説明

光学ユニット

【課題】プリズムでの収差の発生を抑え、光線の入射角を高精度に検出することが可能であり、且つ操作性の良い光学ユニットを提供すること。
【解決手段】試料配置部で全反射する夫々の入射角に対応した反射光の強度を検出する光学ユニットにおいて、平行光を出射させる光源ユニット1と、受光素子列3と、光源ユニットからの光を入射させ全反射光を受光素子列に導くプリズム2を有する。プリズムは、入射面2aを有する第1プリズムと、湾曲形状の反射面2bと試料配置部2cとを有する第2プリズムと、出射面2dを有する第3プリズムを備え、第1プリズムと第2プリズムが、第2プリズムの同じ面側に配置されるか、第2プリズムを挟んで対向する位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、屈折率や免疫測定値など、試料又は試料中の物質を定量分析する試料分析に用いられる光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料分析装置として、試料配置部に対し、全反射する角度を含む所定範囲の入射角を有する光(以下、所定の収束光とする)を入射させ、前記試料配置部からの夫々の入射角に対応した反射光の強度を夫々検出し、検出した強度が急激に変化したときの入射角を検出する装置がある。
【0003】
このような試料分析装置として、例えば、物質同士の屈折率差を利用して分析を行なう装置がある。この試料分析装置では、屈折率が既知の物質からなる試料配置部に、被検査試料を配置する。そして、この試料配置部の表面に、所定の収束光を入射させる。すると、臨界角より小さい角度で入射した光は、試料配置部の表面で全反射しなくなる。このときの入射角度を検出することにより、被検査試料の屈折率が求まり、被検出試料の物性が解析できる。
【0004】
また、例えば、表面プラズモンの発生を利用した試料分析装置では、上記試料配置部の表面に金属膜を備えている。そして、試料配置部の金属膜に被検査試料を配置し、この金属膜の表面に、所定の収束光を入射させる。ここで、臨界角以上の角度の光が入射すると、金属膜と被検査試料との界面において電界分布を有するエバネッセント波が生じる。そして、このエバネッセント波によって、金属膜に表面プラズモンが励起される。そして更に、臨界角以上の角度で入射した光のうち、特定の入射角度で入射した光に関して、エバネッセント波と表面プラズモンとが波数整合を生じて共鳴状態となる。この共鳴状態のときには、光のエネルギーが表面プラズモンに移行する。そのため、特定の入射角度で入射した光では、反射した光の強度が急激に低下する。そこで、この反射した光の強度が急激に低下するときの入射角度を検出することにより、表面プラズモンの波数が求まり、被検出試料の物性が解析できる。
【0005】
表面プラズモンの発生を利用した試料分析装置(表面プラズモンセンサー)として、次の特許文献1に記載のものが開示されている。
【0006】
特許文献1の試料分析装置は、例えば図15に示すように、誘電体であるガラスから形成された三角柱形のプリズムAと、このプリズムAの下面Aaと間隔をおいて対面するように配置されていてプリズムA側の表面上に試料Bが載置される金属膜Cと、1本の光ビームDを発生させる光源と、前記光ビームDをプリズムAに通しその下面Aaに対して、全反射角を含む種々の入射角が得られるように入射させる光学系と、上記プリズムの下面Aaで全反射した光ビームDの光量を検出する光検出手段Eから構成されている。
【0007】
あるいは、図16に示すように、プリズムを上記図15の三角柱形プリズムAに代えてプリズムを半球形プリズムFとし、このプリズムFの下面Faと間隔をおいて対面するように配置されていてプリズムF側の表面上に試料Bが載置される金属膜Cと、1本の光ビームDを発生させる光源と、前記光ビームDをプリズムFに通しその下面Faに対して、全反射角を含む種々の入射角が得られるように入射させる光学系と、上記プリズムの下面Faで全反射した光ビームDの光量を検出する光検出手段Eから構成されている。
【特許文献1】特許第3343086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の試料分析装置では、プリズムへ入射する入射光がプリズムに入射する際に屈折し、また、プリズムから出射する出射光がプリズムから出射する際にも屈折するため、計測点や集光点で収差が発生する。
【0009】
例えば、図15に示す三角柱形プリズムの場合は、収束光を入射させても入射面に対して入射角度が大きいと収差が生じ、角度分布に誤差が生じる。また、図16に示す半円球形プリズムの場合は、平行光束を入射させると収差が生じる。
【0010】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でありながらプリズムでの収差の発生を抑え、光線の入射角を高精度に検出することが可能な光学ユニットを提供することを目的とする。さらに、操作性のよい光学ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明による光学ユニットは、平行光を出射させる光源ユニットと、受光素子列と、前記光源ユニットから前記受光素子列に到るまでの光路中に配置された反射光学部材を有し、前記反射光学部材は、前記平行光が入射する位置に設けられた入射面と、前記入射面を通過した前記平行光を反射させる第1湾曲反射面と、前記第1湾曲反射面と対向する位置に設けられた平面部と、前記第1湾曲反射面と離れた位置であって、前記平面部と対向する位置に設けられた第2湾曲反射面と、前記第2湾曲反射面で反射した光を出射させる出射面を有し、前記平行光の中心光線を含み、前記第1湾曲反射面、前記平面部及び前記第2湾曲反射面と直交する面を第2仮想面、前記平行光の中心光線を含み、前記入射面と直交すると共に前記第2仮想面と平行な面を第1仮想面としたとき、前記第1仮想面と前記第2仮想面が所定の間隔で位置するように、前記入射面、前記第1湾曲反射面、前記平面部及び前記第2湾曲反射面が設けられていることを特徴とすることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記平行光の中心光線を含み、前記出射面と直交すると共に前記第2仮想面と平行な面を第3仮想面としたとき、前記第3仮想面と前記第2仮想面が所定の間隔で離れて位置するように、前記出射面が設けられていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記第1仮想面と前記第3仮想面が重なるように、前記入射面と前記出射面が設けられていることが好ましい。
