説明

光学式欠陥検査装置

【課題】レーザ光を光源として用いた場合、照射密度が高い細いビームが第一平面鏡及び第二平面鏡の同じ個所に長時間照射されると平面鏡の表面が劣化、反射率が低下し十分な光量が確保出来ない為、光軸自体を変えないで、平面鏡の長寿命化を行う点である。
【解決手段】レーザ光源3から発振するレーザ光L1は、第一,第二平面鏡4a,4bによって軌道を偏向され、ビームエキスパンダ5に入光する。この第一,第二平面鏡4a,4bは、レーザ光L1を照射されていると表面が劣化し、反射率が低下する。この低下によりビームエキスパンダ5に入光される光量が基準値以下にならないようにレーザ光L1の照射が一定時間を越えたところで光軸自体が変わらない様、レーザ光源3が照射する第一平面鏡4a上及び第二平面鏡4b上の位置を、各々平面鏡4a,4bを含むその面上にて鏡面を回転させられる構造、または鏡面を回転ではなく平行移動させられる構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の検査装置及び検査方法に関する。例えば、半導体デバイスやフラットパネルディスプレイ、及び磁気ディスクやマスクの製造工程における被検査物の異物や欠陥等を検査する欠陥検査装置及び欠陥検査方法に適している。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスやフラットパネルディスプレイパネルなどの被検査物に光を照射し、反射または散乱された光を検出して、それら被検査物上の欠陥を検出する光学式欠陥検査装置では、より微細な欠陥を検出するためには、より輝度の高い光源を用いる必要がある。そのため、レーザ光を光源として用いることが主流となっている。
【0003】
レーザ光を光源にした場合、光量を調整するNDフィルタまでは、NDフィルタ機構が大きくなることを避けるため、細く照射密度が高いビームを使用せざるを得ない。また、装置レイアウトの自由度を確保するため、通常は照射密度が高い細いビームを、反射鏡(例えば、平面鏡)を用いて装置筺体内で複数回反射させる構成をとっている。この場合、レーザ光が長時間、反射鏡の同じ位置に照射されると、照射部位の鏡表面が劣化し、反射率が落ち必要な照明強度が保てなくなるという課題が発生する。
【0004】
反射率が落ちてしまった場合は、反射鏡の交換が必要となる。交換後には、若干の光軸のずれの発生は避けられない。この光軸のずれを補正するため、特許文献1には平面鏡(反射鏡)の角度を変える機構を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−45111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の装置では、煩雑な光軸調整を避けるため反射鏡上の同一点にレーザ光が照射されるように構成されていた。しかし、反射率が低下する毎に反射鏡を交換するのはコスト的に問題がある。交換をさけるため、反射鏡上のレーザ照射点を変えることは従来の装置では容易ではなかった。
【0007】
本発明はレーザ光を光源として用いた場合、照射密度が高い細いビームが第一反射鏡及び第二反射鏡の同じ個所に長時間照射されると反射鏡の表面が劣化、反射率が低下し十分な光量が確保出来ないことに鑑み、光軸自体を変えないで、反射鏡の長寿命化を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決する為に、ビームを折り返す第一反射鏡及び第二反射鏡上のビーム照射位置を、光軸自体が変わらない様、反射鏡を含むその面上にて、反射鏡を回転,平行移動、あるいはその両方を行い反射鏡上の反射位置を変更して反射率が低下していない箇所を使用する機構を設置したものである。また、それら機構は反射鏡の前後にて計測された照射強度を元に、手動、自動、あるいは予めプログラミングされた手順にて行う事ができる。
本発明の一つの特徴は、レーザ源と、該レーザ源から出射したビームを予め定められた角度で折り返す第一の反射鏡と、該第一の反射鏡で折り返されたビームを再度折り返して前記レーザ源から出射されたビームに対し予め定められた方向に進行するビームを生じさせる第二の反射鏡上と、からなるビーム偏向機構を備えた表面検査装置であって、前記第一の反射鏡上、前記第二の反射鏡上の少なくとも1つを、そのレーザ光の入射角及び反射角を維持したまま、移動させる反射鏡移動機構と、前記第一の反射鏡と前記第二の反射鏡の劣化診断の採否および劣化判断の基準を設定する診断条件設定手段とを備えたことである。
本発明の他の特徴は、前記第一の反射鏡の予め定められたレーザ光の折り返し角度、または前記第二の反射鏡の予め定められたレーザ光の折り返し角度の少なくとも一方は、略90度であり、前記反射鏡移動機構は、移動させる反射鏡を反射面にほぼ平行に移動させる機構を備えたことである。
