説明

光学シート貼り合わせ方法及び装置並びにそれらに用いる粘着シート

【課題】レンチキュラレンズ・シートのように表面に凹凸のある光学シートを、曲率ヘッドを用いて前記光学シートを前記基板に貼り合わせる際に、前記光学シート保持面の粘着力により、当該光学シート保持面の終端部の上昇に伴って前記基板が持ち上げられるのを防止する。
【解決手段】曲率ヘッド20の光学シート保持面に、光学シートを保持できる粘着力を持つ第1領域30aと、それよりも弱い粘着力を持つ第2領域30bを持つ粘着シート30を装着する。粘着シート30の第1領域30aに、光学シート10の表面を粘着させて保持(仮固定)してから、光学シート10の裏面全体を基板50に粘着させる。その後、曲率ヘッド20をさらに転動させて前記光学シート保持面から光学シート10を離隔する工程で、前記光学シート保持面に装着された粘着シート30の第2領域30bが、基板50に対向せしめられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートを用いて光学シートを液晶パネル等の基板に貼り合わせる技術に関し、さらに言えば、例えばレンチキュラレンズ・シートのように、表面に微細な凹凸のある光学シートを基板に貼り合わせることができる光学シート貼り合わせ方法及び装置と、その光学シート貼り合わせ方法及び装置に好適に用いられる粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偏光板やレンズシートなどの光学フィルムやシート(以下、これらを光学シートと総称する)をガラス基板に貼り合わせて、薄型表示パネルなどのさまざまなデバイスを製作する方法が開発されている。偏光板をガラス基板に貼り合わせる技術は、すでに、液晶パネル等の製造時に一般的に使用されているが、種々の光学シートを貼り合わせることにより種々の機能を付加することが考えられるため、これ以外にも、種々の光学シートを用いて貼り合わせる技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許第3004532号公報(特許文献1)には、粘着材層を有する液晶表示素子用フィルムを基板に貼り付けるための「液晶表示素子用フィルムの貼付装置」が開示されている。この装置は、液晶表示素子用フィルムを支持すべくフィルム対向面が凸となる湾曲面を有すると共に、前記粘着材層が外側になるように前記湾曲面に沿って仮固定した前記フィルムを、前記フィルムの端縁部が前記基板の端縁部に一致するように当接させ、前記基板に前記フィルムを貼り付ける際にその回転がフリーとなり、前記基板の進出移動に追従して回転押圧しながら前記基板に沿って貼り付ける支持手段が設けられていることを特徴とするものである。なお、特許文献1において、液晶表示素子用フィルムとは、例えば、偏光板、AR(Anti-Reflection)フィルム、AG(Anti-Glare)フィルム、反射フィルム、紫外線吸収フィルム等の高分子フィルムとされている。
【0004】
特許文献1の装置において例えば偏光板を貼り付ける時には、一つの回転軸の周りに回転可能であると共に凸状の湾曲面を有する偏光板支持体(曲率ヘッド)が、前記支持手段として使用される。前記湾曲面には、バキュームポンプに接続された複数の吸引孔が形成されており、真空吸着によって偏光板を前記湾曲面に保持(仮固定)するようになっている。
【0005】
まず、真空吸着により、偏光板をその粘着材層を外側にして偏光板支持体の湾曲面上の所定位置に仮固定する。この時、偏光板支持体を回転させてその湾曲面が上位に来るようにする。そして、その状態で、前記粘着材層を覆っている保護フィルムを剥がして前記粘着材層を露出させる。
【0006】
他方、液晶セル(基板)は、液晶セル支持体上に固定された状態で、偏光板支持体に向けて水平方向に搬送され、偏光板支持体の下方の所定位置に到達する。
【0007】
次に、真空吸着によって偏光板を保持(仮固定)している偏光板支持体を、下降させると同時に前記回転軸の周りに回転させ、保持している偏光板の一端縁を液晶セル(基板)の対応する一端縁に当接させる。そして、偏光板支持体を自由に回転できる状態にしてから、この当接状態を保ちながら液晶セル支持体を水平移動させる。これにより、偏光板に一定の押圧力を加えながら偏光板支持体と液晶セル支持体を相対移動させることができる。
【0008】
この相対移動の間に、偏光板支持体に保持(仮固定)されている偏光板は、その粘着材層の持つ粘着力によって、ガラス基板に接した部分から偏光板支持体を離れ始め、やがて、液晶セル支持体の水平移動に追従してその全体が液晶セルに貼り付けられる。偏光板は、こうして偏光板支持体から離れて液晶セル上に移動する。これは、真空吸着による偏光板の保持力よりも、偏光板の粘着剤層による粘着力の方が強くなるように設定されているためである。
【0009】
特許文献1の装置では、上記のようにして偏光板が液晶セルに貼り合わせられるので、偏光板に内部歪みや押しむらが発生せず良好な貼り合わせができる、とされている(請求項1、段落0026〜0041、図1〜3を参照)。
【0010】
また、関連する背景技術として、特開2010−168079号公報(特許文献2)に開示された「ラベル貼付装置」がある。この装置は、物品の第1被貼付領域に取り付けられる第1ラベル領域と、前記第1被貼付領域とは異なる第2被貼付領域に取り付けられる第2ラベル領域とを有するラベルを、物品に貼り付ける装置であって、第1貼付部及び第2貼付部と、搬送部と、案内手段とを備えている。
【0011】
第1貼付部は、前記ラベルの第2ラベル領域が前記物品からはみ出した状態で、第1被貼り付け領域(例えば容器の蓋の上面)に対して当該ラベルの第1ラベル領域を貼り付ける。第2貼付部は、前記ラベルの第2被貼り付け領域(例えば容器の蓋の側面と容器の側面)に対して前記ラベルの第2ラベル領域を貼り付ける。搬送部は、第1貼付部から第2貼付部へと前記容器を搬送する。案内手段は、第1貼付部から第2貼付部へと搬送される物品からはみ出した前記ラベルの第2ラベル領域を案内する。案内手段は、前記ラベルの粘着面に対する非粘着性を有する案内部材を有しており、その案内部材は、その表面に非粘着性フィルムを貼り付けること、あるいは、非粘着性コーティングを施すことで実現されている。その非粘着性フィルムは、表面が非粘着性を持ち、裏面に貼り付け用の粘着剤層が形成されたものである。
【0012】
特許文献2の装置によれば、第1貼付部から第2貼付部へと搬送される前記物品からはみ出した前記ラベルの第2ラベル領域が、非粘着性を有する案内部材により案内されるので、前記物品からはみ出して貼り付けられた前記ラベルが搬送されていく過程で、予期せぬ部位に貼り付いてしまうことを防止でき、安定して貼り付けを継続できる、とされている(要約、請求項1〜4、段落0047〜0051、図1〜6を参照)。
【0013】
他の関連する背景技術としては、特開2010−066283号公報(特許文献3)に開示された「光学フィルム貼り付け装置」がある。この装置は、光学フィルム(偏光板、位相差フィルム、減光フィルムなど)を供給する供給手段と、前記光学フィルムを保持する保持手段と、前記光学フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行う粘着面保護フィルム剥離手段と、前記光学フィルムに表示パネルを接触させる表示パネル接触手段と有する光学フィルム貼り付け装置であって、前記保持手段は表面に粘着性を有する円筒形部材(ローラ)から構成され、前記保持手段の回転運動に伴い、前記光学フィルムを粘着保持する位置、前記光学フィルムの粘着面保護フィルムを剥離する位置、前記光学フィルムと前記表示パネルを接触させる位置を、順次、前記光学フィルムが通過する順に配置したことを特徴としている。
【0014】
そして、前記円筒形部材(ローラ)は、光学フィルムの貼り付け開始位置の近傍に、粘着力低減部位を有している。このため、光学フィルムが、表示パネルに貼り付いた後に容易に前記円筒形部材から離脱することができ、その結果、光学フィルムを皺や気泡を発生させることなく、高速に表示パネルに貼り付けることができる、とされている。なお、前記粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位に凹凸を設けたり、粘着力の低い部材を嵌め込んだり、可動部を設けて接触面積を減らしたりすることで形成される(要約、請求項1〜7、段落0014〜0052、図1〜8を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第3004532号公報(請求項1、段落0026〜0041、図1〜3)
【特許文献2】特開2010−168079号公報(要約、請求項1〜4、段落0047〜0051、図1〜6)
