光学回路を製造する方法
【課題】光学回路を製造する方法を提供する。
【解決手段】光学回路を製造する方法は、a)光学回路によって実行される論理演算を選択する段階と、b)前記光学回路によって実行される前記論理演算を実行するべく1つ又は複数のすべて光学的な論理ゲートによって前記光学回路を設計する段階と、c)個々の論理演算を実行して光学入力信号に基づいて個々のバイナリ出力レベルを具備した光学出力信号を生成するべく共振周波数にチューニングされた強度に依存した屈折率の材料を有する対応した光学共振器を具備する個々の非線形素子によって前記すべて光学的な論理ゲートを形成することにより、前記光学回路を製造する段階であって、前記非線形素子を包含するべくフォトニック結晶を形成することによって実行されている、段階と、を有する。
【解決手段】光学回路を製造する方法は、a)光学回路によって実行される論理演算を選択する段階と、b)前記光学回路によって実行される前記論理演算を実行するべく1つ又は複数のすべて光学的な論理ゲートによって前記光学回路を設計する段階と、c)個々の論理演算を実行して光学入力信号に基づいて個々のバイナリ出力レベルを具備した光学出力信号を生成するべく共振周波数にチューニングされた強度に依存した屈折率の材料を有する対応した光学共振器を具備する個々の非線形素子によって前記すべて光学的な論理ゲートを形成することにより、前記光学回路を製造する段階であって、前記非線形素子を包含するべくフォトニック結晶を形成することによって実行されている、段階と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すべて光学的な論理ゲートとして機能する光学装置に関するものである。更に詳しくは、デジタル光学信号を合成し、その共振周波数がチューニングされている光学共振器又は空洞スイッチなどの非線形素子に供給することにより、所望の論理出力信号を生成している。
【背景技術】
【0002】
電子装置においては、トランジスタから構成された論理ゲートは、基本素子であるデジタル回路を有している。電圧に基づいた入力をゲートにおいて受信しており、この結果、所望の論理関数に対応した電圧に基づいた出力信号を得ている。
【0003】
近年、電子的な論理ゲートに類似した方式において動作する光学装置の開発が関心を集めるようになっている。この関心の理由は、光学信号の場合には、論理状態間におけるスイッチングを低速化する容量の影響を受けないため、集積回路内において潜在的に電気信号よりも高速に伝播可能であるという点にある。更に高速のスイッチングに対する需要が絶え間なく増大し、且つ、電子工学における大きな技術的進歩が存在しないとすれば、将来的には、デジタル光学装置の使用が、不可欠でない場合にも、益々望ましくなるものと予想される。
【0004】
しかしながら、光学装置を使用した集積論理回路の形成は、固有の課題を有している。光は、その特性により、伝播するが、保存することはできない。必要な期間にわたって論理レベルを安定的に表現する能力が課題となる。従って、光学信号を使用して論理状態を安定的に表現するべく使用可能である光学論理ゲートを提供することが望ましいであろう。
【0005】
更には、光パルスの振幅又は強度がデジタル論理状態を表す振幅変調された光学信号を主に使用する光学コンポーネントを使用している確立された産業も存在している。又、データを光学的に保存及び処理可能である解決策は、理想的には、既存の光通信インフラストラクチャと互換性を有する必要もあろう。
【0006】
いくつかの光学変調方式においては、2つを上回る数の振幅レベルによってデータを表現している。このような方法に伴う問題点は、論理演算の実行の基礎をなしている光学信号の振幅に対する非常に厳格な制御が必要であるという点にある。例えば、ANDゲートにおいて、2つのパルスが、この例においては「1」の振幅によって表されているハイ(HiGH)又は「1」論理レベルである場合には、出力は、これら2つのレベルの線形和、即ち、「2」である振幅を具備することになる。次いで、「2」が、次の段の論理ゲートに伝達されることになるが、この論理ゲートは、「2」がHigh論理レベルを表しており、「1」又は「0」がロウ(Low)論理レベルを表していると見なすように構成されていなければならない。従って、論理ゲートがカスケード接続されるのに伴って、複数のHighレベルの加算という問題が、更に複雑化し、複合的なものとなる。従って、この問題を回避する光学回路を提供することが望ましいであろう。
【0007】
信号が光学装置を通じて伝播するのに伴って、オプティクスのカスケード接続を通常妨げる伝播損失が大きな問題となる。更には、高密度に集積された基板内における光学信号に対する利得の提供が、現在、解決を要する技術的及び実際的な障壁となっている。デジタル光学信号の回復を別の方式によって管理することができれば、いくつかの光学論理ゲートのカスケード接続が可能となろう。
【0008】
通常は、非線形光学空洞を使用することにより、すべて光学的なスイッチングを実行している。この「非線形」という用語は、具体的には、その屈折率が共振器の内部における強度又はパワーに依存している1つ又は複数の材料から構成された共振器を意味している。入射パワーは、入力信号の組み合わせに依存しており、これにより、共振器内部の屈折率が決定されている。共振器の共振周波数は、次式のように、その屈折率に依存している。
【0009】
f=qc/2nL
【0010】
ここで、fは、共振器の共振周波数であり、cは、光の速度であり、Lは、共振器の長さであり、qは、任意の正の整数であり、nは、屈折率である。共振器の無負荷状態の屈折率及び長さを入力キャリア周波数とはわずかに異なる共振周波数に調節することにより、十分なパワーの光のみが、到来キャリア(carrier)周波数と等しくなるように共振器の共振周波数をシフトさせるのに十分なだけ、共振器の屈折率を増減させることができるようにすることができる。入力光が共振器内において共振すると、それらの光子は、格段に大きな共振器寿命を具備することになり、この結果、入力の相対的に大きな割合が出力として共振器を透過する。入力パワーの設計値に基づいて不透明状態から透明状態に容易にスイッチングする共振器のこの能力が、非線形空洞が、すべて光学的なスイッチの最も一般的な形態であることの理由である。
【発明の概要】
【0011】
十分なパワーにより、透過するべく非線形共振器をスイッチング可能であるが、更に大きな値の入力パワーは、もはやキャリア周波数にマッチングしなくなる時点まで共振器の共振周波数を更にシフトさせ、この結果、出力がオフにスイッチングされることになる。従来のデジタル設計においては、閾値に到達した後に、入力レベルとは無関係に、一定の出力レベルを必要としているため、この動作は、常に望ましくないものと考えられてきた。研究及び産業界における現在の考え方及び最新技術は、すべて光学的な論理の実装が現在のものよりも格段に好ましいものになるように、この動作を設計者の利点として使用可能であるということを認識していない。
【0012】
又、非線形共振器は、その無負荷状態の共振器周波数を入力キャリア周波数と同一にすることにより、前述のデチューニング(detuning)された共振器とは逆のものとして機能することも可能である。この結果、相対的に小さなパワーを有する入力が透過する一方で、相対的に大きなパワーの入力によって共振器が共振状態から外れるようにシフトされ、出力がオフにスイッチングされる。前述のその他の機能との関連において適切に利用された場合に、この非線形共振器の逆転機能が有用であることは、これまで認識されていない。
【0013】
その様々な実施例において開示されている装置のそれぞれは、前述の問題点の中の1つ又は複数のものを克服しており、且つ、以下に記述されている更なる利点を実現している。
【0014】
本発明による論理ゲートは、1つ又は複数のデジタルの振幅変調された光学入力信号を受信している。いくつかの実施例においては、光学入力信号の中の1つのものは、例えば、レーザー源からの連続波(Continuous Wave:CW)光である。論理ゲートは、光学入力信号又はこれらの合成から結果的に得られる合成信号を受信する非線形素子を有しており、且つ、論理レベルを非線形的に弁別することにより、バイナリ論理レベルを具備した光学出力信号を生成している。非線形素子は、特定の論理演算を実行するべく光学入力信号のキャリア周波数との関係においてチューニング(tuning)されるように構成された光学共振器又は空洞を有することができる。いくつかの実施例においては、論理ゲートは、光学入力信号を受信及び合成して合成信号を生成する合成媒体を有しており、この合成媒体は、論理レベルの弁別のために非線形素子に対して出力している。その他の実施例においては、光学入力信号は、非線形素子に対して供給されており、この非線形素子が、その論理レベルを効率的に合成及び弁別している。実施例の中のいくつかのものにおいては、1つ又は複数の導波路を使用して光学入力信号を合成媒体又は非線形素子に対して導波している。いくつかの実施例においては、1つ又は複数の導波路を使用することにより、非線形素子から光学出力信号を受信し、且つ、これを論理ゲートの出力としてダウンストリーム(downstream)要素に供給可能である。論理ゲートを直列構成において1つに光学的に結合することにより、実質的にあらゆる論理関数を実行する能力を有する光学回路を形成可能である。個々の又は合成された論理ゲートは、AND、NOT、NAND、NOR、OR、XOR、及びXNOR論理演算を実行する能力を有している。
【0015】
非線形素子は、光学入力信号の論理レベルに対して応答するスイッチとして機能しており、非線形素子が入力キャリア周波数に対してチューニング及びデチューニングされている方法に応じて、その出力を、オフからオンに、又はオンからオフにスイッチングしている。更には、デチューニングの量を変更することにより、スイッチングに必要な入力パワーの量を変更可能である。入力の数を適切に構成し、且つ、それぞれの非線形素子の無負荷状態及び有負荷状態における共振周波数をカスタマイズすることにより、電子回路を使用することなしに、選択された論理関数を競争力のあるスイッチング速度において実装可能である。更には、非線形素子に対する光学入力信号の1つとして連続光が結合されている場合には、光学回路のそれぞれの段における光学強度(即ち、論理レベル)の回復(restoration)も可能である。連続光を使用して非線形素子を最大透過率に維持すれば、追加のデータパルスにより、非線形素子が共振状態から外れるようにシフトすることになり、この結果、すべて光学的な論理の逆転を得ることができる。すべてが光学的な強度回復型(intensity−restorative)の論理ゲートが可能であるため、安定したすべて光学的なメモリが本発明の別の可能な実施例である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】入力光の周波数との関係においてデチューニングされたその共振周波数における共振状態に非線形素子を駆動するのに非線形素子に対する光入力の強度が不十分である場合の(例えば、光共振器などの)非線形素子の透過率対非線形素子に対する光入力の周波数のグラフである。
【図2】入力光が十分に強力である際の共振及び光透過における非線形素子のシフトを示す非線形素子の透過率対非線形素子に対する光入力の周波数のグラフである。
【図3】すべて光学的なインバータ(NOTゲート)の平面図であり、これは、1つの光学入力信号としての連続波(CW)光、第2光学入力信号としてのゼロであるデータ入力、及び共振又は透過モードにある(例えば、光学共振器などの)非線形素子を内蔵している。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図4】すべて光学的なインバータ(NOTゲート)の平面図であり、これは、1つの光学入力信号としての連続波(CW)光、第2光学入力信号としてのONである(即ち、High振幅又は論理レベルである)データ入力、及び非共振又は不透明モードにおける非線形素子を内蔵している。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図5】すべてが光学的なANDゲートの平面図であり、これは、ゼロ振幅である(即ち、Low振幅又は論理レベルである)データを有する2つの光学入力信号及び非共振又は不透明モードにある非線形素子を含んでいる。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図6】すべて光学的なANDゲートの平面図であり、これは、ONである(即ち、High振幅又は論理レベルを有するデータを具備している)2つの光学入力信号及び共振又は透過モードにおける非線形素子を含んでいる。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図7】両方とも1のビットである(即ち、High振幅又は論理レベルである)データを具備した光学入力信号を受信し、ゼロのビットを具備した(即ち、Low振幅又は論理レベルである)データを有する光学出力信号を出力するすべて光学的なNANDゲートの平面図である。
【図8】すべて光学的なNORゲートの平面図であり、これは、1つの光学入力信号としての連続波(CW)光、そのいずれか又は両方がオンである(即ち、High振幅又は論理レベルである)個々のデータを具備した2つの追加光学入力信号、及び非共振又は不透明モードにおける非線形素子を含んでいる。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図9】論理レベルの回復を有するすべて光学的なORゲートの平面図であり、これは、データを具備した2つの光学入力信号を受信しており、且つ、回復された論理レベルを有する光学出力信号を生成する直列構成の2つのインバータを具備している。
【図10】すべて光学的なXORゲートの平面図であり、これは、個々のデータを具備した2つの光学入力信号を受信しており、且つ、図5の半分だけデチューニングされた非線形素子を有している。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図11】すべて光学的なXNORゲートの平面図であり、これは、個々のデータを具備した2つの光学入力信号を受信しており、且つ、図5の半分だけデチューニングされた非線形素子を有しており、これに図3及び図4に示されているインバータが後続している。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図12】光学入力信号としての2つの連続波(CW)光入力、「セット」及び「リセット」という個々のデータ入力を具備した2つの追加光学入力信号、4つの非線形要素、及びQ及びQバーという2つの光学出力信号を具備したすべて光学的なNANDラッチの平面図である。
【図13】ブリッジ構造によって支持されたフォトニック結晶を含む光学論理ゲートの斜視図である。
【図14】図13のフォトニック論理ゲートの一部分の詳細図であり、光ファイバコアから論理ゲート内に伝播する光のモードプロファイルに整合するべくテーパー化されたフォトニック論理ゲートに対する入力の構造を示している。
【図15】図13のフォトニック論理ゲートの平面図である。
【図16】図13のフォトニック論理ゲートの切り取り斜視図である。
【図17】光学入力信号を合成する合成媒体と、リングとして実装された非線形素子を有するすべて光学的な論理ゲートの一実施例の平面図である。
【図18】別個の合成媒体を有していないリングを使用するすべて光学的な論理ゲートの平面図である。
【図19】光ファイバを使用して実装されたすべて光学的な論理ゲートの平面図である。
【図20】空洞内に配置された非線形材料を有する共振器空洞を定義するミラーによって実装されたすべて光学的な論理ゲートの平面図である。
【図21】本発明による一般化されたすべて光学的な論理ゲートのブロックダイアグラムである。
【図22】バイナリ論理レベルを具備した1つ又は複数の光学入力信号を受信するべく構成されており、且つ、バイナリ論理レベルを具備した1つ又は複数の光学出力信号を生成するべく1つ又は複数の非線形素子を具備した1つ又は複数の光学論理ゲートを含む光学回路の一般化された製造方法のフローチャートである。
【図23】1つ又は複数のバイナリ論理レベルを有する1つ又は複数の光学入力信号に基づいて、振幅に基づいた非線形弁別を使用して1つ又は複数のバイナリ論理レベルを具備した1つ又は複数の光学出力信号を生成する論理ゲートの動作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従って、本発明の概略的な説明を以上において終了し、以下においては、添付の図面を参照することとするが、これらの添付図面は、その縮尺が必ずしも正確に描画されてはいない。
【0018】
