説明

光学フィルムの製造方法、光学フィルム並びに画像表示装置

【課題】耐熱性、力学特性に優れる光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス転移温度が150℃以上のポリマーからなるフィルムを、1軸または2軸の方向に延伸した後、または、延伸しながら、前記ポリマーの架橋反応を行うことを特徴とする光学フィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱性、光学特性、および力学特性に優れた光学フィルムの製造方法
に関するものであり、該製造方法によって形成された光学フィルム、並びに、これを用い表示品位に優れた画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子、有機EL素子等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに置き換えることが検討されている。特に、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置として、特に要望が高い。
このプラスチック基板には導電性を必要とするため、プラスチックフイルム上に、酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を表示素子の電極基板として用いることが検討されている。
この目的に使用されるプラスチックとしては耐熱性の非晶ポリマー、例えば変性ポリカーボネート(変性PC)(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン(PES)(例えば、特許文献2参照)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、特許文献3参照)に透明導電層、ガスバリア層を積層したものが知られている。
【0003】
しかしこのような耐熱性プラスチックを用いてもプラスチック基板として十分な耐熱性が得られなかった。すなわちこれら耐熱性プラスチックを用いたプラスチック基板に導電層を形成した後、配向膜などの付与のため150℃以上の温度にさらすと導電性やガスバリア性が大きく低下するという問題があった。また、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する際には、更なる耐熱性が要求される。
【0004】
特許文献4には、SiH4を含むガスをプラズマ分解することにより300℃もしくはそれ以下の温度で多結晶シリコン膜を形成する方法が記載されている。また、特許文献5にはエネルギービームを照射して高分子基板上にアモルファスシリコンと多結晶シリコンとが混合された半導体層を形成する方法が記載されている。特許文献6には、熱的バッファ層を設け、パルスレーザビームを照射してプラスチック基板上に多結晶シリコン半導体層を形成する方法が記載されている。
これらのように300℃以下でTFT用多結晶シリコン膜を形成する方法は、種々提案されているが、構成や装置が複雑なものであり高コストとなり、300℃以上の耐熱性が、プラスチック基板に求められている。
【0005】
特許文献7および特許文献8には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、「ビスフェノールフルオレン」とも称する)とイソフタル酸およびテレフタル酸とから誘導されるポリアリレートフィルムに関する記載がある。また、特許文献9には、アルキル置換されたビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸とから誘導されるポリアリレートフィルムに関する記載がある。これらのアルキル置換または無置換のビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリアリレートは安価な原料から合成可能であり、かつガラス転移温度(Tg)300℃付近以上の透明で柔軟なフィルムとなる。しかしながらTFT設置工程において基材に望まれる低い線熱膨張特性の要求に対しては不満足なものであり改良が必要であった。
【0006】
特許文献10等には架橋基を含有するポリマーについて記載されているが、このようなポリマーの架橋反応を行うのみでは線熱膨張特性は改良できないことが判明した。また、特許文献11〜13には、高強度化、低膨潤性付与等の目的からポリマーフィルムを延伸した後に架橋することによる技術が開示されているが、これらのポリマーフィルムは、ポリエチレンまたはポリプロピレン系のフィルムであり、ガラス転移温度が0℃以下と低いため、本発明の目的とする光学フィルム用途としては利用できない。
【特許文献1】特開2000−227603号公報(全頁)
【特許文献2】特開2000−284717号公報(全頁)
【特許文献3】特開2001−150584号公報(全頁)
【特許文献4】特開平7−81919号公報(全頁)
【特許文献5】特表平10−512104号公報(全頁)
【特許文献6】特開平11−102867号公報(全頁)
【特許文献7】特開昭57−192432号公報(全頁)
【特許文献8】特開平3−28222号公報(全頁)
【特許文献9】国際公開第99/18141号パンフレット(全頁)
【特許文献10】特開平10−77338号公報(全頁)
【特許文献11】特開平5−135992号公報
【特許文献12】特開平8−135992号公報
【特許文献13】特開平9−86562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする第1の課題は、耐熱性に優れ線熱膨張の少ない光学フィルムの製造方法を提供することである。また、本発明の第2の課題は、前記光学フィルムの製造方法によって作製された光学フィルムを提供することである。更に、本発明の第3の課題は、前記光学フィルムを用い、表示品位に優れた画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリマーフィルムを延伸した状態で架橋反応により固定することで、耐熱性が向上するとともに低い線熱膨張を達成できかつ加熱または経時によっても低い線熱膨張係数を維持できることを見出し本発明をなすに至った。
前記課題は、以下の(1)〜(13)の本発明によって達成された。
(1) ガラス転移温度が150℃以上のポリマーからなるフィルムを、1軸または2軸の方向に延伸した後、または、延伸しながら、前記ポリマーの架橋反応を行うことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0009】
(2) 前記架橋反応が活性エネルギー線を作用させて行なわれることを特徴とする(1)に記載の光学フィルムの製造方法。
【0010】
(3) 前記延伸の面積倍率が1.1〜25倍であることを特徴とする(1または2)に記載の光学フィルムの製造方法。
【0011】
(4) 前記ポリマーが下記一般式(1)または(2)で表わされる部分構造を含む繰り返し単位を少なくとも1種有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0012】
【化1】

