光学式センサ装置およびその設置状態確認方法
【課題】光学式センサ装置の設置状態を、煩雑な作業を要することなく確認できるようにする。
【解決手段】光学式センサ装置では、受光器4のCCDにおいて撮影された計測画像(ワーク50上に異物51が配置されている状態での画像)とリファレンス画像(ワーク50上に異物51が配置されていない状態での画像)の差分が算出され、当該差分に基づいた画像が表示される。作業者は、当該画像に基づいて、たとえば異物51の有無が両画像の差分に現れているか否か等の判断を行なうことにより、その時点での投光器3と受光器4の光軸が合っているか否かの判断をすることができる。
【解決手段】光学式センサ装置では、受光器4のCCDにおいて撮影された計測画像(ワーク50上に異物51が配置されている状態での画像)とリファレンス画像(ワーク50上に異物51が配置されていない状態での画像)の差分が算出され、当該差分に基づいた画像が表示される。作業者は、当該画像に基づいて、たとえば異物51の有無が両画像の差分に現れているか否か等の判断を行なうことにより、その時点での投光器3と受光器4の光軸が合っているか否かの判断をすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式センサ装置に関し、特に、検出領域に対して投光し、その光を受光することによって、検出領域に存在する異物等の検出を行なう光学式センサ装置およびその設置状態確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学式センサ装置として、投光器から検出領域に平行光を投光し、受光器でその平行光を受光した際の、受光器における総受光量の変化に基づいて異物の有無を検出する装置が利用されている。
【0003】
このような装置の一例として、特許文献1では、投光器および受光器に対して異物を相対的に移動させ、投光器から発せられる平行光の光路中に異物が横切ることによる受光器での受光量の変化の有無に基づいて、異物の有無を検出する技術が開示されている。
【0004】
このような装置では、具体的には、たとえば図12に示されるように、投光器300から投光された幅L0のレーザ光が、基板500上を平行に伝播して、受光器400で検出される。基板500は、異物が付着しているか否かを検査される検査対象物であり、石定盤510に保持されている。図12では、レーザ光の伝播方向が、矢印DZで示されている。基板500は、石定盤510とともに、投光器300および受光器400に対して相対的に移動される。移動方向は、矢印DZおよび矢印DY(垂直方向)に対して垂直な方向であり、紙面に垂直な方向である。
【0005】
図13に示されるように、基板500上に異物501が存在すると、投光器300が投光した平行光は異物501によってその一部が遮られる。これにより、受光器400で検出される光の幅は、理論的にはL0からL1だけ減少する。これによって、受光器400において検出される総受光量が減少する。このような総受光量の変化に基づいて、異物の有無等が検出される。
【0006】
また、特許文献2では、受光器の受光領域を水平方向に分割し、分割された各領域の受光量に基づいて基板上の異物の有無等を検出する技術が開示されている。
【0007】
具体的には、図14に示されるように、投光器300から受光器400に向けて矢印DZで示される方向に平行光200が投光され、基板500が投光器300と受光器400に対して矢印Aで示されるように水平方向に相対的に移動されるシステムにおいて、受光器400の受光領域が、基板500の移動方向である水平方向に並ぶように分割されている。
【特許文献1】特開2002−1195号公報
【特許文献2】特開2006−351441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような光学式センサ装置では、投光器と受光器のいわゆる光軸を合わせる作業が必要とされるが、投光器の投光部位から受光器の受光領域への距離が比較的遠く、そして、受光領域が小さくなると、このような作業において、投光器による投光の焦点を合わせに相当の精度(たとえば、投光器の投光角として50秒程度の精度)を必要とされる場合もあり、上記のような作業が煩雑であるという課題があった。
【0009】
なお、投光器と受光器の光軸が合わなければ、上記したように光学的に異物を検出する際の検出感度が低下してしまう。
【0010】
また、光軸が合ったかどうかについての具体的な判断の手段が確立されていなかったため、光軸が異物の検出が可能な程度に合わせられたと判断するまでに長時間を要することが多く、この点についても、光軸合わせの作業を煩雑にする要因であった。
【0011】
また、光軸の状態を表す指標が確立されていなかったため、光軸の状態を客観的なデータとして残すことができなかった。このため、光学式センサ装置のメンテナンスの際に、設置開始時から光軸が変化したかどうかの確認をすることができなかった。
【0012】
また、従来の光学式センサ装置は、投光器と受光器の光軸の状態の確認のためには、当該装置において受光器の受光領域のどこに投光器からの投光が当たっているかを確認する必要、つまり、光学式センサ装置の設置場所まで作業員が出向いていく必要があり、煩雑であるという課題があった。
【0013】
以上のように、従来の光学式センサ装置では、投光器と受光器の光軸合わせが煩雑であるため、設置状態を確認するために煩雑な作業を必要とされる課題があった。
【0014】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、光学式センサ装置の設置状態を煩雑な作業を要することなく確認できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従った光学式センサ装置は、投光部と、2次元領域に分布する画素を含み、前記投光部からの投光を受光することにより前記2次元領域の受光量分布を出力する受光部と、前記受光部の前記2次元領域における各画素の受光量に関する基準となる値を記憶する基準値記憶部と、前記投光部と前記受光部の光軸調整を可能にするために、前記受光部の受光量分布についての前記基準値記憶部に記憶された値に対する差分の画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の光学式センサ装置は、前記受光部の受光領域の一部である計測領域における受光量に基づいて、前記投光部と前記受光部の間の物体の有無を検出する検出部と、前記計測領域の指定を受付ける指定部とをさらに備えることが好ましい。
【0017】
また、本発明の光学式センサ装置では、前記計測領域は、互いに独立して受光量の算出が可能な複数の領域を含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明の光学式センサ装置は、前記受光部の受光領域の一部である計測領域における受光量に基づいて、前記投光部と前記受光部の間の物体の有無を検出する検出部と、前記計測領域を、前記計測領域内で前記差分が閾値を越えた最も下方にある位置に下端を有するように設定する設定部をさらに備えることが好ましい。
【0019】
また、本発明の光学式センサ装置は、前記差分についての設定値の入力を受付ける入力部と、前記表示部が表示する画像において、前記入力部に入力された設定値を越える画素が所定の数以上あるか否かに基づいて前記設定値に対する適否を判断する判断部をさらに備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明の光学式センサ装置では、前記表示部は、前記画像内の特定の線上における前記差分の値をさらに表示することが好ましい。
【0021】
また、本発明の光学式センサ装置は、前記投光部と前記受光部の光軸を変更する光軸変更部と、前記受光部における受光量分布を記憶する受光量記憶部と、前記光軸変更部によって前記光軸を複数の状態に変更させた各状態で前記受光部における受光量分布を検出することにより、前記複数の状態の中から好ましい前記光軸の状態を決定する光軸決定部とをさらに備え、前記光軸決定部は、前記投光部と前記受光部の間に試験片を配置した状態で、前記光軸変更部によって前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、前記投光部に投光させた際の前記受光部による受光量分布である計測用受光量を検出し、前記計測用受光量を前記受光量記憶部に記憶し、前記投光部と前記受光部の間に前記試験片が配置されていない状態で、前記光軸変更部によって前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、前記投光部に投光させた際の前記受光部による受光量分布であるリファレンス用受光量を検出し、前記リファレンス用受光量を前記受光量記憶部に記憶し、前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、対応する前記計測用受光量と前記リファレンス用受光量の画素ごとの差分を算出し、前記複数の状態の中で、前記複数の状態のそれぞれについて算出された差分において、前記受光部の受光領域の中の水平方向と交わる方向の線上の差分の最高値と最大値の差が最も大きいものを含む状態を、前記好ましい光軸の状態と決定することが好ましい。
【0022】
