説明

光学干渉性を有する光輝材およびそれからなる塗料、化粧品

【課題】 優れた光干渉性を発現し、しかも従来にない鮮やか色相を呈し、特に化粧品、塗料に適した光輝材を提供する。
【解決手段】 扁平横断面を有し屈折率の異なる少なくとも2種の重合体が該偏平横断面の長軸方向と並行に積層されている光干渉性繊維を切断してなる光輝材とし、該光輝材のL*C*h*表色系による彩度C*を8.5以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率の異なる少なくとも2種の重合体が扁平断面の長軸方向と並行に積層されている、扁平状の光干渉性繊維からなる光輝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料や化粧品に使用する光輝材として様々なものが提案されており、特許文献1〜3には、光干渉性を有する繊維を短く切断して粉末状としたものが開示されている。
しかし、化粧品や塗料などの分野においては、他の着色材や充填材を混合して用いられることが多い。また、化粧品、例えばファンデーションやマニキュアでは、ベースの化粧品を塗った後、光輝材を含有する化粧品を付与したり、あるいは、逆に光輝材を含有する化粧品を付与した後、トップの化粧品組成物を付与することが一般に行われている。さらに塗料においても、上塗りや下塗りがされる場合がある。
したがって、上記のようなさまざまなケースに対応し、光干渉による色彩効果を際立たせるため、より鮮やかな色相を呈する光輝材が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−124748号公報
【特許文献2】特表2004−519429号公報
【特許文献3】特表2004−523487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記背景技術を鑑みなされたもので、その目的は、優れた光干渉性を発現し、しかも従来にない鮮やか色相を呈し、特に化粧品、塗料に適した光輝材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者が、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、特定の触媒を用いて重合した重合体を光干渉性繊維に用いたような場合、光干渉性繊維の彩度が著しく向上しており、かかる繊維を特に化粧品や塗料に用いたとき格段に鮮やかな色相を呈し、従来にない優れた光干渉効果を発揮することを見出した。
【0006】
かくして、本発明によれば、扁平横断面を有し屈折率の異なる少なくとも2種の重合体が該偏平横断面の長軸方向と並行に積層されている光干渉性繊維を切断してなる光輝材であり、該光輝材のL*C*h*表色系による彩度C*が8.5以上であることを特徴とする光干渉機能を有する光輝材が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光輝材によれば、優れた光干渉性を発現し、しかも従来にない鮮やかな色相を有し、化粧品や塗料に用いて優れた色彩効果を発揮することができる。このため、化粧品や塗料に他の着色剤や充填材が含有されていても、また、化粧品に含有して用いた際、ベースやトップの化粧品組成物と併用しても、その優れた色彩効果を維持できるといった効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の光輝材は、扁平横断面を有し、屈折率の異なる少なくとも2種の重合体が該偏平横断面の長軸方向と並行に積層されている光干渉性繊維を切断してなる光輝材である。
上記光輝材の切断長は好ましくは0.01〜1000mmであり、より好ましくは0.01〜100mmである。
【0009】
図1および図2は、光干渉性繊維の断面形態を模式的に示した図である。該図から明らかなように、光干渉性繊維の断面は扁平横断面を有しており、かつ、2種の重合体が扁平横断面の長軸方向と並列に積層されており、これによって光干渉に有効な、広い面積を構成している。
【0010】
本発明においては、屈折率の異なる重合体を積層するが、該重合体は次のような組み合わせとするのが好ましい。一般に重合体の屈折率は1.30〜1.82の範囲にあり、そのうち汎用重合体では1.35〜1.75の範囲にある。この中から高屈折率側の重合体成分の屈折率をnとし、低屈折率側の重合体成分の屈折率をnで表したとき、両重合体の屈折率の比n/nが1.02〜1.40の範囲となるものを選べばよい。
【0011】
本発明においては、光輝材のL*C*h*表色系での彩度C*が8.5以上である事が肝要であり、これにより、化粧品や塗料などに用いた場合、従来にない鮮やかな色調と光干渉子効果を発現できる。
【0012】
かかる高い彩度を有する光輝材とするには、上記重合体のうち、少なくとも1種を、チタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルであり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分であり、該リン化合物が後述する一般式(III)で表される化合物とすることによって達成できる。
【0013】
この本発明で用いられる、重縮合反応に触媒として用いられるチタン化合物成分は、最終製品の触媒に起因する異物を低減する観点から、ポリマー中に可溶なチタン化合物であることが必要であり、該チタン化合物成分としては、下記一般式(I)で表される化合物、若しくは一般式(II)で表される化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物である必要がある。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
ここで、一般式(I)で表されるチタンアルコキシドとしては、具体的にはテトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、及びヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0017】
また、本発明の該チタンアルコキシドと反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0018】
上記チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタンアルコキシドを滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
【0019】
ここで、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタンアルコキシドの割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがあり、逆にチタンアルコキシドの割合が低すぎると重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0020】
