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光学フィルムの製造方法
説明

光学フィルムの製造方法

【課題】アクリル系熱可塑性樹脂では、ロール間延伸による光学フィルムの製造において、加熱ロールへの融着によるフィルムの破断や段状の面状欠陥(段ムラ)、延伸ムラのない平滑なフィルムを提供する。
【解決手段】アクリル系熱可塑性樹脂とアンチブロッキング剤とを含む樹脂フィルムを前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも高い温度の加熱ロールで予熱してロール間延伸する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。特にロール間延伸による光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)の大画面化および使用環境が広がるにつれ、視認性に対する要求が厳しくなっている。しかし、液晶セル本体の改良のみでは視認性向上への要求を十分満足することができないため、位相差フィルム等の光学フィルムの性能向上に依存するところが大きい。
【0003】
位相差フィルム等の偏光を取り扱う装置に用いる光学フィルムにおいては、厚みムラが大きい場合、いわゆるレンズ効果と称されるフィルム表面の凹凸により画像のゆがみ現象が生じ、画像の歪みなどによって画質品位が著しく低下してしまう。
【0004】
また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるアクリル系熱可塑性樹脂は、高い光線透過率を有する一方で光弾性率が低いなど、その光学特性に優れるとともに、機械的強度、成形加工性および表面硬度のバランスに優れることから、位相差フィルム等の偏光を取り扱う装置に用いる光学フィルムに用いる熱可塑性樹脂として好適である。しかしアクリル系熱可塑性樹脂は一般的に可撓性が低いために、縦横二軸延伸を施すことにより可撓性を向上させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−162835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクリル系熱可塑性樹脂を用いたロール間延伸による光学フィルムの製造において、加熱ロールの温度をアクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低くすると、フィルムの昇温が不十分となり、延伸ロールのトルクが上昇し、場合によってはフィルムの破断がおきてしまう。トルクの上昇を抑制するためには、IRヒーターなどの補助熱源の出力を上げる必要があるが、延伸点が固定されないために延伸ムラが生じやすく、平滑なフィルムが得られにくかった。加熱ロールの温度をアクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも高くすると、ロールへの融着によるフィルムの破断やロールへの付着による段状の面状欠陥(段ムラ)が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、安定的にロール間延伸することができ、フィルムの破断や延伸ムラといった不具合の少ない光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成すべく、アクリル系熱可塑樹脂からなる光学フィルムの製造方法について種々検討を重ねたところ、本発明に至った。
【0009】
(1)アクリル系熱可塑性樹脂とアンチブロッキング剤とを含む樹脂フィルムを前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも高い温度の加熱ロールで予熱してロール間延伸する光学フィルムの製造方法。
【0010】
(2)前記アンチブロッキング剤が平均粒子径0.05〜10μmの微粒子である(1)記載の製造方法。
【0011】
(3)前記アクリル系熱可塑性樹脂に対し前記アンチブロッキング剤が0.01〜1質量%である(1)または(2)に記載の光学フィルムの製造方法。
【0012】
(4)前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が120℃以上である(1)〜(3)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0013】
(5)前記アクリル系熱可塑性樹脂が主鎖に環構造を有するアクリル系熱可塑樹脂を含むアクリル系熱可塑樹脂である(1)〜(4)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法により、優れたフィルム強度と光学特性を有する光学フィルムを提供できる。また、主鎖に環構造を有するアクリル系熱可塑性樹脂を含むことにより、耐熱性にも優れたフィルムを提供することができる。
【0015】
本発明の製造方法によれば、光学用途に適したアンチブロッキング効果を持つアクリル系フィルムを提供することができるので、位相差フィルム等の液晶表示装置用フィルム等に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明において、特に記載がない限り、「%」は「質量%」、「部」は「質量部」をそれぞれ意味し、範囲を表す「A〜B」は「A以上B以下」を意味する。
【0017】
[アクリル系熱可塑性樹脂(A)]
本発明の製造方法で用いられるアクリル系熱可塑性樹脂(A)は熱可塑性アクリル樹脂である限り特に限定されない。
【0018】
熱可塑性アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステル単位および/または(メタ)アクリル酸単位を構成単位として有する樹脂のことであり、(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリル酸の誘導体に由来する構成単位を有していてもよい。アクリル系熱可塑性樹脂(A)が有する全構成単位における、(メタ)アクリル酸エステル単位、(メタ)アクリル酸単位および上記誘導体に由来する構成単位の割合に合計は、通常50%以上であり、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。なお、ラクトン環構造など、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造を主鎖に有する場合、全構成単位に占める(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位の割合と、環構造の含有率との合計が50重量%以上であればよい。
【0019】
(メタ)アクリル酸エステル単位は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの単量体に由来する構成単位である。
【0020】
(メタ)アクリル酸単位は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの単量体に由来する構成単位である。
