説明

光学式共振器ジャイロスコープ、および共振非対称誤差を低減するための方法

【課題】共振器ジャイロスコープ(10)の回転速度誤差を低減するための方法および装置が提示される。
【解決手段】ジャイロスコープ(10)は、中空コア光ファイバコイル(24)を有するリング共振器(25)およびリング共振器(25)に導き入れられる入射光線中に存在しうる迷光を低減するように選択および/または配向された光学素子を備える。共振器は、所定のモードを有する。光学素子のうちの1つは、入射光線の一部をファイバコイル(24)の第1の端部(41)に部分的に伝送し、入射光線の一部をフィルタ(20)に部分的に伝送する。所定のモードを有する光は、ファイバコイル(24)の第1の端部(41)内に受光され、フィルタ(20)は、対応するモードを有する入射光線の光を受光する。循環光線の伝送成分は、リング共振器(25)の対向伝搬方向の共振ピークを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ジャイロスコープシステムに関するものであり、より具体的には、ナビゲーションシステムおよび姿勢制御装置で使用する回転センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジャイロスコープは、回転速度または回転軸の周りの角速度の変化を測定するためにこれまで使用されてきた。基本的な従来の光ファイバジャイロスコープ(FOG)は、光源、ビーム発生装置、およびある領域を取り囲むビーム発生装置に結合された光ファイバのコイルを備える。ビーム発生装置は、時計回り(CW)方向に、また光ファイバの芯にそって反時計回り(CCW)方向に伝搬する光線をコイルに送る。FOGの多くは、ファイバの堅いガラス芯にそって光を伝送するガラスを用いた光ファイバを利用する。2つの対向伝搬する(例えば、CWおよびCCW)ビームは、回転する閉じた光路の周りを伝搬しながら異なる光路長を辿り、2つの光路長の差は、回転速度に比例する。
【0003】
共振方式光ファイバジャイロスコープ(RFOG)では、対向伝搬光線は、望ましくは単色光(例えば、単一周波数)であり、コイルを通過した光をその向きを変えて再びコイルに戻す(つまり、光を循環させる)、ファイバカプラなどの装置を使用することで、対向伝搬光線を複数巻き光ファイバコイルのファイバ内に循環させ、このコイル状ファイバ内に複数回通す。ビーム発生装置は、共振コイルの共振周波数を観測できるように対向伝搬光線のそれぞれの周波数を変調し、および/または偏移する。コイルを通るCWおよびCCW光路のそれぞれに対する共振周波数は、建設的干渉条件に基づいており、このため、異なる回数でコイルを横切ったすべての光波は、コイル内の任意の地点で建設的に干渉する。この建設的干渉の結果、波長λの光波は、往復共振器光路長が波長の整数倍に等しい場合に「共振状態」であると呼ばれる。コイルが回転すると、時計回りおよび反時計回りの伝搬に対し異なる光路長が生じて、共振器のそれぞれの共振周波数間に偏移が発生し、回転による閉光路の共振周波数偏移と整合するようにCWビームの周波数とCCWビームの周波数の差をチューニングすることにより測定できるこの周波数差が、回転速度を示す。
【0004】
RFOGでは、光ファイバのガラス物質は、CWおよびCCW光路の共振周波数を偏移する効果をもたらし、そのため、正しい回転が示されなかったり、回転速度の測定が不正確であったりする可能性がある。回転速度測定の精度を低下させるガラス媒質に起因する異常は、非線形カー効果、誘導ブリリュアン散乱、偏光誤差、およびレーリー後方散乱誤差から発生しうる。これらの誤差の発生メカニズムは、例えば、温度に対する望ましくない敏感さを引き起こす環境にも左右される。反射鏡を使用して、対向伝搬光線をコイル内で複数回循環させることができるが、この方法では、典型的には、鏡からコイルに移るときに発生する損失により信号対雑音比が低下する。
【0005】
非線形カー効果は、RFOG内部の高い単色光強度が光ファイバ内のガラスの屈折率を変化させる場合に生じる。例えば、CWビームとCCWビームの強度の不整合が、数度/時間のオーダーで観測周波数偏移に対しバイアスを誘発することがある。誘導ブリリュアン散乱(SBS)は、ファイバ共振器の高いフィネスに関連する高光度光がガラス繊維内にレーザー発振または誘導放出を引き起こすときに発生し、この散乱は、一般的に、共振周波数の測定に大きな不安定性をもたらす。偏光誘発誤差は、一方の光ファイバから隣接する光ファイバへ、または同じファイバ内で、光を第2の偏光モードに入射結合するファイバカプラに由来する場合がある。第2の偏光モードは、共振し、回転を測定するために使用される偏光モードの共振直線形に非対称性をもたらす可能性がある。第2の偏光モードの周波数がCWおよびCCWビームの場合と同じであるとしても、振幅は異なることがあり、そのため、CWおよびCCWビームの共振周波数の、回転の影響を受ける観測結果を超える、異なる観測結果が得られる。CWおよびCCWビームの共振周波数のそれぞれに対する共振中心の決定は、回転速度測定に直接的な影響を及ぼすため、偏光誘発誤差はRFOGの精度を大幅に制限する可能性がある。レーリー後方散乱誤差は、共振器ジャイロスコープのドリフトレートの要因となりうる。ファイバ内のガラスからの、またはファイバの欠陥による後方散乱光が、循環する光線に干渉し、これにより著しいドリフトレート誤差が生じることがある。
【0006】
RFOGにおいて発生する回転速度測定の精度を低下させる異常はほかにもある。反射モードでは、リング共振器は、共振器の所定の状態と整合する状態を有する光の一部を反射する。この所望の状態の光の部分は、反射される部分であり、その周波数と共振器の共振周波数との同調がずれるほど大きくなる。共振時、反射される部分は最小であり、このため、光ファイバコイルを通るCWおよびCCW光路のそれぞれに対する共振周波数は、共振器に入らない光を監視することにより検出される。したがって、共振は、「共振ディップ」として観測されるが、それは、観測される光は、共振器が共振状態に近くない場合よりも共振状態に近い場合に少ないからである。すでに述べたように、対向伝搬光線のそれぞれの連続する再循環により、共振周波数のところで建設的干渉が発生し、共振直線形を持つ共振ディップの中心は、共振周波数を示す。共振周波数をより正確に示すためには、確定的な対称的共振ディップを有することが望ましい。このために、共振器は、所定の状態で光を循環させるように設計するとよい(例えば、TEM00−Sは自由空間共振器内で最低次数の空間モードおよび垂直偏光を有する光の状態を表す)。
【0007】
特に、共振器から反射された整合状態にある全光波は(例えば、モード整合反射波)は、2つの電界波を含み、1つは、共振器の入口にある鏡またはカプラから直に反射され(例えば、モード整合ゼロパス波)、もう1つは、共振器内で循環した光から誘導される(例えば、モード整合循環波)。モード整合循環波は、共振器コイル内を進行し、共振器入口から外に返された光を含む(例えば、ファイバカプラまたは鏡を介して)。モード整合循環波の振幅は、典型的には、コイル内を循環する光波の振幅の数分の1である。この分数は、カプラまたは鏡の透過係数により決まる。最終的結果として、整合状態にある全光波の電界は、モード整合ゼロパス波とモード整合循環波の重ね合わせとなる。全モード整合反射波の強度は、検出の対象であるモード整合ゼロパス波とモード整合循環波との間の干渉により決めることができる。
【0008】