本発明に従った光学式センサ装置の設置状態確認方法は、平行光を投光する投光部と、2次元領域に分布する画素を含み、前記投光部からの投光を受光することにより前記2次元領域の受光量分布を出力する受光部とを備える光学式センサ装置についての、前記投光部と前記受光部の光軸調整を可能にするための設置状態確認方法であって、前記投光部と前記受光部の間に試験片を配置した状態で、前記投光部に投光させた際の前記受光部における受光量分布である計測用受光量を検出するステップと、前記計測用受光量を記憶部に記憶するステップと、前記投光部と前記受光部の間に前記試験片が配置されていない状態で、前記投光部に投光させた際の前記受光部における受光量分布であるリファレンス用受光量を検出するステップと、前記リファレンス用受光量を記憶部に記憶するステップと、前記計測用受光量と前記リファレンス用受光量の各画素についての差分を算出するステップと、前記算出した差分に基づいた画像を表示装置に表示させるステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光学式センサ装置によれば、投光部と受光部の光軸調整を可能にするために、受光部の受光量分布について、各画素に関する基準となる値との差分の画像が表示される。
【0024】
これにより、光学式センサ装置において投光部と受光部の光軸調整をしようとする作業者は、表示される差分の画像に基づいて、受光部における受光態様を判断できる。このため、光軸調整についての客観的な情報が与えられることにより、作業員は、当該情報に基づいてその時点での光軸の状態を評価することができる。したがって、作業員が光軸調整のための作業を行なう際の判断に関する負担を軽減でき、光軸調整に要する時間を短縮できる。
【0025】
また、本発明の光学式センサ装置によれば、上記画像を、その時点での光軸の状態を表す指標として残すことができる。
【0026】
したがって、光軸の状態を客観的なデータとして残すことができるようになり、これにより、光学式センサ装置のメンテナンスの際に、設置開始時から光軸が変化したかどうかの確認をすることができるようになる。
【0027】
また、本発明の光学式センサ装置によれば、作業員は、表示部によって表示される差分の画像を見ることにより、光軸の状態を確認することができる。
【0028】
したがって、作業員は、光軸の状態の確認のためだけに光学式センサ装置の設置場所まで出向いていく必要がなくなり、これにより、煩雑な作業を軽減できるようになる。
【0029】
以上のように、本発明の光学式センサ装置は、その設置状態を煩雑な作業を要することなく確認できる。
【0030】
本発明の光学式センサ装置の設置状態確認方法によれば、投光部と受光部の間に試験片を配置した状態での受光量である計測用受光量と、当該試験片が配置されていない状態での受光量であるリファレンス用受光量との、受光部における受光量分布の差分に基づいた画像が表示される。
【0031】
これにより、作業員は、その時点での光学式センサ装置における光軸の状態が、試験片の有無をリファレンス用受光量と計測用受光量の差分として反映できるものであるか否かを、表示された画像に基づいて客観的に判断することができる。
【0032】
したがって、本発明によれば、作業員に対して光軸の状態の適否についての客観的な情報を与えることができ、作業員による光軸調整の作業を飛躍的に容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の光学式センサ装置の一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0034】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る光学式センサ装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この光学式センサ装置を異物検出に適用した場合の投光器および受光器の配置を示す構成図である。
【0035】
本実施の形態の光学式センサ装置1は、ガラス基板等の被検査物としてのワーク50上に平行光2を投光する投光器3と、この平行光2を受光する受光器4と、この受光器4の出力を信号処理してワーク50上の異物51の有無を判定する信号処理装置6とを備えており、ワーク50に対して、投光器3および受光器4を、図2の矢印Aで示すように、移動させながらワーク50上に存在する異物51を、受光器4における受光量分布の変化に基いて検出するものである。なお、異物51は、ワーク50上に存在する場合に限らず、ワーク50の下に存在し、そのためワーク50の表面が盛り上がって遮光する場合にも検出できるものである。また、異物51の有無の検査が終了したガラス基板等のワーク50は、図示しない塗布装置によって、その表面に成膜材料が塗布される。
【0036】
投光器3は、レーザ駆動回路7によって駆動される半導体レーザ8と、この半導体レーザ8からの光を平行光にするコリメートレンズ9と、開口10Aを有するスリット10とを備えており、ワーク50上に平行光2を投光する。
【0037】
一方、受光器4は、二次元の受光素子であるCCD(charge-coupled device)11を備えており、信号処理装置6は、図1に示すように、CCD11から読み出された画素信号をサンプルホールドするサンプルホールド(S/H)回路12と、このサンプルホールド回路12の出力を、A/D(analog/digital)変換するA/D変換器13と、A/D変換された画素データを記憶する画像メモリ14と、画像メモリ14の画素データに基づいて、後述のようにして異物(物体)の有無を検出する検出部としての機能を有するCPU(central processing unit)15と、画像メモリ14の画素データに基いて、CCD11のよる撮像画像を表示する液晶表示部16と、操作手段としての各種の操作キー17とを備えている。
【0038】
図3および図4に、本実施の形態の光学式センサ装置1のブロック構成を示す。なお、図3は、投光器3と受光器4の間に配置されたワーク50上に異物51が存在しない状態を示し、図4は、当該ワーク50上に異物51が存在する状態を示す。
【0039】
図3および図4を参照して、光学式センサ装置1では、投光器3から投光されたレーザ光が、ワーク50上を平行に伝播して、受光器4で検出される。そして、特に、図4に示されるように、ワーク50上に異物51が存在すると、投光器3が投光した平行光は異物51によってその一部が遮られる。
【0040】
信号処理装置6は、受光器4における受光量分布を検出する計測器601と、計測器601で検出された受光量の記憶や過去の受光量との比較等の処理を行なう比較演算器602と、計測器601における計測結果や比較演算器602による処理の結果等の種々の情報を表示する表示器603とを含む。
【0041】
計測器601は、S/H回路12およびA/D変換器13を含み、比較演算器602は、画像メモリ14およびCPU15を含み、表示器603は液晶表示部16を含むが、これらの機能は、ハードウェアの機能として実現されてもよいし、CPU15が特定のソフトウェアを実行することによって実現されても良い。また、各構成要素は、適宜、操作キー17に対して入力された情報に基づいて動作する。
【0042】
投光器3のスリット10の開口10Aは、投光器3および受光器4の移動方向(図2の矢印A方向)に長い矩形、例えば、1mm×5mmの矩形に形成されており、投光器3からのスリット状の平行光2が受光器4のCCD11を設けられた面に投影される。スリット10aからCCD11までの距離はたとえば4.0mとされる。
【0043】
本実施の形態では、CCD11の計測領域(受光量を計測できる領域)は、たとえば3.2mm×3.46mmとされるが、投光器3と受光器4との光軸合わせを考慮すると、2mm×2mm以上であるのが好ましい。
【0044】
そして、本実施の形態では、ワーク50が矢印A方向に、投光器3および受光器4に対して相対的に移動する。当該移動速度は、相対移動する異物51が、CCD11の計測領域に対向する位置に到達してから当該領域を通過するまでにCCD11における画素信号の取り込みを少なくとも1回行えるように設定される。本実施の形態では、CCD11の計測領域の移動方向に沿う幅を、例えば、3mm、最大の移動速度を、例えば、400mm/sとされる。なお、CCD11の画像信号の取り込み周期は、たとえば7.0msとされる。
【0045】
次に、光学式センサ装置1において、投光器3と受光器4の光軸調整の際に実行される処理の内容について説明する。なお、投光器3と受光器4の光軸調整とは、投光器3から投光された光を受光器4で受光できるようにするための両者の位置合わせを含む。図5は、光軸調整処理のフローチャートである。なお、光軸調整処理では、異物51が付着していないワーク50上に投光された光の受光量分布が検出され、また、ダミーとしての異物(試験片51)を付着させたワーク50上に投光された光の受光量分布が検出され、そして、これらの受光量分布における各画素の受光量の差分に基づいた画像が表示されて、光軸調整の評価に利用される。
【0046】
図5を参照して、光軸調整処理では、まずステップS10として、作業者によって、投光器3の半導体レーザ8の投光する光の方向が石定盤やワーク50と平行になるような調整が行なわれ、そして、当該光が受光器4のCCD11に到達するように、投光器3と受光器4の位置合わせが行なわれる。
【0047】
次に、ステップS20として、信号処理装置6によって、液晶表示部16に差分画像が表示する処理(差分画像表示処理)が実行されて、ステップS30に処理が進められる。なお、ステップS20における差分画像表示処理の内容について、当該処理のサブルーチンのフローチャートである図6を参照して説明する。
【0048】
図6を参照して、差分画像表示処理では、まずステップS21において、計測器6が、異物51が付着していないワーク50上に、矢印A方向に平行光を移動させつつ、CCD11における受光量を計測して(画像を取り込んで)、ステップS22が処理に進められる。
【0049】
ステップS21では、平行光2がワーク50の矢印A方向についての一端から他端まで移動する際に、7.0msごとにCCD11によって撮影された画像が取り込まれる。
