光学式位置検出装置および入力機能付き表示システム
【課題】対象物体からの反射光を複数の受光素子で受光した際に各受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる光学式位置検出装置、および入力機能付き表示システムを提供すること。
【解決手段】光学式位置検出装置10では、光源部12から検出光を出射した際、受光部13は対象物体Obからの反射光を第1受光素子131および第2受光素子132で受光する。信号処理部71は、第1受光素子131および第2受光素子132から出力された信号を加算した加算信号を位置検出部50に検出用信号として出力する際、加算出力が閾値以下のときには加算出力に第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力し、加算出力が閾値を超えるときには加算出力に第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する。
【解決手段】光学式位置検出装置10では、光源部12から検出光を出射した際、受光部13は対象物体Obからの反射光を第1受光素子131および第2受光素子132で受光する。信号処理部71は、第1受光素子131および第2受光素子132から出力された信号を加算した加算信号を位置検出部50に検出用信号として出力する際、加算出力が閾値以下のときには加算出力に第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力し、加算出力が閾値を超えるときには加算出力に第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置および光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物体を光学的に検出する光学式位置検出装置として、複数の点光源を互いに離間した位置に設け、複数の点光源の各々から透光部材を介して対象物体に向けて検出光を出射した際に、対象物体で反射した検出光が透光部材を透過して受光部で検出されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、複数の点光源の各々から出射された検出光を、導光板を介して出射し、対象物体で反射した検出光を受光部で検出する方式の光学式位置検出装置も提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0003】
かかる光学式位置検出装置では、受光部として1つの受光素子を用い、複数の点光源のうちの一部の点光源が点灯した際の受光素子からの出力と、他の一部の点光源が点灯した際の受光素子からの出力との比較結果に基づいて対象物体の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【特許文献2】特開2010−127671号公報
【特許文献3】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の構成では、受光素子が感度指向性を有しているため、検出範囲を拡張することが困難である。より具体的には、受光素子は、例えば、図15(a)に示すように、全体として直方体形状の素子本体130bと、素子本体130bの両端から突出する端子130cとを備えており、素子本体130bは、一方面側に受光面130aを備えている。かかる受光素子130の受光感度は、図15(b)に示す入射角度依存性(感度指向性)を有しており、受光面130aに対する法線方向に感度ピーク方向を有している。また、図15(b)からわかるように、受光素子130は、検出光の入射角度が受光面130aに対する法線方向から60°以上傾くと、感度ピーク値に対して1/2未満の感度となり、検出光の入射角度が受光面130aに対する法線方向から90°以上傾くと、感度が0となる。このため、検出範囲は、検出光の入射角度が受光面130aに対する法線方向に対して、例えば、60°以下の傾きで入射するような角度範囲に限られてしまう。
【0006】
また、検出光を出射した際、対象物体以外の物体で反射した検出光の一部が受光素子130に入射するため、受光面130aに対する法線方向から大きく傾いた方向に対象物体が位置する場合、受光素子130からの出力には、対象物体以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光に起因する成分の比率が増大し、検出精度が低下するという問題もある。
【0007】
ここに本願発明者は、受光部に複数の受光素子を設けることを提案するものである。また、本願発明者は、複数の受光素子から出力された信号の加算出力に基づいて対象物体の位置を検出することを提案するものである。かかる構成によれば、1つの受光素子に対して受光感度が低下する角度方向から検出光(反射光)が入射する場合でも、他方の受光素子では、受光感度が高い角度方向から検出光(反射光)が入射するので、検出範囲を拡大できる。
【0008】
ここで、上記の構成の場合、位置検出部での入力レンジについては、加算出力の最大値に対応させないと、加算出力がオーバーフローしてしまい、対象物体の位置を検出できなくなる。例えば、受光素子を2つ設けた場合において、1つの受光素子から出力される信号の最大値が1Vである場合、位置検出部での入力レンジについては2Vと設定する必要がある。しかしながら、位置検出部での入力レンジを2Vまで広げると、その分、分解能が低下し、位置検出精度が低下する。それ故、複数の受光素子を設けた場合、分解能と、オーバーフローの防止とは、一方を満たせば他方が損なわれる二律背反の関係にある。
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、対象物体からの反射光を複数の受光素子で受光することにより検出範囲の拡張等を図った場合において、各受光素子からの出力レベルにかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる光学式位置検出装置、および該光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の光学式位置検出装置は、検出光を出射する光源部と、前記検出光が出射された空間で反射した前記検出光を受光する複数の受光素子を備えた受光部と、前記複数の受光素子の各々から出力された複数の信号を加算した加算出力と閾値とを比較し、当該加算出力が前記閾値以下のときには当該加算出力に第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力し、前記加算出力が前記閾値を超えるときには当該加算出力に前記第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する検出用信号生成部と、前記検出用信号に基づいて前記空間内の対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有していることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、受光部は、検出光が出射された空間で反射した検出光(反射光)を複数の受光素子で検出するので、複数の受光素子のうち、1つの受光素子において受光感度が低下する方向から検出光が入射するような場合でも、他の受光素子では、検出光を高い感度で受光することができる。このため、対象物体の位置を検出できる範囲を拡張することができる。また、本発明では、複数の受光素子の各々から出力された複数の信号を加算した加算出力を求め、かかる加算出力に基づいて、対象物体の位置を検出する。このため、位置検出部が位置検出に用いる信号レベルが高いので、対象物体の位置を精度よく検出することができる。さらに、加算出力が閾値以下のときには加算出力に第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する一方、加算出力が閾値を超えるときには加算出力に第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する。このため、位置検出部の入力レンジの最高値を高くしなくても、信号のオーバーフローを回避できる。また、位置検出部の入力レンジの最高値を低く設定することができるので、加算出力が低レベルであっても、対象物体の位置を高い精度で検出することができる。また、加算出力が閾値を超えるときには検出用信号のレベルを低めに設定することになるが、かかる事象が発生するのは、対象物体が受光部に近い位置にある等、検出精度が元々、極めて高い位置にある場合に相当する。従って、加算出力が閾値を超えるときには検出用信号のレベルを低めに設定した場合でも、対象物体の位置を比較的高い精度で検出することができる。それ故、受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0012】
本発明において、前記検出用信号生成部は、例えば、前記加算出力と前記閾値とを比較する比較部と、前記加算出力を増幅して前記検出用信号を出力する加算出力増幅部と、前記比較部での比較結果において、前記加算出力が前記閾値以下のときには前記加算出力増幅部の増幅率を第1増幅率とし、前記加算出力が前記閾値を超えるときには前記加算出力増幅部の増幅率を前記第1増幅率より小さな第2増幅率とする増幅率切換部と、を備えている構成を採用することができる。かかる構成によれば、増幅率を切り換えるという比較的簡素な構成で、受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0013】
本発明において、前記検出用信号生成部は、前記加算出力と前記閾値とを比較する比較部と、該比較部での比較結果において、前記加算出力が前記閾値以下のときには第1抵抗値を有する電流制限抵抗に前記加算出力を通して前記検出用信号を出力し、前記加算出力が前記閾値を超えるときには第1抵抗値より値が大きな第2抵抗値を有する電流制限抵抗に前記加算出力を通して前記検出用信号を出力する電流制限抵抗切換部と、を備えている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、電流制限抵抗を切り換えるという比較的簡素な構成で、受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0014】
本発明の別の形態に係る光学式位置検出装置は、検出光を出射する光源部と、前記検出光が出射された空間で反射した前記検出光を受光する複数の受光素子を備えた受光部と、前記複数の受光素子の各々から出力された複数の信号の強度を比較し、当該複数の信号のうち、強度が最大の信号を検出用信号として出力する検出用信号生成部と、前記検出用信号に基づいて前記空間内の対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、受光部は、検出光が出射された空間で反射した検出光(反射光)を複数の受光素子で検出するので、複数の受光素子のうち、1つの受光素子において受光感度が低下する方向から検出光が入射するような場合でも、他の受光素子では、検出光を高い感度で受光することができる。このため、対象物体の位置を検出できる範囲を拡張することができる。また、本発明では、複数の受光素子の各々から出力された複数の信号のうち、強度が最大の信号を検出用信号として用いるため、位置検出部が位置検出に用いる信号レベルが高いので、対象物体の位置を精度よく検出することができる。また、位置検出部において入力が許容されているレンジについては、受光素子一つ分の最高出力に対応する値に設定しておけば、オーバーフローの発生を回避できるとともに、位置検出部の入力レンジを低く設定することができる。それ故、受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0016】
本発明において、前記位置検出部において入力が許容されているレンジは、前記受光部に用いた受光素子一つ分の最高出力に対応する値に設定されていることが好ましい。
【0017】
本発明において、前記光源部は、第1期間中、前記空間に一方側から他方側に向かって強度が減少する光強度分布を形成するように前記検出光を出射し、前記第1期間とは重ならない第2期間中、前記空間に前記他方側から前記一方側に向かって強度が減少する光強度分布を形成するように前記検出光を出射し、前記位置検出部は、前記第1期間中における前記検出用信号のレベルと、前記第2期間中における前記検出用信号のレベルとが等しくなったときの前記光源部での駆動電流値に基づいて前記対象物体の位置を検出することが好ましい。かかる構成によれば、検出用信号の絶対値により対象物体の位置を検出する場合に比較して、外光等の影響を受けにくい等の利点がある。また、検出用信号の絶対値により対象物体の位置を検出する場合と違って、検出用信号のレベルが高ければ高い程、検出精度が高いので、本発明を適用した場合の効果が顕著である。
【0018】
本発明において、前記複数の受光素子には、第1受光素子と、該第1受光素子と隣り合う位置に配置された第2受光素子と、が含まれ、前記第1受光素子と前記第2受光素子とは、受光面に対する法線方向が互いに交差する方向に延びていることが好ましい。かかる構成によれば、第1受光素子と第2受光素子とは、互いに補完し合うため、少ない数の受光素子で検出範囲の拡張を図ることができる。
【0019】
この場合、前記第1受光素子の前記法線方向、および前記第2受光素子の前記法線方向は、互いに45°から90°の角度を成す方向に延びていることが好ましい。かかる構成によれば、第1受光素子および第2受光素子のうち少なくとも一方には、常に、感度が高い方から検出光が入射するので、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0020】
本発明に係る光学式位置検出装置は、画像が表示される表示面を備えた表示装置を有する入力機能付き表示システムを構成するのに用いることができ、この場合、前記表示装置は、前記光学式位置検出装置によって検出された前記表示面に沿う方向の前記対象物体の位置に基づいて前記画像を切り換えることを特徴とする。かかる構成の入力機能付き表示システムによれば、光学式位置検出装置の検出空間を広く確保することができるので、広い範囲にわたって表示された画像を対象物体で指し示すことによって画像を切り換える等の動作を行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る光学式位置検出装置は、画像を投射する画像投射装置を有する入力機能付き表示システムを構成するのに用いることができ、この場合、前記画像投射装置は、前記光学式位置検出装置によって検出された前記画像の投射方向と交差する方向の前記対象物体の位置に基づいて前記画像を切り換えることを特徴とする。かかる構成の入力機能付き表示システムによれば、光学式位置検出装置の検出空間を広く確保することができるので、広い範囲にわたって表示された投射画像を対象物体で指し示すことによって画像を切り換える等の動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットから出射される検出光の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において、受光部に用いた2つの受光素子の位置関係を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の制御系の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における位置検出原理の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において対象物体のXY座標データを取得する原理の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の信号処理部の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1の変形例に係る光学式位置検出装置の信号処理部の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の制御系の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の信号処理部の説明図である。
【図13】本発明を適用した位置検出システムの具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。
【図14】本発明を適用した位置検出システムの具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。
【図15】光学式位置検出装置で用いられる受光素子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に交差する方向をZ軸方向とする。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として表してある。
【0024】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部の説明図である。図1(a)は光学式位置検出装置を検出光出射空間側の斜め方向からみたときの説明図であり、図1(b)は光学式位置検出装置を正面からみたときの説明図である。
【0025】
本形態の位置検出システム1は、対象物体Obの位置を検出する光学式位置検出装置10を有している。光学式位置検出装置10は、X軸方向およびY軸方向により規定される仮想のXY平面(仮想面)に沿うように放射状に出射した検出光L2を利用して、対象物体Obの位置を検出する。本形態において、位置検出システム1は、XY平面に沿って広がる視認面41をZ軸方向の一方側Z1に備えた視認面構成部材40を有しており、光学式位置検出装置10は、視認面41に沿って検出光L2を出射し、視認面構成部材40に対して視認面41側(Z軸方向の一方側Z1)に位置する対象物体Obの位置を検出する。従って、位置検出システム1の検出空間10Rは、光学式位置検出装置10において検出光L2が出射される検出光出射空間であり、検出空間10Rには、後述する検出光L2の光強度分布が形成される。かかる位置検出システム1は、光学式位置検出装置10によって、後述する電子黒板等の入力機能付き表示システムや入力機能付き投射型表示システム等として用いることができる。
【0026】
本形態の位置検出システム1において、光学式位置検出装置10は、視認面41(XY平面)に沿って検出光L2を放射状に出射可能な光源部12と、検出光L2の出射範囲(検出空間10R)に位置する対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を受光する受光部13とを備えている。
【0027】
光学式位置検出装置10は、光源部12として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出空間10Rに向く2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)を備えており、第1光源部12Aと第2光源部12Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。また、光学式位置検出装置10は、受光部13として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出空間10Rに向く第1受光部13Aおよび第2受光部13Bを備えており、第1受光部13Aと第2受光部13Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。
【0028】
ここで、第1受光部13Aは、第1光源部12Aから放射状に出射される検出光L2(検出光L2a)の放射中心位置に配置されており、第1受光部13Aと第1光源部12Aとは受発光ユニット15(第1受発光ユニット15A)として一体化されている。また、第2受光部13Bは、第2光源部12Bから放射状に出射される検出光L2(検出光L2b)の放射中心位置に配置されており、第2受光部13Bと第2光源部12Bとは受発光ユニット15(第2受発光ユニット15B)として一体化されている。
