説明

光学式タッチパネル装置、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】安定した位置検出を可能にする光学式タッチパネル装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】平面部2上の遮光物の位置を検出する光学式タッチパネル装置は、矩形状の平面部2の辺に沿って複数の発光素子及び受光素子を配置してある。光学式タッチパネル装置は、平面部2上に、平面部2の周端を含む周縁領域を設定し、周縁領域以外の領域内での位置検出を行い、周縁領域内では位置検出を行わない。周縁領域は発光素子又は受光素子に近接した領域であり、位置検出の分解能が悪化し、遮光不良が発生し易い。位置検出を行う領域を周縁領域以外の領域に限定することにより、位置検出の分解能の悪化及び遮光不良の発生が防止され、安定した位置検出が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に位置検出を行う光学式タッチパネル装置、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来利用されているタッチパネル装置の一つに、光学式タッチパネル装置がある。特許文献1には、光学式タッチパネル装置の例が開示されている。光学式タッチパネル装置は、矩形状の平面部の辺に沿ってx軸方向及びy軸方向に複数の発光素子を並べてあり、平面部の辺に沿った発光素子に対向する位置に複数の受光素子を並べてある。発光素子が発光した光は平面部の表面に沿って進行し、受光素子で受光される。このように、発光素子が発光して受光素子が受光する光路が平面部上に生成される。使用者が指又はペン等の遮光物を平面部上に置いた場合、遮光物に光が遮られて受光できない受光素子が発生する。光学式タッチパネル装置は、x軸方向及びy軸方向に並んだ受光素子の内、受光できない受光素子の位置を特定することにより、平面部上での遮光物の位置を検出する。
【0003】
光学式タッチパネル装置の発光素子と受光素子とは、1対1で対向するように配置されている。光学式タッチパネル装置が行う位置検出の方式には、遮光物の位置を検出するために平面部の全体をスキャンする全体スキャン方式と、遮光物の周辺に集中してスキャンを行う集中スキャン方式とがある。全体スキャン方式では、光学式タッチパネル装置は、x軸方向及びy軸方向において、複数の受光素子を一端から他端まで順次発光させ、各受光素子に1対1で対向する受光素子で受光する。一つの発光素子からの光は一つの受光素子で受光され、一つの軸方向にある複数の受光素子で受光される光の光路は平行になっている。位置検出の分解能は、隣接する発光素子間の間隔によって定まる。
【0004】
集中スキャン方式では、光学式タッチパネル装置は、一つの発光素子からの光を複数の受光素子で受光する。複数の受光素子で受光される光の光路は、一つの発光素子を起点とする放射状の光路である。位置検出に用いる光路の密度が高くなるので、集中スキャン方式では、全体スキャン方式よりも位置検出の分解能が向上する。光学式タッチパネル装置は、まず全体スキャン方式により遮光物の位置を大まかに検出し、遮光物を検出した後に、集中スキャン方式により遮光物の周辺をスキャンして、遮光物の位置を精度良く検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−91683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集中スキャン方式で位置検出に用いる光路の密度は、平面部の中央に近い部分ではほぼ均等であるものの、平面部の端に近づくほど偏りが大きくなる。例えば、平面部の端に近い部分は、発光素子又は受光素子に近接した部分であり、発光素子又は受光素子の正面に光路が集中しており、発光素子又は受光素子の正面から外れた位置には光路がほとんど存在しない。このため、平面部の端に近い部分では、位置に応じて位置検出の分解能が悪化するという問題があった。
【0007】
また、従来の光学式タッチパネル装置では、遮光不良の問題もあった。従来の光学式タッチパネル装置は、赤外光を位置検出に利用しており、赤外光が透過するフィルタを用いたカバーで受光素子を覆っている。カバーを設けることで、外光の影響を排除し、埃等の異物が内部に進入することを防止することができる。ところが、カバーに対する光の入射角度によっては、光がカバーを透過せずにカバーで反射することがある。このとき、本来は光が遮光物に遮光されて受光できないはずの受光素子に、カバーで反射した光が入射する遮光不良が発生することがある。遮光不良が発生した場合は、位置検出が失敗することになる。従って、従来の光学式タッチパネル装置では、位置に応じた位置検出の分解能の悪化及び遮光不良の発生により、安定した位置検出が困難である。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、位置検出を行うべき領域を制限することによって、安定した位置検出を可能にする光学式タッチパネル装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光学式タッチパネル装置は、平面部と、該平面部上に複数の光路を生成する光路生成手段とを備え、前記平面部上でいずれかの光路が遮光された位置を検出する光学式タッチパネル装置において、前記平面部上に、前記平面部の周端を含む帯状の周縁領域を設定する設定手段と、前記平面部上の領域の内、前記位置の検出を行うべき領域を、前記設定手段で設定した前記周縁領域を除いた領域に限定する手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る光学式タッチパネル装置は、前記平面部は、矩形状であり、前記光路