説明

光学回転検出のための高性能中空光ファイバフィルタ

【課題】レーザから出力される光学ビームを、狭いライン幅および低い周波数ノイズ揺らぎとするための中空コア光ファイバフィルタを提供する。
【解決手段】中空コア光ファイバフィルタ100は、第1端部面112および反対側の第2端部面114を備える中空コア光ファイバ110を含む。また、中空コア光ファイバフィルタ100は、第1端部面112に位置決めされる第1反射端部キャップ40と、第2端部面114に位置決めされる第2反射端部キャップ41と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空コア光ファイバフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
共振器光ファイバジャイロスコープ(RFOG)は、回転により生じる共振器キャビティ内でのサニャック効果の測定による信号対ノイズ比を増強するために、ファイバリング共振器キャビティを用いる回転速度測定装置である。RFOG動作の基本原理は、ファイバリング共振器キャビティの回転が共振器軸における非ゼロの成分を備えるときに、時計回り(CW)と反時計回り(CCW)の有効共振器経路長が異なるということである。回転によるサニャック効果に比例するCWおよびCCW共振周波数の差を測定することで、RFOGは、回転速度を正確に測定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レーザーは、ファイバリング共振器にコヒーレント光を提供し、その共振周波数を同定する。半導体レーザーは、レーザー源の低コストの選択肢である。しかし、半導体レーザーは、典型的には、RFOGの性能の劣化を導き得る有意な位相ノイズを持つ。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、中空コア光ファイバフィルタに関する。中空コア光ファイバフィルタは、第1端部面および対向する第2端部面を備える中空コア光ファイバを含む。第1端部面および第2端部面は、ファイバ長さを設定する。また、中空コア光ファイバフィルタは、第1端部面に位置決めされる第1反射端部キャップ、および、第2端部面に位置決めされる第2反射端部キャップを含む。レーザーからの光学ビームが第1端部面または第2端部面の一方内に結合されると、対向する端部面からの光学出力は、狭いライン幅であり小さい周波数ノイズゆらぎを備える。
【0005】
特許請求される発明の様々な実施形態の詳細が添付図面とともに以下で説明される。他の特徴および利点は以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】本発明による中空コア光ファイバフィルタの実施形態のブロック図である。
【図1B】本発明による中空コア光ファイバフィルタの実施形態のブロック図である。
【図2】本発明による中空コア光ファイバフィルタの実施形態のブロック図である。
【図3】本発明による中空コア光ファイバフィルタの実施形態のブロック図である。
【図4】本発明による、中空コア光ファイバフィルタを含む共振器光ファイバジャイロスコープシステムの一実施形態のブロック図である。
【図5】本発明による、ピグテール強度モジュレータに連結される中空コア光ファイバフィルタの一実施形態のブロック図である。
【図6】本発明による、共振器光ファイバジャイロスコープシステムで使用するための、少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビームを生成するための方法の一実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
性能劣化なしにレーザーを共振器光ファイバジャイロスコープ(RFOG)で使用できるようにするために、レーザーの位相ノイズを低減する必要がある。本稿で説明される共振器光ファイバジャイロスコープの実施形態は、周波数安定化参照レーザーを含み、RFOGシステムのために低位相ノイズの参照光学ビームを提供する。検出共振器の共振周波数を測定するのに用いられるレーザー(スレーブ)は、参照(マスター)レーザーへのサーボで位相ロックされ、サーボバンド幅内でマスターレーザーの低位相ノイズがスレーブレーザーに伝達される。マスターレーザーは、マスターレーザーの位相/周波数のゆらぎを制御する負のフィードバックループにおいて周波数弁別器を使用することで、周波数安定化される。したがって、スレーブレーザーは、電子光学サーボのバンド幅内で低ノイズを備える。
【0008】
本稿で説明される共振器光ファイバジャイロスコープの実施形態は、各スレーブレーザーからの出力を受け取るために連結され中空コア光ファイバフィルタを含む。中空コア光ファイバフィルタは、各レーザーの残りの位相ノイズを低減させ、すなわち、サーボバンド幅よりもより高い周波数における位相揺らぎを低減する。中空コア光ファイバフィルタからの出力は、ファイバ共振コイル(ジャイロ検出コイル)の共振をプローブするために用いられる。中空コア光ファイバフィルタは、RFOGによる高性能回転測定に必要とされる望ましい特徴を備える。これらの望ましい特徴は、非常に狭いバンド幅、小さいサイズ、高いパワーハンドリング能力、低スプリアスバック反射、製造性、調整性、および低コストへの潜在性を含む。本稿で説明される、中空コア光ファイバフィルタは、非常に精巧であり、狭いライン幅であり、低コストのフィルターである。
【0009】
図1A−3は、本発明による中空コア光ファイバフィルタの実施形態のブロック図である。図1Aは、レーザー201に連結される中空コア光ファイバフィルタ100のブロック図である。中空コア光ファイバフィルタ100は、第1端部面112および対向する第2端部面114、第1端部面112において位置決めされる(接触する)第1反射端部キャップ40、および第2端部面114において位置決めされる(接触する)第2反射端部キャップ41を備える、中空コア光ファイバ110を含む。第1反射端部キャップ40は、「第1傾斜端部キャップ40」とも称される。第2端部キャップ41は、「第2傾斜端部キャップ41」とも称される。
【0010】
第1端部面112は、中空コア光ファイバ110の第1端部において環状表面を含み、環状表面により囲まれる平面を含む。第2端部面114は、中空コア光ファイバ110の第2端部において環状表面を含み、環状表面に囲まれる平面を含む。本稿で定義されるように、第1端部面112および第2端部面114へ結合される光またはそこから出力される光は、環状表面に囲まれる平面内または外へ結合され、いくつかの場合、中空コア光ファイバ110の環状表面の中または外へ結合される。本稿で使用される「結合」との語は、「光学結合」であり、光源(レーザーまたは光ファイバ)から放射(出力)された光の少なくとも一部(結合効率に依存する)が、受信光ファイバ内に結合される。結合は、光源から受信光ファイバへ直接的に提供することができ(たとえば、バット結合)、または、結合は、光源から光学ビーム出力を整合および案内するために、光源と受信光ファイバとの間に位置決めされる光学素子により提供することができる。結合された光は、受信光ファイバ内を伝播する。結合効率は、光源と受信ファイバとの開口数が一致したときに最大化される。この実施形態の一実施例において、レンズ(図1A−3には図示されていない)は、光源と受信光ファイバとの間に位置決めされ、結合を最適化する。中空コア光ファイバ110は、ここでは「ファイバ110」とも称される。
【0011】
図1Aに示される実施形態において、第1反射端部キャップ40および第2反射端部キャップ41は、(ガラスのような)透明材料の傾斜プレート70であり、その上に反射コーティングがなされる。透明材料の傾斜プレート70は、ここでは「プリズム70」とも称される。図1iに示されるプリズム70は、第1表面55および第2表面56を備える。
【0012】
第1傾斜端部キャップ40は、第1表面55を含み、これは、反射コーティング81に基づいて第1反射率Rを備え、また、第2表面56を含む。第1傾斜端部キャップ40の第1表面55および第2表面56は、第1鋭角γ(図1i参照)で交わる平面内にある。第2傾斜端部キャップ41は、第1表面55を含み、これは反射コーティング82に基づいて反射率Rを備え、また第2表面56を含む。反射率RおよびRは、それぞれ、表面へ入射する光の強度に対する(表面から)反射される光の強度の比を示している。第2傾斜端部キャップ41の第1表面55および第2表面56は、第2鋭角γで交わる平面内にある。レーザー201からの光学ビーム300は、第1端部面112または第2端部面114の一方上に結合され、第1傾斜端部キャップ40の第1表面55と第2傾斜端部キャップ41の第1表面55との間に共振キャビティが形成される。この実施形態の一実施例において、第1鋭角γおよび第2鋭角γは等しい。
【0013】
