説明

光学デバイス又は電気光学デバイスのためのエステル基含有液晶

本発明は、液晶相を有する重合性液晶化合物(I)、及び化合物(I)を含む液晶組成物、複屈折層としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイス又は電子光学デバイスのための複屈折層の調製に使用される、重合性液晶化合物(I)並びにそれらの組成物及びポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
複屈折層は、導波管、光回折格子、フィルター、リターダ、回転子、圧電性セル並びに非線形光学セル及びフィルムのような、光学又は電気光学構成要素の製造において使用される。前述の光学又は電気光学構成要素のいずれか一つにおいて使用するための液晶化合物の選択は、光学異方性、屈折率、透明度および分散性のようなそれに付随する光学特性に依存する。
【0003】
複屈折層は、例えば、液晶化合物を含む層を配向することによって製造することができる。
【0004】
液晶が重合性である場合、配向層によって液晶化合物に付与される形状を安定化することができ、これとともに高分子ネットワークを形成することにより配向を固定できるようになる。得られる複屈折層は、高い粘度を有し、かつ機械的ストレス、温度及び露光に対して安定である。
【0005】
化学的、熱的影響、又は電磁放射線に対して安定的な、重合性液晶化合物が望ましい。更に、重合性液晶化合物に由来する良好な製造特性が望ましい、例えば容易かつ経済的な入手可能性である。加えて、良好な粘着性、溶解性及び他の重合性液晶化合物との混和性のような良好な適用特性、ならびに25〜80℃、より有利には25〜150℃のような大きな温度範囲に及ぶ広範な液晶相を有する、重合性液晶化合物が有利である。
【0006】
広範な液晶温度範囲を呈し、かつ基板上の重合性液晶化合物又は混合物の配向が高分子ネットワークを製造するために必要な期間に亘り安定した状態を保てるように、好ましくは架橋前に、基板上で配向することができる、更なる重合性液晶化合物の必要性が存在する。更に、これらの重合性液晶化合物は、経済的に入手可能でかつ良好な適用特性を示さなくてはならない。
【0007】
本発明は、液晶相を有する下記(I):
【化1】


[式中、
及びRは、互いに独立に、式(Ia):
【化2】


(ここで、破線「−−−−」は、化合物(I)への結合を表わす)で示される基であり、
−(C−X)n−C−(X−C)n−は、二価のコアであり、
式中、
及びCは、各場合において独立して、置換又は非置換の非芳香族、芳香族の炭素環もしくは複素環基であり、そして
は、非置換であるか、又は1〜20個のC−原子の非分岐炭化水素基で置換されている、非芳香族、芳香族の炭素環もしくは複素環基であり、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いは、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−のようなヘテロ原子で置き換えられているか、又は−N=N−、−CO−C=C−、−CH(OH)−、−CO−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される1個の置換基で置き換えられており(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
及びXは、各々独立に、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CO−C=C−、−CH(OH)−、−CO−、−CHO−、−OCH−、−CH(CO)−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−OCF−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−C≡C−又は単結合を表わし;
及びnは、各々独立に、0、1、2、3、4、好ましくは1の値を有する整数であり、
SPは、非芳香族もしくは芳香族の炭素環もしくは複素環基、又はCH=CH−基、C≡C−基、又は分岐もしくは非分岐C−C24−アルキレン基を表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いは、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、ヘテロ原子で、又は−N=N−、−CO−C=C−、CO−、−CH(CO)−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、OCH−、−CHO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置き換えられており;(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
より好ましくは、SPは、CH=CH−基(cis又はtrans)、CoC−基、又は置換もしくは非置換C−C12アルキレン、最も好ましくはC−Cアルキレン、特にn−プロピレン、n−ブチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレンを表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いは、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、−O−もしくは−S−で、又は少なくとも1個のCH=CH−基(cis又はtrans)で置き換えられており;(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
SPは、置換又は非置換スペーサーを表わし;
好ましくは、SPは、非芳香族もしくは芳香族の炭素環もしくは複素環基、又は分岐もしくは非分岐C−C24−アルキレン基を表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いはここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、ヘテロ原子で、又は−N=N−、−CO−C=C−、CO−、−CH(CO)−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、OCH−、−CHO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置き換えられており;(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
より好ましくは、SPは、置換もしくは非置換C−C12アルキレン、最も好ましくはC−Cアルキレン、特にメチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレンを表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いは、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、ヘテロ原子で、又は−N=N−、−CO−C=C−、CO−、−CH(CO)−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、OCH−、−CHO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置き換えられており;(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
特に最も好ましくは、SPは、非置換C−Cアルキレン、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレンを表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いはここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、−O−もしくは−S−で、又は少なくとも1個のCH=CH−基で置き換えられており;(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
Pは、重合性基である]で示される重合性液晶化合物に関する。
【0008】
更に好ましいのは、SP及びSPが互いに異なる化合物(I)である。
【0009】
本発明の文脈において、
− ハロゲンは、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物、好ましくは、フッ化物及び塩化物の意味を有する;
− −CH=CH−は、対応するcis又はtrans基の意味を有する;
− 置換基は、好ましくはハロゲン、アリール、シクロアルキル、アミノ、シアノ、エポキシ、ヒドロキシ、ニトロ、オキソ、アルキル、アルコキシ、C−C20−アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアミノである;
− 単一用語として、又は複合語で、又は他の用語との組み合わせで使用される、アルキルという用語は、例えば、C−C24アルキル、好ましくはC−C10アルキル、より好ましくはC−Cアルキルであり、これは、置換されている、置換されていない、分岐している、分岐していない、置き換えられていないか、或いは、1個以上のC−原子が、−O−、−S−、−N(CH)−のようなヘテロ原子で、又は、−N=N−、−CO−C=C−、−CO−、−CH(CO)−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、−CH−CH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−C≡C−及び単結合からなる群より選択される置換基で置き換えられていてもよく;好ましいものは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、イソペンチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシルであるか、又は−O−、−COO−、−OCO−で置き換えられている;
− アルキレンという用語は、アルキルのビラジカル誘導体であり、ここで、アルキルは、上記の意味及び好ましいものである;
− アルコキシという用語は、−O−アルキル誘導体であり、アルコキシカルボニルという用語は、−COO−アルキル誘導体であり、アルキルカルボニルオキシという用語は、−OCO−アルキル誘導体であり、アルキルカルボニルという用語は、OC−アルキル誘導体であり、アルキルカルボニルアミノという用語は、−HNOC−アルキル誘導体であり、ここで、アルキルは、上記で示した意味及び好ましいものである;
− アリールという用語は、芳香族基の残基である;
− シクロアルキルという用語は、非芳香族の炭素環又は複素環基の残基である;
− 炭化水素という用語は、直鎖及び分岐のアルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルケニル、アルキニレンを含む;
− 非芳香族という用語は、炭素環及び複素環基を含む;
− 芳香族という用語は、炭素環及び複素環基を含み、これらは、単環、5もしくは6個の原子の2つの隣接した単環、8、9もしくは10個の原子の二環式の環系、又は13もしくは14個の原子の三環式の環系であり;好ましくは、「芳香族」という用語は、5、6、10もしくは14個の環原子を包含することを示し、例えば、フラン、ベンゼンもしくはフェニレン、ピリジン、トリアジン、ピリミジン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニレンもしくはトリフェニレン、又はテトラリン単位であり、これらは、中断されていないか、或いは少なくとも1個のヘテロ原子及び/又は少なくとも1個の架橋基で中断されており;好ましい芳香族基は、ベンゼン、フェニレン、ビフェニレン又はトリフェニレン、そして最も好ましくはフェニレンであり;好ましくは芳香族の炭素環又は複素環基は、例えば、非置換であるか、又は一置換もしくは多置換であり;炭素環又は複素環の芳香族基の好ましい置換基は、少なくとも1個の極性基及び/又はアルキル、アクリロイルオキシ、アルキルアクリロイルオキシ、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルオキソカルボニルオキシ、メタクリロイルオキシ、ビニル、ビニルオキシ及び/又はアリルオキシ基であり;好ましい極性基は、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシル;シアノ又はカルボキシ基である;
− 本発明の文脈で使用される、フェニレン又はフェニルという用語は、好ましくは、場合により置換されている、1,2−、1,3−もしくは1,4−フェニレン又はフェニル基を意味する。フェニレン基が、1,3−又は1,4−フェニル(フェニレン)基のいずれかであることが好ましい。1,4−フェニル(フェニレン)基が特に好ましい。
【0010】
好ましくは、C及びCは、下記:
【化3】


