光学式測定装置
【課題】プローブのより先端側にて穴の内径を測定することができる光学式測定装置を提供する。
【解決手段】ワーク等の被測定物に設けられた穴の内径を測定する光学式測定装置の構成に関し、この光学式測定装置は、被測定物の穴の内壁面に向けて基本光を照射する照射部19と、前記内壁面で反射された散乱光をプローブ15の内部に導入させるための導入部20と、この導入部20に導入された前記散乱光を受光する受光部21とを備えてなる非接触式のプローブとを備えている。また、プローブ15が穴の内部に挿入された状態で、受光部21を構成する受光素子27上における前記散乱光の受光位置に基づいて、内壁面の反射位置を円周に含む仮想円を算出する演算手段とを備えている。そして、プローブ15内において、照射部19を、導入部20及び受光部21よりも先端側に配置した。
【解決手段】ワーク等の被測定物に設けられた穴の内径を測定する光学式測定装置の構成に関し、この光学式測定装置は、被測定物の穴の内壁面に向けて基本光を照射する照射部19と、前記内壁面で反射された散乱光をプローブ15の内部に導入させるための導入部20と、この導入部20に導入された前記散乱光を受光する受光部21とを備えてなる非接触式のプローブとを備えている。また、プローブ15が穴の内部に挿入された状態で、受光部21を構成する受光素子27上における前記散乱光の受光位置に基づいて、内壁面の反射位置を円周に含む仮想円を算出する演算手段とを備えている。そして、プローブ15内において、照射部19を、導入部20及び受光部21よりも先端側に配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシリンダブロック等の鋳物類や、種々の機械加工品等に設けられた穴の内径を測定する光学式測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穴の内径を測定する光学式測定装置として散乱光を用いた非接触式のプローブを有する光学式測定装置がある(特許文献1)。この光学式測定装置は、プローブの基体の内部に発光ダイオードと、穴内壁面で反射した散乱光を透過させるピンホールと、この散乱光を受光する一次元位置検出素子(Position Sensitive Detector=PSD)とが収容されている。そして、このPSD上における散乱光の受光位置に基づいて仮想円を求めることで穴の内径や傾きを算出することができる。
【特許文献1】特開2007−24646号公報
【特許文献2】特開平7−260439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に示した光学式測定装置のプローブでは、プローブの先端にPSDが配置され、このPSDより基端側に発光ダイオードが配置されている。穴の内径が測定される対象箇所はプローブの軸線に直交し、発光ダイオードが位置する平面上であるため、かかる構成では、プローブの先端における穴の内径を測定することはできない。
【0004】
また、上記特許文献2に示した内側測定装置のケーシングでは、プローブの先端に反射光をプローブ内に導入させる導入部のレンズ及び反射用の平面鏡が配置されているため、同様にケーシング先端における穴の内径を測定することができない。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明は、プローブのより先端側にて穴の内径を測定することができる光学式測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被測定物に設けられた穴の内径を測定する光学式測定装置であって、前記被測定物の穴の内壁面に向けて基本光を照射する照射部と、前記内壁面で反射された散乱光をプローブ内部に導入させるための導入部と、当該導入部に導入された前記散乱光を受光する受光部とを備えてなる非接触式のプローブと、前記プローブが前記穴の内部に挿入された状態で、前記受光部上における前記散乱光の受光位置に基づき、内壁面の反射位置を円周に含む仮想円を算出する演算手段とを備え、前記照射部を導入部及び受光部よりもプローブの先端側に配置したことを特徴とする光学式測定装置を要旨とする。
【0007】
照射部が、導入部及び受光部よりもプローブの先端側に配置されているため、穴の内壁面に向けて基本光を照射する際に、プローブのより先端側から照射することができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記照射部は、プローブの軸線と直交する方向に基本光を照射するものであり、前記受光部はプローブの軸線と直交する受光面を有する受光素子を備えている請求項1に記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより受光部の受光位置に基づく穴の内径の測定が容易となる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記照射部から照射される基本光の経路上には、同経路上に光軸を有する凸レンズが配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより照射部から照射された基本光が