【0021】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位としてこれらの構成単位を2種類以上有していてもよい。アクリル系熱可塑性樹脂(A)はメタクリル酸メチル単位を有することが好ましく、この場合、アクリル系熱可塑性樹脂(A)ならびにアクリル系熱可塑性樹脂(A)を含む組成物を成形して得られたフィルムの熱安定性が向上する。
【0022】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)のTgは、通常110℃以上であり、115℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。なお、代表的なアクリル系熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)のTgは105℃である。
【0023】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)は主鎖に環構造を有していてもよい。この場合、アクリル系熱可塑性樹脂(A)および樹脂組成物のTgが高くなり、当該組成物から得た樹脂成形品の耐熱性が向上する。このように主鎖に環構造を有するアクリル系熱可塑性樹脂(A)を含む樹脂組成物から得た樹脂成形品、例えばフィルムは画像表示装置における光源などの発熱部近傍への配置が容易になるなど光学部材としての用途に好適である。
【0024】
環構造の種類は特に限定されないが、例えば、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造から選ばれる少なくとも1種である。
【0025】
以下の一般式(1)に無水グルタル酸構造およびグルタルイミド構造を示す。
【0026】
【化1】

上記一般式(1)におけるR、Rは互いに独立して水素原子、またはメチル基であり、Xは酸素原子または窒素原子である。Xが酸素原子であるとき、Rは存在せず、Xが窒素原子のとき、Rは、水素原子、炭素数1から6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
【0027】
が酸素原子のとき一般式(1)により示される環構造は無水グルタル酸構造となる。無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
【0028】
が窒素原子のとき、一般式(1)により示される環構造はグルタルイミド構造となる。グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成できる。
【0029】
以下の一般式(2)に、無水マレイン酸構造およびN−置換マレイミド構造を示す。
【0030】
【化2】

上記一般式(2)におけるR、Rは互いに独立して水素原子、またはメチル基であり、Xは酸素原子または窒素原子である。Xが酸素原子であるとき、R6は存在せず、Xが窒素原子のとき、Rは、水素原子、炭素数1から6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
【0031】
が酸素原子のとき一般式(2)により示される環構造は無水マレイン酸構造となる。無水マレイン酸構造は、例えば、無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合体して形成できる。
【0032】
が窒素原子のとき、一般式(2)により示される環構造はN−置換マレイミド構造となる。N−置換マレイミド構造は、例えば、フェニルマレイミドなどのN−置換マレイミドと(メタ)アクリル酸エステルとを重合体して形成できる。
【0033】
なお、一般式(1)、(2)の説明において例示した環構造を形成する各方法では、各々の環構造を形成に用いる重合体が全て(メタ)アクリル酸エステル単位を構成単として有するため、当該方法により得た樹脂はアクリル系熱可塑性樹脂となる。
【0034】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)が主鎖に有していてもよいラクトン環構造は特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。6員環であるラクトン環構造は、例えば、特開2004−168882号公報に開示されている構造であるが、前駆体の重合収率が高いこと、前駆体の環化縮合反応により、高いラクトン環含有率を有するアクリル系熱可塑性樹脂(A)が得られること、メタクリル酸メチル単位を構成単位として有する重合体を前駆体にできること、などの理由から以下の一般式(3)に示される構造が好ましい。
【0035】
【化3】

上記一般式(3)において、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1から20の範囲の有機残基である。当該有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
【0036】
一般式(3)における有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1から20の範囲のアルキル基、エテニル基、プロペニル基などの炭素数1から20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基、フェニル基、ナフチル基などの炭素数1から20の範囲の芳香族炭化水素基であり、上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基、上記芳香族炭化水素基は、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、およびエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換されていてもよい。
【0037】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)におけるラクトン環構造を除く上記環構造の含有率は特に限定されないが、例えば5〜90%であり、好ましくは10〜70%であり、よりこの好ましくは10〜60%であり、さらに好ましくは10〜50%である。
【0038】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)が主鎖にラクトン環構造を有する場合、当該樹脂におけるラクトン環構造の含有率は特に限定はされないが、例えば5〜90%であり、好ましくは10〜80%であり、より好ましくは10〜70%であり、さらに好ましくは20〜60%である。
【0039】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)における環構造の含有率が過渡に小さくなると、フィルムの耐熱性の低下や、耐溶剤性および表面硬度が不十分となることがある。一方、上記含有率が過渡に大きくなると、フィルムの成形性や機械的特性が低下する。
【0040】