[式中、
Lは、水素、ハロゲン、C−C24−アルキル、好ましくはメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル;C−C24−アルコキシ、C−C24−アルコキシカルボニル、C−C24−アルキルカルボニルオキシ、C−C24−アルキルカルボニル、好ましくは−COCH;シアノ、C−C24−アルキルカルボニルアミノ;又は−NOを表わし、
は、0、1、2、3、又は4であり、
は、0、1、2、又は3であり、そして
は、0、1、又は2である]より選択される。
【0011】
より好ましくは、C及びCは、下記:
【化4】


[式中、
Lは、水素、ハロゲン、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル;C−C−アルコキシ、−COCHニトリル又は−NOを表わし、
、r及びrは、互いに独立に、0又は1である]からなる化合物の群より選択される。
【0012】
好ましくは、Cは、下記:
【化5】


で示される化合物のアキラルな基C’、及び下記:
【化6】


で示される化合物のキラルな基C
[式中、
Lは、水素、1〜6個のC−原子の非分岐炭化水素基を表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いは、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−であるヘテロ原子で置き換えられているか、又は−N=N−、−CO−C=C−、−CH(OH)−、−CO−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される置換基で置き換えられており(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);好ましくは、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、又は−O−もしくは−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−Oで置き換えられており;より好ましくは、Lは、水素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、そして最も好ましくは、水素もしくはメチル、エチルもしくはメトキシ、そして特に最も好ましくは水素又はメチルであり;
は、0、1、2、3、又は4であり、
は、0、1、2、又は3であり
は、0、1、又は2であり、そして
は、0又は1であり;そして好ましくは、s、s及びsは、互いに独立に0又は1である]より選択される。
【0013】
より好ましくは、Cは、下記:
【化7】


で示される化合物のアキラルな基C’、及び下記:
【化8】


で示される化合物のキラルな基C
[式中、L、s及びsは、上記と同じ意味及び好ましいものである]
より選択される。
【0014】
最も好ましくは、Cは、下記:
【化9】


で示される化合物のアキラルな基C’、及び下記:
【化10】


で示されるキラルな基C
[式中、L、s、s及びsは、上記と同じ意味及び好ましいものである]
より選択される。
【0015】
更に、より好ましいのは、
Pが:CH=CZ−COO−、
【化11】


[式中、kは、1〜20の整数である];或いは
Pが:HO−CZ−、HS−CZ、HZN−、CH=CZ−CO−NH−、CH=CZ−(O)k1−[式中、k1は、0又は1である];CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−又はZSi−
[式中、
は、H、Cl、CN、フェニル又はC−Cアルキルであり、
及びZは、各々独立に、H又はC−Cアルキルであり、
、Z及びZは、各々独立に、Cl、1〜6個のC−原子を有するオキサアルキル又はオキサカルボニルアルキルである]である、化合物(I)である。
【0016】
好ましくは、
Pは、CH=CZ−COO−、
【化12】


[式中、Z及びZは、互いに独立に、H又はC−Cアルキル、好ましくはH又はメチルであり、そしてKは、1〜6の整数、好ましくは1である]である。
【0017】
より好ましくは、Pは、CH=CZ−COO−[式中、Zは、H、又はC−Cアルキル(これは特に、メチルである)である]である。
【0018】
加えて、より好ましいものは、式(II):
【化13】


[式中、C、R、L、r、n、nは、上記で示された意味及び好ましいものである]で示される化合物であり;そして特別により好ましいものは、
が、非置換であるか、又は非分岐C−C−アルキレン基で置換されている、1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ジデオキシ−2,5−ジメチル−D−マンニトール、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール、1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ジデオキシ−2,5−ジメチル−D−グルシトール、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール−2,5−ジメチル−エーテル、もしくは1,4−フェニレンであり、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、又は−O−、−CO−、−COO−、−O(CO)−、もしくは−O(CO)−O−で置き換えられており(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);そして
、L、rが、上記で示された意味及び好ましいものであり;そしてより好ましいのは、rが0であるものである、
化合物(II)である。
【0019】
特別により好ましいものは、式(IV):
【化14】


[式中、SP、SP及びLは、上記と同じ意味及び好ましいものであり、そしてZは、水素又はメチルである]で示される化合物である。
【0020】
更に、より好ましいのは、>4の粘着力、好ましくは>5より大きい粘着力を有する化合物(I)である。
【0021】
粘着力の値は、2回の試験(基板に対して180°で、次に90℃での引張による除去試験)の平均に基づき、そして以下の基準に当てはめる:
5− 面積の0%が除去される
4− 面積の10%未満が除去される
3− 面積の10〜30%が除去される
2− 面積の30〜50%が除去される
1− 面積の50%より多くが除去される
*除去された面積とは、サンプルの剥離した面積である(サンプルに粘着テープを貼り、次にそれを180°及び90°で引張るように試みた)。
【0022】
粘着力の値は、以下の標準的手順により生成される: 最初に、化合物(I)(本発明の適用/実施例7に従って製造した)を含むサンプルの表面(例えば、傷又は埃のような欠陥がないこと、かつ端から1〜2cm離れていること)を選択する。次に粘着テープ(Nichiban粘着テープ)を、配向層を配向するために使用する直線偏光の方向に対して垂直に貼り(25℃(+/−2℃)の温度、及び50%(+/−10%)の湿度で)、そして格子表面に堅固に貼り、次に1分間の待機時間の間そこに静置する。この待機時間の後、粘着テープを基板に対して最初に180°で、次に基板に対して90°で引張って迅速にはがす。
【0023】
本発明の更なる実施態様は、少なくとも式(I)の化合物ならびに場合により更なる重合性液晶化合物及び/又は添加剤を含む、液晶組成物に関する。
【0024】
重合性液晶化合物は、当技術分野において公知でありかつ特に好ましく、そしてWO 2005/105932、WO 2005/054406、WO 2004/085547、WO 2003/027056、US 2004/0164272、US 6746729、US 6733690、WO 2000/48985、WO 2000/07975、WO 2000/04110、WO 2000/05189、WO 99/37735、US 6395351、US 5700393、US 5851424及びUS 5650534に記載されている重合性液晶化合物が参照により本明細書に組み入れられる。
【0025】
より好ましいものは、Cが、上記で示した意味及び好ましいものの範囲内のアキラル基C’より選択される、少なくとも式(I)の化合物を含む液晶組成物である。
【0026】
更に、より好ましいものは、Cが上記で示した意味の範囲内のアキラル基C’より選択される式(I)の化合物、及びCが上記で示した意味及び好ましいものの範囲内の基C”より選択されるキラル基である式(I)の少なくとも1種の化合物を含む、液晶組成物であるか;又は、Cを有する式(I)の少なくとも2種の異なる化合物を含む、組成物である。
【0027】
加えて、より好ましい液晶組成物は、少なくとも化合物(I)、及び少なくとも化合物(III):
【化15】


[式中、C、C”、R、L、r、n、nは、上記で示された意味及び好ましいものである]を含む。
【0028】
更に、より好ましい液晶組成物は、少なくとも1種の化合物(I)、ならびに3種の化合物(V)、(VI)及び(VII):
【化16】