拡散する性質のものであっても比較的集光された状態で穴の内壁面に到達する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記照射部はプローブの軸線を中心として周方向に等間隔で3組設置されており、前記凸レンズはその中心がプローブの軸線と交差する位置に配置されたボールレンズであることを特徴とする請求項3に記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより、プローブの位置を固定させたままでも同箇所における穴の内径を測定することができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記照射部は、プローブの軸線方向に配置され、発光部にて発光された光を伝送する光ファイバーを備えており、その先端は光ファイバーの軸線方向に対して45度の傾斜面に形成され、伝送する光を前記軸線方向に対して直交する方向に射出することを特徴とする請求項1乃至4に記載の光学式測定装置を要旨とする。これの傾斜面により光をプローブの軸線方向に配置された光ファイバーからプローブの軸線方向に直交する方向に光を照射することができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記受光部は、光透過性スクリーンと、光透過性スクリーンに対してプローブの軸線方向に離間して配置された受光素子と、前記光透過性スクリーンと受光素子と間に配置された散乱光伝達手段を備え、前記光透過性スクリーンを透過した前記任散乱光は、光伝達手段を介して前記受光素子上に受光するものである請求項1〜5のいずれかに記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより受光素子をプローブ先端から離間させて配置することができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記受光素子は、プローブ基端側のうち穴内部に挿入されない非挿入部に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより、受光素子を穴内部に挿入する部分に配置する必要がない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プローブのより先端側にて穴の内径を測定することができる光学式測定装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の実施形態
以下、本発明を具体化した光学測定装置の第1の実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の光学式測定装置10は、基台11と、同基台11に軸支されてなるアーム部12とを備えており、アーム部12は、複数(本実施形態では3つ)のアーム部材13が互いに回動自在に軸支されてなるものである。これら複数のアーム部材13のうち最も先端側に配設されたアーム部材13は先端にハウジング14を含み被測定物50の穴51内に挿入される部分を有する非接触式プローブ(以下、単にプローブという)15が設置されている(図2参照)。また、光学式測定装置10は制御手段及び演算手段としてのコンピュータとコンピュータに電気的に接続されプローブ15を3次元方向に移動また軸周りに回転させる駆動手段としてのモータを備えている(いずれも図示略)。そして、プローブ15を、シリンダブロック等の被測定物50に形成された穴51(シリンダ)の内部において所定方向へ移動させることで、その穴の内部形状(本実施形態では、穴51の内径、傾斜角度)を測定することができる。
【0016】
ハウジング14の先端面にはハウジング14内外を連通する円形の開口14aが形成されている。この開口14aの周囲には円筒形状の装着フランジ14bが形成されている。また、ハウジング14内部にはレーザダイオード及びコンデンサレンズを備えた発光部としての発光ユニット60が3組設置されている(図3では1組のみ図示)。この発光ユニット60は図示しないコンピュータに電気的に接続されており、同コンピュータからの制御により発光を行う。
【0017】
プローブ15のうちのハウジング14は穴51の内部に挿入されない非挿入部であり、このハウジング14には穴51の内部に挿入される外筒16、及び外筒16内の先端に収納された測定ユニット17とが取着されている。外筒16は金属材料により中空円筒状に形成されており、この外筒16がプローブ15のうち被測定物50に形成された穴51の内部に挿入される挿入部となる。外筒16の基端部(図3中右側)は開口されており、この基端部がハウジング14に形成された装着フランジ14bに外嵌されて固定されている。また、外筒16の先端は閉塞されて蓋部16aとなっており、この蓋部16aから基端部寄りの外筒16の外周面上には外筒の軸線方向に延びる矩形窓16bが形成されている。この矩形窓16bは外筒16の外周面上に周方向に等間隔(120度間隔)で3箇所形成されている。
【0018】
なお、プローブ15、特に外筒16部分の横断面における中心をプローブ15の軸心g(図4参照)、同様にこの軸心gを通り外筒16の軸方向に延びる線をプローブ15の軸線h、軸線hの延びる方向(外筒16の延伸方向)をプローブ15の軸線方向という。