本発明のさらに他の特徴は、前記該第一の反射鏡の予め定められたレーザ光の折り返し角度、または前記第二の反射鏡の予め定められたレーザ光の折り返し角度の少なくとも一方は、略90度であり、前記反射鏡移動機構は、前記第一の反射鏡または前記第二の反射鏡を、鏡面に対しほぼ平行を維持したまま回転させる機構を備えたことである。
本発明のさらに他の特徴は、前記反射鏡移動機構は、更に鏡面に対しほぼ平行を維持したまま直線移動させる機構を併せ持つことである。
本発明のさらに他の特徴は、前記第一の反射鏡と前記第二の反射鏡の移動条件を設定する移動条件設定手段を備えたことである。
本発明のさらに他の特徴は、前記第一の反射鏡、または前記第二の反射鏡の少なくともいずれかから反射されたレーザ光の光強度を測定する光強度測定機構と、
光強度を測定する時点を設定する計測タイミング設定手段とを備えたことである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の反射鏡に光軸が変位しない平行移動機構や回転機構を備えることで、部品交換頻度を低減できる他、反射鏡(例えば、平面鏡)の光軸補正が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係わる照明光学機構の構成を示す図である。
【図2】本発明の平面鏡移動機構の概略構成を示した図である。
【図3】本発明の平面鏡移動機構部、および制御部の実施方法を示した説明図である。
【図4】本発明に係る平面鏡の劣化診断条件を設定する設定画面を説明する図である。
【図5】本発明に係る来歴を表示する画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の欠陥検査装置は、反射鏡(例えば、平面鏡)の光軸を変位させない平行移動機構や回転機構を備えることで、反射鏡(例えば、平面鏡)の劣化に伴う光量の低下などの変動を抑えることを実現している。
【0012】
図1は、本発明装置の1実施例である。可視レーザ光や紫外レーザ光などの照明光を発生させるレーザ光源3、発振したレーザ光L1の進路方向を偏向する第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4b等の複数の平面鏡(反射鏡)から構成されるビーム偏向機構4、光量を調節するNDフィルタ6、ビーム径を調節するエキスパンダ5、レーザ光L1を分岐するビームスプリッタ30、分岐した一方のレーザ光L1をビーム形状を整えて被検査物2表面に照射する対物レンズ11、分岐したもう一方のレーザ光L1を撮像するビームプロファイル観察カメラ31、装置全体を制御するホストコンピュータ71などから構成されている。
第一の平面鏡4aは、レーザ光L1を予め定められた角度で折返すように配設され、第二の平面鏡4bは、折返したレーザ光L1を予め定められた角度で再度折返し、レーザ光源3の出射方向に対して、予め定められた方向へレーザ光L1が進行するように構成されている。本実施例では、このレーザ光L1の折返し角度を、ともにほぼ90°で構成しており、レーザ光源3と光学素子等の段違い配置を可能とすることで、例えば光学系の調整やレーザ光源3の寿命による交換などのメンテナンス性を向上している。
この2つのレーザ光L1の折返し角度は、ほぼ90°と設定することに限定されるものではなく、少なくとも一方がほぼ90°であれば足りる。また、レーザ光L1の折返し角度が90°以外であれば、複数の平面鏡を交互に配置して、照射と反射のレーザ光L1を捕捉し合うように構成しても良い。平面鏡の角度は略平行であっても、途中の平面鏡の角度を変えても、予め定められた進路方向へ偏向できる構成であれば良い。
【0013】
レーザ光源3から発振したレーザ光L1は、第一の平面鏡4aで略90°変更され進路方向を下方に偏向し、第二の平面鏡4bによって更に略90°変更され、その進路方向を水平方向へ偏向する。軌道が偏向されたレーザ光L1は、NDフィルタ6で光量調節された後、ビームエキスパンダ5に入光し、ビーム径が調整される。
この第一平面鏡4aと第二平面鏡4bは平面鏡移動機構制御部41によって制御され、各平面鏡に対応した平面鏡移動機構40aと平面鏡移動機構40bにより、入射角及び反射角を維持した状態で、レーザ光L1の照射部位を移動できる。すなわち、レーザ光L1が照射される平面鏡4a及び平面鏡4bの照射部位を、光軸を変位させずに変更可能となっている。また、NDフィルタ6の光量調節はNDフィルタ可動機構61を介して、NDフィルタ可動機構制御部60によって制御され、ビームエキスパンダ5のビーム径調整はビームエキスパンダ調節機構50を介して、ビームエキスパンダ調節機構制御部51によって制御される。
