説明

光学フィルム積層体、その製造方法、およびバックライトユニット

【課題】 光学フィルムの取り扱いを容易にし、バックライトの組立に必要な工程数を削減し、光学フィルムを損傷する機会を減らし、歩留まりを向上させる光学フィルム積層体、その製造方法、および該光学フィルム積層体を用いたバックライトユニットを提供する。
【解決手段】 第1の光学フィルム、第2の光学フィルム、および該第1、第2の光学フィルムの間に挟まれた少なくとも1枚の被挟持光学フィルムを含む光学フィルム積層体において、
該光学フィルム積層体の外周の少なくとも両側の2箇所に配置され、被挟持光学フィルムと同じ厚さで且つ該被挟持光学フィルムとは接続していない接続部材を介して、第1および第2の光学フィルムが接合されていることを特徴とする光学フィルム積層体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光学フィルムを積層した光学フィルム積層体、その積層体を製造する方法、ならびに該光学フィルム積層体を用いたバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、携帯電話、ノート型コンピュータ、LCDモニタおよび液晶テレビなどにおいて利用されている。透過型のLCDにはバックライトが必要であり、表示性能を向上させるためにバックライトユニットにはバックライト光を調節する光学フィルムが組み込まれている。光学フィルムにはプリズム状構造化フィルム、拡散フィルムを始めとする様々なタイプのフィルムが、出力輝度、照明均一性、視野角改善のために用いられている。
【0003】
図5は、従来の技術の液晶表示装置100を示す斜視図である。液晶表示装置100には透過型の液晶パネル151の背面側にバックライトユニット150が設けられている。バックライトユニット150は、光源152、導光板153、反射板154、および光学フィルム110を備える。光源152は、たとえば発光ダイオード(LED)によって実現される。バックライトユニット150は、エッジライト方式の照明装置であり、導光板153の一側面部に光源152が設けられ、導光板153の一方主面部に反射板154が設けられ、導光板153の他方主面部に光学フィルム110が設けられている。光学フィルム110は、複数のフィルム111a〜dが積層されて構成される。
【0004】
この光学フィルム110では、光源152から出射される照明光が、一側面から導光板153に入射され、導光板153の他方主面から出射されて、光学フィルム110を経て液晶パネル151に照射される。光学フィルム110は、導光板153の他方主面から出射される照明光を、拡散、集光させ、液晶パネル151の全体にわたって、均一に照明することができるようにするなど、所望の光学性能を発揮するように構成されている。
【0005】
光学フィルム110は、導光板153と液晶表示パネル151との間に1枚ずつ積層されており、製造時の数枚の個別フィルム片の取り扱いおよび組立にいくつかの問題が生じる。個々の光学フィルムは傷が付きやすく保護カバーが貼られており、組立時にはそれを除去する必要があり、時間がかかるし、保護カバー除去時にフィルムに損傷を与える可能性がある。さらには複数のフィルムを1枚ごと積層していくため、さらに時間がかかるとともに、フィルム間にゴミが入ったり、フィルムを損傷させる機会が増え、スループットを低下させ、歩留まりを低下させる原因となる。
【0006】
これを解決する方法として、フィルムの少なくとも2枚を表示領域外に設けたゼロギャップ接合部で接着した光調節フィルムの積層体(たとえば、特許文献1)、および複数枚の光学シートを積層し、最上層の光学シートと最下層の光学シートのみを接合する光学シート(たとえば、特許文献2)が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特表2006−513452号公報
【特許文献2】特開2007−155940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ここで前者の文献で開示されているのは接合部が1点、または同一辺で2点であり、接合されていない部分のフィルム間が容易に開いてしまい、フィルム間にごみが入ったり、フィルム表面が露出しフィルム表面に傷がつく可能性がある。よって、吸着パッドでの吸着も最上層のフィルムのみの吸着になり、吸着パッドが使えないという問題がある。さらに、積層するフィルムには熱や湿度による膨張量に差があるため、多点で接合した場合、熱や湿度変化があるとフイルム間に膨張差が発生し、フィルム積層体にしわが発生するなどの光学特性上の問題がある。また、後者の文献で開示されている光学シートの最上層の光学シートと最下層の光学シートの間には接続部材はなく、接合部における最上層、最下層の光学シートの間には空間があり、そこを接合すると最上層、最下層の光学シート間の距離が縮小することになるので、その接合近傍の最上層、最下層の光学シートに挟持されたシートに歪が生じ、シートに反り、しわ等が発生し、光学特性に問題が生じたり、最上層、最下層の光学シートに挟持されるシートを別途打抜き、最上層、最下層の光学シート間に挿入するので、挟持されるシートの挿入作業中にゴミが入ったりする問題がある。また、その製造装置も複雑となる問題もある。
