説明

光学フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置

【課題】本発明の目的は、より詳しくは熱可塑性アクリル樹脂とセルロースナノファイバーとを含有する基材フィルム上にハードコート層を積層することによって、高硬度のハードコート層を有する光学フィルム、及びそれを用いた表面に傷の付き難い偏光板、表示装置を提供することにある。
【解決手段】基材フィルム上にハードコート層を有する光学フィルムにおいて、該基材フィルムが熱可塑性アクリル樹脂と平均繊維径4〜200nmのセルロースナノファイバーとを含有することを特徴とする光学フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の表示装置の表面には、反射防止特性や防眩性などを付与するために通常光学フィルムが設けられている。このような光学フィルムは通常薄膜であり硬度が低く傷つきやすいため、硬度を持たせるためにハードコート層が施されることが多い。光学フィルムの光学特性は精密さを要求され、光学特性を安定して発揮するためには、高い硬度安定性が要求される。
【0003】
ハードコート層の技術として特許文献1には透明支持体上にハードコート層を有する光学フィルムを薄膜にするために、支持体を薄膜化するとカールが発生するのを、2種の特定のアクリレート化合物を含む組成物を硬化させたハードコート層として解消する技術が開示されているが、鉛筆硬度がH程度であり、現在は更に高い鉛筆硬度が要求されている。
【0004】
本発明者の検討によれば、ハードコート層を有する光学フィルムの高硬度化を達成するには、基材フィルムの弾性率を上げて硬度を向上させることも有効な手段であることを見出し、この観点から熱可塑性アクリル樹脂フィルムに着目した。しかしながら、熱可塑性アクリル樹脂フィルムは確かに弾性率は向上するものの、延伸した場合の引き裂き性に弱く、光学フィルムとして用いる場合には非常に扱いにくいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−103973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、熱可塑性アクリル樹脂とセルロースナノファイバーとを含有する基材フィルム上にハードコート層を積層することによって、高い硬度安定性を有する光学フィルムを提供することにある。またそれを用いた表面に傷の付き難い偏光板、表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
【0008】
1.基材フィルム上にハードコート層を有する光学フィルムにおいて、該基材フィルムが熱可塑性アクリル樹脂と平均繊維径4〜200nmのセルロースナノファイバーとを含有することを特徴とする光学フィルム。
【0009】
2.前記基材フィルムがセルロースエステル樹脂を10質量%以上含むことを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
【0010】
3.前記基材フィルムが幅手方向、長手方向の少なくとも一方に10%以上延伸されていることを特徴とする前記1または2に記載の光学フィルム。
【0011】
4.前記基材フィルムがアクリル微粒子を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【0012】
5.偏光子とそれを挟む2枚の偏光板保護フィルムからなる偏光板であって、該2枚の偏光板保護フィルムのうちの一枚が前記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
【0013】
6.前記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム、または前記5に記載の偏光板を用いることを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱可塑性アクリル樹脂とセルロースナノファイバーとを含有する基材フィルム上にハードコート層を積層することによって、高い硬度安定性を有する光学フィルムを提供することができる。またそれを用いた表面に傷の付き難い偏光板、表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に用いられる溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
本発明者らは、セルロースナノファイバーは径が細く弾性率が大きく線膨張係数が小さいことに着目し、熱可塑性アクリル樹脂と共に基材フィルムに用いることにより、細径であるから透明性は損なわず、その弾性によって基材フィルム自身の硬度を高め、更にセルロースナノファイバーの非晶領域が熱可塑性アクリル樹脂の脆性を改善することにより、延伸適性に優れかつ破断がない高硬度の光学フィルムを得ることが可能になることを見出し、本発明に至ったものである。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
〈セルロースナノファイバー〉
本発明に係るセルロースナノファイバーとは、植物細胞壁の基本骨格等を構成するセルロースのミクロフィブリル又はこれの構成繊維をいい、繊維径4〜200nmの単位繊維の集合体である。繊維として、好ましくは平均繊維径4〜200nmであるセルロース系繊維である。この繊維は、単繊維が、引き揃えられることなく、離隔して存在するものより成ってもよい。この場合、平均繊維径は単繊維の平均径となる。また、本発明に係る繊維は、複数(多数であってもよい)本の単繊維が束状に集合して1本の糸条を構成しているものであってもよく、この場合、平均繊維径は1本の糸条の径の平均値として定義される。
【0020】
本発明において、繊維の平均繊維径が200nmを超えると、可視光の波長に近づき、基材フィルムとその上層との界面で可視光の屈折が生じ易くなり、透明性が低下することとなるため、本発明で用いる繊維の平均繊維径の上限は200nmであることが好ましい。平均繊維径4nm未満の繊維は製造が困難であるため、本発明で用いる繊維の平均繊維径の下限は4nmである。本発明で用いる繊維の平均繊維径は、好ましくは4〜100nmであり、より好ましくは4〜60nmである。
【0021】
なお、本発明で用いる繊維は、平均繊維径が4〜200nmの範囲内であれば、繊維中に4〜200nmの範囲外の繊維径のものが含まれていても良いが、その割合は全体の30質量%以下であることが好ましく、望ましくは、すべての繊維の繊維径が200nm以下、特に100nm以下、とりわけ60nm以下であることが望ましい。
【0022】
なお、繊維の長さについては特に限定されないが、平均長さで100nm以上が好ましい。繊維の平均長さが100nmより短いと、ハードコート層の補強効果が低く、硬度が不十分となるおそれがある。なお、繊維中には繊維長さ100nm未満のものが含まれていても良いが、その割合は30質量%以下であることが好ましい。
【0023】
上記繊維径、繊維長の測定は市販の顕微鏡、電子顕微鏡により測定することができる。例えば、走査型電子顕微鏡により2000倍にセルロースナノファイバーを拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のセルロースナノファイバーを使用して繊維径、繊維長の平均値を求めることができる。
【0024】
本発明に係るセルロース系繊維は、結晶領域を40%以上含有するものが、高い強度と低線膨張係数を得る上で好ましい。
【0025】
上記結晶領域以外は非晶領域となり、木材パルプで40〜50%程度、バクテリアセルロースで30%程度存在すると言われている。非晶領域の存在は、ミクロフィブリルをしなやかにして硬くなるが脆くならない性質を付与し、非晶領域の割合として3〜40%存在するセルロースナノファイバーを用いることが本発明の効果を得る上でより好ましい。
【0026】
ここで、結晶領域とはセルロース系繊維が一定の繰り返し構造からなる状態をいい、非晶領域とは特定の周期構造が規定されないアモルファスの状態をいう。
【0027】
上記状態は、セルロースナノファイバーを、X線回折や、高分解能電子顕微鏡観察による分子鎖の構造解析や、固体NMRの測定から得られるグルコース環の立体構造解析から解析することができる。具体的には以下のような方法が挙げられる。
【0028】
製造されたセルロースナノファイバーをサンプルホルダーに装着し、X線回折の回折角度を10°〜32°まで操作して測定した。得られたX線回折図からバックグラウンド散乱を除去した後、X線回折曲線上の10°、18.5°、32°を直線で結んだ面積が非晶領域となり、それ以外が結晶領域となる。非晶領域の割合は、下記の式により算出した。
【0029】
非晶領域の割合=(非晶領域の面積)/(X線回折図全体の面積)×100(%)