本発明で用いられる重縮合用の触媒系は、上記のチタン化合物成分と、下記一般式(III)により表されるリン化合物とを含むものであり、両者の未反応混合物から実質的になるものである。
【0021】
【化3】

【0022】
上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボエトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボプロトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボブトキシフェニルメタンホスホン酸等のホスホン酸誘導体のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類、ジブチルエステル類等から選ばれることが好ましい。
【0023】
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。また、一般式(III)のリン化合物を含む触媒系に多量に安定剤を添加しても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調を不良化することが無い。
【0024】
本発明では、上記のチタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒が、下記数式(1)及び(2)を同時に満足するものである必要がある。
【数1】

【0025】
ここで、(P/Ti)は1以上15以下であるが、2以上15以下であることが好ましく、さらには10以下であることが好ましい。この(P/Ti)が1未満の場合、ポリエステルの色相が黄味を帯びたものであり、好ましくない。また、(P/Ti)が15を越えるとポリエステルの重縮合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
【0026】
一方、(Ti+P)は10以上100以下であるが、20以上70以下であることがより好ましい。(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が100を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。上記式中、Tiの量としては2〜15ミリモル%程度が適当である。
【0027】
本発明で用いられているポリエステルポリマーは、上記のチタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリマーであるが、本発明においては、芳香族ジカルボキシレートエステルが、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなるジエステルであることが好ましい。
【0028】
ここで芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸を主とすることが好ましい。より具体的には、テレフタル酸が全芳香族ジカルボン酸を基準として70モル%以上を占めていることが好ましく、さらに該テレフタル酸は、全芳香族ジカルボン酸を基準として80モル%以上を占めていることが好ましい。ここでテレフタル酸以外の好ましい芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0029】
もう一方の脂肪族グリコールとしては、アルキレングリコールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールを用いることができるが、特にエチレングリコールであることが好ましい。
【0030】
本発明ではポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることが特に好ましい。ここでポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールからなるエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルであることも好ましい。ここで「主たる」とは該エチレンテレフタレート繰り返し単位がポリエステル中の全繰り返し単位を基準として70モル%以上を占めていることをいう。
【0031】
また本発明で用いるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなる主たる繰り返し単位以外に、酸成分またはジオール成分としてポリエステルを構成する成分を共重合した、共重合ポリエステルとしてもよい。
【0032】
共重合する成分としては、酸成分として、上記の芳香族ジカルボン酸はもちろん、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などの二官能性カルボン酸成分又はそのエステル形成性誘導体を原料として使用することができる。また、共重合するジオール成分としては上記の脂肪族ジオールはもちろん、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
【0033】
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として共重合させ使用することができる。
これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明においては、上記のような芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなる芳香族ジカルボキシレートエステルが用いられるが、この芳香族ジカルボキシレートエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとのジエステル化反応により得ることもできるし、あるいは芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルと脂肪族グリコールとのエステル交換反応により得ることもできる。ただし、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料とし、エステル交換反応を経由する方法とした方が、芳香族ジカルボン酸を原料としジエステル化反応させる方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0035】
