光学分光システムを使用するパラメトリック・プロフィーリング
【課題】回折格子の形状特徴物などの小寸法の形状特徴物のプロフィールを見出すためのシステムを提供する。
【解決手段】シード・プロフィールのギャラリが作られ、半導体装置についての製造プロセス情報を用いて該プロフィールに関連する初期パラメータ値が選択される。回折構造および関連するフィルムを測定するとき、反射率Rs,Rpなどのいろいろな放射パラメータおよび楕円偏光パラメータを使用することができる。放射パラメータのうちのあるものは、該プロフィールまたは該フィルムのパラメータ値の変化に対してより敏感な1つ以上の放射パラメータを選択してより精密な測定に到達することができる。プロフィール・パラメータのエラーを補正するために上述した手法をトラック/ステッパおよびエッチャに供給してリソグラフィおよびエッチングのプロセスを制御することができる。
【解決手段】シード・プロフィールのギャラリが作られ、半導体装置についての製造プロセス情報を用いて該プロフィールに関連する初期パラメータ値が選択される。回折構造および関連するフィルムを測定するとき、反射率Rs,Rpなどのいろいろな放射パラメータおよび楕円偏光パラメータを使用することができる。放射パラメータのうちのあるものは、該プロフィールまたは該フィルムのパラメータ値の変化に対してより敏感な1つ以上の放射パラメータを選択してより精密な測定に到達することができる。プロフィール・パラメータのエラーを補正するために上述した手法をトラック/ステッパおよびエッチャに供給してリソグラフィおよびエッチングのプロセスを制御することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に回折格子の形状特徴物などの小寸法の形状特徴物のプロフィールを見出すためのシステムに関し、特に光学分光手法を使用するその種のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超小形電子デバイスの集積密度および速度が大きくなるにつれて、回路構造は寸法が縮小し、プロフィールのエッジの鋭さが向上し続ける。現状技術のデバイスの製造は、かなりの数のプロセスステップを必要とする。各プロセスステップにおいてサブミクロン・ライン幅の正確な測定値およびパターン・ウェハ上のエッチングされた構造のプロフィールの量的記述を持つことがますます重要になりつつある。さらに、ウェハプロセス監視と、フォトリソグラフィにおける焦点−露出制御などの閉ループ制御の必要性が大きくなってきている。
【0003】
分光学的回折ベースの手法は、臨界寸法走査形電子顕微鏡法と比べると非破壊式で、充分に精密で、反復可能で、迅速で、単純でかつ安価であるので、超小形電子技術測定の応用に特に良く適している。このような回折ベースの分析技術では、通常は始めにプロフィールのモデルが作られ、そのモデルは、変化させることのできるパラメータをいくつか包含する。作られたモデルに基づいて1つ以上の回折強度対波長カーブが計算され、そのカーブはサンプルからの測定された回折データと比較される。該カーブと測定データとの一致が見出されるまでパラメータが調整される。
【0004】
現在使用されている方法はマルチスラブ・モデルを包含し、このモデルでは、測定されるプロフィールの近似物であるシード・プロフィールを形成するために長方形または台形のスラブが積み重ねられる。調整できるパラメータは、該長方形の幅および高さまたは該台形の幅、高さおよび側壁角を含む。ウェハ処理プロセスでは構造物の非常に多様なプロフィールに遭遇することがあるということが分かっている。現行の方法は、製造工程において広範で非常に多様なプロフィールを測定するためには不充分である。単にスラブの数を増やしてそのような多様なプロフィールをモデリングするためには、サイズがスラブおよび関連するパラメータの数の増大に伴って指数関数的に増大する巨大なライブラリを作る必要がある。さらに、種々のプロフィールに対応するパラメータの種々のセットは、識別不可能な分光データを作り出して交差相関として知られている問題をもたらす可能性がある。
【0005】
コンラドらの米国特許第5,963,329号(特許文献1)は、実際のプロフィールを測定するための改良された方法を提案した。このモデルでは、“S”ライン・プロフィールなどの特定のプロフィール形状を採用し、モデルのライン・プロフィールを2つ以上のサブプロフィールに分割し、より少数のスケーリングファクタを使って単一のサブプロフィールの中の全てのスラブ幅および高さを調整できるように各サブプロフィールの数値モデルを提供することによって独立のパラメータまたは変数が減少されている。
【0006】
コンラドらの上述した方法は、処理しなければならないパラメータの数を減少させたけれども、依然として欠点をいくつか抱えている。すなわち、この方法は、十分以上の材料から作られているライン・プロフィールを測定するため、また光学的パラメータおよび幾何学的パラメータを測定するためには、使用不可能である。従って、解が交差相関の大きな危険なしに単一の解に収斂するように上述したサンプルを決定するために使用できる改良されたモデルを提供することが望ましい。
【0007】
上述したように、製造中の半導体ウェハで遭遇するラインプロフィールの形状は広範な形状を呈する。そのようなラインプロフィールは、通常、該プロフィールの材料と同じかまたは異なる材料の層に接してかつ/または該層の下に位置する。そのようなプロフィールを測定するために回折ベースの分光学的手法が使用されるときには、該手法に使用される放射はその1つ以上の層と相互作用し、該層からの透過または反射された放射は、ラインプロフィールからの放射を検出するために使用される検出器により検出される。該層に起因する信号の寄与をラインプロフィールに起因する信号の寄与から分離することが不可能または非常に困難である場合、どのような手法を使うとしても、そのような層のパラメータをラインプロフィールの測定と同時に測定することが望ましい。現存するどの手法も、そのような能力を持っていない。従って、そのような層の検出器信号への寄与を考慮に入れることのできる改良されたシステムを提供することが望ましい。
【0008】
現在、市場において、構造物のプロフィール(横断面)を決定する普通の方法は、走査形電子顕微鏡法、すなわちSEM(横断面およびトップダウン)、原子間力顕微鏡法、すなわちAFM、および散乱計測法である。製造監視のために、散乱計測法は、周期的図票を使用するロット毎監視のための主要な方法として確立されつつある。
【0009】
散乱計測法における基本的方法は、測定された(通常はスペクトル)データと、前もって作成されたターゲットプロフィール並びに下に存する層の可能な変化を含むライブラリとの比較である。しかし、多くの場合、変数(例えば、ダマスカス層における下に存する層の厚さなど)の数は法外に多く、従ってユーザがライブラリを作るのを妨げる。
【0010】
米国特許第5,963,329号(特許文献1)は、測定されたスペクトル反射強度を用いて格子プロフィールを決定するためのリアルタイム回帰アルゴリズムの使用を開示している。このアルゴリズムの主な難点は、4より大きな自由度(CD、側壁角および下に存するフィルムの厚さなどの浮動パラメータ)については回帰時間が法外になることである。そのため、ユーザは、ダマスカス構造あるいは複雑な/可変のフィルム上のフォトレジストを測定するためにこの方法を使うことができない。さらに、自由度の数が増えると、局所相関極小値にロックしがちな非ロバスト根収斂がもたらされる結果となる。
【0011】
上記方法の主要な欠点は次の通りである。多変数フィルム上の格子(例えば、ダマスカス層上のフォトレジストまたは金属間誘電体にエッチングされたトレンチまたはヴァイアなど)についてライブラリを作るのは困難である。5以上の浮動プロフィールおよびフィルム変数についてリアルタイムで回帰することも困難である。従って、このような問題を緩和する改良されたシステムを提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,963,329号
【特許文献2】米国特許第5,608,526号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】M.G.モハラム、E.B.グラン、D.A.ポメット、およびT.K.ゲイロード著,“二元格子の厳密な結合波分析の安定した効率的実施の定式化”,J.Opt.Soc.Am.A,12巻,1068〜1076ページ,1995年
【非特許文献2】L.リ著,“層状回折格子をモデリングするための2つの回帰行列アルゴリズムの定式化および比較”,J.Opt.Soc.Am.A,13巻,1024〜1035ページ,1996年
【非特許文献3】M.G.モハラム著,“2次元誘電体格子の結合波分析”,PROC.SPIE,883巻,8〜11ページ,1988年
【非特許文献4】J.ノセダルおよびS.J.ライト著,“数値最適化”,シュプリンガー出版,ニューヨーク州ニューヨーク,1999年
【非特許文献5】D.T.ファムおよびD.カラボガ著,“インテリジェント最適化手法:遺伝アルゴリズム、タブー調査、模擬アニーリングおよびニューラルネットワーク”,シュプリンガー出版,ニューヨーク州ニューヨーク,2000年
【発明の概要】
【0014】
リソグラフィにおける時間、温度、焦点および照射線量、並びに一定の層の堆積のための時間および温度やエッチングプロセスの時間および性質などの他のパラメータなどの製造プロセスのセットされた一定のパラメータを有する処理装置により半導体デバイスは製造される。これらのパラメータが分かると、そのような製造プロセスからもたらされる構造のプロフィールをシミュレートすることが可能となる。ライン・プロフィールの実際の形状を発見するための可能な出発点としてシード・プロフィールまたはプロフィール・タイプのギャラリを使用することができる。測定されたデータと突き合わせるために特定のプロフィール・タイプを選出できるプロフィール・タイプのギャラリの作成に製造プロセス・パラメータについての情報を利用することができるのが好ましい。また、構造の実際のプロフィールを発見する目的のために最善のシード・プロフィールとして役立つ特定のプロフィール・タイプを該ギャラリから選択するために製造プロセス・パラメータについての情報を利用するのが好ましい。
【0015】
上述したように、測定されるべき回折構造は同じまたは異なる材料の1つ以上の層に接してかつ/または該層の下に位置することが良くあるので、使用される検出器は、そのような層の影響を受けた放射を回折構造からの回折と同じく検出する。これらの層はモデルにおいて考慮されなければならないであろう。これらの層の厚さおよび屈折率(nおよびk)などのパラメータは、一定の測定パラメータに対しては他の測定パラメータに対してよりも敏感であろう。このことは、回折構造を特徴づけるパラメータについても当てはまる。従って、本発明の他の実施形態では、各プロフィール・タイプから2セット以上の放射データを作ることができ、作られた放射データのセットは、反射率あるいは透過率パラメータおよび楕円偏光パラメータなどの種々の放射パラメータのものである。プロフィール・タイプのパラメータ(例えば、回折構造の幅、高さ、側壁角、屈折率、並びに1つ以上の層の厚さおよび屈折率など)の与えられた変化について、楕円偏光パラメータに対しては透過率または反射率パラメータに対してよりも敏感であったり、あるいはその逆であったりする。そのような場合、モデリングおよび突き合わせアルゴリズムの正確さと精度を改善するために、プロフィールのパラメータまたは該1つ以上の層の特性における変化に対してより敏感な放射データのセットと、関連する放射パラメータとを選択することが望ましいであろう。この特徴は、例えば、該層の効果が分かっていたり、無視することができたり、あるいは該構造に関連する層がない場合など、該層の効果を考慮する必要のない場合にも使用可能である。
【0016】
上記考慮事項とは無関係に、任意の形状を有するプロフィールの1つ以上のパラメータを導出するために、集められた放射の反射率または透過率パラメータと楕円偏光パラメータとを一緒に使用することができる。
【0017】
ユーザが利用できるようにされているデータベースにプロフィール・タイプのギャラリを蓄積することができ、また、プロフィール・タイプを該ギャラリから選択して、検出された測定データを該選択されたプロフィール・タイプに関連するデータと比較して該プロフィール・タイプの1つ以上のパラメータの値のセットに到達するために任意のプロセッサを使うことができる。
【0018】
測定されたプロフィールがウェハ製造プロセスを制御するために役立つ場合、1つ以上の処理パラメータを調整するために、測定された情報を使って処理システムを制御することができる。従って、もし測定された構造のプロフィールが処理システムにおける問題を指摘したならば、その問題の影響を軽減しあるいはなくすために処理システムを調整することができる。構造のプロフィールおよび/または該構造の付近の1つ以上の層の特性を見出すために上述した手法のいずれをも使用することができ、これらの値をトラック、ステッパおよび/またはエッチャなどの半導体ウェハ処理機に供給して、発見されたプロフィールの1つ以上のパラメータにおけるエラーを補正するためにリソグラフィおよび/またはエッチング・プロセスを制御することができる。該トラック、ステッパおよび/またはエッチャは、プロフィールの1つ以上のパラメータを見出すためのシステムと単一のツールを形成することができ、あるいはそれとは別の器具であっても良い。
【0019】
散乱性で回折性の構造の臨界寸法、側壁角および厚さなどのパラメータおよびこの散乱性で回折性の構造の上および/または下のフィルムスタックの特性のパラメータを決定するときの複雑さを軽減するために、複数の測定を組み合わせることができる。回折性構造の1つ以上のパラメータを決定する方法を簡略化するために基準構造を測定することができ、この基準構造は、該回折性構造とほぼ同じ厚さを有する少なくとも1つの層を含み、かつ/または該回折構造の材料のそれと実質的に同じ光学的特性を有する材料を含む。この基準構造に関してそのようにして得られた情報を使って該回折構造のパラメータの決定を簡略化することができる。
【0020】
回折構造が1つ以上のフィルムに隣接している場合、基準構造を回折構造に隣接している1つ以上のフィルムの特性と同様の特性を有する1つ以上の層を含むフィルム構造に隣接させて配置することができる。従って、基準構造を基準構造に隣接している層の特性と一緒に測定することにより、同様の特性を有する層の特性に関してそのようにして得られた情報を回折構造のパラメータ値を決定するために使うことができる。
【0021】
回折構造および基準構造の両方が同じ特性を有する2つの異なるフィルム・スタックに隣接して位置するように、基準構造は回折構造と同じサンプル上の平滑なまたは回折性の構造であって良く、基準構造と関連するフィルムは回折構造に隣接するフィルム構造と同じ処理ステップで形成されて良い。
【0022】
同じサンプル上に、あるいは同じ処理ステップで作られる同じロットの異なるサンプル上に2つの回折構造が存在する場合、該構造のプロフィール測定を簡略化するために、1つの回折構造から得られたプロフィールを他方の回折構造のパラメータを決定するために最適化プロセスにおいてシード・プロフィールとして使うことができる。
【0023】
散乱計測測定により得られた情報は、同じターゲットに、あるいは同じウェハ上の異なるターゲットに、あるいは同じ処理プロセスにより作られた同じロット内の異なるウェハに対する臨界寸法走査形電子顕微鏡測定(CD−SEM)へ送ることができる。散乱計測データの使用は、臨界寸法測定の壁角依存性に関して走査形電子顕微鏡アルゴリズムに存在する不確定性をなくすのに役立ち、走査形電子顕微鏡エレメントのためのピッチの絶対較正法を提供する。
【0024】
散乱計測測定データを同じターゲット上の、あるいは同じウェハ上の異なるターゲット上の、あるいは同じプロセスにより作られる同じロット内の異なるウェハ上のオーバーレイ測定器具に供給しても良い。散乱計測データの使用は、ターゲットのプロフィールに起因するオーバーレイ・アルゴリズムに存在する不確定性をなくすのに役立つであろう。
【0025】
ある測定では、回折構造の上および/または下のフィルム・スタックの特性を得ることが不可能である可能性がある。そのような場合には、集められたデータの一部分だけ、または回折構造に関連するパラメータのうちの1つのパラメータのデータを使って該構造のプロフィールを決定することがおそらく望ましく、その場合には該回折構造の測定に対するフィルム・スタックの影響は最小化される。換言すれば、パラメータのデータのサブセットおよび/または最適化プロセスで使われるパラメータは、最適化プロセスに対するフィルム・スタックの影響を最小化するように選択される。
【0026】
上述した特徴は、スタンドアローン・システムとして実現され、測定を実行するための光学装置と一体化できるものであるが、既存の光学測定装置を改造するなどして上述した能力を持たせることができる。本発明の上述した種々の態様を実行するためにコンピュータにより実行可能な命令のプログラムとして上述した特徴を具体化することができる。従って、コンピュータまたはその他の情報器具またはデジタル装置にロードされたソフトウェア・コンポーネントによって上述したどの手法を実行することもできる。そのように作動可能にされたときには、そのコンピュータ、器具または装置は、上述した手法を実行し、回折構造および/または関連する1つ以上の層から測定されたデータを使って1つ以上のパラメータの値を見出すための援助をすることができる。固定された媒体から該ソフトウェア・コンポーネントをロードすることができ、あるいはインターネットまたはその他の任意のタイプのコンピュータネットワークなどの通信媒体を通して該ソフトウェア・コンポーネントにアクセスすることができる。
【0027】
上述した本発明の特徴の各々を個々に使用し、あるいは種々の構成で組み合わせて使用することができる。そのような組み合わせおよび変形はすべて本発明の範囲内にある。
【0028】
簡略化および説明のために、本願では同一の要素には同じ数字が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】本発明を説明するために役立つ分光測定装置の略図である。
【図1B】本発明を説明するための2次元格子と関連する層との横断面図である。
【図2】本発明を説明するために役立つ他の分光測定装置の略図である。
