説明

光学レンズシート成型樹脂型用紫外線硬化型樹脂及びその硬化物

【課題】
紫外線硬化型樹脂または熱可塑性樹脂を成型するレンズシートの低コストでの量産作製に好適な、ガラス転移温度(Tg)、貯蔵弾性率が高く、硬化収縮率の低い、耐久性に優れた樹脂型用エネルギー線硬化型樹脂組成物の提供。
【解決手段】
分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び/またはビスフェノールA骨格を有する2官能エポキシ(メタ)アクリレート(B)、光重合開始剤(C)として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンを含有し、(メタ)アクリレート成分の総量100質量%に対して成分(A)+成分(B)が50質量%以上であり、粘度が2000mP・s以下であり、硬化収縮率が8.0%以下である、樹脂型用エネルギー線硬化型樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂型用エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。更に詳しくは、レンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、マイクロレンズ等の基材上に成型する光学レンズシートを製造するに適した樹脂型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズムシート、導光板等のシート状または板状の樹脂成形体を製造する方法として、金型に熱可塑性樹脂を充填したのち、硬化させて樹脂成形体を得る下記のような方法が行われている。
【0003】
プレス法
熱可塑性樹脂を、加熱されたスタンパーを用いて押圧し、レンズ面を成形する手法。
【0004】
キャスティング法
溶融軟化された熱可塑性樹脂を、スタンパーの凹凸形成面に塗布または注入し、前記樹脂を固化させてレンズ面を成形する手法。
【0005】
また、近年ではこのような熱可塑性樹脂ではなく、紫外線(UV)や電子線(EB)等に代表されるエネルギー線の照射によって硬化するタイプの樹脂を使用してレンズシートを成形する手法として、以下に例示する手法がある。
【0006】
特許文献1に記載の手法
紫外線を透過する透明樹脂板と、レンズを構成する所定形状の凹凸(フレネルレンズ面)が形成されたスタンパーの凹凸形成面とによって規定される空隙に紫外線硬化型樹脂を充填した後、前記樹脂に前記透明樹脂板側より紫外線を照射して前記樹脂を硬化させ、前記透明樹脂板と重合接着させることによって、積層構成のフレネルレンズを製造する方法。
【0007】
前記したレンズシートの製造は、金型または樹脂型を使用して行われていた。金型を使用する場合、通常、表面に硬質クロム等の表面処理が行われている。従って、製作コストが高く、作成にも長時間を要する。また、樹脂型を使用する場合、通常、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用するため、基材に熱負荷が掛かる。さらに、熱硬化性樹脂を樹脂型として使用する場合、母型からの形状転写後、樹脂型として使用が可能となる反応終了までに数時間から数十時間の時間を要することから即時性に優れないという問題があった(特許文献2)。加えて、樹脂型は使用頻度に応じて作製し直す必要があるが、前述の使用可能な状態になるまで時間を要するという理由により、生産性が悪いという問題もあった。
【0008】
また、FRP製の金型に多官能アクリレートを塗布して耐磨耗性、耐擦傷性を向上させる手法もあるが、多種形状を必要とする光学シート用樹脂型としては製作コストが高くなってしまうという問題があった(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−177215号公報
【特許文献2】特開平6−298909号公報
【特許文献3】特開平5−16149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、エネルギー線硬化型樹脂または熱可塑性樹脂の硬化物からなる成型シートの樹脂型に好適な、量産性、型再現性、更に繰り返し耐久性に優れた樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究の結果、特定の組成を有する樹脂組成物及びその硬化物が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明は、
(1)分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び/またはビスフェノールA骨格を有する2官能エポキシ(メタ)アクリレート(B)、光重合開始剤(C)として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンを含有し、(メタ)アクリレート成分の総量100質量部に対して成分(A)+成分(B)が50質量部以上である、樹脂型用樹脂組成物、
(2)さらに、環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物(D)を含む前記(1)に記載の樹脂型用樹脂組成物、
(3)粘度が2000mP・s以下である、前記(1)又は(2)に記載の樹脂型用樹脂組成物、
(4)硬化収縮率が8.0%以下である、前記(1)ないし(3)に記載の樹脂型用樹脂組成物、
(5)前記(1)ないし(4)のいずれか一項に記載の樹脂型用樹脂組成物をエネルギー線で硬化せしめて得られる硬化物、
(6)周波数が1Hz、昇温速度2℃/minの条件で測定した動的貯蔵弾性率が−50℃〜250℃において1×108Pa以上である、前記(5)に記載の硬化物、
(7)ガラス転移温度(Tg)が100℃〜250℃の範囲である、前記(5)又は(6)に記載の硬化物、
(8)前記(5)ないし(7)の何れか一項に記載の硬化物を用いて成型された光学レンズシート、
に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の樹脂組成物は、粘度及び硬化時の収縮率が低い、また、安定性が良い。その硬化物はガラス転移温度(Tg)が高く、動的貯蔵弾性率が高い。また、金型、樹脂型からの離型性、型再現性、基材との密着性に優れている。そのため、特にレンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、マイクロレンズ等の基材上に成型する光学レンズシートを作製する際に使用する樹脂型に適している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の樹脂組成物に使用する分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物等が挙げられる。
【0015】
