説明

光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、および画像表示装置

【課題】十分な量の高耐熱性紫外線吸収剤の添加により優れた紫外線吸収能力を有し且つ優れた耐熱性と光学特性を有する(メタ)アクリル系の光学フィルムを製造するにあたり、押出し成型の際のフィルム上への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できる、光学フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の光学フィルムの製造方法は、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分と、該樹脂成分100重量部に対して0.5〜5.5重量部の300℃で20分間の加熱における重量減少が10%以下である紫外線吸収剤とを含有する成型材料を、押出し成型にて成型して、光学フィルムを製造する方法であって、該樹脂成分が、0.1〜20重量%のスチレン系重合体を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの製造方法、その製造方法によって得られる光学フィルム、それを用いた偏光板、および、その偏光板を少なくとも1枚含む、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置には、その画像形成方式から液晶パネル表面を形成するガラス基板の両側に偏光板を配置することが必要不可欠である。偏光板は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性材料からなる偏光子の両面に、偏光子保護フィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せたものが用いられている。
【0003】
偏光子保護フィルムには、液晶や偏光子を紫外線劣化から防ぐ目的で、紫外線吸収性能が必要とされることがある。偏光子保護フィルムとして用いる光学フィルムの樹脂成分として、これまでトリアセチルセルロースが一般に良く用いられている。現在は、偏光子保護フィルムとしてのトリアセチルセルロースフィルム中に紫外線吸収剤を添加し、紫外線吸収性能を持たせている。
【0004】
しかしながら、トリアセチルセルロースは耐湿熱性が十分でなく、トリアセチルセルロースフィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板を高温または高湿下において使用すると、偏光度や色相等の偏光板の性能が低下するという欠点がある。またトリアセチルセルロースフィルムは斜め方向の入射光に対して位相差を生じる。かかる位相差は、近年、液晶ディスプレイの大型化が進むにしたがって、顕著に視野角特性に影響を及ぼすようになっている。
【0005】
そこで、従来からのトリアセチルセルロースに代わる偏光子保護フィルムの材料として、耐湿熱性が高い透明性の熱可塑性樹脂が検討されており、このような熱可塑性樹脂に紫外線吸収剤を添加して紫外線吸収性能を持たせた光学フィルムが報告されている(特許文献1〜2参照)。しかし、このような耐熱性が高い光学フィルムを製造するためには、高温でフィルム成型する必要があるので、紫外線吸収剤が高温下で分解することを避けるために耐熱性の高い紫外線吸収剤を用いる必要がある。ところが、耐熱性の高い紫外線吸収剤は、耐湿熱性が高い透明性の熱可塑性樹脂、特に、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性が低い。このため、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分と紫外線吸収剤とを含有する成型材料を、比較的高温下において、押出し成型にて成型して光学フィルムを製造する場合、得られる光学フィルム上に紫外線吸収剤がブリードアウトしてしまい、外観欠点となるという問題や、製造時のロールへのブリードアウトした紫外線吸収剤の付着により生産安定性が低下するという問題がある。
【0006】
また、用途(例えば、モバイル用途など)によっては、光学フィルムの厚みを薄くする必要がある。しかし、薄型の光学フィルムにおいては紫外線吸収能が不足しがちである。このため、紫外線吸収剤を通常よりも多く添加する必要があり、上記のブリードアウトに起因する諸問題が一層顕著に現れてしまう。
【特許文献1】特開平9−166711号公報
【特許文献2】特開2004−45893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、(1)十分な量の耐熱性の高い紫外線吸収剤の添加によって優れた紫外線吸収能力を有するとともに優れた耐熱性と光学特性をも有する(メタ)アクリル系の光学フィルムを製造するにあたり、押出し成型の際の光学フィルム上への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制し、これによって光学フィルムの外観欠点を低減し、製造時のロールへのブリードアウトによる紫外線吸収剤の付着も抑制して生産安定性を維持できる、光学フィルムの製造方法を提供すること、(2)そのような製造方法により、外観欠点の少ない光学フィルムを提供すること、(3)そのような光学フィルムを用いた、外観欠点が少ない偏光板を提供すること、(4)そのような偏光板を用いた高品位の画像表示装置を提供すること、にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学フィルムの製造方法は、
(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分と、該樹脂成分100重量部に対して0.5〜5.5重量部の300℃で20分間の加熱における重量減少が10%以下である紫外線吸収剤とを含有する成型材料を、押出し成型にて成型して、光学フィルムを製造する方法であって、
該樹脂成分が、0.1〜20重量%のスチレン系重合体を含有する。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記スチレン系重合体が、スチレン単量体単位を50〜90重量%含む共重合体である。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記スチレン系重合体が、スチレン・アクリロニトリル共重合体である。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記押出し成型時の成型材料の温度が250℃以上である。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記紫外線吸収剤が、トリアゾール系紫外線吸収剤およびトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
【0013】
本発明の別の局面によれば、光学フィルムが提供される。本発明の光学フィルムは、本発明の光学フィルムの製造方法により得られる。
【0014】
本発明の別の局面によれば、偏光板が提供される。本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムを偏光子保護フィルムとして含む。
【0015】
