光学フィルムの搬送方法,搬送装置およびその搬送用ベルト
【課題】光学フィルムを搬送して処理部で所定の処理を行うために、搬送用ベルトとロールが、広いニップ面積で光学フィルムと接触してこれを良好に搬送することができる光学フィルムの搬送方法を提供する。
【解決手段】処理部3で光学フィルム2に所定の処理を行うために光学フィルムを搬送する方法は、無端帯状の搬送用ベルト5の外周面をロール6に押し付け、搬送用ベルト外周面とロールとの間に光学フィルムを挟んだ状態で搬送用ベルトとロールを回転させて光学フィルムを搬送する。
【解決手段】処理部3で光学フィルム2に所定の処理を行うために光学フィルムを搬送する方法は、無端帯状の搬送用ベルト5の外周面をロール6に押し付け、搬送用ベルト外周面とロールとの間に光学フィルムを挟んだ状態で搬送用ベルトとロールを回転させて光学フィルムを搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムを搬送して処理部で所定の処理を行うための光学フィルムの搬送方法,搬送装置およびその搬送用ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
光学フィルムには、配向フィルム,偏光フィルム,位相差フィルムなどがあり、配向フィルムは、偏光フィルムや位相差フィルムなどとして用いられる。この配向フィルムの製造方法には乾式延伸法と湿潤延伸法とがあり、配向フィルムは、搬送されて処理部で所定の処理が行われる。
図12は、従来における光学フィルムの搬送状態を示す斜視図である。図12に示すように、光学フィルム2は、搬送装置101で搬送されて処理部3で所定の処理が行われる。搬送装置101は、一対のロール102,103を備えている。このロール102,103の間に光学フィルム2を挟んだ状態でロール102,103を回転させて、光学フィルム2を搬送する。
一方のロール102には光学フィルム2が巻き付いてその走行方向が変化しているので、光学フィルム2と一方のロール102は、比較的広い接触面積で接触している。
【0003】
ところが、他方のロール103と光学フィルム2は、ロール103の中心軸線CLと平行な方向に延びた接触位置104では、狭い接触面積で接触している。
ここで、ロール102,103同士は、加圧により接触位置104では若干押しつぶされて弾性変形している。したがって、接触位置104に着目すると、この接触位置104でのロール103と光学フィルム2との接触面は、次式で示されるニップ(Nip)面積を有している。なお、ニップ(Nip)幅は、光学フィルム2の走行方向における接触寸法のことである。
ニップ面積=(ニップ幅)×(中心軸線CLと平行な方向の長さ(面長))
ロール103と光学フィルム2に関するニップ幅は狭いが、厳密に言えば、ある一定の面積で接触していることになる。つまり、ロール103と光学フィルム2との接触面は、面積は小さいが一定の小さな値のニップ面積を持っているのである。
【0004】
特許文献1(特開2002−333521号公報)に記載されている配向フィルムの製造方法や、特許文献2(特開平10−153709号公報)に記載されている偏光フィルムの製造方法においても、光学フィルムを一対のロールで挟んで搬送する構成になっている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−333521号公報
【特許文献2】特開平10−153709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図12に示す従来の搬送装置101では、ロール102,103は光学フィルム2と直接接触し、しかも、ロール103が、狭いニップ幅で光学フィルム2に接触している。
このようにニップ幅の狭い接触なので、ロール102,103のラバー硬度の変化,振動,持込み水分の変動などの外部要因が原因となって、ロール102,103に対して光学フィルム2がスリップする現象が発生し、その結果、光学フィルム2が破断に至る恐れがあった。
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載の技術においても、一対のロールで光学フィルムを挟んだ状態で搬送している。そして、一方または両方のロールと光学フィルムは、直接接触し且つ狭いニップ面積で接触しているので、上述と同じ外部要因が原因となって光学フィルムがスリップして破断する可能性があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、光学フィルムを搬送して処理部で所定の処理を行うために、搬送用ベルトとロールが、広いニップ面積で光学フィルムと接触してこれを良好に搬送することができる光学フィルムの搬送方法,搬送装置およびその搬送用ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる光学フィルムの搬送方法は、処理部で光学フィルムに所定の処理を行うためにこの光学フィルムを搬送する方法であって、無端帯状の搬送用ベルトの外周面をロールに押し付け、前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送する。
本発明にかかる光学フィルムの搬送装置は、処理部で光学フィルムに所定の処理を行うために、少なくとも一つのベルト機構を有して前記光学フィルムを搬送するための搬送装置であって、前記ベルト機構は、回転駆動されるロールと、このロールに外周面を押し付け可能で回転する無端帯状の搬送用ベルトを有するベルトユニットとを備え、前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送する。
前記ベルト機構は、前記処理部の入口部および出口部の一方または両方に配設されているのが好ましい。
好ましい一実施態様として、前記ベルトユニットは前記ロールの上部または下部に配設され、前記搬送用ベルトは、複数のベルトユニット用ガイドローラにより所定の環状を維持して回転する。
この場合、前記ベルトユニット用ガイドローラのうち前記ロールに近い位置の少なくとも1本のベルトユニット用ガイドローラを位置調節可能にして、前記光学フィルムと前記ロールとのニップ面積を変化可能にするのが好ましい。
他の実施態様として、前記ベルトユニットは前記ロールの上部または下部に配設され、前記搬送用ベルトは、このベルトの内周側に配設され移動制御可能な押圧部材により前記ロールに押し付けられて回転する。
なお、前記ベルト機構の一部または全部を前記処理部の液体中に配置し、前記搬送用ベルトがこの液体中を移動して前記光学フィルムを搬送するように構成してもよい。
本発明にかかる搬送用ベルトは、光学フィルムを搬送する搬送装置に使用される無端帯状の搬送用ベルトであって、この搬送用ベルトは、その内部の基材層と、この基材層より内周側に形成された内周側層と、前記基材層より外周側に形成され、前記光学フィルムに接触するフィルム側層とを備えている。
前記基材層は、一層または多層の、製織布または不織布により形成され、前記内周側層と前記フィルム側層は、それぞれ弾性部材により形成されているのが好ましい。
前記搬送用ベルトの外周面または内周面には、所定の断面形状を有する多数の溝が形成されているのが好ましい。
一実施態様にかかる前記搬送用ベルトは、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの走行方向と平行な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第1の溝配置状態と、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの前記走行方向に対して垂直な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第2の溝配置状態と、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの前記走行方向に対して平行な方向と垂直な方向とを向く格子状をなす第3の溝配置状態とから選択される一つの溝配置状態である。
前記搬送用ベルトにおいて、前記多数の溝は、前記搬送用ベルトのほぼ中央部から両端縁にいくに従って、この搬送用ベルトの走行方向とは逆向きの斜め後方に向かって形成されるとともに、この多数の溝は互いに平行に形成されているのが好ましい。
前記搬送用ベルトは、その外周面をロールに押し付け、この搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送するのに使用される。
前記搬送装置は、処理部で前記光学フィルムに所定の処理を行うために少なくとも一つのベルト機構を有しており、このベルト機構は、回転駆動されるロールと、このロールに外周面を押し付け可能で回転する前記搬送用ベルトを有するベルトユニットとを備え、前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送するようにしている。
なお、前記ベルト機構の一部または全部を前記処理部の液体中に配置し、前記搬送用ベルトがこの液体中を移動して前記光学フィルムを搬送するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成を有する本発明にかかる光学フィルムの搬送方法および搬送装置は、光学フィルムを搬送して処理部で所定の処理を行うために、搬送用ベルトとロールが、広いニップ面積で光学フィルムと接触してこれを良好に搬送することができる。
また、本発明にかかる搬送用ベルトは、その外周面をロールに押し付け、この搬送用ベルト外周面とロールとの間に光学フィルムを挟んだ状態で搬送用ベルトとロールを回転させて光学フィルムを搬送すれば、搬送用ベルトとロールが、光学フィルムに対して広いニップ面積で接触してこれを良好に搬送することができる。