【0029】
第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、視認面構成部材40よりZ軸方向の一方側Z1に突出した位置にある。また、第1受発光ユニット15Aと第2受発光ユニット15Bとは異なる期間において動作する。従って、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aから検出光L2aが出射された際に、第1受光部13Aは、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2a(反射光L3)を受光する。かかる動作とは異なる期間において、第2受発光ユニット15Bにおいて、第2光源部12Bから検出光L2bが出射された際、第2受光部13Bは、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2b(反射光L3)を受光する。
【0030】
(受発光ユニット)
図2は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニット15の斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニット15の主要部の構成を示す説明図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニット15から出射される検出光L2の説明図であり、図4(a)は第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示し、図4(b)は、第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示している。なお、図2および図3に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有していることから、第1受発光ユニット15Aの構成を中心に説明し、第2受発光ユニット15Bの詳細な説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、第1光源部12Aは、長さ方向(円周方向)で湾曲した形状をもって延在する周面を備えた扇形形状のホルダー150を備えている。ホルダー150は、第1ホルダー151と第2ホルダー152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1ホルダー151は下端側に扇形形状の鍔部156aを備えており、第2ホルダー152は上端側に扇形形状の鍔部156bを備えている。鍔部156a、156bにより挟まれた部分は、検出光L2が出射される出射部になっており、鍔部156a、156bは、Z軸方向における検出光L2の出射範囲を制限している。
【0032】
第1光源部12Aは、検出光L2の出射部として、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とを備えている。第1光源部12Aにおいて、第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とによってZ軸方向で挟まれた部分は、対象物体Obからの反射光L3の入射部148になっており、かかる入射部148の奥に第1受光部13Aが配置されている。
【0033】
図3および図4に示すように、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。第2受発光ユニット15Bにおいても、第1受発光ユニット15Aと同様、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。
【0034】
第1光源モジュール126は、光源120として、第1光源121を備えている。第1光源121は、ライトガイドLGの一方の端部LG1の端面に出射方向を向けて配置されている。また、第1光源モジュール126は、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の出射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。第2光源モジュール127も、第1光源モジュール126と同様、光源120として、第2光源122を備えている。第2光源122はライトガイドLGの他方の端部LG2の端面に出射方向を向けて配置されている。また、第2光源モジュール127は、第1光源モジュール126と同様、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の出射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。第1光源121および第2光源122としては、LED(発光ダイオード)等の発光素子が用いられている。LEDはピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2を発散光として出射する。なお、ライトガイドLGの外周面LG3および内周面LG4のうちの少なくとも一方には、ライトガイドLGからの検出光L2の出射効率を調整するための加工が施されている。かかる加工手法としては、例えば反射ドットを印刷する方式や、スタンパーやインジェクションにより凹凸を付す成型方式や、溝加工方式を採用することができる。かかる第1光源モジュール126および第2光源モジュール127においては、第1光源121が点灯することにより、第1光源モジュール126から検出光L2が放射状に出射され、第2光源122が点灯することにより、第2光源モジュール127から検出光L2が放射状に出射される。
【0035】
(受光部13の構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において、受光部13に用いた2つの受光素子の位置関係を示す説明図である。なお、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有していることから、第1受発光ユニット15Aの構成を中心に説明し、第2受発光ユニット15Bの詳細な説明を省略する。
【0036】
図2〜図5に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aは、第1受光部13Aに複数の受光素子130を備えている。より具体的には、第1受光部13Aは、複数の受光素子130として、第1受光素子131と、第1受光素子131に対してX軸方向で隣り合う位置に配置された第2受光素子132とを備えている。複数の受光素子130(第1受光素子131、および第2受光素子132)はいずれも、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスターであり、本形態においては、赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードであり、図15を参照して説明した構成を有している。
【0037】
図5に示すように、第1受光素子131と第2受光素子132とは、第1受光素子131の受光面131aと第2受光素子132の受光面132aを逆方向に傾斜させて隣接配置されており、第1受光素子131と第2受光素子132とは、受光面131a、132aに対する法線方向が互いに交差する方向に延びている。本形態において、第1受光素子131および第2受光素子132は、図15を参照して説明した感度指向性に対応させて、第1受光素子131の受光面131aに対する法線方向、および第2受光素子132の受光面132aに対する法線方向は、互いに45°から90°の角度θcを成す方向に延びている。ここで、第1受光素子131の受光面131aに対する法線方向と、第2受光素子132の受光面132aに対する法線方向とが成す角度θcは、50°から90°の範囲にあることが好ましい。
【0038】
ここで、第1光源部12Aから出射される検出光L2の出射範囲の中央に相当する角度方向を0°方向とし、かかる0°の方向に広がる面を仮想面Sとすると、第1受光素子131の受光面131aと第2受光素子132の受光面132aは、仮想面Sに対して線対称に配置されている。従って、第1受光素子131の第1受光範囲131Rと第2受光素子132の第2受光範囲132Rは、0°方向を中心とする所定の角度範囲において重なっている。
【0039】
なお、第2受発光ユニット15Bの第2受光部13Bも、第1受光部13Aと同様、複数の受光素子130として、第1受光素子131と第2受光素子132とを備えている。
【0040】
(制御系)
図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の制御系の説明図であり、図6(a)、(b)は、制御系のブロック図、および光源駆動部による点灯動作等を示す説明図である。図6(a)に示すように、光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12A、および第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bは、制御用IC70に電気的に接続されている。また、第1受発光ユニット15Aの第1受光部13A、および第2受発光ユニット15Bの第2受光部13Bは、信号処理部71を介して、制御用IC70に電気的に接続されている。制御用IC70は、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60に電気的に接続されている。
【0041】
制御用IC70は、基準クロック、A相基準パルス、B相基準パルス、タイミング制御パルス、同期クロック等を生成する複数の回路(図示せず)を有している。また、制御用IC70は、A相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75aと、B相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75bと、パルス発生器75aおよびパルス発生器75bが生成した駆動パルスを第1光源121および第2光源122の何れに印加するかを制御するスイッチ部76を有している。かかるパルス発生器75a、75b、およびスイッチ部76は光源駆動部51を構成している。
【0042】
光源駆動部51は、図6(b)に示すように、第1光源121と第2光源122に逆相の駆動パルスを印加することにより、第1光源121を点灯させ第2光源122を消灯させる第1期間の第1点灯動作と、第2光源122を点灯させ第1光源121を消灯させる第2期間の第2点灯動作とを行なわせる。
【0043】
この結果、第1期間の第1点灯動作時において検出空間10Rには、XY平面に沿って第1光強度分布LID1が形成される。かかる第1光強度分布LID1は、図4(a)に矢印の長さにより検出光の光強度を示すように、検出空間10R(出射範囲)内に一方の端部LG1に対応する角度方向から他方の端部LG2に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する光強度分布を備えている。一方、第2期間の第2点灯動作時において検出空間10Rには、XY平面に沿って第2光強度分布LID2が形成される。かかる第2光強度分布LID2は、図4(b)に矢印の長さにより検出光の光強度を示すように、出射範囲内に他方の端部LG2に対応する角度方向から一方の端部LG1に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する光強度分布を備えるものとなる。ここで、光学式位置検出装置10において、光源部12に対する駆動電流値を制御するにあたっては、電圧振幅変調やパルス幅変調が行われる。
【0044】
なお、第2受発光ユニット15Bは、第1受発光ユニット15Aと同様な構成をもって制御用IC70に電気的に接続されており、光源駆動部51は第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bに対しても、第1光源部12Aと同様、第1期間において第1点灯動作を行わせて第1光強度分布LID1を形成させる。また、第1期間とは重ならない第2期間において第2点灯動作を行わせて第2光強度分布LID2を形成させる。ここで、光源駆動部51は、図6(b)に示すように、第2受発光ユニット15Aの第1光源部12Aの第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)の後に、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bの第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行う。
【0045】
再び図6(a)において、制御用IC70は、受光量測定部73と、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して光源部12の光源120(第1光源121および第2光源122)に供給する駆動パルスの駆動電流値(第1駆動電流値)を調整する調整量算出部74を備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。調整量算出部74は、パルス発生器75a、75bに対する制御信号を出力するアナログ−デジタル変換部等を備えている。
【0046】
ここで、受光部13の第1受光素子131から出力された信号、および第2受光素子132から出力された信号は、信号処理部71を介して制御用IC70の位置検出部50に入力される。信号処理部71の詳細は、図9等を参照しながら後述する。
【0047】
かかる制御用IC70は、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60の制御部61によって制御されており、かかる制御装置60は、受光量測定部73および調整量算出部74とともに位置検出部50を構成する座標データ取得部55を有している。従って、本形態において、位置検出部50は、制御用IC70の受光量測定部73および調整量算出部74と、上位の制御装置60(パーソナルコンピューター)の座標データ取得部55とによって構成されている。
【0048】
ここで、本形態の光学式位置検出装置10は、受発光ユニット15として、互いに離間した位置に配置された第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを有している。このため、座標データ取得部55は、第1受発光ユニット15Aに対する駆動結果に基づいて、第1光源部12Aの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第1角度位置検出部551と、第2受発光ユニット15Bに対する駆動結果に基づいて、第2光源部12Bの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第2角度位置検出部552を有している。また、座標データ取得部55は、第1角度位置検出部551で得られた対象物体Obの角度位置と、第2角度位置検出部552で得られた対象物体Obの角度位置とに基づいて、対象物体ObのXY座標データを確定する座標データ確定部553を備えている。
【0049】
なお、本形態では、制御用IC70を多チャンネル化して、1つの制御用IC70によって第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを駆動しているが、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bに対して1対1の関係をもつ2つの制御用IC70を用いてもよい。
【0050】
(対象物体の位置検出動作)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における位置検出原理の説明図であり、図7(a)は光強度分布の説明図であり、図7(b)は対象物体Obが存在する位置情報(角度位置/方位情報)を取得する方法の説明図である。図8は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体ObのXY座標データを取得する原理の説明図である。図7では、光源部12から出射される検出光L2の出射範囲の中央(受光部13の正面)に相当する角度方向を0°としてある。
【0051】
本形態では、まず、第1光源部12Aの第1光源モジュール126によって、第1光強度分布LID1を形成した際、検出光L2の出射角度方向と、検出光L2の強度とは、図7(a)に線E1で示す直線関係にある。また、第1光源部12Aの第2光源モジュール127によって、第2光強度分布LID2を形成した際、検出光L2の出射角度方向と、検出光L2の強度とは、図7(a)に線E2で示す直線関係にある。ここで、図7(b)および図8に示すように、第1光源部12Aの中心PE(検出光L2の放射中心位置)からみて角度θの方向に対象物体Obが存在するとする。この場合、第1光強度分布LID1を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTaとなる。これに対して、第2光強度分布LID2を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTbとなる。従って、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出受光強度と、第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出受光強度を比較して、強度INTa、INTbの関係を求めれば、図7(b)および図8に示すように、第1光源部12Aの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1/角度位置)を求めることができる。
【0052】
かかる原理を利用して、対象物体Obの角度位置(角度θ1)を検出するにあたって、本形態では、第1光源部12Aによって、第1光強度分布LID1を形成した第1期間における第1受光部13Aから出力される信号の強度と、第2光強度分布LID2を形成した第2期間における第1受光部13Aから出力される信号の強度とが等しくなるように、第1光源部12Aに対する第1駆動電流値、および第1光源部12Aに対する第2駆動電流値を調整する。
【0053】
ここで、第1光源部12Aから出力される信号の強度は、光源120に対する第1駆動電流値、および光源120に対する第2駆動電流値に比例する。従って、光源120に対する第1駆動電流値、および光源120に対する第2駆動電流値を調整した後の第1駆動電流値と第2駆動電流値との比や差、あるいは駆動電流値を調整した際の駆動電流値の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0054】
より具体的には、まず、図6(a)に示す制御用IC70の光源駆動部51は、第1点灯動作として第1光源121を点灯させて第1光強度分布LID1を形成した後、第2点灯動作として第2光源122を点灯させて第2光強度分布LID2を形成する。この際、第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とは強度変化の向きは逆向きであるが、強度レベルは同一である。また、第1受光部13Aの第1受光素子131および第2受光素子132は反射光L3を検出し、第1受光素子131および第2受光素子132から出力された信号は、信号処理部71を介して検出用信号Vtとして制御用IC70に出力される。
【0055】
そして、位置検出部50の調整量算出部74は、第1点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTbを比較する。その結果、第1点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTbとが等しければ、対象物体Obの角度位置は0°である。
