射特性(以下では「光学特性」という)は、光学シートの材質および光学シート表面の状態などによって決定される。光学シートの材質として、樹脂材料がよく使用されるため、光学シートの特定の光学特性を制御するために、加熱処理を施すことがある。
【0003】
光学特性を制御するための加熱処理では、予めシート状に形成された樹脂材料に対して、ヒータなどで外部から特定の温度条件で加熱する。この加熱によって樹脂材料の物性を変化させたり、シート表面の状態を変化させたりすることにより、光学シートの特定の光学特性を制御することができる。
【0004】
光学シートの光学特性を直接測定できる場合は、加熱処理後の光学シートを対象に光学特性を測定して所望の光学特性に制御されているかどうかを判断する。光学特性が所望の特性から外れるような場合は、加熱条件などを変更する。しかしながら、光学特性は、表示装置などに備え付けた状態で発揮される特性であり、光学シート単独で、所望の光学特性が得られているかどうかを直接的に判断することは難しい。
【0005】
そこで、光学シート単独で測定可能な特性値を、代替となる特性値として測定し、その測定結果から所望の光学特性が付与されているかどうかを間接的に判断する。代替となる光学特性としてよく使用される特性にヘーズがある。ヘーズは、JIS K7136:2000において、全光線透過率に対する拡散透過率の比として定義され、このJIS規格で規定された測定方法に基づいて測定する。JIS K7136:2000に規定された測定方法では、試験片をホルダーにセットした状態で光を照射し、積分球を用いて透過光を測定する必要がある。
【0006】
このように、JIS規格に準拠したヘーズの測定は、連続的に測定することが困難である。光学シートは、長尺のシート状材料を連続的に加熱して製造するものであるため、JIS規格に準拠してヘーズを測定し、その測定結果によって光学特性を判断しようとすると、製造しながら連続的に判断することは不可能である。
【0007】
また、ヘーズの測定装置は市販されているが、試験片をセットして測定する方式の装置であり(非特許文献1参照)、製造しながら連続的に光学特性を判断することはできない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“ヘーズ・透過率計 HM−150”、[online]、株式会社村上色彩技術研究所、インターネット(URL:http://www.mcrl.co.jp/products/p_haze/HM150.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光学シートの全体を一様な光学特性とするには、光学シート表面の各部分を部分ごとの光学特性に応じて適切に加熱する必要がある。加熱により光学シート表面の温度に著しい分布が生じると光学シートの光学特性が一様なものとならずに特性の分布が生じてしまう。したがって、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造するには、光学シート全体の光学特性を連続的に測定し、その測定結果を加熱処理の処理条件に連続的に反映させることが好ましい。
【0010】
従来のヘーズ値の測定では、市販のヘーズメータを用いることができる。現在市販されているヘーズメータは、JIS規格の測定とは異なり連続的に測定することを可能としているが、測定可能範囲が小さく、たとえば数十mm幅の範囲しか測定できない。
【0011】
光学シートの寸法は、様々であるが多くは幅寸法が数mにも及び、上記のような市販されているヘーズメータでは、幅方向全体のヘーズ値を測定することができない。
【0012】
光学シートの幅方向全体のヘーズ値を評価する方法として、たとえば、光学シート全体に光を照射し、CCDイメージセンサなどで光学シートの幅方向全体を撮像してヘーズ値に代替可能な評価値を取得する方法がある。
【0013】
この方法では、簡易な構成で幅方向全体のヘーズ値を評価することができるが、照射光の変動、外光の侵入などにより評価値にばらつきが発生してしまうなどの問題がある。
【0014】
本発明の目的は、光学シートの光学特性を、幅方向の全体にわたって連続的かつ安定的に測定することを可能とし、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造することができる光学シートの製造方法および光学シートの製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、一方から連続的に送り出され、他方で巻き取られる透明樹脂で構成される長尺のシート状材料に加熱処理を施す加熱工程と、
加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって間隔を空けた位置に光を照射し、各位置で、前記シート状材料を透過した透過光をそれぞれ受光する受発光工程と、
受光した透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する判断工程と、
前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力工程とを備えることを特徴とする光学シートの製造方法である。
【0016】
また本発明は、前記判断工程では、受光した透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記加熱条件は、加熱温度を含み、