さらに、搬送用ベルトは、三層構造をなしているので曲げ応力が向上して曲げ変形が抑制され、耐クラック性が向上してクラックの発生を防止できることになり、搬送用ベルトの耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
光学フィルムは、光線を透過または吸収し、様々な効果を与えることを目的としたフィルムであり、光学フィルムには、上述の配向フィルム,偏光フィルム,位相差フィルムのほかに、反射防止フィルム,偏光層保護フィルム,視野角向上フィルム,輝度向上フィルム,電磁波シールドフィルム,遮光フィルムなどがある。本発明は、このような各種光学フィルムの搬送に適用可能である。
【0012】
図1ないし図11は本発明の実施形態を示す図で、図1は光学フィルムを処理する工程図、図2は光学フィルムの搬送状態を示す斜視図、図3は、光学フィルムとしての偏光フィルムを製造する工程図である。
図4および図5は、それぞれ光学フィルムを処理するための各種工程図、図6は、搬送用ベルトの各種構造を示す断面図、図7は、搬送用ベルトに形成された溝の各種断面形状を示す図である。図8ないし図11は、それぞれ搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【0013】
図1ないし図5に示すように、光学フィルム2は、搬送装置1で搬送されて処理部3で所定の処理が行われる。図1ないし図5にそれぞれ示す工程における光学フィルム2の搬送方法は、処理部3で光学フィルム2に所定の処理を行うためにこの光学フィルム2を搬送する方法であり、そのために搬送用ベルト5,5cが使用されている。
この搬送方法は、ベルト機構4,4b,4cで、無端帯状の搬送用ベルト5,5cの外周面をロール6に押し付け、搬送用ベルト5,5cの外周面とロール6との間に光学フィルム2を挟んだ状態で、搬送用ベルト5,5cとロール6を回転させて、光学フィルム2を搬送する。
【0014】
搬送装置1は、処理部3で光学フィルム2に所定の処理を行うために、少なくとも一つのベルト機構4,4b,4cを有している。搬送装置1の搬送対象物が光学フィルム2なので、ベルト機構4,4b,4cは、光学フィルム2を搬送する機能を発揮する。
ベルト機構4,4b,4cは、回転駆動されるロール6と、ロール6に外周面を押し付け可能で且つ回転する無端帯状の搬送用ベルト5,5cを有するベルトユニット7,7cとを備えている。そして、搬送用ベルト5,5cの外周面とロール6との間に光学フィルム2を挟んだ状態で、搬送用ベルト5,5cとロール6を回転させて、光学フィルム2を搬送している。
【0015】
このような搬送方法および搬送装置1では、搬送用ベルト5,5cの外周面がロール6に押し付けられ、搬送用ベルト5,5cの外周面とロール6との間に光学フィルム2を挟んだ状態になっている。
すると、搬送用ベルト5,5cとロール6は、いずれも光学フィルム2と直接接触するが、ニップ幅が長くなるので広いニップ面積で光学フィルム2と接触している。したがって、搬送用ベルト5,5cとロール6とを回転させれば、光学フィルム2は、搬送用ベルト5,5cとロール6に対してスリップすることなく搬送される。
このように、光学フィルム2は、搬送用ベルト5,5cとロール6に対して広いニップ面積で接触するので、搬送時(走行時)における光学フィルム2のスリップがなくなって、光学フィルム2の破断現象を防止して、光学フィルム2の歩留りを向上させることができる。
搬送速度を上げても光学フィルム2がスリップしないので、その結果として、光学フィルム2の破断現象がなくなって生産性が向上し、また、光学フィルム2の延伸制御の精度が向上する。
また、光学フィルム2の幅方向に均一な引っ張り力を与えることが可能になるので、光学フィルム2がその幅方向に拡幅される。
【0016】
図1に示す工程では、巻出部8から巻き出された光学フィルム2が、処理部3において所定の処理がなされたのち巻取部9で巻き取られる。このとき、光学フィルム2は、一つまたは複数のベルト機構4を有する搬送装置1により搬送される。
処理部3としては、処理工程が一つの場合や複数工程の場合、また湿式処理の場合や乾式処理の場合などがあり、各種処理が光学フィルム2に対して行われる。
【0017】
図2に示す処理工程20では、ベルト機構4が処理部3の出口部に配設されている。処理部3は湿式の処理槽21を有しており、処理槽21で、光学フィルム2に対して所定の処理が行われる。処理槽21の入口部には入口ガイドローラ22が設けられ、処理槽21の内部には、一対の液中ガイドローラ23が設けられている。
ベルト機構4は、処理槽21の出口部に配設されている。ベルトユニット7はロール6の上部に配設されている。搬送用ベルト5は、複数(ここでは、合計4本)のベルトユニット用ガイドローラ24,25により所定の環状を維持して回転する。
ベルトユニット7をロール6の上部に配置したので、湿式の処理槽21のすぐ上部にロール6を配置することができる。また、搬送用ベルト5は、複数のベルトユニット用ガイドローラ24,25に巻き掛けられているので、所定の環状を維持して、搬送用ベルト5の外周面をロール6に押し付けながら回転する。
【0018】
ロール6は駆動装置(図示せず)により回転駆動される。また、複数のベルトユニット用ガイドローラ24,25のうち一本のガイドローラは、他の駆動装置(図示せず)により回転駆動される。これにより、搬送用ベルト5は、複数のベルトユニット用ガイドローラ24,25に巻き掛けられて所定の環状を維持した状態で回転する。
また、4本のベルトユニット用ガイドローラ24,25のうち、ロール6に近い位置の少なくとも1本(ここでは、2本)のベルトユニット用ガイドローラ25を、矢印Bに示す方向に位置調節可能にしている。
これにより、光学フィルム2とロール6とのニップ面積を自在に変化させることができる。こうしてニップ面積を調整すれば、光学フィルム2はスリップしないので破断することがなくなり、また、搬送速度をなるべく速くするための運転条件を最適な状態に調節することが可能になる。
【0019】
図2に示す処理工程20では、光学フィルム2は、入口ガイドローラ22に案内されて処理槽21内に搬送され、ここで複数の液中ガイドローラ23に案内されながら所定の処理がなされる。
その後、光学フィルム2は処理槽21から出て、ベルト機構4により矢印Dに示す方向に搬送される。ベルト機構4では、搬送用ベルト5の外周面がロール6に押し付けられている。
搬送用ベルト5とロール6を回転させることにより、光学フィルム2は、搬送用ベルト5の外周面とロール6との間に挟まれた状態で、広いニップ面積で搬送用ベルト5とロール6に接触しながら走行する。その後、光学フィルム2は、搬送用ベルト5から離れて矢印Dに示すように搬送される。
【0020】
図3に示す光学フィルム(ここでは、偏光フィルム)2の処理工程30では、巻出部8から巻き出された光学フィルム2を、複数の処理部31〜36で処理したのち巻取部9で巻き取るようになっている。
すなわち、偏光フィルムの基材である透明なポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルム(光学フィルム2)は、巻出部8の巻き出しコイルから巻き出されて、膨潤槽31,染色槽32,延伸槽33,固定槽34,水洗槽35および乾燥炉36の順に通過してそれぞれ所定の処理が行われた後、巻取部9の巻き取りコイルに巻き取られる。膨潤槽31から水洗槽35までの各槽と乾燥炉36とが、本発明における処理部3に相当している。
延伸槽33,固定槽34および水洗槽35の各出口部には、ベルト機構4がそれぞれ配設されている。
【0021】
膨潤槽31では、PVA樹脂フィルム(光学フィルム2)は水に浸漬されて膨潤される。次の染色槽32では、膨潤したPVA樹脂フィルムがヨウ素溶液により染色される。
次の延伸槽33では、ヨウ素染色されたPVA樹脂フィルムが製造ライン方向に延伸される。延伸槽33の入口側のニップローラ37,38の間をPVA樹脂フィルムが通過する速度(遅い速度)と、延伸槽33の出口部に配設されたベルト機構4をPVA樹脂フィルムが通過する速度(速い速度)との差(速度差)により、PVA樹脂フィルムに張力がかかって、このPVA樹脂フィルムが延伸処理される。
次の固定槽34では、染色延伸されたPVA樹脂フィルム内のポリヨウ素が定着される。次の水洗槽35では、シャワー水がフィルム面に噴霧されることにより、フィルム面に付着しているホウ酸などの薬品が洗い流される。最終工程の乾燥炉36では、熱風がPVA樹脂フィルム面に吹き付けられてこのフィルムが乾燥される。
このように、延伸槽33,固定槽34および水洗槽35の出口部にそれぞれベルト機構4を設けたので、図1および図2に示す各実施態様と同じ作用効果を奏する。
【0022】
図1ないし図3に示す処理工程では、ベルト機構4が処理部の出口側に配設されている場合を示したが、変形例として、図4(A)に示すように、ベルト機構4は、処理部3の入口部に配設された場合であってもよい。
また、他の変形例として、図4(B)に示すように、ベルト機構4を、処理部3の入口部と出口部の両方に配設すれば、光学フィルム2を安定した状態で良好に搬送することができる。
たとえば、図3に示す処理工程30の延伸槽33に、図4(B)に示す構成の搬送装置を適用すれば、光学フィルム2を良好に搬送して、延伸槽33で光学フィルム2を良好に延伸することができる。
【0023】
図4(C)に示す処理部3の処理槽21には、水やヨウ素溶液など液体26が貯留されている。図4(C)に示す変形例では、ベルト機構4の一部または全部を処理部3の液体26中に配置し、搬送用ベルト5が液体26中を移動して光学フィルム2を搬送している。
この変形例では、ベルトユニット7の一部とロール6の全部が、液体26中に配置されている場合を示している。すなわち、ロール6と、ベルトユニット用ガイドローラ25と、搬送用ベルト5の一部分とを、液体26の液面27より下方に配置することにより、搬送用ベルト5は、回転するときに液体26中を移動して光学フィルム2を搬送する。
