光学フィルタ及び有機EL表示装置
【課題】外光反射による有機EL表示装置の画質低下を防ぐとともに、有機EL表示装置の高い輝度を維持することのできる光学フィルタと、当該フィルタを用いた有機EL表示装置とを提供すること。
【解決手段】本発明の光学フィルタ10は、有機EL素子20の観察側41に配置されるとともに、外方から機EL素子へ入射する光を吸収する。このうち有機EL素子20は、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層11と、発光層11の一側に配置されるとともに、発光層11に正孔を注入する電子注入電極13と、発光層11の他側に配置されるとともに、発光層11に電子を注入する正孔注入電極12とを有している。光学フィルタ10は、保持体31と、保持体31に保持され、一次元方向に平行に配置されるとともに、外方からの外光34を吸収する複数の光吸収部1とを備えている。
【解決手段】本発明の光学フィルタ10は、有機EL素子20の観察側41に配置されるとともに、外方から機EL素子へ入射する光を吸収する。このうち有機EL素子20は、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層11と、発光層11の一側に配置されるとともに、発光層11に正孔を注入する電子注入電極13と、発光層11の他側に配置されるとともに、発光層11に電子を注入する正孔注入電極12とを有している。光学フィルタ10は、保持体31と、保持体31に保持され、一次元方向に平行に配置されるとともに、外方からの外光34を吸収する複数の光吸収部1とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外方反射に起因する画質低下を防止し、高い輝度を維持することができる光学フィルタ及び有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず図13により、一般の有機EL表示装置50について述べる。図13に示すように、有機EL表示装置50は有機EL素子20を備えている。有機EL素子20は、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層11と、発光層11の観察側41に配置されるとともに、発光層11に正孔を注入する透明な正孔注入電極12と、発光層11の正孔注入電極12の反対側に配置されるとともに、発光層11に電子を注入する電子注入電極13とを備えている。
【0003】
また図13に示す有機EL素子20において、電子注入電極(背面電極)13は金属光沢を有する金属電極であり、そのため外光が反射する、いわゆる映り込みが生じ、この映り込みによって、有機EL表示装置50の画質低下が生じてしまうことがある。
【0004】
このため図13に示すように、偏光板62とλ/4板61から構成される円偏光板60を、透明な基板63を介して、有機EL素子20に設けることにより、外方からの外光35が反射して画質が低下することを防止している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機EL素子20に円偏光板60を設けると、有機EL素子20から発光する光36も50%以上をカットされてしまい、有機EL表示装置50の輝度が低下してしまう。
【0006】
この点、有機EL素子20の消費電力を高くして輝度の低下を防ぐことも考えられるが、消費電力を高くなると有機EL素子20の寿命が短くなってしまい、好ましくない。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、外光反射による有機EL表示装置の画質低下を防ぐとともに、有機EL表示装置の高い輝度を維持することができる光学フィルタ、及び当該光学フィルタを用いた有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子の観察側に配置され、外方から有機EL素子へ入射する外光を吸収する光学フィルタにおいて、保持体と、保持体に保持され、一次元方向に平行に配置されるとともに、外方からの外光を吸収する複数の光吸収部とを備えたことを特徴とする光学フィルタである。
【0009】
本発明は、保持体は、各光吸収部の一端を保持する基板からなることを特徴とする光学フィルタである。
【0010】
本発明は、基板は、有機EL素子の基板としても機能することを特徴とする光学フィルタである。
【0011】
本発明は、保持体に、光吸収部を外方から囲む外部樹脂層が設けられたことを特徴とする光学フィルタである。
【0012】
本発明は、保持体は、光吸収部の外方に配置されたフィルタ本体からなることを特徴とする光学フィルタである。
【0013】
本発明は、光吸収部は、フィルタ本体の観察側に配置されていることを特徴とする光学フィルタである。
【0014】
本発明は、光吸収部は、有機EL素子に対して垂直な方向の側断面が、観察側を短辺とし、有機EL素子側を長辺とする台形からなることを特徴とする光学フィルタである。
【0015】
本発明は、光吸収部と有機EL素子との間に、光を拡散する光拡散層を設けたことを特徴とする光学フィルタである。
【0016】
本発明は、光吸収部と、光拡散層とが一体に成形されていることを特徴とする光学フィルタである。
【0017】
本発明は、光吸収部の屈折率は、光吸収部を囲む外部の屈折率よりも小さいことを特徴とする光学フィルタである。
【0018】
本発明は、上述の光学フィルタと、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子と、を備えたことを特徴とする有機EL表示装置である。
【0019】
本発明は、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子と、当該有機EL素子に一端で保持される複数の光吸収部と、を備えたことを特徴とする有機EL表示装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、保持体に、一次元方向に平行になった複数の光吸収部が保持されているので、この光吸収部により外方からの光を吸収することができる。このため、外光反射による有機EL表示装置の画質低下を防ぐとともに、有機EL表示装置の高い輝度を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る有機EL表示装置50の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図6は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0022】