本発明に係るセルロースナノファイバーに用いるセルロース系繊維は、植物から分離されるものであっても、バクテリアセルロースによって産生されるバクテリアセルロースであっても好適に用いることができる。
【0030】
本発明に係るセルロースナノファイバーは、例えば特開2005−60680や特開2008−1728に記載の方法で得ることができる。
【0031】
本発明に係るセルロースナノファイバーは、前記セルロース系繊維を複数の粉砕手段を用いて微細化することが好ましい。粉砕手段は限定されないが、本発明の目的に合う粒径まで微細に粉砕するためには、高圧ホモジナイザーや媒体ミル、砥石回転型粉砕機、石臼式グラインダーのような強い剪断力が得られる方式が好ましく用いられる。例えば、特開平4−82907号では、乾燥状態で天然セルロース繊維の単繊維を解砕させることによりフィブリル化天然セルロースを製造する方法を提案している。さらに特開平06−10286号では、ガラス、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、スチール、チタニア等の材質のビーズまたはボールを粉砕媒体として用いた振動ミル粉砕装置によって、繊維状セルロースの懸濁液に湿式粉砕処理を施す微細繊維状セルロースの製造方法が開示されている。
【0032】
高圧ホモジナイザーとして市販されている装置としては、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社製)、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)等を用いることができる。
【0033】
このようにして得られたセルロースナノファイバーは、直接、または分散液として基材フィルムを形成するドープ液、または添加液として添加されるが、基材フィルム中の含有量は0.1から80質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは5〜70質量%であり、特に10〜60質量%が好ましい。
【0034】
セルロースナノファイバーの含有量が0.1質量%未満では、基材フィルムの硬度や脆性を十分に向上させる効果が不十分となる傾向があり、60質量%を超えると透明度の低下や、表面の平坦性が低下する場合がある。
【0035】
セルロースナノファイバーを熱可塑性アクリル樹脂を含有するフィルムに含有させる方法に特に制限はないが、予めセルロースナノファイバーを分散した分散液として後述するドープに添加混合することが好ましい。
【0036】
セルロースナノファイバーを含有する分散液を調製する方法は特に制限はないが、セルロースナノファイバーと親和性がある溶媒、またはバインダー中にセルロースナノファイバーを添加し、公知の分散機、方法によって分散することができる。後述する分散剤を用いることも均一な分散を促進でき好ましい。
【0037】
溶媒としては、水、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセト酢酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、蟻酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、アセト酢酸メチル等が好ましい。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0038】
バインダーとしては、分散中に水溶性ポリマーが存在することによって分散性は向上して、ヘーズを低下させることができる。ここでいう水溶性ポリマーとはデンプン類、マンナン類、ガラクタンやアルギン酸ナトリウムなどの海藻類、トラガントゴムやアラビアゴムやデキストランなどの植物粘質物、ゼラチンやカゼインなどのタンパク質、メチルセルロースやヒドロキシセルロースやカルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの合成ポリマーなどが含まれる。
【0039】
これらの水溶性ポリマーの分子量は小さ過ぎると分散性向上に効果が認められないため、分子量は1万以上であることが好ましく、より好ましくは3万から20万のものである。分子量の測定は、粘度法、拡散法、光散乱法、ゲル濾過法、高速液体クロマト法等があるが、特にゲル濾過法や高速液体クロマト法が好ましく適用される。
【0040】
上記の水溶性ポリマーは分散するセルロースナノファイバーに対し、質量比で0.05から30倍の範囲で添加するのが好ましく、水溶液としては1質量%から20質量%の範囲にあるのが好ましい。
【0041】
また、分散に際し、種々の界面活性剤を用いることも有用な方法である。界面活性剤としてはアニオン性、カチオン性、両性、非イオン性など何れを用いることも可能であるが、アニオン性および非イオン性界面活性剤が好ましく、特にカチオン性界面活性剤が好ましい。また、pHを調整する際は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸、クエン酸、リン酸、硫酸などの一般的な酸アルカリの水溶液、好ましくは緩衝液が用いられる。
【0042】
セルロースナノファイバーの分散に用いられる分散機としては、例えば、遠心方式分散機(フロージェットミキサー、ファインフローミル等)、メディア型分散機(ボールミル、サンドミル等)、超音波分散機、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられるが、中でも、遠心方式分散機やメディア型分散機が好ましい。
【0043】
〈基材フィルム〉
本発明に係る基材フィルムは熱可塑性アクリル樹脂と前記セルロースナノファイバーを含有するフィルムである。以降かかる基材フィルムを「アクリル樹脂含有フィルム」と呼称する。
【0044】
〈アクリル樹脂(A)〉
本発明に用いられる熱可塑性アクリル樹脂(以降、アクリル樹脂(A)という)には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
【0045】
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0046】
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
【0047】
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムに用いられるアクリル樹脂(A)は、セルロースナノファイバーとの相溶性、フィルムとしての機械的強度、フィルムを生産する際の流動性の点から重量平均分子量(Mw)が50000〜300000であることが好ましい。
【0048】
本発明に係るアクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下の通りである。
【0049】
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2800000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
【0050】
本発明におけるアクリル樹脂(A)の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系およびアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。重合温度については、懸濁または乳化重合では30〜100℃、塊状または溶液重合では80〜160℃で実施しうる。さらに、生成共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
【0051】
本発明に係るアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0052】
〈セルロースエステル樹脂(B)〉
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムは、セルロースナノファイバーに加えてセルロースエステル樹脂(以下、セルロースエステル樹脂(B)という)を10質量%以上含有することが好ましく、セルロースナノファイバーと共にアクリル樹脂(A)の脆性を改善し、延伸時の破断を抑制することができる。
【0053】
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の含有質量比率(%)を、90:10〜50:50の質量比に調整することが好ましく、より好ましくはアクリル樹脂(A)が70質量%以上に調整することである。
【0054】
アクリル樹脂(A)成分が多くなると、例えば高温・高湿下での寸法変化が抑制され、偏光板として用いた時の偏光板のカールやパネルの反りを著しく低減することができる。さらにアクリル樹脂(A)成分が70質量%以上の組成においては、上記物性をより長時間維持することが可能となる。
【0055】
