説明

光学フィルム及び画像表示装置

【課題】従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる光学フィルム、この光学フィルムを使用した画像表示装置を提案する。
【解決手段】少なくともセパレータフィルムの剥離を開始する部位については、外形形状を蛇行させて、外方に向かって徐々に幅の狭くなる微小な突起(11)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば画像表示装置のパネル面に貼り付ける光学フィルム、この光学フィルムを配置した画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置等の画像表示装置では、画像表示パネルのパネル面に、ハードコート、反射防止、電磁波シールド等を目的とした各種光学フィルムが設けられている。この種の光学フィルムは、透明フィルムによる基材の表面に、目的とする機能に応じた各種の機能層が設けられ、さらに粘着層、セパレータフィルムが順次設けられる。ここで粘着層は、例えば基材の全面に粘着剤を塗布して作製され、光学フィルムを所望の貼り付け対象に貼り付けるために設けられる。セパレータフィルムは、粘着層を保護するために設けられる。これによりこの種の光学フィルムは、画像表示装置の製造過程において、セパレータフィルムを剥離して粘着層を露出させた後、この粘着層によりパネル面に貼り付けて保持される。
【0003】
このような粘着層を有するシート材に関して、従来、作業性を向上する工夫が提案されている(引用文献1)。
【0004】
ところでこの種の光学フィルムのセパレータフィルムは、搬送過程等において粘着層に密着して粘着層を充分に保護することが求められる。しかしながらその一方で、作業効率の面から、貼り付け時、簡易かつ効率良く粘着層から剥離できることが求められる。
【0005】
なおセパレータフィルムが剥離し難い場合には、いわゆる糸引きが発生し、種々の不都合を生じる恐れがある。具体的に、このような不都合は、例えば糸引きに係る粘着剤による粘着剤塊の残留、この塊の残留による部材層間の剥離等である。従って糸引きによる問題を防止する観点からも、セパレータフィルムは、簡易に剥離できることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−111040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる光学フィルム、この光学フィルムを使用した画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、少なくともセパレータフィルムの剥離を開始する部位については、外方に向かって徐々に幅の狭くなる微小な突起を設ける、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
【0009】
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
【0010】
(1) セパレータフィルムを剥離して露出する粘着層により貼り付け対象に貼り付けられて保持される光学フィルムにおいて、
少なくとも前記セパレータフィルムの剥離を開始する部位に、外方に向かって徐々に幅の狭くなる複数の突起が設けられる。
【0011】
(1)によれば、剥離開始時の外力が突起の先端に集中し、突起を設けない場合に比して格段的に小さな力でセパレータフィルムの剥離を開始することができ、これにより従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。
【0012】
(2) (1)において、前記突起が、三角形形状の突起である。
【0013】
(2)によれば、突起が三角形形状であることにより、剥離開始時の外力をこの三角形形状の頂点に集中させることができ、一段と小さな力でセパレータフィルムの剥離を開始することができる。
【0014】
(3) (2)おいて、前記三角形形状の突起は、頂角が120度以下、90度以上である。
【0015】
(3)によれば、より具体的な突起の形状により、何ら突起を設けない場合に比して、セパレータフィルムの剥離に要する力を充分に低減することができる。
【0016】
(4) (2)において、前記突起は、先端に、及び又は隣接する突起との間の谷に、丸みが設けられる。
【0017】
(4)によれば、剥離開始時に係る部位を、全体として滑らかな形状に設定することができる。
【0018】
(5) (1)、(2)、(3)、又は(4)の何れかにおいて、前記貼り付け対象が画像表示パネルのパネル面である。
【0019】
(5)によれば、画像表示パネルに適用する光学フィルムに関して、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。
【0020】
(6) (1)、(2)、(3)、又は(4)に記載の光学フィルムを、前記粘着層により画像表示パネルのパネル面に配置した画像表示装置。