図1(a)(b)に示すように、本実施の形態の有機EL表示装置50は、平板状の有機EL素子20と、有機EL素子20の観察側41に配置されるとともに、外方から有機EL素子20へ入射する外光35を吸収する光学フィルタ10とを備えている。
【0023】
このうち有機EL素子20は、図1(a)(b)に示すように、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層11と、発光層11の観察側41に配置されるとともに、発光層11に正孔を注入する透明な正孔注入電極12と、発光層11の正孔注入電極12と反対側に配置されるとともに、発光層11に電子を注入する電子注入電極13とを有している。
【0024】
また、光学フィルタ10は、図1(a)(b)に示すように、平板状保持体31と、保持体31により一端が保持され、有機EL素子20に対して直交する方向、すなわち有機EL素子20の画素(図示せず)の配置方向に直交する方向に延びるとともに、外方からの外光35を吸収する複数の光吸収部1と、保持体31に設けられ光吸収部1を外方から囲む外部樹脂層4とを有している。この場合、保持体31は有機EL素子20の基板31としても機能するが、有機EL素子20と別個独立して設けてもよい。なお、有機EL素子20の画素の配置方向に直交する光吸収部1の配置方向は、一次元方向となる。
【0025】
上記各構成部分のうち、各光吸収部1は、図1(a)(b)に示すように、有機EL素子20に垂直な方向への側断面が、観察側41を短辺1aとし、有機EL素子20側を長辺1bとする台形からなっている。
【0026】
また図1(a)(b)において、光吸収部1の屈折率は、光吸収部1を囲む外部樹脂層4の屈折率よりも小さくなっている。
【0027】
また図1(a)(b)に示すように、有機EL素子20の内部には、有機EL素子20の基板31上に、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cが配置されている。
【0028】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0029】
従来の光学フィルタ10は、外方から入射する外光35を偏光板62とλ/4板61から構成される円偏光板60によって遮断する(図13参照)。これに対して本発明によれば、光学フィルタ10は、図1(a)(b)に示すように、有機EL素子20の観察側41に、有機EL素子20に対して直交する方向に延びる複数の光吸収部1を有するので、この光吸収部1によって、外方から入射する外光35を吸収することができる。この場合、光学フィルタ10の各光吸収部1は、互いに並列に複数配置されている。
【0030】
このため、有機EL素子20から発光される光36が必要以上に遮断されることなく、光の映り込みによる画質低下を防ぐことができる。
【0031】
ここで光が屈折する際の入射角と出射角との関係について、図2(a)(b)を参照して、更に説明する。図2(a)(b)に示すように、光が屈折する際、その入射角と出射角との関係はスネルの法則に従い、入射角をθ1、出射角をθ2、入射側媒質の屈折率をn1、出射側の屈折率n2(n2<n1)とすると、n1sinθ1= n2sinθ2となる。このため、入射角θ1を所定の角度以上にすると、図2(b)に示すように出射角θ2が90°になり、出射光は全反射するようになる。
【0032】
本実施の形態においては、図1(a)(b)に示すように、光吸収部1の有機EL素子20に垂直な方向の側断面が、観察側41を短辺1aとし、有機EL素子20側を長辺1bとする台形になっており、かつ光吸収部1表面の屈折率が、光吸収部1を囲む外部樹脂層4の屈折率よりも小さくなっていることから、有機EL素子20から発光される光36が光吸収部1で全反射する割合を、有機EL素子20へと入射する外方からの外光35の光吸収部1で全反射する割合よりも大きくすることができる。
【0033】
このため、光吸収部1によって外方からの外光35を効果的に吸収して有機EL表示装置50の画質の低下を防止することができ、かつ有機EL素子20から発光される光36を光吸収部1によって全反射することができる。このようにして、有機EL表示装置50の高い輝度を維持することができる。
【0034】
なお、図3に示すように、光吸収部1の周りから外部樹脂層4を取り除くこともでき、このような構成をとることによって、有機EL表示装置50の厚みTを薄くすることができる。また、外部樹脂層4を設けなる必要が無くなるので、有機EL表示装置50の製造コストを削減することができる。
【0035】
次に本実施の形態のへ変形例について図4乃至図6を用いて説明する。
【0036】
変形例1−1
図4により本発明の第1の実施の形態における変形例1−1について説明する。図4に示す変形例1−1は、光吸収部1と、有機EL素子20の基板31としても機能する保持体31との間に、光吸収部1と一体に成形された光を拡散する光拡散層8を設けたものであり、他は図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0037】
図4に示す第1の実施の形態における変形例1−1において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0038】
図4に示すように光吸収部1と保持体31との間に、光拡散層8を設けることにより、有機EL素子20からの発光される光36が、光拡散層8内を幅広く広がる。このため、有機EL素子20から一様な強さの光を発光することができる。
【0039】
また、図4に示すように、光吸収部1と光拡散層8とが一体となって成形されているため、光学フィルタ10の製造工程を少なくすることができる。
【0040】
変形例1−2
