説明

光学フィルタ

【課題】微小光学フィルタの構成および製作に対する新たな方法を提案する。
【解決手段】交互になる屈折率の複数層(スロットおよび基板の薄層)を画定するように、複数の平行スロットが形成されている基板1によって光学干渉フィルタ2が提供される。図示したように、本フィルタは、スロットと基板薄層が交互になった2つのミラー群の間に、中央ファブリペロー共振器スロットキャビティ3を有し、両側のV溝6に収容された光ファイバ7に結合される。調節のために、一方のミラー群5が、矢印Aの方向に移動されることができ、あるいは、中央共振器が基板材料によって与えられる場合は、その温度を変えることによる。1つまたは複数のさらなるファブリペローフィルタが基板に形成されて、フィルタ2に結合されることもできる。本発明は、非共振フィルタを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
通信システムにおける波長分割多重方式(WDM)の利用を支えるための新たな装置に対する要件は、増え続けている。そのようなシステムでは、データは、半導体レーザによって発生されて光導電センサまたは光電池センサによって検出される、光パルスのストリームとして送信される。概して、システムのメッセージ搬送能力は、ファイバの伝搬特性、様々な通信チャンネルを形成するように伝搬する光の離散した波長の数、およびいくつかのメッセージが単一の通信波長で組み合わされるのを可能にする時分割多重化技術の有効性によって決定される。
【背景技術】
【0002】
従来では、例えばアド/ドロップマルチプレクサのために、システム内の様々な光学チャンネルを分離するのに必要な部品は、ファイバブラッグ格子または真空蒸着によって蒸着される複雑な干渉フィルタ構造から形成される。干渉フィルタ構造のデバイスは、普通は対称的な屈折率の2つの材料(例えばチタニア/シリカやタンタラ/シリカ)の多層積層に基づくものであり、積層の設計は、通常は、1550nmに近い設計波長で0.4nmの程度の帯域幅で必要な通過帯域特性を実現するために、結合ファブリペローエタロンに基づいた変数で最適化される。フィルタは複雑であり、膜厚を厳密に制御した数百の別々の材料層の堆積を必要とする。より一層の(温度と湿度の両方に対する)安定性のための基準はまた、孔隙の無い膜の堆積を確実にし、かつ充分に高密度化される製造技術を使用する必要性をも強いる。そのようなデバイスは、その後、必要なサイズ(通常は1mm〜2mm平方)に切断され、WDMデバイスパッケージ内に組み込まれる。1500nm〜1580nm帯域にわたる別々の各通信波長に、別々のフィルタが必要とされる。そのような複雑さにもかかわらず、そのようなデバイスが、現在のネットワークでの使用に標準的となった。
【0003】
インラインパッケージのためには、光の伝搬に使用する導波路伝搬モードから、ほぼ垂直な入射で光がフィルタ積層に入射するモードに合わせる必要がある。この必要性は、デバイスパッケージが小型化され得る度合いを制限し、波長同調または周波数ホッピングを可能にするようにフィルタ応答が調節され得る特性の提供をもやはり妨げる。
【0004】
製造コストを削減するため、および同じデバイスによって多くの異なる機能(例えばスイッチング、変調、検波、多重化)の実行を可能にする周波数アジリティ(agility)の利点を提供するために、様々な他の形式のデバイスが、様々な時期に調べられてきた。変形例には、フィルタ内で素子の屈折率を制御し、それゆえデバイスの応答特性を変えることを可能にする、ニオブ酸リチウムとポリマー分散液晶のような電子光学材料の使用が含まれる。他の構想は、デバイス内でミラー群の物理的運動を利用する微小光学電気機械システム(MOEMSまたはMEMS)を基本としてきた。そのようなデバイスの例は、以下の文献に見出すことができる。
1.J.H.Jarman,D J Clift and S R Mallinson,“A Miniature Fabry−Perot Interferometer with Corrugated Silicon Diaphragm Support”,Sensors and Actuators A29,151〜158(1991).
2.J H Jarman and D J Clift,“A Miniature Fabry−Perot Interferometer Micromachied in Silicon for Use in Optical Fibre WDM Systems”Proc IEEE1991 Conf.Solid State Sensors and Actuators.
3.J Han and D P Neikirk,“Deflection Behaviour of Fabry−Perot Pressure Sensors Having Planar and Corrugated Diaphragms”,SPIE Proc 2882,79〜90(1996).
4.米国特許第5,022,745号、J J Zayhowski and A Mooradian(Electrostatically Deformable Single Crystal Dielectrically Coated Mirror).
5.米国特許第5,500,761号、K.W.Goosen and J A Walker(Micromechanical Modulator).
6.米国特許第5,825,528号、K W Goosen(Phase Mismatched Fabry−Perot Cavity Micromechanical Modulator).
7.米国特許第5,739,945号、P Tayebati(Electrically Tunable Optical Filter Utilising a Deformable Multilayer Mirror).
8.米国特許第5,701,193号、P Vogel,O Anthamatten and R Batting(Optical Reflection Modulator).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、これらのデバイスは、多数ステップのリソグラフィ/エッチング工程を使用して製造され、シリコン基板の平面に共形の幾何構造に能動デバイスを形成する。そのようなデバイスで可能なフィルタ素子の数は少なく、それが設計波長付近で実現可能な光学コントラストの程度を制限する。その上さらに、シリコン膜構造の製造の結果としてもたらされる応力の作用は、素子の湾曲と、それにより生じるデバイスのスペクトル特性の広域化に結果的につながる。そのようなフィルタは、静電場の印加またはシリコンの屈折率の温度変化から生じる熱光学効果の利用によって調節され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、MOEMSに基づくフィルタを含む微小光学フィルタの構成および製作に対する新たな方法を含み、それは、共形方法で遭遇する困難の大部分を克服する。本発明は、交互になる屈折率の複数層(複数スロットと基板薄層、基板薄層はラメラとも称されるが、前出の用語をここでは使用する)を画定するように複数の平行のスロットが形成される基板を有する、光学フィルタを提供する。
【0007】
複数スロットは、概して基板の表面に対して垂直であることが好ましく、実施形態では、それらは基板の単一表面から内側に延びる。光ファイバへの結合および/または光ファイバからの結合が必要とされる場合、前記単一表面は、複数スロットの少なくとも一方の側に光ファイバを収容するための溝を備えて形成されることもできる。
【0008】
本発明によるフィルタは、
【数1】