セルロースエステル樹脂(B)としては例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号公報、同08−231761号公報、米国特許第2,319,052号明細書等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。特に好ましくはセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独或いは混合して用いることができる。分子量は数平均分子量(Mn)で70000〜200000のものが好ましく、100000〜200000のものが更に好ましい。
【0056】
セルローストリアセテートの場合には、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは、平均酢化度が58.0〜62.5%のセルローストリアセテートである。
【0057】
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
【0058】
式(I) 2.0≦X+Y≦2.6
式(II) 0.1≦Y≦1.2
更に2.4≦X+Y≦2.6、1.4≦X≦2.3のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)樹脂が好ましい。中でも2.4≦X+Y≦2.6、1.7≦X≦2.3、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート(総アシル基置換度=X+Y)樹脂が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステル系樹脂は公知の方法で合成することができる。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
【0059】
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロ−スエステルを単独或いは混合して用いることができる。特に綿花リンターから合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
【0060】
〈アクリル微粒子(C)〉
本発明においては、アクリル樹脂含有フィルムに更にアクリル微粒子を含有させるとフィルムの弾性が向上し、高硬度のハードコート層を積層しても割れなどを抑制することができる。
【0061】
用いられるアクリル微粒子(C)は特に限定されるものではないが、2層以上の層構造を有するアクリル微粒子(C)であることが好ましく、特に下記多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。
【0062】
多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層重合体、ゴム弾性を示す架橋軟質層重合体、および最外硬質層重合体が、層状に重ね合わされてなる構造を有する粒子状のアクリル系重合体を言う。
【0063】
多層構造アクリル系粒状複合体の好ましい態様としては、以下の様なものが挙げられる。(a)メチルメタクリレート80〜98.9質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート1〜20質量%、および多官能性グラフト剤0.01〜0.3質量%からなる単量体混合物を重合して得られる最内硬質層重合体、(b)上記最内硬質層重合体の存在下に、アルキル基の炭素数が4〜8のアルキルアクリレート75〜98.5質量%、多官能性架橋剤0.01〜5質量%および多官能性グラフト剤0.5〜5質量%からなる単量体混合物を重合して得られる架橋軟質層重合体、(c)上記最内硬質層および架橋軟質層からなる重合体の存在下に、メチルメタクリレート80〜99質量%とアルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレート1〜20質量%とからなる単量体混合物を重合して得られる最外硬層重合体、よりなる3層構造を有し、かつ得られた3層構造重合体が最内硬質層重合体(a)5〜40質量%、軟質層重合体(b)30〜60質量%、および最外硬質層重合体(c)20〜50質量%からなり、アセトンで分別したときに不溶部があり、その不溶部のメチルエチルケトン膨潤度が1.5〜4.0であるアクリル系粒状複合体、が挙げられる。
【0064】
このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製“メタブレン”、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”およびクラレ社製“パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
【0065】
また、別のアクリル微粒子(C)としては、市販のものも使用することができ、例えば、メタブレンW−341(C2)(三菱レイヨン(株)製)を、ケミスノーMR−2G(C3)、MS−300X(C4)(綜研化学(株)製)等を挙げることができる。
【0066】
上記多層構造重合体であるアクリル系粒状複合体の粒子径については、特に限定されるものではないが、10nm以上、1000nm以下であることが好ましく、さらに、20nm以上、500nm以下であることがより好ましく、特に50nm以上、400nm以下であることが最も好ましい。
【0067】
また、アクリル樹脂およびアクリル微粒子(C)のそれぞれの屈折率が近似していると光学フィルムの透明性を高くなり好ましい。具体的には、アクリル微粒子(C)とアクリル樹脂の屈折率差が0.05以下であることが好ましく、より好ましくは0.02以下、とりわけ0.01以下であることが好ましい。
【0068】
本発明に係る光学フィルムにおいて、該フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0.5〜45質量%のアクリル微粒子(C)を含有することが好ましい。
【0069】
〈その他の添加剤〉
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムにおいては、組成物の流動性や柔軟性を向上するために、可塑剤を併用することも可能である。可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、あるいはエポキシ系等が挙げられる。
【0070】
可塑剤はアクリル樹脂(A)を含有する組成物100質量部に対して、0.5〜30質量部を添加するのが好ましい。
【0071】
また基材フィルムの耐候性を向上するのに紫外線吸収剤を含有することも好ましく、用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系またはサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
【0072】
さらに、本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムには成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また帯電防止剤を加えて、アクリル樹脂含有フィルムに帯電防止性能を与えることも可能である。
【0073】
〈アクリル樹脂含有フィルムの製膜〉
アクリル樹脂含有フィルムの製膜方法の例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムの製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液製膜が好ましい。
【0075】
以下、本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムの好ましい製膜方法について説明する。
【0076】
1)溶解工程
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)に対する良溶媒を主とする有機溶に、溶解釜中で該アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)、場合によってアクリル微粒子(C)、その他の添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、或いは該アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)溶液に、場合によってアクリル微粒子(C)溶液、その他の添加剤溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する工程である。
【0077】
(有機溶媒)
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムを溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