前記加熱条件の変更は、現在設定されている加熱温度よりも加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、
前記判断工程では、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、
前記出力工程では、前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記受発光工程では、鉛直方向上方に向けて光を照射し、鉛直方向下方から照射される光の透過光を受光することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、長尺のシート状材料を連続的に送り出す送り出し部と、
送り出された前記シート状材料に加熱処理を施す加熱処理部と、
前記加熱処理部によって加熱処理されたシート状材料を連続的に巻き取る巻き取り部と、
前記加熱処理部によって加熱処理されてから前記巻き取り部に巻き取られるまでのシート状材料の一部に光を照射する照射部および前記照射部から照射され、前記シート状材料を透過した透過光を受光する受光部からなる受発光ユニットを複数含む検出部であって、前記受発光ユニットが前記シート状材料の幅方向全体にわたって、間隔を空けて配置された検出部と、
複数の受発光ユニットにおける前記受光部がそれぞれ受光した透過光の光量に基づいて、加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する判断部と、
前記判断部が加熱条件を変更する必要があると判断したときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力部とを備えることを特徴とする光学シートの製造装置である。
【0020】
また本発明は、前記判断部は、前記受光部が受光した透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記照射部および前記受光部は、それぞれ光ファイバで構成され、発光ダイオードを光源とする光を照射および受光することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記加熱条件は、加熱温度を含み、
前記加熱条件の変更は、現在設定されている加熱温度よりも加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、
前記出力部は、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力することを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記照射部および前記受光部は、鉛直方向に沿って配置され、前記照射部が鉛直方向上方に向けて光を照射し、前記受光部が鉛直方向下方から照射される光の透過光を受光するように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、加熱工程で、連続的に送り出される、透明樹脂で構成される長尺のシート状材料を加熱処理し、受発光工程で、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって一定の間隔を空けた位置に光を照射し、各位置で、前記シート状材料を透過した透過光をそれぞれ受光する。判断工程では、受光した透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断し、出力工程では、前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する。
【0025】
受発光工程で、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって一定の間隔を空けた各位置の透過光を受光するので、光学シートの光学特性を、幅方向の全体にわたって測定することが可能となる。また判断工程で、幅方向における複数の位置で受光した透過光に基づいて加熱条件の変更の必要性を判断するので、外光の侵入などにも強く安定的に光学特性を測定することができる。これらの工程は、連続的に送り出されたシート状材料を対象としているので、光学特性を連続的に測定することができる。
【0026】
出力工程では、判断結果に応じて加熱条件を変更する必要があることを出力するので、オペレータは、この出力に応じて加熱条件を変更するように、加熱処理部の動作条件を変更すればよく、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造することができる。
【0027】
また本発明によれば、前記判断工程では、受光した透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られた前記ヘーズ代替評価値とを比較して加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する。受光した透過光の光量をヘーズに換算することによって、加熱条件の変更要否を、ヘーズ代替評価値に基づいて判断することができる。
【0028】
また本発明によれば、前記加熱条件は、加熱温度を含み、前記加熱条件の変更は、現在設定されている加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかである。