入射波の周波数が共振周波数から実質的にずれた場合、モード整合循環波が誘導される波の振幅は実質的にゼロであるため、モード整合循環波の振幅は実質的にゼロである。そのため、共振器から反射された光は、モード整合ゼロパス波のみからなり、したがって、全モード整合循環波は、最大強度を有する。これは、モード整合循環波がモード整合ゼロパス波に破壊的に干渉しないので正しい。共振の近くでは、共振器内を循環する光は、著しく増大し、したがって、モード整合循環波の光も、同様に、著しく増大し、その後、モード整合ゼロパス波に破壊的に干渉し、全モード整合反射波内に観測されるディップを生じる。さらに、共振中心では、共振器内を循環する光は、最大値に達し、したがって、モード整合循環波の光は、最大となり、この最大値で、モード整合ゼロパス波との最大の破壊的干渉を発生し、全モード整合反射波内に観測されたディップの底を生じる。この理想的なケースでは、モード整合状態の光の共振ディップだけが対称的である。つまり、入射周波数をディップのいずれかの側に少しずらすと、全モード整合反射波強度が比例して増大する。実際、共振中心を正確に測定するために対称的な直線形が一般的に必要である。
【0009】
もっぱら整合状態にある、またはもっぱら望ましい入射光成分に含まれる、光エネルギーは、回転感知に理想的な対称的共振ディップを生じる。しかし、実用上の問題のせいで、共振器への入射で光エネルギーが制約され、実質的にモード整合状態にならないことがある。例えば、入射波中のある種の非共振の望ましくない迷光(例えば、共振器の偏光モードまたは空間モードにおいて適切に整合していない光)が、存在することがあり、これは、共振器から反射され、上述の全モード整合反射状態における光に干渉しうる。光の付加的成分は、望ましい光と干渉することにより、非対称的共振ディップを生じ、このため、共振中心の検出で誤差を生じることがある。そのため、共振ディップの対称性は、必ずしも限定はしないが、1)望ましくない偏光状態または2)共振器内の光の高次空間モードと重なる空間分布を持つ入射光線から共振器への光のいずれかを有する共振器への入射光線中の残留発射光成分を含む、複数の要因の影響を受けることがある。これらは両方とも、典型的には、共振器の入射のところで入射光状態または励振状態が不完全であるため生じる。残留発射光成分は、所望の光成分が共振に近い場合には共振器内で共振しえないが、この残留光は、所望の光成分から生じる共振ディップの観測される形状に悪影響を及ぼすことがある。
【0010】
共振器のモードは、特定の電界の横方向電界分布および共振したときに共振器を通して毎回往復の後に共振器内のそれぞれの縦方向位置(例えば、伝搬軸にそって)のところに再現する偏光状態を指す。共振器は、通常、光空間通信システムと光ファイバ導波路の両方を備えているため、共振器のモードは、両方の媒体の光伝搬特性に基づくが、ファイバ内のいくつかの地点での共振器モードの空間分布は、典型的には、ファイバの空間モード、または一般的に、ファイバの複数のモードの重ね合わせである。好ましいケースでは、ファイバの軸にそって置かれたいくつかの点における最低の損失および最高の性能に関して、共振器モードの空間分布は、実質的にファイバの最低次の空間モードの空間分布である(例えば、ファイバの長さにそって伝搬しながらそれ自体保存する分布)。
【0011】
励振状態における非共振残留光成分からの干渉に加えて、共振器内の光の高次の空間モードは、共振するか、または共振状態に近く、回転感知に使用されるモードに対する共振ディップの見かけの形状を変化させうる。例えば、光の高次の空間モードが共振すると、回転感知に使用される望ましいモードの共振直線形に近いディップがさらに発生しうる。さらに、第2の偏光状態も共振するか、または共振状態に近く、回転感知に使用される他の偏光モードに対する共振ディップの形状を変化させうる。これらの付加的なディップが共振周波数に関連する共振ディップの近くに位置するか、または共振周波数に関連する共振ディップ上に重ね合わされる場合に、共振周波数に関連する共振ディップの観測された形状は、変更されうる。すでに述べているように、共振を励起することなく、共振器の偏光モードまたは空間モードにおいて適切に整合されていない入射光は、回転感知に使用されるモードの共振ディップの形状を歪ませうる。
【0012】
望ましくない偏光状態または共振器の高次の空間モード成分のいずれかを有する励振状態にある非モード整合残留光からの干渉は、共振中心の同定を複雑なものとし、共振周波数および回転速度の決定を不正確にする可能性がある。CWおよびCCWビームの共振周波数のそれぞれに対する共振中心の決定は、回転速度測定に直接的な影響を及ぼし、RFOGの精度を大幅に制限する。
【0013】
複数のメカニズムにより、入射光偏光状態に欠陥が生じ、このため、共振器入口のところでモード整合していない迷光の成分が発生しうる。これは、光源偏光状態のふらつきから生じるか、または共振器入口に光を当てるために使用される光学素子内の複屈折に起因する光の交差結合により生じうる。共振器内の光は、好ましい状態が意図した状態からわずかにずれるように他の偏光状態に結合できるため、共振器内の好ましい状態は正確に知りえない。ときどき、入射状態を正確に制御しても、非モード整合状態である程度の光を発生しうるが、それは、この光が、共振器モードの光と正確に整合しないことがあるからである。複数のメカニズムにより光ファイバ共振器内で光が望ましくない偏光状態に結合され、意図された状態でずれを生じうる。光は、ファイバカプラなどの再循環装置内で、またはコイル自体において交差結合されうる。光は、さらに、望ましくないことに光の成分が望ましくない偏光状態にある場合に光ファイバ内に送り込まれたときに、共振器の第2の偏光状態を励起するか、または共振器の第2の偏光状態に結合しうる。これは、温度または応力の変動に起因する、共振器内のファイバの偏光状態に生じうるバラツキにより悪化し、そのため、共振器の偏光状態への繰り返し光発射がより困難になる可能性がある。光線が元々第1の偏光モードでRFOGのコイル内に引き入れられる場合であっても、光ファイバには、光を第2の偏光モードに結合する1つまたは複数の欠陥がありうる。
【0014】
精度に影響を及ぼすおそれのある誤差発生メカニズムが発生することに加えて、従来のRFOGは、特に小規模なRFOGについては、大量生産に見合わない法外なコストがかかりうる。従来のRFOGは、複数のディスクリートコンポーネント(例えば、光源、ビーム発生器、コイルなど)のアセンブリであり、それぞれのコンポーネント、およびそのようなコンポーネントを組み立てるための関連するコストを伴う。小規模な用途では、RFOGを組み立てることに関連するコストは、一般に、それぞれのディスクリートコンポーネントを小型化し、小型化されたディスクリート光学コンポーネントを整列するためのコストが増大するとともに増える。
【0015】
したがって、共振非対称誤差を低減する小規模なナビゲーショングレードの用途用に共振器ジャイロスコープを備えることが望ましい。それに加えて、非線形カー効果、誘導ブリリュアン散乱、偏光誤差、および従来の光ファイバに基づくファイバ共振器ジャイロスコープに関連する曲げ損失に起因する不正確さを最低限に抑えつつ、共振器ジャイロスコープ内の共振器非対称誤差を低減するため方法を提示することが望ましい。さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性は、付属の図面およびこの背景技術と併せて、本発明の以下の詳細な説明および付属の請求項を読むことで明らかになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
共振非対称誤差を低減しながら、光学式ジャイロスコープの回転速度を決定するための装置および方法が提示される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