【0014】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記第1仮想面と前記第3仮想面が所定の間隔で離れて位置するように、前記入射面と前記出射面が設けられていることが好ましい。
【0015】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記第1仮想面と交わる位置に設けられた第1平面反射面と、前記第2仮想面と交わる位置に設けられ、第1反射部と第2反射部を有する第2平面反射面と、前記第3仮想面と交わる位置に設けられた第3平面反射面を有し、
該第1平面反射面と前記第1反射部は、互いの面の法線が直交するように対向して配置され、前記第2平面反射面は、前記第1湾曲反射面と前記第2湾曲反射面の両方と対向するように設けられ、該第3平面反射面と前記第2反射部は、互いの面の法線が直交するように対向して配置されていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記入射面に入射する前記平行光の中心光線と前記出射面から出射する前記平行光の中心光線が、前記平面部と直交する仮想線に対して平行となるように構成されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記入射面に入射する前記平行光の中心光線と前記出射面から出射する前記平行光の中心光線が、前記平面部と直交する仮想線に対して直交するように構成されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記入射面から前記第1平面反射面に到る光路中と、前記第3平面反射面から前記出射面に到る光路中に、それぞれ反射面が設けられていることが好ましい。
【0019】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記反射光学部材は中実の透明部材で構成されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記反射光学部材は少なくとも2つの前記透明部材で構成され、一方の透明部材が前記平面部のみを含む部材であることが好ましい。
【0021】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記平面部に金属膜が蒸着されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡素な構成でありながら収差の発生を極力抑えられ、光線の入射角を高精度に検出することが可能な光学ユニットが得られる。また、プリズムへの入射光の入射面及び出射光の出射面を試料配置部と異なる面上となるようにしたので、光源ユニットと受光素子列を試料配置部とは異なる側に配置でき、操作性が向上し適用範囲が広くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施形態の説明に先立ち、光学ユニットの基本構成及び作用について、概略的に説明する。
図1は光学ユニットの基本構成を概念的に示すブロック図である。
光学ユニットは、光源ユニット1と、プリズム2と、受光素子列3とを有して構成されている。なお、個々の反射面を独立して配置することができるのであれば、必ずしもプリズムを用いる必要はない。
光源ユニット1は、プリズム2の入射面2aと向き合う位置に配置されている。なお、プリズム2の具体的な構成については後述する。この光源ユニット1は、平行光を出射させるように構成されている。平行光を出射させることができる構成であれば、例えば、光源にコリメートレンズを組合せた構成、あるいは、さらにそれにファイバーを組合せた構成など、どのような構成でもよい。
【0024】
受光素子列3は、プリズム2の出射面2dと向き合う位置に配置されている。また、受光素子列3の各素子は、1つの方向に沿って配置されている。ここで、試料配置部(平面部)2cには、所定の収束光が入射する。この所定の収束光の各光線は、その入射角が徐々に変化する。受光素子列3の各素子は、この入射角の変化に対応する方向に配置されている。なお、入射光が集光する位置は、湾曲形状の反射面(第1湾曲反射面及び第2湾曲反射面)2bの焦点位置でもある。また、試料配置部2c及び湾曲形状の反射面2bは、プリズム2の一部である。また、光学ユニットでは、受光した反射光の強度の変化に基づいて、入射角が検出される。反射光の強度の変化が生じる位置は、受光素子の位置から検出することができる。よって、光源ユニット1と受光素子列3は、このような検出ができるように調整されている。
【0025】
プリズム2は、光源ユニット1から出射した平行光を試料配置部2cに入射させると共に、試料配置部2cからの全反射光を受光素子列3に導くように構成されている。詳しくは、プリズム2は、入射面2aと、湾曲形状の反射面2bと、平面形状の試料配置部2cと、出射面2dを有している。
入射面2aは、光源ユニット1から出射した平行光をプリズム2の内部に入射させるように構成されている。このとき、入射面2aを平面とし、平行光が入射面2aに対して垂直に入射するのが好ましい。
湾曲形状の反射面2bは、入射面2aを透過してプリズム2の内部に入射した平行光を、その焦点位置(不図示)に向けて反射させるように構成されている。
平面形状の試料配置部2cは、湾曲形状の反射面2bと対向する位置であって、湾曲形状の反射面2bの焦点位置を含む位置に設けられている。
【0026】
そして、試料配置部2cで全反射した光の進行方向に、別の湾曲形状の反射面を設ける。この別の湾曲形状の反射面は、湾曲形状の反射面2bと別体であっても、湾曲形状の反射面2bと繋がった面(湾曲形状の反射面2bを延長した面)であっても良い。別の湾曲形状の反射面が湾曲形状の反射面2bと別体の場合、湾曲形状の反射面2bが第1の湾曲反射面になり、別の湾曲形状の反射面が第2の湾曲反射面になる。試料配置部2cで全反射した光は、別の湾曲形状の反射面で反射される。別の湾曲形状の反射面で反射された光は、入射光と同じ平行光となる。
出射面2dは、別の湾曲形状の反射面で反射された平行光を、プリズム2の外部に出射させるように構成されている。出射面2dの面形状は、面の法線が各光線に対して垂直となるような平面形状になっている。