次に、図5及び図6により本発明の第1の実施の形態における変形例1−2について説明する。図5に示す変形例1−2は、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b,5cの各々を、保持体31の有機EL素子20側表面に設ける代わりに、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b,5cを保持体31内部の観察側41に設けたものであり、他は図1及び図2に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0041】
図5及び図6に示す第1の実施の形態における変形例1−2において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図5に示すように、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cは各々、保持体31内部の観察側41に設けられているため、保持体31からカラーフィルタ5a,5b、5cが突出することはない。このため有機EL表示装置50の厚みTを薄くすることができる。
【0043】
なお、図6に示すように、光吸収部1の周りから外部樹脂層4を取り除くこともでき、このような構成をとることによって、有機EL表示装置50の厚みTを小さくすることができる。また、外部樹脂層4を設ける必要がなくなるので、有機EL表示装置50の製造コストを削減することができる。
【0044】
第2の実施の形態
次に、図7により本発明の第2の実施の形態について説明する。図7に示す第2の実施の形態において、光学フィルタ10は観察側41に設けられた保持体(光学フィルタ基板)33と、保持体33に保持され、有機EL素子20に対して直交する方向に延びる複数の光吸収部1と、光吸収部1の有機EL素子20側に設けられた基板31とを有している。このうち基板31は、有機EL素子20の基板31として機能する。また保持体33と、基板31との間には光吸収部1を外方から囲む外部樹脂層4が設けられている。他の構成は図5に示す第1の実施の形態の変形例1−2と略同一である。
【0045】
また図7に示すように、本実施の形態においては、光吸収部1の有機EL素子20に垂直な方向への側断面は、長方形となっている。
【0046】
図7に示す第2の実施の形態において、図5に示す第1の実施の形態の変形例1−2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
図7に示すように、光吸収部1を設けた保持体33が観察側41に設けられているため、光吸収部1を観察側41により近い位置に配置することができる。このため、光吸収部1によって外方からの外光35を効率よく吸収することができ、有機EL素子20の画質低下を、より確実に防ぐことができる。また基板31内の観察側41側には、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cが設けられている。
【0048】
なお、図8に示すように、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cを各々、基板31内に設ける代わりに、基板31を取り除くとともに、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cを外部樹脂層4内部の観察側41に設けてもよい。このように基板31を取り除くことによって、有機EL表示装置50の全体の厚みTを薄くすることができる。
【0049】
第3の実施の形態
次に図9により本発明の第3の実施の形態について説明する。図9に示す第3の実施の形態において、光学フィルタ10は、観察側41に設けられた保持体(光学フィルタ本体)32と、保持体32内に保持され、有機EL素子20に対して直交する方向に延びる複数の光吸収部1と、光吸収部1の有機EL素子20側に設けられた基板31とを有している。このうち基板31は、有機EL素子20の基板31として機能する。図9において、保持体32の観察側41に開口部17が設けられ、各光吸収部1は、当該開口部17内に保持されている。他の構成は図5に示す第1の実施の形態の変形例1−2と略同一である。
【0050】
図9に示す第3の実施の形態において、図5に示す第1の実施の形態の変形例1−2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
図9に示すように、光学フィルタ本体32内の開口部17は、有機EL素子20に垂直な方向の側断面が、観察側41を短辺17aとし、有機EL素子20側を長辺17bとする台形形状をしている。
【0052】
また図9に示すように、基板31内の観察側には、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cが設けられている。
【0053】
図9において、保持体32に、観察側41を短辺17aとし、有機EL素子20側を長辺17bとする開口部17を設ける。その後、光吸収部1の材料を開口部17に流し込んで、固めることにより、有機EL素子20に垂直な方向の側断面が、観察側41を短辺1aとし、有機EL素子20側を長辺1bとする台形からなる光吸収部1を、保持体32内に容易かつ確実に設けることができる。
【0054】
なお、保持体32の素材としてはガラスなど、開口部17の形状を一定に保つことができるものを用いることが好ましい。
【0055】
また、図10に示すように、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cを各々、基板31内に設ける代わりに、外部樹脂層4内部の観察側41に設け、基板31を取り除いてもよい。このように基板31を取り除くことによって、有機EL表示装置50の全体の厚みTを薄くすることができる。
【0056】
第4の実施の形態
次に図11により本発明の第4の実施の形態について説明する。図11に示す第4の実施の形態における有機EL表示装置50は、発光層11と、発光層の一側に配置された正孔注入電極12と、発光層11の他側に配置された電子注入電極13とを有する有機EL素子20と、有機EL素子20の正孔注入電極12側に設けられた光学フィルタ10とを備えている。このうち光学フィルタ10は、正孔注入電極12の側面18に光吸収部1を外方から囲む外部樹脂層4を有している。他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cは各々、外部樹脂層4内部の観察側41に設けられている。