【0029】
このとき、前記判断工程では、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、前記出力工程では、前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容を出力する。
【0030】
加熱温度を高くするか、低くするかというかというオペレータにとって理解しやすい変更内容が出力されるので、加熱条件を変更するに際して、オペレータが変更の操作を誤ることなく、かつ即座に変更操作を実行することができる。
【0031】
また本発明によれば、前記受発光工程では、鉛直方向上方に向けて光を照射し、鉛直方向下方から照射される光の透過光を受光する。
【0032】
これにより、たとえば天井などに設けられた室内用照明の光を受光することがないので、外光の影響を受けず、より安定的に光学シートの光学特性を測定することができる。
【0033】
また本発明によれば、送り出し部が、長尺のシート状材料を連続的に送り出し、加熱処理部が、送り出された前記シート状材料に加熱処理を施す。巻き取り部は、前記加熱処理部によって加熱処理されたシート状材料を連続的に巻き取る。
【0034】
受発光ユニットは、照射部および受光部からなり、照射部は、前記加熱処理部によって加熱処理されてから前記巻き取り部に巻き取られるまでのシート状材料の一部に光を照射し、受光部は、前記照射部から照射され、前記シート状材料を透過した透過光を受光する。検出部は受発光ユニットを複数含み、受発光ユニットは前記シート状材料の幅方向全体にわたって間隔を空けて配置される。
【0035】
判断部は、前記受光部が受光した透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断し、加熱条件を変更する必要があると判断したとき、出力部は、加熱条件を変更する必要があることを出力する。
【0036】
幅方向に配置された複数の受発光ユニットにより、光学シートの光学特性を、幅方向の全体にわたって測定することが可能となる。また判断部は、幅方向における複数の位置で受光した透過光に基づいて加熱条件の変更の必要性を判断するので、外光の侵入などにも強く安定的に光学特性を測定することができる。照射および受光は、連続的に送り出されたシート状材料を対象としているので、光学特性を連続的に測定することができる。
【0037】
出力部は、判断結果に応じて加熱条件を変更する必要があることを出力するので、オペレータは、この出力に応じて加熱条件を変更するように、加熱処理部の動作条件を変更すればよく、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造することができる。
【0038】
また本発明によれば、前記判断部は、受光した透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られた前記ヘーズ代替評価値とを比較して加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する。受光した透過光の光量をヘーズに換算することによって、加熱条件の変更要否を、ヘーズ代替評価値に基づいて判断することができる。
【0039】
また本発明によれば、前記照射部および前記受光部は、それぞれ発光ダイオードを光源とする光を照射および受光する光ファイバで構成することができる。
【0040】
また本発明によれば、前記加熱条件は、加熱温度を含み、前記加熱条件の変更は、現在設定されているよりも加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかである。前記出力部は、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容を出力する。
【0041】
加熱温度を高くするか、低くするかというかというオペレータにとって理解しやすい変更内容が出力されるので、加熱条件を変更するに際して、オペレータが変更の操作を誤ることなく、かつ即座に変更操作を実行することができる。
【0042】
また本発明によれば、前記照射部および前記受光部は、鉛直方向に沿って配置されており、前記照射部が鉛直方向上方に向けて光を照射し、前記受光部が鉛直方向下方から照射される光の透過光を受光する。
【0043】
これにより、たとえば天井などに設けられた室内用照明の光を受光部が受光することがないので、外光の影響を受けず、より安定的に光学シートの光学特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】光学シート製造装置1の構成を示す概略図である。
【図2】光学シート製造装置1に備えられる検出部20の構成を示す概略図である。
【図3】制御部8による加熱条件判断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、本発明の実施形態である光学シート製造装置1の構成を示す概略図である。
光学シート製造装置(以下では単に「製造装置」という)1は、長尺のシート状材料Sを加熱領域へと送り出す送り出し部2、加熱領域においてシート状材料Sに加熱処理を施す加熱処理部3と、加熱処理されたシート状材料Sを巻き取る巻き取り部4と、加熱処理部3によって加熱処理されてから巻き取り部4に巻き取られるまでのシート状材料Sの一部に光を照射する照射部5および照射部5から照射され、シート状材料Sを透過した透過光を受光する受光部6からなる受発光ユニット10を複数含む検出部20と、加熱処理部3の動作を変更するための変更指示を出力する指示部7と、加熱処理部3、指示部7および検出部20の動作を制御する制御部8とを備える。