【0056】
これに対して、検出受光強度INTa、INTbが相違している場合、第1点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTbとが等しくなるように、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整する。そして、再度、第1点灯動作と第2点灯動作を行った際に、第1点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTbとが等しければ、図6に示す第1角度位置検出部551は、かかる調整を行った後の第1光源121および第2光源122に対する駆動電流値の比や差、あるいは駆動電流値の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0057】
かかる動作を第2光源部12Bにおいても行えば、第2角度位置検出部552は、第2光源部12Bの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ2/角度位置)を求めることができる。従って、座標データ確定部553は、図8に示すように、第1受光部13Aと第2受光部13Bの間の距離DSに基づいて第1角度位置検出部551で検出した角度位置(角度θ1の方向)と、第2角度位置検出部552で検出した角度位置(角度θ2の方向)の交点に相当する位置を対象物体Obが位置するXY座標データとして取得することができる。
【0058】
(信号処理部)
図9は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の信号処理部71の説明図であり、図9(a)、(b)は、信号処理部71のブロック図、および信号処理部71の具体的な構成例を示す説明図である。なお、信号処理部71は、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bの双方に同一の構成をもって設けられているため、第1受発光ユニット15Aに対する信号処理部71のみを説明し、第2受発光ユニット15Bに対する信号処理部71の説明を省略する。
【0059】
図9(a)に示すように、光学式位置検出装置10において、信号処理部71は、まず、第1I−V変換部91A、第1増幅部92A、第2I−V変換部91B、および第2増幅部92Bを有している。第1I−V変換部91Aは、第1受光素子131から出力された第1信号(電流波形)から直流成分を除去して第1電圧信号に変換し、第1増幅部92Aは、第1電圧信号を増幅して第1増幅信号を出力する。第2I−V変換部91Bは、第2受光素子132から出力された第2信号(電流波形)から直流成分を除去して第2電圧信号に変換し、第2増幅部92Bは、第2電圧信号を増幅して第2増幅信号を出力する。
【0060】
また、信号処理部71は加算部93および検出用信号生成部90を備えており、加算部93は、第1増幅部92Aからの第1増幅信号と、第2増幅部92Bからの第2増幅信号とを加算して加算出力Vsを生成する。検出用信号生成部90は、加算出力Vsを増幅した後、増幅後の加算出力Vsと、予め設定された閾値とを比較し、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力し、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力する。このため、位置検出部50は、検出用信号生成部90から出力された検出用信号Vtに基づいて対象物体Obの位置を検出する。
【0061】
かかる検出用信号生成部90として、本形態では、比較部95、加算出力増幅部94、および増幅率切換部96(出力調整部)を備えている。ここで、比較部95は、加算出力Vsと閾値とを比較し、加算出力増幅部94は、加算出力Vsを所定の増幅率で増幅する。増幅率切換部96は、比較部95での比較結果において、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力増幅部94の増幅率を第1増幅率とし、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力増幅部94の増幅率を第1増幅率より小さな第2増幅率とする。従って、本形態では、第1倍率が第1増幅率に相当し、第2倍率が第2増幅率に相当する。
【0062】
かかる信号処理部71は、例えば、図9(b)に示すように構成することができる。なお、図9(b)には、帰還抵抗、入力抵抗等が用いられているが、抵抗については四角形で表し、それらの説明を省略する。図9(a)、(b)に示すように、第1I−V変換部91Aおよび第2I−V変換部91Bは各々、結合容量911と、帰還抵抗および帰還容量を備えたオペアンプ912により構成され、第1増幅部92Aおよび第2増幅部92Bは、帰還抵抗および帰還容量を備えたオペアンプ921により構成されている。加算部93は、オペアンプ931により構成されている。
【0063】
検出用信号生成部90において、加算出力増幅部94は、オペアンプ941、第1帰還抵抗942、および第2帰還抵抗943により構成されている。比較部95は、閾値(基準電圧Vref)と加算出力Vsとを比較するコンパレーター951により構成されている。増幅率切換部96は、コンパレーター951による比較結果に基づいて、第1帰還抵抗942および第2帰還抵抗943を選択的に切り替えるスイッチ961により構成されている。ここで、第1帰還抵抗942は第2帰還抵抗943よりも抵抗値が大きなものであり、スイッチ961(増幅率切換部96)は、通常時、オペアンプ941の帰還抵抗として、抵抗値の大きな第1帰還抵抗942を選択している。そして、スイッチ961(増幅率切換部96)は、コンパレーター951(比較部95)での比較結果において、加算出力Vsが閾値以下のときには第1帰還抵抗942を選択している状態を維持して、加算出力増幅部94の増幅率を第1増幅率に設定する。従って、検出用信号生成部90は、加算出力Vsが閾値以下のときには、加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力することになる。
【0064】
これに対して、スイッチ961(増幅率切換部96)は、コンパレーター951(比較部95)での比較結果において、加算出力Vsが閾値を超えるときには第2帰還抵抗943を選択する状態に切り換わる。その結果、加算出力増幅部94の増幅率が第1増幅率より小さな第2増幅率に切り換わるため、検出用信号生成部90は、加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力することになる。
【0065】
そして、位置検出部50は、検出用信号生成部90から出力された検出用信号Vtに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。より具体的には、光源部12は、前記した第1期間中における検出用信号Vtのレベルと、前記した第2期間中における検出用信号Vtのレベルとが等しくなったときの光源部12での駆動電流値に基づいて対象物体Obの位置を検出する。かかる動作は、図6(b)に示すように、第1受発光ユニット15A、および第2受発光ユニット15Bにおいて順次行われる結果、対象物体ObのXY座標が検出されることになる。
【0066】
(作用効果)
以上説明したように、本形態によれば、受光素子130として、複数の受光素子130(第1受光素子131および第2受光素子132)を用いて対象物体Obからの反射光L3を検出しているので、第1受光素子131において受光感度が低い方向から反射光L3が入射した際、第2受光素子132には、受光感度が高い方向から反射光L3が入射する。同様に、第2受光素子132において受光感度が低い方向から反射光L3が入射した際、第1受光素子131には、受光感度が高い方向から反射光L3が入射する。このため、検出空間10Rを広げることができる。
【0067】
また、本形態では、複数の受光素子130(第1受光素子131および第2受光素子132)の各々から出力された複数の信号を加算した加算出力Vsを求め、かかる加算出力Vsに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。このため、位置検出部50が位置検出に用いる信号レベルが高いので、対象物体Obの位置を精度よく検出することができる。より具体的には、検出光L2を出射した際、対象物体Ob以外の物体で反射した検出光L2の一部が受光素子130に入射するため、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向に対象物体Obが位置する場合、受光素子130からの出力には、対象物体Ob以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光に起因する成分の比率が増大する。しかるに本形態によれば、加算出力Vsおよび検出用信号Vtには、対象物体Ob以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光L2に起因する成分の比率が低い。また、第1期間中および第2期間中に得られる加算出力Vsおよび検出用信号Vtのレベルが高いので、検出精度が高い。
【0068】
さらに、本形態では、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして出力する一方、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして出力する。このため、位置検出部50の入力レンジの最高値を高くしなくても、信号のオーバーフローを回避できる。また、位置検出部50の入力レンジの最高値を低く設定することができるので、加算出力Vsおよび検出用信号Vtが低レベルであっても、対象物体Obの位置を高い精度で検出することができる。なお、加算出力Vsが閾値を超えるときには検出用信号Vtのレベルを低めに設定することになるが、かかる事象が発生するのは、対象物体Obが受光部13に近い位置にある等、検出精度が元々、極めて高い位置にある場合に相当する。従って、加算出力Vsが閾値を超えるときには検出用信号Vtのレベルを低めに設定した場合でも、対象物体Obの位置を比較的高い精度で検出することができる。それ故、受光素子130からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体Obの位置を精度よく検出することができる。
【0069】
さらにまた、本形態では、受光部13において、第1受光素子131と第2受光素子132とを同時に駆動した状態で反射光L3を検出するので、第1受光素子131と第2受光素子132とを時間帯をずらして別々に駆動して反射光L3を検出する場合と比較して、対象物体Obの位置の検出時間を半分にすることができる。従って、光学式位置検出装置10の応答速度が向上する。また、検出時間が半分になれば、対称物体Obの位置検出動作を間欠的に行うことが可能となるので、消費電力を低下させることができる。さらに、検出時間が半分になれば、位置検出動作を繰り返し行った場合でも、応答速度の低下を抑制できる。従って、応答速度を低下させずに、位置検出精度を向上させることができる。
【0070】
[実施の形態1の変形例]
図10は、本発明の実施の形態1の変形例に係る光学式位置検出装置10の信号処理部71の説明図であり、図10(a)、(b)は、信号処理部71のブロック図、および信号処理部71の具体的な構成例を示す説明図である。なお、本形態は、信号処理部71の構成以外は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。また、信号処理部71は、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bの双方に同一の構成をもって設けられているため、第1受発光ユニット15Aに対する信号処理部71のみを説明し、第2受発光ユニット15Bに対する信号処理部71の説明を省略する。
【0071】
図10(a)に示すように、本形態の光学式位置検出装置10においても、実施の形態1と同様、信号処理部71は、まず、第1I−V変換部91A、第1増幅部92A、第2I−V変換部91B、および第2増幅部92Bを有している。また、信号処理部71は、加算部93を備えており、加算部93は、第1増幅部92Aからの第1増幅信号と、第2増幅部92Bからの第2増幅信号とを加算して、加算出力を生成する。また、信号処理部71は、加算出力Vsを増幅する加算出力増幅部94′を有している。
【0072】
また、信号処理部71は、加算出力増幅部94′から出力された増幅後の加算出力Vsと、予め設定された閾値とを比較し、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力し、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力する検出用信号生成部90を有している。このため、位置検出部50は、検出用信号生成部90から出力された検出用信号Vtに基づいて対象物体Obの位置を検出する。
【0073】
かかる検出用信号生成部90として、本形態では、加算出力Vsと閾値とを比較する比較部95と、比較部95での比較結果に基づいて、加算出力Vsを通して検出用信号Vtを出力する際の電流制限抵抗を切り換える電流制限抵抗切換部96′(出力調整部)とを備えている。かかる電流制限抵抗切換部96′は、比較部95での比較結果において、加算出力Vsが閾値以下のときには第1抵抗値を有する電流制限抵抗に加算出力Vsを通して検出用信号Vtを出力し、加算出力Vsが閾値を超えるときには第1抵抗値より値が大きな第2抵抗値を有する電流制限抵抗に加算出力Vsを通して検出用信号Vtを出力する。
【0074】
本形態では、図10(b)に示すように、加算出力増幅部94′は、オペアンプ941および帰還抵抗945により構成されている。比較部95は、加算出力増幅部94′により増幅された後の加算出力Vsと閾値Vrefとを比較するコンパレーター951により構成されている。電流制限抵抗切換部96′は、第1抵抗値を有する第1電流制限抵抗962と、第1電流制限抵抗962の第1抵抗値より大きな第2抵抗値を有する第2電流制限抵抗963と、コンパレーター951による比較結果に基づいて、第1電流制限抵抗962および第2電流制限抵抗963を選択的に切り替えるスイッチ964により構成されている。スイッチ964(電流制限抵抗切換部96′)は、初期状態においては、電流制限抵抗として、抵抗値の小さな第1電流制限抵抗962を選択している。そして、スイッチ964は、コンパレーター951(比較部95)での比較結果において、加算出力Vsが閾値以下のときには第1電流制限抵抗962を選択している状態を維持する。
【0075】
これに対して、スイッチ964(電流制限抵抗切換部96′)は、コンパレーター951(比較部95)での比較結果において、加算出力Vsが閾値を超えるときには第2電流制限抵抗963を選択している状態に切り換わる。その結果、検出用信号生成部90は、加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力することになる。従って、本形態では、第1倍率が第1抵抗値の逆数に相当し、第2倍率が第2抵抗値の逆数に相当する。
【0076】
そして、位置検出部50は、検出用信号生成部90から出力された検出用信号Vtに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。より具体的には、光源部12は、前記した第1期間中における検出用信号Vtのレベルと、前記した第2期間中における検出用信号Vtのレベルとが等しくなったときの光源部12での駆動電流値に基づいて対象物体Obの位置を検出する。かかる動作は、図6(b)に示すように、第1受発光ユニット15A、および第2受発光ユニット15Bにおいて順次行われる結果、対象物体ObのXY座標が検出されることになる。
【0077】
以上説明したように、本形態でも、実施の形態1と同様、受光素子130として、複数の受光素子130(第1受光素子131および第2受光素子132)を用いて対象物体Obからの反射光L3を検出しているので、検出空間10Rを広げることができる。また、本形態では、第1受光素子131から出力される信号と、第2受光素子132から出力される信号との加算出力Vsに対応する検出用信号Vtに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。このため、位置検出部50には、レベルの高い検出用信号Vtが入力されるので、検出空間10Rを広げた場合でも、対象物体Obの位置を精度よく検出することができる。
【0078】
また、本形態では、信号処理部71の検出用信号生成部90によって、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして出力する一方、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして出力するため、位置検出部50の入力レンジを低く設定した場合でも、オーバーフローの発生を回避できる。また、位置検出部50の入力レンジを低く設定することができるので、加算出力Vs(検出用信号Vt)が低レベルであっても、対象物体Obの位置を高い精度で検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0079】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10は、光源駆動部51による光源部の駆動制御方法および信号処理部71の構成が実施の形態1と相違する。図1〜図5、図7および図8を参照して説明した構成は、実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。また、信号処理部71は、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bの双方に同一の構成をもって設けられているため、第1受発光ユニット15Aに対する信号処理部71のみを説明し、第2受発光ユニット15Bに対する信号処理部71の説明を省略する。
【0080】
図11は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の制御系の説明図であり、図11(a)、(b)は、制御系のブロック図、および光源駆動部による点灯動作等を示す説明図である。図12は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の信号処理部71の説明図であり、図12(a)、(b)は、信号処理部71のブロック図、および信号処理部71の具体的な構成例を示す説明図である。
【0081】
図11(a)に示すように、本形態の光学式位置検出装置10においても、実施の形態1と同様、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、制御用IC70に電気的に接続され、制御用IC70は制御装置60に電気的に接続されている。
【0082】
制御用IC70において、光源駆動部51は、図11(b)に示すように、まず、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aの第1光源121と第2光源122とに同相の駆動パルスを印加することにより第1光源121と第2光源122を同時に点灯させる初期点灯動作を行なわせる。かかる初期点灯動作において、検出空間10Rには、図4を参照して説明した第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とを合成した光強度分布が形成され、かかる光強度分布では、一方の端部LG1に対応する角度方向から他方の端部LG2に対応する角度方向に向けて強度が一定の光強度分布が形成される。
【0083】