生成手段は、前記平面部の隣り合う二辺の夫々に沿って配置された複数の発光素子と、前記二辺の夫々に対向する辺に沿って配置された複数の受光素子とを有し、前記設定手段は、前記平面部上の領域の内で、前記二辺の夫々の両端に配置された発光素子と前記二辺の夫々に対向する辺の両端に配置された受光素子とを同一方向の端同士で結んだ線よりも外側の領域を前記周縁領域に含むように、前記周縁領域を設定する構成としてあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る光学式タッチパネル装置は、前記設定手段は、前記平面部上の領域の内、前記光路生成手段により生成される光路間の距離が所定距離以上になる領域を含むように、前記周縁領域を設定する構成としてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る光学式タッチパネル装置は、前記平面部を表示面にして画像を表示する表示部と、前記平面部内の前記周縁領域を占める特定の部分画像を含んだ画像を前記表示部に表示させる手段とを更に備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る光学式タッチパネル装置は、平面部、並びに該平面部上に複数の光路を生成する複数の発光素子及び受光素子を有する光学式タッチパネル部と、いずれかの受光素子が受光すべき光が前記平面部上で遮光された位置を検出するための処理を行う処理部とを備える光学式タッチパネル装置において、前記光学式タッチパネル部は、いずれかの発光素子が発光した場合の前記複数の受光素子での受光結果を前記処理部へ入力する手段を有し、前記処理部は、前記平面部上に、前記平面部の周端を含む帯状の周縁領域を設定する手段と、前記光学式タッチパネル部から入力された前記受光結果に基づいて、前記位置を検出する手段と、該手段によって検出した前記位置が前記周縁領域に含まれる位置である場合に、前記位置の検出結果を無効にする手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るコンピュータプログラムは、平面部、並びに該平面部上に複数の光路を生成する複数の発光素子及び受光素子を有する光学式タッチパネル部から、いずれかの発光素子が発光した場合の前記複数の受光素子での受光結果を入力されるコンピュータに、いずれかの受光素子が受光すべき光が前記平面部上で遮光された位置を検出するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータに、前記平面部の周端を含む帯状の周縁領域を設定する処理と、前記光学式タッチパネル部から入力された前記受光結果に基づいて、前記位置を検出する処理と、前記位置が前記周縁領域に含まれる位置である場合に、前記位置の検出結果を無効にする処理とを実行させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る記録媒体は、本発明に係るコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、平面部上で光路が遮光された位置を検出する光学式タッチパネル装置は、平面部上に、平面部の周端を含む周縁領域を設定し、周縁領域以外の領域内での位置検出を行い、周縁領域内では位置検出を行わない。周縁領域内での位置検出を行わないので、位置検出の分解能の悪化及び遮光不良の発生が防止される。
【0017】
また、本発明においては、光学式タッチパネル装置は、矩形状の平面部の辺に沿って配置した複数の発光素子及び受光素子の内、辺の両端の発光素子と受光素子とを同一方向の端同士で結んだ線よりも外側の領域を周縁領域に含ませる。位置検出の分解能が最も悪化する領域が周縁領域に含まれる。
【0018】
また、本発明においては、光学式タッチパネル装置は、平面部上に生成される光路間の距離が所定距離以上になる領域を周縁領域に含ませる。位置検出を行う領域内での光路間の距離が一定の距離以下となり、位置検出の分解能が一定の水準以上になる。
【0019】
また、本発明においては、光学式タッチパネル装置は、平面部を表示面とする表示部に、周縁領域を占める部分画像を含む画像を表示させる。周縁領域を占める部分画像によって、周縁領域が位置検出に利用できないことが報知される。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、位置検出の分解能が悪化し、遮光不良が発生するような領域での位置検出が行われない。位置検出が行われる領域では、位置検出の分解能が極端に悪化することは無く、遮光不良も発生し難いので、安定した位置検出が可能になる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の光学式タッチパネル装置の外観を示す模式図である。
【図2】光学式タッチパネル部及び処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】発光部及び受光部の構成を示す模式図である。
【図4】全体スキャン方式による位置検出の方法を説明する説明図である。
【図5】集中スキャン方式による位置検出の方法を説明する説明図である。
【図6】集中スキャン方式での位置検出の分解能を説明するための説明図である。
【図7】遮光不良を説明するための説明図である。
【図8】動作開始時に光学式タッチパネル装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】周縁画像を含む画像が表示された平面部の例を示す模式図である。
