説明

光学フィルム、アセンブリ、およびディスプレイデバイス

【課題】種々の輝度向上フィルムが知られているが、より高い利得などの改良された性質を有する少なくとも1種の光学フィルムを包む輝度向上フィルムおよびアセンブリのような光学フィルムあれば、産業上有利であろう。
【解決手段】マイクロ構造化光学フィルム、少なくとも1枚のマイクロ構造化光学フィルムを含むフィルムのアセンブリ、および単一マイクロ構造化光学フィルムまたはアセンブリを含むディスプレイデバイス(たとえば照光型ディスプレイデバイス)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年6月17日出願の米国特許出願第10/870366号明細書の一部継続出願;2004年9月10日出願の米国特許出願第10/939184号明細書の一部継続出願;2004年9月10日出願の米国特許出願第10/938006号明細書の一部継続出願;および2005年3月11日出願の米国特許出願第11/078145号明細書の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,175,030号明細書および同第5,183,597号明細書に記載されているような特定のマイクロ複製光学製品は、一般に、「輝度向上フィルム」と呼ばれる。輝度向上フィルムは、エレクトロルミネセンスパネル、ラップトップコンピューターディスプレイ、ワードプロセッサー、デスクトップモニター、テレビ、ビデオカメラ、さらには自動車用および航空用ディスプレイで使用されるものを含めて液晶ディスプレイ(LCD)などのバックライト型フラットパネルディスプレイの輝度を増大させるために、多くのエレクトロニクス製品で利用されている。
【0003】
輝度向上フィルムは、望ましくは、生成される輝度利得(すなわち「利得」)に関連付けられる輝度向上フィルムの屈折率をはじめとする特定の光学的および物理的性質を呈する。輝度を改良すれば、エレクトロニクス製品は、より少ない電力を用いてディスプレイを照明することにより、より効率的に動作できるようになるので、電力消費量が低減され、より少ない熱負荷がその構成要素にかかり、そして製品の寿命が長くなる。
【0004】
輝度向上フィルムは、たとえば、米国特許第5,908,874号明細書;同第5,932,626号明細書;同第6,107,364号明細書;同第6,280,063号明細書;同第6,355,754号明細書;さらにはEP1014113および国際公開第03/076528号パンレットの各明細書に記載されるように、硬化または重合される高屈折率モノマーから調製されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
種々の輝度向上フィルムが知られているが、より高い利得などの改良された性質を有する少なくとも1種の光学フィルムを包む輝度向上フィルムおよびアセンブリのような光学フィルムあれば、産業上有利であろう。そのようなフィルムおよびアセンブリは、ディスプレイデバイスで利用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載されるのは、線状プリズムの反復パターンのようなマイクロ構造化表面を有する光透過性高分子材料を含む光学フィルム(たとえば、光を方向付けるのに好適な光学フィルム)である。
【0007】
一実施形態では、フィルムは、少なくとも1.78の単一シート相対利得を有する実質的非偏光フィルムである。
【0008】
他の実施形態では、フィルムは、少なくとも2.46の単一シート相対利得を有する反射偏光フィルムである。マイクロ構造化表面は、反射偏光ベース層フィルムの通過軸に直交する実質的平行プリズムのパターンを含みうる。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、第1のマイクロ構造化光学フィルムを第2の光学フィルムに近接して含むアセンブリに関する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、一体化光学フィルムまたは一体化アセンブリを発光表面に近接して含むディスプレイデバイスに関する。
【0011】
一態様において、アセンブリは、第1のマイクロ構造化光学フィルムを非構造化反射偏光フィルムに近接して含み、第1のフィルムと偏光フィルムとのアセンブリの利得は、少なくとも2.59である。そのようなアセンブリでは、マイクロ構造化光学フィルムのプリズムは、好ましくは、反射偏光フィルムの通過軸に直交する。
【0012】
他の態様において、アセンブリは、第1の実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムを第2の実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムに近接して含み、第1および第2のフィルムのアセンブリの相対利得は、少なくとも2.80である。第2のフィルムは、プリズムが第1のフィルムのプリズムに非平行(たとえば、90°±20°)になるように位置決めされる。このアセンブリは、アセンブリの第1もしくは第2の光学フィルム間またはそれに近接して第3の光学フィルム(たとえば非構造化反射偏光子)をさらに含みうる。3枚のフィルムのこのアセンブリは、少なくとも3.40の相対利得を有しうる。
【0013】
他の態様において、アセンブリは、マイクロ構造化反射偏光フィルムをマイクロ構造化された実質的非偏光光学フィルムに近接して含み、第1および第2のフィルムのアセンブリの相対利得は、少なくとも3.33である。
【0014】
さらに他の態様において、光学フィルムのアセンブリは、少なくとも10重量%の無機ナノ粒子を含む光透過性高分子材料で構成されたマイクロ構造化表面を有する第1の光学フィルムを第2の光学フィルムに近接して含むように記述される。
【0015】
これらの実施形態のそれぞれにおいて、マイクロ構造化表面は、好ましくは、少なくとも1.61の屈折率を有する重合性樹脂の反応生成物を含む。さらに、重合性樹脂は、好ましくは、低い吸光度を有する。マイクロ構造化表面は、典型的には、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーと、場合により少なくとも1種のエチレン性不飽和オリゴマーと、少なくとも10重量%の無機ナノ粒子と、を含む重合性組成物の反応生成物を含む。ジルコニアは、好ましい無機ナノ粒子である。無機ナノ粒子は、好ましくは、完全凝縮表面改質無機ナノ粒子である。
光学フィルムは、マイクロ構造化表面に結合されたベース層を含みうる。ベース層が高屈折率軸を有しかつマイクロ構造化表面が平行プリズムを含む実施形態では、プリズムは、好ましくは、ベース層の高屈折率軸に対して90度±20度をなすようにアライメントされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る例示的マイクロ構造体保有光学製品の斜視図である。
【図2】本発明に係る輝度向上フィルムを含む例示的バックライト型液晶ディスプレイの概略図である。
【図3】2種の異なる重合性組成物の波長の関数としての吸光度の代表的プロットである。
【図4】液晶ディスプレイから放出される輝度の代表的コノスコーププロットである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、マイクロ構造化光学フィルムと、少なくとも1枚のマイクロ構造化光学フィルムを含むフィルムのアセンブリと、単一マイクロ構造化光学フィルムまたはアセンブリを含むディスプレイデバイス(たとえば照光型ディスプレイデバイス)と、に関する。
【0018】
一般的には、光学フィルムは、光透過性フィルムである。多くの光学フィルムは、フィルム中を通過する光の波動ベクトルおよび得られる光線経路を改変するように設計される。これは、たとえば、マイクロ構造化表面、マット表面、鏡面、さらにはバルク拡散の特性を組み込むことにより達成可能である。
【0019】
本明細書中で使用する場合、「フィルム」という用語は、典型的にはその幅および長さよりも実質的に小さい厚さ(たとえば少なくとも1/10倍)を有する略平面構造体を意味する。光学フィルムの厚さは、典型的には少なくとも25ミクロンである。厚さはたとえば3cm程度でありうるが、典型的には、フィルムは、2mm未満、より典型的には800ミクロン未満である。
【0020】
好ましいタイプの光学フィルムは、フィルムを用いて反射および屈折により光(たとえば拡散光源の光)を再方向付けできるようにフィルム表面上に複数のプリズムのようなマイクロ構造化表面を含む。そのようなフィルムは、輝度向上フィルムおよび光マネジメントフィルムとして知られる。
【0021】
典型的な輝度向上フィルムは、対称な先端と溝との規則的反復パターンを有するマイクロ構造化表面を含む。溝パターンの他の例としては、先端と溝とが対称でなくかつサイズも方位も先端と溝との距離も均一でないパターンが挙げられる。
【0022】
図1について説明する。マイクロ構造化光学フィルム30は、ベース層2とマイクロ構造化光学層4とを含みうる。他の選択肢として、マイクロ構造化光学フィルムは、ベース層と光学層とが同一材料で構成されているモノリシックでありうる。モノリシックマイクロ構造化光学フィルムは、公知の方法により、たとえば、溶融された熱可塑性樹脂を押し出すことにより、作製可能である。光学層4は、プリズム6、8、12、および14として特定される正直角柱の線状アレイを含む。プリズムの高さは、典型的には約1〜約75ミクロンの範囲である。それぞれのプリズムたとえばプリズム6は、第1の面10と第2の面11とを有する。プリズム6、8、12、および14は、プリズムが形成される第1の表面18と、実質的にフラットまたは平面でありかつ第1の表面18に対向する第2の表面20と、を有するベース2上に形成される。直角柱とは、頂角αが典型的には約90°であることを意味する。しかしながら、この角度は、70°〜120°の範囲でありうる。また、80°〜100°の範囲であってもよい。さらに、頂部は、先鋭形、丸形、平坦形、または切頭形でありうる。丸形プリズムの頂角は、面(たとえばフラット面)の交差により近似可能である。プリズム面は同一である必要はなく、プリズムは互いに傾いていてもよい。アレイのプリズムの高さは、実質的に同一であっても異なっていてもよい。光学物品の全厚さ24とプリズムの高さ22との関係は、さまざまでありうる。しかしながら、典型的には、明確に規定されたプリズム面を有する比較的薄い光学層を使用することが望ましい。プリズムの高さ22と全厚さ24との典型的な比は、一般的には25/125〜2/125である。
【0023】
光学フィルムが光を再方向付けするように機能するのであれば、表面構造体は、さまざまなピッチ、交差するチャネル、および/またはさまざまなプリズム角を有していてもよい。たとえば、表面構造体は、米国特許第6,322,236号明細書に記載されるような疑似ランダムプリズム起伏を有するものであってよい。表面構造体は、4つ以上の面を有していてもよく、したがって、ピラミッドのような他の形状を有していてもよい。さらに、面は、曲面であってもよくかつ/または他の非三角形状を有していてもよい。形状に応じて、表面構造体は、非プリズム状でありうる。
【0024】
ベース材料および/またはマイクロ構造化光学層として多くの高分子材料を使用することが可能である。好適な材料は、特定の光学製品の形態に集成したりまたはその中で使用したりするのに十分な程度に光学的に透明でありかつ構造的に強靭である。好ましくは、光学製品の性能が経時により損なわれることがないように十分な耐温度性および耐老化性を有するベース材料が選択されている。
【0025】
ベース材料および/またはマイクロ構造化光学層の特定の化学組成および厚さは、作製される特定の光学製品の要件に依存しうる。すなわち、とくに、強度、透明性、耐温度性、表面エネルギー、光学層への固着性に対する要求のバランスがとられる。ベース層の厚さは、典型的には少なくとも約0.025ミリメートル(mm)、より典型的には少なくとも約0.125mmである。さらに、ベース層は、一般的には約1mm以下の厚さを有する。
【0026】
有用なベース層および/またはマイクロ構造化光学層の材料としては、ガラスおよび種々の高分子材料、たとえば、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、シンジオタクティックポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ノルボルネンポリマー、ナフタレンジカルボン酸をベースとするコポリマーまたはブレンドが挙げられる。場合により、ベース材料は、これらの材料の混合物または併用物を含有しうる。たとえば、ベースは、多層でありうるかまたは連続相中に懸濁もしくは分散された分散相を含有しうる。代表的ベース層材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリカーボネートが挙げられる。有用なPETフィルムの例としては、写真グレードのポリエチレンテレフタレート(PET)およびデラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware)のデュポン・フィルムズ(DuPont Films)から「メリネックス(Melinex)」という商品名で入手可能なPETが挙げられる。
【0027】
そのようなベース層材料から作製されるフィルムは、典型的には、フィルムの製造方法に起因していくらかの複屈折性を有する。そのようなベース層から作製されるマイクロ構造化光学フィルムもまたそのような複屈折性を有するが、そのような光学フィルムは照光型(たとえばLCD)ディスプレイで偏光子として利用されることはないであろうから、そのようなフィルムは、典型的には偏光フィルムとはみなされない。本明細書中で使用する場合、「実質的非偏光光学フィルム」とは、拡散反射率が偏光の関数として0.5未満の変動を有する光学フィルムを意味する。さらにまた、フィルム(たとえば製造中に延伸されるフィルム)が1つの軸(たとえば機械方向軸)において異なる軸(たとえばクロスウェブ方向軸)と比較してより高い屈折率を有することが一般的である。