[式中、R、L及びr1は、上記で示した意味及び好ましいものである]を含む。
【0029】
液晶組成物中の成分の量は、想定される用途に依存する。液晶組成物が望まれる場合、本発明の組成物中の成分の量は、保存すべき組成物の液晶相によって制限される。通常、キラル基Cの有無にかかわらず化合物(I)は、組成物の0.1〜99重量%の量、好ましくは1〜50重量%の量、更により好ましくは1〜30重量%の量、そして特に更により好ましくは1〜10重量%の量である(但し、混合物の全ての成分の重量パーセントの合計は、100である)。
【0030】
更に好ましくは本発明の液晶組成物は、
a)0.1〜99.1重量%の化合物(I)(ここで、Cは、C’である)、
b)0.1〜99.1重量%キラル化合物(I)(ここで、Cは、C”である)
を含み、ここで、C、C’及びC”は、上記で示した意味及び好ましいものであり、混合物の全ての成分の重量パーセントの合計は、100であり;好ましくは、キラル成分(I)は、組成物中0.1〜20重量%の量である。
【0031】
加えて、好ましくは本発明の液晶組成物は、化合物(I)及び反応性又は非反応性キラル化合物を含む。反応性及び非反応性キラル化合物は、当技術分野において公知であり、米国特許第5,798,147号に記載されており、参照により本明細書に組み入れられる。
【0032】
最も好ましいものは、式(I)の化合物及び、例えば、添加剤、溶媒のような更なる成分を含む、液晶組成物である。
【0033】
一般的に、使用される添加剤は、酸化防止剤、光開始剤のような開始剤、促進剤、染料、抑制剤、活性剤、充填材、連鎖移動抑制剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、拡張油、可塑剤、粘着付与剤、触媒、増感剤、安定化剤、例えばフェノール誘導体(4−エトキシフェノール又は2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)のような)、平滑剤;分散剤;高分子結合剤及び/もしくは重合によって高分子結合剤へ変換することができる単量体化合物、又はエマルションコーティング及び印刷用インクの場合、米国特許第5,798,147号に記載されているような分散助剤;疎水化剤、粘着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱泡剤、希釈剤、助剤、着色剤、染料及び顔料、硬化抑制剤、例えばヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール;2,6−ジtert−ブチル−p−メチルフェノール;フェノチアジン;N−フェニル−2−ナフチルアミン;又はEP 1 090 325 Bに記載されている光配向モノマー又はオリゴマー又はポリマーである。
【0034】
組成物中の添加剤の量は、本発明の組成物の液晶相が保存されるべきであるという必要性によって制限される。通常、反応性又は非反応性添加剤は、組成物の0.01〜50重量%の量、好ましくは1〜30重量%の量、更により好ましくは1〜10重量%の量である。
【0035】
本発明の組成物が安定化剤を含む場合、後者は一般的に組成物の0.01〜5重量%の量で、好ましくは0.1〜1重量%の量で存在する。
【0036】
開始剤は、組成物の硬化を開始するために有効な量で用いられる。有効量は、方法パラメータ及び出発物質の特性に依存する。典型的には、当該量は、組成物の総重量%に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲である。2種類以上の開始剤の組み合わせ(光−又は熱開始剤)もまた用いることができる。
【0037】
本発明の液晶組成物は、固体であるか、或いは、溶液、ゲル、分散液又はエマルションとして、有機溶媒及び/又は水である溶媒中に希釈されている。
【0038】
好ましくは、組成物は、清澄な溶液である。本出願で用いられる溶媒又は溶媒混合物は、本発明の液晶組成物を溶解することができる任意の化合物であることができる。一般的な極性溶媒又は非極性溶媒のような少なくとも1種の溶媒を用いることができる。特に好ましい溶媒は、塗布される基板に対する、材料の溶液の良好な塗布性又は印刷特性をもたらす溶媒である。
【0039】
最も好ましい液晶組成物は、式(I)の化合物及び非極性溶媒を含む。
【0040】
非極性溶媒は、低い誘電率を有し、かつ水と混ざらない化合物であり、例えば、好ましくはヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、1,3−ジオキソラン(DXG)、そしてより好ましくは1,3−ジオキソラン(DXG)である。
【0041】
極性溶媒は、非プロトン性又はプロトン性である。
【0042】
最も好ましい液晶組成物は、式(I)の化合物及び極性溶媒を含む。
【0043】
非プロトン性極性溶媒は、プロトン性溶媒とイオン溶解力を共有するが、酸性水素を欠いている溶媒である。これらの溶媒は、一般的に高い誘電率及び高い極性を有する。好ましい極性溶媒は、アセトン、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、γ−ブチロラクトン(BL)、N−メチルモルホリン、プロピレングリコールジアセタート、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、シクロペンタノン(CP)、メチルエチルケトン(MEK)、アニソール(AN)、シクロヘキサノン(CHN)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、1−メトキシ−2−プロパノールアセタート(MPA)及びそれらの混合物である。
【0044】
プロトン性極性溶媒は、フッ化水素のような解離性H+を含有する溶媒である。かかる溶媒の分子は、H+(プロトン)を供与することができる。それとは反対に、非プロトン性溶媒は、水素結合を供与することはできない。プロトン性溶媒の共通の特性は、水素結合を示すこと、酸性水素(しかし、それらは、とても弱い酸であるかもしれない)を有すること、イオン(非共有自由電子対によるカチオン、水素結合によるアニオン)を安定化することができることである。例としては、酢酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、2−ブトキシエタノール(BC)、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセタート、エチレングリコール、プロピレングリコールモノアセタート、ジプロピレングリコール、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び水である。
【0045】
好ましくは本出願で使用される有機溶媒は、プロトン性又は非プロトン性の極性又は非極性溶媒である。
【0046】
好ましい溶媒は:
− 例えばアセトン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)のようなケトン、
− N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド、
− カルバマート、
− テトラヒドロフラン(THF)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ジオキソラン(DXG)のようなエーテル、
− 酢酸エチル(EA)、1−メトキシ−2−プロパノールアセタート(MPA)、γ−ブチロラクトン(BL)、プロピレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールジアセタートのようなエステル、
− 2−ブトキシエタノール(BC)、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなアルコール
− ジメチルスルホキシド(DMSO)、
− ジクロロメタン、クロロベンゼンのようなハロゲン炭化水素、
− 例えばヘキサン、ヘプタン、トルエンのような炭化水素;アニソール、ペトロエーテルであるがこれら限定されない無極性溶媒、
及びそれらの混合物であるが、これらに限定されない。
【0047】
より好ましい溶媒は、アセトン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、(AN)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン(DXG)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル(EA)、1−メトキシ−2−プロパノールアセタート(MPA)、γ−ブチロラクトン(BL)、プロピレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0048】
最も好ましいのは、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EA)、1−メトキシ−2−プロパノールアセタート(MPA)、1,3−ジオキソラン(DXG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0049】
想定される使用に依存して、溶媒を添加することは有利でありうる。溶媒中の組成物の典型的な濃度は、前記溶媒中、化合物(I)及び任意の添加剤のような活性成分が2および50重量%の間、好ましくは10および40重量%の間である。
【0050】
本発明の化合物(I)は、当技術分野において公知の方法により調製することができる。
【0051】
更に、本発明はまた、エステル基を含む化合物、好ましくは化合物(I)の調製方法であって、
a)式(VIII):
P−Sp−OH (VIII)
で示される化合物を、式(IX):
【化17】


で示される化合物と接触させ、
b)ならびに、式(XI):
HO−(C−X)n−C−(X−C)n−OH (XI);
で示されるジヒドロキシ化合物と、
又は、式(XII):
HO−(C−X)n−C−(X−C)n−Y (XII)
[式中、P、Sp、Sp、C、C、C、n、nは、上記と同じ意味であり、Zは水素又はメチルであり、そしてYは、COOH、COOC−Cアルキル、ハロゲン又はCNを表わし、Yは好ましくはCNである]で示される化合物と接触させることを含む、方法に関する。
【0052】
好ましくは、工程a)及びb)は、「ワンポット反応」で実施するか、又は代わりに、該方法は、例えば、工程a)で生成される中間体を単離することにより1より多い工程で実施することができる。
【0053】
好ましくは、前記化合物は、それらをカップリングさせることにより接触させられる。
【0054】
一般に、工程a)におけるカップリングは、溶媒の有無にかかわらず実施することができる。しかし、以下に示す溶媒の意味の範囲内の、極性又は非極性の非プロトン性溶媒のような溶媒を使用することは、有利であるかもしれない。好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンである。
【0055】
方法の工程b)は、好ましくは、溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒の存在下で実施される。
【0056】
更に、カップリング工程a)及びb)は、安定剤、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノールの存在下で実施することができる。
【0057】
好ましくは、工程a)は、第三級アミンのような塩基の存在下で実施される。
【0058】
カップリング工程a)及びb)の温度は、使用する反応物質のような反応パラメータに依存する。
【0059】
好ましくは、工程a)は、例えば30〜180℃までの高温度で実施する。
【0060】
好ましくは、工程a)における出発物質のモル比は、例えば1:0.8〜0.8:1の範囲で、使用する溶媒の反応性及び溶解性に依存する。
【0061】
好ましくは、ジヒドロキシ(XI)の工程a)で得られる化合物に対するモル比は、例えば(0.5:1〜0.1:1)の範囲であり;そして式(XII)のモノヒドロキシ化合物の工程a)で得られる化合物に対するモル比は、例えば(1:1〜1:0.8)の範囲である。
【0062】
工程b)のカップリングは、好ましくは工程a)で得られる化合物の、酸クロリドのような活性化カルボン酸のエステル化により、又はカルボジイミドカップリングにより、又はメタンスルホニルクロリドのような混合無水物の使用により実施する。好ましくは、工程b)は、DMAP又はピリジンの存在下で実施する。
【0063】
工程a)で得られる化合物の酸クロリドは、標準的な文献に記載されているような酸クロリドの生成に関する公知の方法に従って実施することができる。またカルボジイミドカップリング及び混合無水物との反応は、化学の標準的な文献に記載されている公知の方法に基づいて実施することができる。
【0064】
アクリル酸ヒドロキシアルキルは、市販製品であるか、又は例えば、アクリル酸クロリドとジヒドロキシ化合物との反応により容易に調製することができるかのいずれかである。
【0065】
化合物HO−(C−X)n−C−(X−C)n−OH(XI)又はHO−(C−X)n−C−(X−C)n−Y(XII)は、公知であり、文献の方法(例えば、JP 11080090)に従って合成することができる。それらは、例えば、o−キシレンのような非プロトン性溶媒中で、パラ−トルエンスルホン酸一水和物中、4−ヒドロキシ安息香酸とトルヒドロキノンとの反応により又は類似の反応により、調製することができる。
【0066】
本発明の更なる実施態様はまた、化合物(I)の調製方法であって、
a)ジヒドロキシ化合物(XI)であるHO−(C−X)n−C−(X−C)n−OH(XI)、又は式(XII)のモノヒドロキシ化合物であるHO−(C−X)n−C−(X−C)n−Y(XII)を、式(IX):
【化18】