【0050】
次に、ステップS22では、計測器6によって、ステップS21において取り込んだ画像を、リファレンス画像として比較演算部602に転送されて、ステップS23に処理が進められる。
【0051】
ステップS23では、比較演算部602によって、ステップS22で転送されてきたリファレンス画像が画像メモリ14に保存されて、ステップS24へ処理が進められる。
【0052】
ステップS24では、作業者によって、ワーク50上にダミーの異物(試験片51)が設置されて、ステップS25に処理が進められる。なお、本実施の形態では、試験片51は、そのサイズが、例えば、直径100μm程度以上とされる。また、作業者は、ステップS23の処理が終了した後にステップS24を実行する。したがって、ステップS23の処理が完了した際にはその旨が液晶表示部16において報知されることが好ましい。
【0053】
ステップS25では、平行光2がワーク50の矢印A方向についての一端から他端まで移動する際に、7.0msごとにCCD11によって撮影された画像が取り込まれる。
【0054】
次に、ステップS26では、計測器6によって、ステップS25において取り込んだ画像を、計測画像として比較演算部602に転送されて、ステップS27に処理が進められる。
【0055】
ステップS27では、比較演算部602によって、ステップS26で転送されてきた計測画像が画像メモリ14に保存されて、ステップS28へ処理が進められる。
【0056】
ステップS28では、比較演算部602によって、リファレンス画像と計測画像の対応する画素間での濃度差が算出されて、ステップS29へ処理が進められる。
【0057】
ステップS29では、比較演算部602が表示部603にステップS28における濃度差の算出結果を表示させて、処理が図5にリターンされる。
【0058】
ステップS29において表示部603に表示される画像の一例を図7に示す。
図7を参照して、画面700には、ステップS28で算出された濃度差を示す画像が表示欄710に表示されている。
【0059】
具体的には、表示欄711において、CCD11の計測領域全域についての濃度差が、カラー画像(図面ではモノクロ)で示されている。なお、表示欄711における表示色は、表示欄740に示された表示色と濃度差の対応関係に基づいて表示されている。つまり、CPU15(比較演算部602)は、CCD11の計測領域全域の全画素についての差分を、表示欄740に示された対応関係に基づいてカラーの画素に変換して、表示欄711に表示させている。
【0060】
また、本実施の形態では、ステップS23とステップS25では、それぞれ複数回画像の撮影がなされ、ステップS28では、平行光2とワーク50との位置関係が対応する画像同士の濃度差の差分が算出されるが、ステップS29では、差分の値が最も大きい画像同士についての、濃度差を示す画像が表示される。
【0061】
表示欄711には、断面指示線712,714が表示されている。
断面指示線712は、水平方向の断面位置を指示するために表示され、断面指示線714は、垂直方向の断面位置を指示するために表示される。そして、画面700では、断面指示線712によって指示された断面についての差分値の分布が、濃度分布表示欄713に示されている。また、断面指示線714によって指示された断面についての差分値の分布が、濃度分布表示欄715に示されている。
【0062】
CPU15(比較演算部602)は、操作キー17に対する操作内容に基づいて、断面指示線712と断面指示線714のそれぞれの表示欄711内の位置を変更することができる。また、CPU15(比較演算部602)は、変更後の断面指示線712,714の位置に対応した断面についての差分値の分布を、濃度分布表示欄713,715に表示させる。
【0063】
また、表示欄711では、枠710Aが表示されている。光学式センサ装置1では、CCD11の計測領域の一部の受光量に基づいて、ワーク50上の異物51の有無を検出するように構成されても良い。そして、このような場合に、枠710Aは、CCD11の計測領域の中で異物51の有無の検出の際に利用する領域(実効計測領域)を表示するものである。
【0064】
なお、CPU15(比較演算部602)は、操作キー17に対する操作内容に基づいて、枠710Aの表示欄711中の表示位置を変更することができ、そして、これに応じて、実際のワーク50上の異物51の有無の検出処理の際に利用する、CCD11の計測領域中の受光量を利用する位置(範囲)も変更することができる。つまり、作業者は、光学式センサ装置1において、操作キー17に対して操作を行なうことにより、実効計測領域を指定することができる。
【0065】
また、光学式センサ装置1では、操作キー17によって入力された値を、異物51の有無の判断を行なうための差分の閾値とすることができるが、CPU15(比較演算部602)は、表示欄711に、入力された閾値を越える画素が特定の個数存在するか否かによって、当該閾値が異物51の有無の判定に利用できるか否かを判断し、その判断結果を、画面700に合わせて表示させることができる。
【0066】
また、CPU15(比較演算部602)は、表示欄711に表示されたような差分値に対して、所定の値を閾値としたエッジ検出を実行し、当該エッジ検出により検出されたエッジの中で最も下方にあるものにあわせて、実効計測領域を設定することもできる。
【0067】
なお、CPU15は、表示欄711に表示された差分値の算出に利用されたリファレンス画像を表示欄720に表示させ、また、当該差分値の算出に利用された計測画像を表示欄730に表示させることができる。
【0068】
図5に戻って、ステップS20における差分画像表示処理の後、ステップS30として、作業者により、図7に示されたような画面に基づいて投光器3と受光器4の光軸が合っているか否かが判断され、さらなる調整が必要であると判断されると処理がステップS40へ進められ、調整が必要ではないと判断されるとそのまま光軸調整処理は終了する。
【0069】
なお、ステップS40では、ステップS10と同様に、作業者によって、当該光が受光器4のCCD11に到達するように、投光器3と受光器4の位置合わせ(投光器3の投光軸の調整)が行なわれた後、ステップS20へ処理が戻される。
【0070】
以上説明した本実施の形態では、光学式センサ装置において、受光器4のCCD11において撮影された計測画像(ワーク50上に異物51が配置されている状態での画像)とリファレンス画像(ワーク50上に異物51が配置されていない状態での画像)の(対応する画素ごとの)差分が算出され、当該差分に基づいた画像が液晶表示部16に表示される。作業者は、当該画像に基づいて、たとえば異物51の有無が両画像の差分に現れているか否か等の判断を行なうことにより、その時点での投光器3と受光器4の光軸が合っているか否かの判断をすることができる。
【0071】
なお、図7の表示欄711に表示された差分の画像は、操作キー17を適宜操作されることにより、画像メモリ14に保存することができる。これにより、その時点での投光器3と受光器4の光軸の状態を、客観的なデータとして保存することができる。
【0072】
また、本実施の形態の光学式センサ装置1では、図8に示すように、リファレンス画像のみに基づいたカラー画像を表示させることもできる。
【0073】
図8を参照して、画面800の表示欄811には、CCD11の計測領域全域についてのリファレンス画像の画像濃度に基づいた画像が、カラー(図面ではモノクロ)で表示されている。なお、表示欄811における表示色は、表示欄840に示された表示色と濃度差の対応関係に基づいて表示されている。つまり、CPU15(比較演算部602)は、CCD11の計測領域全域のリファレンス画像における受光濃度を、表示欄840に示された対応関係に基づいてカラーの画素に変換して、表示欄811に表示させている。
【0074】
表示欄811には、断面指示線812,814が表示されている。
断面指示線812は、水平方向の断面位置を指示するために表示され、断面指示線814は、垂直方向の断面位置を指示するために表示される。そして、画面800では、断面指示線812によって指示された断面についての受光濃度の分布が、濃度分布表示欄813に示されている。また、断面指示線814によって指示された断面についての受光濃度の分布が、濃度分布表示欄815に示されている。
【0075】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の光学式センサ装置の全体構成を示すブロック図であり、図10は、当該光学式センサ装置のブロック構成を模式的に示す図である。
【0076】
図9および図10を参照して、本実施の形態の光学式センサ装置1は、第1の実施の形態における光学式センサ装置1に対して、投光器3の半導体レーザ8の投光角度を制御する光軸駆動部7Aをさらに備えている。
【0077】
図11は、本実施の形態の光学式センサ装置1において実行される光軸調整処理のフローチャートである。
【0078】
図11を参照して、光軸調整処理では、まずステップSA10として、作業者によって、投光器3の半導体レーザ8の投光する光の方向を石定盤やワーク50と平行にするように調整がなされ、そして、当該光が受光器4のCCD11に到達するように、投光器3と受光器4の位置合わせが行なわれる。
【0079】
ステップSA20では、平行光2がワーク50の矢印A方向についての一端から他端まで移動する際に、7.0msごとにCCD11によって撮影された画像が取り込まれる。
【0080】
次に、ステップSA30では、半導体レーザ8についての予め記憶されたすべての投光角度でステップSA20が実行されたか否かを判断し、そうであると判断されるとステップSA50へ処理が進められ、そうではないと判断されると、ステップSA40へ処理が進められる。