【0009】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、光学フィルムの取り扱いを容易にし、光学フィルムを損傷する機会を減らし、バックライトの組立に必要な工程数を削減し、歩留まりを向上させる光学フィルム積層体、その製造方法、および該光学フィルム積層体を用いたバックライトユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1の光学フィルム、第2の光学フィルム、および該第1、第2の光学フィルムの間に挟まれた少なくとも1枚の被挟持光学フィルムを含む光学フィルム積層体において、
該光学フィルム積層体の外周の少なくとも両側の2箇所に配置され、被挟持光学フィルムと同じ厚さで且つ該被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して、第1および第2の光学フィルムが接合されていることを特徴とする光学フィルム積層体である。ここで両側とはフィルムの反対側の外周を指し、フィルム間が容易に開かず、吸着パッドが使えるようなほぼ反対側も含むものとする。
【0011】
また、本発明の光学フィルム積層体は、前記第1および第2の光学フィルムが同一材質であることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の光学フィルム積層体は、前記接合部材が被挟持光学フィルムと同一の材料で形成されてなることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の光学フィルム積層体は、前記第1および第2の光学フィルムと接続部材とがそれぞれゼロギャップ接合されてなることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の光学フィルム積層体は、前記第1および第2の光学フィルムと被挟持光学フィルムは略矩形であり、その外周が位置合わせされてなることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の光学フィルム積層体は、前記接合が超音波溶着による接合であることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の光学フィルム積層体は、前記第1および第2の光学フィルムが拡散フィルムであり、前記被挟持光学フィルムにプリズム状の光配向フィルムが含まれてなることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の光学フィルム積層体は、前記光学フィルムの外周各辺の外側に第1および第2の光学フィルムの接合部をそれぞれの辺において少なくとも1箇所有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の別の一つは、光学フィルム積層体の各フィルム原反を供給する原反供給工程と、被挟持光学フィルムのフィルム原反を重ね合わせて、所定の位置に切り込みを入れる切込み工程と、該切込み工程を通過したフィルム原反に対し、一方からの第1の光学フィルムのフィルム原反、他方からの第2の光学フィルムのフィルム原反を重ね合わせて、所定の位置を接合する接合工程と、該接合工程を通過した積層したフィルム原反から所定の形状の光学フィルム積層体を打抜く打抜き工程とからなることを特徴とする光学フィルム積層体の製造方法である。
【0019】
本発明の製造方法は、前記原反供給工程が、帯状のフィルム原反を長手方向全長にわたってロール状に巻回しておき、そのロールから繰出して供給し、少なくとも1つのフィルム原反は他のフィルム原反に対して直交する方向に供給することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の製造方法は、前記切込み工程または打抜き工程の少なくとも一方が、重ね合わせたフィルムをトムソン型、ピナクル型および彫刻刃から選ばれるいずれかのプレス機で打抜く工程を含むことを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の製造方法は、前記接合工程が接合を超音波溶着により行うことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の製造方法は、前記第1および第2の光学フィルムが拡散フィルムであり、前記被挟持光学フィルムに第1の向きのプリズム状リブを有するプリズム状フィルム、および前記第1の向きと非平行である