【図10】光学式タッチパネル装置が遮光物の位置を検出する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の光学式タッチパネル装置の外観を示す模式図である。光学式タッチパネル装置は、光学式タッチパネル部1と、光学式タッチパネル部1を用いた処理を行う処理部3とを備えている。光学式タッチパネル部1と処理部3とは通信線で接続されている。光学式タッチパネル部1は、矩形状の平面部2を備えている。使用者は、自分の指又はペン等の遮光物を平面部2上のいずれかの位置に置き、光学式タッチパネル装置は、平面部2上の遮光物の位置を検出する処理を行う。処理部3は、PC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータである。
【0023】
図2は、光学式タッチパネル部1及び処理部3の内部構成を示すブロック図である。光学式タッチパネル部1は、制御部11を備える。制御部11は、演算を行う演算部、光学式タッチパネル部1の動作に必要な制御プログラムを記憶するメモリ、及び演算に伴う一時的なデータを記憶するメモリ等からなる。また光学式タッチパネル部1は、複数の発光素子を含んでなる発光部12と、複数の受光素子を含んでなる受光部13とを備えている。発光部12及び受光部13は、本発明における光路生成手段に対応する。発光部12はアドレスデコーダ141に接続され、アドレスデコーダ141は制御部11に接続されている。また受光部13はアドレスデコーダ142に接続され、アドレスデコーダ142は制御部11に接続されている。更に受光部13はA/Dコンバータ143に接続され、A/Dコンバータ143は制御部11に接続されている。更に、制御部11には、第1インタフェース部15が接続されている。制御部11は、第1インタフェース部15を介して処理部3に対してデータの入出力を行う。第1インタフェース部15は、例えば、USB(Universal Serial Bus)を利用したインタフェース部である。
【0024】
また光学式タッチパネル1は、液晶パネル又はEL(エレクトロルミネセンス)パネル等の画像表示パネルでなる表示部171と、表示部171に画像を表示させる制御を行う表示制御部172とを備えている。表示部171は、表示制御部172に接続され、表示制御部172は第2インタフェース部16に接続されている。第2インタフェース部16は、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)を利用したインタフェース部である。平面部2は、表示部171の表示面となっている。表示部171が表示した画像は平面部2に映り、使用者は平面部2に映った画像を視認することができる。
【0025】
処理部3は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)31と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM(Random Access Memory)32と、光ディスク等の本発明の記録媒体4から情報を読み取るCD−ROMドライブ等のドライブ部33と、ハードディスク等の記憶部34とを備えている。CPU31は、記録媒体4から本発明のコンピュータプログラム41をドライブ部33に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム41を記憶部34に記憶させる。コンピュータプログラム41は必要に応じて記憶部34からRAM32へロードされ、ロードされたコンピュータプログラム41に基づいてCPU31は光学式タッチパネル装置に必要な処理を実行する。記憶部34は、CPU31が実行すべき処理に必要なデータを記憶している。
【0026】
また、処理部3は、第1インタフェース部35及び第2インタフェース部36を備えている。第1インタフェース部35は、光学式タッチパネル部1の第1インタフェース部15に信号線で接続されており、第2インタフェース部36は、光学式タッチパネル部1の第2インタフェース部16に信号線で接続されている。制御部11は、平面部2上の遮光物の位置を検出するために必要なデータを第1インタフェース部15から処理部3へ送信し、処理部3は第1インタフェース部35でデータを受信する。またCPU31は、表示部171に表示させるべき画像を表す画像データを生成し、第2インタフェース部36から光学式タッチパネル部1へ送信する。光学式タッチパネル部1は、画像データを第2インタフェース部16で受信し、表示制御部172は、受信した画像データに基づいた画像を表示部171に表示させる。
【0027】
図3は、発光部12及び受光部13の構成を示す模式図である。矩形状の平面部2の一辺に沿って、複数の発光素子121,121,…が並んで配置されている。発光素子121は、赤外光を発光する発光ダイオード(LED)である。複数の発光素子121,121,…が並んだ方向を表示面171のx軸方向とする。また、隣り合う辺に沿って、赤外光を発光するLEDでなる複数の発光素子122,122,…が並んで配置されている。複数の発光素子122,122,…が並んだ方向を表示面171のy軸方向とする。発光部12は、発光素子121,121,…及び発光素子122,122,…を含んでなる。発光部12は、図示しないマルチプレクサを含んでおり、発光素子121,121,…及び発光素子122,122,…の夫々はマルチプレクサに接続されている。
【0028】
複数の発光素子121,121,…が沿って配置された平面部2の辺に対向する辺に沿って、複数の受光素子131,131,…が並んで配置されている。即ち、受光素子131,131,…はx軸方向に並んでいる。受光素子131は、赤外光を受光するフォトダイオードである。発光素子121,121,…の夫々には、受光素子131,131,…の何れか一つが1対1で対向している。また、複数の発光素子122,122,…が沿って配置された平面部2の辺に対向する辺に沿って、複数の受光素子132,132,…が並んで配置されている。即ち、受光素子132,132,…はy軸方向に並んでいる。発光素子122,122,…の夫々には、受光素子132,132,…の何れか一つが1対1で対向している。受光素子131及び受光素子132は、赤外光を受光するフォトダイオードである。受光部13は、受光素子131,131,…及び受光素子132,132,…を含んでなる。受光部13は、図示しないマルチプレクサを含んでおり、受光素子131,131,…及び受光素子132,132,…の夫々はマルチプレクサに接続されている。