【0081】
ステップSA40では、比較演算器602により、光軸駆動部7Aに対して半導体レーザ8の投光角度を単位角度θだけ変更されて、ステップSA20へ処理が戻される。
【0082】
ステップSA20〜ステップSA40の処理により、半導体レーザ8の投光角度が角度θずつ変更されながら、リファレンス画像が撮影されて保存される。
【0083】
ステップSA50では、作業者によって、ワーク50上にダミーの異物(試験片51)が設置されて、ステップSA60に処理が進められる。
【0084】
次に、ステップSA60では、半導体レーザ8の投光角度が初期化される。
そして、ステップSA70〜ステップSA90では、ワーク50上に試験片51が設置された状態で、半導体レーザ8の投光角度が角度θずつ変更されながら、計測画像が撮影されて保存される。
【0085】
そして、ステップSA100で、比較演算器602により、各投光角度についてのリファレンス画像と計測画像の対応する画素ごとの差分が算出される。
【0086】
次に、ステップSA110において、比較演算器602により、各投光角度についての差分の中でY軸方向(垂直方向)の差分のピーク値(最大値)とボトム値(最小値)の差が最も大きかった投光角度が特定される。
【0087】
そして、ステップSA120で、比較演算器602により、ステップSA110で特定された投光角度の差分画像が、図7に示されるように表示器603に表示される。
【0088】
そして、特定された投光角度および当該投光角度についての差分画像が画像メモリ14に保存されて、光軸調整処理は終了する。
【0089】
[その他の変形例等]
以上説明した各実施の形態では、受光器4における受光素子としてCCDが採用されていたが、受光素子としては、これに限定されず、MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を採用することもできる。
【0090】
また、以上説明した各実施の形態では、信号処理装置6を構成する計測器601と比較演算器602と表示器603は、ハードウェアの機能として実現されてもよいし、CPU15が特定のソフトウェアを実行することによって実現されても良いとされている。なお、これらは、汎用のコンピュータにおいて特定のソフトウェアが実行されることにより実現されても良いし、特定のハードウェア機器で構成されてもよい。また、たとえば、比較演算器602と表示器603を汎用のコンピュータによって実現し、計測器601を、特定の信号処理装置によって実現することができる。
【0091】
以上説明した各実施の形態では、光学式センサ装置が、ガラス基板上の異物の検出に適用された例が説明されたが、本発明の光学式センサ装置が適用される態様はこれに限定されず、フィルム、金属、紙などのシート状の検査対象についての異物検出に適用することもできると考えられる。また、異物検出に限らず、他の物体、例えば、糸の毛羽の検出などに適用することもできると考えられる。
【0092】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態に開示された技術は、変形例も含め、可能な限り組み合わされて適用されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施の形態である光学式センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の光学式センサ装置を異物検出に適用した場合の投光器および受光器の配置を示す構成図である。
【図3】図1の光学式センサ装置のブロック構成を模式的に示す図である。
【図4】図1の光学式センサ装置のブロック構成を模式的に示す図である。
【図5】図1の光学式センサ装置において実行される光軸調整処理のフローチャートである。
【図6】図5の差分画像表示処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図7】図6の処理によって図1の光学式センサ装置の液晶表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図8】図6の処理によって図1の光学式センサ装置の液晶表示部に表示される画面の他の例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態である光学式センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図10】図9の光学式センサ装置のブロック構成を模式的に示す図である。
【図11】図9の光学式センサ装置において実行される光軸調整処理のフローチャートである。
【図12】従来技術による異物検出を説明するための図である。
【図13】従来技術による異物検出を説明するための図である。
【図14】従来技術による異物検出を説明するための図である。
【符号の説明】
【0094】
1 光学式センサ装置、2 平行光、3 投光器、4 受光器、4A 検出面、6 信号処理装置、7 レーザ駆動回路、8 半導体レーザ、9 コリメートレンズ、10 スリット、10A 開口、11 CCD、12 サンプルホールド回路、13 A/D変換器、14 画像メモリ、15 CPU、16 液晶表示部、17 操作キー、40 計測領域、41〜44,41A〜46A 分割領域、50 ワーク、51 異物、510 石定盤。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式センサ装置に関し、特に、検出領域に対して投光し、その光を受光することによって、検出領域に存在する異物等の検出を行なう光学式センサ装置およびその設置状態確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学式センサ装置として、投光器から検出領域に平行光を投光し、受光器でその平行光を受光した際の、受光器における総受光量の変化に基づいて異物の有無を検出する装置が利用されている。
【0003】
このような装置の一例として、特許文献1では、投光器および受光器に対して異物を相対的に移動させ、投光器から発せられる平行光の光路中に異物が横切ることによる受光器での受光量の変化の有無に基づいて、異物の有無を検出する技術が開示されている。
【0004】
このような装置では、具体的には、たとえば図12に示されるように、投光器300から投光された幅L0のレーザ光が、基板500上を平行に伝播して、受光器400で検出される。基板500は、異物が付着しているか否かを検査される検査対象物であり、石定盤510に保持されている。図12では、レーザ光の伝播方向が、矢印DZで示されている。基板500は、石定盤510とともに、投光器300および受光器400に対して相対的に移動される。移動方向は、矢印DZおよび矢印DY(垂直方向)に対して垂直な方向であり、紙面に垂直な方向である。
【0005】
図13に示されるように、基板500上に異物501が存在すると、投光器300が投光した平行光は異物501によってその一部が遮られる。これにより、受光器400で検出される光の幅は、理論的にはL0からL1だけ減少する。これによって、受光器400において検出される総受光量が減少する。このような総受光量の変化に基づいて、異物の有無等が検出される。
【0006】
また、特許文献2では、受光器の受光領域を水平方向に分割し、分割された各領域の受光量に基づいて基板上の異物の有無等を検出する技術が開示されている。
【0007】
具体的には、図14に示されるように、投光器300から受光器400に向けて矢印DZで示される方向に平行光200が投光され、基板500が投光器300と受光器400に対して矢印Aで示されるように水平方向に相対的に移動されるシステムにおいて、受光器400の受光領域が、基板500の移動方向である水平方向に並ぶように分割されている。
【特許文献1】特開2002−1195号公報
【特許文献2】特開2006−351441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような光学式センサ装置では、投光器と受光器のいわゆる光軸を合わせる作業が必要とされるが、投光器の投光部位から受光器の受光領域への距離が比較的遠く、そして、受光領域が小さくなると、このような作業において、投光器による投光の焦点を合わせに相当の精度(たとえば、投光器の投光角として50秒程度の精度)を必要とされる場合もあり、上記のような作業が煩雑であるという課題があった。
【0009】
なお、投光器と受光器の光軸が合わなければ、上記したように光学的に異物を検出する際の検出感度が低下してしまう。
【0010】
また、光軸が合ったかどうかについての具体的な判断の手段が確立されていなかったため、光軸が異物の検出が可能な程度に合わせられたと判断するまでに長時間を要することが多く、この点についても、光軸合わせの作業を煩雑にする要因であった。
【0011】
また、光軸の状態を表す指標が確立されていなかったため、光軸の状態を客観的なデータとして残すことができなかった。このため、光学式センサ装置のメンテナンスの際に、設置開始時から光軸が変化したかどうかの確認をすることができなかった。
【0012】
また、従来の光学式センサ装置は、投光器と受光器の光軸の状態の確認のためには、当該装置において受光器の受光領域のどこに投光器からの投光が当たっているかを確認する必要、つまり、光学式センサ装置の設置場所まで作業員が出向いていく必要があり、煩雑であるという課題があった。
【0013】
以上のように、従来の光学式センサ装置では、投光器と受光器の光軸合わせが煩雑であるため、設置状態を確認するために煩雑な作業を必要とされる課題があった。