【図3A】本発明を説明するために役立つ半導体製造時に見られる2次元構造の横断面図である。
【図3B】本発明を説明するために役立つ半導体製造時に見られる2次元構造の横断面図である。
【図3C】本発明を説明するために役立つ半導体製造時に見られる2次元構造の横断面図である。
【図3D】本発明を説明するために役立つヴァイアホールを有する3次元の周期的構造の透視図である。
【図4A】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4B】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4C】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4D】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4E】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4F】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図5A】本発明の実施形態を説明するプロフィールおよびフィルム測定のフローチャートである。
【図5B】図5Aのフローチャートの回折ソルバをより詳細に説明するフローチャートである。
【図6A】最適プロフィール・タイプまたはモデルと初期シート値のためのパラメータの値との選択を説明するフローチャートである。
【図6B】本発明の1つの態様を説明するために、最適放射パラメータと、測定されたデータと突き合わされる放射データの対応するセットとを選択するためのプロセスを説明するフローチャートである。
【図6C】本発明の態様を説明するために粗ライブラリからの非線形最適化のための出発点の選択を説明する略図である。
【図7】本発明を説明するためにトラック/ステッパおよびエッチャおよび分光測定装置を含むウェハ処理装置を例示する略ブロック図であり、該装置からの回折構造および/または関連構造からの情報は製造プロセスおよびトラック、ステッパおよび/またはエッチャを制御するために使われる。
【図8】図7のトラック/ステッパをより詳細に説明する略ブロック図である。
【図9A】回折構造のプロフィールまたはパラメータを決定するための本発明の種々の実施形態を説明するために役立つサンプル構造の略図である。
【図9B】回折構造のプロフィールまたはパラメータを決定するための本発明の種々の実施形態を説明するために役立つサンプル構造の略図である。
【図9C】回折構造のプロフィールまたはパラメータを決定するための本発明の種々の実施形態を説明するために役立つサンプル構造の略図である。
【図10】散乱計測測定ツールから得られたデータが、同じターゲットまたはある共通の特徴を有するターゲットに対して測定を実行するCD−SEM測定ツールまたはオーバーレイツールに順方向に送られるようになっている実施形態を例示する。
【図11】図10の本発明の特徴を説明するために2つの格子間のオフセットを測定するオーバーレイツールの略図である。
【図12】図10の本発明の特徴を説明するボックス・イン・ボックス形ターゲットの1次元イメージである。
【図13】本発明の態様を具体化できる代表的サンプル論理装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
アルゴリズムおよび方法についての以下の記述の多くは、回折構造に起因する回折の反射または透過強度の見地から記載されているが、いろいろな波長にわたる偏光状態の変化に関する情報を含むデータ(例えば、波長の関数としての楕円偏光パラメータΔおよびΨ)のためにも同じ手法およびアルゴリズムを使えることが理解されるであろう。この理由により、該構造により引き起こされる回折の反射強度または透過強度および該構造の回折に起因する偏光状態の変化の両方を測定できる器具を使用するのがおそらく有利であろう。以下、図1Aと関連させて適当なシステムを説明する。
【0031】
図1Aは、本発明の好ましい実施形態を例示する分光学的回折ベースの測定システムの略図である。図1Aに示されているように、システム10は、回折の反射強度若しくは透過強度または偏光状態の変化を測定するために使用可能である。図1Aに示されているように、半導体ウェハ11は、シリコン基板12と、その上のフィルム・スタックに接するおよび/またはフィルム・スタック上のフォトレジスト・パターンを含むことのできる構造16とを含むことができ、該フィルムは少なくとも部分的に光透過性であって、一定のフィルムの厚さと屈折率(nおよびk。屈折率の実数成分および虚数成分)とを有する。
【0032】
XYZステージ14は、ウェハを水平XY方向に動かすために使われる。ステージ14は、ウェハ11のz高さを調整するためにも使用可能である。白色光源22などの多色または広帯域の放射源22は、光ファイバ・ケーブル24を通して光を供給し、これは偏光をランダム化して、ウェハを照明するための均一な光源を生じさせる。好ましくは、光源22は、少なくとも180〜800nmの範囲の波長を有する電磁放射を供給する。ファイバ24から出ると、放射は、アパーチャおよび集束レンズまたはミラー(図示せず)を含むことのできる光照明器26を通過する。該アパーチャは、出てきた光ビームで構造16の一つの領域を照明させる。照明器26から出射した光は、偏光子28により偏光され、構造16を照明する偏光したサンプリング・ビーム30を生じさせる。
【0033】
サンプリング・ビーム30を起源とする放射は、構造16により反射され、アナライザ32を通され、例えば放射源22のスペクトルの成分などの反射された放射のいろいろなスペクトル成分を検出して構造の特徴を得る分光計34に送られる。1つの動作モード(分光測光モード)では、構造16の1つ以上のパラメータの値を見出すために後述する態様で反射強度が使用される。代わりに、構造16の照明ビーム30とは反対の側に分光計34を置くことによりシステム10を改造し、同じ目的のために構造16を透過した放射の強度を測定することもできる。これらの反射されたまたは透過された強度成分はコンピュータ40に供給される。
【0034】
あるいは、構造16により反射された光は、レンズ54により集光され、ビームスプリッタ52を通って分光計60へ進む。測定されるいろいろな波長のスペクトル成分が検出され、そのような成分を表わす信号がコンピュータ40に供給される。構造16により反射される光は、上述したように光源22により照明器26を通して供給されても良く、あるいは他の構成では他の光学コンポーネントを通して供給されても良い。従って、そのような構成では、レンズ23が光源22からの放射を集光してビームスプリッタ52へ向け、これは、入射したビームの一部を焦点レンズ54の方へ反射し、これはその放射を構造16上に集める。構造16により反射された光は、レンズ54により集められ、ビームスプリッタ52を通過して分光計60へ進む。
【0035】
システム10が該構造による回折に起因する偏光状態の変化を測定するために使用される他のモード(分光楕円偏光モード)で動作する場合には、分光計34が構造16から回折した放射を複数の波長で、例えば放射源22のスペクトル内の波長などで検出しているときに偏光子28またはアナライザ32が回転され(この偏光子とアナライザとの相対的回転運動を生じさせる)、その回転は当業者に知られている態様でコンピュータ40により制御(図示せず)される。種々の波長で検出される回折強度はコンピュータ40に供給され、これは、当業者に知られている態様で該強度から種々の波長での偏光状態データの変化を導出する。例えば、米国特許第5,608,526号(特許文献2)を参照されたい。この特許は、その全体が本願明細書において参照により援用される。
【0036】
図1Bは、基板12上の構造16の横断面図であり、本発明を説明するために、この構造は、該構造の上のフィルムスタック16aと該構造の下のフィルムスタック16cとの間に位置する回折構造16bと、入射電磁ビーム30とを含む。電磁放射の入射ビーム30は、始めに、空気とフィルムスタック16aとのインタフェースと、該スタック内に存在し得るインタフェースとに遭遇する。次に、ビーム30からのフィルムスタック16aを貫通した部分は、格子構造16bにより回折される。ビーム30からの放射の少なくとも一部は、該格子の下のフィルムスタック16cに到達し、スタック16cと関連するインタフェースにより反射されるかあるいは該インタフェースを透過する。総光反射率は、格子と、格子の上および/または下のフィルムスタックとの両方から影響を受ける。該フィルムと格子との間での繰り返し反射に起因する多層干渉は、反射率スペクトルに複雑なパターンを生じさせ、これを用いて構造のパラメータを測定することができる。ビーム30からの上述したような反射または回折されない部分は、基板12の中へ伝導される。図1Bに示されているように、格子16bは、表示されているように、高さH、臨界寸法(“CD”)および側壁角(SWA)を有する。
【0037】
図2は、本発明を説明する代わりの分光測定システム80の略図である。図2のシステムは、分光測光モードの測定と楕円偏光法測定との両方のために同じ光学コンポーネントを使用し、従って光学コンポーネントが少ないという点で図1Aのものとは異なっている。一方、図1Aの装置ではこれら2つのモードを同時に使用できるのに対して、これら2つのモードは順次に使用されなければならない。前と同じく、測定が行われるときには偏光子28とアナライザ32とに相対的回転運動があるが、図2のシステム80は楕円偏光計として動作する。このことは、偏光子28またはアナライザ32のいずれか、あるいは両方を回転させることにより達成可能である。偏光子28とアナライザ32とが相対的に回転しない場合(例えば、両方が回転しないか、または同じ速度で回転する場合)、器具80は分光測光計または反射率計として動作する。
【0038】
図2に示されているように、システム80はビームデバイダ82をさらに包含し、これは光源22からの照明ビームの一部を分光計84へ向け、これは、照明ビーム強度の変動の影響を測定から除去できるように照明ビーム強度の変動を測定する。ビームをコリメートし、あるいは集束させるなどして照明ビームを整形するためにビーム整形オプティックス86が使用される。
【0039】
ある回折構造は、例えば図1Bに示されているような単純な幾何学的形状を呈することができるが、ある場合には、これらの構造はもっと複雑な形状を呈することもできる。そのような場合には、在来のモデルよりも遥かに広範な種々の構造のプロフィールを予測可能にするモデルを提供することが望ましい。図3A〜3Dは、ウェハ製造プロセス中に遭遇することのある構造のタイプを例示する。図3Aは、フィルムスタックの上のライン格子の横断面図であり、各ラインの横断面は台形92の形状を呈し、該フィルムスタックは、基板12の上の層94a(底の反射防止膜あるいはBARC)、94b(ポリシリコン)、94c(二酸化珪素)を含む。
【0040】
あるいは、該構造は複数の異なる材料のスタックを各々含む周期的ラインを含むことができ、該ラインの横断面形状は湾曲している。図3Bに示されているように、該回折構造は3つの層、すなわち96a,96b,96cからなり、該回折構造は1つ以上の層を含むことのできるフィルム94の上に置かれている。図3Bの構造は、通常はシャロー・トレンチ・アイソレーション(“STI”)のプロセスに由来する。ウェハ製造で遭遇する現実的な構造のもう一つの例が図3Cに例示され、それは、ライン格子のそれとは異なる材料から作られた側壁スペーサを有するライン格子を含む。図3Cに示されているように、各ライン格子は、横断面がほぼ長方形である中心部分98aと、該長方形の両側の2つの側壁98a,98bとを含み、該ライン構造はフィルム94の上にある。図3Cの側壁スペーサは、通常は反応イオンエッチング(“RIE”)のプロセスのときにポリシリコン・ライン98の所望の形状を制御するために使われる。
【0041】
図3Dは、ヴァイアホールを有する周期的構造の透視図であり、該ホールは1つ以上の層を貫通することができる。ヴァイアホールは、1メタライゼーション層から他のメタライゼーション層への垂直結線を提供する。図1A、図2の構造16は、図1B,3A〜3Dに示されている回折構造および層の1つ以上を包含することができる。図3A〜3Dに例示されている構造の形状から、これらの図に例示されているより複雑な構造を測定するためには、例えば米国特許第5,963,329号(特許文献1)に開示されている方法などの従来の技術方法ではおそらく不充分であろうということは明らかである。
【0042】
図4A〜4Fは、半導体製造時に遭遇する回折構造の実際のプロフィールを推測するために使用できるシード・プロフィールまたはプロフィール・タイプとしておそらく有利に役立つプロフィール・モデルの例を示している。図4Aは、各台形についてのCDの値、高さおよび側壁角により特徴づけられる単一材料の多台形プロフィールを含むプロフィール・タイプの横断面を例示している。側壁角が90度に固定されているときには、このプロフィール・タイプは多スラブ・モデルとなる。底の台形はフッターを模している。
【0043】
図4Bは、プロフィールの高さおよび係数値aにより特徴づけられる多項式y=ax4 により表示可能な単一材料の4次式プロフィールの横断面図である。図4Cは、高さ、4次式係数aおよび底の丸みまたはフッターのパラメータにより特徴づけられる、底の丸み(すなわち、丸められたフッター)を有する単一材料の4次式プロフィールの横断面図である。フッターについては2つ以上のモデルを使用することができ、一例は滑らかな関数(例えば、図4Aに示されている直線、または2次関数の曲線などの曲線)を使用するモデルである。図4Dは、係数aと3つの層の各々の厚さとにより特徴づけられる多材料のエッチングされたy=ax4 の形の4次式プロフィールの横断面図である。図4Eは、側壁スペーサを有する2材料プロフィールの横断面図であり、このプロフィールは、例えば、内側および外側の材料についての共通の高さ値と、内側および外側の材料についての異なるCD値と、外側材料についての側壁角などのスペーサの内側および外側の材料についての高さ、エッジおよびプロフィーリング・パラメータにより特徴づけられる。図4Fは、高さおよびホールのパラメータ(円形ホールの半径)により特徴づけられる均一な層にヴァイアホール・プロフィールを有する3次元構造の透視図である。
【0044】
図4B,4Cおよび4Dに4次式プロフィールが例示されているが、例えば2次式放物線、あるいは4次式および2次式放物線の組み合わせなどの他の多項式表示を使用して説明することのできるプロフィールも使用可能であり、それも本発明の範囲にある。同じ文脈で、図4Aのプロフィール・タイプは複数の台形スラブを包含しているが、例えば台形の一方の側が湾曲しているなどの1つ以上の解析関数により定義されるスラブを使用することができ、それも本発明の範囲にある。
【0045】
図4A〜4Fのプロフィール・タイプは、測定される実際の回折構造の上および/または下に存することのできる材料の層を含んでいない。これらのプロフィール・タイプを用いて作られるモデルが測定される回折構造の上および/または下に存する層を考慮に入れることができるように、例えば厚さおよび屈折率など(ここではフィルム・パラメータとも称される)のこれらの層についてのパラメータを用いて以下に示すようにこれらの層をモデリングすることもできる。さらに、該プロフィール・タイプ自体が、例えば図4Dに示されている層などの層を包含することができる。係数aと3つの層の各々の高さなどの幾何学的パラメータだけではなくて、該プロフィール自体の3つの層の材料の各々の複素屈折率も用いて図4Aのプロフィール・タイプの層をモデリングすることができる。
【0046】
図1Aおよび2の装置を用いて構造16の測定が行われる前に、例えば図4A〜4Fに例示されているものなどのプロフィール・タイプのギャラリが始めに作成されてデータベースに蓄積される。図5Aは、モデルを使って回折構造のパラメータを測定するプロセスを例示するプロフィールおよびフィルム測定のフローチャートである。該構造が材料の1つ以上の層に接してかつ/またはその層の下に位置する場合、そのような層の1つ以上のパラメータを測定するためにモデルを使うこともできる。図5Aに示されているように、図示されているプロフィールの上および下の層と共に、図4A〜4Fに例示されているプロフィール・タイプなどのそれぞれのプロフィール・タイプに関連するシード・プロフィールおよびフィルム・パラメータと共に上述したギャラリを提供するためにオフライン前処理ツール102が使用される。プロフィール・パラメータは、例えば、CD、高さ、側壁角、係数aおよび4次式プロフィールの高さなどの多項式表示に関連するパラメータ、底の丸みおよびスペーサのパラメータ、ライン・プロフィールの材料の屈折率(nおよびk)などを包含することができる。フィルム・パラメータは、層の厚さおよび屈折率(nおよびk)を包含することができる。
【0047】
ツール102は、次に、回折ソルバ108において、プロフィール・タイプおよびこれに関連するプロフィールおよびフィルム・パラメータ、およびこのようなパラメータの初期値(例えば、推定、あるいは製造プロセスの情報またはシミュレーションに基づく)から、これらに関連する予測スペクトル放射データを計算する。回折ソルバ108の動作は図5Bにより詳細に示されている。図5Bに示されているように、プロフィール・タイプはスラブにより近似されて良い(ブロック110)。各スラブおよびプロフィール・タイプの下および/または上の各フィルムについて固有値およびS行列が計算される(ブロック112)。S行列は伝播されて(ブロック114)スペクトルに到達するが(ブロック116)、これは、図1A、2の装置を用いてプロフィールが測定されたときの予測放射データである。ソルバ108により使用されるモデリング・プロセスの詳細な説明については、以下の参考文献を参照されたい。以下の参考文献とは、
− M.G.モハラム、E.B.グラン、D.A.ポメット、およびT.K.ゲイロードによる“二元格子の厳密な結合波分析の安定した効率的実施の定式化”,J.Opt.Soc.Am.A,12巻,1068〜1076ページ,1995年(非特許文献1)、
− L.リによる“層状回折格子をモデリングするための2つの回帰行列アルゴリズムの定式化および比較”,J.Opt.Soc.Am.A,13巻,1024〜1035ページ,1996年(非特許文献2)、および