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、十分な量の耐熱性の高い紫外線吸収剤の添加によって優れた紫外線吸収能力を有するとともに優れた耐熱性と光学特性をも有する(メタ)アクリル系の光学フィルムを製造するにあたり、押出し成型の際の光学フィルム上への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制し、これによって光学フィルムの外観欠点を低減し、製造時のロールへのブリードアウトによる紫外線吸収剤の付着も抑制して生産安定性を維持できる、光学フィルムの製造方法を提供することができる。また、そのような製造方法により、外観欠点の少ない光学フィルムを提供することができる。さらに、そのような光学フィルムを用いた、外観欠点が少ない偏光板を提供することができる。また、そのような偏光板を用いた高品位の画像表示装置を提供することができる。
【0017】
このような効果は、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分と十分な量の耐熱性の高い紫外線吸収剤とを含有する成型材料を押出し成型にて成型することによって(メタ)アクリル系の光学フィルムを製造するにあたり、該樹脂成分が特定範囲量のスチレン系重合体を含有することによって発現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0019】
〔A.光学フィルムの製造方法〕
〔A−1.樹脂成分〕
本発明の光学フィルムの製造方法は、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分を含有する成型材料を、押出し成型にて成型して、光学フィルムを製造する方法である。
【0020】
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。本発明の光学フィルムは、Tg(ガラス転移温度)が115℃以上である(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含むことにより、例えば、偏光子保護フィルムとして偏光板に組み入れた場合に、耐久性に優れたものとなり得る。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
【0021】
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
【0022】
上記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
【0023】
本発明においては、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、上記(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いても良い。
【0024】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
【0025】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
【0026】
【化1】

(一般式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。)
【0027】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になるおそれがある。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が90重量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなるおそれがある。
【0028】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、質量平均分子量(重量平均分子量と称することもある)が、好ましくは1000〜2000000、より好ましくは5000〜1000000、さらに好ましくは10000〜500000、特に好ましくは50000〜500000である。質量平均分子量が上記範囲から外れると、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがある。
【0029】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃以上、最も好ましくは140℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、例えば、偏光子保護フィルムとして偏光板に組み入れた場合に、耐久性に優れたものとなり得る。上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
【0030】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、射出成形により得られる成形品の、ASTM−D−1003に準じた方法で測定される全光線透過率が、高ければ高いほど好ましく、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は透明性の目安であり、全光線透過率が85%未満であると、透明性が低下し、光学フィルムとして使用できないおそれがある。
【0031】
上記成型材料中の上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、好ましくは50〜99.5重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。上記成型材料中の上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量が50重量%未満の場合には、(メタ)アクリル系樹脂が本来有する高耐熱性、高透明性が十分に反映できないおそれがある。上記成型材料中の上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量が99.5重量%を超えると、上記成型材料中における後述する紫外線吸収剤の含有量が十分でなくなるために、得られる光学フィルムが十分な紫外線吸収能を発揮できないおそれがある。
【0032】
上記(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分は、0.1〜20重量%のスチレン系重合体を含有する。上記スチレン系重合体の含有量は、好ましくは1〜18重量%、より好ましくは5〜16重量%である。
【0033】
上記スチレン系重合体の含有量が上記範囲から外れる場合、光学フィルムを製造する際に、得られる光学フィルム上に紫外線吸収剤がブリードアウトしてしまい、外観欠点となるという問題や、製造時のロールへのブリードアウトした紫外線吸収剤の付着により生産安定性が低下するという問題が生じるおそれがある。
【0034】
上記スチレン系重合体としては、例えば、スチレンモノマーの単独重合体(ポリスチレン)、スチレンモノマーと他の共重合可能なモノマーとの共重合体が挙げられる。また、これらの重合体の変性物でも良い。スチレンモノマーと他の共重合可能なモノマーとの共重合体としては、例えば、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・マレイミド共重合体が挙げられる。
【0035】