で示される化合物とカップリングすること、および
b)次に、工程a)で得られた化合物を、式(VIII):
P−Sp−OH (VIII)
[式中、P、SP、SP、C、C、C、n、nYは、上記で示した意味及び好ましいものである]で示される化合物とカップリングすることを含む、方法に関する。
【0067】
工程a)及び工程b)の反応条件ならびに好ましいものは、化合物(I)の調製方法に関して先に記載されたとおりであるが、但し出発物質を取り替え、かつ分子比をそれに応じて適合させる。
【0068】
加えて、本発明は先に記載された方法により得られる生成物に関する。
【0069】
更に、本発明は、本発明の化合物(I)又は組成物を重合させることを含む、非パターン化又はパターン化された複屈折層の調製方法を含む。
【0070】
本発明はまた、非パターン化又はパターン化された複屈折層の調製のための本発明の化合物(I)又は組成物の使用を含む。
【0071】
好ましくは、「パターン化」という用語は、複屈折パターニング及び/又は厚さパターニング及び/又は光軸配向のパターニング、及び/又は重合(好ましくは光重合を含む)の程度のパターニングを意味する。複屈折は、異常屈折率と通常屈折率との間の差を意味する。
【0072】
「非パターン化」という用語は、層全体に均一に配向した複屈折層を意味する。
【0073】
更に本発明は、好ましくはアライニング表面上で、本発明の化合物(I)又は組成物を重合することを含む、複屈折層の調製方法を含む。
【0074】
本発明の文脈において、アライニング表面とは、液晶に対してアライニング能力を有している基板のいかなる表面も意味するものとする。
【0075】
基板は、例えば、PET、ポリエチレンテレフタレートもしくはTAC、トリアセチルセルロースのようなプラスチック、又は場合によりインジウムスズ酸化物(ITO)でコーティングされることができるガラスのような任意の他の材料である。更に、基板は、かかるアライニング能力を作り出す又は移動させるコーティングを含んでもよい。かかるコーティングは、配向層として周知である。
【0076】
配向層は、当技術分野において公知の任意の技術を使用して調製することができ、これには、ラビング(例えば、こすったポリイミド又はポリアミック酸)、エンボス加工、スクラッチング、SiOなどの斜方蒸着、フォトリソグラフィー格子(grating)、LB膜(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Bodgett)膜)、SAMS(自己組織化単分子膜表面)、イオン照射プロセス、表面構造のレーザー書き込み、スタンピングによる配向テクスチャ転写、光−配向(例えば、光重合、光二量化、光−分解、光−異性化を含む)が含まれるがこれらに限定されない。
【0077】
好ましい配向層は、光−配向フォトポリマーの層である。配向層の調製のため、本発明の組成物を基板に適用し、そして光重合させる。光重合とは、組成物を、光、好ましくはUV光、そしてより好ましくはUVAを用いて硬化させて、架橋した複屈折層を得ることである。硬化時間は、とりわけ重合性物質の反応性、コーティング層の厚さ、重合開始剤の種類、及びUVランプの出力に依存する。好ましいものは、線形的光重合配向層である。好ましいアライニング表面は、PET及び配向層、特に光配向層である。
【0078】
本発明はまた、本発明の化合物(I)又は組成物を含む複屈折層の調製方法に関する。
【0079】
好ましくは複屈折層の調製方法は、
a) アライニング表面上に本発明の化合物(I)又は組成物をコーティングまたは印刷すること
b) 場合により乾燥させること、そして
c) 次に重合、好ましくは光重合させること
を含む。
【0080】
一般的に、組成物は当技術分野において公知の一般的コーティング及び印刷方法により適用される。コーティング方法は、例えば、スピン・コーティング、エア・ドクター・コーティング、ブレード・コーティング、ナイフ・コーティング、リバース・ロール・コーティング、トランスファ・ロール・コーティング、グラビア・ロール・コーティング、キス・ロール・コーティング、キャスト・コーティング、スプレー・コーティング、スロット−オリフィス・コーティング、カレンダ・コーティング、電着コーティング、ディップ・コーティング、又はダイ・コーティングである。
【0081】
印刷方式は、例えば、凸版印刷(例えば、フレキソ印刷)、インクジェット印刷、凹版印刷(例えば、直接グラビア印刷又はオフセットグラビア印刷)、リソグラフ印刷(例えばオフセット印刷)、又は型紙捺染(例えば、スクリーン印刷)である。
【0082】
乾燥工程が行われるかどうかは、組成物の稠度(consistence)に依存する。溶媒が組成物に含まれる場合、組成物は通常、適用工程の後で乾燥させる。
【0083】
一般に「乾燥」とは、例えば、対流によって熱を加えて溶媒の蒸気を運び去る空気の流れを使用した、例えば加熱した気体の適用による溶媒の抽出からなる(対流または直接乾燥)。乾燥は、温度が高いとより早い。加えて、製品又はフィルムの品質もまた、乾燥に用いられる温度の決定において考慮されなければならない。他の可能性は、真空乾燥(発生した蒸気が真空システムによって除去されると共に、熱が接触伝導(contact conduction)または放射線(又はマイクロ波)によって供給される);ドラム乾燥又は真空乾燥のような、間接的又は接触乾燥(高温壁による加熱);誘電乾燥(材料内部に吸収されている高周波又はマイクロ波);フリーズドライもしくは凍結乾燥;溶媒の機械的抽出である。
【0084】
本発明の好ましい実施態様において、上記方法は、適用された化合物(I)又は工程a)もしくは工程b)で得られた組成物を光重合することを含む。光重合は、放射線によって実行される。
【0085】
本発明の文脈において、放射線は、偏光又は非偏光である。好ましいのは非偏光であるが、しかし特定の場合、偏光又は部分偏光、直線偏光、円偏光、楕円偏光も適用することができる。
【0086】
従来、光重合にはランプが使用される。照射に使用されるランプの強度は、好ましくは0.2mW/cm2より高く、より好ましくは10mW/cm2より高く、最も好ましくは20mW/cm2より高く、特に最も好ましくは50mW/cm2よりも高くあるべきである。
【0087】
光重合はまた、電子ビーム(EB)によっても達成可能である。
【0088】
本発明はまた、光学又は電気光学構成要素及びシステム、特に多層システム、又はデバイスのための非パターン化又はパターン化複屈折層の使用に関する。
【0089】
更に、本発明はまた、光学又は電気光学構成要素及びシステム、特に多層システム、又はデバイスの調製方法であって、コレステリック層、及び/又は本発明の非パターン化又はパターン化複屈折層を含みうる方法に関する。
【0090】
本発明の重合した化合物(I)又は組成物を含む。非パターン化又はパターン化複屈折層である。
【0091】
光学構成要素、システム、又はデバイスは、電磁放射線を作り出し、操作し、又は測定する。
【0092】
電気光学構成要素、システム、又はデバイスは、電場による材料の工学的特性の調節によって作動する。したがって、それは材料の電磁(光学)及び電気(電子)状態の間の相互作用に関する。
【0093】
本発明は更に、本発明の化合物(I)又は組成物を含む光学又は電気光学構成要素に関する。
【0094】
好ましくは、非パターン化又はパターン化の光学又は電気光学構成要素は、導波管、安全もしくはブランド保護要素、バー・コード、光学格子、フィルター、リターダ、補償フィルム、反射偏光フィルム、吸収性偏光フィルム、散乱異方性フィルム補償器及び位相差フィルム、ねじれ位相差フィルム、コレステリック液晶フィルム、ゲスト・ホスト液晶フィルム、モノマー波形フィルム、偏光板、圧電セル、非線形光学特性を呈する薄膜、装飾的光学要素、輝度強化フィルム、波長域選択補償用構成要素、マルチドメイン補償用構成要素、マルチビュー液晶ディスプレイの構成要素、収色性・リターダ、偏光状態修正/調整フィルム、光学もしくは電気光学センサーの構成要素、輝度強化フィルムの構成要素、光ベースの電気通信デバイス用構成要素、異方性アブソーバを含むパターン化G/H−偏光板、パターン化反射型円偏光板、パターン化反射型直線偏光板、パターン化MC(モノマー波形フィルム)に使用することができる(しかし、これらに限定されない)。