− M.G.モハラムによる“2次元誘電体格子の結合波分析”,PROC.SPIE,883巻,8〜11ページ,1988年(非特許文献3)、
である。
【0048】
図5Aに戻る。実際の回折構造と構造16のフィルムとに関連するスペクトルが図1Aまたは図2の装置(ブロック120)または他の任意の適切な装置を用いて測定され、その測定されたデータは回折ソルバ108からの予測スペクトルと比較される(ブロック122)。これら2つのスペクトルが良好に一致するならば、プロフィール・タイプおよびフィルムのパラメータの初期値は、測定される実際の構造およびフィルムの値を正しく予測する(ブロック124)。もし一致が満足できない程度であれば(ブロック126)、プロフィールおよびフィルム・パラメータ(ブロック106)はフィードバック経路の非線形最適化ツール(ブロック126)により変更あるいは調整される。回折ソルバ108のステップと比較122とは、予測されたスペクトルと実験によるスペクトルとが満足できる程度に一致するまで、反復される。例えば、以下の論文に記載されているものなどの任意の数の非線形最適化ツールを使用することができる。以下の論文とは、
− J.ノセダルおよびS.J.ライトによる“数値最適化”,シュプリンガー出版,ニューヨーク州ニューヨーク,1999年(非特許文献4)、および
− D.T.ファムおよびD.カラボガによる“インテリジェント最適化手法:遺伝アルゴリズム、タブー調査、模擬アニーリングおよびニューラルネットワーク”,シュプリンガー出版,ニューヨーク州ニューヨーク,2000年(非特許文献5)、
である。
【0049】
図3A〜3Dを参照して上述したように、ウェハ処理時に遭遇する実際の回折構造は非常に多様な形状を含む。本発明の一態様によれば、モデリング・プロセスのためのシード・プロフィールとして役立つギャラリのためのプロフィール・タイプを選択するときに製造プロセスに関する情報を有利に使用することができる。従って、例えば、図3A〜3Dの構造などの半導体製造時に遭遇する構造に留意しながら、図4A〜4Fのギャラリが選択される。
【0050】
上述したように、例えばリソグラフィにおける時間、温度、焦点および照射線量、並びに一定の層の堆積またはエッチング・プロセスの他のパラメータなどの製造プロセスの一定のセットされるパラメータを有する処理装置によって半導体デバイスは製造される。これらのパラメータが分かると、そのような製造プロセスから得られる構造のプロフィールを導出することが可能になる。製造プロセスから得られる構造のプロフィールをシミュレートするために使える1つのソフトウェア・ツールはPROLITH(商標)シミュレータ・ソフトウェアであるが、これはカリフォルニア州サンノゼの本願の譲受人であるケーエルエー−テンカー コーポレイションから入手できる。このソフトウェアは、フィンレ テクノロジーズ(テキサス州オースチン、1997年)のクリス A.マックによる“インサイドPROLITH (InsidePROLITH)”に記載されている。該製造プロセスから得られる構造のプロフィールをシミュレートするために使用可能なもう一つのツールは、ドイツ、ミュンヘンのシグマ_Cからのソリッド_Cである。製造プロセス・パラメータ(例えば、時間、温度)の値などの製造プロセスに関する情報が入手可能になったならば、図5A、5Bに示されているモデリング・プロセスのためのシード・プロフィールとして役立つプロフィール・タイプをプロフィール・タイプのギャラリから選択するために、そのようなパラメータから予測されるプロフィールを使うことができる。さらに、例えばCD、側壁角、高さ、係数aおよび二次式の高さまたは他の多項式形の式の係数などのプロフィール・タイプに関連するパラメータの初期値のセットと、これらのパラメータが中で変動すると予想されるプロセス・ウィンドウとを選択するために、製造プロセス情報を用いて到達する予測プロフィールを使うこともできる。このプロセスが図6Aに示されている。
【0051】
図6Aに示されているように、リソグラフィ・シミュレータ240(例えば、PROLITH(商標)シミュレータ)は、製造プロセス242のパラメータから、ライン・プロフィール244をシミュレートする。シミュレートされたライン・プロフィール244から、ギャラリ中のライン・プロフィール244に最も近い図4Aのプロフィール・タイプがシード・プロフィールとして選択される。このようなプロフィール・タイプを使用する予測プロフィールがシミュレートされたプロフィール244に最も近くなるように、このようなプロフィール・タイプの種々のパラメータの初期値を選択するためにもライン・プロフィール244が使われる。図6Aの例では、図6Aに示されている予測されるプロフィール246がシミュレートされたプロフィール244に最も近くなるように、図5A、5Bのモデリング・プロセスのために7つのパラメータCD1 ,CD2 ,CD3 ,CD4 およびH1 ,H2 ,H3 の初期値が選択される。図5Aに示されている非線形最適化プロセスが迅速に収斂できるように、上述した製造プロセスを使用することにより、測定される実際の構造に近い初期パラメータ値を有するプロフィール・タイプがモデリング・プロセスのためのシード・プロフィールとして選択される。
【0052】
該シード・プロフィールあるいはプロフィール・タイプと初期パラメータ値とから出発する上述したモデリング・プロセスが図6Bに示されている。上述したように、製造プロセスから入手できる情報から、パラメータがその中で変動することのできるプロセス・ウィンドウを確かめることができる。そのようなウィンドウが図6Bに示され、図示されているパラメータ1および2の範囲は、これら2つのパラメータが変動することのできる範囲である。該ウィンドウは、中心点250と、各パラメータがこの中心点での値から逸れることのできる量とに関して定められて良い。該中心点と、各パラメータに許容される逸れとは、製造情報から導出される。垂直な線のセットと水平な線のセットとによって該プロセス・ウィンドウを種々のセクションに分割することができ、線の2つのセットの交点は点のセットを形成し、その各々は2つのパラメータの値の対に対応する。ソルバ108を用いて、これらの値の対に対応する放射スペクトルを導出することができ、該スペクトルと、それらに対応する対とは粗ライブラリを形成する。プロフィール・タイプが3つ以上のパラメータにより特徴づけられる場合には、ウィンドウは3つ以上の変数を有する空間となり、各交点は3つ以上のパラメータのセットに対応することになる。
【0053】
この粗ライブラリが作られた後、該ライブラリのスペクトルが、最も近いものを見出すためにシミュレートされたデータと突き合わされる。最も近く一致するスペクトルに対応する交点252は、図5Aの最適化プロセスを実行するために最良の出発点である初期パラメータ値のセットを示す。図6Bの線254は、最適化プロセスがとる図6Bの点260に存する最終結果に到達する経路を略示している。
【0054】
例えば、図4Aのプロフィール・タイプでは、少なくとも3つのパラメータ値、すなわちCD、高さ(“H”)および側壁角(“SWA”)がある。例えば、係数aおよびプロフィールの高さにより特徴づけることのできる図4Bの四次式プロフィール・タイプなどのあるプロフィール・タイプについては、2つのパラメータで充分であろう。上述したように、選択されるプロフィール・タイプの初期パラメータ値のセットは、ギャラリからのプロフィール・タイプを用いる予測プロフィールがシミュレートされたプロフィールと最も近く一致するようなセットである。図5Bを参照して上述したように、回折ソルバ108を用いて波長の範囲116にわたる放射パラメータのスペクトルに到達し、それは選択されたプロフィール・タイプおよび関連するフィルムの初期値252のセットに対応する。このスペクトルは図5Aのブロック122のように測定されたデータと比較され、上述したように非線形の最適化ツールを利用して、収斂後に経路254に沿って該プロフィール・タイプのパラメータ値の最終セット260に到達することができる。例えば、図4Aのプロフィール・タイプが選択された場合、最終セット260は、各台形のCD、高さおよび側壁角の最終値を含むであろう。
【0055】
図5Aを参照して説明されたプロセスを高速化するために、図6Bに示されているものなどの粗ライブラリをオフラインで前もって計算することができるので、図6Bの格子状構造の交点(例えば、252)に対応するものなどの初期パラメータ値のいくつかのセットおよびそれらに対応するスペクトルと一緒にギャラリ内の各プロフィール・タイプが蓄積される。そのとき、該交点の各々に対応するスペクトルを計算するために回折ソルバ108が使われ、そのようなスペクトルは、プロフィール・タイプ、および、交点での初期パラメータ値の関連するセットと一緒に蓄積される。その後、図6Aのシミュレートされたプロフィール244などのシミュレートされたプロフィールを利用できるようになったとき、そのようなシミュレートされたプロフィールは、粗ライブラリ内の図6Bの交点に対応する初期パラメータ値のいろいろなセットに対応する予測プロフィールと突き合わされる。この比較から、該格子状構造中の特定の交点と、初期パラメータ値の対応するセットとを迅速に特定することができ、図5Aのブロック120,122,124および126のプロセスを非常に迅速に実行して該プロフィール・タイプのパラメータ値の最終セット260を突き止めることができる。従って、図6Bの粗ライブラリの解像度は測定のためには充分でないけれども、非線形の最適化を顕著に高速化する。粗ライブラリが前もって作られない場合には、中心点250、これに対応するパラメータ値のセットおよびスペクトルを図5Aの最適化プロセスのための出発点として使うことができる。
【0056】
上述した放射パラメータは、図1Aおよび2のシステムを用いて、当業者に知られているように測定可能である。本発明のもう一つの態様は、プロフィール・タイプおよび関連するフィルムに関連する1つ以上のパラメータの変化に対してある放射パラメータは他の放射パラメータより敏感であり得るという所見に基づく。このことが図6Cに示されている。プロフィール・タイプ、それに関連するフィルム、および選択されたパラメータの初期値252から、回折ソルバ108は種々の放射パラメータの予測スペクトルを作る。図6Cには例として、そのようにして作られた4つの異なる放射パラメータ、すなわちRs ,Rp ,cosΔおよびtanΨについてのスペクトル270が示されている。プロフィール・タイプに関連する種々のパラメータ値(例えば、CD,H,SWA)に変化が与えられ、そして4つ以上の種々の放射パラメータの各々について種々のスペクトルのセットを作るために回折ソルバ108が使われる。パラメータ値(例えば、CD,H,SWA)の同じ変化に対応する4つ以上の放射パラメータのスペクトルの変化を比較することにより、パラメータ値の変化に対して最も敏感な放射パラメータおよびこれに対応するスペクトルが特定される。
【0057】
換言すれば、選択されたプロフィール・タイプの各々を変化させる。すなわち、図4Aのプロフィール・タイプが選択されれば、パラメータCD,HおよびSWAの各々を変化させる。これら3つのパラメータの各々の各変化について、回折ソルバ108は4つ以上の放射パラメータの各々について対応するスペクトルを計算する。方程式、
によって量χ2 を定義することができる。この量(χ2 )は、例えば一定の信号(Rs ,Rp ,cosΔ,・・・)の理論値および実験値などの2つのデータR1 およびR2 のセット間の差を測定する。値σn は、n番目のデータポイントの重みを規定するものであり、通常は実験の不確定性により画定される。図6Cでχ2 を計算するとき、実際には2つの理論スペクトル、すなわち1つは初期パラメータ値でのスペクトル、もう1つは変更されたパラメータ値でのスペクトル、が比較される。χ2 以外の量を最適化に使用することができ、例えば、比較されるスペクトル間の交差相関を最適化することができる。
【0058】
経路254に沿って量χ2 が上記方程式にしたがって計算されるが、これは2つの理論スペクトル、すなわち1つは初期パラメータ値252でのスペクトル、もう1つはパラメータのうちの1つがその初期値から変更されているスペクトル、の差である。図6Cに示されているスペクトルの4つのセット270では、4つの放射パラメータの各々について一定数の曲線が計算され、その各曲線は、パラメータのうちの1つの値が初期値とから比較して変更されている理論スペクトルに対応する。CD,HまたはSWAの同じ変更に対応する4つの放射パラメータの4つの量χ2 は、CD,HまたはSWAの変化に対して最も敏感な放射パラメータとそのスペクトルとを特定するために比較される。図6Cに示されている例274では、χ2 は放射パラメータtanΨについて最大である。従って、図5Aに示されているモデリング・プロセスのために放射パラメータtanΨが選ばれれば、より正確な結果が達成可能であろう。換言すると、回折構造と、付随するフィルムとに関連するスペクトルを測定するために図1Aまたは2の装置が使用されるとき(図5Aのブロック120)、放射パラメータtanΨがある範囲の波長にわたって測定され、そのようなスペクトルは、図6Bの最終セット260についての値のより正確なセットに到達するために、図5Aのフローチャートにおいて回折ソルバ108により作られたtanΨと比較される(ブロック122)。
【0059】
図6Cは、使用できる放射パラメータのうちの4つを示している。もっとも完全なリストは、以下の12個の放射パラメータ、
を含み、ここでrs およびrp はそれぞれSおよびP偏光についての複素振幅反射係数であり、Rs およびRp はそれぞれSおよびP偏光についての反射率であり、すなわちRs =|rs |2 、Rp =|rp |2 である。角度Aは、アナライザ角度であり、ハードウェア構成により(最適に)セットすることができる。量tanΨおよびcosΔは、当業者に知られている楕円偏光パラメータである。
【0060】
図5A、5Bを参照して説明されたプロセスはプロフィールおよびフィルム・パラメータの両方を考慮に入れているので、図6Cを参照して上述されたプロセスは、プロフィールおよび/またはフィルム・パラメータの変化に対して最も敏感な放射パラメータおよびこれに関連するスペクトルを選択することに留意されたい。
【0061】
上述したプロセスの種々の態様により提供される利点が以下の表1に記載されている。
【表1】
【0062】
図7は、統合分光学的回折ベースの測定システム、フォトリソグラフィ・トラック/ステッパおよびエッチャのブロック図であり、本発明のもう一つの態様を示す。フォトレジストなどの材料の層がトラック/ステッパ350により半導体ウェハの表面上に形成され、ここで該フォトレジストはウェハ上に格子構造を形成する。格子構造のCD,H,SWAおよび/または他のパラメータのうちの1つ以上が図1A,2のシステム10,80を用いて測定され、フォトレジスト・パターンおよびこれに関連するフィルムの1つ以上のパラメータの値を見出すために、所望ならば上述した手法のうちの1つ以上を採用することができる。コンピュータ40からのそのような値はトラック/ステッパ350へフィードバックされ、ここでトラック/ステッパ350におけるリソグラフィのプロセスを変更してエラーを補正するためにそのような情報を使用することができる。半導体処理時に、フォトレジストの層がウェハ上に形成された後に、エッチャ360を用いるなどしてエッチング・プロセスを実行することができる。フォトレジストの層は、その後、当業者に知られているように除去され、ウェハ上の結果としての半導体材料からなる格子構造を所望ならばシステム10または80を用いて再び測定することができる。エッチング・パラメータのいずれか1つを変化させて、システム10または80を用いて見出されたエラーを補正するために、上述した手法のいずれか1つ以上を用いて測定された値をエッチャに供給することができる。もちろん、システム10,80において上述した手法の1つ以上により得られた結果を、トラック/ステッパおよびエッチャの両方において、あるいはトラック/ステッパまたはエッチャの両方ではなくていずれか一方において使用することができる。トラック/ステッパ350および/またはエッチャ360は、回折構造の1つ以上のパラメータを見出すためにシステム10または80と統合された単一のツールを形成することができ、あるいはそれとは別の器具であっても良い。
【0063】
図8は、半導体ウェハ処理のためのプロセスを説明するトラック/ステッパ350と、関連するフローチャートとの略図であって、回折構造および関連するフィルムのプロフィールの検出と処理プロセスとの統合のポイントを詳しく示し、図7のプロセスの一部を詳しく示す。図8に示されているように、半導体ウェハ352をカセットローダ354から“プライム”、“コート”、“ソフトベーク”、“EBR”という符号が付されている数個のステーションにロードすることができる。ウェハ352はステッパ・インタフェース356により露光ツール358に渡される。上述した4つの場所でのいろいろなプロセスについて以下に記述する。
【0064】
場所“プライム”において、ウェハは、ウェハの上にフォトレジストの層が作られる前に、フォトレジスト層がウェハに粘着できるように、化学処理される。場所“コート”において、フォトレジスト・コーティングの層がウェハ上に作られる。“ソフトベーク”において、レジストから化学溶剤を除去するためにレジストの層は焼かれる。“エッジビード除去 (edge-bead removal)”を表わす“EBR”において、ウェハのエッジから余分のフォトレジストを除去するために溶剤ノズルまたはレーザが使用される。
【0065】
ウェハがツール358によって放射に対して露出された後、ウェハに対して4つの追加プロセス、すなわち“PEB”、“PEBチル”、“現像”および“ハードベーク”が行われる。“PEB、すなわち露光後ベーク (post exposure bake) ”において、露光ツールからの定在波効果を低減させるためにウェハは焼かれる。その後、それは“PEBチル”で冷却される。その後、ウェハはフォトレジストを現像するために試薬で洗われるので、露光されていない(ネガティブ)または露光された(ポジティブ)フォトレジストが除去される。その後、フォトレジスト・パターンを安定させるためにウェハは“ハードベーク”で焼かれる。“現像ツール”358以外の図8の装置350のコンポーネントはすべて“トラック”(クラスタとも称される)として知られていることに留意されたい。
【0066】