の形態の一連の連続した前記複数層を有することが可能であり、ここで、aHは基板材料によって与えられる高屈折率の層を示し、bLは前記スロットによって与えられる低屈折率の層を示し、aおよびbはそれぞれ前記層の1/4波の整数倍厚さを示し、xはユニット(aHbL)の繰り返しの数を示す整数である。
【0009】
基板は、シリコン、または高屈折率の半導体材料であることが可能である。実際のデバイスに使用するのに充分な屈折率を有するならば、他の材料が使用されることもできる。
【0010】
最も広い概念では、本発明は、ファブリペローフィルタではないフィルタ構造を包含し、これらは、いくつかのデバイス構成に有用なかなり広い波長特性を提供し得る。しかしながら、本発明の好ましい実施形態は、半波長の整数倍の光学厚さを備えた中央のファブリペローキャビティ(または共振器領域、これらの用語は、これ以降交換可能に使用される)を有する。これは中央のスロット、または2つのスロット間の基板材料の中央薄層部分によって画定されることができる。キャビティ両側にあるさらなるスロットと基板薄層は、実施形態に関連付けて以下にさらに詳細に説明するように、キャビティの光学特性を変更するための干渉構造を画定する。
【0011】
中央キャビティの光学厚さを変えてフィルタを調節するために手段が提供されることもある。中央のスロットによってキャビティが画定される場合、これは、静電的コーム駆動、圧電駆動、または形状記憶合金を使用したアクチュエータの使用によるといった、キャビティの物理的厚さを変える手段を含むことがある。中央の基板部分によってキャビティが画定される場合、その屈折率は、フィルタを調節するために加熱もしくは冷却によって変えられることがある。例えば、加熱するために導電性基板を通して電流が流されることがある。場合によっては、基板が、熱電手段といった加熱手段(冷却用にも)、またはそれを通して電流が流されることができる電気抵抗手段、例えば合金膜ないしインジウムスズ酸化物を設けられることもできる。調節は、設定の目的のため、または使用中に周波数選択するために為される可能性がある。
【0012】
フィルタは、一般式
【数2】