上記スチレン系重合体としては、スチレン単量体単位を50〜90重量%含む共重合体であることが好ましい。上記スチレン系重合体中におけるスチレン単量体単位の割合は、より好ましくは、55〜85重量%、さらに好ましくは60〜80重量%である。
【0036】
本発明の効果をより十分に発現させるためには、スチレン単量体単位を50〜90重量%含む共重合体である上記スチレン系重合体としてスチレン・アクリロニトリル共重合体が特に好ましい。
【0037】
上記成型材料中には、上記(メタ)アクリル系樹脂およびスチレン系重合体以外の樹脂成分が含まれていても良い。上記(メタ)アクリル系樹脂およびスチレン系重合体以外の樹脂成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な樹脂成分を採用し得る。
【0038】
〔A−2.紫外線吸収剤)
上記成型材料は、上記樹脂成分100重量部に対して0.5〜5.5重量部の、300℃で20分間の加熱における重量減少が10%以下である紫外線吸収剤を含有する。上記成型材料中の上記紫外線吸収剤の含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、好ましくは1〜5重量部、より好ましくは2〜5重量部、さらに好ましくは3〜5重量部である。
【0039】
上記紫外線吸収剤としては、本発明の目的を達成できる範囲において、任意の適切な紫外線吸収剤を採用し得る。例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、無機粒子系紫外線吸収剤、他の有機系紫外線吸収剤が挙げられる。また、特開2001−72782号公報や特表2002−543265号公報に記載の紫外線吸収剤が挙げられる。上記紫外線吸収剤として、好ましくは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、より好ましくは、本発明においては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。紫外線吸収剤は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0040】
上記紫外線吸収剤の融点は、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。
【0041】
上記紫外線吸収剤は、300℃で20分間の加熱における重量減少が10%以下である。「300℃で20分間の加熱における重量減少」の測定方法については後述する。上記紫外線吸収剤は、300℃で20分間の加熱における重量減少が小さければ小さいほど好ましい。300℃で20分間の加熱における重量減少は、好ましくは9%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下である。300℃で20分間の加熱における重量減少が10%よりも大きい紫外線吸収剤を用いた場合、十分な紫外線吸収能を有する光学フィルムが得られないおそれがある。
【0042】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノールが挙げられる。市販品としては、例えば、「アデカスタブLA−31」(ADEKA社製)が挙げられる。
【0043】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン 、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン 、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)が挙げられる。
【0044】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いることができる。具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(へキシル)オキシ]−フェノールが挙げられる。
【0045】
無機粒子系紫外線吸収剤としては、例えば、酸化亜鉛ナノ粒子が挙げられる。市販品としては、例えば、「NANOBYK−3820」(BYK−Chemie社製)が挙げられる。
【0046】
他の有機系紫外線吸収剤としては、例えば、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤が挙げられる。市販品としては、例えば、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤として「サンデュボアVSU」(クラリアント社製)、マロン酸エステル系紫外線吸収剤として「ホスタビンPR−25」や「ホスタビンB−CAP」(ともに、クラリアント社製)が挙げられる。
【0047】
300℃で20分間の加熱における重量減少が10%以下である紫外線吸収剤としては、好ましくは、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]が挙げられる。市販品としては、例えば、トリアゾール系紫外線吸収剤として「アデカスタブLA−31」(旭電化工業社製)が挙げられる。
【0048】
〔A−3.成型材料〕
上記成型材料は、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切なその他の成分を含有し得る。例えば、一般的な配合剤、具体的には、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび等が含まれていても良い。
【0049】
上記成型材料の調製方法は、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、直接添加法でも良いし、マスターバッチ法でもたとえば良い。より具体的には、上記スチレン系重合体に上記紫外線吸収剤を添加したものを、上記(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分に添加する方法や、上記(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分に上記紫外線吸収剤を添加したものを、上記スチレン系重合体に添加する方法が挙げられる。相溶性を向上させるためには、上記スチレン系重合体に上記紫外線吸収剤を添加したものを、上記(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分に添加する方法が好ましい。成型材料を調製するための各材料を添加して得られた混合物は、好ましくは、適切な混合機でプレブレンドした後に押出混練する。押出混練に用いる混練機は、任意の適切な混練機を採用し得る。例えば、単軸押出機、2軸押出機、加圧ニーダーが挙げられる。東芝機械社製のTEMを用いることも好ましい。あるいは、成型材料を調製するための各材料を、直接に、後述する押出し成型に供しても良い。
【0050】
〔A−4.製造方法〕
本発明の光学フィルムの製造方法は、上記成型材料を、押出し成型にて成型する。好ましくは、上記押出混練で得られた成型材料を、押出し成型にてフィルム成形する。あるいは、上記成型材料を調製するための各材料を、直接に、押出し成型に供しても良い。
【0051】