これら後者の4つのプロセスが完了した後、ウェハ352はカセットローダ354に戻され、これでステッパ350を必要とする処理は完了する。回折構造および関連するフィルムのパラメータを測定するために矢印362のところで検出システム10または80を使用することができる。従って、そのようなパラメータは“ハードベーク”後に測定可能である。
【0067】
別のフィルムまたは別のプロフィール測定から得られる情報を使用するプロフィールの測定を可能にする方法はいくつかある。
a.フィルム測定を実行して下にある層の厚さを決定し、その情報を回帰を用いるフォトレジストの格子ターゲットに関する別の散乱計測測定へ順方向に送る。これにより、回帰における変数の数が減少し、そのために計算が顕著に高速化すると共に精度/ロバストネスが向上する。
b.フィルム測定を実行して下にある層(例えば、ゲートADI測定におけるBARC層)のnおよびkを決定し、その情報を回帰を用いるフォトレジストの格子ターゲットに関する別の散乱計測測定へ順方向に送る。これにより、回帰における変数の数が減少し、そのために計算が顕著に高速化すると共に、ライブラリまたは回帰方式における不正確な光学定数に起因するエラーが除去される。
c.フィルム測定を実行して下にあるおよび現在のエッチングされた層(格子構造の部分である層)の厚さを決定し、その情報をエッチングされた誘電体の格子ターゲットに関する別の散乱計測測定へ順方向に送る。これにより、別な方法によればプロフィール・ライブラリまたは回帰測定においてあまりに多くの自由度を持つことになるダマスカス構造の測定が可能となる。
d.散乱計測法を用いてプロフィール測定を実行し、それをシードとして次の散乱計測回帰測定へ順方向に送る。
e.散乱計測測定を実行して、その情報(最も重要なのは側壁角およびピッチである)を同じターゲットにまたは同じウェハ上の別のターゲットに関するCD−SEM測定へ送る。これにより、CD測定の壁角依存性に関してSEMアルゴリズムに存在する不確定性がなくなる。さらに、それはCD−SEMにピッチの絶対の較正を与える。
f.散乱計測測定を実行して、その情報(最も重要なのは頂部の丸みおよび壁角である)を同じターゲットまたは同じウェハ上の別のターゲット(例えば、ゼブラ・ターゲット)に関するオーバーレイ測定へ送る。これにより、ウェハにより引き起こされるシフト(ウェハ処理変動の結果として)に関してオーバーレイ・アルゴリズムに存在する不確定性がなくなる。
g.順方向送り方式または同時回帰のいずれかにおいて複数照明角情報を組み合わせて構造のプロフィール・パラメータを決定する。例えば、構造に関する追加の情報(1つまたは両方がSEであって良い)を提供するために垂直反射率計または近垂直反射率計を斜角反射率計と共に使用する。
h.反射された信号または測定ツール(通常は分光楕円偏光計)により集められた位相信号に関して回帰により散乱計測法を用いてプロフィール測定を実行する。
i.集められたスペクトル、偏光または位相情報の下に存在するフィルム特性に対してあまり敏感ではないサブセットを用いて構造のプロフィールを見出すために回帰を実行する。
【0068】
図9A,9B,9Cは、回折構造のプロフィールあるいはパラメータを決定するための本発明の種々の実施形態を説明するのに役立つサンプル構造の略図である。
【0069】
図9Aに示されているフィルムスタック360は、該フィルムスタック中の種々の層の厚さおよび/または複素屈折率を得るために図1Aおよび2に示されている反射率計、分光測光計または楕円偏光計によりサイト1で測定される。図1Aおよび2の器具を使ってフィルムスタック360の上の回折構造362aからの強度および位相情報をサイト2で測定することもできる。サイト1でフィルムスタック360を測定することにより得られたフィルムの厚さおよび屈折率の情報がサイト2で構造362を測定するときに放射データの計算またはモデリングに使用されれば、その回帰または計算の変数の数は激減するであろう。これにより、回折構造362aのプロフィールおよび/またはパラメータ(例えば、臨界寸法、側壁角および厚さ)の計算が顕著に高速化する。
【0070】
あるアプリケーションでは、サイト1での測定に利用できるフィルムスタックは、回折構造に関連するフィルムスタックと同一でなくても良い。このことが図9Bに示されている。従って、サイト1で測定されるフィルムスタック364は、構造368全体の中の回折構造368aの上または下のフィルムスタック366とは異なる。しかし、これらのフィルムスタック364,366に共通の層が1つある限り、スタック364の測定は、回折構造368aの測定を簡略化するのに役立つ情報をもたらすであろう。図9Bに示されているように、2つのフィルムスタック364,366は実質的に同一の層370を有する。このような場合、層370の厚さと複素屈折率とに関する情報は、回折構造368aのプロフィールまたはパラメータを決定するときの計算または回帰プロセスを簡略化するであろう。これは、2つのスタック364,366の2つの層370が同一ではないが実質的に同じ厚さまたは同じ屈折率またはその他の光学的特性を有する場合にも当てはまることである。
【0071】
図9A,9Bは、リソグラフィ処理時に頻繁に得られる構造を示している。エッチング・プロセス時には、層の一部分のみがエッチング可能で、層の他の部分がエッチングされないということが良くある。そのような場合には、エッチングされなかった部分の測定は、エッチングされた部分の回折構造のプロフィールまたはパラメータの決定を簡略化するのに役立つであろう。このことが図9Cに示されている。図9Cに示されているように、エッチングされない部分372は層0,1および2を包含する。エッチング前は、部分374の層0,1,2は部分373のものと実質的に同じである。エッチング時に、層2はエッチングされて構造374全体の回折構造374aとなる。従って、サイト1に存する構造372が図1Aまたは2の装置によって測定されれば、構造372の3つの層の厚さおよび屈折率に関する情報は、回折構造374aのプロフィールまたはパラメータを導出すための計算または最適化プロセスの複雑さを大幅に低減するであろう。
【0072】
上述した特徴は、層0および1と構造374内の対応する層とが同一でない場合、あるいは構造372の層2が回折構造374aと同じ厚さまたは屈折率を持たないときでも、適用可能である。構造372のいずれか1つの層と構造374の他の層とが厚さまたは屈折率などの何らかのパラメータを共通に持っている限り、サイト1で構造372を測定してその情報を構造374の測定に順方向に送れば、2番目の測定が簡略化されるであろう。
【0073】
図10は、散乱計測測定ツール376から得られたデータを(図9Cに関して上述したものと同じ意味で)同じターゲットまたは何らかの共通特徴を有するターゲットに対する測定を実行するCD−SEM測定ツール378に順方向に送ることができるようになっている実施形態を例示している。
【0074】
図10は、散乱計測測定ツール376から得られたデータを(図9Cに関して上述したものと同じ意味で)同じターゲットまたは何らかの共通特徴を有するターゲットに対する測定を実行するオーバーレイ測定ツール378に順方向に送ることができるようになっている実施形態も例示している。
【0075】
図11は、2つの格子(1つの格子382のみを図11に示す)間のオフセットを測定するオーバーレイ・ツールの略図である。放射ビーム381は、ミラー385により反射され、レンズ384によりターゲット382へ集束される。散乱または回折された放射はレンズ386により集められてCCD387へ集束され、その出力は格子間のミスアラインメントを計算するためにコンピュータ40に送られる。あるいは、ターゲットはボックス・イン・ボックス形ターゲットであっても良くて、その1次元イメージが図12に示されている。両方のタイプのターゲットのプロフィールがオーバーレイ測定に影響を及ぼす。図12に示されているように、ボックス・イン・ボックス形ターゲットのエッジの形状は、ボックス・イン・ボックス形ターゲットにより回折される放射に対して影響を及ぼすことができる。従って、ターゲットのプロフィールまたは他のパラメータを測定し、その情報をオーバーレイ測定ツールに送れば、オーバーレイ測定はより正確になるであろう。
【0076】
図6Cと関連する上記説明とに関して、パラメータ値についてより正確な結果を得るために、突き合わせプロセスに最適のパラメータを選択することが可能であろうことに留意されたい。あるアプリケーションでは、その逆が望ましいであろう。フィルム構造に隣接する回折構造のプロフィールまたはパラメータを測定するのが望ましいけれども、フィルム構造の厚さおよび屈折率を容易に利用することはできないか、あるいは測定できない場合、回折構造測定に対するフィルム構造の影響が最小限にされるパラメータを選択することが望ましいであろう。そのようなアプリケーションについては、図6Cを参照して上述されたプロセスと実質的に同じプロセスを実行することができる。しかし、図6Cについての説明とは対照的に、パラメータ値の与えられた変化についてスペクトル変化量を最大にするフィルム構造のパラメータ(例えば、フィルムの厚さまたは屈折率)を選択する代わりに、変更されたときにスペクトル変化量の最小の変化を生じさせるフィルム・パラメータが選択される。
【0077】
ソフトウェアのアップグレード
図1A,2および11に示されているようなシステムを用いて本発明を説明してきた。図1A,2および11のシステムのいろいろな光学コンポーネントがサンプルから測定されたデータを得るために使われるが、その他のプロセスの多くがコンピュータ40により実行される(図を簡略化するために図2には示していない)。半導体メーカーなどのメーカーにより現在使用されている多くのシステムについては、該システムで使われているコンピュータは上述した手法を実行する能力を持っていないであろう。本発明の他の態様は、コンピュータ40が上述したいろいろな機能のうちの1つ以上を実行できるように、これらのコンピュータ・ソフトウェアをアップグレードできることを目論む。従って、本発明の他の態様は、上述した機能を実行するようにコンピュータ40にロードされるソフトウェア・コンポーネントを必要とする。これらの機能は、図1Aまたは2または11のシステム10または80または380の光学コンポーネントと関連して、上で概説したいろいろな利点を有する結果を提供する。ソフトウェアまたはプログラム・コンポーネントをいろいろな方法でコンピュータ40にインストールすることができる。
【0078】
この技術分野において理解されるであろうが、本発明のソフトウェア・コンポーネントは、適切に構成された計算装置にロードされたとき該装置を本発明に従って動作させる論理命令および/またはデータを含む固定媒体プログラム・コンポーネントで具体化され得るものである。この技術分野において理解されるであろうが、固定媒体プログラムは、ユーザのコンピュータにロードするために固定媒体でユーザに渡されても良く、また固定媒体プログラムは、ユーザがプログラム・コンポーネントをダウンロードするために通信媒体を通してアクセスするリモート・サーバに常駐しても良い。従って、本発明の他の態様は、プログラム・コンポーネントをユーザへ送信し、あるいは送信させることを含み、該コンポーネントは、ユーザの装置にダウンロードされると上述した機能のうちのいずれか1つ以上を実行することができる。
【0079】
図13は、命令を媒体417および/またはネットワークポート419から読み出すことのできる論理装置として理解し得る情報装置(またはデジタル装置)を示している。その後、装置40は、これらの命令を使って、当該技術分野において理解されているように、本発明のいろいろな態様を具体化するようにサーバまたはクライアント論理に指示をすることができる。本発明を具体化できる論理装置の1つのタイプは40に示されているコンピュータ装置であり、これはCPU404、任意の入力装置409および411、ディスクドライブ415および任意のモニタ405を含む。固定媒体417は、このようなシステムをプログラムするために使用可能であり、ディスク形の光学媒体または磁性媒体、磁気テープ、固体メモリなどを表す。本発明の1つ以上の態様は、全体的にまたは部分的にこの固定媒体に記録されているソフトウェアとして具体化できる。通信ポート419も、上述した機能のうちの1つ以上を実行するようにこのようなシステムをプログラムするために使われる命令を始めに受け取るために使用可能であり、インターネットまたは他の何らかのコンピュータ・ネットワークなどの任意のタイプの通信接続を表すことができる。該命令またはプログラムは、ユーザの装置に直接送られても良く、あるいはユーザの装置を通してアクセス可能であるようにネットワークに、例えばインターネットのウェブサイトなどに置かれても良い。ユーザがプログラムまたはソフトウェア・コンポーネントを利用できるようにするこのような方法はすべて当業者に知られているので、ここでは説明しない。
【0080】
本発明は、アプリケーション専用集積回路(ASIC)の回路構成の中でまたはプログラム可能な論理装置(PLD)内で全体的にまたは部分的に具体化されても良い。そのような場合、上述したように動作するASICまたはPLDを作るために使用可能なコンピュータが理解できる記述言語で本発明を具体化することができる。
【0081】
種々の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、添付されている請求項およびその同等物によってのみ定義される本発明の範囲から逸脱せずに変更や改造をなし得ることが理解されるであろう。本願明細書において言及されている全ての参考文献は、その全体が参照により援用されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に回折格子の形状特徴物などの小寸法の形状特徴物のプロフィールを見出すためのシステムに関し、特に光学分光手法を使用するその種のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超小形電子デバイスの集積密度および速度が大きくなるにつれて、回路構造は寸法が縮小し、プロフィールのエッジの鋭さが向上し続ける。現状技術のデバイスの製造は、かなりの数のプロセスステップを必要とする。各プロセスステップにおいてサブミクロン・ライン幅の正確な測定値およびパターン・ウェハ上のエッチングされた構造のプロフィールの量的記述を持つことがますます重要になりつつある。さらに、ウェハプロセス監視と、フォトリソグラフィにおける焦点−露出制御などの閉ループ制御の必要性が大きくなってきている。
【0003】
分光学的回折ベースの手法は、臨界寸法走査形電子顕微鏡法と比べると非破壊式で、充分に精密で、反復可能で、迅速で、単純でかつ安価であるので、超小形電子技術測定の応用に特に良く適している。このような回折ベースの分析技術では、通常は始めにプロフィールのモデルが作られ、そのモデルは、変化させることのできるパラメータをいくつか包含する。作られたモデルに基づいて1つ以上の回折強度対波長カーブが計算され、そのカーブはサンプルからの測定された回折データと比較される。該カーブと測定データとの一致が見出されるまでパラメータが調整される。
【0004】
現在使用されている方法はマルチスラブ・モデルを包含し、このモデルでは、測定されるプロフィールの近似物であるシード・プロフィールを形成するために長方形または台形のスラブが積み重ねられる。調整できるパラメータは、該長方形の幅および高さまたは該台形の幅、高さおよび側壁角を含む。ウェハ処理プロセスでは構造物の非常に多様なプロフィールに遭遇することがあるということが分かっている。現行の方法は、製造工程において広範で非常に多様なプロフィールを測定するためには不充分である。単にスラブの数を増やしてそのような多様なプロフィールをモデリングするためには、サイズがスラブおよび関連するパラメータの数の増大に伴って指数関数的に増大する巨大なライブラリを作る必要がある。さらに、種々のプロフィールに対応するパラメータの種々のセットは、識別不可能な分光データを作り出して交差相関として知られている問題をもたらす可能性がある。
【0005】
コンラドらの米国特許第5,963,329号(特許文献1)は、実際のプロフィールを測定するための改良された方法を提案した。このモデルでは、“S”ライン・プロフィールなどの特定のプロフィール形状を採用し、モデルのライン・プロフィールを2つ以上のサブプロフィールに分割し、より少数のスケーリングファクタを使って単一のサブプロフィールの中の全てのスラブ幅および高さを調整できるように各サブプロフィールの数値モデルを提供することによって独立のパラメータまたは変数が減少されている。
【0006】
コンラドらの上述した方法は、処理しなければならないパラメータの数を減少させたけれども、依然として欠点をいくつか抱えている。すなわち、この方法は、十分以上の材料から作られているライン・プロフィールを測定するため、また光学的パラメータおよび幾何学的パラメータを測定するためには、使用不可能である。従って、解が交差相関の大きな危険なしに単一の解に収斂するように上述したサンプルを決定するために使用できる改良されたモデルを提供することが望ましい。
【0007】
上述したように、製造中の半導体ウェハで遭遇するラインプロフィールの形状は広範な形状を呈する。そのようなラインプロフィールは、通常、該プロフィールの材料と同じかまたは異なる材料の層に接してかつ/または該層の下に位置する。そのようなプロフィールを測定するために回折ベースの分光学的手法が使用されるときには、該手法に使用される放射はその1つ以上の層と相互作用し、該層からの透過または反射された放射は、ラインプロフィールからの放射を検出するために使用される検出器により検出される。該層に起因する信号の寄与をラインプロフィールに起因する信号の寄与から分離することが不可能または非常に困難である場合、どのような手法を使うとしても、そのような層のパラメータをラインプロフィールの測定と同時に測定することが望ましい。現存するどの手法も、そのような能力を持っていない。従って、そのような層の検出器信号への寄与を考慮に入れることのできる改良されたシステムを提供することが望ましい。
【0008】
現在、市場において、構造物のプロフィール(横断面)を決定する普通の方法は、走査形電子顕微鏡法、すなわちSEM(横断面およびトップダウン)、原子間力顕微鏡法、すなわちAFM、および散乱計測法である。製造監視のために、散乱計測法は、周期的図票を使用するロット毎監視のための主要な方法として確立されつつある。