例示的な一実施形態では、中空コアと第1および第2の端部とを有する光ファイバコイル、第1の光学素子、第2の光学素子、および第1の光学素子と第2の光学素子との間に結合されたフィルタを備えるリング共振器を具備する光学式ジャイロスコープが提示される。リング共振器は、所定の光学モードを有する。第1の光学素子は、入射光線を受け取り、リング共振器の対向伝搬方向に入射光線の一部を伝送するように構成されている。入射光線の一部は、光ファイバコイルの第1の端部と第2の端部のうちの一方に入る。第2の光学素子は、第1の光学素子と併せて、リング共振器の対向伝搬方向に循環光線の大半を送り、光ファイバコイルの第1の端部および第2の端部の一方で循環光線の伝送成分を導き出すように構成される。循環光線は、入射光線の一部に基づく。この伝送成分は、リング共振器の対向伝搬方向の共振ピークを示す。リング共振器は、フィルタを介して所定の光学モードを有する入射光線の部分を受光するように構成される。
【0018】
例示的な他の実施形態では、中空コアと第1および第2の端部とを有する光ファイバコイル、第1、第2、および第3の光学素子を備えるリング共振器を具備する光学式ジャイロスコープが提示される。リング共振器は、所定のモードを有する。第1の光学素子は、第1の入射光線の一部を光ファイバコイルの第1の端部のところの中空コア内に送り込むように構成され、さらに、第1の循環光線の第1の伝送成分を導き出すように構成されている。第2の光学素子は、第2の入射光線の一部を光ファイバコイルの第2の端部のところの中空コア内に送り込むように構成され、さらに、第2の循環光線の第2の伝送成分を導き出すように構成されている。第2の循環光線は、所定のモードを有する第1の入射光線の一部から導き出される。第1の循環光線は、所定のモードを有する第2の入射光線の一部から導き出される。第3の光学素子は、第1および第2の入射光線を受け取り、第1の入射光線の一部を第1の光学素子に伝送し、第2の入射光線の一部を第2の光学素子に伝送し、第1および第2の光学素子と併せて、第1の循環光線の大半をリング共振器の第1の対向伝搬方向に送り、第1および第2の光学素子と併せて、第2の循環光線の大半をリング共振器の第2の対向伝搬方向に送るように構成される。
【0019】
例示的な他の実施形態では、中空コア光ファイバコイルおよびモードを有するリング共振器の回転速度を検出するための方法が提示される。この方法は、第1および第2の入射光線を第1の光学素子に当てるステップと、第1および第2の入射光線のそれぞれから非モード整合光を除去するステップと、そのモードと整合する第1の入射光線の一部をリング共振器の第1の対向伝搬方向で中空コア光ファイバコイル内に送り込むステップと、そのモードと整合する第2の入射光線の一部をリング共振器の第2の対向伝搬方向で中空コア光ファイバコイル内に送り込むステップと、第1および第2の循環光線から透過成分を検出するステップと、透過成分から回転速度を表す周波数偏移を決定するステップとを含む。第1の循環光線は、第1の入射光線から導き出され、第2の循環光線は、第2の入射光線から導き出される。
【0020】
本発明は、以下では、図面とともに説明され、類似の番号は類似の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の以下の詳細な説明は、本質的に例にすぎず、発明または発明の応用および使用を限定することを意図していない。さらに、本発明の背景技術、または本発明の以下の詳細な説明で提示されている理論により束縛されることも意図していない。
【0022】
本発明は、共振非対称誤差を低減する共振器ジャイロスコープ、および共振器ジャイロスコープの動作時に発生しうる共振非対称誤差を低減しながら共振器ジャイロスコープを動作させる方法である。例示的な一実施形態では、共振器ジャイロスコープは、必ずしも限定はしないが、リング共振器、1つまたは複数の反射鏡、および1つまたは複数の光検出器を備える。共振器ジャイロスコープのコンポーネントは、光が光検出器に到達する前に両方向(例えば、時計回り(CW)および反時計回り(CCW))でリング共振器内の迷光(例えば、非モード整合光)をフィルタにより除去する(例えば、空間フィルタ、偏光などにより除去する)ように対称型アーキテクチャとして構成される。迷光が(複数の)光検出器に当たるのを減らすか、またはまったく当たらないようにすることにより、低減された共振非対称と偏り誤差で伝送モードの共振直線形を検出し、共振器ジャイロスコープの回転速度をより正確に示すようにすることができる。
【0023】
次に図面を参照すると、図1は、本発明の他の例示的な実施形態による図1に示されている共振器ジャイロスコープ10のブロック図である。共振器ジャイロスコープ10は、光線(例えば、それぞれCW入射光線およびCCW入射光線)を合成する波長可変光源12、14(例えば、波長可変レーザー)、端部41、43を備える中空コア光ファイバコイル24を有するリング共振器25、光ファイバ24の端部43、41を介して光源12、14からCWおよびCCW光線の一部を光ファイバ24の中空コア内に導き入れる反射鏡36、38、反射鏡36、38の間に配置されたフィルタ20、および共振器25からリターンビームを受け取る光検出器16、18を備える。この例示的な実施形態では、フィルタ20および反射鏡36は連動し、共振器25内の循環光線からの非モード整合光を最小にするか、または完全になくす。さらに、光検出器16、18は、伝送モードで動作し、迷光(例えば、共振器25の好ましいまたは所定のモードとモード整合していない光)が光検出器16、18に当たるのが妨げられるようにフィルタ20と並べて配置される。共振器ジャイロスコープ10は、追加の鏡およびビームスプリッタ(図に示されていない)を備え、これにより、光源12、14からの光線の伝搬先を共振器25にし、共振器25からの光を光検出器16、18に向けることができる。さらに、共振器ジャイロスコープ10は、光検出器16、18によりサンプリングされた共振直線形のフィルタ処理、増幅、分析などを行うための信号処理電子回路(例えば、CMOS電子回路、図には示されていない)を備えることができる。
【0024】
光ファイバコイル24は、複数の巻きであり、これにより領域を取り囲む。反射鏡36、38は合わさって、共振器25内に再循環器40を形成し、光ファイバコイル24の一端から発した光をファイバコイル24の他端に再導入して、光が光ファイバコイル24中を何回も伝搬するようにする(例えば、CWおよびCCW循環光線)。フィルタ20および中空コア光ファイバコイル24の端部43、41は、所定のモード(例えば、空間モード、偏光モードなど)の光を受光するが、非モード整合光を実質的に除去し、これにより、反射鏡38に当たり、光検出器18、16により検出される共振直線形に望ましくない影響を及ぼす可能性のある迷光(例えば、非モード整合光)の量を著しく低減する。
【0025】
サニャク効果を適用することにより、共振器ジャイロスコープ10は、共振器ジャイロスコープ10の軸Aの周りの回転速度を感知する。光検出器18、16、およびその後の信号処理電子回路は、それぞれCWおよびCCW循環光線に対する共振直線形の共振中心を検出し、検出された共振中心の間の周波数偏移に基づいて共振器25の対向伝搬方向のそれぞれに関連する共振周波数を決定する。周波数偏移は、光学式ジャイロスコープ10の回転速度を決定するために使用される。例えば、第1の光線(例えば、CWビーム)は、周波数fを有し、共振器25内に導き入れられる。回転感知のため、CWビームの周波数fは、CW方向の共振器25の共振周波数に同調される(例えば、光源12の周波数を同調することにより)。CCWビームの周波数をCCW方向の共振器25の共振中心周波数と揃えるために、光源14の周波数f+Δfを介して第2の光線(例えば、CCWビーム)の周波数が同調される。
【0026】
