説明

光学パネルおよび表示装置

【課題】意図しない像が観察されることを効果的に抑制する。
【解決手段】光学パネル20は、一方の側から入射する元像91からの光の進行方向を変えて他方の側へ透過し、他方の側へ像92を表示する。光学パネル20は、互いに平行な反射面36,46を各々が有した複数の光透過部35,45をそれぞれ含む第1光学シート30および第2光学シート40を有する。第1および第2光学シートは、光透過部の配列方向が交差するように配置されている。配列方向に沿った光透過部の幅は、他方の側の端部において一方の側の端部よりも狭くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一方の側から入射する元像からの光の進行方向を変えて他方の側へ透過し、他方の側へ像を表示するための光学パネル、及び、この光学パネルを備える表示装置に関する。とりわけ、本発明は、意図しない像が観察されることを効果的に抑制することができる光学パネルおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、一方の側から入射する元像からの光の進行方向を変えて他方の側へ透過し、他方の側へ像を表示する装置が知られている。特許文献1に開示された光学結像装置は、並列配列された帯状の反射部を多数有した光制御パネルを二つ有している。各制御パネルにおいて、多数の光反射部は、反射面がパネルの法線方向と平行となるよう、配置されている。二枚の光制御パネルは、光反射部の配列方向が直交するようにして、重ねられている。特許文献1の光学結像装置によれば、各光制御パネルの光反射部にて立体モデルからの光を反射することにより、光制御パネルのパネル面を中心として面対称な位置に、立体モデルの像を結像することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−175297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された装置を用いた場合、すなわち、反射面がマトリクス状に配列された装置を用いた場合、意図しない像が表示されるといった不具合が生じ得る。とりわけ、意図しない像が、本来表示されるべき像が観察され得る方向から観察される場合、すなわち、本来表示されるべき像と同時に観察される場合には、本来表示されるべき像の視認性を著しく劣化させてしまうことになる。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、一方の側から入射する元像からの光の進行方向を変えて他方の側へ透過し、他方の側へ像を表示するための光学パネルであって、意図しない像が観察されることを効果的に抑制することが光学パネルを提供することを目的とする。また、本発明は、一方の側から入射する元像からの光の進行方向を変えて他方の側へ透過し、他方の側へ像を表示するための表示装置であって、意図しない像が観察されることを効果的に抑制することが表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による光学パネルは、
一方の側から入射する元像からの光の進行方向を変えて他方の側へ透過し、他方の側へ像を表示するための光学パネルにおいて、
第1配列方向に配列された複数の第1光透過部であって、前記一方の側から入射する元像からの光を反射する互いに平行な第1反射面を各々が有した複数の第1光透過部を、含む第1光学シートと、
前記第1光学シートの他方の側へ配置された第2光学シートであって、前記第1配列方向と交差する第2配列方向に配列された複数の第2光透過部であって、前記第1光学シートを透過した元像からの光を反射する互いに平行な第2反射面を各々が有した複数の第2光透過部を、含む第2光学シートと、を備え、
前記第1配列方向に沿った前記第1光透過部の幅は、前記他方の側の端部において前記一方の側の端部よりも狭くなっており、前記第2配列方向に沿った前記第2光透過部の幅は、前記他方の側の端部において前記一方の側の端部よりも狭くなっている。
【0007】
本発明による光学パネルにおいて、前記第1配列方向に沿った前記第1光透過部の幅は、前記一方の側から前記他方の側へ向けて狭くなるようにのみ変化し、前記第2配列方向に沿った前記第2光透過部の幅は、前記一方の側から前記他方の側へ向けて狭くなるようにのみ変化するようにしてもよい。
【0008】
本発明による光学パネルにおいて、前記第1配列方向に沿った前記第1光透過部の幅は、前記一方の側から前記他方の側へ向けて狭くなるように変化し続け、前記第2配列方向に沿った前記第2光透過部の幅は、前記一方の側から前記他方の側へ向けて狭くなるように変化し続けるようにしてもよい。
【0009】
本発明による光学パネルにおいて、前記第1光透過部は、前記第1光学シートへの法線方向および前記第1配列方向の両方に平行な前記第1光学シートの断面において、台形形状となっており、前記第2光透過部は、前記第2光学シートへの法線方向および前記第2配列方向の両方に平行な前記第2光学シートの断面において、台形形状となっていてもよい。
【0010】
本発明による光学パネルにおいて、前記第1光透過部がなす前記台形形状の前記第1反射面に対応する側辺は、当該台形形状の上底および下底と直交し、前記第2光透過部がなす前記台形形状の前記第2反射面に対応する側辺は、当該台形形状の上底および下底と直交するようにしてもよい。
【0011】
本発明による光学パネルにおいて、前記第1光学シートは、隣り合う二つの前記第1光透過部の間に、前記第1光透過部よりも低屈折率の樹脂を用いて形成された、第1低屈折率部を、さらに有し、前記第2光学シートは、隣り合う二つの前記第2光透過部の間に、前記第2光透過部よりも低屈折率の樹脂を用いて形成された、第2低屈折率部を、さらに有するようにしてもよい。
【0012】
本発明による光学パネルにおいて、前記第1光学シートへの法線方向および前記第1配列方向の両方に平行な前記第1光学シートの断面において、前記第1光透過部の前記他方の側の端部における前記第1配列方向に沿った幅をW1bとし、前記第1光学シートへの法線方向に沿った前記第1光透過部の高さをH1とし、前記第1光透過部をなす材料の屈折率をn1aとし、前記第1低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn1bとすると、次の式(1)が満たされ、
n1a × sin ( arctan( H1 / W1b ) ≧ n1b ---式(1)
前記第2光学シートへの法線方向および前記第2配列方向の両方に平行な前記第2光学シートの断面において、前記第2光透過部の前記他方の側の端部における前記第2配列方向に沿った幅をW2bとし、前記第2光学シートへの法線方向に沿った前記第2光透過部の高さをH2とし、前記第2光透過部をなす材料の屈折率をn2aとし、前記第2低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn2bとすると、次の式(2)が満たされるようにしてもよい。
n2a × sin ( arctan( H2 / W2b ) ≧ n2b ---式(2)
また、本発明による光学パネルにおいて、式(1)および式(2)が満たされる場合に、さらに、次の式(1a)および式(2a)が満たされるようにしてもよい。
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) < n1b ---式(1a)
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) < n2b ---式(2a)
なお、式(1a)および式(2a)においては、前記第1光学シートへの法線方向および前記第1配列方向の両方に平行な前記第1光学シートの断面において、前記第1光透過部の前記一方の側の端部における前記第1配列方向に沿った幅をW1aとし、前記第1光学シートへの法線方向に沿った前記第1光透過部の高さをH1とし、前記第1光透過部をなす材料の屈折率をn1aとし、前記第1低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn1bとするととともに、前記第2光学シートへの法線方向および前記第2配列方向の両方に平行な前記第2光学シートの断面において、前記第2光透過部の前記一方の側の端部における前記第2配列方向に沿った幅をW2aとし、前記第2光学シートへの法線方向に沿った前記第2光透過部の高さをH2とし、前記第2光透過部をなす材料の屈折率をn2aとし、前記第2低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn2bとしている。
【0013】
本発明による光学パネルにおいて、前記第1光学シートへの法線方向および前記第1配列方向の両方に平行な前記第1光学シートの断面において、前記第1光透過部の前記一方の側の端部における前記第1配列方向に沿った幅をW1aとし、前記第1光学シートへの法線方向に沿った前記第1光透過部の高さをH1とし、前記第1光透過部をなす材料の屈折率をn1aとし、前記第1低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn1bとすると、次の式(3)が満たされ、