【0024】
光学フィルム2の製造には各種の高分子材料を用いることができる。高分子材料としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。
これら高分子素材は延伸されて光学フィルムとなり、配向フィルムや偏光フィルムや位相差フィルムなどとして用いられる。
【0025】
図5(A)に示す処理工程40では、光学フィルム2を乾式で処理してベルト機構4で搬送している。たとえば、処理部3では、光学フィルム2を乾燥炉41で乾燥する処理が行われる。ベルト機構4の構成および作用効果は上述の実施形態と同じである。
図5(B)に示す処理工程50では、ベルト機構4bにおけるベルトユニット7とロール6とが上下逆になっている。すなわち、このベルト機構4bでは、ベルトユニット7はロール6の下部に配設されている。
搬送用ベルト5は、上述と同様に複数(ここでは4本)のベルトユニット用ガイドローラ24,25により所定の環状を維持して回転する。このベルト機構4bは、上述のベルト機構4と同じ作用効果を奏する。
処理部3における処理槽21の出口部に、ベルト機構の設置用のスペースが確保できないような場合に、このベルト機構4bであれば設置が可能である。
【0026】
図5(C)に示す処理工程60では、押圧部材61を有するベルト機構4cが使用されている。このベルト機構4cのベルトユニット7cは、ロール6の上部または下部(ここでは、下部)に配設されている。
押圧部材61は、搬送用ベルト5cの内周側に配置されて、矢印Gに示すように移動制御可能である。搬送用ベルト5cは、押圧部材61によりロール6に押し付けられた状態で回転する。
ベルト機構4cによれば、ベルトユニット7cにベルトユニット用ガイドローラを設ける必要がないので、ベルトユニット7cをコンパクトにすることができ、ベルトユニット7cに駆動装置を設ける必要はない。すなわち、ロール6を回転駆動すれば、搬送用ベルト5cも、光学フィルム2を介して追従して回転する(矢印E)。ロール6と搬送用ベルト5cに挟まれた光学フィルム2は、破断することなく良好に搬送される。
押圧部材61の位置(矢印G方向の位置)を制御することによって、ロール6に対する搬送用ベルト5cの押圧力を容易に調整することができる。その結果、搬送用ベルト5cの外周面とロール6との間に光学フィルム2を適切な圧力で挟んだ状態で、搬送用ベルト5cとロール6を回転させて、光学フィルム2を搬送することができる。
搬送用ベルト5cとロール6は、光学フィルム2と直接接触するが、広いニップ面積で光学フィルム2と接触している。その結果、光学フィルム2はスリップしなくなるので破断することがなく、また、その幅方向に拡幅される。
【0027】
なお、図5(B)に示すベルト機構4bまたは図5(C)に示すベルト機構4cに、図4(C)に示すベルト機構4を適用し、ベルト機構4b,4cの一部または全部を処理部3の液体26中に配置し、搬送用ベルト5,5cがこの液体26中を移動して光学フィルム2を搬送するようにしてもよい。
【0028】
次に、搬送用ベルト5について説明する。
図6(A)ないし(F)は、各種構造の搬送用ベルト5の断面を示している。各搬送用ベルト5の外周面70は光学フィルム2に直接接触し、内周面71は、ベルトユニット用ガイドローラ24,25または押圧部材61に接触する。
搬送用ベルト5は、その内部の基材層72と、基材層72より内周側に形成された内周側層73と、基材層72より外周側に形成され、光学フィルム2に接触するフィルム側層74とを備えている。
こうして、搬送用ベルト5は三層構造をなしている。したがって、搬送用ベルト5の曲げ応力が向上して曲げ変形が抑制される。また、耐クラック性が向上してクラックの発生を防止できることになり、搬送用ベルト5の耐久性が向上する。
【0029】
図6(A)ないし(C)に示す搬送用ベルト5では、基材層72に、平織の製織布(織物)を使用した場合を示している。図6(D)ないし(F)では、基材層72に不織布を使用した場合を示している。
基材層72に不織布を使用すれば、製織時間を短縮して短時間で基材層を形成することができる。また、搬送用ベルト5が光学フィルム2を押付けたときに光学フィルム2に付いてしまう恐れのある糸交絡点(製織布の経糸と緯糸のナックル)が、なくなるかまたは減少する。また、不織布は糸材を直線状に構成できるので、基材層72の寸法が安定する。
基材層72の製織布または不織布が一層の場合を図示したが、製織布や不織布を複数枚重ね合わせた多層にすれば、搬送用ベルト5の剛性が向上する。
【0030】
内周側層73とフィルム側層74は、それぞれ弾性部材により形成されている。弾性部材の素材は、エラストマー(たとえば、ゴム)が一般的であるが、好ましくはポリウレタン樹脂が使用される。
このポリウレタン樹脂のうち、熱硬化性ウレタン樹脂が物性面から好ましい。ポリウレタンは、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと、活性水素基を有する硬化剤との反応により生成される。
【0031】
図6(A),(D)に示す搬送用ベルト5の外周面70と内周面71は、フラットな状態に形成されている。その結果、外周面70は、広い接触面積で光学フィルム2と接触して光学フィルム2に全体で均一な圧力を与えるので、搬送速度を向上させることができる。
なお、搬送速度を上げ過ぎると、光学フィルム2がスリップして破断する可能性があり、また、光学フィルム2に対するその幅方向の引っ張り力が不均一になる恐れもある。
これに対して、図6(B),(E)に示す搬送用ベルト5の外周面70には、所定の断面形状を有する多数の溝78が形成されている。図6(C),(F)に示す搬送用ベルト5の内周面71には、所定の断面形状を有する多数の溝75が形成されている。
搬送用ベルト5の外周面70に多数の溝78を形成すれば、光学フィルム2と外周面70とのスリップをより効果的に防止して、光学フィルム2の破断現象をさらに効果的に防止することができる。
【0032】
図6(B),(E)に示すように、搬送用ベルト5の外周面70に溝78を形成すれば、光学フィルム2には、その幅方向に均一な引っ張り力が与えられる。その結果、光学フィルム2を幅方向に拡幅することが可能になり、光学フィルム2を良好に搬送することができる。
図6(C),(F)に示すように、搬送用ベルト5の内周面71に溝75を形成するのが好ましい。このようにすれば、搬送用ベルト5がロール6に押付けられて弾性変形した際、内周面側の溝75に対応して、外周面70も僅かに波状をなしてかすかに凹凸79ができる。
この凹凸79により、光学フィルム2には、その幅方向に均一な引っ張り力が与えられる。その結果、光学フィルム2を幅方向に拡幅することができるので、光学フィルム2を良好に搬送することができる。
光学フィルム2と広い接触面積で接触する外周面70は、かすかな凹凸79が形成されるものの、全体的にほぼフラットなので、光学フィルム2に凹凸79の痕跡が付くことはない。
【0033】
なお、溝78,75の断面形状は、図6に示すように矩形状が一般的であるが、図7に示すように、V字形(図7(A)),U字形(図7(B)),ランド部が湾曲した形状のもの(図7(C))など各種断面形状であってもよい。
また、隣接する溝の間の外周面70または内周面71が凸状曲面断面をなして、溝78,75が矩形状をなす場合(図7(D))であってもよい。
【0034】
図8に示す搬送用ベルト5は、多数の溝78,75が、搬送用ベルト5の走行方向Dと平行な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第1の溝配置状態である。
図9に示す搬送用ベルト5は、多数の溝78,75が、搬送用ベルト5の走行方向Dに対して垂直な方向(すなわち、幅方向)を向き且つ互いに平行に形成されている第2の溝配置状態である。
図10に示す搬送用ベルト5は、多数の溝78,75が、搬送用ベルト5の走行方向Dに対して平行な方向と垂直な方向とを向く格子状をなす第3の溝配置状態である。
【0035】
図11に示す搬送用ベルト5では、多数の溝78,75は、搬送用ベルト5のほぼ中央部C0から両端縁76,77にいくに従って、ベルト走行方向Dとは逆向きの斜め後方に向かって形成されている。なお、多数の溝78,75は互いに平行に形成されているのが好ましい。
図11に示す溝78,75の構成によれば、搬送用ベルト5とロール6に対して、広いニップ面積で接触している光学フィルム2は、斜め方向の多数の溝78,75に案内されて、光学フィルム2の両端縁方向(幅方向)に効果的に拡幅される。
【0036】
図8ないし図11に示すように、搬送用ベルト5に多数の溝78,75を形成することにより、光学フィルム2のスリップをさらに効果的に防止することができる。これにより、搬送時(走行時)における光学フィルム2の破断現象を効果的に防止することができ、光学フィルム2の歩留りが向上する。搬送速度を上げても光学フィルム2がスリップしないので、光学フィルム2は破断することはなくその生産性がさらに向上する。
【0037】
搬送用ベルト5の厚みは1mmないし6mmであり、好ましくは1mmないし4.5mmである。また、基材層72の厚みは1mmないし3mmである。
搬送用ベルト5と基材層72の各厚みは、薄い方が柔軟性とグリップ性が良好になり、その結果、搬送用ベルト5がロール6の形状に追従して自在に変形し、搬送用ベルト5に対して光学フィルム2がスリップせずに搬送され、蛇行防止制御も容易になる。
搬送用ベルト5の外周面70の硬度は60〜95°(JIS-A,JIS K 7312)であり、好ましくは70〜85°(JIS-A,JIS K 7312)である。