【0029】
図3中には、各発光素子が赤外光を発光して1対1で対向する受光素子が赤外光を受光する際の光路を破線で示している。発光素子121,121,…及び受光素子131,131,…は、発光素子121及び受光素子131が1対1で発光及び受光を行う際の光路が平面部2に沿って等間隔で互いに平行になるように配置されている。同様に、発光素子122,122,…及び受光素子132,132,…は、1対1で発光及び受光を行う際の光路が平面部2に沿って等間隔で互いに平行になるように配置されている。
【0030】
また、発光素子121,121,…、発光素子122,122,…、受光素子131,131,…及び受光素子132,132,…の正面には、赤外光が透過するフィルタを用いたカバー18が設けられている。各発光素子から発光された赤外光は、カバー18を透過し、各受光素子に受光される。カバー18を設けることによって、光学式タッチパネル部1内の基盤がむき出しになることが防止される。また、主に可視光からなる外光はほぼカバー18に遮られて受光素子に受光されないので、位置検出への外光の影響が排除される。また、カバー18によって、埃等の異物が光学式タッチパネル部1の内部に進入することが防止される。
【0031】
図4は、全体スキャン方式による位置検出の方法を説明する説明図である。制御部11は、複数の発光素子を順次スキャンするための信号をアドレスデコーダ141へ出力し、複数の受光素子を順次スキャンするための信号をアドレスデコーダ142へ出力する。アドレスデコーダ141は、制御部11からの信号に応じて、発光素子121,121,…及び発光素子122,122,…の内の何れかの発光素子を選択する信号を発光部12へ出力する。アドレスデコーダ142は、制御部11からの信号に応じて、受光素子131,131,…及び受光素子132,132,…の内で、選択された発光素子に1対1で対向する受光素子を選択する信号を受光部13へ出力する。選択された発光素子は、赤外光を発光し、選択された受光素子は、赤外光を受光し、受光した赤外光の強度を電圧値で示す強度信号をA/Dコンバータ143へ出力する。A/Dコンバータ143は、受光素子からの強度信号を例えば8ビットのデジタル信号へ変換し、変換後の強度信号を制御部11へ出力する。制御部11は、全ての受光素子からの強度信号を取得するように、各受光素子からの強度信号を取得するための処理を順次繰り返す。例えば、制御部11は、発光素子121,121,…を端から順次発光させて対向する受光素子から強度信号を取得し、次に、発光素子122,122,…を端から順次発光させて対向する受光素子から強度信号を取得する。図4中には、光路を実線矢印で示している。
【0032】
制御部11は、各受光素子から取得した強度信号から、各受光素子での受光量を計算する。ある受光素子での受光量が、予め定められている閾値を超過している場合は、制御部11は、当該受光素子が受光する赤外光の光路は遮断されていないと判定する。ある受光素子での受光量が、予め定められている閾値以下である場合は、制御部11は、当該受光素子が受光すべき赤外光の光路が遮断されていると判定する。このようにして、制御部11は、受光すべき赤外光の光路が遮断されている受光素子を特定する。使用者の指又はペン等の遮光物5が平面部2上の何れかの位置に存在する場合、遮光物5の位置を通る光路が遮断される。図4中には、光路を実線矢印で示し、遮光物5に遮断された光路を破線矢印で示している。光学式タッチパネル装置は、特定した受光素子に対応する遮光物5の位置を求める。例えば、座標(xi,0)の位置にある受光素子131及び座標(0,yi)の位置にある受光素子132での受光量が閾値以下であり、他の受光素子での受光量が閾値を超過している場合は、制御部11は、遮光物5の位置の座標を(xi,yi)と決定する。
【0033】
図5は、集中スキャン方式による位置検出の方法を説明する説明図である。光学式タッチパネル装置は、全体スキャン方式により遮光物5の位置を検出した後に、遮光物5の位置をより高分解能で検出するために、集中スキャン方式により遮光物5の位置を検出する。制御部11は、遮光物5に近接する発光素子を指定するための信号をアドレスデコーダ141へ出力し、遮光物5に近接する複数の受光素子を指定するための信号をアドレスデコーダ142へ出力する。アドレスデコーダ141は、制御部11からの信号に応じて、発光素子121,121,…及び発光素子122,122,…の内の何れかの発光素子を選択する信号を発光部12へ出力する。アドレスデコーダ142は、制御部11からの信号に応じて、受光素子131,131,…及び受光素子132,132,…の内から複数の受光素子を選択する信号を受光部13へ出力する。例えば、全体スキャン方式により遮光物5の位置の座標が(xi,yi)と決定された場合、座標(xi,0)の位置にある発光素子121及び座標(0,yi)の位置にある発光素子122が選択される。また、座標(xi,0)の位置にある受光素子131とその両隣の受光素子131との三つの受光素子131、及び座標(xi,0)の位置にある受光素子132とその両隣の受光素子132との三つの受光素子132が選択される。
【0034】