【0019】
本実施形態では、プローブ15の外筒16内に3組の測定ユニット17(第1測定ユニット17a、第2測定ユニット17b、第3測定ユニット17c)が配置されており、それぞれの測定ユニット17はいずれも測定ユニット用アダプタ18に配置されている。各測定ユニット17は、照射部19、導入部20及び受光部21を有している。このうち、照射部19は光ファイバー22、導光管23、ボールレンズ24により構成され、導入部20は反射光導入孔25、結像レンズ26により構成され、受光部21は受光素子27から構成される。
【0020】
これら測定ユニット17を構成する各部材のうち、光ファイバー22、導光管23、反射光導入孔25、結像レンズ26は各測定ユニット17が独立して個々に有する構成である。一方、ボールレンズ24及び受光素子27は全測定ユニット17a〜17cにて共用しているため、プローブ15に配置される測定ユニット17の数(3組)にかかわらず1つずつしか備えていない。各測定ユニット17a〜17cはそれぞれプローブ15の軸線hを中心として周方向に等角度間隔(120度間隔)となるように測定ユニット用アダプタ18に配置されている。
【0021】
測定ユニット用アダプタ18は、略円柱形に形成され、外筒16内に挿入可能な大きさを有している。測定ユニット用アダプタ18が外筒16に内嵌された状態ではその先端は外筒16の蓋部16a内面に当接している。測定ユニット用アダプタ18の先端面にはプローブの軸心gを中心とした円形の収容孔28がプローブ15の軸線方向に向けて穿設されている。この収容孔28は直径と深さが略同一に形成されている。収容孔28内には、ボールレンズ24が外筒16の蓋部16a内面と収容孔28の底面とに当接されて移動不能に配置されている。このボールレンズ24は球状に形成された凸レンズであり、その光軸がプローブ15の軸線hに直交する仮想線k上に位置するように配置されている。なお、このボールレンズ24は球状であるため、その光軸はプローブ15の軸線hに直交し、同軸線hを中心とする360度の範囲に亘る平面として存在する。
【0022】
測定ユニット用アダプタ18には導光管23が3本形成されている。各導光管23は測定ユニット用アダプタ18内を貫通する断面円形の穴であり、各導光管23の軸線は前記ボールレンズ24の光軸と一致する。各導光管23の一部分は収容孔28内を通過している。
【0023】
また、各導光管23の両端部は測定ユニット用アダプタ18の外周面に開口している。3本の導光管23はプローブ15の軸心gを中心として周方向に120度ずつ角度を異ならせて形成されている。各導光管23のうち一方の端部は、穴の径が一定のまま測定ユニット用アダプタ18の外周面に開口しており、測定ユニット用アダプタ18の外周面にはこの開口を始点としてプローブ15の軸線方向の基端側へ向かうコ字状の案内溝29が形成されている。また、導光管23の他方の端部は、測定ユニット用アダプタ18の外周面に到達する直前に穴の径が小さくなったアパーチャ(ピンホール)30が形成されており、導光管23はこのアパーチャ30を介して外周面に開口している。したがって、測定ユニット用アダプタ18の外周面には周方向に60度間隔にて案内溝29とアパーチャ30が交互に形成されていることとなる(図4)。
【0024】
測定ユニット用アダプタ18の外周面に形成された3箇所の案内溝29にはプローブ15の基端側から延びる光ファイバー22が収容されている。光ファイバー22は、中心のコア層22aとコア層22aの外周を覆うクラッド層22bとから構成されている(図示略)。光ファイバー22の基端はアーム部材13の発光ユニット60に連結されており、この発光ユニット60にて発光された光が光ファイバー22のコア層22a内を通ってプローブ15の先端側へと伝送される。一方、光ファイバー22の先端はその軸線方向に対して斜め45度にカットされた傾斜面となっており、光学的な全反射を利用した反射面31が形成されている。光ファイバー22の反射面31は、その反射面が導光管23の開口に臨み、かつボールレンズ24の光軸上に位置するように配置されている。したがって、光ファイバー22のコア層22a内を伝送されてきた光は反射面31によりその進行方向が90度変更され、導光管23内をボールレンズ24の光軸に沿って進むこととなる。なお、ボールレンズ24の中心点(中心)24aからアパーチャ30までの長さとボールレンズ24の中心点24aから反射面31までの長さとは等しく設定されている。
【0025】
測定ユニット用アダプタ18において、各アパーチャ30よりプローブ15の軸線方向の基端側には反射光導入孔25が形成されている。各反射光導入孔25は測定ユニット用アダプタ18の外周面から測定ユニット用アダプタ18の基端部側に向けて測定ユニット用アダプタ18内を貫通形成された断面円形の穴であり、反射光導入孔25はプローブ15の軸線hに対して傾斜して形成されている。反射光導入孔25の基端部側開口には凸レンズである結像レンズ26が設置されている。この結像レンズ26はその光軸が反射光導入孔25の軸線と一致するように配置されている。結像レンズ26の光軸は、ボールレンズ24の光軸とプローブ15の軸線hとにそれぞれ交差している。したがって、ボールレンズ24の光軸と結像レンズ26の光軸とプローブ15の軸線hとにより三角形が形成される。特に、ボールレンズ24の光軸とプローブ15の軸線hとは直交しているため、この三角形は直角三角形となる。