【0028】
これとは対照的に、「反射偏光光学フィルム」とは、拡散反射率が偏光の関数として少なくとも0.05の変動を有する光学フィルムを意味する。反射偏光光学フィルムは、典型的には、一偏光モードが他の偏光モードよりも実質的に高い反射率を有する。典型的には、拡散反射率は、偏光の関数として少なくとも0.1、より典型的には少なくとも0.2の変動を有する。
【0029】
マイクロ構造化反射偏光光学フィルムは、光学活性のベース層材料から作製可能であり、偏光材料として作用しうる。いくつかのベース層材料は、偏光材料として有用であることが知られている。光の偏光はまた、アラインド雲母チップのような無機材料を組み込むことによりまたは連続フィルム内に分散された光変調液晶のドロップレットのように連続フィルム内に分散された不連続相により、達成可能である。代替手段として、異なる材料のマイクロファイン層からフィルムを作製することが可能である。フィルム内の偏光材料は、たとえば、フィルムの延伸、電界または磁界の印加、およびコーティング技術のような方法を利用することにより、偏光方位にアライメントさせることが可能である。
【0030】
偏光フィルムの例としては、米国特許第5,825,543号明細書および同第5,783,120号明細書に記載のものが挙げられる。多層偏光フィルムは、DBEF(デュアル輝度向上フィルム)という商品名でミネソタ州セントポールのスリーエム・カンパニー(3M Company,St.Paul,MN)により販売されている。輝度向上フィルムにおけるそのような多層偏光光学フィルムの使用については、米国特許第5,828,488号明細書(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。偏光フィルムの他の例は、米国特許第5,882,774号明細書、同第5,965,247号明細書、同第6,025,897号明細書の各明細書に記載されている。とくに米国特許第5,612,820号明細書および同第5,486,949号明細書に記載されるような他の偏光フィルムおよび非偏光フィルムもまた、本発明に係る輝度向上フィルムのベース層として有用でありうる。
【0031】
いくつかの実施形態では、マイクロ構造化光学フィルムのベース層として、非構造化偏光フィルムおよび非構造化実質的非偏光フィルムを利用することが可能である。他の実施形態では、非構造化偏光フィルムおよび非構造化実質的非偏光フィルムが少なくとも1枚のマイクロ構造化光学フィルムと組み合わせてアセンブリで利用される。本明細書中で使用する場合、「非構造化偏光フィルム」とは、表面構造体(たとえばプリズム状表面構造体)が欠如しているフィルムを意味する。非構造化偏光フィルムは、平滑表面、マット表面、または粗表面を有しうる。
【0032】
輝度向上フィルムは、一般的には、照明デバイスのオンアクシス輝度(本明細書中では「輝度」と記す)を向上させる。ラップトップコンピューター、時計などに見られるような光学ディスプレイで使用した場合、マイクロ構造化光学フィルムは、ディスプレイから逃散する光を光学ディスプレイを貫通する法線軸から所望の角度で配設された1対の平面内に制限することにより、光学ディスプレイの輝度を増大させることが可能である。その結果として、許容範囲外にディスプレイから出射するおそれのある光を反射させてディスプレイ中に戻し、そこでその一部分を「リサイクル」してディスプレイから逃散させうる角度でマイクロ構造化フィルムに戻される。リサイクルは、所望の輝度レベルを有するディスプレイを提供するのに必要とされる電力消費量を低減させることができるので有用である。
【0033】
光のそのようなリサイクルの有効性を測定する一般的方法は、光学フィルムの利得を測定することである。本明細書中で使用する場合、「相対利得」は、光学フィルムがライトボックス上に存在しないときに測定されるオンアクシス輝度を基準にして、光学フィルム(または光学フィルムアセンブリ)がライトボックス上に配置されたときに実施例に記載の試験法により測定されるオンアクシス輝度として定義される。この定義は、以下の関係によりまとめることが可能である:
相対利得=(光学フィルムを用いて測定される輝度)/(光学フィルムを用いずに測定される輝度)
【0034】
本明細書に記載されるのは、より高い相対利得を呈する光学フィルムおよび光学フィルムアセンブリである。
【0035】
一実施形態では、マイクロ構造化表面を有する光透過性の高分子材料(たとえば硬化高分子材料)を含む光学フィルムが記述される。光学フィルムは、少なくとも1.78の単一シート相対利得を有する実質的非偏光フィルムである。相対単一シート利得は、典型的には2.05以下である。したがって、単一シート相対利得はまた、1.80、1.82、1.84、1.86、1.88、1.90、1.92、1.94、1.96、1.98、2.00、および2.02を包含する相対利得値の集合中の任意の値から選ばれる範囲であってもよい。
【0036】
他の実施形態では、マイクロ構造化表面を有する反射偏光光学フィルムが記述される。このフィルムは、光透過性の高分子材料(たとえば硬化高分子材料)を含みかつ少なくとも2.46の単一シート相対利得を有する。相対単一シート利得は、典型的には3.02未満である。したがって、単一シート相対利得はまた、2.48、2.50、2.52、2.54、2.56、2.58、2.60、2.62、2.64、2.66、2.68、2.70、2.72、2.74、2.76、2.78、2.80、2.82、2.84、2.86、2.88、2.90、2.92、2.94、2.96、2.98、および3.00を包含する相対利得値の集合中の任意の値から選ばれる範囲であってもよい。マイクロ構造化光学フィルム(たとえばプリズム状マイクロ構造化光学フィルム)のベース層として反射偏光フィルムを利用する場合、プリズムまたはグルーブ(たとえば、線状のプリズムまたはグルーブ)を反射偏光フィルムの通過軸に実質的に直交する方向にアライメントすることが好ましい。
【0037】
他の実施形態では、本発明は、2枚以上のフィルムを含むかまたはそれらよりなる種々のアセンブリに関する。それぞれのアセンブリは、第1のマイクロ構造化光学フィルムを第2の光学フィルム(たとえばマイクロ構造化光学フィルムまたは非構造化光学フィルム)に近接して含む。
【0038】
近接とは、十分に近いことを意味する。近接には、フィルムの単なる積重一体化などにより第1のマイクロ構造化光学フィルムが第2の光学フィルムに接触した状態にあることが包含されうる。または種々の手段によりフィルムを接合させてもよい。フィルムは、機械的手段、化学的手段、熱的手段、またはそれらの組合せにより接合可能である。化学的手段としては、種々の感圧接着剤、溶媒系接着剤、およびホットメルト接着剤、さらには熱、湿分、もしくは放射線に暴露されると架橋する二液硬化性接着剤組成物が挙げられる。熱的手段としては、たとえば、加熱エンボスローラー、高周波(RF)溶接、および超音波溶接が挙げられる。光学フィルムは、フィルムの全平面にわたり(たとえば連続的に)、選択箇所だけで、または縁部だけで接合可能である。他の選択肢として、近接する光学フィルムを空気境界部で互いに分離することが可能である。空気境界部は、接着剤の適用などにより周縁部において一方もしくは両方の光学フィルムの厚さを増大させることによって形成可能である。フィルムをラミネートして一体化させるのではなく積重する場合、光学フィルム間の空気境界部はわずか数ミクロンでありうる。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1のマイクロ構造化光学フィルムは、第2のマイクロ構造化光学フィルムに近接する。そのようなアセンブリでは、ボトムフィルムのマイクロ構造化表面は、好ましくは、トップフィルムの非構造化表面に近接して配設される。プリズム状マイクロ構造化フィルムを利用する実施形態では、フィルムのプリズムは、一般的には、プリズムがグルーブにより分離された状態で一主方向に平行にアライメントされる。一般的には、スタック中の第2のマイクロ構造化光学フィルム(たとえばボトムマイクロ構造化光学フィルム)のプリズム(またはグルーブ)をプリズムが第1のフィルム(たとえばトップフィルム)のプリズムに実質的に直交するようにアライメントすることが好ましい。しかしながら、他のアライメントを利用することも可能である。たとえば、第2の光学フィルムのプリズムは、第2の光学フィルムのプリズムを基準にしてグルーブまたはプリズムの交差が約70°〜約120°の範囲の角度をなすように位置決め可能である。
【0040】
1つの一体化アセンブリでは、第1のマイクロ構造化実質的非偏光光学フィルムは、第2のマイクロ構造化実質的非偏光光学フィルムに近接する。このアセンブリの利得は、少なくとも2.80である。第1の光学フィルムは、第2の光学フィルムと同一であっても異なっていてもよい。たとえば、第2のフィルムは、異なるベース層組成、異なるマイクロ構造化表面組成を有していてもよく、かつ/または異なる表面マイクロ構造を有していてもよい。このアセンブリの相対利得は、典型的には3.32未満である。したがって、そのようなアセンブリの相対利得はまた、2.81、2.82、2.84、2.86、2.88、2.90、2.92、2.94、2.96、2.98、3.00、3.02、3.04、3.06、3.08、3.10、3.12、3.14、3.16、3.18、3.20、3.22、3.24、3.26、3.28、および3.30を包含する相対利得値の集合中の任意の値から選ばれる範囲であってもよい。
【0041】
反射偏光光学フィルムは、種々のアセンブリにおいて他の光学フィルムと組み合わせることが可能である。そのような組合せは、拡散光源の出力を特定の光方向および偏光モードで増強するのにとくに有用であり、液晶デバイスの輝度向上にとりわけ有用である。
【0042】
1つの一体化アセンブリでは、第1のマイクロ構造化実質的非偏光光学フィルム(たとえばプリズム状マイクロ構造化実質的非偏光光学フィルム)は、非構造化反射偏光フィルムに近接する。このアセンブリの利得は、少なくとも2.59である。このアセンブリの相対利得は、典型的には2.86未満である。したがって、そのようなアセンブリの相対利得はまた、2.60、2.62、2.64、2.66、2.68、2.70、2.72、2.74、2.76、2.78、2.80、2.82、および2.84を包含する相対利得値の集合中の任意の値から選ばれる範囲であってもよい。そのようなアセンブリでは、プリズム状フィルムのプリズムまたはグルーブを非構造化反射偏光フィルムの通過軸に実質的に直交するようにアライメントすることが好ましい。
【0043】
他の一体化アセンブリでは、第1のマイクロ構造化実質的非偏光光学フィルムは、マイクロ構造化反射偏光フィルムに近接する。このアセンブリの相対利得は、典型的には少なくとも3.33である。さらに、相対利得は、典型的には4.20未満である。したがって、そのようなアセンブリの相対利得はまた、3.34、3.36、3.38、3.40、3.42、3.44、3.46、3.48、3.50、3.52、3.54、3.56、3.58、3.60、3.62、3.64、3.66、3.68、3.70、3.72、3.74、3.76、3.78、3.80、3.82、3.84、3.86、3.88、3.90、3.82、3.94、3.96、3.98、4.00、4.02、4.04、4.06、4.08、4.10、4.12、4.14、4.16、および4.18を包含する相対利得値の集合中の任意の値から選ばれる範囲であってもよい。
【0044】
さらに、マイクロ構造化光学フィルムの種々のアセンブリを第3の光学フィルムと組み合わせることも可能である。しかしながら、典型的には、アセンブリは、互いに近接するプリズム状構造体を有する2枚以下のマイクロ構造化フィルムを含む。好ましい一アセンブリは、互いに近接する第1および第2のマイクロ構造化実質的非偏光光学フィルムを非構造化反射偏光光学フィルムと共に含む。反射偏光フィルムは、一般的には、非反射偏光フィルムのアセンブリに隣接して配設される。使用時、スタックは、反射偏光フィルムが光源からより離れて存在するようにディスプレイデバイス中に位置決めされる。この三層スタックの相対利得は、典型的には少なくとも3.40かつ典型的には3.72以下である。しかしながら、他の選択肢として、第1および第2のマイクロ構造化実質的非偏光フィルム間またはそれらの下に非構造化反射偏光光学フィルムを配置することが可能である。
【0045】
屈折率と軸方向利得とが略直接的に関連付けられることは、電磁理論から公知である。したがって、輝度向上フィルムで使用するためのより高屈折率の材料に関する種々の特許が存在する。しかしながら、本発明者らは、高屈折率材料単独では、とくにアセンブリにおいて、必ずしも高利得が得られるとは限らないことを見いだした。本明細書に記載されるのは、十分な屈折率と低い光吸収とを相乗的に組み合わせて有する重合性樹脂から作製される光学フィルムおよび2枚以上の光学フィルムのアセンブリである。
【0046】
フィッシャー・サイエンティフィック・リフラクトメーター・カンパニーのモデル#6208(Fischer Scientific Refractometer Co.Model #6208)を用いて決定される重合性組成物の有機成分の屈折率は、少なくとも1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、または1.62でありうる。重合性組成物(たとえば、場合により粒子を含んでいてもよい)は、1.70程度の高い屈折率を有しうる。重合性組成物の屈折率は、少なくとも1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、または1.69である。一般的には、樹脂の屈折率は、硬化させると約0.01〜0.03上昇する可能性がある。硬化屈折率は、エリプソメトリーのような当技術分野で公知の種々の技術により測定可能である。
【0047】