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) ≧ n1b ---式(3)
前記第2光学シートへの法線方向および前記第2配列方向の両方に平行な前記第2光学シートの断面において、前記第2光透過部の前記一方の側の端部における前記第2配列方向に沿った幅をW2aとし、前記第2光学シートへの法線方向に沿った前記第2光透過部の高さをH2とし、前記第2光透過部をなす材料の屈折率をn2aとし、前記第2低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn2bとすると、次の式(4)が満たされるようにしてもよい。
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) ≧ n2b ---式(4)
【0014】
本発明による光学パネルにおいて、前記第1光学シートへの法線方向および前記第1配列方向の両方に平行な前記第1光学シートの断面において、前記第1光透過部の前記一方の側の端部における前記第1配列方向に沿った幅をW1aとし、前記第1光学シートへの法線方向に沿った前記第1光透過部の高さをH1とし、前記第1光透過部をなす材料の屈折率をn1aとし、前記第1低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn1bとすると、次の式(5)が満たされ、
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) = n1b ---式(5)
前記第2光学シートへの法線方向および前記第2配列方向の両方に平行な前記第2光学シートの断面において、前記第2光透過部の前記一方の側の端部における前記第2配列方向に沿った幅をW2aとし、前記第2光学シートへの法線方向に沿った前記第2光透過部の高さをH2とし、前記第2光透過部をなす材料の屈折率をn2aとし、前記第2低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn2bとすると、次の式(6)が満たされるようにしてもよい。
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) = n2b ---式(6)
【0015】
本発明による光学パネルにおいて、前記低屈折率部の前記樹脂中に、光吸収性を有した粒子が分散されていてもよい。
【0016】
本発明による表示装置は、上述した本発明による光学パネルのいずれかを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、意図しない像が観察されることを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、表示装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の表示装置を示す縦断面図である。
【図3】図3は、図1の表示装置に組み込まれた光学パネルを示す部分斜視図である。
【図4】図4は、図3の光学パネルに組み込まれた光学シートを、その法線方向および光透過部の配列方向の両方に沿った断面において、示す図である。
【図5】図5は、図4と同様の断面において光学シートを示す断面図であって、光学シートの光透過部を一回反射して透過し、像を形成する光の光路を説明するための図である。
【図6】図6は、図4と同様の断面において光学シートを示す断面図であって、光学シートの光透過部を反射せず(素抜けして)透過し、意図しない像(ゴースト)を形成する光の光路を説明するための図である。
【図7】図7は、図4と同様の断面において光学シートを示す断面図であって、光学シートの光透過部を二回反射して透過し、意図しない像(ゴースト)を形成する光の光路を説明するための図である。
【図8】図8は、図4と同様の断面内の各方向からどのような像が観察され得るかを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0020】
図1〜図8は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1および図2は、表示装置を示す斜視図および縦断面図である。図3は、表示装置に組み込まれた光学パネルを示す部分斜視図である。図4〜図8は、光学パネルに組み込まれた光学シートを示す断面図である。
【0021】
図1および図2に示すように、表示装置10は、一方の側から入射する元像(元となる像)91からの光の進行方向を変えて他方の側へ透過させる光学パネル20と、光学パネル20を支持するケーシング15と、を有している。図示された表示装置10において、円錐形状の立体モデルが元像91としてケーシング15内に配置されている。したがって、図示する例においては、ケーシング15の内側が、光学パネル20の一方の側、すなわち入光側であって、ケーシングの外側が、光学パネル20の他方の側である。光学パネル20は、そのパネル面に平行な異なる二方向da,dbに元像91からの光を反射することにより、光学パネル20の他方の側、すなわち出光側に実像である元像と同一の虚像92を結像する。
【0022】
ケーシング15は、箱状に形成されており、上面15aに光学パネル20を支持している。ケーシング15の上面15aは、例えば45°だけ、底面15bに対して傾斜している。元像91となる物体(円錐)は、ケーシング15内において、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに対面しない位置に配置されている。光学パネル20によって結像される虚像92は、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに対面しない位置に観察されるようになる。とりわけ、図示された例では以下に説明する光学パネル20の構成に応じて、虚像92は、光学パネル20のパネル面を中心面として、元像91と面対称な位置に面対称となる向きにて観察されるようになる。
【0023】
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「光学シート」には、「光学フィルム」や「光学板」等と呼ばれる部材も含まれる。
【0024】
また、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面、パネル面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。
【0025】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「対称」、「台形」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
【0026】
以下、光学パネル20の構成および作用効果についてさらに詳述していく。図3に示すように光学パネル20は、第1光学シート30と、第1光学シート30の他方の側、すなわち出光側に配置された第2光学シート40と、を有している。第1光学シート30は、シート状の第1基部31と、第1基部31上に配列された第1光透過部35と、を有しており、第2光学シート40は、シート状の第2基部41と、第2基部41上に配列された第2光透過部45と、を有している。以下において光学シート30,40についてさらに詳述するが、以下の説明において、「第1」および「第2」との用語を用いることなく30番台と40番台の符号を列記して説明する場合、例えば「光学シート30,40」、「基部31,41」、「光透過部35,45」との用語を用いて説明する場合には、第1光学シート30および第2光学シート40の双方に当てはまる説明である。とりわけ図示された本実施の形態では、第1光学シート30および第2光学シート40が互いに同一に構成されている。そして、図4〜図8は、同一に構成された第1光学シート30および第2光学シート40の両方を示す図となっている。
【0027】
基部31,41は、光透過部35,45を支持する層であり、適度な強度および適度な透明性を有するように、適宜構成される。一例として、基部31,41の厚さを20μm〜200μmとすることができ、このような基部31,41として、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、適度な透明性と、紫外線照射処理や加熱処理等に対する耐久性と、を有している点で、基部31,41としての適用に好適である。
【0028】
図3に示すように、光透過部35,45は、基部31,41の他方の側の面(出光側面)上に、当該面と平行な配列方向da,dbに沿って、配列されている。光透過部35,45は、その配列方向da,dbと交差する方向であって基部31,41の他方の側の面と平行な方向に、線状に延びている。とりわけ図示する例においては、光透過部35,45は、配列方向da,dbと直交する方向に直線状に延びている。光透過部35,45は、基部31,41上に隙間無く配列されていてもよいし、図4に示すように、隙間をあけて基部31,41上に配列されていてもよい。
【0029】
第1光学シート30の各第1光透過部35は、一方の側から入射する元像91からの光を反射する第1反射面36を有しており、第2光学シート40の各第2光透過部45は、一方の側から入射する元像91からの光を反射する第2反射面46を有している。第1光学シート30に含まれる多数の第1光透過部35の間において、第1反射面36は互いに平行となっている。また、第2光学シート40に含まれる多数の第2光透過部45の間において、第2反射面46は互いに平行となっている。