【0078】
例えば、前述のセルロースナノファイバーを分散する有機溶媒として例示したものを挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
【0079】
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属基材フィルムからの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解を促進する役割もある。
【0080】
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂(A)と、セルロースエステル樹脂(B)と、アクリル微粒子(C)の3種を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
【0081】
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることが出来る。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
【0082】
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることが出来るが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
【0083】
ドープ中のアクリル樹脂(A)と、セルロースエステル樹脂(B)は、計15〜50質量%の範囲であることが好ましい。
【0084】
このドープ中に、セルロースナノファイバーを、0.1から50質量%の範囲で含有させることが好ましい。より好ましくは5〜50質量%であり、特に10〜40質量%が好ましい。
【0085】
溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
【0086】
濾過は捕集粒子径0.5〜5μmでかつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。
【0087】
この方法では、粒子分散時に残存する凝集物や主ドープ添加時発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmでかつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることで凝集物だけ除去出来る。主ドープでは粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。
【0088】
図1は本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程を模式的に示した図である。本発明はこれに限定されるものではない。
【0089】
セルロースナノファイバー分散液は、セルロースナノファイバー仕込釜41より濾過器44で大きな凝集物を除去し、ストックタンク42へ送液する。その後、ストックタンク42より主ドープ溶解釜1へ添加する。
【0090】
その後主ドープ液は主濾過器3にて濾過され、これにアクリル微粒子添加液、または紫外線吸収剤添加液が16よりインライン添加される。
【0091】
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。返材にはセルロースナノファイバーやアクリル微粒子、更に紫外線吸収剤が含まれることがある為、その場合には返材の添加量に合わせて各々の添加液の添加量をコントロールすることが好ましい。
【0092】
アクリル微粒子を含有する添加液には、アクリル微粒子を0.5〜10質量%含有していることが好ましく、1〜10質量%含有していることが更に好ましく、1〜5質量%含有していることが最も好ましい。
【0093】
アクリル微粒子の含有量の少ない方が、低粘度で取り扱い易く、アクリル微粒子の含有量の多い方が、添加量が少なく、主ドープへの添加が容易になるため、上記の範囲が好ましい。
【0094】
返材とは、アクリル樹脂含有フィルムを細かく粉砕した物で、アクリル樹脂含有フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトしたアクリル樹脂含有フィルム原反が使用される。
【0095】
また、予めアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、場合によってアクリル微粒子を混練してペレット化したものも、好ましく用いることができる。
【0096】
2)流延工程
ドープを送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属基材フィルム31、例えばステンレスベルト、或いは回転する金属ドラム等の金属基材フィルム上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
【0097】
ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属基材フィルムの表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属基材フィルム上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。或いは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
【0098】
3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用基材フィルム上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用基材フィルム上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
【0099】
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は基材フィルムの裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が乾燥効率が良く好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。
【0100】
流延後の基材フィルム上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、基材フィルム上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
【0101】
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを基材フィルムから剥離することが好ましい。
【0102】
4)剥離工程
金属基材フィルム上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
【0103】
金属基材フィルム上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、更に好ましくは11〜30℃である。
【0104】
尚、剥離する時点での金属基材フィルム上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属基材フィルムの長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
【0105】
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
【0106】
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
【0107】
金属基材フィルムとフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、更には、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
【0108】
本発明においては、該金属基材フィルム上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
【0109】
5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置35、及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
【0110】
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
【0111】
本発明は光学フィルムを得ることを目的にしている為、高度の平面性を得る上で延伸処理は重要な工程である。延伸は通常テンター延伸装置により行われる。