【0014】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、光学式センサ装置の設置状態を煩雑な作業を要することなく確認できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従った光学式センサ装置は、投光部と、2次元領域に分布する画素を含み、前記投光部からの投光を受光することにより前記2次元領域の受光量分布を出力する受光部と、前記受光部の前記2次元領域における各画素の受光量に関する基準となる値を記憶する基準値記憶部と、前記投光部と前記受光部の光軸調整を可能にするために、前記受光部の受光量分布についての前記基準値記憶部に記憶された値に対する差分の画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の光学式センサ装置は、前記受光部の受光領域の一部である計測領域における受光量に基づいて、前記投光部と前記受光部の間の物体の有無を検出する検出部と、前記計測領域の指定を受付ける指定部とをさらに備えることが好ましい。
【0017】
また、本発明の光学式センサ装置では、前記計測領域は、互いに独立して受光量の算出が可能な複数の領域を含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明の光学式センサ装置は、前記受光部の受光領域の一部である計測領域における受光量に基づいて、前記投光部と前記受光部の間の物体の有無を検出する検出部と、前記計測領域を、前記計測領域内で前記差分が閾値を越えた最も下方にある位置に下端を有するように設定する設定部をさらに備えることが好ましい。
【0019】
また、本発明の光学式センサ装置は、前記差分についての設定値の入力を受付ける入力部と、前記表示部が表示する画像において、前記入力部に入力された設定値を越える画素が所定の数以上あるか否かに基づいて前記設定値に対する適否を判断する判断部をさらに備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明の光学式センサ装置では、前記表示部は、前記画像内の特定の線上における前記差分の値をさらに表示することが好ましい。
【0021】
また、本発明の光学式センサ装置は、前記投光部と前記受光部の光軸を変更する光軸変更部と、前記受光部における受光量分布を記憶する受光量記憶部と、前記光軸変更部によって前記光軸を複数の状態に変更させた各状態で前記受光部における受光量分布を検出することにより、前記複数の状態の中から好ましい前記光軸の状態を決定する光軸決定部とをさらに備え、前記光軸決定部は、前記投光部と前記受光部の間に試験片を配置した状態で、前記光軸変更部によって前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、前記投光部に投光させた際の前記受光部による受光量分布である計測用受光量を検出し、前記計測用受光量を前記受光量記憶部に記憶し、前記投光部と前記受光部の間に前記試験片が配置されていない状態で、前記光軸変更部によって前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、前記投光部に投光させた際の前記受光部による受光量分布であるリファレンス用受光量を検出し、前記リファレンス用受光量を前記受光量記憶部に記憶し、前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、対応する前記計測用受光量と前記リファレンス用受光量の画素ごとの差分を算出し、前記複数の状態の中で、前記複数の状態のそれぞれについて算出された差分において、前記受光部の受光領域の中の水平方向と交わる方向の線上の差分の最高値と最大値の差が最も大きいものを含む状態を、前記好ましい光軸の状態と決定することが好ましい。
【0022】
本発明に従った光学式センサ装置の設置状態確認方法は、平行光を投光する投光部と、2次元領域に分布する画素を含み、前記投光部からの投光を受光することにより前記2次元領域の受光量分布を出力する受光部とを備える光学式センサ装置についての、前記投光部と前記受光部の光軸調整を可能にするための設置状態確認方法であって、前記投光部と前記受光部の間に試験片を配置した状態で、前記投光部に投光させた際の前記受光部における受光量分布である計測用受光量を検出するステップと、前記計測用受光量を記憶部に記憶するステップと、前記投光部と前記受光部の間に前記試験片が配置されていない状態で、前記投光部に投光させた際の前記受光部における受光量分布であるリファレンス用受光量を検出するステップと、前記リファレンス用受光量を記憶部に記憶するステップと、前記計測用受光量と前記リファレンス用受光量の各画素についての差分を算出するステップと、前記算出した差分に基づいた画像を表示装置に表示させるステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光学式センサ装置によれば、投光部と受光部の光軸調整を可能にするために、受光部の受光量分布について、各画素に関する基準となる値との差分の画像が表示される。
【0024】
これにより、光学式センサ装置において投光部と受光部の光軸調整をしようとする作業者は、表示される差分の画像に基づいて、受光部における受光態様を判断できる。このため、光軸調整についての客観的な情報が与えられることにより、作業員は、当該情報に基づいてその時点での光軸の状態を評価することができる。したがって、作業員が光軸調整のための作業を行なう際の判断に関する負担を軽減でき、光軸調整に要する時間を短縮できる。
【0025】
また、本発明の光学式センサ装置によれば、上記画像を、その時点での光軸の状態を表す指標として残すことができる。
【0026】
したがって、光軸の状態を客観的なデータとして残すことができるようになり、これにより、光学式センサ装置のメンテナンスの際に、設置開始時から光軸が変化したかどうかの確認をすることができるようになる。
【0027】
また、本発明の光学式センサ装置によれば、作業員は、表示部によって表示される差分の画像を見ることにより、光軸の状態を確認することができる。
【0028】
したがって、作業員は、光軸の状態の確認のためだけに光学式センサ装置の設置場所まで出向いていく必要がなくなり、これにより、煩雑な作業を軽減できるようになる。
【0029】
以上のように、本発明の光学式センサ装置は、その設置状態を煩雑な作業を要することなく確認できる。
【0030】
本発明の光学式センサ装置の設置状態確認方法によれば、投光部と受光部の間に試験片を配置した状態での受光量である計測用受光量と、当該試験片が配置されていない状態での受光量であるリファレンス用受光量との、受光部における受光量分布の差分に基づいた画像が表示される。
【0031】
これにより、作業員は、その時点での光学式センサ装置における光軸の状態が、試験片の有無をリファレンス用受光量と計測用受光量の差分として反映できるものであるか否かを、表示された画像に基づいて客観的に判断することができる。
【0032】
したがって、本発明によれば、作業員に対して光軸の状態の適否についての客観的な情報を与えることができ、作業員による光軸調整の作業を飛躍的に容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の光学式センサ装置の一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0034】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る光学式センサ装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この光学式センサ装置を異物検出に適用した場合の投光器および受光器の配置を示す構成図である。
【0035】
本実施の形態の光学式センサ装置1は、ガラス基板等の被検査物としてのワーク50上に平行光2を投光する投光器3と、この平行光2を受光する受光器4と、この受光器4の出力を信号処理してワーク50上の異物51の有無を判定する信号処理装置6とを備えており、ワーク50に対して、投光器3および受光器4を、図2の矢印Aで示すように、移動させながらワーク50上に存在する異物51を、受光器4における受光量分布の変化に基いて検出するものである。なお、異物51は、ワーク50上に存在する場合に限らず、ワーク50の下に存在し、そのためワーク50の表面が盛り上がって遮光する場合にも検出できるものである。また、異物51の有無の検査が終了したガラス基板等のワーク50は、図示しない塗布装置によって、その表面に成膜材料が塗布される。
【0036】
投光器3は、レーザ駆動回路7によって駆動される半導体レーザ8と、この半導体レーザ8からの光を平行光にするコリメートレンズ9と、開口10Aを有するスリット10とを備えており、ワーク50上に平行光2を投光する。
【0037】
一方、受光器4は、二次元の受光素子であるCCD(charge-coupled device)11を備えており、信号処理装置6は、図1に示すように、CCD11から読み出された画素信号をサンプルホールドするサンプルホールド(S/H)回路12と、このサンプルホールド回路12の出力を、A/D(analog/digital)変換するA/D変換器13と、A/D変換された画素データを記憶する画像メモリ14と、画像メモリ14の画素データに基づいて、後述のようにして異物(物体)の有無を検出する検出部としての機能を有するCPU(central processing unit)15と、画像メモリ14の画素データに基いて、CCD11のよる撮像画像を表示する液晶表示部16と、操作手段としての各種の操作キー17とを備えている。
【0038】
