説明

光学フィルムの製造方法ならびに製造装置、光学フィルム、偏光板、および画像表示装置

【課題】 十分な反射性能を有しながら耐擦傷性に優れた反射防止フィルムの製造方法を提供すること。並びに該製造方法によって得られた反射防止フィルムを提供すること。さらには、該反射防止フィルムを具備した偏光板及び画像表示装置提供すること。
【課題を解決する手段】 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上の少なくとも一層を下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。
【請求項2】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
【請求項3】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
【請求項4】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
【請求項5】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
【請求項6】
透明基材上に、少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の層形成方法が、電離放射線照射による塗布層の硬化工程に連続して、該硬化後のフィルムを酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら搬送する工程を含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、且つ工程(2)と(3)とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムに、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射する工程、
(3)該電離放射線照射後のフィルムを、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度60℃以下に維持する工程。
【請求項8】
請求項7に記載の光学フィルムの製造方法において、前記酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射する工程の前に、酸素濃度3体積%以下かつ電離放射線照射工程時の酸素濃度以上の雰囲気下で搬送する工程を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記電離放射線を照射する工程における膜面温度と、この工程と連続する、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度60℃以下に維持する工程における膜面温度との温度差が、20℃以内であることを特徴とする請求項7または8に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明支持体上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)及び(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
(1)連続的に走行する、透明基材を含むウェッブ上に、電離放射線硬化性化合物を含む塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、
(2)前記ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、且つ、電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で前記ウェッブを維持し、塗布層を硬化する工程。
【請求項11】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明支持体上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、且つ、工程(2)と(3)とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
(1)連続的に走行する、透明基材を含むウェッブ上に、電離放射線硬化性化合物を含む塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、
(2)前記ウェッブ上の塗布層表面に不活性ガスを直接吹き付ける工程、
(3)前記ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、且つ、電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で前記ウェッブを維持し、塗布層を硬化する工程。
【請求項12】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明支持体上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)及び(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(1)連続的に走行する、透明基材を含むウェッブ上に、電離放射線硬化性化合物を含む塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、
(2)前記ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、且つ、前記電離放射線硬化性化合物の重合反応が50%以上完了するまで、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で前記ウェッブを維持し、塗布層を硬化する工程。
【請求項13】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、透明支持体上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、且つ、工程(2)と(3)とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(1)連続的に走行する、透明基材を含むウェッブ上に、電離放射線硬化性化合物を含む塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、
(2)前記ウェッブ上の塗布層表面に不活性ガスを直接吹き付ける工程、
(3)前記ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、且つ、前記電離放射線硬化性化合物の重合反応が50%以上完了するまで、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で前記ウェッブを維持し、塗布層を硬化する工程。
【請求項14】
前記塗布層の硬化工程において、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下でウェッブ上の塗布層に前記電離放射線を複数回照射し、且つ、そのうちの少なくとも2回の電離放射線照射を、連続した酸素濃度3体積%以下の電離放射線反応室で行うことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法において、ウェッブ上の塗布層表面温度が60℃以上になるように加熱しながら前記硬化工程を行なうことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法において、前記連続走行する塗布層を有するウェッブに、不活性ガスを注入して低酸素濃度にした前室を通過させ、さらに前記ウェッブを、前記前室と連続して設置された不活性ガスを注入した酸素濃度3体積%以下の電離放射線反応室に搬入し、前記電離放射線反応室内で前記塗布層の硬化工程を行うことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の光学フィルムの製造方法において、前記電離放射線反応室に注入された不活性ガスが、前記電離放射線反応室の少なくともウェッブ入り口側から吹き出すようにしたことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記の電離放射線反応室および前室のウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一方において、ウェッブ上の塗布層表面とのギャップが0.2〜15mmであることを特徴とする請求項16又は17に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記電離放射線反応室および前室のウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一方において、前記ウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一部が可動となっており、ウェッブを接合した接合部材通過時に、少なくとも接合部材の厚み分を逃げる構成となっていることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項20】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムをウェッブ状態で連続的に製造する方法であって、透明支持体上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)及び(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