【0046】
加熱処理部3によって加熱処理が施されることで表面状態が変化し、所望のヘーズを示す光学シートとなるシート状材料Sは、透明樹脂をシート状に形成したものが好適に用いられる。透明樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリスチレン(PS)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、環状オレフィン重合体(重合成分が環状オレフィンであるもの、単独重合体であっても良いし共重合体であっても良い)および環状オレフィン共重合体(環状オレフィンとこれ以外の他の共重合成分との共重合体)からなる群より選ばれる透明樹脂を用いる。
【0047】
光学シートに対して要求される光学特性は予め決まっているので、要求される光学特性から必然的に使用すべき透明樹脂が決定されるか、または光学特性に応じて適宜好適な透明樹脂を選択すればよい。
【0048】
透明樹脂をシート状に成形する方法は特に限定されず、使用する透明樹脂の種類、シートの厚みや幅などの寸法に応じて、たとえば押し出し法、カレンダー法、インフレーション法など適宜好適な方法を選択すればよい。
【0049】
透明樹脂を成形して得られた長尺のシート状材料Sは、一旦ロール状に巻き取られて送り出し部2にセットされる。送り出し部2は、巻き取られたシート状材料の巻き芯となる円柱状または円筒状の送り出しローラと、この送り出しローラを回転駆動させる駆動源とを含む。送り出しローラが回転駆動されると、シート状材料Sは、一定の方向に送り出され、加熱処理部3によって加熱される加熱領域へと到達する。
【0050】
加熱処理部3は、接触または非接触でシート状材料Sの表面を予め定める温度に加熱するものであればどのようなものでも使用できる。たとえば、セラミックヒータ、赤外光ランプおよびブロワなど、シート状材料Sの材質や変化させるべき表面状態に応じて適宜選択すればよい。加熱温度、加熱時間も同様に適宜選択することができる。
【0051】
なお、加熱処理部3は、送り出し部2を介して間接的にシート状材料Sの表面を加熱するものであってもよい。たとえば、溶融した透明樹脂をダイからシート状に押し出し、一対のロールの間に挟み込み、一方のロールに巻き掛けた後、引取りロールで引取ることによって押し出し成形する場合には、一対のロールの一方のロールまたは両方のロールを加熱処理することによって、シート状材料Sを間接的に加熱することができる。このような成形方法の場合は、透明樹脂を挟み込むロールが送り出し部2となり、加熱処理部3によって加熱処理される。また、シート状材料Sを巻き掛ける3本目以降のロールを加熱処理部3によって加熱処理されるものであってもよい。
【0052】
表面に凹凸を設けたロールを用いて、シート状材料Sに光学特性を付与することが一般的に実施されている。シート状材料Sの表面状態には、透明樹脂を挟み込むロールの表面状態が直接的に反映されるので、ロール表面に設けた凹凸を版とし、これをシート状材料Sに転写することで表面に凹凸を有する光学シートが得られる。光学シートの光学特性は、版となるロールの凹凸の転写の度合いに影響されるが、凹凸の転写度合いは、版となるロールと接触するシート状材料Sの表面の温度に影響される。版となるロールの表面、または版となるロールおよび、これに対となる樹脂を挟み込むロールの表面を加熱することで、間接的にシート状材料Sの表面を加熱し、光学特性を制御することができる。
【0053】
加熱処理部3は、少なくともシート状材料Sの幅方向、すなわち送り出し方向に直交する方向全体にわたる加熱領域に対して加熱処理を施すことができるとともに、幅方向に複数に分割された領域ごとに独立して加熱温度など加熱条件を変更することが可能に構成される。セラミックヒータなど通電により発熱する構造の場合は、領域ごとに通電量を変更することを可能とし、赤外光ランプなど光照射する構造の場合は、少なくとも領域ごとに対応するランプを設置し、領域ごとにランプのオンオフを制御する。ブロワなど熱風を排気する構造の場合は、少なくとも領域ごとに対応する熱風の吹き出し口を設け、吹き出し量を領域ごとに制御すればよい。
【0054】
シート状材料Sの幅方向全体にわたって一様に加熱処理しようとすると、加熱処理部3の動作条件を、シート状材料の幅方向に複数並んで配置される領域ごとに同じ動作条件とすればよい。しかしながら、たとえばセラミックヒータでは、同じ通電量であっても発熱温度が異なっていたり、同じ赤外線ランプでも照射量が異なっていたりするために、単に同じ動作条件にすればシート状材料Sの幅方向全体にわたって一様に加熱処理できるとは限らない。
【0055】
したがって、加熱処理によって変化したシート状材料Sの表面特性を、幅方向全体にわたって連続的に評価し、評価結果に応じて、加熱処理部3の動作条件を変更することが重要である。加熱処理部3は、シート状材料Sの幅方向に分割した領域ごとに加熱条件を変更することができるので、制御部8が、幅方向全体の特性評価に基づいて領域ごとに変更すべき加熱条件を判断し、判断結果に応じて変更すべき加熱条件を指示部7に対して出力する。指示部7は、出力された加熱条件の変更内容を表示するなどしてオペレータに報知し、オペレータは報知された変更内容に従って領域ごとの加熱条件の変更指示を指示部7に入力する。