例示的な一実施形態では、光源12、14のそれぞれは、レーザーダイオード32(例えば、Fabry−Perotレーザーダイオード)、1つまたは複数の外部反射体、およびレーザーダイオード32により発生する光線の周波数を変調し、同調し、さらにその強度を制御するための電子駆動装置30を有する外部空洞半導体レーザーである。光源12、14は、さらに、周波数選択素子および集束レンズまたは素子を備え、空間に関して望ましい出力において単一の所定の周波数を有する狭線幅光線を発生することができる。第1の波長可変レーザー12により発生する光線は、周波数fに同調され、第2の波長可変レーザー14により発生する光線は、周波数f+Δfに同調される。2つのレーザー周波数の間の相対的周波数ドリフトおよびジッタは、好ましくは、周波数偏移の精度および安定性、したがって回転速度、測定結果への影響を最低限に抑えるか、または影響を及ぼさないレベルまで実質的に最小にされる。これは、電子式サーボを使用してビート周波数を回転速度に比例する波長可変の安定したオフセットにロックするレーザー周波数安定化技術により実現できる。波長可変光源12、14のそれぞれが、対応する発生した光線を正弦波周波数変調することができる。
【0027】
他の実施形態では、共振器25は、さらに、共振器25の共振周波数を変調するため圧電変換器(PZT)ハブ23を備えることができる。一実施形態では、光ファイバコイル24は、PZTハブ23、そのためPZTハブ23の直径を取り囲み、PZTハブ23は、所定の変調周波数で光ファイバコイル24を正弦波的に伸長する。再循環器40は、光線(例えば、CWおよびCCW入射光線)を中空コアに導き入れ、光線の一部を光ファイバコイル24に通して循環させる。再循環器40は、光ファイバコイル24の一端から発した光をファイバコイル24の他端に再導入して、光が光ファイバコイル24中を何回も伝搬するようにする。他の実施形態では、PZTハブ23は、共振器25から省かれており、再循環器40は、変調された入射光線(例えば、波長可変レーザー12、14により変調された光線)を光ファイバコイル24の中空コア内に導き入れ、変調された光線の一部を光ファイバコイル24に通して循環させる。
【0028】
リング共振器25は、入力(例えば、反射鏡36)のところでCWおよびCCW入射光線を受け取り、これらの入射光線の一部を循環させ、リング共振器25の入力のところで入射光線および循環光線から得られる成分の組み合わせから導き出される反射光成分を出力する。説明の便宜上、入射光線という用語は、リング共振器25に送られる光を意味し、循環光線という用語は、光ファイバコイル24を少なくとも1回通過したリング共振器25の光ファイバコイル24内を進行する光を意味する。
【0029】
第1の反射鏡36は、光源12、14から変調された光線(例えば、CWおよびCCW入射光線)を受け取り、CCW入射光線の一部を光ファイバコイル24の第1の端部41内に部分的に伝送し、CW入射光線の一部をフィルタ20に部分的に伝送する。第2の反射鏡38は、フィルタ20からのCW入力光線の一部を光ファイバコイル24の第2の端部43に導き入れ、光ファイバコイル24内を進行するCWおよびCCW光線から(損失を低く抑えて)伝送モード成分を導き出す。この例示的な実施形態ではフィルタ20を備える再循環器40は、光ファイバコイル24の一端から発した光をファイバコイル24の他端に再導入して、光が光ファイバコイル24中を何回も伝搬するようにする。
【0030】
フィルタ20は、共振器25のモードを定めるのを助ける所定の空間モードを有し、CW入射光線中の光の他の空間分布の光を除去しつつ、CW入射光線中で所定の空間モードを有する光をもっぱら受光する弁別フィルタを実現する。フィルタ20は、さらに、必ずというわけではないが、共振器モードの偏光と整合していない光を除去することもできる。例示的な一実施形態では、フィルタ20は、光ファイバコイル24と実質的に同じ光学特性を有する中空コア光ファイバの一セグメントである。この実施例では、フィルタ20のモードは、共振器25のモードと実質的に同じであり、フィルタ20の好ましいモードの空間分布は、強く閉じ込められているため、フィルタ20は、共振器25のモードに整合する光を受光する。この受光された光は、フィルタ20のモードとモード整合しており、また共振器25のモードともモード整合しており、このモードで伝搬するが、迷光(例えば、フィルタ20のモードとも共振器25のモードとも整合しない光)は、反射鏡38に当たり、光検出器18に当たり、その後中空コア光ファイバコイル24の第2の端部43に入ることが妨げられる。
【0031】
光源14により発生するCCW入射光線は、反射鏡36により中空コア光ファイバコイル24の第1の端部41に部分的に伝送され、中空コア光ファイバコイル24の第1の端部41は、共振器25の所定の(例えば、望まれている)モードを励起するCCW入射光線の光を受光するが、その一方で、共振器25のこのモードで励起しないCCW入射光線の他の光を除去する。この受光された光は、共振器25のモードにモード整合し、このモードで伝搬するが、迷光は、光ファイバコイル24の第1の端部41に入り、最終的に光検出器16に入ることが妨げられる。
【0032】
そのため、中空コア光ファイバコイル24の端部41、43から出現し、反射鏡38に当たる光は、共振器25のモードにモード整合し、このモードで伝搬するが、迷光(例えば、非モード整合光)は、フィルタ20と中空コア光ファイバコイル24の第1の端部41とにより反射鏡38および検出器18、16に当たることが妨げられる。
【0033】
中空コア光ファイバ24の端部41、43が再循環器40に結合されている状態で、反射鏡36、38は、CWおよびCCW光線の一部を光ファイバコイル24に通して循環させる。例えば、第1の反射鏡36は、光ファイバコイル24の第1の端部41からのCW循環光線をフィルタ20に送り、これはCW循環光線を第2の反射鏡38に送り、第2の反射鏡38は、CW循環光線を光ファイバコイル24の第2の端部43に送る。第2の反射鏡38は、光ファイバコイル24の第2の端部43からのCCW循環光線をフィルタ20に送り、これはCCW循環光線を第1の反射鏡36に送り、第1の反射鏡は、CCW循環光線を光ファイバコイル24の第1の端部41に送る。
【0034】
反射鏡38は、光ファイバコイル24内を進行するCWおよびCCW光線から(損失を低く抑えて)伝送モード成分を導き出す。伝送モード成分は、リング共振器25のCWおよびCCW共振に同調された入射光線のサンプルに基づいており、リング共振器25の出力(例えば、反射鏡38)のところで循環光線をサンプリングすることにより実質的に単独で導き出される。リング共振器25は、リング共振器25内で循環している光からリング共振器25の出力のところで循環光線の成分(つまり、伝送モード成分)を部分的に伝送するように構成される。そのため、伝送される光、つまり伝送モード成分は、本来は、リング共振器25の所定のモード(例えば、中空コア光ファイバコイル24およびフィルタ20のモード)と適切に整合している入射光から導き出される。
【0035】
例示的な一実施形態では、図1に示されているリング共振器構成は、リング共振器25の内部で循環する光のサンプリングを行い、リング共振器25の単一偏光モード(例えば、S偏光およびP偏光から選択される)および/または好ましい空間モード(例えば、通常は最低次のモード)と整合する伝送モード成分(つまり、リング共振器25内で循環する光の)を送ることができる。循環光線の成分は、リング共振器25内にも残り、これらの一部は、リング共振器25の入力における反射ビーム成分に含まれる。反射ビーム成分は、共振器25内の循環光から減少する光の一部と鏡36のところで反射され、ファイバコイル24内で伝搬することを妨げられる、共振器25の入力に適切にモード整合されていない光を含む入射光との重ね合わせである。
