説明

光学フィルタの成膜方法、光学フィルタの製造装置及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置

【課題】製造時或いは経年変化で歪曲する恐れが少ない光学フィルタを簡単な方法で安価に製造することが可能な光学フィルタの成膜方法を提供する。
【解決手段】チャンバ内に回転自在に配置された基板ドラムに基板プレートを装着した基板ホルダをセットする基板セット工程と上記基板ドラムにセットされた基板プレートの表面に、上記基板ドラムを回転させながら上記ターゲットにスパッタ電圧を印加することによって膜形成する表面成膜工程と、上記表面成膜工程の後、上記ターゲットにスパッタ電圧を印加しない状態で上記基板ホルダを回転させて上記基板プレートの裏面を上記ターゲットに対向配置する成膜面反転工程と、上記基板プレートの表裏面を反転させた後、上記基板ドラムを回転させながら上記ターゲットにスパッタ電圧を印加することによって上記基板プレートの裏面に膜形成する裏面成膜工程とを備え、基板プレートの表裏面に同一バッチでそれぞれ成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラその他の光学器機において光量調整或いは特定波長の光の通過量を調整する光学フィルタの成膜方法、装置及びこれを用いた光学フィルタに係わり、基板プレートに蒸着で光学膜を形成する際の成膜方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の光学フィルタは例えばNDフィルタ(Neutral Density Filter )として各種撮像装置に広く用いられている。このNDフィルタは樹脂或いはガラス製の基板に光吸収特性に優れた薄膜を形成している。そしてこのNDフィルタは全体が均一な単濃度の薄膜で成膜する場合と、濃度が連続的に変化(漸減)するグラデーション薄膜で成膜する場合が知られている。
【0003】
近年、撮像装置の高解像化が進むに従い、明るい被写体条件下で光量を絞ると回折光の影響による画像ボケなど画質の劣化が顕著に現れる傾向にある。そこで例えば特許文献1に開示されているように光量を調整する絞り羽根にNDフィルタを添着し、小絞り時に発生する回折現象を抑えることが提案されている。単一濃度のNDフィルタの場合、NDフィルタの端部と開口形状で形成される小絞りにより回折が発生し画質の劣化が現れる。その劣化を防止する為に開口径側に連続的に濃度が漸減するグラデーションフィルタが提案されている。
【0004】
従来このような光学フィルタを作成する成膜方法としては、 マイクロ写真法(例えば特許第2754518号)で作成することも提案されているが、真空蒸着装置で作成することが広く用いられている。例えば特許文献1には蒸着膜で基板上に薄膜を形成し、この薄膜で光量を減衰することが開示されている。
【0005】
同文献1には基板上にチタン、クロメルなどの金属膜で光吸収層を形成し、この光吸収層の上に光の反射を抑制する誘電体膜を積層状に形成する多層構造の成膜方法が開示されている。そしてその製造装置は真空蒸着槽内に蒸着物質とドーム型の蒸着傘を配置し、この蒸着傘に基板プレートとマスク板を装着して回転させながら蒸着物質を加熱して基板上に成膜する装置が開示されている。
【0006】
一方、同様の成膜装置として例えば特許文献2には蒸着槽内に回転ドラムと蒸着物質(ターゲット)を設置し、槽内に動作ガス(不活性ガス)を導入してターゲットをスパッタリングするスパッタリング蒸着装置が開示されている。
【0007】
いずれの蒸着装置においても蒸着傘或いは回転ドラムに装着する基板プレートには間隔を隔ててマスク板が取り付けられ、このマスク板に形成されたマスク開口で所定パターンに成膜するようになっている。そして特許文献1の装置は蒸着傘に装着した基板を楕円軌跡で回転させることによって膜厚さが漸減するグラデーション膜を形成し、特許文献2の装置は回転ドラムに装着した基板とマスク板との間の間隙で回折するスパッタ粒子でグラデーション膜を形成している。
【特許文献1】特開2005−345746号公報
【特許文献2】特開2001−64772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように真空チャンバ内に配置した基板プレートに蒸着膜を複数層に積層形成する場合、一般に光学フィルタの基板プレートは透明素材でガラス薄板或いはフィルム状樹脂板が用いられている。この場合ガラス薄板を使用すると破損、重さの問題があるため、カメラなどの撮像装置ではフィルム状樹脂板を用いている。
【0009】
そこでフィルム状樹脂板に誘電体膜層と金属膜層とを積層状に薄膜形成すると、熱、外部衝撃、径時変化で基板プレート自体が歪曲する問題がある。例えばカメラ装置で光学フィルタが温度環境によって歪曲変形するとゴースト現象、フレア現象などで画像ボケの原因となる。従って特に光学機器用の光学フィルタは光吸収性その他の光学特性に優れ、歪曲変形しない成膜方法が希求されている。
【0010】