外周面70が硬すぎると、フィルム外周面70で光学フィルム2を押し付けたとき、光学フィルム2に圧力斑が形成されてしまう恐れがある。これとは逆に、外周面70が軟らか過ぎると、搬送用ベルト5は強度の低下により摩耗や傷が発生する恐れがある。
そこで、外周面70の硬度を上述のようにすれば、搬送用ベルト5は、適度に柔軟でロール6の形状に追従して良好に変形し、光学フィルム2とのニップ面積が増加し、グリップ性が良好になり、蛇行防止制御が容易になる。
搬送用ベルト5の内周面71の硬度も、上述の外周面70の硬度と同じである。この場合、内周面71を外周面70より硬くすれば、ロール6や押圧部材61による内周面71の摩耗が減少する。これとは逆に内周面71を外周面70より軟らかくした場合には、搬送用ベルト5にクラックやわれが発生しにくくなる。
【0038】
外周面70と内周面71の表面粗さは、Ra(算術平均粗さ:JIS B 0601)1〜6μmであり、Ra1〜3μmが好ましい。外周面70は、平滑な方が光学フィルム2との接触面積が大きくなって摩擦力(グリップ力)が増加して光学フィルム2のスリップを防止でき、また、光学フィルム2の表面の滑らかさの程度(表面性)が向上する。
内周面71に関しては、平滑な方がロール6や押圧部材61との接触面積が大きくなって、摩擦力(グリップ力)が増加する。
【0039】
上述のように、光学フィルムを狭い接触面積でロールと接触させて搬送する従来技術と比較して、本発明ではベルト機構4,4b,4cを使用し、光学フィルム2が、搬送用ベルト5,5cとロール6に対して広いニップ面積で接触するので、スリップ現象が発生する恐れはない。
したがって、光学フィルム2に対する搬送用ベルト5,5cとロール6の接触状態のムラが平均化されて全体的に均一に接触する。また、搬送用ベルト5,5cとロール6は、各表面の摩耗が少なくなって寿命が延びるとともに、各表面が常時平滑な状態に維持されるので光学フィルム2の表面も滑らかになってその品質が向上する。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、光学フィルムの製造装置、この製造装置で光学フィルムを搬送するための搬送装置、これを構成するベルト機構、およびこれに使用される搬送用ベルトに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1ないし図11は本発明の一実施形態を示す図で、図1は光学フィルムを処理する工程図である。
【図2】光学フィルムの搬送状態を示す斜視図である。
【図3】偏光フィルムを製造する工程図である。
【図4】光学フィルムを処理するための各種工程図である。
【図5】光学フィルムを処理するための各種工程図である。
【図6】搬送用ベルトの各種構造を示す断面図である。
【図7】搬送用ベルトに形成された溝の各種断面形状を示す図である。
【図8】搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【図9】搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【図10】搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【図11】搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【図12】従来における光学フィルムの搬送状態を示す斜視図で、図2相当図である。
【符号の説明】
【0043】
1 搬送装置
2 光学フィルム
3 処理部
4,4b,4c ベルト機構
5,5c 搬送用ベルト
6 ロール
7,7c ベルトユニット
24,25 ベルトユニット用ガイドローラ
26 液体
61 押圧部材
70 外周面
71 内周面
72 基材層
73 内周側層
74 フィルム側層
75,78 溝
76,77 端縁
C0 中央部
D ベルト走行方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムを搬送して処理部で所定の処理を行うための光学フィルムの搬送方法,搬送装置およびその搬送用ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
光学フィルムには、配向フィルム,偏光フィルム,位相差フィルムなどがあり、配向フィルムは、偏光フィルムや位相差フィルムなどとして用いられる。この配向フィルムの製造方法には乾式延伸法と湿潤延伸法とがあり、配向フィルムは、搬送されて処理部で所定の処理が行われる。
図12は、従来における光学フィルムの搬送状態を示す斜視図である。図12に示すように、光学フィルム2は、搬送装置101で搬送されて処理部3で所定の処理が行われる。搬送装置101は、一対のロール102,103を備えている。このロール102,103の間に光学フィルム2を挟んだ状態でロール102,103を回転させて、光学フィルム2を搬送する。
一方のロール102には光学フィルム2が巻き付いてその走行方向が変化しているので、光学フィルム2と一方のロール102は、比較的広い接触面積で接触している。
【0003】
ところが、他方のロール103と光学フィルム2は、ロール103の中心軸線CLと平行な方向に延びた接触位置104では、狭い接触面積で接触している。
ここで、ロール102,103同士は、加圧により接触位置104では若干押しつぶされて弾性変形している。したがって、接触位置104に着目すると、この接触位置104でのロール103と光学フィルム2との接触面は、次式で示されるニップ(Nip)面積を有している。なお、ニップ(Nip)幅は、光学フィルム2の走行方向における接触寸法のことである。
ニップ面積=(ニップ幅)×(中心軸線CLと平行な方向の長さ(面長))
ロール103と光学フィルム2に関するニップ幅は狭いが、厳密に言えば、ある一定の面積で接触していることになる。つまり、ロール103と光学フィルム2との接触面は、面積は小さいが一定の小さな値のニップ面積を持っているのである。
【0004】
特許文献1(特開2002−333521号公報)に記載されている配向フィルムの製造方法や、特許文献2(特開平10−153709号公報)に記載されている偏光フィルムの製造方法においても、光学フィルムを一対のロールで挟んで搬送する構成になっている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−333521号公報
【特許文献2】特開平10−153709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図12に示す従来の搬送装置101では、ロール102,103は光学フィルム2と直接接触し、しかも、ロール103が、狭いニップ幅で光学フィルム2に接触している。
このようにニップ幅の狭い接触なので、ロール102,103のラバー硬度の変化,振動,持込み水分の変動などの外部要因が原因となって、ロール102,103に対して光学フィルム2がスリップする現象が発生し、その結果、光学フィルム2が破断に至る恐れがあった。
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載の技術においても、一対のロールで光学フィルムを挟んだ状態で搬送している。そして、一方または両方のロールと光学フィルムは、直接接触し且つ狭いニップ面積で接触しているので、上述と同じ外部要因が原因となって光学フィルムがスリップして破断する可能性があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、光学フィルムを搬送して処理部で所定の処理を行うために、搬送用ベルトとロールが、広いニップ面積で光学フィルムと接触してこれを良好に搬送することができる光学フィルムの搬送方法,搬送装置およびその搬送用ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる光学フィルムの搬送方法は、処理部で光学フィルムに所定の処理を行うためにこの光学フィルムを搬送する方法であって、無端帯状の搬送用ベルトの外周面をロールに押し付け、前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送する。
本発明にかかる光学フィルムの搬送装置は、処理部で光学フィルムに所定の処理を行うために、少なくとも一つのベルト機構を有して前記光学フィルムを搬送するための搬送装置であって、前記ベルト機構は、回転駆動されるロールと、このロールに外周面を押し付け可能で回転する無端帯状の搬送用ベルトを有するベルトユニットとを備え、前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送する。
前記ベルト機構は、前記処理部の入口部および出口部の一方または両方に配設されているのが好ましい。
好ましい一実施態様として、前記ベルトユニットは前記ロールの上部または下部に配設され、前記搬送用ベルトは、複数のベルトユニット用ガイドローラにより所定の環状を維持して回転する。
この場合、前記ベルトユニット用ガイドローラのうち前記ロールに近い位置の少なくとも1本のベルトユニット用ガイドローラを位置調節可能にして、前記光学フィルムと前記ロールとのニップ面積を変化可能にするのが好ましい。
他の実施態様として、前記ベルトユニットは前記ロールの上部または下部に配設され、前記搬送用ベルトは、このベルトの内周側に配設され移動制御可能な押圧部材により前記ロールに押し付けられて回転する。
なお、前記ベルト機構の一部または全部を前記処理部の液体中に配置し、前記搬送用ベルトがこの液体中を移動して前記光学フィルムを搬送するように構成してもよい。
本発明にかかる搬送用ベルトは、光学フィルムを搬送する搬送装置に使用される無端帯状の搬送用ベルトであって、この搬送用ベルトは、その内部の基材層と、この基材層より内周側に形成された内周側層と、前記基材層より外周側に形成され、前記光学フィルムに接触するフィルム側層とを備えている。