[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環αは、スピロ結合により連結されている。]
【化2】

[一般式(2)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。]
【0013】
(5) 前記ポリマーがポリアリレートまたはポリウレタンであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0014】
(6) 前記ポリマーがアリル基を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0015】
(7) 全光線透過率が80%以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0016】
(8) ガラス転移温度が250℃以上であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0017】
(9) 0〜200℃における線熱膨張係数が−50〜50ppm/℃の範囲内であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0018】
(10) (1)〜(9)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする光学フィルム。
【0019】
(11) 少なくとも片面にガスバリア層が積層されていることを特徴とする(10)に記載の光学フィルム。
【0020】
(12) 少なくとも片面に透明導電層が積層されていることを特徴とする(10)または(11)に記載の光学フィルム。
【0021】
(13) (10)〜(12)のいずれかに記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。
【発明の実施するための最良の形態】
【0022】
《光学フィルムの製造方法》
以下に本発明の光学フィルムの製造方法について詳しく説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0023】
本発明の光学フィルムの製造方法は、ガラス転移温度が150℃以上のポリマーからなるフィルムを、1軸または2軸の方向に延伸した後、または、延伸しながら、前記ポリマーの架橋反応を行うことを特徴とする。
また、本発明の光学フィルムは、本発明の光学フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴し、本発明の光学フィルムの製造方法によれば、透明性、耐熱性に優れ線熱膨張の少ない光学フィルムを製造することができる。
【0024】
<ポリマー>
本発明の光学フィルムの製造方法に用いられるポリマーは、架橋前のガラス転移温度が150℃以上であり、より好ましくは160〜350℃であり、特に好ましくは170〜320℃である。架橋反応によってガラス転移温度は向上するが、前記ポリマーの架橋前のガラス転移温度が150℃未満であると、架橋後の耐熱性も十分なレベルにならない。また、架橋前のガラス転移温度が高すぎると延伸が難しくなる場合がある。架橋後のガラス転移温度は250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることが特に好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法に用いられポリマーは前記ガラス転移温度を有し、架橋反応性のあるものであれば、特に構造上の制約はなく、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができるが、好ましくは、ポリアリレートまたはポリウレタンであり、より好ましくはポリアリレートである。
【0025】
ポリマー中に含まれる架橋反応性基としては、ポリマー鎖間を化学結合により連結して、3次元網目構造を形成しうるものであれば特に制限されない。
例えば、アルキニル基(例えばエチニル基、フェニルエチニル基、等)、アルケニル基(例えばアリル基、マレイミド基、シンナモイル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基等)、開環重合性基(例えばエポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基等)、反応性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アセトキシシリル基、ヒドロキシシリル基等)、アラルキル基(ベンジル基)等が例として挙げられるが、好ましくはアルキニル基またはアルケニル基であり、特に好ましくはアリル基である。
【0026】
これらの、架橋反応性基は、ポリマーの側鎖に置換されていても、主鎖に配置されていても、末端に置換されていてもよく、複数置換されていてもよい。ポリマー鎖中に複数の架橋反応性基が置換されている場合、これらの架橋反応性基は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明においては特にポリマーの側鎖に架橋反応性基が置換された形態が好ましい。
側鎖に架橋反応性基を有するポリマーは、例えば、架橋反応性基含有モノマー(例えば、アルキニル基含有ジオール,アルキニル基含有ジカルボン酸、アルキニル基含有ジアミン等)を用いて重縮合を行う方法等によって合成することができる。また、末端に架橋反応性基を有するポリマーは、架橋反応性基含有末端封止剤(例えば、アルキニル基含有モノアルコール、アルキニル基含有モノカルボン酸、アルキニル基含有モノアミン等)の存在下で重合を行う方法等によって合成することができる。
【0027】
前記架橋反応性基の導入量を増やすことにより、樹脂の耐熱性および力学特性を向上させることができる反面、架橋反応性基の導入量が多すぎると、硬化収縮が問題になる場合がある。架橋反応性基の最適な導入量は樹脂の構造によって異なるが、一般的にポリマー中に導入される架橋反応性基の量は、10-4mmol/g〜10mmol/gであることが好ましく、10-3mmol/g〜2mmol/gであることがより好ましく10-2mmol/g〜1mmol/gであることが特に好ましい。
【0028】
本発明の光学フィルムに用いられるポリマーは下記一般式(1)で表わされるスピロ構造または下記一般式(2)で表わされるカルド構造を有していることが好ましい。これらのポリマーは高耐熱性、高弾性率かつ高い引張り破壊応力を有する化合物であり、製造プロセスにおいて種々の加熱操作が要求され、かつ屈曲させても破壊しにくい性能が要求される有機EL素子等の基板材料として好適である。
【0029】
【化3】

[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環αは、スピロ結合により連結されている。]
【0030】
【化4】

[一般式(2)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。]
【0031】
一般式(1)における環αの例としては、インダン環、クロマン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、インドリン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ジオキサン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
一般式(2)における環βの例としては、フルオレン環、インダンジオン環、インダノン環、インデン環、インダン環、テトラロン環、アントロン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
一般式(2)における環γとしては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ピリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、インダン環、クロマン環、インドール環、α-ピロン環等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)で表されるスピロ構造を有する樹脂の好ましい例としては、下記一般式(3)で表されるスピロビインダン構造を繰り返し単位中に含むポリマー、下記一般式(4)で表されるスピロビクロマン構造を繰り返し単位中に含むポリマー、下記一般式(5)で表されるスピロビベンゾフラン構造を繰り返し単位中に含むポリマーを挙げることができる。また、一般式(2)で表されるカルド構造を有する樹脂の好ましい例としては、下記一般式(6)で表されるフルオレン構造を繰り返し単位中に含むポリマーを挙げることができる。
【0033】
【化5】

【0034】
一般式(3)中、R31、R32はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R33はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。好ましいR31、R32、R33で表される置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基である。R31、R32のより好ましい例は、水素原子、メチル基、フェニル基であり、R33のより好ましい例は塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、アリル基、エチニル基である。
【0035】
【化6】

【0036】
一般式(4)中、R41はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R42はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。R41、R42の好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基である。R41のより好ましい例は水素原子、メチル基、フェニル基であり、R42のより好ましい例は塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、アリル基、エチニル基である。
【0037】
【化7】

【0038】
一般式(5)中、R51はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R52はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。R51、R52の好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基である。R51のより好ましい例は水素原子、メチル基、フェニル基であり、R52のより好ましい例は塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、アリル基、エチニル基である。
【0039】
【化8】

【0040】
一般式(6)中、R61、R62はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。jおよびkは0〜4の整数を表す。R61、R62の好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基である。R61、R62のより好ましい例は塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、アリル基、エチニル基である。
【0041】
前記一般式(1)または(2)で表される構造を繰り返し単位中に含むポリマーとしては一般式(1)または(2)で表される構造を有するビスフェノール化合物から誘導されるポリアリレートまたはポリウレタンであることが好ましい。
【0042】
以下に本発明の光学フィルムの製造に有用なポリマー(架橋反応性基含有ポリマー)の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。これらのポリマーのTgはすべて150℃以上である。
【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
【化11】