そこで本発明者は基板プレートに薄膜を形成する際に、その表面と裏面に膜形成することによって環境温度が変化してもプレート表面と裏面の薄膜が均等に歪曲するためプレート自体が歪曲することがないとの知見に至った。この場合、蒸着装置(物理蒸着、スパッタ蒸着、イオンプレーティングなど)で基板プレート上に膜形成するとき、表面と裏面の成膜条件が異なってしまう新たな問題に遭遇した。
【0011】
この表裏面の成膜条件の不均一は、例えば真空チャンバ内に基板プレートをセットしてその表面に膜形成し、その後チャンバを開放して基板プレートの表裏を反転させて際セットし、裏面に成膜する。このようにチャンバ内を一旦開放して基板プレートを再セットすると内部の真空状態の変化、プレートセット位置の位置ズレによって成膜条件が異なり、基板プレートが歪曲変形、或いはクラックが生ずる原因となる。
【0012】
本発明は製造時或いは経年変化で歪曲する恐れが少ない光学フィルタを簡単な方法で安価に製造することが可能な光学フィルタの成膜方法の提供をその主な課題としている。更に本発明は光学フィルタの表裏面に光学特性を有する薄膜層を形成する際に、その膜厚さなど安定したバラツキのない成膜が可能である光学フィルタの成膜方法の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するため本発明は以下の構成を採用する。成膜チャンバ内でターゲットを動作ガスでスパッタリングして基板プレートの表裏面に減光膜層を形成する光学フィルタの成膜方法であって、上記チャンバ内に回転自在に配置された基板ドラムに基板プレートを装着した基板ホルダをセットする基板セット工程と、上記基板ドラムにセットされた基板プレートの表面に、上記基板ドラムを回転させながら上記ターゲットにスパッタ電圧を印加することによって膜形成する表面成膜工程と、上記表面成膜工程の後、上記ターゲットにスパッタ電圧を印加しない状態で上記基板ホルダを回転させて上記基板プレートの裏面を上記ターゲットに対向配置する成膜面反転工程と、上記基板プレートの表裏面を反転させた後、上記基板ドラムを回転させながら上記ターゲットにスパッタ電圧を印加することによって上記基板プレートの裏面に膜形成する裏面成膜工程とを備え、基板プレートの表裏面に同一バッチでそれぞれ成膜する。
【0014】
前記表面成膜工程では、前記基板ドラムを正方向に回転し、前記裏面成膜工程では、前記基板ドラムを逆方向に回転し、前記成膜面反転工程では、上記基板ドラムの正逆回転方向で前記基板プレートホルダに固定された基板プレートの表裏面を反転する。
【0015】
前記基板プレートホルダには、マスク開口を有するマスク板が前記基板プレートとの間に所定の成膜ギャップを形成するように配置し、前記基板プレートの表面及び/又は裏面に成膜する際に、上記成膜ギャップ内に生ずるスパッタ粒子の拡散で膜厚さが漸減するグラデーション層を形成する。
【0016】
前記マスク板は成膜形状が異なる2つ以上のマスク開口を有し、このマスク板は前記基板ホルダに位置移動可能に取付けられ、前記基板プレートの表裏面には、膜厚さの異なる2層以上の成膜層を形成する。
【0017】
基板プレートと、上記基板プレートの表裏面にそれぞれ形成された減光膜層と、上記減光膜層は上述の成膜方法で成膜される。
【0018】
前記減光膜層は、積層状に形成された誘電体膜層と金属膜層とから構成し、上記誘電体膜層は、誘電性物質からなるターゲットを動作ガスでスパッタリングして被膜形成した後、反応性ガスを照射して成膜し、上記金属膜層は、金属物質からなるターゲットを動作ガスでスパッタリングして被膜形成する。上記ターゲットをスパッタリングする際に、上記基板プレートとの間に所定の成膜ギャップを形成するマスク板の開口縁からのスパッタ粒子の拡散によって膜厚さが漸減するグラデーション層を有する。
【0019】
本発明に係わる撮像光量絞り装置は、撮像光路に配置され、撮像光量を調整する絞り羽根と、上記絞り羽根に添着された光学フィルタとから構成され、上記光学フィルタは上述に記載の構成を備える。
【0020】
基板プレート上に減光特性を有する光学フィルタの製造装置であって、成膜チャンバと、上記成膜チャンバ内に回転自在に配置され、上記基板プレートをセットする基板ドラムと、上記基板ドラムに上記基板プレートを装着する基板ホルダと、上記成膜チャンバ内に設けられ上記基板ドラムの外周に複数区割された成膜エリアと、上記成膜エリアに配置されターゲット物質をセットするターゲット設置台と、上記成膜エリア内に動作ガスを供給する供給源とを備える。上記基板ホルダは、(1)上記基板プレートを装着した状態で表裏面に成膜開口を有する基板装着部と、(2)上記基板装着部に装着された基板プレートが表裏反転するように上記基板ドラムに回転自在に軸支持する回転軸承部とから構成し、上記基板ホルダには上記基板装着部を表裏反転するシフト手段を設け、上記基板プレートの表裏面に同一バッチでそれぞれ成膜する。
【0021】
前記シフト手段は、前記基板ドラムの回転方向に従動して前記基板ホルダに装着された基板プレートが表裏反転するように構成される。
【0022】
前記基板ホルダには、前記基板装着部に装着された基板プレートに対して所定の成膜ギャップを形成するマスク板を備える。