第2の向きのプリズム状リブを有するプリズム状フィルムとを含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の別の一つは、光学フィルム積層体と、導光パネルを照明する1つまたは複数の光源と、該1つまたは複数の光源から入射した光を一表面を透過して光学フィルム積層体へ向かわせる導光板とからなり、該前記光学フィルム積層体が、第1の光学フィルム、第2の光学フィルム、および該第1、第2の光学フィルムの間に挟まれた少なくとも1枚の被挟持光学フィルムからなる積層体において、該積層体の外周の少なくとも両側の2箇所に配置され、被挟持光学フィルムと略同じ厚さで且つ該被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して、第1および第2の光学フィルムが接合されていることを特徴とするバックライトユニットである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光学フィルム積層体によれば、第1、第2の光学フィルム、および少なくとも1枚の被挟持光学フィルムを含む光学フィルム積層体において、該光学フィルム積層体の外周の少なくとも両側の2箇所に配置されて接合されるので、光学フィルム間が容易に開かず、光学フィルム間にごみが入ったり、光学フィルム表面が露出し光学フィルム表面に傷がつく可能性が減少する。少なくとも両側の2箇所が接合するので、吸着パッドでの吸着も最上層の光学フィルムのみの吸着にならず、吸着パッドが使えないという問題がない。少なくとも両側の2箇所が接合していないと吸着パッドが使えないという問題がおこる。また、被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して第1および第2の光学フィルムが接合されるので、積層する光学フィルムには熱や湿度による膨張量に差があるが、多点で接合した場合でも、被挟持光学フィルムは第1、第2の光学フィルムとは接合されてはいないので、膨脹差は関係がなくなり、光学フィルム積層体にしわが発生するなどの光学特性上の問題がなくなる。さらに、被挟持光学フィルムと同じ厚さの接続部材を介して接合されるので、光学フィルム積層体にはひずみが生ぜず光学的品質も良好となる。尚、同じ厚さとはほぼ同じ厚さであるものまでを含む。その結果、ハンドリング中に分解することがなく確実に扱うことができ、光学フィルムの取り扱いが容易になり、光学フィルムを損傷する機会を減らすことができるとともに、従来複数枚の光学フィルムとして個々に扱っていたものが、光学フィルム積層体として1つの部品として扱うことが可能となり、ハンドリングが容易で、バックライトの組立に必要な工程数を削減し、歩留まりを向上させることができる。
【0025】
また、本発明によれば、第1および第2の光学フィルムが同一材質から形成されるため、熱や湿度が変化しても膨張量は同じであり、かつ被挟持光学フィルムとは接合されていないため、それらとの間に膨張差があってもしわ等は発生しなくなり、光学特性の変化をなくすことができる。
【0026】
さらに、本発明によれば、第1および第2の光学フィルムの接合部が被挟持光学フィルムと同一の材料で形成することで、切込みだけで接続部材を形成できるなど加工が容易となり、また第1および第2の光学フィルムの接合部分と非接合部である光学フィルム積層体の総厚の差を小さくすることができる。その結果、積層体のひずみをなくすことができ、積層体の光学的性質が優れることになる。
【0027】
さらに、本発明によれば、第1および第2の光学フィルムと接続部材とがゼロギャップ接合することによって、非接合部と接合部の厚さの変化を少なくすることができる。その結果、積層体のひずみをなくすことができ、光学フィルム積層体の光学的性質が優れることになる。
【0028】
さらに、本発明によれば、第1および第2の光学フィルムと被挟持光学フィルムが各々略矩形の外周が位置合わせされており、扱いやすく、光学フィルム積層体外周をバックライトユニットのケースとのはめ合いに用いることができる。
【0029】
また、本発明によれば、光学フィルムの接合部が超音波溶着により接合されるので、接着剤等の使わずに接合ができ、接合部と非接合部の厚さの変化を少なくすることができる。その結果、光学フィルム積層体のひずみをなくすことができ、光学フィルム積層体の光学的性質が優れることになる。
【0030】
さらに、本発明によれば、第1および第2の光学フィルムが拡散フィルムで、第1および第2の被挟恃光学フィルムでプリズム状の光配向フィルムが挟まれた積層体が形成できるので、光源からの光を拡散、および集光することで照明領域を全面均一に照明できるバックライトユニットができる。
【0031】
さらに、本発明によれば、前記光学フィルムの外周各辺の外側に第1および第2の光学フィルムの接合部をそれぞれの辺において少なくとも1箇所有するので、接合部が増え、ますます光学フィルム間が容易に開かず、光学フィルム間にごみが入ったり、光学フィルム表面が露出し光学フィルム表面に傷がつく可能性が減少する。