選択された発光素子は、赤外光を発光し、選択された受光素子は、赤外光を受光する。このとき、選択された一つの受光素子からの赤外光を、受光素子に対向する複数の発光素子で受光する。各受光素子は、受光した赤外光の強度を電圧値で示す強度信号をA/Dコンバータ143へ出力し、A/Dコンバータ143は、強度信号を制御部11へ出力する。図5中には、光路を実線矢印で示し、遮光物5に遮断された光路を破線矢印で示している。図5に示すように、集中スキャン方式では、複数の光路は平行ではなく、放射状になる。
【0035】
光学式タッチパネル装置は、各受光素子から取得した強度信号から、各受光素子での受光量を計算し、複数の光路の夫々が遮断されているか否かを判定し、選択された複数の受光素子の内で受光すべき赤外光の光路が遮断されている受光素子を特定する。光学式タッチパネル装置は、特定した受光素子に対応する遮光物5の位置を求める。図5に示すように、複数の光路間の距離が全体スキャン方式の場合に比べて短くなるので、光学式タッチパネル装置は、より高分解能で遮光物5の位置を検出することができる。集中スキャン方式で平面部2の全体をスキャンした場合はスキャンに必要な時間が長大化するので、光学式タッチパネル装置は、全体スキャン方式で遮光物5の位置を大まかに検出した後、遮光物5の位置に限定して集中スキャンを行う。図5には、一つの発光素子からの光を三つの受光素子で受光する例を示したが、一つの発光素子からの光を五つの受光素子で受光する等、一つの発光素子からの光を受光する発光素子の数は三つ以外の数であってもよい。
【0036】
図6は、集中スキャン方式での位置検出の分解能を説明するための説明図である。図6には、発光素子121,121,…及び受光素子131,131,…の一部を示し、集中スキャン方式で利用される光路を実線矢印で示している。遮光物5の位置を検出する分解能は、複数の光路間の距離に依存する。集中スキャン方式で利用する複数の光路は平行ではないので、複数の光路間の距離は平面部2上の位置によって偏りがある。複数の光路が集中した部分と複数の光路がより離れた部分とがあり、発光素子121又は受光素子131に近い位置ほど、複数の光路がより離れた部分の割合が大きくなる。特に、発光素子121又は受光素子131の近傍では、光路間の距離が発光素子121間又は受光素子131間の間隔とほぼ同等になっている部分が大部分を占める。従って、発光素子121又は受光素子131に近い位置ほど位置検出の分解能は悪化する。同様に、発光素子122又は受光素子132に近い位置ほど位置検出の分解能は悪化する。
【0037】
図7は、遮光不良を説明するための説明図である。遮光物5が存在する場合、発光素子121から発光された赤外光は、遮光物5に遮光されて受光素子131には受光されない。しかしながら、発光素子121から発光された赤外光の一部が、受光素子132,132,…の正面に設けられたカバー18へ入射し、カバー18を透過せずに反射し、赤外光を受光できないはずの受光素子131へ入射することがある。この遮光不良が発生した場合は、遮光物5の正しい位置検出が行われない。カバー18へ入射する赤外光の入射角及び発光素子121からの距離に依存して、反射が発生する。このため、発光素子121が平面部2の辺の端に近いほど、遮光不良の発生する頻度が高くなる。x軸方向の逆の端、及びy軸方向の両端においても、同様に、端に近いほど遮光不良の発生する頻度が高くなる。以上のように、平面部2上の領域の内、発光素子又は受光素子に近い領域では、位置検出の分解能の悪化及び遮光不良の発生により、安定した位置検出が困難である。
【0038】
本発明では、光学式タッチパネル装置は、平面部2上に、平面部2の周端を含む帯状の周縁領域を設定し、周縁領域での位置検出を行わない。周縁領域は、平面部2内の領域の内で発光素子又は受光素子に近接した領域であり、前述したように、この領域では安定した位置検出が困難である。逆に、周縁領域以外の領域では、位置検出の分解能はある程度の水準が保たれ、遮光不良も発生し難いので、安定した位置検出が可能である。
【0039】
図8は、動作開始時に光学式タッチパネル装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。CPU31は、コンピュータプログラム41に従って以下の処理を実行する。図示しない起動スイッチを使用者に押下される等して、光学式タッチパネル装置が動作を開始するときに、CPU31は、平面部2上に、位置検出を禁止すべき周縁領域を設定する(S11)。ステップS11では、CPU31は、平面部2上の座標の内で、周縁領域に含まれる座標の範囲をRAM32に記憶させる。周縁領域に含まれるべき座標の範囲を示すデータは、予め記憶部34に記憶されているか、又はコンピュータプログラム41に含まれている。CPU31は、次に、平面部2内の周縁領域を占める特定の周縁画像を含む画像を表示部171に表示させる処理を行う(S12)。周縁画像は、表示部171に表示させる画像の一部を占める部分画像であり、周縁領域が位置検出に利用できないことを視覚的に報知するための画像である。周縁画像を表示部171に表示させるために必要な画像データは、予め記憶部34に記憶されているか、又はコンピュータプログラム41に含まれている。ステップS12では、CPU31は、周縁画像用の画像データを用いて、周縁画像を含む画像を表す画像データを生成し、生成した画像データを第2インタフェース部36から光学式タッチパネル部1へ送信する。光学式タッチパネル部1は、第2インタフェース部16で画像データを受信し、表示制御部172は、受信した画像データに基づいて、周縁画像を含む画像を表示部171に表示させる。平面部2は表示部171の表示面であるので、画像は平面部2内に表示される。
【0040】