図3は、それぞれ1.793および1.829の相対利得値(すなわち単一シート相対利得値)を有する実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムの作製に利用される代表的重合性樹脂組成物(すなわち実施例の重合性樹脂組成物12および13)の波長の関数としての吸光度(実施例に記載の試験法に準拠して測定される)のプロットである。この場合、重合性組成物12は、1.78の好ましい最小値に近い相対利得値(すなわち単一シート相対利得値)を有するマイクロ構造化光学フィルムの作製に好適な組成物を代表するものである。
【0048】
図3からわかるように、約575nm〜800nmの範囲の波長におけるこれらの重合性樹脂組成物の吸光度は、1未満である。450nmにおける吸光度は、2.5未満(たとえば2.25未満)である。約500nmにおける吸光度は、1.75以下である。550nmにおける吸光度は、1.5未満(たとえば1.25未満)である。
【0049】
代表的重合性樹脂12および13から作製された実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムを、それぞれ2枚の同一フィルムのスタックを有するアセンブリの形態にした。ただし、ボトムフィルムのプリズムがトップフィルムのプリズムに直交するように、ボトムフィルムのプリズム状マイクロ構造化表面をトップフィルムのベース層に接触させた。重合性樹脂12から作製されたアセンブリの相対利得は、2.652であり;一方、重合性樹脂13から作製されたアセンブリの相対利得は、2.807であった。
【0050】
重合性樹脂12は高利得を有する単一マイクロ構造化光学フィルムを取得するには十分な程度に低い吸光度を有するが、アセンブリの形態に組み合わされたときには重合性樹脂が寄与する吸光度が加算される。したがって、本発明に係るアセンブリでは、代表的重合性樹脂12は、高すぎる吸光度を有し;一方、重合性樹脂13は、少なくとも2.80の好ましい利得値を有するアセンブリ(すなわち反射偏光フィルムが欠如しているアセンブリ)を作製するのに好適である最大吸光度に近い吸光度を有する代表的組成物である。
【0051】
したがって、アセンブリで使用するのに好ましい重合性樹脂組成物の吸光度は、450nmの波長において2未満である。好ましくは、吸光度は、450nmの波長において1.5未満、より好ましくは1未満、さらにより好ましくは0.75未満である。約500nmにおける吸光度は、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.0未満、より好ましくは0.5未満である。約550nmの波長では、重合性樹脂の吸光度は、好ましくは1未満、より好ましくは0.5未満である。500nm〜800nmの波長では、重合性樹脂の吸光度は、好ましくは0.5未満である。吸光度は、約600nm〜800nmの範囲の波長において好ましくは0.25未満である。
【0052】
相対利得に及ぼす吸光度の影響は、より高い屈折率(たとえば1.64)を有する重合性樹脂組成物を用いることにより、ある程度まで補償可能である。そのような実施形態では、許容吸光度値は、より高くてもよい。
【0053】
本明細書に記載の種々のマイクロ構造化光学フィルムおよびアセンブリは、たとえば、ダイレクトライト型バックライト、エッジライト型バックライト、発光ダイオード(LED)バックライト型LCD、CCFLバックライト型ディスプレイ、フィールドシーケンシャルディスプレイ、スキャニングバックライトを含めて、さまざまなディスプレイで効果的に利用可能である。マイクロ構造化光学フィルムまたはアセンブリは、典型的には、輝度の向上および/または電力消費の低減を目的に組み込まれる。マイクロ構造化光学フィルムまたはアセンブリは、ディスプレイデバイスの他の構成要素に近接する。例示的バックライト型液晶ディスプレイの概略図は、図2に全体として110で示される。実際のディスプレイでは、示された種々の構成要素は、多くの場合、輝度向上フィルムに接触した状態にある。本発明に係る輝度向上フィルム111は、一般的には、光導波路118と液晶ディスプレイパネル114との間に位置決めされる。液晶ディスプレイパネルは、典型的には、両方の表面上に偏光子(たとえば吸収偏光子)を含む。したがって、そのような偏光子(たとえば吸収偏光子)は、本発明に係る輝度向上フィルムに隣接して位置決めされる。ディスプレイデバイスでは、偏光子(たとえば吸収偏光子)に最も近いプリズムシートのプリズムまたはグルーブは、好ましくは、隣接する吸収偏光子の通過軸に実質的に直交するようにアライメントされる。さらに、光学フィルムまたはアセンブリが反射偏光子を含む場合、反射偏光子の通過軸は、ディスプレイデバイスの吸収偏光子の通過軸にアライメントされる。バックライト型液晶ディスプレイはまた、蛍光ランプのような光源116と、さらには液晶ディスプレイパネルの方向に光を反射するための白色リフレクター120と、を含みうる。輝度向上フィルム111は、光導波路118から放出された光を平行化することにより、液晶ディスプレイパネル114の輝度を増大させる。輝度を増大させると、液晶ディスプレイパネルにより生成される画像をよりシャープにすることが可能になり、しかも光源116の電力を低減させて選択された輝度を生成できるようになる。バックライト型液晶ディスプレイは、コンピューターディスプレイ(ラップトップディスプレイおよびコンピューターモニター)、テレビ、ビデオレコーダー、移動体通信デバイス、ハンドヘルドデバイス(すなわち、携帯電話、携帯情報端末(PDA))、自動車用およびアビオニクス用機器ディスプレイなどのような装置(参照文字121により表されている)に有用である。
【0054】
ディスプレイは、輝度向上フィルムと液晶ディスプレイパネル114との間に位置決めされた他の光学フィルム112をさらに含みうる。他の光学フィルムとしては、たとえば、拡散体、反射偏光子、または第2の輝度向上フィルムが挙げられうる。他の光学フィルムは、当技術分野で公知のように、光学フィルム112と液晶ディスプレイパネル114との間または輝度向上フィルム111と光導波路118との間に位置決め可能である。さらに、光導波路と光学フィルムとの間に方向変換フィルムを配置することが可能である。他の選択肢として、輝度向上フィルムは、方向変換フィルムであってもよい。方向変換フィルムは、典型的には、入力表面上に形成されたプリズム構造体を含み、入力表面は、光導波路に隣接して配設される。出力表面に対して通常30度未満の視射角で光導波路から出射する光線は、プリズム構造体に当たる。光線は、プリズム構造体の第1の表面で屈折し、プリズム構造体の第2の表面で反射され、その結果、所望の方向に、たとえば、ディスプレイの目視軸に実質的に平行な方向に、方向変換レンズまたはフィルムにより方向付けられる。
【0055】
111と112とだけの組合せまたは第3の光学フィルムと組み合わされた組合せは、本明細書に記載の光学フィルムアセンブリのいずれかでありうる。これらの追加の光学フィルムが輝度向上フィルムのベース層として組み込まれる場合、ベース層の厚さは、先に記載されたよりも著しく厚いこともある。
【0056】
好ましい一態様において、マイクロ構造化非偏光フィルムまたはそのようなものを含むアセンブリは、特定のバックライトのオンアクシス輝度を向上させることが判明した。オフアクシス輝度ピークは、正反射バックリフレクターを含むエッジライト型バックライトディスプレイ、とくに楔型光導波路を含むそのようなディスプレイに共通していることが判明した。
【0057】
本明細書に記載の光学フィルムは、複数のナノ粒子(たとえば表面改質ナノ粒子)を場合により含んでいてもよい有機成分の反応生成物を含む重合構造体を含みうる。重合構造体は、ベース層と光学層とから作製される光学素子または光学製品でありうる。ベース層および光学層は、同一のまたは異なるポリマー材料から形成可能である。
【0058】
ルー(Lu)の(米国特許第5,183,597号明細書)およびルー(Lu)らの(米国特許第5,175,030号明細書)に記載されるように、マイクロ構造体保有物品(たとえば輝度向上フィルム)は、(a)重合性組成物(すなわち本発明に係る重合性組成物)を調製する工程と;(b)マスターのキャビティーを満たすのにかろうじて十分な量でマスターネガマイクロ構造化成形表面上に重合性組成物を堆積させる工程と;(c)予備成形されたベースとマスター(少なくとも一方は可撓性である)との間で重合性組成物のビードを移動させることによりキャビティーを満たす工程と;(d)組成物を硬化させる工程と;を含む方法により作製可能である。マスターは、ニッケル、ニッケルメッキ銅、もしくは黄銅のような金属品でありうるか、または重合条件下で安定でありかつマスターから重合材料をきれいに取り出しうる表面エネルギーを好ましくは有する熱可塑性材料でありうる。ベースへの光学層の固着を促進するために、場合により、ベースフィルムの1つ以上の表面に下地処理または他の処理を施すことが可能である。
【0059】
好適な重合方法としては、当技術分野で公知のように、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、およびバルク重合が挙げられる。好適な方法としては、遊離基開始剤の存在下における加熱さらには光開始剤の存在下における紫外光または可視光のような電磁放射線の照射が挙げられる。合成中、輸送中、および貯蔵中における樹脂の早期重合を防止するために、多くの場合、ヒドロキノン禁止剤、4−メトキシフェノール禁止剤、およびヒンダードアミンニトロキシド禁止剤のような禁止剤が、50〜1000ppmのレベルで重合性組成物の合成時に使用される。当業者に公知のように、他の種類および/または量の禁止剤を利用することが可能である。本発明に係る組成物は、好ましくは、光開始剤の存在下における紫外光または可視光の照射により重合可能である。
【0060】
重合性組成物またはその有機成分は、好ましくは、実質的に無溶媒の重合性組成物である。「実質的に無溶媒」とは、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および0.5重量%未満の溶媒(たとえば有機溶媒)を有する重合性組成物を意味する。溶媒の濃度は、ガスクロマトグラフィーのような公知の方法により決定可能である。0.5重量%未満の溶媒濃度が好ましい。
【0061】
有機成分は、重合性組成物での融点がコーティング温度未満であるならば、固体でありうるかまたは固体成分を含みうる。有機成分は、周囲温度で液体でありうる。
【0062】
成分は、好ましくは、有機成分が低粘度(たとえば180°Fで1000cps未満)を有するように選択される。典型的には、有機成分の粘度は、これまで利用されてきた組成物の有機成分よりも実質的に低い。有機成分の粘度は、1000cps未満、典型的には900cps未満である。有機成分の粘度は、コーティング温度において、800cps未満、450cps未満、600cps未満、または500cps未満でありうる。本明細書中で使用する場合、粘度は、25mmのパラレルプレートを用いて動的応力レオメーターにより測定される(1000sec-1までの剪断速度で)。さらに、有機成分の粘度は、コーティング温度において、典型的には少なくとも10cps、より典型的には少なくとも50cps、さらにより典型的には少なくとも100cps、最も典型的には少なくとも200cpsである。コーティング温度は、典型的には、周囲温度(すなわち25℃)〜180°F(82℃)の範囲である。コーティング温度は、170°F(77℃)未満、160°F(71℃)未満、150°F(66℃)未満、140°F(60℃)未満、130°F(54℃)未満、または120°F(49℃)未満でありうる。
【0063】
重合性組成物は、1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含む。重合性組成物は、(メタ)アクリル化ウレタンオリゴマー、(メタ)アクリル化ポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリル化フェノールオリゴマー、(メタ)アクリル化アクリルオリゴマー、およびそれらの混合物を含みうる。しかしながら、いくつかの実施形態では、有機成分は、ウレタン結合を含んでおらず、したがって、(メタ)アクリル化ウレタンを含まない重合性組成物の反応生成物から調整される。(メタ)アクリル化ウレタンを含む重合性組成物は、粘度がより高い傾向がある。
【0064】
いくつかの実施形態では、重合性組成物は、450g/モル超の数平均分子量を有する少なくとも1種のオリゴマー性エチレン性不飽和モノマーを反応性希釈剤および/または架橋剤と組み合わせて含みうる。他の実施形態では、重合性組成物は、1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含みうるが、ただし、有機相は、450g/モル超の数平均分子量を有するオリゴマー性モノマーを含まない。
【0065】
十分な重合性反応性基を有する表面改質ナノ粒子を利用する実施形態では、架橋剤を利用する必要はない。好ましい実施形態では、重合性組成物つまりその成分は、アクリレート官能基を単独で含み、したがって、メタクリレート官能基を実質的に含まない。
【0066】
本明細書に記載の重合性組成物は、好ましくは、無機酸化物粒子(たとえば表面改質無機酸化物粒子)を含む。そのような粒子のサイズは、有意な可視光散乱が回避されるように選択される。光学的な性質または材料の性質を最適化しかつ全組成物コストを削減するために、無機酸化物粒子タイプの混合物を利用することが望ましいこともある。無機ナノ粒子と有機樹脂とから形成されるハイブリッドポリマーは、従来の有機樹脂では取得しえない耐久性を単独で達成するのに適している。無機ナノ粒子を組み込むことにより、こうして形成される物品(たとえば輝度向上フィルム)の耐久性を改良することが可能である。
【0067】