また、入射面2a及び出射面2dは試料配置部2cとは反対側、すなわち、湾曲形状の反射面2b(及び別の湾曲状の反射面)と同じ側に位置するようにプリズム2を構成する。ただし、入射面2aから試料配置部2cに到るまでの間、試料配置部2cから出射面2dに到るまでの間に反射面を設けるようにしてもよい。このようにすれば、試料配置部2cと入射面2aの位置関係、試料配置部2cと出射面2dの位置関係を自由に設定することができる。
【0027】
このように構成された光学ユニットでは、光源ユニット1から出射した平行光は、プリズム2の入射面2aに入射する。入射面2aを透過してプリズム2の内部に入射した光は、湾曲形状の反射面2bで反射され集光される。これにより、平行光は所定の収束光となって、湾曲形状の反射面2bの焦点位置に入射する。湾曲形状の反射面2bの焦点位置には、試料配置部2cが位置している。よって、試料に、所定の収束光が照射されることになる。そして、所定の収束光のうち、臨界角以上の入射角で入射した光線は全反射し、別の湾曲形状の反射面で反射して平行光となり出射面2dからプリズム2の外部へ垂直に出射する。出射面2dからプリズム2の外部に出射した光は、受光素子列3の各受光素子で受光される。
【0028】
このように、上記の光学ユニットでは、プリズム2の入射面2aは、光源ユニット1から出射した平行光を、プリズム2の内部に垂直に入射させる。よって、平行光を構成する各光線は、いずれも平行のままの状態が保持される。また、反射面2bは湾曲形状に構成されている。これにより、反射面2bに入射した平行光は、その全ての光線が焦点位置に向けて反射される。すなわち、プリズム2の内部に入射した光は、所定の収束光に変換されて湾曲形状の反射面2bの焦点位置に入射する。焦点位置に入射した光は、試料配置部2c(湾曲形状の反射面2bの焦点位置)で全反射し、別の湾曲形状の反射面で反射して平行光となる。出射面2dは、この平行光を垂直に出射させる。このとき、全反射した光を構成する各光線は、いずれも全反射したときの角度を射出位置の情報として保持している。
【0029】
即ち、この光学ユニットによれば、プリズム2への入射光及びプリズム2からの出射光が、いずれも屈折させられることがない。しかも、所定の収束光への変換が、湾曲形状の反射面2bで行われる。このため、この光学ユニットによれば、プリズム2で発生する収差を小さく抑えることができる。特に、反射面2bの湾曲形状が放物形状であれば、収差が生じない。
【0030】
このように、光源ユニット1から出射した平行光を構成する各光線は、いずれも、所定の収束光を構成する光線に変換される。さらに、プリズム2では収差が良好に補正されている(あるいは無収差)ので、所定の収束光は、位置ずれ及び角度ずれを生じることなく試料配置部2c(湾曲形状の反射面2bの焦点位置)へ入射する。また、試料配置部2c(湾曲形状の反射面2bの焦点位置)で全反射した発散光は、位置ずれ及び角度ずれを生じることなく受光素子列3において夫々対応する受光素子で受光される。
【0031】
このような光学ユニットは、例えば、試料分析用装置に利用することができる。試料分析用装置では、この光学ユニットの試料配置部2cに試料を配置する。そして、湾曲形状の反射面2bの焦点位置に所定の収束光を照射し、全反射して得られる反射光を受光素子列3で受光する。受光素子列3では、入射角度に対応する位置の受光素子によって光強度の分布が得られる。この光強度分布を解析することにより、臨界角となる入射角を高精度に求めることができる。そして、その入射角から試料の諸物性を特定することができる。
【0032】
また、この光学ユニットにおいて試料配置部2cに、例えば、金属薄膜や金属微粒子をコーティングする等、金属膜を蒸着する。このようにすれば、表面プラズモン共鳴により反射光の強度が急激に変化するときの入射角を高精度に求めることができる。そして、その入射角から試料の諸物性を特定することができる。
【0033】
このように、上記の光学ユニットによれば、被検査対象の同一点を、入射角に幅をもたせた光で収差を生じることなく照射できる。このため、光線の入射角を高精度に検出するために、収差補正用レンズや非球面レンズを用いずに済む。また、配置スペースを減らして小型化、さらにはコストを低減できる。
【0034】
第1実施形態
図2〜図6は本発明の第1実施形態にかかる光学ユニットを示す図である。図2は本発明の光学ユニットに用いるプリズムの分解図であり、(a)は第2プリズム部の平面図、(b)は入射・出射用プリズム部の平面図である。図3は図2のプリズムの斜視図であり、(a)は第2プリズム部の斜視図、(b)は入射・出射用プリズム部の斜視図、(c)は第1仮想面、第2仮想面及び第3仮想面を示す図である。図4は図2のプリズムを組み立てた状態を示す斜視図である。図5は図2のプリズムの光路を示す説明図である。図6は図2のプリズムを用いた本発明の光学ユニットの一例を示す斜視図である。
【0035】
本実施形態の光学ユニットでは、プリズム2は、入射・出射用プリズム部10と、第2プリズム部20より構成されている。入射・出射用プリズム部10は第1プリズム部10aと第3プリズム部10bとを備えている。第1プリズム部10aと第3プリズム部10bは、いずれも矩形板状になっている。また、第2プリズム部20は放物板状になっている。そして、入射・出射用プリズム部10は、第2プリズム部20の下方に位置している。また、第2プリズム部20は湾曲形状(放物形状)の反射面2bを有し、且つ、全体が略カマボコ形状(略半円筒形状)に形成されている。そして、これら各プリズム部は全て同一の媒質の透明部材で構成されている。
【0036】
第1プリズム部10aは、入射面2aと第1反射面(第1平面反射面)31を有している。第1反射面31は、第1仮想面P1と交わるように、入射面2aに対向して配置されている。具体的には、第1反射面31は、その面の法線と第1仮想面P1とのなす角度が45度となるように配置されている。ここで、図3(c)に示すように、第1仮想面P1は、平行光の中心光線を含み、入射面2aと直交すると共に第2仮想面P2と平行な面である。なお、第2仮想面P2については後述する。
【0037】