本発明において利用することのできる有機ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状飽和炭化水素イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等の環状飽和炭化水素イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。好ましくは環状飽和炭化水素イソシアネートであり、さらに好ましくは、トリレンジイソシアネートまたは炭素数が4〜15の環状飽和炭化水素イソシアネートである。中でも炭素数が4〜13の環状飽和炭化水素イソシアネートが好ましく、炭素数が12であるイソホロンジイソシアネートが特に好ましく用いられる。
【0016】
本発明において利用することのできる水酸基含有(メタ)アクリレートに特段の限定はなく、いずれの水酸基含有(メタ)アクリレートも使用することができるが、水酸基を2個以上有するものが好ましい。水酸基を2個以上有する水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジアクリル化イソシアヌレート、グリセロール(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0017】
本発明に使用するビスフェノールA骨格を有する2官能エポキシ(メタ)アクリレート(B)は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られ、反応時に希釈剤として単官能(メタ)アクリレートモノマーを使用することができる。また、反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は反応原料混合物に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。反応中の重合を防止するために重合禁止剤を使用することが好ましくその使用量は反応原料混合物に対して0.01〜1質量%の範囲で使用するのが好ましい。反応温度は60〜150℃であり、反応時間は通常5〜60時間である。
【0018】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は容易に入手可能であり、油化シェルエポキシ(株)製、エピコート1001(エポキシ当量450〜500)、エピコート1003(エポキシ当量670〜770)、エピコート1004(エポキシ当量875〜975)等、日本化薬(株)製KAYARAD R−115、東都化成(株)製、YD−011等が挙げられる。
【0019】
2官能エポキシ(メタ)アクリレート(B)を製造する際に希釈剤として使用することができる単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート(日立化成(株)製、FA−512A、FA−512M)テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロクタム、アクリロイルモルホリン、o−フェニルフェノールのポリエトキシ(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノールのポリエトキシ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
2官能エポキシ(メタ)アクリレート(B)を製造する際の重合防止剤としては、例えば、メトキノン、ハイドロキノン、フェノチアジン等が挙げられる。
【0021】
本発明の樹脂組成物に含有される光重合開始剤(C)に特段の限定はなく、いずれの光重合開始剤も使用することができる。本発明においては特に、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンが用いられるが、他の光重合開始剤を混合して用いてもよい。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]等のアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド等のホスフィンオキサイド類等を挙げることができる。好ましくは、アセトフェノン類であり、さらに好ましくは1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを挙げることができる。なお、本発明の樹脂組成物においては、複数種を混合して用いてもよい。
【0022】
本発明の樹脂組成物においては環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物(D)を使用することができる。該(メタ)アクリレート化合物(D)は分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)とビスフェノールA骨格を有する2官能エポキシ(メタ)アクリレート(B)以外のアクリレートである。例えば、該(メタ)アクリレート化合物(D)としては脂環構造を有する(メタ)アクリレート、芳香環構造を有する(メタ)アクリレート、ヘテロ環構造を有する(メタ)アクリレート等があるが、具体的には以下のものが挙げられる。
【0023】
脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート等を挙げることができる。芳香環構造を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレン(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ変性クレゾール(メタ)アクリレート、プロポキシ変性クレゾール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エトキシ変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、プロポキシ変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、ヘテロ環構造を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、モルホリン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー、イミドアクリレート等を挙げることができる。
【0024】