次いで各種の光学素子を通過して偏光状態やビーム径などのビーム状態が制御されたレーザ光L1は、ビームスプリッタ30により2つに分岐される。分岐された一方のレーザ光L1は、いくつかの光学素子を通過してビームの形状や状態が整えられ、対物レンズ11を介して被検査物2表面に照射される。分岐された他方のレーザ光L1は、ビームプロファイル観察カメラ31により撮像され、レーザ光L1のビームの位置及びビーム内の照度分布がモニタ70に表示される。
ホストコンピュータ71は、キーボードやマウスなどの入力装置(図省略)の指令を基に、平面鏡移動機構制御部41、NDフィルタ可動機構制御部60、ビームエキスパンダ調節機構制御部51などの間でデータを送受信し、それらに対応した平面鏡移動機構40a、40b、NDフィルタ可動機構61、ビームエキスパンダ調節機構50などの機構部を駆動して、レーザ光L1のビーム状態を制御する。また、各種の設定条件の設定登録や検査結果及び検査装置の動作状態などをモニタ70に表示し、更には出力装置(図示せず)へ当該情報を出力するなど、欠陥検査装置全体の制御を行う。
【0014】
図2は平面鏡移動機構40aの概略構成を示したものである。平面鏡移動機構40bは、同じ構成であるため、平面鏡移動機構40aを代表として示している。
平面鏡移動機構40aは、平面鏡4aを固定させるステージ45aと、平面鏡4aの反射面を略平行に移動させる進退駆動機構(直線駆動機構)42aと、反射面に対して略平行を維持した状態で平面鏡4aを回転させる回転駆動機構43aと、反射面の角度を補正する角度補正機構46aと、レーザ光源3と平面鏡4a、または平面鏡4a、4b間の距離を補正する距離補正機構47aによって構成される。進退駆動機構42a、回転駆動機構43a、角度補正機構46a、距離補正機構47aのそれぞれには、位置検出装置(図省略)が配設されている。
平面鏡移動機構制御部41は、位置検出装置(図省略)からの信号に基づき、平面鏡4aの位置座標を算出し、ホストコンピュータ71が指示する位置座標へ、進退駆動機構42aと回転駆動機構43aを介して制御する。なお、この位置座標の算出は、ホストコンピュータ71が行うようにしても良い。ステージ45aに固定された平面鏡4aは、例えば、レーザ光L1が照射される始点を平面鏡4aの略中心として、回転駆動機構43aの回転と進退駆動機構42aの一軸方向の移動により位置座標が変更される。よって、レーザ光L1の照射部位は、光軸の状態を維持しながら平面鏡4aの反射面を螺旋状、渦巻き状若しくは円状に相対的に移動し、反射面の使用可能領域を拡大する。この使用可能領域は、進退駆動機構42aの移動ピッチによって制御され、平面鏡4aの寿命が飛躍的に向上する。また、位置検出装置を備えることにより、照射部位の座標を正確に捉えることが可能となり、過去の検査状態の復元や、平面鏡4a内の良好な反射面を探索し、選択することができる。さらに、角度補正機構46aと距離補正機構47aを備えることで、平面鏡4aの取り付け精度や、厚さ、平行度、表面のたわみなどの個体差を吸収し、部品交換の際の光軸補正を容易(自動化)にするとともに、安定した光軸状態を保持できる。
【0015】
本実施例では、平面鏡4aの使用効率が高く、高精度に光軸を保持する平面鏡移動機構40aを示しているが、平面鏡4aの反射面を略平行に移動させる移動機構だけで構成しても良い。また、平面鏡4aの反射面に対して略平行を維持した状態で平面鏡4aを回転させる移動機構だけで構成しても良い。本実施例よりは使用効率は劣るものの、平面鏡移動機構40aのサイズや製造コストを低減できる利点がある。また、進退駆動機構42a及び回転駆動機構43aに配設される位置検出装置は、過去の検査条件の復元や良好な反射面を選択する上では必要であるが、反射面の使用領域を拡大する上では不可欠な機構ではない。歯車やベルトなどで構成された当業者周知の機構を用いて、照射部位を所定量毎に移動する簡素な移動機構を用いても良い。
【0016】
この第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bは、レーザ光L1が照射されていると表面が劣化し、反射率が低下する。この低下によりビームエキスパンダ5に入光される光量が基準値以下とならないように、例えばレーザ光L1の照射が一定時間を越えたところで、光軸自体が変わらない様に、平面鏡移動機構40aと平面鏡移動機構40bを駆動して、レーザ光源3から出射されたレーザ光L1が照射される第一の平面鏡4a上及び第二の平面鏡4b上の位置を変更する。または、光量の変化を監視しながら、予め記録した閾値以下となった時点で、ホストコンピュータ71が平面鏡移動機構制御部41を制御して、照射部位を変更してもよい。
上述のように、ビーム偏向機構4の各平面鏡の鏡面を回転させられる構造、または鏡面を平行移動させられる構造、さらにはそのどちらも備えた構造とすることにより、平面鏡の交換頻度を飛躍的に低減できる他、光軸調整が不要となる。さらには、部品交換に伴う光学機構部への塵埃の混入が抑えられ、光学機構部に起因した異物増加を抑制できる。