【0021】
(6) によれば、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離して、生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパターン位相差フィルムを示す図である。
【図2】剥離促進部を示す図である。
【図3】剥離試験結果を示す図である。
【図4】比較対象の突起形状を示す図である。
【図5】頂角の変化による剥離に要する力の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
この第1実施形態では、パッシブ方式により3次元画像を表示する画像表示装置に本発明を適用する。ここで3次元画像表示では、通常、何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを、それぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供することが必要である。パッシブ方式では、画像表示パネルの垂直方向に連続する画素を、順次交互に右目用及び左目用に割り当て、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動し、これにより右目用の映像と左目用の映像とを同時に表示する。また画像表示パネルのパネル面にパターン位相差フィルムを配置し、右目用及び左目用の画素からの直線偏光による出射光を、右目用及び左目用で方向の異なる円偏光に変換する。これによりパッシブ方式では、対応する偏光フィルタを備えてなるめがねを装着して、右目用の映像と左目用の映像とをそれぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供する。
【0025】
このためターン位相差フィルムは、透明フィルム材による基材に配向膜、位相差層が順次設けられる。パターン位相差フィルムは、この位相差層が液晶材料により形成され、この液晶材料の配向を配向膜の配向規制力によりパターンニングする。このパターンニングにより、パターン位相差フィルムは、液晶表示パネルにおける画素の割り当てに対応して、一定の幅により、右目用の領域と左目用の領域とが順次交互に形成され、右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。
【0026】
このためこの実施形態の画像表示装置は、順次入力される画像データにより画像表示パネルを駆動して、奇数ライン及び群数ラインの画素をそれぞれ右目用及び左目用の画像データにより駆動し、右目用及び左目用の映像を同時に表示する。また画像表示パネルに配置した偏光フィルタにより画像表示パネルの出射光を直線偏光に変換し、この偏光フィルタに積層されて配置されたパターン位相差フィルムにより、偏光フィルタの出射光に右目及び左目に対応する位相差を与える。
【0027】
図1は、このパターン位相差フィルムを示す平面図及び断面図である。パターン位相差フィルム1は、透明フィルム材である基材2の片面に位相差層3が設けられる。なおここで基材2は、例えば厚み60〔μm〕によるTAC(セルローストリアセテート)フィルムが適用される。位相差層3は、液晶材料により厚さ1〔μm〕で形成され、基材2の表面に作製された配向膜により液晶材料の配列が設定される。続いてパターン位相差フィルム1は、厚さ25〔μm〕による粘着層4、厚み38〔μm〕によるセパレータフィルム5が設けられる。なおセパレータフィルム5は、例えばPETフィルムが適用される。
【0028】
またパターン位相差フィルム1は、基材2の他面側に、厚み5〔μm〕による反射防止層6が設けられ、続いて厚み19〔μm〕による粘着層7、厚み38〔μm〕による保護層8が順次設けられる。なお保護層8には例えばPETフィルムが適用される。
【0029】
パターン位相差フィルム1は、基材2がロールにより供給され、この基材2を順次処理して上述した粘着層7、保護層8、セパレータフィルム5等が設けられた後、所望の大きさに切断して作製される。またその後、偏光フィルタに貼り合わされた後、この偏光フィルタを介して画像表示パネルのパネル面に保持される。この偏光フィルタに貼り合わせる際に、パターン位相差フィルム1は、セパレータフィルム5を剥離して粘着層4を露出させた後、この粘着層4により偏光フィルムの片面に貼り付けられる。従ってパターン位相差フィルム1において、セパレータフィルム5は、偏光フィルムに貼り付けるまでの間、粘着層4に密着して粘着層4を充分に保護することが必要であり、また偏光フィルムに貼り付ける際には、簡易かつ効率良く剥離できることが求められる。
【0030】
このためパターン位相差フィルム1は、図1(a)に示すように、セパレータフィルム5の剥離を開始する部位に、セパレータフィルム5の剥離を容易にする剥離促進部11が設けられる。このように剥離を開始する部位にだけ、剥離を容易にする剥離促進部11を設けることにより、この実施形態では、搬送途中等において、誤ってセパレータフィルム5が剥離する等の事故を充分に回避することができる。