主鎖に環構造を有するアクリル系熱可塑性樹脂(A)は公知の方法により製造できる。環構造が無水グルタル酸構造あるいはグルタルイミド構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、WO2007/26659号公報あるいはWO2005/108438号公報に記載の方法により製造できる。環構造が無水マレイン酸構造あるいはN−置換マレイミド構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、特開昭57−153008号公報、特開2007−31537号公報に記載の方法により製造できる。環構造がラクトン環構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報あるいは特開2007−63541号公報に記載の方法により製造できる。
【0041】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位以外の構成単位を有していてもよく、このような構成単位は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの単量体に由来する構成単位である。アクリル系熱可塑性樹脂(A)は、これらの構成単位を2種以上有していてもよい。
【0042】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)は、当該樹脂に対して負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位を有していてもよい。この場合、アクリル系熱可塑性樹脂(A)からなるフィルムにおける複屈折性の制御の自由度が向上し、本発明における光学フィルムの使用用途が拡大する。
【0043】
なお、固有複屈折とは、樹脂の分子鎖が一軸配向した層(例えば、シートあるいはフィルム)における、分子鎖が配向する方向(配向軸)に平行な方向の光の屈折率n1から、配向軸に垂直な方向の光の屈折率n2を引いた値(即ち、“n1−n2”)をいう。アクリル系熱可塑性樹脂(A)自体の固有複屈折の正負は、固有複屈折に関して当該構成単位が与える作用と、アクリル系熱可塑性樹脂(A)が有するその他の構成単位が与える作用との兼ね合いにより決定される。
【0044】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)に対して負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位の一例は、スチレン単位である。
【0045】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、例えば1000〜300000の範囲であり、好ましくは5000〜250000の範囲であり、より好ましくは10000〜200000の範囲であり、さらに好ましくは50000〜200000の範囲である。
【0046】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度は、例えば100℃以上であり、好ましくは110℃以上であり、より好ましくは120℃以上であり、さらに好ましくは130℃以上である。ガラス転移温度の上限としては成形加工性が乏しくなることから200℃以下が好ましい。
【0047】
本発明におけるガラス転移温度はJIS K7121の規定に準拠して求めることができる。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線から始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
【0048】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)は耐熱性、物性、光学特性と損なわない範囲で紫外線吸収能を有してもよい。具体的には、アクリル系熱可塑性樹脂(A)を製造する時の単量体成分として紫外線吸収性単量体および/または紫外線安定性単量体を用いる方法や、紫外線吸収剤および/または紫外線安定剤を上記アクリル系熱可塑性樹脂(A)に配合する方法がある。またこれらは、アクリル系熱可塑性樹脂(A)を含む光学フィルムに支障がない限り、これらの方法を併用してもかまわない。また、上記紫外線吸収機能を持続させるためには、紫外線吸収性単量体と紫外線安定性単量体を併用することや、紫外線吸収剤と紫外線安定剤を併用する事が好ましい。また、紫外線吸収性単量体および/または紫外線安定性単量体と合わせて、紫外線吸収剤および/または紫外線安定剤を併用することも好ましい。
【0049】
上記、紫外線吸収性単量体の種類としては、ベンゾトリアゾール系化合物あるいはベンゾフェノン系化合物あるいはトリアジン系化合物と重合性不飽和基を有するアクリル系単量体が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3’−tert−ブチルフェニル〕−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−メタクリルアミノメチル−5’−(1”,1”,3”,3”−テトラメチル)ブチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールなどを用いることができる。また、ベンゾフェノン系化合物としは、例えば、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンなどを用いることができる。また、トリアジン系化合物としては、例えば,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジンなどを用いることができる。このような紫外線吸収性単量体を用いる場合には、全単量体の0.1〜25質量%共重合されることが好ましく、さらに好ましくは1〜15質量%共重合されることが好ましい。含有量が少ないと耐候性向上の寄与が低く、含有量が多すぎると耐熱水性、耐溶剤性が低下したり、黄変を引き起こす場合がある。
【0050】
上記紫外線安定性単量体としては、ヒンダードアミン系化合物に重合性不飽和基が結合されたものを用いることができ、具体例としては、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。このような紫外線安定性単量体を用いる場合には、全単量体の0.1〜25質量%共重合されることが好ましく、さらに好ましくは1〜15質量%共重合されることが好ましい。含有量が少ないと耐候性向上の寄与が低く、含有量が多すぎると耐熱水性、耐溶剤性が低下したり、黄変を引き起こす場合がある。