図9は、周縁画像を含む画像が表示された平面部2の例を示す模式図である。平面部2内の領域の内、図9中の斜線で塗りつぶした領域が周縁領域21であり、その他の領域は、位置検出が可能となる検出領域22である。周縁領域21は、平面部2の周端を含んでおり、x軸方向及びy軸方向の両端を占める帯状の領域である。また、図9の例では、x軸方向に並んだ発光素子121,121,…の両端の発光素子121,121と、受光素子131,131,…の両端の受光素子131,131とを同一方向の端同士で結んだ線を、周縁領域21と検出領域22との境界にしている。同様に、y軸方向に並んだ発光素子122,122,…の両端の発光素子122,122と、受光素子132,132,…の両端の受光素子132,132とを同一方向の端同士で結んだ線を、周縁領域21と検出領域22との境界にしている。周縁領域21に表示される周縁画像は、周縁領域が位置検出に利用できない領域であることが視覚的に明らかになるような画像である。例えば、周縁画像は帯状の周縁領域21を黒等の一色で塗りつぶした画像である。また例えば、周縁画像は、位置検出に利用できない領域であることを文字で示したメッセージを含む画像である。周縁画像は、現在時刻等の各種の情報を表示した画像、又は、周縁領域21と検出領域22との境界に境界線を示した画像等、その他の画像であってもよい。
【0041】
ステップS12が終了した後は、光学式タッチパネル装置は、周縁画像を含む画像を表示部171に表示した状態で、動作開始時の処理を終了する。光学式タッチパネル装置は、引き続いて、平面部2上での遮光物5の位置を検出する処理を実行する。
【0042】
なお、周縁領域21は、図9に示す領域よりも広い領域であってもよい。光学式タッチパネル装置は、集中スキャン方式で使用する複数の光路の内でx軸方向又はy軸方向に隣接する光路間の最大距離が所定距離以上になる領域を、周縁領域21と設定してもよい。例えば、x軸方向又はy軸方向に隣接する光路間の最大距離が発光素子間又は受光素子間の間隔の二分の一以上になる領域を周縁領域21にしてもよい。また、光学式タッチパネル装置は、周縁領域21を変更できる形態であってもよい。例えば、処理部3は、周縁領域21を変更するための使用者からの指示を図示しない受付部で受け付け、受け付けた指示に従って周縁領域21の広さを変更する処理を行う形態であってもよい。
【0043】
また、光学式タッチパネル装置は、周縁領域21に周縁画像を表示させるのでは無く、周縁領域21には画像を全く表示させないようにする形態であってもよい。この形態では、CPU31は、ステップS12の代わりに、平面部2の全体に表示させるための画像から周縁領域21に表示させる部分画像を除いて大きさを縮小した画像を表す画像データを生成する。画像データは第2インタフェース部36から送信されて第2インタフェース部16で受信され、表示制御部172は、受信した画像データに基づいて、周縁領域21の部分が除去された画像を表示部171に表示させる。
【0044】
図10は、光学式タッチパネル装置が遮光物5の位置を検出する処理の手順を示すフローチャートである。CPU31は、コンピュータプログラム41に従って以下の処理を実行する。CPU31は、全体スキャン方式で遮光物5の位置を検出するための全体スキャンの開始の指示を第1インタフェース部35から光学式タッチパネル部1へ送信する。光学式タッチパネル部1は第1インタフェース部15で処理部3からの指示を受信し、制御部11は、必要な信号をアドレスデコーダ141及びアドレスデコーダ142へ出力することにより、全体スキャンを開始する(S201)。発光素子121,121,…及び発光素子122,122,…は順次発光し、受光素子131,131,…及び受光素子132,132,…の内で発光した発光素子に1対1で対向する受光素子は、強度信号をA/Dコンバータ143へ出力する。A/Dコンバータ143は、受光素子からの強度信号をデジタル信号へ変換して制御部11へ出力し、制御部11は、各受光素子からの強度信号に応じた各受光素子での受光結果を示すデータを第1インタフェース部15から処理部3へ順次送信する(S202)。このとき、各受光素子での受光結果と共に、各受光素子の座標を示すデータも送信される。なお、処理部3が各受光素子の座標を示すデータを記憶部34に記憶しておき、ステップS202では、制御部11は各受光素子を識別するためのデータを送信してもよい。
【0045】
処理部3は、光学式タッチパネル部1からのデータを第1インタフェース部35で受信し、CPU31は、受信したデータに基づいて、平面部2上に遮光物5が存在するか否かを判定する(S203)。ステップS203では、CPU31は、受信したデータが示す受光量が閾値以下である受光素子がある場合に、受光素子が受光すべき赤外光の光路を遮断する遮光物5が存在すると判定する。また、CPU31は、受光量が閾値以下である受光素子が無い場合に、遮光物5は存在しないと判定する。遮光物5が存在しない場合は(S203:NO)、CPU31は、全体スキャンを続行させるための制御信号を第1インタフェース部35から送信することにより、処理をステップS202へ戻す。
【0046】
ステップS203で遮光物5が存在した場合は(S203:YES)、CPU31は、遮光物5の平面部2上での位置を検出する処理を行う(S204)。ステップS204では、CPU31は、受光量が閾値以下であった受光素子の座標から、遮光物5の平面部2上での座標を求める。CPU31は、次に、検出した遮光物5の平面部2上での位置が、周縁領域21に含まれる位置であるか否かを判定する(S205)。ステップS205では、CPU31は、RAM32に記憶してある周縁領域21の座標の範囲に遮光物5の座標が含まれる場合に、遮光物5の位置が周縁領域21に含まれると判定する。また、CPU31は、周縁領域21の座標の範囲に遮光物5の座標が含まれない場合に、遮光物5の位置は検出領域22に含まれると判定する。遮光物5の平面部2上での位置が周縁領域21に含まれる位置である場合に(S205:YES)、CPU31は、処理をステップS202へ戻す。