さらに、チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒との二つの触媒として兼用させることが好ましい。このようにすることにより、最終的にポリエステル中のチタン化合物の含有量を低減することができる。ポリエチレンテレフタレートの例で、さらに具体的に述べると、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応を、下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド、及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むチタン化合物成分の存在下に行い、このエステル交換反応により得られた、芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールとのジエステルを含有する反応混合物に、更に下記一般式(III)により表されるリン化合物を添加し、これらの存在下に重縮合することが好ましい。
【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
なお、該エステル交換反応を行う場合には通常は常圧下で実施されるが、0.05〜0.20MPaの加圧下に実施すると、チタン化合物成分の触媒作用による反応が更に促進され、かつ副生物のジエチレングリコールが大量に発生することもないので、熱安定性などの特性が更に良好なものとなる。温度としては160〜260℃が好ましい。
【0040】
また、本発明において、芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸である場合には、ポリエステルの出発原料としてテレフタル酸及びテレフタル酸ジメチルが用いられるが、その場合にはポリアルキレンテレフタレートを解重合することによって得られた回収テレフタル酸ジメチル又はこれを加水分解して得られる回収テレフタル酸を、ポリエステルを構成する全酸成分を基準として70重量%以上使用することもできる。この場合、前記ポリアルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、特に回収されたPETボトル、回収された繊維製品、回収されたポリエステルフィルム製品、さらには、これら製品の製造工程において発生するポリマー屑などをポリエステル製造用原料源とする再生ポリエステルを用いることは、資源の有効活用の観点から好ましいことである。
【0041】
ここで、回収ポリアルキレンテレフタレートを解重合してテレフタル酸ジメチルを得る方法には特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。また、上記、回収された、テレフタル酸ジメチルからテレフタル酸を回収する方法にも特に制限はなく、従来方法のいずれを用いてもよい。テレフタル酸に含まれる不純物については、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、安息香酸及びヒドロキシテレフタル酸ジメチルの含有量が、合計で1ppm以下であることが好ましい。また、テレフタル酸モノメチルの含有量が、1〜5000ppmの範囲にあることが好ましい。回収されたテレフタル酸と、アルキレングリコールとを直接エステル化反応させ、得られたエステルを重縮合することによりポリエステルを製造することができる。
本発明では、ポリエステルが上記のような再生ポリエステルであることがより好ましい。
【0042】
本発明で用いられるポリエステルの固有粘度は、0.40〜0.80の範囲にあることが好ましく、さらに0.45〜0.75、特に0.50〜0.70の範囲が好ましい。固有粘度が0.40未満であると、繊維の強度が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を越えると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0043】
本発明で用いるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタン、安定剤としての酸化防止剤は好ましく添加され、酸化チタンとしては、平均粒径が0.01〜2μmの酸化チタンを、最終的に得られるポリエステル組成物中に0.01〜10重量%含有させるように添加することが好ましい。
【0044】
また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤が好ましいが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は1重量%以下であることが好ましい。1重量%を越えると製糸時のスカムの原因となり得る他、1重量%を越えて添加しても溶融安定性向上の効果が飽和してしまう為好ましくない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は0.005〜0.5重量%の範囲が更に好ましい。またこれらヒンダードフェノール系酸化防止とチオエーテル系二次酸化防止剤を併用して用いることも好ましく実施される。上記酸化防止剤のポリエステルへの添加方法は特に制限はないが、好ましくはエステル交換反応、またはエステル化反応終了後、重合反応が完了するまでの間の任意の段階で添加する方法が挙げられる。
【0045】
さらに、繊維を構成する重合体において、上記のポリエステル以外の重合体、すなわち、上記ポリエステルと組合せて光干渉性を発現する重合体としては、ポリアミド、ポリオレフィンなどがあげられる。中でもポリアミドが好ましい。
【0046】
本発明においては、繊維の扁平率は2.0〜15.0の範囲が好ましく、2.5以上、さらには3.0以上と大きい方がより好ましい。ここで扁平率は、扁平断面の長軸の長さWと短軸の長さTとの比W/Tで表した値である。また、図2に示したように、扁平断面の外層部に非積層領域を形成しているときは、扁平率はその外層部も含めて算出する。扁平率の上限については、その値が15.0を越えると、過度に薄平な形状となるため、扁平断面を保ち難くなり、一部が断面内で折れ曲がる等の懸念も出てくる。この点から、扱いやすい扁平率は高々15であり、特に10.0以下が好ましい。
【0047】
繊維における重合体の積層数は、光学干渉理論によれば、層の厚みが全て基準の厚さに等しいときには、高々10層もあれば得られる干渉光量は飽和状態に達し、それ以上層数を増やすことは繊維成形の工程を複雑困難にするだけとなってしまう。ところが、扁平率を2.0以上とすると、各積層単位の厚みにゆらぎが生じやすくなり、積層数を15以上にしないと、干渉光量が不十分な場合も生じる。よって、積層数は15以上が好ましい。さらに、扁平率を4.0、5.0と大きくすればするほど、積層数は多い方が好ましく、20層以上、25層以上がより好ましい。この積層数は多い方が前記厚みのゆらぎを補償して干渉性を高めることができるが、その製造技術の難しさ、特に紡糸口金の複雑さ、溶融ポリマー流れのコントロールの点から、扱いやすいのは50層までである。それを越えると、また積層の厚みのゆらぎ幅が広がり、積層を増しただけの効果を得にくくなるので、実用的には80層以下とするのが好ましい。