次に、光源駆動部51は、第1光源121と第2光源122に逆相の駆動パルスを印加することにより、第1光源121を点灯させ第2光源122を消灯させる第1期間の第1点灯動作、および第2光源122を点灯させ第1光源121を消灯させる第2期間の第2点灯動作を第1光源部12Aに行なわせる。
【0084】
なお、光源駆動部51は、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bに対しても、第1光源部12Aと同様に、まず、初期点灯動作を行なわせて第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とを合成した光強度分布を形成させ、しかる後に、第1期間において第1点灯動作を行わせて第1光強度分布LID1を形成させ、第1期間とは重ならない第2期間において第2点灯動作を行わせて第2光強度分布LID2を形成させる。なお、光源駆動部51は、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aの初期点灯動作、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)の後に、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bの初期点灯動作、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行なわせる。
【0085】
このように構成した光学式位置検出装置10において、受光部13から出力された信号は、信号処理部71を介して、位置検出部50の受光量測定部73に入力される。本形態において、図12を参照して以下に説明するように、信号処理部71は、位置検出部50に出力する信号レベルを調整するために、初期点灯動作での受光結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の一方の受光素子を選択し、かかる一方の受光素子の出力結果を位置検出部50に出力する。図11(b)には、第1受発光ユニット15Aでは、第2受光素子132が選択され、第2受発光ユニット15Aでは、第1受光素子131が選択された場合を図示してある。このため、第1受発光ユニット15Aでは、初期点灯動作の際には、第1受光素子131および第2受光素子132の双方がオン状態にあるが、第1点灯動作時(第1期間)および第2点灯動作時(第2期間)では、第2受光素子132のみがオン状態にあって、第1受光素子131はオフ状態にある。また、第2受発光ユニット15Bでは、初期点灯動作の際には、第1受光素子131および第2受光素子132の双方がオン状態にあるが、第1点灯動作時(第1期間)および第2点灯動作時(第2期間)では、第1受光素子131のみがオン状態にあって、第2受光素子132はオフ状態にある。
【0086】
かかる動作を実現するにあたって、図12(a)に示すように、本形態の信号処理部71は、実施の形態1と同様、まず、第1I−V変換部91A、第1増幅部92A、第2I−V変換部91B、および第2増幅部92Bを有している。
【0087】
また、信号処理部71は、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号の強度を比較し、これらの信号のうち、強度が最大の信号を検出用信号Vtとして出力する検出用信号生成部99を備えている。本形態において、検出用信号生成部99は、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号の強度を比較する比較部97と、比較部97での検出結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号のうち、検出用信号Vtとして出力する信号を切り換える出力切換部98とを備えている。従って、本形態において、位置検出部50において入力が許容されているレンジは、受光部13に用いた受光素子130一つ分の最高出力に対応する値に設定されている。
【0088】
図12(b)に示すように、比較部95は、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号の強度を比較するコンパレーター971により構成されている。出力切換部98は、コンパレーター971による比較結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号のうち、強度が最大の信号を選択するスイッチ981によって構成されている。
【0089】
このように構成した光学式位置検出装置10において、初期点灯動作での受光結果に基づいて、第1受発光ユニット15Aにおいて、第2受光素子132が選択されると、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行った際、第2受光素子132から出力された信号は、増幅された後、検出用信号Vtとして位置検出部50に出力されることになる。また、初期点灯動作での受光結果に基づいて、第2受発光ユニット15Bにおいて、第1受光素子131が選択されると、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行った際、第1受光素子131から出力された信号は、増幅された後、検出用信号Vtとして位置検出部50に出力されることになる。
【0090】
そして、位置検出部50は、検出用信号生成部99から出力された検出用信号Vtに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。より具体的には、光源部12は、前記した第1期間中における検出用信号Vtのレベルと、前記した第2期間中における検出用信号Vtのレベルとが等しくなったときの光源部12での駆動電流値に基づいて対象物体Obの位置を検出する。かかる動作は、図11(b)に示すように、第1受発光ユニット15A、および第2受発光ユニット15Bにおいて順次行われる結果、対象物体ObのXY座標が検出されることになる。
【0091】
以上説明したように、本形態でも、実施の形態1と同様、受光素子130として、複数の受光素子130(第1受光素子131および第2受光素子132)を用いて対象物体Obからの反射光L3を検出しているので、第1受光素子131において受光感度が低い方向から反射光L3が入射した際、第2受光素子132には、受光感度が高い方向から反射光L3が入射する。同様に、第2受光素子132において受光感度が低い方向から反射光L3が入射した際、第1受光素子131には、受光感度が高い方向から反射光L3が入射する。このため、検出空間10Rを広げることができる。
【0092】
また、本形態では、第1受光素子131から出力される信号と、第2受光素子132から出力される信号のうち、レベルが高い信号を検出用信号Vtとして出力し、対象物体Obの位置を検出する。このため、位置検出部50には、レベルの高い検出用信号Vtが入力されるので、対象物体Obの位置を精度よく検出することができる。より具体的には、検出光L2を出射した際、対象物体Ob以外の物体で反射した検出光L2の一部が受光素子130に入射するため、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向に対象物体Obが位置する場合、受光素子130からの出力には、対象物体Ob以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光に起因する成分の比率が増大する。しかるに本形態によれば、検出用信号Vtには、対象物体Ob以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光L2に起因する成分の比率が低い。また、第1期間中および第2期間中に得られる検出用信号Vtのレベルが高いので、検出精度が高い。
【0093】
また、位置検出部50において入力が許容されているレンジは、受光部13に用いた受光素子130一つ分の最高出力に対応する値に設定すればよいので、信号のオーバーフローを回避できる。また、位置検出部50の入力レンジを低く設定することができるので、検出用信号Vtが比較的低レベルであっても、対象物体Obの位置を高い精度で検出することができる。
【0094】
さらに、第1受光素子131および第2受光素子132から一方の受光素子を選択した以降は、他方の受光素子から出力された信号の処理を停止することができるので、省電力化や処理時間の短縮を図ることができる。
【0095】
[実施の形態2の変形例]
上記実施の形態では、初期点灯動作での受光結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の一方の受光素子を選択したが、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)での受光結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の一方の受光素子を選択してもよい。
【0096】
[他の実施の形態の形態]
上記実施の形態では、2つの光源部(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)を用いたが、1つの光源部12を用いて対象物体Obの位置を検出してもよい。また、上記実施の形態では、検出光L2の放射中心位置に受光部13を設けたが、他の箇所に受光部13を設けてもよく、2つの光源部(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)に対して共通の受光部13を設けてもよい。さらに、上記の例では、受光部13が2つの受光素子(第1受光素子131および第2受光素子132)を備えているが、3つ以上の受光素子を備えてもよい。
【0097】
なお、上記実施の形態では、2つのライトガイドLGの各々に光源120を設けたが、1つのライトガイドLGの両端に光源120を設け、光源120を交互に点灯させて、第1期間と第2期間とにおいて互いに逆向きの光強度分布を形成してもよい。この場合には、光源部12の放射中心に受光部13を設けると、受光部13への検出光L2の入射が光源部12によって妨げられることになるので、受光部13を光源部12の放射中心からZ軸方向にずれた位置に配置することができる。
【0098】
また、上記の形態では、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127は、ライトガイドLGを用いて、出射範囲内に一方側から他方側に向かって強度が変化する光強度分布を備える検出光L2を出射しているが、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127として、複数の発光素子を備え、光源駆動部51によって、各発光素子に対する駆動電流を複数の発光素子の配列方向の一方端の発光素子から他方端の発光素子に向かって減少させることにより、出射範囲内に一方側から他方側に向かって強度が変化する光強度分布を備える検出光L2を出射するものを採用することもできる。
【0099】
[位置検出システムの構成例]
(位置検出システムの具体例1)
図13は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。なお、本形態の入力機能付き表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図12を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0100】
上記実施の形態に係る位置検出システム1においては、図13に示すように、視認面構成部材40として画像表示装置110を用い、かかる画像表示装置110に、図1〜図12を参照して説明した光学式位置検出装置10を設ければ、電子黒板やデジタルサイネージ等といった入力機能付き表示システム100として用いることができる。ここで、画像表示装置110は、直視型画像表示装置や、視認面構成部材40をスクリーンとする背面型投射型画像表示装置である。
【0101】
かかる入力機能付き表示システム100において、光学式位置検出装置10は、画像表示装置110の表示面110a(視認面41)に沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を検出する。このため、画像表示装置110で表示された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0102】
(位置検出システムの具体例2)
図14を参照して、視認面構成部材40としてスクリーンを用い、位置機能付き投射型表示システムを構成した例を説明する。図14は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。なお、本形態の位置機能付き投射型表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図12を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0103】
図14に示す入力機能付き投射型表示システム200(入力機能付き表示システム)では、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置250(画像生成装置)からスクリーン80(視認面構成部材40)に画像が投射される。かかる入力機能付き投射型表示システム200において、画像投射装置250は、筐体240に設けられた投射レンズ系210からスクリーン80に向けて画像表示光Piを拡大投射する。ここで、画像投射装置250は、Y軸方向に対してわずかに傾いた方向から画像表示光Piをスクリーン80に向けて投射する。従って、スクリーン80において画像が投射されるスクリーン面80aによって、情報が視認される視認面41が構成されている。
【0104】
かかる入力機能付き投射型表示システム200において、光学式位置検出装置10は、画像投射装置250に付加されて一体に構成されている。このため、光学式位置検出装置10は、投射レンズ系210とは異なる箇所から、スクリーン面80aに沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した反射光L3を検出する。このため、スクリーン80に投射された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0105】
なお、光学式位置検出装置10とスクリーン80を一体化させれば、入力機能付きスクリーン装置を構成することができる。
【0106】
(位置検出システムの他の具体例)
本発明において、視認面構成部材40は、展示品を覆う透光部材である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、透光部材において展示品が配置される側とは反対側で展示品が視認される面である。かかる構成によれば、入力機能付きウインドウシステム等として構成することができる。
【0107】
また、視認面構成部材40は、移動する遊技用媒体を支持する基盤である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、基盤において基盤と遊技用媒体との相対位置が視認される側の面である。かかる構成によれば、パチンコ台やコインゲーム等のアミューズメント機器を入力機能付きアミューズメントシステム等として構成することができる。
【符号の説明】
【0108】
1・・位置検出システム、10・・光学式位置検出装置、12・・光源部、12A・・第1光源部、12B・・第2光源部、13・・受光部、13A・・第1受光部、13B・・第2受光部、15・・受発光ユニット、15A・・第1受発光ユニット、15B・・第2受発光ユニット、40・・視認面構成部材、50・位置検出部、51・・光源駆動部、71・・信号処理部、80・・スクリーン、93・・加算部、94・・加算出力増幅部、95、97・・比較部、96・・増幅率切換部、96′・・電流制限抵抗切換部、98・・出力切換部、100・・入力機能付き表示システム、131・・第1受光素子、132・・第2受光素子、200・・入力機能付き投射型表示システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置および光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物体を光学的に検出する光学式位置検出装置として、複数の点光源を互いに離間した位置に設け、複数の点光源の各々から透光部材を介して対象物体に向けて検出光を出射した際に、対象物体で反射した検出光が透光部材を透過して受光部で検出されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、複数の点光源の各々から出射された検出光を、導光板を介して出射し、対象物体で反射した検出光を受光部で検出する方式の光学式位置検出装置も提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0003】
かかる光学式位置検出装置では、受光部として1つの受光素子を用い、複数の点光源のうちの一部の点光源が点灯した際の受光素子からの出力と、他の一部の点光源が点灯した際の受光素子からの出力との比較結果に基づいて対象物体の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【特許文献2】特開2010−127671号公報
【特許文献3】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の構成では、受光素子が感度指向性を有しているため、検出範囲を拡張することが困難である。より具体的には、受光素子は、例えば、図15(a)に示すように、全体として直方体形状の素子本体130bと、素子本体130bの両端から突出する端子130cとを備えており、素子本体130bは、一方面側に受光面130aを備えている。かかる受光素子130の受光感度は、図15(b)に示す入射角度依存性(感度指向性)を有しており、受光面130aに対する法線方向に感度ピーク方向を有している。また、図15(b)からわかるように、受光素子130は、検出光の入射角度が受光面130aに対する法線方向から60°以上傾くと、感度ピーク値に対して1/2未満の感度となり、検出光の入射角度が受光面130aに対する法線方向から90°以上傾くと、感度が0となる。このため、検出範囲は、検出光の入射角度が受光面130aに対する法線方向に対して、例えば、60°以下の傾きで入射するような角度範囲に限られてしまう。
【0006】
また、検出光を出射した際、対象物体以外の物体で反射した検出光の一部が受光素子130に入射するため、受光面130aに対する法線方向から大きく傾いた方向に対象物体が位置する場合、受光素子130からの出力には、対象物体以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光に起因する成分の比率が増大し、検出精度が低下するという問題もある。
【0007】
ここに本願発明者は、受光部に複数の受光素子を設けることを提案するものである。また、本願発明者は、複数の受光素子から出力された信号の加算出力に基づいて対象物体の位置を検出することを提案するものである。かかる構成によれば、1つの受光素子に対して受光感度が低下する角度方向から検出光(反射光)が入射する場合でも、他方の受光素子では、受光感度が高い角度方向から検出光(反射光)が入射するので、検出範囲を拡大できる。
【0008】
ここで、上記の構成の場合、位置検出部での入力レンジについては、加算出力の最大値に対応させないと、加算出力がオーバーフローしてしまい、対象物体の位置を検出できなくなる。例えば、受光素子を2つ設けた場合において、1つの受光素子から出力される信号の最大値が1Vである場合、位置検出部での入力レンジについては2Vと設定する必要がある。しかしながら、位置検出部での入力レンジを2Vまで広げると、その分、分解能が低下し、位置検出精度が低下する。それ故、複数の受光素子を設けた場合、分解能と、オーバーフローの防止とは、一方を満たせば他方が損なわれる二律背反の関係にある。