【0095】
好ましいのは、安全要素、特に透過又は反射要素;偏光板、補償器及び位相差フィルムである。
【0096】
本発明の更なる態様は、本発明の化合物(I)又は組成物を含む、光学又は電気光学構成要素及び多層システムを提供する。
【0097】
加えて、本発明は、本発明の化合物(I)又は組成物を含む、光学又は電気光学構成要素の調製方法に関する。
【0098】
好ましくは、本発明はまた、
(a)ねじれネマチック(TN)液晶ディスプレイ、ハイブリッド配向ネマチック(HAN)液晶ディスプレイ、電気制御複屈折(ECB)液晶ディスプレイ、超ねじれネマチック(STN)液晶ディスプレイ、光学補償複屈折(OCB)液晶ディスプレイ、パイセル(pi-cell)液晶ディスプレイ、面内切替(IPS)液晶ディスプレイ、フリンジ領域切替(FFS)液晶ディスプレイ、垂直配向(VA)液晶ディスプレイ(上記全てのディスプレイのタイプは、透過型又は反射型又は半透過反射型モードのいずれかで適用される);
(b)3次元画像又は視野角によって変化する画像を作り出すディスプレイ;
(c)安全もしくはブランド保護デバイス;
(d)装飾的光学デバイス;
(e)輝度強化フィルム;
(f)光学センサー;
(e)光ベースの電気通信デバイス
のための、位相差フィルム及び/又は補償フィルム及び/又は反射型偏光フィルム及び/又は吸収型偏光フィルム及び/又は異方性拡散フィルムとしての、本発明の非パターン化又はパターン化光学又は電気光学構成要素の使用に関する。
【0099】
更に、好ましくは、本発明はモノマー波形フィルムに関する。
【0100】
更に、好ましくは本発明は、上記に示されたデバイスのスタック(積層)に関する。
【0101】
本発明の更なる実施態様は、光学又は電気光学構成要素を含むデバイス、好ましくは補償及び位相差フィルム(視野角、色ずれ、コントラスト、濃度安定性、輝度)に関し、これは、
安全要素、例えば透過又は反射要素;
波長域選択補償: サブピクセルによって送信されるそれぞれの波長域に最適に適合された補償特性を提供する液晶ディスプレイのRGB、赤、緑及び青サブピクセルに従ってパターン化される、複屈折補償フィルム、
マルチドメイン(例えば、半透過反射型液晶ディスプレイ)補償: 補償されるデバイスの横方向に変化する特性に従ってパターン化された特性を有する複屈折補償フィルム、
マルチビュー液晶ディスプレイの構成要素: 異なる視野角に対して異なる画像を提供するディスプレイの構成要素としての補償又は位相差フィルム、
3次元液晶ディスプレイの構成要素: 3次元画像情報を提供する液晶ディスプレイの構成要素として使用される補償又は位相差フィルム、
収色性リターダ: シンプルな無色リターダとは対照的に、例えば全可視波長スペクトルのようなより幅広い波長域に対して偏光状態を同様に変化させるリターダフィルム、
偏光状態修正/調整フィルム: 光学デバイスの機能を有効にするか又は性能を向上させることを目的として、偏光状態を修正又は調整するために用いられる複屈折フィルム、
光学又は電気光学センサーの構成要素、特に偏光高感度/選択的センサー、
輝度強化フィルムの構成要素、
安全デバイス又は装飾的光学デバイス、
光ベースの電気通信デバイス用の構成要素、特に偏光に基づくデバイス
のためのものである。
【0102】
本発明の更なる実施態様は、異方性アブソーバを含むパターン化G/H−偏光板を含むデバイスに関する。
【0103】
好ましくは異方性アブソーバを含むパターン化G/H−偏光板は、薄膜偏光板、in-cell型偏光板、安全デバイスまたは装飾的光学デバイスである。
【0104】
本発明の更なる実施態様は、パターン化反射型円偏光板を含むデバイスに関する。
【0105】
好ましくは、パターン化反射型円偏光板は、輝度強化フィルム、安全デバイスまたは装飾的光学デバイスである。
【0106】
本発明の更なる実施態様は、パターン化反射型直線偏光板を含むデバイスに関する。
【0107】
好ましくは、パターン化反射型直線偏光板は、輝度強化フィルム、安全デバイスまたは装飾的光学デバイスである。
【0108】
本発明の更なる実施態様は、光学又は電気光学構成要素、好ましくは波面調整デバイスのための補償及び位相差フィルムを含むビームステアリングデバイスに関する。
【0109】
本発明の更なる実施態様は、パターン化MC、モノマー波形フィルムを含むデバイスに関する。
【0110】
好ましくは、パターン化モノマー波形フィルムは、異方的に拡散しているフィルム、異方性反射板、反射防止フィルム,強化複屈折を有するフィルム、安全デバイスまたは装飾的光学デバイスである。
【0111】
本発明のデバイスにおいて特に好ましいのは、例えば、ねじれネマチック(TN)液晶ディスプレイ、ハイブリッド配向ネマチック(HAN)液晶ディスプレイ、電気制御複屈折(ECB)液晶ディスプレイ、超ねじれネマチック(STN)液晶ディスプレイ、光学補償複屈折(OCB)液晶ディスプレイ、パイセル(pi-cell)液晶ディスプレイ、面内切替(IPS)液晶ディスプレイ、フリンジ領域切替(FFS)液晶ディスプレイ、垂直配向(VA)液晶ディスプレイである;上記全てのディスプレイのタイプは、透過型又は反射型又は半透過反射型モードで適用され、それらは、3次元画像又は視野角によって変化する画像を作り出すディスプレイ; ビームステアリングデバイス;光ベースの電気通信デバイス;光学センサー:デバイスのスタック(積層)のために使用することができる。
【0112】
本発明において、広範囲な液晶温度を呈し、基板及び配向面に対して良好な粘着特性を有する、新規な化合物(I)及び組成物が見出された。更にこれらの化合物は、簡単な方法により入手可能である。この容易な入手可能性は、種々の用途に非常に有用である。
【0113】
実施例:
実施例で使用される定義
TAC=トリアセチルセルロース
LPPは、「線状光配向ポリマー」という意味を有する。配向層の製造のための適切なLPP材料は、例えば、特許公報のEP 0 611 786、WO 96/10049 及びEP 0 763 552に記載されており、ケイ皮酸誘導体及びフェルラ酸誘導体を含む。下記実施例において、米国特許第6,107,427号、実施例4に記載されているLPP材料が選択される。この光配向ポリマーは、光反応基としてケイ皮酸塩をベースとしている。光配向材料のポリマー主鎖は、アクリラートタイプである。
CHN=シクロヘキサノン
CP=シクロペンタノン
AD42=Irgacure 369、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(BASFから市販されている)
AD282: Irgacure 907、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン
AD138:リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(Aldrichから市販されている)
AD184:Tego Flow 300、ポリアクリル酸の溶液(EVONIKから)
AD43=BHT、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール(Flukaから市販されている)
PP=ポリプロピレン
K=結晶形
N=ネマティック相
I=等方相
M=液晶相
(S)=単一スメクチックA相
【0114】
調製実施例1:
【0115】
【化19】