【0057】
図11に示す第4の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
図11に示すように、有機EL素子20の正孔注入電極12側の側面18に光吸収部1を設けて、有機EL素子20の基板31及び光学フィルタ基板33を取り除くことにより、有機EL表示装置50の厚みTを小さくすることができる。また、有機EL素子20の基板31や光学フィルタ基板33を設ける必要がないので、製造コストを削減することができる。
【0059】
また図12に示すように、光吸収部1の周りから外部樹脂層4取り除くこともできる。このような構成をとることにより、外部樹脂層4を設ける必要がないので有機EL表示装置50の厚みTを小さくすることができ、かつ有機EL表示装置50の製造コストを削減することができる。
【0060】
なお、図1乃至図12に示す上述した各実施の形態においては、白色発光する発色層11を用い、当該発色層11から発色する白色の光を、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b,5cによって色をつけるカラーフィルタ方式の有機EL表示装置50を示したが、これに限らず、発色層11が各々、青色、緑色及び赤色の異なる色に発色する独立発光方式の有機EL表示装置50や、青色に発光する発色層11を用いて、青色についてはカラーフィルタ5aを通さず、緑色及び赤色については緑色及び赤色のカラーフィルタ5b,5cを通して青色の光に色を付ける色変換方式の有機EL表示装置50を用いても良い。
【0061】
また、上述した各実施の形態においては、有機EL素子20の正孔注入電極12側から発光するボトムエミッション型の有機EL表示装置50を示したが、これに限らず、有機EL素子20の電子注入電極13側から発光するトップエミッション型の有機EL表示装置50を用いても良い。このようなトップエミッション型の有機EL表示装置50を用いることにより、有機EL表示装置50の輝度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態を示す概略断面図。
【図2】スネルの法則を説明する概略図。
【図3】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態において、外部樹脂層を取り除いた態様を示す概略断面図。
【図4】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態の変形例1−1を示す概略断面図。
【図5】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態の変形例1−2を示す概略断面図。
【図6】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態の変形例1−2において、外部樹脂層を取り除いた態様を示す概略断面図。
【図7】本発明による光学フィルタの第2の実施の形態を示す概略断面図。
【図8】本発明による光学フィルタの第2の実施の形態において、カラーフィルタを外部樹脂層に配置した態様を示す概略断面図。
【図9】本発明による有機EL表示装置の第3の実施の形態を示す概略断面図。
【図10】本発明による有機EL表示装置の第3の実施の形態において、カラーフィルタをフィルタ本体に配置した態様を示す概略断面図。
【図11】本発明による有機EL表示装置の第4の実施の形態を示す概略断面図。
【図12】本発明による有機EL表示装置の第4の実施の形態において、外部樹脂層とカラーフィルタを取り除いた態様を示す概略断面図。
【図13】従来の有機EL表示装置を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0063】
1 光吸収部
4 外部樹脂層
8 光拡散層
10 光学フィルタ
11 発光層
12 正孔注入電極
13 電子注入電極
20 有機EL素子
31 有機EL素子の基板
32 フィルタ本体
33 光学フィルタ基板
41 観察側
50 有機EL表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、外方反射に起因する画質低下を防止し、高い輝度を維持することができる光学フィルタ及び有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず図13により、一般の有機EL表示装置50について述べる。図13に示すように、有機EL表示装置50は有機EL素子20を備えている。有機EL素子20は、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層11と、発光層11の観察側41に配置されるとともに、発光層11に正孔を注入する透明な正孔注入電極12と、発光層11の正孔注入電極12の反対側に配置されるとともに、発光層11に電子を注入する電子注入電極13とを備えている。
【0003】
また図13に示す有機EL素子20において、電子注入電極(背面電極)13は金属光沢を有する金属電極であり、そのため外光が反射する、いわゆる映り込みが生じ、この映り込みによって、有機EL表示装置50の画質低下が生じてしまうことがある。
【0004】
このため図13に示すように、偏光板62とλ/4板61から構成される円偏光板60を、透明な基板63を介して、有機EL素子20に設けることにより、外方からの外光35が反射して画質が低下することを防止している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機EL素子20に円偏光板60を設けると、有機EL素子20から発光する光36も50%以上をカットされてしまい、有機EL表示装置50の輝度が低下してしまう。
【0006】