レーザー201からの光学ビーム300が第1端部面112または第2端部面114に結合される場合、反対の端部面から出力される光学ビーム310(すなわち、それぞれ第2端部面114または第1端部面112)は、狭いライン幅を備え、低い周波数ノイズ揺らぎを備える。出力光学ビーム310の発散は、角度θで示される。反射コーティング82を通って反対の第2端部面114から出力される光学ビーム310は、狭いライン幅および低い周波数ノイズ揺らぎを備える。たとえば、光学ビーム310は、サーボバンド幅の外側で数Hz/√Hzより実質的に低い周波数ノイズレベルを備えることができる。
【0014】
また、第1反射コーティング81は、ここでは第1反射表面81とも称される。プリズム70の第1表面55上の第1反射コーティング81は、薄いフィルム層97、98を含む。プリズム70の第1表面55上の薄いフィルム層(たとえば、薄いフィルム層97、98)の厚さおよび屈折率は、ともに、ほぼ垂直入射(たとえば、5度内の入射)における光学ビーム300の波長における光の高反射表面を形成する。薄いフィルム層97、98は、低損失で望まれる透過および反射のために設計される複数の誘電体層の例示である。薄いフィルム層97、98は、少量の透過である、低損失、高反射率のミラーを提供し、入力端部面112または出力端部面114に入射する中空コア光ファイバ110内を伝播する光は、共振器を生成するようにほとんど全てが中空コア光ファイバ110に反射されて戻る。わずかな透過係数により、光の少量がファイバ共振器100の中および外に結合される。
【0015】
この実施形態の一実施例において、薄いフィルム層97または98の一方だけが、プリズム70の第1表面55上に堆積されてコートされ、第1反射表面81を形成する。
第1反射端部キャップ40は、中空コア光ファイバ110の第1端部面112において位置決めされ、第1反射表面81が第1端部面112に隣接する。第1反射端部キャップ40は、プリズム70内を伝播する光学ビーム300のモードフィールドがプリズム70内で無視できる広がり(発散)を備えるように、中空コア光ファイバ110の第1端部面112において位置決めされる。
【0016】
第2反射コーティング82は、ここでは第2反射表面82とも称される。プリズム70の第1表面55上の第2反射コーティング82(薄いフィルム層78、79)の厚さおよび屈折率は、ほぼ垂直入射(たとえば5度以内の入射)の光学ビーム300の波長において高い反射率の第2反射表面82を形成する。第2反射表面82は、第2反射率Rを備える。この実施形態の一実施例において、第1反射表面81および第2反射表面82は、プリズム70上の同じ屈折率を備える同一の薄いフィルム層から形成される。この場合、第1反射表面81および第2反射表面82は、同一の反射率を備える(すなわち、RとRとは等しい)。
【0017】
第2反射端部キャップ41は、中空コア光ファイバ110の第2端部面114において位置決めされ、第2反射表面82が第2端部面114に隣接する。第2反射端部キャップ41は、中空コア光ファイバ110の第2端部面114において位置決めされ、プリズム70内を伝播する光学ビーム310のモード場が第2端部面114を越えて無視できる広がりを備える。
【0018】
図1iに示されるように、第2表面56から反射される入射光学ビーム300の部分は、破線矢印300´´で示されている。第2表面56を通過した光学ビーム300の部分は、矢印300´で示されている。第1反射表面81を通過し、中空コア光ファイバに結合される光学ビーム300´の部分は矢印305で示される。
【0019】
図1に示されるように、光学ビーム305は、中空コア光ファイバ110を通って伝播し、第2反射表面82に入射する。第2反射表面82により反射される光学ビーム305の部分(すなわちR)は、矢印305´で示されている。光学ビーム305´は、中空コア光ファイバ110内を伝播し、第1反射表面81に入射する。図1iに示されるように、第1反射表面81で反射された光学ビームは、矢印305´´で示される。光学ビーム300の波長は、光学ビーム300´、300´´、305、305´、305´´、310と同じである。
【0020】
この手法において、レーザー201からの光学ビーム300は、第1端部面112内に結合し、第1反射表面81と第2反射表面82との間に共振キャビティが形成される。第1鋭角γは、中空コア光ファイバ110を通って伝播してプリズム70に入る光学ビーム305´の部分(すなわち1−R)が、第2表面56で反射されて中空コア光ファイバ110に戻らないことを確保するように選択される。同様に、第1表面55と第2表面56との間の第1鋭角γは、第1反射表面81から反射されてプリズム70に戻る光学ビーム300´の部分(すなわちR)が、第2表面56で再反射されて中空コア光ファイバ110に戻らないことを確保するように選択される。第2鋭角γは、同様の機能となるように選択される。
【0021】
この実施形態の一実施例において、第1反射率Rおよび第2反射率Rは、0.90より大きい。この実施形態の他の実施例において、第1反射率Rおよび第2反射率Rは0.97より大きい。
【0022】
中空コア光ファイバフィルタ100は双方向であり、レーザー201から放射された光学ビーム300は、第1端部面112または第2端部面114に結合され、反対側の端部面から光学ビーム出力310は、狭いライン幅および低い周波数ノイズ揺らぎを備える。
【0023】
中空コア光ファイバフィルタ100において、ファイバの長さL、第1および第2の反射表面81、82における反射率RおよびR、モード場サイズ、およびファイバの開口数(NA)は、1)誘導ブリュアン散乱(SBS)および他の非線形効果の可能性を低減するように、2)望ましいパワースループットを可能にし、3)望ましいフィルタライン幅を達成し、4)望ましいパッキング曲げ直径を可能にするように、選択される。光学ビーム310の発散角θおよび中空コア光ファイバの屈折率nは、開口数NAを計算するのに用いられ、NA=nsinθで計算でき、ここで、nは中空コア光ファイバ110の外側媒体の屈折率である。
【0024】
図1Bは、中空コア光ファイバフィルタ103のブロック図であり、これは図1Aの中空コア光ファイバフィルタ100、第1取付固定部90および第2取付固定部91を含む。第1取付固定部90は、第1反射端部キャップ40を中空コア光ファイバフィルタ110の端部面112に隣接するように保持し、また、第2取付固定部91は、第2反射端部キャップ41を中空コア光ファイバフィルタ110の第2端部面114に隣接するように保持するように構成される。第1取付固定部90および第2取付固定部91は、当業界で公知の、コンポーネントを他のコンポーネントに緊密に保持するための様々なタイプの取付固定部の例示である。第1反射端部キャップ40および第2反射端部キャップ41をそれぞれ中空コア光ファイバフィルタ110の第1および第2の端部面112、114に隣接するように保持するのに、他のタイプの取付部(接着取り付けなど)を用いることができることを理解されたい。
【0025】
図2は、レーザー201に連結される中空コア光ファイバフィルタ101のブロック図である。中空コア光ファイバフィルタ101は、図1Aおよび図1Bに示される中空コア光ファイバ110の構造および機能に類似する中空コア光ファイバ110を含む。第1反射端部キャップ42は第1端部面112において位置決めされ、第2反射端部キャップ43は第2端部面114において位置決めされる。第1反射端部キャップ42および第2反射キャップ43は、図1Aおよび図1Bの第1反射端部キャップ40および第2反射端部キャップ41と構造が異なるが、類似の機能である。中空コア光ファイバフィルタ101の機能は、図1Aおよび図1Bに関して説明した中空コア光ファイバフィルタ100の機能と同一である。
【0026】
図2iに示されるように、第1反射端部キャップ42は、プレート71、第1反射率Rを備える第1反射表面87(本稿では「第1反射コーティング87」とも称される)、および第1反射表面87の反対側の第1抗反射表面83(本稿では「第1抗反射コーティング83」とも称される)を含む。第2反射端部キャップ43は、プレート71、第2反射率Rを備える第2反射表面85(本稿では「第2反射コーティング85」とも称される)、および第2反射表面85の反対側の第2抗反射表面84(ここでは「第2抗反射コーティング84」とも称される)を含む。レーザー201からの光学ビーム300は、中空コア光ファイバ110の第1端部面112または第2端部面114の一方に結合され、第1反射表面87と第2反射表面85との間に共振キャビティが形成される。
【0027】
図2iに示されるように、プレート71は、第1表面46および第2表面47を備える。プレート71の第1表面46および第2表面47は互いにほぼ並行である。プレート71が形成される透明材料は、光学ビーム300の波長に対して透明である。
【0028】
第1反射コーティング87は、第1反射端部キャップ42の第1表面46上に堆積される。第1反射コーティング87は、図2iに示されるように、薄いフィルム層94、95、96を含む。プレート71の第1表面46上に堆積される薄いフィルム層(たとえば薄いフィルム層94、95、96)の厚さおよび屈折率は、共に、ほぼ垂直入射(たとえば5度以内の入射)の光学ビーム300の波長の光に対する高反射表面を形成する。薄いフィルム層94、95、96は、所望の低損失の透過および反射のために設計される複数の誘電体層の例示である。薄いフィルム層94、95、96は、低損失、少量の透過の高反射率のミラーを提供し、入力端部面112または出力端部面114に入射する中空コア光ファイバ110内を伝播する光が、ほとんど反射されて中空コア光ファイバ110に戻り、共振器を形成する。透過の小さな係数により、いくらかの光がファイバ共振器101内におよび外へ結合される。