図3および図4に、本実施の形態の光学式センサ装置1のブロック構成を示す。なお、図3は、投光器3と受光器4の間に配置されたワーク50上に異物51が存在しない状態を示し、図4は、当該ワーク50上に異物51が存在する状態を示す。
【0039】
図3および図4を参照して、光学式センサ装置1では、投光器3から投光されたレーザ光が、ワーク50上を平行に伝播して、受光器4で検出される。そして、特に、図4に示されるように、ワーク50上に異物51が存在すると、投光器3が投光した平行光は異物51によってその一部が遮られる。
【0040】
信号処理装置6は、受光器4における受光量分布を検出する計測器601と、計測器601で検出された受光量の記憶や過去の受光量との比較等の処理を行なう比較演算器602と、計測器601における計測結果や比較演算器602による処理の結果等の種々の情報を表示する表示器603とを含む。
【0041】
計測器601は、S/H回路12およびA/D変換器13を含み、比較演算器602は、画像メモリ14およびCPU15を含み、表示器603は液晶表示部16を含むが、これらの機能は、ハードウェアの機能として実現されてもよいし、CPU15が特定のソフトウェアを実行することによって実現されても良い。また、各構成要素は、適宜、操作キー17に対して入力された情報に基づいて動作する。
【0042】
投光器3のスリット10の開口10Aは、投光器3および受光器4の移動方向(図2の矢印A方向)に長い矩形、例えば、1mm×5mmの矩形に形成されており、投光器3からのスリット状の平行光2が受光器4のCCD11を設けられた面に投影される。スリット10aからCCD11までの距離はたとえば4.0mとされる。
【0043】
本実施の形態では、CCD11の計測領域(受光量を計測できる領域)は、たとえば3.2mm×3.46mmとされるが、投光器3と受光器4との光軸合わせを考慮すると、2mm×2mm以上であるのが好ましい。
【0044】
そして、本実施の形態では、ワーク50が矢印A方向に、投光器3および受光器4に対して相対的に移動する。当該移動速度は、相対移動する異物51が、CCD11の計測領域に対向する位置に到達してから当該領域を通過するまでにCCD11における画素信号の取り込みを少なくとも1回行えるように設定される。本実施の形態では、CCD11の計測領域の移動方向に沿う幅を、例えば、3mm、最大の移動速度を、例えば、400mm/sとされる。なお、CCD11の画像信号の取り込み周期は、たとえば7.0msとされる。
【0045】
次に、光学式センサ装置1において、投光器3と受光器4の光軸調整の際に実行される処理の内容について説明する。なお、投光器3と受光器4の光軸調整とは、投光器3から投光された光を受光器4で受光できるようにするための両者の位置合わせを含む。図5は、光軸調整処理のフローチャートである。なお、光軸調整処理では、異物51が付着していないワーク50上に投光された光の受光量分布が検出され、また、ダミーとしての異物(試験片51)を付着させたワーク50上に投光された光の受光量分布が検出され、そして、これらの受光量分布における各画素の受光量の差分に基づいた画像が表示されて、光軸調整の評価に利用される。
【0046】
図5を参照して、光軸調整処理では、まずステップS10として、作業者によって、投光器3の半導体レーザ8の投光する光の方向が石定盤やワーク50と平行になるような調整が行なわれ、そして、当該光が受光器4のCCD11に到達するように、投光器3と受光器4の位置合わせが行なわれる。
【0047】
次に、ステップS20として、信号処理装置6によって、液晶表示部16に差分画像が表示する処理(差分画像表示処理)が実行されて、ステップS30に処理が進められる。なお、ステップS20における差分画像表示処理の内容について、当該処理のサブルーチンのフローチャートである図6を参照して説明する。
【0048】
図6を参照して、差分画像表示処理では、まずステップS21において、計測器6が、異物51が付着していないワーク50上に、矢印A方向に平行光を移動させつつ、CCD11における受光量を計測して(画像を取り込んで)、ステップS22が処理に進められる。
【0049】
ステップS21では、平行光2がワーク50の矢印A方向についての一端から他端まで移動する際に、7.0msごとにCCD11によって撮影された画像が取り込まれる。
【0050】
次に、ステップS22では、計測器6によって、ステップS21において取り込んだ画像を、リファレンス画像として比較演算部602に転送されて、ステップS23に処理が進められる。
【0051】
ステップS23では、比較演算部602によって、ステップS22で転送されてきたリファレンス画像が画像メモリ14に保存されて、ステップS24へ処理が進められる。
【0052】
ステップS24では、作業者によって、ワーク50上にダミーの異物(試験片51)が設置されて、ステップS25に処理が進められる。なお、本実施の形態では、試験片51は、そのサイズが、例えば、直径100μm程度以上とされる。また、作業者は、ステップS23の処理が終了した後にステップS24を実行する。したがって、ステップS23の処理が完了した際にはその旨が液晶表示部16において報知されることが好ましい。
【0053】
ステップS25では、平行光2がワーク50の矢印A方向についての一端から他端まで移動する際に、7.0msごとにCCD11によって撮影された画像が取り込まれる。
【0054】
次に、ステップS26では、計測器6によって、ステップS25において取り込んだ画像を、計測画像として比較演算部602に転送されて、ステップS27に処理が進められる。
【0055】
ステップS27では、比較演算部602によって、ステップS26で転送されてきた計測画像が画像メモリ14に保存されて、ステップS28へ処理が進められる。
【0056】
ステップS28では、比較演算部602によって、リファレンス画像と計測画像の対応する画素間での濃度差が算出されて、ステップS29へ処理が進められる。
【0057】
ステップS29では、比較演算部602が表示部603にステップS28における濃度差の算出結果を表示させて、処理が図5にリターンされる。
【0058】
ステップS29において表示部603に表示される画像の一例を図7に示す。
図7を参照して、画面700には、ステップS28で算出された濃度差を示す画像が表示欄710に表示されている。
【0059】
具体的には、表示欄711において、CCD11の計測領域全域についての濃度差が、カラー画像(図面ではモノクロ)で示されている。なお、表示欄711における表示色は、表示欄740に示された表示色と濃度差の対応関係に基づいて表示されている。つまり、CPU15(比較演算部602)は、CCD11の計測領域全域の全画素についての差分を、表示欄740に示された対応関係に基づいてカラーの画素に変換して、表示欄711に表示させている。
【0060】
また、本実施の形態では、ステップS23とステップS25では、それぞれ複数回画像の撮影がなされ、ステップS28では、平行光2とワーク50との位置関係が対応する画像同士の濃度差の差分が算出されるが、ステップS29では、差分の値が最も大きい画像同士についての、濃度差を示す画像が表示される。
【0061】
表示欄711には、断面指示線712,714が表示されている。
断面指示線712は、水平方向の断面位置を指示するために表示され、断面指示線714は、垂直方向の断面位置を指示するために表示される。そして、画面700では、断面指示線712によって指示された断面についての差分値の分布が、濃度分布表示欄713に示されている。また、断面指示線714によって指示された断面についての差分値の分布が、濃度分布表示欄715に示されている。
【0062】
CPU15(比較演算部602)は、操作キー17に対する操作内容に基づいて、断面指示線712と断面指示線714のそれぞれの表示欄711内の位置を変更することができる。また、CPU15(比較演算部602)は、変更後の断面指示線712,714の位置に対応した断面についての差分値の分布を、濃度分布表示欄713,715に表示させる。
【0063】
また、表示欄711では、枠710Aが表示されている。光学式センサ装置1では、CCD11の計測領域の一部の受光量に基づいて、ワーク50上の異物51の有無を検出するように構成されても良い。そして、このような場合に、枠710Aは、CCD11の計測領域の中で異物51の有無の検出の際に利用する領域(実効計測領域)を表示するものである。
【0064】
なお、CPU15(比較演算部602)は、操作キー17に対する操作内容に基づいて、枠710Aの表示欄711中の表示位置を変更することができ、そして、これに応じて、実際のワーク50上の異物51の有無の検出処理の際に利用する、CCD11の計測領域中の受光量を利用する位置(範囲)も変更することができる。つまり、作業者は、光学式センサ装置1において、操作キー17に対して操作を行なうことにより、実効計測領域を指定することができる。
【0065】
また、光学式センサ装置1では、操作キー17によって入力された値を、異物51の有無の判断を行なうための差分の閾値とすることができるが、CPU15(比較演算部602)は、表示欄711に、入力された閾値を越える画素が特定の個数存在するか否かによって、当該閾値が異物51の有無の判定に利用できるか否かを判断し、その判断結果を、画面700に合わせて表示させることができる。
【0066】
また、CPU15(比較演算部602)は、表示欄711に表示されたような差分値に対して、所定の値を閾値としたエッジ検出を実行し、当該エッジ検出により検出されたエッジの中で最も下方にあるものにあわせて、実効計測領域を設定することもできる。
【0067】
なお、CPU15は、表示欄711に表示された差分値の算出に利用されたリファレンス画像を表示欄720に表示させ、また、当該差分値の算出に利用された計測画像を表示欄730に表示させることができる。