【0023】
前記マスク板は、前記基板ドラムの周方向前後又は上下方向に並列に配置された第1のマスク開口と第2のマスク開口を有し、このマスク板は前記基板装着部に装着された所定の基板プレートに対して、上記第1のマスク開口を対向させて成膜するか、上記第2のマスク開口を対向させて成膜するか選択可能に構成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、本発明は、成膜チャンバ内でターゲットを動作ガスでスパッタリングして基板プレートの表裏面に減光膜層を形成する際に、プレート表面に膜形成した後、基板プレートを装着した基板ホルダを回転させて基板プレートの裏面に成膜するようにしたものであるから次の効果を奏する。
【0025】
まず、基板プレートには、その表面と裏面に所定の減光薄膜が形成されるから、温湿度変化、或いは径時変化で基板プレート自体が歪曲変形することがない。特にこの表裏面の減光薄膜は成膜チャンバの同一バッチ内で成膜されることとなり、表面及び裏面に所定の光学特性の薄膜を安定してバラツキなく形成することが出来る。これと共に基板プレートの表裏面に同一バッチ内で連続的に膜形成するため、生産性に優れ光学特性の安定した光学フィルタを安価に大量生産することが出来る。
【0026】
更に、本発明に係わる製造装置は、成膜チャンバ内に設けられた基板ドラムに基板ホルダを介して基板プレートをセットし、この基板ホルダを基板ドラムに対して回転自在に軸支持して駆動モータなどのシフト手段で基板プレートの表裏面を反転させるため、その構造は至って簡単であり、装置設備を安価に構成することが出来る。
【0027】
また、上記シフト手段を、成膜のために基板ドラムを回転させる駆動モータの回転方向を反転することによって基板プレートの表裏面を切り換えるように構成することによって至って簡単に基板プレートを表裏反転することが出来、更に装置設備を安価に構成することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下図示の好適な実施の態様に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わる光学フィルタの構成を示し、(a)は基板上に形成された減光膜層の層構造を示し、(b)はその減光膜層とマスク開口との関係を示す説明図である。図2は基板上に減光膜層を形成する原理構成の説明図であり、図3は蒸着装置の構造を示す説明図である。
【0029】
[光学フィルタの構成]
まず、本発明に係わる光学フィルタの膜層構造について説明する。本発明の光学フィルタ(NDフィルタ)43は、図1(a)に示すように透明の基板プレート(成膜ベース基材)10に減光特性を有する減光膜層20をその表裏面に形成する。この表裏面に形成される減光膜層20A、20Bは光吸収層21と中間層22とで積層状に構成され、用途に応じて複数段(図示のものは6層構成)に形成される。光吸収層21(21a、21b、21c)は光吸収特性に富んだ金属膜で構成され、基板プレート10上に濃度を有する半透明層しとして形成される。中間層22(22a、22b、22c)は誘電体で構成され、光吸収層21の上に成膜され光の反射特性を改善する透明層として形成される。
【0030】
図示の減光膜層20A及び20Bは、均一厚さで均一な透光率を有する単濃度領域20aと膜厚さが漸減するグラデーション領域20bとに形成されている。また、最上層の誘電体膜層(中間層)22cの上には後述するコーティング層23が形成されている。これらの金属膜層(光吸収層)21、誘電体膜層(中間層)22、コーティング層23の成膜物質については後述する。
【0031】
図1(a)に示す光学フィルタ(NDフィルタ)43は上記金属膜層(光吸収層)21を蒸着金属(図示のものはNb)で成膜し、誘電体膜層(中間層)22を酸化ケイ素(Si)で構成する場合を示している。以下各膜層の素材について説明する。
【0032】
[基板材質]
上述の基板プレート10は透明又は半透明の合成樹脂板で構成する。素材としては例えばポリエチレンフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ノルボルネン系樹脂などを使用する。この他基板材質は用途に応じて好適な素材を選択する。
【0033】
[金属物質]
上述の金属膜層(光吸収層)21は、クロメル(ニッケルークロム合金)、ニオブ(Nb)チタン(Ti)などでの光吸収性に富んだ金属酸化物を使用する。
【0034】
[誘電体物質]
上述の誘電体膜層(中間層)22は、ケイ素或いはアルミ合金などの酸化物、窒化物、フッ化物で構成する。このため後述するターゲット32はSi(ケイ素)、Al(アルミ)の板状素材を使用する。
【0035】
[コーティング層]
上述のコーティング層23としてはフッ化マグネシウムなどの硬質性或いは撥水性に富んだ材料を使用する。この場合にはターゲット32としてMgO(マグネシウム酸化物)を使用する。
【0036】
[蒸着装置の構成(図3参照)]