【0029】
第1抗反射コーティング83は、第1反射端部キャップ42のプレート71の第2表面47上に堆積される。図2iに示されるように、第1抗反射表面83は、プレート71の第2表面47上に堆積される薄いフィルム層92、93を含む。プレート71上の薄いフィルム層92、93の厚さおよび屈折率は、共に、光学ビーム300の波長における抗反射性の表面を形成する。薄いフィルム層92、93は、所望の透過および反射のために設計される複数の誘電体層の例示である。薄いフィルム層92、93は、低損失であり、高い透過の係数を提供し、第1抗反射コーティング83に入射する光はほとんど透過する。
【0030】
第1抗反射コーティング83は、第1反射率Rよりも非常に小さい反射率を備える。この実施形態の一実施例において、第1抗反射コーティング83の反射率は0.0001のオーダーである。
【0031】
第2反射コーティング85は、第2反射端部キャップ43のプレート71の第1表面46上に堆積される。第2反射コーティング85は、1つまたはそれ以上の薄いフィルム層を含む。プレート71の第1表面46上に堆積される薄いフィルムの厚さおよび屈折率は、共に、ほぼ垂直入射(たとえば5度以内の入射)する光学ビーム300の波長における光への高反射表面を形成する。第2反射コーティング85を形成する薄いフィルム層は、低損失の、少量を透過させる高反射率ミラーを提供し、出力端部面114上に入射する光がほとんど反射されて中空コア光ファイバ110に戻り、共振器を生成する。透過の小さな係数により、いくらかの光がファイバ共振器101の中へおよび外へ結合される。
【0032】
第2抗反射コーティング84は、第2反射端部キャップ43を形成するプレート71の第2表面47上に堆積される。第2抗反射表面84は、第2反射端部キャップ43を形成するプレート71の第2表面47上に堆積される薄いフィルム層を含む。プレート71は、薄いフィルム層の厚さおよび屈折率は、共に、光学ビーム300の波長における抗反射性の表面を形成する。第2抗反射表面84を形成する1つまたは複数の薄いフィルム層は、典型的には、誘電体スタックであり、これは、低損失で高い透過の係数を提供し、第2抗反射コーティング84に入射する光は、ほとんどプレート71の外へ透過する。第2抗反射コーティング84は、第2反射率Rよりも非常に小さい反射率を備える。この実施形態の一実施例において、第2抗反射コーティング84の反射率は0.0001のオーダーである。
【0033】
第1反射端部キャップ42は、中空コア光ファイバ110の第1端部面112において第1端部面112に隣接するように位置決めされる。第1反射端部キャップ42は、中空コア光ファイバ110の第1端部面112において位置決めされ、プレート71内を伝播する光学ビーム300のモード場が、プレート71内で無視できる拡張を備えるように位置決めされる。
【0034】
この実施形態の一実施例において、第1反射率Rは第2反射率Rと等しい。第1反射率Rおよび第2反射率Rは、0.90より大きい。この実施形態の一実施例において、第1反射率Rおよび第2反射率Rは、0.97より大きい。
【0035】
図3は、スレーブレーザー120を介してマスターレーザー200に結合される、中空コア光ファイバフィルタ102のブロック図である。中空コア光ファイバフィルタ102の機能は、図1Aおよび図1Bを参照して上述した中空コア光ファイバフィルタ100の機能と同一である。中空コア光ファイバフィルタ102は、中空コア光ファイバ110を含み、中空コア光ファイバ110は、第1端部面112および反対側の第2端部面114、第1端部面112において位置決めされる第1反射端部キャップ44、および第2端部面114において位置決めされる第2反射端部キャップ45を備える。
【0036】
第1反射端部キャップ44は、図1Aの第1反射端部キャップ40に類似しており、また、プリズム70の第2表面56上に第1抗反射表面86(ここでは第1抗反射コーティング86とも称される)。図3iに示されるように、第1抗反射コーティング86は薄いフィルム層88、89を含む。
【0037】
第2反射端部キャップ45は図1Aの第2反射端部キャップ41に類似しており、また、プリズム70の第2表面56上に第2抗反射表面75(ここでは第2抗反射コーティングとも称する)を含む。第1抗反射コーティング86および第2抗反射コーティングの追加は、光が第2表面56から中空コア光ファイバ110へ反射して戻る可能性を低減させる。
【0038】
図3に示されるように、マスターレーザー200は矢印308で示される光学ビームを放射する。この実施形態の一実施例において、マスターレーザー200は、低位相ノイズを備える参照光学ビーム308を出力する周波数が安定化されたマスターレーザーである。たとえば、光学ビーム308は、サーボバンド幅内で数Hz/√Hzよりも実質的に小さな周波数ノイズを備えることができるが、周波数領域でサーボバンド幅よりも高いノイズレベルを備えるものとすることもできる。マスターレーザー200から出力される光学ビーム308は、スレーブレーザー120の位相をロックするために用いられる。スレーブレーザー120は、出力端面172から光学ビーム307を放射する。光学ビーム307は、中空コア光ファイバフィルタ102内に結合される。結合された光学ビーム305は、第1反射コーティング81と第2反射コーティング82との間で中空コア光ファイバ110内に形成される共振キャビティ内を複数回伝播する。反対側の第2端部面114から出力され反射コーティング82を通る光学ビーム310は、狭いライン幅、および低い周波数ノイズ揺らぎを備える。たとえば、光学ビーム310は、サーボバンド幅の外の数Hz/√Hzよりも実質的に低い周波数ノイズレベルを備えることができる。
【0039】
図1A−3に示される中空コア光ファイバフィルタ100−103の実施形態において、共振器の往復経路長2Lは、第1ファイバ端部面112から中空コア光ファイバ110を通って第2ファイバ端部面114までの、また、中空コア光ファイバ110を通って第1ファイバ端部面112までの経路長として一意に定義される。この実施例は、中空コア光ファイバフィルタ100−103の最大の安定性を提供する。光ファイバが長くなると、出力光学ビームのライン幅が狭く(小さく)なる。高いフィネスおよび狭いライン幅は、低いカットオフ周波数を備える光ファイバフィルタ(ローパスフィルタ)を提供するのに望ましい条件である。フィルタのカットオフ周波数が低くなると、レーザー周波数ノイズは小さくなる。概略すると、フィネスが高くなり、線幅が狭くなると、コーナー周波数が低くなり、より有効な中空コア光ファイバフィルタがレーザーの周波数ノイズを低減する。通過周波数ノイズ揺らぎの伝達関数は、ローパス電気フィルタに類似し、フィルタは、コーナー周波数より下に周波数を低下させず、ロールオフし、または、コーナー周波数を越えて徐々に漸進的に減衰する。コーナー周波数は、ライン幅に比例する。
【0040】
中空コア光ファイバフィルタ110は、相対的に長い経路長を備え、高周波数ノイズをフィルタリングするための長い光学遅延時間を提供する。共振光学ビームが中空コア光ファイバフィルタ110内で非線形効果を励起しないことを確保するために、中空コア光ファイバフィルタ101−103の注意深い設計が必要とされる。カー効果および誘導ブリュアン散乱(SBS)のようなこれらの非線形効果は、中空コア光ファイバフィルタ110の安定性を低下させ、出力ビーム310の有用性を低下させる。光学共振器において、中空コア光ファイバフィルタ110内を循環するパワーは、出力のパワーよりも大きい。循環するパワーが中空コア光ファイバフィルタ110内で大きすぎる場合、誘導ブリュアン散乱が生成される。誘導ブリュアン散乱は、大きな強度揺らぎを発生させ、中空コア光ファイバフィルタの出力を悪くする。SBSパワー閾値が、中実コアファイバのものよりも数段高くすることができるので、中空コアファイバが選択される。ファイバ長L、第1端部面112上の反射コーティング81または87、第2端部面114上の反射コーティング82または85、中空コア光ファイバ110のモード場サイズ、および中空コア光ファイバ110の開口数NAは、中空コア光ファイバ110が光学共振器として機能するときに、中空コア光ファイバ110内の非線形効果の発生を防止するように選択される。
【0041】