【0009】
散乱計測法における基本的方法は、測定された(通常はスペクトル)データと、前もって作成されたターゲットプロフィール並びに下に存する層の可能な変化を含むライブラリとの比較である。しかし、多くの場合、変数(例えば、ダマスカス層における下に存する層の厚さなど)の数は法外に多く、従ってユーザがライブラリを作るのを妨げる。
【0010】
米国特許第5,963,329号(特許文献1)は、測定されたスペクトル反射強度を用いて格子プロフィールを決定するためのリアルタイム回帰アルゴリズムの使用を開示している。このアルゴリズムの主な難点は、4より大きな自由度(CD、側壁角および下に存するフィルムの厚さなどの浮動パラメータ)については回帰時間が法外になることである。そのため、ユーザは、ダマスカス構造あるいは複雑な/可変のフィルム上のフォトレジストを測定するためにこの方法を使うことができない。さらに、自由度の数が増えると、局所相関極小値にロックしがちな非ロバスト根収斂がもたらされる結果となる。
【0011】
上記方法の主要な欠点は次の通りである。多変数フィルム上の格子(例えば、ダマスカス層上のフォトレジストまたは金属間誘電体にエッチングされたトレンチまたはヴァイアなど)についてライブラリを作るのは困難である。5以上の浮動プロフィールおよびフィルム変数についてリアルタイムで回帰することも困難である。従って、このような問題を緩和する改良されたシステムを提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,963,329号
【特許文献2】米国特許第5,608,526号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】M.G.モハラム、E.B.グラン、D.A.ポメット、およびT.K.ゲイロード著,“二元格子の厳密な結合波分析の安定した効率的実施の定式化”,J.Opt.Soc.Am.A,12巻,1068〜1076ページ,1995年
【非特許文献2】L.リ著,“層状回折格子をモデリングするための2つの回帰行列アルゴリズムの定式化および比較”,J.Opt.Soc.Am.A,13巻,1024〜1035ページ,1996年
【非特許文献3】M.G.モハラム著,“2次元誘電体格子の結合波分析”,PROC.SPIE,883巻,8〜11ページ,1988年
【非特許文献4】J.ノセダルおよびS.J.ライト著,“数値最適化”,シュプリンガー出版,ニューヨーク州ニューヨーク,1999年
【非特許文献5】D.T.ファムおよびD.カラボガ著,“インテリジェント最適化手法:遺伝アルゴリズム、タブー調査、模擬アニーリングおよびニューラルネットワーク”,シュプリンガー出版,ニューヨーク州ニューヨーク,2000年
【発明の概要】
【0014】
リソグラフィにおける時間、温度、焦点および照射線量、並びに一定の層の堆積のための時間および温度やエッチングプロセスの時間および性質などの他のパラメータなどの製造プロセスのセットされた一定のパラメータを有する処理装置により半導体デバイスは製造される。これらのパラメータが分かると、そのような製造プロセスからもたらされる構造のプロフィールをシミュレートすることが可能となる。ライン・プロフィールの実際の形状を発見するための可能な出発点としてシード・プロフィールまたはプロフィール・タイプのギャラリを使用することができる。測定されたデータと突き合わせるために特定のプロフィール・タイプを選出できるプロフィール・タイプのギャラリの作成に製造プロセス・パラメータについての情報を利用することができるのが好ましい。また、構造の実際のプロフィールを発見する目的のために最善のシード・プロフィールとして役立つ特定のプロフィール・タイプを該ギャラリから選択するために製造プロセス・パラメータについての情報を利用するのが好ましい。
【0015】
上述したように、測定されるべき回折構造は同じまたは異なる材料の1つ以上の層に接してかつ/または該層の下に位置することが良くあるので、使用される検出器は、そのような層の影響を受けた放射を回折構造からの回折と同じく検出する。これらの層はモデルにおいて考慮されなければならないであろう。これらの層の厚さおよび屈折率(nおよびk)などのパラメータは、一定の測定パラメータに対しては他の測定パラメータに対してよりも敏感であろう。このことは、回折構造を特徴づけるパラメータについても当てはまる。従って、本発明の他の実施形態では、各プロフィール・タイプから2セット以上の放射データを作ることができ、作られた放射データのセットは、反射率あるいは透過率パラメータおよび楕円偏光パラメータなどの種々の放射パラメータのものである。プロフィール・タイプのパラメータ(例えば、回折構造の幅、高さ、側壁角、屈折率、並びに1つ以上の層の厚さおよび屈折率など)の与えられた変化について、楕円偏光パラメータに対しては透過率または反射率パラメータに対してよりも敏感であったり、あるいはその逆であったりする。そのような場合、モデリングおよび突き合わせアルゴリズムの正確さと精度を改善するために、プロフィールのパラメータまたは該1つ以上の層の特性における変化に対してより敏感な放射データのセットと、関連する放射パラメータとを選択することが望ましいであろう。この特徴は、例えば、該層の効果が分かっていたり、無視することができたり、あるいは該構造に関連する層がない場合など、該層の効果を考慮する必要のない場合にも使用可能である。
【0016】
上記考慮事項とは無関係に、任意の形状を有するプロフィールの1つ以上のパラメータを導出するために、集められた放射の反射率または透過率パラメータと楕円偏光パラメータとを一緒に使用することができる。
【0017】
ユーザが利用できるようにされているデータベースにプロフィール・タイプのギャラリを蓄積することができ、また、プロフィール・タイプを該ギャラリから選択して、検出された測定データを該選択されたプロフィール・タイプに関連するデータと比較して該プロフィール・タイプの1つ以上のパラメータの値のセットに到達するために任意のプロセッサを使うことができる。
【0018】
測定されたプロフィールがウェハ製造プロセスを制御するために役立つ場合、1つ以上の処理パラメータを調整するために、測定された情報を使って処理システムを制御することができる。従って、もし測定された構造のプロフィールが処理システムにおける問題を指摘したならば、その問題の影響を軽減しあるいはなくすために処理システムを調整することができる。構造のプロフィールおよび/または該構造の付近の1つ以上の層の特性を見出すために上述した手法のいずれをも使用することができ、これらの値をトラック、ステッパおよび/またはエッチャなどの半導体ウェハ処理機に供給して、発見されたプロフィールの1つ以上のパラメータにおけるエラーを補正するためにリソグラフィおよび/またはエッチング・プロセスを制御することができる。該トラック、ステッパおよび/またはエッチャは、プロフィールの1つ以上のパラメータを見出すためのシステムと単一のツールを形成することができ、あるいはそれとは別の器具であっても良い。
【0019】
散乱性で回折性の構造の臨界寸法、側壁角および厚さなどのパラメータおよびこの散乱性で回折性の構造の上および/または下のフィルムスタックの特性のパラメータを決定するときの複雑さを軽減するために、複数の測定を組み合わせることができる。回折性構造の1つ以上のパラメータを決定する方法を簡略化するために基準構造を測定することができ、この基準構造は、該回折性構造とほぼ同じ厚さを有する少なくとも1つの層を含み、かつ/または該回折構造の材料のそれと実質的に同じ光学的特性を有する材料を含む。この基準構造に関してそのようにして得られた情報を使って該回折構造のパラメータの決定を簡略化することができる。
【0020】
回折構造が1つ以上のフィルムに隣接している場合、基準構造を回折構造に隣接している1つ以上のフィルムの特性と同様の特性を有する1つ以上の層を含むフィルム構造に隣接させて配置することができる。従って、基準構造を基準構造に隣接している層の特性と一緒に測定することにより、同様の特性を有する層の特性に関してそのようにして得られた情報を回折構造のパラメータ値を決定するために使うことができる。
【0021】
回折構造および基準構造の両方が同じ特性を有する2つの異なるフィルム・スタックに隣接して位置するように、基準構造は回折構造と同じサンプル上の平滑なまたは回折性の構造であって良く、基準構造と関連するフィルムは回折構造に隣接するフィルム構造と同じ処理ステップで形成されて良い。
【0022】
同じサンプル上に、あるいは同じ処理ステップで作られる同じロットの異なるサンプル上に2つの回折構造が存在する場合、該構造のプロフィール測定を簡略化するために、1つの回折構造から得られたプロフィールを他方の回折構造のパラメータを決定するために最適化プロセスにおいてシード・プロフィールとして使うことができる。
【0023】
散乱計測測定により得られた情報は、同じターゲットに、あるいは同じウェハ上の異なるターゲットに、あるいは同じ処理プロセスにより作られた同じロット内の異なるウェハに対する臨界寸法走査形電子顕微鏡測定(CD−SEM)へ送ることができる。散乱計測データの使用は、臨界寸法測定の壁角依存性に関して走査形電子顕微鏡アルゴリズムに存在する不確定性をなくすのに役立ち、走査形電子顕微鏡エレメントのためのピッチの絶対較正法を提供する。
【0024】
散乱計測測定データを同じターゲット上の、あるいは同じウェハ上の異なるターゲット上の、あるいは同じプロセスにより作られる同じロット内の異なるウェハ上のオーバーレイ測定器具に供給しても良い。散乱計測データの使用は、ターゲットのプロフィールに起因するオーバーレイ・アルゴリズムに存在する不確定性をなくすのに役立つであろう。
【0025】
ある測定では、回折構造の上および/または下のフィルム・スタックの特性を得ることが不可能である可能性がある。そのような場合には、集められたデータの一部分だけ、または回折構造に関連するパラメータのうちの1つのパラメータのデータを使って該構造のプロフィールを決定することがおそらく望ましく、その場合には該回折構造の測定に対するフィルム・スタックの影響は最小化される。換言すれば、パラメータのデータのサブセットおよび/または最適化プロセスで使われるパラメータは、最適化プロセスに対するフィルム・スタックの影響を最小化するように選択される。
【0026】
上述した特徴は、スタンドアローン・システムとして実現され、測定を実行するための光学装置と一体化できるものであるが、既存の光学測定装置を改造するなどして上述した能力を持たせることができる。本発明の上述した種々の態様を実行するためにコンピュータにより実行可能な命令のプログラムとして上述した特徴を具体化することができる。従って、コンピュータまたはその他の情報器具またはデジタル装置にロードされたソフトウェア・コンポーネントによって上述したどの手法を実行することもできる。そのように作動可能にされたときには、そのコンピュータ、器具または装置は、上述した手法を実行し、回折構造および/または関連する1つ以上の層から測定されたデータを使って1つ以上のパラメータの値を見出すための援助をすることができる。固定された媒体から該ソフトウェア・コンポーネントをロードすることができ、あるいはインターネットまたはその他の任意のタイプのコンピュータネットワークなどの通信媒体を通して該ソフトウェア・コンポーネントにアクセスすることができる。
【0027】
上述した本発明の特徴の各々を個々に使用し、あるいは種々の構成で組み合わせて使用することができる。そのような組み合わせおよび変形はすべて本発明の範囲内にある。
【0028】
簡略化および説明のために、本願では同一の要素には同じ数字が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】本発明を説明するために役立つ分光測定装置の略図である。
【図1B】本発明を説明するための2次元格子と関連する層との横断面図である。
【図2】本発明を説明するために役立つ他の分光測定装置の略図である。
【図3A】本発明を説明するために役立つ半導体製造時に見られる2次元構造の横断面図である。
【図3B】本発明を説明するために役立つ半導体製造時に見られる2次元構造の横断面図である。
【図3C】本発明を説明するために役立つ半導体製造時に見られる2次元構造の横断面図である。
【図3D】本発明を説明するために役立つヴァイアホールを有する3次元の周期的構造の透視図である。
【図4A】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4B】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4C】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4D】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4E】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図4F】プロフィール・タイプまたはモデルのギャラリを説明して本発明の実施形態を説明するサンプル・プロフィールである。
【図5A】本発明の実施形態を説明するプロフィールおよびフィルム測定のフローチャートである。
【図5B】図5Aのフローチャートの回折ソルバをより詳細に説明するフローチャートである。
【図6A】最適プロフィール・タイプまたはモデルと初期シート値のためのパラメータの値との選択を説明するフローチャートである。
【図6B】本発明の1つの態様を説明するために、最適放射パラメータと、測定されたデータと突き合わされる放射データの対応するセットとを選択するためのプロセスを説明するフローチャートである。
【図6C】本発明の態様を説明するために粗ライブラリからの非線形最適化のための出発点の選択を説明する略図である。
【図7】本発明を説明するためにトラック/ステッパおよびエッチャおよび分光測定装置を含むウェハ処理装置を例示する略ブロック図であり、該装置からの回折構造および/または関連構造からの情報は製造プロセスおよびトラック、ステッパおよび/またはエッチャを制御するために使われる。
【図8】図7のトラック/ステッパをより詳細に説明する略ブロック図である。
【図9A】回折構造のプロフィールまたはパラメータを決定するための本発明の種々の実施形態を説明するために役立つサンプル構造の略図である。
【図9B】回折構造のプロフィールまたはパラメータを決定するための本発明の種々の実施形態を説明するために役立つサンプル構造の略図である。
【図9C】回折構造のプロフィールまたはパラメータを決定するための本発明の種々の実施形態を説明するために役立つサンプル構造の略図である。
【図10】散乱計測測定ツールから得られたデータが、同じターゲットまたはある共通の特徴を有するターゲットに対して測定を実行するCD−SEM測定ツールまたはオーバーレイツールに順方向に送られるようになっている実施形態を例示する。
【図11】図10の本発明の特徴を説明するために2つの格子間のオフセットを測定するオーバーレイツールの略図である。
【図12】図10の本発明の特徴を説明するボックス・イン・ボックス形ターゲットの1次元イメージである。
【図13】本発明の態様を具体化できる代表的サンプル論理装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
アルゴリズムおよび方法についての以下の記述の多くは、回折構造に起因する回折の反射または透過強度の見地から記載されているが、いろいろな波長にわたる偏光状態の変化に関する情報を含むデータ(例えば、波長の関数としての楕円偏光パラメータΔおよびΨ)のためにも同じ手法およびアルゴリズムを使えることが理解されるであろう。この理由により、該構造により引き起こされる回折の反射強度または透過強度および該構造の回折に起因する偏光状態の変化の両方を測定できる器具を使用するのがおそらく有利であろう。以下、図1Aと関連させて適当なシステムを説明する。
【0031】
図1Aは、本発明の好ましい実施形態を例示する分光学的回折ベースの測定システムの略図である。図1Aに示されているように、システム10は、回折の反射強度若しくは透過強度または偏光状態の変化を測定するために使用可能である。図1Aに示されているように、半導体ウェハ11は、シリコン基板12と、その上のフィルム・スタックに接するおよび/またはフィルム・スタック上のフォトレジスト・パターンを含むことのできる構造16とを含むことができ、該フィルムは少なくとも部分的に光透過性であって、一定のフィルムの厚さと屈折率(nおよびk。屈折率の実数成分および虚数成分)とを有する。
【0032】
XYZステージ14は、ウェハを水平XY方向に動かすために使われる。ステージ14は、ウェハ11のz高さを調整するためにも使用可能である。白色光源22などの多色または広帯域の放射源22は、光ファイバ・ケーブル24を通して光を供給し、これは偏光をランダム化して、ウェハを照明するための均一な光源を生じさせる。好ましくは、光源22は、少なくとも180〜800nmの範囲の波長を有する電磁放射を供給する。ファイバ24から出ると、放射は、アパーチャおよび集束レンズまたはミラー(図示せず)を含むことのできる光照明器26を通過する。該アパーチャは、出てきた光ビームで構造16の一つの領域を照明させる。照明器26から出射した光は、偏光子28により偏光され、構造16を照明する偏光したサンプリング・ビーム30を生じさせる。
【0033】
サンプリング・ビーム30を起源とする放射は、構造16により反射され、アナライザ32を通され、例えば放射源22のスペクトルの成分などの反射された放射のいろいろなスペクトル成分を検出して構造の特徴を得る分光計34に送られる。1つの動作モード(分光測光モード)では、構造16の1つ以上のパラメータの値を見出すために後述する態様で反射強度が使用される。代わりに、構造16の照明ビーム30とは反対の側に分光計34を置くことによりシステム10を改造し、同じ目的のために構造16を透過した放射の強度を測定することもできる。これらの反射されたまたは透過された強度成分はコンピュータ40に供給される。
【0034】