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、対象物体からの反射光を複数の受光素子で受光することにより検出範囲の拡張等を図った場合において、各受光素子からの出力レベルにかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる光学式位置検出装置、および該光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の光学式位置検出装置は、検出光を出射する光源部と、前記検出光が出射された空間で反射した前記検出光を受光する複数の受光素子を備えた受光部と、前記複数の受光素子の各々から出力された複数の信号を加算した加算出力と閾値とを比較し、当該加算出力が前記閾値以下のときには当該加算出力に第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力し、前記加算出力が前記閾値を超えるときには当該加算出力に前記第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する検出用信号生成部と、前記検出用信号に基づいて前記空間内の対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有していることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、受光部は、検出光が出射された空間で反射した検出光(反射光)を複数の受光素子で検出するので、複数の受光素子のうち、1つの受光素子において受光感度が低下する方向から検出光が入射するような場合でも、他の受光素子では、検出光を高い感度で受光することができる。このため、対象物体の位置を検出できる範囲を拡張することができる。また、本発明では、複数の受光素子の各々から出力された複数の信号を加算した加算出力を求め、かかる加算出力に基づいて、対象物体の位置を検出する。このため、位置検出部が位置検出に用いる信号レベルが高いので、対象物体の位置を精度よく検出することができる。さらに、加算出力が閾値以下のときには加算出力に第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する一方、加算出力が閾値を超えるときには加算出力に第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する。このため、位置検出部の入力レンジの最高値を高くしなくても、信号のオーバーフローを回避できる。また、位置検出部の入力レンジの最高値を低く設定することができるので、加算出力が低レベルであっても、対象物体の位置を高い精度で検出することができる。また、加算出力が閾値を超えるときには検出用信号のレベルを低めに設定することになるが、かかる事象が発生するのは、対象物体が受光部に近い位置にある等、検出精度が元々、極めて高い位置にある場合に相当する。従って、加算出力が閾値を超えるときには検出用信号のレベルを低めに設定した場合でも、対象物体の位置を比較的高い精度で検出することができる。それ故、受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0012】
本発明において、前記検出用信号生成部は、例えば、前記加算出力と前記閾値とを比較する比較部と、前記加算出力を増幅して前記検出用信号を出力する加算出力増幅部と、前記比較部での比較結果において、前記加算出力が前記閾値以下のときには前記加算出力増幅部の増幅率を第1増幅率とし、前記加算出力が前記閾値を超えるときには前記加算出力増幅部の増幅率を前記第1増幅率より小さな第2増幅率とする増幅率切換部と、を備えている構成を採用することができる。かかる構成によれば、増幅率を切り換えるという比較的簡素な構成で、受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0013】
本発明において、前記検出用信号生成部は、前記加算出力と前記閾値とを比較する比較部と、該比較部での比較結果において、前記加算出力が前記閾値以下のときには第1抵抗値を有する電流制限抵抗に前記加算出力を通して前記検出用信号を出力し、前記加算出力が前記閾値を超えるときには第1抵抗値より値が大きな第2抵抗値を有する電流制限抵抗に前記加算出力を通して前記検出用信号を出力する電流制限抵抗切換部と、を備えている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、電流制限抵抗を切り換えるという比較的簡素な構成で、受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0014】
本発明の別の形態に係る光学式位置検出装置は、検出光を出射する光源部と、前記検出光が出射された空間で反射した前記検出光を受光する複数の受光素子を備えた受光部と、前記複数の受光素子の各々から出力された複数の信号の強度を比較し、当該複数の信号のうち、強度が最大の信号を検出用信号として出力する検出用信号生成部と、前記検出用信号に基づいて前記空間内の対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、受光部は、検出光が出射された空間で反射した検出光(反射光)を複数の受光素子で検出するので、複数の受光素子のうち、1つの受光素子において受光感度が低下する方向から検出光が入射するような場合でも、他の受光素子では、検出光を高い感度で受光することができる。このため、対象物体の位置を検出できる範囲を拡張することができる。また、本発明では、複数の受光素子の各々から出力された複数の信号のうち、強度が最大の信号を検出用信号として用いるため、位置検出部が位置検出に用いる信号レベルが高いので、対象物体の位置を精度よく検出することができる。また、位置検出部において入力が許容されているレンジについては、受光素子一つ分の最高出力に対応する値に設定しておけば、オーバーフローの発生を回避できるとともに、位置検出部の入力レンジを低く設定することができる。それ故、受光素子からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0016】
本発明において、前記位置検出部において入力が許容されているレンジは、前記受光部に用いた受光素子一つ分の最高出力に対応する値に設定されていることが好ましい。
【0017】
本発明において、前記光源部は、第1期間中、前記空間に一方側から他方側に向かって強度が減少する光強度分布を形成するように前記検出光を出射し、前記第1期間とは重ならない第2期間中、前記空間に前記他方側から前記一方側に向かって強度が減少する光強度分布を形成するように前記検出光を出射し、前記位置検出部は、前記第1期間中における前記検出用信号のレベルと、前記第2期間中における前記検出用信号のレベルとが等しくなったときの前記光源部での駆動電流値に基づいて前記対象物体の位置を検出することが好ましい。かかる構成によれば、検出用信号の絶対値により対象物体の位置を検出する場合に比較して、外光等の影響を受けにくい等の利点がある。また、検出用信号の絶対値により対象物体の位置を検出する場合と違って、検出用信号のレベルが高ければ高い程、検出精度が高いので、本発明を適用した場合の効果が顕著である。
【0018】
本発明において、前記複数の受光素子には、第1受光素子と、該第1受光素子と隣り合う位置に配置された第2受光素子と、が含まれ、前記第1受光素子と前記第2受光素子とは、受光面に対する法線方向が互いに交差する方向に延びていることが好ましい。かかる構成によれば、第1受光素子と第2受光素子とは、互いに補完し合うため、少ない数の受光素子で検出範囲の拡張を図ることができる。
【0019】
この場合、前記第1受光素子の前記法線方向、および前記第2受光素子の前記法線方向は、互いに45°から90°の角度を成す方向に延びていることが好ましい。かかる構成によれば、第1受光素子および第2受光素子のうち少なくとも一方には、常に、感度が高い方から検出光が入射するので、対象物体の位置を精度よく検出することができる。
【0020】
本発明に係る光学式位置検出装置は、画像が表示される表示面を備えた表示装置を有する入力機能付き表示システムを構成するのに用いることができ、この場合、前記表示装置は、前記光学式位置検出装置によって検出された前記表示面に沿う方向の前記対象物体の位置に基づいて前記画像を切り換えることを特徴とする。かかる構成の入力機能付き表示システムによれば、光学式位置検出装置の検出空間を広く確保することができるので、広い範囲にわたって表示された画像を対象物体で指し示すことによって画像を切り換える等の動作を行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る光学式位置検出装置は、画像を投射する画像投射装置を有する入力機能付き表示システムを構成するのに用いることができ、この場合、前記画像投射装置は、前記光学式位置検出装置によって検出された前記画像の投射方向と交差する方向の前記対象物体の位置に基づいて前記画像を切り換えることを特徴とする。かかる構成の入力機能付き表示システムによれば、光学式位置検出装置の検出空間を広く確保することができるので、広い範囲にわたって表示された投射画像を対象物体で指し示すことによって画像を切り換える等の動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットから出射される検出光の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において、受光部に用いた2つの受光素子の位置関係を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の制御系の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における位置検出原理の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において対象物体のXY座標データを取得する原理の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の信号処理部の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1の変形例に係る光学式位置検出装置の信号処理部の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の制御系の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の信号処理部の説明図である。
【図13】本発明を適用した位置検出システムの具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。
【図14】本発明を適用した位置検出システムの具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。
【図15】光学式位置検出装置で用いられる受光素子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に交差する方向をZ軸方向とする。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として表してある。
【0024】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部の説明図である。図1(a)は光学式位置検出装置を検出光出射空間側の斜め方向からみたときの説明図であり、図1(b)は光学式位置検出装置を正面からみたときの説明図である。
【0025】
本形態の位置検出システム1は、対象物体Obの位置を検出する光学式位置検出装置10を有している。光学式位置検出装置10は、X軸方向およびY軸方向により規定される仮想のXY平面(仮想面)に沿うように放射状に出射した検出光L2を利用して、対象物体Obの位置を検出する。本形態において、位置検出システム1は、XY平面に沿って広がる視認面41をZ軸方向の一方側Z1に備えた視認面構成部材40を有しており、光学式位置検出装置10は、視認面41に沿って検出光L2を出射し、視認面構成部材40に対して視認面41側(Z軸方向の一方側Z1)に位置する対象物体Obの位置を検出する。従って、位置検出システム1の検出空間10Rは、光学式位置検出装置10において検出光L2が出射される検出光出射空間であり、検出空間10Rには、後述する検出光L2の光強度分布が形成される。かかる位置検出システム1は、光学式位置検出装置10によって、後述する電子黒板等の入力機能付き表示システムや入力機能付き投射型表示システム等として用いることができる。
【0026】
本形態の位置検出システム1において、光学式位置検出装置10は、視認面41(XY平面)に沿って検出光L2を放射状に出射可能な光源部12と、検出光L2の出射範囲(検出空間10R)に位置する対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を受光する受光部13とを備えている。
【0027】
光学式位置検出装置10は、光源部12として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出空間10Rに向く2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)を備えており、第1光源部12Aと第2光源部12Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。また、光学式位置検出装置10は、受光部13として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出空間10Rに向く第1受光部13Aおよび第2受光部13Bを備えており、第1受光部13Aと第2受光部13Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。
【0028】
ここで、第1受光部13Aは、第1光源部12Aから放射状に出射される検出光L2(検出光L2a)の放射中心位置に配置されており、第1受光部13Aと第1光源部12Aとは受発光ユニット15(第1受発光ユニット15A)として一体化されている。また、第2受光部13Bは、第2光源部12Bから放射状に出射される検出光L2(検出光L2b)の放射中心位置に配置されており、第2受光部13Bと第2光源部12Bとは受発光ユニット15(第2受発光ユニット15B)として一体化されている。
【0029】
第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、視認面構成部材40よりZ軸方向の一方側Z1に突出した位置にある。また、第1受発光ユニット15Aと第2受発光ユニット15Bとは異なる期間において動作する。従って、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aから検出光L2aが出射された際に、第1受光部13Aは、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2a(反射光L3)を受光する。かかる動作とは異なる期間において、第2受発光ユニット15Bにおいて、第2光源部12Bから検出光L2bが出射された際、第2受光部13Bは、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2b(反射光L3)を受光する。
【0030】
(受発光ユニット)
図2は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニット15の斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニット15の主要部の構成を示す説明図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニット15から出射される検出光L2の説明図であり、図4(a)は第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示し、図4(b)は、第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示している。なお、図2および図3に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有していることから、第1受発光ユニット15Aの構成を中心に説明し、第2受発光ユニット15Bの詳細な説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、第1光源部12Aは、長さ方向(円周方向)で湾曲した形状をもって延在する周面を備えた扇形形状のホルダー150を備えている。ホルダー150は、第1ホルダー151と第2ホルダー152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1ホルダー151は下端側に扇形形状の鍔部156aを備えており、第2ホルダー152は上端側に扇形形状の鍔部156bを備えている。鍔部156a、156bにより挟まれた部分は、検出光L2が出射される出射部になっており、鍔部156a、156bは、Z軸方向における検出光L2の出射範囲を制限している。
【0032】
第1光源部12Aは、検出光L2の出射部として、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とを備えている。第1光源部12Aにおいて、第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とによってZ軸方向で挟まれた部分は、対象物体Obからの反射光L3の入射部148になっており、かかる入射部148の奥に第1受光部13Aが配置されている。
【0033】
図3および図4に示すように、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。第2受発光ユニット15Bにおいても、第1受発光ユニット15Aと同様、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。
【0034】
第1光源モジュール126は、光源120として、第1光源121を備えている。第1光源121は、ライトガイドLGの一方の端部LG1の端面に出射方向を向けて配置されている。また、第1光源モジュール126は、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の出射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。第2光源モジュール127も、第1光源モジュール126と同様、光源120として、第2光源122を備えている。第2光源122はライトガイドLGの他方の端部LG2の端面に出射方向を向けて配置されている。また、第2光源モジュール127は、第1光源モジュール126と同様、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の出射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。第1光源121および第2光源122としては、LED(発光ダイオード)等の発光素子が用いられている。LEDはピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2を発散光として出射する。なお、ライトガイドLGの外周面LG3および内周面LG4のうちの少なくとも一方には、ライトガイドLGからの検出光L2の出射効率を調整するための加工が施されている。かかる加工手法としては、例えば反射ドットを印刷する方式や、スタンパーやインジェクションにより凹凸を付す成型方式や、溝加工方式を採用することができる。かかる第1光源モジュール126および第2光源モジュール127においては、第1光源121が点灯することにより、第1光源モジュール126から検出光L2が放射状に出射され、第2光源122が点灯することにより、第2光源モジュール127から検出光L2が放射状に出射される。