【特許文献3】特開2010−066283号公報(要約、請求項1〜7、段落0014〜0052、図1〜8を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、近年、開発が活発化されている3D(Three Dimensional, 三次元)表示用の薄型表示パネルでは、レンチキュラレンズが形成された透明な光学シート(以下、レンチキュラレンズ・シートという)が、ガラス基板上に形成された画素群の位置に合わせて貼り合わせてある。これは、レンチキュラレンズによって見る人の左右の目に異なる画像を認識させることで、3D表示を容易に実現できるからである。
【0017】
レンチキュラレンズ・シートの表面には、表面が小さな曲面になっている微細レンズ(レンチキュラレンズ)が多数、並列配置されている。レンチキュラレンズ・シートの表面は、レンチキュラレンズに傷が付いたり汚れたりするのを防止するために、保護フィルムで覆われている。この保護フィルムは、レンチキュラレンズ・シートをガラス基板に貼り合わせる作業の直前に剥がされる。
【0018】
レンチキュラレンズ・シートの裏面は平坦であり、薄い粘着材層で全面が覆われている。レンチキュラレンズ・シートは、その裏面側がガラス基板に接触せしめられて、前記粘着材層の持つ粘着力によってガラス基板上に固定される。その結果、ガラス基板とは反対側にレンチキュラレンズが位置することになる。
【0019】
レンチキュラレンズ・シートをガラス基板(表示パネル)に貼り合わせる際には、これらの微細レンズをガラス基板上の画素群に位置整合させなければならない。この点は、偏光板とは異なるところである。
【0020】
また、レンチキュラレンズが存在することにより、レンチキュラレンズ・シートの表面は平坦ではない。しかも、微細レンズが形成されている面は、当初の形状を保つことが要求されるから、貼り合わせ作業中に微細レンズの表面に傷や汚れが付くことは許されない。このため、レンチキュラレンズ・シートの貼り合わせには、偏光板等の場合に使用されている真空吸着による保持方法は使用することができない。
【0021】
以上の理由から、レンチキュラレンズ・シートの貼り合わせには、真空吸着による保持方法を用いている特許文献1の「液晶表示素子用フィルムの貼付装置」は使用できないことが分かる。そこで、新たな技術を開発するか、レンチキュラレンズ・シートの特徴に合わせて改良することが必要になる。
【0022】
その方法の一つとして、例えば、特許文献1に開示されている液晶表示素子用フィルムの貼付装置で使用されている偏光板支持体(曲率ヘッド)の凸状湾曲面に、粘着力を用いてレンチキュラレンズ・シートを保持(仮固定)した後、その曲率ヘッドをガラス基板上で転動させることで、レンチキュラレンズ・シートを曲率ヘッドからガラス基板に移転させる方法が考えられる。この方法では、レンチキュラレンズ・シートを保持するために前記湾曲面に与えられる粘着力は、レンチキュラレンズ・シートの裏面の粘着材層による粘着力(これによってガラス基板に貼り付けられる)よりも弱くする必要があるが、上述したように、レンチキュラレンズ・シートの表面には微細レンズ群が形成されていて微細な凹凸があるから、前記湾曲面に与えられる粘着力は、そのような凹凸のない偏光板の場合の粘着力よりもかなり強くすることが必要である。
【0023】
しかし、そうすると、レンチキュラレンズ・シートを保持した曲率ヘッドをガラス基板上で転動させる際に、レンチキュラレンズ・シートのガラス基板への移転(貼り合わせ)が完了した後に、粘着性を持つ前記湾曲面の終端部がガラス基板の対向面に接触し、前記湾曲面の強い粘着力によってガラス基板がその終端部に付着して持ち上げられやすい。これは、曲率ヘッドの引き続く転動によって前記湾曲面の終端部が上昇するからである。その結果、レンチキュラレンズ・シートのガラス基板への貼り合わせが正常にできない、ガラス基板に形成された膜や配線が剥がれる、といった不具合が生じてしまう。
【0024】
このような不具合は、従来の偏光板の貼り合わせ作業のような、前記湾曲面の粘着力が比較的弱い場合には、生じない問題である。
【0025】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、レンチキュラレンズ・シートのように表面に凹凸のある光学シートを、曲率ヘッドの凸状湾曲面(光学シート保持面)で保持し、その曲率ヘッドを基板上で転動させることで、前記光学シートを前記基板に貼り合わせる際に、前記光学シートの前記基板への移転(貼り合わせ)が完了した後に、前記湾曲面の粘着力に起因して前記湾曲面の終端部の上昇に伴って前記基板が持ち上げられることがない光学シート貼り合わせ方法及び装置と、その光学シート貼り合わせ方法及び装置に好適な粘着シートを提供することにある。
【0026】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
(1) 本発明の第1の観点では、光学シート貼り合わせ方法が提供される。この光学シート貼り合わせ方法は、
曲率ヘッドの光学シート保持面に光学シートを粘着力を用いて保持し、前記曲率ヘッドを基板上で転動させることで前記光学シートを前記基板上に貼り合わせる光学シート貼り合わせ方法であって、
曲率ヘッドの光学シート保持面に、貼り合わせ作業を通じて光学シートを保持できる粘着力を持つ第1領域と、その第1領域の粘着力よりも弱い粘着力を持つ第2領域とを有する粘着シートを装着する工程と、
前記曲率ヘッドの光学シート保持面に装着された前記粘着シートの第1領域に、光学シートの表面を接触させ、もってその光学シートを前記第1領域の粘着力を用いて保持(仮固定)する工程と、
前記光学シート保持面に保持(仮固定)した前記光学シートの裏面を基板に接触させながら、前記曲率ヘッドを前記基板上で転動させ、もって前記光学シートの裏面全体を前記基板に粘着させる工程と、
前記光学シートの裏面全体を前記基板に粘着させる工程の完了後、前記曲率ヘッドをさらに転動させ、もって前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程とを備え、
前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程では、前記光学シート保持面に装着された前記粘着シートの第2領域が、前記基板に対向せしめられることを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法では、曲率ヘッドの光学シート保持面に、貼り合わせ作業を通じて光学シートを保持できる粘着力を持つ第1領域と、その第1領域の粘着力よりも弱い粘着力を持つ第2領域とを有する粘着シートを装着しており、その第1領域に光学シートの表面を接触させることで、その光学シートを前記第1領域の粘着力を用いて保持(仮固定)する。
【0029】
また、前記曲率ヘッドを前記基板上で転動させて前記光学シートの裏面全体を前記基板に粘着させた後、前記曲率ヘッドをさらに転動させて前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程では、前記光学シート保持面に装着された前記粘着シートの第2領域が、前記基板に対向せしめられる。
【0030】
このため、前記光学シートとして、レンチキュラレンズ・シートのように表面に凹凸のある光学シートを使用しても、前記粘着シートの第1領域の粘着力を、この種の光学シートを確実に保持(仮固定)できる値に調整することにより、その光学シートの表面を前記粘着シートの第1領域で粘着・保持して貼り合わせ作業を行うことができる。
【0031】
また、前記曲率ヘッドをさらに転動させて前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程では、前記第1領域よりも粘着力が弱い前記粘着シートの第2領域が前記基板に対向せしめられるので、当該第2領域の粘着力を調整することにより、その時に前記粘着シートが前記基板に接触しても、その粘着力によって前記基板が持ち上げられないようにすることができる。
【0032】
その結果、前記粘着シートの持つ粘着力によって前記基板が持ち上げられることに起因する不具合、例えば、レンチキュラレンズ・シートの基板への貼り合わせが正常にできない、基板に形成された膜や配線が剥がれる、といった不具合を防止することができる。
【0033】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法の好ましい例では、前記粘着シートの第1領域の粘着力が、ローリングタック試験240mm未満、より好ましくは220mm以下とされ、前記粘着シートの第2領域の粘着力が、ローリングタック試験240mm以上、より好ましくは260mm以上とされる。