あるいは、構造16により反射された光は、レンズ54により集光され、ビームスプリッタ52を通って分光計60へ進む。測定されるいろいろな波長のスペクトル成分が検出され、そのような成分を表わす信号がコンピュータ40に供給される。構造16により反射される光は、上述したように光源22により照明器26を通して供給されても良く、あるいは他の構成では他の光学コンポーネントを通して供給されても良い。従って、そのような構成では、レンズ23が光源22からの放射を集光してビームスプリッタ52へ向け、これは、入射したビームの一部を焦点レンズ54の方へ反射し、これはその放射を構造16上に集める。構造16により反射された光は、レンズ54により集められ、ビームスプリッタ52を通過して分光計60へ進む。
【0035】
システム10が該構造による回折に起因する偏光状態の変化を測定するために使用される他のモード(分光楕円偏光モード)で動作する場合には、分光計34が構造16から回折した放射を複数の波長で、例えば放射源22のスペクトル内の波長などで検出しているときに偏光子28またはアナライザ32が回転され(この偏光子とアナライザとの相対的回転運動を生じさせる)、その回転は当業者に知られている態様でコンピュータ40により制御(図示せず)される。種々の波長で検出される回折強度はコンピュータ40に供給され、これは、当業者に知られている態様で該強度から種々の波長での偏光状態データの変化を導出する。例えば、米国特許第5,608,526号(特許文献2)を参照されたい。この特許は、その全体が本願明細書において参照により援用される。
【0036】
図1Bは、基板12上の構造16の横断面図であり、本発明を説明するために、この構造は、該構造の上のフィルムスタック16aと該構造の下のフィルムスタック16cとの間に位置する回折構造16bと、入射電磁ビーム30とを含む。電磁放射の入射ビーム30は、始めに、空気とフィルムスタック16aとのインタフェースと、該スタック内に存在し得るインタフェースとに遭遇する。次に、ビーム30からのフィルムスタック16aを貫通した部分は、格子構造16bにより回折される。ビーム30からの放射の少なくとも一部は、該格子の下のフィルムスタック16cに到達し、スタック16cと関連するインタフェースにより反射されるかあるいは該インタフェースを透過する。総光反射率は、格子と、格子の上および/または下のフィルムスタックとの両方から影響を受ける。該フィルムと格子との間での繰り返し反射に起因する多層干渉は、反射率スペクトルに複雑なパターンを生じさせ、これを用いて構造のパラメータを測定することができる。ビーム30からの上述したような反射または回折されない部分は、基板12の中へ伝導される。図1Bに示されているように、格子16bは、表示されているように、高さH、臨界寸法(“CD”)および側壁角(SWA)を有する。
【0037】
図2は、本発明を説明する代わりの分光測定システム80の略図である。図2のシステムは、分光測光モードの測定と楕円偏光法測定との両方のために同じ光学コンポーネントを使用し、従って光学コンポーネントが少ないという点で図1Aのものとは異なっている。一方、図1Aの装置ではこれら2つのモードを同時に使用できるのに対して、これら2つのモードは順次に使用されなければならない。前と同じく、測定が行われるときには偏光子28とアナライザ32とに相対的回転運動があるが、図2のシステム80は楕円偏光計として動作する。このことは、偏光子28またはアナライザ32のいずれか、あるいは両方を回転させることにより達成可能である。偏光子28とアナライザ32とが相対的に回転しない場合(例えば、両方が回転しないか、または同じ速度で回転する場合)、器具80は分光測光計または反射率計として動作する。
【0038】
図2に示されているように、システム80はビームデバイダ82をさらに包含し、これは光源22からの照明ビームの一部を分光計84へ向け、これは、照明ビーム強度の変動の影響を測定から除去できるように照明ビーム強度の変動を測定する。ビームをコリメートし、あるいは集束させるなどして照明ビームを整形するためにビーム整形オプティックス86が使用される。
【0039】
ある回折構造は、例えば図1Bに示されているような単純な幾何学的形状を呈することができるが、ある場合には、これらの構造はもっと複雑な形状を呈することもできる。そのような場合には、在来のモデルよりも遥かに広範な種々の構造のプロフィールを予測可能にするモデルを提供することが望ましい。図3A〜3Dは、ウェハ製造プロセス中に遭遇することのある構造のタイプを例示する。図3Aは、フィルムスタックの上のライン格子の横断面図であり、各ラインの横断面は台形92の形状を呈し、該フィルムスタックは、基板12の上の層94a(底の反射防止膜あるいはBARC)、94b(ポリシリコン)、94c(二酸化珪素)を含む。
【0040】
あるいは、該構造は複数の異なる材料のスタックを各々含む周期的ラインを含むことができ、該ラインの横断面形状は湾曲している。図3Bに示されているように、該回折構造は3つの層、すなわち96a,96b,96cからなり、該回折構造は1つ以上の層を含むことのできるフィルム94の上に置かれている。図3Bの構造は、通常はシャロー・トレンチ・アイソレーション(“STI”)のプロセスに由来する。ウェハ製造で遭遇する現実的な構造のもう一つの例が図3Cに例示され、それは、ライン格子のそれとは異なる材料から作られた側壁スペーサを有するライン格子を含む。図3Cに示されているように、各ライン格子は、横断面がほぼ長方形である中心部分98aと、該長方形の両側の2つの側壁98a,98bとを含み、該ライン構造はフィルム94の上にある。図3Cの側壁スペーサは、通常は反応イオンエッチング(“RIE”)のプロセスのときにポリシリコン・ライン98の所望の形状を制御するために使われる。
【0041】
図3Dは、ヴァイアホールを有する周期的構造の透視図であり、該ホールは1つ以上の層を貫通することができる。ヴァイアホールは、1メタライゼーション層から他のメタライゼーション層への垂直結線を提供する。図1A、図2の構造16は、図1B,3A〜3Dに示されている回折構造および層の1つ以上を包含することができる。図3A〜3Dに例示されている構造の形状から、これらの図に例示されているより複雑な構造を測定するためには、例えば米国特許第5,963,329号(特許文献1)に開示されている方法などの従来の技術方法ではおそらく不充分であろうということは明らかである。
【0042】
図4A〜4Fは、半導体製造時に遭遇する回折構造の実際のプロフィールを推測するために使用できるシード・プロフィールまたはプロフィール・タイプとしておそらく有利に役立つプロフィール・モデルの例を示している。図4Aは、各台形についてのCDの値、高さおよび側壁角により特徴づけられる単一材料の多台形プロフィールを含むプロフィール・タイプの横断面を例示している。側壁角が90度に固定されているときには、このプロフィール・タイプは多スラブ・モデルとなる。底の台形はフッターを模している。
【0043】
図4Bは、プロフィールの高さおよび係数値aにより特徴づけられる多項式y=ax4 により表示可能な単一材料の4次式プロフィールの横断面図である。図4Cは、高さ、4次式係数aおよび底の丸みまたはフッターのパラメータにより特徴づけられる、底の丸み(すなわち、丸められたフッター)を有する単一材料の4次式プロフィールの横断面図である。フッターについては2つ以上のモデルを使用することができ、一例は滑らかな関数(例えば、図4Aに示されている直線、または2次関数の曲線などの曲線)を使用するモデルである。図4Dは、係数aと3つの層の各々の厚さとにより特徴づけられる多材料のエッチングされたy=ax4 の形の4次式プロフィールの横断面図である。図4Eは、側壁スペーサを有する2材料プロフィールの横断面図であり、このプロフィールは、例えば、内側および外側の材料についての共通の高さ値と、内側および外側の材料についての異なるCD値と、外側材料についての側壁角などのスペーサの内側および外側の材料についての高さ、エッジおよびプロフィーリング・パラメータにより特徴づけられる。図4Fは、高さおよびホールのパラメータ(円形ホールの半径)により特徴づけられる均一な層にヴァイアホール・プロフィールを有する3次元構造の透視図である。
【0044】
図4B,4Cおよび4Dに4次式プロフィールが例示されているが、例えば2次式放物線、あるいは4次式および2次式放物線の組み合わせなどの他の多項式表示を使用して説明することのできるプロフィールも使用可能であり、それも本発明の範囲にある。同じ文脈で、図4Aのプロフィール・タイプは複数の台形スラブを包含しているが、例えば台形の一方の側が湾曲しているなどの1つ以上の解析関数により定義されるスラブを使用することができ、それも本発明の範囲にある。
【0045】
図4A〜4Fのプロフィール・タイプは、測定される実際の回折構造の上および/または下に存することのできる材料の層を含んでいない。これらのプロフィール・タイプを用いて作られるモデルが測定される回折構造の上および/または下に存する層を考慮に入れることができるように、例えば厚さおよび屈折率など(ここではフィルム・パラメータとも称される)のこれらの層についてのパラメータを用いて以下に示すようにこれらの層をモデリングすることもできる。さらに、該プロフィール・タイプ自体が、例えば図4Dに示されている層などの層を包含することができる。係数aと3つの層の各々の高さなどの幾何学的パラメータだけではなくて、該プロフィール自体の3つの層の材料の各々の複素屈折率も用いて図4Aのプロフィール・タイプの層をモデリングすることができる。
【0046】
図1Aおよび2の装置を用いて構造16の測定が行われる前に、例えば図4A〜4Fに例示されているものなどのプロフィール・タイプのギャラリが始めに作成されてデータベースに蓄積される。図5Aは、モデルを使って回折構造のパラメータを測定するプロセスを例示するプロフィールおよびフィルム測定のフローチャートである。該構造が材料の1つ以上の層に接してかつ/またはその層の下に位置する場合、そのような層の1つ以上のパラメータを測定するためにモデルを使うこともできる。図5Aに示されているように、図示されているプロフィールの上および下の層と共に、図4A〜4Fに例示されているプロフィール・タイプなどのそれぞれのプロフィール・タイプに関連するシード・プロフィールおよびフィルム・パラメータと共に上述したギャラリを提供するためにオフライン前処理ツール102が使用される。プロフィール・パラメータは、例えば、CD、高さ、側壁角、係数aおよび4次式プロフィールの高さなどの多項式表示に関連するパラメータ、底の丸みおよびスペーサのパラメータ、ライン・プロフィールの材料の屈折率(nおよびk)などを包含することができる。フィルム・パラメータは、層の厚さおよび屈折率(nおよびk)を包含することができる。
【0047】
ツール102は、次に、回折ソルバ108において、プロフィール・タイプおよびこれに関連するプロフィールおよびフィルム・パラメータ、およびこのようなパラメータの初期値(例えば、推定、あるいは製造プロセスの情報またはシミュレーションに基づく)から、これらに関連する予測スペクトル放射データを計算する。回折ソルバ108の動作は図5Bにより詳細に示されている。図5Bに示されているように、プロフィール・タイプはスラブにより近似されて良い(ブロック110)。各スラブおよびプロフィール・タイプの下および/または上の各フィルムについて固有値およびS行列が計算される(ブロック112)。S行列は伝播されて(ブロック114)スペクトルに到達するが(ブロック116)、これは、図1A、2の装置を用いてプロフィールが測定されたときの予測放射データである。ソルバ108により使用されるモデリング・プロセスの詳細な説明については、以下の参考文献を参照されたい。以下の参考文献とは、
− M.G.モハラム、E.B.グラン、D.A.ポメット、およびT.K.ゲイロードによる“二元格子の厳密な結合波分析の安定した効率的実施の定式化”,J.Opt.Soc.Am.A,12巻,1068〜1076ページ,1995年(非特許文献1)、
− L.リによる“層状回折格子をモデリングするための2つの回帰行列アルゴリズムの定式化および比較”,J.Opt.Soc.Am.A,13巻,1024〜1035ページ,1996年(非特許文献2)、および
− M.G.モハラムによる“2次元誘電体格子の結合波分析”,PROC.SPIE,883巻,8〜11ページ,1988年(非特許文献3)、
である。
【0048】
図5Aに戻る。実際の回折構造と構造16のフィルムとに関連するスペクトルが図1Aまたは図2の装置(ブロック120)または他の任意の適切な装置を用いて測定され、その測定されたデータは回折ソルバ108からの予測スペクトルと比較される(ブロック122)。これら2つのスペクトルが良好に一致するならば、プロフィール・タイプおよびフィルムのパラメータの初期値は、測定される実際の構造およびフィルムの値を正しく予測する(ブロック124)。もし一致が満足できない程度であれば(ブロック126)、プロフィールおよびフィルム・パラメータ(ブロック106)はフィードバック経路の非線形最適化ツール(ブロック126)により変更あるいは調整される。回折ソルバ108のステップと比較122とは、予測されたスペクトルと実験によるスペクトルとが満足できる程度に一致するまで、反復される。例えば、以下の論文に記載されているものなどの任意の数の非線形最適化ツールを使用することができる。以下の論文とは、
− J.ノセダルおよびS.J.ライトによる“数値最適化”,シュプリンガー出版,ニューヨーク州ニューヨーク,1999年(非特許文献4)、および
− D.T.ファムおよびD.カラボガによる“インテリジェント最適化手法:遺伝アルゴリズム、タブー調査、模擬アニーリングおよびニューラルネットワーク”,シュプリンガー出版,ニューヨーク州ニューヨーク,2000年(非特許文献5)、
である。
【0049】
図3A〜3Dを参照して上述したように、ウェハ処理時に遭遇する実際の回折構造は非常に多様な形状を含む。本発明の一態様によれば、モデリング・プロセスのためのシード・プロフィールとして役立つギャラリのためのプロフィール・タイプを選択するときに製造プロセスに関する情報を有利に使用することができる。従って、例えば、図3A〜3Dの構造などの半導体製造時に遭遇する構造に留意しながら、図4A〜4Fのギャラリが選択される。
【0050】
上述したように、例えばリソグラフィにおける時間、温度、焦点および照射線量、並びに一定の層の堆積またはエッチング・プロセスの他のパラメータなどの製造プロセスの一定のセットされるパラメータを有する処理装置によって半導体デバイスは製造される。これらのパラメータが分かると、そのような製造プロセスから得られる構造のプロフィールを導出することが可能になる。製造プロセスから得られる構造のプロフィールをシミュレートするために使える1つのソフトウェア・ツールはPROLITH(商標)シミュレータ・ソフトウェアであるが、これはカリフォルニア州サンノゼの本願の譲受人であるケーエルエー−テンカー コーポレイションから入手できる。このソフトウェアは、フィンレ テクノロジーズ(テキサス州オースチン、1997年)のクリス A.マックによる“インサイドPROLITH (InsidePROLITH)”に記載されている。該製造プロセスから得られる構造のプロフィールをシミュレートするために使用可能なもう一つのツールは、ドイツ、ミュンヘンのシグマ_Cからのソリッド_Cである。製造プロセス・パラメータ(例えば、時間、温度)の値などの製造プロセスに関する情報が入手可能になったならば、図5A、5Bに示されているモデリング・プロセスのためのシード・プロフィールとして役立つプロフィール・タイプをプロフィール・タイプのギャラリから選択するために、そのようなパラメータから予測されるプロフィールを使うことができる。さらに、例えばCD、側壁角、高さ、係数aおよび二次式の高さまたは他の多項式形の式の係数などのプロフィール・タイプに関連するパラメータの初期値のセットと、これらのパラメータが中で変動すると予想されるプロセス・ウィンドウとを選択するために、製造プロセス情報を用いて到達する予測プロフィールを使うこともできる。このプロセスが図6Aに示されている。
【0051】
図6Aに示されているように、リソグラフィ・シミュレータ240(例えば、PROLITH(商標)シミュレータ)は、製造プロセス242のパラメータから、ライン・プロフィール244をシミュレートする。シミュレートされたライン・プロフィール244から、ギャラリ中のライン・プロフィール244に最も近い図4Aのプロフィール・タイプがシード・プロフィールとして選択される。このようなプロフィール・タイプを使用する予測プロフィールがシミュレートされたプロフィール244に最も近くなるように、このようなプロフィール・タイプの種々のパラメータの初期値を選択するためにもライン・プロフィール244が使われる。図6Aの例では、図6Aに示されている予測されるプロフィール246がシミュレートされたプロフィール244に最も近くなるように、図5A、5Bのモデリング・プロセスのために7つのパラメータCD1 ,CD2 ,CD3 ,CD4 およびH1 ,H2 ,H3 の初期値が選択される。図5Aに示されている非線形最適化プロセスが迅速に収斂できるように、上述した製造プロセスを使用することにより、測定される実際の構造に近い初期パラメータ値を有するプロフィール・タイプがモデリング・プロセスのためのシード・プロフィールとして選択される。
【0052】
該シード・プロフィールあるいはプロフィール・タイプと初期パラメータ値とから出発する上述したモデリング・プロセスが図6Bに示されている。上述したように、製造プロセスから入手できる情報から、パラメータがその中で変動することのできるプロセス・ウィンドウを確かめることができる。そのようなウィンドウが図6Bに示され、図示されているパラメータ1および2の範囲は、これら2つのパラメータが変動することのできる範囲である。該ウィンドウは、中心点250と、各パラメータがこの中心点での値から逸れることのできる量とに関して定められて良い。該中心点と、各パラメータに許容される逸れとは、製造情報から導出される。垂直な線のセットと水平な線のセットとによって該プロセス・ウィンドウを種々のセクションに分割することができ、線の2つのセットの交点は点のセットを形成し、その各々は2つのパラメータの値の対に対応する。ソルバ108を用いて、これらの値の対に対応する放射スペクトルを導出することができ、該スペクトルと、それらに対応する対とは粗ライブラリを形成する。プロフィール・タイプが3つ以上のパラメータにより特徴づけられる場合には、ウィンドウは3つ以上の変数を有する空間となり、各交点は3つ以上のパラメータのセットに対応することになる。