【0035】
(受光部13の構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において、受光部13に用いた2つの受光素子の位置関係を示す説明図である。なお、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有していることから、第1受発光ユニット15Aの構成を中心に説明し、第2受発光ユニット15Bの詳細な説明を省略する。
【0036】
図2〜図5に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aは、第1受光部13Aに複数の受光素子130を備えている。より具体的には、第1受光部13Aは、複数の受光素子130として、第1受光素子131と、第1受光素子131に対してX軸方向で隣り合う位置に配置された第2受光素子132とを備えている。複数の受光素子130(第1受光素子131、および第2受光素子132)はいずれも、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスターであり、本形態においては、赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードであり、図15を参照して説明した構成を有している。
【0037】
図5に示すように、第1受光素子131と第2受光素子132とは、第1受光素子131の受光面131aと第2受光素子132の受光面132aを逆方向に傾斜させて隣接配置されており、第1受光素子131と第2受光素子132とは、受光面131a、132aに対する法線方向が互いに交差する方向に延びている。本形態において、第1受光素子131および第2受光素子132は、図15を参照して説明した感度指向性に対応させて、第1受光素子131の受光面131aに対する法線方向、および第2受光素子132の受光面132aに対する法線方向は、互いに45°から90°の角度θcを成す方向に延びている。ここで、第1受光素子131の受光面131aに対する法線方向と、第2受光素子132の受光面132aに対する法線方向とが成す角度θcは、50°から90°の範囲にあることが好ましい。
【0038】
ここで、第1光源部12Aから出射される検出光L2の出射範囲の中央に相当する角度方向を0°方向とし、かかる0°の方向に広がる面を仮想面Sとすると、第1受光素子131の受光面131aと第2受光素子132の受光面132aは、仮想面Sに対して線対称に配置されている。従って、第1受光素子131の第1受光範囲131Rと第2受光素子132の第2受光範囲132Rは、0°方向を中心とする所定の角度範囲において重なっている。
【0039】
なお、第2受発光ユニット15Bの第2受光部13Bも、第1受光部13Aと同様、複数の受光素子130として、第1受光素子131と第2受光素子132とを備えている。
【0040】
(制御系)
図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の制御系の説明図であり、図6(a)、(b)は、制御系のブロック図、および光源駆動部による点灯動作等を示す説明図である。図6(a)に示すように、光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12A、および第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bは、制御用IC70に電気的に接続されている。また、第1受発光ユニット15Aの第1受光部13A、および第2受発光ユニット15Bの第2受光部13Bは、信号処理部71を介して、制御用IC70に電気的に接続されている。制御用IC70は、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60に電気的に接続されている。
【0041】
制御用IC70は、基準クロック、A相基準パルス、B相基準パルス、タイミング制御パルス、同期クロック等を生成する複数の回路(図示せず)を有している。また、制御用IC70は、A相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75aと、B相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75bと、パルス発生器75aおよびパルス発生器75bが生成した駆動パルスを第1光源121および第2光源122の何れに印加するかを制御するスイッチ部76を有している。かかるパルス発生器75a、75b、およびスイッチ部76は光源駆動部51を構成している。
【0042】
光源駆動部51は、図6(b)に示すように、第1光源121と第2光源122に逆相の駆動パルスを印加することにより、第1光源121を点灯させ第2光源122を消灯させる第1期間の第1点灯動作と、第2光源122を点灯させ第1光源121を消灯させる第2期間の第2点灯動作とを行なわせる。
【0043】
この結果、第1期間の第1点灯動作時において検出空間10Rには、XY平面に沿って第1光強度分布LID1が形成される。かかる第1光強度分布LID1は、図4(a)に矢印の長さにより検出光の光強度を示すように、検出空間10R(出射範囲)内に一方の端部LG1に対応する角度方向から他方の端部LG2に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する光強度分布を備えている。一方、第2期間の第2点灯動作時において検出空間10Rには、XY平面に沿って第2光強度分布LID2が形成される。かかる第2光強度分布LID2は、図4(b)に矢印の長さにより検出光の光強度を示すように、出射範囲内に他方の端部LG2に対応する角度方向から一方の端部LG1に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する光強度分布を備えるものとなる。ここで、光学式位置検出装置10において、光源部12に対する駆動電流値を制御するにあたっては、電圧振幅変調やパルス幅変調が行われる。
【0044】
なお、第2受発光ユニット15Bは、第1受発光ユニット15Aと同様な構成をもって制御用IC70に電気的に接続されており、光源駆動部51は第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bに対しても、第1光源部12Aと同様、第1期間において第1点灯動作を行わせて第1光強度分布LID1を形成させる。また、第1期間とは重ならない第2期間において第2点灯動作を行わせて第2光強度分布LID2を形成させる。ここで、光源駆動部51は、図6(b)に示すように、第2受発光ユニット15Aの第1光源部12Aの第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)の後に、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bの第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行う。
【0045】
再び図6(a)において、制御用IC70は、受光量測定部73と、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して光源部12の光源120(第1光源121および第2光源122)に供給する駆動パルスの駆動電流値(第1駆動電流値)を調整する調整量算出部74を備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。調整量算出部74は、パルス発生器75a、75bに対する制御信号を出力するアナログ−デジタル変換部等を備えている。
【0046】
ここで、受光部13の第1受光素子131から出力された信号、および第2受光素子132から出力された信号は、信号処理部71を介して制御用IC70の位置検出部50に入力される。信号処理部71の詳細は、図9等を参照しながら後述する。
【0047】
かかる制御用IC70は、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60の制御部61によって制御されており、かかる制御装置60は、受光量測定部73および調整量算出部74とともに位置検出部50を構成する座標データ取得部55を有している。従って、本形態において、位置検出部50は、制御用IC70の受光量測定部73および調整量算出部74と、上位の制御装置60(パーソナルコンピューター)の座標データ取得部55とによって構成されている。
【0048】
ここで、本形態の光学式位置検出装置10は、受発光ユニット15として、互いに離間した位置に配置された第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを有している。このため、座標データ取得部55は、第1受発光ユニット15Aに対する駆動結果に基づいて、第1光源部12Aの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第1角度位置検出部551と、第2受発光ユニット15Bに対する駆動結果に基づいて、第2光源部12Bの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第2角度位置検出部552を有している。また、座標データ取得部55は、第1角度位置検出部551で得られた対象物体Obの角度位置と、第2角度位置検出部552で得られた対象物体Obの角度位置とに基づいて、対象物体ObのXY座標データを確定する座標データ確定部553を備えている。
【0049】
なお、本形態では、制御用IC70を多チャンネル化して、1つの制御用IC70によって第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを駆動しているが、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bに対して1対1の関係をもつ2つの制御用IC70を用いてもよい。
【0050】
(対象物体の位置検出動作)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における位置検出原理の説明図であり、図7(a)は光強度分布の説明図であり、図7(b)は対象物体Obが存在する位置情報(角度位置/方位情報)を取得する方法の説明図である。図8は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体ObのXY座標データを取得する原理の説明図である。図7では、光源部12から出射される検出光L2の出射範囲の中央(受光部13の正面)に相当する角度方向を0°としてある。
【0051】
本形態では、まず、第1光源部12Aの第1光源モジュール126によって、第1光強度分布LID1を形成した際、検出光L2の出射角度方向と、検出光L2の強度とは、図7(a)に線E1で示す直線関係にある。また、第1光源部12Aの第2光源モジュール127によって、第2光強度分布LID2を形成した際、検出光L2の出射角度方向と、検出光L2の強度とは、図7(a)に線E2で示す直線関係にある。ここで、図7(b)および図8に示すように、第1光源部12Aの中心PE(検出光L2の放射中心位置)からみて角度θの方向に対象物体Obが存在するとする。この場合、第1光強度分布LID1を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTaとなる。これに対して、第2光強度分布LID2を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTbとなる。従って、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出受光強度と、第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出受光強度を比較して、強度INTa、INTbの関係を求めれば、図7(b)および図8に示すように、第1光源部12Aの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1/角度位置)を求めることができる。
【0052】
かかる原理を利用して、対象物体Obの角度位置(角度θ1)を検出するにあたって、本形態では、第1光源部12Aによって、第1光強度分布LID1を形成した第1期間における第1受光部13Aから出力される信号の強度と、第2光強度分布LID2を形成した第2期間における第1受光部13Aから出力される信号の強度とが等しくなるように、第1光源部12Aに対する第1駆動電流値、および第1光源部12Aに対する第2駆動電流値を調整する。
【0053】
ここで、第1光源部12Aから出力される信号の強度は、光源120に対する第1駆動電流値、および光源120に対する第2駆動電流値に比例する。従って、光源120に対する第1駆動電流値、および光源120に対する第2駆動電流値を調整した後の第1駆動電流値と第2駆動電流値との比や差、あるいは駆動電流値を調整した際の駆動電流値の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0054】
より具体的には、まず、図6(a)に示す制御用IC70の光源駆動部51は、第1点灯動作として第1光源121を点灯させて第1光強度分布LID1を形成した後、第2点灯動作として第2光源122を点灯させて第2光強度分布LID2を形成する。この際、第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とは強度変化の向きは逆向きであるが、強度レベルは同一である。また、第1受光部13Aの第1受光素子131および第2受光素子132は反射光L3を検出し、第1受光素子131および第2受光素子132から出力された信号は、信号処理部71を介して検出用信号Vtとして制御用IC70に出力される。
【0055】
そして、位置検出部50の調整量算出部74は、第1点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTbを比較する。その結果、第1点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTbとが等しければ、対象物体Obの角度位置は0°である。
【0056】
これに対して、検出受光強度INTa、INTbが相違している場合、第1点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTbとが等しくなるように、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整する。そして、再度、第1点灯動作と第2点灯動作を行った際に、第1点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの検出受光強度INTbとが等しければ、図6に示す第1角度位置検出部551は、かかる調整を行った後の第1光源121および第2光源122に対する駆動電流値の比や差、あるいは駆動電流値の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0057】
かかる動作を第2光源部12Bにおいても行えば、第2角度位置検出部552は、第2光源部12Bの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ2/角度位置)を求めることができる。従って、座標データ確定部553は、図8に示すように、第1受光部13Aと第2受光部13Bの間の距離DSに基づいて第1角度位置検出部551で検出した角度位置(角度θ1の方向)と、第2角度位置検出部552で検出した角度位置(角度θ2の方向)の交点に相当する位置を対象物体Obが位置するXY座標データとして取得することができる。
【0058】
(信号処理部)
図9は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の信号処理部71の説明図であり、図9(a)、(b)は、信号処理部71のブロック図、および信号処理部71の具体的な構成例を示す説明図である。なお、信号処理部71は、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bの双方に同一の構成をもって設けられているため、第1受発光ユニット15Aに対する信号処理部71のみを説明し、第2受発光ユニット15Bに対する信号処理部71の説明を省略する。
【0059】
図9(a)に示すように、光学式位置検出装置10において、信号処理部71は、まず、第1I−V変換部91A、第1増幅部92A、第2I−V変換部91B、および第2増幅部92Bを有している。第1I−V変換部91Aは、第1受光素子131から出力された第1信号(電流波形)から直流成分を除去して第1電圧信号に変換し、第1増幅部92Aは、第1電圧信号を増幅して第1増幅信号を出力する。第2I−V変換部91Bは、第2受光素子132から出力された第2信号(電流波形)から直流成分を除去して第2電圧信号に変換し、第2増幅部92Bは、第2電圧信号を増幅して第2増幅信号を出力する。
【0060】
また、信号処理部71は加算部93および検出用信号生成部90を備えており、加算部93は、第1増幅部92Aからの第1増幅信号と、第2増幅部92Bからの第2増幅信号とを加算して加算出力Vsを生成する。検出用信号生成部90は、加算出力Vsを増幅した後、増幅後の加算出力Vsと、予め設定された閾値とを比較し、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力し、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力する。このため、位置検出部50は、検出用信号生成部90から出力された検出用信号Vtに基づいて対象物体Obの位置を検出する。
【0061】
かかる検出用信号生成部90として、本形態では、比較部95、加算出力増幅部94、および増幅率切換部96(出力調整部)を備えている。ここで、比較部95は、加算出力Vsと閾値とを比較し、加算出力増幅部94は、加算出力Vsを所定の増幅率で増幅する。増幅率切換部96は、比較部95での比較結果において、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力増幅部94の増幅率を第1増幅率とし、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力増幅部94の増幅率を第1増幅率より小さな第2増幅率とする。従って、本形態では、第1倍率が第1増幅率に相当し、第2倍率が第2増幅率に相当する。
【0062】
かかる信号処理部71は、例えば、図9(b)に示すように構成することができる。なお、図9(b)には、帰還抵抗、入力抵抗等が用いられているが、抵抗については四角形で表し、それらの説明を省略する。図9(a)、(b)に示すように、第1I−V変換部91Aおよび第2I−V変換部91Bは各々、結合容量911と、帰還抵抗および帰還容量を備えたオペアンプ912により構成され、第1増幅部92Aおよび第2増幅部92Bは、帰還抵抗および帰還容量を備えたオペアンプ921により構成されている。加算部93は、オペアンプ931により構成されている。
【0063】
検出用信号生成部90において、加算出力増幅部94は、オペアンプ941、第1帰還抵抗942、および第2帰還抵抗943により構成されている。比較部95は、閾値(基準電圧Vref)と加算出力Vsとを比較するコンパレーター951により構成されている。増幅率切換部96は、コンパレーター951による比較結果に基づいて、第1帰還抵抗942および第2帰還抵抗943を選択的に切り替えるスイッチ961により構成されている。ここで、第1帰還抵抗942は第2帰還抵抗943よりも抵抗値が大きなものであり、スイッチ961(増幅率切換部96)は、通常時、オペアンプ941の帰還抵抗として、抵抗値の大きな第1帰還抵抗942を選択している。そして、スイッチ961(増幅率切換部96)は、コンパレーター951(比較部95)での比較結果において、加算出力Vsが閾値以下のときには第1帰還抵抗942を選択している状態を維持して、加算出力増幅部94の増幅率を第1増幅率に設定する。従って、検出用信号生成部90は、加算出力Vsが閾値以下のときには、加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力することになる。