重合性表面改質の欠如した無機ナノ粒子を有効に利用することが可能であるが、無機ナノ粒子は、好ましくは、ナノ粒子が有機成分と重合しうるように表面改質される。表面改質されたナノ粒子(たとえばコロイドナノ粒子)は、物品または光学素子の耐久性および/または屈折率を向上させるのに有効な量で重合構造体中に存在しうる。本明細書中に記載の表面改質コロイドナノ粒子は、さまざまな望ましい属性、たとえば、ナノ粒子が樹脂系内で安定なディスパージョンを形成するようなナノ粒子と樹脂系との相溶性などを有することが可能であり、表面改質によりナノ粒子と樹脂系との反応性を提供すれば、複合体をより耐久性のあるものにすることが可能であり、適切に表面改質されたナノ粒子を樹脂系に添加すれば、非硬化組成物粘度に及ぼす影響が少なくなる。表面改質剤の組合せにより、組成物の非硬化性および硬化性を操作しうる。適切に表面改質されたナノ粒子を用いれば、光学素子の光学的性質および物理的性質を改良することが可能であり、たとえば、樹脂の機械的強度を改良したり、樹脂系内の固体の体積充填率を増大させつつ粘度変化を最小限に抑えたり、樹脂系内の固体の体積充填率を増大させつつ光学的透明度を保持したりすることが可能である。
【0068】
表面改質コロイドナノ粒子は、1nm超かつ100nm未満の一次粒子サイズまたは会合粒子サイズを有する酸化物粒子でありうる。ナノ粒子は、会合していないことが好ましい。それらの測定は、透過型電子顕微鏡法(TEM)に基づきうる。ナノ粒子は、たとえば、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモン、シリカ、ジルコニア、チタニア、それらの混合物、またはそれらの混合酸化物のような金属酸化物を含みうる。表面改質コロイドナノ粒子は、実質的に完全に凝縮可能である。
【0069】
非シリカ含有完全凝縮ナノ粒子は、典型的には、55%超、好ましくは60%超、より好ましくは70%超の結晶化度(独立金属酸化物粒子として測定される)を有する。たとえば、結晶化度は、約86%までの範囲内またはそれ以上でありうる。結晶化度は、X線回折法により決定可能である。凝縮結晶性のナノ粒子(たとえばジルコニアナノ粒子)は高屈折率を有するが、アモルファスなナノ粒子は典型的にはより低い屈折率を有する。
【0070】
シリカナノ粒子は、5〜75nmまたは10〜30nmまたは20nmの粒子サイズを有しうる。シリカナノ粒子は、10〜60重量%または10〜40重量%の量で耐久性の物品中または光学素子中に存在しうる。本発明に係る材料に使用されるシリカは、「ナルコ・コロイダル・シリカ(Nalco Colloidal Silica)」という商品名でイリノイ州ネーパービルのナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Co.,Naperville,IL)から市販されている(たとえば、製品1040、1042、1050、1060、2327、および2329)。好適なヒュームドシリカとしては、たとえば、商品名「アエロジル(Aerosil)シリーズOX−50」さらには製品番号130、150、および200としてデグッサAG(独国ハーナウ)(DeGussa AG(Hanau,Germany))から市販されている製品が挙げられる。ヒュームドシリカはまた、「CAB−O−SPERSE 2095」、「CAB−O−SPERSE A105」、および「CAB−O−SIL M5」という商品名で、イリノイ州タスコラのキャボット・コーポレーション(Cabot Corp.,Tuscola,IL)から市販されている。
【0071】
ジルコニアナノ粒子は、5〜50nmまたは5〜15nmもしくは10nmの粒子サイズを有しうる。ジルコニアナノ粒子は、10〜70重量%または30〜60重量%の量で耐久性の物品中または光学素子中に存在しうる。本発明に係る組成物および物品で使用されるジルコニアは、「ナルコOOSSOO8(Nalco OOSSOO8)」という商品名でナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Co.)から、および「ビューラー・ジルコニアZ−WOゾル(Buhler zirconia Z−WO sol)」という商品名でスイス国ウッツヴィルのビューラーAG(Buhler AG Uzwil, Switzerland)から、入手可能である。ジルコニアナノ粒子はまた、2004年12月30日出願の米国特許出願第11/027426号明細書および米国特許第6,376,590号明細書の各明細書に記載されるように調製することも可能である。
【0072】
チタニア、酸化アンチモン、アルミナ、酸化スズ、および/または混合金属酸化物のナノ粒子は、5〜50nmまたは5〜15nmもしくは10nmの粒子サイズまたは会合粒子サイズを有しうる。チタニア、酸化アンチモン、アルミナ、酸化スズ、および/または混合金属酸化物のナノ粒子は、10〜70重量%または30〜60重量%の量で耐久性の物品中または光学素子中に存在しうる。本発明に係る材料に使用される混合金属酸化物は、商品名オプトレーキ3(Optolake3)として触媒化成工業株式会社(日本国川崎市)(Catalysts & Chemical Industries Corp.(Kawasaki,Japan))から市販されている。
【0073】
ナノサイズ粒子の表面処理により、高分子樹脂中の安定なディスパージョンを提供しうる。好ましくは、粒子が重合性樹脂中に良好に分散されて実質的に均一な組成物を生じるように、ナノ粒子を表面処理により安定化させる。さらに、安定化された粒子が硬化中に重合性樹脂と共重合または反応できるように、ナノ粒子の表面の少なくとも一部分を表面処理剤により改質しうる。
【0074】
本発明に係るナノ粒子は、好ましくは、表面処理剤で処理される。一般的には、表面処理剤は、(共有結合により、イオン結合により、または強い物理吸着を介して)粒子表面に結合する第1の末端と、粒子と樹脂との相溶性を付与しかつ/または硬化中に樹脂と反応する第2の末端と、を有する。表面処理剤の例としては、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン、およびチタネートが挙げられる。好ましいタイプの処理剤は、部分的には、金属酸化物表面の化学的性質により決定される。シリカに対してはシランが好ましく、ケイ酸質充填剤に対しては他のものが好ましい。ジルコニアのような金属酸化物に対しては、シランおよびカルボン酸が好ましい。表面改質は、モノマーとの混合に続いてまたは混合後のいずれかで行いうる。シランの場合、樹脂への組込み前にシランを粒子またはナノ粒子の表面と反応させることが好ましい。表面改質剤の必要量は、粒子サイズ、粒子タイプ、改質剤分子量、および改質剤タイプのようないくつかの因子に依存する。一般的には、略単分子層の改質剤を粒子の表面に結合させることが好ましい。必要とされる結合手順または反応条件もまた、使用される表面改質剤に依存する。シランの場合、酸性または塩基性の条件下、高温で約1〜24時間表面処理することが好ましい。カルボン酸のような表面処理剤では、高温や長時間を必要としないこともある。
【0075】
組成物に好適な表面処理剤の代表的実施形態としては、たとえば、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、ベータ−カルボキシエチルアクリレート(BCEA)、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸のような化合物、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに、ウェストバージニア州サウスチャールストンのOSIスペシャルティーズ・クロンプトン(OSI Specialties,Crompton South Charleston,WV)から「シルクエストA1230(Silquest A1230)」という商品名で市販されている専売品のシラン表面改質剤は、とくに好適であることが判明した。
【0076】
コロイドディスパージョン中の粒子の表面改質は、さまざまな方法で達成可能である。この方法は、無機ディスパージョンと表面改質剤との混合を含む。場合により、この時点で、たとえば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、および1−メチル−2−ピロリジノンのような共溶媒を添加しうる。共溶媒は、表面改質剤さらには表面改質粒子の溶解性を向上させうる。続いて、無機ゾルと表面改質剤とを含む混合物を混合しながらまたは混合することなく室温または高温で反応させる。好ましい方法では、混合物を約85℃で約24時間反応させて表面改質ゾルを生成させうる。金属酸化物を表面改質する好ましい方法では、金属酸化物の表面処理は、好ましくは、粒子表面への酸性分子の吸着を含みうる。重金属酸化物の表面改質は、室温で行いうる。
【0077】
シランによるZrO2の表面改質は、酸性条件下または塩基性条件下で達成可能である。好ましい一例では、シランは、好ましくは、酸性条件下で好適な時間をかけて加熱される。その時、ディスパージョンは、アンモニア水(または他の塩基)と組み合わされる。この方法により、ZrO2表面からの酸対イオンの除去さらにはシランとの反応が可能である。好ましい方法では、粒子をディスパージョンから沈澱させて液相から分離する。
【0078】
次に、表面改質粒子を種々の方法で硬化性樹脂中に組み込みうる。好ましい態様では、溶媒交換手順が利用される。それによれば、樹脂を表面改質ゾルに添加してから水および共溶媒(使用する場合)を蒸発により除去することにより、粒子を重合性樹脂中に分散された状態にする。蒸発工程は、たとえば、蒸留、回転蒸発、またはオーブン乾燥により達成可能である。
【0079】
他の態様において、所望により、表面改質粒子を水非混和性溶媒中に抽出してから溶媒交換を行うことが可能である。
【0080】
他の選択肢として、重合性樹脂中に表面改質ナノ粒子を組み込むための他の方法は、改質粒子を乾燥させて粉末にすることと、続いて、粒子を分散させる樹脂材料を添加することと、を含む。この方法の乾燥工程は、系に好適な従来の手段、たとえば、オーブン乾燥または噴霧乾燥などにより達成可能である。
【0081】
表面改質剤の組合せが有用なこともある。その場合、表面改質剤の少なくとも1種は、硬化性樹脂と共重合しうる官能基を有する。表面改質剤の組合せにより、より低い粘度を得ることが可能である。たとえば、重合性基は、エチレン性不飽和であるか、または開環重合を起こす環式官能基でありうる。エチレン性不飽和重合性基は、たとえば、アクリレート基もしくはメタクリレート基またはビニル基でありうる。開環重合を起こす環式官能基は、一般的には、酸素、硫黄、または窒素のようなヘテロ原子を含有し、好ましくは、エポキシドのように酸素を含有する3員環である。
【0082】
表面改質剤の好ましい組合せは、硬化性樹脂(の有機成分)と共重合しうる官能基を有する少なくとも1種の表面改質剤と、第1の改質剤と異なる第2の改質剤と、を含む。第2の改質剤は、場合により重合性組成物の有機成分と共重合しうるものであってもよい。第2の改質剤は、低屈折率(すなわち1.52未満または1.50未満)を有しうる。第2の改質剤は、好ましくは、場合により重合性組成物の有機成分と共重合しうるものであってもよいポリアルキレンオキシド含有改質剤である。
【0083】
さまざまなエチレン性不飽和モノマーを重合性組成物の有機成分中で利用することが可能である。
【0084】
好適なオリゴマー性(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマーは、「CN104」、「CN116」、「CN120」、「CN121」、および「CN136」)という商品名でサートマー(Sartomer)から;「フォトマー3016(Photomer3016)」という商品名でコグニス(Cognis)から;ならびに「3200」、「3201」、「3211」、および「3212」という商品名でUCBから;市販されている。
【0085】
好適なウレタン(メタ)アクリレートは、「CN965」、「CN968」、「CN981」、「CN983」、「CN984」、「CN972」、および「CN978」という商品名でサートマー(Sartomer)から;「フォトマー6210(Photomer6210)」、「フォトマー6217(Photomer6217)」、「フォトマー6230(Photomer6230)」、「フォトマー6623(Photomer6623)」、「フォトマー6891(Photomer6891)」、および「フォトマー6892(Photomer6892)」という商品名でコグニス(Cognis)から;ならびに「エベクリル1290(Ebecryl1290)」、「エベクリル2001(Ebecryl2001)」、および「エベクリル4842(Ebecryl4842)」という商品名でUCBから;市販されている。
【0086】
好適なポリエステル(メタ)アクリレートは、「CN292」という商品名でサートマー(Sartomer)から;「フォトマー5010(Photomer5010)」、「フォトマー5429(Photomer5429)」、「フォトマー5430(Photomer5430)」、「フォトマー5432(Photomer5432)」、「フォトマー5662(Photomer5662)」、「フォトマー5806(Photomer5806)」、および「フォトマー5920(Photomer5920)」という商品名でコグニス(Cognis)から;ならびに「エベクリル80(Ebecryl80)」、「エベクリル81(Ebecryl81)」、「エベクリル83(Ebecryl83)」、「エベクリル450(Ebecryl450)」、「エベクリル524(Ebecryl524)」、「エベクリル525(Ebecryl525)」、「エベクリル585(Ebecryl585)」、「エベクリル588(Ebecryl588)」、「エベクリル810(Ebecryl810)」、および「エベクリル2047(Ebecryl2047)」という商品名でUCBから;市販されている。
【0087】
好適なフェノール(メタ)アクリレートは、「SR601」および「SR602」という商品名でサートマー(Sartomer)から;「フォトマー4025(Photomer4025)」および「フォトマー4028(Photomer4028)」という商品名でコグニス(Cognis)から;市販されている。
【0088】
好適な(メタ)アクリル化アクリルオリゴマーはまた、市販されているかまたは当技術分野で公知の方法により調製可能である。
【0089】
重合性組成物は、次の一般構造IまたはII:
【化1】