前記基材層は、一層または多層の、製織布または不織布により形成され、前記内周側層と前記フィルム側層は、それぞれ弾性部材により形成されているのが好ましい。
前記搬送用ベルトの外周面または内周面には、所定の断面形状を有する多数の溝が形成されているのが好ましい。
一実施態様にかかる前記搬送用ベルトは、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの走行方向と平行な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第1の溝配置状態と、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの前記走行方向に対して垂直な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第2の溝配置状態と、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの前記走行方向に対して平行な方向と垂直な方向とを向く格子状をなす第3の溝配置状態とから選択される一つの溝配置状態である。
前記搬送用ベルトにおいて、前記多数の溝は、前記搬送用ベルトのほぼ中央部から両端縁にいくに従って、この搬送用ベルトの走行方向とは逆向きの斜め後方に向かって形成されるとともに、この多数の溝は互いに平行に形成されているのが好ましい。
前記搬送用ベルトは、その外周面をロールに押し付け、この搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送するのに使用される。
前記搬送装置は、処理部で前記光学フィルムに所定の処理を行うために少なくとも一つのベルト機構を有しており、このベルト機構は、回転駆動されるロールと、このロールに外周面を押し付け可能で回転する前記搬送用ベルトを有するベルトユニットとを備え、前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送するようにしている。
なお、前記ベルト機構の一部または全部を前記処理部の液体中に配置し、前記搬送用ベルトがこの液体中を移動して前記光学フィルムを搬送するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成を有する本発明にかかる光学フィルムの搬送方法および搬送装置は、光学フィルムを搬送して処理部で所定の処理を行うために、搬送用ベルトとロールが、広いニップ面積で光学フィルムと接触してこれを良好に搬送することができる。
また、本発明にかかる搬送用ベルトは、その外周面をロールに押し付け、この搬送用ベルト外周面とロールとの間に光学フィルムを挟んだ状態で搬送用ベルトとロールを回転させて光学フィルムを搬送すれば、搬送用ベルトとロールが、光学フィルムに対して広いニップ面積で接触してこれを良好に搬送することができる。
さらに、搬送用ベルトは、三層構造をなしているので曲げ応力が向上して曲げ変形が抑制され、耐クラック性が向上してクラックの発生を防止できることになり、搬送用ベルトの耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
光学フィルムは、光線を透過または吸収し、様々な効果を与えることを目的としたフィルムであり、光学フィルムには、上述の配向フィルム,偏光フィルム,位相差フィルムのほかに、反射防止フィルム,偏光層保護フィルム,視野角向上フィルム,輝度向上フィルム,電磁波シールドフィルム,遮光フィルムなどがある。本発明は、このような各種光学フィルムの搬送に適用可能である。
【0012】
図1ないし図11は本発明の実施形態を示す図で、図1は光学フィルムを処理する工程図、図2は光学フィルムの搬送状態を示す斜視図、図3は、光学フィルムとしての偏光フィルムを製造する工程図である。
図4および図5は、それぞれ光学フィルムを処理するための各種工程図、図6は、搬送用ベルトの各種構造を示す断面図、図7は、搬送用ベルトに形成された溝の各種断面形状を示す図である。図8ないし図11は、それぞれ搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【0013】
図1ないし図5に示すように、光学フィルム2は、搬送装置1で搬送されて処理部3で所定の処理が行われる。図1ないし図5にそれぞれ示す工程における光学フィルム2の搬送方法は、処理部3で光学フィルム2に所定の処理を行うためにこの光学フィルム2を搬送する方法であり、そのために搬送用ベルト5,5cが使用されている。
この搬送方法は、ベルト機構4,4b,4cで、無端帯状の搬送用ベルト5,5cの外周面をロール6に押し付け、搬送用ベルト5,5cの外周面とロール6との間に光学フィルム2を挟んだ状態で、搬送用ベルト5,5cとロール6を回転させて、光学フィルム2を搬送する。
【0014】
搬送装置1は、処理部3で光学フィルム2に所定の処理を行うために、少なくとも一つのベルト機構4,4b,4cを有している。搬送装置1の搬送対象物が光学フィルム2なので、ベルト機構4,4b,4cは、光学フィルム2を搬送する機能を発揮する。
ベルト機構4,4b,4cは、回転駆動されるロール6と、ロール6に外周面を押し付け可能で且つ回転する無端帯状の搬送用ベルト5,5cを有するベルトユニット7,7cとを備えている。そして、搬送用ベルト5,5cの外周面とロール6との間に光学フィルム2を挟んだ状態で、搬送用ベルト5,5cとロール6を回転させて、光学フィルム2を搬送している。
【0015】
このような搬送方法および搬送装置1では、搬送用ベルト5,5cの外周面がロール6に押し付けられ、搬送用ベルト5,5cの外周面とロール6との間に光学フィルム2を挟んだ状態になっている。
すると、搬送用ベルト5,5cとロール6は、いずれも光学フィルム2と直接接触するが、ニップ幅が長くなるので広いニップ面積で光学フィルム2と接触している。したがって、搬送用ベルト5,5cとロール6とを回転させれば、光学フィルム2は、搬送用ベルト5,5cとロール6に対してスリップすることなく搬送される。
このように、光学フィルム2は、搬送用ベルト5,5cとロール6に対して広いニップ面積で接触するので、搬送時(走行時)における光学フィルム2のスリップがなくなって、光学フィルム2の破断現象を防止して、光学フィルム2の歩留りを向上させることができる。
搬送速度を上げても光学フィルム2がスリップしないので、その結果として、光学フィルム2の破断現象がなくなって生産性が向上し、また、光学フィルム2の延伸制御の精度が向上する。
また、光学フィルム2の幅方向に均一な引っ張り力を与えることが可能になるので、光学フィルム2がその幅方向に拡幅される。
【0016】
図1に示す工程では、巻出部8から巻き出された光学フィルム2が、処理部3において所定の処理がなされたのち巻取部9で巻き取られる。このとき、光学フィルム2は、一つまたは複数のベルト機構4を有する搬送装置1により搬送される。
処理部3としては、処理工程が一つの場合や複数工程の場合、また湿式処理の場合や乾式処理の場合などがあり、各種処理が光学フィルム2に対して行われる。
【0017】
図2に示す処理工程20では、ベルト機構4が処理部3の出口部に配設されている。処理部3は湿式の処理槽21を有しており、処理槽21で、光学フィルム2に対して所定の処理が行われる。処理槽21の入口部には入口ガイドローラ22が設けられ、処理槽21の内部には、一対の液中ガイドローラ23が設けられている。
ベルト機構4は、処理槽21の出口部に配設されている。ベルトユニット7はロール6の上部に配設されている。搬送用ベルト5は、複数(ここでは、合計4本)のベルトユニット用ガイドローラ24,25により所定の環状を維持して回転する。
ベルトユニット7をロール6の上部に配置したので、湿式の処理槽21のすぐ上部にロール6を配置することができる。また、搬送用ベルト5は、複数のベルトユニット用ガイドローラ24,25に巻き掛けられているので、所定の環状を維持して、搬送用ベルト5の外周面をロール6に押し付けながら回転する。
【0018】
ロール6は駆動装置(図示せず)により回転駆動される。また、複数のベルトユニット用ガイドローラ24,25のうち一本のガイドローラは、他の駆動装置(図示せず)により回転駆動される。これにより、搬送用ベルト5は、複数のベルトユニット用ガイドローラ24,25に巻き掛けられて所定の環状を維持した状態で回転する。
また、4本のベルトユニット用ガイドローラ24,25のうち、ロール6に近い位置の少なくとも1本(ここでは、2本)のベルトユニット用ガイドローラ25を、矢印Bに示す方向に位置調節可能にしている。
これにより、光学フィルム2とロール6とのニップ面積を自在に変化させることができる。こうしてニップ面積を調整すれば、光学フィルム2はスリップしないので破断することがなくなり、また、搬送速度をなるべく速くするための運転条件を最適な状態に調節することが可能になる。
【0019】
図2に示す処理工程20では、光学フィルム2は、入口ガイドローラ22に案内されて処理槽21内に搬送され、ここで複数の液中ガイドローラ23に案内されながら所定の処理がなされる。
その後、光学フィルム2は処理槽21から出て、ベルト機構4により矢印Dに示す方向に搬送される。ベルト機構4では、搬送用ベルト5の外周面がロール6に押し付けられている。
搬送用ベルト5とロール6を回転させることにより、光学フィルム2は、搬送用ベルト5の外周面とロール6との間に挟まれた状態で、広いニップ面積で搬送用ベルト5とロール6に接触しながら走行する。その後、光学フィルム2は、搬送用ベルト5から離れて矢印Dに示すように搬送される。
【0020】
図3に示す光学フィルム(ここでは、偏光フィルム)2の処理工程30では、巻出部8から巻き出された光学フィルム2を、複数の処理部31〜36で処理したのち巻取部9で巻き取るようになっている。