【0053】
この粗ライブラリが作られた後、該ライブラリのスペクトルが、最も近いものを見出すためにシミュレートされたデータと突き合わされる。最も近く一致するスペクトルに対応する交点252は、図5Aの最適化プロセスを実行するために最良の出発点である初期パラメータ値のセットを示す。図6Bの線254は、最適化プロセスがとる図6Bの点260に存する最終結果に到達する経路を略示している。
【0054】
例えば、図4Aのプロフィール・タイプでは、少なくとも3つのパラメータ値、すなわちCD、高さ(“H”)および側壁角(“SWA”)がある。例えば、係数aおよびプロフィールの高さにより特徴づけることのできる図4Bの四次式プロフィール・タイプなどのあるプロフィール・タイプについては、2つのパラメータで充分であろう。上述したように、選択されるプロフィール・タイプの初期パラメータ値のセットは、ギャラリからのプロフィール・タイプを用いる予測プロフィールがシミュレートされたプロフィールと最も近く一致するようなセットである。図5Bを参照して上述したように、回折ソルバ108を用いて波長の範囲116にわたる放射パラメータのスペクトルに到達し、それは選択されたプロフィール・タイプおよび関連するフィルムの初期値252のセットに対応する。このスペクトルは図5Aのブロック122のように測定されたデータと比較され、上述したように非線形の最適化ツールを利用して、収斂後に経路254に沿って該プロフィール・タイプのパラメータ値の最終セット260に到達することができる。例えば、図4Aのプロフィール・タイプが選択された場合、最終セット260は、各台形のCD、高さおよび側壁角の最終値を含むであろう。
【0055】
図5Aを参照して説明されたプロセスを高速化するために、図6Bに示されているものなどの粗ライブラリをオフラインで前もって計算することができるので、図6Bの格子状構造の交点(例えば、252)に対応するものなどの初期パラメータ値のいくつかのセットおよびそれらに対応するスペクトルと一緒にギャラリ内の各プロフィール・タイプが蓄積される。そのとき、該交点の各々に対応するスペクトルを計算するために回折ソルバ108が使われ、そのようなスペクトルは、プロフィール・タイプ、および、交点での初期パラメータ値の関連するセットと一緒に蓄積される。その後、図6Aのシミュレートされたプロフィール244などのシミュレートされたプロフィールを利用できるようになったとき、そのようなシミュレートされたプロフィールは、粗ライブラリ内の図6Bの交点に対応する初期パラメータ値のいろいろなセットに対応する予測プロフィールと突き合わされる。この比較から、該格子状構造中の特定の交点と、初期パラメータ値の対応するセットとを迅速に特定することができ、図5Aのブロック120,122,124および126のプロセスを非常に迅速に実行して該プロフィール・タイプのパラメータ値の最終セット260を突き止めることができる。従って、図6Bの粗ライブラリの解像度は測定のためには充分でないけれども、非線形の最適化を顕著に高速化する。粗ライブラリが前もって作られない場合には、中心点250、これに対応するパラメータ値のセットおよびスペクトルを図5Aの最適化プロセスのための出発点として使うことができる。
【0056】
上述した放射パラメータは、図1Aおよび2のシステムを用いて、当業者に知られているように測定可能である。本発明のもう一つの態様は、プロフィール・タイプおよび関連するフィルムに関連する1つ以上のパラメータの変化に対してある放射パラメータは他の放射パラメータより敏感であり得るという所見に基づく。このことが図6Cに示されている。プロフィール・タイプ、それに関連するフィルム、および選択されたパラメータの初期値252から、回折ソルバ108は種々の放射パラメータの予測スペクトルを作る。図6Cには例として、そのようにして作られた4つの異なる放射パラメータ、すなわちRs ,Rp ,cosΔおよびtanΨについてのスペクトル270が示されている。プロフィール・タイプに関連する種々のパラメータ値(例えば、CD,H,SWA)に変化が与えられ、そして4つ以上の種々の放射パラメータの各々について種々のスペクトルのセットを作るために回折ソルバ108が使われる。パラメータ値(例えば、CD,H,SWA)の同じ変化に対応する4つ以上の放射パラメータのスペクトルの変化を比較することにより、パラメータ値の変化に対して最も敏感な放射パラメータおよびこれに対応するスペクトルが特定される。
【0057】
換言すれば、選択されたプロフィール・タイプの各々を変化させる。すなわち、図4Aのプロフィール・タイプが選択されれば、パラメータCD,HおよびSWAの各々を変化させる。これら3つのパラメータの各々の各変化について、回折ソルバ108は4つ以上の放射パラメータの各々について対応するスペクトルを計算する。方程式、
によって量χ2 を定義することができる。この量(χ2 )は、例えば一定の信号(Rs ,Rp ,cosΔ,・・・)の理論値および実験値などの2つのデータR1 およびR2 のセット間の差を測定する。値σn は、n番目のデータポイントの重みを規定するものであり、通常は実験の不確定性により画定される。図6Cでχ2 を計算するとき、実際には2つの理論スペクトル、すなわち1つは初期パラメータ値でのスペクトル、もう1つは変更されたパラメータ値でのスペクトル、が比較される。χ2 以外の量を最適化に使用することができ、例えば、比較されるスペクトル間の交差相関を最適化することができる。
【0058】
経路254に沿って量χ2 が上記方程式にしたがって計算されるが、これは2つの理論スペクトル、すなわち1つは初期パラメータ値252でのスペクトル、もう1つはパラメータのうちの1つがその初期値から変更されているスペクトル、の差である。図6Cに示されているスペクトルの4つのセット270では、4つの放射パラメータの各々について一定数の曲線が計算され、その各曲線は、パラメータのうちの1つの値が初期値とから比較して変更されている理論スペクトルに対応する。CD,HまたはSWAの同じ変更に対応する4つの放射パラメータの4つの量χ2 は、CD,HまたはSWAの変化に対して最も敏感な放射パラメータとそのスペクトルとを特定するために比較される。図6Cに示されている例274では、χ2 は放射パラメータtanΨについて最大である。従って、図5Aに示されているモデリング・プロセスのために放射パラメータtanΨが選ばれれば、より正確な結果が達成可能であろう。換言すると、回折構造と、付随するフィルムとに関連するスペクトルを測定するために図1Aまたは2の装置が使用されるとき(図5Aのブロック120)、放射パラメータtanΨがある範囲の波長にわたって測定され、そのようなスペクトルは、図6Bの最終セット260についての値のより正確なセットに到達するために、図5Aのフローチャートにおいて回折ソルバ108により作られたtanΨと比較される(ブロック122)。
【0059】
図6Cは、使用できる放射パラメータのうちの4つを示している。もっとも完全なリストは、以下の12個の放射パラメータ、
を含み、ここでrs およびrp はそれぞれSおよびP偏光についての複素振幅反射係数であり、Rs およびRp はそれぞれSおよびP偏光についての反射率であり、すなわちRs =|rs |2 、Rp =|rp |2 である。角度Aは、アナライザ角度であり、ハードウェア構成により(最適に)セットすることができる。量tanΨおよびcosΔは、当業者に知られている楕円偏光パラメータである。
【0060】
図5A、5Bを参照して説明されたプロセスはプロフィールおよびフィルム・パラメータの両方を考慮に入れているので、図6Cを参照して上述されたプロセスは、プロフィールおよび/またはフィルム・パラメータの変化に対して最も敏感な放射パラメータおよびこれに関連するスペクトルを選択することに留意されたい。
【0061】
上述したプロセスの種々の態様により提供される利点が以下の表1に記載されている。
【表1】
【0062】
図7は、統合分光学的回折ベースの測定システム、フォトリソグラフィ・トラック/ステッパおよびエッチャのブロック図であり、本発明のもう一つの態様を示す。フォトレジストなどの材料の層がトラック/ステッパ350により半導体ウェハの表面上に形成され、ここで該フォトレジストはウェハ上に格子構造を形成する。格子構造のCD,H,SWAおよび/または他のパラメータのうちの1つ以上が図1A,2のシステム10,80を用いて測定され、フォトレジスト・パターンおよびこれに関連するフィルムの1つ以上のパラメータの値を見出すために、所望ならば上述した手法のうちの1つ以上を採用することができる。コンピュータ40からのそのような値はトラック/ステッパ350へフィードバックされ、ここでトラック/ステッパ350におけるリソグラフィのプロセスを変更してエラーを補正するためにそのような情報を使用することができる。半導体処理時に、フォトレジストの層がウェハ上に形成された後に、エッチャ360を用いるなどしてエッチング・プロセスを実行することができる。フォトレジストの層は、その後、当業者に知られているように除去され、ウェハ上の結果としての半導体材料からなる格子構造を所望ならばシステム10または80を用いて再び測定することができる。エッチング・パラメータのいずれか1つを変化させて、システム10または80を用いて見出されたエラーを補正するために、上述した手法のいずれか1つ以上を用いて測定された値をエッチャに供給することができる。もちろん、システム10,80において上述した手法の1つ以上により得られた結果を、トラック/ステッパおよびエッチャの両方において、あるいはトラック/ステッパまたはエッチャの両方ではなくていずれか一方において使用することができる。トラック/ステッパ350および/またはエッチャ360は、回折構造の1つ以上のパラメータを見出すためにシステム10または80と統合された単一のツールを形成することができ、あるいはそれとは別の器具であっても良い。
【0063】
図8は、半導体ウェハ処理のためのプロセスを説明するトラック/ステッパ350と、関連するフローチャートとの略図であって、回折構造および関連するフィルムのプロフィールの検出と処理プロセスとの統合のポイントを詳しく示し、図7のプロセスの一部を詳しく示す。図8に示されているように、半導体ウェハ352をカセットローダ354から“プライム”、“コート”、“ソフトベーク”、“EBR”という符号が付されている数個のステーションにロードすることができる。ウェハ352はステッパ・インタフェース356により露光ツール358に渡される。上述した4つの場所でのいろいろなプロセスについて以下に記述する。
【0064】
場所“プライム”において、ウェハは、ウェハの上にフォトレジストの層が作られる前に、フォトレジスト層がウェハに粘着できるように、化学処理される。場所“コート”において、フォトレジスト・コーティングの層がウェハ上に作られる。“ソフトベーク”において、レジストから化学溶剤を除去するためにレジストの層は焼かれる。“エッジビード除去 (edge-bead removal)”を表わす“EBR”において、ウェハのエッジから余分のフォトレジストを除去するために溶剤ノズルまたはレーザが使用される。
【0065】
ウェハがツール358によって放射に対して露出された後、ウェハに対して4つの追加プロセス、すなわち“PEB”、“PEBチル”、“現像”および“ハードベーク”が行われる。“PEB、すなわち露光後ベーク (post exposure bake) ”において、露光ツールからの定在波効果を低減させるためにウェハは焼かれる。その後、それは“PEBチル”で冷却される。その後、ウェハはフォトレジストを現像するために試薬で洗われるので、露光されていない(ネガティブ)または露光された(ポジティブ)フォトレジストが除去される。その後、フォトレジスト・パターンを安定させるためにウェハは“ハードベーク”で焼かれる。“現像ツール”358以外の図8の装置350のコンポーネントはすべて“トラック”(クラスタとも称される)として知られていることに留意されたい。
【0066】
これら後者の4つのプロセスが完了した後、ウェハ352はカセットローダ354に戻され、これでステッパ350を必要とする処理は完了する。回折構造および関連するフィルムのパラメータを測定するために矢印362のところで検出システム10または80を使用することができる。従って、そのようなパラメータは“ハードベーク”後に測定可能である。
【0067】
別のフィルムまたは別のプロフィール測定から得られる情報を使用するプロフィールの測定を可能にする方法はいくつかある。
a.フィルム測定を実行して下にある層の厚さを決定し、その情報を回帰を用いるフォトレジストの格子ターゲットに関する別の散乱計測測定へ順方向に送る。これにより、回帰における変数の数が減少し、そのために計算が顕著に高速化すると共に精度/ロバストネスが向上する。
b.フィルム測定を実行して下にある層(例えば、ゲートADI測定におけるBARC層)のnおよびkを決定し、その情報を回帰を用いるフォトレジストの格子ターゲットに関する別の散乱計測測定へ順方向に送る。これにより、回帰における変数の数が減少し、そのために計算が顕著に高速化すると共に、ライブラリまたは回帰方式における不正確な光学定数に起因するエラーが除去される。
c.フィルム測定を実行して下にあるおよび現在のエッチングされた層(格子構造の部分である層)の厚さを決定し、その情報をエッチングされた誘電体の格子ターゲットに関する別の散乱計測測定へ順方向に送る。これにより、別な方法によればプロフィール・ライブラリまたは回帰測定においてあまりに多くの自由度を持つことになるダマスカス構造の測定が可能となる。
d.散乱計測法を用いてプロフィール測定を実行し、それをシードとして次の散乱計測回帰測定へ順方向に送る。
e.散乱計測測定を実行して、その情報(最も重要なのは側壁角およびピッチである)を同じターゲットにまたは同じウェハ上の別のターゲットに関するCD−SEM測定へ送る。これにより、CD測定の壁角依存性に関してSEMアルゴリズムに存在する不確定性がなくなる。さらに、それはCD−SEMにピッチの絶対の較正を与える。
f.散乱計測測定を実行して、その情報(最も重要なのは頂部の丸みおよび壁角である)を同じターゲットまたは同じウェハ上の別のターゲット(例えば、ゼブラ・ターゲット)に関するオーバーレイ測定へ送る。これにより、ウェハにより引き起こされるシフト(ウェハ処理変動の結果として)に関してオーバーレイ・アルゴリズムに存在する不確定性がなくなる。
g.順方向送り方式または同時回帰のいずれかにおいて複数照明角情報を組み合わせて構造のプロフィール・パラメータを決定する。例えば、構造に関する追加の情報(1つまたは両方がSEであって良い)を提供するために垂直反射率計または近垂直反射率計を斜角反射率計と共に使用する。
h.反射された信号または測定ツール(通常は分光楕円偏光計)により集められた位相信号に関して回帰により散乱計測法を用いてプロフィール測定を実行する。
i.集められたスペクトル、偏光または位相情報の下に存在するフィルム特性に対してあまり敏感ではないサブセットを用いて構造のプロフィールを見出すために回帰を実行する。
【0068】
図9A,9B,9Cは、回折構造のプロフィールあるいはパラメータを決定するための本発明の種々の実施形態を説明するのに役立つサンプル構造の略図である。
【0069】
図9Aに示されているフィルムスタック360は、該フィルムスタック中の種々の層の厚さおよび/または複素屈折率を得るために図1Aおよび2に示されている反射率計、分光測光計または楕円偏光計によりサイト1で測定される。図1Aおよび2の器具を使ってフィルムスタック360の上の回折構造362aからの強度および位相情報をサイト2で測定することもできる。サイト1でフィルムスタック360を測定することにより得られたフィルムの厚さおよび屈折率の情報がサイト2で構造362を測定するときに放射データの計算またはモデリングに使用されれば、その回帰または計算の変数の数は激減するであろう。これにより、回折構造362aのプロフィールおよび/またはパラメータ(例えば、臨界寸法、側壁角および厚さ)の計算が顕著に高速化する。
【0070】
あるアプリケーションでは、サイト1での測定に利用できるフィルムスタックは、回折構造に関連するフィルムスタックと同一でなくても良い。このことが図9Bに示されている。従って、サイト1で測定されるフィルムスタック364は、構造368全体の中の回折構造368aの上または下のフィルムスタック366とは異なる。しかし、これらのフィルムスタック364,366に共通の層が1つある限り、スタック364の測定は、回折構造368aの測定を簡略化するのに役立つ情報をもたらすであろう。図9Bに示されているように、2つのフィルムスタック364,366は実質的に同一の層370を有する。このような場合、層370の厚さと複素屈折率とに関する情報は、回折構造368aのプロフィールまたはパラメータを決定するときの計算または回帰プロセスを簡略化するであろう。これは、2つのスタック364,366の2つの層370が同一ではないが実質的に同じ厚さまたは同じ屈折率またはその他の光学的特性を有する場合にも当てはまることである。
【0071】
図9A,9Bは、リソグラフィ処理時に頻繁に得られる構造を示している。エッチング・プロセス時には、層の一部分のみがエッチング可能で、層の他の部分がエッチングされないということが良くある。そのような場合には、エッチングされなかった部分の測定は、エッチングされた部分の回折構造のプロフィールまたはパラメータの決定を簡略化するのに役立つであろう。このことが図9Cに示されている。図9Cに示されているように、エッチングされない部分372は層0,1および2を包含する。エッチング前は、部分374の層0,1,2は部分373のものと実質的に同じである。エッチング時に、層2はエッチングされて構造374全体の回折構造374aとなる。従って、サイト1に存する構造372が図1Aまたは2の装置によって測定されれば、構造372の3つの層の厚さおよび屈折率に関する情報は、回折構造374aのプロフィールまたはパラメータを導出すための計算または最適化プロセスの複雑さを大幅に低減するであろう。
【0072】
上述した特徴は、層0および1と構造374内の対応する層とが同一でない場合、あるいは構造372の層2が回折構造374aと同じ厚さまたは屈折率を持たないときでも、適用可能である。構造372のいずれか1つの層と構造374の他の層とが厚さまたは屈折率などの何らかのパラメータを共通に持っている限り、サイト1で構造372を測定してその情報を構造374の測定に順方向に送れば、2番目の測定が簡略化されるであろう。