【0026】
測定ユニット用アダプタ18の基端部は、その軸心gを中心として先端部側から基端部側に向かうにつれて順次径が広くなる逆円錐状部32が形成されており、その外周縁には周壁33が形成されている。反射光導入孔25は測定ユニット用アダプタ18の基端部側においてこの逆円錐状部32に開口している。
【0027】
測定ユニット用アダプタ18の基端部の周壁33に当接して受光素子27が配置されている。この受光素子27は、二次元半導体位置検出素子(Position Sensitive Detector=PSD)であり、光を検知する受光面34と、受光面34に接続されポインティングワイヤや端子ピン(図示略)を備えた基部35とから構成されている。受光素子27は図示しないブラケットにより測定ユニット用アダプタ18の基端部の周壁33端縁に当接した状態で固定されるとともに、コンピュータに電気的に接続されている(図示略)。受光素子27は、その受光面34がプローブ15の軸線hと直交する面と平行に測定ユニット用アダプタ18基端部の逆円錐状部32に対向して設置されている。また、受光面34は結像レンズ26の中心点26aからプローブ15の軸線方向において距離b離間している。
【0028】
この受光素子27は、受光面34上に結像した光の重心位置(受光位置)をX軸及びこれに直交するY軸上の座標(X,Y)として電気信号に変換し出力することができ、このような受光素子27は既存製品の二次元PSDを用いればよく、例えば浜松ホトニクス株式会社の型式名S7848−01がある。また、受光面34上の座標の原点(X0,Y0)はプローブの軸線h上に設定されており、受光面のY軸は仮想線kと平行に、かつY軸は第一測定ユニット17aにおける結像レンズ26に近い側が正の値となるように配置している。受光面34上の結像に基づいて受光素子27から出力された電気信号はポインティングワイヤ及び端子ピンを経て、図示しない電気回線を通じてコンピュータに入力され原点(X0,Y0)から受光位置までの距離sが算出される。なお、この距離sは受光面34の原点(X0,Y0)を中心として前記結像レンズ26側にて結像される場合には正の値(+)として算出され、結像レンズ26の反対側にて結像される場合には負の値(−)として算出される。
【0029】
このように受光素子27は、受光面34上にて結像した光の重心位置の座標を電気信号として出力するものであるため、拡散した光として結像されると座標の特定に誤差が生じやすくなる。したがって、受光素子27上に結像される光はその面積が小さいことが好ましく、そのためには結像レンズ26として受光素子27上に焦点が合わせられている焦点距離を有するものを用いることが好ましい。具体的には、焦点距離fは、1/f=1/a′+1/b′(a′は反射位置52aから結像レンズ26の中心点26aまでの距離、b′は結像レンズ26の中心点26aから受光面34の原点34aまでの距離)として特定することができるため、a′及びb′の値に基づいて結像レンズ26の焦点距離fを定めることができる。
【0030】
以下、本実施形態の測定ユニット17において、光ファイバー22内を伝送されてきた光がプローブ15から照射され、穴51の内壁面52に到達し、そこで生じた散乱光が受光素子27上に結像されるまでの経路を図6等に基づいて説明する。なお、図6は説明の便宜上3組の測定ユニット17a〜17cのうち第一測定ユニット17aのみを図示した模式図である。一方、第二測定ユニット17b、第三測定ユニット17cについても第一測定ユニット17aに対してプローブ15の軸線hを中心として角度を120度ずつ異ならせて配置されているのみであって光の経路については同様であるため、その説明を省略する。
【0031】
発光ユニット60から光ファイバー22内のコア層22aを伝送されてきた光は光ファイバー22の先端に到達する(図3)。光ファイバー22の先端は斜め45度にカットされ、反射面31が形成されているため、それまでコア層22a内を伝送されてきた光は、反射面31によりその進行方向を90度換え、光ファイバー22の軸線方向に対して直交する方向へと向かう。光ファイバー22ではコア層22aの周囲をクラッド層22bが覆っており、反射面31によりその向きが変更された光(基本光)はクラッド層22bに直交する方向に進むがその入射角度は全反射角度に比べて遙かに小さい0度付近となる。このため光学的にはクラッド層22bの存在は無視することができ、基本光αはクラッド層22bをそのまま通過して光ファイバー22の外部へと出て行く。
【0032】
この反射面31は、導光管23の開口に臨み、かつボールレンズ24の光軸である仮想線k上に位置するように配置されているため、反射面31を経て光ファイバー22を出た基本光αは導光管23内を仮想線kに沿って進む。そして、基本光αの進路上に配置されているボールレンズ24を通過することにより集束され、その状態でアパーチャ30を通ってプローブ15の外部に放出される。