光源ユニット1から出射した平行光は、入射面2aを介して第1プリズム部10aに入射する。入射した平行光は第1プリズム部10aの内部を水平に伝播して、第1反射面31に入射する。第1反射面31は、その反射面を第2プリズム部20側に向けて配置されている。よって、第1反射面31は、この平行光を第2プリズム部20内へ向けて鉛直方向に反射する。
【0038】
第2プリズム部20は、湾曲形状の反射面2bと試料配置部(平面部)2cを有する。湾曲形状の反射面2bは放物形状となっている。よって、以下の説明では、湾曲形状の反射面2bを、湾曲形状の反射面2bと称する。放物形状の反射面2bは、第1の反射領域(第1湾曲反射面)2bと、第2の反射領域(第2湾曲反射面)2bを有している。また、試料配置部2cは、放物形状の反射面2bの焦点位置Pに設けてある。そして、試料配置部2cと同じ側に平面反射面(第2平面反射面)が設けられている。
【0039】
この第2平面反射面は第2仮想面P2と交わる位置に設けられ、第21反射面(第1反射部)32と第22反射面(第2反射部)33を有する。第21反射面32と第22反射面33は、試料配置部2cを挟んで対称な位置に配置されている。なお、図3(c)に示すように、第2仮想面P2は、平行光の中心光線を含み、第1の反射領域2b、試料配置部2c及び第2の反射領域2bと直交する面である。
【0040】
第21反射面32と第1反射面31は、互いの法線が直交するように対向して配置されている。第21反射面32は、第1反射面31からの平行光を水平方向(第2仮想面内)に反射する。これにより、平行光が第2プリズム部20内に伝播する。また、第22反射面33と第3反射面34(第3平面反射面)は、互いの法線が直交するように対向して配置されている。よって、第22反射面33は、放物形状の反射面2bからの光束を第3反射面34へ向けて鉛直方向に反射する。本実施形態では、第21反射面32と第22反射面33は、反射面が平行になるように配置されている。よって、平行光が進行する向きは、第1反射面31から第21反射面32への向きと、第22反射面33から第3反射面34への向きとで正反対になる。
【0041】
第3プリズム部10bは、出射面2dと第3反射面34(第3平面反射面)を有している。第3反射面34は、第3仮想面P3と交わるように、出射面2dに対向して配置されている。具体的には、第3反射面34は、その面の法線と第3仮想面P3とのなす角度が45度となるように配置されている。ここで、図3(c)に示すように、第3仮想面P3は、平行光の中心光線を含み、出射面2dと直交すると共に第2仮想面P2と平行な面である。
【0042】
第3反射面34は、第22反射面33からの平行光を水平方向(第3仮想面内)に反射する。これにより、平行光が第3プリズム部10b内に伝播する。第3プリズム部10bの内部を伝播してきた平行光は、出射面2dを介して外部に出射する。
【0043】
このように、本実施形態の光学ユニットでは、第1仮想面P1と第2仮想面P2が所定の間隔で位置するように、入射面2a、第1の反射領域2b、試料配置部2c及び第2の反射領域2bが設けられている。また、第3仮想面P3と第2仮想面P2が所定の間隔で離れて位置するように、出射面2dが設けられている。そして、第1仮想面P1と第3仮想面P3が重なるように、入射面2aと出射面2dが設けられている。
【0044】
上述のように、第2プリズム部20の放物形状の反射面2bは、第1の反射領域2bと、第2の反射領域2bを有している。
第1の反射領域2bは、第21反射面32で反射された平行光を更に反射する。この反射により平行光を所定の収束光に変換し、放物形状の反射面2bの焦点位置Pに入射させる。なお、この焦点位置Pには試料配置部2cが設けてある。
第2の反射領域2bは、試料配置部2cで全反射された所定の発散光を更に反射する。この反射により発散光を平行光に変換し、平行光を第22反射面33に入射させる。
【0045】
すなわち、平行光は、第1プリズム部10aの入射面2aを介して、第1プリズム部10aの内部に入射する。この平行光は、第1反射面31と第21反射面32で反射して、第2プリズム部20の内部に入射する。第2プリズム部20の放物形状の反射面2b、より具体的には、第1の反射領域2bは入射した平行光を反射する。この反射により、平行光は、所定範囲の連続した入射角の入射光に変換される。なお、この所定の範囲には、全反射する角度が含まれている。このように変換された光は、放物形状の反射面2bの焦点位置Pに入射する。この焦点位置Pには試料配置部2cが設けてある。試料配置部2c(放物形状の反射面2bの焦点位置P)で全反射した光は発散光となって、第2の反射領域2bに入射する。第2の反射領域2bは発散光を反射して平行光に変換する。この平行光は、第22反射面33と第3反射面34で反射して、第3プリズム部10bの出射面2dから外部に出射する。
【0046】
また、第1プリズム部10aと第2プリズム部20では、第1反射面31と第21反射面32が対向するように接合されている。また、第3プリズム部10bと第2放物板状プリズム部20では、第3反射面34と第22反射面33が対向するように接合されている。そして、第1プリズム部10aと第2プリズム部10bは、第2プリズム部20の同じ側に配置されている。
【0047】
光源ユニット1は、出射した平行光を第1プリズム部10aの入射面2aに垂直に入射させるように配置されている。
受光素子列3の各受光素子3、3、・・・、3は、第3プリズム部10bの出射面2dから垂直に出射した光(平行光を構成する各光線)を受光面で垂直に受光するように1次元方向に配置されている。
【0048】
このように構成された第1実施形態の光学ユニットでは、光源ユニット1から出射した平行光は、第1プリズム部10aの入射面2aに垂直に入射する。入射面2aを透過して第1プリズム部10aの内部に入射した平行光は、平行光のまま第1反射面31により鉛直方向に反射される。この平行光は、更に第2プリズム部20の第21反射面32により水平方向に反射される。これにより、平行光は第2プリズム部20内に伝播する。そして、第2プリズム部20の内部に入射した平行光は、第1の反射領域2bで反射される。これにより、平行光は所定の収束光に変換されて、試料配置部2c、より詳しくは、放物形状の反射面2bの焦点位置Pに入射する。
【0049】