【0030】
図3によく示されているように、第1光学シート30および第2光学シートは、第1光透過部35の配列方向daと第2光透過部45の配列方向dbとが交差するようにして、互いに重ねて配置されている。とりわけ、本実施の形態では、第1光透過部35の配列方向daと第2光透過部45の配列方向dbとが直交するようにして、第1光学シート30および第2光学シートが互いに対して位置決めされている。
【0031】
ここで説明する形態において、第1光学シート30は、隣り合う二つの第1光透過部35の間に配置された第1低屈折率部38を有し、第2光学シート40は、隣り合う二つの第2光透過部45の間に配置された第2低屈折率部48を有している。図3および図4に示すように、低屈折率部38,48は、基部31,41上に、光透過部38,48と隣接して、配列方向da,dbに光透過部38,48と交互に配列されている。また、低屈折率部38,48は、その配列方向da,dbと交差する方向であって基部31,41の他方の側の面と平行な方向に、線状に延びている。すなわち、低屈折率部38,48は、光透過部35,45と同様にストライプ配列にて、基部40上に配列されている。
【0032】
第1低屈折率部38は、第1光透過部35よりも低屈折率の樹脂を用いて形成され、第1低屈折率部38と第1光透過部35との界面での反射、とりわけ屈折率差に起因した全反射を引き起こすことを意図されている。同様に、第2低屈折率部48は、第2光透過部45よりも低屈折率の樹脂を用いて形成され、第2低屈折率部48と第2光透過部45との界面での反射、とりわけ屈折率差に起因した全反射を引き起こすことを意図されている。
【0033】
図4に示すように、本実施の形態では、第1光学シート30の第1低屈折率部38および第2光学シート40の第2低屈折率部48は、ともに、光透過部35,45よりも低屈折率の樹脂からなる主部39a,49aと、主部39a,49a中に分散され光吸収粒子39b,49bと、を含んでいる。光吸収粒子39b,49bは、可視光を吸収する機能を有した粒状物であり、これにより、光学シート30,40において、光透過部35,45と低屈折率部38,48との界面で反射せずに低屈折率部38,48内に入射した光を光吸収粒子39b,49bで吸収することができる。ここで説明した光学シート30,40では、このような光吸収粒子39b,49bの可視光吸収機能によって、表示される像のコントラストを向上させることができる。
【0034】
次に、主として図4〜図7を参照しながら、光透過部35,45および低屈折率部38,48の断面形状について、説明する。図4は、光学シート30,40の光透過部35,45の配列方向da,dbおよび光学シート30,40の法線方向ndに沿った断面(光学シートの主切断面とも呼ぶ)において、光学シート30,40を示す図である。
【0035】
図4〜図7に示すように、第1光学シートの主切断面において、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の幅W1は、他方の側(出光側)の端部において一方の側(入光側)の端部よりも狭くなっており、第2光学シートの主切断面において、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の幅W2は、他方の側の端部において一方の側の端部よりも狭くなっている。すなわち、出光側端部における第1光透過部35の幅W1bは、入光側端部における第1光透過部35の幅W1aよりも狭くなっており、出光側端部における第2光透過部45の幅W2bは、入光側端部における第2光透過部45の幅W2aよりも狭くなっている。このような構成によれば、後述するように、意図しない像がはっきりと現れない方向から、言い換えると、後述する光透過部35,45を反射することなく透過する光に起因したゴーストが観察されない方向から、意図した像92を観察することが可能となる。
【0036】
とりわけ、図4〜図7に示した例では、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の幅W1は、一方の側(入光側)から他方の側(出光側)へ向けて狭くなるようにのみ変化し、広くなるように変化することはない。同様に、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の幅W2は、一方の側(入光側)から他方の側(出光側)へ向けて狭くなるようにのみ変化し、広くなるように変化することはない。また、図4〜図7に示した例では、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の幅W1は、一方の側(入光側)から他方の側(出光側)へ向けて狭くなるように変化し続け、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の幅W2は、一方の側(入光側)から他方の側(出光側)へ向けて狭くなるように変化し続けている。
【0037】
さらに、図4〜図7に示した例では、第1光透過部35の一方の側から他方の側へ伸びる面は、第1光学シートの主切断面において、直線状に形成されており、第2光透過部45の一方の側から他方の側へ伸びる面は、第2光学シートの主切断面において、直線状に形成されている。さらに、図4〜図7に示すように、第1光透過部35は、第1光学シートの主切断面において、台形形状となっており、第2光透過部45は、第2光学シートの主切断面において、台形形状となっている。そして、本実施の形態では、第1光学シートの主切断面において、第1光透過部35の一方の側から他方の側へ伸びる二つの面36,37のうちの一方によって、元像91からの光を反射して像92を他方の側へ結像する第1反射面36が構成されている。同様に、第2光学シートの主切断面において、第2光透過部45の一方の側から他方の側へ伸びる二つの面46,47のうちの一方によって、元像91からの光を反射して像92を他方の側へ結像する第2反射面46が構成されている。
【0038】
図4〜図7に示すように、第1光透過部35がなす台形形状の第1反射面36に対応する一つの側辺は、当該台形形状の上底および下底と直交しており、第2光透過部45がなす台形形状の第2反射面46に対応する一つの側辺は、当該台形形状の上底および下底と直交している。すなわち、第1光透過部35の第1反射面36は、第1光学シート30の法線方向に延びており、第2光透過部45の第2反射面46は、第2光学シート40の法線方向に延びている。なお、光透過部35,45の断面形状をなす台形形状は、上底が光学シートの他方の側の面30b,40bをなすように配置され、下底が一方の側に配置されている。
【0039】
加えて、本実施の形態による光学パネル20においては、意図しない像が観察されることを効果的に抑制しながら、意図した像92が観察され得るようにするため、次のように構成されている。まず、第1光学シートの主切断面において、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の他方の側の端部(出光側端部)における幅W1bと、第1光学シートへの法線方向ndに沿った第1光透過部35の高さH1と、第1光透過部35をなす材料の屈折率n1aと、第1低屈折率部38の主部39aをなす樹脂の屈折率n1bと、が次の式(a)を満たすようになっている。同様に、第2光学シートの主切断面において、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の他方の側の端部(出光側端部)における幅W2bと、第2光学シートへの法線方向ndに沿った第2光透過部45の高さH2と、第2光透過部45をなす材料の屈折率n2aと、第2低屈折率部48の主部49aをなす樹脂の屈折率n2bと、が次の式(b)を満たすようになっている。式(a)または式(b)が満たされる場合、意図しない像が実質的に現れていない状態で、言い換えると後述する光透過部35,45で反射しない透過光に起因したゴーストおよび光透過部35,45で二回反射した透過光に起因したゴーストのいずれもが観察されない方向から、意図した像92を明るく観察することが可能となる。
n1a × sin ( arctan( H1 / W1b ) ≧ n1b ---式(a)
n2a × sin ( arctan( H2 / W2b ) ≧ n2b ---式(b)
【0040】
さらに、第1光学シートの主切断面において、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の一方の側の端部(出光側端部)における幅W1aと、第1光学シートへの法線方向ndに沿った第1光透過部35の高さH1と、第1光透過部35をなす材料の屈折率n1aと、第1低屈折率部38の主部39aをなす樹脂の屈折率n1bと、が次の式(c)を満たすようになっている。同様に、第2光学シートの主切断面において、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の一方の側の端部(出光側端部)における幅W2aと、第2光学シートへの法線方向ndに沿った第2光透過部45の高さH2と、第2光透過部45をなす材料の屈折率n2aと、第2低屈折率部48の主部49aをなす樹脂の屈折率をn2bと、が次の式(d)を満たすようになっている。式(c)または式(d)が満たされる場合、意図しない像が実質的に現れていない状態で、言い換えると後述する光透過部35,45で反射しない透過光に起因したゴーストおよび光透過部35,45で二回反射した透過光に起因したゴーストのいずれもが観察されない方向から、意図した像92を明るく観察することが可能となる。