【0051】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、サリシケート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物およびトリアジン系化合物等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、2,4−ジーヒドロキシベンゾフェノン、4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノン)−ブタン等が挙げられる。サリシケート系化合物としては、p−t−ブチルフェニルサリシケート等が挙げられる。ベンゾエート系化合物としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。また、トリアゾール系化合物としては、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルが挙げられる。さらに、トリアジン系化合物としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン等が挙げられる。その中でも、アクリル系熱可塑性樹脂と相溶性が高く吸収特性が優れている点から、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有する紫外線吸収剤が挙げられる。市販品としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤として「チヌビン1577」「チヌビン460」「チヌビン477」(チバジャパン製)、トリアゾール系紫外線吸収剤として「アデカスタブLA−31」(ADEKA製)等が挙げられる。
【0052】
これらは単独で、または2種類以上の組み合わせて使用することができる。上記紫外線吸収剤の配合量は特に限定されないが、アクリル系熱可塑性樹脂(A)を含むフィルム中に0.01〜25質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜10質量%である。添加量が少なすぎると耐候性向上の寄与が低く、また多すぎると機械的強度の低下や黄変を引き起こす場合がある。
【0053】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜25質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。
【0054】
その他の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性ポリエステル;ポリカーボネート;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン:ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。相溶性の観点からは、スチレン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。また、ゴム質重合体は、表面にアクリル系熱可塑性樹脂(A)と相溶し得る組成のグラフト部を有するのが好ましく、ゴム質重合体の平均粒子径は、フィルムとした際の透明性向上の観点から、100nm以下である事が好ましく、70nm以下である事が更に好ましい。
【0055】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)は、その他の添加剤を含んでいてもよい。アクリル系熱可塑性樹脂(A)中のその他の添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。その他の添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤などが挙げられる。
【0056】
上記酸化防止剤は、公知の酸化防止剤が使用できる。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アセテート、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミド−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノ−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−1−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタントリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオールビス−[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトールテトラキス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート及び2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートが挙げられる。
【0057】
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートが挙げられる。
【0058】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイトが挙げられる。
【0059】
[アンチブロッキング剤(B)]
本発明の製造方法で用いられるアンチブロッキング剤(B)は、アンチブロッキング剤、ブロッキング防止剤、スリッピング剤、滑剤、離型剤等のフィルムの易滑性を発現させるものであれば、液状、固体状、粒子状のいずれでもよく、好ましくは粒子状のアンチブロッキング剤微粒子である。
【0060】
アンチブロッキング剤微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.05〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が0.01μmを下回ると易滑性が十分に発現されず、30μmを上回るとフィッシュアイ等が発生し、フィルムの透明性が維持されず、外観不良となる場合があるため好ましくない。なお、本発明における平均粒子径は精密粒度分布測定装置「コールターマルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)を用いて求めた。
【0061】
微粒子の粒子径の変動係数(CV)は、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。粒子径変動係数が50%を超えると、易滑性が発現されなかったり、フィルムの透明性が低下したりするおそれがある。変動係数(CV)は下記式で表わされ、以下の方法によって求めることができる。
変動係数(%)=(σ/X)×100
σ:粒子径の標準偏差(μm) X:質量平均粒子径(μm)
微粒子の電子顕微鏡写真(95mm×70mm)を、場所を変えて撮影し、電子顕微鏡写真1枚の中の粒子が50個〜100個となるように測定倍率を設定する。電子顕微鏡写真に写った全粒子の粒子径(一次粒子径)をノギスにより計測し、この計測値の算術平均を平均粒子径(X;μm)とし、この計測値の不偏分散の平方根を粒子径の標準偏差(σ;μm)とすることで、上記式にて変動係数(CV)を算出できる。
【0062】
微粒子の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任意の粒子形状で良く、特に限定されないが、均一な易滑性を発現させるためには球状が好ましい。これは、粒子が球状であると、すべてまたはほぼすべての方向について一定またはほぼ一定の粒径を有するからである。