上述のように、放物形状の反射面2bは放物面の一部となっている。ただし、放物形状になっているのは、長手方向のみである。この長手方向は、第2プリズム部20の第21反射面32、試料配置部2c及び第22反射面33が並ぶ方向である。また、略長方形の平行光でいえば、長手方向は長方形の長軸方向でもある。一方、放物形状の反射面2bは、短手方向(長手方向と直交する方向)には、光学的パワーを持っていない。よって、放物形状の反射面2bで反射された平行光は、短手方向でその幅が一定に保たれた収斂光になる。従って、試料配置部2cに集光した光は、厳密には焦点Pを含む線上に集光する。
【0050】
試料配置部2c(放物形状の反射面2bの焦点位置P)に入射した光のうち、臨界角以上の入射角で入射した光は、全反射する。全反射した反射光は、第2の反射領域2bに向かう。そして、この反射光は、第2の反射領域2bで反射されて、平行光に変換される。平行光に変換された反射光は、第22反射面33で鉛直方向に反射され、第3プリズム部10bの第3反射面34で水平方向に反射される。これにより、平行光は、第3プリズム部10bの内部へ向けて伝播する。そして、平行光は第3プリズム部10bの出射面2dから外部へ垂直に出射する。出射面2dからプリズム2の外部に出射した光は、受光素子列3の各受光素子で受光される。
【0051】
このように、第1実施形態の光学ユニットでは、光源ユニット1から出射した平行光が第1プリズム部10aの入射面2aに対して垂直に入射するように、光源ユニット1とプリズム2が構成されている。そして、第1プリズム部10aの第1反射面31と第2プリズム部20の第21反射面32では、光線(入射した平行光の各光線)は平行光のまま偏向される。よって、平行光を構成する各光線は、いずれも平行のままの状態が保持された状態で第2プリズム部20内部に導かれる。また、第2プリズム部20における第1の反射領域2bは、入射した全ての光線(入射した平行光の各光線)を放物形状の反射面2bの焦点位置Pに向けて反射するという作用を有する。このため、第2プリズム部20の内部に入射した平行光は、所定の収束光に変換されて焦点位置Pに入射する。このとき、プリズム2の内部に入射した平行光は、プリズム2以外の媒質を通ることがない。
【0052】
また、第2プリズム部20における第2の反射領域2bは、焦点位置Pで全反射された全ての光線を反射して平行光に変換するという作用を有する。このため、焦点位置Pで全反射した光は、平行光に変換される。そして、第2プリズム部20の第22反射面33と第3プリズム部10bの第3反射面34では、変換された光は平行光のまま偏向される。よって、平行光を構成する各光線は、いずれも平行の状態が保持された状態で、第3プリズム部10bの出射面2dに垂直に入射する。なお、全反射した光は、プリズム2以外の媒質を通ることがない。そして、第3プリズム部10bの出射面2dは、入射した平行光を外部に垂直に出射させる。よって、平行光を構成する各光線は、いずれも平行のままの状態が保持される。このとき、出射面2dから出射した平行光の各光線は、いずれも全反射したときの角度を射出位置の情報として保持している。
【0053】
即ち、第1実施形態の光学ユニットによれば、プリズム2への入射光及びプリズム2からの出射光が、いずれも屈折させられることがない。しかも、所定の収束光への変換及び焦点位置Pで全反射した光の平行光への変換が、同一の媒質であるプリズム2の内部における放物形状の反射面2bで行われる。このため、本実施形態の光学ユニットによれば、プリズム2で収差が生じない。
【0054】
このように、光源ユニット1から出射した平行光を構成する各光線は、いずれも、所定の収束を構成する光線へ変換される。さらに、プリズム2では収差が発生しないので、所定の収束光は、位置ずれ及び角度ずれを生じることなく試料配置部2c(放物形状の反射面2bの焦点位置P)へ入射する。また、放物形状の反射面2bの焦点位置Pで全反射した発散光は、位置ずれ及び角度ずれを生じることなく平行光に変換される。そして、この平行光は、受光素子列3において夫々対応する受光素子で受光される。
【0055】
このような本実施形態の光学ユニットは、例えば、試料分析用装置に利用することができる。試料分析用装置では、第1実施形態の光学ユニットの試料配置部2cに試料をおく。そして、放物形状の反射面2bの焦点位置Pに所定の収束光を照射し、全反射して得られる反射光を受光素子列3で受光する。受光素子列3では、入射角度に対応する位置の受光素子によって光強度の分布が得られる。この光強度分布を解析することにより、臨界角となる入射角を高精度に求めることができる。そして、その入射角から試料の諸物性を特定することができる。
また、第1実施形態の光学ユニットにおいて試料配置部2cに、例えば、金属薄膜や金属微粒子をコーティングする等、金属膜を蒸着する。このようにすれば、表面プラズモン共鳴により反射光の強度が急激に変化するときの入射角を高精度に求めることができる。そして、その入射角から試料の諸物性を特定することができる。
【0056】
このように、第1実施形態の光学ユニットによれば、被検査対象の同一点を、入射角に幅をもたせた光で収差を生じることなく照射できる。このため、光線の入射角を高精度に検出するために、収差補正用レンズや非球面レンズを用いずに済む。また、配置スペースを減らして小型化、さらにはコストを低減できる。
【0057】
また、第1プリズム部10aの入射面2aへ入射する入射光と、第3プリズム部10bの出射面2dから出射する出射光は、いずれも試料配置部2cを含む平面の延長面上を通ることがない。すなわち、入射面2a及び出射面2dは試料配置部2cとは反対側であり、湾曲形状の反射面2bと同じ側に位置している。しかも、入射面2aへ入射する入射光と出射面2dから出射する出射光は平行である。よって、試料配置部2cの設置方法の自由度が高まり操作性を高めた光学ユニットとすることができる。
【0058】
なお、図示した例では第1プリズム部10aと第3プリズム部10bを、一枚の矩形板状の入射・出射用プリズム部10により構成されている例を示したが、第1プリズム部10aと第3プリズム部10bは完全に別体で構成してあってもよい。また、説明の便宜上プリズム2を、各プリズム部に分けそれらを組み立てるようにしてあるが、これらのプリズム部が初めから一体で形成されていてもよい。
【0059】
なお、入射・出射用プリズム部10と第2プリズム部20の接合面に、スリット(遮光部材)を設けるのが好ましい。このスリットを配置する部分としては、例えば、第1反射面31で偏向された光が第21反射面32に向かう光路部分、あるいは、第22反射面33で偏向された光が第3反射面34に向かう光路部分がある。