この点、有機EL素子20の消費電力を高くして輝度の低下を防ぐことも考えられるが、消費電力を高くなると有機EL素子20の寿命が短くなってしまい、好ましくない。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、外光反射による有機EL表示装置の画質低下を防ぐとともに、有機EL表示装置の高い輝度を維持することができる光学フィルタ、及び当該光学フィルタを用いた有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子の観察側に配置され、外方から有機EL素子へ入射する外光を吸収する光学フィルタにおいて、保持体と、保持体に保持され、一次元方向に平行に配置されるとともに、外方からの外光を吸収する複数の光吸収部とを備えたことを特徴とする光学フィルタである。
【0009】
本発明は、保持体は、各光吸収部の一端を保持する基板からなることを特徴とする光学フィルタである。
【0010】
本発明は、基板は、有機EL素子の基板としても機能することを特徴とする光学フィルタである。
【0011】
本発明は、保持体に、光吸収部を外方から囲む外部樹脂層が設けられたことを特徴とする光学フィルタである。
【0012】
本発明は、保持体は、光吸収部の外方に配置されたフィルタ本体からなることを特徴とする光学フィルタである。
【0013】
本発明は、光吸収部は、フィルタ本体の観察側に配置されていることを特徴とする光学フィルタである。
【0014】
本発明は、光吸収部は、有機EL素子に対して垂直な方向の側断面が、観察側を短辺とし、有機EL素子側を長辺とする台形からなることを特徴とする光学フィルタである。
【0015】
本発明は、光吸収部と有機EL素子との間に、光を拡散する光拡散層を設けたことを特徴とする光学フィルタである。
【0016】
本発明は、光吸収部と、光拡散層とが一体に成形されていることを特徴とする光学フィルタである。
【0017】
本発明は、光吸収部の屈折率は、光吸収部を囲む外部の屈折率よりも小さいことを特徴とする光学フィルタである。
【0018】
本発明は、上述の光学フィルタと、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子と、を備えたことを特徴とする有機EL表示装置である。
【0019】
本発明は、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子と、当該有機EL素子に一端で保持される複数の光吸収部と、を備えたことを特徴とする有機EL表示装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、保持体に、一次元方向に平行になった複数の光吸収部が保持されているので、この光吸収部により外方からの光を吸収することができる。このため、外光反射による有機EL表示装置の画質低下を防ぐとともに、有機EL表示装置の高い輝度を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る有機EL表示装置50の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図6は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0022】
図1(a)(b)に示すように、本実施の形態の有機EL表示装置50は、平板状の有機EL素子20と、有機EL素子20の観察側41に配置されるとともに、外方から有機EL素子20へ入射する外光35を吸収する光学フィルタ10とを備えている。
【0023】
このうち有機EL素子20は、図1(a)(b)に示すように、正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層11と、発光層11の観察側41に配置されるとともに、発光層11に正孔を注入する透明な正孔注入電極12と、発光層11の正孔注入電極12と反対側に配置されるとともに、発光層11に電子を注入する電子注入電極13とを有している。
【0024】
また、光学フィルタ10は、図1(a)(b)に示すように、平板状保持体31と、保持体31により一端が保持され、有機EL素子20に対して直交する方向、すなわち有機EL素子20の画素(図示せず)の配置方向に直交する方向に延びるとともに、外方からの外光35を吸収する複数の光吸収部1と、保持体31に設けられ光吸収部1を外方から囲む外部樹脂層4とを有している。この場合、保持体31は有機EL素子20の基板31としても機能するが、有機EL素子20と別個独立して設けてもよい。なお、有機EL素子20の画素の配置方向に直交する光吸収部1の配置方向は、一次元方向となる。
【0025】
上記各構成部分のうち、各光吸収部1は、図1(a)(b)に示すように、有機EL素子20に垂直な方向への側断面が、観察側41を短辺1aとし、有機EL素子20側を長辺1bとする台形からなっている。
【0026】
また図1(a)(b)において、光吸収部1の屈折率は、光吸収部1を囲む外部樹脂層4の屈折率よりも小さくなっている。
【0027】
また図1(a)(b)に示すように、有機EL素子20の内部には、有機EL素子20の基板31上に、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cが配置されている。
【0028】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0029】
従来の光学フィルタ10は、外方から入射する外光35を偏光板62とλ/4板61から構成される円偏光板60によって遮断する(図13参照)。これに対して本発明によれば、光学フィルタ10は、図1(a)(b)に示すように、有機EL素子20の観察側41に、有機EL素子20に対して直交する方向に延びる複数の光吸収部1を有するので、この光吸収部1によって、外方から入射する外光35を吸収することができる。この場合、光学フィルタ10の各光吸収部1は、互いに並列に複数配置されている。
【0030】
このため、有機EL素子20から発光される光36が必要以上に遮断されることなく、光の映り込みによる画質低下を防ぐことができる。
【0031】
ここで光が屈折する際の入射角と出射角との関係について、図2(a)(b)を参照して、更に説明する。図2(a)(b)に示すように、光が屈折する際、その入射角と出射角との関係はスネルの法則に従い、入射角をθ1、出射角をθ2、入射側媒質の屈折率をn1、出射側の屈折率n2(n2<n1)とすると、n1sinθ1= n2sinθ2となる。このため、入射角θ1を所定の角度以上にすると、図2(b)に示すように出射角θ2が90°になり、出射光は全反射するようになる。