押出し成形の方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法が挙げられる。これらの中でも、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
【0052】
押出し成型時の成型材料の温度は、好ましくは250℃以上である。より好ましくは250〜300℃、さらに好ましくは260〜290℃である。押出し成型時の成型材料の温度が250℃未満の場合、高い耐熱性を有する樹脂を含む成型材料を安定的に成型できないおそれがある。
【0053】
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、およびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0054】
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターが挙げられる。
【0055】
溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法が挙げられる。溶融押出法を行う際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。さらに好ましくは250〜300℃である。
【0056】
上記Tダイ法でフィルム成形する場合は、例えば、単軸押出し機や2軸押出し機の先端部にTダイを取り付け、ダイス温度250℃以上にてフィルム状に押出したフィルムを巻取りロールにて巻取り、ロール状のフィルムを得る事ができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出し方向に延伸を加えることで、単軸延伸工程とする事も可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加える事で、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
【0057】
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、押出し成型の際の光学フィルム上への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制し、これによって光学フィルムの外観欠点を低減し、製造時のロールへのブリードアウトによる紫外線吸収剤の付着も抑制して生産安定性を維持できる。
【0058】
〔B.光学フィルム〕
本発明の光学フィルムは、本発明の光学フィルムの製造方法により得られる。本発明の光学フィルムは、光透過率が高いものが好ましく、面内位相差Δndや厚み方向位相差Rthが低いものが好ましい。面内位相差Δndは、Δnd=(nx−ny)×dによって求めることができる。厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×dによって求めることができる。ここで、nx、nyは、それぞれ、遅相軸方向、進相軸方向における面内の屈折率であり、nzは厚み方向屈折率である。なお、遅相軸方向とは、面内の屈折率の最大となる方向をいう。
【0059】
本発明の光学フィルムの厚み80μmにおける380nmでの光線透過率は20%以下であり、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。本発明の光学フィルムの厚み80μmにおける380nmでの光線透過率が20%を超えると、十分な紫外線吸収能力を発揮できないおそれがある。
【0060】
本発明の光学フィルムの厚み80μmにおけるYIは、好ましくは1.27以下、より好ましくは1.25以下、さらに好ましくは1.23以下、特に好ましくは1.20以下である。上記YIが1.3を超えると、優れた光学的透明性が発揮されないおそれがある。なお、YIは、例えば、高速積分球式分光透過率測定機(商品名DOT−3C:村上色彩技術研究所製)を用い、測定で得られる色の三刺激値(X、Y、Z)より、次式によって求めることができる。
【0061】
YI=[(1.28X−1.06Z)/Y]×100
【0062】
本発明の光学フィルムの厚み80μmにおけるb値(ハンターの表色系に準じた色相の尺度)は、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.0以下である。b値が1.5以上の場合、フィルムの着色により、優れた光学的透明性が発揮されないおそれがある。なお、b値は、例えば、光学フィルムサンプルを3cm角に裁断し、高速積分球式分光透過率測定機(商品名DOT−3C:村上色彩技術研究所製)を用いて色相を測定することができる。また、色相をハンターの表色系に準じてb値にて評価することができる。
【0063】
本発明の光学フィルムにおいては、面内位相差Δndは、好ましくは3.0nm以下、より好ましくは1.0nm以下である。上記面内位相差Δndが3.0nmを超えると、本発明の効果、特に、優れた光学的特性が発揮されないおそれがある。厚み方向位相差Rthは、好ましくは5.0nm以下、より好ましくは3.0nm以下である。上記厚み方向位相差Rthが5.0nmを超えると、本発明の効果、特に、優れた光学的特性が発揮されないおそれがある。本発明の光学フィルムが偏光子と液晶セルとの間に配置される場合には、上記位相差であることが好ましい。
【0064】
本発明の光学フィルムにおいては、透湿度が、好ましくは100g/m・24hr以下、より好ましくは60g/m・24hr以下である。上記透湿度が100g/m・24hrを超えると、耐湿性に劣るおそれがある。
【0065】
本発明の光学フィルムは、好ましくは、優れた機械的強度をも有する。引張強度は、MD方向において、好ましくは65N/mm以上、より好ましくは70N/mm以上、さらに好ましくは75N/mm以上、特に好ましくは80N/mm以上であり、TD方向において、好ましくは45N/mm以上、より好ましくは50N/mm以上であり、さらに好ましくは55N/mm以上、特に好ましくは60N/mm以上である。引張伸びは、MD方向において、好ましくは6.5%以上、より好ましくは7.0%以上、さらに好ましくは7.5%以上、特に好ましくは8.0%以上であり、TD方向において、好ましくは5.0%以上、より好ましくは5.5%以上、さらに好ましくは6.0%以上、特に好ましくは6.5%以上である。引張強度あるいは引張伸びが上記範囲を外れる場合は、優れた機械的強度が発揮されないおそれがある。
【0066】
本発明の光学フィルムは、光学的透明性を表すヘイズが、低ければ低いほど良く、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1%以下である。ヘイズが5%以下であると、フィルムに良好なクリヤー感を視覚的に与えることができ、さらに1.5%以下とすると、窓等の採光部材として使用した時でも、視認性と採光性がともに得られるため、また、表示装置の前面板として使用した時でも、表示内容が良好に視認できるため、工業的利用価値が高い。
【0067】
本発明の光学フィルムの厚みは、好ましくは10〜250μmであり、より好ましくは15〜200μmであり、さらに好ましくは30〜180μmであり、特に好ましくは40〜160μmである。本発明の光学フィルムの厚みが20μm以上であると、適度な強度、剛性を有し、ラミネートや印刷等の二次加工時に取扱性が良好となる。また引取り時の応力により発生する位相差も制御が容易で、安定かつ容易にフィルム製造を行うことが可能である。本発明の光学フィルムの厚みが200μm以下であると、フィルム巻き取りが容易になるほか、ライン速度、生産性、そしてコントロール性が容易になる。