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) ≧ n1b ---式(c)
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) ≧ n2b ---式(d)
【0041】
ところで、図示された例においては、隣り合う二つの光透過部35,45は、配列方向da,dbに沿って隙間をあけて配置されている。このため、隣り合う二つの光透過部35,45に設けられた低屈折率部38,48は、光学シートの主切断面において、四角形形状、とりわけ、台形形状となっている。低屈折率部38,48の断面形状をなす台形形状は、上底が一方の側に配置され、下底が光学シート30,40の他方の側の面30b,40bをなすように配置されている。すなわち、光透過部35,45の断面形状をなす台形形状の上底と、低屈折率部38,48の断面形状をなす台形形状の下底と、によって、光学シート30,40の他方の側の面(出光側面)30b,40bを形成している。一方、光学シート30,40の一方の側の面(入光側面)30a,40aは、基部31,41によって形成されている。この結果、各光学シート30,40は、非常に取り扱い易い、二つの平行な主面を有したシート状の光学部材として構成されている。
【0042】
ただし、このような例に限られず、隣り合う二つの光透過部35,45が、配列方向da,dbに沿って隣接して配置されていてもよい。この例によれば、隣り合う二つの光透過部35,45に設けられた低屈折率部38,48は、光学シートの主切断面において、三角形形状、とりわけ、直角三角形形状となる。このような例においても。光学シート30,40が、二つの平行な主面を有したシート状の光学部材として構成され得る。
【0043】
また、本件発明らが鋭意実験を行ったところ、第1光学シートの主切断面において、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の一方の側の端部(出光側端部)における幅W1aと、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の他方の側の端部(出光側端部)における幅W1bと、第1光学シートへの法線方向ndに沿った第1光透過部35の高さH1とが、四捨五入によって少数第1位までの数値で評価した際に、次の関係を満たすことが好ましいことが知見された。
2.0 ≦ H1/W1a ≦ 5.0
1.5 ≦ W1a/W1b ≦ 3.5
同様に、第2光学シートの主切断面において、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の一方の側の端部(出光側端部)における幅W2aと、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の他方の側の端部(出光側端部)における幅W2bと、第2光学シートへの法線方向ndに沿った第2光透過部45の高さH2とが、四捨五入によって少数第1位までの数値で評価した際に、次の関係を満たすことが好ましいことが知見された。
2.0 ≦ H2/W2a ≦ 5.0
1.5 ≦ W2a/W2b ≦ 3.5
以上の関係が満たされるように光透過部35,45が設計される場合には、後述する実質的にゴーストが観察されない観察角度域Asを十分な大きさに確保することができるとともに、像92を再生する光の透過率を十分な値とすることができ、さらに、光透過部35,45を含む光学シート30,40を賦型により安価に作製することができる。
【0044】
以上のような構成からなる光学シート30,40は、一例として、つぎのようにして製造され得る。
【0045】
まず、光透過部35,45は、硬化することによって光透過部35,45を構成するようになる光透過部構成組成物、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線により硬化する特徴を有したエポキシアクリレートプレポリマー等を用いて、作製され得る。具体的には、低屈折率部38,48の構成(配置、形状等)に対応した凸部を有した型ロール、言い換えると、光透過部35,45の構成(配置、形状等)に対応した凹部を有した型ロールを準備する。当該型ロールとニップロールとの間に基部31,41をなすようになる基材シートを送り込み、該基材シートの送り込みに合わせて、光透過部構成組成物を型ロールと基材シートとの間に供給する。その後、基材シート上に供給された未硬化状態で液状の光透過部構成組成物が型ロールの凹部に充填されるように、型ロールおよびニップロールで該光透過部構成組成物を押圧する。このとき、型ロールの凹部の深さより厚くなるように、すなわち、型ロールと基材シートとが接触しないように、光透過部構成組成物を基材シート上に供給しておくことによって、光透過部35,45と一体的に形成されるシート状部が基材シートとともに、基部31,41を形成するようになる。このようにして基材シートと型ロールとの間に未硬化で液状の光透過部構成組成物を充填した後、電離放射線を照射して該光透過部構成組成物を硬化(固化)させることによって光透過部35,45を形成することができる。
【0046】
次に、低屈折率部38,48は、硬化することによって主部39a,49aをなすようになる電離放射線により硬化する特徴を有したウレタンアクリレートプレポリマー等と、例えばカーボンブラック等を含む光吸収粒子39b,49bと、を含んだ未硬化で液状の低屈折率部構成組成物を用いて、作製され得る。まず、先に形成された光透過部35,45上に低屈折率部構成組成物を供給する。その後、隣り合う光透過部35,45の間の形成された溝、すなわち、型ロールの凸部に対応していた部分の内部に、ドクターブレードを用いながら、低屈折率部構成組成物を充填しつつ、該溝外に溢出した余剰分の低屈折率部構成組成物を掻き落としていく。その後、光透過部35,45の間の低屈折率部構成組成物に電離放射線を照射して硬化させることにより、低屈折率部38,48が形成される。これにより、基部31,41と、基部上にストライプ状に配列された光透過部35,45および低屈折率部38,48と、を有する光学シート30,40が作製される。
【0047】
次に、以上のように構成された表示装置10、光学パネル20および光学シート30,40の作用効果について説明する。
【0048】
図1および図2に示すように、ケーシング15に支持された光学パネル20の一方の側(入光側)に、表示対象となる元となる像、すなわち元像91が配置される。図1および図2に示された例においては、円錐が元像91として、ケーシング15内に配置されている。図3に示すように、元像91からの光は、光学パネル20へ一方の側から入射し、進行方向を変化させて光学パネル20を透過し、他方の側へ像92を形成するようになる。以下においては、このように光学パネル20の他方の側に形成される像92を、後述する意図しない像(ゴースト)と区別するため正規像92とも呼ぶ。また、光学パネル20の他方の側に正規像92を形成するようになる元像91からの光を、後述する意図しない像(ゴースト)を形成する光と区別するため、元像91からの正規光とも呼ぶ。
【0049】
元像91からの光は、光学パネル20の一方の側に配置された第1光学シート30へ入射する。第1光学シート30は、第1配列方向daに配列された多数の第1光透過部35を有し、各第1光透過部35は互いに平行な第1反射面36を有している。各第1反射面36は、第1光学シート30の法線方向、言い換えると光学パネル20の法線方向と平行な面となっている。このため、第1光学シート30の第1反射面36は、第1反射面36と平行な面で鏡面反射された像を形成するように、元像91からの正規光を反射する。
【0050】
ただし、第1光学シート30の他方の側には、第2光学シート40が配置されている。第2光学シート40は、第2配列方向dbに配列された多数の第2光透過部46を有し、各第2光透過部46は互いに平行な第2反射面46を有している。各第2反射面46は、第2光学シート40の法線方向nd、言い換えると光学パネル30の法線方向ndと平行な面となっている。このため、第2光学シート40の第2反射面46は、第2反射面46と平行な面で鏡面反射された像92を形成するように、第1反射面36で反射された後の元像91からの正規光を反射する。
【0051】
なお、図3に示すように、元像91の各位置から種々の方向に進む光が、第1光学シート30内の第1反射面36および第2光学シート40内の第2反射面46で反射され、元像の当該位置91に対して光学パネル20のパネル面を中心として面対称な位置へ進む。結果として、光学パネル20のパネル面を中心として元像91と面対称な像92が、光学パネル20のパネル面を中心として元像91と面対称な位置に、形成される。観察者1は、光学パネル20のパネル面を中心として元像91と面対称な位置に向けて、光学パネル20から進む出る光の進行方向と逆向きから観察した際に、光学パネル20の他方の側に結象された象92を三次元的に把握することができる。