1.1) 変法a)による調製(XIII)
1.1.1) スターラー、温度計及び還流下に水を共沸除去するための分離器を備えた化学反応器中の、4−ヒドロキシ安息香酸276.24g、トルヒドロキノン124.12g、p−トルエンスルホン酸一水和物20.00g及びo−キシレン1800mLからなる混合物を、178℃の油浴中で加熱還流した。水の還流と分離は、約137℃の蒸発温度で開始し、合計18時間続けて約35mLの水が分離された。ベージュ色の僅かに粘性の懸濁液が形成された。それを65℃に冷却し、トルエン1250mLを加えた。25℃に更に冷却した後、混合物をこの温度で30分間撹拌し、次に濾過した。結晶質フィルター残留物をトルエンで洗浄して、ベージュ色の固体を得た。橙色の濾液を廃棄した。固体を酢酸エチル1250mLに懸濁し、45℃で1時間撹拌した。懸濁液を6℃に冷却し、濾過し、フィルター残留物を氷冷酢酸エチル約800mLで洗浄し、減圧下、50℃で恒量に乾燥させて、ほとんど無色のジフェノール(XIV)341.60gを得た。HPLC純度は、99面積%であった。
【化20】

【0116】
1.1.2) アクリル酸2−ヒドロキシエチル156.76g、無水グルタル酸154.04g及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール0.40gの混合物を、スターラー及び温度計を備えた化学反応器に入れた。混合物を約30℃に加熱し、均質な溶液が得られるまで撹拌した。加熱を止め、トリエチルアミン4.725mLを加えた。発熱反応が15分間以内に温度を約90℃にした。冷却を行って温度を90℃未満に維持した。発熱が鎮まった後、反応混合物を75℃で2.5時間維持し、周囲温度に冷ました。酸(XV)を、無色の粘性液体として定量的収率で得た。
【化21】

【0117】
1.1.3.) スターラー、温度計及び添加漏斗を備えた化学反応器中の、ジフェノール(XIV)218.60g、酸(XV)322.20g、4.ジメチルアミノピリジン24.40g、2,6−ジ−tertブチル−p−クレゾール(BHT)2.50g及びトルエン1400mLからなる混合物を、+4℃に冷却した。トルエン500mL中のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)289.00gの溶液を、反応温度を+10℃未満に維持しながら、1時間以内に加えた。冷却装置を取り外し、反応混合物を室温(22〜25℃)で一晩(16時間)撹拌した。この懸濁液に、5%重炭酸ナトリウム水溶液1000mLを加え、撹拌を15分間続け、次に混合物を濾過して、沈殿したDCC−尿素を除去した。2相の濾液を分離し、下の水相を廃棄した。トルエンを相を10%塩化ナトリウム溶液1000mLで1回洗浄し、トルエンを部分的に留去して、黄色の溶液約825gを得た。それをトルエン825mLで希釈して、約35%の固体含有量を得た。この溶液をイソプロパノール4720mLにゆっくりと加え、−10℃に冷却して、生成物を結晶化させた。懸濁液を−10℃で1時間撹拌し、濾過し、結晶質生成物を減圧下、25℃で恒量に乾燥させた。無色の結晶質生成物(XIII)の収量は、470gであった。
分析データ:
HPLC純度: 93面積%
融点: 5℃
【0118】
1.2) 変法b)による調製(XIII)
1.2.1 アクリル酸2−ヒドロキシエチル17.4g、無水グルタル酸17.1g及び 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール0.05gの混合物を、スターラー及び温度計を備えた化学反応器に入れた。THF 60mL及びトリエチルアミン22gを混合物に加えた。溶液を50℃に加熱し、2時間撹拌した。溶液を−30℃に冷却し、トリエチルアミン23gとメタンスルホニルクロリド18.9gの混合物を滴下した。1.5時間後、テトラヒドロフラン60mL中のジフェノール(XIV)10.9g及び4−ジメチルアミノピリジン1.5gを混合物に加え、室温(22〜25℃)で一晩(16時間)撹拌した。混合物を、セライト及びシリカゲルを通して濾別した。溶液を酢酸エチル200mLで抽出し、0.5N HCl 100mL及び水100mLで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、過剰量の溶媒を減圧下で除去した。クロマトグラフィーカラム:SiO(溶離剤として、シクロヘキシル/酢酸エチル 6/4)により精製して、僅かに黄色の油状物19gを得た。エタノール30mLを、溶液(生成物19gを、−10℃に冷却した酢酸エチル20mLに可溶化させて得た)にゆっくりと加えることで、生成物を結晶化させた。懸濁液を−10℃で1時間撹拌し、濾過し、結晶質の生成物を、減圧下、25℃で恒量に乾燥させた。無色の結晶質の生成物(XIII)の収量は、13.3gであった。
分析データ:
HPLC純度: 96面積%
融点: 5℃
質量分析+EMS: 806.4M NH
【0119】
実施例1/変法b)の合成に従って、下記表1に列記した化合物を調製した、ただし:
−B1の調製について、アクリル酸2−ヒドロキシエチルをメタクリル酸2−ヒドロキシエチルに代え、そして無水グルタル酸を無水マレイン酸に代えた;
−B2の調製について、無水グルタル酸を無水マレイン酸に代えた;
−B3の調製について、アクリル酸2−ヒドロキシエチルをメタクリル酸2−ヒドロキシエチルに代え、そして無水グルタル酸を無水マレイン酸に代え、そして反応物の塩化メタンスルホニルを塩化チオニルに代えた;
−B4の調製について、アクリル酸2−ヒドロキシエチルをアクリル酸2−ヒドロキシプロピルに代えた;
−B5の調製について、アクリル酸2−ヒドロキシエチルをアクリル酸2−ヒドロキシブチルに代えた;
−B6の調製について、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを4−ヒドロキシブタ−2−エニル−アクリラートに代えた;
−B7の調製について、アクリル酸2−ヒドロキシエチルをアクリル酸2−ヒドロキシペンチルに代えた。
【0120】
【化22】

【0121】
【表1】

【0122】
実施例1/変法b)の合成に従って、下記表2に列記した化合物を調製した、ただし:
−C1の調製について、実施例1.1.1)に従って調製されたジフェノール(XIV)を、Lが水素であるジフェノールに代え、そして出発物質のトルヒドロキノンをヒドロキノンに代えた;
−C2の調製について、実施例1.1.1)に従って調製されたジフェノール(XIV)を、Lがメトキシであるジフェノールに代え、そして出発物質のトルヒドロキノンを2−メトキシ−ヒドロキノンに代えた。
【0123】
【化23】

【0124】
【表2】

【0125】
実施例2:
単一反応性(monoreactive)化合物の合成
実施例1/変法b)の合成に従って、下記表3に列記した化合物を調製した、ただし:
−D3の調製について、ジフェノール(XIV)を、下記:
【化24】


(これは、4−ヒドロキシ安息香酸及び4−ヒドロキシ−4’−シアノ−ビフェニル−から、実施例1.1.1)と類似の方法により調製した)に代えた。
【0126】
【表3】