【0032】
また、本発明の光学フィルム積層体の製造方法によれば、各フィルム原反の原反供給工程と、切込み工程と、接合工程と、打抜き工程とからなるので、第1および第2の光学フィルムで、被挟持光学フィルムを挟み込んだ構造の光学フィルム積層体が製造でき、光学フィルム積層体として1つの部品として扱うことが可能となり、ハンドリングが容易で、バックライトの組立に必要な工程数を削減し、歩留まりを向上させることができる。また、被挟持光学フィルムを別途打ち抜いて第1および第2の光学フィルムの間に挿入するという工程もなく、工程中にフィルム間にごみが入る問題もない。なお、本発明においては原反とは素材をも含むものとする。
【0033】
さらに、本発明の製造方法によれば、前記原反供給工程が、帯状のフィルム原反を長手方向全長にわたってロール状に巻回しておき、そのロールから繰出して供給し、少なくとも1つのフィルム原反は他のフィルム原反に対して直交する方向に供給するので、各フィルム原反を、円滑にかつ高速で供給することができ、またフィルムを容易に直交させて扱うことができ、光学フィルム積層体の製造効率を向上することができる。
【0034】
さらに、本発明の光学フィルム製造方法によれば、前記切込工程または打抜き工程の少なくとも一方が、トムソン型、ピナクル型および彫刻刃から選ばれるプレス機で打抜く工程を含むので、光学フィルム積層体の製造効率を向上することができる。
【0035】
さらに、本発明の光学フィルム製造方法によれば、前記接合工程が接合を超音波溶着により行うので、短時間で容易に接合ができるので、光学フィルム積層体の製造効率を向上することができる。
【0036】
また、本発明の光学フィルム製造方法によれば、2種類の配向の異なるプリズム状フィルム、およびその両側の拡散フィルムからなる光学フィルム積層体を得ることができる。
【0037】
また、本発明のバックライトユニットによれば、複数枚の光学フィルムを1つの部品とした光学フィルム積層体を組み込んだバックライトユニットとすることで、バックライトユニットの品質向上、組立工数の削減が実現できる。
【0038】
また、液晶ディスプレイ用バックライトユニットに適用可能であるとともに、このようなバックライトユニットを作製するのに必要な工程数を削減するのに特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態をする。
図1(a)は本発明の実施の形態である光学フィルム積層体10を示す斜視図、(b)は図1(a)の切断面線S1−S1から見た断面図、(c)は分解斜視図である。
【0040】
光学フィルム積層体10は、本実施の形態では4枚の光学フィルム11a〜11dを備え、これら光学フィルム11a〜11dが積層されて構成される。以下、各光学フィルム11a〜11dを、個別に識別して説明するときは、それぞれ第1フィルム11a、被挟持第1フィルム11b、被挟持第2フィルム11c、第2フィルム11dと呼び、不特定のいずれかについて説明するときは、添字a〜dを省略して光学フィルム11と呼ぶ。光学フィルム積層体10は、図1の積層された上側から、第1フィルム11a、被挟持第1フィルム11b、被挟持第2フィルム11c、第2フィルム11dの順に積層されている。
【0041】
光学フィルム積層体10は、バックライトに組込まれる光学フィルム11を積層したものである。各光学フィルム11は、光学的作用を奏する光学フィルムであり、光学フィルム11としては、たとえば光を拡散させるための拡散フィルム、集光のためのプリズムフィルムを備えたものであってもよい。本実施の形態では、第1フィルム11aおよび第2フィルム11dは、拡散フィルムであり、被挟持第1フィルム11bおよび被挟持第2フィルム11cは、プリズムフィルムである。
【0042】
本発明においては、光学フィルム積層体の形状は特に限定はないが、略矩形が好ましく、さらには矩形が好ましい。略矩形であると各々矩形の外周が位置合わせされやすく、その分扱いやすくなり、光学フィルム積層体の外周をバックライトユニットのケースとのはめ合いに容易に用いることができる。本発明においては略矩形は矩形をも含むが、単に矩形と言った場合は略矩形を示すものまでも含むものとする。
【0043】
本実施の形態では、光学フィルム積層体は略矩形の略長方形状であり、外周の両側である四辺の各中央部に接合部材としてフィルムが同じ厚さで延長された同一材料で形成されたタブが設けられている。すなわち、第1フィルム11aと第2フィルム11dは、同一形状であり、厚み方向に垂直な形状が略長方形状で四辺の中央部にタブ部10a、10dが設けられている。被挟持第1フィルム11bおよび被挟持第2フィルム11cもほぼ同一形状であるが、切断部10fでタブ部10a、10dがフィルム本体から切り離されている。切り離された部分は、該被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材であり、同一の材料で形成されており、後記する切抜きだけで簡単に形成することができる。