【0033】
なお、ボールレンズ24は、ボールレンズ24から射出された光線が集光する位置までの長さがボールレンズ24の中心点24aとアパーチャ30との距離よりも長くなるように設定することが好ましく、その長さは本光学測定装置の測定対象として想定する穴の平均半径が一つの目安となる。集光する位置までの長さの具体的距離として、例えばボールレンズ24の屈折率を1.57、直径を2mmとする。そして、ボールレンズ24の中心点24aと光ファイバー22の反射面31(反射面31のうち光ファイバー22を伝送されてきた光が反射され光が射出する位置)の距離、すなわちボールレンズ24の中心点(中心)24aとアパーチャ30との距離を2mmとした場合、射出した光線はボールレンズ24の中心点24aから3.9mmの位置に集光する。
【0034】
アパーチャ30を通ってプローブ15の外へ出た基本光αはボールレンズ24の光軸である仮想線k上を進み穴51の内壁面52に到達する。なお、基本光αが穴51の内壁面52に当たって反射される箇所も仮想線k上にあり、この箇所を反射位置52aという。ここで、反射位置52aを含めた穴51の内壁面52は中ぐり加工等により形成されたものであり、その表面は肉眼では平坦に見えるものの微視的には細かな凹凸が形成されている。したがって、基本光αは反射位置52aにて乱反射され散乱光となる。この散乱光のうち特定の方向に向かった光(この光を「反射光β」という。)は反射光導入孔25を通過して再度プローブ15内部に導入され、結像レンズ26を通って受光素子27の受光面34上に結像される。反射光βが結像レンズ26を通って受光面34上に結像される受光位置を結像点34bという。
【0035】
図6に図示している反射光βは、理解の便宜のため反射位置52aで反射された散乱光のうち特に結像レンズ26の中心点26aを通るもののみを表しており、反射位置52aから結像点34bまでは直線で結ばれる。つまり、受光面34のうち反射位置52aと結像レンズ26の中心点26aと結んで得られる線の延長上に結像点34bが形成されることとなる。結像点34bは反射位置52aと結像レンズ26の中心点26aとを結んだ線上に位置することから、この結像点34bは、受光面34上であって軸線hを通り仮想線kと平行な仮想線m上の何れか一点に形成される。すなわち、第一測定ユニット17aにあっては、プローブ15と反射位置52aとの距離を異ならせた場合に受光面34上に形成される結像点34bの軌跡(以下、単に「結像点34bの軌跡」という。)は受光面34のY軸(X=0)と一致する。図5では、第一測定ユニット17aを用いた場合の結像点34bの軌跡を一点鎖線にて示している。
【0036】
一方、図6に示す反射位置52aに基づいて受光面34上に形成される結像点34bのおおよその位置を図5に示しているが、仮に、反射位置52aが図6に示した位置よりもプローブ15から離間した位置とすると反射光βの光軸は軸線hに対してより大きな角度差を持って結像レンズ26を通ることとなる。このため、その場合の結像点34bは図6に示す結像点34bよりもY座標値が小さい箇所にて形成される(図8に二点差線にて示したプローブ15の結像点34bを参照)。
【0037】
次に上記実施形態に係る光学式測定装置10を用いた穴51の傾斜角度(プローブ15の軸線方向に対する穴の傾斜角度)θの測定手順について説明する。測定手順の概要は図7のフローチャートに示しており、コンピュータはこのフローチャートの各ステップを実行するためのデータが格納されたROMを備えている(図示略)。以下、図7のフローチャート及び図8に従って説明する。なお、穴51の内径の測定は穴51内の異なる2箇所の深さ位置における穴51の内壁面52を円周とする仮想円の方程式を得ることにより行う。
【0038】
ステップ1(S1)
まず、コンピュータは駆動手段を駆動させてプローブ15を穴51内部の第一測定位置101へと移動させる(図8の実線にて示す位置)。測定対象となる穴51は加工用データに基づいて深さ、内径等が設定されており、穴51の形状を正確に測定するために第一測定位置101においてプローブ15の軸線方向が穴51の形成方向とほぼ平行となるようにしておく方が好ましい。なお、第一測定位置101は穴51の内部であればその深さは限定されないが、穴51の下端に近いとプローブ15がさらに移動することができなくなる。ただし、この場合にはこの次の測定の際に上方に移動させた位置にて測定すればよい。
【0039】
ステップ2(S2)
第一測定位置101へ移動した後に穴51の形状(内径)を算出するための座標測定を行う。穴51の内径を測定する段階では穴51の中心および半径はいずれも判明していない。このため、第一測定位置101において、同位置にあるプローブ15のうち基本光αの経路上におけるプローブの軸心gを座標原点(X=0,Y=0)とした場合の、同位置における穴51の内壁面52の円周上の異なる3箇所の座標を測定する。なお、この場合の座標は受光面34の座標と同じ座標が示されたマップを用いてもよいし、異なるマップを用いてもよい。測定対象となる3箇所の座標は第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b、第三測定ユニット17cを順次作動させて行う。測定ユニット17を個別に作動させるのは、受光素子27が受光面34にて受光した光の重心座標を出力する機能を有するため、複数の測定ユニット17を同時に作動させると、受光素子27には同時に3箇所に結像点34bが形成されることとなる。受光素子27はその結果として3箇所の結像点34bの重心となる一点の座標を出力することになってしまうからである。