【0068】
図5に戻って、ステップS20における差分画像表示処理の後、ステップS30として、作業者により、図7に示されたような画面に基づいて投光器3と受光器4の光軸が合っているか否かが判断され、さらなる調整が必要であると判断されると処理がステップS40へ進められ、調整が必要ではないと判断されるとそのまま光軸調整処理は終了する。
【0069】
なお、ステップS40では、ステップS10と同様に、作業者によって、当該光が受光器4のCCD11に到達するように、投光器3と受光器4の位置合わせ(投光器3の投光軸の調整)が行なわれた後、ステップS20へ処理が戻される。
【0070】
以上説明した本実施の形態では、光学式センサ装置において、受光器4のCCD11において撮影された計測画像(ワーク50上に異物51が配置されている状態での画像)とリファレンス画像(ワーク50上に異物51が配置されていない状態での画像)の(対応する画素ごとの)差分が算出され、当該差分に基づいた画像が液晶表示部16に表示される。作業者は、当該画像に基づいて、たとえば異物51の有無が両画像の差分に現れているか否か等の判断を行なうことにより、その時点での投光器3と受光器4の光軸が合っているか否かの判断をすることができる。
【0071】
なお、図7の表示欄711に表示された差分の画像は、操作キー17を適宜操作されることにより、画像メモリ14に保存することができる。これにより、その時点での投光器3と受光器4の光軸の状態を、客観的なデータとして保存することができる。
【0072】
また、本実施の形態の光学式センサ装置1では、図8に示すように、リファレンス画像のみに基づいたカラー画像を表示させることもできる。
【0073】
図8を参照して、画面800の表示欄811には、CCD11の計測領域全域についてのリファレンス画像の画像濃度に基づいた画像が、カラー(図面ではモノクロ)で表示されている。なお、表示欄811における表示色は、表示欄840に示された表示色と濃度差の対応関係に基づいて表示されている。つまり、CPU15(比較演算部602)は、CCD11の計測領域全域のリファレンス画像における受光濃度を、表示欄840に示された対応関係に基づいてカラーの画素に変換して、表示欄811に表示させている。
【0074】
表示欄811には、断面指示線812,814が表示されている。
断面指示線812は、水平方向の断面位置を指示するために表示され、断面指示線814は、垂直方向の断面位置を指示するために表示される。そして、画面800では、断面指示線812によって指示された断面についての受光濃度の分布が、濃度分布表示欄813に示されている。また、断面指示線814によって指示された断面についての受光濃度の分布が、濃度分布表示欄815に示されている。
【0075】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の光学式センサ装置の全体構成を示すブロック図であり、図10は、当該光学式センサ装置のブロック構成を模式的に示す図である。
【0076】
図9および図10を参照して、本実施の形態の光学式センサ装置1は、第1の実施の形態における光学式センサ装置1に対して、投光器3の半導体レーザ8の投光角度を制御する光軸駆動部7Aをさらに備えている。
【0077】
図11は、本実施の形態の光学式センサ装置1において実行される光軸調整処理のフローチャートである。
【0078】
図11を参照して、光軸調整処理では、まずステップSA10として、作業者によって、投光器3の半導体レーザ8の投光する光の方向を石定盤やワーク50と平行にするように調整がなされ、そして、当該光が受光器4のCCD11に到達するように、投光器3と受光器4の位置合わせが行なわれる。
【0079】
ステップSA20では、平行光2がワーク50の矢印A方向についての一端から他端まで移動する際に、7.0msごとにCCD11によって撮影された画像が取り込まれる。
【0080】
次に、ステップSA30では、半導体レーザ8についての予め記憶されたすべての投光角度でステップSA20が実行されたか否かを判断し、そうであると判断されるとステップSA50へ処理が進められ、そうではないと判断されると、ステップSA40へ処理が進められる。
【0081】
ステップSA40では、比較演算器602により、光軸駆動部7Aに対して半導体レーザ8の投光角度を単位角度θだけ変更されて、ステップSA20へ処理が戻される。
【0082】
ステップSA20〜ステップSA40の処理により、半導体レーザ8の投光角度が角度θずつ変更されながら、リファレンス画像が撮影されて保存される。
【0083】
ステップSA50では、作業者によって、ワーク50上にダミーの異物(試験片51)が設置されて、ステップSA60に処理が進められる。
【0084】
次に、ステップSA60では、半導体レーザ8の投光角度が初期化される。
そして、ステップSA70〜ステップSA90では、ワーク50上に試験片51が設置された状態で、半導体レーザ8の投光角度が角度θずつ変更されながら、計測画像が撮影されて保存される。
【0085】
そして、ステップSA100で、比較演算器602により、各投光角度についてのリファレンス画像と計測画像の対応する画素ごとの差分が算出される。
【0086】
次に、ステップSA110において、比較演算器602により、各投光角度についての差分の中でY軸方向(垂直方向)の差分のピーク値(最大値)とボトム値(最小値)の差が最も大きかった投光角度が特定される。
【0087】
そして、ステップSA120で、比較演算器602により、ステップSA110で特定された投光角度の差分画像が、図7に示されるように表示器603に表示される。
【0088】
そして、特定された投光角度および当該投光角度についての差分画像が画像メモリ14に保存されて、光軸調整処理は終了する。
【0089】
[その他の変形例等]
以上説明した各実施の形態では、受光器4における受光素子としてCCDが採用されていたが、受光素子としては、これに限定されず、MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を採用することもできる。
【0090】
また、以上説明した各実施の形態では、信号処理装置6を構成する計測器601と比較演算器602と表示器603は、ハードウェアの機能として実現されてもよいし、CPU15が特定のソフトウェアを実行することによって実現されても良いとされている。なお、これらは、汎用のコンピュータにおいて特定のソフトウェアが実行されることにより実現されても良いし、特定のハードウェア機器で構成されてもよい。また、たとえば、比較演算器602と表示器603を汎用のコンピュータによって実現し、計測器601を、特定の信号処理装置によって実現することができる。
【0091】
以上説明した各実施の形態では、光学式センサ装置が、ガラス基板上の異物の検出に適用された例が説明されたが、本発明の光学式センサ装置が適用される態様はこれに限定されず、フィルム、金属、紙などのシート状の検査対象についての異物検出に適用することもできると考えられる。また、異物検出に限らず、他の物体、例えば、糸の毛羽の検出などに適用することもできると考えられる。
【0092】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態に開示された技術は、変形例も含め、可能な限り組み合わされて適用されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施の形態である光学式センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の光学式センサ装置を異物検出に適用した場合の投光器および受光器の配置を示す構成図である。
【図3】図1の光学式センサ装置のブロック構成を模式的に示す図である。
【図4】図1の光学式センサ装置のブロック構成を模式的に示す図である。
【図5】図1の光学式センサ装置において実行される光軸調整処理のフローチャートである。
【図6】図5の差分画像表示処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図7】図6の処理によって図1の光学式センサ装置の液晶表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図8】図6の処理によって図1の光学式センサ装置の液晶表示部に表示される画面の他の例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態である光学式センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図10】図9の光学式センサ装置のブロック構成を模式的に示す図である。
【図11】図9の光学式センサ装置において実行される光軸調整処理のフローチャートである。
【図12】従来技術による異物検出を説明するための図である。
【図13】従来技術による異物検出を説明するための図である。
【図14】従来技術による異物検出を説明するための図である。
【符号の説明】
【0094】
1 光学式センサ装置、2 平行光、3 投光器、4 受光器、4A 検出面、6 信号処理装置、7 レーザ駆動回路、8 半導体レーザ、9 コリメートレンズ、10 スリット、10A 開口、11 CCD、12 サンプルホールド回路、13 A/D変換器、14 画像メモリ、15 CPU、16 液晶表示部、17 操作キー、40 計測領域、41〜44,41A〜46A 分割領域、50 ワーク、51 異物、510 石定盤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光部と、