【0044】
積層するフィルムには熱や湿度による膨張量に差があるため、多点で接合した場合、熱や湿度変化があるとフイルム間に膨張差が発生し、フィルム積層体にしわが発生するなどの光学特性上の問題があるが、切断部10fでタブ部10a、10dがフィルム本体から切り離されているので、被挟持第1フィルム11b、被挟持第2フィルム11cは第1フィルム11aや第2フィルム11dの膨張の影響を受けなくなり、上記の問題は解消することができる。
【0045】
各光学フィルム11のタブ部10a、10dはすべて重ね合わされて接合されている。タブ部の接合構造は、特に限定されるものではなく、接合剤を用いて貼着する接合構造であってもよいし、溶着する接合構造であってもよいが、好ましくは溶着する接合構造である。溶着接合であるとゼロギャップ接合となり、接合部と非接合部の厚さの変化を少なくすることができる。
【0046】
図1に示す構成では、超音波溶着されている。このように4箇所のタブ部が重ね合わされて接合され、第1フィルム11aと第2フィルム11dは連結されている。第1フィルム11aと第2フィルム11dとの間に被挟持第1フィルム11bと被挟持第2フィルム11cが挟まれているが接合はされていず、各辺中央のタブ部で拘束されているのみである。
【0047】
タブは光学フィルム積層体10をバックライトユニットに組み込む時の位置合わせ要素としても機能し得る。
【0048】
以上のように、被挟持第1フィルム11bと被挟持第2フィルム11cを包み込んだ形で第1フィルム11aと第2フィルム11dが各辺の中央で連結されており、第1フィルム11aの表面を真空吸着することで、光学フィルム積層体10を取り扱うことが可能となる。また、4点で溶着されているが、第1フィルム11aと第2フィルム11dは同じ拡散フィルムのため、熱または湿度等による膨張係数は等しい。さらに、第1フィルム11a、第2フィルム11dと被挟持第1フィルム11b、被挟持第2フィルム11cとの間では熱または湿度等による膨張係数が異なるが、被挟恃第1フィルム11bと被挟恃第2フィルム11cは、第1フィルム11aと第2フィルム11dに挟まれているだけであり、膨張差があってもしわ等が発生せず、光学フィルム積層体10の光学特性は変化しない。上記の通り、第1および第2の光学フィルムが同一材質からなるため、熱や湿度が変化しても膨張量は同じであり、かつ被挟持光学フィルムとは接合されていないため、それらとの間に膨張差があってもしわ等は発生しなくなり、光学特性の変化をなくすことができる。
【0049】
図2は、光学フィルム積層体10を備えるバックライト30を示す分解斜視図である。光学フィルム積層体10は、バックライト30を構成する光学部品として用いられる。バックライト30は、液晶表示装置等に組込まれる照明装置で、透過型の液晶表示装置における液晶表示パネル26の裏側に設けられ、液晶表示パネル26を裏側から照明する。バックライト30は、発光ダイオード(LED)23によって実現される光源、LEDを搭載し電源供給のための配線を有するFPC24、導光板21、反射板22、光学フィルム積層体10、これらのパーツを収めるフレーム20、および光学フィルム積層体10をフレーム20に固定しバックライト30への液晶表示パネル26の固定をするRIMシート25を備える。
【0050】
バックライト30は、エッジライト方式の照明装置であり、導光板21の一側面部にLED23が設けられ、導光板21の一方主面部に反射板22が設けられ、導光板21の他方主面部に光学フィルム積層体10が設けられている。光学フィルム積層体10は、第2フィルム体11dを導光板21に対向させて設けられる。
【0051】
このようなバックライト30は、光学フィルム積層体10の第1フィルム体11aを液晶表示パネル26に対向させるようにして用いられる。このバックライト30では、LED23から出射される照明光が、一側面から導光板21に入射され、導光板21の他方主面から出射されて、光学フィルム積層体10を経て液晶表示パネル26に照射される。光学フィルム積層体10は、導光板21の他方主面から出射される照明光を、拡散、集光させ、液晶表示パネル26の全体にわたって、均一に照明することができるようにするなど、所望の光学性能を発揮するように構成されている。
【0052】
本実施の形態では、第1フィルム11aおよび第2フィルム11dが拡散フィルム、被挟持第1フィルム11bおよび被挟持第2フィルム11cがプリズムフィルムの4枚構成であるが、これらとは別に被挟持第3フィルムとして反射型偏光子層を含んでもよい。この層は画像光として液晶表示パネル26を透過させるのに不適切な偏光状態のバックライト光を再利用するのに有用である。なお実際のシステム設計によっては、光学フィルム11で表される要素のいくつかがなくても、追加しても、または他の機能要素に替えてもよい。