【0052】
なお、上述したように光学パネル20の反射面36,46は、光学パネル20の法線方向ndに延びている。したがって、他方の側に結像された正規像92を観察する際に、観察方向の延長線上に光学パネル20および元像91が配置されていたとすると、正規像92とともに、実像91そのものが光学パネル越しに、より詳しくは、反射面36,46の間から視認されてしまい、正規像92の視認性が著しく劣化してしまう。このため図1および図2に示すように、元像91は、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに沿って光学パネル20に対向しない位置に、配置されている。これにより、観察者は、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに対して一側に傾斜した方向から、再生された正規像92を観察することになる。この結果、正規像92とともに、実像91そのものが光学パネル越しに観察されることが防止される。
【0053】
ところが、本件発明者らが実験を重ねたところ、図1および図2に示すように、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに沿って光学パネル20に対向しない位置に元像91を配置し、且つ、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに対して傾斜した方向から正規像92を観察したとしても、正規像92とは異なる像、とりわけ正規像92と類似した形状を有するゴーストが視認されてしまった。本件発明者らの研究によれば、このような意図しない像の形成は、ケーシング15内を進む規則的な迷光等が元像91で反射し、その後に光学パネル20を透過して観察方向に進み出ていることに起因しているものと考えられ、その一方で、上述した構成による本実施の形態の光学パネル20によれば、意図しない像が観察されることを効果的に抑制することができた。
【0054】
本件発明者らは、鋭意研究を重ねた結果として、最も明瞭に視認され得るゴーストは、反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光に起因した像であり、次に視認され得るゴーストは、光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光に起因した像であり、その一方で、その他の光に起因した像(例えば、光透過部35,45で三回以上反射されて光透過部35,45を透過する光に起因した像)は実質的に明瞭には視認され得ないことを知見した。そして、上述した構成の光学パネル20によれば、最も感知され易い反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光に起因した像が観察され得る角度域Abを狭くし、且つ、反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光に起因した像および光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光に起因した像の両方が観察され得ない角度域Asを生じさせることができ、これらの結果として、意図しない像が観察されることを効果的に抑制することができる。以下、このような光学作用について、一枚の光学シート30,40から出射する光の進行方向を参照しながら、詳しく説明する。
【0055】
まず、主に図5を参照しながら、正規像92が観察され得る角度域Aaについて説明する。前提として、図1および図2に示すように、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに沿って光学パネル20に対向しない位置に元像91を配置し、且つ、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに対して傾斜した方向から正規像92を観察することを想定すると、光学パネル20の正面方向ndから、光学パネル20の正面方向ndに対して元像91と同じ側に傾斜した方向から、正規像92が観察され得る。
【0056】
次に、正規像92が観察され得る観察方向の各光学シート30,40の法線方向ndに対する最大角度θ1a,θ2aは、図5の光L5の光路を取り光学シート30,40から出射する方向が、光学シート30,40の法線方向ndに対してなす角度である。図5に示すように、この光L5は、光学シートの主切断面において、光透過部35,45の反射面36,46と対向する斜面37,47の一方の側(入光側)の端部に接する光路で光透過部35,45に入射し、反射面36,46で反射された後に、光透過部35,45の斜面37,47の他方の側(出光側)の端部に接する光路で光学シート30,40から出射する。
【0057】
この光L5が第1光学シート30の第1光透過部35内を進む際の進行方向が第1光学シート30の法線方向ndに対してなす角度θ1a’は、次の式(x1a)で表される。そして、この光L5が、第1光学シート30から出射する際には、式(x1b)で表されるスネルの法則が満たされる。したがって、この光L5の第1光学シート30からの出射方向が第1光学シート30の法線方向ndに対してなす角度θ1aは、式(x1c)で表される。第1光学シートと同様に、光L5が第2光学シート40の第2光透過部45内を進む際の進行方向が第2光学シート40の法線方向ndに対してなす角度θ2a’は、次の式(x2a)で表される。そして、この光L5が、第2光学シート30から出射する際には、式(x2b)で表されるスネルの法則が満たされ、この光L5の第2光学シート40からの出射方向が第2光学シート40の法線方向ndに対してなす角度θ2aは、式(x2c)で表される。
<第1光学シート>
θ1a’ = arctan( ( W1b + W1a ) / H1 ) ---式(x1a)
n1a × sinθ1a’ = sinθ1a ---式(x1b)
θ1a = arcsin ( n1a × sin ( arctan(( W1b + W1a ) / H1 )) ) ---式(x1c)
<第2光学シート>
θ2a’ = arctan( ( W2b + W2a ) / H2 ) ---式(x2a)
n2a × sinθ2a’ = sinθ2a ---式(x2b)
θ2a = arcsin ( n2a × sin ( arctan(( W2b + W2a ) / H2 )) ) ---式(x2c)
ここで、第1光学シートの主切断面において、第1光透過部35の一方の側(入光側)の端部における第1配列方向daに沿った幅をW1aとし、第1光透過部35の他方の側(出光側)の端部における第1配列方向daに沿った幅をW1bとし、第1光学シート30への法線方向ndに沿った第1光透過部35の高さをH1とし、第1光透過部35をなす材料の屈折率をn1aとしている。また、第2光学シートの主切断面において、第2光透過部45の一方の側(入光側)の端部における第2配列方向dbに沿った幅をW2aとし、第2光透過部45の他方の側(出光側)の端部における第2配列方向dbに沿った幅をW2bとし、第2光学シート40への法線方向ndに沿った第2光透過部45の高さをH2とし、第2光透過部45をなす材料の屈折率をn2aとしている。
【0058】
なお、光学シート30,40の法線方向ndに対して図5の光L5よりも大きく傾斜した方向に進む光は、光透過部35,45の反射面36,46で反射された後に、傾斜面37,47でも反射されることになる。すなわち、正規像92を形成する正規光とはなり得ない。このため、正規像92をなす正規光が、第1光学シート30から出射する角度域Aaは、第1光学シート30の法線方向ndに対して、0°より大きく且つ式(x1c)で表される角度θ1a以下の角度で傾斜する領域となる。また、正規像92をなす正規光が、第2光学シート40から出射する角度域Aaは、第2光学シート40の法線方向ndに対して、0°より大きく且つ式(x2c)で表される角度θ2a以下の角度で傾斜する領域となる。
【0059】
次に、主に図6を参照しながら、反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光L6に起因したゴースト(意図しない像)が観察され得る角度域Abについて説明し、その後、主に図7を参照しながら、光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光L7に起因したゴースト(意図しない像)が観察され得る角度域Acについて説明する。なおここでは、前提として、正規像92を観察しながらゴーストが観察されるか否かを検討するため、図8に示すように、光学パネル20のパネル面への法線方向ndに対して、正規像92が観察され得る角度域Aaと同じ側に傾斜した角度域について検討する。
【0060】