【0046】
【化12】

【0047】
【化13】

【0048】
【化14】

【0049】
【化15】

【0050】
【化16】

【0051】
本発明に用いることのできる架橋反応性ポリマーは、単独で用いてもよく、複数種混合して用いてもよい。また、ホモポリマーであってもよく、複数種構造を組み合わせたコポリマーであってもよい。
【0052】
本発明に用いられる前記ポリマーの好ましい分子量は通常重量平均分子量で1000〜50万程度であり、より好ましくは5千〜30万、特に好ましくは1万〜20万である。分子量が低すぎる場合、フィルム成形が難しくなったり、力学特性が低下することがある。分子量が高すぎる場合、合成上分子量のコントロールが難しかったり、溶液の粘度が高すぎて取扱いが難しくなることがある。なお、分子量は対応する粘度を目安にすることもできる。
【0053】
本発明に用いられるポリマーがポリアリレート場合は、ビスフェノール化合物とジカルボン酸もしくはこれらの誘導体とを重縮合させて得ることができる。この際、架橋反応性基を有するビスフェノールまたはジカルボン酸もしくはこれらの誘導体を用いるか、或いは、架橋反応性基含有末端封止剤の共存下で重縮合反応を行なうことが好ましい。
【0054】
前記重縮合方法としては、ジカルボン酸クロライドとビスフェノールとを有機塩基の存在下、ポリマーが可溶となる有機溶媒系で反応させる脱塩酸均一重合法;ジカルボン酸クロライドとビスフェノールとをアルカリ水溶液と水非混和性有機溶媒との2相系で反応させる界面重縮合法などの公知の方法を利用することができる。
【0055】
本発明で有用なポリアリレートは前記いずれの合成法によっても合成することができるが、特に界面重縮合法が簡便で好ましい。前記界面重縮合反応においては、アルカリ水溶液に溶解させたビスフェノール化合物と水非混和性有機溶媒(代表的にはジクロロメタンなど)に溶解させたジカルボン酸クロライドとを短時間で混合する方法が一般的であるが、ビスフェノール化合物のアルカリ水溶液に対する溶解度が低い場合がある。また、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドのように水非混和性有機溶媒に対する溶解度が低いジカルボンクロライドにおいて、公知の方法ではポリエステルを合成できない場合がある。この場合、予め水、水非混和性有機溶媒、ビスフェノール化合物、ジカルボン酸クロライドをスラリー状混合撹拌しておき、高濃度のアルカリ水溶液を徐々に添加していく方法が高分子量化に有効である。
【0056】
本発明に有用なポリアリレートの分子量を調節する方法としては、上述の製造方法によらず、重合時に一官能の物質を分子量調節剤として添加して行うことができる。ここでいう分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールなどの一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどの一価酸クロライド類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの一価のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸などの一価のカルボン酸などあるいは4−エチニルフェノール、アリルアルコール等の架橋反応性基含有末端封止剤を用いることができる。
【0057】
本発明に有用なポリアリレートのカルボキシル価は300μmol/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは30μmol/g以下であり、特に好ましくは10μmol/g以下である。カルボキシル価が高すぎると、耐アーク放電性や誘電率など電気特性に影響を与えたり、溶剤に溶解して調製したポリマー溶液の保存安定性にも影響したり、溶液キャスト法により得られるキャストフィルムの表面特性に影響を与える場合がある。樹脂のカルボキシル価は、電位差滴定装置を利用した中和滴定など公知の方法で測定することができる。
【0058】
本発明に有用なポリウレタンも公知の製造法に従って合成することができる。例えば、ビスフェノール化合物とジイソシアネート化合物との重付加法、ビスフェノール化合物とジカルバミン酸クロライドとの重縮合法が好ましい。前記ジカルバミン酸クロライドはジアミン化合物にホスゲンを作用させて合成することができ、ジイソシアネート化合物はジカルバミン酸クロライドの脱塩化水素反応によって合成することができる。
本発明では、架橋反応性基を有するビスフェノール、ジイソシアネートまたはジカルバミン酸クロライドを用いるか、上述の架橋反応性基含有末端封止剤の共存下で重合反応を行なうことが好ましい。
【0059】
本発明に用いられる前記ポリマー中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、50ppm以下であることが好ましく、特に好ましくは10ppm以下である。残留アルカリ金属量およびハロゲン量が高すぎると、上述の電気特性が低下する傾向にあり、さらにフィルムの表面特性にも悪影響を与える場合がある。また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合もあるので、好ましくない。ポリマー中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、イオンクロマトグラフ分析法、原子吸光法、プラズマ発光分光分析法など公知の方法を利用して定量することができる。
【0060】
また、本発明に用いられる前記ポリマー中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒の量は200ppm未満であることが好ましく、より好ましくは100ppm未満である。残留する触媒量が高すぎると上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与える場合がある。また、導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合もあるので、好ましくない。ポリマー中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒はHPLC、ガスクロマトグラフ法などを利用して定量できる。
【0061】
さらに本発明のポリマー中に残留するフェノールモノマー、ジカルボン酸、ジカルボン酸クロライド、ジアミン、ジイソシアネート等のモノマー由来の残存成分の量は3000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。残留するモノマー成分の量が多すぎると上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与える場合がある。また、導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合もある。例えば、フィルム上に透明導電膜を形成する際、成膜時の加熱やプラズマの影響により、残留するモノマー成分由来のガスが発生したり、熱分解等が生じることにより、透明導電膜中に結晶粒塊が生じたり、また「抜け」と呼ばれるようなコーティングされない部分が生じ、透明導電膜の低抵抗化が阻害されるなどの悪影響を及ぼす場合があり、好ましくない。ポリマーおよびそのフィルム中に残留するモノマー量は、HPLCや核磁気共鳴法など公知の方法で分析することができる。
【0062】
本発明においては前記ポリマーに加えて、他の硬化性樹脂を添加してもよい。前記硬化性樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。
前記熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。その他、架橋方法としては共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。ただし、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製「B−882N」、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネート2513」(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製「サイメル303」(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
【0063】
【化17】