または
【化2】

を有する主要部分を含む第1のモノマーを含みうる。構造IおよびIIのそれぞれにおいて、各R1は、独立して、水素またはメチルである。各R2は、独立して、水素または臭素である。各Zは、独立して、−C(CH32−、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−、または−S(O)2−であり、そして各Qは、独立して、OまたはSである。典型的には、R1基は同一である。典型的には、R2基もまた互いに同一である。構造II中、Lは結合基である。Lは、独立して、分枝状もしくは線状のC2〜C12アルキル基を含みうる。アルキル基の炭素鎖は、場合により1個以上の酸素基で置換されていてもよい。さらに、アルキル基の炭素原子は、場合により1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。たとえば、Lは、−CH2CH(OH)CH2−でありうる。典型的には、結合基は同一である。好ましくは、アルキル基は、8個以下の炭素原子、より好ましくは6個以下の炭素原子を含む。IとIIとの混合物を利用することも可能である。
【0090】
第1のモノマーは、合成または購入が可能である。本明細書中で使用する場合、主要部分とは、モノマーの少なくとも60〜70重量%が直前に記載の特定の構造を含有することを意味する。ごく当然のことながら、典型的には、他の反応生成物もまた、そのようなモノマーの合成の副生成物として存在する。
【0091】
第1のモノマーは、好ましくは、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物である。第1のモノマーは、ジョージア州スマーナのUCBコーポレーション(UCB Corporation,Smyrna,GA)から「RDX−51027」という商品名で入手可能である。この材料は、2−プロペン酸,(1−メチルエチリデン)ビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]エステルの主要部分を含む。
【0092】
そのような第1のモノマーの混合物もまた好適に利用可能であるが、製造を容易にするために、できるかぎり少数の異なるモノマーを利用し、しかも依然として好適な利得を有する輝度向上フィルムが得られるようにすることが好ましい。この目的を満たすために、輝度向上フィルムはこれらの第1のモノマーの1種のみの反応生成物とくにテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物を含むことが好ましい。
【0093】
重合性組成物は、少なくとも1種の(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマーを含みうる。種々の(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマーが市販されている。たとえば、(メタ)アクリル化芳香族エポキシ(変性エポキシアクリレートとして記述される)は、「CN118」、「CN115」、および「CN112C60」という商品名でペンシルバニア州エクストンのサートマー(Sartomer,Exton,PA)から入手可能である。(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマー(エポキシアクリレートオリゴマーとして記述される)は、「CN2204」という商品名でサートマー(Sartomer)から入手可能である。さらに、(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマー(40%のトリメチロールプロパントリアクリレートとブレンドされたエポキシノボラックアクリレートとして記述される)は、「CN112C60」という商品名でサートマー(Sartomer)から入手可能である。
【0094】
いくつかの実施形態では、芳香族エポキシアクリレートは、IIに示されるようなビスフェノールAから誘導される。しかしながら、他の実施形態では、芳香族エポキシアクリレートは、ビスフェノールAと異なるモノマーから誘導可能である。
【0095】
重合性組成物成分は、芳香族エポキシアクリレートと少なくとも1種の架橋剤と少なくとも1種の反応性希釈剤と少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマーとを含みうる。他の選択肢として、重合性組成物の有機成分は、単に、芳香族エポキシアクリレートと架橋剤とを含むかまたは芳香族エポキシアクリレートと反応性希釈剤とを含み、それらのそれぞれが光開始剤を含むものであってもよい。芳香族エポキシアクリレートを重合性組成物で利用する場合、少なくとも2個のエチレン性不飽和重合性基を含む少なくとも1種の成分が重合性組成物に含まれるのであれば、芳香族エポキシアクリレートは単官能性であってもよい。芳香族エポキシアクリレートは、3個以上の(メタ)アクリレート基を有していてもよい。芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは、ハロゲン化されて典型的には1.56超の屈折率を有していてもよい。他の態様において、芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは、1.56未満の屈折率を有していてもよい。芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは、65℃において2150cps超の粘度を有していてもよい。30重量%未満の芳香族エポキシ(メタ)アクリレートを、たとえば、反応性希釈剤と組み合わせて利用してもよい。他の実施形態では、芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは、65℃において2150cps未満の粘度を有していてもよく、希釈剤は利用しなくてもよい。30重量%超の芳香族エポキシ(メタ)アクリレートを有機成分で利用してもよい。
【0096】
第1のモノマーおよび/または芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは、好ましくは、少なくとも約15重量%(たとえば、20重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、および50重量%、ならびにそれらの間の任意の量)の量で重合性組成物中に存在する。典型的には、第1のモノマーおよび/または芳香族エポキシ(メタ)アクリレートの量は、約60重量%を超えない。
【0097】
第1のモノマーおよび/または芳香族エポキシ(メタ)アクリレートに加えて、本発明に係る重合性組成物は、場合により、少なくとも1種、好ましくは1種のみの架橋剤を含みうる。多官能性モノマーは、重合性組成物の重合から生じるポリマーのガラス転移温度を増大させるための架橋剤として使用可能である。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)、変調DSC、または動的機械的分析のような当技術分野で公知の方法により測定可能である。好ましくは、高分子組成物は、45℃超のガラス転移温度を提供するのに十分な程度に架橋される。
【0098】
架橋剤は、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の(メタ)アクリレート官能基を含む。好適な架橋剤としては、たとえば、ヘキサンジオールアクリレート(HDDA)、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタクリレート)、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、およびジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。架橋剤の任意の1種または組合せを利用しうる。
【0099】
架橋剤は、少なくとも約2重量%の量で重合性組成物中に存在しうる。典型的には、架橋剤の量は、約25重量%以下である。架橋剤は、約5重量%〜約15重量%の範囲の任意の量で存在しうる。
【0100】
好ましい架橋剤としては、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物が挙げられる。ペンタエリトリトールトリアクリレート(PETA)およびジペンタエリトリトールペンタアクリレートは、それぞれ「SR444」および「SR399LV」という商品名でペンシルバニア州エクストンのサートマー・カンパニー(Sartomer Company,Exton,PA)から;「ビスコート#300(Viscoat#300)」という商品名で日本国大阪の大阪有機化学工業株式会社(Osaka Organic Chemical Industry,Ltd.)から;「アロニクスM−305(Aronix M−305)」という商品名で日本国東京の東亞合成株式会社(Toagosei Co. Ltd.)から;ならびに「エターマー235(Etermer 235)」という商品名で台湾国カオシュンのエターナル・ケミカル・カンパニー・リミテッド(Eternal Chemical Co.,Ltd.,Kaohsiung,Taiwan)から;市販されている。トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)およびジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(ジ−TMPTA)は、「SR351」および「SR355」という商品名でサートマー・カンパニー(Sartomer Company)から市販されている。TMPTAはまた、「アロニクスM−309(Aronix M−309)」という商品名で東亞合成株式会社(Toagosei Co.Ltd.)から入手可能である。さらに、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびエトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレートは、それぞれ「SR454」および「SR494」という商品名でサートマー(Sartomer)から市販されている。
【0101】
本明細書に記載の各実施形態では、重合性樹脂組成物は、場合にもよるが好ましくは、重合性樹脂組成物の粘度を低下させるためにかつ加工性を向上させるために、約35重量%まで(たとえば1〜35の範囲の整数)の反応性希釈剤を含む。反応性希釈剤は、モノエチレン性不飽和モノマー、たとえば、(メタ)アクリレート、単量体のN−置換(メタ)アクリルアミドまたはN,N−二置換(メタ)アクリルアミド、特定的にはアクリルアミドである。これらには、N−アルキルアクリルアミドおよびN,N−ジアルキルアクリルアミド、特定的にはC1~4アルキル基を含有するものが包含される。その例は、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、およびN−ビニルカプロラクタムである。
【0102】
好ましい希釈剤は、1.50超(たとえば1.55超)の屈折率を有しうる。そのような反応性希釈剤は、ハロゲン化形または非ハロゲン化形(たとえば非臭素化形)でありうる。好適なモノマーは、典型的には、450g/モル以下の数平均分子量を有する。
【0103】
好適な反応性希釈剤としては、たとえば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート;フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート;フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、4−(1−メチル−1−フェネチル)フェノキシエチル(メタ)アクリレート;フェニルチオエチルアクリレート;2−ナフチルチオエチルアクリレート;1−ナフチルチオエチルアクリレート;2,4,6−トリブロモフェノキシエチルアクリレート;2,4−ジブロモフェノキシエチルアクリレート;2−ブロモフェノキシエチルアクリレート;1−ナフチルオキシエチルアクリレート;2−ナフチルオキシエチルアクリレート;フェノキシ2−メチルエチルアクリレート;フェノキシエトキシエチルアクリレート;3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート;2−フェニルフェノキシエチルアクリレート;4−フェニルフェノキシエチルアクリレート;2,4−ジブロモ−6−sec−ブチルフェニルアクリレート;2,4−ジブロモ−6−イソプロピルフェニルアクリレート;ベンジルアクリレート;フェニルアクリレート;2,4,6−トリブロモフェニルアクリレートが挙げられる。ペンタブロモベンジルアクリレートおよびペンタブロモフェニルアクリレートのような他の高屈折率モノマーもまた、利用可能である。
【0104】
製造を容易にするために、1種のみの希釈剤を組み込むことが好ましい。好ましい希釈剤は、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、特定的にはフェノキシエチルアクリレート(PEA)である。フェノキシエチルアクリレートは、2つ以上の供給元から、たとえば、「SR339」という商品名でサートマー(Sartomer)から;「エターマー210(Etermer 210)」という商品名でエターナル・ケミカル・カンパニー・リミテッド(Eternal Chemical Co.Ltd.)から;および「TO−1166」という商品名で東亞合成株式会社(Toagosei Co.Ltd)から;市販されている。ベンジルアクリレートは、マサチューセッツ州ウォードヒルのアルファエイサー(AlfaAeser Corp,Ward Hill,MA)から市販されている。