【0034】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法の他の好ましい例では、前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの一辺に沿って帯状に配置される。
【0035】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法のさらに他の好ましい例では、前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの対向する二辺に沿ってそれぞれ帯状に配置される。
【0036】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法のさらに他の好ましい例では、前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの四辺に沿ってそれぞれ帯状に配置される。
【0037】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法のさらに他の好ましい例では、前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの四辺に沿ってそれぞれ帯状に且つ同心状に配置される。
【0038】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法のさらに他の好ましい例では、前記粘着シート自身が、粘着力が相対的に強い前記第1領域と、粘着力が相対的に弱い前記第2領域に区分けされる。
【0039】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法のさらに他の好ましい例では、前記粘着シートの全体が、粘着力が相対的に強い前記第1領域として形成され、その一部に粘着力が相対的に弱いダミーシートを取り付けることで、前記第2領域が形成される。
【0040】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法のさらに他の好ましい例では、前記基板が基板ステージに保持してあり、前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程では、前記粘着シートが、前記基板に接触する前に前記基板ステージの側壁に当接して、前記粘着シートが前記基板を押圧する力を低減または消失させるように設定される。
【0041】
(2) 本発明の第2の観点では、光学シート貼り合わせ装置が提供される。この光学シート貼り合わせ装置は、
曲率ヘッドの光学シート保持面に光学シートを粘着力を用いて保持し、前記曲率ヘッドを基板上で転動させることで前記光学シートを前記基板上に貼り合わせる光学シート貼り合わせ装置であって、
凸状に湾曲した光学シート保持面を有する曲率ヘッドと、
前記光学シート保持面に装着された粘着シートとを備え、
前記粘着シートは、貼り合わせ作業を通じて光学シートを保持できる粘着力を持つ第1領域と、その第1領域の粘着力よりも弱い粘着力を持つ第2領域とを有しており、
前記光学シートの裏面全体を前記基板に粘着させた後、前記曲率ヘッドをさらに転動させて前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する際に、前記光学シート保持面に装着された前記粘着シートの第2領域が、前記基板に対向せしめられることを特徴とするものである。
【0042】
本発明の第2の観点による光学シート貼り合わせ装置では、曲率ヘッドの光学シート保持面に装着された粘着シートが、貼り合わせ作業を通じて光学シートを保持できる粘着力を持つ前記第1領域と、その第1領域の粘着力よりも弱い粘着力を持つ前記第2領域とを有している。また、前記第2領域は、前記光学シートの裏面全体を前記基板に粘着させた後、前記曲率ヘッドをさらに転動させて前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する際に、前記基板に対向せしめられる。
【0043】
このため、前記光学シートとして、レンチキュラレンズ・シートのように表面に凹凸のある光学シートを使用しても、前記粘着シートの第1領域の粘着力を、この種の光学シートを確実に保持(仮固定)できる値に調整することにより、その光学シートの表面を前記粘着シートの第1領域で粘着・保持して貼り合わせ作業を行うことができる。
【0044】
また、前記曲率ヘッドをさらに転動させて前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程では、前記第1領域よりも粘着力が弱い前記粘着シートの第2領域が前記基板に対向せしめられるので、当該第2領域の粘着力を調整することにより、その時に前記粘着シートが前記基板に接触しても、その粘着力によって前記基板が持ち上げられないようにすることができる。
【0045】
その結果、前記粘着シートの持つ粘着力によって前記基板が持ち上げられることに起因する不具合、例えば、レンチキュラレンズ・シートの基板への貼り合わせが正常にできない、基板に形成された膜や配線が剥がれる、といった不具合を防止することができる。
【0046】
(3) 本発明の第3の観点では、粘着シートが提供される。この粘着シートは、
裏面が粘着性を有し、その粘着性を利用して曲率ヘッドの光学シート保持面に粘着可能であり、
表面が粘着性を有し、保持(仮固定)する光学シートに対向する位置に形成され且つ相対的に強い粘着力を持つ第1領域と、前記光学シートに対向する範囲の外側に少なくとも一部が位置し且つ相対的に弱い粘着力を持つ第2領域とを備えていることを特徴とするものである。
【0047】
本発明の第3の観点による粘着シートでは、上記のように構成されているので、前記光学シートとして、レンチキュラレンズ・シートのように表面に凹凸のある光学シートを使用しても、前記粘着シートの第1領域の粘着力を、この種の光学シートを確実に保持(仮固定)できる値に調整することにより、その光学シートの表面を前記粘着シートの第1領域で粘着・保持して貼り合わせ作業を行うことができる。
【0048】
また、前記曲率ヘッドをさらに転動させて前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程では、前記第1領域よりも粘着力が弱い前記粘着シートの第2領域の、前記光学シートに対応する範囲の外側に位置する部分が、前記基板に対向するので、当該第2領域の粘着力を調整することにより、その時に前記粘着シートが前記基板に接触しても、その粘着力によって前記基板が持ち上げられないようにすることができる。
【0049】
その結果、前記粘着シートの持つ粘着力によって前記基板が持ち上げられることに起因する不具合、例えば、レンチキュラレンズ・シートの基板への貼り合わせが正常にできない、基板に形成された膜や配線が剥がれる、といった不具合を防止することができる。
【0050】
本発明の第3の観点による粘着シートの好ましい例では、前記第1領域の粘着力が、ローリングタック試験240mm未満、より好ましくは220mm以下とされ、前記第2領域の粘着力が、ローリングタック試験240mm以上、より好ましくは260mm以上とされる。
【0051】
本発明の第3の観点による粘着シートの他の好ましい例では、前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの一辺に沿って帯状に配置される。
【0052】
本発明の第3の観点による粘着シートのさらに他の好ましい例では、前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの対向する二辺に沿ってそれぞれ帯状に配置される。
【0053】
本発明の第3の観点による粘着シートのさらに他の好ましい例では、前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの四辺に沿ってそれぞれ帯状に配置される。
【0054】
本発明の第3の観点による粘着シートのさらに他の好ましい例では、前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの四辺に沿ってそれぞれ帯状に且つ同心状に配置される。
【0055】
本発明の第3の観点による粘着シートのさらに他の好ましい例では、前記粘着シート自身が、粘着力が相対的に強い前記第1領域と、粘着力が相対的に弱い前記第2領域に区分けされる。
【0056】
本発明の第3の観点による粘着シートのさらに他の好ましい例では、前記粘着シートの全体が、粘着力が相対的に強い前記第1領域として形成され、その一部に粘着力が相対的に弱いダミーシートを取り付けることで、前記第2領域が形成される。