脂環構造を有する2官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ヒドロピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート等を挙げることができる。芳香環構造を有する2官能(メタ)アクリレートとしては、エトキシ変性ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ変性ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ変性ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ変性ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ変性ビスフェノールSジアクリレート、プロポキシ変性ビスフェノールS等を挙げることができる。また、ヘテロ環構造を有する2官能(メタ)アクリレートとしては、ジアクリル化イソシアヌレート等を挙げることができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物においては単官能または2官能の環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。中でも、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、モルホリンアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ変性ビスフェノールAジアクリレートが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ変性ビスフェノールAジアクリレートが特に好ましい。
【0026】
また本発明の樹脂組成物には、得られる本発明の樹脂組成物の粘度、屈折率、密着性などを考慮して、成分(A)、成分(B)、成分(D)以外の(メタ)アクリレートを単独あるいは二種類以上を混合して使用してもよい。該(メタ)アクリレートとしては、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、以外のエポキシ(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0027】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0028】
2官能(メタ)アクリレートとしては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0029】
分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0030】
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、ジオール化合物と二塩基酸又はその無水物との反応物であるポリエステルジオールと、(メタ)アクリル酸の反応物等が挙げられる。
【0031】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂類と(メタ)アクリル酸との反応物等を挙げることができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物の各成分の使用割合は、所望のガラス転移温度(Tg)や粘度や密着性等を考慮して決められるが、(メタ)アクリレートの総量を100質量部とした場合に、成分(A)の含有量は0〜60質量部であるが、通常10〜60質量部であり、好ましくは20〜50質量部である。成分(B)の含有量は0〜60質量部であるが、通常10〜60質量部であり、好ましくは20〜50質量部である。ただし、成分(A)+成分(B)は50質量部以上である。成分(D)の含有量は0〜50質量部であり、用いる場合は通常10〜50質量部であり、好ましくは30〜50質量部である。成分(A)、成分(B)、成分(D)以外の(メタ)アクリレートの含有量は0〜50質量部であり、用いる場合は通常10〜50質量部であり、好ましくは30〜50質量部である。成分(C)は(メタ)アクリレートの総量100質量部に対して、通常0.1〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、前記成分以外に取り扱い時の利便性等を改善するために、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤、酸化防止剤、重合禁止剤、帯電防止剤等を状況に応じて併用して含有することができる。更に、必要に応じて、アクリルポリマー、ポリエステルエラストマー、ウレタンポリマー及びニトリルゴム等のポリマー類も添加することができる。溶剤を加えることもできるが、溶剤を添加しないものが好ましい。
【0034】
本発明の樹脂組成物は、各成分を常法に従い混合溶解することにより調製することができる。例えば、撹拌装置、温度計のついた丸底フラスコに各成分を仕込み、40〜80℃にて0.5〜6時間撹拌することにより得ることができる。
【0035】
本発明の樹脂組成物の粘度は、基材上に樹脂型を製造する際の形状の転写性や加工性の作業性に適した粘度として、E型粘度計(TV−200:東機産業(株)製)を用いて測定した粘度が25℃で2000mPa・s以下である組成物が好ましい。
【0036】
本発明の樹脂組成物の硬化収縮率は、JIS K7112 B法に準拠し、硬化物の比重(DS)と、また、23±2℃で樹脂組成物の比重(DL)を測定し、次式により算出される硬化収縮率をいう。
硬化収縮率(%)=(DS−DL)/DS×100
本発明においては、樹脂型を製造する際の形状の変形への影響から硬化収縮率が8.0%以下である組成物が好ましい。
【0037】
本発明の樹脂組成物はエネルギー線によって容易に硬化させることができる。ここでエネルギー線の具体例としては、紫外線、可視光線、赤外線、X線、ガンマー線、レーザー光線等の電磁波、アルファー線、ベータ線、電子線等の粒子線等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、紫外線、レーザー光線、可視光線、または電子線が好ましい。
【0038】
常法に従い、本発明の樹脂組成物に前記エネルギー線を照射することにより、本発明の硬化物を得ることができる。
【0039】
本発明の硬化物の動的貯蔵弾性率は、粘弾性測定システム(DMS−6000:セイコーインスツルメンツ(株)製)、引張モード、周波数1Hz、昇温速度2℃/minにて測定した動的貯蔵弾性率をいう。本発明においては、樹脂型を用いた作業には適当な硬さ並びに耐久性が必要であることから、動的貯蔵弾性率が、−50℃〜250℃において1×108Pa以上である硬化物を与える組成物が好ましい。
【0040】
本発明の樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)は通常100℃〜250℃である。ガラス転移温度(Tg)は粘弾性測定システム(型番:DMS−6000、セイコー電子工業(株)製)等で測定することができる。
【0041】