【0112】
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御出来る装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
【0113】
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
【0114】
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
【0115】
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
【0116】
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
【0117】
好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向の少なくとも一方に1%〜50%の範囲である。より好ましくは10%〜50%の範囲である。いずれかの方向に10%以上延伸することにより基材フィルム中におけるセルロースナノファイバーの分布が均一となり弾性率のばらつきが低減できる効果も期待できる。
【0118】
テンター延伸を行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になる迄テンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、更に好ましくは5質量%以下である。
【0119】
テンター延伸を行う場合の乾燥温度は、30〜150℃が好ましく、50〜120℃が更に好ましく、70〜100℃が最も好ましい。
【0120】
テンター延伸工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター延伸工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
【0121】
6)巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからアクリル樹脂含有フィルムとして巻き取り機37により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることが出来る。
【0122】
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
【0123】
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜3mであることがより好ましい。
【0124】
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムの膜厚に特に制限はないが、後述する偏光板保護フィルムに使用する場合は20〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。
【0125】
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムは、ヘーズ値が1%未満、好ましくは0.5%未満であり、張力軟化点が105〜145℃であることが好ましい。
【0126】
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムは、ヘーズを低くし、プロジェクターのような高温になる機器や、車載用表示機器のような、高温の環境下での使用を考慮すると、その張力軟化点は、105℃〜145℃となる。110℃〜130℃に制御することがより好ましい。張力軟化点を上記範囲内に制御することにより、該フィルムを用いた液晶表示装置を長時間使用した場合に、鮮明な画像を表示し続けることが可能になる。この範囲であれば、使用環境にもよるが一般的に長期的使用において、表示装置の画質、色味などが損なわれる恐れがなく、非常に高耐熱性のアクリル樹脂を用いる必要もない。
【0127】
アクリル樹脂含有フィルムの張力軟化点温度の具体的な測定方法としては、例えば、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、RTC−1225A)を用いて、アクリル樹脂含有フィルムを120mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、10Nの張力で引っ張りながら30℃/minの昇温速度で昇温を続け、9Nになった時点での温度を3回測定し、その平均値により求めることができる。
【0128】
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上である。特に好ましくは150℃以上である。
【0129】
尚、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
【0130】
本発明に係るアクリル樹脂含有フィルムは、その全光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。
【0131】
〈ハードコート層〉
本発明に係る光学フィルムは、アクリル樹脂含有フィルム上にハードコート層を有し、当該ハードコート層は活性線硬化樹脂、または熱硬化性樹脂を含有する層として設けることが好ましい。
【0132】
本発明で活性線硬化樹脂は、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいい、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含むものが好ましく用いられ、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
【0133】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0134】
具体例としては、例えば、特開2006−146027号公報、特開2006−285217号公報、特開2006−293201号公報、特開301169号公報、特開2007−3767号公報等に記載の化合物を用いることができる。
【0135】
また、紫外線硬化性樹脂を用いる際に光重合開始剤を用いることも好ましく、上記文献に記載の光重合開始剤を用いることができる。
【0136】
紫外線硬化性樹脂を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は1mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。
【0137】
また、紫外線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、さらに好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによって平面性が優れたハードコート層を有する光学フィルムを得ることができる。
【0138】
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、特開2005−164890号公報、2007−25040号公報、特開2007−298916号公報等に記載の化合物を好ましく用いることができる。
【0139】
熱硬化性樹脂への加熱方法は、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、或いは熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、フィルム搬送に用いられるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。加熱温度としては、使用する熱硬化性樹脂の種類により一概には規定出来ないが、透明基材への熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
【0140】
更に、ハードコート層には耐傷性、滑り性を調整するために無機化合物または有機化合物の微粒子を含んでもよい。
【0141】
ハードコート層に使用される無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
【0142】
また有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物に加えることができる。特に好ましくは、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)が挙げられる。
【0143】
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜5μmが好ましく0.1〜5.0μm、さらには、0.1〜4.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有することが好ましい。ハードコート層塗布組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