次に図1に基づいて説明した基板プレート10上に減光膜層20を形成する蒸着装置について図3に従って説明する。図3は反応性スパッタリング装置を示し、図はその成膜原理を示す。まず図3の装置は、チャンバ30を形成する外筐ケース30aと、このチャンバ30内に回転自在に内蔵された円筒形状の回転ドラム31と、この回転ドラム31に距離を隔てて配置されたスパッタ電極35とで構成されている。
【0037】
上記チャンバ30内は略々真空に形成され、このため図示しない真空ポンプが備えられている。そしてチャンバ30内は複数のエリア36a〜36dに遮蔽板37で区割されている。図示のものは金属膜層(光吸収層)21を成膜する第1のターゲット(以下「金属ターゲット」という)32aをスパッタリングする第1エリア36aと、誘電体膜層(中間層)22を成膜する第2のターゲット(以下「誘電体ターゲット」という)32bをスパッタリングする第2エリア36bと、コーティング層23を成膜する第3のターゲット(以下「コート層ターゲット」という)32cをスパッタリングする第3エリア36cと、活性ガスを照射する第4エリア36dとに区割されている。そして第1、第2、第3エリア36a〜36cには一対のスパッタ電極35a、35bがそれぞれ内蔵されている。
【0038】
この一対のスパッタ電極35a、35bは交流電源に連結され、一方がカソード、他方がアノードとなるように配置されている。各スパッタ電極35a、35bは電源コイル35cに結線され、交流電圧が印加されるように構成されている。上記第1、第2、第3エリア36a〜36cの各スパッタ電極35a、35bにはターゲット32(32a〜32c)が装着されている。このターゲット32は板状材料で構成され、面状蒸着源を構成する。また上記第1、第2、第3エリア36a〜36cにはコントローラ38を介してアルゴンなどの不活性ガス(動作ガス)が導入されるようになっている。図示38gはアルゴンガスの供給ボンベである。
【0039】
第4エリア36dには反応性ガス発生室39が設けられ、コントローラ39cを介して活性ガス(酸素ガス、窒素ガス、フッ素ガスなど)が供給ボンベ39gから供給されるようになっている。そして供給ボンベ39gからのガスをプラズマ化して第4エリア36d内に照射するように構成されている。
【0040】
このような装置構成で回転ドラム31を所定速度で回転し、第1エリア36aの金属ターゲット32aをスパッタリングして金属膜(例えばNb)を基板プレート10上に付膜する。そして回転ドラム31に装着した所定の基板プレート10が第2、第3、第4エリア36b〜36dを通過して第1エリア36aに位置したとき同様に金属ターゲット32aをスパッタリングして先に成膜した蒸着皮膜の上に被膜形成する。この被膜形成を繰り返して所定厚さの金属膜層(光吸収層)21が形成される。
【0041】
上述のように基板プレート10上に所定厚さの金属膜層(光吸収層)21が被膜形成された後、次いで第2エリア36bの誘導体ターゲット32bをスパッタリングして誘電体膜層(例えばSi)を基板プレート10上に付膜する。そして回転ドラム31が第4エリア36dに位置したとき活性ガス(例えばO)を基板上に照射する。すると基板プレート上の誘電体膜層22は酸化され酸化物(例えばSiO)の被膜を生成する。
【0042】
このように金属膜層(光吸収層)21と誘電体膜層(中間層)22とを複数層に積層した後、最後の誘電体膜層(中間層)22cの上に第3エリア36cのコート層ターゲット32cをスパッタリングする。これによって最上層にコーティング層23が付膜される。
【0043】
[グラデーション領域の成膜(図2参照)]
図1に示す光学フィルタ(NDフィルタ)43は前述したように単濃度領域20aとグラデーション領域20bを形成する場合を示している。このグラデーション領域20bの成膜は図2に示すマスク板33によって成膜する。同図において回転ドラム31に基板プレート10を装着する際にマスク板33を組み合わせてセットする。このマスク板33を介して基板プレート10に対して平行な面状蒸着源(上述の各ターゲット)から膜成分のスパッタ粒子を飛翔させて成膜する。このときマスク板33と基板プレート10との間には所定間隔の成膜ギャップd(図2(b)参照)が形成されている。従ってマスク板33のマスク開口33に対応する基板プレート10には単濃度領域20aと、マスク開口33の上端縁33aと下端縁33bの周辺には膜厚さが直線的に漸減するグラデーション領域20bが形成される。
【0044】
[マスキング方法及びマスク板構造]
そこで上述のような基板プレート上に光学特性を有する減光膜層20を形成する場合に第1の膜層(例えば上述の金属膜層21a)と第2の膜層(例えば誘電体膜層22a)を形成する場合に成膜パターン(図1(b)に示すma、mb)を異ならせる必要がある。この成膜パターンはマスク板33に形成した第1、第2マスク開口33A、33Bによって形成される。つまり基板プレート10に対して成膜キャップdを隔てて対向配置されているマスク板33の開口形状を異ならせる。
【0045】