以下、本発明のいくつかの、但し、そのすべてではない、実施例を示している添付の図面を参照し、本発明について更に詳しく説明する。実際に、これらの発明は、多くの異なる形態において実施可能であって、本明細書に記述されている実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、適用される法的要件を本開示が満足することになるように、提供されているものである。添付の図面においては、類似の参照符号により、類似の要素を表している。
【0019】
(定義)
「ダウンストリーム」とは、基準点との関係においてもっと先である光学伝送経路に沿った位置又は要素を意味している。又、これは、基準点から離れる方向における光学回路内における光の伝播方向を意味するべく使用することも可能である。
【0020】
「オフ」又は[ロウ(Low)」又は「0」は、相対的に低い振幅又は論理レベルを具備した光学信号を意味している。
【0021】
「オン」又は「ハイ(High)」又は「1」は、高い振幅又は論理レベルを具備した光学信号を意味している。
【0022】
「又は(or)」は、文脈によってそうではないと示されていない限り、この用語に先行又は後続する事物の任意の1つ、いくつか、又はすべてを意味するべく、その包括的な意味において使用されている。従って、「A又はB」は、その意味において、「A」のみ、「B」のみ、並びに、「A」及び「B」の両方を含んでいる。
【0023】
「複数形表現((s)又は(ies))」は、綴り「s」の直前の用語によって意味されている事物の1つ又は複数のものを意味している。従って、「signal(s)」は、「1つ又は複数の信号」を意味している。
【0024】
「チューニング」は、一般に、その共振周波数が1つ又は複数の光学入力信号の周波数との関係において設定されるように、非線形素子を構成することを意味している。又、本明細書において具体的に言及されている場合には、「チューニング」は、その共振周波数が光学入力信号の(例えば、キャリア周波数などの)周波数に対してチューニングされるように、非線形素子を構成することをも意味可能である。「デチューニング」は、一般に、その共振周波数が光学入力信号の周波数とは異なる周波数に設定されるように、非線形素子を構成することを意味している。
【0025】
「光学共振器(optical resonator)」又は「光学空洞(optical cavity)」は、有限の期間にわたって光をトラップ(trap)した後に、その光を透過、反射、又は消光する構造物として定義されている。フォトニック結晶(photonic crystal)内の共振器は、光が存在可能な1つ又は複数の経路を配置し、且つ、光を経路に閉じ込める周期的な構造物によってこれらの経路を取り囲むことにより、生成される。二次元フォトニック結晶の場合には、周期的な構造物は、フォトニック結晶を有する媒体内に定義された空気孔及び/又は半導体柱であり、経路は、通常、媒体内の孔や柱などの構造物の欠如によって定義されている。又、共振器は、半導体材料又は光ファイバから製造されたリング様の導波路を有することも可能である。リングは、入力及び出力ポートに結合されている。或いは、この代わりに、共振器は、交互に変化する誘電材料、異なる屈折率を有する交互に変化する材料、内部全反射用の低屈折率によって終端された表面、又は金属表面のいずれかである反射性表面によって取り囲まれた媒体を有することも可能である。又、共振器は、光を選択的にトラップできるように、その反射順序(reflective orders)がアライメントされた重畳された格子(superimposed grating)を有することも可能である。又、共振器は、(例えば、ソリトンや電圧誘発プロファイルなどの)光を保持する電磁的に誘発された屈折率プロファイルを含む非線形材料を有することも可能である。
【0026】
「基板」は、その上部に論理ゲートが形成される被加工物又は開始材料である。基板は、半導体又はマイクロリソグラフィ産業において使用されているものなどのウエハであってよい。例えば、基板は、半導体又はSOI(Semiconductor−On−Insulator)基板を含む1つ又は複数の物質から構成可能である。可能な材料は、シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO2)、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム(Ga)、ボロン(B)、リン(P)、リン化ガリウム(GaP)、窒化ガリウム(GaN)、及びその他のものを含んでいる。
【0027】
「アップストリーム」とは、基準点との関係において光学ゲート又は回路内において光の発生源に向かう位置における位置又は要素を意味している。又、これは、光の発生源に向かう方向を意味することも可能である。
【0028】
「導波路」とは、光を閉じ込め、且つ、導波することができる媒体の任意の構造又は組み合わせを意味している。例えば、導波路は、コアのものよりも高い屈折率(RI)を有すると共に特定の波長の光をコア内に閉じ込める効果を具備したクラッディングによってコアが取り囲まれた光ファイバであってよい。又、導波路は、フォトニック結晶内に形成することも可能であり、この場合には、光は、フォトニック結晶内の構造物が定義されているエリアとは対照的に、フォトニック結晶内に定義された経路内において容易に伝播する。
【0029】
(すべて光学的な論理ゲート用の非線形素子)
図1は、非線形素子における入力光の強度の割合としての透過率対入力光の周波数のグラフを示しており、この場合には、非線形要素は、光学共振器として実装されている。入力光は、192.9THzの周波数1(即ち、1.55マイクロメートルの波長)を具備している。非線形素子は、193THzの共振周波数2を具備しており、従って、これは、入力光の周波数1からデチューニングされている。図1においては、入力光のパワーは、光学空洞を共振状態にシフトさせるには不十分なものになっている。従って、空洞を透過するキャリア周波数における光の割合は、相対的に低く、図1に示されている状況においては、略ゼロである。
【0030】
図2は、光学共振器として実装された非線形素子を通じた透過率のグラフを非線形素子に対する光入力の強度の割合として示している。図2に示されている状況においては、入力光のパワーは、非線形素子が共振状態にシフトするべく十分に大きなものになっている。換言すれば、光が非線形素子内において共振すると共に略百パーセントである相対的に大きな量の入力光を出力するように、光学パワーは、十分に大きく、且つ、周波数において近接している。後程明らかになるように、この非線形素子の選択的な共振特性は、後述する論理ゲートにおいて優れた利点として使用可能である。
【0031】
(非線形素子を使用するすべて光学的な論理ゲート)
図3は、別個の導波路であってよい2つの別個の入力媒体3及び4を有するすべて光学的な論理インバータ(NOTゲート)10である。入力媒体3及び4は、合成媒体5にアライメント又はマージ(merge)しており、この合成媒体5は、例えば、単一の導波路又はフォトニック結晶であってよい。合成媒体5は、個々の入力媒体3、4上の光学入力信号A、Bを光学共振器などの非線形素子6に対して伝達するべく構成されている。この実施例における光学入力信号Aは、第1光学入力媒体3に伝達された一定のパワーを具備した連続波(CW)光であり、光学入力信号Bは、第2光学入力媒体4に伝達された振幅変調された(例えば、データストリームなどの)光データである。非線形素子6は、連続波光のみが非線形素子に進入した場合に、非線形素子が自身の共振周波数2がCW光の周波数1とアライメントする共振状態にシフトすると共に光学出力媒体7上に光学出力信号として光を出力するように、正確にデチューニングされている。
【0032】
図4においては、(例えば、CW光などの)第1光学入力信号Aは、(例えば、パルス又はデジタルビットなどの)第2光学入力信号Bと実質的に同一の周波数を有している。第1及び第2光学入力信号A,Bは合成媒体5内において合成されて非線形素子6に進入している。非線形素子6に入射した光学パワーは、光学入力信号AのCW光と振幅変調された光学入力信号Bの間の位相差に応じた肯定的又は否定的な干渉を通じて十分に増大又は減少することにより、非線形素子を共振状態から外れるようにシフトさせ、これにより、導波路7上の出力が「オフ」又はLow振幅又は論理レベルにスイッチングされる。図3及び図4の装置は、第2入力媒体4上において受信した振幅変調された光学入力データの論理レベル(即ち、振幅レベル)の逆転したものを出力しているため、これは、事実上、光学論理インバータである。インバータ10の光パワー出力は、媒体4上の振幅変調された光学入力信号Bの潜在的に減少したデータによってではなく、入力媒体3上のCW光のパワーによってのみ決定されているため、図3及び図4の論理インバータは、電圧源に関連付けられた電子的なインバータ又はトランジスタが論理レベルの回復を実行する方法に類似した方式により、すべて光学的な論理レベルの回復を実行している。
【0033】
図5は、例えば、フォトニック結晶内に定義された単一導波路又は経路であってよい合成媒体25にアライメント又はマージされた導波路であってよい2つの別個の光学入力媒体23及び24を有するすべて光学的なANDゲート装置20である。合成媒体25は、非線形素子26にアライメント又は光学的に結合されるように構成されている。それぞれ個々のデータによって変調された振幅変調光学入力信号A、Bが個々の光学入力媒体23及び24に伝達されており、非線形素子26に進入する前に、合成媒体25内において合成されている。図5に示されているように、光学入力信号A、Bのいずれか又は両方がLow又は「オフ」論理レベルを具備している場合には、非線形素子26は、Low又は「オフ」論理レベルを具備するように、光学出力信号を生成する。非線形素子26は、図6に示されているように、両方の入力が同時に「オン」である際にのみ、光学出力媒体27上における非線形素子26の出力が「オン」にスイッチングするように、光学入力信号A、Bのキャリア周波数21から離れるように十分にデチューニングされている。この動作は、すべて光学的なANDゲートに対応している。媒体27上の光パワー出力は、その入力のいずれかのもののパワーの二倍を伝送しており、即ち、この光学出力信号は、光学入力信号A、Bの論理レベルの加算である論理レベルを具備している。この強化された出力パワーは、具体的には、任意の後続の装置が論理「1」ビット(即ち、High振幅又は論理レベル)の一般的な強度を受信するように設計されている場合には、有害である可能性があろう。この実施例においては、この問題のために、2つの解決策が存在しており、これらは、後続の受信非線形素子を更にデチューニングすることによってANDゲートからの2倍のパワー用に後続の論理ゲートを設計するか、或いは、適切な出力パワーレベルを回復するべく、単一レベルフォロア(follower)(光学入力信号A、Bの中の1つのものにおいてCW光を、そして、光学入力信号A、Bの中のもう1つのものにおいて振幅変調されたデータを受信する図5及び図6のANDゲートであって、両方の入力がHighであり、且つ、2つの信号が否定的に干渉する場合にのみ、半分のパワーのみを出力するが、いずれかがLowである場合には、パワーを出力しないように、共振周波数が十分にデチューニングされているもの)又は2つのインバータをANDゲートの後に直列構成において配置するというものである。
【0034】
本発明の一実施例においては、図5及び図6のANDゲート20に続いて図3及び図4のゲート10などのインバータを配置することにより、図7に示されているすべて光学的なNANDゲート30を結果的に得ている。更に詳しくは、図5及び図6のゲート20の出力媒体27を図3及び図4のゲート10の入力媒体4にアライメント又は光学的に結合すると、光学出力信号のデータが入力媒体23、24上の光学入力信号A、Bとの関係においてNANDブール論理を実現するすべて光学的なNANDゲート30が生成される。従って、光学入力信号A、Bの両方がLow論理レベルを具備している場合には、NANDゲート30によって結果的に生成される光学出力信号は、「High」論理レベルを具備しており、光学入力信号A及びBのいずれか又は両方が「Low」論理レベルを具備している場合には、NANDゲート30によって結果的に生成される光学出力信号は、「High」論理レベルを具備している。更に詳しくは、光学入力信号A、Bの両方がHigh論理レベルにある場合にのみ、媒体27、4上の光学信号の振幅が、光学入力信号C(CW光)との組み合わせにおいて、非線形素子6の共振周波数2を光学入力信号A、B、Cのキャリア周波数1から離れるようにシフトさせるのに十分な振幅を具備し、この結果、媒体7上の光学出力信号がLow論理レベルを具備することになるように、非線形素子6は、光学入力信号A、Bのキャリア周波数1との関係においてチューニングされている。そして、光学入力信号A、Bのいずれか又は両方がLow論理レベルを具備している場合には、媒体27、4上の光学信号は、媒体7上の光学出力信号が、この状況において「High」論理レベルを具備するように、光学入力信号Cとの組み合わせにおいて、非線形素子6を共振状態から外れるようにシフトさせるのに不十分なパワーを具備している。
【0035】
図8は、ORゲート40との組み合わせにおいて光学インバータ10を有するすべて光学的なNORゲート50である。ORゲート40は、(例えば、単一の光学導波路又はフォトニック結晶の領域などの)合成媒体43にアライメント又はマージしている(例えば、光学導波路又はフォトニック結晶を通じた経路などの)2つの別個の入力41及び42を有している。媒体41、42上の光学入力データ信号A、Bのいずれか又は両方の振幅がHighである場合には(即ち、High振幅又は論理レベルを具備している場合には)、媒体43上の光学出力信号上のデータは、Highである(即ち、High振幅又は論理レベルである)。逆に、媒体41、42上の両方の光学入力データ信号がLow論理レベルである場合には(即ち、Low振幅又は論理レベルである場合には)、媒体43上の光学出力データ信号も、同様にLow論理レベルである(即ち、Low振幅又は論理レベルである)。合成媒体43は、図3及び図4を参照して前述した装置に類似した方式によって構築並びに機能可能であるインバータ10の入力媒体4にアライメント又は光学的に接続されている。この装置に対する入力媒体3、4上の光学入力信号A、Bのいずれか又は両方が十分なパワーを含んでいる場合には(即ち、対応するHigh振幅レベルを有する「High」又は「1」論理レベルにある場合には)、インバータの出力媒体7上の光学出力信号は、オフにスイッチングすることになる(即ち、Low振幅又は論理レベルを具備することになる)。さもなければ、インバータ10によって生成される光学出力信号は、「オン」に留まることになる(即ち、High振幅又は論理レベルを具備することになる)。このゲート50は、インバータ10によって終端しているため、これも、論理レベルを回復するのに十分なパワーを具備するインバータ10に入力された媒体3上の一定の連続波(CW)光を具備した光学入力信号Cを受信することにより、低下した論理レベルを回復している。
【0036】
図9に示されている本発明の一実施例においては、すべて光学的なORゲート55は、図3及び図4に示されている第1及び第2インバータ10、10’に光学的にアライメント又は結合された図8のORゲート40を有している。図8のゲート40は、この光学論理ゲートと同一の論理関数を実現しているが、図9の実施例は、単純な受動的導波路によっては実現されない論理レベルの回復を実現している。
【0037】
図10は、単一の合成媒体55にマージしている2つの別個の入力媒体53及び54を有するすべて光学的なXORゲート60である。合成媒体55は、非線形共振器56に光学的にアライメント又は接続している。非線形共振器56は、単一の光学入力信号53、54がオンである際にのみ(即ち、High振幅又は論理レベルを具備している場合にのみ)、媒体57上の光学入力信号がオンにスイッチングするように(High振幅又は論理レベルを具備するように)、図5及び図6の光学ANDゲート20の場合の半分だけ、光学入力データ信号のキャリア周波数51からその共振周波数52においてデチューニングされている。両方の光学入力信号A、Bがオンである場合には(即ち、High振幅又は論理レベルを具備している場合には)、非線形素子の共振周波数52が、光学出力媒体57に対する光の透過を許容するには、入力キャリア周波数51との関係において過剰に遠くにシフトし、この結果、非線形素子56は、光学出力信号がLow論理レベルを具備するように、媒体57上の光をターンオフすることになる。光学入力信号A、Bが、いずれもオンではない場合には、非線形素子56は、光学出力信号がLow論理レベルを具備するように、有意な光を出力しない。このゲート60は、単一の光学入力信号A、Bがオンである場合に、High論理レベルを有する光学出力信号として光を出力しているため、その動作を補償するための論理レベルの回復が不要である。