【0064】
前記活性エネルギー線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂、カチオン硬化性樹脂に大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。
本発明におけるポリマーには、活性エネルギー線の作用によってこれらの化合物の重合を開始するために後述するラジカル反応開始剤を添加してもよい。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。
カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として活性エネルギー線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、活性エネルギー線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
【0065】
本発明の光学フィルムには、上述のように架橋反応を促進するために熱または活性エネルギー線の作用によって、ラジカルまたは酸などの反応開始剤を発生する化合物を添加してもよい。これらの化合物は、架橋反応性基の種類、または与えられるエネルギーの種類に応じて適宜選択することができる。
【0066】
熱の作用によりラジカルを発生する化合物としては、有機もしくは無機過酸化物、有機アゾおよびジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシドが挙げられ、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。また、有機アゾ化合物としては、2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等が挙げられ、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
【0067】
活性エネルギー線の作用によりラジカルを発生する化合物としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。これらの一部について下記に例示する。
【0068】
前記アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。
前記ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
前記ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。
前記ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの活性エネルギー線の作用によってラジカルを発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
【0069】
熱または活性エネルギー線の作用によってラジカル重合を開始する化合物を添加する場合、その添加量としては、一般的には光学フィルム中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%の場合である。
【0070】
熱の作用によって酸を発生する化合物としては、トルエンスルホン酸シクロへキシルエステル、トルエンスルホン酸イソプロピルエステル等の加熱により分解してプロトン酸を発生する化合物、あるいはトルエンスルホンアンモニウム、蓚酸アンモニウム等の揮酸性塩基と酸からなる塩などが挙げられる。
【0071】
活性エネルギー線の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号公報等に種々の例が記載されており、これら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO3-(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6-、SbF6-、PF6-、BF4-等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。
これらの活性エネルギー線の作用により、酸を発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
【0072】
熱または活性エネルギー線の作用によって酸を発生する化合物の添加量もラジカル発生剤と同様に、一般的には光学フィルムの全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%の場合である。
【0073】
さらに、本発明の光学フィルムには必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、および潤滑剤などの樹脂改質剤を添加してもよい。
【0074】
<光学フィルムの形成>
本発明の光学フィルムの製造方法においては、前記ポリマーをまずフィルムに成型する。次に得られたフィルムを1軸または2軸の方向に延伸した語、または、延伸しながら、活性エネルギー線あるいは熱等のエネルギーを加えてポリマーの架橋反応を行い、延伸状態を固定する。
本発明のポリマーをフィルム形状に成形する方法としては公知の方法が採用できるが、溶液流延法が好ましい方法として挙げられる。溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号明細書、米国特許2367603号明細書、米国特許2492078号明細書、米国特許2492977号明細書、米国特許2492978号明細書、米国特許2607704号明細書、米国特許2739069号明細書、米国特許2739070号明細書、英国特許640731号明細書、英国特許736892号明細書、特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報、特開昭62−115035号公報等に記載がある。溶液流延法にて製造する製造装置の例としては特開2002−189126号公報、段落[0061]〜[0068]に記載の製造装置、図1、図2などが例として挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない
【0075】
前記溶液流延法においては、前記ポリマーを溶媒に溶解する。使用する溶媒は前記ポリマーを溶解するものであればいずれの溶媒を用いても構わないが、特に25℃において固形分濃度10質量%以上溶解できる溶媒が好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは150℃以下のものである。沸点が高い場合、溶媒の乾燥が不十分となり、フィルム中に残存する恐れがある。また、本発明に用いられるポリマーの溶解性を損なわない範囲で貧溶媒を混合することも可能で、この場合、溶液流延後の剥ぎ取りや乾燥速度の観点で有利になる場合がある。
【0076】
本発明に用いることができる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、溶媒は2種以上を混合して用いてもよく、乾燥性と溶解性との両立の観点からむしろ混合溶媒が好ましい。また、混合溶媒とすることで、本発明の光学フィルムの透明性を向上させることができる場合もあり好ましい。
【0077】
溶液流延に用いる溶液中のポリマー濃度は5〜60質量%程度であり、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。ポリマーの濃度が低すぎると粘度が低く厚さの調節が困難となり、高すぎると製膜性が悪くムラが大きくなる。また、溶液流延前に必要に応じてろ過することで本発明の光学フィルムの透過率やフィルム内の不純物を低減させることが可能となる。
【0078】
溶液流延する方法は特に限定されないが、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターブレード、ロールコート、ダイコート等を用いて平板、またはロール上に流延することができる。
【0079】
溶媒を乾燥する温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、二段階に分けて乾燥することが好ましい。これによって、乾燥によるムラの少ないポリマーフィルムを得ることができる。第一段階としては30〜100℃で溶媒の質量濃度が、好ましくは10%以下になるまで、より好ましくは5%以下になるまで乾燥する。次いで、第二段階としては、平板またはロールからフィルムを剥がし、好ましくは60℃以上、更に好ましくはポリマーのガラス転移温度以下の範囲で乾燥する。
平板またはロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、いったん冷却してから剥がしてもよい。
【0080】
本発明の光学フィルムは加熱乾燥が不足すれば残留溶媒量が多く、また極度に加熱しすぎるとポリマーの熱分解を引き起こし、残留するモノマー量が多くなる。さらに急激な加熱乾燥は含有溶媒の急速な気化を生じ、フィルムに気泡等の欠陥を生じさせる。本発明の光学フィルム中に残留する溶媒量は2000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。残留する溶媒量が多すぎると、フィルム表面の特性が悪化し表面処理等に悪影響を及ぼしたり、導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合があるので、好ましくない。本発明のポリマーフィルム中に残留する溶媒量はガスクロマトグラフ法など公知の方法を利用して定量することができる。
【0081】
本発明の光学フィルムは回転ドラムもしくはバンド上への溶液流延、剥ぎ取り、乾燥を連続的に行い、ロール状に巻取り製造する方法が好ましい。このように、本発明の光学フィルムを機械的に搬送する場合など、フィルムの力学強度が高いことが好ましい。好ましい力学強度は、搬送装置にもより一概に言えないが、目安としてフィルムの引張試験から得られる破断応力、破断伸度を用いることができる。好ましい破断応力は50MPa以上、より好ましくは80MPa以上、さらに好ましくは100MPa以上である。破断伸度はサンプル作製条件などによっても変動するため、信頼性が低いが、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。
【0082】
次に本発明の光学フィルムの製造方法において、ポリマーからなるフィルム(ポリマーフィルム)の延伸について説明する。
前記ポリマーフィルムの延伸は線熱膨張の低減、あるいは耐折強度などの機械的強度の改善に効果的である。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTMD1504、以下「ORS」と略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が改善され好ましい。ORSは延伸フィルムまたはシートに凍結されている、延伸により生じた内部応力である。
ポリマーフィルムの延伸は、公知の方法が使用でき、例えば、特開昭62−115035号公報、特開平4−152125号公報、特開平4−284211号公報、特開平4−298310号公報、特開平−48271号公報などに記載されている。
【0083】
本発明におけるポリマーが300℃以上のガラス転移温度を有する場合、単なる加熱のみでの延伸は難しいものとなるため、溶媒を含んだ状態で延伸を行なってもよい。この場合、乾燥途中過程で延伸を行うことが好ましく、例えば溶媒を含んだ状態のガラス転移温度(Tg)より10℃高い温度から、50℃高い温度の中間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。
延伸倍率は延伸方向に1.1〜5.0倍が好ましく、より好ましくは1.1〜3.5倍であり、特に好ましくは1.1〜2.0倍である。面積倍率としては1.1〜25倍が好ましく1.2〜12倍がより好ましく、1.3〜4倍が特に好ましい。また、延伸は1段で行ってもよく、多段で行ってもよい。多段で行なう場合は各延伸倍率の積がこの範囲にはいるようにすればよい。
延伸速度は5%/分〜1000%/分であることが好ましく、さらに10%/分〜500%/分であることが好ましい。
【0084】
前記延伸はヒートロールあるいは/および放射熱源(IRヒーター等)、温風により行うことが好ましい。また、温度の均一性を高めるために恒温槽を設けてもよい。ロール延伸で一軸延伸を行う場合、ロール間距離(L)と該光学フィルムのフィルム幅(W)との比であるL/Wが、2.0〜5.0であることが好ましい。
延伸前に予熱工程を設けることが好ましい。延伸後に熱処理を行ってもよい。熱処理温度は光学フィルムのガラス転移温度より20℃低い値から10℃高い温度で行うことが好ましく、熱処理時間は1秒間〜3分間であることが好ましい。また、加熱方法はゾーン加熱であっても、赤外線ヒータを用いた部分加熱であってもよい。
【0085】
次に本発明における架橋反応について説明する。本発明の光学フィルムは前記延伸中あるいは延伸後に、熱を加えるか若しくは活性エネルギー線を照射して架橋反応を行なうことが好ましい。なかでも、乾燥・延伸時の加熱工程と独立して架橋反応を制御しやすいという点で活性エネルギー線を照射して架橋反応を行うことが好ましい。この際、窒素雰囲気条件などにして、酸素濃度3体積%以下で行うことが好ましく、より好ましくは酸素濃度が2体積%以下の条件で行なう場合であり、特に好ましくは酸素濃度1体積%以下の条件で行なう場合である。酸素濃度が3体積%以上であると、加熱時のポリマーの着色が問題になる場合があり、さらにラジカル反応型の架橋反応においては反応が十分に進行しない場合がある。
【0086】
熱によって架橋反応を行なう温度は、架橋反応性基の反応性およびポリマーのガラス転移温度等によって異なるが、一般には150〜450℃の加熱が好ましく、より好ましくは、180〜400℃の場合であり、特に好ましくは200〜350℃の場合である。架橋反応を行なうための加熱は、フィルムの延伸中または延伸後に行うことが好ましい。
このような熱による架橋反応は、製膜後の乾燥工程等の加熱と区別して行なう必要があるが、精密な制御が困難な場合が多く、本発明では特に活性エネルギー線を照射して架橋反応を行うことが好ましい。
【0087】
活性エネルギー線としては、電子線、α線、β線、γ線などの電離放射線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波などが挙げられるが、本発明では、取扱いが容易で照射効率がよいことから、紫外線、または電子線がより好ましく、特に好ましくは電子線である。電子線を照射する場合の照射条件は、照射線量が1〜80Mrad、好ましくは5〜60Mradより好ましくは10〜40Mradの範囲で、加速電圧が50〜500KV、好ましくは100〜400KV、特に好ましくは150〜300KVの範囲である。これらの活性エネルギー線の照射はフィルムの延伸後に行なうことが好ましい。活性エネルギー線を照射する工程において、反応を促進する目的で加熱を同時に行なってもよく、活性エネルギー線照射後に加熱を行なってもよい。この際の加熱温度は、ポリマーのガラス転移温度以上が好ましく、ガラス転移温度より5〜100℃高い温度がより好ましく、10〜50℃高い温度が特に好ましい。
【0088】
前記に従って、延伸後に架橋して得られたフィルムは、さらに加熱アニール処理を行なうことにより熱寸法安定性を向上させることが好ましい。この際の加熱アニール処理の温度は200〜400℃の範囲であることが好ましく、230〜380℃の範囲であることがより好ましく、250〜350℃の範囲であることが特に好ましい。前記アニール時間は1分〜50時間が好ましく、5分から25時間がより好ましく、1時間〜10時間が特に好ましい。
【0089】
本発明の光学フィルムの厚みは、特に規定されないが30μm〜700μmが好ましく、より好ましくは40μm〜200μm、さらに好ましくは50μm〜150μmである。さらにいずれの場合もヘイズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光線透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。
【0090】
本発明の光学フィルムの耐熱温度は高い方が好ましく、DSC測定によるガラス転移温度を目安にすることができる。この場合、好ましいガラス転移温度は250℃以上、より好ましくは300℃以上、特に好ましくは330℃以上である。なお、本発明の光学フィルムを本発明のポリエステルのみを用いて溶液流延法により作製する場合、乾燥が十分であれば、用いたポリエステルのTgと光学フィルムのガラス転移温度の差はほとんどなく、測定誤差範囲内である。
【0091】
本発明の光学フィルムの線熱膨張係数は、0〜200℃の範囲において、−50〜50ppm/℃であることが好ましく、−45〜45ppm/℃の範囲であることがより好ましく、−40〜40ppm/℃の範囲であることが特に好ましい。
【0092】
本発明の光学フィルムの表面には用途に応じて他の層、あるいは部品との密着性を高めるためにフィルム基板表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行うことができる。さらに、フィルム表面に接着層、アンカー層を設けてもよい。また、表面平滑化のため平滑化層、耐傷性付与のためのハードコート層、耐光性を高めるための紫外線吸収層、フィルムの搬送性を改良させるための表面粗面化層など目的に応じて種々の公知の機能性層を付与することができる。
【0093】
(透明導電層)
本発明の光学フィルムは透明導電層を設置することができる。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、特許第3400324号公報、特開2002−322561号公報、特開2002−361774号公報に記載の方法で成膜することができる。
中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
【0094】
このようなスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Pa、より好ましくは0.665mPa〜1.33Pa、である。このような透明導電層を設ける前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、コロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50℃〜200℃に昇温してもよい。
このようにして得られた透明導電層の膜厚は20nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50〜300nmが好ましい。
また、このようにして得られた透明導電層の、25℃・相対湿度60%で測定した表面電気抵抗は0.1Ω/□〜200Ω/□が好ましく、より好ましくは0.1Ω/□〜100Ω/□であり、さらに好ましくは0.5Ω/□〜60Ω/□である。さらに光透過性は80%以上、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。
【0095】
(ガスバリア層)
本発明の光学フィルムはガス透過性を抑制するために、ガスバリア層を設けることも好ましい。好ましいガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、タンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。これら無機のガスバリア層は例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製することができる。なかでも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。またガスバリア層を設けている間に50℃〜200℃に昇温してもよい。
【0096】
このようにして得られた無機ガスバリア層の膜厚は10nm〜300nmが好ましく、より好ましくは30nm〜200nmである。
また、前記ガスバリア層は、光学フィルムの透明導電層が設けられている側と同じ側、または反対側のいずれに設けてもよいが、透明導電層と反対側に設けるほうがより好ましい。
このようにして得られたガスバリアフィルムのバリア性は、40℃・相対湿度90%で測定した水蒸気透過度が5g/m2・day以下が好ましく、より好ましくは1g/m2・day以下、さらに好ましくは0.5g/m2・day以下である。40℃・相対湿度90%で測定した酸素透過度は1ml/m2・day・atm(1×105ml/m2・day・Pa)以下が好ましく、より好ましくは0.7ml/m2・day・atm(0.7×105ml/m2・day・Pa)以下であり、さらに好ましくは0.5ml/m2・day・atm(0.5×105ml/m2・day・Pa)以下である。
【0097】
(欠陥補償層)
本発明の光学フィルムには、バリア性を向上させる目的で、これと隣接して欠陥補償層を設けるのが特に望ましい。前記欠陥補償層としては、(1)米国特許第6171663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層を利用する方法、(2)米国特許第6413645,64163645号各明細書記載のように有機物層を利用する方法、また、これらの補償層は、記載のように真空か下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、或いは、塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させる事で作製することができる。
塗布方式で作製する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
【0098】
本発明の光学フィルムは薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として用いることができる。TFTアレイの作製方法は特表平10−512104号公報に記載の方法等が挙げられる。さらにこれらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターはいかなる方法を用いて作製されてもよいが、好ましくはフォトリソグラフィー手法が好ましい。
【0099】
<画像表示装置>
本発明の光学フィルムは必要に応じて各種機能層を設けた上で画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置としては特に限定されず、従来知られているものを用いることができる。また、本発明の光学フィルムを用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明の光学フィルムは太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
【0100】
本発明の光学フィルムを液晶表示用途などに使用する場合には、光学的均一性を達成するために非晶性ポリマーであることが好ましい。また、複屈折が小さい方が好ましく、特に面内レタデーション(Re)が50nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは15nm以下である。本発明のポリマーのみを用いて複屈折の小さい光学フィルムを得るためには、溶液流延時の溶媒および乾燥条件を適宜調節することで可能となる。また、必要に応じて延伸して調節することもできる。さらに、レタデーション(Re)、およびその波長分散を制御する目的で固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。また、本発明の光学フィルムはレターデーション(Re)の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。また、公知の位相差板を併用して位相差補償を行うこともできる。
【0101】
液晶表示装置は、反射型液晶表示装置と透過方液晶表示装置とに大別することができる。
前記反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。本発明の光学フィルムは、光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板としての利用が好ましく、さらには透明性の観点から透明電極および配向膜付上基板として使用することが好ましい。また、反射型液晶表示装置には、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0102】
前記透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。このうち本発明の光学フィルムは光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板としての利用が好ましく、透明電極および配向膜付基板として使用することが好ましい。また、透過型液晶表示装置はには、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0103】
液晶表示装置の液晶セルは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−P1ane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta1)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optica1ly Compensated Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およぴ、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、前記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
これらは特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers (予稿集)30(1999)206、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc. of the-18th-Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para−A(LCD/PDP Iternational‘99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the-18th-Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報、および国際公開第00/65384号パンフレット等に記載されている。
【0104】
本発明の光学フィルムは必要に応じてガスバリア層、TFTを設け、透明電極付基板として有機EL表示用途に使用できる。
有機EL表示素子としての具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
【0105】
本発明の光学フィルムが使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
これら発光素子の駆動については、特開平2−148687号公報、同6−301355号公報、同5−29080号公報、同7−134558号公報、同8−234685号公報、同8−241047号公報、米国特許5828429号明細書、同6023308号明細書、日本特許第2784615号公報等に記載の方法を利用することができる。
【実施例】
【0106】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0107】
[合成例1]
1.例示化合物P−32の合成
(1)4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール(III)の合成
【0108】
【化18】