【0144】
これらのハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。塗布後、加熱乾燥し、硬化処理を行う。
【0145】
ハードコート層塗布液の塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmが適当で、好ましくは、0.5〜30μmである。また、ドライ膜厚としては平均膜厚0.1〜30μm、好ましくは1〜20μmである。
【0146】
ハードコート層塗布液には溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いることが好ましい。
【0147】
さらにハードコート層には、シリコーン系界面活性剤或いはポリオキシエーテル化合物を含有させることが好ましい。これらは塗布性を高め、これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0148】
また、ハードコート層は、2層以上の重層構造を有していてもよい。その中の1層は例えば導電性微粒子、または、イオン性ポリマーを含有する所謂帯電防止層としてもよいし、また、種々の表示素子に対する色補正用フィルターとして色調調整機能を有する色調調整剤(染料もしくは顔料等)を含有させてもよいし、また電磁波遮断剤または赤外線吸収剤等を含有させそれぞれの機能を有するようにすることは好ましい。
【0149】
ハードコート層は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.001〜0.1μmのクリアハードコート層か、または微粒子等を添加しRaが0.1〜1μmに調整された防眩性ハードコート層であることが好ましい。中心線平均粗さ(Ra)は光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えばWYKO社製非接触表面微細形状計測装置WYKO NT−2000を用いて測定することができる。
【0150】
また、ハードコート層を有する光学フィルムの全光線透過率が80%以上であることが好ましい。全光線透過率は、スペクトロフォトメーターU−3200(日立製作所製)を用いて、該光学フィルムの可視光域の分光透過率を測定、次いで平均し、全光線透過率(%)とする。
【0151】
〈機能性層〉
本発明に係るハードコート層を有する光学フィルム上に更に以下の機能性層を設けることができる。反射防止層、防汚層、バックコート層、アンチカール層、帯電防止層、下引き層、光散乱層、接着層等が挙げられる。
【0152】
これらの中で、特にカールに有用なバックコート層について述べる。
【0153】
〈バックコート層〉
本発明に係る光学フィルムでは、基材フィルムのハードコート層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、硬化性樹脂層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
【0154】
バックコート層に添加される微粒子としては、前述のハードコート層に用いる微粒子と同様のものを挙げることができる。微粒子として珪素を含むものはヘーズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
【0155】
バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
【0156】
更に、本発明に係るセルロースナノファイバーを含有させることも好ましく、基材フィルムと同様な方法で含有させることができる。
【0157】
〈偏光板〉
本発明に係る光学フィルムを用いた偏光板について述べる。
【0158】
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明に係る光学フィルムにセルロースエステル樹脂を含有する場合、フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる。もう一方の面に該光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明に係る光学フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが100〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)を用いることができる。これらは例えば、特開2002−71957号、特願2002−155395号記載の方法で作製することができる。または、さらにディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることもできる。例えば、特開2003−98348号記載の方法で光学異方性層を形成することができる。
【0159】
また、もう一方の面に用いられる別の偏光板保護フィルムとして、Roが590nmで0〜5nm、Rtが−20〜+20nmの無配向フィルムも好ましく用いられる。
【0160】
裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムを用いることができ、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2(コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
【0161】
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。該偏光膜の面上に、本発明に係る光学フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
【0162】
〈表示装置〉
本発明に係る光学フィルムを少なくとも一方の面に用いた偏光板を液晶ディスプレイに組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶ディスプレイを作製することができる。本発明に係る光学フィルムは前記偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型、OCB型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。
【0163】
本発明に係る偏光板をVA型液晶ディスプレイであるシャープ製32型テレビAQ−32AD5の予め貼合されていた偏光板の替わりに用いたところ、優れた視認性を有し、かつ表面に傷の付きにくい高耐久性を示した。
【0164】
本発明に係る熱可塑性アクリル樹脂とセルロースナノファイバーとを含有する光学フィルムは、偏光板保護フィルムとして機械強度に優れるので、膜厚を薄くすることができ、これを用いた偏光板、その偏光板を用いた液晶ディスプレイも薄膜化が可能である。
【0165】
また、本発明に係る光学フィルムは平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。
【実施例】
【0166】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0167】
実施例1
<基材フィルムの作製>
〈TACフィルム1の作製〉
(微粒子分散液1)
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
【0168】
〈インライン添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルA(アセチル基置換度2.92)を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。
【0169】
濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、インライン添加液を調製した。
【0170】
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステルA 4質量部
微粒子分散液1 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルAを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
【0171】
(主ドープ液の組成)
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステルA(アセチル基置換度2.92) 100質量部
可塑剤(トリメチロールプロパントリベンゾエート) 10質量部