【0038】
本発明の一実施例においては、図11に示されているすべて光学的なXNORゲート65は、インバータ10(図3及び図4)が後続しているXORゲート50(図10)を有している。この実施例においては、光学入力信号A、Bの両方がHigh論理レベルを具備している場合に、XORゲート50によって生成される光学出力信号は、Low論理レベルを具備している。XORゲート50は、Low論理レベルを有する光学出力信号を媒体57上に出力し、これが、1つの光学入力信号として媒体4上においてインバータゲート10に入力されている。もう1つの光学入力信号Cは、光学入力媒体3上においてインバータゲート10に入力されるCW光である。これらの信号は、媒体5内において合成されており、この結果得られた合成信号は、光学入力信号のキャリア周波数との関係において非線形素子6の共振周波数2を共振状態から外れるようにシフトさせるのに不十分なパワーを具備している。従って、インバータゲート10によって生成される光学出力レベルは、「High」論理レベルを具備している。光学入力信号A、Bの両方がLow論理レベルである場合には、非線形素子56によって生成される光学出力信号は、「Low」論理レベルを具備している。光学出力媒体57上におけるXORゲート50からの光学出力信号は、光学入力媒体4上においてインバータゲート10に入力されるが、このレベルは、光学入力信号Cとの組み合わせにおいて、共振状態から外れるように非線形素子6を駆動するのに十分な振幅を有する合成信号を生成するには、不十分である。従って、インバータゲート10によって生成される光学出力信号は、High論理レベルを具備している。光学入力信号A、Bの両方ではなく、いずれかがLow論理レベルを具備している場合には、非線形素子56は、共振状態に駆動され、この結果、XORゲート50からの光学出力信号は、「High」論理レベルを具備している。この「High」論理レベルは、媒体57上に出力され、媒体4を介してインバータゲート10に対する光学入力信号の1つとして受信される。この光学入力信号は、媒体5内において、光学入力信号C(CW光)と合成され、この結果得られた合成信号の振幅は、合成信号のキャリア周波数1(光学入力信号と同一である)から離れるように非線形素子6の共振周波数2を駆動し、これにより、XNOR論理ゲートによって生成される光学出力信号を「Low」論理レベルにスイッチングするのに十分である。従って、ゲート65は、光学入力信号に対してXNOR論理演算を実行し、その光学出力信号を生成している。
【0039】
図12は、別個のNANDゲート30、30’(図7)に光学的に結合された2つの光学入力信号R及びSを有するすべて光学的なメモリラッチ70である。この場合に、両方のNAND30及び30’の光学出力信号Q、Qバーは、もう1つのNAND30、30’の第2入力として個々の第2入力媒体24、24’に接続されている。媒体24、24’は、この実施例においては、交差点73において交差しているが、光学クロストークフィルタ(optical cross−talk filter)74に起因し、クロストークは発生しない。この装置は、基本的な電子的NANDラッチが実行するように動作しており、この場合には、以下の論理表が実装されている。
【0040】
【表1】
【0041】
従って、光学入力信号S及びRに基づいて出力媒体7上の光学出力信号を所望の値に設定して保存可能であるため、論理制御されたすべて光学的なメモリが可能である。この装置の光学出力信号は、一定の連続波(CW)光を使用してインバータ10、10’によって効率的に生成されているため、その論理レベルは、すべてのスイッチングサイクルにおいて連続的に回復されている。従って、保存された信号は、無制限にリサイクル可能であり、この結果、電子的なメモリゲートにおいて既に存在しているすべて光学的なメモリ性能が実現されている。尚、この実施例に開示されているすべて光学的なラッチは、論理ゲートからメモリを生成する唯一の方式ではなく、本発明がすべて光学的なメモリとして機能可能である方法の唯一の例であると見なしてはならない。
【0042】
ラッチ70の動作を具体的に説明するべく、光学入力信号S、Rの両方がLow論理レベルを具備している場合には、非線形素子26、26’は、非線形素子6、6’を共振状態から外れるように駆動するのに十分なパワーを有する光学入力信号を受信せず、この結果、光学出力信号Q、Qバーの両方は、媒体3、3’上のCW光の個々の光学入力信号の入力に起因してHigh論理レベルを具備することになる。同一の論理レベルを具備した光学出力信号Q、Qバーの両方は、ラッチ70の無効な論理レベルと見なされる。光学入力信号S、RがLow及びHigh論理レベルをそれぞれ具備している場合には、光学入力信号RのHigh論理レベルにより、NANDゲート30’の光学出力信号Qバーが強制的にLow論理レベルになり、これがNANDゲート30にフィードバックされることにより、非線形素子6が入力されたCW光によって強制的に共振状態となり、この結果、非線形素子6が、光学出力信号QのHigh論理レベルを生成することになる。光学入力信号S、Rが、それぞれ、High及びLow論理レベルを具備している場合には、光学入力信号SのHighレベルにより、NANDゲート30によって生成される光学出力信号Qが強制的にLow論理レベルになる。光学出力信号QがNANDラッチ30’に光学入力信号としてフィードバックされているという事実は、光学出力信号QがHigh論理レベルを具備することを保証している。最後に、光学入力信号S、Rの両方がHigh論理レベルを具備している場合には、NANDゲート30、30’は、いずれも、論理レベルをスイッチングすることにならず、光学出力信号Q、Qバーの論理レベルは変化しない。
【0043】
(すべて光学的な論理ゲートの模範的な製造方法)
本発明によるすべて光学的な論理ゲート及び回路の構造及び機能に関する説明を以上において終了し、以下、すべて光学的な論理ゲートの模範的な製造方法について説明することとする。
【0044】
SOI(Silicon−On−Insulator)ウエハ基板80を窒素ガスによって処理し、ゴミ及び破片を除去する。研磨装置及びパウダーを使用することにより、基板80を研磨する。MBE(Molecular Beam Epitaxy)ツールを使用することにより、5nm未満の表面粗度を有するシリコンの厚さが200〜400nmのレイヤ(layer)81をシリコン基板80上に成長させる。次いで、ウエハ80を電子ビームリソグラフィーチャンバ内に配置する。近接効果を防止するべく、それぞれの最小特徴エリアに連続的に電子エッチングを適用する。外部ソフトウェアを使用することなしに、このようなそれぞれの「ピクセル」を選択的に手作業によって露出させる。装置の特徴をエッチングすることにより、231nmの直径を有し、且つ、同一列内において420nmだけ離隔した基板内に垂直に貫通する孔82を定義し(図13には、この中のいくつかのもののみに具体的にラベルが付与されている)、且つ、第1列との関係において、240nmだけ左及び右にシフトして、例えば、三角形のフォトニック結晶格子を形成するように、隣接する列の孔をレイヤ81内に定義する。レイヤ81内に形成される装置内においては、光が伝播するべく意図されているところにのみ、孔をエッチングしない。このフォトニック結晶構造は、いくつかの理由から、論理ゲートの形成のために有利である。第1に、フォトニック結晶内にサブミクロンの経路を定義して光の伝播方向を迅速に変化させることにより、論理回路を定義する経路を通じて光学信号を導波可能である。又、フォトニック結晶空洞は、サブミクロン〜ミクロンのスケールにおいて、非常に高いQファクタを具備可能であり、この結果、論理スイッチングを実行するための相対的に低いパワー要件が得るこができる。
【0045】
光をトラップする場所のいずれかの面に孔を挿入することにより、非線形素子6を形成する。孔の直径を変化させるか、それぞれの面上の孔の間の距離を増減させるか、1つの又は両方の面上の孔の数を増減させるか、又はこれらの技法の組み合わせにより、非線形素子を入力キャリア周波数からチューニング又はデチューニング可能である。通常、孔の数及び両面の間の距離は、所望のスイッチングパワー、寿命、及び帯域幅に起因して固定された状態に留まることになる。従って、この特定の手順においては、最も内部及び最も外部の孔の直径は、共振器をチューニングして所望の1つ又は複数の波長において透過させるためにのみ、変更されている。
【0046】
装置の下の絶縁体に対する側面アクセスを得るべく、外部光が進入する又は装置から出射する左又は右のエッジにおいて、基板を深くエッチングする。エリアの全体を露出させて1つ又は複数の光学論理ゲートを形成した後に、装置の真下の絶縁体が洗い流され、この結果、図13及び図15に示されているように、空気中に浮いた状態のメンブレインブリッジ(membrane bridge)83が得られる時点まで、ウエハをフッ化水素(HF)酸に浸漬する。ウエハ80を洗浄した後に、エッジをクリービング(cleaving)して光学チップ84を生成する。
【0047】
ファイバ導波路3a、4aをクリービング及び研磨し、屈折率整合接着剤3b、4bをファイバの端部に塗布した後に、これらを突起3c、4cに装着する。光学論理ゲート装置10の導波路の端部との関係において定位置に保持されるように、接着剤又はその他の機械的な留め具86によってファイバをチップ84内においてブリッジ85に固定可能である。適宜、ファイバの反対側の端部を入力側においてCWレーザー源又はアップストリーム信号源に装着することにより、論理ゲート10に光学入力信号A、Bを供給可能である。次いで、個々のファイバ3a、4a、接着剤3b、4b、及び突起3c、4c、を介して光学入力信号A、Bを装置10に供給する。光学入力信号A、Bは、個々の領域3d、4dを通じて合成媒体5に更に伝播する。光学入力信号の合成の結果得られた光は、共振器6に伝播し、トラップされる。共振器6は、光学出力信号を領域7dに出力し、ここから、光学出力信号は、突起7c、接着剤7b、そして、最終的に光ファイバ7aに伝播し、更には、ファイバ7aの出力端部に伝播することになるが、このファイバ7aは、後続の論理ゲートに対する入力として又はチップ84の最終的な出力として終端可能である。前述の同一の方式により、又は当業者には既知の多数の技法及び装置を使用することにより、ファイバ7aの出力端を(図示されてはいない)別の光ファイバ又は光学回路に接合可能である。
【0048】
図14に示されているように、光学入力及び出力媒体3、4、7を突合せ結合法を使用することにより、個々のファイバに結合可能である。この場合には、論理ゲート10は、定義された孔が論理ゲート10の入力側において光学入力信号の伝播方向に沿って更に細くなるように徐々にテーパー化3e、4eして光学出力信号のモードプロファイル(modal profile)と整合するように、定義されている。出力媒体7においては、この構成が反転されており、基板81内の孔によって定義されたテーパー7eは、ゲート10の出力のモードプロファイルが出力媒体7a内のものと整合するように、装置10からの光学出力信号の伝播方向に沿って徐々に増大又は広くなっている。外部源の内外において光を結合している導波路を緩やかにテーパー化させることにより、突合せ結合されたファイバのモードプロファイルと整合させている。
【0049】
図15及び図16は、論理ゲート10の光学共振器6を更に詳細に示している。共振器6のそれぞれの端部における最も外側の孔は、最も内側の孔よりも小さいことが明らかである。その他の孔を共振器6内に含む場合には、それらは、最も外側及び最も内側の孔の間に配置されることになり、且つ、共振器6の外側のフォトニック結晶内の別の場所において使用されている孔と同一のサイズを具備することになろう。
【0050】
本発明の別の実施例は、図17の論理ゲート装置90である。この論理ゲート装置90は、SOI(Semiconductor−On−Insulator)基板90上に形成されたフォトニック結晶の代わりに半導体「ワイヤ」を使用している。フォトニックワイヤ93c、94cを前述と同一の装置を使用してエッチングし、次いで、これらを直接的に又はエバネッセントに、この場合にはサーキュレータ又は共振器である非線形素子96として機能するリング又はループワイヤ導波路に接続している。非線形素子96のリングの円周を定義することにより、非線形素子96をチューニング又はデチューニングする。メンブレインブリッジを構築せず、且つ、装置90が絶縁体基板90上に留まっていることを除いて、以前の例と同様のすべてのその他の手順を踏襲している。動作の際には、光学入力信号A、Bが個々の入力媒体93、94上を合成媒体95に伝播する。更に詳しくは、光学導波路93a、94aを接着剤93b、94bを使用してワイヤ93c、94cにアライメント及び光学的に結合している。この結果、個々の導波路93a、94a上の光学入力信号は、接着剤93b、94bを通じて、媒体95にマージしている光学ワイヤ93c、94cに伝播し、媒体95において合成されている。合成媒体95は、光学入力信号を非線形素子96にエバネッセント(evanessent)に結合している。非線形素子96は、接着剤97bを通じて出力媒体97を形成している出力光学導波路97aに光学ワイヤ97cをエバネッセントに結合することにより、媒体93、94上の光学入力信号の論理レベルに応じて光学出力信号を出力している。
【0051】
図18の論理ゲート100の実施例は、図18においては、光学入力信号を個々の媒体93、94を通じて非線形素子96に直接的に結合することによって合成媒体95を省略しており、このような両方の信号が互いに合成されて干渉し、光学出力信号を出力媒体97上に生成している点を除いて、大部分に関して図17のものに類似している。
【0052】
図19に示されている本発明の論理ゲート110の別の実施例は、光ファイバ103a、104a、106a、107aを有している。一般的なシングルモード光ファイバ103a、104aを導波路として使用しており、次いで、これらを、非線形材料を構成しているファイバ106aに接続している。非線形ファイバは、通常、シリカなどの弱いカー(Kerr)材料から製造されている。次いで、ファイバ106aの周期的なセクションに(例えば、CO2レーザーからの)強い光を適用することにより、非線形ファイバ内の離隔した位置にブラッグ格子106b、106cを生成している。この結果得られた非線形素子106は、強い光に露出させる長さ及び配置を変化させることにより、又はファイバを曲げて共振器の形状を変化させることにより、チューニング可能である。
【0053】
図20は、非線形材料116a及びミラー116b、116cから構成された非線形素子116を具備した光学論理ゲートの一実施例110を示している。光学論理ゲート110は、光学入力信号を非線形材料116aに伝送するべく、この場合には光ファイバとして示されている媒体113、114と、非線形材料116aによって生成された光学出力信号を出力するための出力媒体117をも有している。更に詳しくは、媒体113、114からの光学入力信号は、一方通行のミラー116bに伝播し、これを通過し、媒体115内において合成されることにより、合成信号を生成し、これが非線形材料116aに進入している。媒体115は、空気又は非線形素子116の外部の又は内部の周辺環境であってよく、或いは、これは、単独の又は周辺環境との組み合わせにおける非線形材料116aであってもよい。光学入力信号の周波数との関係における非線形素子116の共振周波数に応じて、合成信号は、非線形材料116aによって消光されるか又は透過する。非線形材料116aは、例えば、エステルに基づいた染料から構成可能である。非線形材料116aを通過した合成信号は、一方通行のミラー116cを通過して、更に光学媒体117に伝播し、これを通じて光学論理ゲート110から出力されることになる。ミラー間の距離を変更することにより、又は共振器の形状を変更することにより、空洞をチューニング可能である。
【0054】