本発明の樹脂組成物を基材上に成型して得られる樹脂型は、例えば、レンチキュラーレンズ、プリズムレンズ等の形状を有するスタンパー上に本発明の樹脂組成物を塗布して該樹脂組成物の層を設け、その層の上に透明基材であるバックシート(例えば、ポリメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、又はこれらポリマーのブレンド品等からなるフィルム)を接着させ、次いで該透明基材側から高圧水銀灯等によりエネルギー線を照射して該樹脂組成物を硬化させた後、該スタンパーから硬化物を剥離して得ることができる。
【0042】
本発明の硬化物は、ガラス転移温度(Tg)が高く、貯蔵弾性率が高く、離型性、型再現性、基板フィルムまたは易接着処理等が為されたガラス基板との密着性に優れた基材上に成型する樹脂型として有用である。該樹脂型を使用して成型される光学シートとしては、レンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、マイクロレンズ等が挙げられる。
【実施例】
【0043】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、数値の単位「部」は質量部を示す。
【0044】
分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成
合成例1
乾燥容器中にペンタエリスリトールトリアクリレート843.3部、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.5部、メトキノン0.5部を入れ、80℃まで加熱し、撹拌した。これにイソホロンジイソシアネート156.7部を1時間かけて滴下した。2〜3時間撹拌後のイソシアネート値は0.3以下であり、反応がほぼ定量的に終了し、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)が得られたことを示した。
【0045】
以下の実施例に示すような組成にて本発明の樹脂組成物及び硬化物を得た。又、樹脂組成物及び硬化膜についての評価方法及び評価基準は以下の通り行った。
【0046】
(1)粘度:E型粘度計(TV−200:東機産業(株)製)を用い、25℃にて測定した。
(2)離型性:硬化した樹脂を金型より離型させるときの難易度を表す。
○・・・・金型からの離型が良好である
△・・・・離型がやや困難あるいは離型時に剥離音がある
×・・・・離型が困難あるいは型残りがある
【0047】
(3)型再現性−1:基材上に本発明及び比較例の樹脂組成物を塗布・成型し、高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で1000mJ/cm2の照射を行い硬化させた。硬化した樹脂層の表面形状と金型の表面形状を観察した。
○・・・・再現性良好である
×・・・・再現性が不良である
(4)型再現性−2:基材上に本発明及び比較例の樹脂組成物を塗布・成型し、高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で1000mJ/cm2の照射を行い硬化させた。硬化した樹脂層の表面形状とシリコン樹脂型の表面形状を観察した。
○・・・・再現性良好である
×・・・・再現性が不良である
【0048】
(5)密着性:型再現性評価で用いたサンプルにて、JIS K5600−5−6に準じて密着性評価を行った。
評価結果は0〜2を○とし、3〜5を×とした。
【0049】
(6)硬化収縮率:基材上に本発明及び比較例の樹脂組成物を塗布し、高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で1000mJ/cm2の照射を行い硬化させ、膜比重測定用の硬化物を作成した。
これを、JIS K7112 B法に準拠し、硬化物の比重(DS)を測定した。また、23±2℃で樹脂組成物の比重(DL)を測定し、次式により硬化収縮率を算出した。測定結果は4回の測定結果の平均値で示す。
硬化収縮率(%)=(DS−DL)/DS×100
【0050】
(7)ガラス転移温度(Tg):硬化した樹脂層のTg点を粘弾性測定システム(DMS−6000:セイコー電子工業(株)製)、引張モード、周波数1Hzにて測定した。
【0051】
(8)耐久性:本発明及び比較例の樹脂組成物にて作製した樹脂型に、溶融した熱可塑性樹脂を滴下し、基材を被せてプリズムレンズシートを作製した。プリズムレンズシートの作製を10回繰り返し行い、その後、樹脂型の表面を観察した。
評価結果は形状に変化が無い場合を○とし、形状が変化している場合を×とした。
【0052】
(9)耐久性−2:本発明の硬化物及び比較例の樹脂組成物を硬化せしめた樹脂層の動的貯蔵弾性率を粘弾性測定システム(DMS−6000:セイコーインスツルメンツ(株)製)、引張モード、周波数1Hz、昇温速度2℃/minにて測定した。
○・・・・−50℃〜250℃において1×108Pa以上である
×・・・・−50℃〜250℃において1×108Pa以上ではない
【0053】
実施例1
成分(A)として合成例1で得られた化合物を40部、成分(B)としてKAYARAD R−115(日本化薬(株)製:ビスフェノールAエポキシジアクリレート)を20部、成分(C)としてIRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン)を1部、成分(D)としてIBXA(大阪有機化学工業(株)製:イソボルニルアクリレート)を30部、KAYARAD R−551(日本化薬(株)製:ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート)を10部、その他の成分としてIRGACURE 184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を3部、混合して60℃に加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1400mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80w/cm、オゾンレス)にて1000mJ/cm2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層のガラス転移温度(Tg)は140℃だった。
得られた本発明の樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が約50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射させ、硬化させた後剥離して、本発明の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:○、型再現性−2:○、密着性:○、硬化収縮率:7.2%、耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0054】
実施例2