【0040】
以下、第一測定ユニット17aを用いた測定方法を例に説明する。
まず、結像レンズ26の中心点26aを通り、プローブ15の軸線hに平行な仮想線nを想定する(図6)。仮想線kはプローブ15の軸線hに直交することから、仮想線kは仮想線nに対しても直交する関係にある。穴51の内壁面52に到達した基本光αは反射位置52aにおいて散乱光として反射し、その散乱光の一部は反射光βとして結像レンズ26を通って受光面34上に結像する。この反射光βのうち結像レンズ26の中心点26aを通る光軸を仮想線pとする。
【0041】
ここで、図6において仮想線kと仮想線nとの交点を点Bとし仮想線nと受光面34上の仮想線mとの交点を点Dとする。また基本光αの反射位置52aを点A、結像レンズ26の中心点26aを点Oとし、反射光βの受光面34上の結像点34bを点Cとすると、同一平面上に三角形OABと三角形OCDの2つの直角三角形を形成することができる。
【0042】
この三角形OABと三角形OCDのそれぞれ点Oを頂点とする内角は対角であるため同じ角度であり、また点B、点Dをそれぞれ頂点とする内角はいずれも直角であるため、二組の角が等しい三角形となり、三角形OABと三角形OCDは相似条件を満たす。また、辺OBは距離a、辺ODは距離bに設定されているため、相似条件により辺OAの距離:辺OCの距離=距離a:距離bの関係が成立する。
【0043】
一方、辺ABは仮想線kの一部であるから、アパーチャ30の表面から反射位置52a(点A)までの距離をL、軸線hからアパーチャ30表面までの距離を距離r、軸線hから結像レンズ26の中心点26a(点O)までの距離を距離cとすると、辺ABの距離はL+r−cにて表すことができる。このうち、距離r及び距離cは予め距離が特定されている。他方、辺DCは、仮想線kと平行な仮想線m上の一部であり、受光面34上の軸線hから点Dまでの距離は軸線hから結像レンズ26の中心点26aまでの距離(=距離c)に等しい。また、辺DCの距離は、座標の正負を考慮した場合、軸線hから結像レンズ26の中心点26aまでの距離cから、軸線hから点Cまでの距離sを除したものであるから、辺DCの距離=距離c−距離sにて表すことができる。
【0044】
そして、前記の三角形の相似条件から、L+r−c:c−s=a:bの関係が成り立つ。この式を展開すると、以下の式(1)となる。
【0045】
[数1]
L=a(c−s)/b−(r−c)・・(1)
この式の右辺において距離a,距離b,距離c,距離rはいずれも距離が判明しており、距離sのみが変化する値である。したがって、距離sを求めることにより上記式を用いて距離Lを求めることができる。ここで、距離Lと距離sとの関係は上記式(1)にて示したように1次の直線となるから、式(1)を距離sで微分して得られる距離sの微小変化dsに対する距離Lの微小変化dLの割合、すなわち受光素子27における検出感度は、dL/ds=−a/bと一定となり、距離L、距離sに依存しない。
【0046】
距離sは受光面34上の原点34aから結像点34b(点C)までの距離(ただし、Y座標が負の時は距離sは負の値)であり、結像点34b(点C)は座標(0,Y1)にて特定されるため、s=Y1として特定することができる。これにより求めたsの値を上記式に代入することにより、アパーチャ30表面から穴51の内壁面52である反射位置52aまでの距離L、さらには反射位置52aの座標値(X11,Y11)を測定することができる。第一測定ユニット17aによる測定にて求められた第一測定位置101での反射位置52aの座標(X11,Y11)は、コンピュータのRAM(図示略)に格納される。
【0047】
第一測定位置101における仮想円である第一仮想円R1の式を求めるには異なる3箇所の座標が必要であるため、同様の手順にて第二測定ユニット17b、第三測定ユニット17cを順次作動させて異なる二つの反射位置52aの座標値(X12,Y12)(X13,Y13)を求める。このうち、第二測定ユニット17bは、第一測定ユニット17aに対して軸線hを中心として図4中時計回りに120度回転させた位置に配置されている。このため、第二測定ユニット17bによる受光面34上の結像点34bの軌跡は原点34aを通りY軸に対して時計回りに120度傾いた直線(Y=−1/√3X)上に形成される(図5にて二点鎖線で示す)。
【0048】
また、第三測定ユニット17cは、第一測定ユニット17aに対して軸線hを中心として図4中反時計回りに120度回転させた位置に配置されていることから、第三測定ユニット17cによる受光面34上の結像点34bの軌跡は原点34aを通りY軸に対して反時計回りに120度傾いた直線(Y=1/√3X)上に形成される(図5にて破線で示す)。そして、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17cを用いてそれぞれ測定した受光面34上の結像点34b(点C)の座標値(X12,X12)、(X13,X13)は、いずれも反射位置52aがプローブ15に近い場合にはそのY座標値が小さく反射位置が離れるにしたがってY座標値が大きくなる。