【0017】
図3はその具体的一実用例である。レーザ光源3と光軸が変わることなく回転、平行移動することが出来る第一の平面鏡4a間に、光量を計測出来る前段光量モニタ13を配置する(第一の光強度測定手段)。また、光軸が変わることなく回転、平行移動することが出来る第二の平面鏡4bの後段に、反射光の光量を測定する後段光量モニタ14を配置する(第二の光強度測定手段)。本実施例では、第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4b表面の合算した劣化量を計測しているが、劣化の度合いは略同等に進行するため、少なくとも何れか一方の反射光を計測すれば良い。例えば、第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bとの間に第二の光量測定手段を配置しても、同様の機能を得ることができる。また、照射部位の移動によっても光量の変化を生じなければ、レーザ光源3の化と判別できるため、光強度測定手段を後段光量モニタ14だけで構成し、レーザ光源3の劣化と劣第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4b劣化を合算して計測してもよい。のこの前段光量モニタ13と後段光量モニタ14からなる複数の光強度測定機構は、それぞれに対応した前段光量モニタ駆動機構(図省略)と後段光量モニタ駆動機構(図省略)により、光量測定時のみ光軸上に移動し、被検査物2の欠陥を検査する際には、光軸上から外される。
【0018】
レーザ光源3から発振したレーザ光L1の初期光量は、前段光量モニタ13で計測され、電気信号(アナログ信号)に変えて第一のA/D変換器22aに入力される。第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bでの反射によって減衰したレーザ光L1は、後段光量モニタ14で計測され、電気信号(アナログ信号)に変えて第二のA/D変換器22bに入力される。前段光量モニタ13と後段光量モニタ14で計測されたレーザ光L1のそれぞれの光量は、モニタ70に表示される。ビーム偏向機構4での光量の減衰の他、レーザ光源3の劣化状態を確認できるようになっている。
【0019】
第一のA/D変換器22aと第二のA/D変換器22bに入力されたアナログ信号は、ここでデジタル信号に変換されて比較器23へ入力される。レーザ光L1の初期光量である第一のA/D変換器22aからの信号と、ビーム偏向機構4で減衰したレーザ光L1である第二のA/D変換器22bからの信号に基づき、第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bの劣化量を比較器23で計算し、CPU24へデータを送信する。当該劣化量は、CPU24を介してモニタ70に表示される。
【0020】
記録装置25には劣化量の基準となる閾値が、入力装置(図省略)を通じて予め記憶されている。CPU24は比較器23で計算した劣化量と比較し、当該閾値を超えた時点で、第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bの照射部位の移動を促す警告をモニタ70に表示する(平面鏡の警告表示手段)。また、レーザ光源3の劣化状態が所定値を超えた場合も同様に、レーザ光源3の交換を促す警告が表示される(レーザ光源の警告表示手段)。
【0021】
上記において設置された前段光量モニタ13、後段光量モニタ14は、アライメント開始前または開始時に実行できるように表示画面に選択機能を表示させる。
【0022】
上記において設置された前段光量モニタ13、後段光量モニタ14の計測開始は、メンテナンス用画面上に表示されたボタンまたはアイコンによって実行出来る。
【0023】
上記においてモニタ70への表示は、測定後ダイアログまたは、移動を実施するまで常時画面の一部に表示させ、移動実施を促す。
【0024】
上記において寿命判断として、期限表示を行う。
【0025】
平面鏡4a,4bを移動させるにあたり、移動距離を操作者が任意に設定し、動作させる。
【0026】
平面鏡4a,4bを移動させるにあたり、パラメータに設定されたピッチごとに動作させる。
【0027】
平面鏡4a,4bを移動させるにあたり、自動で最適な光量になるように動作させる。
【0028】
