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光学フィルムの製造方法
説明

光学フィルムの製造方法

【課題】アクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂とを混合し、溶融押出し製膜法で光学フィルムを製造する際、TD延伸を行った後、回収する迄に搬送ロールで抱き角を大きくして搬送する時、フィルムの両端部に割れ、亀裂等が発生しない光学フィルムの製造方法の提供。
【解決手段】アクリル系樹脂(A)と、セルロースエステル系樹脂(B)とを95:5から30:70の質量比で有する樹脂材料を用いた光学フィルムの製造方法であって、加熱溶融された樹脂材料をフィルム7に成形する工程、フィルム7を支持体上から剥離する工程、剥離されたフィルム7をテンター延伸装置により延伸する工程、及び、延伸されたフィルム7を搬送ロール403により少なくとも1回以上折り返す工程とを有し、前記樹脂フィルム7に対し、破断防止処理が施されることを特徴とする光学フィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの製造方法に関し、更に詳しくは、延伸工程以降の搬送におけるフィルムの破断が低減された光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶テレビやパソコンの液晶ディスプレイ等の用途で、需要が拡大している。通常、液晶表示装置は、透明電極、液晶層、カラーフィルター等をガラス板で挟み込んだ液晶セルと、その両側に設けられた2枚の偏光板で構成されており、それぞれの偏光板は、偏光子(偏光膜、偏光フィルムともいう)を2枚の光学フィルム(偏光板保護フィルム)で挟まれた構成となっている。この偏光板保護フィルムとしては、通常、セルロースエステルフィルムが用いられている。
【0003】
セルロースエステルィルムは、光学的、物理的に偏光板用の保護フィルムとして有用であるため一般に広く用いられている。しかしながら、セルロースエステルフィルムの製造方法は一般的にはハロゲン系の溶媒を用いた溶液流延製膜法による製造方法であるため、溶媒を乾燥工程により蒸発させる工程が必要となるため、設備が大掛かりになるとともに、蒸発させた溶媒が外部に漏れ出さないように設備自体の密閉性を高めたうえで溶媒を溶媒回収する必要もあるため、設備費用が非常に大きい負担となっていた。そのため、溶媒を用いない溶融押出し法による製膜方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
溶融押出し製膜法によれば、溶媒の乾燥工程が不要となり、更には、溶媒の回収設備も不要となるため、製造設備を大幅に小型化、簡略化できるとともに、光学的、物理的、寸法安定性に優れた光学フィルムを得ることが出来る。
【0005】
一方、セルロースエステルフィルムは比較的透湿性が高い性質を有しているため、リタデーションの環境変動に対する安定性、街頭や店頭に設置される大型ディスプレイとして十分な耐湿性が得られないという課題があり、セルロースエステル樹脂にアクリル系樹脂を併用した技術が検討されている。
【0006】
例えば、残留硫酸量が0.1ppmから50ppmの範囲セルロースエステル樹脂と重量平均分子量が500以上30000以下であるアクリル系ポリマーと可塑剤を含有する組成物を溶融押出し製膜する光学フィルムの製造方法が知られている(特許文献2参照、特許文献3参照。)。
【0007】
この様な技術によれば、セルロースエステルフィルムの湿度による特性の変動等を抑制しながら、低コストで光学フィルムを製膜することが可能である。
【0008】
ところで、光学フィルムを製造する際には、光学フィルムの膜厚の調整、広幅化、光学フィルムのリタデーション値の調整等の目的で、フィルムを延伸する工程を有することが一般的である。特に、光学フィルムの広幅化やリタデーション値の調整を行う為には、製膜方向と直交する方向(TD方向とも呼ばれる)に延伸する必要があり、このような延伸工程においては、クリップでフィルムの両端を把持して延伸を行ういわゆるテンター延伸が一般的に用いられる。延伸工程は、フィルム温度がある程度高温の状況で行われる必要があり、延伸直後に光学フィルムを巻き取ってロール化した場合、光学フィルムの貼り付きや、変形による厚みや光学値のバラつきの原因となる。また、冷却ロール等により加熱されたフィルムを急冷した場合においても、フィルムの収縮により厚みや光学値のバラつきの原因となる。その為、溶融押出し製膜法においても、光学フィルムを延伸した後にフィルムを巻き取るまでには、フィルムの温度を徐冷する為の搬送工程が必要となる。一方で、徐冷工程の為に設備が大掛かりになってしまうと溶融押出し製膜法における設備の小型化という利点が損なわれてしまうため、徐冷工程は、搬送ロールにより折り返してフィルムを蛇行させて搬送することで設備を大型化させることなく搬送距離を長くして徐冷することが考えられる。ところが、特許文献2及び特許文献3に記載のようにセルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合して光学フィルムを製造する場合において、このような徐冷工程を設けると、フィルムに亀裂や割れが発生し、フィルムの破断を引き起こす場合があるという新たな課題が発生することが明らかになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−352620号公報
【特許文献2】特開2007−231157号公報
【特許文献3】特開2009−271510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記状況を鑑みなされたものであり、その目的は光学フィルムをアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂とを混合し、溶融押出し製膜法で製造する際、テンター延伸装置を用いて、TD方向に延伸処理を行った後、回収する迄に搬送ロールで抱き角を大きくして搬送する時、フィルムの割れ、亀裂等が発生せず、フィルムの破断が抑制された光学フィルムの製造方法を提供することである。
【0011】
本発明者らの検討の結果、アクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂とを混合した樹脂を溶融押出し成膜法で成膜する際に、テンター延伸装置でフィルムを把持して延伸処理をした後に搬送ロールでフィルムを折り返すと、テンター延伸装置により把持されたフィルムの両端部から割れや亀裂が発生し、最終的にはフィルムの破断の原因となることが明らかになった。このような課題は、セルロースエステル系樹脂単体では発生しなかった問題であり、また、セルロース系樹脂とアクリル系樹脂を混合した樹脂を用いた場合であってもテンター延伸装置による延伸処理を行わない場合には、発生しない問題であった。このような課題は、セルロースエステル系樹脂にアクリル系樹脂を混合したことで、フィルムが脆く割れやすくなった為に顕在化した課題と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
【0013】
1.アクリル系樹脂(A)と、セルロースエステル系樹脂(B)とを95:5から30:70の質量比で有する樹脂材料を用いた光学フィルムの製造方法であって、
加熱溶融された前記樹脂材料を押し出して樹脂フィルムを形成する工程、
前記樹脂フィルムをテンター延伸装置により前記樹脂フィルムの両端部を把持しながら搬送方向と直交する方向に延伸する工程、及び、
延伸された前記樹脂フィルムを搬送ロールにより少なくとも1回以上折り返す工程とを有し、
前記樹脂フィルムに対し破断防止処理が施されることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0014】