反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光L6、すなわち、光透過部を素抜けする光L6に起因したゴーストは、光学シート30,40の法線方向ndから観察され得る。また、反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光L6に起因したゴーストが観察され得る観察方向の各光学シート30,40の法線方向に対する最大角度θ1b,θ2bは、図6の光L6の光路を取り光学シート30,40から出射する方向が、光学シート30,40の法線方向ndに対してなす角度である。図6に示すように、この光L6は、光学シートの主切断面において、光透過部35,45の反射面36,46の一方の側(入光側)の端部に接する光路で光透過部35,45に入射し、反射面36,46および斜面37,47で反射されることなく、光透過部35,45の斜面37,47の他方の側(出光側)の端部に接する光路で光学シート30,40から出射する。
【0061】
この光L6が第1光学シート30の第1光透過部35内を進む際の進行方向が第1光学シート30の法線方向ndに対してなす角度θ1b’は、次の式(y1a)で表される。そして、この光L6が、第1光学シート30から出射する際には、式(y1b)で表されるスネルの法則が満たされる。したがって、この光L6の第1光学シート30からの出射方向が第1光学シート30の法線方向ndに対してなす角度θ1bは、式(y1c)で表される。第1光学シートと同様に、光L6が第2光学シート40の第2光透過部45内を進む際の進行方向が第2光学シート40の法線方向ndに対してなす角度θ2b’は、次の式(y2a)で表される。そして、この光L6が、第2光学シート30から出射する際には、式(y2b)で表されるスネルの法則が満たされ、この光L6の第2光学シート40からの出射方向が第2光学シート40の法線方向ndに対してなす角度θ2bは、式(y2c)で表される。
<第1光学シート>
θ1b’ = arctan( W1b / H1 ) ---式(y1a)
n1a × sinθ1b’ = sinθ1b ---式(y1b)
θ1b = arcsin ( n1a × sin ( arctan( W1b / H1 )) ) ---式(y1c)
<第2光学シート>
θ2b’ = arctan( W2b / H2 ) ---式(y2a)
n2a × sinθ2b’ = sinθ2b ---式(y2b)
θ2b = arcsin ( n2a × sin ( arctan( W2b / H2 )) ) ---式(y2c)
式(y1a)、式(y1b)、式(y1c)、式(y2a)、式(y2b)および式(y2c)で用いた符号は、既に説明した式(x1a)、式(x1b)、式(x1c)、式(x2a)、式(x2b)および式(x2c)で用いた符号と同一である。
【0062】
なお、光学シート30,40の法線方向ndに対して図6の光L6よりも大きく傾斜した方向に進む光は、光透過部35,45の斜面37,47で少なくとも反射されることになる。このため、最も明瞭に確認されるゴーストを形成する第1反射面36で反射されることなく第1光透過部35を透過する光L6が、第1光学シート30から出射する角度域Abは、第1光学シート30の法線方向ndに対して、0°以上、且つ、式(y1c)で表される角度θ1b以下の角度をなす領域となる。また、最も明瞭に確認されるゴーストを形成する第2反射面46で反射されることなく第2光透過部45を透過する光L6が、第2光学シート40から出射する角度域Abは、第2光学シート40の法線方向ndに対して、0°以上、且つ、式(y2c)で表される角度θ2b以下の角度をなす領域となる。
【0063】
一方、図7に示すように、光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光L7に起因したゴーストが観察され得る観察方向の各光学シート30,40の法線方向に対する最小角度θ1c,θ2cは、図7の光L7の光路を取り光学シート30,40から出射する方向が、光学シート30,40の法線方向ndに対してなす角度である。図7に示すように、この光L7は、光学シートの主切断面において、光透過部35,45の斜面37,47の一方の側(入光側)の端部で反射しながら光透過部35,45に入射し、その後に光透過部35,45の反射面36,46の他方の側(出光側)の端部で反射しながら光学シート30,40から出射する。
【0064】
この光L7が第1光学シート30の第1光透過部35内を進む際の進行方向が第1光学シート30の法線方向ndに対してなす角度θ1c’は、次の式(z1a)で表される。そして、この光L7が、第1光学シート30から出射する際には、式(z1b)で表されるスネルの法則が満たされる。したがって、この光L7の第1光学シート30からの出射方向が第1光学シート30の法線方向ndに対してなす角度θ1cは、式(z1c)で表される。第1光学シートと同様に、光L7が第2光学シート40の第2光透過部45内を進む際の進行方向が第2光学シート40の法線方向ndに対してなす角度θ2c’は、次の式(z2a)で表される。そして、この光L7が、第2光学シート30から出射する際には、式(z2b)で表されるスネルの法則が満たされ、この光L7の第2光学シート40からの出射方向が第2光学シート40の法線方向ndに対してなす角度θ2cは、式(z2c)で表される。
<第1光学シート>
θ1c’ = arctan( W1a / H1 ) ---式(z1a)
n1a × sinθ1c’ = sinθ1c ---式(z1b)
θ1c = arcsin ( n1a × sin ( arctan( W1a / H1 )) ) ---式(z1c)
<第2光学シート>
θ2c’ = arctan( W2a / H2 ) ---式(z2a)
n2a × sinθ2c’ = sinθ2c ---式(z2b)
θ2c = arcsin ( n2a × sin ( arctan( W2a / H2 )) ) ---式(z2c)
式(z1a)、式(z1b)、式(z1c)、式(z2a)、式(z2b)および式(z2c)で用いた符号は、既に説明した式(x1a)、式(x1b)、式(x1c)、式(x2a)、式(x2b)および式(x2c)で用いた符号と同様となっている。
【0065】
なお、光学シート30,40の法線方向ndに対して図7の光L7よりも小さく傾斜した方向に進む光は、光透過部35,45の斜面37,47で反射されたとしても、その後に、反射面36,46で反射されることはない。このため、比較的に明瞭に確認されるゴーストを形成する第1光透過部35で二回反射されて第1光透過部35を透過する光L7が、第1光学シート30から出射する角度域Acは、第1光学シート30の法線方向ndに対して、式(z1c)で表される角度θ1c以上の角度をなす領域となる。また、比較的に明瞭に確認されるゴーストを形成する第2光透過部45で二回反射されて第2光透過部45を透過する光L7が、第2光学シート40から出射する角度域Acは、第2光学シート40の法線方向ndに対して、式(z2c)で表される角度θ2c以上の角度をなす領域となる。
【0066】
ここで、以上の検討結果を基にして、各光学シート30,40の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向から当該光学シート30,40を観察した際に、正規像92が観察され得る角度域Aa、反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光L6に起因した最も明瞭に確認されるゴーストが観察され得る角度域Ab、および、光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光L7に起因した比較的に明瞭に確認されるゴーストが観察され得る角度域Acを、図8にまとめて示した。
【0067】
上述したように、第1光学シートの主切断面において、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の幅W1は、他方の側(出光側)の端部において一方の側(入光側)の端部よりも狭くなっている。このため、式(y1c)で示される角度θ1bが狭くなり、第1反射面36で反射されることなく第1光透過部35を透過する光L6に起因した最も明瞭に確認されるゴーストが観察され得る角度域Abを狭くすることができる。
【0068】
加えて、出光側端部における第1光透過部35の幅W1bは、入光側端部における第1光透過部35の幅W1aよりも狭くなっているため、式(y1c)で示される角度θ1bが、式(z1c)で示される角度θ1cよりも小さくなる。このため、第1反射面36で反射されることなく第1光透過部35を透過する光L6に起因した最も明瞭に確認されるゴースト、および、第1光透過部35で二回反射されて第1光透過部35を透過する光L7に起因した比較的に明瞭に確認されるゴーストの両方が視認され得ない角度域Asが生じることなる。また、式(x1a)で示される角度θ1aは、式(y1c)で示される角度θ1bおよび式(z1c)で示される角度θ1cのいずれよりも大きくなる。すなわち、第1光学シートの主切断面において、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の幅W1が、他方の側(出光側)の端部において一方の側(入光側)の端部よりも狭くなっている場合、第1光学シート30の他方の側(出光側)において、第1反射面36で反射されることなく第1光透過部35を透過する光L6に起因した最も明瞭に確認されるゴースト、および、第1光透過部35で二回反射されて第1光透過部35を透過する光L7に起因した比較的に明瞭に確認されるゴーストの両方が視認され得ない角度域Asにおいて、意図した正規像92を観察することが可能となる。