【0060】
第2実施形態
図7及び図8は上記第1実施形態の変形例を示したものである。ここでは、第1実施形態の第2プリズム部20を第21プリズム部21と、第22プリズム部22により構成する。第21プリズム部21は、半ドーナツ形の放物板状を有する。また、第22プリズム部22は半円形である。第22プリズム部22は、試料配置部2cのみを有する。そして、第22プリズム部22は、第21プリズム部21から取り外し可能な構成とする。このような構成にすると、光学ユニット全体を動かしたりせずに、試料のみを簡単に交換することができる。したがって、試料を交換するたびに光学ユニットを再調整する必要がなくなり、効率的に測定が行える。
【0061】
第3実施形態
図9〜図14は本発明の第3実施形態にかかる光学ユニットを示す図である。図9は本発明の光学ユニットに用いるプリズムの分解図であり、(a)は第1プリズム部の平面図、(b)は第2プリズム部の平面図、(c)は第3プリズム部の平面図である。図10は図9のプリズムの平面図である。図11は図9のプリズムの正面図である。図12は図9のプリズムの外観の斜視図である。図13は図9のプリズムを組み立てた状態での光路を示す斜視図である。図14は図9のプリズムの光路を示す説明図である。なお、本実施形態では、第1実施形態と同じ構成要素については説明を適宜省略し、異なる点について説明する。
【0062】
本実施形態の光学ユニットでは、プリズム2は、第1プリズム部40aと、第3プリズム部40bと、第2プリズム部20より構成されている。第1プリズム部40aと第3プリズム部40bは、三角板状になっている。また、第2プリズム部20は放物板状になっている。そして、第1プリズム部40aは第2プリズム部20の下方に位置し、第3プリズム部40bは、第2プリズム部20の上方に位置している。また、第2プリズム部20は湾曲形状(放物形状)の反射面2bを有し、且つ、全体が略カマボコ形状(略半円筒形状)に形成されている。そして、これら各プリズム部は全て同一の媒質の透明部材で構成されている。
【0063】
第1プリズム部40aは、入射面2aと、反射面41と、第1反射面(第1平面反射面)31を有している。反射面41は、入射面2a及び第1反射面31と対向する位置に配置されている。ここで、第1反射面31は、第1仮想面P1と交わるように配置されている。具体的には、第1反射面31は、その面の法線と第1仮想面P1とのなす角度が45度となるように配置されている。
【0064】
光源ユニット1から出射した平行光は、入射面2aを介して第1プリズム部40aに入射する。入射した平行光は第1プリズム部40aの内部を水平に伝播して、反射面41に入射する。反射面41は、平行光を水平に90度偏向させるように配置されている。反射面41により偏向された平行光は第1反射面31に入射する。第1反射面31は、その反射面を第2プリズム部20側に向けて配置されている。よって、第1反射面31は、この平行光を第2プリズム部20内へ向けて鉛直方向に反射する。
【0065】
第1実施形態と同じように、第2プリズム部20は、湾曲形状の反射面2b(第1の反射領域2bと第2の反射領域2b)、試料配置部(平面部)2c及び平面反射面(第21反射面32と第22反射面33)を有する。
【0066】
本実施形態では、第21反射面32と第22反射面33は、反射面が直交するように配置されている。よって、平行光が進行する向きは、第1反射面31から第21反射面32への向きと、第22反射面33から第3反射面34への向きとで同じになる。
【0067】
第3プリズム部40bは、出射面2dと、反射面42と、第3反射面(第3平面反射面)34を有している。反射面42は、第3反射面34及び出射面2dと対向する位置に配置されている。第3反射面34は、第3仮想面P3と交わるように配置されている。具体的には、第3反射面34は、その面の法線と第3仮想面P3とのなす角度が45度となるように配置されている。
【0068】
第3反射面34は、第22反射面33からの平行光を水平方向(第3仮想面内)に反射する。これにより、平行光が第3プリズム部40b内に伝播する。第3プリズム部40bの内部を伝播してきた光は、反射面42に入射する。反射面42は、平行光を水平に90度偏向させるように配置されている。反射面42により偏向された平行光は、出射面2dを介して外部に出射する。
【0069】
このように、本実施形態の光学ユニットでは、第1仮想面と第2仮想面が所定の間隔で位置するように、入射面2a、第1の反射領域2b、試料配置部2c及び第2の反射領域2bが設けられている。また、第3仮想面と第2仮想面が所定の間隔で離れて位置するように、出射面2dが設けられている。そして、第1仮想面と第3仮想面が所定の間隔で離れて位置するように、入射面2aと出射面2dが設けられている。
【0070】
また、第1プリズム部40aと第2プリズム部20では、第1反射面31と第21反射面32が対向するように接合されている。また、第3プリズム部40bと第2プリズム部20では、第3反射面34と第22反射面33が対向するように接合されている。そして、第1プリズム部40aと第2プリズム部40bは、第2プリズム部20を挟んで、上下の位置に配置されている。
【0071】
このように構成された第3実施形態の光学ユニットでは、光源ユニット1から出射した平行光は、第1プリズム部40aの入射面2aに垂直に入射する。入射面2aを透過して第1プリズム部40aの内部に入射した平行光は、平行光のまま反射面41で向きを変え、第1反射面31により鉛直方向に反射される。この平行光は、更に第2プリズム部20の第21反射面32により水平方向に反射される。これにより、平行光は第2プリズム部20内に伝播する。そして、第2プリズム部20の内部に入射した平行光は、第1の反射領域2bで反射される。これにより、平行光は所定の収束光に変換されて、試料配置部2c、より詳しくは、放物形状の反射面2bの焦点位置Pに入射する。
【0072】
上述のように、放物形状の反射面2bは放物面の一部となっている。ただし、放物形状になっているのは、長手方向のみである。この長手方向は、第2プリズム部20の第21反射面32、試料配置部2c及び第22反射面33が並ぶ方向である。また、略長方形の平行光でいえば、長手方向は長方形の長軸方向でもある。一方、放物形状の反射面2bは、短手方向(長手方向と直交する方向)には、光学的パワーを持っていない。よって、放物形状の反射面2bで反射された平行光は、短手方向でその幅が一定に保たれた収斂光になる。従って、試料配置部2cに集光した光は、厳密には焦点Pを含む線上に集光する。