【0105】
オプションの高屈折率モノマーは、ハロゲン化形(すなわち臭素化形)であってもよい。代表的な高屈折率のオプションのモノマーの1つは、「BR−31」という商品名で第一工業製薬株式会社(日本国京都)(Daiichi Kogyo Seiyaku Co.Ltd(Kyoto,Japan))から市販されている2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートである。
【0106】
そのようなオプションのモノマー(複数種可)は、少なくとも約5重量%の量で重合性組成物中に存在可能である。オプションのモノマー(複数種可)は、典型的には、合計で重合性組成物の約50重量%以下である。いくつかの実施形態では、オプションの高屈折率モノマーの全量は、約30重量%〜約45重量%の範囲(たとえば30〜45の整数)である。
【0107】
UV硬化性重合性組成物は、少なくとも1種の光開始剤を含む。単一の光開始剤またはそれらのブレンドを本発明に係る輝度向上フィルムで利用することが可能である。一般的には、光開始剤(複数種可)は、重合された後、少なくとも部分的に可溶性(たとえば樹脂の加工温度で)かつ実質的に無色である。UV光源に暴露された後で光開始剤が実質的に無色になるのであれば、光開始剤は、着色(たとえば黄色)していてもよい。
【0108】
好適な光開始剤としては、モノアシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドが挙げられる。市販のモノまたはビスアシルホスフィンオキシド光開始剤としては、「ルシリンTPO(Lucirin TPO)」という商品名でバスフ(ノースカロライナ州シャルロット)(BASF(Charlotte,NC))から市販されている2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;「ルシリンTPO−L(Lucirin TPO−L)」という商品名で同様にバスフ(BASF)から市販されているエチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート;および「イルガキュア819(Irgacure819)」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から市販されているビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。他の好適な光開始剤としては、ダロキュア1173(Darocur1173)」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から市販されている2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、さらには「ダロキュア4265(Darocur4265)」、「イルガキュア651(Irgacure651)」、「イルガキュア1800(Irgacure1800)」、「イルガキュア369(Irgacure369)」、「イルガキュア1700(Irgacure1700)」、および「イルガキュア907(Irgacure907)」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から市販されている他の光開始剤が挙げられる。
【0109】
光開始剤は、約0.1〜約10重量パーセントの濃度で使用可能である。より好ましくは、光開始剤は、約0.5〜約5重量%の濃度で使用される。5重量%超は、一般的には、輝度向上フィルムの黄変を引き起こす傾向があることから不利である。当業者であれば特定しうるであろうが、他の複数種の光開始剤および1種の光開始剤を好適に利用することも可能である。
【0110】
表面張力を低下させ、湿潤性を改良し、より平滑なコーティングおよびより少ないコーティング欠陥になるようにするなどのために、場合により、フルオロ界面活性剤やシリコーン系界面活性剤のような界面活性剤を重合性組成物に組み込むことが可能である。
【0111】
重合性組成物は、75ミクロンの厚さを有する輝度向上フィルムなどでは、好ましくは5分間未満の時間スケールでエネルギー硬化性である。好ましくは、重合性組成物は、典型的には45℃超のガラス転移温度を提供するのに十分な程度に架橋される。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)、変調DSC、または動的機械的分析のような当技術分野で公知の方法により測定可能である。重合性組成物は、従来の遊離基重合法により重合可能である。
【0112】
本明細書に記載の重合性組成物は、マイクロ構造体保有光学物品(たとえばフィルム)のような他の光学材料に有利でありうる。代表的光学材料としては、レンズフィルム、LED封止材、自立性レンズ、非構造化フィルム(たとえばフラットフィルム)、多層フィルム、再帰反射シート、光学用の光ファイバーまたは光チューブ、可撓性成形型(たとえば、プラズマディスプレイパネル用のバリヤーリブを作製するのに好適な可撓性成形型)などのような光学物品が挙げられる。
【0113】
本明細書内で使用される用語の定義は以下のとおりである。
【0114】
「屈折率」とは、材料(たとえばモノマー)の絶対屈折率を意味し、自由空間中の電磁放射線の速度とその材料中の電磁放射線の速度との比であると解釈される。屈折率は、公知の方法を用いて測定可能であり、一般的には、アッベ屈折計(たとえば、ペンシルバニア州ピッツバーグのフィッシャー・インストラメンツ(Fisher Instruments of Pittsburgh,PA)から市販されている)を用いて可視光領域で測定される。一般的には、測定された屈折率は、機器に依存してある程度異なる可能性があると考えられる。
【0115】
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの両方の化合物を意味する。
【0116】
「重合性組成物」とは、少なくとも1種の重合性モノマーを含む有機成分とオプションの無機ナノ粒子とを含む全組成物を意味する。
【0117】
「有機成分」とは、無機ナノ粒子およびナノ粒子表面改質剤を除く組成物の全成分を意味する。重合性組成物が無機ナノ粒子を含まない実施形態では、有機成分と重合性組成物は、同一である。
【0118】
「ナノ粒子」という用語は、本明細書中では、約100nm未満の直径を有する粒子(一次粒子または会合一次粒子)を意味するものと定義される。
【0119】
「表面改質コロイドナノ粒子」とは、ナノ粒子が安定なディスパージョンを提供するようにそれぞれ改質表面を有するナノ粒子を意味する。
【0120】
「凝結」とは、互いに化学結合されている可能性がある一次粒子間の強い会合を意味する。より小さい粒子への凝結体の分解を達成するのは困難である。
【0121】
「凝集」とは、電荷または極性により保持一体化されている可能性がありかつより小さい構成要素に分解可能である一次粒子間の弱い会合を意味する。
【0122】
「一次粒子サイズ」とは、単一粒子(非凝結体非凝集体粒子)の平均直径を意味する。
【0123】
終点による数値範囲の記述は、その範囲内に入るすべての数を包含する(たとえば、数値終点についてはその精度まで)。たとえば、1.78超かつ2.05未満の相対利得は、1.79、1.80、1.81、1.82など、2.04までを包含する。
【0124】
本明細書中で参照される各特許は、その全体が参照により組み入れられるものとする。
【0125】
本発明の利点について以下の実施例によりさらに説明するが、実施例に記載の特定の材料およびその量ならびに他の条件および細目は、本発明を過度に限定するものと解釈すべきものでない。本明細書中のパーセントおよび比はすべて、とくに明記されていないかぎり重量基準である。
【実施例】
【0126】
重合性組成物の屈折率は、フィッシャー・サイエンティフィック・リフレクトメーター・カンパニーのモデル#6208(Fischer Scientific Refractometer Co.Model #6208)を用いて決定した。
【0127】
利得試験法
フィルムの光学的性能は、カリフォルニア州チャッツワースのフォト・リサーチ・インコーポレーテッド(Photo Research,Inc,Chatsworth,CA)から入手可能なMS−75レンズ付きスペクトラスキャン(登録商標)PR−650スペクトラコリメーター(SpectraScanTM PR−650 SpectraColorimeter)を用いて測定した。拡散透過性中空ライトボックス上にフィルムを配置した。ライトボックスの拡散透過および拡散反射は、ランベルト型として記述しうる。ライトボックスは、約6mmの厚さの拡散PTFE板から作製された約12.5cm×12.5cm×11.5cm(L×W×H)の大きさの六面中空キューブであった。ボックスの1つの面は、サンプル表面として選択される。中空ライトボックスは、サンプル表面で測定したときに約0.83の拡散反射率を有していた(たとえば、以下に記載の測定法により400〜700nmの波長範囲全体にわたり平均したときに約83%)。利得試験中、ボックスの底面内の約1cmの円孔を介して内部からボックスを照光した(底面はサンプル表面に対向し、光は内部からサンプル表面に向けて方向付けられる)。この照光は、光を方向付けるために使用される光ファイバーバンドルに取り付けられた安定化広帯域白熱光源を用いて提供される(マサチューセッツ州マールボロおよびニューヨーク州オーバーンのショット・フォステックLLC(Schott−Fostec LLC,Marlborough MA and Auburn,NY)製の直径約1cmのファイバーバンドル延長部付きフォステックDCR−II(Fostec DCR−II))。標準的な直線吸収偏光子(たとえばメレスグリオ03FPG007(Melles Griot 03FPG007))をサンプルボックスとカメラとの間に配置する。約34cm離間したライトボックスのサンプル表面にカメラの焦点を合わせ、カメラレンズから約2.5cmの位置に吸収偏光子を配置する。所定の位置に偏光子を配置してサンプルフィルムを用いずに測定したときの照光されたライトボックスの輝度は、>150cd/m2であった。サンプルフィルムをボックスに略接触した状態にしてサンプルフィルムをボックスのサンプル表面に平行に配置したときに、ボックスのサンプル表面の平面に対して法線入射方向で、サンプル輝度をPR−650により測定する。このサンプル輝度をライトボックス単独で同じように測定された輝度と比較することにより、相対利得を計算する。迷光源を排除するために、全測定を黒色包囲体中で行った。反射偏光子を含有するフィルムアセンブリの相対利得を試験する場合、反射偏光子の通過軸を試験系の吸収偏光子の通過軸にアライメントした。プリズム状フィルムに対して報告された相対利得値は、一般的には、吸収偏光子に最も近いフィルムのプリズムグルーブを吸収偏光子の通過軸に垂直にアライメントした状態で取得したものである。
【0128】
ライトボックスの拡散反射率は、直径15.25cm(6インチ)のスペクトラロン(Spectralon)被覆積分球と、安定化広帯域ハロゲン光源と、光源用の電源と、を用いて測定した。これらはすべて、ニューハンプシャー州サットンのラボスフェア(Labsphere(Sutton,NH))より供給されたものである。積分球は、3つの開口ポートを有していた。1つのポート(直径2.5cm)は、入力光用であり、90度をなして第2の軸に沿った1つのポート(直径2.5cm)は、ディテクターポートとして用いられ、90度をなして第3の軸に沿った(すなわち最初の2つの軸に直交する)第3のポート(直径5cm)は、サンプルポートとして用いられる。約38cm離間したディテクターポートにPR−650スペクトラカラリメーター(PR−650 Spectracolorimeter)(上記のものと同一)の焦点を合わせた。約99%の拡散反射率を有するラボスフェア(Labsphere)製の校正反射標準(SRT−99−050)を用いて、積分球の反射効率を計算した。標準は、ラボスフェア(Labsphere)により校正されたものであり、NIST標準(SRS−99−020−REFL−51)が基になっている。積分球の反射効率を次のように計算した:
球輝度比=1/(1−R球×R標準)
この場合の球輝度比は、参照サンプルでサンプルポートを覆ってディテクターポートで測定された輝度をサンプルでサンプルポートを覆わずにディテクターポートで測定された輝度で割り算して得られる比である。この輝度比および校正標準の反射率(R標準)がわかれば、積分球の反射効率(R球)を計算することが可能である。次に、この値を類似の式中で再び用いてサンプルの反射率(この場合、PTFEライトボックス使用)を求める:
球輝度比=1/(1−R球×Rサンプル)
ここで、球輝度比は、サンプルをサンプルポートに置いたときのディテクターにおける輝度をサンプルを用いずに測定された輝度で割り算して得られる比として求められる。R球は以上からわかるので、Rサンプルを計算することが可能である。これらの反射率を4nmの波長間隔で計算し、400〜700nmの波長範囲にわたる平均として報告した。
【0129】
ZrO2ゾル
2005年3月11日出願の米国特許出願第11/078468号明細書に基づく優先権を主張する2005年3月14日出願の米国特許出願第11/079832号明細書に記載の手順に従って、ZrO2ゾルを調製した。米国特許出願第11/079832号明細書および同第11/078468号明細書に記載されるように、光子相関分光法(PCS)、X線回折、および熱重量分析により、得られたZrO2ゾルを評価した。実施例で使用したZrO2ゾルは、以下の範囲内の性質を有していた:
【0130】
【表1】