このように成膜パターンを異ならせる必要は、例えばグラデーション領域を形成する場合に光吸収特性を有する金属膜層21(21a、21b、21c)は膜厚さを直線的に漸減させて濃度を変化させる必要がある。これに対し誘電体膜層22(22a、22b、22c)及びコーティング層23はグラデーション領域20bであっても均一の膜厚さ、若しくは膜厚さを金属膜層21より緩やかに漸減させることが好ましい。これは誘電体膜層22は光の反射率を抑えてゴースト現象を防止する特性を有するが、グラデーション領域20bの膜厚を金属膜層21と同様に薄くするとその成膜厚さがバラツキ易く、膜厚変化により反射率特性がバラ就く問題が生ずる。従って金属膜層21と誘電体膜層22の成膜厚さを異ならせるためにはマスク開口33を膜層毎に異ならせる必要がある。
【0046】
基板プレート10上に減光膜層20を複数層形成する際に、膜層毎にマスク開口を切換える成膜方法及び成膜装置について説明する。図4に示すように前述のチャンバ30内に設けられた回転ドラム31(基板ドラム;以下同様)は回転軸25に固定されている。この回転ドラム31には基板ホルダ45が装着されている。この基板ホルダ45は後述するように回転ドラム31に回転自在に軸支持されている。図示の基板ホルダ45には上下3枚の基板プレート10が装着され、この基板ホルダ45は支軸46a、46bを中心に表裏反転するようにドラム31に4個所取り付けられている。
【0047】
[基板ホルダの構成]
上述の基板ホルダ45は、図4に示すように複数(図示のものは3枚)の基板プレート10を固定支持しするように構成されている。この基板ホルダ45は、基板プレート10の周縁を表裏から挟持するように桟状のフレーム枠で構成されている。図示11はこのフレーム枠で形成された成膜開口であり、基板プレート10の表裏面にそれぞれ形成されている。この基板ホルダ45には基板プレート10の表裏に所定の間隔(例えば3mm乃至5mm)を隔ててマスク板33が装着されている。図示の表面側のマスク板と裏面側のマスク板は同一構造であるので以下単にマスク板33として説明する。
【0048】
上記マスク板33は、図4(a)に示すように基板プレート10に対して第1マスク開口33Aと第2マスク開口33Bが切り替わるように同図左右方向(矢示Y方向)に摺動可能に基板ホルダ45に支持されている。図示45cはマスク板33を摺動するための伝動ピンである。この伝動ピン45cをY方向に移動すると基板プレート10上に位置するマスク開口は第1マスク開口33Aから第2マスク開口33Bに切り替わるようになっている。この第1、第2マスク開口33A,33Bの成膜メカニズムについては前述した通りである。
【0049】
上記基板ホルダ45には上下端に支軸46a、46bが設けられ、この上下一対の支軸46a、46bで回転ドラム31に回転自在に軸承される。これは図4(b)に示すX軸を中心に回動することによって基板ホルダ45に装着された基板プレート10の表裏面を反転する為である。つまり同図実線の状態で基板プレート10は表面側10Aがドラム外周に露出し、X軸を中心に180度回転することにより基板プレート10は裏面側10Bがドラム外周に露出する。従って前述したターゲット32に基板プレート10の表裏面を切り換えて成膜することが可能となる。
【0050】
このため、上記支軸46a、46bは図5に示すように回転ドラム31の上下フランジ部に回動自在に軸支持され、下側支軸46bには反転ピニオン47が設けられ、このピニオンに後述するシフト手段(駆動機構)が連結されている。更に、この基板ホルダ45の反転支持機構を図6に従って説明すると、同図(a)に示すように回転ドラム31のフランジ部に支軸46aで回動自在に支持された基板ホルダ45は、この支軸46aを中心に同図矢印方向に回動すると同図(b)の状態に基板プレート10の裏面10Bがドラム外周に臨むこととなり、支軸46a、46bを中心に回転することによって基板プレート10は表面10A(同図(a)の状態)と裏面10B(同図(b)の状態)に反転する。
【0051】
[シフト手段の構成]
上記基板ホルダ45の基板プレート10を表裏反転するシフト手段について図5に従って説明する。前述のチャンバ30内に回転軸25を中心に回動自在に配置された回転ドラム31には駆動モータMが減速歯車を介して連結されている。この駆動モータMの回転は駆動ギア48に伝達され、この駆動ギア48を介して回転ドラム31に回転力が伝達される。この回転力の伝達は図7(a)に示すように伝動スリット48Sと駆動ピン48pで駆動ギア48の正逆回転が回転ドラム31に伝達するようになっている。つまり回転ドラム31に一体形成した駆動ピン48pが駆動ギア48に形成した伝動スリット48Sに嵌合している。このように駆動ギア48の回転を伝動スリット48Sで少許の遊動回転の後回転ドラム31に伝達するのは駆動ギア48の正逆転で基板ホルダ45を反転動するためである。そして上記駆動ギア48には前述の反転ピニオン47が歯合されている。
従って駆動モータMの回転で駆動ギア48が回転すると反転ピニオン47が従動回転する。この基板ホルダ45の支軸46bに連結した反転ピニオン47には図示しないトルクリミッタが内蔵され、基板ホルダ45が回転ドラム31に形成したストッパ31S(図7(a)参照)に突き当たった後はトルクリミッタの作用で反転ピニオン47は空転するようになっている。