すなわち、偏光フィルムの基材である透明なポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルム(光学フィルム2)は、巻出部8の巻き出しコイルから巻き出されて、膨潤槽31,染色槽32,延伸槽33,固定槽34,水洗槽35および乾燥炉36の順に通過してそれぞれ所定の処理が行われた後、巻取部9の巻き取りコイルに巻き取られる。膨潤槽31から水洗槽35までの各槽と乾燥炉36とが、本発明における処理部3に相当している。
延伸槽33,固定槽34および水洗槽35の各出口部には、ベルト機構4がそれぞれ配設されている。
【0021】
膨潤槽31では、PVA樹脂フィルム(光学フィルム2)は水に浸漬されて膨潤される。次の染色槽32では、膨潤したPVA樹脂フィルムがヨウ素溶液により染色される。
次の延伸槽33では、ヨウ素染色されたPVA樹脂フィルムが製造ライン方向に延伸される。延伸槽33の入口側のニップローラ37,38の間をPVA樹脂フィルムが通過する速度(遅い速度)と、延伸槽33の出口部に配設されたベルト機構4をPVA樹脂フィルムが通過する速度(速い速度)との差(速度差)により、PVA樹脂フィルムに張力がかかって、このPVA樹脂フィルムが延伸処理される。
次の固定槽34では、染色延伸されたPVA樹脂フィルム内のポリヨウ素が定着される。次の水洗槽35では、シャワー水がフィルム面に噴霧されることにより、フィルム面に付着しているホウ酸などの薬品が洗い流される。最終工程の乾燥炉36では、熱風がPVA樹脂フィルム面に吹き付けられてこのフィルムが乾燥される。
このように、延伸槽33,固定槽34および水洗槽35の出口部にそれぞれベルト機構4を設けたので、図1および図2に示す各実施態様と同じ作用効果を奏する。
【0022】
図1ないし図3に示す処理工程では、ベルト機構4が処理部の出口側に配設されている場合を示したが、変形例として、図4(A)に示すように、ベルト機構4は、処理部3の入口部に配設された場合であってもよい。
また、他の変形例として、図4(B)に示すように、ベルト機構4を、処理部3の入口部と出口部の両方に配設すれば、光学フィルム2を安定した状態で良好に搬送することができる。
たとえば、図3に示す処理工程30の延伸槽33に、図4(B)に示す構成の搬送装置を適用すれば、光学フィルム2を良好に搬送して、延伸槽33で光学フィルム2を良好に延伸することができる。
【0023】
図4(C)に示す処理部3の処理槽21には、水やヨウ素溶液など液体26が貯留されている。図4(C)に示す変形例では、ベルト機構4の一部または全部を処理部3の液体26中に配置し、搬送用ベルト5が液体26中を移動して光学フィルム2を搬送している。
この変形例では、ベルトユニット7の一部とロール6の全部が、液体26中に配置されている場合を示している。すなわち、ロール6と、ベルトユニット用ガイドローラ25と、搬送用ベルト5の一部分とを、液体26の液面27より下方に配置することにより、搬送用ベルト5は、回転するときに液体26中を移動して光学フィルム2を搬送する。
【0024】
光学フィルム2の製造には各種の高分子材料を用いることができる。高分子材料としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。
これら高分子素材は延伸されて光学フィルムとなり、配向フィルムや偏光フィルムや位相差フィルムなどとして用いられる。
【0025】
図5(A)に示す処理工程40では、光学フィルム2を乾式で処理してベルト機構4で搬送している。たとえば、処理部3では、光学フィルム2を乾燥炉41で乾燥する処理が行われる。ベルト機構4の構成および作用効果は上述の実施形態と同じである。
図5(B)に示す処理工程50では、ベルト機構4bにおけるベルトユニット7とロール6とが上下逆になっている。すなわち、このベルト機構4bでは、ベルトユニット7はロール6の下部に配設されている。
搬送用ベルト5は、上述と同様に複数(ここでは4本)のベルトユニット用ガイドローラ24,25により所定の環状を維持して回転する。このベルト機構4bは、上述のベルト機構4と同じ作用効果を奏する。
処理部3における処理槽21の出口部に、ベルト機構の設置用のスペースが確保できないような場合に、このベルト機構4bであれば設置が可能である。
【0026】
図5(C)に示す処理工程60では、押圧部材61を有するベルト機構4cが使用されている。このベルト機構4cのベルトユニット7cは、ロール6の上部または下部(ここでは、下部)に配設されている。
押圧部材61は、搬送用ベルト5cの内周側に配置されて、矢印Gに示すように移動制御可能である。搬送用ベルト5cは、押圧部材61によりロール6に押し付けられた状態で回転する。
ベルト機構4cによれば、ベルトユニット7cにベルトユニット用ガイドローラを設ける必要がないので、ベルトユニット7cをコンパクトにすることができ、ベルトユニット7cに駆動装置を設ける必要はない。すなわち、ロール6を回転駆動すれば、搬送用ベルト5cも、光学フィルム2を介して追従して回転する(矢印E)。ロール6と搬送用ベルト5cに挟まれた光学フィルム2は、破断することなく良好に搬送される。
押圧部材61の位置(矢印G方向の位置)を制御することによって、ロール6に対する搬送用ベルト5cの押圧力を容易に調整することができる。その結果、搬送用ベルト5cの外周面とロール6との間に光学フィルム2を適切な圧力で挟んだ状態で、搬送用ベルト5cとロール6を回転させて、光学フィルム2を搬送することができる。
搬送用ベルト5cとロール6は、光学フィルム2と直接接触するが、広いニップ面積で光学フィルム2と接触している。その結果、光学フィルム2はスリップしなくなるので破断することがなく、また、その幅方向に拡幅される。
【0027】
なお、図5(B)に示すベルト機構4bまたは図5(C)に示すベルト機構4cに、図4(C)に示すベルト機構4を適用し、ベルト機構4b,4cの一部または全部を処理部3の液体26中に配置し、搬送用ベルト5,5cがこの液体26中を移動して光学フィルム2を搬送するようにしてもよい。
【0028】
次に、搬送用ベルト5について説明する。
図6(A)ないし(F)は、各種構造の搬送用ベルト5の断面を示している。各搬送用ベルト5の外周面70は光学フィルム2に直接接触し、内周面71は、ベルトユニット用ガイドローラ24,25または押圧部材61に接触する。
搬送用ベルト5は、その内部の基材層72と、基材層72より内周側に形成された内周側層73と、基材層72より外周側に形成され、光学フィルム2に接触するフィルム側層74とを備えている。
こうして、搬送用ベルト5は三層構造をなしている。したがって、搬送用ベルト5の曲げ応力が向上して曲げ変形が抑制される。また、耐クラック性が向上してクラックの発生を防止できることになり、搬送用ベルト5の耐久性が向上する。
【0029】
図6(A)ないし(C)に示す搬送用ベルト5では、基材層72に、平織の製織布(織物)を使用した場合を示している。図6(D)ないし(F)では、基材層72に不織布を使用した場合を示している。
基材層72に不織布を使用すれば、製織時間を短縮して短時間で基材層を形成することができる。また、搬送用ベルト5が光学フィルム2を押付けたときに光学フィルム2に付いてしまう恐れのある糸交絡点(製織布の経糸と緯糸のナックル)が、なくなるかまたは減少する。また、不織布は糸材を直線状に構成できるので、基材層72の寸法が安定する。
基材層72の製織布または不織布が一層の場合を図示したが、製織布や不織布を複数枚重ね合わせた多層にすれば、搬送用ベルト5の剛性が向上する。
【0030】
内周側層73とフィルム側層74は、それぞれ弾性部材により形成されている。弾性部材の素材は、エラストマー(たとえば、ゴム)が一般的であるが、好ましくはポリウレタン樹脂が使用される。
このポリウレタン樹脂のうち、熱硬化性ウレタン樹脂が物性面から好ましい。ポリウレタンは、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと、活性水素基を有する硬化剤との反応により生成される。
【0031】
図6(A),(D)に示す搬送用ベルト5の外周面70と内周面71は、フラットな状態に形成されている。その結果、外周面70は、広い接触面積で光学フィルム2と接触して光学フィルム2に全体で均一な圧力を与えるので、搬送速度を向上させることができる。
なお、搬送速度を上げ過ぎると、光学フィルム2がスリップして破断する可能性があり、また、光学フィルム2に対するその幅方向の引っ張り力が不均一になる恐れもある。
これに対して、図6(B),(E)に示す搬送用ベルト5の外周面70には、所定の断面形状を有する多数の溝78が形成されている。図6(C),(F)に示す搬送用ベルト5の内周面71には、所定の断面形状を有する多数の溝75が形成されている。
搬送用ベルト5の外周面70に多数の溝78を形成すれば、光学フィルム2と外周面70とのスリップをより効果的に防止して、光学フィルム2の破断現象をさらに効果的に防止することができる。
【0032】
図6(B),(E)に示すように、搬送用ベルト5の外周面70に溝78を形成すれば、光学フィルム2には、その幅方向に均一な引っ張り力が与えられる。その結果、光学フィルム2を幅方向に拡幅することが可能になり、光学フィルム2を良好に搬送することができる。
図6(C),(F)に示すように、搬送用ベルト5の内周面71に溝75を形成するのが好ましい。このようにすれば、搬送用ベルト5がロール6に押付けられて弾性変形した際、内周面側の溝75に対応して、外周面70も僅かに波状をなしてかすかに凹凸79ができる。
この凹凸79により、光学フィルム2には、その幅方向に均一な引っ張り力が与えられる。その結果、光学フィルム2を幅方向に拡幅することができるので、光学フィルム2を良好に搬送することができる。