【0057】
(4) 特許文献2(特開2010−168079号公報)に開示された「ラベル貼付装置」は、粘着を望まない部分に非粘着フィルムを取り付けるという点では、本発明の第3の観点による粘着シートに類似している。しかし、特許文献2では、貼付の対象であるラベルもしくはシートの接着面に非粘着フィルムを取り付けているのであるのに対し、本発明の第3の観点による粘着シートでは、光学シートを保持するための粘着シートにダミーシートを取り付けるものであるから、本発明の第3の観点による粘着シートとは明らかに異なっている。
【0058】
特許文献3(特開2010−066283号公報)に開示された「光学フィルム貼り付け装置」は、粘着を望まない部分でその粘着性を低下させるという点では、本発明の第3の観点による粘着シートに類似している。しかし、特許文献3では、粘着を望まない部分が、偏光板貼り合わせプロセスの最初に対応しているのに対し、本発明の第3の観点による粘着シートでは、光学シート貼り合わせプロセスの終わりに対応している点で、両者は明らかに異なっている。
【発明の効果】
【0059】
本発明の第1の観点による光学シート貼り合わせ方法、発明の第2の観点による光学シート貼り合わせ装置及び本発明の第3観点による粘着シートによれば、レンチキュラレンズ・シートのように表面に凹凸のある光学シートを、曲率ヘッドの凸状湾曲面(光学シート保持面)で保持し、その曲率ヘッドを基板上で転動させることで、前記光学シートを前記基板に貼り合わせる際に、前記光学シートの前記基板への移転(貼り合わせ)が完了した後に、前記湾曲面の粘着力に起因して前記湾曲面の終端部の上昇に伴って前記基板が持ち上げられることがない、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法に使用する粘着シートの表面を示す平面図、(b)はその粘着シートの裏面を示す平面図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法において、曲率ヘッドに装着した粘着シートによって光学シートを保持した状態を示す、(b)のIIA−IIA線に沿った断面図、(b)はその底面図である。
【図3】は本発明の第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を工程毎に示す説明図である。
【図4】(a)は本発明の第2実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法に使用する粘着シートの表面を示す平面図、(b)はその粘着シートの裏面を示す平面図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法において、曲率ヘッドに装着した粘着シートによって光学シートを保持した状態を示す、(b)のVA−VA線に沿った断面図、(b)はその底面図である。
【図6】(a)は本発明の第3実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法に使用する粘着シートの表面を示す平面図、(b)はその粘着シートの裏面を示す平面図である。
【図7】(a)は本発明の第3実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法において、曲率ヘッドに装着した粘着シートによって光学シートを保持した状態を示す、(b)のVIIA−VIIA線に沿った断面図、(b)はその底面図である。
【図8】(a)は本発明の第4実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法に使用する粘着シートの表面を示す平面図、(b)はその粘着シートの裏面を示す平面図である。
【図9】(a)は本発明の第4実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法において、曲率ヘッドに粘着シートを装着した状態を示す、(b)のIXA−IXA線に沿った断面図、(b)はその底面図である。
【図10】(a)は本発明の第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法に使用する粘着シートの表面を示す平面図、(b)はその粘着シートの裏面を示す平面図である。
【図11】(a)は本発明の第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法において、曲率ヘッドに装着した粘着シートによって光学シートを保持した状態を示す、(b)のXIIA−XIIA線に沿った断面図、(b)はその底面図である。
【図12】は本発明の第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を工程毎に示す説明図である。
【図13】(a)は本発明の第6実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法に使用する粘着シートの表面を示す平面図、(b)はその粘着シートの裏面を示す平面図である。
【図14】(a)は本発明の第6実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法において、曲率ヘッドに装着した粘着シートによって光学シートを保持した状態を示す、(b)のXIVA−XIVA線に沿った断面図、(b)はその底面図である。
【図15】(a)は本発明の第7実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法に使用する粘着シートの表面を示す平面図、(b)はその粘着シートの裏面を示す平面図である。
【図16】(a)は本発明の第7実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法において、曲率ヘッドに装着した粘着シートによって光学シートを保持した状態を示す、(b)のXVIA−XVIA線に沿った断面図、(b)はその底面図である。
【図17】は本発明の第8実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を工程毎に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0062】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を図1〜図3に示す。ここでは、表面(保持面)が平坦でない光学シート10として、微細なレンズにより表面に凹凸が存在するレンチキュラレンズ・シートを使用し、ガラス基板50として、液晶パネルを使用する。また、図2(a)に示す構成を持つ曲率ヘッド20を使用する。
【0063】
曲率ヘッド20は、図2(a)に示すように、全体の断面形状が略T字形で、水平な回転軸21に回転可能に係合せしめられた棒状の支持部20aと、外側に凸円弧状の湾曲面(所定の曲率を持つ)を「光学シート保持面」として持つ転動部20bとを備えて構成されている。曲率ヘッド20は、垂直な面内で回転軸21の周りに回転可能である。転動部20bの光学シート保持面は、貼り合わせる光学シート10(ここではレンチキュラレンズ・シート)より少し大きい長さ及び幅を持つ。
【0064】
曲率ヘッド20の転動部20bに設けられた凸円弧状の光学シート保持面は、その全体が粘着シート30によって覆われている。粘着シート30は、その表面及び裏面の双方が粘着性を持っており、その裏面を光学シート保持面に粘着させることで、光学シート保持面に装着される。粘着シート30の表面は、光学シート10を粘着力で光学シート保持面に保持(仮固定)するために使用される。
【0065】
本第1実施形態で使用される粘着シート30は、図1に示すような構成を持つ。すなわち、粘着シート30の全体形状は矩形であり、その大きさは曲率ヘッド20の光学シート保持面の面積と同じとされている。このため、粘着シート30を光学シート保持面に装着すると、図2に示すように、光学シート保持面の全面が粘着シート30で覆われる。
【0066】
粘着シート30の光学シート保持面への装着は、粘着シート30の裏面を光学シート保持面に粘着させる(粘着力をもって固定する)ことで行う。そのために、粘着シート30の裏面には公知の粘着材が塗布されていて、所定の粘着力が付与されている。この粘着力は、光学シート10のガラス基板50(ここでは液晶パネル)に対する貼り合わせ作業を通じて剥がれない程度の強いものであることが必要である。
【0067】