【0068】
本発明の光学フィルムは、他の基材に積層して用いることができる。例えば、ガラス、ポリオレフィン樹脂、ハイバリア層となるエチレンビニリデン共重合体、ポリエステル等の基材に対して、接着性樹脂層を含めた多層押出成型や多層インフレーション成型によって、積層成形することもできる。熱融着性が高い場合には、接着層を省略することもある。
【0069】
本発明の光学フィルムは、偏光子保護フィルムとしての用途に適している。また、偏光子保護フィルムとしての用途以外にも、例えば、窓やカーポート屋根材等の建築用採光部材、窓等の車輌用採光部材、温室等の農業用採光部材、照明部材、前面フィルター等のディスプレイ部材等に積層して用いることができ、また、従来から(メタ)アクリル系樹脂フィルムが被覆されていた家電の筐体、車輌内装部材、内装用建築材料、壁紙、化粧板、玄関ドア、窓枠、巾木等にも積層して用いることができる。
【0070】
本発明における光学フィルムは、縦延伸および/または横延伸によって延伸されていても良い。
【0071】
上記延伸は、縦延伸のみによる延伸(自由端一軸延伸)でも良いし、横延伸のみによる延伸(固定端一軸延伸)でも良いが、縦延伸倍率が1.1〜3.0倍、横延伸倍率が1.1〜3.0倍の、逐次延伸または同時二軸延伸であることが好ましい。縦延伸のみによる延伸(自由端一軸延伸)や横延伸のみによる延伸(固定端一軸延伸)では、延伸方向にのみフィルム強度が上がり、延伸方向に対して直角方向には強度がアップせず、フィルム全体として十分なフィルム強度が得られないおそれがある。上記縦延伸倍率は、より好ましくは1.2〜2.5倍、さらに好ましくは1.3〜2.0倍である。上記横延伸倍率は、より好ましくは1.2〜2.5倍、さらに好ましくは1.4〜2.5倍である。縦延伸倍率、横延伸倍率が1.1倍未満の場合、延伸倍率が低すぎて、延伸の効果がほとんどないおそれがある。縦延伸倍率、横延伸倍率が3.0倍を超えると、フィルム端面の平滑性の問題により、延伸切れが生じやすい。
【0072】
上記延伸温度は、延伸させるフィルムのTg〜(Tg+30℃)が好ましい。上記延伸温度がTgより低いと、フィルムが破断してしまうおそれがある。上記延伸温度が(Tg+30℃)を超えると、フィルムが溶融し始めて通紙が困難になるおそれがある。
【0073】
本発明の光学フィルムは、縦延伸および/または横延伸によって延伸されてなることにより、優れた光学的特性を有するとともに、機械的強度にも優れ、生産性やリワーク性が向上する。延伸後の光学フィルムの厚みは、好ましくは10〜80μm、より好ましくは15〜60μmである。
【0074】
〔C.偏光板〕
本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムを偏光子保護フィルムとして含む。好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子と本発明の光学フィルムとを含む偏光板であって、該偏光子が接着剤層を介して該光学フィルムに接着されてなる。
【0075】
本発明の偏光板の好ましい実施形態の1つは、図1に示すように、偏光子31の一方の面が、接着剤層32および易接着層33を介して本発明の光学フィルム34に接着されてなり、偏光子31のもう一方の面が、接着剤層35を介して光学フィルム36に接着されてなる形態である。光学フィルム36は本発明の光学フィルムであってもよいし、別の任意の適切な光学フィルム(偏光子保護フィルム)であってもよい。
【0076】
上記ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性物質(代表的には、ヨウ素、二色性染料)で染色して一軸延伸したものが用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、好ましくは100〜5000、さらに好ましくは1400〜4000である。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、任意の適切な方法(例えば、樹脂を水または有機溶媒に溶解した溶液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法)で成形され得る。偏光子の厚みは、偏光板が用いられるLCDの目的や用途に応じて適宜設定され得るが、代表的には5〜80μmである。
【0077】
偏光子の製造方法としては、目的、使用材料および条件等に応じて任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、および乾燥工程からなる一連の製造工程に供する方法が採用される。乾燥工程を除く各処理工程においては、それぞれの工程に用いられる溶液を含む浴中にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより処理を行う。膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、および乾燥の各処理の順番、回数および実施の有無は、目的、使用材料および条件等に応じて適宜設定され得る。例えば、いくつかの処理を1つの工程で同時に行ってもよく、特定の処理を省略してもよい。より詳細には、例えば延伸処理は、染色処理の後に行ってもよく、染色処理の前に行ってもよく、膨潤処理、染色処理および架橋処理と同時に行ってもよい。また例えば、架橋処理を延伸処理の前後に行うことが、好適に採用され得る。また例えば、水洗処理は、すべての処理の後に行ってもよく、特定の処理の後のみに行ってもよい。
【0078】
本発明の偏光板においては、上記偏光子が接着剤層を介して本発明の光学フィルムに接着されてなる。
【0079】
本発明において、本発明の光学フィルムと偏光子との接着は、接着剤から形成される接着剤層を介して行われる。この接着剤層は、より強い接着性を発現するために、ポリビニルアルコール系接着剤から形成される層が好ましい。ポリビニルアルコール系接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤を含有する。
【0080】
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコール;などが挙げられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。
【0081】
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、接着性の点からは、平均重合度が好ましくは100〜3000、より好ましくは500〜3000であり、平均ケン化度が好ましくは85〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
【0082】
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂は、反応性の高い官能基を有するポリビニルアルコール系接着剤であり、偏光板の耐久性が向上する点で好ましい。
【0083】
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等が挙げられる。また、ポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