【0032】
本実施の形態においては、図1(a)(b)に示すように、光吸収部1の有機EL素子20に垂直な方向の側断面が、観察側41を短辺1aとし、有機EL素子20側を長辺1bとする台形になっており、かつ光吸収部1表面の屈折率が、光吸収部1を囲む外部樹脂層4の屈折率よりも小さくなっていることから、有機EL素子20から発光される光36が光吸収部1で全反射する割合を、有機EL素子20へと入射する外方からの外光35の光吸収部1で全反射する割合よりも大きくすることができる。
【0033】
このため、光吸収部1によって外方からの外光35を効果的に吸収して有機EL表示装置50の画質の低下を防止することができ、かつ有機EL素子20から発光される光36を光吸収部1によって全反射することができる。このようにして、有機EL表示装置50の高い輝度を維持することができる。
【0034】
なお、図3に示すように、光吸収部1の周りから外部樹脂層4を取り除くこともでき、このような構成をとることによって、有機EL表示装置50の厚みTを薄くすることができる。また、外部樹脂層4を設けなる必要が無くなるので、有機EL表示装置50の製造コストを削減することができる。
【0035】
次に本実施の形態のへ変形例について図4乃至図6を用いて説明する。
【0036】
変形例1−1
図4により本発明の第1の実施の形態における変形例1−1について説明する。図4に示す変形例1−1は、光吸収部1と、有機EL素子20の基板31としても機能する保持体31との間に、光吸収部1と一体に成形された光を拡散する光拡散層8を設けたものであり、他は図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0037】
図4に示す第1の実施の形態における変形例1−1において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0038】
図4に示すように光吸収部1と保持体31との間に、光拡散層8を設けることにより、有機EL素子20からの発光される光36が、光拡散層8内を幅広く広がる。このため、有機EL素子20から一様な強さの光を発光することができる。
【0039】
また、図4に示すように、光吸収部1と光拡散層8とが一体となって成形されているため、光学フィルタ10の製造工程を少なくすることができる。
【0040】
変形例1−2
次に、図5及び図6により本発明の第1の実施の形態における変形例1−2について説明する。図5に示す変形例1−2は、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b,5cの各々を、保持体31の有機EL素子20側表面に設ける代わりに、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b,5cを保持体31内部の観察側41に設けたものであり、他は図1及び図2に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0041】
図5及び図6に示す第1の実施の形態における変形例1−2において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図5に示すように、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cは各々、保持体31内部の観察側41に設けられているため、保持体31からカラーフィルタ5a,5b、5cが突出することはない。このため有機EL表示装置50の厚みTを薄くすることができる。
【0043】
なお、図6に示すように、光吸収部1の周りから外部樹脂層4を取り除くこともでき、このような構成をとることによって、有機EL表示装置50の厚みTを小さくすることができる。また、外部樹脂層4を設ける必要がなくなるので、有機EL表示装置50の製造コストを削減することができる。
【0044】
第2の実施の形態
次に、図7により本発明の第2の実施の形態について説明する。図7に示す第2の実施の形態において、光学フィルタ10は観察側41に設けられた保持体(光学フィルタ基板)33と、保持体33に保持され、有機EL素子20に対して直交する方向に延びる複数の光吸収部1と、光吸収部1の有機EL素子20側に設けられた基板31とを有している。このうち基板31は、有機EL素子20の基板31として機能する。また保持体33と、基板31との間には光吸収部1を外方から囲む外部樹脂層4が設けられている。他の構成は図5に示す第1の実施の形態の変形例1−2と略同一である。
【0045】
また図7に示すように、本実施の形態においては、光吸収部1の有機EL素子20に垂直な方向への側断面は、長方形となっている。
【0046】
図7に示す第2の実施の形態において、図5に示す第1の実施の形態の変形例1−2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
図7に示すように、光吸収部1を設けた保持体33が観察側41に設けられているため、光吸収部1を観察側41により近い位置に配置することができる。このため、光吸収部1によって外方からの外光35を効率よく吸収することができ、有機EL素子20の画質低下を、より確実に防ぐことができる。また基板31内の観察側41側には、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cが設けられている。
【0048】
なお、図8に示すように、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cを各々、基板31内に設ける代わりに、基板31を取り除くとともに、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cを外部樹脂層4内部の観察側41に設けてもよい。このように基板31を取り除くことによって、有機EL表示装置50の全体の厚みTを薄くすることができる。
【0049】
第3の実施の形態