であることができ、ここでaH、cH、eH、およびgHは、基板によって与えられる高屈折率材料の1/4波の整数倍厚さの層を示し、bL、dL、およびfLは、スロットによって与えられる低屈折率の1/4波の整数倍厚さの層を示す。整数a、b、f、およびgは、1/4波の奇数倍を示し、特定のケースではaとbの値はそれぞれdとfに等しくなることもあり、その他のケースではそれらは異なることもある。
【0013】
低屈折率(スロット)中央キャビティdLについては、整数cおよびeは1/4波の奇数整数倍を示し、それに対してdはキャビティの設計波長で1/4波の偶数整数倍である。高屈折率(基板)中央キャビティについては、dはゼロであり、cHおよびeHはまとめられて、半波長の整数倍厚さ(c+e)Hを提供する。演算子
【数3】

および
【数4】

は、もしも適切であるならば、関連付けられる成分(aHbL)および(fLgH)が、xおよびy回繰り返されることができることを示す。
【0014】
本発明によって構築されたファブリペローフィルタは、前記キャビティに光学的に結合された少なくとも1つのさらなるファブリペローキャビティを含むことができ、これは、例えば上記で定義したフィルタ形式を用いて、
【数5】

の形態であり、ここで、aおよびbは異なる奇数であり、dは偶数である。デジタルの周波数ステッピングについては、例えば一方のキャビティが調節され、その後に、やはり例えば上述した方法のうちの1つを使用して、他の1つまたは複数キャビティが整合のために調節される。透過およびフィルタ処理は、いったん整合が達成されると生じることが予期されるだけである。
【0015】
本発明のさらなる特徴は、参照される添付の請求項を読み、添付の図面を参照して為される本発明の例のさらに詳細な以下の説明を考慮すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるファブリペローフィルタの第1の一般例の概略的な斜視図であり、シリコン基板内に中央のエアギャップキャビティを有する。
【図2】図1に概して示したタイプのフィルタの特定の例の光学透過特性を例示する図である。
【図3】正規化した波長に対する反射の実験プロットを示す図である。
【図4】図2に関連するフィルタ断面の走査型電子顕微鏡像からの図である。
【図5】シリコンエアギャップ構造に基づき、中実シリコン中央キャビティスペーサを有する、本発明によるファブリペローフィルタの第2の例の光学透過特性を例示する図である。
【図6】本発明により構築された2キャビティのシリコンエアギャップファブリペローエタロンの光学透過特性を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明によるフィルタの第1の実施形態の概略図を示す。シリコン基板1は、入力および出力の光ファイバ7を収容するための一対のV底溝6の間にフィルタ素子2を設けられる。フィルタ素子2は、ミラー群4とミラー群5との間に中央エアキャビティ3を有する。キャビティ3は、本質的に基板表面から基板内に垂直に延びるスロットであり、各々のミラー群は、キャビティ3のスロットに平行でやはり同じ基板表面から垂直に延びるさらなるスロット群によって画定され、それにより、エアギャップによって間隔を開けられた薄い基板薄層が残る。キャビティ3とミラー群4および5とは、最適条件下で30:1を超えるアスペクト比でエッチングされるバイアの提供を可能にするBosch STS工程によって与えられるような、ディープドライエッチング技術を利用することによって形成される。使用に際して、ファイバに入るかまたはファイバから出る光の適切なコリメートを確実にするために、手段、例えばファイバ端部に嵌められる精密レンズ素子が設けられる。
【0018】
この構造は、シリコン基板表面に関して完全な垂直な幾何学構造を有し、これが、有効なデバイスの実現化において多くの利点を提供する。例えば、
(a)フィルタの様々な「層」は、単純にウェハ表面のリソグラフィによって画定される。10:1の倍率のステッパ技術、および電子ビームで作製したマスターパターンを使用すると、フィルタの様々な素子について、1%よりも優れた再現性が容易に達成可能である。
(b)フィルタ素子がシリコンの側壁によって安定化され、音響誘導効果(マイクロフォニ)に対してはるかに影響を受けない構造を提供する。
(c)シリコンと空気との屈折率の差異は、フィルタにおける最小数の素子で、非常に巧妙なキャビティの実現を可能にする。キャビティの両側にわずか3つのシリコン素子を備えた単純なミラー構造が、キャビティ共振から1nm以上離れた波長について、25dBの除去レベルを発生するのに充分である。
(d)高次共振効果を利用する構成が容易に利用可能であり、デバイスの構造を実際上簡素化できる。
(e)市販の光ファイバの径全体に相応したエッチング深さが、容易に達成可能であり、それゆえ、光学的結合および関連するパッケージ化を簡素化する。
(f)フィルタ群のうちの1つの移動によって、またはキャビティもしくはミラー群内の温度で誘導される屈折率変化を利用することによって、周波数アジリティが提供可能である。
【0019】
1550nmでの動作については、従来のファブリペローエタロンは、
【数6】