【0109】
前記化合物(I)(JFEケミカル(株)製、BPFL(商品名))35g、アリルブロマイド29g、炭酸カリウム22gおよびアセトン300mlを混合し、30時間加熱還流し、TLCにてほぼ反応が完結したことを確認した。室温まで冷却後、濾過、濃縮して残渣にトルエン400mlを加え各200mlの水で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後濃縮し前記化合物(II)の粗結晶を43g得た。
化合物(II)の粗結晶42gとN,N−ジエチルアニリン84gとを混合し、窒素下、200℃で18時間加熱攪拌した。N,N―ジエチルアニリンを2.67×10-3MPaで減圧下留去したのちアセトン50mlを加え、60℃に加熱したのち冷却して、再結晶を行なった。結晶を濾過し乾燥させることによって前記化合物(III)〔4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール〕を36.45g得た。生成物は400MHz、1HNMRによって同定した。
【0110】
1HNMR(CDCl3)、δ(ppm):3.25(d,4H)、4.89(s,2H)、5.09(dd,4H)、5.85〜6.00(m,2H)、6.61(d,2H)、6.89(dd,2H)、6.95(d,2H)、7.18〜7.40(m,6H)、7.71(d,2H)
【0111】
(2)例示化合物P−32の合成
1L三口フラスコ中に、前記化合物(III)21.1g、ハイドロサルファイトナトリウム0.15g、テトラブチルアンモニウムクロライド694.8mg、塩化メチレン163ml、および蒸留水188mlを加え、窒素気流下室温で攪拌した。さらに2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド6.33gおよびテレフタル酸クロライド5.1gを塩化メチレン75mlに溶解した溶液を添加した。該混合液中に2N水酸化ナトリウム水溶液52.5mlを蒸留水22.5mlで希釈したアルカリ水溶液を室温下1時間かけて滴下した。滴下終了後2時間攪拌を続けた後酢酸0.9gおよび塩化メチレン100mlを添加した。有機層を分離しメタノール2Lに添加して析出したポリマーをデカンテーションにより分離した。さらに得られたポリマーを塩化メチレン250mlに溶解し、メタノール1Lに再沈澱させることにより、例示化合物P−32の26.3gを得た。
得られた例示化合物P−32をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量21600、数平均分子量10100であった。また、DSC(DSC6200;セイコー(株)製)で測定したガラス転移温度は214℃であった。
【0112】
[合成例2]
2.例示化合物P−25の合成
ピペラジンを660mmol、テトラブチルアンモニウムクロライドを33mmol、ジクロロメタン2227ml、水を2475ml、攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌を行った。30分後、前記化合物(III)〔4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール〕からトリホスゲンを用いて合成したビスクロロホルメート体660mmolを743mlのジクロロメタンに溶解した溶液と2規定水酸化ナトリウム水溶液693mlとを132mlの水で希釈した溶液を1時間かけて同時に別々の滴下装置を用いて滴下し、終了後165mlの水およびジクロロメタンでそれぞれ洗い流した。その後3時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン1Lを添加し、有機相を分離した。さらに12規定塩酸水6.6mlを水2.5Lで希釈した溶液を添加し有機相を洗浄した。さらに水2.5Lで2回洗浄を行った後、分離した有機相にジクロロメタン1Lを添加し、希釈した後、激しく撹拌した25Lのメタノール中に1時間かけて投入した。メタノール中、得られた白色沈殿を濾取し乾燥させ、前記例示化合物P−25を240g得た。
【0113】
得られた例示化合物P−25の分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量150000、数平均分子量70000であった。GPCは東ソー(株)製、「HLC−8120GPC」を用い、テトラヒドロフランを溶媒として測定し、ポリスチレンの分子量標準品と比較し分子量を求めた。以下の合成例に示す分子量測定も同様にして行なった。
また、DSC(DSC6200;セイコー(株)製)で測定したガラス転移温度は190℃であった。
本発明の他の化合物も前記と同様にして合成できる。
【0114】
[合成例3]
3.例示化合物P−40の合成
JFEケミカル(株)製「BPFL」(商品名)をアセトニトリルで2回再結晶を行い、70℃、3時間の加熱真空乾燥を行い、以下の原料として使用した。得られたBPFLにはアセトニトリルが9.4質量%含まれていた以外にはHPLC分析では不純物は観測されなかった。
前記で得られたBPFL(アセトニトリル9.4質量%含有)を7.74g(20.0mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライドを278mg(1.0mmol)、ハイドロサルファイトナトリウムを0.06g、ジクロロメタンを37.5ml、2規定水酸化ナトリウム水溶液を21.0ml(42mmol)、水を79ml、攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌を行った。30分後、特開2002−201158号公報実施例2に記載の方法に従って合成した5−(2−フェニルエチニル)イソフタル酸二塩化物6.06g(20.0mmol)を粉体のまま投入し、86.3mlのジクロロメタンで洗い流した。その後6時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン100mLを添加し、有機相を分離した。さらに0.1規定塩酸水溶液100mlを添加し有機相を洗浄した。さらに水100mLで3回洗浄を行った後、分離した有機相を、激しく撹拌した2Lのメタノール中に約15分間かけて投入した。得られた白色沈殿を濾取し、40℃、12時間加熱乾燥後、70℃、3時間、減圧下で乾燥し、例示化合物P−40を9.50g得た。
【0115】
得られた例示化合物P−40の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、数平均分子量20000であった。また、DSC(DSC6200;セイコー(株)製)で測定したガラス転移点は295℃であった。
【0116】
[合成例4]
4.例示化合物P−45の合成
前記で得られたアセトニトリルを含むBPFLを7.43g(19.2mmol)、4−フェニルエチニルフェノールを304.11mg(1.6mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライドを278mg(1.0mmol)、ハイドロサルファイトナトリウムを0.06g、ジクロロメタンを37.5ml、2規定水酸化ナトリウム水溶液を21.0ml(42mmol)、水を79ml、攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌を行った。30分後、テレフタル酸2.03g(10mmol)およびイソフタル酸2.03g(10mmol)を粉体のまま投入し、57.5mlのジクロロメタンで洗い流した。その後6時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン100mLを添加し、有機相を分離した。さらに0.1規定塩酸水溶液100mlを添加し有機相を洗浄した。さらに水100mLで3回洗浄を行った後、分離した有機相を、激しく撹拌した2Lのメタノール中に約15分間かけて投入した。得られた白色沈殿を濾取し、40℃、12時間加熱乾燥後、70℃、3時間、減圧下で乾燥し、例示化合物P−45を8.94g得た。
【0117】
得られたP−45の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、数平均分子量14000であった。また、DSC(DSC6200;セイコー(株)製)で測定したガラス転移点は281℃であった。
【0118】
[比較合成例1]
6.比較化合物X−1の合成
特開平10−77338号公報の実施例1に記載の合成法に準じて比較化合物X−1を合成した。数平均分子量は30000、ガラス転移温度は115℃であった。
【0119】
【化19】