【0073】
試料配置部2c(放物形状の反射面2bの焦点位置P)に入射した光のうち、臨界角以上の入射角で入射した光は、全反射する。全反射した反射光は、第2の反射領域2bに向かう。そして、この反射光は、第2の反射領域2bで反射されて、平行光に変換される。平行光に変換された反射光は、第22反射面33で鉛直方向に反射され、第3プリズム部40bの第3反射面34で水平方向に反射される。これにより、平行光は、第3プリズム部40bの内部を伝播する。そして、平行光は反射面42で向きを変え、出射面2dから外部へ垂直に出射する。出射面2dからプリズム2の外部に出射した光は、受光素子列3の各受光素子で受光される。
【0074】
このように、第3実施形態の光学ユニットでは、光源ユニット1から出射した平行光が第1プリズム部40aの入射面2aに対して垂直に入射するように、光源ユニット1とプリズム2が構成されている。そして、第1プリズム部40aの反射面41及び第1の反射面31と第2プリズム部20の第21反射面32では、光線(入射した平行光の各光線)は平行光のまま偏向される。よって、平行光を構成する各光線は、いずれも平行のままの状態が保持された状態で第2プリズム部20内部に導かれる。また、第2プリズム部20における第1の反射領域2bは、入射した全ての光線(入射した平行光の各光線)を放物形状の反射面2bの焦点位置Pに向けて反射するという作用を有する。このため、第2プリズム部20の内部に入射した平行光は、所定の収束光に変換されて焦点位置Pに入射する。このとき、プリズム2の内部に入射した平行光は、プリズム2以外の媒質を通ることがない。
【0075】
また、第2プリズム部20における第2の反射領域2bは、焦点位置Pで全反射された全ての光線を反射して平行光に変換するという作用を有する。このため、焦点位置Pで全反射した光は、平行光に変換される。そして、第2プリズム部20の第22反射面33と第3プリズム部40bの反射面42及び第3反射面34では、変換された光は平行光のまま偏向される。よって、平行光を構成する各光線は、いずれも平行の状態が保持された状態で、第3プリズム部40bの出射面2dに垂直に入射する。なお、全反射した光は、プリズム2以外の媒質を通ることがない。そして、第3プリズム部40bの出射面2dは、入射した平行光を外部に垂直に出射させる。よって、平行光を構成する各光線は、いずれも平行のままの状態が保持される。このとき、出射面2dから出射した平行光の各光線は、いずれも全反射したときの角度を射出位置の情報として保持している。
【0076】
即ち、第3実施形態の光学ユニットによれば、プリズム2への入射光及びプリズム2からの出射光が、いずれも屈折させられることがない。しかも、所定の収束光への変換及び焦点位置Pで全反射した光の平行光への変換が、同一の媒質であるプリズム2の内部における放物形状の反射面2bで行われる。このため、本実施形態の光学ユニットによれば、プリズム2で収差が生じない。
【0077】
このように、光源ユニット1から出射した平行光を構成する各光線は、いずれも、所定の収束を構成する光線へ変換される。さらに、プリズム2では収差が発生しないので、所定の収束光は、位置ずれ及び角度ずれを生じることなく試料配置部2c(放物形状の反射面2bの焦点位置P)へ入射する。また、放物形状の反射面2bの焦点位置Pで全反射した発散光は、位置ずれ及び角度ずれを生じることなく平行光に変換される。そして、この平行光は、受光素子列3において夫々対応する受光素子で受光される。
【0078】
このような本実施形態の光学ユニットは、例えば、試料分析用装置に利用することができる。試料分析用装置では、第3実施形態の光学ユニットの試料配置部2cに試料をおく。そして、放物形状の反射面2bの焦点位置Pに所定の収束光を照射し、全反射して得られる反射光を受光素子列3で受光する。受光素子列3では、入射角度に対応する位置の受光素子によって光強度の分布が得られる。この光強度分布を解析することにより、臨界角となる入射角を高精度に求めることができる。そして、その入射角から試料の諸物性を特定することができる。
また、第3実施形態の光学ユニットにおいて試料配置部2cに、例えば、金属薄膜や金属微粒子をコーティングする等、金属膜を蒸着する。このようにすれば、表面プラズモン共鳴により反射光の強度が急激に変化するときの入射角を高精度に求めることができる。そして、その入射角から試料の諸物性を特定することができる。
【0079】
このように、第3実施形態の光学ユニットによれば、被検査対象の同一点を、入射角に幅をもたせた光で収差を生じることなく照射できる。このため、光線の入射角を高精度に検出するために、収差補正用レンズや非球面レンズを用いずに済む。また、配置スペースを減らして小型化、さらにはコストを低減できる。
【0080】
なお、本実施形態では、第1プリズム部40aの入射面2aと、第3プリズム部40bの出射面2dを、いずれも試料配置部2cを含む平面の延長面上と直交するようにし、しかも、第1プリズム部40aと第3プリズム部40bを、第2プリズム部20を挟んでその上下に配置するようにしたので、光学ユニット全体を小型化できる。
【0081】
なお、図示した例では、第1プリズム部40aと、第3プリズム部40bと、第2プリズム部20の三個のプリズム部によりプリズム2が構成される例を示したが、これは説明の便宜のために三部品に分割したのであり、これらが初めから一体化されたものであってもよい。
また、第1プリズム部40aと第2プリズム部20の接合面に、スリット(遮光部材)を設けるのが好ましい。このスリットを配置する部分としては、例えば、第1反射面31で偏向された光が第21反射面32に向かう光路部分、あるいは、第22反射面33で偏向された光が第3反射面34に向かう光路部分がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の光学ユニットは、全反射を利用して試料の物性を分析する医療、医学、生物学の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の光学ユニットの基本構成を概念的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる光学ユニットに用いるプリズムの分解図であり、(a)は第2プリズム部の平面図であり、(b)は入射・出射用プリズム部の平面図である。