の形態の構成を有し、ここでHおよびLは、シリコンと空気とのそれぞれ1/4波の整数倍厚さを示し、演算子
【数7】

は、関連付けられる(HL)または(LH)成分の繰り返し数(2)を示す。これは、ミラーの個々の構成部品の厚さが、シリコンについては約110nm、エアギャップについては約380nmである必要があるであろうことを意味する。そのような寸法は、現代のリソグラフィ技術を使用して精度と再現性の基準で達成困難であり、エッチングの深さを大幅に制限するであろう。それでもやはり、何人かの研究者が、埋込酸化層で画定されたシリコン導波路の表面上に、3ミクロン深さでカスケードにされたフォトニックバンドギャップ構造をエッチングすることによって、デバイスを製造することを試みた。デバイスの高屈折率と低屈折率との間の有効コントラストは、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板材料の1ミクロンエッチ形状については、概して約0.04である。これは、本発明によって提供されるシリコン/空気系について達成可能なほぼ2.5の屈折率コントラストと匹敵する。
【0020】
本発明で可能であるように高次構成が用いられるとき、光ファイバの径全体に近いエッチング深さを達成する性能が、可能となる。図1の構造の一例は、
【数8】

の形態を有する。そのスペクトル特性は、図2に理論的プロットとして示されており、ここでは中央の鋭い曲線8は透過率を示し、より広がった曲線9は光学密度を示し、正規化した波長に対する反射率の実験プロットは図3に示される。シリコンおよび空気のミラー素子は、ここでそれぞれほぼ3ミクロン(27H)および3.5ミクロン(8L)の厚さである。除去特性は、中央キャビティ8L周囲のミラーの構成によって設定され、さらに外側のミラー群4、5の役割は、エアギャップの公差に比較的左右されない除去最小限の位置を規定することである。(27H9L)周期は、製造公差が厳しいなら、40dBを超える帯域外除去レベルで、1530nm〜1570nm帯域の充分な適用範囲を提供する。図4は、本構成のために製造されたへき開したデバイスの一部の走査型電子顕微鏡像からの概略図であって、シリコンミラーウエブの曲率が無いことを強調している。ミラー対を(21H5L)に変えることにより、除去領域の幅が広がり、1520nm〜1580nmについては40dBを越える。
【0021】
屈折率の温度係数は、
【数9】

のデバイスのキャビティ共振点が、0℃から65℃への温度変化で3nmシフトするような値である。これは市販用途では普通は許容不可能であるが、例えば単純な低電力熱電冷却器を使用して、デバイスの温度を制御することによって容易に克服可能である。
【0022】
ここまで多くの検討が、エアギャップのある構成の利用を中心に為されてきた。中実シリコンキャビティの使用を基本とした、別の構造が可能である。図5は、
【数10】