【0031】
ここでこのパターン位相差フィルム1は、対向する2つの短辺のうちの、一方の側の短辺の両端近傍からセパレータフィルム5の剥離が開始され、この剥離を開始した位置から徐々に他方の短辺に向かってセパレータフィルム5が剥離される。パターン位相差フィルム1は、対向する短辺の双方について、両端近傍にそれぞれ剥離促進部11が設けられ、これにより短辺の何れの側より剥離を開始する場合にも対応できるように設定される。なおセパレータフィルム5の剥離は、基材2側を保持した状態で、剥離を開始する部位から治具によりセパレータフィルム5を引き剥がして開始される。またこの治具は、例えば粘着剤が塗布されたローラであり、このローラをパターン位相差フィルム1に押し付けて外周側から内周側に転がすことにより、このローラにセパレータフィルム5を貼り付けて剥離する。
【0032】
剥離促進部11は、剥離促進部11を設けたことによる外形形状を測定する際の精度の劣化を防止する目的で、短辺の両端より一定の間隔だけ内側に設けられる。なおパターン位相差フィルム1は、図1(A)において、左上隅が斜めに切り落とされ、この切り落としにより表裏、向きを判断できるように設定されている。剥離促進部11を短辺の両端より一定の間隔だけ内側に設ける場合には、この切り落としの箇所を避けることができる。
【0033】
ここで図2に示すように、剥離促進部11は、外形形状が蛇行するように設定されて、外方に向かって徐々に幅が狭くなる同一形状による突起12が繰り返し設けられる。ここでこの種のパターン位相差フィルム1では、この剥離促進部11からセパレータフィルム5の剥離を開始し、徐々に内側に向かってセパレータフィルム5を剥離することから、剥離を開始すると、最初に、突起12の先端で粘着層4からセパレータフィルム5が剥離することになる。セパレータフィルムを剥離する場合には、この最初の時点で最も大きな力を要し、この剥離開始時に必要な力を小さくすることができれば、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。従ってこの実施形態のように、外方に向かって徐々に幅の狭くなる突起12を設ける場合にあっては、剥離開始時の外力を突起12の先端側の幅狭の部位に集中させることができ、これにより従来に比して格段的に容易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。
【0034】
この実施形態では、この突起12の形状が先端の突出した形状とされ、より具体的には三角形形状とされる。またこの三角形形状の頂角θが90度に設定され、高さHは0.7〔mm〕に設定される。これによりこの実施形態では、突起12の頂点に剥離開始時の外力を集中させ、一段と容易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。また高さHを0.7〔mm〕とすることにより、このパターン位相差フィルム1を配置した画像表示パネルにおいて、画像表示装置のフレームにより剥離促進部11を覆い隠すことができるよう設定される。
【0035】
パターン位相差フィルム1は、ロール材による基材2の連続した処理により長尺に作製された後、一旦、一定の大きさにカットされ、その後レーザービームの走査により目的の大きさ(使用する画像表示パネルの大きさに対応する大きさ)にカットされる。剥離促進部11は、このレーザービームの走査時、レーザービームの走査を一時的に蛇行させることにより作製される。なおこの実施形態において、レーザービームの照射は、炭酸ガスレーザにより波長9.3〔μm〕、20〔W〕のレーザーを周波数10〔kHz〕、デューティー比80〔%〕により出射し、焦点深度29〔mm〕、ビームスポット径約100〔μm〕によりほぼ基材2の粘着層側面に集光して実行される。スポット移動速度は、200〔mm/s〕である。
【0036】
図3は、何らは剥離促進部11を設けない場合との対比により、剥離促進部11を設けた場合の剥離に要する力を測定したものである。なおこの測定は、幅25〔mm〕の試験片を使用した180度剥離試験によるものである。符号L1は、何ら剥離促進部11を設けない場合の測定結果であり、符号L2はこの実施形態による測定結果である。なお符号L3は、図2との対比により図4に示すように、突起12における先端の山及び隣接する突起12との間の谷に丸みを持たせた場合の測定結果である。この図3の測定結果によれば、突起12を設けることにより、従来に比して格段的に容易にセパレータフィルムの剥離を開始できることが判る。またこのような突起12にあっては、先端を尖らせた場合に、剥離開始時の外力が一点に集中することにより、一段と容易にセパレータフィルムの剥離を開始できることが判る。なおこの図3において、横軸の剥離距離は、セパレータフィルム5を把持する部材の試験開始時からの移動距離である。この図3においては、測定結果の理解を容易とするために、試験開始時における原点位置を各測定で横軸方向にオフセットさせて示し、各測定結果L1〜L3におけるピーク値がセパレータフィルムの剥離開始時に要する力である。