図21は、本発明による一般化されたすべて光学的な論理ゲート200のブロックダイアグラムである。図21においては、すべて光学的な論理ゲート200は、フォトニック結晶によって形成された光学共振器又は光学空洞、非線形材料の光ファイバ内におけるブラッグ格子、サーキュレータ、分布帰還(Distributed FeedBack:DFB)レーザー、又はその他の非線形装置の中の1つ又は複数のものを有する非線形素子206を有している。少なくともその1つが振幅変調されている光学入力信号A、...、B(「...」という省略表現は、2つを上回る数の信号が存在可能であるという事実を表している)を非線形素子206に直接的に供給しており、この非線形素子は、光学入力信号A、...、Bを合成し、この結果得られた合成信号の1つ又は複数の論理レベルを弁別し、且つ、例えば、光学入力信号A、...、Bのキャリア周波数との関係においてその共振周波数を設定することによって非線形素子206が実行するように構成されている論理演算に従ってその出力にバイナリ論理レベルを生成するべく構成されている。或いは、この代わりに、図21の破線によって示されているように、光学入力信号A、...、Bを、光学入力信号A、...、Bを合成する導波路又は経路などの合成媒体205に供給している。この結果得られた合成信号は、非線形素子206に伝播し、この非線形素子が、自身が実行するべく構成された論理演算に従って論理レベルを弁別し、且つ、光学入力信号A、...、Bの論理レベルに基づいた論理レベルを有する振幅変調された光学出力信号を出力している。光学入力媒体203を使用することにより、光学入力信号A、...、Bを供給源又はアップストリーム論理ゲートから非線形素子206に、或いは、合成媒体205に供給し、これから、非線形素子206に、供給可能である。光学出力媒体207を使用することにより、光学出力信号を光学回路内の次の論理ゲートに、又は別のダウンストリーム要素に出力可能である。
【0055】
図22において、1つ又は複数の光学論理ゲートを含む光学論理回路を製造する方法は、段階220において始まっており、この段階で、実行対象の論理演算を選択している。段階222において、選択された論理演算を実行するのに必要な1つ又は複数の論理ゲート及び光学接続により、光学回路を設計している。段階224において、光学回路の設計に従って論理ゲートが実行するように意図されている論理演算の部分を実行するべくその1つ又は複数の共振周波数がチューニングされるように、回路の1つ又は複数の論理ゲートを形成することにより、設計された光学回路を製造している。
【0056】
図22の方法の一例として、段階220において選択された次の論理演算に従って光学出力信号が生成されるものと仮定しよう。
【0057】
光学出力信号=(光学入力信号A*光学入力信号B)+光学入力信号C
【0058】
段階222において、光学回路を設計する。選択された論理演算を実現する能力を有する1つの設計は、AND論理ゲートを使用して光学入力信号A、Bを弁別し、この結果得られた出力信号を光学入力信号Cと共にORゲートに入力することにより、選択された論理演算の光学出力信号を生成するというものである。次いで、段階224において、所望のAND及びOR論理ゲートを生成するべく、1つ又は複数の非線形素子の1つ又は複数の共振周波数が光学入力信号の周波数から適切にチューニング又はデチューニングされるように、AND及びOR論理ゲートを製造する。次いで、この結果得られた光学回路を結合することにより、その入力においてアップストリーム要素から個々の光学入力信号A、B、Cを受信し、その出力を結合することにより、ダウンストリーム要素に光学出力信号を供給することになる。
【0059】
図23においては、論理ゲートの動作方法は、段階230において始まっており、この段階において、CW光用のレーザー源、光学振幅変調器、又は論理ゲートなどのアップストリーム光学回路要素などのアップストリーム要素から1つ又は複数の光学入力信号を受信している。段階232において、光学入力信号を導波している。段階230及び段階232は、個々の光学入力信号用の光学入力媒体によって実行可能である。段階234において、光学入力信号を合成して合成信号を生成している。この段階は、合成媒体によって実行可能である。尚、段階232及び234は、図23の破線によって表されているように、任意選択の段階である。段階236において、1つ又は複数の光学入力信号の合成の結果として得られた論理レベルを弁別することにより、Low振幅によって表されたLow論理レベル又はHigh振幅によって表されたHigh論理レベルを具備したバイナリ論理レベルを有する光学出力信号を生成している。段階236は、論理ゲートの非線形素子によって実行可能である。最終的に、段階238において、その光学回路内の1つ又は複数の次のゲート又は別の光学装置などのダウンストリーム要素に1つ又は複数の光学出力信号を伝送している。
【0060】
(手段の対応性)
添付の請求項における「光学入力信号の論理レベルを非線形的に弁別してバイナリ論理レベルを具備した光学出力信号を生成する非線形素子手段」は、本明細書に記述されている非線形素子6、6’、26、26’、56、96、106、116、206又はその等価物のいずれかを意味している。
【0061】
(代替肢)
光学共振器を「チューニング」する段階は、通常は、共振器の共振周波数をオフセットさせる段階を意味しているが、本発明においては、所望の機能を実現するための可能な手段として共振器の透過特性を変化させるためのその他の方法をも「チューニング」が意味するものと考えている。例えば、クォリティファクタを変更するか、追加の共振ピークを共振器に追加するか、或いは、応力、電磁場又は圧電場の印加、正孔又は電子などの電荷キャリアの注入、光の注入、又は、その他の技法を通じてその形状又は屈折率を変更することにより、共振器の透過の帯域幅、プロファイル、又は中心を変更可能であろう。
【0062】
光通信産業において現在標準である1.55ミクロン(μm)の光学信号を参照して説明したが、当然のことながら、その他の波長又は周波数の光学信号を使用することにより、本発明の原理を適用して有利な結果を得ることも可能であることを理解されたい。開示されたゲート及びラッチと共に使用される光学信号が、この同一の周波数を必ずしも具備している必要はない。
【0063】
本明細書に開示されている実施例は、相対的に大きな振幅を有する光学信号をHigh論理レベルと見なし、且つ、相対的に小さな振幅を有する光学信号をLow論理レベルと見なす「肯定的論理」の文脈において記述されているが、この代わりに、相対的に大きな振幅を有する光学信号をLow論理レベルと見なし、且つ、相対的に小さな振幅を有する光学信号をHigh論理レベルと見なす「否定的論理」を利用することも可能であろう。
【0064】
本明細書に記述されている構造は、二次元構造であるが、当業者には容易に明らかなように、本明細書に提供されている教示内容の利益と共に、1次元又は3次元構造を使用することにより、前述のものと同一の機能を有するように本明細書のすべて光学的な論理ゲートを実装することも可能である。
【0065】
本明細書においては、フォトニック結晶を定義する構造を媒体内における円形の孔として説明しているが、媒体内に孔を生成する代わりに、ポスト(post)、カラム(column)、円柱(cylinder)、立方体、球体、又はその他の構造を基板上に製造してフォトニック結晶を定義することにより、この逆のことを実行することも可能であることを理解されたい。更には、選択的なエッチングとは対照的に、基板上の材料の選択的な堆積を通じてフォトニック結晶を形成することも可能であり、或いは、これらの技法の組み合わせを使用してフォトニック結晶を形成することも可能であろう。
【0066】
その他の可能な構成及び機能については、John Luther Coveyを単独の発明者として記載している2004年5月21日付けで出願された本出願の譲受人に譲渡された米国特許公開第2005/0259999号(US2005/0259999)に開示されており、この内容は、そのすべてが本明細書に記述されているかのように、本引用により、本明細書に包含される。
【0067】
当業者には、以上の説明及び添付の図面に提示されている教示内容の利益を具備した本明細書に記述されている本発明の多数の変更及びその他の実施例が想起されよう。従って、本発明は、開示されている特定の実施例に限定されるものではなく、且つ、変更及びその他の実施例も、添付の請求項の範囲に包含されるべく解釈されることを理解されたい。本明細書には、特定の用語が利用されているが、それらは、一般的且つ記述的な意味においてのみ使用されており、限定を意図したものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、すべて光学的な論理ゲートとして機能する光学装置に関するものである。更に詳しくは、デジタル光学信号を合成し、その共振周波数がチューニングされている光学共振器又は空洞スイッチなどの非線形素子に供給することにより、所望の論理出力信号を生成している。
【背景技術】
【0002】
電子装置においては、トランジスタから構成された論理ゲートは、基本素子であるデジタル回路を有している。電圧に基づいた入力をゲートにおいて受信しており、この結果、所望の論理関数に対応した電圧に基づいた出力信号を得ている。
【0003】
近年、電子的な論理ゲートに類似した方式において動作する光学装置の開発が関心を集めるようになっている。この関心の理由は、光学信号の場合には、論理状態間におけるスイッチングを低速化する容量の影響を受けないため、集積回路内において潜在的に電気信号よりも高速に伝播可能であるという点にある。更に高速のスイッチングに対する需要が絶え間なく増大し、且つ、電子工学における大きな技術的進歩が存在しないとすれば、将来的には、デジタル光学装置の使用が、不可欠でない場合にも、益々望ましくなるものと予想される。
【0004】
しかしながら、光学装置を使用した集積論理回路の形成は、固有の課題を有している。光は、その特性により、伝播するが、保存することはできない。必要な期間にわたって論理レベルを安定的に表現する能力が課題となる。従って、光学信号を使用して論理状態を安定的に表現するべく使用可能である光学論理ゲートを提供することが望ましいであろう。
【0005】
更には、光パルスの振幅又は強度がデジタル論理状態を表す振幅変調された光学信号を主に使用する光学コンポーネントを使用している確立された産業も存在している。又、データを光学的に保存及び処理可能である解決策は、理想的には、既存の光通信インフラストラクチャと互換性を有する必要もあろう。
【0006】
いくつかの光学変調方式においては、2つを上回る数の振幅レベルによってデータを表現している。このような方法に伴う問題点は、論理演算の実行の基礎をなしている光学信号の振幅に対する非常に厳格な制御が必要であるという点にある。例えば、ANDゲートにおいて、2つのパルスが、この例においては「1」の振幅によって表されているハイ(HiGH)又は「1」論理レベルである場合には、出力は、これら2つのレベルの線形和、即ち、「2」である振幅を具備することになる。次いで、「2」が、次の段の論理ゲートに伝達されることになるが、この論理ゲートは、「2」がHigh論理レベルを表しており、「1」又は「0」がロウ(Low)論理レベルを表していると見なすように構成されていなければならない。従って、論理ゲートがカスケード接続されるのに伴って、複数のHighレベルの加算という問題が、更に複雑化し、複合的なものとなる。従って、この問題を回避する光学回路を提供することが望ましいであろう。
【0007】
信号が光学装置を通じて伝播するのに伴って、オプティクスのカスケード接続を通常妨げる伝播損失が大きな問題となる。更には、高密度に集積された基板内における光学信号に対する利得の提供が、現在、解決を要する技術的及び実際的な障壁となっている。デジタル光学信号の回復を別の方式によって管理することができれば、いくつかの光学論理ゲートのカスケード接続が可能となろう。
【0008】
通常は、非線形光学空洞を使用することにより、すべて光学的なスイッチングを実行している。この「非線形」という用語は、具体的には、その屈折率が共振器の内部における強度又はパワーに依存している1つ又は複数の材料から構成された共振器を意味している。入射パワーは、入力信号の組み合わせに依存しており、これにより、共振器内部の屈折率が決定されている。共振器の共振周波数は、次式のように、その屈折率に依存している。
【0009】
f=qc/2nL
【0010】
ここで、fは、共振器の共振周波数であり、cは、光の速度であり、Lは、共振器の長さであり、qは、任意の正の整数であり、nは、屈折率である。共振器の無負荷状態の屈折率及び長さを入力キャリア周波数とはわずかに異なる共振周波数に調節することにより、十分なパワーの光のみが、到来キャリア(carrier)周波数と等しくなるように共振器の共振周波数をシフトさせるのに十分なだけ、共振器の屈折率を増減させることができるようにすることができる。入力光が共振器内において共振すると、それらの光子は、格段に大きな共振器寿命を具備することになり、この結果、入力の相対的に大きな割合が出力として共振器を透過する。入力パワーの設計値に基づいて不透明状態から透明状態に容易にスイッチングする共振器のこの能力が、非線形空洞が、すべて光学的なスイッチの最も一般的な形態であることの理由である。
【発明の概要】
【0011】
十分なパワーにより、透過するべく非線形共振器をスイッチング可能であるが、更に大きな値の入力パワーは、もはやキャリア周波数にマッチングしなくなる時点まで共振器の共振周波数を更にシフトさせ、この結果、出力がオフにスイッチングされることになる。従来のデジタル設計においては、閾値に到達した後に、入力レベルとは無関係に、一定の出力レベルを必要としているため、この動作は、常に望ましくないものと考えられてきた。研究及び産業界における現在の考え方及び最新技術は、すべて光学的な論理の実装が現在のものよりも格段に好ましいものになるように、この動作を設計者の利点として使用可能であるということを認識していない。
【0012】
又、非線形共振器は、その無負荷状態の共振器周波数を入力キャリア周波数と同一にすることにより、前述のデチューニング(detuning)された共振器とは逆のものとして機能することも可能である。この結果、相対的に小さなパワーを有する入力が透過する一方で、相対的に大きなパワーの入力によって共振器が共振状態から外れるようにシフトされ、出力がオフにスイッチングされる。前述のその他の機能との関連において適切に利用された場合に、この非線形共振器の逆転機能が有用であることは、これまで認識されていない。
【0013】
その様々な実施例において開示されている装置のそれぞれは、前述の問題点の中の1つ又は複数のものを克服しており、且つ、以下に記述されている更なる利点を実現している。
【0014】
本発明による論理ゲートは、1つ又は複数のデジタルの振幅変調された光学入力信号を受信している。いくつかの実施例においては、光学入力信号の中の1つのものは、例えば、レーザー源からの連続波(Continuous Wave:CW)光である。論理ゲートは、光学入力信号又はこれらの合成から結果的に得られる合成信号を受信する非線形素子を有しており、且つ、論理レベルを非線形的に弁別することにより、バイナリ論理レベルを具備した光学出力信号を生成している。非線形素子は、特定の論理演算を実行するべく光学入力信号のキャリア周波数との関係においてチューニング(tuning)されるように構成された光学共振器又は空洞を有することができる。いくつかの実施例においては、論理ゲートは、光学入力信号を受信及び合成して合成信号を生成する合成媒体を有しており、この合成媒体は、論理レベルの弁別のために非線形素子に対して出力している。その他の実施例においては、光学入力信号は、非線形素子に対して供給されており、この非線形素子が、その論理レベルを効率的に合成及び弁別している。実施例の中のいくつかのものにおいては、1つ又は複数の導波路を使用して光学入力信号を合成媒体又は非線形素子に対して導波している。いくつかの実施例においては、1つ又は複数の導波路を使用することにより、非線形素子から光学出力信号を受信し、且つ、これを論理ゲートの出力としてダウンストリーム(downstream)要素に供給可能である。論理ゲートを直列構成において1つに光学的に結合することにより、実質的にあらゆる論理関数を実行する能力を有する光学回路を形成可能である。個々の又は合成された論理ゲートは、AND、NOT、NAND、NOR、OR、XOR、及びXNOR論理演算を実行する能力を有している。
【0015】
非線形素子は、光学入力信号の論理レベルに対して応答するスイッチとして機能しており、非線形素子が入力キャリア周波数に対してチューニング及びデチューニングされている方法に応じて、その出力を、オフからオンに、又はオンからオフにスイッチングしている。更には、デチューニングの量を変更することにより、スイッチングに必要な入力パワーの量を変更可能である。入力の数を適切に構成し、且つ、それぞれの非線形素子の無負荷状態及び有負荷状態における共振周波数をカスタマイズすることにより、電子回路を使用することなしに、選択された論理関数を競争力のあるスイッチング速度において実装可能である。更には、非線形素子に対する光学入力信号の1つとして連続光が結合されている場合には、光学回路のそれぞれの段における光学強度(即ち、論理レベル)の回復(restoration)も可能である。連続光を使用して非線形素子を最大透過率に維持すれば、追加のデータパルスにより、非線形素子が共振状態から外れるようにシフトすることになり、この結果、すべて光学的な論理の逆転を得ることができる。すべてが光学的な強度回復型(intensity−restorative)の論理ゲートが可能であるため、安定したすべて光学的なメモリが本発明の別の可能な実施例である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】入力光の周波数との関係においてデチューニングされたその共振周波数における共振状態に非線形素子を駆動するのに非線形素子に対する光入力の強度が不十分である場合の(例えば、光共振器などの)非線形素子の透過率対非線形素子に対する光入力の周波数のグラフである。