光学フィルム2と広い接触面積で接触する外周面70は、かすかな凹凸79が形成されるものの、全体的にほぼフラットなので、光学フィルム2に凹凸79の痕跡が付くことはない。
【0033】
なお、溝78,75の断面形状は、図6に示すように矩形状が一般的であるが、図7に示すように、V字形(図7(A)),U字形(図7(B)),ランド部が湾曲した形状のもの(図7(C))など各種断面形状であってもよい。
また、隣接する溝の間の外周面70または内周面71が凸状曲面断面をなして、溝78,75が矩形状をなす場合(図7(D))であってもよい。
【0034】
図8に示す搬送用ベルト5は、多数の溝78,75が、搬送用ベルト5の走行方向Dと平行な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第1の溝配置状態である。
図9に示す搬送用ベルト5は、多数の溝78,75が、搬送用ベルト5の走行方向Dに対して垂直な方向(すなわち、幅方向)を向き且つ互いに平行に形成されている第2の溝配置状態である。
図10に示す搬送用ベルト5は、多数の溝78,75が、搬送用ベルト5の走行方向Dに対して平行な方向と垂直な方向とを向く格子状をなす第3の溝配置状態である。
【0035】
図11に示す搬送用ベルト5では、多数の溝78,75は、搬送用ベルト5のほぼ中央部C0から両端縁76,77にいくに従って、ベルト走行方向Dとは逆向きの斜め後方に向かって形成されている。なお、多数の溝78,75は互いに平行に形成されているのが好ましい。
図11に示す溝78,75の構成によれば、搬送用ベルト5とロール6に対して、広いニップ面積で接触している光学フィルム2は、斜め方向の多数の溝78,75に案内されて、光学フィルム2の両端縁方向(幅方向)に効果的に拡幅される。
【0036】
図8ないし図11に示すように、搬送用ベルト5に多数の溝78,75を形成することにより、光学フィルム2のスリップをさらに効果的に防止することができる。これにより、搬送時(走行時)における光学フィルム2の破断現象を効果的に防止することができ、光学フィルム2の歩留りが向上する。搬送速度を上げても光学フィルム2がスリップしないので、光学フィルム2は破断することはなくその生産性がさらに向上する。
【0037】
搬送用ベルト5の厚みは1mmないし6mmであり、好ましくは1mmないし4.5mmである。また、基材層72の厚みは1mmないし3mmである。
搬送用ベルト5と基材層72の各厚みは、薄い方が柔軟性とグリップ性が良好になり、その結果、搬送用ベルト5がロール6の形状に追従して自在に変形し、搬送用ベルト5に対して光学フィルム2がスリップせずに搬送され、蛇行防止制御も容易になる。
搬送用ベルト5の外周面70の硬度は60〜95°(JIS-A,JIS K 7312)であり、好ましくは70〜85°(JIS-A,JIS K 7312)である。
外周面70が硬すぎると、フィルム外周面70で光学フィルム2を押し付けたとき、光学フィルム2に圧力斑が形成されてしまう恐れがある。これとは逆に、外周面70が軟らか過ぎると、搬送用ベルト5は強度の低下により摩耗や傷が発生する恐れがある。
そこで、外周面70の硬度を上述のようにすれば、搬送用ベルト5は、適度に柔軟でロール6の形状に追従して良好に変形し、光学フィルム2とのニップ面積が増加し、グリップ性が良好になり、蛇行防止制御が容易になる。
搬送用ベルト5の内周面71の硬度も、上述の外周面70の硬度と同じである。この場合、内周面71を外周面70より硬くすれば、ロール6や押圧部材61による内周面71の摩耗が減少する。これとは逆に内周面71を外周面70より軟らかくした場合には、搬送用ベルト5にクラックやわれが発生しにくくなる。
【0038】
外周面70と内周面71の表面粗さは、Ra(算術平均粗さ:JIS B 0601)1〜6μmであり、Ra1〜3μmが好ましい。外周面70は、平滑な方が光学フィルム2との接触面積が大きくなって摩擦力(グリップ力)が増加して光学フィルム2のスリップを防止でき、また、光学フィルム2の表面の滑らかさの程度(表面性)が向上する。
内周面71に関しては、平滑な方がロール6や押圧部材61との接触面積が大きくなって、摩擦力(グリップ力)が増加する。
【0039】
上述のように、光学フィルムを狭い接触面積でロールと接触させて搬送する従来技術と比較して、本発明ではベルト機構4,4b,4cを使用し、光学フィルム2が、搬送用ベルト5,5cとロール6に対して広いニップ面積で接触するので、スリップ現象が発生する恐れはない。
したがって、光学フィルム2に対する搬送用ベルト5,5cとロール6の接触状態のムラが平均化されて全体的に均一に接触する。また、搬送用ベルト5,5cとロール6は、各表面の摩耗が少なくなって寿命が延びるとともに、各表面が常時平滑な状態に維持されるので光学フィルム2の表面も滑らかになってその品質が向上する。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、光学フィルムの製造装置、この製造装置で光学フィルムを搬送するための搬送装置、これを構成するベルト機構、およびこれに使用される搬送用ベルトに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1ないし図11は本発明の一実施形態を示す図で、図1は光学フィルムを処理する工程図である。
【図2】光学フィルムの搬送状態を示す斜視図である。
【図3】偏光フィルムを製造する工程図である。
【図4】光学フィルムを処理するための各種工程図である。
【図5】光学フィルムを処理するための各種工程図である。
【図6】搬送用ベルトの各種構造を示す断面図である。
【図7】搬送用ベルトに形成された溝の各種断面形状を示す図である。
【図8】搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【図9】搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【図10】搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【図11】搬送用ベルトの外周面または内周面を示す説明図である。
【図12】従来における光学フィルムの搬送状態を示す斜視図で、図2相当図である。
【符号の説明】
【0043】
1 搬送装置
2 光学フィルム
3 処理部
4,4b,4c ベルト機構
5,5c 搬送用ベルト
6 ロール
7,7c ベルトユニット
24,25 ベルトユニット用ガイドローラ
26 液体
61 押圧部材
70 外周面
71 内周面
72 基材層
73 内周側層
74 フィルム側層
75,78 溝
76,77 端縁
C0 中央部
D ベルト走行方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理部で光学フィルムに所定の処理を行うためにこの光学フィルムを搬送する方法であって、
無端帯状の搬送用ベルトの外周面をロールに押し付け、前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送することを特徴とする光学フィルムの搬送方法。
【請求項2】
処理部で光学フィルムに所定の処理を行うために、少なくとも一つのベルト機構を有して前記光学フィルムを搬送するための搬送装置であって、
前記ベルト機構は、回転駆動されるロールと、このロールに外周面を押し付け可能で回転する無端帯状の搬送用ベルトを有するベルトユニットとを備え、
前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送することを特徴とする光学フィルムの搬送装置。
【請求項3】
前記ベルト機構は、前記処理部の入口部および出口部の一方または両方に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項4】
前記ベルトユニットは前記ロールの上部または下部に配設され、前記搬送用ベルトは、複数のベルトユニット用ガイドローラにより所定の環状を維持して回転することを特徴とする請求項2または3に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項5】
前記ベルトユニット用ガイドローラのうち前記ロールに近い位置の少なくとも1本のベルトユニット用ガイドローラを位置調節可能にして、前記光学フィルムと前記ロールとのニップ面積を変化可能にしたことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項6】
前記ベルトユニットは前記ロールの上部または下部に配設され、前記搬送用ベルトは、このベルトの内周側に配設され移動制御可能な押圧部材により前記ロールに押し付けられて回転することを特徴とする請求項2または3に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項7】
前記ベルト機構の一部または全部を前記処理部の液体中に配置し、前記搬送用ベルトがこの液体中を移動して前記光学フィルムを搬送するようにしたことを特徴とする請求項2,4,5または6に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項8】
光学フィルムを搬送する搬送装置に使用される無端帯状の搬送用ベルトであって、
この搬送用ベルトは、その内部の基材層と、この基材層より内周側に形成された内周側層と、前記基材層より外周側に形成され、前記光学フィルムに接触するフィルム側層とを備えたことを特徴とする光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項9】
前記基材層は、一層または多層の、製織布または不織布により形成され、前記内周側層と前記フィルム側層は、それぞれ弾性部材により形成されていることを特徴とする請求項8に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項10】