粘着シート30の表面及び裏面の粘着材は、それぞれ、所定の粘着力を生じる粘着層を形成している。粘着シート30の表面は、図1(a)に示すように、粘着力が相対的に強い矩形の第1領域30aと、粘着力が相対的に弱い矩形の第2領域30bに分けられている。第2領域30bの面積は、第1領域30aのそれよりもかなり小さい。第1領域30aの粘着力は、その全体にわたってほぼ均一である。第2領域30aの粘着力も、その全体にわたってほぼ均一である。
【0068】
粘着シート30の表面の第1領域30aは、光学シート10を保持(仮固定)するための領域であり、光学シート10の表面を第1領域30aに押し付けると、表面に凹凸がある光学シート10であっても、第1領域30aの粘着力によってその状態で確実に保持される。図2(b)に示すように、光学シート10は、その全面を第1領域30aに接触させて粘着・保持される。
【0069】
粘着シート30の表面の第2領域30bは、光学シート10の全面をガラス基板50に貼り合わせた後に、曲率ヘッド20の光学シート保持面が基板50に接触する箇所に配置されるように、形成されている。よって、図2(b)に示すように、光学シート10は、第2領域30bには接触しないように装着される。
【0070】
第1領域30aの粘着力は、例えばレンチキュラレンズ・シートのように、表面に微細な凹凸があって平坦ではない光学シート10を、曲率ヘッド20の光学シート保持面に確実に保持(仮固定)することができる値、具体的には、ローリングタック試験(JIS規格)で240mm未満に設定されている。このため、その強い粘着力により、表面が平坦でない光学シート10でも、安定して曲率ヘッド20に保持(仮固定)することができる。粘着力がローリングタック試験で240mmに等しいか、それ以上であると、粘着力が不足して光学シート10を曲率ヘッド20に確実に仮固定することができず、貼り合わせプロセスの途中で曲率ヘッド20から光学シート10が剥がれる、といった問題が発生しやすくなる。
【0071】
第1領域30aの粘着力は、ローリングタック試験で220mm以下とするのがより好ましい。粘着力がこの範囲であれば、光学シート10を曲率ヘッド20にいっそう確実に仮固定することが可能となるからである。
【0072】
第2領域30bの粘着力は、第1領域30aの粘着力よりも弱く設定されており、具体的に言えば、ローリングタック試験で240mm以上とされている。このため、光学シート10をガラス基板50に貼り合わせた後に、第2領域30bがガラス基板50に接触しても、その粘着力によってガラス基板50が持ち上げられ難い。
【0073】
第2領域30bの粘着力は、ローリングタック試験で260mm以上とするのがより好ましい。粘着力がこの範囲であれば、第2領域30bに接触したガラス基板50がその粘着力によって持ち上げられたり、ガラス基板50の表面にある配線や膜がその粘着力によって剥がれて損傷したりする不具合を防止できる。
【0074】
第2領域30bを、光学シート10の全面をガラス基板50に貼り合わせた後にガラス基板50に接触する箇所のみに設定したのは、この箇所がガラス基板50の配線や膜の剥離や損傷といった上記不具合を最も起こしやすい部分だからである。このように、本第1実施形態では、第2領域30bを第1領域30aの外周全体に形成していないことから、図2(b)のように、光学シートの一辺(後端縁)を、第1領域30aと第2領域30bとの境界線に整合させて粘着することで、貼り合わせる光学シート10のサイズが変わる場合でも簡便に対応でき、光学シート10のサイズが変わるたびに粘着シート30を付け替える必要がない、という利点がある。
【0075】
次に、本第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を、図3を参照しながら説明する。
【0076】
まず、図3(a)に示すように、曲率ヘッド20の転動部20bに設けられた凸円弧状の光学シート保持面に、粘着シート30の裏面を粘着させ、もって粘着シート30を装着する。これにより、光学シート保持面の全面が粘着シート30で覆われる。粘着シート30は、光学シート保持面の形状に応じて凸円弧状に湾曲する。この時、粘着シート30の表面の第2領域30bが、曲率ヘッド20を転動させる方向に対して後方に来るようにする。
【0077】
次に、曲率ヘッド20の光学シート保持面に装着された粘着シート30の表面に、光学シート10の表面を押し付けて粘着させ、光学シート保持面に光学シート10を仮固定(保持)する。この状態では、粘着シート30の表面が下方に向かって凸状に湾曲しているので、仮固定された光学シート10も同様に湾曲する。
【0078】
この光学シート10の仮固定の際には、図2(b)に明瞭に示すように、光学シート10の一辺を、粘着シート30の表面の第2領域30bの前方の辺(第1領域30aと第2領域30bの境界)に整合させるようにする。その結果、光学シート10の周囲には、粘着シート30の非重畳部が露出する。具体的には、光学シート10の前辺、左辺および右辺には、粘着力が相対的に強い第1領域30aの残部が露出し、その後辺には粘着力が相対的に弱い第2領域30bが露出する。
【0079】
続いて、公知の方法にて、曲率ヘッド20に仮固定した光学シート10の位置を検出し、それと同時に、ガラス基板50の位置を検出する。そして、検出したデータに基づいて、次のようにして、ガラス基板50上の所定の位置に光学シート10を貼り合わせる。
【0080】
すなわち、図3(b)に示すように、光学シート10の前端がほぼ水平になるまで、回転軸21の周りに曲率ヘッド20を所定角度だけ後方に回転させる。この時、曲率ヘッド20は後方に傾斜する。他方、ガラス基板50を適宜、水平移動させておく。そして、曲率ヘッド20に仮固定した光学シート10の前端を、ガラス基板50上の所定の貼り合わせ領域の前端に当接させる。図3(b)はこの時の状態を示す。
【0081】
その後、その当接状態からガラス基板50を前方に水平移動させると、それに追随して、曲率ヘッド20は回転軸21の周りに回転し、転動部20bはガラス基板50上を転動する。それに伴って、曲率ヘッド20上の光学シート10は、徐々に、その裏面の粘着力によって曲率ヘッド20からガラス基板50上に移転して行く。
【0082】
図3(c)に示すように、光学シート10の後端がほぼ水平になるまで、曲率ヘッド20が回転すると、光学シート10の全体がガラス基板50上に貼り合わせられる。この状態では、曲率ヘッド20は前方に傾斜する。
【0083】
図3(c)に示す状態になった直後には、曲率ヘッド20の粘着シート30の第2領域30bが、ガラス基板50に対向し、さらに、曲率ヘッド20とガラス基板50の間に印加されている押圧力によって接触する。しかし、第1領域30aの粘着力よりも弱い第2領域30bの粘着力を適切に調整することで、第2領域30bの粘着力に起因してガラス基板50が持ち上がったり、ガラス基板50の表面の膜が剥がれたりすることがなくなり、したがってそれに起因する損傷を防止することができる。
【0084】
光学シート10のガラス基板50への貼り合わせは、良好な精度で行われることは言うまでもない。
【0085】
以上述べたように、本発明の第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、表面及び裏面の双方が粘着性を持つ粘着シート30を準備し、その粘着シート30の表面に、粘着力が相対的に強い第1領域30aと、粘着力が相対的に弱い第2領域30bとを形成している。そして、粘着シート30の裏面を曲率ヘッド20の凸円弧状の光学シート保持面に粘着させることで、粘着シート30を光学シート保持面に装着している。
【0086】
その後、光学シート保持面に装着された粘着シート30の第1領域30aに、光学シート10を粘着力を用いて仮固定する。その際には、光学シート10の前方の一辺を、粘着シート30の表面の第2領域30bの前方の辺(第1領域30aと第2領域30bの境界)に整合させるようにする。
【0087】
さらに、曲率ヘッド20に仮固定した光学シート10の前端を、ガラス基板50上の所定の貼り合わせ領域の前端に当接させてから、ガラス基板50を前方に水平移動させることで、ガラス基板50上で曲率ヘッド20の転動部20bを転動させる。こうして、光学シート10をその表面の粘着力によって曲率ヘッド20からガラス基板50上に貼り合わせる。
【0088】
光学シート10は、その一辺が粘着シート30の第2領域30bの前方の一辺に整合するようにして、粘着シート30の第1領域30aに粘着力を用いて仮固定されているから、光学シート10の全体がガラス基板50上に貼り合わせられた直後には、粘着力が相対的に弱い粘着シート30の第2領域30bがガラス基板50に対向・接触する。このため、粘着シート30のガラス基板50への接触時に、第2領域30bの粘着力に起因してガラス基板50が持ち上がったり、ガラス基板50の表面の膜が剥がれたりすることがなく、したがってそれに起因する損傷が生じない。また、光学シート10のガラス基板50への貼り合わせは、良好な精度で行われる。