2.前記破断防止処理は、前記延伸する工程の前に、前記樹脂フィルムの両端部に施されることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
【0015】
3.前記破断防止処理は、前記延伸する工程と前記折り返す工程との間に、前記樹脂フィルムの両端部に施されることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
【0016】
4.前記破断防止処理として、前記樹脂フィルムの両端部に溶媒が塗布されることを特徴とする前記2又は3に記載の光学フィルムの製造方法。
【0017】
5.前記破断防止処理として、前記樹脂フィルムの両端部にテープを貼合することを特徴とする前記2又は3に記載の光学フィルムの製造方法。
【0018】
6.前記破断防止処理として、前記樹脂フィルムの両端部に加熱処理を施すことを特徴とする前記3に記載の光学フィルムの製造方法。
【0019】
7.前記破断防止処理は、前記樹脂フィルムを形成する時に前記樹脂フィルムの両端に別の樹脂を共押出して積層させることで破断防止部を形成することを特徴とする前記2に記載の光学フィルムの製造方法。
【0020】
8.前記破断防止処理が施される両端部の幅は、前記樹脂フィルムの幅に対して、1%から30%であることを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0021】
9.前記搬送ロールの直径が25mmから500mmであることを特徴とする前記1から8の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0022】
10.前記搬送ロールは両端部に加熱手段を有し、前記樹脂フィルムを搬送する時の表面温度が60℃から90℃であることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
【0023】
11.前記延伸する工程後の前記樹脂フィルムの搬送速度が70m/min以下であることを特徴とする前記1から10の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0024】
12.前記光学フィルムの膜厚が20μmから200μmであることを特徴とする前記1から11の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0025】
光学フィルムをアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂とを混合し、溶融押出し製膜法で製造する際、テンター延伸装置を用いて、TD方向に延伸処理を行った後、回収する迄に搬送ロールで抱き角を大きくして搬送する時、フィルムに割れ、亀裂等が発生せず、フィルムの破断が抑制された光学フィルムの製造方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】溶融押出し製膜法で光学フィルムを製造する製造工程の一例を示す模式図である。
【図2】図1のRで示される部分の概略平面図である。
【図3】図1に示されるSの領域で破断防止処理を施す場合の概略拡大斜視図である。
【図4】図1に示すTD延伸工程以降に使用している搬送ロールの拡大概略斜視図である。
【図5】共押出しで破断防止処理を施す場合の状態を示す図1のTで示される部分の概略拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施する形態を図1から図4を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
図1は溶融押出し製膜法で光学フィルムを製造する製造工程の一例を示す模式図である。本発明は、本図に示す溶融押出し製膜法で光学フィルムの製造方法に関し、更に詳しくはTD延伸工程以降の回収工程までの搬送系で光学フィルムの両端部に割れ、亀裂の発生を防止しフィルムの破断を抑制した光学フィルムの製造方法に関する。
【0029】
図中、1は光学フィルムの製造工程を示す。製造工程1は、溶融押出し工程2と、フィルム成形工程3と、冷却引取り工程4と、フィルムの搬送方向の延伸工程(以下、MD延伸工程とする)5と、フィルムの搬送方向と直交する方向の延伸工程(以下、TD延伸工程とする)6と、回収工程8とを有している。
【0030】
尚、本発明では、溶融押出し工程2と、フィルム成形工程3とを含め、加熱溶融された前記樹脂材料を押し出して樹脂フィルムを形成する工程と言う。又、フィルムの搬送方向と直交する方向の延伸工程(以下、TD延伸工程とする)6を樹脂フィルムをテンター延伸装置により前記樹脂フィルムの両端部を把持しながら搬送方向と直交する方向に延伸する工程と言う。回収工程8を延伸された前記樹脂フィルムを搬送ロールにより少なくとも1回以上折り返す工程と言う。
【0031】
溶融押出し製膜法で光学フィルムを製造する製造工程としては特に限定はなく、本図に示される工程の他に、例えば熱固定工程を付加した製造工程であってもよい。
【0032】
溶融押出し工程2は、光学フィルムの樹脂を供給するホツパー201と、ホツパー201から供給された樹脂材料を加熱混練溶融する溶融機202と、溶融された樹脂材料を押出し工程3に安定に送るギヤポンプ203と、異物を除去するためのフィルター204と、添加剤の混合を均一にするためのミキサー205と、フィルム成形工程3のT型ダイス301に溶融された樹脂材料を供給する導管206とを有している。
【0033】
フィルター204には、圧力損失、製膜の容易性、異物混入除去性等を考慮し公称ろ過精度が3μmから10μmの焼結金属ファイバフィルターが使用することが好ましいとされている。
【0034】
フィルター204としては、特に限定はなく、例えばスクリーンメッシュと呼ばれるステンレス等の合金からなる金網の単層体、ステンレス等の合金からなる金網を積層し、各層を焼結した焼結金属フィルター、ステンレス鋼の微細繊維を複雑に編み込んだ金網にて繊維間の接点を焼結した焼結金属ファイバフィルター、金属粉末を焼結した焼結金属フィルター等が挙げられ、これらの中で特に焼結金属ファイバフィルターを使用することが好ましい。又、フィルター204は、フィルター204内で滞留に伴う過加熱が起こり難い様な構造であることが望ましい。
【0035】
本発明で用いられる樹脂材料は、アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル系樹脂(B)とを95:5から30:70の質量比で構成されている。好ましくは95:5から50:50であり、更に好ましくは90:10から60:40である。
【0036】
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の質量比が、95:5よりもアクリル樹脂(A)が多くなると、アクリル特有の脆さが顕著に表れるため好ましくない。又、同質量比が30:70よりもアクリル樹脂が少なくなると、耐湿性が不十分となるため好ましくない。
【0037】
アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル系樹脂(B)とを溶融した時、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)とが相溶状態となっていることが好ましい。
【0038】
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶状態となっているかどうかは、例えばガラス転移温度Tgにより判断することが可能である。例えば、両者の樹脂のガラス転移温度が異なる場合、両者の樹脂を混合したときは、各々の樹脂のガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は2つ以上存在するが、両者の樹脂が相溶したときは、各々の樹脂固有のガラス転移温度が消失し、1つのガラス転移温度となって相溶した樹脂のガラス転移温度となる。尚、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