【0073】
図10は、散乱計測測定ツール376から得られたデータを(図9Cに関して上述したものと同じ意味で)同じターゲットまたは何らかの共通特徴を有するターゲットに対する測定を実行するCD−SEM測定ツール378に順方向に送ることができるようになっている実施形態を例示している。
【0074】
図10は、散乱計測測定ツール376から得られたデータを(図9Cに関して上述したものと同じ意味で)同じターゲットまたは何らかの共通特徴を有するターゲットに対する測定を実行するオーバーレイ測定ツール378に順方向に送ることができるようになっている実施形態も例示している。
【0075】
図11は、2つの格子(1つの格子382のみを図11に示す)間のオフセットを測定するオーバーレイ・ツールの略図である。放射ビーム381は、ミラー385により反射され、レンズ384によりターゲット382へ集束される。散乱または回折された放射はレンズ386により集められてCCD387へ集束され、その出力は格子間のミスアラインメントを計算するためにコンピュータ40に送られる。あるいは、ターゲットはボックス・イン・ボックス形ターゲットであっても良くて、その1次元イメージが図12に示されている。両方のタイプのターゲットのプロフィールがオーバーレイ測定に影響を及ぼす。図12に示されているように、ボックス・イン・ボックス形ターゲットのエッジの形状は、ボックス・イン・ボックス形ターゲットにより回折される放射に対して影響を及ぼすことができる。従って、ターゲットのプロフィールまたは他のパラメータを測定し、その情報をオーバーレイ測定ツールに送れば、オーバーレイ測定はより正確になるであろう。
【0076】
図6Cと関連する上記説明とに関して、パラメータ値についてより正確な結果を得るために、突き合わせプロセスに最適のパラメータを選択することが可能であろうことに留意されたい。あるアプリケーションでは、その逆が望ましいであろう。フィルム構造に隣接する回折構造のプロフィールまたはパラメータを測定するのが望ましいけれども、フィルム構造の厚さおよび屈折率を容易に利用することはできないか、あるいは測定できない場合、回折構造測定に対するフィルム構造の影響が最小限にされるパラメータを選択することが望ましいであろう。そのようなアプリケーションについては、図6Cを参照して上述されたプロセスと実質的に同じプロセスを実行することができる。しかし、図6Cについての説明とは対照的に、パラメータ値の与えられた変化についてスペクトル変化量を最大にするフィルム構造のパラメータ(例えば、フィルムの厚さまたは屈折率)を選択する代わりに、変更されたときにスペクトル変化量の最小の変化を生じさせるフィルム・パラメータが選択される。
【0077】
ソフトウェアのアップグレード
図1A,2および11に示されているようなシステムを用いて本発明を説明してきた。図1A,2および11のシステムのいろいろな光学コンポーネントがサンプルから測定されたデータを得るために使われるが、その他のプロセスの多くがコンピュータ40により実行される(図を簡略化するために図2には示していない)。半導体メーカーなどのメーカーにより現在使用されている多くのシステムについては、該システムで使われているコンピュータは上述した手法を実行する能力を持っていないであろう。本発明の他の態様は、コンピュータ40が上述したいろいろな機能のうちの1つ以上を実行できるように、これらのコンピュータ・ソフトウェアをアップグレードできることを目論む。従って、本発明の他の態様は、上述した機能を実行するようにコンピュータ40にロードされるソフトウェア・コンポーネントを必要とする。これらの機能は、図1Aまたは2または11のシステム10または80または380の光学コンポーネントと関連して、上で概説したいろいろな利点を有する結果を提供する。ソフトウェアまたはプログラム・コンポーネントをいろいろな方法でコンピュータ40にインストールすることができる。
【0078】
この技術分野において理解されるであろうが、本発明のソフトウェア・コンポーネントは、適切に構成された計算装置にロードされたとき該装置を本発明に従って動作させる論理命令および/またはデータを含む固定媒体プログラム・コンポーネントで具体化され得るものである。この技術分野において理解されるであろうが、固定媒体プログラムは、ユーザのコンピュータにロードするために固定媒体でユーザに渡されても良く、また固定媒体プログラムは、ユーザがプログラム・コンポーネントをダウンロードするために通信媒体を通してアクセスするリモート・サーバに常駐しても良い。従って、本発明の他の態様は、プログラム・コンポーネントをユーザへ送信し、あるいは送信させることを含み、該コンポーネントは、ユーザの装置にダウンロードされると上述した機能のうちのいずれか1つ以上を実行することができる。
【0079】
図13は、命令を媒体417および/またはネットワークポート419から読み出すことのできる論理装置として理解し得る情報装置(またはデジタル装置)を示している。その後、装置40は、これらの命令を使って、当該技術分野において理解されているように、本発明のいろいろな態様を具体化するようにサーバまたはクライアント論理に指示をすることができる。本発明を具体化できる論理装置の1つのタイプは40に示されているコンピュータ装置であり、これはCPU404、任意の入力装置409および411、ディスクドライブ415および任意のモニタ405を含む。固定媒体417は、このようなシステムをプログラムするために使用可能であり、ディスク形の光学媒体または磁性媒体、磁気テープ、固体メモリなどを表す。本発明の1つ以上の態様は、全体的にまたは部分的にこの固定媒体に記録されているソフトウェアとして具体化できる。通信ポート419も、上述した機能のうちの1つ以上を実行するようにこのようなシステムをプログラムするために使われる命令を始めに受け取るために使用可能であり、インターネットまたは他の何らかのコンピュータ・ネットワークなどの任意のタイプの通信接続を表すことができる。該命令またはプログラムは、ユーザの装置に直接送られても良く、あるいはユーザの装置を通してアクセス可能であるようにネットワークに、例えばインターネットのウェブサイトなどに置かれても良い。ユーザがプログラムまたはソフトウェア・コンポーネントを利用できるようにするこのような方法はすべて当業者に知られているので、ここでは説明しない。
【0080】
本発明は、アプリケーション専用集積回路(ASIC)の回路構成の中でまたはプログラム可能な論理装置(PLD)内で全体的にまたは部分的に具体化されても良い。そのような場合、上述したように動作するASICまたはPLDを作るために使用可能なコンピュータが理解できる記述言語で本発明を具体化することができる。
【0081】
種々の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、添付されている請求項およびその同等物によってのみ定義される本発明の範囲から逸脱せずに変更や改造をなし得ることが理解されるであろう。本願明細書において言及されている全ての参考文献は、その全体が参照により援用されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの第1の周期的回折構造の1つ以上のパラメータを測定する方法であって、
第2の基準回折構造に対して散乱計測測定を実行して強度または位相データを得るステップと、
前記第1の回折構造に対して散乱計測測定を実行して強度および位相データを得るステップと、
前記第2の回折構造に対する測定の結果を用いて前記第1の回折構造に関する1つ以上のパラメータを得るステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
実行される散乱計測測定の一方または両方が楕円偏光パラメータを測定する方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
両方の回折構造が同じサンプルの回折構造であり、両方の散乱計測測定が同じサンプルに対して実行される方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記第2の基準回折構造に対する散乱計測測定は前記構造のプロフィールをもたらし、前記得るステップは前記第2の回折構造のプロフィールをシード・プロフィールとして使用する最適化プロセスを含む方法。
【請求項5】
1つ以上の周期的回折構造を上に有するサンプルの1つ以上のパラメータを測定する方法であって、
前記回折構造のうちの第1の回折構造に対して散乱計測測定を実行して強度または楕円偏光データを得るステップと、
前記回折構造のうちの第2の回折構造に対して走査形電子顕微鏡測定を実行して臨界寸法またはプロフィール・データを得るステップであって、前記第2の回折構造は前記第1の回折構造と同じ回折構造であるか、または異なる回折構造であり得るステップと、
前記第1の回折構造に対する測定の結果を用いて前記第2の回折構造に関する1つ以上のパラメータを得るステップと、
を含む方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
前記得るステップは、前記第2の回折構造のピッチの絶対の較正を得る方法。
【請求項7】
複数の周期的回折構造を上に有するサンプルの1つ以上のパラメータを測定する方法であって、
前記回折構造のうちの第1の回折構造に対して散乱計測測定を実行して強度または楕円偏光データを得るステップと、
前記回折構造またはラインまたはバーまたはボックスの対に対して前記対のミスアライメント情報を導出するために役立つオーバーレイ測定を実行するステップと、
前記オーバーレイ測定の結果から前記対のミスアライメント情報を導出するステップであって、前記ミスアライメント情報を導出するために散乱計測測定の結果が使用されるステップと、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
散乱計測測定の結果は、前記第1の回折構造の臨界寸法、高さ、側壁角またはプロフィールを含む方法。
【請求項9】
関連する厚さおよび光学インデックス情報を有する隣接するフィルム構造を伴うかまたは伴わない周期的回折構造の1つ以上のパラメータを測定する方法であって、
前記周期的回折構造および前記フィルム構造についてのプロフィール・タイプを提供するステップであって、前記プロフィール・タイプは前記周期的回折構造に関連する1つ以上のパラメータおよび前記フィルム構造に関連する情報に関連し、前記プロフィール・タイプはいろいろな放射パラメータの放射データの複数のセットにも関連し、前記放射パラメータは反射率または透過率パラメータおよび楕円偏光パラメータを含む、提供するステップと、
前記プロフィール・タイプと関連するいろいろなパラメータの放射データのセットから、前記フィルム構造または前記周期的回折構造から導出された前記フィルム構造と関連する情報の変化に対するデータの感度に基づいて放射データの少なくとも1つのセットを選択するステップと、
前記周期的回折構造から放射データを検出するステップと、
前記検出された放射データを選択されたセットと比較して1つ以上のパラメータの値のセットに到達するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記提供するステップは、
複数のプロフィール・タイプのギャラリを供給するステップであって、各プロフィール・タイプは、前記周期的回折構造と関連する1つ上のパラメータと関連すると共に、前記フィルム構造に関連し、かつ放射データのセットと関連する情報とに関連し、提供された前記プロフィール・タイプのうちの少なくとも1つは、いろいろな放射パラメータの放射データの複数のセットと関連し、前記放射パラメータは反射率または透過率パラメータおよび楕円偏光パラメータを含む、供給するステップと、
前記ギャラリからプロフィール・タイプを選択するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、
前記選択するステップは、選択される少なくとも1つのセットが前記フィルム構造に関連する情報の変化に対して選択されないセットより敏感ではないという基準に基づいて、放射データの少なくとも1つのセットを選択する方法。
【請求項1】
サンプルの第1の周期的回折構造の1つ以上のパラメータを測定する方法であって、
第2の基準回折構造に対して散乱計測測定を実行して強度または位相データを得るステップと、
前記第1の回折構造に対して散乱計測測定を実行して強度および位相データを得るステップと、
前記第2の回折構造に対する測定の結果を用いて前記第1の回折構造に関する1つ以上のパラメータを得るステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
実行される散乱計測測定の一方または両方が楕円偏光パラメータを測定する方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
両方の回折構造が同じサンプルの回折構造であり、両方の散乱計測測定が同じサンプルに対して実行される方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記第2の基準回折構造に対する散乱計測測定は前記構造のプロフィールをもたらし、前記得るステップは前記第2の回折構造のプロフィールをシード・プロフィールとして使用する最適化プロセスを含む方法。
【請求項5】
1つ以上の周期的回折構造を上に有するサンプルの1つ以上のパラメータを測定する方法であって、
前記回折構造のうちの第1の回折構造に対して散乱計測測定を実行して強度または楕円偏光データを得るステップと、
前記回折構造のうちの第2の回折構造に対して走査形電子顕微鏡測定を実行して臨界寸法またはプロフィール・データを得るステップであって、前記第2の回折構造は前記第1の回折構造と同じ回折構造であるか、または異なる回折構造であり得るステップと、
前記第1の回折構造に対する測定の結果を用いて前記第2の回折構造に関する1つ以上のパラメータを得るステップと、
を含む方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
前記得るステップは、前記第2の回折構造のピッチの絶対の較正を得る方法。
【請求項7】
複数の周期的回折構造を上に有するサンプルの1つ以上のパラメータを測定する方法であって、
前記回折構造のうちの第1の回折構造に対して散乱計測測定を実行して強度または楕円偏光データを得るステップと、
前記回折構造またはラインまたはバーまたはボックスの対に対して前記対のミスアライメント情報を導出するために役立つオーバーレイ測定を実行するステップと、
前記オーバーレイ測定の結果から前記対のミスアライメント情報を導出するステップであって、前記ミスアライメント情報を導出するために散乱計測測定の結果が使用されるステップと、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
散乱計測測定の結果は、前記第1の回折構造の臨界寸法、高さ、側壁角またはプロフィールを含む方法。
【請求項9】
関連する厚さおよび光学インデックス情報を有する隣接するフィルム構造を伴うかまたは伴わない周期的回折構造の1つ以上のパラメータを測定する方法であって、
前記周期的回折構造および前記フィルム構造についてのプロフィール・タイプを提供するステップであって、前記プロフィール・タイプは前記周期的回折構造に関連する1つ以上のパラメータおよび前記フィルム構造に関連する情報に関連し、前記プロフィール・タイプはいろいろな放射パラメータの放射データの複数のセットにも関連し、前記放射パラメータは反射率または透過率パラメータおよび楕円偏光パラメータを含む、提供するステップと、
前記プロフィール・タイプと関連するいろいろなパラメータの放射データのセットから、前記フィルム構造または前記周期的回折構造から導出された前記フィルム構造と関連する情報の変化に対するデータの感度に基づいて放射データの少なくとも1つのセットを選択するステップと、
前記周期的回折構造から放射データを検出するステップと、
前記検出された放射データを選択されたセットと比較して1つ以上のパラメータの値のセットに到達するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記提供するステップは、
複数のプロフィール・タイプのギャラリを供給するステップであって、各プロフィール・タイプは、前記周期的回折構造と関連する1つ上のパラメータと関連すると共に、前記フィルム構造に関連し、かつ放射データのセットと関連する情報とに関連し、提供された前記プロフィール・タイプのうちの少なくとも1つは、いろいろな放射パラメータの放射データの複数のセットと関連し、前記放射パラメータは反射率または透過率パラメータおよび楕円偏光パラメータを含む、供給するステップと、
前記ギャラリからプロフィール・タイプを選択するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、
前記選択するステップは、選択される少なくとも1つのセットが前記フィルム構造に関連する情報の変化に対して選択されないセットより敏感ではないという基準に基づいて、放射データの少なくとも1つのセットを選択する方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−132922(P2012−132922A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−454(P2012−454)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2003−555142(P2003−555142)の分割
【原出願日】平成14年12月19日(2002.12.19)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2003−555142(P2003−555142)の分割
【原出願日】平成14年12月19日(2002.12.19)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】
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