図4は本一実施例の設定画面を示したものである。診断条件設定手段80は、モニタ70上に表示されるメンテナンス用の設定画面の中に組込まれている。特に限定されるものではなく、メイン画面に設けたボタンやアイコンで当該画面を表示させるようにしても良い。診断条件設定手段80は、光強度を測定する時点を設定する計測タイミング設定手段81と、診断の採否および劣化判断の基準を設定する診断条件設定手段82と、第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bの移動条件を設定する移動条件設定手段83と、平面鏡を移動した際にレーザ光L1の光量を調節するか否かを設定する光量調節条件設定手段112によって構成される。
【0029】
計測タイミング設定手段81は、被検査物2のアラメント処理の際に計測を実施させるアライメント時指示手段84と、基板搬送処理の際に計測を実施させる搬送時指示手段85と、定まった時間に計測を実施させる定時計測指示手段86を含んで構成される。アライメント時指示手段84は、計測の開始(始点)がアラメント処理の開始前か開始時、あるいは終了後かのステップを選択するアラメントステップ選択手段87を備えている。また、搬送時指示手段85は、計測の開始(始点)がカセットやフープ内の被検査物2をサーチする際か、被検査物2の搬入時か、あるいは搬出時かのステップを選択する搬送ステップ選択手段88を備えている。定時計測指示手段86では、計測の時刻を入力する1以上の時刻入力スペース89が配設され、計測する時刻を1以上選択できる時刻選択手段90を備えている。スペースへの計測時刻の入力は、図示しないキーボードやマウスなどの入力装置を介して入力可能となっている。計測を実施させるタイミングは、アラメント処理時や基板搬送処理時又は定時計測の何れか、若しくは複数の計測タイミングを選択可能となっている。
【0030】
診断条件設定手段82は、前段光量モニタ設定手段91と、後段光量モニタ設定手段92と、劣化基準設定手段93を含んで構成される。前段光量モニタ設定手段91は、前段光量モニタ13での光量測定の要否を指示する第一の光強度測定指示手段115と、光量の閾値を入力する第一の閾値入力スペース94を備えている。レーザ光L1の光量が、第一の閾値を満たさない場合には、レーザ光源3の劣化の警告と交換を促す表示がモニタ70上に表示される。後段光量モニタ設定手段92も同様に、第二の光強度測定指示手段95と、第二の閾値入力スペース96を備えている。劣化基準設定手段93を使用しない場合には、後段光量モニタ14の光量測定値と第二の閾値により、第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bの劣化診断を行っても良い。劣化基準設定手段93では、第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bの劣化診断をするか否かを指示する劣化診断指示手段97と、劣化判断の基準値を入力する第三の閾値入力スペース98を備えている。比較器23で計算した劣化量が、第三の閾値を満たさない場合には、第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bの劣化警告と照射部位の変更を促す表示がモニタ70上に表示される。
【0031】
移動条件設定手段83は、第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4bの移動距離を設定する移動距離設定手段99と、移動させる判断基準を設定する判断基準設定手段100を含んで構成される。移動距離設定手段99は、第一の平面鏡4aの移動様態を指定する移動様態指示手段101と、回転方向と直線方向のピッチを指定する移動角度指定手段102及び移動距離指定手段103を備えている。移動様態は、回転移動、平行移動、回転移動と平行移動の併用(螺旋移動)の3様態から選択可能となっており、移動角度指定手段102と移動距離指定手段103で指定したピッチに従い、第一の平面鏡4aが駆動される。第二の平面鏡4bも同様に構成される。判断基準設定手段100は、手動操作指示手段104と自動操作指示手段105を含んで構成される。
手動操作指示手段104は、移動距離設定手段99で指定された条件で第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4bを移動させる設定条件選定手段106と、オペレーターの指示に応じて移動させる任意条件選定手段107の2つの様態から選択可能となっている。設定条件選定手段106を選定した場合には、前記照射部位の変更警告がモニタ70上に表示された際に移動要否確認画面が表示され、必要(OK)のボタンをクリックすることで、第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4bが移動する。任意条件選定手段107の場合には、移動距離設定手段99と同様の設定画面が表示され、各移動ピッチの入力と画面上の移動指示手段のボタンをクリックすることで移動する。