【図2】入力光が十分に強力である際の共振及び光透過における非線形素子のシフトを示す非線形素子の透過率対非線形素子に対する光入力の周波数のグラフである。
【図3】すべて光学的なインバータ(NOTゲート)の平面図であり、これは、1つの光学入力信号としての連続波(CW)光、第2光学入力信号としてのゼロであるデータ入力、及び共振又は透過モードにある(例えば、光学共振器などの)非線形素子を内蔵している。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図4】すべて光学的なインバータ(NOTゲート)の平面図であり、これは、1つの光学入力信号としての連続波(CW)光、第2光学入力信号としてのONである(即ち、High振幅又は論理レベルである)データ入力、及び非共振又は不透明モードにおける非線形素子を内蔵している。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図5】すべてが光学的なANDゲートの平面図であり、これは、ゼロ振幅である(即ち、Low振幅又は論理レベルである)データを有する2つの光学入力信号及び非共振又は不透明モードにある非線形素子を含んでいる。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図6】すべて光学的なANDゲートの平面図であり、これは、ONである(即ち、High振幅又は論理レベルを有するデータを具備している)2つの光学入力信号及び共振又は透過モードにおける非線形素子を含んでいる。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図7】両方とも1のビットである(即ち、High振幅又は論理レベルである)データを具備した光学入力信号を受信し、ゼロのビットを具備した(即ち、Low振幅又は論理レベルである)データを有する光学出力信号を出力するすべて光学的なNANDゲートの平面図である。
【図8】すべて光学的なNORゲートの平面図であり、これは、1つの光学入力信号としての連続波(CW)光、そのいずれか又は両方がオンである(即ち、High振幅又は論理レベルである)個々のデータを具備した2つの追加光学入力信号、及び非共振又は不透明モードにおける非線形素子を含んでいる。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図9】論理レベルの回復を有するすべて光学的なORゲートの平面図であり、これは、データを具備した2つの光学入力信号を受信しており、且つ、回復された論理レベルを有する光学出力信号を生成する直列構成の2つのインバータを具備している。
【図10】すべて光学的なXORゲートの平面図であり、これは、個々のデータを具備した2つの光学入力信号を受信しており、且つ、図5の半分だけデチューニングされた非線形素子を有している。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図11】すべて光学的なXNORゲートの平面図であり、これは、個々のデータを具備した2つの光学入力信号を受信しており、且つ、図5の半分だけデチューニングされた非線形素子を有しており、これに図3及び図4に示されているインバータが後続している。非線形素子の上部には、素子の透過率対周波数のグラフが示されており、縦のラインは、光のキャリア周波数を表している。
【図12】光学入力信号としての2つの連続波(CW)光入力、「セット」及び「リセット」という個々のデータ入力を具備した2つの追加光学入力信号、4つの非線形要素、及びQ及びQバーという2つの光学出力信号を具備したすべて光学的なNANDラッチの平面図である。
【図13】ブリッジ構造によって支持されたフォトニック結晶を含む光学論理ゲートの斜視図である。
【図14】図13のフォトニック論理ゲートの一部分の詳細図であり、光ファイバコアから論理ゲート内に伝播する光のモードプロファイルに整合するべくテーパー化されたフォトニック論理ゲートに対する入力の構造を示している。
【図15】図13のフォトニック論理ゲートの平面図である。
【図16】図13のフォトニック論理ゲートの切り取り斜視図である。
【図17】光学入力信号を合成する合成媒体と、リングとして実装された非線形素子を有するすべて光学的な論理ゲートの一実施例の平面図である。
【図18】別個の合成媒体を有していないリングを使用するすべて光学的な論理ゲートの平面図である。
【図19】光ファイバを使用して実装されたすべて光学的な論理ゲートの平面図である。
【図20】空洞内に配置された非線形材料を有する共振器空洞を定義するミラーによって実装されたすべて光学的な論理ゲートの平面図である。
【図21】本発明による一般化されたすべて光学的な論理ゲートのブロックダイアグラムである。
【図22】バイナリ論理レベルを具備した1つ又は複数の光学入力信号を受信するべく構成されており、且つ、バイナリ論理レベルを具備した1つ又は複数の光学出力信号を生成するべく1つ又は複数の非線形素子を具備した1つ又は複数の光学論理ゲートを含む光学回路の一般化された製造方法のフローチャートである。
【図23】1つ又は複数のバイナリ論理レベルを有する1つ又は複数の光学入力信号に基づいて、振幅に基づいた非線形弁別を使用して1つ又は複数のバイナリ論理レベルを具備した1つ又は複数の光学出力信号を生成する論理ゲートの動作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従って、本発明の概略的な説明を以上において終了し、以下においては、添付の図面を参照することとするが、これらの添付図面は、その縮尺が必ずしも正確に描画されてはいない。
【0018】
以下、本発明のいくつかの、但し、そのすべてではない、実施例を示している添付の図面を参照し、本発明について更に詳しく説明する。実際に、これらの発明は、多くの異なる形態において実施可能であって、本明細書に記述されている実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、適用される法的要件を本開示が満足することになるように、提供されているものである。添付の図面においては、類似の参照符号により、類似の要素を表している。
【0019】
(定義)
「ダウンストリーム」とは、基準点との関係においてもっと先である光学伝送経路に沿った位置又は要素を意味している。又、これは、基準点から離れる方向における光学回路内における光の伝播方向を意味するべく使用することも可能である。
【0020】
「オフ」又は[ロウ(Low)」又は「0」は、相対的に低い振幅又は論理レベルを具備した光学信号を意味している。
【0021】
「オン」又は「ハイ(High)」又は「1」は、高い振幅又は論理レベルを具備した光学信号を意味している。
【0022】
「又は(or)」は、文脈によってそうではないと示されていない限り、この用語に先行又は後続する事物の任意の1つ、いくつか、又はすべてを意味するべく、その包括的な意味において使用されている。従って、「A又はB」は、その意味において、「A」のみ、「B」のみ、並びに、「A」及び「B」の両方を含んでいる。
【0023】
「複数形表現((s)又は(ies))」は、綴り「s」の直前の用語によって意味されている事物の1つ又は複数のものを意味している。従って、「signal(s)」は、「1つ又は複数の信号」を意味している。
【0024】
「チューニング」は、一般に、その共振周波数が1つ又は複数の光学入力信号の周波数との関係において設定されるように、非線形素子を構成することを意味している。又、本明細書において具体的に言及されている場合には、「チューニング」は、その共振周波数が光学入力信号の(例えば、キャリア周波数などの)周波数に対してチューニングされるように、非線形素子を構成することをも意味可能である。「デチューニング」は、一般に、その共振周波数が光学入力信号の周波数とは異なる周波数に設定されるように、非線形素子を構成することを意味している。
【0025】
「光学共振器(optical resonator)」又は「光学空洞(optical cavity)」は、有限の期間にわたって光をトラップ(trap)した後に、その光を透過、反射、又は消光する構造物として定義されている。フォトニック結晶(photonic crystal)内の共振器は、光が存在可能な1つ又は複数の経路を配置し、且つ、光を経路に閉じ込める周期的な構造物によってこれらの経路を取り囲むことにより、生成される。二次元フォトニック結晶の場合には、周期的な構造物は、フォトニック結晶を有する媒体内に定義された空気孔及び/又は半導体柱であり、経路は、通常、媒体内の孔や柱などの構造物の欠如によって定義されている。又、共振器は、半導体材料又は光ファイバから製造されたリング様の導波路を有することも可能である。リングは、入力及び出力ポートに結合されている。或いは、この代わりに、共振器は、交互に変化する誘電材料、異なる屈折率を有する交互に変化する材料、内部全反射用の低屈折率によって終端された表面、又は金属表面のいずれかである反射性表面によって取り囲まれた媒体を有することも可能である。又、共振器は、光を選択的にトラップできるように、その反射順序(reflective orders)がアライメントされた重畳された格子(superimposed grating)を有することも可能である。又、共振器は、(例えば、ソリトンや電圧誘発プロファイルなどの)光を保持する電磁的に誘発された屈折率プロファイルを含む非線形材料を有することも可能である。
【0026】
「基板」は、その上部に論理ゲートが形成される被加工物又は開始材料である。基板は、半導体又はマイクロリソグラフィ産業において使用されているものなどのウエハであってよい。例えば、基板は、半導体又はSOI(Semiconductor−On−Insulator)基板を含む1つ又は複数の物質から構成可能である。可能な材料は、シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO2)、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム(Ga)、ボロン(B)、リン(P)、リン化ガリウム(GaP)、窒化ガリウム(GaN)、及びその他のものを含んでいる。
【0027】
「アップストリーム」とは、基準点との関係において光学ゲート又は回路内において光の発生源に向かう位置における位置又は要素を意味している。又、これは、光の発生源に向かう方向を意味することも可能である。
【0028】
「導波路」とは、光を閉じ込め、且つ、導波することができる媒体の任意の構造又は組み合わせを意味している。例えば、導波路は、コアのものよりも高い屈折率(RI)を有すると共に特定の波長の光をコア内に閉じ込める効果を具備したクラッディングによってコアが取り囲まれた光ファイバであってよい。又、導波路は、フォトニック結晶内に形成することも可能であり、この場合には、光は、フォトニック結晶内の構造物が定義されているエリアとは対照的に、フォトニック結晶内に定義された経路内において容易に伝播する。
【0029】
(すべて光学的な論理ゲート用の非線形素子)
図1は、非線形素子における入力光の強度の割合としての透過率対入力光の周波数のグラフを示しており、この場合には、非線形要素は、光学共振器として実装されている。入力光は、192.9THzの周波数1(即ち、1.55マイクロメートルの波長)を具備している。非線形素子は、193THzの共振周波数2を具備しており、従って、これは、入力光の周波数1からデチューニングされている。図1においては、入力光のパワーは、光学空洞を共振状態にシフトさせるには不十分なものになっている。従って、空洞を透過するキャリア周波数における光の割合は、相対的に低く、図1に示されている状況においては、略ゼロである。
【0030】
図2は、光学共振器として実装された非線形素子を通じた透過率のグラフを非線形素子に対する光入力の強度の割合として示している。図2に示されている状況においては、入力光のパワーは、非線形素子が共振状態にシフトするべく十分に大きなものになっている。換言すれば、光が非線形素子内において共振すると共に略百パーセントである相対的に大きな量の入力光を出力するように、光学パワーは、十分に大きく、且つ、周波数において近接している。後程明らかになるように、この非線形素子の選択的な共振特性は、後述する論理ゲートにおいて優れた利点として使用可能である。
【0031】
(非線形素子を使用するすべて光学的な論理ゲート)
図3は、別個の導波路であってよい2つの別個の入力媒体3及び4を有するすべて光学的な論理インバータ(NOTゲート)10である。入力媒体3及び4は、合成媒体5にアライメント又はマージ(merge)しており、この合成媒体5は、例えば、単一の導波路又はフォトニック結晶であってよい。合成媒体5は、個々の入力媒体3、4上の光学入力信号A、Bを光学共振器などの非線形素子6に対して伝達するべく構成されている。この実施例における光学入力信号Aは、第1光学入力媒体3に伝達された一定のパワーを具備した連続波(CW)光であり、光学入力信号Bは、第2光学入力媒体4に伝達された振幅変調された(例えば、データストリームなどの)光データである。非線形素子6は、連続波光のみが非線形素子に進入した場合に、非線形素子が自身の共振周波数2がCW光の周波数1とアライメントする共振状態にシフトすると共に光学出力媒体7上に光学出力信号として光を出力するように、正確にデチューニングされている。
【0032】
図4においては、(例えば、CW光などの)第1光学入力信号Aは、(例えば、パルス又はデジタルビットなどの)第2光学入力信号Bと実質的に同一の周波数を有している。第1及び第2光学入力信号A,Bは合成媒体5内において合成されて非線形素子6に進入している。非線形素子6に入射した光学パワーは、光学入力信号AのCW光と振幅変調された光学入力信号Bの間の位相差に応じた肯定的又は否定的な干渉を通じて十分に増大又は減少することにより、非線形素子を共振状態から外れるようにシフトさせ、これにより、導波路7上の出力が「オフ」又はLow振幅又は論理レベルにスイッチングされる。図3及び図4の装置は、第2入力媒体4上において受信した振幅変調された光学入力データの論理レベル(即ち、振幅レベル)の逆転したものを出力しているため、これは、事実上、光学論理インバータである。インバータ10の光パワー出力は、媒体4上の振幅変調された光学入力信号Bの潜在的に減少したデータによってではなく、入力媒体3上のCW光のパワーによってのみ決定されているため、図3及び図4の論理インバータは、電圧源に関連付けられた電子的なインバータ又はトランジスタが論理レベルの回復を実行する方法に類似した方式により、すべて光学的な論理レベルの回復を実行している。
【0033】
図5は、例えば、フォトニック結晶内に定義された単一導波路又は経路であってよい合成媒体25にアライメント又はマージされた導波路であってよい2つの別個の光学入力媒体23及び24を有するすべて光学的なANDゲート装置20である。合成媒体25は、非線形素子26にアライメント又は光学的に結合されるように構成されている。それぞれ個々のデータによって変調された振幅変調光学入力信号A、Bが個々の光学入力媒体23及び24に伝達されており、非線形素子26に進入する前に、合成媒体25内において合成されている。図5に示されているように、光学入力信号A、Bのいずれか又は両方がLow又は「オフ」論理レベルを具備している場合には、非線形素子26は、Low又は「オフ」論理レベルを具備するように、光学出力信号を生成する。非線形素子26は、図6に示されているように、両方の入力が同時に「オン」である際にのみ、光学出力媒体27上における非線形素子26の出力が「オン」にスイッチングするように、光学入力信号A、Bのキャリア周波数21から離れるように十分にデチューニングされている。この動作は、すべて光学的なANDゲートに対応している。媒体27上の光パワー出力は、その入力のいずれかのもののパワーの二倍を伝送しており、即ち、この光学出力信号は、光学入力信号A、Bの論理レベルの加算である論理レベルを具備している。この強化された出力パワーは、具体的には、任意の後続の装置が論理「1」ビット(即ち、High振幅又は論理レベル)の一般的な強度を受信するように設計されている場合には、有害である可能性があろう。この実施例においては、この問題のために、2つの解決策が存在しており、これらは、後続の受信非線形素子を更にデチューニングすることによってANDゲートからの2倍のパワー用に後続の論理ゲートを設計するか、或いは、適切な出力パワーレベルを回復するべく、単一レベルフォロア(follower)(光学入力信号A、Bの中の1つのものにおいてCW光を、そして、光学入力信号A、Bの中のもう1つのものにおいて振幅変調されたデータを受信する図5及び図6のANDゲートであって、両方の入力がHighであり、且つ、2つの信号が否定的に干渉する場合にのみ、半分のパワーのみを出力するが、いずれかがLowである場合には、パワーを出力しないように、共振周波数が十分にデチューニングされているもの)又は2つのインバータをANDゲートの後に直列構成において配置するというものである。