【0120】
[実施例1]
<特性値の測定方法>
本実施例においてガラス転移温度(Tg)、線熱膨張係数、膜厚、フィルムの全光線透過率、およびフィルムの力学特性(破断応力)は下記に従って測定した。
【0121】
1.ガラス転移温度(Tg)
DSC(窒素中、昇温温度10℃/分)により測定した(セイコー(株)製、DSC6200)。
【0122】
2.熱変形開始温度
TMA8310(理学電気株式会社製、Thermo Plusシリーズ)により測定した。
【0123】
3.線熱膨張係数
TMA8310(理学電気株式会社製、Thermo Plusシリーズ)により測定し、0〜200℃の平均値を算出した。
【0124】
4.フィルムの膜厚
ダイヤル式厚さゲージにより測定した(アンリツ(株)製、K402B)。
【0125】
5.フィルムの全光線透過率
スガ試験機(株)社製のヘイズメーター(型番HGM−2DP)で測定した。
【0126】
6.フィルムの力学特性(破断応力)
フィルムサンプル(1.0cm×5.0cm片)を作製し、引張速度3mm/分の条件下で、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン RTM−25)にて測定した。測定は3サンプル行い、その平均値を求めた(サンプルは25℃、相対湿度60%で一晩放置後使用。チャック間距離3cm)。
【0127】
<光学フィルム試料の作製>
前記例示化合物P−32をジクロロメタン/アニソール(9/1)に溶解後の溶液粘度が500〜1500mPa・sの範囲になる濃度で溶解した。この溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、室温で2時間、80℃で2時間、100℃で4時間加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離し未延伸未架橋フィルム試料(101−1)を作製した。
また、ガラス板上に流延後、乾燥不十分な状態(溶媒約20質量%含有)で未延伸未架橋フィルム試料(101−1)を剥ぎ取り、得られたフィルムの一辺を固定して200℃の温度で2軸延伸機を用いて、縦横2軸方向に各1.25倍に延伸した後、張力を取り除き300℃で3分間熱処理することにより延伸未架橋フィルム試料(101−2)を作製した。
さらに未延伸未架橋フィルム(101−1)および延伸未架橋フィルム試料(101−2)に30Mradの電子線量、200KVの加速電圧で電子線をフィルムの片側から照射、引き続き試料を裏返して同様に電子線照射をした後、窒素雰囲気下(酸素濃度1体積%)、250℃で10時間加熱を行ない未延伸架橋フィルム(101−3)、延伸架橋フイルム(101−4)を作製した。なお電子線を照射した試料(101−3、4)はジクロロメタンに不溶化し架橋反応が進行していることを確認した。
前記例示化合物P−25、40、45、X−1についても前記と同様にして、それぞれ未延伸未架橋フィルム(102−1、103−1、104−1、105−1)、延伸未架橋フィルム(102−2、103−2、104−2、105−2)、未延伸架橋フィルム(102−3、103−3、104−3、105−3)および延伸架橋フィルム(102−4、103−4、104−4、105−4)を作製した。
得られた光学フィルム試料の熱変形開始温度、線熱膨張係数(0〜200℃の平均)、膜厚、全光線透過率、破断応力を測定した。使用したポリマーのTgとともに表1に結果を示す。
【0128】
【表1】