【0063】
微粒子の素材としては、種々のものがあり、特に限定はされないが、たとえば、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂からなる微粒子、有機架橋重合体微粒子、無機系微粒子、有機質無機質複合体微粒子等が挙げられる。これらの中でも、ビニル系架橋重合体微粒子等の有機架橋重合体微粒子および有機質無機質複合体微粒子が、屈折率や微粒子の平均粒子径を制御しやすいため好ましい。
前記有機架橋重合体微粒子としては特に限定はされないが、メタクリル酸メチル等の単官能モノマーと多官能モノマー、例えばトリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール等の懸濁重合で得られる(メタ)アクリル系架橋微粒子(特許4034157号公報参照)や、前記懸濁重合においてスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマーを(メタ)アクリル系モノマーと共重合させて得られるスチレン−(メタ)アクリル系架橋微粒子、あるいは(メタ)アクリル系モノマーやスチレン系モノマーを乳化重合、ソープフリー乳化重合、ミニエマルション重合、分散重合、あるいはシード重合させて得られる(メタ)アクリル系架橋粒子やスチレン−(メタ)アクリル系架橋微粒子があげられる。
前記無機系微粒子としては、特に限定はされないが、たとえば、溶融シリカ、合成シリカ、ゼオライト、アルミナ、チタニア、これらの複合酸化物等の微粒子が挙げられる。前記有機質無機質複合体微粒子は、有機質部分と無機質部分とからなる有機質無機質複合体微粒子である。前記無機質部分の割合は、特に限定はされないが、たとえば、前記有機質無機質複合体微粒子の質量に対して、無機酸化物換算で、好ましくは0.5〜90質量%、より好ましくは1〜70質量%、より好ましくは2〜60質量%の範囲である。無機質部分の割合を示す無機酸化物換算とは、有機質無機質複合体微粒子を空気中などの酸化雰囲気中で高温(たとえば1000℃)で焼成した前後の質量を測定することにより求めた質量百分率で示される。有機質無機質複合体微粒子の無機質部分の割合が、無機酸化物換算で前記範囲を下回ると、有機質無機質複合体微粒子が軟らかくなり、易滑性の発現に不利となることがあり、また、前記範囲を上回ると、硬すぎてフィルム表面に擦れ傷を生じてしまう場合がある。
このような有機質無機質複合体微粒子は特に限定されないが、好ましくは特開平8−81561記載の有機ポリマー骨格と、前記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含み、前記ポリシロキサン骨格を構成するSiOの量が25質量%以上である有機質無機質複合体微粒子、あるいは特開2003−183337記載の、(メタ)アクリロキシ基を有するポリシロキサン微粒子からなる無機質微粒子の構造中にビニル系重合体が含まれてなる有機質無機質複合体微粒子が挙げられる。
【0064】
微粒子の屈折率は、フィルムの透明性を向上させるために、アクリル系熱可塑性樹脂(A)の屈折率と近似していることが好ましい。具体的には、屈折率の比が0.98〜1.02であることが好ましく、より好ましくは0.99〜1.01である。
【0065】
アンチブロッキング剤(B)を添加するタイミングは、アクリル系熱可塑性樹脂(A)の物性を阻害しない限り、特に限定されるものではない。例えば、アクリル系熱可塑性樹脂(A)を製造中に所定の段階で添加するか、あるいは、アクリル系熱可塑性樹脂(A)を製造した後、アクリル系熱可塑性樹脂(A)、アンチブロッキング剤(B)とその他の成分などを同時に加熱溶融させて混練する方法;アクリル系熱可塑性樹脂(A)、その他の成分などを加熱溶融させておき、そこにアンチブロッキング剤(B)を添加して混練する方法;アクリル系熱可塑性樹脂(A)を加熱溶融させておき、そこにアンチブロッキング剤(B)、その他の成分などを添加して混練する方法;などが挙げられる。また、アクリル系熱可塑性樹脂(A)を先にフィルム化しておき、その後にアンチブロッキング剤(B)を含む層をバインダー等と共に塗工、乾燥して積層させてもよい。
【0066】
アクリル系熱可塑性樹脂(A)に対する、アンチブロッキング剤(B)の含有量は、好ましくは0.005〜3質量%であり、より好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%である。アンチブロッキング剤の含有量が0.005質量%より少ない場合は、十分な易滑性が得られず、また、3質量%より多い場合はフィルムにフィッシュアイ等が多発し、外観が不良となる。
【0067】
[樹脂フィルムの製造方法]
本発明における樹脂フィルムの製造方法は溶液製膜法、溶融製膜法など特に限定されないが、環境負荷が小さく生産性に優れることから溶融製膜法が好ましい。
【0068】
溶液製膜法(溶液流延法)を用いてフィルムを得ようとする場合は、主成分であるアクリル系熱可塑性樹脂(A)とアンチブロッキング剤(B)や必要によりその他の重合体やその他の添加剤などとの樹脂組成物を良溶媒中に撹拌混合して均一混合液とし、支持フィルムやドラムにキャストして自己支持性を有するまで予備乾燥した後、支持フィルムやドラムから剥がして乾燥すると得ることができる。溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、およびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。溶液製膜法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、ベルト式キャスティングマシンなどが挙げられる。
【0069】
溶融押出法の具体的な例としては、樹脂組成物を構成する各成分をオムニミキサーなどの混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を混練機から押出混練してもよい。押出混練に用いる混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機、あるいは加圧ニーダーなどの公知の混練機を用いることができる。
【0070】
また、別途形成した樹脂組成物を溶融押出成形してもよい。溶融押出法には、例えば、Tダイ法、インフレーション法などがあり、その際の成形温度は、好ましくは200〜350℃、より好ましくは250〜300℃、さらに好ましくは255℃〜300℃、特に好ましくは260℃〜300℃である。
【0071】
Tダイ法を用いる場合、押出機の先端部にTダイを取り付け、このTダイから押し出したフィルムを巻き取ることで、ロール状に巻回させた樹脂フィルムを得ることができる。このとき、巻き取りの温度および速度を制御して、フィルムの押し出し方向に延伸(一軸延伸)を加えることも可能である。また、押し出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸して、逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸などを実施してもよい。
【0072】
押出成形に押出機を用いる場合、その種類は特に限定されず、単軸であっても二軸であっても多軸であってもよいが、そのL/D値は(Lは押出機のシリンダーの長さ、Dはシリンダー内径)、樹脂組成物を十分に可塑化して良好な混練状態を得るために、好ましくは10以上100以下であり、より好ましくは15以上80以下であり、さらに好ましくは20以上60以下である。L/D値が10未満の場合、樹脂組成物を十分に可塑化できず、良好な混練状態が得られないことがある。一方、L/D値が100を超えると、樹脂組成物に対して過度に剪断発熱が加わることで、組成物中の樹脂が熱分解する可能性がある。
【0073】
またこの場合、シリンダーの設定温度は、好ましくは200℃以上350℃以下であり、より好ましくは250℃以上300℃以下である。設定温度が200℃未満では、樹脂組成物の溶融粘度が過度に高くなって、樹脂フィルムの生産性が低下する。一方、設定温度が350℃を超えると、樹脂組成物中の樹脂が熱分解する可能性がある。
【0074】
押出成形に押出機を用いる場合、その形状は特に限定されないが、押出機が1個以上の開放ベント部を有することが好ましい。このような押出機を用いることによって、開放ベント部から分解ガスを吸引することができ、得られた樹脂フィルムに残存する揮発成分の量を低減できる。開放ベント部から分解ガスを吸引するためには、例えば、開放ベント部を減圧状態にすればよく、その減圧度は、開放ベント部の圧力にして、931〜1.3hPaの範囲が好ましく、798〜13.3hPaの範囲がより好ましい。開放ベント部の圧力が931hPaより高い場合、揮発成分、あるいは樹脂の分解により発生する単量体成分などが、樹脂組成物中に残存しやすい。一方、開放ベント部の圧力を1.3hPaより低く保つことは工業的に困難である。
【0075】
本発明の光学フィルムを製造する場合、ポリマーフィルターで濾過するなどの濾過工程を取り入れることが好ましい。濾過工程を取り入れることにより、樹脂組成物中に存在する異物を除去できるため、得られたフィルムの外観上の欠点を低減できる。なお、ポリマーフィルターによる濾過時には、樹脂組成物は高温の溶融状態となる。このため、ポリマーフィルターを通過する際に樹脂組成物が劣化し、劣化により形成されたガス成分や着色劣化物が組成物中に流れだして、得られたフィルムに、穴あき、流れ模様、流れスジなどの欠点が観察されることがある。この欠点は、特に樹脂フィルムの連続成形時に観察されやすい。このため、ポリマーフィルターで濾過した樹脂組成物を成形する際には、その成形温度は、樹脂組成物の溶融粘度を低下させ、ポリマーフィルターにおける樹脂組成物の滞留時間を短くするために、例えば255〜350℃であり、260〜320℃が好ましい。
【0076】
ポリマーフィルターの構成は特に限定されないが、ハウジング内に多数枚のリーフディスク型フィルターを配したポリマーフィルターを好適に用いることができる。リーフディスク型フィルターの濾材は、金属繊維不織布を焼結したタイプ、金属粉末を焼結したタイプ、金網を数枚積層したタイプ、あるいはそれらを組み合わせたハイブリッドタイプのいずれでもよいが、金属繊維不織布を焼結したタイプが最も好ましい。
【0077】
ポリマーフィルターによる濾過精度は特に限定されないが、通常15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。濾過精度が1μm以下になると、樹脂組成物の滞留時間が長くなることで当該組成物の熱劣化が大きくなる他、樹脂フィルムの生産性が低下する。一方、濾過精度が15μmを超えると、樹脂組成物中の異物を除去することが難しくなる。
【0078】
ポリマーフィルターにおける、時間あたりの樹脂処理量に対する濾過面積は特に限定されず、樹脂組成物の処理量に応じて適宜設定できる。上記濾過面積は、例えば、0.001〜0.15m2/(kg/時間)である。
【0079】
ポリマーフィルターの形状は特に限定されず、例えば、複数の樹脂流通口を有し、センターポール内に樹脂の流路を有する内流型;断面が複数の頂点もしくは面においてリーフディスクフィルタの内周面に接し、センターポールの外面に樹脂の流路がある外流型;などがある。特に、樹脂の滞留箇所の少ない外流型を用いることが好ましい。
【0080】
ポリマーフィルターにおける樹脂組成物の滞留時間に特に制限はないが、好ましくは20分以下であり、より好ましくは10分以下であり、さらに好ましくは5分以下である。また、濾過時におけるフィルター入口圧およびフィルター出口圧は、例えば、それぞれ、3〜15MPaおよび0.3〜10MPaであり、圧力損失(フィルターの入口圧と出口圧の圧力差)は、1MPa〜15MPaの範囲が好ましい。圧力損失が1MPa以下になると、樹脂組成物がフィルターを通過する流路に偏りが生じやすく、得られた樹脂フィルムの品質が低下する傾向がある。一方、圧力損失が15MPaを超えると、ポリマーフィルターの破損が起こり易くなる。
【0081】
ポリマーフィルターに導入される樹脂組成物の温度は、その溶融粘度に応じて適宜設定すればよく、例えば250〜300℃であり、好ましくは255〜300℃であり、さらに好ましくは260〜300℃である。
【0082】
ポリマーフィルターを用いた濾過処理により、異物、着色物の少ない樹脂フィルムを得る具体的な工程は、特に限定されない。例えば、(1)クリーン環境下で樹脂組成物の形成および濾過処理を行い、引き続いてクリーン環境下で樹脂組成物の成形を行うプロセス、(2)異物または着色物を有する樹脂組成物を、クリーン環境下で濾過処理した後、引き続いてクリーン環境下で樹脂組成物の成形を行うプロセス、(3)異物または着色物を有する樹脂組成物を、クリーン環境下で濾過処理すると同時に成形を行うプロセス、などが挙げられる。それぞれの工程毎に、複数回、ポリマーフィルターによる樹脂組成物の濾過処理を行ってもよい。
【0083】
ポリマーフィルターによって樹脂組成物を濾過する際には、押出機とポリマーフィルターとの間にギアポンプを設置して、フィルター内の樹脂組成物の圧力を安定化することが好ましい。
【0084】
樹脂組成物は、その製造後、そのまま押出成形して樹脂フィルムとすることが好ましい。樹脂組成物をペレット化した後に、得られたペレットを再溶融して樹脂フィルムを成形する場合に比べて、熱履歴を少なくできるため、樹脂組成物の熱劣化を抑制できる。また、この手法では、環境からの異物の混入を抑制できるため、得られた樹脂フィルムに異物が存在したり、得られた樹脂フィルムが着色することを抑制できる。なお、押出機とTダイの間に、ギアポンプおよびポリマーフィルターを配置することが好ましい。
【0085】
樹脂フィルムの厚さは、例えば、1μm以上1000μm未満であり、好ましくは10μm以上350μm未満である。厚さが1μm未満になると、フィルムとしての強度が不十分となる場合があり、ロール間延伸などの後加工を行う際に、破断などが生じやすい。