【0034】
本発明の一実施例においては、図5及び図6のANDゲート20に続いて図3及び図4のゲート10などのインバータを配置することにより、図7に示されているすべて光学的なNANDゲート30を結果的に得ている。更に詳しくは、図5及び図6のゲート20の出力媒体27を図3及び図4のゲート10の入力媒体4にアライメント又は光学的に結合すると、光学出力信号のデータが入力媒体23、24上の光学入力信号A、Bとの関係においてNANDブール論理を実現するすべて光学的なNANDゲート30が生成される。従って、光学入力信号A、Bの両方がLow論理レベルを具備している場合には、NANDゲート30によって結果的に生成される光学出力信号は、「High」論理レベルを具備しており、光学入力信号A及びBのいずれか又は両方が「Low」論理レベルを具備している場合には、NANDゲート30によって結果的に生成される光学出力信号は、「High」論理レベルを具備している。更に詳しくは、光学入力信号A、Bの両方がHigh論理レベルにある場合にのみ、媒体27、4上の光学信号の振幅が、光学入力信号C(CW光)との組み合わせにおいて、非線形素子6の共振周波数2を光学入力信号A、B、Cのキャリア周波数1から離れるようにシフトさせるのに十分な振幅を具備し、この結果、媒体7上の光学出力信号がLow論理レベルを具備することになるように、非線形素子6は、光学入力信号A、Bのキャリア周波数1との関係においてチューニングされている。そして、光学入力信号A、Bのいずれか又は両方がLow論理レベルを具備している場合には、媒体27、4上の光学信号は、媒体7上の光学出力信号が、この状況において「High」論理レベルを具備するように、光学入力信号Cとの組み合わせにおいて、非線形素子6を共振状態から外れるようにシフトさせるのに不十分なパワーを具備している。
【0035】
図8は、ORゲート40との組み合わせにおいて光学インバータ10を有するすべて光学的なNORゲート50である。ORゲート40は、(例えば、単一の光学導波路又はフォトニック結晶の領域などの)合成媒体43にアライメント又はマージしている(例えば、光学導波路又はフォトニック結晶を通じた経路などの)2つの別個の入力41及び42を有している。媒体41、42上の光学入力データ信号A、Bのいずれか又は両方の振幅がHighである場合には(即ち、High振幅又は論理レベルを具備している場合には)、媒体43上の光学出力信号上のデータは、Highである(即ち、High振幅又は論理レベルである)。逆に、媒体41、42上の両方の光学入力データ信号がLow論理レベルである場合には(即ち、Low振幅又は論理レベルである場合には)、媒体43上の光学出力データ信号も、同様にLow論理レベルである(即ち、Low振幅又は論理レベルである)。合成媒体43は、図3及び図4を参照して前述した装置に類似した方式によって構築並びに機能可能であるインバータ10の入力媒体4にアライメント又は光学的に接続されている。この装置に対する入力媒体3、4上の光学入力信号A、Bのいずれか又は両方が十分なパワーを含んでいる場合には(即ち、対応するHigh振幅レベルを有する「High」又は「1」論理レベルにある場合には)、インバータの出力媒体7上の光学出力信号は、オフにスイッチングすることになる(即ち、Low振幅又は論理レベルを具備することになる)。さもなければ、インバータ10によって生成される光学出力信号は、「オン」に留まることになる(即ち、High振幅又は論理レベルを具備することになる)。このゲート50は、インバータ10によって終端しているため、これも、論理レベルを回復するのに十分なパワーを具備するインバータ10に入力された媒体3上の一定の連続波(CW)光を具備した光学入力信号Cを受信することにより、低下した論理レベルを回復している。
【0036】
図9に示されている本発明の一実施例においては、すべて光学的なORゲート55は、図3及び図4に示されている第1及び第2インバータ10、10’に光学的にアライメント又は結合された図8のORゲート40を有している。図8のゲート40は、この光学論理ゲートと同一の論理関数を実現しているが、図9の実施例は、単純な受動的導波路によっては実現されない論理レベルの回復を実現している。
【0037】
図10は、単一の合成媒体55にマージしている2つの別個の入力媒体53及び54を有するすべて光学的なXORゲート60である。合成媒体55は、非線形共振器56に光学的にアライメント又は接続している。非線形共振器56は、単一の光学入力信号53、54がオンである際にのみ(即ち、High振幅又は論理レベルを具備している場合にのみ)、媒体57上の光学入力信号がオンにスイッチングするように(High振幅又は論理レベルを具備するように)、図5及び図6の光学ANDゲート20の場合の半分だけ、光学入力データ信号のキャリア周波数51からその共振周波数52においてデチューニングされている。両方の光学入力信号A、Bがオンである場合には(即ち、High振幅又は論理レベルを具備している場合には)、非線形素子の共振周波数52が、光学出力媒体57に対する光の透過を許容するには、入力キャリア周波数51との関係において過剰に遠くにシフトし、この結果、非線形素子56は、光学出力信号がLow論理レベルを具備するように、媒体57上の光をターンオフすることになる。光学入力信号A、Bが、いずれもオンではない場合には、非線形素子56は、光学出力信号がLow論理レベルを具備するように、有意な光を出力しない。このゲート60は、単一の光学入力信号A、Bがオンである場合に、High論理レベルを有する光学出力信号として光を出力しているため、その動作を補償するための論理レベルの回復が不要である。
【0038】
本発明の一実施例においては、図11に示されているすべて光学的なXNORゲート65は、インバータ10(図3及び図4)が後続しているXORゲート50(図10)を有している。この実施例においては、光学入力信号A、Bの両方がHigh論理レベルを具備している場合に、XORゲート50によって生成される光学出力信号は、Low論理レベルを具備している。XORゲート50は、Low論理レベルを有する光学出力信号を媒体57上に出力し、これが、1つの光学入力信号として媒体4上においてインバータゲート10に入力されている。もう1つの光学入力信号Cは、光学入力媒体3上においてインバータゲート10に入力されるCW光である。これらの信号は、媒体5内において合成されており、この結果得られた合成信号は、光学入力信号のキャリア周波数との関係において非線形素子6の共振周波数2を共振状態から外れるようにシフトさせるのに不十分なパワーを具備している。従って、インバータゲート10によって生成される光学出力レベルは、「High」論理レベルを具備している。光学入力信号A、Bの両方がLow論理レベルである場合には、非線形素子56によって生成される光学出力信号は、「Low」論理レベルを具備している。光学出力媒体57上におけるXORゲート50からの光学出力信号は、光学入力媒体4上においてインバータゲート10に入力されるが、このレベルは、光学入力信号Cとの組み合わせにおいて、共振状態から外れるように非線形素子6を駆動するのに十分な振幅を有する合成信号を生成するには、不十分である。従って、インバータゲート10によって生成される光学出力信号は、High論理レベルを具備している。光学入力信号A、Bの両方ではなく、いずれかがLow論理レベルを具備している場合には、非線形素子56は、共振状態に駆動され、この結果、XORゲート50からの光学出力信号は、「High」論理レベルを具備している。この「High」論理レベルは、媒体57上に出力され、媒体4を介してインバータゲート10に対する光学入力信号の1つとして受信される。この光学入力信号は、媒体5内において、光学入力信号C(CW光)と合成され、この結果得られた合成信号の振幅は、合成信号のキャリア周波数1(光学入力信号と同一である)から離れるように非線形素子6の共振周波数2を駆動し、これにより、XNOR論理ゲートによって生成される光学出力信号を「Low」論理レベルにスイッチングするのに十分である。従って、ゲート65は、光学入力信号に対してXNOR論理演算を実行し、その光学出力信号を生成している。
【0039】
図12は、別個のNANDゲート30、30’(図7)に光学的に結合された2つの光学入力信号R及びSを有するすべて光学的なメモリラッチ70である。この場合に、両方のNAND30及び30’の光学出力信号Q、Qバーは、もう1つのNAND30、30’の第2入力として個々の第2入力媒体24、24’に接続されている。媒体24、24’は、この実施例においては、交差点73において交差しているが、光学クロストークフィルタ(optical cross−talk filter)74に起因し、クロストークは発生しない。この装置は、基本的な電子的NANDラッチが実行するように動作しており、この場合には、以下の論理表が実装されている。
【0040】
【表1】
【0041】
従って、光学入力信号S及びRに基づいて出力媒体7上の光学出力信号を所望の値に設定して保存可能であるため、論理制御されたすべて光学的なメモリが可能である。この装置の光学出力信号は、一定の連続波(CW)光を使用してインバータ10、10’によって効率的に生成されているため、その論理レベルは、すべてのスイッチングサイクルにおいて連続的に回復されている。従って、保存された信号は、無制限にリサイクル可能であり、この結果、電子的なメモリゲートにおいて既に存在しているすべて光学的なメモリ性能が実現されている。尚、この実施例に開示されているすべて光学的なラッチは、論理ゲートからメモリを生成する唯一の方式ではなく、本発明がすべて光学的なメモリとして機能可能である方法の唯一の例であると見なしてはならない。
【0042】
ラッチ70の動作を具体的に説明するべく、光学入力信号S、Rの両方がLow論理レベルを具備している場合には、非線形素子26、26’は、非線形素子6、6’を共振状態から外れるように駆動するのに十分なパワーを有する光学入力信号を受信せず、この結果、光学出力信号Q、Qバーの両方は、媒体3、3’上のCW光の個々の光学入力信号の入力に起因してHigh論理レベルを具備することになる。同一の論理レベルを具備した光学出力信号Q、Qバーの両方は、ラッチ70の無効な論理レベルと見なされる。光学入力信号S、RがLow及びHigh論理レベルをそれぞれ具備している場合には、光学入力信号RのHigh論理レベルにより、NANDゲート30’の光学出力信号Qバーが強制的にLow論理レベルになり、これがNANDゲート30にフィードバックされることにより、非線形素子6が入力されたCW光によって強制的に共振状態となり、この結果、非線形素子6が、光学出力信号QのHigh論理レベルを生成することになる。光学入力信号S、Rが、それぞれ、High及びLow論理レベルを具備している場合には、光学入力信号SのHighレベルにより、NANDゲート30によって生成される光学出力信号Qが強制的にLow論理レベルになる。光学出力信号QがNANDラッチ30’に光学入力信号としてフィードバックされているという事実は、光学出力信号QがHigh論理レベルを具備することを保証している。最後に、光学入力信号S、Rの両方がHigh論理レベルを具備している場合には、NANDゲート30、30’は、いずれも、論理レベルをスイッチングすることにならず、光学出力信号Q、Qバーの論理レベルは変化しない。
【0043】
(すべて光学的な論理ゲートの模範的な製造方法)
本発明によるすべて光学的な論理ゲート及び回路の構造及び機能に関する説明を以上において終了し、以下、すべて光学的な論理ゲートの模範的な製造方法について説明することとする。
【0044】
SOI(Silicon−On−Insulator)ウエハ基板80を窒素ガスによって処理し、ゴミ及び破片を除去する。研磨装置及びパウダーを使用することにより、基板80を研磨する。MBE(Molecular Beam Epitaxy)ツールを使用することにより、5nm未満の表面粗度を有するシリコンの厚さが200〜400nmのレイヤ(layer)81をシリコン基板80上に成長させる。次いで、ウエハ80を電子ビームリソグラフィーチャンバ内に配置する。近接効果を防止するべく、それぞれの最小特徴エリアに連続的に電子エッチングを適用する。外部ソフトウェアを使用することなしに、このようなそれぞれの「ピクセル」を選択的に手作業によって露出させる。装置の特徴をエッチングすることにより、231nmの直径を有し、且つ、同一列内において420nmだけ離隔した基板内に垂直に貫通する孔82を定義し(図13には、この中のいくつかのもののみに具体的にラベルが付与されている)、且つ、第1列との関係において、240nmだけ左及び右にシフトして、例えば、三角形のフォトニック結晶格子を形成するように、隣接する列の孔をレイヤ81内に定義する。レイヤ81内に形成される装置内においては、光が伝播するべく意図されているところにのみ、孔をエッチングしない。このフォトニック結晶構造は、いくつかの理由から、論理ゲートの形成のために有利である。第1に、フォトニック結晶内にサブミクロンの経路を定義して光の伝播方向を迅速に変化させることにより、論理回路を定義する経路を通じて光学信号を導波可能である。又、フォトニック結晶空洞は、サブミクロン〜ミクロンのスケールにおいて、非常に高いQファクタを具備可能であり、この結果、論理スイッチングを実行するための相対的に低いパワー要件が得るこができる。
【0045】
光をトラップする場所のいずれかの面に孔を挿入することにより、非線形素子6を形成する。孔の直径を変化させるか、それぞれの面上の孔の間の距離を増減させるか、1つの又は両方の面上の孔の数を増減させるか、又はこれらの技法の組み合わせにより、非線形素子を入力キャリア周波数からチューニング又はデチューニング可能である。通常、孔の数及び両面の間の距離は、所望のスイッチングパワー、寿命、及び帯域幅に起因して固定された状態に留まることになる。従って、この特定の手順においては、最も内部及び最も外部の孔の直径は、共振器をチューニングして所望の1つ又は複数の波長において透過させるためにのみ、変更されている。
【0046】
装置の下の絶縁体に対する側面アクセスを得るべく、外部光が進入する又は装置から出射する左又は右のエッジにおいて、基板を深くエッチングする。エリアの全体を露出させて1つ又は複数の光学論理ゲートを形成した後に、装置の真下の絶縁体が洗い流され、この結果、図13及び図15に示されているように、空気中に浮いた状態のメンブレインブリッジ(membrane bridge)83が得られる時点まで、ウエハをフッ化水素(HF)酸に浸漬する。ウエハ80を洗浄した後に、エッジをクリービング(cleaving)して光学チップ84を生成する。
【0047】
ファイバ導波路3a、4aをクリービング及び研磨し、屈折率整合接着剤3b、4bをファイバの端部に塗布した後に、これらを突起3c、4cに装着する。光学論理ゲート装置10の導波路の端部との関係において定位置に保持されるように、接着剤又はその他の機械的な留め具86によってファイバをチップ84内においてブリッジ85に固定可能である。適宜、ファイバの反対側の端部を入力側においてCWレーザー源又はアップストリーム信号源に装着することにより、論理ゲート10に光学入力信号A、Bを供給可能である。次いで、個々のファイバ3a、4a、接着剤3b、4b、及び突起3c、4c、を介して光学入力信号A、Bを装置10に供給する。光学入力信号A、Bは、個々の領域3d、4dを通じて合成媒体5に更に伝播する。光学入力信号の合成の結果得られた光は、共振器6に伝播し、トラップされる。共振器6は、光学出力信号を領域7dに出力し、ここから、光学出力信号は、突起7c、接着剤7b、そして、最終的に光ファイバ7aに伝播し、更には、ファイバ7aの出力端部に伝播することになるが、このファイバ7aは、後続の論理ゲートに対する入力として又はチップ84の最終的な出力として終端可能である。前述の同一の方式により、又は当業者には既知の多数の技法及び装置を使用することにより、ファイバ7aの出力端を(図示されてはいない)別の光ファイバ又は光学回路に接合可能である。