【0036】
第2の反射鏡38は、リング共振器25内で循環する光の1つの偏光モード(例えば、S偏光およびP偏光のうちの1つから選択される)に有利な伝送モードを持つように選択することができる。伝送モード成分は、リング共振器25内で循環する光から導き出され、そのため、本質的に、所望の偏光状態および共振器25内で伝搬し、共振するようにされた空間モードからなる。第2の反射鏡38は、これらの伝送モード成分を光検出器16、18に伝送する。
【0037】
光検出器16、18は、CWおよびCCW循環光線の一部をサンプリングし、光検出器16、18はそれぞれ、CWおよびCCW循環光線に関連する共振直線形を分析するための付加回路(例えば、CMOSベースの共振追跡回路)に結合される。光検出器16、18は、リング共振器25内で循環する光の対向伝搬方向(例えば、CWおよびCCW)のそれぞれの伝送モード成分から共振ピークを検出し、共振ピークの中心は、特定の対向伝搬方向の共振周波数に対応する。CW方向の共振周波数とCCW方向の共振周波数との間の周波数偏移は、共振器ジャイロスコープ10の回転速度を示す。例示的な一実施形態では、CMOS電子回路は、光源12、14に結合され、共振器25の共振周波数に対する光の周波数の閉ループ追跡に影響を及ぼす。
【0038】
CW方向またはCCW方向のいずれかの共振中心周波数を測定するために、標準的な同期検出技術が使用される。それぞれの入射光線は、正弦波位相変調され、したがって、それぞれ周波数fおよびfで周波数変調され、光検出器18、16により測定された共振直線形にわたってそれぞれの入射ビーム周波数をディザリングする。例えば、光検出器18、16に結合された付加回路(例えば、CMOS電子回路)は、それぞれ周波数fおよびfで光検出器18、16の出力を復調し、CWおよびCCW循環光線の光出力により示される共振中心を測定することができる。共振直線形の線中心、つまり共振中心において、光検出器18および16は、それぞれ基本周波数fおよびfの最小出力を検出する。入射ビーム周波数(例えば、f+Δfまたはf)が共振状態からずれている場合、周波数fおよびfの誤差信号は、光検出器により感知され、それぞれのビーム周波数を共振器25のそれぞれの共振周波数に同調させるために使用される。CWビームの周波数は、光源12の周波数fを変えることにより同調され、CCWビームの周波数は、光源14の周波数偏移Δfを変化させるフィードバックループを介して、f+Δfが共振器25のCCW共振周波数と整合するように調整される。
【0039】
がCW方向で共振器25の共振周波数からずらされた場合、CW入射光線からのエネルギーは、光ファイバ内に入らず、光エネルギーは、第1の反射鏡36のところで反射される。fがCW方向で共振器25の共振周波数に同調された場合、CWビームのモード整合部分は、共振器25との空間および偏光整合モードを有する光ファイバコイル24に入り、次いで、反射鏡38に当たったCWビームは最大出力、つまり、共振ピークになるので、共振中心が示される。同様に、CCW循環光線についても、CCW入射光線が共振器25との空間および偏光整合モードを有するCCW方向の共振器25の共振周波数に同調されたときにCCW循環光線のモード整合部分のエネルギーが光ファイバコイル24内に入り、次いで反射鏡38に当たるCCWビームは最大出力を発する。
【0040】
回転がない場合、CWおよびCCW方向の共振器25の内部のCWおよびCCWビームの往復光路長は、それぞれ、実質的に等しい。そのため、Δfは、0に調整される。回転が存在する場合、往復光路長は、CW方向とCCW方向とで異なり、2つの方向において回転速度に比例する共振周波数差を生じる。CW共振を追跡するために周波数fを同調させ、CCW共振中心を追跡するために周波数Δfを同調させることにより、回転速度が決定される。
【0041】
共振器ジャイロスコープ10は、第2の光源14を同調させることによりΔfだけ周波数偏移された第2の光波を供給するが、代わりに、単一の光源を使用することができる。例えば、単一光源からの光出力は、2つの入射ビームを形成するように分割できる。この実施例では、この2つの入射ビームのうちの1つは、周波数シフターを使って周波数偏移される。周波数偏移を実行する2つの方法は、第2の光源を使用することなく、音響光学的周波数シフターの使用、およびセロダイン変調波形を用いた位相変調器の使用を含む、後者の方法では、セロダイン波形は、鋸波である。相対的に純粋な周波数偏移を適用するために、鋸波の位相偏移の振幅は2πの整数倍に設定され、鋸波は、その周期と比較したときに、かなり短い帰線時間を有する。例示的な一実施形態では、周波数偏移は、位相ランプを入射光線(例えば、CWまたはCCWビーム)に適用するセロダイン法を使用して実行される。位相変調器(図に示されていない)を連続的線形位相ランプにより駆動することで、位相ランプの勾配に比例する周波数偏移が得られる。位相高さ2π、周波数Δfの鋸波では、連続的ランプと実質的に同等の結果が得られ、鋸波周波数(Δf)は、回転が存在する場合にCCW共振を追跡するように調節される。周波数シフター(図に示されていない)は、鋸波帰線時間が波形周期に比較して実質的に短い場合に比較的純粋な周波数偏移を適用することができる。回転の反対方向では、位相ランプの極性は反転される。
【0042】
CWおよびCCWビームは、極端に低い曲げ損失を有する中空コアバンドギャップ光ファイバを通して伝搬し、コイル24は、本発明の一利点であるコンパクトなジャイロスコープを形成できるように、実質的に小さな領域の周りに巻き数が多いのが好ましい。例えば、コイル24は、直径1センチメートルの円周に光ファイバを約20〜40回巻くとことができる。中空コア光ファイバは、典型的には、ガラスを用いており、プラスチック製の外側ジャケットと中空の内部コアを持つ。中空コア光ファイバでは、再循環器40から注入された光は、大半は、コアにそって自由空間(例えば、空気中または真空中)を横断し、光の光学エネルギーの約数パーセント以下のみが、中空コアを囲むファイバのガラス壁に含まれる。光エネルギーの大半は、光ファイバの中空コアにそって自由空間を横切るため、再循環器40と中空コア光ファイバとの間の変わり目は、完全に近い屈折率整合を有しており、再循環器40に、損失および引力的偏光特性の低い高反射率レーザーミラーが使用可能である。中空コアファイバは、従来のファイバのコア内のガラス媒質の特性に一般的に関連する回転測定誤差を著しく低減、またはまったくなくすのに適している。
【0043】
最も好ましい中空ファイバ特性は、低損失、小さな曲げ半径、高信頼性、最小数の空間モード(例えば、理想的には空間モードは1つ)、および最大の偏光保存度である。空間モードの場合、ファイバ内で光の異なる空間分布を有するモード(例えば、高次のモード)の励起の結果生じる損失および二次の望ましくない共振を最小にすることが好ましい。これらの二次共振の励起は、回転、したがって回転速度誤差を測定するために使用される主要なCWおよびCCW共振の直線形の見かけのひずみをもたらしうる。また、ファイバの中空コアを囲む壁の表面上または壁内に光が分布しうる、表面モードなどのファイバ内の他の種類の空間モード分布を最小にすることも好ましい。この場合、表面モードの励起は、光損失、スプリアス誤差、過剰雑音、またはドリフトを引き起こしうる。
【0044】
再循環器40は、さらに、共振器25内で循環する光の望ましい偏光状態の損失を最小限に抑えながら望ましくない偏光状態を有する光ファイバコイル24から出現する光を低減する少なくとも1つの偏光ユニット(図に示されていない)を備えることができる。偏光ユニットは、望ましい偏光状態(例えば、S偏光)の光を光ファイバコイル24内に反射して実質的に高い度数(例えば、約95%以上)にし、望ましくない偏光状態(例えば、P偏光)の光を共振器25から通過させ(例えば、望ましくない偏光状態の光を共振器25内で再循環している光から除去し)て実質的に高い度数にする。再循環器40は、光ファイバコイル24の端部から出る光を受け取る/反射する単一の偏光ユニットを備えるか、または光ファイバコイル24のそれぞれの端部から出る光を別々に受け取る/反射する2つまたはそれ以上の偏光ユニットのネットワークを備えることができる。