【0039】
フィルム成形工程3は、T型ダイス301を用いている。導管206を介してT型ダイス301に供給されてくる溶解した樹脂材料は、T型ダイス301のスリット状の押出口からフィルム状に押出され冷却引取り工程4で引き取られ冷却固化し樹脂フィルム7となる。
【0040】
T型ダイス301としては、コートハンガータイプとストレートマニホールドタイプとに分別されるが、本発明では特に限定はなく、使用する樹脂材料により適宜選択することが可能となっている。又、単層用でも多層用であっても構わない。
【0041】
冷却引取り工程4は、T型ダイス301でフィルム状に押出された樹脂材料を冷却ロール401に押付ける押付けロール402と、冷却ロール401により冷却固化されたフィルム7を搬送する複数の搬送ロール403とを有している。
【0042】
MD延伸工程5は、複数の延伸ロール(不図示)を有しており、各延伸ロールの周速に差を付けることで冷却引取り工程4で成形された樹脂フィルム7のMD延伸が行われる。
【0043】
TD延伸工程6は、テンター延伸装置(不図示)有しており、MD延伸工程5でMD延伸が行われた樹脂フィルム7の両端をテンター延伸装置(不図示)で把持しTD延伸が行われる。
【0044】
TD延伸工程6でのTD延伸率は、ウェブの弛み、膜厚、光学値の偏差、樹脂フィルムの破断、ヘイズ上昇等を考慮し、1.01倍から3倍が好ましい。
【0045】
TD延伸工程6での延伸速度は、TD延伸率、延伸ムラ等を考慮し、30m/minから70m/minが好ましい。
【0046】
TD延伸工程6の全長は、延伸率、延伸時間等を考慮し適宜決めることが可能である。テンター延伸装置(不図示)に使用するテンターは特に限定はなく、例えば、クリップテンター、ピンテンター等が挙げられ、必要に応じて選択し使用することが可能である。
【0047】
回収工程8はTD延伸工程6で延伸された樹脂フィルム7を巻き取る巻き取り機801を有しており、樹脂フィルムを必要量の長さに巻き芯に巻き取る。801aは巻き芯に巻き取られたロール状の樹脂フィルムを示す。
【0048】
801b、801c、801d、801eはTD延伸工程6で延伸された樹脂フィルム7を回収工程8へ搬送するための搬送ロールを示す。尚、搬送ロールの本数、回収工程までの引き回しの経路は製造工程の設置環境により変更することは可能となっている。
【0049】
搬送ロール801bから801eの直径は、樹脂フィルムの両端部に掛かる応力、樹脂フィルムの両端部の割れ、亀裂等を考慮し、25mmから500mmが好ましい。より好ましくは、70mmから200mmである。
【0050】
搬送ロールの直径が25mm以上であれば、破断防止処理による効果が顕著に得られ、搬送ロールの直径が500mmを越えた場合、樹脂フィルム搬送時の折り返しによる樹脂フィルムへの応力は低減されるものの、装置が大型化する為、本願発明の装置の小型化の観点では、500mm以下とすることが好ましい。
【0051】
尚、巻き取る際の温度は、巻き取り後の収縮によるスリキズ、巻き緩み等を防止するために室温まで冷却することが好ましい。使用する巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることが出来る。
【0052】
本図に示す製造工程では、MD延伸工程5、TD延伸工程6の配置の場合を示しているが、必要に応じてTD延伸工程6、MD延伸工程5の配置にしても構わない。
【0053】
本図に示される製造工程でTD延伸工程6以降の樹脂フィルム7の搬送速度は、端部からの破断、亀裂等を考慮し、70m/min以下が好ましく、より好ましくは30m/minから70m/minである。
【0054】
尚、本発明では、本図に示される製造工程で製造された樹脂フィルム7を光学フィルムと言う。
【0055】
本図に示される製造工程で製造される光学フィルムの幅は、生産性を考慮し、500mmから5000mmが好ましい。より好ましくは、500mmから3000mmである。
【0056】
本図に示される製造工程で製造される光学フィルムの膜厚は、割れ、亀裂等を考慮し、20μmから200μmであることが好ましく、25μmから100μmであることがより好ましく、30μmから80μmであることが特に好ましい。
【0057】
本図に示される製造工程で製造される光学フィルムの長さは、取り扱い性、生産性等を考慮し、100mから5000mが好ましい。
【0058】
図2は図1のRで示される部分の概略平面図である。
【0059】
図中、701は樹脂フィルム7の端部を示す。702は樹脂フィルム7の他方の端部を示す。端部701、端部702に破断防止処理が施されている。
【0060】
本発明で破断防止処理とは、延伸終了後のフィルムを搬送ローラーで抱き角度を持って搬送するとき、フィルムの両端に割れ、亀裂等が発生することを防止するための処理を言う。
【0061】
Gは、樹脂フィルム7の全幅を示す。
【0062】
Hは、端部701の幅を示す。幅Hは全幅Gに対して、端部からの破断防止、クリップミス等を考慮し、1%から30%が好ましい。端部702の幅は、端部701の幅Hと同じであることが好ましい。
【0063】
端部701、端部702に設ける破断防止処理を施す方法は次の方法が挙げられる。
【0064】
1.TD延伸工程6(図1参照)終了後、形成された樹脂フィルム7が搬送ロールで抱き角を持って搬送される間に破断防止処理を施す方法。具体的には、図1ではTD延伸工程6と搬送ロール801bとの間に破断防止処理を施す手段を設ける。例えば、TD延伸工程6を終了した樹脂フィルム7の端部701、端部702を加熱して柔軟性を付与する方法や、TD延伸工程6を終了した樹脂フィルム7の端部701、端部702に溶剤を塗布する方法等が好ましく挙げられる。また、TD延伸工程6を終了した樹脂フィルム7の端部701及び端部702にテープを貼合する方法も好ましく用いられる。
【0065】
2.TD延伸工程6(図1参照)前に予め樹脂フィルムに破断防止処理を施す方法。具体的には、フィルム成形工程3(図1参照)で、両端から樹脂を押し出すことが出来るダイスを使用し、両端部に破断防止処理用の樹脂を共押出しして破断防止処理を施す方法が挙げられる。また、TD延伸前に、樹脂フィルム7の端部701及び端部702にテープを貼合する方法も好ましく用いられる。テープを貼合する場合は、MD延伸工程5とTD延伸工程6の間にテープを貼合する工程が設けられることが好ましい。
【0066】
3.TD延伸工程6後に、搬送ロール801bで搬送される際に、破断防止処理を施す方法。具体的には、搬送ロール801bにより樹脂フィルム7の端部701及び端部702を加熱する方法が挙げられる。
【0067】
図3は、図1に示されるSの領域で破断防止処理を施す場合の概略拡大斜視図である。図3(a)は破断防止処理を施す手段として溶剤塗布装置を配設した図1に示されるSの領域で破断防止処理を施す場合の概略拡大斜視図である。図3(b)は破断防止処理を施す手段としてテープ貼合装置を配設した図1に示されるSの概略拡大斜視図である。
【0068】
図3(a)に付き説明する。
【0069】
図中、9は破断防止処理を施す手段としての溶剤塗布装置を示す。溶剤塗布装置9は、樹脂フィルム7の端部701に溶剤を塗布する溶剤塗布装置9aと、樹脂フィルム7の端部702に溶剤を塗布する溶剤塗布装置9bとを有している。溶剤塗布装置9aはコーター9a1と、溶剤の供給管9a2とを有している。溶剤塗布装置9bはコーター9b1と、溶剤の供給管9b2とを有している。
【0070】