【0127】
適用/実施例1a: リターダ/4分の1波長板(ハードコーティングされたTAC基板上)
40ミクロンの厚さのハードコーティングTAC箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号(No of turns):6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80%MEK及び20%CHN中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で60秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2)に曝露した。
【0128】
次にサンプルは、溶媒混合物(80%MEKと20%CHN)中の下記:
98.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
1.0%AD42
0.5%AD184
0.1%AD43
の30%配合物でコーティングしたkバー(サイズ1)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、均一(=非パターン化、フィルム全面の等複屈折)な単軸異方性を示した。架橋した高分子フィルムの厚さは1310nmとなった。フィルムは550nmで135nmの光位相差を示した。
【0129】
適用/実施例1b: リターダ/4分の1波長板(ハードコーティングされたTAC基板上)
40ミクロンの厚さのハードコーティングTAC箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80%MEK及び20%CHN中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で60秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2)に曝露した。
【0130】
次にサンプルは、溶媒混合物(80%DXGと20%CHN)中の下記:
95.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
4.0%AD282
0.5%AD184
0.1%AD43
の30%配合物でコーティングしたkバー(サイズ1)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、大気雰囲気下、1.5J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、均一(=非パターン化、フィルム全面の等複屈折)な単軸異方性を示した。架橋したLCPフィルムの厚さは1310nmとなった。フィルムは550nmで135nmの光位相差を示した。
【0131】
適用/実施例2: 2分の1波長板(ハードコーティングされたTAC基板上)
40ミクロンの厚さのハードコーティングTAC箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80%MEK及び20%CHN中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で60秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2)に曝露した。
【0132】
次にサンプルは、溶媒混合物(80%MEKと20%CHN)中の下記:
98.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
1.0%AD42
0.5%AD184
0.1%AD43
の40%溶液でコーティングしたkバー(サイズ2)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、均一な単軸異方性を示した。架橋した高分子フィルムの厚さは2620nmとなった。フィルムは550nmで270nmの位相差を示した。それは2分の1波長板への適用に好適である。他の中間リターダも適している。
【0133】
適用/実施例3: 安全要素(反射型)
20ミクロンの厚さのメタル化PP箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80%MEK及び20%CHN溶液中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で120秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを、まず、マスクを通して直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2;偏光方位角Φ=0°)に、続いてマスク無し(10mJ/cm2、偏光方位角Φ=45°)で曝露した。
【0134】
次にサンプルは、溶媒混合物(80%MEKと20%CHN)中の下記:
98.4%(XIII)(実施例1で合成)
1.0%AD42
0.5%AD184
0.1%AD43
の30%溶液でコーティングしたkバー(サイズ1)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、パターン化単軸異方性を示した。架橋した高分子フィルムの厚さは1310nmとなり、550nmで135nmの位相差を示した。複屈折フィルムの光軸は、最初の曝露でマスクにより覆われていた領域では、0°に配向されており、続いてマスク無しで曝露された領域では、偏光方位角45°に沿って均一に配向されていた。
【0135】
サンプルが偏光板を使用して観察される場合、パターンは、偏光板の配向に依存して、ポジ又はネガ像のいずれかを示し、容易に目で見える。この特徴は、二次レベルの安全要素(second level security elements)のために利用することができる。
【0136】
適用/実施例4: 安全要素(透過する)
40ミクロンの厚さのハードコーティングTAC箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80%MEK及び20%CHN溶液中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で120秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを、まず、マスクを通して直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2;偏光方位角Φ=0°)に、続いてマスク無し(10mJ/cm2、偏光方位角Φ=45°)で曝露した。
【0137】
次にサンプルは、溶媒混合物(80%MEKと20%CHN)中の下記:
98.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
1.0%AD42
0.5%AD184
0.1%AD43
の40%溶液でコーティングしたkバー(サイズ1)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光を用いて架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、パターン化単軸異方性を示した。架橋した複屈折フィルムの厚さは、2610nmとなった。フィルムは550nmで270nmの位相差を示した。複屈折フィルムの光軸は、最初の曝露でマスクによって覆われた領域は、0°に配向されており、続いてマスク無しで曝露された領域では、偏光方位角45°に沿って均一に配向されていた。
【0138】
サンプルが直交偏光板間(透過中)で観察される場合、パターンは、サンプルの配向に依存してポジ又はネガ像のいずれかを示し、容易に目で見える。
【0139】
適用/実施例5: コレステリック円形反射層
40ミクロンの厚さのハードコーティングTAC箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80% MEK及び20% CP溶液中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で120秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2)に曝露した。
【0140】
次にサンプルは、溶媒混合物(80% MEKと20% CHN)中の下記:
98.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
1.0% AD42
0.5% AD184
0.1% AD43
中の2%配合物でコーティングしたkバー(サイズ0)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、均一な一軸異方性を示した。架橋した高分子フィルムの厚さは、50nmとなった。
【0141】
次にサンプルは、MPK中の下記:
94.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
4.0% LUMOGEN S750(BASFより市販されている)
1.0% AD42
0.5% AD138
0.1% AD43
の40%溶液でコーティングしたkバー(サイズ2)であった。湿潤フィルムをアニールし、50℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、反射域の中心を620nmに有するコレステリック配向を示し、選択的反射域幅は、約40nmであった。層は、可視欠陥なしで均一なように見えた。架橋したコレステリックフィルムの厚さは、2500nmとなった。それは、選択的反射の領域において、円形反射フィルターへの利用に非常に好適である。
【0142】
適用/実施例6a: コレステリック円形偏光板
40ミクロンの厚さのハードコーティングTAC箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80% MEK及び20% CHN中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で120秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2)に曝露した。
【0143】
次にサンプルは、溶媒混合物(80%MEKと20%CHN)中の下記:
98.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
1.0% AD42
0.5% AD184
0.1% AD43
の30%溶液でコーティングしたkバー(サイズ1)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、均一な一軸異方性を示した。架橋した高分子フィルムの厚さは1310nmとなり、そして550nmで135nmの位相差を示した。
【0144】
次にサンプルは、MPK中の下記:
94.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
4.0% Lumogen S750
1.0% AD42
0.5% AD138
0.1% AD43
の40%溶液でコーティングしたkバー(サイズ2)であった。湿潤フィルムをアニールし、57℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、反射域の中心を615nmに有するコレステリック配向を示し、単一コレステリック層の選択的反射域幅は、約40nmであった。層は、可視欠陥なしで均一なように見えた。架橋したコレステリックフィルムの厚さは、2500nmとなった。
【0145】
4分の1波長板とコレステリックフィルムの当該組み合わせは、選択的反射の領域における円形偏光板適用に非常に好適である。
【0146】
適用/実施例6b: コレステリック円形偏光板
40ミクロンの厚さのハードコーティングTAC箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80% MEK及び20% CHN中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で120秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2)に曝露した。
【0147】
次にサンプルは、溶媒混合物(80%DXGと20%CHN)中の下記:
95.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
4.0% AD282
0.5% AD184
0.1% AD43
の30%配合物でコーティングしたkバー(サイズ1)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、大気雰囲気下、1.5J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、均一(=非パターン化、フィルム全面の等複屈折)な単軸異方性を示した。架橋したLCPフィルムの厚さは1310nmとなった。フィルムは550nmで135nmの光位相差を示した。
【0148】
次にサンプルは、80% MEKと20% DXG2中の下記:
94.7%化合物(XIII)(実施例1で合成)
4.0% Lumogen S750
4.0% AD282
0.2% AD138
0.1% AD43
の40%溶液でコーティングしたkバー(サイズ2)であった。湿潤フィルムをアニールし、52℃で120秒間乾燥させ、大気雰囲気下、1.5J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、反射域の中心を615nmに有するコレステリック配向を示し、単一コレステリック層の選択的反射域幅は、約40nmであった。層は、可視欠陥なしで均一なように見えた。架橋したコレステリックフィルムの厚さは、2500nmとなった。
【0149】
4分の1波長板とコレステリックフィルムの当該組み合わせは、選択的反射の領域における円形偏光板適用に非常に好適である。
【0150】
適用/実施例7: PET基板上の安全要素
20ミクロンの厚さのPET箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)して、次にKバー(サイズ0)をLPP溶液(80%MEK及び20%CHN溶液中の固形分2%)でコーティングした。湿潤フィルムを80℃で120秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを、まず、マスクを通して直線偏光平行UVB光(25mJ/cm2;PET箔の光軸の配向に対して偏光方位角Φ=45°)に、続いてマスク無し(10mJ/cm2、偏光方位角Φ=−45°)で曝露した。
【0151】
次にサンプルは、溶媒混合物(80%MEKと20%CHN)中の下記:
98.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
1.0% AD42
0.5% AD184
0.1% AD43
の30%溶液でコーティングしたkバー(サイズ1)であった。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで、パターン化単軸異方性を示した。架橋した複屈折フィルムの厚さは、1310nmとなり、そして550nmで135nmの位相差を示した。複屈折フィルムの光軸は、方位角45°に沿って平行配向(最初の曝露でマスクによって覆われた領域)し、そして−45°(PET薄膜の光軸に対して)に平行配向した。
【0152】
次にサンプルは、MPK中の下記:
94.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
4.0% Lumogen S750
1.0% AD42
0.5% AD138
0.1% AD43
の40%溶液でコーティングしたkバー(サイズ2)であった。湿潤フィルムをアニールし、57℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、反射域の中心を615nmに有するコレステリック配向を示した。層は、可視欠陥なしで均一なように見えた。架橋したコレステリックフィルムの厚さは、2500nmとなった。
【0153】
最後に、市販(Sun Chemicals 製のRayoflex)されている、MEKで希釈した黒色のラッカーを使用して、黒色フィルムを塗布した。コレステリック層への粘着性は優れていた。
【0154】
偏光板を有するPET箔を通して観察すると、当該サンプル(パターン化4分の1波長板とコレステリックフィルムを含む)は、偏光板の配向に依存してそれぞれ遮蔽されたポジ及びネガ像を示す、二次的安全要素として使用することができる。
【0155】
適用/実施例8
20ミクロンの厚さのPET箔をコロナ処理(パラメーター:電力=0.3kW;回転速度120m/分;回転番号:6)した。
【0156】
次にサンプルは、MPK中の下記:
94.4%化合物(XIII)(実施例1で合成)
4.0% Lumogen S750
1.0% AD42
0.5% AD138
0.1% AD43
中の40%溶液でコーティングしたkバー(サイズ2)であった。湿潤フィルムをアニールし、57℃で120秒間乾燥させ、窒素下、1J/cm2の非偏光UVA光で架橋した。この処理の後、フィルムは、反射域の中心を620nmに有するコレステリック配向を示し、単一コレステリック層の選択的反射域幅は、約40nmであった。層は、可視欠陥なしで均一なように見えた。架橋したコレステリックフィルムの厚さは、2500nmとなった。加えて、該フィルムは、PET箔に対してきわめて良好な粘着性を示した。それは、選択的反射の領域において、円形反射フィルターの適用に非常に好適である。
【0157】
適用/実施例9 − ガラス基板上のリターダ
ガラス基板にLPP溶液(98%シクロペンタノン中の固形分2%)をスピン・コ−ティングした。湿潤フィルムを180℃で10秒間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(120mJ/cm2)に曝露した。
【0158】
次にサンプルを、アニソール中の下記:
67%化合物B2(調製例1.2.1に記載されているとおり)
30%LCP(1)、2,5−ビス−[4−6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ]安息香酸ペンチルエステル、ROLIC Technologies, Switzerlandから市販されている、又は米国特許第5,593,617号のスキーム1、2、3、4と類似の方法で調製する、
1.0% AD42
1.0% AD18
1.0% AD43
の20%配合物でスピン・コ−ティングした。湿潤フィルムをアニールし、180℃で10秒間乾燥させ、窒素下、水銀(Hg)ランプで120mJ/cm2にて架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで均一な単軸配向を示した。架橋したフィルムの厚さは、802nmとなった。フィルムは550nmで105nmの位相差を示した。
【0159】
適用/実施例10 − ガラス基板上のリターダ
実施例10は、下記の条件以外は、実施例9と同一である:
−化合物B2を化合物B7(調製例1.2.1に記載されているとおり)に代えた。
【0160】
架橋したフィルムの厚さは790nmとなった。フィルムは550nmで89nmの位相差を示した。
【0161】
適用/実施例11 − ガラス基板上のリターダ
ガラス基板にLPP溶液(98%シクロペンタノン中の固形分2%)をスピン・コ−ティングした。湿潤フィルムを180℃で4分間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(200mJ/cm2)に曝露した。
【0162】
次にサンプルを、アニソール中の下記:
87.9%化合物(XIII)(実施例1で合成)
10%C2(実施例1で合成、表2)
1.0% Irgacure 369
1.0% Tinuvin 123
0.1% BHT
の20%配合物でスピン・コ−ティングした。湿潤フィルムをアニールし、60℃で120秒間乾燥させ、窒素下、水銀(Hg)ランプで200mJ/cm2にて架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで均一な単軸配向を示した。架橋したフィルムの厚さは、710nmとなった。フィルムは550nmで84nmの位相差を示した。
【0163】
適用/実施例12 − ガラス基板上のリターダ
ガラス基板にLPP溶液(98%シクロペンタノン中の固形分2%)をスピン・コ−ティングした。湿潤フィルムを180℃で4分間乾燥させた;乾燥フィルムの厚さは、約60nmであった。次に乾燥フィルムを直線偏光平行UVB光(200mJ/cm2)に曝露した。
【0164】
次にサンプルを、アニソール中の下記:
87.9%化合物(XIII)(実施例1で合成)
10%B6(実施例1で合成、表1)
1.0% Irgacure 369
1.0% Tinuvin 123
0.1% BHT
の20%配合物でスピン・コ−ティングした。湿潤フィルムをアニールし、73℃で120秒間乾燥させ、窒素下、水銀(Hg)ランプで200mJ/cm2にて架橋した。この処理の後、フィルムは、可視欠陥なしで均一な単軸配向を示した。架橋したフィルムの厚さは、760nmとなった。フィルムは550nmで97nmの位相差を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶相を有する、下記(I):
【化25】