【0048】
本発明の光輝材は、化粧品、特に、顔およびヒトの体の皮膚、唇ならびに爪、まつ毛または髪などの表層成長部のための化粧品(以下、化粧品組成物と称することがある)に含有させて用いることができる。
【0049】
光輝材は、化粧品組成物中に、該組成物の全量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは、0.3〜20重量%の範囲で含有させることができる。
【0050】
さらに具体的には、肌用の製品(ファンデーション)、頬またはアイシャドーのためのメイクアップ製品、リップ製品、コンシーラー、頬紅、マスカラ、アイライナー、まゆ毛のためのメイクアップ製品、リップまたはアイ・ペンシル、爪用製品、体用のメイクアップ製品、髪のためのメイクアップ製品(ヘア・マスカラまたはヘア・スプレー)などをあげることができる。これらの化粧品組成物は、ケラチン物質に付与するためのように使用することができるか、ケラチン物質の上に既に堆積しているメイクアップの上に、例えば、メイクアップを改質するために使用することができる(組成物を、通常トップ・コートと称されるトップ製品として付与する)。
【0051】
化粧品組成物は、付け爪、付けまつ毛、人工頭髪、かつら、皮膚または唇に付着しているパステルまたはパッチ(つけボクロタイプのもの)などのメイクアップ・アクセサリ(支持体)の上に付与することもできる。
この際、本発明の光輝材は、親水性媒体または親油性媒体に含有させ、化粧品組成物とすることができる。
【0052】
上記化粧品組成物、あるいはそのベース(下地用)組成物および/またはトップ組成物には、水または、水とアルコールなどの親水性有機溶剤、特にエタノール、イソプロパノールまたはn−プロパノールなどの2〜5個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖低級モノアルコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリオールとの混合物を含んでよい。また、親水性相は、親水性であるCエーテルおよびC〜Cアルデヒドを含有してもよい。水または、水と親水性有機溶剤との混合物は、本発明による組成物あるいはベースおよび/またはトップ組成物のうち少なくとも一方中に、組成物の全重量に対して、0〜90重量%(特に、0.1〜90重量%)、好ましくは0〜60重量%(特に、0.1〜60重量%)の範囲の量で含有してよい。
【0053】
化粧品組成物あるいはベースおよび/またはトップ組成物のいずれかには、特に、室温(通常は25℃)で液体である脂肪物質および/またはろうなどの室温で固体である脂肪物質、ペースト状脂肪物質、ゴムおよびこれらの混合物からなる脂肪相を含んでいてもよい。さらに、この脂肪相は、親油性有機溶剤を含有してよい。
【0054】
上記祖化粧品で使用することができる、一般にオイルと称される室温で液体である脂肪物質として、ペルヒドロスクアレンなどの動物由来の炭化水素油、ヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリドなどの4〜10個の炭素原子を有する脂肪酸の液体トリグリセリドまたはヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、ブドウ種子油、ゴマ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油およびアボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、ホホバ油、シアバターなどの植物性炭化水素油、パラフィン油およびその誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、パーリーム(parleam)などの水素化ポリイソブテンなどの鉱物または合成由来の直鎖または分枝鎖炭化水素、例えば、パーセリン油(Purcellin oil)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−オクチルドデシル、エルカ酸2−オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリルなどの、特には脂肪酸の合成エステルおよびエーテル、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、脂肪族アルコールのヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、デカン酸エステル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールなどのポリオールエステル、およびペンタエリトリトールエステル、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールなどの12〜26個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、部分的に炭化水素−および/またはシリコーンベースのフッ素化オイル、フェニルトリメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ポリメチルフェニルシロキサンなどの場合によってフェニル基を有するシクロメチコン(cyclomethicone)、ジメチコンなどの揮発性か、あるいは、直鎖または環式で、室温で液体またはペースト状であるポリメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーンオイル、および、これらの混合物を挙げることができる。
これらのオイルは、組成物の全重量に対して、0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜85重量%の範囲で含有してもよい。
【0055】
化粧品組成物、あるいはベースおよび/またはトップ組成物のいずれかは、1種または複数の化粧品的に許容される有機溶剤を含有してもよい(許容しうる許容性、毒性および感触)。これらの溶剤は、組成物の全重量に対して、0〜90重量%、好ましくは0〜60重量%、さらに好ましくは0.1〜30重量%の範囲で含有してよい。
【0056】
本発明の組成物中で使用することができる溶剤として、酢酸メチル、エチル、ブチル、アミル、2−メトキシエチルまたはイソプロピルなどの酢酸エステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、5〜10個の炭素原子を有するアルデヒド、少なくとも3個の炭素原子を有するエーテル、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0057】