701aは溶剤塗布装置9aにより溶剤が塗布されることで端部701に柔軟性が付与され破断防止処理が施された部分を示す。
【0071】
702aは溶剤塗布装置9bにより溶剤が塗布されることで端部702に柔軟性が付与され破断防止処理が施された部分を示す。
【0072】
使用する溶剤としては、樹脂フィルム7を柔軟にする溶剤であれば特に限定はなく、例えばアセトン、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0073】
溶剤の塗布量としては、樹脂フィルム7の端部701、端部702に柔軟性を付与する程度が好ましい。例えば、アセトンの場合は、10ml/minから100ml/minが好ましい。
【0074】
樹脂フィルム7の端部701、端部702に柔軟性を付与することで搬送ロールで抱き角を持って搬送される時に応力が分散され割れ、亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0075】
図3(b)に付き説明する。
【0076】
図中、9′は破断防止処理を施す手段としてのテープ貼合装置を示す。テープ貼合装置9′は、樹脂フィルム7の端部701にテープ10を貼合するテープ貼合装置9′aと、樹脂フィルム7の端部702にテープ10を貼合するテープ貼合装置9′bとを有している。テープ貼合装置9′aはテープ供給装置9′a1と、押圧ロール9′a2とを有している。テープ貼合装置9′bはテープ供給装置9′b1と、押圧ロール9′b2とを有している。テープ供給装置から供給されたテープ10は押圧ロールにより樹脂フィルム7の端部に貼合される。
【0077】
尚、テープ10とフィルム7の端部701、端部702の位置制御は端部位置制御装置(不図示)により制御することが好ましい。
【0078】
10aはテープ貼合装置9′aにより端部701に貼合された破断防止処理としてのテープを示す。
【0079】
10bはテープ貼合装置9′bにより端部702に貼合された破断防止処理としてのテープを示す。
【0080】
使用するテープとしては、樹脂フィルム7の端部701、端部702に接着し、端部に強度を与えるテープであれば限定はなく、例えば、マスキングテープ等が挙げられる。
【0081】
テープの厚さとしては、テープを貼合した時の樹脂フィルムのつれを考慮し、10μmから200μmが好ましい。
【0082】
樹脂フィルム7の端部701、端部702にテープを貼合することでフィルムの端部が補強され、搬送ロールで抱き角を持って搬送される時に割れ、亀裂の発生を防止することが可能となる。また、樹脂フィルム7はテープを貼合されたまま巻き取られてもよく、巻き取り前にテープが貼合された端部をスリット等により除去してから巻き取られてもよい。
【0083】
図4は、図1に示すTD延伸工程6以降に使用している搬送ロールの拡大概略斜視図である。
【0084】
図中、801bは搬送ロールを示す。801b1は搬送ロール801bの端部を示し、801b2は他方の端部を示す。搬送ロール801bの内部の端部801b1、端部801b2に該当する部分には加熱手段(例えばヒーター)(不図示)が配設されており、樹脂フィルム7の端部701(図2参照)、端部702(図2参照)を加熱することが可能となっている。端部801b1、端部801b2とは、少なくともTD延伸工程においてテンター延伸装置により把持された樹脂フィルムの部分に対応した領域を表しており、好ましくは搬送ロール801bの全幅に対して、1%から30%の領域を言う。
【0085】
尚、樹脂フィルム7の端部701(図2参照)、端部702(図2参照)を加熱する他の方法としては加熱風を吹き付ける方法や赤外線ヒーターで加熱する方法であってもよく、この場合は、搬送ロール801bにより搬送される前に樹脂フィルム7を加熱することが好ましい。
【0086】
端部701(図2参照)、端部702(図2参照)、を加熱する温度としては、樹脂フィルムの溶融、組成変化等を考慮し、60℃から90℃が好ましい。
【0087】
樹脂フィルム7の端部701(図2参照)、端部702(図2参照)を加熱することで、端部701(図2参照)、端部702(図2参照)に柔軟性が付与され、搬送ロールで抱き角を持って搬送される時に端部が柔軟になり割れ、亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0088】
図5は、共押し出しで破断防止処理を施す場合の状態を示す図1のTで示される部分の概略拡大正面図である。
【0089】
図中、7aは両端からも樹脂を押し出すことが出来る共押出用のT型ダイス301′から押し出された樹脂材料の溶融膜を示す。7bは溶融膜7aの両端にT型ダイス301′から共押し出された樹脂材料の溶融膜を示す。
【0090】
共押し出に用いる樹脂は、樹脂フィルム7と接着性を有する樹脂であれば特に限定はない。押出しする樹脂としては、例えば、セルロースエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等が挙げられる。
【0091】
図1から図4に示す様に、溶融したアクリル系樹脂(A)とセルロースエステル系樹脂(B)とを95:5から30:70の質量比で構成された、樹脂材料をT型ダイスを使用した溶融押出し製膜法で樹脂フィルムの両端に破断防止処理を施し、抱き角を持って搬送ロールで搬送し光学フィルムを製造することで次の効果が得られた。
1.TD延伸を行った後、回収する迄にロールで抱き角を大きくして搬送しても樹脂フィルムの両端部に割れ、亀裂等が発生することなく光学フィルムを製造することが可能となり、生産効率が向上出来る。
2.製造工程の立体化が可能となり、敷地の有効利用が可能となった。
3.従来のセルロースエステル系樹脂やアクリル系樹脂を単独で使用して作製した光学フィルムでは成し得なかった低吸湿性、透明性、高耐熱性及び脆性の改善を同時に達成した光学フィルムを効率よく製造することが可能となった。
【0092】
尚、本発明の製造方法で得られた光学フィルムの具体的な用途としては、液晶表示装置や有機EL表示装置等に好適な光学用途部材に使用することが可能であり、特に液晶表示装置に用いられる偏光板用保護フィルムや、位相差フィルムとして好適に用いることが出来る。
【0093】
次ぎに本発明の光学フィルムの製造方法に係わる樹脂材料に付き説明する。
【0094】
〈アクリル樹脂(A)〉
本発明に用いられるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50質量%から99質量%、及びびこれと共重合可能な他の単量体単位1質量%から50質量%からなるものが好ましい。
【0095】
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2から18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1から18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、或いは2種以上の単量体を併用して用いることが出来る。
【0096】
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
【0097】
アクリル樹脂(A)は、特に光学フィルムとしての脆性の改善及びセルロースエステル樹脂(B)と相溶した際の透明性の改善の観点で、重量平均分子量(Mw)が80000以上であることが好ましい。アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が80000以上であれば、セルロースエステル樹脂(B)と相溶させた際に、樹脂フィルムとしての剛性を損なうことなく所望の物性を改善することが出来る。アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、80000から1000000の範囲内であることが更に好ましく、100000から600000の範囲内であることが特に好ましく、150000から400000の範囲であることが最も好ましい。アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)の上限値は特に限定されるものではないが、製造上の観点から1000000以下とされることが好ましい形態である。