のシーケンスに基づく構成のスペクトル特性を示す。
【0023】
様々な連結キャビティの構成もまた可能であるが、実際に実現可能な構成への制限がある。3キャビティのフィルタは、0.1%よりも優れた形状サイズの公差を必要とするであろうが、それはまだ現在の製造技術を使用して実現することができない。より実際的な形のデバイスは、2キャビティの構成であり、それは、自体がある程度の不安定性を有するレーザ源に関する波長の位置決めの公差を緩和する。そのような構成はまた、向上した帯域外除去特性をも提供することができる。
【0024】
図6は、
【数11】

のシーケンスに基づく、そのようなデバイスのスペクトル特性を示すものである。ここで、帯域外除去特性は、図2および図3で達成された帯域除外特性と同様であるが、レーザラインの位置決めの公差の度合いを考慮するために、通過帯域は広げられている。
【0025】
周波数アジリティは、いくつかの方法で達成可能である。図1の単一エアキャビティデバイスについては、ミラー群(群5として図示)のうちの1つが、ミラー組み立て体をその台座から開放して、かつ静電コーム駆動(図示せず)を提供することによって簡単に移動させられ、矢印Aの方向に沿ったいかなる所望の位置にもミラー群を位置決めさせることが可能である。これはまた、いかなる所望のレーザラインにも対応して連続方法で望み通りに移動できるので、フィルタの微調整の自由度をも可能にする。PZTのような圧電材料、または形状記憶合金の使用を含む、その他の作動技術もあり得る。
【0026】
しかしながらいくつかの用途については、いかなる他のラインも通らずに、通信レーザラインのいずれにも段階的に調節可能な、デジタル切り換えのフィルタを提供することがさらに重要である。そのような応答特性は、2キャビティデバイスを使用し、一度に1つのキャビティの段階的調節によって達成することができる。両方のキャビティが一致するまで、透過は阻止される。
【0027】
いくつかのシリコンエアギャップの構造で、そのような微小電気機械的システムの可能性を強調して、100kHzまでの周波数応答を計測した。その結果、現在の動作範囲および予想される将来のWDMシステム内のいかなる選択波長でも、透過ピークを提供するようにプログラム可能なフィルタを、考案することができる。
【0028】
かなりの度合いの周波数アジリティもまた、温度変化による材料の屈折率の変化を利用することによって生じさせることができる。これは中実シリコンキャビティに基づくデバイスについて最も効果的であり、単純に素子を通る電流によって達成することができる。これは、ミラー群のいずれの位置のシフトの必要性をも取り除き、それゆえにデバイスの構造を簡素化する。シリコンスペーサの質量が比較的小さいので、素子の断熱の度合いが充分であるならば、0.1msec以内の時間応答が達成されるはずである。
【0029】
以上の説明は、エアギャップとしての基板内ギャップに関するものであるけれども、これらのギャップが、異なる材料、例えば異なる流体または真空で満たされることもあり得ることに留意されたい。ギャップ内の材料の変更は、フィルタの特性を変えるために使用されることがあり得る。しかしながら、上記で概説した理由から、基板とギャップとの間の屈折率差異を比較的高く保つことが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互になる屈折率の複数層(スロットおよび基板薄層)を画定するように複数の平行スロットが形成されている基板を備える、光学干渉フィルタ。
【請求項2】
前記複数スロットが、概して前記基板の表面に対して垂直である、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記複数スロットが、前記基板の単一表面から内側に延びる、請求項1または2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記フィルタへ光を伝えかつ/または前記フィルタから光を伝える光ファイバを収容するために、前記複数スロットの少なくとも一方の側に、溝が前記単一表面に形成される、請求項3に記載のフィルタ。
【請求項5】
【数12】