【0053】
本発明の光学フィルム積層体10を組込んだバックライトユニットにはいくつかの利点がある。光学フィルムの多くは非常に薄い。例えばプリズム状構造化フィルムの厚さは各々約62μmである。バックライトで用いられる光学フィルムは通常非常に可撓性があり、これによりバックライトユニットの組立中に問題を生じる。本発明の光学フィルム積層体10は複数の薄い可撓性フィルムを結束した堅固な光学フィルム積層体であり、これにより組立問題を緩和できる。また、従来バックライトユニットを組立てる際、複数の光学フィルムを個々に連続して積層していたが、これを1回に減らすことで欠陥導入の可能性および最終的な歩留まり損失を最小限に抑えられる。さらに、光学フィルムは通常両側に保護シートのある状態でメーカーからバックライト組立業者に配送され、組立時に保護シートを剥離して使っている。光学フィルム積層体10では、バックライト組立業者が除去しなければならない保護シートの数が減る。これにより歩留まりおよび製造単位原価をさらに最適化できるなどの効果がある。
【0054】
次に図3、図4を用いて光学フィルム積層体10を製造する工程およびその製造装置を説明する。
【0055】
図3は、光学フィルム積層体10を製造するための工程を示す説明図である。工程は図中矢印の方向に進む。
【0056】
まず、図3(a)に示すように、被挟持第1フィルムのフィルム原反35bと被挟持第2フィルムのフィルム原反35cとを重ね合わす。図示していないが、重ね合わされたフィルム原反はそれらの位置がずれないように超音波溶着しておくのが好ましい。ここで、この図では製造工程を示すため便宜上フィルム原反を矩形のシートで描いているが、通常ロールに巻かれた長尺の帯状の材料はロールから引き出して用いる。
【0057】
次に図3(b)に示すように、重ね合わせたフィルム原反35bと31cに対して所定の位置に切込みを入れる。切込み部31は打抜き装置などで切込みを入れることができるが、好ましくは例えばトムソン型、ピナクル型および彫刻刃から選ばれるいずれかのプレス機で材料に押し付けて形成できる。
【0058】
そして図3(c)に示すように切込みを入れたフィルム原反に対して上方から第1フィルムのフィルム原反35aを、下方から第2フィルムのフィルム原反35dを重ね合わせる。
【0059】
そして図3(d)に示すように、重ね合わせたフィルム原反の所定の位置32を超音波溶着する。超音波溶着する部分32は前工程で切込み31を入れたところより外側で、次の工程で打抜いた時製品のタブ部となる位置である。超音波溶着の条件は重ね合わせたフィルム原反35がすべて溶着するよう設定する。
【0060】
最後に図3(e)に示すように超音波溶着した位置21にあわせて所望の形状33にトムソン型、ピナクル型および彫刻刃から選ばれるプレス機等で打抜き、フィルム原反35から光学フィルム積層体10を切出して残った残余の部分(以下「抜きカス」という)34を取り去ることで図3(f)に示す光学フィルム積層体10を得ることができる。
【0061】
このような工程を経ることで、最上層の第1フィルムと最下層の第2フィルムが接合し、且つそれらのフィルムの間に被挟持第1フィルムと被挟持第2フィルムを挟み込み、被挟持第1フィルムと被挟持第2フィルムの外周位置を規制する構造が実現できる。
【0062】
本実施例で示したのは光学フィルム4枚構成の例である。さらに光学フィルムを追加する場合は、図3(a)で重ね合わすフィルム原反を追加すればよい。
【0063】
図4は、光学フィルム積層体10の製造装置50を示す側面図である。図3で説明した工程を実現したものである。
【0064】
製造すべき光学フィルム積層体10のフィルム体11と同数のフィルム原反61a〜61dを備えている。以下、各フィルム原反61a〜61dを、個別に識別して説明するときは、第1フィルム原反61a、第2フィルム原反61b、第3フィルム原反61c、第4フィルム原反61dとそれぞれいい、不特定のいずれかについて説明するときは、添え字a〜dを省略してフィルム原反61という。第1フィルム原反61aは第1フィルムを、第2フィルム原反61bは被挟恃第1フィルムを、第3フィルム原反61cは被挟恃第2フィルムを、第4フィルム原反61dは第2フィルムを形成するための原反である。各フィルム原反61は、帯状の原反であり、それぞれロール状に巻回されて原反ロール62として準備される。
【0065】
製造装置50は、各原反ロール62からフィルム原反61を供給する供給手段と、供給手段によって供給される各フィルム原反61を仮固定する第1の超音波ウエルダ51と、各フィルム原反61を本固定する第2の超音波ウエルダ52と、各フィルム原反61に切り込みを入れる第1の切断手段54と、最終的に光学フィルム積層体10を切出す第2の切断手段56とを備える。
【0066】