[式中、
及びRは、互いに独立に、式(Ia):
【化26】


(ここで、破線「−−−−」は、化合物(I)への結合を表わす)で示される基であり、そして
−(C−X)n−C−(X−C)n−は、二価のコアであり、
式中:
及びCは、各場合において独立して、置換又は非置換の非芳香族、芳香族の炭素環もしくは複素環基であり、そして
は、非置換であるか、又は1〜20個のC−原子の非分岐炭化水素基で置換されている、非芳香族、芳香族の炭素環もしくは複素環基であり、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いは、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−のようなヘテロ原子で置き換えられているか、又は−N=N−、−CO−C=C−、−CH(OH)−、−CO−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される1個の置換基で置き換えられており(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
及びXは、各々独立に、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CO−C=C−、−CH(OH)−、−CO−、−CHO−、−OCH−、−CH(CO)−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−OCF−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−C≡C−又は単結合を表わし;
及びnは、各々独立に、0、1、2、3、4の値を有する整数であり、
SPは、非芳香族もしくは芳香族の炭素環もしくは複素環基、又はCH=CH−基、C≡C−基、又は分岐もしくは非分岐C−C24−アルキレン基を表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いは、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、ヘテロ原子で、又は−N=N−、−CO−C=C−、CO−、−CH(CO)−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、OCH−、−CHO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置き換えられており;(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
SPは、置換又は非置換スペーサーを表わし;
Pは、重合性基である]で示される重合性液晶化合物。
【請求項2】
及びCが、下記:
【化27】


[式中、
Lは、水素、ハロゲン、C−C24−アルキル、C−C24−アルコキシ、C−C24−アルコキシカルボニル、C−C24−アルキルカルボニルオキシ、シアノ、C−C24−アルキルカルボニル又は−NOを表わし、
は、0、1、2、3、又は4であり、
は、0、1、2、又は3であり、そして
は、0、1、又は2である]より選択される、請求項1記載の化合物(I)。
【請求項3】
が、下記:
【化28】


で示されるアキラルな基C’、及び下記:
【化29】


で示されるキラルな基C
[式中、
Lは、水素、1〜6個のC−原子の非分岐炭化水素基を表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−は、置き換えられていないか、或いは、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−であるヘテロ原子で置き換えられているか、又は−N=N−、−CO−C=C−、−CH(OH)−、−CO−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される置換基で置き換えられており(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない);
は、0、1、2、3、又は4であり、
は、0、1、2、又は3であり
は、0、1、又は2であり、そして
は、0又は1である]より選択される、請求項1記載の化合物(I)。
【請求項4】
Pが:
CH=CZ−COO−、
【化30】


[式中、kは、1〜20の整数である];或いは
Pが:HO−CZ−、HS−CZ、HZN−、CH=CZ−CO−NH−、CH=CZ−(O)k1−[式中、k1は、0又は1である];CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−又はZSi−
[式中、
は、H、Cl、CN、フェニル又はC−Cアルキルであり、
及びZは、各々独立に、H又はC−Cアルキルであり、
、Z及びZは、各々独立に、Cl、1〜6個のC−原子を有するオキサアルキル又はオキサカルボニルアルキルである]である、請求項1記載の化合物(I)。
【請求項5】
スペーサーSPが、非芳香族もしくは芳香族の炭素環もしくは複素環基、又は分岐もしくは非分岐C−C24−アルキレン基を表わし、ここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、置き換えられていないか、或いはここで、1個以上のC−原子、−CH−もしくは−CH−基は、ヘテロ原子で、又は−N=N−、−CO−C=C−、CO−、−CH(CO)−、−SO−、−CH(SO)−、−SO−、−CH(SO)−、−COO−、−O(CO)−、−O(CO)−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SOO−、−OSO−、OCH−、−CHO−、−CH=CH−及び−C≡C−からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置き換えられている;(但し、酸素原子は、互いに直接には結合していない)、請求項1記載の化合物(I)。
【請求項6】
式(II):
【化31】


[式中、C、R、n及びnは、請求項1に記載されているのと同じ意味を有し、そしてL及びrは、請求項2に記載されているのと同じ意味を有する]で示される化合物により表わされる、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
式(IV):
【化32】


[式中、SP及びSPは、請求項1に記載されているのと同じ意味を有し、そしてZは、水素又はメチルであり、そしてLは、請求項3に記載されているのと同じ意味を有する]で示される化合物により表わされる、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
粘着力>4である、請求項1記載の化合物(I)。
【請求項9】
エステル基含有化合物、好ましくは化合物(I)の調製方法であって、
a)式(VIII):
P−Sp−OH (VIII)
で示される化合物を、式(IX):
【化33】


で示される化合物と、
b)式(XI):
HO−(C−X)n−C−(X−C)n−OH (XI);
で示されるジヒドロキシ化合物と、
又は、式(XII):
HO−(C−X)n−C−(X−C)n−Y (XII)
[式中、P、Sp、Sp、C、C、C、n、nは、請求項1に示されたのと同じ意味を有し、Zは、水素又はメチルであり、そしてYは、COOH、COOC−Cアルキル、ハロゲン又はCNを表わす]で示される化合物と接触させることを含む、方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法により得られる生成物。
【請求項11】
少なくとも請求項1記載の式(I)の化合物又は請求項10に従って調製した生成物を含む、液晶組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物(I)、請求項10に従って調製した生成物、又は請求項11に記載の液晶組成物を重合することを含む、非パターン化又はパターン化複屈折層の調製方法。
【請求項13】
重合した請求項1に記載の化合物(I)、請求項10に従って調製した生成物、又は請求項11に記載の液晶組成物を含む、パターン化又はパターン化複屈折層。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物(I)、請求項10に従って調製した生成物、又は請求項11に記載の液晶組成物を含む、光学又は電気光学構成要素の製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物(I)、請求項10に従って調製した生成物、又は請求項11に記載の液晶組成物を含む、光学又は電気光学構成要素。

【公表番号】特表2012−532939(P2012−532939A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518935(P2012−518935)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059528
【国際公開番号】WO2011/003846
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(596098438)ロリク アーゲー (22)
【氏名又は名称原語表記】ROLIC AG
【Fターム(参考)】