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムの製造方法は、アクリル系熱可塑性樹脂(A)とアンチブロッキング剤(B)とを含む樹脂フィルムを前記アクリル系熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度よりも高い温度の加熱ロールで予熱してロール間延伸する製造方法である。
【0086】
ここで、ロール間延伸とは、図3に示すようなロール延伸機において、所定の温度に設定された予熱ロールと加熱ロールでフィルムを加温しながら搬送してフィルム温度を所定の温度まで上昇させ、加熱ロールのロール回転数より延伸ロールのロール回転数を大きくすることによって図1、図2に示すようなロール間に設けられた延伸区間で延伸する方法である。本発明における加熱ロールの温度は、ロールの設定温度である。フィルムの延伸温度および延伸倍率は、得られたフィルムの機械的強度および表面性、厚み精度を指標として適宜調整することができるが、このときのフィルム温度は、フィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、加熱ロールでTg−10℃以上、Tg+20℃以下の範囲にまで加熱することが好ましく、さらに延伸区間内に設けた補助加熱装置によってTg以上、Tg+30℃以下の範囲まで加熱することがより好ましい。加熱ロールでのフィルムの加熱が、Tg−10℃よりも低い場合にはフィルムの透明性が悪化しやすく、また、極端な場合には、フィルムが裂ける、割れるなどの工程上の問題を引き起こしやすい。Tg+20℃よりも高い場合には、フィルムがロールに付着するトラブルが起こりやすい。また、補助加熱装置での加熱がTgよりも低い場合には、フィルムにシワが発生しやすく、フィルムの裂けや割れなどの工程上の問題を引き起こしやすく、Tg+30℃よりも高い場合には、得られたフィルムの伸び率や引っ張り強度、可とう性などの力学的性質が改善されず、2次加工性が悪くなることがある。なお、予熱ロールと加熱ロールの合計本数は5本以上が好ましい。5本よりも少ない場合には加熱効果が少なくなるため、フィルムを十分に暖めることができない。加熱効果を高めるためにロール径を大きくする方法は、加熱によるフィルムの熱膨張を逃がすことができず、シワの発生およびシワ由来の破断が発生しやすくなるため好ましくない。延伸区間内に設けた補助加熱装置としては、従来公知の方法が使用でき、IRヒーター、セラミックヒーター、熱風ヒーターの中から選ばれるいずれかの加熱方法が装置の導入コストの観点から好ましい。
【0087】
また、加熱ロール(低速ロール)中心と延伸ロール(高速ロール)中心の距離を延伸区間長A、縦延伸前のフィルム幅をBとした場合、A/Bが0.05以上0.5以下であることが好ましい。0.05より小さい場合は、フィルムの幅に対して延伸区間長が短くなりすぎ、延伸ロールの直径を小さくする必要がある。この場合はロールのたわみなど強度が不足するため、均一な延伸を行うことができなくなる。0.5より大きい場合は、縦延伸におけるネックインの影響がフィルムセンター部まで及ぼされるため、幅方向の位相差や厚みの均一性に不利となる。より好ましくは0.1以上0.45以下である。
【0088】
また、本発明のロール間延伸後に横延伸を施してもよい。横延伸は、横延伸用のクリップ走行装置とオーブンとから構成されるテンター横延伸機が好ましく用いられる。クリップ走行装置はフィルムの横端部をクリップで掴んで搬送すると同時にクリップ走行装置のガイドレールを開いて左右2列のクリップ間の距離を広げることによって延伸する。なお、フィルムの流れ方向にもクリップの拡縮機能を持たせた同時二軸延伸機であっても良い。また、オーブンはフィルムを延伸可能な温度まで加熱すると共に、延伸後は必要に応じて熱処理を行い、その後冷却する。いずれの場合においても、フィルムの加熱は、熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、Tg−10℃以上Tg+50℃以下が好ましく、より好ましくはTg−5℃以上Tg+30℃以下である。
【0089】
本発明により製造される光学フィルムは、発泡やブリードアウトなどの欠点が少なく、高い耐熱性および透明性を有する。また例えば、本発明により製造される光学フィルムは可とう性に優れる。これらの特徴により、本発明により製造される光学フィルムは液晶表示装置等の偏光を取り扱う光学部材として好適に用いることができる。また、高い耐熱性により、光源などの発熱部に近接した配置が可能となる。
【0090】
本発明により製造される光学フィルムの厚さは、例えば、1μm以上1000μm未満であり、好ましくは10μm以上350μm未満である。厚さが1μm未満になると、フィルムとしての強度が不十分となる場合があり、後加工を行う際に、破断などが生じやすい。
【0091】
本発明により製造される光学フィルムは高いTgを有し、例えば、その値が110℃以上である樹脂フィルムを構成するアクリル系熱可塑性樹脂(A)の組成によっては、Tgは115℃以上、120℃以上、さらには130℃以上となる。
【0092】
本発明により製造される光学フィルムは、高い光線透過率を有する。例えば、厚さ100μmのフィルムとしたときの、全光線透過率は好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
【0093】
本発明により製造される光学フィルムは、着色が少なく、250μm厚みあたりのb値が好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下である。
【0094】
本発明により製造される光学フィルムは、好ましくはヘイズが5%以下であり、より好ましくは3%以下である。ヘイズが5%を越えると透過率が低下し、光学用途に適さないことがある。
【0095】
本発明により製造される光学フィルムの表面には、必要に応じて、各種の機能性コーティング層が形成されていてもよい。機能性コーティング層は、例えば、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層などである。
【0096】
本発明により製造される光学フィルムの用途は特に限定されないが、その高い透明性、耐熱性により、光学部材として好適に用いることができる。光学部材は、例えば、光学用保護フィルム、具体的には、各種の光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LDなど)基板の保護フィルム、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルムである。位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルムなどの光学フィルムとして、本発明により製造される光学フィルムを用いてもよい。
【実施例】
【0097】
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。以下の説明では、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。
尚、実施例において便宜上、下記略称を用いて説明する。