さらに、本発明の組成物あるいはベースおよび/またはトップ組成物のいずれかには、ゴムまたはろうなどの、室温で固体またはペースト状の脂肪物質を含んでよい。ろうは、炭化水素ベース、フッ素化物ベースおよび/またはシリコーンベースであってよく、植物、鉱物、動物または合成由来であってよい。特に、ろうは、25℃より高い、さらに好ましくは、45℃より高い融点を有するものが好ましい。
【0058】
本発明で使用できる「ろう」としては、蜜蝋、カルナウバろうまたはカンデリラろう、パラフィン、微結晶ろう、セレシンろうまたはオゾケライト、ポリエチレンまたはフィッシャー−トロプシュろう、16から45個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシジメチコーンなどのシリコーンろうなどの合成ろうを挙げることができる。
【0059】
ゴムは通常、高分子量のポリジメチルシロキサン(PDMS)またはセルロースゴムまたは多糖類であり、ペースト状の物質は通常、ラノリンおよびその誘導体またはPDMSなどの炭化水素化合物である。
【0060】
固体物質の性質および品質は、所望の機械的特性および手触りに左右される。これらは化粧品組成物の全重量に対して、0〜50重量%、好ましくは1〜30重量%のろうを含有すればよい。
【0061】
さらに、化粧品組成物、あるいはベースおよび/またはトップ組成物のいずれかは、被膜形成ポリマーを含有してもよい。本発明において、「被膜形成ポリマー」とは、単独で、または被膜形成助剤の存在下で、連続的かつ付着性の被膜を支持体、特に、ケラチン物質上に被膜をつくるポリマーをいう。
【0062】
被膜形成ポリマーは、ビニルポリマー、重縮合物またはポリマーまたは天然由来から選択することができる。被膜形成ポリマーとして特に、アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、セルロースポリマーを挙げることができる。被膜形成ポリマーは、溶解するか、組成物の生理学的に許容される媒体中に固体粒子の形で分散させることができる。
【0063】
被膜形成ポリマーは、本発明による組成物あるいはベースおよび/またはトップ組成物のいずれかに、組成物の全重量に対して、0.01〜60重量%、好ましくは0.5〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%の範囲で含有させてもよい。
【0064】
被膜形成ポリマーを、被膜形成助剤と組み合わせることができる。このような被膜形成剤は、公知の化合物から選択することができ、特に、可塑剤および融合助剤から選択することができる。
【0065】
化粧品組成物、あるいはベースおよび/またはトップ組成物の一方は、特に、懸濁液、分散液、溶液、ゲル、特に水中油型(O/W)または油中水型(W/O)のエマルション、または多重(W/O/Wまたはポリオール/O/WまたはO/W/O)エマルションの形、クリーム、ペースト、フォーム、特にイオン性または非イオン性脂質中のベシクルの分散液、2相または多相ローション、スプレー、パウダー、ペースト、特に軟性ペースト(特に、円錐/平面幾何での測定の10分後に、200s−1のせん断速度で、0.1から40Pa.s程度の25℃での動的粘度を有するペースト)の形状であってもよい。組成物は、有機、特に無水の連続相を含んでいてもよい。
【0066】
上記の化粧品組成物、あるいはベースおよび/またはトップ組成物の一方はさらに、ビタミン、増粘剤(特に、場合によって改質されている粘土)、微量元素、皮膚軟化剤、金属イオン封鎖剤、香料、アルカリ化剤または酸性化剤、防腐剤、紫外線遮断剤またはこれらの混合物などの化粧品で一般的に使用される成分を含有していてもよい。
化粧品組成物、特にベースおよびトップ組成物は、化粧品または皮膚科学分野で通常使用される調製方法により、得ることができる。
【0067】
上記化粧品組成物中には、あるいはベースおよび/またはトップ組成物中に着色剤を含有していてもよい。付加的な着色剤は、顔料、真珠箔剤、着色剤およびこれらの混合物から選択することができる。ここで、顔料とは、白色か、着色されていて、無機または有機で、生理食塩水中に不溶性で、組成物の着色を目的とする何らかの形の粒子をいう。また、真珠箔剤とは、特に、一定の軟体動物によりその殻で生産されるか、合成される何らかの形の虹色粒子をいう。
【0068】
顔料は、化粧品組成物中に、特にベースおよび/またはトップ組成物中に、組成物の重量に対して、0から15重量%(特に、0.01重量%から15重量%)、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.02〜5重量%の範囲で含有させることが好ましい。
【0069】
顔料は、白色であるか、着色されており、無機および/または有機であってよい。無機顔料のうち、場合によって表面処理されている二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色または赤色)、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、鉄ブルー、アルミニウム粉末および銅粉末などの金属粉末を挙げることができる。
【0070】
有機顔料のうち、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料およびカルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、アルミニウムをベースとするラッカーを挙げることができる。
【0071】
真珠箔剤は、組成物中に、特にベースおよび/またはトップ組成物中に、組成物の全重量に対して、0〜25重量%(特に、0.01〜25重量%)、好ましくは0.01〜15重量%、さらに好ましくは0.02〜5重量%の範囲で含有されていてもよい。
【0072】
真珠箔顔料は、チタンまたはオキシ塩化ビスマスでコーティングされた雲母などの真珠箔顔料、酸化鉄でコーティングされた雲母-チタン、特に鉄ブルーまたは酸化クロムでコーティングされた雲母-チタン、前記のタイプの有機顔料でコーティングされた雲母-チタンなどの着色真珠箔顔料およびオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠箔顔料から選択することができる。
【0073】
着色剤は、水溶性または脂溶性着色剤または着色ポリマーから選択される着色物質であってもよい。着色物質は、組成物中に、特にベースおよび/またはトップ組成物中に、組成物の全重量に対して、0〜6重量%(特に、0.01〜6重量%)、好ましくは0.01〜3重量%の範囲で含有させてもよい。
【0074】