【0052】
従って駆動ギア48を図7(a)で時計方向に回転すると基板ホルダ45に装着された基板プレート10は表面側がドラム外周方向に露出し、駆動ギア48を反時計方向に回転すると基板プレート10は裏面側がドラム外周方向に露出することとなる。そして駆動ギア48の回転は伝動スリット48Sの遊動回転の後、回転ドラム31を時計方向及び反時計方向に従動回転することなる。以上の説明から駆動モータMの正逆回転で基板プレート10の表裏面を反転し、その後回転ドラム31を正逆方向に回転する駆動機構が理解される。従って基板ホルダ45に装着された基板プレート10の表裏面を反転するシフト手段は駆動モータMと駆動ギア48と反転ピニオン47で構成されることとなる。
【0053】
[マスク開口の切換機構]
前述のようにマスク板33は基板ホルダ45に摺動可能に支持され、基板プレート10に対して第1マスク開口33Aと第2マスク開口33Bが切り替わるようになっている。そこでこのマスク板33を切り換える駆動機構について説明する。図5に示すように回転ドラム31の上端部にはマスク板33に一体形成した伝動ピン45cと係合する回転盤49が設けてある。この回転盤49は回転軸25に封止軸受け部材を介して取付けられ、その上端はチェンバ上壁部に突出している。そしてこの軸受け部材に一体成形された歯車49pにマスク切換モータM2が連結してある。従ってマスク切換モータM2で回転盤49は回転ドラム31の回転と分離して独立して回転するようになっている。
【0054】
そこで図7(b)に示すように回転盤49の円周端部には係合凹部49a、49bが設けられ、この係合凹部49はホルダ45に取付けられたマスク板33の伝動ピン45cと係合するようになっている。特に図示の回転盤49にはホルダに取付けられた表面側と裏面側、それぞれのマスク板33の伝動ピン45cと係合するように一対の係合凹部49a、49bが設けてある。従ってマスク切換モータM2で回転盤49を図7(b)の時計方向に回転すると第1マスク開口33Aが基板プレート10に対向し、反時計方向に回転すると第2マスク開口33Bがプレート10に対向する。これによって基板プレート10には第1マスク開口33Aで成膜する場合と第2マスク開口33Bで成膜する場合が選択可能となる。
【0055】
上述の第1、第2マスク開口33A、33Bと基板プレート10との間には前述した成膜ギャップdが形成されている。このため基板プレート10に、第1マスク開口33Aを対向させて成膜すると開口上端縁と下端縁にはグラデーション領域20bが形成され、第2マスク開口33Bを対向させて成膜するとグラデーション領域20bは形成されず均一膜厚の単濃度領域20aが形成されることとなる。
【0056】
[成膜方法の説明]
次に上述の成膜装置(スパッタ装置)で基板プレート10の表裏面に減光膜層20A、20Bを形成する手順について説明する。
【0057】
「基板セット工程」
まずチャンバ30を開放してターゲット物質32a、32b、32cをセットする(ターゲットセット)。これと同時に回転ドラム31から基板ホルダ45を取り外す。図示しないが基板ホルダ45の支軸46a、46bは回転ドラム31のフランジ部に着脱自在に軸承されている。そこでこの基板ホルダ45の支軸46a、46bを回転ドラム31の軸承部から取り外す。そしてチャンバ30の外部に取り出された基板ホルダ45に基板プレート10を装着して、再びこの基板ホルダ45を回転ドラム31に装着する。
【0058】
「表面成膜工程」
次にチャンバ30を所定の真空状態にする。チャンバ30内を真空状態にした後、各成膜エリアに動作ガス(アルゴンガスなど)を供給し、所定の成膜圧力に制御する。この動作ガス供給と前後して駆動モータMを回転駆動する。このとき駆動ギア48を図7時計方向に回転すると、この駆動ギアに結合した反転ピニオン47が反時計方向に回転し、基板ホルダ45は支軸46a、46bを中心に回転する。これによりホルダ45に装着された基板プレート10は表面側10Aがターゲット32に対向配置される。
【0059】
このように駆動ギア48は図7時計方向の回転で、まず基板ホルダ45を支軸46を中心に回転して基板プレート10の表面側10Aをターゲット32に対向配置する。そして基板ホルダ45がストッパ31Sに当接すると、その後は反転ピニオン47に内蔵されているトルクリミッタの滑り作用で基板ホルダ45は図7(a)の状態に保持される。そして駆動ギア48が所定量回転すると伝動スリット48Sが駆動ピン48pを時計方向に回転する。するとこの駆動ピン48pと一体の回転ドラム31も同方向に回転する。
【0060】
次に、回転ドラム31が所定の回転数に達した後、各成膜エリアのスパッタ電極35a、35bに交流電圧を印加する。するとこの電極に接続されたターゲット32に動作ガスが衝突し、ターゲット物質(金属イオン、誘電体イオン)が飛翔する。そこで基板プレート10の表面10Aに減光膜20Aが形成される。
【0061】