【0131】
重合性樹脂組成物1
ZrO2ゾル(100.0g)、メトキシプロパノール(100.0g)、ジョージア州スマーナのサイテック・サーフェイス・スペシャルティーズ(Cytec Surface Specialties,Smyrna,GA)から入手したBCEA(2.50g)、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich,Milwaukee,WI)から入手した2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(「MEEAA」)(5.23g)、フェニルチオエチルアクリレート(Bimaxから入手した「PTEA」)とBR−31(20.78g)との50/50wt%ブレンド、およびチバ・ガイギー(Ciba Geigy)から入手した「プロスタブ5198(Prostab5198)」の5%溶液(0.1g)を、500mL丸底フラスコに仕込んだ。回転蒸発により水およびアルコールを除去した結果、得られた配合物の未硬化屈折率は1.6855であり、配合物は57.5%のZrO2を含有していた。
【0132】
重合性樹脂組成物2
10.03gの重合性組成物1および0.04gのルシリンTPO−L(Lucirin TPO−L)を25mLアンバーバイアルに添加した。バイアルを加熱し、サンプルが均一になるまでローラーで混合した。混合サンプルは、1.6835の未硬化屈折率を与えた。
【0133】
重合性樹脂組成物3
10.05gの重合性樹脂組成物1およびPTEA/BR−31の50/50wt.%混合物2.39gを25mLアンバーバイアルに添加した。次に、0.07gのルシリンTPO−L(Lucirin TPO−L)を同一のバイアルに添加した。その後、バイアルを加熱し、サンプルが均一になるまでローラーで混合した。混合サンプルは、1.6425の未硬化屈折率を与えた。
【0134】
重合性樹脂組成物4
10.07gの重合性樹脂組成物1およびPTEA/BR−31の50/50wt.%混合物6.32gを25mLアンバーバイアルに添加した。次に、0.11gのルシリンTPO−L(Lucirin TPO−L)を同一のバイアルに添加した。その後、バイアルを加熱し、サンプルが均一になるまでローラーで混合した。混合サンプルは、1.617の未硬化屈折率を与えた。
【0135】
重合性樹脂組成物5
ZrO2ゾル(100.00重量部)、MEEAA(4.44pbw)、BCEA(2.13pbw)、1−メトキシ−2−プロパノール(115pbw)、SR−339/BR31の50/50混合物(29.78pbw)、およびプロスタブ5198(Prostab5198)の5重量パーセント水溶液(0.12g)を丸底フラスコに仕込んだ。真空蒸留によりアルコールおよび水を除去した結果、得られた樹脂は約53.3重量パーセントのジルコニアを有し、1.6525の未硬化屈折率を有していた。重量基準で100部あたり0.47部のルシリンTPO−L(Lucirin TPO−L)を含有する組成物を提供するように、ルシリンTPO−L(Lucirin TPO−L)を混合物に添加した。
【0136】
重合性樹脂組成物6
10.06gの重合性樹脂組成物5およびSR339という商品名でサートマー・カンパニー(Sartomer Co.)から入手可能なフェノキシエチルアクリレート/BR−31の50/50wt.%混合物2.72gを25mLアンバーバイアルに添加した。次に、0.02gのルシリンTPO−L(Lucirin TPO−L)を同一のバイアルに添加した。その後、バイアルを加熱し、サンプルが均一になるまでローラーで混合した。混合サンプルは、1.617の未硬化屈折率を与えた。
【0137】
重合性樹脂組成物7
10.18gの重合性樹脂組成物5およびSR339/BR−31の50/50wt.%混合物6.8gを25mLアンバーバイアルに添加した。次に、0.02gのルシリンTPO−L(Lucirin TPO−L)を同一のバイアルに添加した。その後、バイアルを加熱し、サンプルが均一になるまでローラーで混合した。混合サンプルは、1.597の未硬化屈折率を与えた。
【0138】
重合性樹脂組成物8(対照)
米国特許第6,355,754号明細書の表1の実施例1。(30/20/37.5/12.5/0.3の重量比のRDX51027/EB220/BR31/PEA/FC430および1(pph)のダロキュア1173(Darocure1173))。樹脂は、1.562の未硬化屈折率を有していた。
【0139】
重合性樹脂組成物9
50.5gの重合性樹脂組成物5およびSR339/BR−31の50/50wt.%混合物3.15gを25mLアンバーバイアルに添加した。その後、バイアルを加熱し、サンプルが均一になるまでローラーで混合した。混合サンプルは、1.640の未硬化屈折率を与えた。
【0140】
重合性樹脂組成物10
50.25gの重合性樹脂組成物5およびSR339/BR−31の50/50wt.%混合物6.12gを25mLアンバーバイアルに添加した。その後、バイアルを加熱し、サンプルが均一になるまでローラーで混合した。混合サンプルは、1.633の未硬化屈折率を与えた。
【0141】
重合性樹脂組成物11
50.42gの重合性樹脂組成物5およびSR339/BR−31の50/50wt.%混合物9.27gを25mLアンバーバイアルに添加した。その後、バイアルを加熱し、サンプルが均一になるまでローラーで混合した。混合サンプルは、1.623の未硬化屈折率を与えた。
【0142】
各樹脂組成物を調製して種々のマイクロ構造化光学フィルムおよび光学フィルムアセンブリに組み込んだ。以下の表1〜9には、種々のフィルムおよびアセンブリの相対利得値が報告されている。
【0143】
フィルムの作製A−実質的非偏光プリズム状マイクロ構造化光学フィルム
ビキュイティBEFII(Vikuiti BEFII)(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Co.,St.Paul,MN)から市販されている)に見られるプリズム形状パターンに類似した50ミクロンの公称ピッチ間隔を有する90度プリズムの線状の列よりなる8インチ×11インチのメタルマスターをホットプレート上に配置し、140°Fに加熱した。使い捨てピペットを用いて重合性樹脂(表中に記載)の4mlビーズをマスターツールに適用した。次に、メリネックス623(MELINEX623)としてデュポン・テイジン・フィルムズ(Dupont Teijn Films)から入手可能な500ゲージのPETを、樹脂のビーズおよびマスターツールの上に配置した。線状プリズムがフィルムの高利得軸に略垂直(90°±20°)の方位を向くように、PETフィルムの方位を決定した。次に、いかなる連行空気をも排除しつつマスターツールを樹脂で完全に充填するのに十分な力を加えて、マスターツール、樹脂、およびPETを160°Fの加熱ニップロールに通した。次に、充填されたマスターツールを、メリーランド州ゲイサーズバーグのフュージョンUVシステムズ・インコーポレーテッド(Fusion UV Systems,Inc.Gaithersburg,MD)から入手可能なP150電源を用いた「Dバルブ」からの紫外線に、50fpmの線速度で2回通過させて暴露した。次に、PETフィルムをマスターツールから手作業で取り出した。PETフィルム上に形成されたプリズム状コーティングは、約25ミクロンのコーティング厚さになった。
【0144】
フィルムの作製B−反射偏光プリズム状マイクロ構造化光学フィルム
サハラSA115(Sahara SA115)保護境界層を利用した2005年4月6日出願の米国特許出願第60/668873号明細書の実施例3(参照により組み入れられるものとする)に記載の反射偏光子フィルムとPETフィルムを置き換えたこと以外はフィルムの作製Bに記載されるのと同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0145】
フィルムの作製C
マスターツールが、50ミクロンの公称ピッチ間隔を有する90度プリズムの線状の列よりなるプリズムパターンを有し、線状プリズムが、ビキュイティBEFIII(Vikuiti BEFIII)(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Co.,St.Paul,MN)から市販されている)に見られるプリズム形状パターンに類似したそれらのピーク高さの設計された疑似ランダム起伏を有すること以外はフィルムの作製Bに記載されるのと同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0146】
【表2】

【0147】
以下の表2では、反射偏光フィルムの通過軸がプリズムに直交するように表1の各プリズム状マイクロ構造化光学フィルムが非構造化反射偏光フィルムで積重されたアセンブリを作製した。利用した反射偏光フィルムは、フィルムの作製Bに記載のベース層基材として同一であった。
【0148】
【表3】

【0149】
以下の表3では、表1の各プリズム状マイクロ構造化光学フィルムが同一フィルムの第2の部片で積重されたアセンブリを作製した。ボトムフィルムのプリズムがトップフィルムのプリズムに直交するように、ボトムフィルムのプリズム状マイクロ構造化表面をトップフィルムのベース層基材に接触させた。
【0150】
【表4】

【0151】
以下の表4では、反射偏光フィルムの通過軸がトップシートのプリズムに直交するように、非構造化反射偏光フィルムを表3のアセンブリ上に積重した。利用した反射偏光フィルムは、フィルムの作製Bに記載のベース層基材として同一であった。
【0152】
【表5】

【0153】
【表6】

【0154】
以下の表6では、表1の各プリズム状マイクロ構造化光学フィルムが表5のプリズム状マイクロ構造化フィルムで積重されたアセンブリを作製した。ボトムフィルムのプリズムがトップフィルムのプリズムに直交するように、ボトムフィルムのプリズム状マイクロ構造化表面をトップフィルムのベース層基材に接触させた。
【0155】
【表7】

【0156】
【表8】

【0157】
以下の表8では、表7の各プリズム状マイクロ構造化光学フィルムが同一フィルムの第2の部片で積重されたアセンブリを作製した。ボトムフィルムのプリズムがトップフィルムのプリズムに直交するように、ボトムフィルムのプリズム状マイクロ構造化表面をトップフィルムのベース層基材に接触させた。
【0158】
【表9】

【0159】
以下の表9では、ボトムフィルムのプリズムがトップフィルムのプリズムに直交するように指定のボトムフィルムのプリズム状マイクロ構造化表面を指定のトップフィルムのベース層基材に接触させたアセンブリを作製した。
【0160】
【表10】

【0161】
表9に例示されるように、実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムを異なる相対利得(すなわち単一シート相対利得)を有する第2の実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムと組み合わせる場合、より高い単一シート利得(たとえば、より少ない吸収)を有するマイクロ構造化光学フィルムをフィルムスタックアセンブリの上端に位置決めすることが好ましい。
【0162】
重合性樹脂組成物12
ZrO2ゾルを約4.5時間透析し(VWRから入手可能なスペトラ/ポア・メンブレンMWCO12−14,000(Spetra/Por Membrane MWCO12−14,000))、36.395%のZrO2で安定なゾルを生成させた。透析されたZrO2ゾル(220.0g)、MEEAA(5.71g)、BCEA(4.10g)、1−メトキシ−2−プロパノール(300g)、2−(1−ナフチルオキシ)−1−エチルアクリレートNOEA(29.98g)、TMPTA(12.85g)、BR31(64.25g)、およびプロスタブ5198(Prostab 5198)の5%水溶液(0.86g)を丸底フラスコに仕込み、回転蒸発によりアルコールおよび水を除去した。ZrO2含有樹脂は、39.86%のZrO2であり、1.64の屈折率を有していた。0.6重量%のTPO−LをZrO2含有樹脂に添加し、混合一体化させた。
【0163】
重合性樹脂組成物13
混合物の屈折率が1.64になるまで、重合性樹脂組成物5をBR−31/SR339の50/50混合物で希釈した。
【0164】
ヒューレット・パッカード8453スペクトロフォトメーター(Hewlett Packard 8453 Spectrophotometer)をUV・VISケム・ステーションRev.A.02.05(UV VIS Chem Station Rev.A.02.05)分析ソフトウェアと併用して、重合性樹脂組成物12および13の吸収を測定した。1cmの経路長を有する石英キュベット中に液状重合性樹脂を入れて試験した。樹脂を固形分100%で試験し、溶媒で樹脂を希釈しなかった。空の石英キュベットを用いてサンプルブランクを試験した。結果を図3に示す。
【0165】
重合性樹脂組成物12および13を調製してフィルムの作製Aに記載のマイクロ構造化光学フィルム中に組み込んだ。
【0166】
【表11】