【0084】
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はない。0.1モル%未満では接着剤層の耐水性が不十分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜20モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると架橋剤との反応点が少なくなり、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
【0085】
上記架橋剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられているものを特に制限なく使用できる。架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。例えば、アルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類(なかでもヘキサメチレンジアミンが好ましい);イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ類;ホルムアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール等のジアルデヒド類;メチロールメラミン等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物;などが挙げられる。架橋剤としては、メラミン系架橋剤が好ましく、特にメチロールメラミンが好適である。
【0086】
上記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜35重量部、より好ましくは10〜25重量部である。一方、耐久性をより向上させるには、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することができる。特に、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合には、架橋剤の使用量を30重量部を超えて用いるのが好ましい。架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することにより、耐水性が向上する。
【0087】
なお、上記ポリビニルアルコール系接着剤には、さらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を配合することもできる。
【0088】
本発明の光学フィルムは、偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
【0089】
上記接着剤層の形成は、上記接着剤を本発明の光学フィルムのいずれかの側または両側、偏光子のいずれかの側または両側に塗布することにより行う。本発明の光学フィルムと偏光子とを貼り合せた後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着剤層を形成する。接着剤層を形成した後にこれを貼り合わせることもできる。偏光子と本発明の光学フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
【0090】
接着剤層の厚みは、乾燥後の厚みで厚くなりすぎると、本発明の光学フィルムの接着性の点で好ましくないことから、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
【0091】
偏光子への本発明の光学フィルムの貼り合わせは、偏光子の両面に、本発明の光学フィルムの一方の側で接着することができる。
【0092】
また、偏光子への本発明の光学フィルムの貼り合わせは、偏光子の片面に本発明の光学フィルムの一方の側で接着し、もう一方の片面にセルロース系樹脂を貼り合わせることができる。
【0093】
上記セルロール系樹脂は特には限定されないが、トリアセチルセルロールが透明性、接着性の点で好ましい。セルロース系樹脂の厚さは、好ましくは30〜100μm、より好ましくは40〜80μmである。厚さが30μmより薄いとフィルム強度が低下し作業性が劣り、100μmより厚いと耐久性において光透過率の低下が著しくなる。
【0094】
本発明の偏光板は、最外層の少なくとも一方として粘着剤層を有していても良い(このような偏光板を粘着型偏光板と称することがある)。特に好ましい形態として、本発明の光学フィルムの偏光子が接着されていない側に、他の光学フィルムや液晶セル等の他部材と接着するための粘着剤層を設けることができる。
【0095】
上記粘着剤層を形成する粘着剤は、特に限定されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用い得る。特に、炭素数が4〜12のアクリル系ポリマーよりなるアクリル系粘着剤が好ましい。
【0096】
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が好ましい。
【0097】
上記粘着剤層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着剤層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。
【0098】
また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などであってもよい。
【0099】
上記粘着剤層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着剤層を形成してそれを偏光子保護フィルム面に移着する方式などがあげられる。
【0100】
粘着剤層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板の片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板の表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着剤層とすることもできる。
【0101】
粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、好ましくは1〜40μmであり、より好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは10〜25μmである。1μmより薄いと耐久性が悪くなり、また、40μmより厚くなると発泡などによる浮きや剥がれが生じやすく外観不良となる。
【0102】
本発明の光学フィルムと上記粘着剤層との間の密着性を向上させるために、その層間にアンカー層を設けることも可能である。
【0103】
上記アンカー層としては、好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、分子中にアミノ基を含むポリマー類から選ばれるアンカー層が用いられ、特に好ましくは分子中にアミノ基を含んだポリマー類が使用される。分子中にアミノ基を含んだポリマーは、分子中のアミノ基が、粘着剤中のカルボキシル基や、導電性ポリマー中の極性基と反応もしくはイオン性相互作用などの相互作用を示すため、良好な密着性が確保される。