シート状材料Sの幅方向全体にわたる評価は、検出部20によって行う。
【0056】
図2は、光学シート製造装置1に備えられる検出部20の構成を示す概略図である。図2には、シート状材料Sの送り出し方向から見た検出部20の構成を示している。したがって、図2において、紙面向かって左右方向がシート状材料Sの幅方向となる。
【0057】
検出部20は、上記のように照射部5および受光部6からなる受発光ユニット10を複数含んで構成され、複数の受発光ユニット10は、シート状材料Sの幅方向全体にわたって間隔を空けて配置される。配置の間隔は、等間隔でもよく、配置場所によって適宜間隔を変えてもよい。たとえば、幅方向両端部よりも幅方向中央部のほうが、間隔が広くなるように配置する。
【0058】
照射部5は、光源である発光ダイオードと、発光ダイオードから出射されるレーザ光を導き、一定の方向に照射する光ファイバとを含んで構成される。発光ダイオードから出射されるレーザ光、すなわち光学特性を評価するためにシート状材料Sを透過する光は、評価の対象となるシート状材料Sの材質などによって適宜選択すればよく、たとえば波長が660nm前後の赤色光を用いることができる。また、赤色光を出射する発光ダイオードとしては、たとえばInGaAlP系のLED(Light Emitting Diode)が高輝度で好ましい。
【0059】
受光部6は、受光素子と、照射部5から照射されシート状材料Sを透過した透過光を受光素子へと導く光ファイバとを含んで構成される。受光素子は、透過光を受光できるものであればよく、たとえばSi系半導体で構成されるフォトダイオードを用いることができる。
【0060】
照射部5および受光部6は、鉛直方向に沿って配置され、照射部5が鉛直方向下方に、受光部6が鉛直方向上方に配置される。下方に位置する照射部5から鉛直方向上方に向けて光を照射し、上方に位置する受光部6は、鉛直方向下方から照射される光を受光するように構成される。シート状材料Sは、このように配置された照射部5と受光部6との間を通過するように送り出される。したがって、照射部5からの光は、その光軸がシート状材料Sの表面に略直交するように下方から照射され、シート状材料Sを厚み方向に透過し、透過光が受光部6によって受光される。
【0061】
なお、照射部5と受光部6の配置については、互いの光軸が鉛直方向で一致するように配置してもよいが、好ましくは、一致しないようにずらして配置することが好ましい。これにより、受光部6は、照射部5からの直接光を受光するのではなく、シート状材料Sの表面で散乱された散乱光を受光するので、シート状材料Sの表面状態の変化を高感度に検出できる。本実施形態では、照射部5と受光部6のそれぞれの光軸は、搬送されるシート状材料Sに対して略直交するように設けられ、各光軸がシート搬送方向にずれるように設けられ、光軸間のシート搬送方向の距離が、たとえば、2〜10mm程度に設定される。
【0062】
1つの受発光ユニット10によって、シート状材料Sの一部の領域における透過光を受光することができる。そして、受発光ユニット10は、シート状材料Sの幅方向全体にわたって一定の間隔で配置されるので、複数の受発光ユニット10によって、シート状材料Sの幅方向全体にわたる透過光を受光することができる。
【0063】
シート状材料Sの厚み方向の透過光は、シート状材料Sの光学特性との相関性を有しており、シート状材料Sの幅方向全体にわたる透過光を受光することで、その受光量からシート状材料Sの幅方向全体にわたる光学特性を測定することができる。
【0064】
このように、複数の受発光ユニット10によって、一定間隔の各位置で透過光を測定するので、外光の侵入などにも強く安定的に光学特性を測定することができる。また、受光部6は、下方からの透過光を受光するように配置されるので、たとえば天井などに設けられた室内用照明の光を受光することがなく、外光の影響を受けず、より安定的にシート状材料Sの光学特性を測定することができる。
【0065】
検出部20の一例としては、たとえば、受発光ユニット10同士が34mmピッチで配置され、照射部5と受光部6との間隔は160mmで、シート状材料Sは、照射部5からの距離が約30mmの位置を通過するように構成される。
【0066】
制御部8は、受発光ユニット10の動作を制御する。具体的には、照射部5については、光源を制御して照射部5からの光の照射タイミングなどを制御する。受光部6では、受光した透過光の光量を受光素子からの出力に基づいて検出する。
【0067】
制御部8には、透過光の光量とシート状材料Sの光学特性との相関性を示す光学特性相関データおよびシート状材料の光学特性と加熱条件との相関性を示す加熱条件相関データなどが予め記憶されており、制御部8は、受光した透過光の光量に基づいて加熱処理部3における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する判断部として機能する。加熱条件を変更する必要があると判断したときは、出力部として指示部7に対し、加熱条件を変更する必要があることを示す変更情報を出力する。
【0068】
指示部7は、表示部または音声出力部などを備え、制御部8から出力された変更情報に基づいて、加熱条件を変更する必要があることを表示または音声出力してオペレータに報知する。