【0045】
例示的な一実施形態では、偏光ユニットは、偏光ユニットの主表面(例えば、光ファイバコイル24から出る光を受け取る表面)に当たる光についてブルースター入射角(例えば、約56°)を有し、そこで、S偏光は、実質的に高い度数で反射され、P偏光は、実質的に高い度数でリング共振器25から取り出される。この例示的な実施形態では、偏光ユニットは、好ましくは、このブルースター入射角で光ファイバコイル24の端部から出る光を受け取る。偏光ユニットの一実施例は、コーティング(例えば、誘電体コーティングの積層)を有するガラス基板を備える薄膜偏光子であるが、偏光感度を有するさまざまな他の反射装置が使用可能である。中空コア光ファイバに関連して、望ましい偏光を有する光ファイバコイル24内で循環する光が、中空コアファイバから自由空間内に伝搬し、次いで偏光ユニットにより反射された場合に、光の損失は著しく低くされうる。さらに、光の偏光状態を実質的に保持する中空コアファイバ、または高複屈折中空コア光ファイバを使用することにより、光ファイバ内の光の偏光状態は、偏光ユニットにより反射された光の偏光状態に関して配向され、保持されうる。そのため、望ましい偏光状態に関連する損失は、最小にされ、望ましくない偏光状態の共振の大きさにより生じる回転速度測定の誤差も最小にされうる。さらに、中空コアファイバを使用すると、望ましい偏光状態と望ましくない残留偏光状態との間の安定した共振周波数分離を可能にする複屈折と温度との依存関係を著しく低減される。その結果、中空コアファイバを使用すると、さまざまな環境条件に関して回転速度の誤差が低減される。導光中空コアファイバは、フォトニック結晶ファイバ構造内の光学バンドギャップ効果を介して実現することができ、これはバンドギャップファイバと呼ばれることが多い。
【0046】
この例示的な実施形態では、共振器ジャイロスコープ10のコンポーネントのいくつか(例えば、光源12、14、反射鏡36、38、光検出器16、18、およびCMOS電子回路)は、シリコンオプティカルベンチ34上に形成または実装される。例えば、反射鏡36、38は、シリコンオプティカルベンチ34上に実装され、光ファイバ24の端部41、43は、シリコンオプティカルベンチ34に結合される(例えば、シリコンオプティカルベンチ34上に形成されたV字型溝を介して)。共振器ジャイロスコープ10は、シリコンオプティカルベンチ34に関して説明されているが、必ずしも限定はしないがシリコン、シリコンオンインシュレータ、InGaAsPなどを含むさまざまな基板が使用可能である。小型オプティカルベンチ技術を使用することで、さまざまな精密光学構造をシリコンオプティカルベンチ34の表面上にエッチングするか、または形成することができ、外部光学コンポーネントをシリコンオプティカルベンチ34の表面上に精密に実装するか、またはシリコンオプティカルベンチ34上に形成することができる。シリコンオプティカルベンチ34の基層の上のほうに追加の材料層が形成されうる。説明を簡単にするために、基板という用語は、基板の基層の上に形成されうる追加の材料層を含む。
【0047】
図2は、本発明の例示的な他の実施形態による共振器ジャイロスコープ50のブロック図である。共振器ジャイロスコープ50は、CWおよびCCW入射光線をそれぞれ合成する波長可変光源12、14、図1に示されている端部41、43を備える中空コア光ファイバコイル24を有するリング共振器58、CWおよびCCW入射光線を受け取るための第1の反射鏡52、光ファイバ24の端部43、41を介して第1の反射鏡52からのCWおよびCCW入射光線の一部を光ファイバ24の中空コア内に導き入れるための第2および第3の反射鏡56、54、およびリング共振器58からの循環ビーム(例えば、CW循環光線(CW)およびCCW循環光線(CCW)の伝送成分)をサンプリングする、図1に示されている、光検出器18、16を備える。この例示的な実施形態では、反射鏡52、54、および56は、光学特性を有するように選択され、リング共振器58内の循環光からの非モード整合光を最小にするか、またはまったくなくし、非モード整合光が光検出器18、16に届くのを最小にするか、またはまったくなくすように配向される。
【0048】
共振器ジャイロスコープ50は、追加の鏡およびビームスプリッタ(図に示されていない)を備え、これにより、波長可変レーザー12、14からの光線の伝搬先をリング共振器58にし、リング共振器58からの光を光検出器16、18に向けることができる。さらに、共振器ジャイロスコープ50は、光検出器16、18によりサンプリングされた共振直線形のフィルタ処理、増幅、分析などを行うための信号処理電子回路(例えば、CMOS電子回路、図には示されていない)を備えることができる。 共振器ジャイロスコープ50のコンポーネントのいくつか(例えば、光源12および14、反射鏡52、54、および56、光検出器16および18)も、シリコンオプティカルベンチ上に形成されうる。
【0049】
リング共振器58は、入力(例えば、反射鏡52)のところでCWおよびCCW入射光線を受け取り、これらの入射光線の一部を循環させ、リング共振器58の入力のところで、入射光線および循環ビームからの成分の組み合わせから導き出される反射光成分(CWおよびCCW)を出力する。伝送モード成分(CWおよびCCW)は、リング共振器58のCWおよびCCW共振に同調された入射光線の一部から導き出された循環光線のサンプルに基づいており、リング共振器58の出力(例えば、反射鏡54、56)のところで循環ビームをサンプリングすることにより実質的に単独で導き出される。リング共振器58は、リング共振器58内で循環している光からリング共振器58の出力のところで循環光線の成分(つまり、伝送モード成分)を部分的に伝送するように構成される。そのため、伝送される光、つまり伝送モード成分は、本来は、リング共振器58の所定のモードと適切に整合している入射光から導き出される。
【0050】
例示的な一実施形態では、リング共振器構成は、リング共振器58の内部で循環する光のサンプリングを行い、リング共振器58の単一偏光モード(例えば、S偏光およびP偏光から選択される)および/またはリンク共振器58の好ましい空間モード(例えば、通常は最低次のモード)と整合するリング共振器58の好ましいモードで循環する光からの伝送モード成分(CWおよびCCW)を送ることができる。循環光線の成分は、リング共振器58内にも残り、これらの一部は、リング共振器58の入力(例えば、鏡52)における反射ビーム成分(CWおよびCCW)に含まれる。反射ビーム成分(CWおよびCCW)は、リング共振器58内の循環光から減少する光の一部と鏡52のところで反射され、ファイバコイル24内で伝搬することを妨げられる、共振器25の入力に適切にモード整合されていない入射光を含む入射光との重ね合わせである。
【0051】
反射鏡52から反射鏡56、54に伝送されるCWおよびCCW入射光線の一部は、わずかな量の迷光(例えば、非モード整合光)を含みうる。この場合、反射鏡54、56は、CWおよびCCW入射光線の一部に含まれうる迷光成分をファイバコイル24へ向けるか、または共振器25から外へ伝送するが、いずれにせよ、光検出器18、16から離れる方向に意図的に送られる。しかし、共振器25と非モード整合である光は、共振器モードとは整合せず、したがって、ファイバコイル24内のいくつかの地点でのファイバコイル24の所定のモードと類似している、共振25の所定のモードに入ることを妨げられる。そのため、入射光線内の著しい量の迷光(例えば、非モード整合光)は、検出器配置と反射鏡配置(例えば、反射鏡52とともに、反射鏡54、56の配向)により除去される(例えば、検出されなくなる)。光検出器16、18に届く迷光の量が減少することで、従来の共振器構成における光検出器により検出することができる共振直線形非対称の望ましくない効果が低減するか、またはなくなる。