【0129】
表1より、本発明に従って作製された光学フィルムは、低い線熱膨張係数と高い熱変形開始温度とを示し、耐熱性に優れることがわかる。また破断点応力が大きく、優れた力学特性を有していることがわかる。
【0130】
[実施例2]
<有機EL素子試料の作製>
(ガスバリア層の設置)
前記で作製した本発明の光学フィルム試料101−4および比較例の光学フィルム試料105−3、105−4の両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Siをターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、酸素を導入し、圧力を0.1Paとして出力5kWでスパッタリングした。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。ガスバリア層を形成した光学フィルム試料の40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度は0.1g/m2・day以下であり、40℃、相対湿度90%における酸素透過度は0.1ml/m2・day・atm(0.1×105ml/m2・day・Pa)以下であった。
【0131】
(透明導電層の設置)
ガスバリア層を設置した光学フィルム試料を100℃に加熱しながら、ITO(In23:95質量%、Sn02:5質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を、片面に設けた。透明導電層を設置した光学フィルム試料の25℃、相対湿度60%における表面電気抵抗は30Ω/□であった。
【0132】
(透明導電層付光学フィルムの加熱処理)
前記で得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料を、TFT設置を想定して300℃、1時間の加熱処理を行った。
【0133】
(有機EL素子の作製)
前記で加熱処理を行った透明導電層を設置した光学フィルム試料の透明電極層より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。本発明の光学フィルム試料101−4から得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料は変形が認められなかったのに対して、比較例の光学フィルム試料105−3、および105−4から得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料は変形が激しく、有機EL素子の作製は行わなかった。
光学フィルム試料101−4に設置した透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製、スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
【0134】
〔組成〕
・ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製):40質量部
・トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
・ジクロロエタン:3200質量部
【0135】
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
また、25mm角に裁断した厚さ50imのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mmラ5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3imの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層をLiF上に形成した。これを基板Zとした。
【0136】
〔組成〕
・ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製):10質量部
・1−ブタノール:3500質量部
・下記構造を有する電子輸送性化合物:20質量部
【0137】
【化20】