この基板プレート10の表面側10Aに減光膜層20Aを膜形成する際に、第1マスク開口33Aから第2マスク開口33Bに切り換える際には、マスク切換モータM2を起動する。すると歯車49pが回転し、回転盤49を図7反時計方向に回転する。すると回転盤49の係合凹部49a内に位置する伝動ピン33pが同図右方向に移動し、基板ホルダ45のマスク板33は第1マスク開口33Aから第2マスク開口33Bに移動する。これによって前述した誘電体膜厚さ(均一厚さ)と金属膜厚さ(漸減厚さ)を調整することが可能となる。
【0062】
「成膜面反転工程」
次に基板プレート10の裏面側10Bに膜形成する際には、スパッタ電極35a、35bへの印加電圧を停止する。これと同時に必要に応じて各成膜エリアへの動作ガスの供給を停止する。この状態で駆動モータMを先と反対方向(図7反時計方向)に回転する。すると駆動ギア48は同図反時計方向に回転する。この回転で駆動ギア48に歯合している反転ピニオン47は同図時計方向に回転し、この反転ピニオン47と一体の基板ホルダ45は支軸46a、46bを中心に回転する。すると基板ホルダ45は図6で説明したように反転し、基板プレート10の裏面側10Bがターゲット32に対向する。
【0063】
「裏面成膜工程」
そこで上述の表面側の成膜と同様に基板プレート10の裏面側に減光膜層を形成する。このときマスク開口の切換は上述の表面側と同様に行う。
【0064】
このように基板プレート10の表裏面にそれぞれ減光膜層を形成することにより、チャンバ30を開放することなく、同一の成膜雰囲気(同一バッチ)のなかで基板プレート10の表裏面に薄膜形成することが可能となる。
【0065】
[光量調整装置]
本発明に係わる光量調整装置Eは図8に示すように、基板40と、この基板40に形成された光路開口41に1枚若しくは複数枚の光量調整羽根42を開閉自在に配置する。そしてこの光量調整羽根42で光路開口41を通過する光量を大小調節する。図示のものは一対の羽根42a、42bで光量調整するように構成され、ぞれぞれの羽根には小絞り状態に光量調整するように狭窄部42x、42yが形成してある。そして一方の光量調整羽根42aには狭窄部42xにフィルタ43fが添着してある。このフィルタ43fは前述した基板プレート10上に成膜した単濃度領域20aとグラデーション領域20bをカットして形成されている。そして光路中心に向かうに従って光の透過率が高くなるように光量調整羽根42aに添着されている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係わる光学フィルタの構成を示し、(a)は基板上に形成された薄膜層の層構造を示し、(b)はその薄膜層とマスク開口との関係を示す説明図。
【図2】本発明に係わる成膜方法の概念説明図であり、(a)はターゲットから蒸着成分を飛翔させるモデル図、(b)は要部拡大図。
【図3】本発明に係わる蒸着装置の構造を示す説明図。
【図4】図1の装置に於ける基板プレートの装着状態を示し、(a)はドラムに装着したマスク板の切換状態の説明図、(b)は基板プレートを表裏反転する状態の説明図、(c)は基板ホルダの構成説明図。
【図5】図3の装置においてドラムに基板ホルダを装着した状態の説明図。
【図6】図3の装置においてドラムに装着した基板ホルダの表裏反転状態の説明図であり、(a)は基板プレートの表面側をターゲットに臨ませた状態を、(b)は基板プレートの裏面側をターゲットに臨ませた状態を示す。
【図7】(a)は図5の装置における基板ホルダを表裏反転する駆動機構の説明図、(b)は図5の装置においてマスク開口を切換える駆動機構の説明図。
【図8】図1の光学フィルタを用いた撮像光量調整装置の構成を示す斜視説明図。
【符号の説明】
【0067】
E 光量調整装置
d 成膜ギャップ
10 基板プレート(成膜ベース基材)
20 薄膜層
20a 単濃度領域
20b グラデーション領域
21 光吸収層(金属膜層)(21a、21b、21c)
22 中間層(誘電体膜層)(22a、22b、22c)
23 コーティング層
25 回転軸
30 チャンバ
31 基板装着体(回転ドラム)
32 ターゲット
33 マスク板
33A 第1マスク開口
33B 第2マスク開口
35 スパッタ電極(35a、35b)
40 基板
41 光路開口
42 光量調整羽根(42a、42b)
43 NDフィルタ(光学フィルタ)
47 反転ピニオン
48 駆動ギア
49 回転盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜チャンバ内でターゲットを動作ガスでスパッタリングして基板プレートの表裏面に減光膜層を形成する光学フィルタの成膜方法であって、
上記チャンバ内に回転自在に配置された基板ドラムに基板プレートを装着した基板ホルダをセットする基板セット工程と、
上記基板ドラムにセットされた基板プレートの表面に、上記基板ドラムを回転させながら上記ターゲットにスパッタ電圧を印加することによって膜形成する表面成膜工程と、
上記表面成膜工程の後、上記ターゲットにスパッタ電圧を印加しない状態で上記基板ホルダを回転させて上記基板プレートの裏面を上記ターゲットに対向配置する成膜面反転工程と、