【0089】
なお、本第1実施形態では、粘着シート30の第2領域30bを、光学シート10をガラス基板50上に貼り合わせた後にガラス基板50に接触する箇所のみに設定しているが、これは、この箇所が上記不具合を最も起こしやすいからである。また、貼り合わせ作業の途中では、曲率ヘッド20で上から押さえながら光学シート10を貼り合わせるから、光学シート10の外周部で露出している第1領域30aが、対向するガラス基板50に接触しても、基板50が持ち上がるなどの現象は生じないからでもある。
【0090】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を図4及び図5に示す。ここでも、光学シート10としてレンチキュラレンズ・シートを使用し、ガラス基板50として液晶パネルを使用する。また、曲率ヘッド20は、上記第1実施形態で使用したものと同じであるが、粘着シート30に代えて粘着シート30Aが使用されている。
【0091】
本第2実施形態で使用される粘着シート30Aは、図4に示すような構成を持ち、第2領域30Abが粘着シート30Aの前辺と後辺にそれぞれ形成されている点を除いて、上記第1実施形態で使用した粘着シート30と同じである。二つの第2領域30Abは、ほぼ同じ形状、ほぼ同じ大きさである。
【0092】
本第2実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、曲率ヘッド20の光学シート保持面に装着された粘着シート30Aの表面に仮固定する際には、図5(b)に明瞭に示すように、光学シート10の一辺を、粘着シート30Aの表面の第2領域30Abの前方の辺(第1領域30Aaと後辺側の第2領域30Abの境界)に整合させるようにする。その結果、光学シート10の周囲には、粘着シート30Aの非重畳部が露出する。具体的には、光学シート10の左辺および右辺には、粘着力が相対的に強い第1領域30Aaの残部が露出し、その前辺および後辺には粘着力が相対的に弱い第2領域30Abが露出する。それ以外は、上記第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法と同じであるから、その説明を省略する。
【0093】
本第2実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、上述した第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法と同じ効果が得られることが明らかである。
【0094】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を図6及び図7に示す。ここでも、光学シート10としてレンチキュラレンズ・シートを使用し、ガラス基板50として液晶パネルを使用する。また、曲率ヘッド20は、上記第1実施形態で使用したものと同じであるが、粘着シート30に代えて粘着シート30Bが使用されている。
【0095】
本第3実施形態で使用される粘着シート30Bは、図6に示すような構成を持ち、第2領域30Bbが粘着シート30Bの全周を囲むように形成されている(これは、第2領域30Bbが、粘着シート30Bの前辺、後辺、左辺及び右辺に形成されていることに相当する。)点を除いて、上記第1実施形態で使用した粘着シート30と同じである。
【0096】
本第3実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、曲率ヘッド20の光学シート保持面に装着された粘着シート30Bの表面に仮固定する際には、図7(b)に明瞭に示すように、光学シート10の一辺を、粘着シート30Bの表面の第2領域30Bbの前方の辺(第1領域30Baと第2領域30Bbの後辺にある部分との境界)に整合させるようにする。その結果、光学シート10の周囲には、粘着シート30Bの非重畳部が露出し、光学シート10の左辺および右辺並びにその前辺および後辺には、粘着力が相対的に弱い第2領域30Bbが隣接する。粘着力が相対的に強い第1領域30Baは露出しない。光学シート10の大きさが、第1領域30Baと同じ大きさだからである。
【0097】
本第3実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、上述した第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法と同じ効果が得られることが明らかである。
【0098】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を図8及び図9に示す。ここでも、光学シート10としてレンチキュラレンズ・シートを使用し、ガラス基板50として液晶パネルを使用する。また、曲率ヘッド20は、上記第1実施形態で使用したものと同じであるが、粘着シート30に代えて粘着シート30Cが使用されている。
【0099】
本第4実施形態で使用される粘着シート30Cは、図8に示すような構成を持ち、第1領域30Caが三つ、第2領域30Cbが三つ形成されている。最も内側の第1領域30Caは矩形であり、その外側にある2番目の第1領域30Caは、最も内側の第1領域30Caを囲む矩形リング状であり、その外側にある3番目の第1領域30Caは、2番目の第1領域30Caを囲む矩形リング状である。これらはみな同心状に配置されている。
【0100】
最も内側の第2領域30Cbは、最も内側の第1領域30Caと2番目の第1領域30Caとの間にあり、矩形リング状である。2番目の第2領域30Cbは、2番目第1領域30Caと3番目の第1領域30Caとの間にあり、矩形リング状である。最も外側の第2領域30Cbは、3番目の第1領域30Caと粘着シート30の外周縁との間にあり、矩形リング状である。
【0101】
本第4実施形態で使用される粘着シート30Cは、上記第3実施形態で使用された粘着シート30Bにおいて、内側にある第1領域30Caに二つの矩形リング状の第2領域30Cbを同心として追加したものに相当する。
【0102】
本第4実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、曲率ヘッド20の光学シート保持面に装着された粘着シート30Cの表面に仮固定する際には、図7(b)に明瞭に示すように、光学シート10の一辺を、粘着シート30Cの表面の最も外側にある第2領域30Cbの前方の辺(最も外側にある第2領域30Cbとそれに隣接する第1領域30Cbとの境界の後辺)に整合させるようにする。その結果、光学シート10の周囲には、粘着シート30Cの非重畳部が露出し、光学シート10の左辺および右辺並びにその前辺および後辺には、粘着力が相対的に弱い第2領域30Cbが露出する。粘着力が相対的に強い第1領域30Caは露出しない。光学シート10の大きさが、最も外側にある第1領域30Caと同じ大きさだからである。
【0103】
本第4実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、上述した第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法と同じ効果が得られることが明らかである。さらに、いくつかのサイズの異なる光学シート10にも対応できるという利点もある。
【0104】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を図10〜図12に示す。ここでも、光学シート10としてレンチキュラレンズ・シートを使用し、ガラス基板50として液晶パネルを使用する。また、曲率ヘッド20は、上記第1実施形態で使用したものと同じであるが、粘着シート30に代えて粘着シート30Dが使用されている。
【0105】
本第5実施形態で使用される粘着シート30Dは、図10に示すような構成を持ち、第2領域30Dbが、粘着シート30Dの後辺の近傍に固着された矩形のダミーフィルム40により形成されている。つまり、第1領域30Daは、粘着シート30Dの表面の全面に形成されており、粘着シート30Dの後辺の近傍だけがダミーフィルム40で覆われて、その部分の粘着力が0になっている。よって、ダミーフィルム40が配置されている箇所に、粘着力がない第2領域30Dbが形成されている、と言うことができる。ダミーフィルム40の厚さは、光学シート10の厚さとほぼ同じである。
【0106】