2次元領域に分布する画素を含み、前記投光部からの投光を受光することにより前記2次元領域の受光量分布を出力する受光部と、
前記受光部の前記2次元領域における各画素の受光量に関する基準となる値を記憶する基準値記憶部と、
前記投光部と前記受光部の光軸調整を可能にするために、前記受光部の受光量分布についての前記基準値記憶部に記憶された値に対する差分の画像を表示する表示部とを備える、光学式センサ装置。
【請求項2】
前記受光部の受光領域の一部である計測領域における受光量に基づいて、前記投光部と前記受光部の間の物体の有無を検出する検出部と、
前記計測領域の指定を受付ける指定部とをさらに備える、請求項1に記載の光学式センサ装置。
【請求項3】
前記計測領域は、互いに独立して受光量の算出が可能な複数の領域を含む、請求項2に記載の光学式センサ装置。
【請求項4】
前記受光部の受光領域の一部である計測領域における受光量に基づいて、前記投光部と前記受光部の間の物体の有無を検出する検出部と、
前記計測領域を、前記計測領域内で前記差分が閾値を越えた最も下方にある位置に下端を有するように設定する設定部をさらに備える、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学式センサ装置。
【請求項5】
前記差分についての設定値の入力を受付ける入力部と、
前記表示部が表示する画像において、前記入力部に入力された設定値を越える画素が所定の数以上あるか否かに基づいて前記設定値に対する適否を判断する判断部をさらに備える、請求項4に記載の光学式センサ装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記画像内の特定の線上における前記差分の値をさらに表示する、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学式センサ装置。
【請求項7】
前記投光部と前記受光部の光軸を変更する光軸変更部と、
前記受光部における受光量分布を記憶する受光量記憶部と、
前記光軸変更部によって前記光軸を複数の状態に変更させた各状態で前記受光部における受光量分布を検出することにより、前記複数の状態の中から好ましい前記光軸の状態を決定する光軸決定部とをさらに備え、
前記光軸決定部は、
前記投光部と前記受光部の間に試験片を配置した状態で、前記光軸変更部によって前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、前記投光部に投光させた際の前記受光部による受光量分布である計測用受光量を検出し、
前記計測用受光量を前記受光量記憶部に記憶し、
前記投光部と前記受光部の間に前記試験片が配置されていない状態で、前記光軸変更部によって前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、前記投光部に投光させた際の前記受光部による受光量分布であるリファレンス用受光量を検出し、
前記リファレンス用受光量を前記受光量記憶部に記憶し、
前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、対応する前記計測用受光量と前記リファレンス用受光量の画素ごとの差分を算出し、
前記複数の状態の中で、前記複数の状態のそれぞれについて算出された差分において、前記受光部の受光領域の中の水平方向と交わる方向の線上の差分の最高値と最大値の差が最も大きいものを含む状態を、前記好ましい光軸の状態と決定する、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光学式センサ装置。
【請求項8】
平行光を投光する投光部と、2次元領域に分布する画素を含み、前記投光部からの投光を受光することにより前記2次元領域の受光量分布を出力する受光部とを備える光学式センサ装置についての、前記投光部と前記受光部の光軸調整を可能にするための設置状態確認方法であって、
前記投光部と前記受光部の間に試験片を配置した状態で、前記投光部に投光させた際の前記受光部における受光量分布である計測用受光量を検出するステップと、
前記計測用受光量を記憶部に記憶するステップと、
前記投光部と前記受光部の間に前記試験片が配置されていない状態で、前記投光部に投光させた際の前記受光部における受光量分布であるリファレンス用受光量を検出するステップと、
前記リファレンス用受光量を記憶部に記憶するステップと、
前記計測用受光量と前記リファレンス用受光量の各画素についての差分を算出するステップと、
前記算出した差分に基づいた画像を表示装置に表示させるステップとを備える、光学式センサ装置の設置状態確認方法。
【請求項1】
投光部と、
2次元領域に分布する画素を含み、前記投光部からの投光を受光することにより前記2次元領域の受光量分布を出力する受光部と、
前記受光部の前記2次元領域における各画素の受光量に関する基準となる値を記憶する基準値記憶部と、
前記投光部と前記受光部の光軸調整を可能にするために、前記受光部の受光量分布についての前記基準値記憶部に記憶された値に対する差分の画像を表示する表示部とを備える、光学式センサ装置。
【請求項2】
前記受光部の受光領域の一部である計測領域における受光量に基づいて、前記投光部と前記受光部の間の物体の有無を検出する検出部と、
前記計測領域の指定を受付ける指定部とをさらに備える、請求項1に記載の光学式センサ装置。
【請求項3】
前記計測領域は、互いに独立して受光量の算出が可能な複数の領域を含む、請求項2に記載の光学式センサ装置。
【請求項4】
前記受光部の受光領域の一部である計測領域における受光量に基づいて、前記投光部と前記受光部の間の物体の有無を検出する検出部と、
前記計測領域を、前記計測領域内で前記差分が閾値を越えた最も下方にある位置に下端を有するように設定する設定部をさらに備える、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学式センサ装置。
【請求項5】
前記差分についての設定値の入力を受付ける入力部と、
前記表示部が表示する画像において、前記入力部に入力された設定値を越える画素が所定の数以上あるか否かに基づいて前記設定値に対する適否を判断する判断部をさらに備える、請求項4に記載の光学式センサ装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記画像内の特定の線上における前記差分の値をさらに表示する、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学式センサ装置。
【請求項7】
前記投光部と前記受光部の光軸を変更する光軸変更部と、
前記受光部における受光量分布を記憶する受光量記憶部と、
前記光軸変更部によって前記光軸を複数の状態に変更させた各状態で前記受光部における受光量分布を検出することにより、前記複数の状態の中から好ましい前記光軸の状態を決定する光軸決定部とをさらに備え、
前記光軸決定部は、
前記投光部と前記受光部の間に試験片を配置した状態で、前記光軸変更部によって前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、前記投光部に投光させた際の前記受光部による受光量分布である計測用受光量を検出し、
前記計測用受光量を前記受光量記憶部に記憶し、
前記投光部と前記受光部の間に前記試験片が配置されていない状態で、前記光軸変更部によって前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、前記投光部に投光させた際の前記受光部による受光量分布であるリファレンス用受光量を検出し、
前記リファレンス用受光量を前記受光量記憶部に記憶し、
前記光軸の複数の状態のそれぞれについて、対応する前記計測用受光量と前記リファレンス用受光量の画素ごとの差分を算出し、
前記複数の状態の中で、前記複数の状態のそれぞれについて算出された差分において、前記受光部の受光領域の中の水平方向と交わる方向の線上の差分の最高値と最大値の差が最も大きいものを含む状態を、前記好ましい光軸の状態と決定する、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光学式センサ装置。
【請求項8】
平行光を投光する投光部と、2次元領域に分布する画素を含み、前記投光部からの投光を受光することにより前記2次元領域の受光量分布を出力する受光部とを備える光学式センサ装置についての、前記投光部と前記受光部の光軸調整を可能にするための設置状態確認方法であって、
前記投光部と前記受光部の間に試験片を配置した状態で、前記投光部に投光させた際の前記受光部における受光量分布である計測用受光量を検出するステップと、
前記計測用受光量を記憶部に記憶するステップと、
前記投光部と前記受光部の間に前記試験片が配置されていない状態で、前記投光部に投光させた際の前記受光部における受光量分布であるリファレンス用受光量を検出するステップと、
前記リファレンス用受光量を記憶部に記憶するステップと、
前記計測用受光量と前記リファレンス用受光量の各画素についての差分を算出するステップと、
前記算出した差分に基づいた画像を表示装置に表示させるステップとを備える、光学式センサ装置の設置状態確認方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2009−222485(P2009−222485A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65680(P2008−65680)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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