(1)透明ウェッブ基材上に、オキシム系の重合開始剤を少なくとも一種含有する塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、(2)前記透明ウェッブ基材上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、且つ、電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で前記透明ウェッブ基材を維持し、塗布層を硬化する工程。
【請求項21】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムをウェッブ状態で連続的に製造する方法であって、透明支持体上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)及び(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
(1)透明ウェッブ基材上に、オキシム系の重合開始剤を少なくとも一種含有する塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、
(2)前記透明ウェッブ基材上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が60℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、且つ、電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で前記透明ウェッブ基材を維持し、塗布層を硬化する工程。
【請求項22】
請求項20または21に記載の光学フィルムの製造方法において、前記連続走行する塗布層を有するウェッブに、不活性ガスを注入して低酸素濃度にした前室を通過させ、さらに前記ウェッブを、前記前室と連続して設置された不活性ガスを注入した酸素濃度3体積%以下の電離放射線反応室に搬入し、前記電離放射線反応室内で前記塗布層の硬化工程を行うことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項23】
前記電離放射線が紫外線であることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項24】
前記光学フィルムの製造方法が、バックアップロールによって支持されて連続走行するウェブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、前記先端リップのスロットから塗布液を塗布する工程を有し、
該塗布液が、前記スロットダイのウェブ進行方向側の先端リップのウェブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であり、且つ前記スロットダイを塗布位置にセットしたときに、前記ウェブの進行方向とは逆側の先端リップとウェブの隙間を、前記ウェブ進行方向側の先端リップとウェブとの隙間よりも30μm以上120μm以下大きくなるように設置した塗布装置を用いて塗布されることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項25】
前記塗布液の塗布時における粘度が2.0[mPa・sec]以下、且つ、ウェブ表面に塗り付けられる塗布液の量が2.0〜5.0[ml/m2]であることを特徴とする請求項24に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項26】
前記塗布液を、連続走行するウェブ表面に、25[m/min]以上の速度で塗布することを特徴とする請求項24または25に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに記載の方法で作製されたことを特徴とする光学フィルム。
【請求項28】
透明基材上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムを製造する製造装置であり、電離放射線照射が行なわれる電離放射線反応室、および前記電離放射線反応室の前に前室を備え、且つ、前記電離放射線反応室及び前室に、各々、塗布層を有して連続走行する透明基材を含むウェッブを搬入するためのウェッブ入り口を備えた装置であって、前記電離放射線反応室及び前室は各々不活性ガスを注入されることにより低酸素濃度に保たれ、且つ前記電離放射線反応室に注入された不活性ガスが、前記電離放射線反応室の前記ウェッブ入り口から吹き出すことを特徴とする光学フィルムの製造装置。
【請求項29】
前記の電離放射線反応室および前室のウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一方において、前記ウェッブ上に形成された塗布層表面とのギャップが0.2〜15mmであることを特徴とする請求項28に記載の光学フィルムの製造装置。
【請求項30】
前記電離放射線反応室および前室のウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一方において、前記ウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一部が可動となっており、ウェッブを接合した接合部材通過時に、少なくとも接合部材の厚み分を逃げる構成となっていることを特徴とする請求項28または29に記載の光学フィルムの製造装置。
【請求項31】
請求項1〜27のいずれかに記載の方法で作製されたことを特徴とする反射防止フィルム。
【請求項32】
前記機能層が膜厚200nm以下の低屈折率層を有し、該低屈折率層が前記層形成方法で形成されることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項33】
前記反射防止フィルムを構成する低屈折率層が、含フッ素ポリマーを含有することを特徴とする請求項32に記載の反射防止フィルム。
【請求項34】
前記含フッ素ポリマーが、下記一般式1で表わされる含フッ素ポリマーであることを特徴とする請求項33に記載の反射防止フィルム。
【化1】

〔一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。〕
【請求項35】
前記低屈折率層が中空シリカ微粒子を含有していることを特徴とする請求項32〜34のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項36】
偏光膜とその両面に積層される保護フィルムとを有してなる偏光板であって、該2枚の保護フィルムのうち少なくとも一方に、請求項31〜35のいずれかに記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
【請求項37】
請求項31〜35のいずれかに記載の反射防止フィルム、または請求項36に記載の偏光板をディスプレイの最表面に有していることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−119599(P2006−119599A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221498(P2005−221498)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】