非線形効果の発生を防止するように設計される例示的な中空コア光ファイバフィルタ100が説明される。中空コア光ファイバフィルタ100中の例示的な中空コア光ファイバ110は、205ppm/メートル(1dB/Km)の損失を備え、10.6μのモード場直径を備える。中空コアファイバの屈折率は、共振器の特性の計算のために、波長λ=1.544μmにおいてn=1.001であると見積もられる。SBSが開始するパワー閾値(PcritBrill)は、ファイバコアの物理面積A(m)、ファイバ損失α(m−1)、ガイド媒体の利得係数G(m/ワット)、およびファイバ長(m)に関連する。具体的には、PcritBrillは以下の式に基づいて計算される。Pcrit Brill = 21 * [(a*Aeff)/(r * gB*(1-e-(aL))]。ここで、「*」は、掛け算を表す。公称6メートルの中空コア光ファイバ110、損失αが1.0dB/km(〜205ppm/メートル)、中空コア光ファイバのパワーの端数rが公称0.001から0.01、SBSゲインGが5×10−11メートル/ワット(シリカ)、ファイバモード場面積が8.8×10−11の場合、SBSのパワー閾値PcritBrillは740ワットである。
【0042】
表1は、エアリー関数のピーク200kHzの最大半値幅(FWHM)の200KHz中空コア光ファイバフィルタ100に関して中空コア光ファイバ110の長さLの関数としての、フィネス(finesse)、出力パワー、循環パワー、SBSオンセットパワーを示す。また、表1は反射コーティングの透過率(T)を示す。SBS開始におけるパワー閾値は、ρ=0.0083で計算された。計算パワー列は、入力に関する共振フィルタ内のパワー循環をリストし、循環パワー(W)列はワットで循環パワーを与え、これは、2Wの入力に基づいてブリュアン閾値を見積もるのに好都合である。
【0043】
2ワットレーザービームが、上述の例示的な中空コア光ファイバフィルタ100内に結合される場合、循環パワーは、表1に示されるファイバ長のブリュアン閾値を越えない(たとえば8メートル未満)。表1に示される出力および循環パワーは、一定の入力パワーで標準化されている。ワットの循環パワーは、2Wの入力パワーを仮定している。
【0044】
【表1】

【0045】
図4は、共振器光ファイバジャイロスコープ(RFOG)システム10の一実施形態のブロック図であり、本発明による中空コア光ファイバフィルタ105、106、107を含む。RFOGシステム10は、ここではRFOG10とも称される。RFOGシステム10は、高性能ジャイロスコープシステムである。RFOG10は、周波数安定化マスターレーザー200、3つのスレーブレーザー(SL)121、122、123、3つのそれぞれの中空コア光ファイバフィルタ(OFF)105、106、107、3つのそれぞれの強度モジュレータ(IM)320−1、320−1、320−3、およびファイバ共振器コイル240を含む。ファイバ共振器コイル240は、光ファイバリング共振器であり、ジャイロスコープ内にファイバリング共振器キャビティを形成する。ファイバ共振器コイル240は、ここでは「ファイバループ240」、「検出共振器240」とも称される。ファイバループ240は、少なくとも2つの光学ビームが対向して伝播する光ファイバである。ファイバループ240の出力は、RFOG10の回転速度を決定するのに用いられる。この実施形態の一実施例において、RFOG内に2つの光ファイバフィルタ105、106および2つのそれぞれのスレーブレーザー121、122だけがある。中空コア光ファイバフィルタ105、106、107は、それぞれ図1A、図1B、図2、図3に示される例示的な光ファイバフィルタ100、103、101、102とすることができる。この実施形態の他の実施例において、マスターレーザー200および3つのスレーブレーザー(SL)121、122、123は、半導体レーザーダイオードである。各レーザーの周波数ノイズは、中空コア光ファイバフィルタ105、106、107の使用により低減される。
【0046】
周波数安定化マスターレーザー200は、参照光学ビーム308を放射する。参照光学ビーム308は、低位相ノイズを備える(たとえばHz/√Hz未満)。光学ビーム308は、マスターレーザーとスレーブレーザーとの間でラジオ周波数(RF)ビート信号を生成するのに用いられ、これは、共振トラッキングサーボ251により決定される周波数分離で、スレーブレーザー121、122、123をマスターレーザー200にロックするために、位相ロックループ(PLL)250(ここでは「多レーザー周波数制御250」とも称される)により用いられる。これらのビート信号は、多レーザー周波数制御250に用いられ、これは、共振トラッキングサーボ251からフィードバックを受け取り、スレーブレーザー121、122、123の光学ビームの周波数を正確に制御する。
【0047】
スレーブレーザー121、122、123は、図2に示されるスレーブレーザー120と類似の構造および機能を備える。図4に示されるように、スレーブレーザー121は、参照光学ビーム308−1にロックされ、スレーブレーザー121は、第1周波数f=f+Δf−FSRの光を放射する。ここでfはマスターレーザー200の中心周波数であり、Δfは中心周波数fからの周波数オフセットであり、FSRは検出共振器240の自由スペクトル範囲である。自由スペクトル範囲(FSR)は、検出共振器240の隣接する共振ピーク間の周波数分離である。スレーブレーザー122は、参照光学ビーム380−2にロックされ、スレーブレーザー122は、第2周波数f=f+Δfの光を放射する。スレーブレーザー123は、参照光学ビーム308−3にロックされ、スレーブレーザー123は第3周波数f=f+Δf+FSRの光を放射する。
【0048】
中空コア光ファイバフィルタ105、106、107は、スレーブレーザー121、122、123から放射されるそれぞれの出力光学ビーム307−1、307−2、307−3が、それぞれの光ファイバフィルタ105、106、107に結合されるように構成される。中空コア光ファイバフィルタ105、106、107は、それぞれ、低ノイズ、コヒーレントな光学ビーム310−1、310−2、310−3を出力する。低ノイズ、コヒーレントな光学ビーム310−1、310−2、310−3は、それぞれ強度モジュレータ320−1、320−2、320−3に結合される。当業界で知られているように、光学ビームの周波数ノイズが減少すると、光学ビームのコヒーレンスは上昇する。
【0049】
ファイバ共振器コイル240(ファイバループ240)は、全体として符号241で表される第1コイル端部面、全体として符号242で表される第2コイル端部面を備える光ファイバである。中空コア光ファイバフィルタ105、107から出力される低ノイズ、コヒーレントな光学ビーム310−1、310−3は、それぞれの強度モジュレータ320−1、320−3を介してファイバ共振器コイル240の第1コイル端部面241に結合される。中空コア光ファイバフィルタ106から出力される低ノイズ、コヒーレントな光学ビーム310−2は、強度モジュレータ320−2を介してファイバ共振器コイル240の第2コイル端部面242に結合される。
【0050】
中空コア光ファイバフィルタ105、106、107は、それぞれ、第1端部面112および反対側の第2端部面114を備える中空コア光ファイバ110を有する。第1端部面112および第2端部面114は、それぞれ反射コーティング81、82に接触している。
【0051】
第1スレーブレーザー121から放射される光学ビーム307−1は、第1光ファイバフィルタ105の第1端部面112に結合される。第1の低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−1は、第1光ファイバフィルタ105の第2端部面114から出力され、(強度モジュレータ320−1、およびビームスプリッタ271、272(1−2)およびレンズ270−1を含む光学素子を介して)ファイバ共振器コイル240の第1コイル端部面241に結合される。当業者に理解されるように光学素子の他の結合構成も可能である。第1コイル端部面241においてファイバ共振器コイル240に結合される光学ビーム310−1の部分は、ファイバ共振器コイル2420を通って反時計回り(CCW)方向に伝播する。
【0052】
第2スレーブレーザー122から放射される光学ビーム307−2は、第2光ファイバフィルタ106の第1端部面112に結合される。第2の低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−2は、第2光ファイバフィルタ106の第2端部面114から出力され、(強度モジュレータ320−2、およびビームスプリッタ272(3−4)およびレンズ270−2を含む光学素子を介して)ファイバ共振器コイル240の第2コイル端部面242に結合される。第2コイル端部面242においてファイバ共振器コイル240に結合される光学ビーム310−2の部分は、ファイバ共振器コイル240を通って時計回り(CW)方向に伝播する。
【0053】
第3スレーブレーザー131から放射される光学ビーム307−3は、第3光ファイバフィルタ107の第1端部面112に結合される。第3の低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−3は、第3光ファイバフィルタ107の第2端部面114から出力され、(強度モジュレータ320−3、およびビームスプリッタ272(1−2)およびレンズ270−1を含む光学素子を介して)ファイバ共振器コイル240の第1コイル端部面241に結合される。第1コイル端部面241においてファイバ共振器コイル240に結合される光学ビーム310−3の部分は、ファイバ共振器コイル240を通って反時計回り(CCW)方向に伝播する。この実施形態の一実施例において、レンズ270(1−2)はボールレンズである。