【0098】
アクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することが出来る。測定条件は以下の通りである。
【0099】
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000から500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
【0100】
アクリル樹脂(A)中のメチルメタクリレートモノマー含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計より測定することが出来る。測定条件は以下の通りである。
【0101】
試料:アクリル樹脂(A)をアセトニトリルに溶解し0.1%の試料溶液を作製
試料量:1μl
機器:HP 5890シリーズII/HP5971 MSD
カラム:GLサイエンス製 InertCAP for amines(0.32mmid×30m)
注入口:200℃
MSD:SIM m/z=55,100
OVEN:60℃(4min)→15(℃/min)→120℃
尚、作製したアクリル樹脂(A)を含有した光学フィルム中のメチルメタクリレートモノマーの量も同様の方法で測定することが出来る。
【0102】
アクリル樹脂(A)の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、或いは溶液重合等の公知の方法の何れを用いてもよい。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系及びアゾ系のものを用いることが出来、又、レドックス系とすることも出来る。重合温度については、懸濁又は乳化重合では30℃から100℃、塊状又は溶液重合では80℃から160℃で実施し得る。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することも出来る。
【0103】
アクリル樹脂(A)としては、市販のものも使用することが出来る。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル樹脂は2種以上を併用することも出来る。
【0104】
〈セルロースエステル樹脂(B)〉
セルロースエステル樹脂(B)は、特に脆性の改善やアクリル樹脂(A)と相溶させたときに透明性の観点から、アシル基の総置換度(T)が2.0から3.0、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2から3.0であることが好ましく、炭素数3から7のアシル基の置換度は、2.0から3.0であることが更に好ましい。即ち、本発明に係るセルロースエステル樹脂は、好ましくは炭素数が3から7のアシル基により置換されたセルロースエステル樹脂であり、具体的には、炭素数が3から7のアシル基としては、プロピオニル、ブチリル等が好ましく用いられるが、特にプロピオニル基が好ましく用いられる。
【0105】
セルロースエステル樹脂(B)の、アシル基の総置換度が2.0以上であれば、即ち、セルロースエステル分子の2,3,6位のヒドロキシル基(水酸基)の残度が1.0を下回る場合には、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の相溶性が改善する。又、アシル基の総置換度が2.0以上で、炭素数が3から7のアシル基の置換度が1.2を上回る場合は、更に相溶性を高めることが出来、脆性の低下を抑制することが出来る。
【0106】
セルロースエステル樹脂(B)のアシル置換度は、炭素数が3から7以外のアシル基、即ち、アセチル基や炭素数が8以上のアシル基の置換度の総計が1.3以下とされることが更に好ましい。
【0107】
又、セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)は、2.5から3.0の範囲であることが特に好ましい。
【0108】
アシル基としては、脂肪族アシル基であっても、芳香族アシル基であってもよい。脂肪族アシル基の場合は、直鎖であっても分岐していても良く、更に置換基を有してもよい。アシル基の炭素数は、アシル基の置換基を包含するものである。
【0109】
セルロースエステル樹脂(B)が、芳香族アシル基を置換基として有する場合、芳香族環に置換する置換基Xの数は0から5個であることが好ましい。この場合も、置換基を含めた炭素数が3から7であるアシル基の置換度が1.2から3.0となることが好ましい。例えば、ベンゾイル基は炭素数が7になる為、炭素を含む置換基を有する場合は、ベンゾイル基としての炭素数は8以上となり、炭素数が3から7のアシル基には含まれないこととなる。
【0110】
更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、又、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
【0111】
セルロースエステル樹脂(B)としては、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、即ち、炭素原子数3又は4のアシル基を置換基として有するものが好ましい。
【0112】
これらの中で特に好ましいセルロースエステル樹脂は、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースプロピオネートである。
【0113】
アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシル基(水酸基)として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することが出来る。
【0114】
尚、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
【0115】
セルロースエステル樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、特にアクリル樹脂(A)との相溶性、脆性の改善の観点から75000以上であることが好ましく、75000から300000の範囲であることが更に好ましく、100000から240000の範囲内であることが特に好ましく、160000から240000のものが最も好ましい。セルロースエステル樹脂の重要平均分子量(Mw)が75000以上であれば、アクリル樹脂(A)の耐熱性や脆性の改善効果を顕著に得ることが出来る。本発明では2種以上のセルロース樹脂を混合して用いることも出来る。
【0116】
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)は、それぞれ非結晶性樹脂であることが好ましく、何れか一方が結晶性高分子、或いは部分的に結晶性を有する高分子であってもよいが、本発明においてアクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶することで、非結晶性樹脂となることが好ましい。
【0117】
本発明の光学フィルムの製造方法では、光学フィルムとしての機能を損なわない限りは、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂や添加剤を含有して構成されていても良い。