【図3】図2のプリズムの斜視図であって、(a)は第2プリズム部であり、(b)は入射・出射用プリズム部、(c)は第1仮想面、第2仮想面及び第3仮想面を示す図である。
【図4】図2のプリズムを組み立てた状態を示す斜視図である。
【図5】図2のプリズムの光路を示す説明図である。
【図6】図2のプリズムを用いた本発明の光学ユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる光学ユニットに用いるプリズムの斜視図である。
【図8】図7のプリズムの平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる光学ユニットに用いるプリズムの分解図であり、(a)は第1プリズム部の平面図、(b)は第2プリズム部の平面図、(c)は第3プリズム部の平面図である。
【図10】図9のプリズムの平面図である。
【図11】図9のプリズムの正面図である。
【図12】図9のプリズムの外観の斜視図である。
【図13】図9のプリズムを組み立てた状態での光路を示す斜視図である。
【図14】図9のプリズムの光路を示す説明図である。
【図15】従来の試料分析装置の一例を示す概略構成図である。
【図16】従来の試料分析装置の他例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0084】
1 光源ユニット
2 プリズム
2a 入射面
2b 湾曲形状の反射面(放物形状の反射面)
2b 第1の反射領域
2b 第2の反射領域
2c 試料配置部
2d 出射面
3 受光素子列
、3、・・・、3 受光素子列の各受光素子
10 入射・出射用プリズム部
10a 第1プリズム部
10b 第3プリズム部
20 第2プリズム部
21 第21プリズム部
22 第22プリズム部
31 第1反射面(第1平面反射面)
32 第21反射面
33 第22反射面
34 第3反射面(第3平面反射面)
40a 第1プリズム部
40b 第3プリズム部
41 反射面
42 反射面
P1 第1仮想面
P2 第2仮想面
P3 第3仮想面
P 焦点位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行光を出射させる光源ユニットと、
受光素子列と、
前記光源ユニットから前記受光素子列に到るまでの光路中に配置された反射光学部材を有し、
前記反射光学部材は、前記平行光が入射する位置に設けられた入射面と、前記入射面を通過した前記平行光を反射させる第1湾曲反射面と、前記第1湾曲反射面と対向する位置に設けられた平面部と、前記第1湾曲反射面と離れた位置であって、前記平面部と対向する位置に設けられた第2湾曲反射面と、前記第2湾曲反射面で反射した光を出射させる出射面を有し、
前記平行光の中心光線を含み、前記第1湾曲反射面、前記平面部及び前記第2湾曲反射面と直交する面を第2仮想面、前記平行光の中心光線を含み、前記入射面と直交すると共に前記第2仮想面と平行な面を第1仮想面としたとき、前記第1仮想面と前記第2仮想面が所定の間隔で位置するように、前記入射面、前記第1湾曲反射面、前記平面部及び前記第2湾曲反射面が設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記平行光の中心光線を含み、前記出射面と直交すると共に前記第2仮想面と平行な面を第3仮想面としたとき、前記第3仮想面と前記第2仮想面が所定の間隔で離れて位置するように、前記出射面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記第1仮想面と前記第3仮想面が重なるように、前記入射面と前記出射面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記第1仮想面と前記第3仮想面が所定の間隔で離れて位置するように、前記入射面と前記出射面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記第1仮想面と交わる位置に設けられた第1平面反射面と、
前記第2仮想面と交わる位置に設けられ、第1反射部と第2反射部を有する第2平面反射面と、
前記第3仮想面と交わる位置に設けられた第3平面反射面を有し、
該第1平面反射面と前記第1反射部は、互いの面の法線が直交するように対向して配置され、
前記第2平面反射面は、前記第1湾曲反射面と前記第2湾曲反射面の両方と対向するように設けられ、
該第3平面反射面と前記第2反射部は、互いの面の法線が直交するように対向して配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記入射面に入射する前記平行光の中心光線と前記出射面から出射する前記平行光の中心光線が、前記平面部と直交する仮想線に対して平行となるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記入射面に入射する前記平行光の中心光線と前記出射面から出射する前記平行光の中心光線が、前記平面部と直交する仮想線に対して直交するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記入射面から前記第1平面反射面に到る光路中と、前記第3平面反射面から前記出射面に到る光路中に、それぞれ反射面が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の光学ユニット。
【請求項9】
前記反射光学部材は中実の透明部材で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項10】
前記反射光学部材は少なくとも2つの前記透明部材で構成され、一方の透明部材が前記平面部のみを含む部材であることを特徴とする請求項9に記載の光学ユニット。
【請求項11】
前記平面部に金属膜が蒸着されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−25580(P2010−25580A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183999(P2008−183999)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】