【0064】
これに対して、スイッチ961(増幅率切換部96)は、コンパレーター951(比較部95)での比較結果において、加算出力Vsが閾値を超えるときには第2帰還抵抗943を選択する状態に切り換わる。その結果、加算出力増幅部94の増幅率が第1増幅率より小さな第2増幅率に切り換わるため、検出用信号生成部90は、加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力することになる。
【0065】
そして、位置検出部50は、検出用信号生成部90から出力された検出用信号Vtに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。より具体的には、光源部12は、前記した第1期間中における検出用信号Vtのレベルと、前記した第2期間中における検出用信号Vtのレベルとが等しくなったときの光源部12での駆動電流値に基づいて対象物体Obの位置を検出する。かかる動作は、図6(b)に示すように、第1受発光ユニット15A、および第2受発光ユニット15Bにおいて順次行われる結果、対象物体ObのXY座標が検出されることになる。
【0066】
(作用効果)
以上説明したように、本形態によれば、受光素子130として、複数の受光素子130(第1受光素子131および第2受光素子132)を用いて対象物体Obからの反射光L3を検出しているので、第1受光素子131において受光感度が低い方向から反射光L3が入射した際、第2受光素子132には、受光感度が高い方向から反射光L3が入射する。同様に、第2受光素子132において受光感度が低い方向から反射光L3が入射した際、第1受光素子131には、受光感度が高い方向から反射光L3が入射する。このため、検出空間10Rを広げることができる。
【0067】
また、本形態では、複数の受光素子130(第1受光素子131および第2受光素子132)の各々から出力された複数の信号を加算した加算出力Vsを求め、かかる加算出力Vsに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。このため、位置検出部50が位置検出に用いる信号レベルが高いので、対象物体Obの位置を精度よく検出することができる。より具体的には、検出光L2を出射した際、対象物体Ob以外の物体で反射した検出光L2の一部が受光素子130に入射するため、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向に対象物体Obが位置する場合、受光素子130からの出力には、対象物体Ob以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光に起因する成分の比率が増大する。しかるに本形態によれば、加算出力Vsおよび検出用信号Vtには、対象物体Ob以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光L2に起因する成分の比率が低い。また、第1期間中および第2期間中に得られる加算出力Vsおよび検出用信号Vtのレベルが高いので、検出精度が高い。
【0068】
さらに、本形態では、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして出力する一方、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして出力する。このため、位置検出部50の入力レンジの最高値を高くしなくても、信号のオーバーフローを回避できる。また、位置検出部50の入力レンジの最高値を低く設定することができるので、加算出力Vsおよび検出用信号Vtが低レベルであっても、対象物体Obの位置を高い精度で検出することができる。なお、加算出力Vsが閾値を超えるときには検出用信号Vtのレベルを低めに設定することになるが、かかる事象が発生するのは、対象物体Obが受光部13に近い位置にある等、検出精度が元々、極めて高い位置にある場合に相当する。従って、加算出力Vsが閾値を超えるときには検出用信号Vtのレベルを低めに設定した場合でも、対象物体Obの位置を比較的高い精度で検出することができる。それ故、受光素子130からの出力レベルの高低にかかわらず、対象物体Obの位置を精度よく検出することができる。
【0069】
さらにまた、本形態では、受光部13において、第1受光素子131と第2受光素子132とを同時に駆動した状態で反射光L3を検出するので、第1受光素子131と第2受光素子132とを時間帯をずらして別々に駆動して反射光L3を検出する場合と比較して、対象物体Obの位置の検出時間を半分にすることができる。従って、光学式位置検出装置10の応答速度が向上する。また、検出時間が半分になれば、対称物体Obの位置検出動作を間欠的に行うことが可能となるので、消費電力を低下させることができる。さらに、検出時間が半分になれば、位置検出動作を繰り返し行った場合でも、応答速度の低下を抑制できる。従って、応答速度を低下させずに、位置検出精度を向上させることができる。
【0070】
[実施の形態1の変形例]
図10は、本発明の実施の形態1の変形例に係る光学式位置検出装置10の信号処理部71の説明図であり、図10(a)、(b)は、信号処理部71のブロック図、および信号処理部71の具体的な構成例を示す説明図である。なお、本形態は、信号処理部71の構成以外は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。また、信号処理部71は、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bの双方に同一の構成をもって設けられているため、第1受発光ユニット15Aに対する信号処理部71のみを説明し、第2受発光ユニット15Bに対する信号処理部71の説明を省略する。
【0071】
図10(a)に示すように、本形態の光学式位置検出装置10においても、実施の形態1と同様、信号処理部71は、まず、第1I−V変換部91A、第1増幅部92A、第2I−V変換部91B、および第2増幅部92Bを有している。また、信号処理部71は、加算部93を備えており、加算部93は、第1増幅部92Aからの第1増幅信号と、第2増幅部92Bからの第2増幅信号とを加算して、加算出力を生成する。また、信号処理部71は、加算出力Vsを増幅する加算出力増幅部94′を有している。
【0072】
また、信号処理部71は、加算出力増幅部94′から出力された増幅後の加算出力Vsと、予め設定された閾値とを比較し、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力し、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力する検出用信号生成部90を有している。このため、位置検出部50は、検出用信号生成部90から出力された検出用信号Vtに基づいて対象物体Obの位置を検出する。
【0073】
かかる検出用信号生成部90として、本形態では、加算出力Vsと閾値とを比較する比較部95と、比較部95での比較結果に基づいて、加算出力Vsを通して検出用信号Vtを出力する際の電流制限抵抗を切り換える電流制限抵抗切換部96′(出力調整部)とを備えている。かかる電流制限抵抗切換部96′は、比較部95での比較結果において、加算出力Vsが閾値以下のときには第1抵抗値を有する電流制限抵抗に加算出力Vsを通して検出用信号Vtを出力し、加算出力Vsが閾値を超えるときには第1抵抗値より値が大きな第2抵抗値を有する電流制限抵抗に加算出力Vsを通して検出用信号Vtを出力する。
【0074】
本形態では、図10(b)に示すように、加算出力増幅部94′は、オペアンプ941および帰還抵抗945により構成されている。比較部95は、加算出力増幅部94′により増幅された後の加算出力Vsと閾値Vrefとを比較するコンパレーター951により構成されている。電流制限抵抗切換部96′は、第1抵抗値を有する第1電流制限抵抗962と、第1電流制限抵抗962の第1抵抗値より大きな第2抵抗値を有する第2電流制限抵抗963と、コンパレーター951による比較結果に基づいて、第1電流制限抵抗962および第2電流制限抵抗963を選択的に切り替えるスイッチ964により構成されている。スイッチ964(電流制限抵抗切換部96′)は、初期状態においては、電流制限抵抗として、抵抗値の小さな第1電流制限抵抗962を選択している。そして、スイッチ964は、コンパレーター951(比較部95)での比較結果において、加算出力Vsが閾値以下のときには第1電流制限抵抗962を選択している状態を維持する。
【0075】
これに対して、スイッチ964(電流制限抵抗切換部96′)は、コンパレーター951(比較部95)での比較結果において、加算出力Vsが閾値を超えるときには第2電流制限抵抗963を選択している状態に切り換わる。その結果、検出用信号生成部90は、加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして位置検出部50に出力することになる。従って、本形態では、第1倍率が第1抵抗値の逆数に相当し、第2倍率が第2抵抗値の逆数に相当する。
【0076】
そして、位置検出部50は、検出用信号生成部90から出力された検出用信号Vtに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。より具体的には、光源部12は、前記した第1期間中における検出用信号Vtのレベルと、前記した第2期間中における検出用信号Vtのレベルとが等しくなったときの光源部12での駆動電流値に基づいて対象物体Obの位置を検出する。かかる動作は、図6(b)に示すように、第1受発光ユニット15A、および第2受発光ユニット15Bにおいて順次行われる結果、対象物体ObのXY座標が検出されることになる。
【0077】
以上説明したように、本形態でも、実施の形態1と同様、受光素子130として、複数の受光素子130(第1受光素子131および第2受光素子132)を用いて対象物体Obからの反射光L3を検出しているので、検出空間10Rを広げることができる。また、本形態では、第1受光素子131から出力される信号と、第2受光素子132から出力される信号との加算出力Vsに対応する検出用信号Vtに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。このため、位置検出部50には、レベルの高い検出用信号Vtが入力されるので、検出空間10Rを広げた場合でも、対象物体Obの位置を精度よく検出することができる。
【0078】
また、本形態では、信号処理部71の検出用信号生成部90によって、加算出力Vsが閾値以下のときには加算出力Vsに第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして出力する一方、加算出力Vsが閾値を超えるときには加算出力Vsに第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号Vtとして出力するため、位置検出部50の入力レンジを低く設定した場合でも、オーバーフローの発生を回避できる。また、位置検出部50の入力レンジを低く設定することができるので、加算出力Vs(検出用信号Vt)が低レベルであっても、対象物体Obの位置を高い精度で検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0079】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10は、光源駆動部51による光源部の駆動制御方法および信号処理部71の構成が実施の形態1と相違する。図1〜図5、図7および図8を参照して説明した構成は、実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。また、信号処理部71は、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bの双方に同一の構成をもって設けられているため、第1受発光ユニット15Aに対する信号処理部71のみを説明し、第2受発光ユニット15Bに対する信号処理部71の説明を省略する。
【0080】
図11は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の制御系の説明図であり、図11(a)、(b)は、制御系のブロック図、および光源駆動部による点灯動作等を示す説明図である。図12は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の信号処理部71の説明図であり、図12(a)、(b)は、信号処理部71のブロック図、および信号処理部71の具体的な構成例を示す説明図である。
【0081】
図11(a)に示すように、本形態の光学式位置検出装置10においても、実施の形態1と同様、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、制御用IC70に電気的に接続され、制御用IC70は制御装置60に電気的に接続されている。
【0082】
制御用IC70において、光源駆動部51は、図11(b)に示すように、まず、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aの第1光源121と第2光源122とに同相の駆動パルスを印加することにより第1光源121と第2光源122を同時に点灯させる初期点灯動作を行なわせる。かかる初期点灯動作において、検出空間10Rには、図4を参照して説明した第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とを合成した光強度分布が形成され、かかる光強度分布では、一方の端部LG1に対応する角度方向から他方の端部LG2に対応する角度方向に向けて強度が一定の光強度分布が形成される。
【0083】
次に、光源駆動部51は、第1光源121と第2光源122に逆相の駆動パルスを印加することにより、第1光源121を点灯させ第2光源122を消灯させる第1期間の第1点灯動作、および第2光源122を点灯させ第1光源121を消灯させる第2期間の第2点灯動作を第1光源部12Aに行なわせる。
【0084】
なお、光源駆動部51は、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bに対しても、第1光源部12Aと同様に、まず、初期点灯動作を行なわせて第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とを合成した光強度分布を形成させ、しかる後に、第1期間において第1点灯動作を行わせて第1光強度分布LID1を形成させ、第1期間とは重ならない第2期間において第2点灯動作を行わせて第2光強度分布LID2を形成させる。なお、光源駆動部51は、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aの初期点灯動作、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)の後に、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bの初期点灯動作、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行なわせる。
【0085】
このように構成した光学式位置検出装置10において、受光部13から出力された信号は、信号処理部71を介して、位置検出部50の受光量測定部73に入力される。本形態において、図12を参照して以下に説明するように、信号処理部71は、位置検出部50に出力する信号レベルを調整するために、初期点灯動作での受光結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の一方の受光素子を選択し、かかる一方の受光素子の出力結果を位置検出部50に出力する。図11(b)には、第1受発光ユニット15Aでは、第2受光素子132が選択され、第2受発光ユニット15Aでは、第1受光素子131が選択された場合を図示してある。このため、第1受発光ユニット15Aでは、初期点灯動作の際には、第1受光素子131および第2受光素子132の双方がオン状態にあるが、第1点灯動作時(第1期間)および第2点灯動作時(第2期間)では、第2受光素子132のみがオン状態にあって、第1受光素子131はオフ状態にある。また、第2受発光ユニット15Bでは、初期点灯動作の際には、第1受光素子131および第2受光素子132の双方がオン状態にあるが、第1点灯動作時(第1期間)および第2点灯動作時(第2期間)では、第1受光素子131のみがオン状態にあって、第2受光素子132はオフ状態にある。
【0086】
かかる動作を実現するにあたって、図12(a)に示すように、本形態の信号処理部71は、実施の形態1と同様、まず、第1I−V変換部91A、第1増幅部92A、第2I−V変換部91B、および第2増幅部92Bを有している。
【0087】
また、信号処理部71は、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号の強度を比較し、これらの信号のうち、強度が最大の信号を検出用信号Vtとして出力する検出用信号生成部99を備えている。本形態において、検出用信号生成部99は、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号の強度を比較する比較部97と、比較部97での検出結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号のうち、検出用信号Vtとして出力する信号を切り換える出力切換部98とを備えている。従って、本形態において、位置検出部50において入力が許容されているレンジは、受光部13に用いた受光素子130一つ分の最高出力に対応する値に設定されている。
【0088】
図12(b)に示すように、比較部95は、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号の強度を比較するコンパレーター971により構成されている。出力切換部98は、コンパレーター971による比較結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の各々から出力された信号のうち、強度が最大の信号を選択するスイッチ981によって構成されている。
【0089】
このように構成した光学式位置検出装置10において、初期点灯動作での受光結果に基づいて、第1受発光ユニット15Aにおいて、第2受光素子132が選択されると、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行った際、第2受光素子132から出力された信号は、増幅された後、検出用信号Vtとして位置検出部50に出力されることになる。また、初期点灯動作での受光結果に基づいて、第2受発光ユニット15Bにおいて、第1受光素子131が選択されると、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行った際、第1受光素子131から出力された信号は、増幅された後、検出用信号Vtとして位置検出部50に出力されることになる。
【0090】
そして、位置検出部50は、検出用信号生成部99から出力された検出用信号Vtに基づいて、対象物体Obの位置を検出する。より具体的には、光源部12は、前記した第1期間中における検出用信号Vtのレベルと、前記した第2期間中における検出用信号Vtのレベルとが等しくなったときの光源部12での駆動電流値に基づいて対象物体Obの位置を検出する。かかる動作は、図11(b)に示すように、第1受発光ユニット15A、および第2受発光ユニット15Bにおいて順次行われる結果、対象物体ObのXY座標が検出されることになる。