【0118】
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂を含有する場合、添加される樹脂が相溶状態であっても、溶解せずに混合されていてもよい。
【0119】
〈その他の添加剤〉
本発明の光学フィルムの製造方法では、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、リン系難燃剤、帯電防止剤等を併用することが可能である。
【0120】
(可塑剤)
可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、あるいはエポキシ系等が挙げられる。
【0121】
この中で、ポリエステル系とフタル酸エステル系の可塑剤が好ましく用いられる。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル系の可塑剤に比べて非移行性や耐抽出性に優れるが、可塑化効果や相溶性にはやや劣る。
【0122】
従って、用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用出来る。
【0123】
ポリエステル系可塑剤は、一価ないし四価のカルボン酸と一価ないし六価のアルコールとの反応物であるが、主に二価カルボン酸とグリコールとを反応させて得られたものが用いられる。代表的な二価カルボン酸としては、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
【0124】
特に、アジピン酸、フタル酸などを用いると可塑化特性に優れたものが得られる。グリコールとしてはエチレン、プロピレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキサメチレン、ネオペンチレン、ジエチレン、トリエチレン、ジプロピレンなどのグリコールが挙げられる。これらの二価カルボン酸及びグリコールはそれぞれ単独で、あるいは混合して使用してもよい。
【0125】
このエステル系の可塑剤はエステル、オリゴエステル、ポリエステルの型のいずれでもよく、分子量は100から10000の範囲が良いが、好ましくは600から3000の範囲が、可塑化効果が大きい。
【0126】
又、可塑剤の粘度は分子構造や分子量と相関があるが、アジピン酸系可塑剤の場合相溶性、可塑化効率の関係から200MPa・s(25℃)から5000MPa・s(25℃)の範囲がよい。更に、いくつかのポリエステル系可塑剤を併用してもかまわない。
【0127】
可塑剤は、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)混合組成物100質量部に対して、0.5質量部から30質量部を添加するのが好ましい。可塑剤の添加量が30質量部を越えると、製造された光学フィルムの表面がべとつくので、実用上好ましくない。
【0128】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤を含有することも好ましく、用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することが出来る。
【0129】
ここで、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することが出来る。
【0130】
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、更には2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することが出来る。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
【0131】
(リン系難燃剤)
リン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる1種、あるいは2種以上の混合物を挙げることが出来る。
【0132】
具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
【0133】
本発明に係る光学フィルムの製造方法によれば、従来の光学フィルムでは成し得なかった低吸湿性、透明性、高耐熱性を有し、脆性の改善を同時に達成した光学フィルムを破断させることなく簡素且つ小型化された設備で製造することが出来る。
【実施例】
【0134】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0135】
実施例1
(光学フィルム形成用樹脂材料の準備)
樹脂材料として表1,2に示す様にアクリル系樹脂(A)とセルロースエステル系樹脂(B)との混合比率を変えた樹脂材料を準備し、No.1−1から1−50とした。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
樹脂(A)*:アクリル系樹脂(A)
樹脂(B)*:セルロースエステル系樹脂(B)
ac*:アセチル基
pr*:プロピオニル基
bu*:ブチリル基
pen*:ペンタノイル基
hep*:ヘプタノイル基
bz*:ベンゾイル基
oct*:オクタノイル基
ph*:フタリル基
ダイヤナールBR80(三菱レイヨン(株)製) Mw95000
ダイヤナールBR83(三菱レイヨン(株)製) Mw40000
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製) Mw280000
ダイヤナールBR88(三菱レイヨン(株)製) Mw480000
以下のアクリル樹脂A1−A7、及びMS1、2を公知の方法によって調製した。
【0139】
A1*:モノマー質量比(MMA:MA=98:2)、Mw70000
A2*:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)、Mw160000
A1:モノマー質量比(MMA:MA=98:2)、Mw70000
A2:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)、Mw160000
A3:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)、Mw350000
A4:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)、Mw550000
A5:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)、Mw800000
A6:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)、Mw930000
A7:モノマー質量比(MMA:MA=94:6)、Mw1100000
MS1:モノマー質量比(MMA:ST=60:40)、Mw100000
MS2:モノマー質量比(MMA:ST=40:60)、Mw100000
MMA:メチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
ST:スチレン
P1*:特開2005−14684号公報実施例に記載の1A
P2*:特開2003−12859号公報実施例に記載のポリマー1
(光学フィルムの作製)
図1に示す製造工程を使用し、以下に示す条件で準備した樹脂材料No.1−1から1−50を用いて溶融押出し製膜法で膜厚40μm、幅1500mm、長さ2000mの光学フィルムを作製し、試料No.101から150とした。尚、破断防止処理としてはテンター延伸装置によりTD延伸工程を終了した後、搬送ロールにより樹脂フィルムが折り曲げられる前に図3(a)に示す方法で樹脂フィルムの両端部150mmにアセトンを供給量40ml/minで塗布し回収工程迄ロール搬送しロール状に巻き取り回収した。