供給手段は、フィルム原反61を図示しない搬送ローラ対で挟持し、その搬送ローラ対が回転することで原反ロール62からフィルム原反61を繰出し、その長手方向に移動させるように搬送する。第2フィルム原反62bは他のフィルム原反62a、c、dの搬送幅分の長さに切断され、他のフィルム原反62a、c、dと直角方向に供給される。また、図示していないが、各フィルム原反61の供給部、各工程後に粘着性を有する粘着ローラで挟持することで、各フィルム原反61に付着しているごみおよび各工程を経ることにより付着するごみを除去することができる。
【0067】
超音波溶着ユニット51、52はその先端に超音波ホーンが取り付けられ、フィルム原反61を押圧した状態で超音波を印可することで、フィルム原反61の押圧された部分が超音波接合される。
【0068】
切断手段54,56は、各フィルム原反61を切断する切断機である。各フィルム原反61に対し、例えばトムソン型、ピナクル型または彫刻刃のような打抜き型を押し付けることで各フィルム原反61に所望の加工が実現される。
【0069】
図示していないが各フィルム原反61の最下層にキャリアテープを介在させることによって、切出される光学フィルム積層体10を容易に搬送することができる上、さらに切断手段54,56の切断刃の摩耗を防止することができる。また、光学フィルム積層体10の搬出手段としても機能する。たとえばフィルム原反61と同様にロール状に巻回しておき、同様の構成の供給手段で供給することができ、たとえばロールに巻取ることによって回収することができる。キャリアテープの材料などの構成は、特に限定されるのではなく、従来公知のものを含め、種々様々なものを採用することができる。
【0070】
抜きカス34は、カス巻き取りロール55に巻取って光学フィルム積層体10とは別に回収する。
【0071】
製造装置50は、第3フィルム原反61c上に第2フィルム原反62bが供給され、第1の超音波ウエルダ51により、第3フィルム原反61cと第2フィルム原反62b間が超音波溶着され、第2フィルム原反62bが第3フィルム原反61c上に固定された中間積層原反63となる。
【0072】
次に中間積層原反63は、第1の切断手段54に送られ所定の位置に切り込みが設けられる。聞き込み加工後の中間積層原反63に対して上方から第1フィルム原反62a、下方から第4フィルム原反62dが重ね合わされ、中間積層原反64となる。
【0073】
そして、中間積層原反64は第2の超音波ウエルダ52へ搬送され、所定の位置を超音波溶着される。これで、第1フィルム原反61aと第4フィルム原反61dが連結される。
【0074】
最後に超音波溶着された中間積層原反64は第2の切断手段56へ供給され、所定の形状に打ち抜かれ、光学フィルム積層体10が形成される。
【0075】
なお、工程間の位置合わせは、例えば各フィルム原反61に設けた位置決め穴とそれぞれ位置決めピンによって実現できる。
【0076】
上述したように本発明はバックライトユニットに適用可能であるとともに、このようなバックライトユニットを作製するのに必要な工程数を低減するのに特に有用であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態の光学フィルム積層体10を示す構造図である。
【図2】本発明の光学フィルム積層体10を備えるバックライトユニットを示す分解斜視図である。
【図3】本発明の光学フィルム積層体10の製造工程を示す説明図である。
【図4】本発明の光学フィルム積層体10の製造装置を側面図である。
【図5】従来の技術の液晶表示装置100を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
10 光学フィルム積層体
10a〜10d タブ部
10f 切断部
11 光学フィルム
11a 第1フィルム
11b 被挟恃第1フィルム
11c 被挟恃第2フィルム
11d 第2フィルム
20 フレーム
21 導光板
22 反射板
23 発光ダイオード(LED)
24 FPC
25 RIMシート
26 液晶表示パネル
30 バックライト
31 切り込み部
32 超音波溶着する部分
33 所望の形状
34 抜きカス
35a〜35d フィルム原反
50 製造装置
51 第1の超音波ウエルダ
52 第2の超音波ウエルダ
54 第1の切断手段
56 第2の切断手段
61 フィルム原反
61a 第1フィルム原反
61b 第2フィルム原反
61c 第3フィルム原反
61d 第4フィルム原反
62 原反ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光学フィルム、第2の光学フィルム、および該第1、第2の光学フィルムの間に挟まれた少なくとも1枚の被挟持光学フィルムを含む光学フィルム積層体において、