【0069】
また、第1光学シート30と同様に、第2光学シートの主切断面において、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の幅W2は、他方の側(出光側)の端部において一方の側(入光側)の端部よりも狭い、すなわち、出光側端部における第2光透過部45の幅W2bは、入光側端部における第2光透過部45の幅W2aよりも狭くなっている。したがって、第2反射面46で反射されることなく第2光透過部45を透過する光L6に起因した最も明瞭に確認されるゴーストが観察され得る角度域Abを狭くすることができる。加えて、第2光学シート40の他方の側(出光側)において、第2反射面46で反射されることなく第2光透過部45を透過する光L6に起因した最も明瞭に確認されるゴースト、および、第2光透過部45で二回反射されて第2光透過部45を透過する光L7に起因した比較的に明瞭に確認されるゴーストの両方が視認され得ない角度域Asにおいて、意図した正規像92を観察することが可能となる。
【0070】
以上のことから、光学パネル20の他方の側において、反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光L6に起因した最も明瞭に確認されるゴースト、および、光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光L7に起因した比較的に明瞭に確認されるゴーストの両方が視認され得ない角度域Asにおいて、意図した正規像92を観察することが可能となる。すなわち、これまで視認性を悪化してきたゴーストの発生を抑えながら、正規像92を明瞭に観察することが可能となる。
【0071】
ところで、角度域Asにおいて正規像92が明るく観察されるためには、この角度域Asに向けて進む正規光の少なくとも一部を、反射面36,46で全反射させることが有効である。この場合、角度域As内の少なくとも一部の方向に進む正規光の光量を十分に確保することが可能となり、ゴーストの発生を抑えながら、正規像92を明るく観察することが可能となる。実際の条件としては、この角度域Asに向けて光学シート30,40から出射する光のうちの最も出射角(光学シートの法線方向に対する出射方向の角度)が小さくなる光、すなわち、図6の光L6と平行な方向に出射する光L6aが、光透過部35,45の反射面36,46で全反射されるようにすればよい。
【0072】
最も条件を厳しくするため、この光L6aが、光学シートの主切断面に沿って進むと仮定した場合、この光の反射面36,46への入射角度は、第1光学シートにおいて(90−θ1b’)°となり、第2光学シートにおいて(90−θ2b’)°となる。ここで、「θ1b’」および「θ2b’」は、上述した式(y1a)および式(y2a)でそれぞれ表される値である。したがって、既に言及した式(a)が満たされる場合、第1光学シート30の他方の側で、ゴーストが実質的に発生しない角度域As内において、正規像92を明るく観察することが可能となる。同様に、式(b)が満たされる場合、第2光学シート40の他方の側で、ゴーストが実質的に発生しない角度域As内において、正規像92を明るく観察することが可能となる。
n1a × sin ( arctan( H1 / W1b ) ≧ n1b ---式(a)
n2a × sin ( arctan( H2 / W2b ) ≧ n2b ---式(b)
【0073】
さらに、角度域Asにおいて正規像92が明るく観察されるためにより好ましいのは、ゴーストが実質的に発生しない角度域Asに向けて進む正規光のすべてを、反射面36,46で全反射させることである。この場合、角度域As内のすべての方向に進む正規光の光量を十分に確保することが可能となり、ゴーストの発生を抑えながら、正規像92を明るく観察することが可能となる。実際の条件としては、この角度域Asに向けて光学シート30,40から出射する光のうちの最も出射角(光学シートの法線方向に対する出射方向の角度)が大きくなる光、すなわち、図7の光L7と平行な方向に出射する光L7aですら、光透過部35,45の反射面36,46で全反射されるようになっていればよい。
【0074】
最も条件を厳しくするため、この光L7aが、光学シートの主切断面に沿って進むと仮定した場合、この光の反射面36,46への入射角度は、第1光学シートにおいて(90−θ1c’)°となり、第2光学シートにおいて(90−θ2c’)°となる。ここで、「θ1c’」および「θ2c’」は、上述した式(z1a)および式(z2a)でそれぞれ表される値である。したがって、既に言及した式(c)が満たされる場合、第1光学シート30の他方の側で、ゴーストが実質的に発生しない角度域As内のすべての方向において、正規像92を明るく観察することが可能となる。同様に、式(d)が満たされる場合、第2光学シート40の他方の側で、ゴーストが実質的に発生しない角度域As内のすべての方向において、正規像92を明るく観察することが可能となる。
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) ≧ n1b ---式(c)
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) ≧ n2b ---式(d)
【0075】
なお、上述した式(a)および式(b)が満たされるとともに、式(c)および式(d)に代えて次の式(e)および式(f)が満たされることも好ましい。
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) = n1b ---式(e)
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) = n2b ---式(f)
式(e)および式(f)が満たされる場合、ゴーストが実質的に発生しない角度域Asの全域において、正規像92を明るく観察することができるが、角度域Acでは、正規像92を明るく観察することができない。ただし、この角度域Acは、光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光L7に起因したゴーストが視認され得る領域である。したがって、式(e)および式(f)が満たされる場合には、角度域Acにおいて、正規像92を明るく観察することができなくなるだけでなく、光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光L7に起因したゴーストがもはや明るく観察さることがなくなる。
【0076】
さらに、上述した式(a)および式(b)が満たされるとともに、式(c)および式(d)に代えて次の式(g)および式(h)が満たされるようにしてもよい。
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) < n1b ---式(g)
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) < n2b ---式(h)
式(g)および式(h)が満たされる場合、ゴーストが実質的に発生しない角度域Asの一部の方向からは、正規像92を明るく観察することができなくなるが、光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光L7に起因したゴーストももはや明るく観察さることがなくなる。すなわち、表示装置10の用途等に応じて、正規像92を観察する方向が、角度域As内の一部の方向に決まっている場合には、式(a)および式(b)とともに、式(g)および式(h)が満たされるようにしてもよい。
【0077】
ところで、本実施の形態で説明した、光学シート30,40においては、光透過部35,45の間に低屈折率部38,48が設けられている。そして、この低屈折率部38,48は、可視光を吸収する機能を有した光吸収粒子39b,39bを含んでいる。このため、ケーシング15の外部からケーシング15の内部へ進む外部からの光を吸収する光が、この光吸収粒子39b,39bによって吸収され、外部からの光によって、ケーシング15内の元像が特定の方向から照明されてしまうことを防止することができる。これにより、ゴーストを形成するようになる元像91からの光の発生自体を効果的に抑制することができる。
【0078】
また、図4に示すように、光透過部35,45が隙間をあけて設けられている場合には、基部31,41から低屈折率部38,48へ入射する光L4aも発生する。このような光は特定の方向から観察されるゴーストを形成し得る。本実施の形態のように、低屈折率部38,48が光吸収機能を有している場合には、このような光L4aも吸収して、ゴーストの発生を抑制することができる。
【0079】