【0052】
さらに、反射鏡54、56は、リング共振器58内で循環する光の1つの偏光モード(例えば、S偏光およびP偏光のうちの1つから選択される)に有利な伝送モードを持つように選択することができる。伝送モード成分は、リング共振器58内で循環する光から導き出され、そのため、本質的に、所望の偏光状態および共振器58内で伝搬し、共振するようにされた空間モードからなる。反射鏡54は、CW循環光線の伝送モード成分(CW)を光検出器18に伝送し、反射鏡56は、CCW循環光線の伝送モード成分(CCW)を光検出器16に伝送する。反射鏡52が最初に入射光線中の非モード整合光の大半を反射し、反射鏡54および56がともに、その後、残りの迷光が光検出器18および16から離れる方向に向かうように構成されている場合、光検出器18、16に届く循環光線の伝送モード成分内に存在しうる共振直線形非対称は、著しく低減される。
【0053】
図3は、本発明の例示的な一実施形態による共振器ジャイロスコープの回転速度を検出する方法100の流れ図である。共振器ジャイロスコープは、リング共振器、中空コアファイバコイル、およびリング共振器に基づく所定のモード(例えば、偏光モード、空間モード、1つまたは複数のモードの組み合わせなど)を有する。第1および第2の入射光線(例えば、CCWおよびCW入射光線)は、ステップ105で示されているように、第1の光学素子(例えば、反射鏡36、および反射鏡52)などの、リング共振器の入力に送られる。非モード整合光は、ステップ110で示されているように、第1および第2の入射光線のそれぞれから除去される。リング共振器のモード(例えば、空間モードおよび/または偏光モード)を有する第1および第2の入射光線中の光は、リング共振器内に受光される。
【0054】
例示的な一実施形態では、反射鏡36は、CCW入射光線の一部を中空コア光ファイバコイル24の一端41に部分的に伝送し、CW入射光線の一部をフィルタ20に部分的に伝送する。フィルタ20は、所定の空間モードを有し、所定の空間モードを有するCW入射光線の光を受光するが、その一方で反射鏡36からのCW入射光線の光の他の空間分布内の光を除去する。フィルタ20は、光ファイバコイル24と実質的に同じ光学特性を有する中空コア光ファイバの一セグメントであってよい。フィルタ20のモードは、強く閉じ込められ、またフィルタ20のモードは、共振器25内のいくつかの地点における共振器25のモードと実質的に同じであるため、フィルタ20は、共振器25のモードに整合する光を受光するが、迷光が反射鏡38に当たるのを妨げる。反射鏡38は、次いで、フィルタ20からこの受光された光をファイバコイル24の端部43に導き入れる。
【0055】
他の例示的な実施形態では、反射鏡52は、リング共振器58の入力に適切にモード整合されていないCWおよびCCW入射光線の光を反射し、この光がファイバコイル24内部で伝搬するのを妨げる。反射鏡54、56にそれぞれ伝送されるCCWおよびCW入射光線の一部は、わずかな量の迷光(例えば、非モード整合光)を含みうる。反射鏡54および56は、CCWおよびCW入射光線の一部に含まれうる迷光成分を光検出器18、16から離れる方向に、またファイバコイル24の端部41、43から離れる方向に送る。
【0056】
第1の入射光線の一部(つまり、モード整合部分)は、ステップ115で示されているように、リング共振器の第1の対向伝搬方向で中空コア光ファイバコイル内に受光される。例えば、CW入射光線のモード整合部分は、反射鏡38により光ファイバコイル24の中空コアの端部43内に送られる。他の実施例では、CW入射光線のモード整合部分は、反射鏡56により光ファイバコイル24の中空コアの端部43内に送られる。第1の入射光線のこの部分は、共振器のモードと整合している。第2の入射光線のモード整合部分は、ステップ120で示されているように、リング共振器の第2の対向伝搬方向で中空コア光ファイバコイル内に受光される。例えば、リング共振器25の所定のモードを励起する反射鏡36から伝送されるCCW入射光線の光は、中空コア光ファイバコイル24の端部41により受光されるが、この所定のモードで励起しないCCW入射光線の光は、ファイバコイル24の端部41のところで除去される。他の実施例では、リング共振器58の所定のモードを励起する中空コア光ファイバコイル24の端部43内に反射鏡54により送られるCCW入射光線の光は、ファイバコイル24の端部43により受光される。
【0057】
伝送モード成分は、ステップ125で示されているように、第1および第2の循環光線から検出される。第1の循環光線(例えば、CW循環光線)は、リング共振器のモードとモード整合している第1の入射光線(例えば、CW入射光線)の光から導き出され、第2の循環光線(例えば、CCW循環光線)は、リング共振器のモードとモード整合している第2の入射光線(例えば、CCW入射光線)の光から導き出される。例えば、CW入射光線のモード整合部分は、CW方向に中空コア光ファイバ24内を循環し、CW循環光線を出力し、CCW入射光線のモード整合部分は、CCW方向に中空コア光ファイバ24内を循環し、CCW循環光線を出力する。
【0058】
周波数偏移は、第1および第2の循環光線の伝送モード成分から、ステップ130で示されているように検出される。周波数偏移は、回転速度に直接比例する。
共振器ジャイロスコープ10および50の潜在的な利点は、限定はしないが、安価で小型のパッケージに収めた高精度回転センサを実現できること、共振器がきつく数回巻いた長さ数メートル未満のファイバを有し、低損失であること、リング共振器内で光を循環させるために光ファイバカプラではなく高反射率鏡を使用すること、重要コンポーネントがシリコンオプティカルベンチ上に実装されているレーザーがコンパクトで、安定していること、ジャイロスコープ誤差を助長しうるシリカファイバ中の非線形効果が最小限に抑えられること、光ファイバコイル24への変わり目で生じる光の損失を実質的に低減すること、光の透過性をほとんど、またはまったく変えずに、非常にきつく(例えば、鉛筆の径程度に)巻いて輪にした光ファイバコイルを形成することができることを含む。
【0059】
例示的な一実施形態では、共振器ジャイロスコープ10および50は、電子回路と光学系を一体化したシリコンベースのマイクロオプティカルベンチ上に構成され、これらの電子回路と光学系の間の効率的で使いやすく機械的に安定しているインターフェイスを備える。形状が10ミクロンと小さい小型光学コンポーネントをシリコン表面上に実装することで、光波が自由空間内を進行している可能性があるとしても、大きなバルク光学系をなくすことができる。レーザーダイオードおよびその周波数を安定化するための外部素子も、シリコンオプティカルベンチの上面に実装されうる。この例示的な実施形態では、レーザーダイオードおよび関係する周波数同調コンポーネントは、オプティカルベンチ上に実装されうる。外部空洞レーザーのいくつかの特徴は、シリコンチップ上に配置されるか、または直接形成されうる。共振器ジャイロスコープ10および50は、徐々にスペクトル幅が狭くなるレーザーを使用して、信号対雑音比精度を改善する。そのため、従来のいくつかのレーザーダイオードでは過剰に広い線幅を採用し、したがって外部空洞内にそのようなレーザーを入れることによりこの線幅を狭める必要性が生じる。これは、高反射率鏡を基板上に形成するか、または配置し、レーザーダイオードをこのような鏡の間に挿入することにより、シリコン基板上にコンパクトに実装することができる。こうして、コンパクトな外部空洞を有する線幅の狭いレーザーダイオードが生産できる。