【0167】
実施例61および62の各プリズム状マイクロ構造化光学フィルムが同一フィルムの第2の部片で積重されたアセンブリを作製した。ボトムフィルムのプリズムがトップフィルムのプリズムに直交するように、ボトムフィルムのプリズム状マイクロ構造化表面をトップフィルムのベース層基材に接触させた。
【0168】
【表12】

【0169】
ディスプレイデバイスの実施例65
実施例20のアセンブリ(すなわち、1.6525の屈折率を有している重合性樹脂から作製された実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムの交差シート対)を、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)から「ビキュイティBEF−II90/50(Vikuiti BEF−II90/50)」という商品名で市販されている市販の輝度向上フィルムの交差シート対と、LCDディスプレイで比較した。
【0170】
LCDモジュールは、CCFL光源と、ドット抽出パターンを有する楔形光導波路と、光導波路の後方の多層高分子正反射バックリフレクター(ESR[エンハンスト・スペキュラー・リフレクター(Enhanced Specular Reflector)]という商品名でミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)より販売されている)と、光導波路の前方の拡散フィルムと、拡散フィルムの前方の交差シート輝度向上フィルムのアセンブリと、BEFIIシートの前方の拡散カバーシートと、最後に、吸収偏光子を外表面上に有するツイステッドネマティック液晶パネルと、を含む。ESRおよび輝度向上フィルムを除いて、ディスプレイの構成要素はすべて、市販のデル・ラティテュードD800(Dell Latitude D800)ノートブックコンピューターシステム中に提供される15.4インチLCDモジュール(日立(Hitachi)モデル4074C)にもともと存在していたものであった。2枚の各シート上のプリズムが互いに直交しかつCCFL光源に平行/垂直になるように、輝度向上光学フィルムのシートの方位を決定する。
【0171】
ドイツ国カールスルーエのオートロニック・メルシャスGmbH(Autronic−Melchers GmbH,Karlsruhe,Germany)製のオートロニック(Autronic)コノスコープを用いて、LCDモジュールから伝播された光のキャラクタリゼーションを行った。コノスコープ測定装置は、鉛直平面および水平平面の両方で輝度対目視角のプロットを提供する。図4は、市販のフィルムのアセンブリと比較して実施例20のアセンブリの輝度対鉛直角のプロットを含む。このプロットから、本発明に係るフィルムおよびアセンブリの改良された光屈折能が実証される。このより大きな屈折能の効果の1つは、輝度ピークをオンアクシスに方向付けることである。実施例20のアセンブリを含むディスプレイのピーク輝度は、実質的にゼロにより近い鉛直角を呈する。プリズムグルーブが吸収偏光子の通過軸に実質的に直交する方向にアライメントされるようにLCDの後方吸収偏光子に最も近いマイクロ構造化フィルムのプリズムグルーブを配置することにより、ディスプレイの輝度が最大化される。この利点は幾何光学的原理に由来し、好ましいプリズム方位は、標準的なプリズム状フィルムおよび本発明に係るフィルムの両方に適合する。
【0172】
また、正反射バックリフレクターの代わりに拡散白色バックリフレクターを本発明に係るフィルムと併用して、このディスプレイデバイスを試験した。さらに、デバイスで市販の反射偏光子(3Mから入手可能なビキュイティDBEF−P2(Vikuiti DBEF−P2))を用いたときと用いないときの両方について、本発明に係るフィルムを試験した。これらの組合せは、両方のタイプのバックリフレクターを用いて試験した。いずれの場合においても、市販のビキュイティBEF−II(Vikuiti BEF−II)のような標準的フィルムと比較して本発明に係るフィルムを使用したときに測定可能な輝度の増大がみられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムが、少なくとも1.78の単一シート相対利得を有する実質的非偏光フィルムである、マイクロ構造化表面を有する光透過性高分子材料を含む光学フィルム。
【請求項2】
少なくとも前記マイクロ構造化表面が重合性樹脂の反応生成物を含み、該重合性樹脂が少なくとも1.61の屈折率を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記マイクロ構造化表面が線状プリズムの反復パターンを含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記プリズムが、先鋭形、丸形、または切頭形の頂部を有する、請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記プリズムが、80°〜100°の範囲の頂角を有する、請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記プリズムが、約90°の頂角、約50マイクロメートルの隣接頂部間平均距離を有し、かつ前記プリズムが、実質的に同一のまたは異なる高さを有する、請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項7】
少なくとも前記マイクロ構造化表面が重合性組成物の反応生成物を含み、該重合性組成物が450nmの波長で2.5未満の吸光度および約575nm〜800nmの範囲の波長で1未満の吸光度を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項8】
少なくとも前記マイクロ構造化表面が、完全凝縮表面改質無機ナノ粒子を含む重合性組成物を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記無機ナノ粒子がジルコニアを含む、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記フィルムが、前記マイクロ構造化表面に結合されたベース層を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記ベース層が高屈折率軸を有し、かつ前記マイクロ構造化表面が、前記ベース層の高屈折率軸に対して90度±20度にアライメントされた平行プリズムを含む、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記ベース層が、スチレン−アクリロニトリルポリマー、セルローストリアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸のコポリマー、ノルボルネンポリマー、またはそれらの混合物を含む、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項13】
請求項1に記載のマイクロ構造化光学フィルムを第2の光学フィルムに近接して含むアセンブリ。
【請求項14】
前記第2の光学フィルムが、方向変換フィルム、偏光フィルム、拡散フィルム、またはそれらの組合せである、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
第1のマイクロ構造化光学フィルムを非構造化反射偏光フィルムに近接して含み、かつ該第1のフィルムと該偏光フィルムとのアセンブリの利得が少なくとも2.59である、アセンブリ。
【請求項16】
前記第1のマイクロ構造化光学フィルムが実質的平行プリズムのパターンを含み、前記反射偏光フィルムが通過軸を有し、かつ前記マイクロ構造化光学フィルムのプリズムが前記反射偏光フィルムの通過軸に直交する、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
第1の実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムを第2の実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムに近接して含み、該第1のフィルムと該第2のフィルムとのアセンブリの相対利得が少なくとも2.80である、アセンブリ。
【請求項18】
各光学フィルムが非構造化表面を有し、かつ前記第2のフィルムのマイクロ構造化表面が前記第1のフィルムの非構造化表面に近接する、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
各フィルムのマイクロ構造化表面が実質的平行プリズムのパターンを含み、かつ前記第2のフィルムが、前記第2のシートのプリズムを前記第1のフィルムのプリズムに非平行にするように位置決めされる、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記第2のフィルムのプリズムが、前記第1のフィルムのプリズムに対して90°±20°の範囲の角度で位置決めされる、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記第1のマイクロ構造化光学フィルムが、前記第2のマイクロ構造化光学フィルムと同一であるかまたは異なる、請求項17に記載の光学フィルムのアセンブリ。
【請求項22】
前記第1または第2の光学フィルムに近接して第3の光学フィルムをさらに含む、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記第3の光学フィルムが非構造化反射偏光子である、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記第1、第2、および第3の光学フィルムのアセンブリが、少なくとも3.40の相対利得を有する、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項25】
実質的非偏光マイクロ構造化光学フィルムのアセンブリの上方に位置決めされた通過軸を有する非構造化反射偏光子をさらに含み、該非構造化反射偏光子に隣接する該非偏光マイクロ構造化光学フィルムのプリズムが、該反射偏光フィルムの通過軸に直交する、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項26】
フィルムが、少なくとも2.46の単一シート相対利得を有する反射偏光フィルムである、マイクロ構造化表面を有する光透過性高分子材料を含む光学フィルム。
【請求項27】
前記マイクロ構造化表面が、通過軸を有する反射偏光ベース層に結合された実質的平行プリズムのパターンを含み、該プリズムが該反射偏光フィルムの通過軸に直交する、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項28】
請求項26に記載のマイクロ構造化光学フィルムを第2の光学フィルムに近接して含むアセンブリ。
【請求項29】
前記第2の光学フィルムが、方向変換フィルム、偏光フィルム、拡散フィルム、またはそれらの組合せである、請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項30】
マイクロ構造化反射偏光フィルムをマイクロ構造化実質的非偏光光学フィルムに近接して含み、該第1および第2のフィルムの相対利得が少なくとも3.33である、アセンブリ。
【請求項31】
少なくとも10重量%の無機ナノ粒子を含む光透過性高分子材料を含むマイクロ構造化表面を有する第1の光学フィルムを含み、該第1のフィルムが第2の光学フィルムに近接する、光学フィルムのアセンブリ。
【請求項32】
前記第2のフィルムが、実質的非偏光光学フィルム、マイクロ構造化反射偏光フィルム、非構造化反射偏光フィルム、吸収偏光子、方向変換フィルム、拡散フィルム、およびそれらの組合せから選択される、請求項31に記載のアセンブリ。
【請求項33】
フィルムが、1種以上のエチレン性不飽和モノマーと少なくとも10重量%の無機ナノ粒子とを含む重合性組成物の反応生成物を含み、該重合性組成物が、450nmの波長で2.5未満の吸光度および約575nm〜800nmの範囲の波長で1未満の吸光度を有する、マイクロ構造化表面を有する光透過性高分子材料を含む光学フィルム。
【請求項34】
フィルムが、少なくとも1.61の屈折率および450nmの波長で2.5未満の吸光度および約575nm〜800nmの範囲の波長で1未満の吸光度を有する重合性組成物の反応生成物を含む、マイクロ構造化表面を有する光透過性高分子材料を含む光学フィルム。
【請求項35】
(a)発光表面を有する照明デバイスと、
(b)該発光表面に近接して配設された請求項1〜12、26〜27、33または34のいずれかに記載の光学フィルムと、
を含む装置。
【請求項36】
前記照明デバイスがバックライト型ディスプレイデバイスである、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記照明デバイスがバックライト型液晶ディスプレイデバイスである、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
前記装置が、ハンドヘルド装置、コンピューターディスプレイ、またはテレビである、請求項35に記載の装置。
【請求項39】
前記装置が、実質的平行プリズムのパターンを含むマイクロ構造化光学フィルムに近接して、通過軸を有する吸収偏光子を含み、かつ該プリズムが、該吸収偏光子の通過軸に実質的に直交する、請求項35に記載の装置。
【請求項40】
(a)発光表面を有する照明デバイスと、
(b)該発光表面に近接して配設された請求項13〜25または28〜32のいずれかに記載の光学フィルムのアセンブリと、
を含む装置。
【請求項41】
前記照明デバイスがバックライト型ディスプレイデバイスである、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記照明デバイスがバックライト型液晶ディスプレイデバイスである、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記装置が、ハンドヘルド装置、コンピューターディスプレイ、またはテレビである、請求項40に記載の装置。
【請求項44】
前記装置が、実質的平行プリズムのパターンを含むマイクロ構造化光学フィルムに近接して、通過軸を有する吸収偏光子を含み、かつ該プリズムが、該吸収偏光子の通過軸に実質的に直交する、請求項40に記載の装置。
【請求項45】
(a)発光表面を有する照明デバイスと、
(b)光導波路の後方のリフレクターと、
該発光表面の前方に配設された請求項1に記載の光学フィルムまたは請求項17に記載のアセンブリと、
を含む装置。
【請求項46】
前記発光表面がエッジライト型光導波路である、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記光導波路が楔形である、請求項45に記載の装置。
【請求項48】
前記リフレクターが多層高分子鏡面リフレクターである、請求項45に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−78852(P2012−78852A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−258713(P2011−258713)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2007−516750(P2007−516750)の分割
【原出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】