【0054】
ファイバ共振器コイル240に結合される光は、レンズ270−1、270−2、およびビームスプリッタ272−2、272−5、272−4の通過により、ファイバ共振器コイル240内を複数回循環する。時計回り(CW)方向に伝播する光の一部(たとえば1%から20%)は、ビームスプリッタ272−5に反射されて検出器(PD1cw)261に入る。反時計回り(CCW)方向に伝播する光の一部(たとえば1%から20%)は、ビームスプリッタ272−5により反射されて検出器(PDccw)262に入る。検出器261、262において検出される光学パワーの量を示す情報は、共振器トラッキングサーボ251およびDCパワーサーボ254へ信号として送られる。共振トラッキングサーボ251は、複数レーザー周波数制御250に信号を送り、これは、必要に応じてスレーブレーザー121、122、123の光学ビームの周波数を、出共振器240の共振ピークに調整する。DCパワーサーボ254は、積分回路(Σ)281へ信号を送り、強度モジュレータ320−2を介して中空コア光ファイバフィルタ106から出力される光学ビーム310−2のパワーを調整する。この調整は、CW方向およびCCW方向におけるパワーをバランスさせるために行われ、カー効果に誘導されるキャビティ長差を最小化する。
【0055】
また、図4に示される例示的なRFOG10は、相対強度ノイズ(RIN)検出器(PD3)262を含み、これは、ビームスプリッタ258を介して強度モジュレータ320−3から光学ビーム310−3の一部(たとえば1%から10%)を受け取る。RIN検出器262は、ファイバ共振器コイル240の第1コイル端部面241への入力となる光学ビーム310−3の強度ノイズを測定する(光学ビーム310−1と組み合わせられる前に)。RIN検出器262からのRIN信号は、RINサーボ電子機器システム252への信号フィードバックを提供する。電子信号、RINサーボ電子機器システム252から強度モジュレータ320−3へ送られる電子信号は、強度モジュレータ320−3を通る入力光学ビーム310−3の全体の光強度を調整し、RINによる望ましくない強度の揺らぎを除去し、または実質的に減少させる。このようにして、RINサーボループは、強度モジュレータ320−3を通過した入力光学ビーム310−3の強度ノイズ、または、望まれない強度または振幅の変動を減少させるために用いられる。
【0056】
また、図4に示される例示的なRFOGは、相対強度ノイズ(RIN)検出器(PD4)257を含み、これは強度モジュレータ320−1からの光学ビーム310−1の一部(たとえば1%から10%)を受け取る。RIN検出器257は、ファイバ共振器コイル240の第1コイル端部面241への入力である光学ビーム310−1の強度ノイズを測定する(ビーム310−3と組み合わせられる前に)。RIN検出器257からのRIN信号は、RINサーボ電子機器システム254への信号フィードバックを提供する。RINサーボ電子機器システム254から強度モジュレータ320−1へ送られる電子信号は、強度モジュレータ320−1を通る入力光学ビーム310−1の全体の光強度を調整し、望まれないRINによる強度の揺らぎが除去され、または実質的に減少される。このようにして、RINサーボループは、強度モジュレータ320−1を通る入力光学ビーム310−1の強度ノイズ、または、または望まれない強度または振幅の変動を減少させるために用いられる。
【0057】
また、図4に示される例示的なRFOG10はRIN検出器(PD0)260を含み、これは、強度モジュレータ320−2からの光学ビーム310−2の一部(たとえば1%から10%)を受け取る。RIN検出器260からのRIN信号は、RINサーボ電子機器システム253へ信号フィードバックを提供する。RINサーボ電子機器システム253から強度モジュレータ320−2へ送られる電子信号は、強度モジュレータ320−2を通る入力光学ビーム310−2の全体の光強度を調整し、RINによる望まれない強度の揺らぎを除去し、または実質的に減少させる。このようにして、RINサーボループは、強度モジュレータ320−2を通る入力光学ビーム310−2の強度ノイズ、または、望まれない強度または振幅の変動を減少させるために用いられる。
【0058】
また、図4に示される例示的なRFOG10は、シリコン光学ベンチ(SiOB)150を含む。シリコン光学ベンチ150は、第1ファイバコイル端部面241と第2コイル端部面242を互いに光学的に整合させるために、シリコン光学ベンチ150の表面にエッチングされた溝295、296を含む。また、シリコン光学ベンチ150は、光学ビーム310−1、310−3をファイバ端部面241へ、ビーム310−2をファイバ端部面242へ整合および案内するために用いられる光学素子を位置決めするための特徴(たとえば、レンズ、ビームスプリッタ、および/またはミラーなど)を含む。ファイバ共振器コイル240の第1ファイバコイル端部面241は、シリコン光学ベンチ150の第1溝295内に位置決めされる。ファイバ共振器コイル240の第2コイル端部面242は、シリコン光学ベンチ150の第2溝296内に位置決めされる。溝295、296は、第2コイル端部面241および第2コイル端部面242が溝295、296に内に位置決めされたときに、ファイバ共振器コイル240の光ファイバのコアの中心が正確に光学ビーム310(1−3)に整合するような深さにエッチングされる。同様に、溝295、296は、第1コイル端部面241および第2コイル端部面242が互いに整合し、ファイバリング共振器キャビティを形成するような深さにエッチングされる。
【0059】
図5は、本発明による、ピグテール強度モジュレータ320−1(図4)に結合される、中空コア光ファイバフィルタ105の一実施形態のブロック図である。この実施形態において、端部面505を備えるファイバピグテール503は、入力ビーム310−1を強度モジュレータ320−1へ結合させるために連結される。ファイバピグテール503の端部面505は、シリコン基板151の溝152内に位置決めされる。第1ボールレンズ161および第2ボールレンズ162は、シリコン基板151のエッチング領域155内に位置決めされる。(反射端部キャップ40を含む)中空コア光ファイバフィルタ105の出力端は、シリコン基板151のエッチング領域153(第1エッチング領域153とも称される)内に位置決めされる。2つのボールレンズ161、162は、中空コア光ファイバフィルタ105の光学ビーム310−1の出力を、強度モジュレータ320−1のファイバピグテール503の端部面505へ結合させる。
【0060】
図5に示されるように、第1ボールレンズ161および第2ボールレンズ162は、それらの間を伝播する低ノイズ、コヒーレントな光学ビームをコリメートするように位置決めされる。この例示的な構成において、中空コア光ファイバフィルタ105から出力される光学ビーム310−1は、第1ボールレンズ161に結合し、コリメートされた光学ビーム310−1´として第1ボールレンズ161から出る。コリメートされた光学ビーム310−1´は、第2ボールレンズ162に入射する。第2ボールレンズ162は、強度モジュレータ320−1のファイバピグテール503の端部面505上に光学ビーム310−1´´として集光させる。この実施形態の一実施例において、光学素子(ビームスプリッタ272(1−2)など)は、コリメートされた光学ビーム310−1´内に位置決めされ、第1ボールレンズ161と第2ボールレンズ162との間に光310−1´を導く。そのような実施形態において、光を案内する素子を保持するための溝(シリコン光学ベンチ151には図示されていない)を備えるようにしてもよい。同様に、強度モジュレータ320−1の出力ファイバピグテール(図示せず)を、溝297(図4)内に配置し、シリコン光学ベンチ150(図4)上に配置されるビームスプリッタ271、272(1−2)およびレンズ270−1を介して入力ビーム310−1を共振器ファイバ端部面241に結合させることで、強度モジュレータ320−1からの出力をシリコン光学ベンチ150に結合することができる。
【0061】
シリコン基板(図示せず)を介して、中空コア光ファイバフィルタ106、107から出力される光学ビーム310−2、310−3をそれぞれ強度モジュレータ320−2、320−3のファイバピグテールに結合させるために、類似の構成が可能である。たとえば、第3ボールレンズ(図示せず)および第4ボールレンズ(図示せず)は、その間を伝播する、低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−2をコリメートするように構成することができる。この実施形態の一実施例において、中空コア光ファイバフィルタ105、106、107からの光学ビーム出力を強度モジュレータ320−1、320−2、320−3にそれぞれ整合させるように、また、強度モジュレータ320−1、320−2、320−3の出力をファイバ共振器コイル240に整合させるように、一体的なシリコン光学ベンチを用いることができる。