【0048】
図14に示されているように、光学入力及び出力媒体3、4、7を突合せ結合法を使用することにより、個々のファイバに結合可能である。この場合には、論理ゲート10は、定義された孔が論理ゲート10の入力側において光学入力信号の伝播方向に沿って更に細くなるように徐々にテーパー化3e、4eして光学出力信号のモードプロファイル(modal profile)と整合するように、定義されている。出力媒体7においては、この構成が反転されており、基板81内の孔によって定義されたテーパー7eは、ゲート10の出力のモードプロファイルが出力媒体7a内のものと整合するように、装置10からの光学出力信号の伝播方向に沿って徐々に増大又は広くなっている。外部源の内外において光を結合している導波路を緩やかにテーパー化させることにより、突合せ結合されたファイバのモードプロファイルと整合させている。
【0049】
図15及び図16は、論理ゲート10の光学共振器6を更に詳細に示している。共振器6のそれぞれの端部における最も外側の孔は、最も内側の孔よりも小さいことが明らかである。その他の孔を共振器6内に含む場合には、それらは、最も外側及び最も内側の孔の間に配置されることになり、且つ、共振器6の外側のフォトニック結晶内の別の場所において使用されている孔と同一のサイズを具備することになろう。
【0050】
本発明の別の実施例は、図17の論理ゲート装置90である。この論理ゲート装置90は、SOI(Semiconductor−On−Insulator)基板90上に形成されたフォトニック結晶の代わりに半導体「ワイヤ」を使用している。フォトニックワイヤ93c、94cを前述と同一の装置を使用してエッチングし、次いで、これらを直接的に又はエバネッセントに、この場合にはサーキュレータ又は共振器である非線形素子96として機能するリング又はループワイヤ導波路に接続している。非線形素子96のリングの円周を定義することにより、非線形素子96をチューニング又はデチューニングする。メンブレインブリッジを構築せず、且つ、装置90が絶縁体基板90上に留まっていることを除いて、以前の例と同様のすべてのその他の手順を踏襲している。動作の際には、光学入力信号A、Bが個々の入力媒体93、94上を合成媒体95に伝播する。更に詳しくは、光学導波路93a、94aを接着剤93b、94bを使用してワイヤ93c、94cにアライメント及び光学的に結合している。この結果、個々の導波路93a、94a上の光学入力信号は、接着剤93b、94bを通じて、媒体95にマージしている光学ワイヤ93c、94cに伝播し、媒体95において合成されている。合成媒体95は、光学入力信号を非線形素子96にエバネッセント(evanessent)に結合している。非線形素子96は、接着剤97bを通じて出力媒体97を形成している出力光学導波路97aに光学ワイヤ97cをエバネッセントに結合することにより、媒体93、94上の光学入力信号の論理レベルに応じて光学出力信号を出力している。
【0051】
図18の論理ゲート100の実施例は、図18においては、光学入力信号を個々の媒体93、94を通じて非線形素子96に直接的に結合することによって合成媒体95を省略しており、このような両方の信号が互いに合成されて干渉し、光学出力信号を出力媒体97上に生成している点を除いて、大部分に関して図17のものに類似している。
【0052】
図19に示されている本発明の論理ゲート110の別の実施例は、光ファイバ103a、104a、106a、107aを有している。一般的なシングルモード光ファイバ103a、104aを導波路として使用しており、次いで、これらを、非線形材料を構成しているファイバ106aに接続している。非線形ファイバは、通常、シリカなどの弱いカー(Kerr)材料から製造されている。次いで、ファイバ106aの周期的なセクションに(例えば、CO2レーザーからの)強い光を適用することにより、非線形ファイバ内の離隔した位置にブラッグ格子106b、106cを生成している。この結果得られた非線形素子106は、強い光に露出させる長さ及び配置を変化させることにより、又はファイバを曲げて共振器の形状を変化させることにより、チューニング可能である。
【0053】
図20は、非線形材料116a及びミラー116b、116cから構成された非線形素子116を具備した光学論理ゲートの一実施例110を示している。光学論理ゲート110は、光学入力信号を非線形材料116aに伝送するべく、この場合には光ファイバとして示されている媒体113、114と、非線形材料116aによって生成された光学出力信号を出力するための出力媒体117をも有している。更に詳しくは、媒体113、114からの光学入力信号は、一方通行のミラー116bに伝播し、これを通過し、媒体115内において合成されることにより、合成信号を生成し、これが非線形材料116aに進入している。媒体115は、空気又は非線形素子116の外部の又は内部の周辺環境であってよく、或いは、これは、単独の又は周辺環境との組み合わせにおける非線形材料116aであってもよい。光学入力信号の周波数との関係における非線形素子116の共振周波数に応じて、合成信号は、非線形材料116aによって消光されるか又は透過する。非線形材料116aは、例えば、エステルに基づいた染料から構成可能である。非線形材料116aを通過した合成信号は、一方通行のミラー116cを通過して、更に光学媒体117に伝播し、これを通じて光学論理ゲート110から出力されることになる。ミラー間の距離を変更することにより、又は共振器の形状を変更することにより、空洞をチューニング可能である。
【0054】
図21は、本発明による一般化されたすべて光学的な論理ゲート200のブロックダイアグラムである。図21においては、すべて光学的な論理ゲート200は、フォトニック結晶によって形成された光学共振器又は光学空洞、非線形材料の光ファイバ内におけるブラッグ格子、サーキュレータ、分布帰還(Distributed FeedBack:DFB)レーザー、又はその他の非線形装置の中の1つ又は複数のものを有する非線形素子206を有している。少なくともその1つが振幅変調されている光学入力信号A、...、B(「...」という省略表現は、2つを上回る数の信号が存在可能であるという事実を表している)を非線形素子206に直接的に供給しており、この非線形素子は、光学入力信号A、...、Bを合成し、この結果得られた合成信号の1つ又は複数の論理レベルを弁別し、且つ、例えば、光学入力信号A、...、Bのキャリア周波数との関係においてその共振周波数を設定することによって非線形素子206が実行するように構成されている論理演算に従ってその出力にバイナリ論理レベルを生成するべく構成されている。或いは、この代わりに、図21の破線によって示されているように、光学入力信号A、...、Bを、光学入力信号A、...、Bを合成する導波路又は経路などの合成媒体205に供給している。この結果得られた合成信号は、非線形素子206に伝播し、この非線形素子が、自身が実行するべく構成された論理演算に従って論理レベルを弁別し、且つ、光学入力信号A、...、Bの論理レベルに基づいた論理レベルを有する振幅変調された光学出力信号を出力している。光学入力媒体203を使用することにより、光学入力信号A、...、Bを供給源又はアップストリーム論理ゲートから非線形素子206に、或いは、合成媒体205に供給し、これから、非線形素子206に、供給可能である。光学出力媒体207を使用することにより、光学出力信号を光学回路内の次の論理ゲートに、又は別のダウンストリーム要素に出力可能である。
【0055】
図22において、1つ又は複数の光学論理ゲートを含む光学論理回路を製造する方法は、段階220において始まっており、この段階で、実行対象の論理演算を選択している。段階222において、選択された論理演算を実行するのに必要な1つ又は複数の論理ゲート及び光学接続により、光学回路を設計している。段階224において、光学回路の設計に従って論理ゲートが実行するように意図されている論理演算の部分を実行するべくその1つ又は複数の共振周波数がチューニングされるように、回路の1つ又は複数の論理ゲートを形成することにより、設計された光学回路を製造している。
【0056】
図22の方法の一例として、段階220において選択された次の論理演算に従って光学出力信号が生成されるものと仮定しよう。
【0057】
光学出力信号=(光学入力信号A*光学入力信号B)+光学入力信号C
【0058】
段階222において、光学回路を設計する。選択された論理演算を実現する能力を有する1つの設計は、AND論理ゲートを使用して光学入力信号A、Bを弁別し、この結果得られた出力信号を光学入力信号Cと共にORゲートに入力することにより、選択された論理演算の光学出力信号を生成するというものである。次いで、段階224において、所望のAND及びOR論理ゲートを生成するべく、1つ又は複数の非線形素子の1つ又は複数の共振周波数が光学入力信号の周波数から適切にチューニング又はデチューニングされるように、AND及びOR論理ゲートを製造する。次いで、この結果得られた光学回路を結合することにより、その入力においてアップストリーム要素から個々の光学入力信号A、B、Cを受信し、その出力を結合することにより、ダウンストリーム要素に光学出力信号を供給することになる。
【0059】
図23においては、論理ゲートの動作方法は、段階230において始まっており、この段階において、CW光用のレーザー源、光学振幅変調器、又は論理ゲートなどのアップストリーム光学回路要素などのアップストリーム要素から1つ又は複数の光学入力信号を受信している。段階232において、光学入力信号を導波している。段階230及び段階232は、個々の光学入力信号用の光学入力媒体によって実行可能である。段階234において、光学入力信号を合成して合成信号を生成している。この段階は、合成媒体によって実行可能である。尚、段階232及び234は、図23の破線によって表されているように、任意選択の段階である。段階236において、1つ又は複数の光学入力信号の合成の結果として得られた論理レベルを弁別することにより、Low振幅によって表されたLow論理レベル又はHigh振幅によって表されたHigh論理レベルを具備したバイナリ論理レベルを有する光学出力信号を生成している。段階236は、論理ゲートの非線形素子によって実行可能である。最終的に、段階238において、その光学回路内の1つ又は複数の次のゲート又は別の光学装置などのダウンストリーム要素に1つ又は複数の光学出力信号を伝送している。
【0060】
(手段の対応性)
添付の請求項における「光学入力信号の論理レベルを非線形的に弁別してバイナリ論理レベルを具備した光学出力信号を生成する非線形素子手段」は、本明細書に記述されている非線形素子6、6’、26、26’、56、96、106、116、206又はその等価物のいずれかを意味している。
【0061】
(代替肢)
光学共振器を「チューニング」する段階は、通常は、共振器の共振周波数をオフセットさせる段階を意味しているが、本発明においては、所望の機能を実現するための可能な手段として共振器の透過特性を変化させるためのその他の方法をも「チューニング」が意味するものと考えている。例えば、クォリティファクタを変更するか、追加の共振ピークを共振器に追加するか、或いは、応力、電磁場又は圧電場の印加、正孔又は電子などの電荷キャリアの注入、光の注入、又は、その他の技法を通じてその形状又は屈折率を変更することにより、共振器の透過の帯域幅、プロファイル、又は中心を変更可能であろう。
【0062】
光通信産業において現在標準である1.55ミクロン(μm)の光学信号を参照して説明したが、当然のことながら、その他の波長又は周波数の光学信号を使用することにより、本発明の原理を適用して有利な結果を得ることも可能であることを理解されたい。開示されたゲート及びラッチと共に使用される光学信号が、この同一の周波数を必ずしも具備している必要はない。
【0063】
本明細書に開示されている実施例は、相対的に大きな振幅を有する光学信号をHigh論理レベルと見なし、且つ、相対的に小さな振幅を有する光学信号をLow論理レベルと見なす「肯定的論理」の文脈において記述されているが、この代わりに、相対的に大きな振幅を有する光学信号をLow論理レベルと見なし、且つ、相対的に小さな振幅を有する光学信号をHigh論理レベルと見なす「否定的論理」を利用することも可能であろう。
【0064】
本明細書に記述されている構造は、二次元構造であるが、当業者には容易に明らかなように、本明細書に提供されている教示内容の利益と共に、1次元又は3次元構造を使用することにより、前述のものと同一の機能を有するように本明細書のすべて光学的な論理ゲートを実装することも可能である。
【0065】
本明細書においては、フォトニック結晶を定義する構造を媒体内における円形の孔として説明しているが、媒体内に孔を生成する代わりに、ポスト(post)、カラム(column)、円柱(cylinder)、立方体、球体、又はその他の構造を基板上に製造してフォトニック結晶を定義することにより、この逆のことを実行することも可能であることを理解されたい。更には、選択的なエッチングとは対照的に、基板上の材料の選択的な堆積を通じてフォトニック結晶を形成することも可能であり、或いは、これらの技法の組み合わせを使用してフォトニック結晶を形成することも可能であろう。
【0066】
その他の可能な構成及び機能については、John Luther Coveyを単独の発明者として記載している2004年5月21日付けで出願された本出願の譲受人に譲渡された米国特許公開第2005/0259999号(US2005/0259999)に開示されており、この内容は、そのすべてが本明細書に記述されているかのように、本引用により、本明細書に包含される。
【0067】
当業者には、以上の説明及び添付の図面に提示されている教示内容の利益を具備した本明細書に記述されている本発明の多数の変更及びその他の実施例が想起されよう。従って、本発明は、開示されている特定の実施例に限定されるものではなく、且つ、変更及びその他の実施例も、添付の請求項の範囲に包含されるべく解釈されることを理解されたい。本明細書には、特定の用語が利用されているが、それらは、一般的且つ記述的な意味においてのみ使用されており、限定を意図したものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)光学回路によって実行される論理演算を選択する段階と、
b)前記光学回路によって実行される前記論理演算を実行するべく1つ又は複数のすべて光学的な論理ゲートによって前記光学回路を設計する段階と、
c)個々の論理演算を実行して光学入力信号に基づいて個々のバイナリ出力レベルを具備した光学出力信号を生成するべく共振周波数にチューニングされた強度に依存した屈折率の材料を有する対応した光学共振器を具備する個々の非線形素子によって前記すべて光学的な論理ゲートを形成することにより、前記光学回路を製造する段階であって、前記論理ゲートは、個々の光学入力信号を導波する別個の光学入力媒体と、前記光学入力媒体から個々の光学入力信号を受信及び合成して個々の合成信号を生成する合成媒体と、によって構成されており、前記論理ゲートは、前記合成媒体の個々の出力を遮断し、且つ、前記合成媒体から個々の合成信号を受信するべく配置された前記非線形素子によって更に構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を生成するべく個々の非線形素子による後続の非線形弁別のために個々の合成信号を受信する個々のシングル入力部によって構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を出力する個々のシングル出力部によって更に構成されており、前記論理ゲートは、前記非線形素子の個々のシングル出力部から個々の光学出力信号を受信し、且つ、光学入力信号として前記光学出力信号を1つ若しくは複数の後続の論理ゲートに又は前記光学回路の出力部に導波するべく構成された光学出力媒体によって更に形成されており、前記光学回路の前記製造段階は、前記非線形素子を包含するべくフォトニック結晶を形成することによって実行されている、段階と、
を有する方法。
【請求項2】