脂溶性着色剤は例えば、ダイズ油、スダンブラウン、DC Yellow 11、DC orange 5、キノリンイエロー、スダンレッドIII(CTFA名称、D & C red 17)、ルテイン、キニザリングリーン(CTFA名称、DC green 6)、Alizurolpurple SS(CTFA名称、DC violet No.2)、リコピン、ベータカロチン、ビキシン、カプサンチン(capsantein)などのカロテノイド誘導体および/またはこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
水溶性着色剤のうち、例えば、Aleurites Moluccana Willd、Alkanna Tinctoria Tausch、Areca Catechu L.、Arrabidaea Chica E.およびB.、Bixa Orellana L(annatto)、Butea Monosperma Lam、Caesalpina Echinata Lam、Caesalpina Sappan L.、Calophyllum Inophyllum L.、Carthamus Tinctorius L.、Cassia Alata L.、Chrozophora Tinctoria L.、Crocus Sativus L.、Curcuma Longa L.、Diospyros Gilletii de Wild、Eclipta Prostrata L.、Gardenia Erubescens Stapf.およびHutch.、Gardenia Terniflora Schum.およびThonn.、Genipa Americana L.、Genipa Brasiliensis L.、Guibourtia Demeusei(Harms)J.Leon、Haematoxylon Campechianum L.、Helianthus annuus、Humiria Balsamifera(Aubl.)St-Hi1.、Isatis Tinctoria L.、Mercurialis perenis、Monascus purpureus、Monascus ruber、Monascus pilosus、Morus Nigra L.、Picramnia Spruceana、Pterocarpus Erinaceus Poir.、Pterocarpus Soyauxii Taub.、Rocella Tinctoria L.、Rothmannia Whitfieldii(Lindl.)Dand.、Schlegelia Violacea(Aubl.)Griseb.、Simira Tinctoria Aublet、Stereospermum Kunthianum Cham.、Symphonia Globulifera L.、Terminalia Catappa L.、Sorgho、Aronia melanocarpaなどの着色剤植物の抽出物、Impatiens Balsaminaとも称されるLawsonia Inermis L.に由来するローソン(lawsone)を含むナフトキノン、赤色木材の抽出物、ビート液、フクシンの二ナトリウム塩、赤色果実の抽出物などのアントシアニン、ジヒドロキシアセトン、イサチンなどのモノ-またはポリカルボニル誘導体、アロキサン、ニンヒドリン、グリセルアルデヒド、メソ酒石酸アルデヒド、4,5-ピラゾリンジオン誘導体およびこれらの混合物を挙げることができ、これらの皮膚用着色剤を、直接着色剤またはインドール誘導体および/またはこれらの混合物と組み合わせてもよい。
【0076】
着色剤は、着色ポリマー、即ち少なくとも1種の有機着色基を含むポリマーであってもよい。着色ポリマーは通常、ポリマーの全重量に対して、10重量%未満の着色物質を含有する。
【0077】
着色ポリマーは、どのような化学的性質を有してもよく、特に、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリカーボネート、セルロースまたはキトサンポリマーなどの天然由来のポリマーまたはこれらの混合物であり、好ましくは、ポリエステルまたはポリウレタンポリマーである。
着色ポリマーは、着色基を有してよく、特に、共有結合により、ポリマー鎖上でグラフトされていてもよい。
特に、着色ポリマーは、そのうちの少なくとも1種が有機着色モノマーである少なくとも2種の異なるモノマーをベースとするコポリマーであってよい。
【0078】
着色ポリマーのモノマーは、アントラキノン、メチン、ビスメチン、アザメチン、アリリデン(arylidene)、3H−ジベンゾ[7,i-j]イソキノリン、2,5-ジアリールアミノテレフタル酸およびそのエステル、フタロイルフェノチアジン、フタロイルフェノキサジン、フタロイルアクリドン、アントラピリミジン、アントラピラゾール、フタロシアニン、キノフタロン、インドフェノール、ペリノン、ニトロアリールアミン、ベンゾジフラン、2H-1-ベンゾピラン-2-オン、キノフタロン、ペリレン、キナクリドン、トリフェノジオキサジン、フルオリジン(fluoridine)、4-アミノ-1,8-ナフタルイミド、チオキサントロン(thioxanthrone)、ベンゾアントロン、インダントロン、インジゴ、チオインジゴ、キサンテン、アクリジン、アジン、オキサジンから選択することができる。
【0079】
着色ポリマーは、本発明による組成物中に、特に、ベースおよび/またはトップ組成物中に、組成物の全重量に対して、0〜50重量%(特に、0.01〜50重量%)、好ましくは0.5〜25重量%、さらに好ましくは0.2〜20重量%の範囲で含有させてもよい。
【0080】
有利には、干渉性粒子および付加的な着色剤は、化粧品組成物中に、またはトップ組成物中に、2以上(特に、2〜500の範囲)、さらに好ましくは5以上(特に、5〜500の範囲)の、干渉性粒子/付加的な着色剤の活性物質の重量比で存在する。
【0081】
付加的な着色剤に加えて、本発明による組成物は、さらに充填剤を含有してもよい。充填剤との表現は、無色または白色で、無機または合成で、組成物が製造される温度に無関係に組成物の媒体中に不溶性である、何らかの形の粒子を意味すると理解すべきである。これらの充填剤は、組成物のレオロジーまたは手触りを改質するためにも役立つ。
【0082】
充填剤は、無機または有機であり、結晶形に関わらず、血小板形、球形または長円形の何らかの形であってよい(例えば、シート形、立方形、六方晶形、斜方晶形など)。タルク、雲母、シリカ、カオリン、ポリアミドの粉末、ポリ-β-アラニンの粉末およびポリエチレンの粉末、テトラフルオロエチレンポリマーの粉末、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、塩化ポリビニリデン/アクリロニトリル系ポリマー中空マイクロスフェア、アクリル酸コポリマーおよびシリコーン樹脂のマイクロビーズ、エラストマーポリオルガノシロキサンの粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびヒドロカーボネート、ヒドロキシアパタイト、シリカの中空マイクロスフェア、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸に由来する金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、マグネシウムまたはリチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0083】