該光学フィルム積層体の外周の少なくとも両側の2箇所に配置され、被挟持光学フィルムと同じ厚さで且つ該被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して、第1および第2の光学フィルムが接合されていることを特徴とする光学フィルム積層体。
【請求項2】
前記第1および第2の光学フィルムが同一材質であることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム積層体。
【請求項3】
前記接合部材が被挟持光学フィルムと同一の材料で形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム積層体。
【請求項4】
前記第1および第2の光学フィルムと接続部材とがそれぞれゼロギャップ接合されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム積層体。
【請求項5】
前記第1および第2の光学フィルムと被挟持光学フィルムは略矩形であり、その外周が位置合わせされてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム積層体。
【請求項6】
前記接合が超音波溶着による接合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム積層体。
【請求項7】
前記第1および第2の光学フィルムが拡散フィルムであり、前記被挟持光学フィルムにプリズム状の光配向フィルムが含まれてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム積層体。
【請求項8】
前記光学フィルムの外周各辺の外側に第1および第2の光学フィルムの接合部をそれぞれの辺において少なくとも1箇所有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の光学フィルム積層体。
【請求項9】
光学フィルム積層体の各フィルム原反を供給する原反供給工程と、
被挟持光学フィルムのフィルム原反を重ね合わせて、所定の位置に切り込みを入れる切込み工程と、
該切込み工程を通過したフィルム原反に対し、一方からの第1の光学フィルムのフィルム原反、他方からの第2の光学フィルムのフィルム原反を重ね合わせて、所定の位置を接合する接合工程と、
該接合工程を通過した積層したフィルム原反から所定の形状の光学フィルム積層体を打抜く打抜き工程とからなることを特徴とする光学フィルム積層体の製造方法。
【請求項10】
前記原反供給工程が、帯状のフィルム原反を長手方向全長にわたってロール状に巻回しておき、そのロールから繰出して供給し、少なくとも1つのフィルム原反は他のフィルム原反に対して直交する方向に供給することを特徴とする請求項9に記載の光学フィルム積層体の製造方法。
【請求項11】
前記切込み工程または打抜き工程の少なくとも一方が、重ね合わせたフィルム原反をトムソン型、ピナクル型および彫刻刃から選ばれるいずれかのプレス機で打抜く工程を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の光学フィルム積層体製造方法。
【請求項12】
前記接合工程が接合を超音波溶着により行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の光学フィルム積層体の製造方法。
【請求項13】
前記第1および第2の光学フィルムが拡散フィルムであり、
前記被挟持光学フィルムに第1の向きのプリズム状リブを有するプリズム状フィルム、および、前記第1の向きと非平行である第2の向きのプリズム状リブを有するプリズム状フィルムとを含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに光学フィルム積層体製造方法。
【請求項14】
光学フィルム積層体と、導光パネルを照明する1つまたは複数の光源と、該1つまたは複数の光源から入射した光を一表面を透過して光学フィルム積層体へ向かわせる導光板とからなり、
該前記光学フィルム積層体が、第1の光学フィルム、第2の光学フィルム、および該第1、第2の光学フィルムの間に挟まれた少なくとも1枚の被挟持光学フィルムからなる積層体において、該積層体の外周の少なくとも両側の2箇所に配置され、被挟持光学フィルムと同じ厚さで且つ該被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して、第1および第2の光学フィルムが接合されていることを特徴とするバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−56735(P2009−56735A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226928(P2007−226928)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】