本第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、曲率ヘッド20の光学シート保持面に装着された粘着シート30Dの表面に仮固定する際には、図11(b)に明瞭に示すように、光学シート10Dの一辺を、粘着シート30Dの表面の第2領域30Dbの前方の辺(第1領域30Daと第2領域30Dbの境界)に沿って(平行に)配置する。光学シート10とダミーフィルム40の間には、小さな隙間を空ける。その結果、光学シート10の周囲には、粘着シート30Dの非重畳部が露出する。具体的には、光学シート10の左辺、右辺及び前辺には、粘着力が相対的に強い第1領域30Daの残部が露出し、その後辺には粘着力がない第2領域30Db(ダミーフィルム40)が露出する。光学シート10とダミーフィルム40の間の隙間にも、第1領域30Daの残部が露出する。
【0107】
以上述べたように、本発明の第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、表面及び裏面の双方が粘着性を持つ粘着シート30Dを準備し、その粘着シート30Dの表面に、粘着力が強い第1領域30Daと、粘着力がない第2領域30Dbとを形成している。そして、粘着シート30Dの裏面を曲率ヘッド20の凸円弧状の光学シート保持面に粘着させることで、粘着シート30Dを光学シート保持面に装着している。
【0108】
その後、光学シート保持面に装着された粘着シート30Dの第1領域30Daに、光学シート10を粘着力を用いて仮固定する。その際には、光学シート10の前方の一辺を、粘着シート30Dの表面の第2領域30Dbの前方の辺(第1領域30Daと第2領域30Dbの境界)に平行に配置する。
【0109】
さらに、曲率ヘッド20に仮固定した光学シート10の前端を、ガラス基板50上の所定の貼り合わせ領域の前端に当接させてから、ガラス基板50を前方に水平移動させることで、ガラス基板50上で曲率ヘッド20の転動部20bを転動させる。こうして、光学シート10をその表面の粘着力によって曲率ヘッド20からガラス基板50上に貼り合わせる。
【0110】
光学シート10は、その一辺が粘着シート30Dの第2領域30Dbの前方の一辺に整合するようにして、粘着シート30Dの第1領域30Daに粘着力を用いて仮固定されているから、光学シート10の全体がガラス基板50上に貼り合わせられた直後には、粘着力がない第2領域30Db(ダミーフィルム40)がガラス基板50に対向・接触する。このため、粘着シート30Dのガラス基板50への接触時に、第2領域30Dbの粘着力に起因してガラス基板50が持ち上がったり、ガラス基板50の表面の膜が剥がれたりすることがなく、したがってそれに起因する損傷が生じない。また、光学シート10のガラス基板50への貼り合わせは、良好な精度で行われる。
【0111】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を図13及び図14に示す。ここでも、光学シート10としてレンチキュラレンズ・シートを使用し、ガラス基板50と
して液晶パネルを使用する。また、曲率ヘッド20は、上記第1実施形態で使用したものと同じであるが、粘着シート30に代えて粘着シート30Eが使用されている。
【0112】
本第6実施形態で使用される粘着シート30Eは、図13に示すような構成を持ち、第2領域30Ebが粘着シート30の前辺と後辺にそれぞれ形成されている点を除いて、上記第5実施形態で使用した粘着シート30Dと同じである。二つの第2領域30Ebは、同じ形状、同じ大きさである。
【0113】
本第6実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、曲率ヘッド20の光学シート保持面に装着された粘着シート30Eの表面に仮固定する際には、図14(b)に明瞭に示すように、光学シート10の一辺を、粘着シート30Eの表面の第2領域30Ebの前方の辺(第1領域30Eaと後辺側の第2領域30Ebの境界)に平行になるようにする。その結果、光学シート10の周囲には、粘着シート30Eの非重畳部が露出する。具体的には、光学シート10の左辺および右辺には、粘着力が相対的に強い第1領域30Eaの残部が露出し、その前辺および後辺には粘着力がない第2領域30Ebが露出する。それ以外は、上記第1実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法と同じであるから、その説明を省略する。
【0114】
本第6実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、上述した第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法と同じ効果が得られることが明らかである。
【0115】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を図15及び図16に示す。ここでも、光学シート10としてレンチキュラレンズ・シートを使用し、ガラス基板50として液晶パネルを使用する。また、曲率ヘッド20は、上記第1実施形態で使用したものと同じであるが、粘着シート30Dに代えて粘着シート30Fが使用されている。
【0116】
本第7実施形態で使用される粘着シート30Fは、図15に示すような構成を持ち、第2領域30Fbが粘着シート30Fの前辺と後辺と左右両辺にそれぞれ形成されている点を除いて、上記第5実施形態で使用した粘着シート30Dと同じである。前辺と後辺にある二つの第2領域30Fbは、互いに同じ形状、大きさである。左辺と右辺にある二つの第2領域30Fbも、互いに同じ形状、大きさである。
【0117】
本第7実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、曲率ヘッド20の光学シート保持面に装着された粘着シート30Fの表面に仮固定する際には、図16(b)に明瞭に示すように、光学シート10の四辺を、粘着シート30Fの表面の第2領域30Fbの四辺(第1領域30Faと後辺側の第2領域30Fbの境界)にそれぞれ整合させるようにする。その結果、光学シート10の周囲には、粘着シート30Fの非重畳部が露出する。具体的には、光学シート10の左辺、右辺、前辺および後辺には、粘着力がない第2領域30FB(ダミーフィルム40)が露出し、それら第2領域30FB以外の箇所では、第1領域30Faが露出する。それ以外は、上記第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法と同じであるから、その説明を省略する。
【0118】
本第7実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、上述した第5実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法と同じ効果が得られることが明らかである。
【0119】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法を図17に示す。ここでも、光学シート10としてレンチキュラレンズ・シートを使用し、ガラス基板50として液晶パネルを使用する。また、曲率ヘッド20と粘着シート30Dは、いずれも、上記第5実施形態で使用したものと同じである。
【0120】
本第8実施形態では、ガラス基板50を保持する基板ステージ60の形状に特徴がある。すなわち、図17(a)に示すように、基板ステージ60の側壁60aの上端面が、基板ステージ60の内側に保持されたガラス基板50の上面よりも高くされていて、その高さの差はdである。この高さの差dは、貼り合わせをする光学シート10の厚さとダミーフィルム40の厚さにほぼ等しい。
【0121】
本第8実施形態に係る光学シート貼り合わせ方法では、曲率ヘッド20の光学シート保持面に装着された粘着シート30Dの表面に仮固定する際には、図17(a)に明瞭に示すように、光学シート10の一辺を、粘着シート30の表面の第2領域30Db(ダミーフィルム40)の前方の辺(第1領域30Daと後辺側の第2領域30Dbの境界)に平行に配置する。その結果、光学シート10の周囲には、粘着シート30Dの非重畳部が露出する。具体的には、図11(b)に示すように、光学シート10の左辺、右辺および前辺には、粘着力が相対的に強い第1領域30Daの残部が露出し、その後辺には粘着力がない第2領域30bが露出する。
【0122】
その後、曲率ヘッド20をガラス基板50上で転動させて、光学シート10の全面をガラス基板50に貼り合わせると、図17(b)に示すように、曲率ヘッド20の粘着シート30Dの第2領域30Db(ダミーフィルム40)がガラス基板50に対向・接触する。本第8実施形態では、基板ステージ60の側壁60aが、ガラス基板50の表面よりもdだけ高くされているので、粘着シート30Dの第2領域30b(ダミーフィルム40)は、基板ステージ60の側壁60aに当接する。