充填剤は、組成物、特にベースおよび/またはトップ組成物の全重量に対して、0〜90重量%、好ましくは0.01〜50重量%、さらに好ましくは0.02〜30重量%の範囲で含有させてもよい。
【0084】
上記化粧用組成物あるいはベースおよび/またはトップ組成物は、前記のような顔料および/または真珠箔剤および/または充填剤を含む粒子相を含んでよく、これらは、組成物の全重量に対して、0〜98重量%(特に、0.01〜98重量%)、好ましくは0.01〜30重量%から、さらに好ましくは0.02〜20重量%の範囲で含有させてもよい。
【0085】
一方、塗装に光輝材を含有させる方法としては、従来公知の方法を用いることができる。また、本発明の光輝材は、長さを調節することにより、塗料の中に支持体を浸漬したり、スプレーで支持体に吹き付けたりすることができる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)固有粘度
ポリエステルポリマーの固有粘度は、35℃オルソクロロフェノール溶液にて、常法に従って35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)ポリエステル中のチタン、リン含有量
サンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成型体に形成し、蛍光X線測定装置(理学電機工業株式会社製3270型)に供して、定量分析した。
(3)ジエチレングリコール(DEG)量
抱水ヒドラジンを用いてポリマーを分解し、ガスクロマトグラフィ−(株式会社日立製作所製「263−70」)を用い、常法に従って測定した。
(4)色彩測定
ミノルタ社製測色装置CM−3610dを用い、黒板に光輝材を貼り付けた物を測色した。
(5)扁平率
顕微鏡により長軸方向の長さ/短軸方向の長さ(の比)を求めた。
(6)積層数
顕微鏡により各層を直接観察して求めた。
【0087】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル99.1部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル1.3部、酢酸ナトリウム3水和物0.07部およびエチレングリコール60部の混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.009部を加圧反応が可能なSUS製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.028部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0088】
その後反応生成物を重合容器に移し、290℃まで昇温し、65Pa以下の高真空にて重縮合反応を行って、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が0.9モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート系ポリエステルを得、常法に従いこれをチップ化した。このポリエステルは、固有粘度が0.55、ジエチレングリコール量が3.5モル%(あるいは1.8重量%)であった。また、このポリエステル中のTiは5ミリモル%、Pは20ミリモル%であり、P/Tiは4、P+Tiは25ミリモル%であった。
【0089】
このポリエステルと、固有粘度1.20のナイロン6とを用い、特開平11−124748号に開示された複合紡糸口金を用いて、口金温度280℃、引き取り速度1000m/分で紡糸し、延伸倍率3.4倍、延伸温度(供給ローラの表面温度)110℃、セット温度180℃(延伸ローラの表面温度)で延伸し巻き取った。そのとき、断面形態は扁平断面、交互積層数は30層とし、扁平断面外周部には共重合ポリエチレンテレフタレートによる非積層領域を設けた。
【0090】
この繊維を束にし、表面に付着した油剤を除去し、糸長方向に垂直に150μmの長さとなるよう切断し、光輝材にした。
本例においては、表1に示すとおり、彩度C*が9.0であり、あざやかで優れた光干渉性を有していた。
【0091】
[実施例2〜4]
複合紡糸口金の吐出孔形状を変更し、繊維横断面の偏平率を表1の通り変更した以外は実施例1と同様にした。
いずれの例においても、実施例1と同様に安定した紡糸が可能であり、毛羽が少なく品質の高い複合繊維が得られ、製織性が良好であった。また、これらの複合繊維は、実施例1同様、色調が良好であり、優れた光干渉性を有していた。
【0092】
[比較例1]
テレフタル酸ジメチル97.5部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル1.3部、エチレングリコール60部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.064重量部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、56重量%濃度のリン酸水溶液0.044重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0093】
その後、反応生成物を重合容器に移し、三酸化二アンチモンを、ポリエステル中の、アンチモン元素のモル数の、全芳香族ジカルボン酸成分の総モル数に対する比が31ミリモル%となるように添加して290℃まで昇温し、65Pa以下の高真空にて重縮合反応を行って、固有粘度が0.55で5−ナトリウムスルホイソフタル酸が0.9モル%共重合されたポリエステルを得、これを常法に従いペレット化した。
このポリエステルのペレットを用いた以外は、実施例1と同様にした。本例においては、実施例の光輝材と比べて彩度が低く、よりくすんだ色調の光輝材となった。
【0094】
【表1】

【0095】
[実施例5]
以下の組成のルース・フェース・パウダーを調製した。
ナイロン−12粉末 30g、
実施例1で得られた光輝材 10g、
酸化鉄 3.5g、
シリコーン結合剤 3g、
タルク 全体を100gとする量
このパウダーを、顔につけたところ、鮮やかな色調を呈し、光の干渉によってモルフォ蝶のように輝いて見えるメイクアップ効果があった。