【0062】
この実施形態の他の実施例において、第2端部面114および中空コア光ファイバフィルタ105の第2反射端部キャップ41は、シリコン光学ベンチ150内のエッチング領域内に位置決めされる。第2端部面114および中空コア光ファイバフィルタ106の第2反射端部キャップ41は、シリコン光学ベンチ150内のエッチング領域298内に位置決めされる。第2端部面114および中空コア光ファイバフィルタ107の第2反射端部キャップ41は、シリコン光学ベンチ150内のエッチング領域299内に位置決めされる。シリコン光学ベンチ150内に形成されたエッチング領域297、298、299は、第2端部面114および第2反射端部キャップ41を安定的に保持するように形状付けられる。この場合、強度モジュレータ320−1、320−2、320−3は、シリコン光学ベンチ上に取り付けられ、光学ビーム310−1、310−2、310−3は、シリコン光学ベンチ150内のエッチング領域297、298、299に配置されるフィルタ端部キャップ41(図1参照)を出た後に、強度モジュレータ320−1、320−2、320−3に導入される。この後者の構成のいくつかの実施形態において、シリコン光学ベンチ150内のエッチング領域299に位置決めされる第3中空コア光ファイバフィルタ107は存在しない。
【0063】
シリコン光学ベンチ151および/または150は、光学素子(たとえば、第1ボールレンズ161、第2ボールレンズ162、ビームスプリッタ271、272(1−5)、および/またはレンズ270(1−2))を位置決めするための溝(たとえば溝297−299、152、および/またはエッチング領域155)を含み、少なくとも2つの中空コア光ファイバフィルタ(たとえば105−107)から出力される少なくとも2つの低ノイズ、コヒーレント光学ビーム(たとえば310(1−3))を、第1コイル端部面241および第2コイル端部面242へ、および、第1コイル端部面241と第2コイル端部面242との間に、整合させて案内する。シリコン光学ベンチ150上でファイバ共振器コイル240を収容することは、RFOG10の低コストの実装を提供する。
【0064】
図6は、本発明による、共振光ファイバジャイロスコープシステム10での使用のために、少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビームを生成するための方法600の一実施形態のフロー図である。方法600は、図1Aおよび図4を参照して説明される。しかし、他の結合構成のRFOGを使用できることを理解されたい。
【0065】
ブロック602において、マスターレーザー200から放射された光学ビーム308は、少なくとも1つのスレーブレーザー121を制御するために用いられる。少なくとも1つのスレーブレーザー121は、マスターレーザー200に位相ロックされる。3つのスレーブレーザー121、122、123は、共振トラッキングサーボ251により決定される周波数分離で、マスターレーザー200に位相ロックされる。図4に示されるように、第1スレーブレーザー121は、第1周波数f=f+Δf−FSRにロックされる。第2スレーブレーザー122は、第2周波数f=f+Δfにロックされる。第3スレーブレーザー122は第3周波数f=f+Δf+FSRでモードにロックされる。
【0066】
ブロック604において、少なくとも1つのスレーブレーザー121から放射された光学ビーム307は、それぞれ少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタ102に結合される。図4に示されるように、第1スレーブレーザー121から(第1周波数f=f+Δf−FSRで)放射される光学ビーム307−1は、第1中空コア光ファイバフィルタ105の第1端部面112に結合される。第2スレーブレーザー122から(第2周波数f=f+Δfで)放射される光学ビーム307−2は、第2中空コア光ファイバフィルタ106の第1端部面112に結合される。第3スレーブ123から(第3周波数f=f+Δf+FSR)放射される光学ビーム307−3は、第3中空コア光ファイバフィルタ107の第1端部面112に結合される。
【0067】
ブロック606において、少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレントビーム310は、それぞれ少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタ105から出力される。図4に示されるように、低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−1は、第1中空コア光ファイバフィルタ105の第2端部面114から出力される。低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−2は、第2中空コア光ファイバフィルタ106の第2端部面114から出力される。低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−3は、第3中空コア光ファイバフィルタ107の第2端部面114から出力される。
【0068】
ブロック608において、少なくとも1つの中空コア光学フィルタ105の第2端部面114から出力される少なくとも1つの低ノイズコヒーレント光学ビーム310−1は、回転速度に感度のある共振周波数を備えるファイバ共振器コイル240の2つのコイル端部面(第1コイル端部面241および第2コイル端部面242など)の少なくとも一方に結合される。図4に示されるように、第1中空コア光ファイバ105の第2端部面114から出力される低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−1は、強度モジュレータ320−1、および低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−1の出力を第1コイル端部面241に整合させて案内するように位置決めされる他の光学素子を介して、ファイバ共振器コイル240の第1コイル端部面241に結合される。
【0069】
同様に、図4は、第2中空コア光ファイバフィルタ106の第2端部面114から出力される低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−2が、強度モジュレータ320−2、および低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−2の出力が第2コイル端部面242に整合し案内されるように位置決めされる他の光学素子を介して、ファイバ共振器コイル240の第2端部面114に結合されることを示している。
【0070】
同様に、図4は、第3中空コア光ファイバフィルタ107の第2端部面114から出力される低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−3が、強度モジュレータ320−3、および低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−3の出力が第1コイル端部面241に整合し案内されるように位置決めされる他の光学素子を介して、ファイバ共振器コイル240の第1コイル端部面241に結合されることを示している。この実施形態の一実施例において、第3スレーブレーザー123はなく、また、RFOGシステム10において中空コア光ファイバフィルタ107はない。
【0071】
この実施形態の一実施例において、第1コイル端部面241は、シリコン光学ベンチ150内の第1溝295内に位置決めされ、第2コイル端部面242は、シリコン光学ベンチ150内の第2溝295内に位置決めされる。
【0072】
この実施形態の他の実施例において、第1低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−1は、シリコン光学ベンチ150の第1エッチング領域155(図5)内に位置決めされる少なくとも1つのボールレンズ161を介して、シリコン光学ベンチ150内の第1溝295内に位置決めされる第1コイル端部面241に結合される。第2低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−2は、シリコン光学ベンチ150内の第2エッチング領域(たとえば図4にしめされるエッチング領域298)内に位置決めされる少なくとも1つのボールレンズ161を介して、シリコン光学ベンチ150内の第2溝296内に位置決めされる第2コイル端部面242に結合される。第3低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−3は、シリコン光学ベンチ150の第3エッチング領域(たとえば図4に示されるエッチング領域299)内に位置決めされる少なくとも1つのボールレンズ161を介して、シリコン光学ベンチ150内の第1溝295内に位置決めされる第1コイル端部面241に結合される。後者の構成のいくつかの実施形態において、第3低ノイズ、コヒーレント光学ビーム310−3はなく、また、第3エッチング領域299内に位置決めされるボールレンズ161はない。