【0047】
ステップS205で遮光物5の位置が検出領域22に含まれる場合に(S205:NO)、光学式タッチパネル装置は、集中スキャン方式で遮光物5の位置を検出するための集中スキャンを行う(S206)。ステップS206では、CPU31は、ステップS204で検出した遮光物5の位置を示すデータ、及び集中スキャンの開始の指示を第1インタフェース部35から光学式タッチパネル部1へ送信する。光学式タッチパネル部1は第1インタフェース部15で遮光物5の位置を示すデータ及び集中スキャンの開始の指示を受信する。制御部11は、遮光物5の位置を示すデータから、遮光物5に近接する発光素子及び複数の受光素子を特定し、特定した発光素子を指定するための信号をアドレスデコーダ141へ出力し、特定した複数の受光素子を指定するための信号をアドレスデコーダ142へ出力する。アドレスデコーダ141は、制御部11からの信号に応じて、指定された発光素子を選択する信号を発光部12へ出力し、指定された複数の受光素子を選択する信号を受光部13へ出力する。遮光物5に近接する発光素子121及び発光素子122は発光し、選択された受光素子131,131,…及び受光素子132,132,…は、強度信号をA/Dコンバータ143へ出力する。A/Dコンバータ143は、各受光素子からの強度信号をデジタル信号へ変換して制御部11へ出力し、制御部11は、強度信号に応じた各受光素子での受光結果を示すデータを第1インタフェース部15から処理部3へ送信する(S207)。
【0048】
処理部3は、光学式タッチパネル部1からのデータを第1インタフェース部35で受信し、CPU31は、受信したデータに基づいて、平面部2上に遮光物5が存在するか否かを判定する(S208)。遮光物5が存在しない場合は(S208:NO)、CPU31は、遮光物5の位置を検出する処理を終了する。遮光物5が存在した場合は(S208:YES)、CPU31は、遮光物5の平面部2上での位置を検出する処理を行う(S209)。ステップS209では、CPU31は、発光した発光素子と受光量が閾値を超えた受光素子及び受光量が閾値以下であった受光素子との位置関係から、遮光物5の平面部2上での座標を計算する。得られる座標は、ステップS204で得られる座標よりも高精度になっている。なお、CPU31は、ステップS209で、遮光物5の座標を一点で求めるのではなく、遮光物5が平面部2上で占める座標の範囲を求める処理をおこなってもよい。
【0049】
CPU31は、次に、検出した遮光物5の平面部2上での位置が、周縁領域21に含まれる位置であるか否かを判定する(S210)。遮光物5の平面部2上での位置が周縁領域21に含まれる位置である場合に(S210:YES)、CPU31は、遮光物5の位置を示すデータを破棄する(S212)。位置を示すデータの破棄により、ステップS209での位置検出の結果が無効になる。ステップS212が終了した後は、CPU31は、遮光物5の位置を検出する処理を終了する。
【0050】
ステップS210で遮光物5の位置が検出領域22に含まれる場合は(S210:NO)、CPU31は、遮光物5の位置に応じた処理を実行する(S211)。例えば、CPU31は、ステップS211で、遮光物5の平面部2上での軌跡を示す画像を表示部171に表示させる処理を行う。また例えば、CPU31は、遮光物5の位置に応じて予め定められているアプリケーションを実行する処理を行う。ステップS211が終了した後は、CPU31は、遮光物5の位置を検出する処理を終了する。光学式タッチパネル装置は、ステップS201〜S212の処理を随時繰り返し実行する。
【0051】
以上詳述した如く、光学式タッチパネル装置は、平面部2上に、平面部2の周端を含む周縁領域21を設定し、周縁領域21以外の検出領域22内での遮光物5の位置検出を行い、周縁領域21内での遮光物5の位置検出を行わない。周縁領域21では、位置検出の分解能が悪化し、遮光不良が発生するので、周縁領域21内での位置検出を行わないことにより、位置検出の分解能の悪化及び遮光不良の発生を防止することができる。また、検出領域22では、位置検出の分解能が極端に悪化することは無く、遮光不良も発生し難いので、位置検出を行う領域を検出領域22に限定することにより、安定して遮光物5の位置を検出することが可能になる。
【0052】
また、光学式タッチパネル装置は、x軸方向及びy軸方向の両端の発光素子と受光素子とを同一方向の端同士で結んだ線よりも外側の領域を周縁領域21に含ませる。この領域は何れかの発光素子又は受光素子に最も近接した領域であり、位置検出の分解能はこの領域で最も悪化する。この領域を周縁領域21に含ませることにより、確実に位置検出の分解能の悪化が防止される。また、光路間の最大距離が所定距離以上になる領域を周縁領域21と設定する形態では、検出領域22内での光路間の距離が一定の距離以下となるので、光学式タッチパネル装置は、位置検出の分解能を一定の水準以上に制御することができる。
【0053】
また、光学式タッチパネル装置は、周縁領域21を占める周縁画像を含む画像を表示部171に表示させる。周縁画像によって、周縁領域21が位置検出に利用できないことが報知されるので、使用者は、容易に周縁領域21を避けて光学式タッチパネル装置を使用することができる。このため、使用者が、遮光物5の位置検出に利用できない周縁領域21を間違って利用することが少なくなる。また、周縁領域21には画像を表示させないようにする形態においても、使用者は、容易に周縁領域21を避けて光学式タッチパネル装置を使用することができる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、光学式タッチパネル部1及び処理部3は二種類のインタフェース部を備えて二本の通信線で接続された形態を示したが、光学式タッチパネル部1及び処理部3は一種類のインタフェース部を備えて一本の通信線で接続された形態であってもよい。また本実施の形態においては、光学式タッチパネル部1は受光素子での受光結果を処理部3へ送信する結果を示したが、光学式タッチパネル部1は、受光結果から遮光物5の位置を検出する処理を行い、検出した位置を示す情報を処理部3へ送信する形態であってもよい。また、光学式タッチパネル装置は、周縁領域21を通る光路を生成しない又は周縁領域21を通る光路の検出結果を処理しない等、ステップS201〜S212の処理とは異なる方法で、周縁領域21での位置検出を行わないようにする形態であってもよい。