【0104】
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、前述アクリル系粘着剤の共重合モノマーで示したジメチルアミノエチルアクリレート等の含アミノ基含有モノマーの重合体などを挙げることができる。
【0105】
上記アンカー層に帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を添加することもできる。
【0106】
本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や光学フィルム(偏光子保護フィルム等)、また粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0107】
本発明の偏光板は、液晶セルの視認側、バックライト側のどちらか片側に設けても、両側に設けてもよく、限定されない。
【0108】
〔D.画像表示装置〕
次に、本発明の画像表示装置について説明する。本発明の画像表示装置は本発明の偏光板を少なくとも1枚含む。ここでは一例として液晶表示装置について説明するが、本発明が偏光板を必要とするあらゆる表示装置に適用され得ることはいうまでもない。本発明の偏光板が適用可能な画像表示装置の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)のような自発光型表示装置が挙げられる。図2は、本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置の概略断面図である。図示例では透過型液晶表示装置について説明するが、本発明が反射型液晶表示装置等にも適用されることはいうまでもない。
【0109】
液晶表示装置100は、液晶セル10と、液晶セル10を挟んで配された位相差フィルム20、20’と、位相差フィルム20、20’の外側に配された偏光板30、30’と、導光板40と、光源50と、リフレクター60とを備える。偏光板30、30’は、その偏光軸が互いに直交するようにして配置されている。液晶セル10は、一対のガラス基板11、11’と、該基板間に配された表示媒体としての液晶層12とを有する。一方の基板11には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線とが設けられている(いずれも図示せず)。他方のガラス基板11’には、カラーフィルターを構成するカラー層と遮光層(ブラックマトリックス層)とが設けられている(いずれも図示せず)。基板11、11’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー13によって制御されている。本発明の液晶表示装置においては、偏光板30、30’の少なくとも1つとして、上記記載の本発明の偏光板が採用される。
【0110】
例えば、TN方式の場合には、このような液晶表示装置100は、電圧無印加時には液晶層12の液晶分子が、偏光軸を90度ずらすような状態で配列している。そのような状態においては、偏光板によって一方向の光のみが透過した入射光は、液晶分子によって90度ねじられる。上記のように、偏光板はその偏光軸が互いに直交するようにして配置されているので、他方の偏光板に到達した光(偏光)は、当該偏光板を透過する。したがって、電圧無印加時には、液晶表示装置100は白表示を行う(ノーマリホワイト方式)。一方、このような液晶表示装置100に電圧を印加すると、液晶層12内の液晶分子の配列が変化する。その結果、他方の偏光板に到達した光(偏光)は、当該偏光板を透過できず、黒表示となる。このような表示の切り替えを、アクティブ素子を用いて画素ごとに行うことにより、画像が形成される。
【実施例】
【0111】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、特に示さない限り、実施例、比較例中のパーセントは重量基準である。評価は以下のようにして行った。
【0112】
〈300℃で20分間の加熱における重量減少〉
300℃で20分間の加熱における重量減少は、窒素気流中で300℃で20分間加熱した際の重量減少率で評価した。試料約5〜10mgを用い、熱重量分析装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、TG/DTA6200)で窒素気流中において測定した。10℃/分で300℃まで昇温させた後、300℃で20分間保持した。処理前の重量=M0、処理後の重量=M1、重量減少率(%)=Mとした時、次式で計算した。
【0113】
M=(M1−M0)/M0
【0114】
〈UV吸収能の評価方法〉
得られた光学フィルムについて、日立ハイテクノロジーズ社製の日立分光光度計U−4100を用いて、フィルム厚さ80μmで380nmの光線透過率を測定した。
【0115】
〈ロール付着物発生の有無の評価〉
押出し成型後の巻取りで得られた光学フィルムのキャストロールの表面が白く濁っている場合にはロール付着物発生有りと判断し、白く濁っていなければロール付着物発生無しと判断した。
○:ロール付着物発生無し
×:ロール付着物発生有り
【0116】
〔参考例1〕:偏光子の製造
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、5重量%(重量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/10)のヨウ素水溶液中で染色した。次いで、3重量%のホウ酸および2重量%ヨウ化カリウムを含む水溶液に浸漬し、さらに4重量%のホウ酸および3重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液中で5.5倍まで延伸した後、5重量%のヨウ化カリウム水溶液に浸漬した。その後、40℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ30μmの偏光子を得た。
【0117】
〔実施例1〕
ポリメチルメタクリレート25.9kgに、スチレン・アクリルニトリル共重合体(スチレン単量体単位を76重量%含む)3.0kg、紫外線吸収剤(ADEKA社製、アデカスタブLA−31、300℃で20分間の加熱による重量減少=2.8%)1.05kgを添加し、230℃で2軸押出機を用いて混練後、270℃で単軸押出機を用いて押出し成型を行い、ロールで巻き取った。得られた光学フィルムの380nmの光線透過率、および、得られた光学フィルムのキャストロールにおけるロール付着物発生の有無を評価した。結果を表1に示した。
【0118】
〔実施例2〕
ポリメチルメタクリレート26.4kgに、スチレン・アクリルニトリル共重合体(スチレン単量体単位を76重量%含む)3.0kg、紫外線吸収剤(ADEKA社製、アデカスタブLA−31、300℃で20分間の加熱による重量減少=2.8%)0.6kgを添加し、230℃で2軸押出機を用いて混練後、270℃で単軸押出機を用いて押出し成型を行い、ロールで巻き取った。得られた光学フィルムの380nmの光線透過率、および、得られた光学フィルムのキャストロールにおけるロール付着物発生の有無を評価した。結果を表1に示した。
【0119】
〔実施例3〕