次に図9により本発明の第3の実施の形態について説明する。図9に示す第3の実施の形態において、光学フィルタ10は、観察側41に設けられた保持体(光学フィルタ本体)32と、保持体32内に保持され、有機EL素子20に対して直交する方向に延びる複数の光吸収部1と、光吸収部1の有機EL素子20側に設けられた基板31とを有している。このうち基板31は、有機EL素子20の基板31として機能する。図9において、保持体32の観察側41に開口部17が設けられ、各光吸収部1は、当該開口部17内に保持されている。他の構成は図5に示す第1の実施の形態の変形例1−2と略同一である。
【0050】
図9に示す第3の実施の形態において、図5に示す第1の実施の形態の変形例1−2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
図9に示すように、光学フィルタ本体32内の開口部17は、有機EL素子20に垂直な方向の側断面が、観察側41を短辺17aとし、有機EL素子20側を長辺17bとする台形形状をしている。
【0052】
また図9に示すように、基板31内の観察側には、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cが設けられている。
【0053】
図9において、保持体32に、観察側41を短辺17aとし、有機EL素子20側を長辺17bとする開口部17を設ける。その後、光吸収部1の材料を開口部17に流し込んで、固めることにより、有機EL素子20に垂直な方向の側断面が、観察側41を短辺1aとし、有機EL素子20側を長辺1bとする台形からなる光吸収部1を、保持体32内に容易かつ確実に設けることができる。
【0054】
なお、保持体32の素材としてはガラスなど、開口部17の形状を一定に保つことができるものを用いることが好ましい。
【0055】
また、図10に示すように、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cを各々、基板31内に設ける代わりに、外部樹脂層4内部の観察側41に設け、基板31を取り除いてもよい。このように基板31を取り除くことによって、有機EL表示装置50の全体の厚みTを薄くすることができる。
【0056】
第4の実施の形態
次に図11により本発明の第4の実施の形態について説明する。図11に示す第4の実施の形態における有機EL表示装置50は、発光層11と、発光層の一側に配置された正孔注入電極12と、発光層11の他側に配置された電子注入電極13とを有する有機EL素子20と、有機EL素子20の正孔注入電極12側に設けられた光学フィルタ10とを備えている。このうち光学フィルタ10は、正孔注入電極12の側面18に光吸収部1を外方から囲む外部樹脂層4を有している。他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b、5cは各々、外部樹脂層4内部の観察側41に設けられている。
【0057】
図11に示す第4の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
図11に示すように、有機EL素子20の正孔注入電極12側の側面18に光吸収部1を設けて、有機EL素子20の基板31及び光学フィルタ基板33を取り除くことにより、有機EL表示装置50の厚みTを小さくすることができる。また、有機EL素子20の基板31や光学フィルタ基板33を設ける必要がないので、製造コストを削減することができる。
【0059】
また図12に示すように、光吸収部1の周りから外部樹脂層4取り除くこともできる。このような構成をとることにより、外部樹脂層4を設ける必要がないので有機EL表示装置50の厚みTを小さくすることができ、かつ有機EL表示装置50の製造コストを削減することができる。
【0060】
なお、図1乃至図12に示す上述した各実施の形態においては、白色発光する発色層11を用い、当該発色層11から発色する白色の光を、青色、緑色及び赤色のカラーフィルタ5a,5b,5cによって色をつけるカラーフィルタ方式の有機EL表示装置50を示したが、これに限らず、発色層11が各々、青色、緑色及び赤色の異なる色に発色する独立発光方式の有機EL表示装置50や、青色に発光する発色層11を用いて、青色についてはカラーフィルタ5aを通さず、緑色及び赤色については緑色及び赤色のカラーフィルタ5b,5cを通して青色の光に色を付ける色変換方式の有機EL表示装置50を用いても良い。
【0061】
また、上述した各実施の形態においては、有機EL素子20の正孔注入電極12側から発光するボトムエミッション型の有機EL表示装置50を示したが、これに限らず、有機EL素子20の電子注入電極13側から発光するトップエミッション型の有機EL表示装置50を用いても良い。このようなトップエミッション型の有機EL表示装置50を用いることにより、有機EL表示装置50の輝度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態を示す概略断面図。
【図2】スネルの法則を説明する概略図。
【図3】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態において、外部樹脂層を取り除いた態様を示す概略断面図。
【図4】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態の変形例1−1を示す概略断面図。
【図5】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態の変形例1−2を示す概略断面図。
【図6】本発明による有機EL表示装置の第1の実施の形態の変形例1−2において、外部樹脂層を取り除いた態様を示す概略断面図。
【図7】本発明による光学フィルタの第2の実施の形態を示す概略断面図。
【図8】本発明による光学フィルタの第2の実施の形態において、カラーフィルタを外部樹脂層に配置した態様を示す概略断面図。
【図9】本発明による有機EL表示装置の第3の実施の形態を示す概略断面図。
【図10】本発明による有機EL表示装置の第3の実施の形態において、カラーフィルタをフィルタ本体に配置した態様を示す概略断面図。
【図11】本発明による有機EL表示装置の第4の実施の形態を示す概略断面図。
【図12】本発明による有機EL表示装置の第4の実施の形態において、外部樹脂層とカラーフィルタを取り除いた態様を示す概略断面図。
【図13】従来の有機EL表示装置を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0063】