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸n−ブチル
MHMA:2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル
<ガラス転移温度>
各サンプルのガラス転移温度(Tg)はJIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線から始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
【0098】
<重量平均分子量>
アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で求めた。
システム:東ソー社製GPCシステム HLC−8220
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)、流量:0.6ml/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)、分離カラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:リファレンスカラム(東ソー社製、TSKgel SuperH−RC)
<製造例1>
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した1m3の反応釜に、MMA150kg、MHMA75kg、BMA25kg、トルエン250kgを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルペロックス570)150gを添加すると同時に、ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート300g、トルエン3.5kgからなる溶液を6時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに2時間かけて熟成を行った。
【0099】
得られた重合体溶液に、リン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−8)500gを加え、還流下(約85〜105℃)で2時間、環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を熱交換器に通して220℃まで昇温し、バレル温度250℃、回転数170rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=42mm、L/D=42)に、樹脂量換算で15kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なペレット(1A)を得た。ガラス転移温度Tgは132℃、重量平均分子量:128000であった。
<製造例2>
製造例1で得られた樹脂ペレット(1A)100質量部に対して、アンチブロッキング剤として微粒子(日本触媒社製、製品名:エポスターMA1002、平均粒子径2.5μm)0.2質量部をドライブレンドした後、ベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=37mm、L/D=34)へ導入し、シリンダ設定温度240℃にて混錬を行い微粒子含有ペレット(2A)を作成した。
<実施例1>
製造例2で得られたペレット(2A)を用い、φ65mm、L/D=32、バリアフライト型スクリューを有するベント付単軸押出機により溶融製膜を行った。次いで、得られた180μmの光学フィルムを加熱ロールの設定温度135℃の縦延伸機へ導入し、IRヒーターによる補助的加熱の下、周速の異なる一対のロール間にて2.0倍延伸を行った。
得られた延伸フィルムには段ムラは見られず、平滑であった。
<比較例1>
ペレット(1A)を用いたこと以外は実施例1と同様の縦延伸を実施した。
設定温度135℃の加熱ロールへフィルムが融着し、ひどい場合にはフィルムの破断が起こり、加熱ロールへ巻き付いた。かろうじて得られた延伸フィルムにも無数の段ムラが確認された。
<比較例2>
加熱ロールの設定温度を130℃にしたこと以外は実施例1と同様の縦延伸を実施した。加熱ロールへの融着によるフィルム破断は起こらなかったが、得られた延伸フィルムには段ムラが確認された。
<比較例3>
加熱ロールの設定温度を128℃にしたこと以外は実施例1と同様の縦延伸を実施した。加熱ロールへの融着によるフィルム破断は起こらなかったが、予熱が不十分であったため延伸ロールのトルクが上昇し、IRヒーターの出力を実施例1よりも上げる必要があった。
得られた延伸フィルムに段ムラは確認されなかったが、延伸点の固定が困難になり、膜厚精度が実施例1の延伸フィルムよりも悪化した。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、平滑性に優れ、液晶表示装置(LCD)、有機ディスプレイ(OLED)をはじめとする光学部材としての用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の製造方法で用いることのできるロール間延伸の概略の一例である。
【図2】本発明の製造方法で用いることのできるロール間延伸の概略の一例である。
【図3】本発明の製造方法で用いられるロール延伸機の概略図である
【符号の説明】
【0102】
1:加熱ロール
2:延伸ロール
3:ニップロール
4:補助ヒーター
5:フィルム
6:予熱ロール
7:冷却ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系熱可塑性樹脂とアンチブロッキング剤とを含む樹脂フィルムを前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも高い温度の加熱ロールで予熱してロール間延伸する光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記アンチブロッキング剤が平均粒子径0.05〜10μmの微粒子である請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記アクリル系熱可塑性樹脂に対し前記アンチブロッキング剤が0.01〜1質量%である請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が120℃以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記アクリル系熱可塑性樹脂が主鎖に環構造を有するアクリル系熱可塑樹脂を含むアクリル系熱可塑樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−275434(P2010−275434A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129764(P2009−129764)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】