【0060】
さらに、レーザーダイオードは、好ましくは単一周波数の光を放射する。周波数選択素子を外部空洞内に挿入して、望ましくない放射周波数の損失を増やし、レーザーが単一中心波長のみで線幅の狭い光を放射するようにすることができる。使用できる周波数選択素子は数多くある。例えば、周波数選択素子は、基板上に形成もしくは配置された小型グレーティング、またはグレーティング上に形成または配置されたエタロンとすることができる。共振器ジャイロスコープの他の特徴は、シリコン基板上に実現することができる。例えば、鏡再循環器は、表面上に配置、形成、もしくはエッチングすることができ、正確に形成され、位置決めされたV字型溝内にファイバを置くことによりファイバに揃えることができる。さらに、平面リソグラフィプロセスを使用して表面上に検出器を置くための実装特徴を配置することで、共振器出力ビームに合わせて検出器の位置決めを正確に行うことができる。それとは別に、検出器は、波長約1.3μmもしくは約1.5μmで検出器が動作するゲルマニウムなどのドーパントでシリコンをドープすることにより表面上に形成されうる。レーザーダイオードは、ハイブリッド技術を使用してドープInGaAsP層をシリコン上に成長させる方法などにより、シリコンプラットフォーム上に集積化することができる(例えば、二次基板を使用することで、シリコン表面上にドープInGaAsP層を形成しやすくなる)。これらの技術を使用することにより、シリコンプラットフォーム内に光学系を加工し、それにより、電子回路と一体化することができる。
【0061】
共振器ジャイロスコープ10および50は、例えば、ただし限定はしないが、航空機、陸上車、潜水艦、衛星、水上艦のナビゲーションなどの慣性誘導を必要とする用途を含む、さまざまな用途に適している。それに加えて、共振器ジャイロスコープ10および50向けに想定された比較的小さな形状であれば、例えば、限定はしないが、小型ロボット、兵士用の靴、および小規模な衛星を含む、非常に小さなプラットフォーム上で実用的に使用することが可能である。
【0062】
本発明の前記詳細な説明では、少なくとも1つの実施例が提示されたが、膨大な数の変更形態が存在することは理解されるであろう。また、1つまたは複数の実施例は、例にすぎず、本発明の範囲、適用性、または構成をいかなる形でも限定することは意図されていないことも理解されるであろう。むしろ、前記の詳細な説明は、当業者にとって、本発明の例示的な実施形態を実装するための重宝な指針となるであろう。付属の請求項において述べられているように、本発明の範囲から逸脱することなく例示的な実施形態において説明されている要素の機能および配置にさまざまな変更が加えられることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の例示的な一実施形態による共振器ジャイロスコープのブロック図である。
【図2】本発明の例示的な他の実施形態による共振器ジャイロスコープのブロック図である。
【図3】本発明の例示的な一実施形態による共振器ジャイロスコープの回転速度を検出する方法の流れ図である。
【符号の説明】
【0064】
10 共振器ジャイロスコープ
12、14 波長可変光源
16、18 光検出器
20 フィルタ
23 PZTハブ
24 中空コア光ファイバコイル
25 リング共振器
34 シリコンオプティカルベンチ
36、38 反射鏡
40 再循環器
41、43 端部
50 共振器ジャイロスコープ
52 第1の反射鏡
54 第3の反射鏡
56 第2の反射鏡
58 リング共振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式ジャイロスコープであって、
対向伝搬方向で光線を循環させるように構成された所定の光学モードを有し、中空コアおよび第1の端部と第2の端部を有する光ファイバコイルを備えるリング共振器と、
第1の光学素子であって、
入射光線を受け取り、
前記入射光線の一部を前記リング共振器の対向伝搬方向に伝送し、前記入射光線の前記一部は、前記光ファイバコイルの前記第1の端部および第2の端部のうちの1つに入るように構成された第1の光学素子と、
第2の光学素子であって、
前記第1の光学素子とともに、前記リング共振器の前記対向伝搬方向に、前記入射光線の前記一部に基づく循環光線の大半を送り、
前記光ファイバコイルの前記第1の端部および第2の端部のうちの一方において前記循環光線の伝送成分を導き出し、前記伝送成分は前記リング共振器の前記対向伝搬方向の共振ピークを示すように構成された第2の光学素子と、
前記第1の光学素子と前記第2の光学素子との間に結合されたフィルタとを備え、前記リング共振器は前記フィルタを介して前記所定の光学モードを有する前記入射光線の前記一部を受光するように構成されている光学式ジャイロスコープ。
【請求項2】
光学式ジャイロスコープであって、
所定のモードを有し、中空コア、第1の端部、および第2の端部を有する光ファイバコイルを備えるリング共振器と、
第1の入射光線の一部を、前記光ファイバコイルの前記第1の端部において前記中空コア内に送るように構成され、さらに第1の循環光線の第1の伝送成分を導き出すように構成されている第1の光学素子と、
第2の入射光線の一部を前記光ファイバコイルの前記第2の端部で前記中空コア内に送り込むように構成され、さらに、第2の循環光線の第2の伝送成分を導き出すように構成された第2の光学素子であって、前記第2の循環光線は前記所定のモードを有する前記第1の入射光線の前記一部から導き出され、前記第1の循環光線は前記所定のモードを有する前記第2の入射光線の前記一部から導き出されるように構成された第2の光学素子と、
第3の光学素子であって、
前記第1および第2の入射光線を受け取り、
前記第1の入射光線の前記一部を前記第1の光学素子に伝送し、
前記第2の入射光線の前記一部を前記第2の光学素子に伝送し、
前記第1および第2の光学素子とともに、前記リング共振器の第1の対向伝搬方向に前記第1の循環光線の大半を送り、
前記第1および第2の光学素子とともに、前記リング共振器の第2の対向伝搬方向に前記第2の循環光線の大半を送るように構成された第3の光学素子とを備える光学式ジャイロスコープ。
【請求項3】
所定のモードおよび対向伝搬方向を有するリング共振器の回転速度を検出する方法であって、
第1および第2の入射光線を第1の光学素子に送るステップと、
前記第1および第2の入射光線のそれぞれから非モード整合光部分を除去するステップと、
前記リング共振器の前記所定のモードと整合する前記第1の入射光線の一部を、前記リング共振器の第1の対向伝搬方向に送るステップと、
前記リング共振器の前記所定のモードと整合する前記第2の入射光線の一部を、前記リング共振器の第2の対向伝搬方向で前記中空コア光ファイバコイル内に送り込むステップと、
前記第1の入射光線から導き出される第1の循環光線、および前記第2の入射光線から導き出される第2の循環光線から透過成分を検出するステップと、
前記第1および第2の循環光線の前記透過成分から、前記回転速度を表す周波数偏移を決定するステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−89594(P2008−89594A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−255796(P2007−255796)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】