成分(A)として合成例1で得られた化合物を30部、成分(B)としてKAYARAD R−115を20部、成分(C)としてIRGACURE 907を2部、成分(D)としてRM−1001(日本化薬(株)製:アクリロイルモルホリン)を30部、KAYARAD R−551を20部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、混合して60℃に加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1700mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は150℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:○、型再現性−2:○、密着性:○、硬化収縮率:7.4%
耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0055】
実施例3
成分(A)として合成例1で得られた化合物を25部、成分(B)としてKAYARAD R−115を25部、成分(C)としてIRGACURE 907を3部、成分(D)としてRM−1001を30部、KAYARAD R−551を10部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、KAYARAD FM−400(日本化薬(株)製:ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレートの混合物)を10部、混合して60℃に加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1700mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は152℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:○、型再現性−2:○、密着性:○、硬化収縮率:7.9%
耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0056】
実施例4
成分(A)として合成例1で得られた化合物を50部、成分(C)としてIRGACURE 907を1部、成分(D)としてIBXAを25部、KAYARAD R−551を25部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、混合して60℃に加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1150mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は165℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:○、型再現性−2:○、密着性:○、硬化収縮率:7.4%
耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0057】
実施例5
成分(B)としてKAYARAD R−115を50部、成分(C)としてIRGACURE 907を1部、成分(D)としてIBXAを40部、KAYARAD R−551を10部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、混合して60℃に加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1700mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は104℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして本発明の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:○、型再現性−2:○、密着性:○、硬化収縮率:5.6%
耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0058】
比較例1
成分(A)として合成例1で得られた化合物を23部、成分(B)としてKAYARAD R−115を31部、成分(C)としてIRGACURE 907を2部、成分(D)としてRM−1001を28部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、KAYARAD TMPTA(日本化薬(株)製:トリメチロールプロパントリアクリレート)を18部、混合して60℃に加温し、比較例の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1750mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は181℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして比較例の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:×、型再現性−2:×、密着性:○、硬化収縮率:8.5%
耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0059】
比較例2
成分(A)として合成例1で得られた化合物を41部、成分(B)としてKAYARAD R−115を21部、成分(C)としてIRGACURE 907を1部、成分(D)としてRM−1001を28部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、KAYARAD R−551を10部、混合して60℃に加温し、比較例の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は3100mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は175℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして比較例の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:×、型再現性−2:×、密着性:○、硬化収縮率:8.0%
耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0060】
比較例3