【0049】
したがって、第二測定ユニット17b並びに第三測定ユニット17cの結像点34b(点C)の座標値に基づくそれぞれの距離sは、以下の式(2)又は式(3)にて求めることができる。
【0050】
[数2]
Y>0のとき s=−√(X2+Y2)・・(2)
Y≦0のとき s=√(X2+Y2)・・(3)
上記の式により求められた距離sを式(1)に代入することにより、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17cにおけるアパーチャ30の表面から各反射位置52aまでの距離Lをそれぞれ求めることができ、更には第一測定位置101での各反射位置52aの座標値(X12,Y12)(X13,Y13)を求めることができる。この座標値もコンピュータのRAM(図示略)に格納される。
【0051】
ステップ3(S3)
上記ステップ2により求めた穴51の内壁面52の3箇所の座標値に基づいて第一仮想円R1の式を算出する。まず、既に求めた3つの反射位置52aの座標値(X11,Y11)(X12,Y12)(X13,Y13)のうち任意の2点の座標値(Xi,Yi)、(Xi+1,Yi+1)を、下記式(4)の円の方程式に代入する。なお、本実施形態では、穴51の断面形状を略真円と仮定する。
【0052】
[数3]
(X−Cx)2+(Y−Cy)2=R2・・(4)
X,Y:反射位置の座標値
Cx,Cy:円の中心
R:円の半径
そして、各座標値をそれぞれ代入した後に得られた双方の式を減算し、Cx,Cyについて整理すると、下記式(5)が得られる。なお、n点(本実施形態では3点)の測定結果においては、式(5)が(n−1)個得られる。
【0053】
[数4]
2(Xi+1−Xi)Cx+2(Yi+1−Yi)Cy=
Xi+12−Xi2+Yi+12−Yi2・・(5)
ここで、式(5)を下記の式(6)〜(8)のようにおくと、
【0054】
[数5]
Ai=2(Xi+1−Xi)・・(6)
Bi=2(Yi+1−Yi)・・(7)
Ki=Xi+12−Xi2+Yi+12−Yi2・・(8)
(但し1≦i≦n−1)
上記式(5)は、下記の式(9)のように表される。
【0055】
[数6]
AiCx+BiCy=Ki・・(9) (但し1≦i≦n−1)
なお、n点(本実施形態では3点)の測定結果からは、(n−1)個の式(9a)及び式(9b)が得られる。
【0056】
[数7]
AiCx+BiCy=Ki・・(9a)
Ai+1Cx+Bi+1Cy=Ki+1・・(9b)
上記式(9a)と(9b)の連立方程式から次式(10)(11)により穴の中心座標(Cx,Cy)を求めることができる。
【0057】
[数8]
Cx=(BiKi+1−Bi+1Ki)/(BiAi+1−Bi+1Ai)・・(10)
Cy=(AiKi+1−Ai+1Ki)/(AiBi+1−Ai+1Bi)・・(11)
但し、i=1である。これにより、第一仮想円R1の中心座標が求められる。そして、この中心座標を決定した後、下記式(12)により各反射位置の座標値に対応したRiを求め、その平均値を仮想円の半径の測定値Rとする。
【0058】
【数9】
【0059】
但し、Σの範囲は1≦i≦nである。このようにして仮想円の半径を求めることで、穴の内径(仮想円の直径)が算出される。したがって、円周上の3箇所の異なる座標を得ることができれば上記円の方程式の3つの定数を算出することができる。算出した第一仮想円R1の式はコンピュータのRAMに格納される。
【0060】
ステップ4(S4)
ステップ4において、コンピュータは駆動手段を駆動させてプローブ15を第二測定位置102(図8の二点差線で示す位置)へと移動させる。この第二測定位置102は第一測定位置101におけるプローブ15をその軸線h上に穴51の深さ方向Fへ向けて所定距離tだけ移動させた位置である。
【0061】
ステップ5(S5)
プローブ15を第二測定位置102へ移動した後には同位置における穴51の形状を測定する。この測定方法はステップ2の測定方法と同じであり、第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17cを順次動作させてこの第二測定位置102における穴51の内壁面52の異なる3箇所の座標値(X21,Y21)(X22,Y22)(X23,Y23)を測定する。
【0062】
ステップ6(S6)
上記ステップ5により求めた第二測定位置102における穴51の内壁面52の3箇所の座標値に基づいて第二仮想円R2の式を算出する。算出方法はステップ3と同じであり、算出した第二仮想円R2の式はコンピュータのRAM(図示略)に格納される。
【0063】
ステップ7(S7)