紫外線吸収剤(チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 2質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
【0172】
製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液を濾過した。インライン添加液ライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液を濾過した。濾過したドープ液を100質量部に対し、濾過したインライン添加液を2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを50℃で溶媒を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に、温度130℃、延伸倍率15%で延伸した。120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施し、平均膜厚が80μmのTACフィルム1を作製した。巻き取り長は5000mとした。
【0173】
〈アクリル樹脂含有フィルム1の作製〉
(ドープ液の調製)
BR85(三菱レイヨン社製アクリル樹脂) 100質量部
可塑剤(トリメチロールプロパントリベンゾエート) 10質量部
紫外線吸収剤(チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 2質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
(アクリル樹脂含有フィルム1の製膜)
上記作製したドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したアクリル樹脂のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に10%延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。テンターで延伸後130℃で5分間緩和を行った後、120℃、130℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径6インチコアに巻き取り、アクリル樹脂含有フィルム1を得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は10%であった。アクリル樹脂含有フィルムフィルム1の残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は80μm、巻数は5000mであった。
【0174】
〈アクリル樹脂含有フィルム2の作製〉
まずセルロースナノファイバー、及びその分散液を下記手順にて作製した。
【0175】
(セルロースナノファイバー分散液1の調製)
日本製紙ケミカル(株)の針葉樹クラフトパルプNDP−Tを高圧ホモジナイザーで平均繊維径1μm以下になるまで粉砕処理した後、グラインダー(栗田機械製作所製「KM1−10」)にて、この水懸濁液を、ほぼ接触させた状態の1200rpmで回転するディスク間を、中央から外に向かって通過させる操作を30回(30pass)行った。得られた縣濁液をいったん乾燥し、バルク上のセルロースをメチレンクロライドに投入し、高圧ホモジナイザーで解砕処理し、さらに平均粒径2μmのジルコニアビーズを用いたビーズ分散機で分散処理した。ジルコニアビーズを遠心分離とろ過により除去し、セルロースナノファイバーのメチレンクロライド分散液を得た。この分散液の一部を取り出し、メチクロを蒸発させた後、100個のセルロースナノファイバーを電子顕微鏡観察し、平均繊維径60nm、平均繊維長450nmと測定された。得られた分散液を濃縮し、固形分濃度が50質量%になるように調整した。
【0176】
また、セルロースナノファイバーをX線回折装置LabX XRD−6100((株)島津製作所製)を用いてX線の回折角度を調整して前述の方法で非晶領域の割合を測定したところ、10%であった。
【0177】
(セルロースナノファイバー分散液2の調製)
乾燥質量で2g相当分の亜硫酸漂白針葉樹パルプ、0.025gのTEMPOおよび0.25gの臭化ナトリウムを水150mlに分散させた後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が2.5mmolとなるように次亜塩素酸を加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をろ過後、充分な水による水洗、ろ過を繰り返し、水分散した反応物繊維を凍結乾燥により得た。バルク上のセルロースをメチクロに投入し、高圧ホモジナイザーで解砕処理し、さらに平均粒径2μmのジルコニアビーズを用いたビーズ分散機で分散処理した。ジルコニアビーズを遠心分離とろ過により除去し、セルロースナノファイバーのメチクロ分散液を得た。この分散液の一部を取り出し、メチクロを蒸発させた後、100個のセルロースナノファイバーを電子顕微鏡観察し、平均繊維径60nm、平均繊維長450nmと測定された。得られた分散液を濃縮し、固形分濃度が50質量%になるように調整した。
【0178】
また、セルロースナノファイバーをX線回折装置LabX XRD−6100((株)島津製作所製)を用いてX線の回折角度を調整して前述の方法で非晶領域の割合を測定したところ、10%であった。
【0179】
〈セルロースナノファイバー分散液3〜7の調製〉
セルロースナノファイバー分散液1または2において、グラインダーの回転条件、高圧ホモジナイザーの解砕処理条件、ジルコニアビーズを用いたビーズ分散機での分散処理条件を変更し、表1に示す平均繊維径、非晶領域を有するセルロースナノファイバー分散液3〜7を調製した。
【0180】
【表1】

【0181】
次いで作製したセルロースナノファイバー分散液1を用いて、下記ドープ液を用いてアクリル樹脂含有フィルム1の製膜と同様にして、膜厚80μm、巻数5000mのアクリル樹脂含有フィルム2を作製した。
【0182】
(ドープ液の調製)
BR85(三菱レイヨン社製アクリル樹脂) 100質量部
セルロースナノファイバー分散液1 80質量部
(セルロースナノファイバー固形分として 40質量部)
可塑剤(トリメチロールプロパントリベンゾエート) 10質量部
紫外線吸収剤(チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 2質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
〈アクリル樹脂含有フィルム3の作製〉
下記ドープ液を用いてアクリル樹脂含有フィルム1の製膜と同様にして、膜厚80μm、巻数5000mのアクリル樹脂含有フィルム3を作製した。
【0183】
(ドープ液)
BR85(三菱レイヨン社製アクリル樹脂) 90質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000)
10質量部
セルロースナノファイバー分散液1 80質量部
(セルロースナノファイバー固形分として 40質量部)
アクリル微粒子(C1) 2質量部
可塑剤(トリメチロールプロパントリベンゾエート) 10質量部
紫外線吸収剤(チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 2質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
(アクリル微粒子(C1)の調製)
内容積60リットルの還流冷却器付反応器に、イオン交換水38.2リットル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム111.6gを投入し、250rpmの回転数で攪拌しながら、窒素雰囲気下75℃に昇温し、酸素の影響が事実上無い状態にした。APSを0.36g投入し、5分間攪拌後にMMAを1657g、BAを21.6g、およびALMAの1.68gからなる単量体混合物を一括添加し、発熱ピークの検出後さらに20分間保持して最内硬質層の重合を完結させた。
【0184】
次に、APSを3.48gを投入し、5分間攪拌後にBAを8105g、PEGDA(200)を31.9g、およびALMAの264.0gからなる単量体混合物を120分間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに120分間保持して、軟質層の重合を完結させた。
【0185】
次に、APSを1.32g投入し、5分間攪拌後にMMAを2106g、BAを201.6gからなる単量体混合物を20分間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに20分間保持して最外硬質層1の重合を完結した。
【0186】