以上のような本実施の形態によれば、第1配列方向daに沿った第1光透過部35の幅W1が、他方の側(出光側)の端部において一方の側(入光側)の端部よりも狭くなっており、第2配列方向dbに沿った第2光透過部45の幅W2が、他方の側(出光側)の端部において一方の側(入光側)の端部よりも狭くなっている。このため、最も感知され易い反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光に起因した意図しない像が観察され得る角度域Abを狭くし、且つ、反射面36,46で反射されることなく光透過部35,45を透過する光に起因した意図しない像および光透過部35,45で二回反射されて光透過部35,45を透過する光に起因した意図しない像の両方が観察され得ない角度域Asを生じさせることができ、これにより、意図しない像が観察されることを効果的に抑制することができる。
【0080】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
【0081】
例えば、上述した実施の形態において、元像91が、実物のモデルからなる例を示したがこれに限られず、元像自体が映像として形成された像であってもよい。
【0082】
また、上述した実施の形態において、光学パネル20が一つのみ表示装置10に設けられている例を示したが、これに限られず、二以上の光学パネル20が設けられていてもよい。このような変形例においては、第1の光学パネルが、元像からの光によって第1の像を形成し、第2の光学パネルが、第1の像をなす光によって第2の像を形成するようにしてもよい。
【0083】
さらに、上述した実施の形態において、光学パネル20に含まれた第1光学シート30および第2光学シート40が同一に構成されている例を示したが、これに限られず、第1光学シート30および第2光学シート40が、寸法や形状等の構成において互いに異なっていてもよい。
【0084】
さらに、上述した実施の形態において、光学シート30,40の低屈折率部38,48に、可視光を吸収する機能を有した光吸収粒子39a,49aが混入されている例を示したが、これに限られない。光吸収粒子39a,49aに代えて或いは光吸収粒子39a,49aに加えて、可視光を反射する機能を有した粒子が低屈折率部38,48に加えられてもよいし、低屈折率部38,48に粒子が混在されていなくてもよい。
【0085】
さらに、上述した実施の形態において、光学シート30,40が低屈折率部38,48を有する例を示したが、これに限られず、低屈折率部38,48が設けられていなくてもよい。このような変形例においては、隣り合う二つの光透過部35,45の間に、空隙が形成されるようになり、上述の式(a)〜(h)が屈折率n1b=1および屈折率n2b=1として満たされる場合に、上述した実施の形態において式(a)〜(h)が満たされる場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 表示装置
15 ケーシング
20 光学パネル
30 第1光学シート
30a 一方の側の面、入光側面
30b 他方の側の面、出光側面
31 基部
35 第1光透過部
36 第1反射面
37 第1斜面
38 第1低屈折率部
39a 主部
39b 光吸収粒子
40 第2光学シート
40a 一方の側の面、入光側面
40b 他方の側の面、出光側面
41 基部
45 第2光透過部
46 第2反射面
47 第2斜面
48 第2低屈折率部
49a 主部
49b 光吸収粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側から入射する元像からの光の進行方向を変えて他方の側へ透過し、他方の側へ像を表示するための光学パネルにおいて、
第1配列方向に配列された複数の第1光透過部であって、前記一方の側から入射する元像からの光を反射する互いに平行な第1反射面を各々が有した複数の第1光透過部を、含む第1光学シートと、
前記第1光学シートの他方の側へ配置された第2光学シートであって、前記第1配列方向と交差する第2配列方向に配列された複数の第2光透過部であって、前記第1光学シートを透過した元像からの光を反射する互いに平行な第2反射面を各々が有した複数の第2光透過部を、含む第2光学シートと、を備え、
前記第1配列方向に沿った前記第1光透過部の幅は、前記他方の側の端部において前記一方の側の端部よりも狭くなっており、前記第2配列方向に沿った前記第2光透過部の幅は、前記他方の側の端部において前記一方の側の端部よりも狭くなっている、光学パネル。
【請求項2】
前記第1光学シートは、隣り合う二つの前記第1光透過部の間に、前記第1光透過部よりも低屈折率の樹脂を用いて形成された、第1低屈折率部を、さらに有し、
前記第2光学シートは、隣り合う二つの前記第2光透過部の間に、前記第2光透過部よりも低屈折率の樹脂を用いて形成された、第2低屈折率部を、さらに有する、請求項1に記載の光学パネル。
【請求項3】
前記第1光学シートへの法線方向および前記第1配列方向の両方に平行な前記第1光学シートの断面において、前記第1光透過部の前記他方の側の端部における前記第1配列方向に沿った幅をW1bとし、前記第1光学シートへの法線方向に沿った前記第1光透過部の高さをH1とし、前記第1光透過部をなす材料の屈折率をn1aとし、前記第1低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn1bとすると、次の式(1)が満たされ、
n1a × sin ( arctan( H1 / W1b ) ≧ n1b ---式(1)
前記第2光学シートへの法線方向および前記第2配列方向の両方に平行な前記第2光学シートの断面において、前記第2光透過部の前記他方の側の端部における前記第2配列方向に沿った幅をW2bとし、前記第2光学シートへの法線方向に沿った前記第2光透過部の高さをH2とし、前記第2光透過部をなす材料の屈折率をn2aとし、前記第2低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn2bとすると、次の式(2)が満たされる、請求項2に記載の光学パネル。
n2a × sin ( arctan( H2 / W2b ) ≧ n2b ---式(2)
【請求項4】
前記第1光学シートへの法線方向および前記第1配列方向の両方に平行な前記第1光学シートの断面において、前記第1光透過部の前記一方の側の端部における前記第1配列方向に沿った幅をW1aとし、前記第1光学シートへの法線方向に沿った前記第1光透過部の高さをH1とし、前記第1光透過部をなす材料の屈折率をn1aとし、前記第1低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn1bとすると、次の式(3)が満たされ、
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) ≧ n1b ---式(3)
前記第2光学シートへの法線方向および前記第2配列方向の両方に平行な前記第2光学シートの断面において、前記第2光透過部の前記一方の側の端部における前記第2配列方向に沿った幅をW2aとし、前記第2光学シートへの法線方向に沿った前記第2光透過部の高さをH2とし、前記第2光透過部をなす材料の屈折率をn2aとし、前記第2低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn2bとすると、次の式(4)が満たされる、請求項2または3に記載の光学パネル。
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) ≧ n2b ---式(4)
【請求項5】
前記第1光学シートへの法線方向および前記第1配列方向の両方に平行な前記第1光学シートの断面において、前記第1光透過部の前記一方の側の端部における前記第1配列方向に沿った幅をW1aとし、前記第1光学シートへの法線方向に沿った前記第1光透過部の高さをH1とし、前記第1光透過部をなす材料の屈折率をn1aとし、前記第1低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn1bとすると、次の式(5)が満たされ、
n1a × sin ( arctan( H1 / W1a ) = n1b ---式(5)
前記第2光学シートへの法線方向および前記第2配列方向の両方に平行な前記第2光学シートの断面において、前記第2光透過部の前記一方の側の端部における前記第2配列方向に沿った幅をW2aとし、前記第2光学シートへの法線方向に沿った前記第2光透過部の高さをH2とし、前記第2光透過部をなす材料の屈折率をn2aとし、前記第2低屈折率部をなす前記樹脂の屈折率をn2bとすると、次の式(6)が満たされる、請求項2〜4のいずれか一項に記載の光学パネル。
n2a × sin ( arctan( H2 / W2a ) = n2b ---式(6)
【請求項6】
前記低屈折率部の前記樹脂中に、光吸収性を有した粒子が分散されている、請求項2〜5のいずれか一項に記載の光学パネル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学パネルを備える、表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113902(P2013−113902A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257637(P2011−257637)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】