【0069】
指示部7には、加熱処理部3の加熱条件を変更するために指示を入力する入力手段を備えられており、加熱条件を変更する必要があることを知ったオペレータは、指示部7の入力手段を操作して、加熱条件を変更するための指示を入力する。制御部8は、指示部7から入力された指示の内容に従って加熱処理部3の加熱条件を変更する。
【0070】
さらに、制御部8は、出力部として、加熱条件の変更の要否だけでなく、どのように変更するべきかを示す変更内容を指示部7に出力することが好ましい。
【0071】
加熱条件としては、加熱温度があり、加熱処理部3の加熱条件の変更には、現在設定されている加熱温度よりも加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更がある。制御部8は、加熱条件を変更する必要があると判断したときには、さらに加熱条件の具体的な変更内容についても判断し、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかの変更内容も変更情報に含めて指示部7に出力する。
【0072】
指示部7では、制御部8から出力された変更情報に含まれる変更内容に基づいて、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかの変更内容を表示または音声出力してオペレータに報知する。
【0073】
加熱温度を高くするか、低くするかというかというオペレータにとって理解しやすい具体的な変更内容が表示または音声出力されるので、加熱条件を変更するに際して、オペレータが変更の指示を誤ることなく、かつ即座に変更の指示を入力することができる。
【0074】
また、指示部7に表示部が備えられている場合、オペレータが変更内容を即座に認識できるように、文字または図形などで表示することが好ましい。
【0075】
シート状材料Sの表面状態は、ヘーズによって評価することが好ましい。ヘーズをJIS規定に準拠して測定すると、連続的な評価が困難であるため、受光部6によって受光した透過光量をヘーズの代替評価値とする。加熱処理部3によって加熱され表面状態が変化したシート状材料Sが、所望の表面状態となっているかどうかを、シート状材料Sの透過光によって評価し、評価結果に基づいて指示部7が加熱処理部3の動作を変更するための変更指示を出力する。
【0076】
上記のように加熱処理部3は、シート状材料Sの幅方向に分割された領域ごとに加熱条件を制御することが可能に構成されている。領域ごとに対応する受発光ユニット10によって、受光したシート状材料Sの透過光を連続的に評価し、評価結果に基づいて領域ごとの加熱条件を連続的に制御すれば、シート状材料Sの表面状態を所望の状態に維持することが可能となる。
【0077】
このように加熱処理部3の動作が、受光部6で受光した透過光量で制御され、所望の光学特性を有するように加熱処理されたシート状材料Sは、巻き取り部4によって巻き取られる。巻き取り部4は、送り出し部2と同様に、巻き取られたシート状材料Sの巻き芯となる円柱状または円筒状の巻き取りローラと、この巻き取りローラを回転駆動させる駆動源とを含む。巻き取りローラの駆動は、送り出しローラの駆動と同期され、加熱処理されたシート状材料Sが、一定の速度で巻き取りローラに巻き取られる。
【0078】
巻き取り部4によって巻き取られたシート状材料Sは、たとえば所定の寸法に裁断されて光学シートとなる。
【0079】
以下では、ヘーズの代替評価値を用いた場合について詳細に説明する。
制御部8は、受光部6から出力される透過光量を示す光量データに基づいてシート状材料Sのヘーズを評価し、予め定める閾値と比較して加熱処理部3の動作条件変更の要否および変更を要する場合は、変更の具体的内容を決定する。
【0080】
受光部6は、シート状材料Sの幅方向に一定の間隔で配置されているので、各受光部6から出力される透過光量を示す光量データは、シート状材料Sの幅方向において、一定間隔ごとに離れた位置の光量データを示す。
【0081】
シート状材料Sの幅方向に予め複数の領域を設定しておき、各領域に対応する受発光ユニット10の受光部6から出力される透過光量データを、各領域のヘーズを代替するヘーズ代替評価値に変換して、領域ごとのヘーズ代替評価値Hを得る。1つの領域に対応する受光部6が1つの場合は、その領域のヘーズ代替評価値Hを、対応する1つの受光部6から出力される透過光量データとし、受光部6が複数の場合は、複数の受光部6から出力される透過光量データの代表値をその領域のヘーズ代替評価値Hとする。代表値は、たとえば、透過光量データの算術平均値または中央値などである。
【0082】
決定した領域ごとのヘーズ代替評価値Hと閾値とを比較する。光学シートに要求されるヘーズは、一般的に所定の範囲内に収まっている必要があるため、閾値として第1閾値TH1および第1閾値よりも大きな第2閾値TH2(>TH1)を用意し、これらと得られたヘーズ代替評価値Hとを順次比較する。第1閾値TH1は、光学シートに要求されるヘーズ代替評価値Hの最小値よりも大きい値に設定され、第2閾値TH2は、光学シートに要求されるヘーズ代替評価値Hの最大値よりも小さい値に設定される。したがって、第1閾値TH1よりもヘーズ代替評価値Hが小さい場合は、光学シートに要求されるヘーズの最小値よりもヘーズ代替評価値Hが小さくなるおそれがあると判断でき、第2閾値TH2よりもヘーズ代替評価値Hが大きい場合は、光学シートに要求されるヘーズの最大値よりもヘーズ代替評価値Hが大きくなるおそれがあると判断できる。