自動操作指示手段105は、指定された期限に基づいて自動的に移動させる定期移動指定手段108と劣化診断の結果に基づいて移動させる劣化診断結果指定手段109の2つの様態から選択可能となっている。自動操作モードにおいては、2つの様態ともに移動距離設定手段99の条件に基づいて、第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4bは移動される。定期移動指定手段108には、第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4bを移動させる期限指定手段110を備えている。本実施例では、この期限を先の移動からのレーザ光L1の累積実照射時間としている。特にこれに限定されるものではないが、先の移動からの経過時間や装置の定期診断の日、メンテナンスの日、検査開始数時間前など、暦やスケジュールに合せて設定してもよい。検査累積実照射時間が、期限指定手段110で指定した時間を超過した時点で、第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4bを移動する。累積実照射時間(経過時間)及び移動までの残り時間は、モニタ70上の一部に設けられた期限表示手段111により、常時表示される。また、劣化診断結果指定手段109にて診断結果で平面鏡を移動させる条件を選択した場合には、計測タイミング設定手段81と診断条件設定手段82の設定条件に基づいてCPU24が判断し、移動距離設定手段99に設定した条件が実施される。
【0032】
光量調節条件設定手段112は、光量調節の採否を指示する調整採否指示手段113と、調整する光量値を指定する調整光量指定手段114を含んで構成される。調整採否指示手段113は、第一の平面鏡4a及び第二の平面鏡4bの移動後に、レーザ光L1の光量調節を採用するか否かの2様態から選択できる。調整光量指定手段114は入力スペースで構成され、入力装置を介して調整する光量の目標値が設定できる。
例えば、光量調節を採用した場合には、レーザ光L1の光量を後段光量モニタ14で計測しながら、調整光量指定手段114の設定値となるように、レーザ光源3の出力が制御される。レーザ光L1の光量と設定値が略同一とCPU24が判断した時点で、光量調節処理は終了し、レーザ光源3の出力値が固定される。
【0033】
図5は過去の光量の状態や平面鏡移動機構40a,40bの駆動状態の来歴を示すものである。前段光量モニタ13や後段光量モニタ14の光量測定値、及び比較器で計算された劣化量、更には第一の平面鏡4aと第二の平面鏡4bの移動期日及び照射部位の座標などの来歴は、CPU24を通じて記憶装置25に記憶されている。モニタ70上に設けられた来歴表示手段119のボタンを入力装置を介してクリックすることで来歴管理図116が表示される。光量の測定結果や平面鏡移動機構40a,40bの駆動来歴は、プロットされたマークをポインター117で選択することによりコメントとして表示される。このコメント欄118をクリックすることにより、その時点の状態へ光学系の状態を復元する。定時計測指示手段86で定時計測を実施させることにより、光学系の変化を、より正確に把握することができる。
【0034】
なお、本実施例では、設定値の入力や表示手段がスペースとボタンなどを用いて構成されているが、信号の入力と伝達、表示できるものであれば良く、アイコンやキーボードまたはその他の信号入力伝達手段や表示手段を用いても良い。
【0035】
本実施例ではレーザ光を用いて被検査物の欠陥(異物、汚れ、クラック、結晶欠陥、COP、パターン欠陥等)を検出する欠陥検査装置ついて説明したが、これに限定されるものではなく、表面検査装置や異物検査装置、又はディスク検査装置などにも適用することができる。
また、レーザ光に限らず、ハロゲンランプや水銀ランプ、またはXeランプなどの照明光を利用する光学系にも広く適用することができる。例えば、外観検査装置やマスク検査装置、またはベベル検査装置など、光を応用した検査装置であれば、如何なるものにも適用する事ができる。
また、本実施例では、反射鏡の一例として平面鏡4a,4bを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、凹面鏡、凸面鏡など他の形状の反射鏡も適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
L1 レーザ光
2 被検査物
3 レーザ光源
4 ビーム偏向機構
4a 第一の平面鏡
4b 第二の平面鏡
5 エキスパンダ
6 NDフィルタ
11 対物レンズ
13 前段光量モニタ
14 後段光量モニタ
22a,22b A/D変換器
23 比較器
24 CPU
25 記憶装置
26a,26b モータドライバ
30 ビームスプリッタ
31 ビームプロファイル観察カメラ
40a,40b 平面鏡移動機構