前記搬送用ベルトの外周面または内周面には、所定の断面形状を有する多数の溝が形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項11】
前記搬送用ベルトは、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの走行方向と平行な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第1の溝配置状態と、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの前記走行方向に対して垂直な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第2の溝配置状態と、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの前記走行方向に対して平行な方向と垂直な方向とを向く格子状をなす第3の溝配置状態とから選択される一つの溝配置状態であることを特徴とする請求項10に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項12】
前記多数の溝は、前記搬送用ベルトのほぼ中央部から両端縁にいくに従って、この搬送用ベルトの走行方向とは逆向きの斜め後方に向かって形成されるとともに、この多数の溝は互いに平行に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項13】
前記搬送用ベルトは、その外周面をロールに押し付け、この搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送するのに使用されることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかの項に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項14】
前記搬送装置は、処理部で前記光学フィルムに所定の処理を行うために少なくとも一つのベルト機構を有しており、
このベルト機構は、回転駆動されるロールと、このロールに外周面を押し付け可能で回転する前記搬送用ベルトを有するベルトユニットとを備え、
前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送するようにしたことを特徴とする請求項8ないし12のいずれかの項に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項15】
前記ベルト機構の一部または全部を前記処理部の液体中に配置し、前記搬送用ベルトがこの液体中を移動して前記光学フィルムを搬送するようにしたことを特徴とする請求項14に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項1】
処理部で光学フィルムに所定の処理を行うためにこの光学フィルムを搬送する方法であって、
無端帯状の搬送用ベルトの外周面をロールに押し付け、前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送することを特徴とする光学フィルムの搬送方法。
【請求項2】
処理部で光学フィルムに所定の処理を行うために、少なくとも一つのベルト機構を有して前記光学フィルムを搬送するための搬送装置であって、
前記ベルト機構は、回転駆動されるロールと、このロールに外周面を押し付け可能で回転する無端帯状の搬送用ベルトを有するベルトユニットとを備え、
前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送することを特徴とする光学フィルムの搬送装置。
【請求項3】
前記ベルト機構は、前記処理部の入口部および出口部の一方または両方に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項4】
前記ベルトユニットは前記ロールの上部または下部に配設され、前記搬送用ベルトは、複数のベルトユニット用ガイドローラにより所定の環状を維持して回転することを特徴とする請求項2または3に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項5】
前記ベルトユニット用ガイドローラのうち前記ロールに近い位置の少なくとも1本のベルトユニット用ガイドローラを位置調節可能にして、前記光学フィルムと前記ロールとのニップ面積を変化可能にしたことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項6】
前記ベルトユニットは前記ロールの上部または下部に配設され、前記搬送用ベルトは、このベルトの内周側に配設され移動制御可能な押圧部材により前記ロールに押し付けられて回転することを特徴とする請求項2または3に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項7】
前記ベルト機構の一部または全部を前記処理部の液体中に配置し、前記搬送用ベルトがこの液体中を移動して前記光学フィルムを搬送するようにしたことを特徴とする請求項2,4,5または6に記載の光学フィルムの搬送装置。
【請求項8】
光学フィルムを搬送する搬送装置に使用される無端帯状の搬送用ベルトであって、
この搬送用ベルトは、その内部の基材層と、この基材層より内周側に形成された内周側層と、前記基材層より外周側に形成され、前記光学フィルムに接触するフィルム側層とを備えたことを特徴とする光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項9】
前記基材層は、一層または多層の、製織布または不織布により形成され、前記内周側層と前記フィルム側層は、それぞれ弾性部材により形成されていることを特徴とする請求項8に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項10】
前記搬送用ベルトの外周面または内周面には、所定の断面形状を有する多数の溝が形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項11】
前記搬送用ベルトは、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの走行方向と平行な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第1の溝配置状態と、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの前記走行方向に対して垂直な方向を向き且つ互いに平行に形成されている第2の溝配置状態と、前記多数の溝が前記搬送用ベルトの前記走行方向に対して平行な方向と垂直な方向とを向く格子状をなす第3の溝配置状態とから選択される一つの溝配置状態であることを特徴とする請求項10に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項12】
前記多数の溝は、前記搬送用ベルトのほぼ中央部から両端縁にいくに従って、この搬送用ベルトの走行方向とは逆向きの斜め後方に向かって形成されるとともに、この多数の溝は互いに平行に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項13】
前記搬送用ベルトは、その外周面をロールに押し付け、この搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送するのに使用されることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかの項に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項14】
前記搬送装置は、処理部で前記光学フィルムに所定の処理を行うために少なくとも一つのベルト機構を有しており、
このベルト機構は、回転駆動されるロールと、このロールに外周面を押し付け可能で回転する前記搬送用ベルトを有するベルトユニットとを備え、
前記搬送用ベルト外周面と前記ロールとの間に前記光学フィルムを挟んだ状態で前記搬送用ベルトと前記ロールを回転させて前記光学フィルムを搬送するようにしたことを特徴とする請求項8ないし12のいずれかの項に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【請求項15】
前記ベルト機構の一部または全部を前記処理部の液体中に配置し、前記搬送用ベルトがこの液体中を移動して前記光学フィルムを搬送するようにしたことを特徴とする請求項14に記載の光学フィルムの搬送装置の搬送用ベルト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−149388(P2009−149388A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326829(P2007−326829)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000108753)タツモ株式会社 (73)
【出願人】(000180597)イチカワ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000108753)タツモ株式会社 (73)
【出願人】(000180597)イチカワ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
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