【0140】
又、準備した樹脂材料No.1−1を使用し、両端部にアセトンを塗布しない他は全て試料No.101と同じ条件で光学フィルムを作製し、比較試料No.151とした。準備した樹脂材料No.1−2を使用し、両端部にアセトンを塗布しない他は全て試料No.102と同じ条件で光学フィルムを作製し、比較試料No.152とした。準備した樹脂材料No.1−4を使用し両端部にアセトンを塗布しない他は全て試料No.104と同じ条件で光学フィルムを作製し、比較試料No.153とした。準備した樹脂材料No.1−5を使用し両端部にアセトンを塗布しない他は全て試料No.105と同じ条件で光学フィルムを作製し、比較試料No.154とした。
【0141】
溶融押出し工程
溶融温度:250℃
押出し量:120kg/h
フィルム成形工程
T型ダイス:コートハンガータイプ スリット幅1500mm
MD延伸工程
MD延伸倍率:×2.3
TD延伸工程
TD延伸倍率:×2.3
温度:160℃
TD延伸工程以降の樹脂フィルムの搬送速度:50m/min
TD延伸工程以降の搬送ロールの直径:100mm
TD延伸工程以降回収工程までの搬送ロールにおける樹脂フィルムの抱き角度:90°
評価
作製した試料No.101から154に付き、引き裂き、脆性、破断防止効果に付き以下に示す方法で試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表3、表4に示す。
【0142】
引き裂きの試験方法
軽荷重引き裂き試験機(東洋精機社製)型式Dを用いて各試料を引き裂き、以下のように評価した。
【0143】
引き裂きの評価ランク
○:50mN以上
△:35mN以上から50mN未満
×:35mN未満
脆性の試験方法
各試料を100mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、縦方向の中央部で山折り、谷折りと2つにそれぞれ1回ずつ折りまげ、この評価を3回測定して、下記基準で評価した。尚、ここでの評価の折れるとは、割れて2つ以上のピースに分離したことを表す。
【0144】
脆性の評価ランク
○:3回とも折れない
△:3回のうち少なくとも1回は折れる
×:3回のうち少なくとも2回は折れる
破断防止効果の試験方法
2000mにつき、端部の割れ、裂けの有無を目視観察した。
【0145】
破断防止効果の評価ランク
○:割れ、裂けの発生が認められない
△:故障にはならない僅かな割れが散見される
×:割れ、裂けの発生が認められる
【0146】
【表3】

【0147】
【表4】

【0148】
アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル系樹脂(B)とを95:5から30:70の質量比で構成されたセルロース系樹脂を、T型ダイスを使用した溶融押出し製膜法でフィルムを成形し、TD延伸工程以降に両端に破断防止処理を施し、回収する迄に搬送ロールで抱き角を持って搬送し製造した試料No.101、102、104から106、108から146、148、149は、引き裂き、脆性、破断防止効果の何れも優れた性能を示した。
【0149】
アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル系樹脂(B)とを98:2の質量比で構成した樹脂材料を用いて作製した試料No.103は引き裂き、脆性、破断防止効果の何れも劣る性能を示した。
【0150】
アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル系樹脂(B)とを27:73の質量比で構成した樹脂材料を用いて作製した試料No.107は引き裂き、脆性、破断防止効果の何れも劣る性能を示した。
【0151】
アクリル系樹脂(A)を単独で使用して作製した試料No.147は引き裂き、脆性、破断防止効果の何れも劣る性能を示した。
【0152】
両端に破断防止手段設けずに作製した比較試料No.150から153は何れも破断防止効果が劣る結果を示した。
【0153】
尚、図1に示す製造工程でMD延伸工程とTD延伸工程の配置を逆にした他は試料No.101から149と同じ条件で試料を作製した結果、引き裂き、脆性、破断防止効果の何れも実施例1の試料No.101から149と同じ性能を示した。
【0154】
実施例2
(光学フィルム形成用樹脂材料の準備)
実施例1で準備した樹脂材料No.1−1と同じ樹脂材料を準備した。
【0155】
(光学フィルムの作製)
図1に示す製造工程を使用し、表5に示す様に破断防止処理の種類を変えた他は実施例1で作製した試料No.101と同じ方法で光学フィルムを作製し試料No.201から206とした。
【0156】
テープ貼合1*:貼合するテープとして、厚さ90μm、幅90mm(樹脂フィルムの全幅に対して12%)基材(ポリエステル+アクリル系粘着層)スリオンテック(株)製を準備し、図3(b)に示すテープ貼合装置により樹脂フィルムの両端に貼合した。
【0157】
テープ貼合2*:貼合するテープとして、厚さ105μm、幅100mm(樹脂フィルムの全幅に対して13%)基材(ポリエステル+シリコーン系粘着層)スリオンテック(株)製を準備し、図3(b)に示すテープ貼合装置により樹脂フィルムの両端に貼合した。
【0158】
共押出し1*:T型ダイスとし両端から共押出しが出来るT型ダイスを準備した。又、共押出しに使用するセルロースエステル樹脂を溶融押出しするため図1に示す製造工程の溶融押出し工程と同じ構成の溶融押出し工程を2系列配設した。この他は図1に示す製造工程のフィルム成形工程と同じ工程で、実施例1で準備した樹脂材料No.1−1で用いられていたセルロースエステル樹脂を溶融し、準備したT型ダイスを使用し樹脂フィルムの両端のみにセルロースエステル樹脂を共押出しし、破断防止処理としてのアセトンを塗布しない他は実施例1の試料No.101と同じ条件とした。
【0159】
共押出し2*:共押出しに使用するセルロースエステル樹脂に代わり、ポリエチレン(PE)樹脂を使用した他は、試料No.202と同じ条件とした。
【0160】
共押出し3*:共押出しに使用するセルロースエステル樹脂に代わり、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を使用した他は、試料No.202と同じ条件とした。
【0161】
評価
作製した試料No.201から206に付き、引き裂き、脆性、破断防止効果の形状に付き、実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。
【0162】
【表5】

【0163】
両端部に溶剤の代わりにテープ貼合、共押出しで破断防止処理を施し作製した試料No.202から206は引き裂き、脆性、破断防止効果共に優れていることを確認した。
【0164】
両端部に破断防止処理を施さずに作製した試料No.201は、本発明の試料No.202から206に対して、破断防止効果が劣る結果を示した。
【0165】
実施例3
(光学フィルム形成用樹脂材料の準備)
実施例1で準備した樹脂材料No.1−1と同じ樹脂材料を準備した。
【0166】
(光学フィルムの作製)
図1に示す製造工程を使用し、TD延伸工程以降回収工程までの搬送ロールの直径を表6に示す様に変えた他は実施例1で作製した試料No.101と同じ方法でセルロース系樹脂フィルムを作製し試料No.301から307とした。
【0167】
評価
作製した試料No.301から307に付き、引き裂き、脆性、破断防止効果に付き、実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。尚、両端のアセトンを塗布する幅は試料No.101と同じとした。
【0168】
【表6】

【0169】