【0096】
[実施例6]
次の組成を有するファンデーションを調製した。
セチルジメチコンコポリオール/4−イソステアリン酸ポリグリセリル/ラウリン酸ヘキシル混合物(Goldschmidt社製Abil WE 09) 0.5g、
実施例2で得られた光輝材 10g、
酸化鉄 0.5g、
揮発性シリコーン(Dow Corning社製DC245 Fluid) 15g、
水 全体を100gとする量
このファンデーションは、鮮やかな色調を呈し、光の干渉による新規なメイクアップ効果があった。
【0097】
[実施例7]
次の組成を有するマスカラを調製した。
カルボキシメチルセルロース 15g、
ラポナイト(Laponite) 0.2g、
実施例1で得られた光輝材 10g、
フクシンの二ナトリウム塩 0.05g、
水 全体を100gとする量
このマスカラをまつげにつけたところ、鮮やかな色調を呈し、従来にない色彩効果が得られた。
【0098】
[実施例8]
次の組成を有するマニキュア液を調製した。
ニトロセルロース 17.1g、
N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド 5.4g、
クエン酸トリブチルアセチル 5.4g、
実施例1で得られた光輝材 10g、
DC Red 34 0.025g、
ヘクトライト 1.0g、
イソプロピルアルコール 7.2g、
酢酸エチル、酢酸ブチル 全体を100gとする量
このマニキュア液は、爪に直接つけたが、鮮やかな色調を有し、光の干渉による新規な色彩効果が得られた。
【0099】
[実施例9]
次の組成を有するマニキュア液の下塗りをした上に、実施例8のマニキュア液を塗った。
ニトロセルロース 19g、
N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド 6g、
クエン酸トリブチルアセチル 6g、
ミッドナイトブルー顔料 1g、
ヘクトライト 1.2g、
イソプロピルアルコール 8g、
酢酸エチル、酢酸ブチル 適量 100g
このように2層でマニキュア液をつけることにより、爪はミッドナイト・ブルー・ベースの上で色彩効果を示す。しかも、本発明の光輝材は、従来のものと比較して、鮮明さが著しく改善されており、このように他の顔料を有するマニキュア液の上に塗っても、それに負けることなくきわめて優れた色彩効果を発揮した。
【0100】
[比較例2]
実施例1の光輝材に代えて比較例1の光輝材を用いた以外は、実施例8と同様にしてマニキュア液を調整し、爪につけたが、くすんだ色調になり、光の干渉効果による色彩効果が十分でなかった。
【0101】
[実施例10]
実施例1の光輝材を塗料全体に対して10重量%となるよう2液アクリルウレタンベース塗料(日本ビーケミカル社製、製品名「R−241ベース」)に配合した塗料を得た。そして、このように配合した塗料をさらにアクリルウレタンシンナー(日本ビーケミカル社製、製品名「T−801ベース」)で、フォードカップ#4で11〜12秒程度の粘度に希釈した後、表面をイソプロピルアルコールによって洗浄したカラーベースとして黒色のABSからなる平板の上に膜厚が15〜20μmとなるように塗装し、80℃で20分間焼付けを行うことによって塗膜層を形成した。
塗装面は従来にない、鮮やかな色調で光の干渉による優れた色彩効果を呈していた。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の光輝材によれば、優れた光干渉性を発現し、しかも従来にない鮮やかな色相を有し、化粧品や塗料に用いて優れた色彩効果を発揮することができる。さらに、化粧品や塗料に他の着色剤や充填材が含有されていても、また、化粧品に含有して用いた際、ベースやトップの化粧品組成物と併用しても、その優れた色彩効果を維持できる。このため、従来にない高級感を与えると同時に、きわめて実用性にも優れているため、その産業的利用価値のきわめて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】光干渉性フィラメントの断面の一例を示す模式図。
【図2】非積層部を有する光干渉性フィラメントの断面の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0104】
A 重合体
B Aと屈折率の異なる重合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平横断面を有し屈折率の異なる少なくとも2種の重合体が該偏平横断面の長軸方向と並行に積層されている光干渉性繊維を切断してなる光輝材であり、該光輝材のL*C*h*表色系による彩度C*が8.5以上であることを特徴とする光干渉機能を有する光輝材。
【請求項2】
光輝材を構成する重合体のうち少なくとも1種が、チタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルであり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分であり、該リン化合物が下記一般式(III)で表される化合物であり、チタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足する請求項1記載の光学干渉機能を有する光輝材。
【化1】

【化2】

【化3】

【数1】

【請求項3】
芳香族ジカルボキシレートエステルが、チタン化合物成分を含む触媒の存在下で、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルと脂肪族グリコールとのエステル交換反応により得られたジエステルであり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分である請求項1または2記載の光学干渉機能を有する光輝材。
【化4】

【化5】

【請求項4】
繊維を構成する重合体において、ポリエステル以外の重合体のうち少なくとも1種が、ナイロンである請求項1〜3のいずれかに記載の光学干渉機能を有する光輝材。
【請求項5】
下記(a)〜(c)の要件を同時に満足する請求項1〜4のいずれかに記載の光学干渉機能を有する光輝材。
(a)繊維の偏平率:2.0〜15.0
(b)繊維における重合体の積層数:15〜80層
【請求項6】
請求項1記載の光輝材を含有する塗料。
【請求項7】
請求項1記載の光輝材を含有する化粧品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−77377(P2006−77377A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265344(P2004−265344)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】