【0055】
また本実施の形態においては、位置検出に利用する光路として赤外光の光路を用いる形態を示したが、光学式タッチパネル装置は、位置検出に利用する光路として他の波長の光路を用いる形態であってもよい。また、本実施の形態においては、光学式タッチパネル装置は光学式タッチパネル部1及び処理部3を備える形態を示したが、光学式タッチパネル装置は、処理部3を備えておらず全ての処理を光学式タッチパネル部1で実行する形態であってもよい。更に、本実施の形態においては、平面部2は矩形であるとしたが、光学式タッチパネル装置は、円形等の他の形状の平面部2を備えた形態であってもよい。また、光学式タッチパネル装置は、画像を表示する機能を備えていない形態であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 光学式タッチパネル部
11 制御部
12 発光部
121、122 発光素子
13 受光部
131、132 受光素子
171 表示部
18 カバー
2 平面部
21 周縁領域
22 検出領域
3 処理部
31 CPU
4 記録媒体
41 コンピュータプログラム
5 遮光物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部と、該平面部上に複数の光路を生成する光路生成手段とを備え、前記平面部上でいずれかの光路が遮光された位置を検出する光学式タッチパネル装置において、
前記平面部上に、前記平面部の周端を含む帯状の周縁領域を設定する設定手段と、
前記平面部上の領域の内、前記位置の検出を行うべき領域を、前記設定手段で設定した前記周縁領域を除いた領域に限定する手段と
を備えることを特徴とする光学式タッチパネル装置。
【請求項2】
前記平面部は、矩形状であり、
前記光路生成手段は、
前記平面部の隣り合う二辺の夫々に沿って配置された複数の発光素子と、
前記二辺の夫々に対向する辺に沿って配置された複数の受光素子とを有し、
前記設定手段は、
前記平面部上の領域の内で、前記二辺の夫々の両端に配置された発光素子と前記二辺の夫々に対向する辺の両端に配置された受光素子とを同一方向の端同士で結んだ線よりも外側の領域を前記周縁領域に含むように、前記周縁領域を設定する構成としてあること
を特徴とする請求項1に記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項3】
前記設定手段は、
前記平面部上の領域の内、前記光路生成手段により生成される光路間の距離が所定距離以上になる領域を含むように、前記周縁領域を設定する構成としてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項4】
前記平面部を表示面にして画像を表示する表示部と、
前記平面部内の前記周縁領域を占める特定の部分画像を含んだ画像を前記表示部に表示させる手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1から3までの何れか一つに記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項5】
平面部、並びに該平面部上に複数の光路を生成する複数の発光素子及び受光素子を有する光学式タッチパネル部と、いずれかの受光素子が受光すべき光が前記平面部上で遮光された位置を検出するための処理を行う処理部とを備える光学式タッチパネル装置において、
前記光学式タッチパネル部は、
いずれかの発光素子が発光した場合の前記複数の受光素子での受光結果を前記処理部へ入力する手段を有し、
前記処理部は、
前記平面部上に、前記平面部の周端を含む帯状の周縁領域を設定する手段と、
前記光学式タッチパネル部から入力された前記受光結果に基づいて、前記位置を検出する手段と、
該手段によって検出した前記位置が前記周縁領域に含まれる位置である場合に、前記位置の検出結果を無効にする手段と
を備えることを特徴とする光学式タッチパネル装置。
【請求項6】
平面部、並びに該平面部上に複数の光路を生成する複数の発光素子及び受光素子を有する光学式タッチパネル部から、いずれかの発光素子が発光した場合の前記複数の受光素子での受光結果を入力されるコンピュータに、いずれかの受光素子が受光すべき光が前記平面部上で遮光された位置を検出するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記平面部の周端を含む帯状の周縁領域を設定する処理と、
前記光学式タッチパネル部から入力された前記受光結果に基づいて、前記位置を検出する処理と、
前記位置が前記周縁領域に含まれる位置である場合に、前記位置の検出結果を無効にする処理と
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−92893(P2013−92893A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234254(P2011−234254)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】