成分(A)として合成例1で得られた化合物50部、成分(C)としてIRGACURE 907を2部、成分(D)としてIBXA(大阪有機化学工業(株)製:イソボルニルアクリレート)30部、KAYARAD R−551を10部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、PHOTOMER 4017(コグニス・ジャパン(株)製:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)を10部、混合して60℃に加温し、比較例の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は350mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は183℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして比較例の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:×、型再現性−2:×、密着性:○、硬化収縮率:8.6%
耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0061】
比較例4
成分(B)としてKAYARAD R−115を50部、成分(C)としてIRGACURE 907を3部、成分(D)としてRM−1001を20部、KAYARAD R−551を20部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、KAYARAD FM−400を10部、混合して60℃に加温し、比較例の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は4150mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は107℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして比較例の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:×、型再現性−1:×、型再現性−2:○、密着性:○、硬化収縮率:6.1%
耐久性−1:×、耐久性−2:×
【0062】
比較例5
成分(A)として合成例1で得られた化合物30部、成分(B)としてKAYARAD R−115を30部、成分(C)としてIRGACURE 907を2部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、PHOTOMER 4017を20部、KAYARAD FM−400を20部、混合して60℃に加温し、比較例の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は900mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は138℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして比較例の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:×、型再現性−2:×、密着性:○、硬化収縮率:8.7%
耐久性−1:○、耐久性−2:○
【0063】
比較例6
成分(A)として合成例1で得られた化合物15部、成分(B)としてKAYARAD R−115を15部、成分(D)としてRM−1001を20部、KAYARAD R−551を20部、その他の成分としてIRGACURE 184を3部、PHOTOMER 4017を20部、KAYARAD FM−400を10部を混合して60℃に加温し、比較例の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は150mPa・sであった。実施例1と同様の方法で硬化させた硬化物のガラス転移温度(Tg)は124℃だった。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして比較例の樹脂型を得た。
評価結果
離型性:○、型再現性−1:×、型再現性−2:×、密着性:○、硬化収縮率:8.1%
耐久性−1:×、耐久性−2:×
【0064】
実施例1〜3及び比較例1〜6の評価結果から明らかなように、特定の組成を有する本発明の樹脂組成物は離型性、型再現性に優れている上、基板フィルムとの密着性が良好であり、ガラス転移温度(Tg)も高く、硬化収縮率が低い。そのため例えばレンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、マイクロレンズ等の基材上に成型する光学レンズシート用樹脂型に適している
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物及びその硬化物は、主に、レンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、マイクロレンズ等の基材上に成型される光学レンズシートの樹脂型に特に適するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び/またはビスフェノールA骨格を有する2官能エポキシ(メタ)アクリレート(B)、光重合開始剤(C)として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンを含有し、(メタ)アクリレート成分の総量100質量%に対して成分(A)+成分(B)が50質量%以上であり、粘度が2000mP・s以下であり、硬化収縮率が8.0%以下である、樹脂型用エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
さらに環状構造を有する単官能または2官能の(メタ)アクリレート化合物(D)を含む請求項1に記載の樹脂型用エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
周波数が1Hz、昇温速度2℃/minの条件で測定した硬化後の動的貯蔵弾性率が−50℃〜250℃において1×108Pa以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂型用エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
硬化物のガラス転移温度(Tg)が100℃〜250℃の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の樹脂型用エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の樹脂型用エネルギー線硬化型樹脂組成物を使用して得られる硬化物。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の硬化物を用いて成型された光学レンズシート。

【公開番号】特開2011−231246(P2011−231246A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103978(P2010−103978)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】