41 平面鏡移動機構制御部
42 進退駆動機構
43 回転駆動機構
45 ステージ
46a 角度補正機構
47a 距離補正機構
50 ビームエキスパンダ調節機構
51 ビームエキスパンダ調節機構制御部
60 NDフィルタ機構制御部
61 NDフィルタ可動機構
70 モニタ
71 ホストコンピュータ
80 診断条件設定手段
81 計測タイミング設定手段
82 診断条件設定手段
83 移動条件設定手段
84 アライメント時指示手段
85 搬送時指示手段
86 定時計測指示手段
87 アラメントステップ選択手段
88 搬送ステップ選択手段
89 時刻入力スペース
90 時刻選択手段
91 前段光量モニタ設定手段
92 後段光量モニタ設定手段
93 劣化基準設定手段
94 第一の閾値入力スペース
95 第二の光強度測定指示手段
96 第二の閾値入力スペース
97 劣化診断指示手段
98 第三の閾値入力スペース
99 移動距離設定手段
100 判断基準設定手段
101 移動様態指示手段
102 移動角度指定手段
103 移動距離指定手段
104 手動操作指示手段
105 自動操作指示手段
106 設定条件選定手段
107 任意条件選定手段
108 定期移動指定手段
109 劣化診断結果指定手段
110 期限指定手段
111 期限表示手段
112 光量調節条件設定手段
113 調整採否指示手段
114 調整光量指定手段
115 第一の光強度測定指示手段
116 来歴管理図
117 ポインター
118 コメント欄
119 来歴表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ源と、
該レーザ源から出射したビームを予め定められた角度で折り返す第一の反射鏡と、
該第一の反射鏡で折り返されたビームを再度折り返して前記レーザ源から出射されたビームに対し予め定められた方向に進行するビームを生じさせしめる第二の反射鏡と、からなるビーム偏向機構を備えた光学式欠陥検査装置であって、
前記第一の反射鏡、前記第二の反射鏡の少なくとも1つを、そのレーザ光の入射角及び反射角を維持したまま、移動させる反射鏡移動機構と、
前記第一の反射鏡と前記第二の反射鏡の劣化診断の採否および劣化判断の基準を設定する診断条件設定手段と
を備えたことを特徴とする光学式欠陥検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学式欠陥検査装置において、
前記第一の反射鏡の予め定められたレーザ光の折り返し角度、または前記第二の反射鏡の予め定められたレーザ光の折り返し角度の少なくとも一方は、ほぼ90度であり、
前記反射鏡移動機構は、移動させる反射鏡を反射面にほぼ平行に移動させる機構であることを特徴とする光学式欠陥検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の光学式欠陥検査装置において、
前記第一の反射鏡の予め定められたレーザ光の折り返し角度、または前記第二の反射鏡の予め定められたレーザ光の折り返し角度の少なくとも一方は、ほぼ90度であり、
前記反射鏡移動機構は、前記第一の反射鏡または前記第二の反射鏡を、鏡面に対しほぼ平行を維持したまま回転させる機構であることを特徴とする光学式欠陥検査装置。
【請求項4】
請求項3記載の光学式欠陥検査装置において、
前記反射鏡移動機構は、更に鏡面に対しほぼ平行を維持したまま直線移動させる機構を併せ持つことを特徴とする光学式欠陥検査装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光学式欠陥検査装置において、
前記第一の反射鏡と前記第二の反射鏡の移動条件を設定する移動条件設定手段を備えたことを特徴とする光学式欠陥検査装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の光学式欠陥検査装置において、
前記第一の反射鏡、または前記第二の反射鏡の少なくともいずれかから反射されたレーザ光の光強度を測定する光強度測定機構と、
光強度を測定する時点を設定する計測タイミング設定手段と
を備えたことを特徴とする光学式欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−53073(P2012−53073A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273174(P2011−273174)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【分割の表示】特願2007−53223(P2007−53223)の分割
【原出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】