【0083】
閾値処理の具体的な手順としては、まず、HとTH1とを比較し、HがTH1よりも小さければ加熱処理の条件変更が必要であり、その変更内容は、ヘーズが大きくなるような変更であると判断する。
【0084】
HがTH1以上であれば、さらにHとTH2とを比較する。HがTH2以下であれば、光学シートの実際のヘーズ値も所望の範囲内に収まっていると考えられるので、加熱処理の条件変更の必要なしと判断する。HがTH2よりも大きければ加熱処理の条件変更が必要であり、その変更内容は、ヘーズが小さくなるような変更であると判断する。
【0085】
制御部8による判断結果は、これら3種類、すなわちヘーズが大きくなるような条件変更が必要である、ヘーズが小さくなるような条件変更が必要である、条件変更の必要がない、のいずれかに属することになる。判断結果は、シート状材料の幅方向の領域ごとに出力される。
【0086】
製造装置1のオペレータは、領域ごとに出力される判断結果に基づいて加熱処理部3の動作条件を変更するように指示部7を操作する。加熱処理部3は、上記のように幅方向に分割された領域ごとに加熱条件を変更することが可能であるので、ある領域の加熱条件の変更が必要で、ヘーズが小さくなるように変更する判断結果が出力された場合は、指示部7を操作して、加熱処理部3の当該領域においてヘーズが小さくなるように加熱温度を変更する。またある領域の加熱条件の変更が必要で、ヘーズが大きくなるように変更する判断結果が出力された場合は、指示部7を操作して、加熱処理部3の当該領域においてヘーズが大きくなるように加熱温度を変更する。
【0087】
ヘーズと加熱温度との相関性が予めわかっている場合には、制御部8は、加熱処理部3の加熱条件の具体的な変更内容を判断して出力するのが好ましい。上記のように、制御部8によって、ヘーズが大きくなるまたは小さくなるように変更する判断結果が出力され、指示部7において、その判断結果のみが表示されるだけでは、ヘーズを大きくするために、加熱温度を高くすればよいか低くすればよいかをオペレータ自身が判断して、適切に加熱条件を変更するための操作が必要となる。シート状材料の材質などによっては、ヘーズを大きくするために加熱温度を高くする場合も、低くする場合もいずれの場合もあり得るので、オペレータは、現在製造されているシート状材料に関する各種情報を記憶しておき、自身の判断で加熱条件を変更しなければならない。
【0088】
ヘーズと加熱温度との相関性が予めわかっている場合、たとえば、ヘーズを小さくするためには加熱温度を低くし、ヘーズを大きくするためには加熱温度を高くするという相関性がわかっている場合には、制御部8が、この相関性に基づいて、加熱温度を高くするか低くするかの具体的な変更内容まで判断し、変更内容を出力することができる。
【0089】
まず、上記の閾値処理によって、ある領域のヘーズを小さくする必要があると判断した場合には、ヘーズと加熱温度との相関性に基づいて、制御部8は、該当する領域の加熱温度を低くする判断結果を出力し、ある領域のヘーズを大きくする必要があると判断した場合には、制御部8は、該当する領域の加熱温度を高くする判断結果を出力する。
【0090】
制御部8から出力される変更内容の判断結果を、指示部7の表示部に表示して直接的に加熱処理の変更内容を示すのがオペレータの操作ミスを少なくするためには有効である。表示部には、加熱処理部3の制御可能な領域を表示し、領域ごとに加熱条件の変更が必要になれば、変更内容が領域内に文字または図形などで表示される。たとえば、加熱温度を高くすることが必要な領域に対しては、「温度を高く」、「温度up」、「高温に」などなるべく短い文章で簡潔に指示内容を表示する。また図形としては、上向き矢印「↑」などをオペレータが直感的に理解しやすい図形を領域ごとに表示する。
【0091】
加熱処理の温度条件の変更が必要な場合に、変更せずに放置しておくとヘーズは要求範囲から外れる方へと変化し続けてしまうため、変更内容が出力されてから実際にオペレータが操作するまでの時間は短ければ短い方が好ましい。したがって、上記のように表示部に変更内容を表示する際には、操作すべき内容を正確かつ短時間でオペレータに伝達できる出力態様が好ましい。
【0092】
図3は、制御部8による加熱条件判断処理を示すフローチャートである。
制御部8は、受発光ユニット10の受光部6から透過光量データが入力されると加熱条件判断処理を実行する。
【0093】
ステップS1では、入力された透過光量データに基づいて、シート状材料Sの幅方向に分割された領域ごとに、ヘーズ代替評価値Hを決定する。ヘーズ代替評価値Hの一例としては、上記のように、1つの領域に対応する1つの受光部6から出力された透過光量データであってもよく、1つの領域に対応する複数の受光部6から出力された透過光量データの代表値であってもよい。
【0094】
ステップS2では、決定したヘーズ代替評価値Hと閾値とを比較する。閾値について上記では、2つの閾値TH1とTH2とを用いる例について説明したが、閾値は2つに限らず4つまたは6つの閾値など多数の閾値を用いてもよい。複数の閾値は、範囲の中央を挟んで上側と下側にそれぞれ同数に閾値を設定する。
【0095】
ステップS3では、閾値との比較結果に基づいて、領域ごとに加熱条件の変更の要否、変更が必要な場合はその変更内容を判断する。