1 光吸収部
4 外部樹脂層
8 光拡散層
10 光学フィルタ
11 発光層
12 正孔注入電極
13 電子注入電極
20 有機EL素子
31 有機EL素子の基板
32 フィルタ本体
33 光学フィルタ基板
41 観察側
50 有機EL表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子の観察側に配置され、外方から有機EL素子へ入射する外光を吸収する光学フィルタにおいて、
保持体と、
保持体に保持され、少なくとも一次元方向に平行に配置されるとともに、外方からの光を吸収する複数の光吸収部とを備えたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
保持体は、各光吸収部の一端を保持する基板からなることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項3】
基板は、有機EL素子の基板としても機能することを特徴とする請求項2記載の光学フィルタ。
【請求項4】
保持体に、光吸収部を外方から囲む外部樹脂層が設けられたことを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項5】
保持体は、光吸収部の外方に配置されたフィルタ本体からなることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項6】
光吸収部は、フィルタ本体の観察側に配置されていることを特徴とする請求項5記載の光学フィルタ。
【請求項7】
光吸収部は、有機EL素子に対して垂直な方向の側断面が、観察側を短辺とし、有機EL素子側を長辺とする台形からなることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項8】
光吸収部と有機EL素子との間に、光を拡散する光拡散層を設けたことを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項9】
光吸収部と、光拡散層とが一体に成形されていることを特徴とする請求項8記載の光学フィルタ。
【請求項10】
光吸収部の屈折率は、光吸収部を囲む外部の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の光学フィルタと、
正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子と、
を備えたことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項12】
正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子と、
当該有機EL素子に一端で保持される複数の光吸収部と、
を備えたことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項1】
正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子の観察側に配置され、外方から有機EL素子へ入射する外光を吸収する光学フィルタにおいて、
保持体と、
保持体に保持され、少なくとも一次元方向に平行に配置されるとともに、外方からの光を吸収する複数の光吸収部とを備えたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
保持体は、各光吸収部の一端を保持する基板からなることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項3】
基板は、有機EL素子の基板としても機能することを特徴とする請求項2記載の光学フィルタ。
【請求項4】
保持体に、光吸収部を外方から囲む外部樹脂層が設けられたことを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項5】
保持体は、光吸収部の外方に配置されたフィルタ本体からなることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項6】
光吸収部は、フィルタ本体の観察側に配置されていることを特徴とする請求項5記載の光学フィルタ。
【請求項7】
光吸収部は、有機EL素子に対して垂直な方向の側断面が、観察側を短辺とし、有機EL素子側を長辺とする台形からなることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項8】
光吸収部と有機EL素子との間に、光を拡散する光拡散層を設けたことを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項9】
光吸収部と、光拡散層とが一体に成形されていることを特徴とする請求項8記載の光学フィルタ。
【請求項10】
光吸収部の屈折率は、光吸収部を囲む外部の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の光学フィルタと、
正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子と、
を備えたことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項12】
正孔と電子とが再結合することにより発光する発光層と、発光層の一側に配置されるとともに、発光層に正孔を注入する正孔注入電極と、発光層の他側に配置されるとともに、発光層に電子を注入する電子注入電極とを有する有機EL素子と、
当該有機EL素子に一端で保持される複数の光吸収部と、
を備えたことを特徴とする有機EL表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−149527(P2007−149527A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343546(P2005−343546)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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