上記基板プレートの表裏面を反転させた後、
上記基板ドラムを回転させながら上記ターゲットにスパッタ電圧を印加することによって上記基板プレートの裏面に膜形成する裏面成膜工程と、
を備え、基板プレートの表裏面に同一バッチでそれぞれ成膜することを特徴とする光学フィルタの成膜方法。
【請求項2】
前記表面成膜工程では、前記基板ドラムを正方向に回転し、
前記裏面成膜工程では、前記基板ドラムを逆方向に回転し、
前記成膜面反転工程では、上記基板ドラムの正逆回転方向で前記基板プレートホルダに固定された基板プレートの表裏面を反転することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタの成膜方法。
【請求項3】
前記基板プレートホルダには、マスク開口を有するマスク板が前記基板プレートとの間に所定の成膜ギャップを形成するように配置され、
前記基板プレートの表面及び/又は裏面に成膜する際に、上記成膜ギャップ内に生ずるスパッタ粒子の拡散で膜厚さが漸減するグラデーション層を形成することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタの成膜方法。
【請求項4】
前記マスク板は成膜形状が異なる2つ以上のマスク開口を有し、このマスク板は前記基板ホルダに位置移動可能に取付けられ、
前記基板プレートの表裏面には、膜厚さの異なる2層以上の成膜層が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルタの成膜方法。
【請求項5】
基板プレートと、
上記基板プレートの表裏面にそれぞれ形成された減光膜層と、
上記減光膜層は請求項1に記載の成膜方法で成膜されていることを特徴とする光学フィルタ。
【請求項6】
前記減光膜層は、積層状に形成された誘電体膜層と金属膜層とから構成され、
上記誘電体膜層は、誘電性物質からなるターゲットを動作ガスでスパッタリングして被膜形成した後、反応性ガスを照射して成膜され、
上記金属膜層は、金属物質からなるターゲットを動作ガスでスパッタリングして被膜形成され、
上記ターゲットをスパッタリングする際に、上記基板プレートとの間に所定の成膜ギャップを形成するマスク板の開口縁からのスパッタ粒子の拡散によって膜厚さが漸減するグラデーション層を有していることを特徴とする請求項5に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
撮像光路に配置され、撮像光量を調整する絞り羽根と、
上記絞り羽根に添着された光学フィルタと、
から構成され、
上記光学フィルタは請求項5又は6に記載の構成を備えていることを特徴とする撮像光量絞り装置。
【請求項8】
基板プレート上に減光特性を有する光学フィルタの製造装置であって、
成膜チャンバと、
上記成膜チャンバ内に回転自在に配置され、上記基板プレートをセットする基板ドラムと、
上記基板ドラムに上記基板プレートを装着する基板ホルダと、
上記成膜チャンバ内に設けられ上記基板ドラムの外周に複数区割された成膜エリアと、
上記成膜エリアに配置されターゲット物質をセットするターゲット設置台と、
上記成膜エリア内に動作ガスを供給する供給源と、
を備え、
上記基板ホルダは、
(1)上記基板プレートを装着した状態で表裏面に成膜開口を有する基板装着部と、
(2)上記基板装着部に装着された基板プレートが表裏反転するように上記基板ドラムに回転自在に軸支持する回転軸承部と、
とから構成され、
上記基板ホルダには上記基板装着部を表裏反転するシフト手段が設けられ、
上記基板プレートの表裏面に同一バッチでそれぞれ成膜することを特徴とする光学フィルタの製造装置。
【請求項9】
前記シフト手段は、前記基板ドラムの回転方向に従動して前記基板ホルダに装着された基板プレートが表裏反転するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項10】
前記基板ホルダには、前記基板装着部に装着された基板プレートに対して所定の成膜ギャップを形成するマスク板が備えられていることを特徴とする請求項8に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項11】
前記マスク板は、前記基板ドラムの周方向前後又は上下方向に並列に配置された第1のマスク開口と第2のマスク開口を有し、
このマスク板は前記基板装着部に装着された所定の基板プレートに対して、上記第1のマスク開口を対向させて成膜するか、上記第2のマスク開口を対向させて成膜するか選択可能に構成されていることを特徴とする光学フィルタの製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−155683(P2009−155683A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334061(P2007−334061)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】