前記光学回路の前記製造段階は、光学入力信号を合成して、非線形弁別のために個々の非線形素子に提供される合成信号を生成する前記合成媒体を包含するべく前記フォトニック結晶を形成することにより、更に実行されている請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記光学回路の前記製造段階は、個々の光学入力信号を個々の合成媒体に導波する前記光学入力媒体を有するべく前記フォトニック結晶を形成することにより、更に実行されている請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記光学回路の前記製造段階は、個々の非線形素子から個々の光学出力信号を受信及び出力する前記光学出力媒体を有するべく前記フォトニック結晶を形成することにより、更に実行されている請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記論理演算は、AND、NOT、NAND、NOR、OR、XOR、又はXNOR論理、或いは、これらの組み合わせを有するグループから段階(a)において選択されている請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記光学回路の前記製造段階は、基板上に材料を選択的に堆積させて前記光学回路を形成することにより、実行されている請求項1記載の方法。
【請求項7】
a)光学回路によって実行される論理演算を選択する段階と、
b)前記光学回路によって実行される前記論理演算を実行するべく1つ又は複数のすべて光学的な論理ゲートによって前記光学回路を設計する段階と、
c)個々の論理演算を実行して光学入力信号に基づいて個々のバイナリ出力レベルを具備した光学出力信号を生成するべく共振周波数にチューニングされた強度に依存した屈折率の材料を有する対応した光学共振器を具備する個々の非線形素子によって前記すべて光学的な論理ゲートを形成することにより、前記光学回路を製造する段階であって、前記論理ゲートは、個々の光学入力信号を導波する別個の光学入力媒体と、前記光学入力媒体から個々の光学入力信号を受信及び合成して個々の合成信号を生成する合成媒体と、によって構成されており、前記論理ゲートは、前記合成媒体の個々の出力を遮断し、且つ、前記合成媒体から個々の合成信号を受信するべく配置された前記非線形素子によって更に構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を生成するべく個々の非線形素子による後続の非線形弁別のために個々の合成信号を受信する個々のシングル入力部によって構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を出力する個々のシングル出力部によって更に構成されており、前記論理ゲートは、前記非線形素子の個々のシングル出力部から個々の光学出力信号を受信し、且つ、光学入力信号として前記光学出力信号を1つ若しくは複数の後続の論理ゲートに又は前記光学回路の出力部に導波するべく構成された光学出力媒体によって更に形成されており、前記製造段階は、前記非線形素子の少なくとも1つのものが基板のレイヤ上に形成されたリングを有するように、実行されている、段階と、
を有する方法。
【請求項8】
前記製造段階は、前記リングに光学的に結合された個々の合成媒体を形成するベくマージする個々の別個の光学入力媒体を形成するように実行されている請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記製造段階は、前記リングによって生成された前記光学出力信号を受信及び出力する個々の光学出力媒体を形成するべく実行されている請求項7記載の方法。
【請求項10】
a)光学回路によって実行される論理演算を選択する段階と、
b)前記光学回路によって実行される前記論理演算を実行するべく1つ又は複数のすべて光学的な論理ゲートによって前記光学回路を設計する段階と、
c)個々の論理演算を実行して光学入力信号に基づいて個々のバイナリ出力レベルを具備した光学出力信号を生成するべく共振周波数にチューニングされた強度に依存した屈折率の材料を有する対応した光学共振器を具備する個々の非線形素子を有する前記すべて光学的な論理ゲートを形成することにより、前記光学回路を製造する段階であって、前記論理ゲートは、個々の光学入力信号を導波する別個の光学入力媒体と、前記光学入力媒体から個々の光学入力信号を受信及び合成して個々の合成信号を生成する合成媒体と、によって構成されており、前記論理ゲートは、前記合成媒体の個々の出力を遮断し、且つ、前記合成媒体から個々の合成信号を受信するべく配置された前記非線形素子によって更に構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を生成するべく個々の非線形素子による後続の非線形弁別のために個々の合成信号を受信する個々のシングル入力部によって構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を出力する個々のシングル出力部によって更に構成されており、前記論理ゲートは、前記非線形素子の個々のシングル出力部から個々の光学出力信号を受信し、且つ、光学入力信号として前記光学出力信号を1つ若しくは複数の後続の論理ゲートに又は前記光学回路の出力部に導波するべく構成された光学出力媒体によって更に形成されており、前記製造段階は、非線形材料から構成された光ファイバ内に離隔したブラッグ格子を包含するべく前記非線形素子の少なくとも1つのものを形成するように実行されている、段階と、
を有する方法。
【請求項11】
前記製造段階は、個々の光学入力信号を受信して個々の合成媒体に導波するべく光ファイバを有する光学入力媒体を前記1つ又は複数の非線形素子に更に接合することにより、実行されている請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記製造段階は、前記非線形素子から前記光学出力信号を受信及び出力するべく光ファイバを有する少なくとも1つの光学出力媒体を少なくとも1つの個々の非線形素子に更に接合することにより、実行されている請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記非線形素子の少なくとも1つのものの前記光学共振器は、ミラーを互いに対向するよう配置し、更には、前記ミラーの間に非線形材料を配置することによって形成されている請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記製造段階は、前記光学回路が、直列に1つに接続された少なくとも第1及び第2の論理ゲートを具備し、この結果、前記第1論理ゲートからの光学出力信号が前記第2論理ゲートへの前記光学入力信号となるように、実行されており、且つ、前記第1及び第2論理ゲートのそれぞれのものによって生成される前記個々の光学出力信号は、バイナリ論理レベルを具備している請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記光学回路の前記製造段階は、基板のレイヤを選択的にエッチングして前記光学回路を形成することによって実行されている請求項1記載の方法。
【請求項1】
a)光学回路によって実行される論理演算を選択する段階と、
b)前記光学回路によって実行される前記論理演算を実行するべく1つ又は複数のすべて光学的な論理ゲートによって前記光学回路を設計する段階と、
c)個々の論理演算を実行して光学入力信号に基づいて個々のバイナリ出力レベルを具備した光学出力信号を生成するべく共振周波数にチューニングされた強度に依存した屈折率の材料を有する対応した光学共振器を具備する個々の非線形素子によって前記すべて光学的な論理ゲートを形成することにより、前記光学回路を製造する段階であって、前記論理ゲートは、個々の光学入力信号を導波する別個の光学入力媒体と、前記光学入力媒体から個々の光学入力信号を受信及び合成して個々の合成信号を生成する合成媒体と、によって構成されており、前記論理ゲートは、前記合成媒体の個々の出力を遮断し、且つ、前記合成媒体から個々の合成信号を受信するべく配置された前記非線形素子によって更に構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を生成するべく個々の非線形素子による後続の非線形弁別のために個々の合成信号を受信する個々のシングル入力部によって構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を出力する個々のシングル出力部によって更に構成されており、前記論理ゲートは、前記非線形素子の個々のシングル出力部から個々の光学出力信号を受信し、且つ、光学入力信号として前記光学出力信号を1つ若しくは複数の後続の論理ゲートに又は前記光学回路の出力部に導波するべく構成された光学出力媒体によって更に形成されており、前記光学回路の前記製造段階は、前記非線形素子を包含するべくフォトニック結晶を形成することによって実行されている、段階と、
を有する方法。
【請求項2】
前記光学回路の前記製造段階は、光学入力信号を合成して、非線形弁別のために個々の非線形素子に提供される合成信号を生成する前記合成媒体を包含するべく前記フォトニック結晶を形成することにより、更に実行されている請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記光学回路の前記製造段階は、個々の光学入力信号を個々の合成媒体に導波する前記光学入力媒体を有するべく前記フォトニック結晶を形成することにより、更に実行されている請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記光学回路の前記製造段階は、個々の非線形素子から個々の光学出力信号を受信及び出力する前記光学出力媒体を有するべく前記フォトニック結晶を形成することにより、更に実行されている請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記論理演算は、AND、NOT、NAND、NOR、OR、XOR、又はXNOR論理、或いは、これらの組み合わせを有するグループから段階(a)において選択されている請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記光学回路の前記製造段階は、基板上に材料を選択的に堆積させて前記光学回路を形成することにより、実行されている請求項1記載の方法。
【請求項7】
a)光学回路によって実行される論理演算を選択する段階と、
b)前記光学回路によって実行される前記論理演算を実行するべく1つ又は複数のすべて光学的な論理ゲートによって前記光学回路を設計する段階と、
c)個々の論理演算を実行して光学入力信号に基づいて個々のバイナリ出力レベルを具備した光学出力信号を生成するべく共振周波数にチューニングされた強度に依存した屈折率の材料を有する対応した光学共振器を具備する個々の非線形素子によって前記すべて光学的な論理ゲートを形成することにより、前記光学回路を製造する段階であって、前記論理ゲートは、個々の光学入力信号を導波する別個の光学入力媒体と、前記光学入力媒体から個々の光学入力信号を受信及び合成して個々の合成信号を生成する合成媒体と、によって構成されており、前記論理ゲートは、前記合成媒体の個々の出力を遮断し、且つ、前記合成媒体から個々の合成信号を受信するべく配置された前記非線形素子によって更に構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を生成するべく個々の非線形素子による後続の非線形弁別のために個々の合成信号を受信する個々のシングル入力部によって構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を出力する個々のシングル出力部によって更に構成されており、前記論理ゲートは、前記非線形素子の個々のシングル出力部から個々の光学出力信号を受信し、且つ、光学入力信号として前記光学出力信号を1つ若しくは複数の後続の論理ゲートに又は前記光学回路の出力部に導波するべく構成された光学出力媒体によって更に形成されており、前記製造段階は、前記非線形素子の少なくとも1つのものが基板のレイヤ上に形成されたリングを有するように、実行されている、段階と、
を有する方法。
【請求項8】
前記製造段階は、前記リングに光学的に結合された個々の合成媒体を形成するベくマージする個々の別個の光学入力媒体を形成するように実行されている請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記製造段階は、前記リングによって生成された前記光学出力信号を受信及び出力する個々の光学出力媒体を形成するべく実行されている請求項7記載の方法。
【請求項10】
a)光学回路によって実行される論理演算を選択する段階と、
b)前記光学回路によって実行される前記論理演算を実行するべく1つ又は複数のすべて光学的な論理ゲートによって前記光学回路を設計する段階と、
c)個々の論理演算を実行して光学入力信号に基づいて個々のバイナリ出力レベルを具備した光学出力信号を生成するべく共振周波数にチューニングされた強度に依存した屈折率の材料を有する対応した光学共振器を具備する個々の非線形素子を有する前記すべて光学的な論理ゲートを形成することにより、前記光学回路を製造する段階であって、前記論理ゲートは、個々の光学入力信号を導波する別個の光学入力媒体と、前記光学入力媒体から個々の光学入力信号を受信及び合成して個々の合成信号を生成する合成媒体と、によって構成されており、前記論理ゲートは、前記合成媒体の個々の出力を遮断し、且つ、前記合成媒体から個々の合成信号を受信するべく配置された前記非線形素子によって更に構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を生成するべく個々の非線形素子による後続の非線形弁別のために個々の合成信号を受信する個々のシングル入力部によって構成されており、前記非線形素子は、個々の光学出力信号を出力する個々のシングル出力部によって更に構成されており、前記論理ゲートは、前記非線形素子の個々のシングル出力部から個々の光学出力信号を受信し、且つ、光学入力信号として前記光学出力信号を1つ若しくは複数の後続の論理ゲートに又は前記光学回路の出力部に導波するべく構成された光学出力媒体によって更に形成されており、前記製造段階は、非線形材料から構成された光ファイバ内に離隔したブラッグ格子を包含するべく前記非線形素子の少なくとも1つのものを形成するように実行されている、段階と、
を有する方法。
【請求項11】
前記製造段階は、個々の光学入力信号を受信して個々の合成媒体に導波するべく光ファイバを有する光学入力媒体を前記1つ又は複数の非線形素子に更に接合することにより、実行されている請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記製造段階は、前記非線形素子から前記光学出力信号を受信及び出力するべく光ファイバを有する少なくとも1つの光学出力媒体を少なくとも1つの個々の非線形素子に更に接合することにより、実行されている請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記非線形素子の少なくとも1つのものの前記光学共振器は、ミラーを互いに対向するよう配置し、更には、前記ミラーの間に非線形材料を配置することによって形成されている請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記製造段階は、前記光学回路が、直列に1つに接続された少なくとも第1及び第2の論理ゲートを具備し、この結果、前記第1論理ゲートからの光学出力信号が前記第2論理ゲートへの前記光学入力信号となるように、実行されており、且つ、前記第1及び第2論理ゲートのそれぞれのものによって生成される前記個々の光学出力信号は、バイナリ論理レベルを具備している請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記光学回路の前記製造段階は、基板のレイヤを選択的にエッチングして前記光学回路を形成することによって実行されている請求項1記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−103008(P2011−103008A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10715(P2011−10715)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【分割の表示】特願2009−35157(P2009−35157)の分割
【原出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(508245541)コービーテック,リミティド ライアビリティ カンパニー (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【分割の表示】特願2009−35157(P2009−35157)の分割
【原出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(508245541)コービーテック,リミティド ライアビリティ カンパニー (8)
【Fターム(参考)】
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