【0073】
このようにして、高価でないRFOGシステムは、低コストの半導体レーザーダイオードを使用し、光学フィルタリングを改善し(中空コア光ファイバフィルタの使用により)、レーザーダイオードの位相ノイズを低減し、低コストRFOGシステムは改良された性能を備える。この実施形態の一実施例において、中空コア光ファイバフィルタ100−107は、単一レーザーおよび周波数シフタを含むシステムで用いられる。
【0074】
例示的な実施形態
例1は、第1端部面および反対側の第2端部面を備える中空コア光ファイバを有する中空コア光ファイバフィルタを含む。第1端部面および第2端部面はファイバ長を設定する。中空コア光ファイバフィルタは、第1端部面に位置決めされる第1反射端部キャップと、第2端部面に位置決めされる第2反射端部キャップを含む。レーザーからの光学ビームが、第1端部または第2端部の一方に結合されると、反対側の端部から出力される光学ビームは、狭いライン幅および低周波数ノイズ揺らぎを備える。
【0075】
例2は、例1のフィルタを含む。第1反射端部キャップは第1反射表面を含み、第2反射端部キャップは第2反射表面を含む。レーザーからの光学ビームが第1端部面または第2端部面の一方に結合されると、第1反射表面と第2反射表面との間に共振キャビティが形成される。
【0076】
例3は例1−2の任意のフィルタを含む。第1反射端部キャップは第1反射率を備える第1反射表面と、第1反射面の反対側の第1抗反射表面とを含む。第2反射端部キャップは、第2反射率を備える第2反射表面と、第2反射表面の反対側の第2抗反射表面とを含む。レーザーからの光学ビームが第1端部面または第2端部面の一方に結合されると、第1反射表面と第2反射表面との間に共振キャビティが形成される。
【0077】
例4は例1のフィルタを含む。第1反射端部キャップは第1傾斜端部キャップであり、第1反射率を備える第1表面と第2表面とを含む。第1傾斜端部キャップの第2表面および第2表面は第1鋭角で交差する平面内にある。第2反射端部キャップは第2傾斜端部キャップであり、第2反射率を備える第1表面と第2表面とを含む。第2傾斜端部キャップの第1表面および第2表面は、第2鋭角で交差する平面内にある。レーザーからの光学ビームが第1端部面または第2端部面の一方に結合されると、第1傾斜端部キャップの第1表面と、第2傾斜端部キャップの第1表面との間に共振キャビティが形成される。
【0078】
例5は、例4のフィルタを含む。第1傾斜端部キャップの第2表面は、抗反射コーティングでコートされ、第2傾斜端部キャップの第2表面は抗反射コーティングでコーティングされる。
【0079】
例6は、例1−5の任意のフィルタを含む。ファイバ長、第1反射端部キャップの第1反射率、第2反射端部キャップの第2反射率、中空コア光ファイバフィルタのモード場サイズ、および中空コア光ファイバの開口数は、中空コア光ファイバフィルタ内の非線形効果の生成を防止するように選択される。
【0080】
例7は、共振器光ファイバジャイロスコープシステムで使用するための、少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビームを生成する方法を含む。この方法は、少なくとも1つのスレーブレーザーをマスターレーザーに位相ロックすること、少なくとも1つのスレーブレーザーから放射される光学ビームをそれぞれ少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタの第1端部面に結合させること、を含む。それぞれの少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビームは、少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される。この方法は、少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される低ノイズ、コヒーレント光学ビームを、ファイバ共振器コイルtの2つのコイル端部面の少なくとも一方に結合させることを含む。
【0081】
例8は、共振器光ファイバジャイロスコープシステムで使用するための、少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビームを生成する方法を含む。この方法は、少なくとも1つのスレーブレーザーをマスターレーザーに位相ロックすること、少なくとも1つのスレーブレーザーから放射される光学ビームを、それぞれの少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタの第1端部面に結合させること、を含む。少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタは例1−6により構成される。それぞれの少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビームは、少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される。この方法は、少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビームを、ファイバ共振器コイルの2つのコイル端部面の少なくとも一方に結合させる。
【0082】
例9は、例7−8の任意の方法を含む。少なくとも1つのスレーブレーザーは、第1スレーブレーザーおよび第2スレーブレーザーを含み、少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタは、第1中空コア光ファイバフィルタを含む。第1端部面は、第1反射端部キャップ上の反射コーティングに接触し、第2端部面は第2反射端部キャップ上の反射コーティングに接触する。少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタは、第2中空コア光ファイバフィルタを含み、第1端部面は第3反射端部キャップ上の反射コーティングに接触し、第2端部面は、第4反射端部キャップ上の反射コーティングに接触する。この方法はさらに、第1スレーブレーザーから出力される光学ビームを第1中空コア光ファイバフィルタの第1端部面に結合させることを含み、第1低ノイズ、コヒーレント光学ビームは、第1中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される。この方法はさらに、第2スレーブレーザーから出力される光学ビームを、第2中空コア光ファイバフィルタの第1端部面に結合させることを含み、第2低ノイズ、コヒーレント光学ビームは、第2中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される。
【0083】
例10は、例9の方法を含む。少なくとも1つのスレーブレーザーはさらに、第3スレーブレーザーを含み、少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタはさらに、第3中空コア光ファイバフィルタを含む。第3中空コア光ファイバフィルタの第1端部面は、第5反射端部キャップの反射コーティングに接触し、第3中空コア光ファイバフィルタの第2端部面は、第6反射端部キャップ上の反射コーティングに接触する。この方法はさらに、第3スレーブレーザーから出力される光学ビームを、第3中空コア光ファイバフィルタの第1端部面に結合させることを含み、第3低ノイズ、コヒーレント光学ビームは第3中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される。この方法はさらに、第3低ノイズ、コヒーレント光学ビームをファイバ共振器コイルの第1コイル端部面に結合させることを含む。
【0084】
例11は、例7−10の任意の方法を含み、さらに、第1低ノイズ、コヒーレント光学ビームをファイバ共振器コイルの第1コイル端部面に結合させることを含み、また、第2低ノイズ、コヒーレント光学ビームをファイバ共振器コイルの第2コイル端部面に結合させることを含む。
【0085】
例12は、例11の方法を含み、さらに、第1コイル端部面を、シリコン光学ベンチ内の第1溝内に位置決めすることを含み、また、第2コイル端部面を、シリコン光学ベンチの第2溝内に位置決めすることを含む。
【0086】
例13は、例11−12の任意の方法を含み、さらに、第1中空コア光ファイバフィルタの第2端部面および第2反射端部キャップを、シリコン光学ベンチの第1エッチング領域内に位置決めすることを含み、また、第2中空コア光ファイバフィルタの第2端部面および第4反射端部キャップを、シリコン光学ベンチの第2エッチング領域内に位置決めすることを含む。
【0087】