ポリメチルメタクリレート24.0kgに、スチレン・アクリルニトリル共重合体(スチレン単量体単位を76重量%含む)4.5kg、紫外線吸収剤(ADEKA社製、アデカスタブLA−31、300℃で20分間の加熱による重量減少=2.8%)1.5kgを添加し、230℃で2軸押出機を用いて混練後、270℃で単軸押出機を用いて押出し成型を行い、ロールで巻き取った。得られた光学フィルムの380nmの光線透過率、および、得られた光学フィルムのキャストロールにおけるロール付着物発生の有無を評価した。結果を表1に示した。
【0120】
〔実施例4〕
ポリメチルメタクリレート52.8kgに、スチレン・アクリルニトリル共重合体(スチレン単量体単位を76重量%含む)6.0kg、紫外線吸収剤(ADEKA社製、アデカスタブLA−31、300℃で20分間の加熱による重量減少=2.8%)2.4kgを添加し、230℃で2軸押出機を用いて混練後、270℃で単軸押出機を用いて押出し成型を行い、ロールで巻き取った。得られた光学フィルムの380nmの光線透過率、および、得られた光学フィルムのキャストロールにおけるロール付着物発生の有無を評価した。結果を表1に示した。
【0121】
〔実施例5〕
特開2005−146084号公報に記載されているラクトン環構造を有するアクリル系樹脂52.8kgに、スチレン・アクリルニトリル共重合体(スチレン単量体単位を76重量%含む)6.0kg、紫外線吸収剤(ADEKA社製、アデカスタブLA−31、300℃で20分間の加熱による重量減少=2.8%)1.2kgを添加し、230℃で2軸押出機を用いて混練後、270℃で単軸押出機を用いて押出し成型を行い、ロールで巻き取った。得られた光学フィルムの380nmの光線透過率、および、得られた光学フィルムのキャストロールにおけるロール付着物発生の有無を評価した。結果を表1に示した。
【0122】
〔比較例1〕
ポリメチルメタクリレート29.4kgに、紫外線吸収剤(ADEKA社製、アデカスタブLA−31、300℃で20分間の加熱による重量減少=2.8%)0.6kgを添加し、230℃で2軸押出機を用いて混練後、270℃で単軸押出機を用いて押出し成型を行い、ロールで巻き取った。得られた光学フィルムの380nmの光線透過率、および、得られた光学フィルムのキャストロールにおけるロール付着物発生の有無を評価した。結果を表1に示した。
【0123】
【表1】

【0124】
〔実施例6〕
(接着剤)
アセトアセチル基変性したポリビニルアルコール樹脂100重量部(アセチル化度13%)に対してメチロールメラミン20重量部を含む水溶液を、濃度0.5重量%になるように調整したポリビニルアルコール系接着剤水溶液を調整した。
【0125】
(偏光板の作製)
参考例1で得られた偏光子の両面に実施例1で得られた光学フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、70℃で10分間乾燥させて偏光板を得た。
【0126】
(粘着剤)
ベースポリマーとして、ブチルアクリレート:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルアクリレート=100:5:0.1(重量比)の共重合体からなる重量平均分子量200万のアクリル系ポリマーを含有する溶液(固形分30%)を用いた。上記アクリル系ポリマー溶液にイソシアネート系多官能性化合物である日本ポリウレタン社製コロネートLをポリマー固形分100部に対して4部、および添加剤(KBM403、信越シリコーン製)を0.5部、粘度調整のための溶剤(酢酸エチル)を加え、粘着剤溶液(固形分12%)を調製した。当該粘着剤溶液を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、離型フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材:ダイヤホイルMRF38、三菱化学ポリエステル製)上に塗布した後、熱風循環式オーブンで乾燥して、粘着剤層を形成した。
【0127】
(偏光板アンカー層)
ポリアクリル酸エステルのポリエチレンイミン付加物(日本触媒社製、商品名ポリメントNK380)をメチルイソブチルケトンで50倍に希釈した。これを偏光板の片面に、ワイヤーバー(#5)を用いて乾燥後の厚みが50nmとなるように塗布乾燥した。
【0128】
(粘着型偏光板の作製)
上記偏光板のアンカー層に、上記粘着剤層を形成した離型フィルムを貼り合わせ、粘着剤型偏光板を作製した。
【0129】
(偏光板の評価)
得られた偏光板における外観を評価した結果、欠点がなく良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の製造方法で得られる光学フィルムおよび偏光板は、各種画像表示装置(液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等)に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の偏光板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0132】
10 液晶セル
11、11´ ガラス基板
12 液晶層
13 スペーサー
20、20´ 位相差フィルム
30、30´ 偏光板
31 偏光子
32 接着剤層
33 易接着層
34 光学フィルム
35 接着剤層
36 光学フィルム
40 導光板
50 光源
60 リフレクター
100 液晶表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分と、該樹脂成分100重量部に対して0.5〜5.5重量部の300℃で20分間の加熱における重量減少が10%以下である紫外線吸収剤とを含有する成型材料を、押出し成型にて成型して、光学フィルムを製造する方法であって、
該樹脂成分が、0.1〜20重量%のスチレン系重合体を含有する、
光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記スチレン系重合体が、スチレン単量体単位を50〜90重量%含む共重合体である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記スチレン系重合体が、スチレン・アクリロニトリル共重合体である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記押出し成型時の成型材料の温度が250℃以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤が、トリアゾール系紫外線吸収剤およびトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1から4までのいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載の製造方法により得られる、光学フィルム。
【請求項7】
請求項6に記載の光学フィルムを偏光子保護フィルムとして含む、偏光板。
【請求項8】
請求項7に記載の偏光板を少なくとも1枚含む、画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−158295(P2008−158295A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347455(P2006−347455)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】