次いで、APSを1.32g投入し、5分後にMMAを3148g、BAを201.6g、およびn−OMの10.1gからなる単量体混合物を20分間かけて連続的に添加し、添加終了後にさらに20分間保持した。ついで95℃に昇温し60分間保持して、最外硬質層2の重合を完結させた。
【0187】
このようにして得られた重合体ラテックスを少量採取し、吸光度法により平粒子径を求めたところ0.10μmであった。残りのラテックスを3質量%硫酸ナトリウム温水溶液中へ投入して、塩析・凝固させ、次いで、脱水・洗浄を繰り返したのち乾燥し、3層構造のアクリル微粒子(C1)を得た。
【0188】
上記の略号は各々下記材料である。
【0189】
MMA;メチルメタクリレート
MA;メチルアクリレート
BA;n−ブチルアクリレート
ALMA;アリルメタクリレート
PEGDA;ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量200)
n−OM;n−オクチルメルカプタン
APS;過硫酸アンモニウム
〈アクリル樹脂含有フィルム4〜16の作製〉
アクリル樹脂含有フィルム3の作製と同様にして、表2記載の構成でアクリル樹脂含有フィルム4〜16を作製した。
【0190】
また、表2中の分散剤は以下の化合物である。
【0191】
エマルゲン404:花王株式会社製 HLB値8.8
<ハードコート層付き光学フィルムの作製>
次いで上記作製したTACフィルム1、アクリル樹脂フィルム1〜16を用いて、各々の一方の面に下記ハードコート層を積層し、反対側の面に下記バックコート層を設け、ハードコート層付き光学フィルム1〜17を作製した。
【0192】
(ハードコート層塗布組成物1)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部
ジエトキシベンゾフェノン光反応開始剤 6質量部
シリコーン系界面活性剤FZ2207((日本ユニカー製)10質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液) 固形分として 1質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
メチルエチルケトン 75質量部
(バックコート層塗布組成物1)
アセトン 35質量部
酢酸エチル 45質量部
イソプロピルアルコール 5質量部
ジアセチルセルロース 0.5質量部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液(アエロジル:200V、日本アエロジル(株)製) 0.1質量部
上記作製したTACフィルム1の片面に、バックコート層塗布組成物1をウェット膜厚13μmとなるようにグラビアコートし、乾燥温度80±5℃にて乾燥させた。次いで、このTACフィルム1のもう1方の面にハードコート層塗布組成物1をウェット膜厚で15μmとなるように塗設し、乾燥温度90℃にて乾燥させた後、紫外線を150mJ/mとなるように照射して、乾燥膜厚で7μmのハードコート層を設け、ハードコート層付き光学フィルム1を作製した。
【0193】
同様にしてアクリル樹脂フィルム1〜16を用いて、ハードコート層付き光学フィルム2〜17を作製した。
【0194】
《評価》
以上作製したハードコート層付き光学フィルム1〜17を用いて下記の評価を行った。
【0195】
(透過率)
スペクトロフォトメーターU−3200(日立製作所製)を用いて基材フィルムの可視光域の分光透過率を測定し、次いで平均し、全光線透過率(%)とした。
○:全光線透過率(%)が80%以上
×:全光線透過率(%)が80%未満
(延伸適性)
基材フィルムを上記条件で延伸した時の実際の工程での破断頻度について以下の評価尺度で評価した。
【0196】
◎:実際の工程ではほとんど破断が発生せず好ましい
○:実際の工程でまれに破断が発生するが実用レベルにある
△:実際の工程で時々破断が発生し何とか実用レベルにある
×:実際の工程で頻繁に破断が発生し実用的でない
(鉛筆硬度)
作製した基材フィルム、ハードコート層付き光学フィルムを温度25℃、相対湿度55%の条件で2時間調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した。
【0197】
基材フィルム、ハードコート層付き光学フィルムの構成、及び上記評価結果を表2に示す。
【0198】
【表2】

【0199】
本発明のハードコート層付き光学フィルム3〜10、12〜17は、透過率、基材フィルムの延伸適性、鉛筆硬度、ハードコート層塗布後の鉛筆硬度が、比較例に対し改善されていることが分かる。
【0200】
実施例2
<偏光板および液晶表示装置の作製>
(アルカリケン化処理)
上記作製したハードコート層付き光学フィルム1〜17、及びコニカミノルタタックKC8UCR−5(コニカミノルタオプト(株)製)を、下記に記載するアルカリケン化処理した。
【0201】
ケン化工程 2.5M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量部HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃15分乾燥した。
【0202】
〈偏光子の作製と貼り合わせ〉
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に製膜方向に延伸して偏光子を作った。
【0203】
次に、ポリビニルアルコール系の接着剤を用いて、偏光子の透過軸とセルロースエステルフィルムの面内遅相軸が平行になるように、偏光子の片面に上記ハードコート層付き光学フィルムを貼り合わせ、反対側の面にコニカミノルタタックKC8UCR−5(コニカミノルタオプト(株)製)を張り合わせ、偏光板101〜117を得た。
【0204】
尚、ハードコート層付き光学フィルム2、3についてはアルカリケン化処理せず、コニカミノルタタックKC8UCR−5を両面に貼合した偏光板の片面に、アクリル系粘着剤を用いて貼合し偏光板102、103とした。
【0205】
本発明のハードコート層付き光学フィルムを用いた偏光板は上記操作において傷の発生がなく、歩留まりが明らかに向上した。
【0206】
<液晶表示装置の作製>
得られた偏光板はソニー株式会社製32型液晶テレビ“BRAVIA”KDL−32J5000にあらかじめ貼合されていた視認側の偏光板を注意深く剥がし、もともと貼ってあった偏光板の透過軸にあわせ、液晶セル側に粘着剤を介して貼り付け液晶表示装置を作製した。
【0207】
本発明のハードコート層付き光学フィルムを用いた偏光板を装着した液晶表示装置は、表面の平面性に優れ、傷も付きにくく、長時間鑑賞していても眼が疲れにくかった。
【符号の説明】
【0208】
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストックタンク
5、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 紫外線吸収剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 ダイ
31 金属基材フィルム
32 ウェブ
33 剥離位置
34 テンター延伸装置
35 ロール乾燥装置
41 セルロースナノファイバー仕込釜
42 ストックタンク
43 ポンプ
44 濾過器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム上にハードコート層を有する光学フィルムにおいて、該基材フィルムが熱可塑性アクリル樹脂と平均繊維径4〜200nmのセルロースナノファイバーとを含有することを特徴とする光学フィルム。
【請求項2】
前記基材フィルムがセルロースエステル樹脂を10質量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記基材フィルムが幅手方向、長手方向の少なくとも一方に10%以上延伸されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記基材フィルムがアクリル微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項5】
偏光子とそれを挟む2枚の偏光板保護フィルムからなる偏光板であって、該2枚の偏光板保護フィルムのうちの一枚が請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム、または請求項5に記載の偏光板を用いることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−197680(P2010−197680A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42079(P2009−42079)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】