直径が25mmから500mmの搬送ロールを使用して作製した試料No.302から306は引き裂き、脆性、破断防止効果は良い結果を示した。直径600mmの搬送ロールを使用して作製した試料No.307は引き裂き、脆性、破断防止効果は良い結果を示したが、工程に過剰の設備投資が必要となった。
【0170】
実施例4
(光学フィルム形成用樹脂材料の準備)
実施例1で準備した樹脂材料No.1−1と同じ樹脂材料を準備した。
【0171】
(光学フィルムの作製)
図1に示す製造工程を使用し、TD延伸工程以降回収工程までに使用する図4に示す搬送ロールの両端の温度を表7に示す様に変えた他は実施例1で作製した試料No.103と同じ方法で光学フィルムを作製し試料No.401から406とした。尚、搬送ロールの両端の加熱する幅は搬送ロールの全幅の20%とした。
【0172】
評価
作製した試料No.401から406に付き、引き裂き、脆性、破断防止効果に付き、実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表7に示す。
【0173】
【表7】

【0174】
搬送ロール温度を60℃から90℃で作製した試料No.402から405は、引き裂き、脆性、破断防止効果は優れた結果を示した。搬送ロール温度を100℃にして作製した試料No.406は引き裂き、脆性、破断防止効果は良い結果を示したが、樹脂フィルムが柔軟になり過ぎていまし、一部融けてロールに付着し、ロール汚れの原因となった。
【0175】
実施例5
(光学フィルム形成用樹脂材料の準備)
実施例1で準備した樹脂材料No.1−1と同じ樹脂材料を準備した。
【0176】
(光学フィルムの作製)
図1に示す製造工程を使用し、TD延伸工程以降回収工程までの光学フィルムの搬送速度を表8に示す様に変えた他は実施例1で作製した試料No.101と同じ方法で光学フィルムを作製し試料No.501から506とした。
【0177】
評価
作製した試料No.501から506に付き、引き裂き、脆性、破断防止効果に付き、実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。
【0178】
【表8】

【0179】
セルロース系樹脂フィルムの搬送速度が70m/min以下で作製した試料No.501から505は引き裂き、脆性、破断防止効果の何れも優れた性能を示した。但し、搬送速度25m/minの場合は生産効率が低下してしまうため、実用上は搬送速度を25m/min以上とすることが好ましい。搬送速度80m/minで作製した試料No.506は、引き裂き、脆性は良好な結果を示したが、搬送ロールでの応力が大きくなる為、実用の範囲内ではあるが、破断防止効果が若干劣る結果となった。
【0180】
実施例6
(光学フィルム形成用樹脂材料の準備)
実施例1で準備した樹脂材料No.1−1と同じセルロース系樹脂材料を準備した。
【0181】
(光学フィルムの作製)
図1に示す製造工程を使用し、セルロース系樹脂フィルムの厚さを表9に示す様に変えた他は実施例1で作製した試料No.101と同じ方法で光学フィルムを作製し試料No.601から609とした。
【0182】
厚さの変化は、T型ダイスの押出し口の幅及び樹脂材料の押出し量を変えることで変化した。
【0183】
評価
作製した試料No.601から609に付き、引き裂き、脆性、破断防止効果に付き、実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表9に示す。
【0184】
【表9】

【0185】
光学フィルムの膜厚を20μmから200μmで作製した試料No.602から608は、引き裂き、脆性、破断防止効果は何れも優れた結果を示した。20μmより薄い場合及び200μmよりも厚い場合は、実用上問題ないものの、何れかの効果が若干劣る結果となった。
【符号の説明】
【0186】
1 製造工程
2 溶融押出し工程
201 ホツパー
202 溶融機
3 フィルム成形工程
301 T型ダイス
4 冷却引取り工程(MD延伸工程)
401 冷却ロール
402 押付けロール
403、801bから801e 搬送ロール
5 MD延伸工程
6 TD延伸工程
7 フィルム
801b1、801b2、701、702 端部
701a、702a 破断防止処理が施された部分
9、9a、9b 溶剤塗布装置
9a1、9b1 コーター
9′、9′a1、9′b1 テープ貼合装置
10、10a、10b テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系樹脂(A)と、セルロースエステル系樹脂(B)とを95:5から30:70の質量比で有する樹脂材料を用いた光学フィルムの製造方法であって、
加熱溶融された前記樹脂材料を押し出して樹脂フィルムを形成する工程、
前記樹脂フィルムをテンター延伸装置により前記樹脂フィルムの両端部を把持しながら搬送方向と直交する方向に延伸する工程、及び、
延伸された前記樹脂フィルムを搬送ロールにより少なくとも1回以上折り返す工程とを有し、
前記樹脂フィルムに対し破断防止処理が施されることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記破断防止処理は、前記延伸する工程の前に、前記樹脂フィルムの両端部に施されることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記破断防止処理は、前記延伸する工程と前記折り返す工程との間に、前記樹脂フィルムの両端部に施されることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記破断防止処理として、前記樹脂フィルムの両端部に溶媒が塗布されることを特徴とする請求項2又は3に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記破断防止処理として、前記樹脂フィルムの両端部にテープを貼合することを特徴とする請求項2又は3に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記破断防止処理として、前記樹脂フィルムの両端部に加熱処理を施すことを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記破断防止処理は、前記樹脂フィルムを形成する時に前記樹脂フィルムの両端に別の樹脂を共押出して積層させることで破断防止部を形成することを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記破断防止処理が施される両端部の幅は、前記樹脂フィルムの幅に対して、1%から30%であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記搬送ロールの直径が25mmから500mmであることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記搬送ロールは両端部に加熱手段を有し、前記樹脂フィルムを搬送する時の表面温度が60℃から90℃であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記延伸する工程後の前記樹脂フィルムの搬送速度が70m/min以下であることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記光学フィルムの膜厚が20μmから200μmであることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−86433(P2012−86433A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234348(P2010−234348)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】