【0123】
このため、図11(b)の状態では、曲率ヘッド20がガラス基板50を押圧する力が減少するだけでなく、曲率ヘッド20をガラス基板50から引き離す力も作用する。通常であれば、曲率ヘッド20の回転に伴ってガラス基板50が持ち上げられる可能性があるが、本実施形態ではその可能性がまったくない。しかも、曲率ヘッド20の回転に伴ってガラス基板50が位置ずれを起こすこともない。
【0124】
(変形例)
上述した第1〜第8の実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0125】
例えば、上記実施形態では、断面が凸円弧状に湾曲した光学シート保持面を持つ曲率ヘッドを使用しているが、これには限定されない。凸円弧状に湾曲した光学シート保持面を持っていれば、任意の曲率ヘッドを使用可能である。例えば、全体形状が円筒形の曲率ヘッドも使用可能である。
【符号の説明】
【0126】
10 光学シート
10D 光学シート
20 曲率ヘッド
20a 支持部
20b 転動部
21 回転軸
30 粘着シート
30a 第1領域
30b 第2領域
30A 粘着シート
30Aa 第1領域
30Ab 第2領域
30B 粘着シート
30Ba 第1領域
30Bb 第2領域
30C 粘着シート
30Ca 第1領域
30Cb 第2領域
30D 粘着シート
30Da 第1領域
30Db 第2領域
30E 粘着シート
30Ea 第1領域
30Eb 第2領域
30F 粘着シート
30Fa 第1領域
30Fb 第2領域
40 ダミーフィルム
50 ガラス基板
60 基板ステージ
60a 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲率ヘッドの光学シート保持面に光学シートを粘着力を用いて保持し、前記曲率ヘッドを基板上で転動させることで前記光学シートを前記基板上に貼り合わせる光学シート貼り合わせ方法であって、
曲率ヘッドの光学シート保持面に、貼り合わせ作業を通じて光学シートを保持できる粘着力を持つ第1領域と、その第1領域の粘着力よりも弱い粘着力を持つ第2領域とを有する粘着シートを装着する工程と、
前記曲率ヘッドの光学シート保持面に装着された前記粘着シートの第1領域に、光学シートの表面を接触させ、もってその光学シートを前記第1領域の粘着力を用いて保持(仮固定)する工程と、
前記光学シート保持面に保持(仮固定)した前記光学シートの裏面を基板に接触させながら、前記曲率ヘッドを前記基板上で転動させ、もって前記光学シートの裏面全体を前記基板に粘着させる工程と、
前記光学シートの裏面全体を前記基板に粘着させる工程の完了後、前記曲率ヘッドをさらに転動させ、もって前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程とを備え、
前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程では、前記光学シート保持面に装着された前記粘着シートの第2領域が、前記基板に対向せしめられる
ことを特徴とする光学シート貼り合わせ方法。
【請求項2】
前記粘着シートの第1領域の粘着力が、ローリングタック試験240mm未満、前記粘着シートの第2領域の粘着力が、ローリングタック試験240mm以上である請求項1に記載の光学シート貼り合わせ方法。
【請求項3】
前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの一辺に沿って帯状に配置されている請求項1または2に記載の光学シート貼り合わせ方法。
【請求項4】
前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの対向する二辺に沿ってそれぞれ帯状に配置されている請求項1または2に記載の光学シート貼り合わせ方法。
【請求項5】
前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの四辺に沿ってそれぞれ帯状に配置されている請求項1または2に記載の光学シート貼り合わせ方法。
【請求項6】
前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの四辺に沿ってそれぞれ帯状に且つ同心状に配置されている請求項1または2に記載の光学シート貼り合わせ方法。
【請求項7】
前記粘着シート自身が、粘着力が相対的に強い前記第1領域と、粘着力が相対的に弱い前記第2領域に区分けされている請求項1〜6のいずれかに記載の光学シート貼り合わせ方法。
【請求項8】
前記粘着シートの全体が、粘着力が相対的に強い前記第1領域として形成され、その一部に粘着力が相対的に弱いダミーシートを取り付けることで、前記第2領域が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の光学シート貼り合わせ方法。
【請求項9】
前記基板が基板ステージに保持してあり、
前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する工程では、前記粘着シートが、前記基板に接触する前に前記基板ステージの側壁に当接して、前記粘着シートが前記基板を押圧する力を低減または消失させるように設定されている請求項1〜8のいずれかに記載の光学シート貼り合わせ方法。
【請求項10】
曲率ヘッドの光学シート保持面に光学シートを粘着力を用いて保持し、前記曲率ヘッドを基板上で転動させることで前記光学シートを前記基板上に貼り合わせる光学シート貼り合わせ装置であって、
凸状に湾曲した光学シート保持面を有する曲率ヘッドと、
前記光学シート保持面に装着された粘着シートとを備え、
前記粘着シートは、貼り合わせ作業を通じて光学シートを保持できる粘着力を持つ第1領域と、その第1領域の粘着力よりも弱い粘着力を持つ第2領域とを有しており、
前記光学シートの裏面全体を前記基板に粘着させた後、前記曲率ヘッドをさらに転動させて前記光学シート保持面から前記光学シートを離隔する際に、前記光学シート保持面に装着された前記粘着シートの第2領域が、前記基板に対向せしめられる
ことを特徴とする光学シート貼り合わせ装置。
【請求項11】
裏面が粘着性を有し、その粘着性を利用して曲率ヘッドの光学シート保持面に粘着可能であり、
表面が粘着性を有し、保持(仮固定)する光学シートに対向する位置に形成され且つ相対的に強い粘着力を持つ第1領域と、前記光学シートに対向する範囲の外側に少なくとも一部が位置し且つ相対的に弱い粘着力を持つ第2領域とを備えている
ことを特徴とする粘着シート。
【請求項12】
前記粘着シートの第1領域の粘着力が、ローリングタック試験240mm未満、前記粘着シートの第2領域の粘着力が、ローリングタック試験240mm以上である請求項11に記載の粘着シート。
【請求項13】
前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの一辺に沿って帯状に配置されている請求項11または12に記載の粘着シート。
【請求項14】
前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの対向する二辺に沿ってそれぞれ帯状に配置されている請求項11または12に記載の粘着シート。
【請求項15】
前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの四辺に沿ってそれぞれ帯状に配置されている請求項11または12に記載の粘着シート。
【請求項16】
前記粘着シートが矩形であり、前記第2領域が前記粘着シートの四辺に沿ってそれぞれ帯状に且つ同心状に配置されている請求項11または12に記載の粘着シート。
【請求項17】
前記粘着シート自身が、粘着力が相対的に強い前記第1領域と、粘着力が相対的に弱い前記第2領域に区分けされている請求項11〜16のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項18】
前記粘着シートの全体が、粘着力が相対的に強い前記第1領域として形成され、その一部に粘着力が相対的に弱いダミーシートを取り付けることで、前記第2領域が形成されている請求項11〜16のいずれかに記載の粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−95123(P2013−95123A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242945(P2011−242945)
【出願日】平成23年11月5日(2011.11.5)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】