【0138】
基板XYと基板Zとを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料201を得た。
【0139】
得られた有機EL素子試料201をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加した。本発明の試料201が、発光することを確認した。
【0140】
前記実施例より、本発明の光学フィルムは、耐熱性、透明性、力学特性に優れ、ガスバリア層、透明導電層を積層可能でTFT工程を想定した加熱処理を行っても有機EL素子用基板フィルムとして機能することが明らかとなった。
【0141】
以上からわかるように、本発明の製造方法により得られる光学フィルムは耐熱性、力学特性に優れている。さらに、本発明の光学フィルムはガスバリア層、透明導電層を積層可能で、表示品位に優れた有機ELディスプレイを提供可能であることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移温度が150℃以上のポリマーからなるフィルムを、1軸または2軸の方向に延伸した後、または、延伸しながら、前記ポリマーの架橋反応を行うことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記架橋反応が活性エネルギー線を作用させて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記延伸の面積倍率が1.1〜25倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記ポリマーが下記一般式(1)または(2)で表わされる部分構造を含む繰り返し単位を少なくとも1種有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【化1】

[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環αは、スピロ結合により連結されている。]
【化2】

[一般式(2)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。]
【請求項5】
前記ポリマーがポリアリレートまたはポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記ポリマーがアリル基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項8】
ガラス転移温度が250℃以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項9】
0〜200℃における線熱膨張係数が−50〜50ppm/℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする光学フィルム。
【請求項11】
少なくとも片面にガスバリア層が積層されていることを特徴とする請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
少なくとも片面に透明導電層が積層されていることを特徴とする請求項10または11に記載の光学フィルム。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。

【公開番号】特開2007−90557(P2007−90557A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280063(P2005−280063)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】