例14は、例11−13の方法を含む。第1低ノイズ、コヒーレント光学ビームをファイバ共振器コイルの第1コイル端部面に結合させることは、第1低ノイズ、コヒーレント光学ビームを、シリコン光学ベンチの第1エッチング領域に位置決めされた少なくとも1つのボールレンズを介して、シリコン光学ベンチの第1溝内に位置決めされた第1コイル端部面に結合させることを含む。第2低ノイズ、コヒーレント光学ビームをファイバ共振器コイルの第2端部面に結合することは、第2低ノイズ、コヒーレント光学ビームを、シリコン光学ベンチの第2エッチング領域内に位置決めされた少なくとも1つのボールレンズを介して、シリコン光学ベンチの第2溝内に位置決めされた第2コイル端部面に結合させることを含む。
【0088】
例15は、例14の方法を含む。シリコン光学ベンチの第1エッチング領域内に位置決めされた少なくとも1つのボールレンズは、第1ボールレンズおよび第2ボールレンズを含む。また、シリコン光学ベンチの第2エッチング領域内に位置決めされた少なくとも1つのボールレンズは、第3ボールレンズおよび第4ボールレンズを含む。この方法はさらに、第1ボールレンズおよび第2ボールレンズを、その間を伝播する低ノイズ、コヒーレント光学ビームをコリメートするように位置決めすることを含み、また、第3ボールレンズおよび第4ボールレンズを、その間を伝播する低ノイズ、コヒーレント光学ビームをコリメートするように位置決めすることを含む。
【0089】
例16は、共振器光ファイバジャイロスコープを含み、低位相ノイズを備える参照光学ビームを放射する周波数安定化マスターレーザー、少なくとも2つのスレーブレーザーを含み、参照光学ビームが少なくとも2つのスレーブレーザーのそれぞれを制御するように構成される。共振器光ファイバジャイロスコープはさらに、少なくとも2つの中空コア光ファイバフィルタを含み、少なくとも2つのスレーブレーザーから放射される光学ビームがそれぞれの中空コア光ファイバフィルタに結合されるように構成される。低ノイズ、コヒーレント光学ビームは、それぞれの中空コア光ファイバフィルタから出力される。共振器光ファイバジャイロスコープは、第1コイル端部面および第2コイル端部面を備えるファイバ共振器コイルを含む。少なくとも2つの中空コア光ファイバフィルタの1つから出力される光学ビームは、ファイバ共振器コイルの第1コイル端部面に結合され、少なくとも2つの中空コア光ファイバフィルタの他の1つから出力される光学ビームは、ファイバ共振器コイルの第2コイル端部面に結合される。
【0090】
例17は、例16の共振器光ファイバジャイロスコープを含む。少なくとも2つの中空コア光ファイバフィルタはそれぞれ、第1端部面および反対側の第2端部面を備える中空コア光ファイバを有し、第1端部面および第2端部面はファイバ長を設定し、第1端部面は、第1反射端部キャップ上の第1反射コーティングに接触し、第2端部面は、第2反射端部キャップ上の第2反射コーティングに接触する。ファイバ長、第1反射端部キャップ上の第1反射コーティング、第2反射端部キャップ上の第2反射コーティング、中空コア光ファイバのモード場サイズ、および中空コア光ファイバの開口数は、少なくとも2つの中空コア光ファイバフィルタの中空コア光ファイバ内の非線形効果の発生を防止するように選択される。
【0091】
例18は、例16−17の任意の共振器光ファイバジャイロスコープを含む。第1スレーブレーザーから出力される光学ビームは、第1中空コア光ファイバフィルタの第1端部面に結合される。第1中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される第1低ノイズ、コヒーレント光学ビームは、ファイバ共振器コイルの第1コイル端部面に結合される。第2スレーブレーザーから放射される光学ビームは、第2中空コア光ファイバフィルタの第1端部面に結合される。第2中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される第2低ノイズ、コヒーレント光学ビームは、ファイバ共振器コイルの第2コイル端部面に結合される。
【0092】
例19は、例16−18の任意の共振に光ファイバジャイロスコープを含む。第3スレーブレーザーから放射される光学ビームは、第3中空コア光ファイバフィルタの第1端部面に結合される。第3中空コア光ファイバフィルタの第2端部面から出力される第3低ノイズ、コヒーレント光学ビームは、ファイバ共振器コイルの第1コイル端部面に結合される。
【0093】
例20は、例16−19の任意の共振器光ファイバジャイロスコープを含み、さらに、少なくとも2つの中空コア光ファイバフィルタから出力される低ノイズ、コヒーレント光学ビームを、第1コイル端部面および第2コイル端部面に整合させ、案内するように構成される光学素子を位置決めするための溝を含むシリコン光学ベンチを有する。
【0094】
例21は、例20の共振器光ファイバジャイロスコープを含む。光学素子は、シリコン光学ベンチの少なくとも1つのエッチング領域に位置決めされる少なくとも1つの光学的に透明なボールレンズを含む。
【0095】
添付の特許請求の範囲により画定される本発明の多数の実施形態が説明された。しかし、特許請求される発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明された実施形態を様々な修正することができることを理解されたい。したがって、他の実施形態は添付の特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空コア光ファイバフィルタ(100)であって、
第1端部面(112)および反対側の第2端部面(114)を備える中空コア光ファイバ(110)を有し、前記第1端部面および前記第2端部面はファイバ長(L)を設定し、
前記中空コア光ファイバフィルタ(100)はさらに、前記第1端部面に位置決めされる第1反射端部キャップ(40)と、
前記第2端部面に位置決めされる第2反射端部キャップ(41)と、を有し、
レーザー(201)からの光学ビーム(300)は、前記第1端部面または前記第2端部面の一方に結合され、反対の端部面から出力される光学ビーム(310)は、狭いライン幅および低い周波数ノイズ揺らぎを備え、前記第1反射端部キャップ(40)は第1反射表面(81)を含み、前記第2反射端部キャップ(41)は第2反射表面(82)を含み、前記レーザー(201)からの前記光学ビーム(300)が前記第1端部面(112)または前記第2端部面(114)の一方に結合されるとき、前記第1反射表面と前記第2反射表面との間に共振キャビティが形成される、中空コア光ファイバフィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ(101)であって、前記第1反射端部キャップ(42)は、
第1反射率(R)を備える第1反射表面(87)と、
前記第1反射表面の反対側の抗反射表面(83)と、を有し、
前記第2反射端部キャップ(43)は、
第2反射率(R)を備える第2反射表面(85)と、
前記第2反射表面の反対側の第2抗反射表面(84)と、を有し、
前記レーザー(201)からの前記光学ビーム(300)が前記第1端部面または前記第2端部面の一方に結合するとき、前記第1反射表面と前記第2反射表面との間に共振キャビティが形成される、フィルタ。
【請求項3】
請求項1に記載の中空コア光ファイバフィルタ(100)を用いる共振器光ファイバジャイロスコープシステムで用いるための、少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビーム(310)を生成する方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのスレーブレーザー(121)をマスターレーザー(200)に位相ロックするステップと、
前記少なくとも1つのスレーブレーザーから放射される光学ビーム(307)を、前記少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタ(102)のそれぞれの第1端部面に結合させるステップと、を有し、それぞれの少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビーム(310−1)は、前記少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタ(105)の第2端部面(114)から出力され、
前記方法はさらに、前記少なくとも1つの中空コア光ファイバフィルタの前記第2端部面から出力される前記少なくとも1つの低ノイズ、コヒーレント光学ビームを、ファイバ共振器コイル(240)の2つのコイル端部面(241)の少なくとも1つに結合される、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−252001(P2012−252001A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−119218(P2012−119218)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】