【0096】
閾値を複数設定すれば、中央値からどの程度離れているか、規格値の上限値または下限値にどの程度近づいているかを複数段階で判断することもできる。
【0097】
ステップS4では、判断結果に基づいて条件変更が必要な場合には、必要な変更の内容を判断結果として指示部7に出力する。
【0098】
指示部7は、制御部8から判断結果が出力されると、その判断結果を表示部に表示する。
【符号の説明】
【0099】
1 光学シート製造装置
2 送り出し部
3 加熱処理部
4 巻き取り部
5 光照射部
6 受光部
7 指示部
8 制御部
10 受発光ユニット
20 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方から連続的に送り出され、他方で巻き取られる透明樹脂で構成される長尺のシート状材料に加熱処理を施す加熱工程と、
加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって、間隔を空けた位置に光を照射し、各位置で、前記シート状材料を透過した透過光をそれぞれ受光する受発光工程と、
受光した透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する判断工程と、
前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力工程とを備えることを特徴とする光学シートの製造方法。
【請求項2】
前記判断工程では、受光した透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の光学シートの製造方法。
【請求項3】
前記加熱条件は、加熱温度を含み、
前記加熱条件の変更は、現在設定されている加熱温度よりも加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、
前記判断工程では、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、
前記出力工程では、前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力することを特徴とする請求項1または2記載の光学シートの製造方法。
【請求項4】
前記受発光工程では、鉛直方向上方に向けて光を照射し、鉛直方向下方から照射される光の透過光を受光することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学シートの製造方法。
【請求項5】
長尺のシート状材料を連続的に送り出す送り出し部と、
送り出された前記シート状材料に加熱処理を施す加熱処理部と、
前記加熱処理部によって加熱処理されたシート状材料を連続的に巻き取る巻き取り部と、
前記加熱処理部によって加熱処理されてから前記巻き取り部に巻き取られるまでのシート状材料の一部に光を照射する照射部および前記照射部から照射され、前記シート状材料を透過した透過光を受光する受光部からなる受発光ユニットを複数含む検出部であって、前記受発光ユニットが前記シート状材料の幅方向全体にわたって、間隔を空けて配置された検出部と、
複数の受発光ユニットにおける前記受光部がそれぞれ受光した透過光の光量に基づいて、加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する判断部と、
前記判断部が加熱条件を変更する必要があると判断したときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力部とを備えることを特徴とする光学シートの製造装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記受光部が受光した透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断することを特徴とする請求項5記載の光学シートの製造装置。
【請求項7】
前記照射部および前記受光部は、それぞれ光ファイバで構成され、発光ダイオードを光源とする光を照射および受光することを特徴とする請求項5または6記載の光学シートの製造装置。
【請求項8】
前記加熱条件は、加熱温度を含み、
前記加熱条件の変更は、現在設定されている加熱温度よりも加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、
前記出力部は、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の光学シートの製造装置。
【請求項9】
前記照射部および前記受光部は、鉛直方向に沿って配置され、前記照射部が鉛直方向上方に向けて光を照射し、前記受光部が鉛直方向下方から照射される光の透過光を受光するように構成されることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1つに記載の光学シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−53283(P2013−53283A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194331(P2011−194331)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】