【0091】
以上説明したように、本形態でも、実施の形態1と同様、受光素子130として、複数の受光素子130(第1受光素子131および第2受光素子132)を用いて対象物体Obからの反射光L3を検出しているので、第1受光素子131において受光感度が低い方向から反射光L3が入射した際、第2受光素子132には、受光感度が高い方向から反射光L3が入射する。同様に、第2受光素子132において受光感度が低い方向から反射光L3が入射した際、第1受光素子131には、受光感度が高い方向から反射光L3が入射する。このため、検出空間10Rを広げることができる。
【0092】
また、本形態では、第1受光素子131から出力される信号と、第2受光素子132から出力される信号のうち、レベルが高い信号を検出用信号Vtとして出力し、対象物体Obの位置を検出する。このため、位置検出部50には、レベルの高い検出用信号Vtが入力されるので、対象物体Obの位置を精度よく検出することができる。より具体的には、検出光L2を出射した際、対象物体Ob以外の物体で反射した検出光L2の一部が受光素子130に入射するため、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向に対象物体Obが位置する場合、受光素子130からの出力には、対象物体Ob以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光に起因する成分の比率が増大する。しかるに本形態によれば、検出用信号Vtには、対象物体Ob以外の物体で反射して受光素子130に入射した検出光L2に起因する成分の比率が低い。また、第1期間中および第2期間中に得られる検出用信号Vtのレベルが高いので、検出精度が高い。
【0093】
また、位置検出部50において入力が許容されているレンジは、受光部13に用いた受光素子130一つ分の最高出力に対応する値に設定すればよいので、信号のオーバーフローを回避できる。また、位置検出部50の入力レンジを低く設定することができるので、検出用信号Vtが比較的低レベルであっても、対象物体Obの位置を高い精度で検出することができる。
【0094】
さらに、第1受光素子131および第2受光素子132から一方の受光素子を選択した以降は、他方の受光素子から出力された信号の処理を停止することができるので、省電力化や処理時間の短縮を図ることができる。
【0095】
[実施の形態2の変形例]
上記実施の形態では、初期点灯動作での受光結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の一方の受光素子を選択したが、第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)での受光結果に基づいて、第1受光素子131および第2受光素子132の一方の受光素子を選択してもよい。
【0096】
[他の実施の形態の形態]
上記実施の形態では、2つの光源部(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)を用いたが、1つの光源部12を用いて対象物体Obの位置を検出してもよい。また、上記実施の形態では、検出光L2の放射中心位置に受光部13を設けたが、他の箇所に受光部13を設けてもよく、2つの光源部(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)に対して共通の受光部13を設けてもよい。さらに、上記の例では、受光部13が2つの受光素子(第1受光素子131および第2受光素子132)を備えているが、3つ以上の受光素子を備えてもよい。
【0097】
なお、上記実施の形態では、2つのライトガイドLGの各々に光源120を設けたが、1つのライトガイドLGの両端に光源120を設け、光源120を交互に点灯させて、第1期間と第2期間とにおいて互いに逆向きの光強度分布を形成してもよい。この場合には、光源部12の放射中心に受光部13を設けると、受光部13への検出光L2の入射が光源部12によって妨げられることになるので、受光部13を光源部12の放射中心からZ軸方向にずれた位置に配置することができる。
【0098】
また、上記の形態では、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127は、ライトガイドLGを用いて、出射範囲内に一方側から他方側に向かって強度が変化する光強度分布を備える検出光L2を出射しているが、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127として、複数の発光素子を備え、光源駆動部51によって、各発光素子に対する駆動電流を複数の発光素子の配列方向の一方端の発光素子から他方端の発光素子に向かって減少させることにより、出射範囲内に一方側から他方側に向かって強度が変化する光強度分布を備える検出光L2を出射するものを採用することもできる。
【0099】
[位置検出システムの構成例]
(位置検出システムの具体例1)
図13は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。なお、本形態の入力機能付き表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図12を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0100】
上記実施の形態に係る位置検出システム1においては、図13に示すように、視認面構成部材40として画像表示装置110を用い、かかる画像表示装置110に、図1〜図12を参照して説明した光学式位置検出装置10を設ければ、電子黒板やデジタルサイネージ等といった入力機能付き表示システム100として用いることができる。ここで、画像表示装置110は、直視型画像表示装置や、視認面構成部材40をスクリーンとする背面型投射型画像表示装置である。
【0101】
かかる入力機能付き表示システム100において、光学式位置検出装置10は、画像表示装置110の表示面110a(視認面41)に沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を検出する。このため、画像表示装置110で表示された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0102】
(位置検出システムの具体例2)
図14を参照して、視認面構成部材40としてスクリーンを用い、位置機能付き投射型表示システムを構成した例を説明する。図14は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。なお、本形態の位置機能付き投射型表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図12を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0103】
図14に示す入力機能付き投射型表示システム200(入力機能付き表示システム)では、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置250(画像生成装置)からスクリーン80(視認面構成部材40)に画像が投射される。かかる入力機能付き投射型表示システム200において、画像投射装置250は、筐体240に設けられた投射レンズ系210からスクリーン80に向けて画像表示光Piを拡大投射する。ここで、画像投射装置250は、Y軸方向に対してわずかに傾いた方向から画像表示光Piをスクリーン80に向けて投射する。従って、スクリーン80において画像が投射されるスクリーン面80aによって、情報が視認される視認面41が構成されている。
【0104】
かかる入力機能付き投射型表示システム200において、光学式位置検出装置10は、画像投射装置250に付加されて一体に構成されている。このため、光学式位置検出装置10は、投射レンズ系210とは異なる箇所から、スクリーン面80aに沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した反射光L3を検出する。このため、スクリーン80に投射された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0105】
なお、光学式位置検出装置10とスクリーン80を一体化させれば、入力機能付きスクリーン装置を構成することができる。
【0106】
(位置検出システムの他の具体例)
本発明において、視認面構成部材40は、展示品を覆う透光部材である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、透光部材において展示品が配置される側とは反対側で展示品が視認される面である。かかる構成によれば、入力機能付きウインドウシステム等として構成することができる。
【0107】
また、視認面構成部材40は、移動する遊技用媒体を支持する基盤である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、基盤において基盤と遊技用媒体との相対位置が視認される側の面である。かかる構成によれば、パチンコ台やコインゲーム等のアミューズメント機器を入力機能付きアミューズメントシステム等として構成することができる。
【符号の説明】
【0108】
1・・位置検出システム、10・・光学式位置検出装置、12・・光源部、12A・・第1光源部、12B・・第2光源部、13・・受光部、13A・・第1受光部、13B・・第2受光部、15・・受発光ユニット、15A・・第1受発光ユニット、15B・・第2受発光ユニット、40・・視認面構成部材、50・位置検出部、51・・光源駆動部、71・・信号処理部、80・・スクリーン、93・・加算部、94・・加算出力増幅部、95、97・・比較部、96・・増幅率切換部、96′・・電流制限抵抗切換部、98・・出力切換部、100・・入力機能付き表示システム、131・・第1受光素子、132・・第2受光素子、200・・入力機能付き投射型表示システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出光を出射する光源部と、
前記検出光が出射された空間で反射した前記検出光を受光する複数の受光素子を備えた受光部と、
前記複数の受光素子の各々から出力された複数の信号を加算した加算出力と閾値とを比較し、当該加算出力が前記閾値以下のときには当該加算出力に第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力し、前記加算出力が前記閾値を超えるときには当該加算出力に前記第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する検出用信号生成部と、
前記検出用信号に基づいて前記空間内の対象物体の位置を検出する位置検出部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記検出用信号生成部は、前記加算出力と前記閾値とを比較する比較部と、前記加算出力を増幅して前記検出用信号を出力する加算出力増幅部と、前記比較部での比較結果において、前記加算出力が前記閾値以下のときには前記加算出力増幅部の増幅率を第1増幅率とし、前記加算出力が前記閾値を超えるときには前記加算出力増幅部の増幅率を前記第1増幅率より小さな第2増幅率とする増幅率切換部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記検出用信号生成部は、前記加算出力と前記閾値とを比較する比較部と、該比較部での比較結果において、前記加算出力が前記閾値以下のときには第1抵抗値を有する電流制限抵抗に前記加算出力を通して前記検出用信号を出力し、前記加算出力が前記閾値を超えるときには第1抵抗値より値が大きな第2抵抗値を有する電流制限抵抗に前記加算出力を通して前記検出用信号を出力する電流制限抵抗切換部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
検出光を出射する光源部と、
前記検出光が出射された空間で反射した前記検出光を受光する複数の受光素子を備えた受光部と、
前記複数の受光素子の各々から出力された複数の信号の強度を比較し、当該複数の信号のうち、強度が最大の信号を検出用信号として出力する検出用信号生成部と、
前記検出用信号に基づいて前記空間内の対象物体の位置を検出する位置検出部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記位置検出部において入力が許容されているレンジは、前記受光部に用いた受光素子一つ分の最高出力に対応する値に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記光源部は、第1期間中、前記空間に一方側から他方側に向かって強度が減少する光強度分布を形成するように検出光を出射し、前記第1期間とは重ならない第2期間中、前記空間に前記他方側から前記一方側に向かって強度が減少する光強度分布を形成するように検出光を出射し、
前記位置検出部は、前記第1期間中における前記検出用信号のレベルと、前記第2期間中における前記検出用信号のレベルとが等しくなったときの前記光源部での駆動電流値に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記複数の受光素子には、第1受光素子と、該第1受光素子と隣り合う位置に配置された第2受光素子と、が含まれ、
前記第1受光素子と前記第2受光素子とは、受光面に対する法線方向が互いに交差する方向に延びていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
前記第1受光素子の前記法線方向、および前記第2受光素子の前記法線方向は、互いに45°から90°の角度を成す方向に延びていることを特徴とする請求項7に記載の光学式位置検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学式位置検出装置と、画像が表示される表示面を備えた表示装置と、を有する入力機能付き表示システムであって、
前記表示装置は、前記光学式位置検出装置によって検出された前記表示面に沿う方向の前記対象物体の位置に基づいて前記画像を切り換えることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学式位置検出装置と、画像を投射する画像投射装置と、を有する入力機能付き表示システムであって、
前記画像投射装置は、前記光学式位置検出装置によって検出された前記画像の投射方向と交差する方向の前記対象物体の位置に基づいて前記画像を切り換えることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項1】
検出光を出射する光源部と、
前記検出光が出射された空間で反射した前記検出光を受光する複数の受光素子を備えた受光部と、
前記複数の受光素子の各々から出力された複数の信号を加算した加算出力と閾値とを比較し、当該加算出力が前記閾値以下のときには当該加算出力に第1倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力し、前記加算出力が前記閾値を超えるときには当該加算出力に前記第1倍率より小さな第2倍率を乗じたレベルの信号を検出用信号として出力する検出用信号生成部と、
前記検出用信号に基づいて前記空間内の対象物体の位置を検出する位置検出部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記検出用信号生成部は、前記加算出力と前記閾値とを比較する比較部と、前記加算出力を増幅して前記検出用信号を出力する加算出力増幅部と、前記比較部での比較結果において、前記加算出力が前記閾値以下のときには前記加算出力増幅部の増幅率を第1増幅率とし、前記加算出力が前記閾値を超えるときには前記加算出力増幅部の増幅率を前記第1増幅率より小さな第2増幅率とする増幅率切換部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記検出用信号生成部は、前記加算出力と前記閾値とを比較する比較部と、該比較部での比較結果において、前記加算出力が前記閾値以下のときには第1抵抗値を有する電流制限抵抗に前記加算出力を通して前記検出用信号を出力し、前記加算出力が前記閾値を超えるときには第1抵抗値より値が大きな第2抵抗値を有する電流制限抵抗に前記加算出力を通して前記検出用信号を出力する電流制限抵抗切換部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
検出光を出射する光源部と、
前記検出光が出射された空間で反射した前記検出光を受光する複数の受光素子を備えた受光部と、
前記複数の受光素子の各々から出力された複数の信号の強度を比較し、当該複数の信号のうち、強度が最大の信号を検出用信号として出力する検出用信号生成部と、
前記検出用信号に基づいて前記空間内の対象物体の位置を検出する位置検出部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記位置検出部において入力が許容されているレンジは、前記受光部に用いた受光素子一つ分の最高出力に対応する値に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記光源部は、第1期間中、前記空間に一方側から他方側に向かって強度が減少する光強度分布を形成するように検出光を出射し、前記第1期間とは重ならない第2期間中、前記空間に前記他方側から前記一方側に向かって強度が減少する光強度分布を形成するように検出光を出射し、
前記位置検出部は、前記第1期間中における前記検出用信号のレベルと、前記第2期間中における前記検出用信号のレベルとが等しくなったときの前記光源部での駆動電流値に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記複数の受光素子には、第1受光素子と、該第1受光素子と隣り合う位置に配置された第2受光素子と、が含まれ、
前記第1受光素子と前記第2受光素子とは、受光面に対する法線方向が互いに交差する方向に延びていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
前記第1受光素子の前記法線方向、および前記第2受光素子の前記法線方向は、互いに45°から90°の角度を成す方向に延びていることを特徴とする請求項7に記載の光学式位置検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学式位置検出装置と、画像が表示される表示面を備えた表示装置と、を有する入力機能付き表示システムであって、
前記表示装置は、前記光学式位置検出装置によって検出された前記表示面に沿う方向の前記対象物体の位置に基づいて前記画像を切り換えることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学式位置検出装置と、画像を投射する画像投射装置と、を有する入力機能付き表示システムであって、
前記画像投射装置は、前記光学式位置検出装置によって検出された前記画像の投射方向と交差する方向の前記対象物体の位置に基づいて前記画像を切り換えることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【公開番号】特開2013−3997(P2013−3997A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137079(P2011−137079)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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