の形態の一連の連続した前記複数層を有し、ここで、aHが前記基板材料によって与えられる高屈折率の層を示し、bLが前記スロットによって与えられる低屈折率の層を示し、aおよびbがそれぞれ前記複数層の1/4波の整数倍厚さを示し、xがユニット(aHbL)の繰り返しの数を示す整数である、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記基板が半導体である、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記基板がシリコンから成る、請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項8】
【数13】

の形態であり、ここで、cHが前記基板によって与えられる高屈折率の1/4波の奇数整数倍厚さの層を示し、dLがスロットによって与えられる低屈折率の1/4波の偶数整数倍厚さの共振器領域を示し、yがxと同じ値または異なる値を有することがあり、ユニット(bLaH)の数を示す整数である、請求項7に記載のファブリペロー共振フィルタ。
【請求項9】
【数14】

の形態であり、ここで、cHが前記基板によって与えられる高屈折率の1/4波の偶数整数倍厚さの共振器領域を示し、yがxと同じ値または異なる値を有することがあり、ユニット(bLaH)の数を示す整数である、請求項7に記載のファブリペロー共振フィルタ。
【請求項10】
キャビティが、
【数15】

の形態を有し、ここで、cH、eH、およびgHが、前記基板によって与えられる高屈折率の1/4波の奇数整数倍厚さの層を示し、fLがスロットによって与えられる低屈折率の1/4波の奇数整数倍厚さの層を示し、dLがスロットによって与えられる低屈折率の1/4波の偶数整数倍厚さの共振器領域を示し、yがxと同じ値または異なる値を有することがあり、ユニット(fLgH)の数を示す整数である、請求項7に記載のファブリペロー共振フィルタ。
【請求項11】
キャビティが、
【数16】

の形態を有し、ここで、gHが前記基板によって与えられる高屈折率の1/4波の奇数整数倍厚さの層を示し、cHが前記基板によって与えられる高屈折率の1/4波の偶数整数倍厚さの共振器領域を示し、fLがスロットによって与えられる低屈折率の1/4波の奇数整数倍厚さの層を示し、yがxと同じ値または異なる値を有することがあり、ユニット(fLgH)の数を示す整数である、請求項7に記載のファブリペロー共振フィルタ。
【請求項12】
前記フィルタを調節するために前記共振器領域の光学厚さを変えるための調節手段をさらに有する、請求項8から11のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項13】
前記共振器領域dLの物理的厚さを変えるための調節手段をさらに有する、請求項8または10に記載のフィルタ。
【請求項14】
前記共振器領域cHの温度を変えて、前記共振器領域の光学厚さを変えるための調節手段をさらに有する、請求項9または11に記載のフィルタ。
【請求項15】
前記基板が導電性であり、前記調節手段が前記基板を通して電流を流すための手段を含む、請求項14に記載のフィルタ。
【請求項16】
前記基板が電気抵抗の加熱手段を設けられ、前記調節手段が前記加熱手段を通して電流を流すための手段を含む、請求項14に記載のフィルタ。
【請求項17】
前記調節手段が熱電手段を含む、請求項14または15に記載のフィルタ。
【請求項18】
少なくとも1つのさらなる共振器領域が、前記共振器領域に光学的に結合される、請求項8から17のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項19】
前記共振器領域の光学厚さを変えるステップを含む、請求項8から18のいずれか一項に記載のフィルタの調節方法。
【請求項20】
前記共振器領域が中央スロットを含み、前記ステップが、前記中央スロットの厚さの物理的な変更を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記キャビティが前記基板によって与えられる材料の中央領域を含み、前記ステップが、前記中央領域の温度の変更を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
両方またはすべての前記共振器領域を調節するステップを含む、請求項18に記載のフィルタの調節方法。
【請求項23】
1つの前記キャビティが最初に調節され、その後、他の1つまたは複数の前記キャビティが、該他の1つまたは複数の全ての前記キャビティが前記1つのキャビティと一致するまで調節される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
各前記調節ステップが、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法に従って実行される、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−80509(P2009−80509A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−8390(P2009−8390)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【分割の表示】特願2002−546893(P2002−546893)の分割
【原出願日】平成13年11月23日(2001.11.23)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】