【0037】
ここでパターン位相差フィルム1においては、頂角θを小さくすればする程、突起先端への外力を集中させることができ、一段と簡易にセパレータフィルムの剥離を開始することができる。しかしながら画像表示装置のフレームにより剥離促進部11を覆い隠すことにより、頂角θを小さくしても高さHは実際上大きくすることは困難であり、これにより突起を連続して配置して頂角θを小さくする場合には、単位長さに配置する突起12の数も増加することになる。突起12の数が増加すると、セパレータフィルム5は、剥離に要する力が増大することになる。また生産現場におけるレーザー加工においては、可能な限りレーザービームの走査距離を短くすることが、生産性の観点から望まれ、これにより頂角θは大きいことが望まれる。
【0038】
これらのことから突起12を設ける場合にあって、突起12の頂角θは、適した範囲が存在すると考えられる。図5は、頂角θを変化させた場合の剥離強度の測定結果である。なおこの頂角θの変化は、レーザービームを走査させる際のパラメータを順次段階的に変化させて頂角θの異なる複数のサンプルを作製し、このサンプルの頂角θを剥離に要する力と共に測定したものである。この図5においては、平均値及び標準偏差により測定結果を示す。なおこの図5は、突起12の高さHが0.7〔mm〕の例である。
【0039】
この図5の測定結果によれば、120度程度より頂角が小さい範囲では、剥離開始時に要する力のばらつきが小さく、さらにその力も小さいことが判る。これにより少なくとも頂角θは120度以下にして、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。さらにこの測定結果を統計的に処理して、120度の頂角θに対応する下限値として90度の頂角が求められた。これにより頂角θが90度以上、120度以下が生産に適した範囲であり、この範囲に頂角θを設定して、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。なお生産工程においてセパレータフィルム5を剥離させる装置に充分な能力を有する場合には、この生産に適した範囲は、より広い範囲とすることができることは言うまでも無い。
【0040】
以上の構成によれば、粘着層により偏光フィルムに貼り付けられて保持され、この偏光フィルムを介して画像表示パネルのパネル面に保持されるパターン位相差フィルムに関して、セパレータフィルムの剥離を開始する部位に、外方に向かって徐々に幅の狭くなる複数の突起を設けることにより、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。従って糸引きを充分に低減し、糸引きによる各種不都合を防止することができる。
【0041】
またこの突起を三角形形状とすることにより、剥離開始時の外力をこの三角形形状の頂点に集中させることができ、一段と小さな力でセパレータフィルムを剥離することができる。
【0042】
またこの突起の頂角を120度以下、90度以上に設定することにより、生産性の低下を有効に回避して、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができる。
【0043】
また偏光フィルムを介してこのパターン位相差フィルムをパネル面に保持することにより、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離して、画像表示装置の生産性を向上することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、パターン位相差フィルム以外の光学フィルムに本発明を適用する。具体的に、この種の光学フィルムは、ハードコート、反射防止、電磁波シールド等を目的とする光学フィルムである。この実施の形態において、これらの光学フィルムは、セパレータフィルムを剥離して露出する粘着層により画像表示パネルのパネル面に、直接に、又は他の光学フィルムを介して配置される。この光学フィルムは、第1実施形態について上述したパターン位相差フィルムと同様に、剥離を開始する部位に剥離促進部が設けられ、微小な突起が繰り返し設けられる。
【0045】
この第2実施形態によれば、他の光学フィルムについても、従来に比して簡易かつ効率良くセパレータフィルムを剥離することができ、またさらに画像表示装置の生産性を向上することができる。
【0046】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
【0047】
すなわち上述の第1及び第2実施形態では、高さ0.7〔mm〕、頂角90度以上、120度以下により突起を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これらの値については、必要に応じて種々に変更することができる。
【0048】
また上述の第1及び第2実施形態では、三角形形状による突起を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図4に示すように、突起の先端の山及び隣接する突起との間の谷に丸みを設けるようにしてもよく、突起の先端の山及び隣接する突起との間の谷の1方にのみ丸みを設けるようにしてもよい。またこれらの場合において、突起の形状を正弦波形状としてもよい。
【0049】
また上述の第1及び第2実施形態では、連続する突起を同一形状により作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、連続する突起で、高さH、頂角θ、丸み等を異ならせるようにしてもよい。
【0050】
また上述の実施形態では、突起を連続して設けて剥離促進部を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、一定の間隔を隔てて突起を設けて剥離促進部を作製してもよい。
【0051】
また上述の実施形態では、剥離を開始する部位にのみ、剥離促進部を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、対向する短辺の1方又は双方の全部を剥離促進部とする場合、外周の全てを剥離促進部とする場合等、剥離促進部にあっては、剥離を開始する部位以外にも設けるようにしてもよい。
【0052】
また上述の実施形態では、ロール材により作製した後、一定の大きさに一旦カットし、その後、レーザービームの走査により目的の大きさに切り出す場合について述べたが、本発明はこれに限らず、直接、ロール材を目的の大きさに切り出して作製する場合等にも広く適用することができる。
【0053】
また上述の実施形態では、目的に大きさに切り出す際に、併せて剥離促進部を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、別途、剥離促進部を作製するようにしても良い。
【0054】
また上述の実施形態では、レーザービームの走査により、ロール材を切断して目的の大きさにより切断すると共に剥離促進部を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、金型を用いた切断等、各種の作製手法により光学フィルムを作製する場合に広く適用することができ、種々の手法により剥離促進部を作製することができる。
【0055】
また上述の実施形態では、ロール材により光学フィルムを作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、枚葉の処理により作製する場合にも広く適用することができる。
【0056】
また上述の実施形態では、画像表示パネルのパネル面に貼り付けるフィルム材に本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、窓ガラスに貼り付ける紫外線遮断フィルム、赤外線遮断フィルム等、各種の光学フィルムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 パターン位相差フィルム
2 基材
3 位相差層
4 粘着層
5 セパレータフィルム
6 反射防止層
7 粘着層
8 保護層
11 剥離促進部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータフィルムを剥離して露出する粘着層により貼り付け対象に貼り付けられて保持される光学フィルムにおいて、
少なくとも前記セパレータフィルムの剥離を開始する部位に、外方に向かって徐々に幅の狭くなる複数の突起が設けられた
光学フィルム。
【請求項2】
前記突起が、三角形形状の突起である
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記三角形形状の突起は、頂角が120度以下、90度以上である
請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記突起は、先端に、及び又は隣接する突起との間の谷に、丸みが設けられた
請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項5】
貼り付け対象が画像表示パネルのパネル面である
請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4に記載の光学フィルムを、前記粘着層により画像表示パネルのパネル面に配置した
画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−67760(P2013−67760A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209231(P2011−209231)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】