コンピュータは、ステップ3で求めた第一仮想円R1とステップ6で求めた第二仮想円R2の式をRAMから読み出して穴51の傾斜角度θを演算する。すなわち、プローブ15の軸線方向に対する穴51の傾斜角度θは第一仮想円R1の中心座標と第二仮想円R2の中心座標とを結ぶ線により求めることができる。ここで、穴51の傾斜角度θが零で、内壁面52がプローブ15の軸線方向と一致する場合には、第一仮想円R1の中心座標と第二仮想円R2の中心座標とは一致するはずである。一方、第一測定位置にて求めた第一仮想円R1の中心座標に対して第二測定位置にて求めた第二仮想円R2の中心座標が一致しない場合(図8に示す状態)には、プローブ15の軸線方向に対して穴51が傾いていることになる。このため、第一仮想円R1の中心座標と第二仮想円R2の中心座標とプローブ15の距離tとの関係から穴51の傾斜角度θを算出することができる。
【0064】
上記実施形態の光学式測定装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
* 本実施形態の光学式測定装置では各測定ユニット17(17a,17b,17c)から基本光αを穴51の内壁面52に対して照射することで各反射位置52aの座標値を求め、穴51の内部における任意の箇所で1つの仮想円を同定することにより穴51の内径が測定される。特に、測定ユニット17を構成する照射部19、導入部20、受光部21のうち照射部19を導入部20、受光部21よりもプローブ15の先端側に配置しているため、プローブ15の先端に近い箇所から基本光αを照射させることができる。このため、プローブ15の先端近くの穴51の内径を測定することができ、穴51の底部近くも測定することができる。
【0065】
* 基本光αの経路上にボールレンズ24の光軸が位置するよう配置しているため、光ファイバー22から出た光(基本光α)が拡散してもボールレンズ24を通過することにより集光された状態でプローブ15の外部へ照射することができる。また、ボールレンズ24は光軸がプローブ15の軸線hに直交する面として存在するため、測定ユニット17をプローブ15の軸線hに対して位相を異ならせて配置しても1つのボールレンズ24にて対応することができる。
【0066】
* 光ファイバー22の先端を軸線方向に対して斜め45度にカットし全反射による反射面31とし、基本光αの照射方向を光ファイバー22の延伸方向に拘わらず目的に方向に変更している。このため、プローブ15の先端に反射ミラー等の照射方向を変更するための別部材を設置する必要がなく、その分プローブ15のうち穴内へ挿入させる部分である外筒16を小型化することができる。
【0067】
* プローブ15の軸線方向に対して直交する方向に基本光を照射して散乱光を集光するため、深穴の入り口からの測定位置が固定される。また散乱光を集光しているため、加工による対象物の傾斜角に影響されない。
【0068】
* 3組の測定ユニット17(第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17c)を有しており、これらが順次動作することにより穴51の内径を測定することができる。このため、プローブ15を特定の測定位置にて固定した状態で同位置での穴51の内径を測定することができ、プローブ15を回転等させる必要がない。
【0069】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 基本光αの収束のためにボールレンズ24を使用したが、プローブ15の軸線hと直交する平面上に光軸を有するものであればその形状を変更してもよい。例えば、ボールレンズ24のうちレンズとして機能しない上下端をカットして図9のような形状としてもよい。これによってさらにプローブ15の先端に近い箇所から基本光αを照射させることができる。
【0070】
○ 上記実施形態ではレーザダイオードを備えた発光ユニット60によりレーザ光を伝達させて基本光αとして使用していたが、レーザ以外の光でもよい。
○ 上記実施形態ではプローブ15に測定ユニット17を3組(第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17c)備えていたが、少なくとも1組の測定ユニット17を備えていれば足りる。なお、穴51の内径を測定するためには少なくとも異なる3箇所の内壁面の座標が必要となる。プローブ15内に配置されている測定ユニット17が2組以下のときにはプローブ15を固定したままでは異なる2箇所の座標しか得られないため、プローブ15を回転させて少なくとも異なる3箇所の内壁面の座標を得る必要がある。
【0071】
○ 上記実施形態では、穴51内においてプローブ15の軸線方向における異なる2箇所にてそれぞれ仮想円を求めることにより穴51の傾斜角度を算出した。これに対して、穴51の傾斜角度ではなく穴51内の特定箇所における内径や中心座標を求める場合には一箇所のみの測定でたりる。
【0072】
○ 微細加工が必要な光ファイバー22の先端に形成する反射面31に変えて光ファイバー22の先端に別体の反射ミラーを設けてもよい。反射ミラーを設けることにより部品数の増加、大径化の要因となるが、小径化の必要がないプローブ15に対しては有効となる。
【0073】
○ プローブ15の挿入部の径は基端から同一でなくてもよい。例えば受光素子の配置箇所より先端側をより小径にすることもできる。これにより、プローブ15の先端がより小径化され、先端が穴51の内壁面52に接触しにくくなる。
【0074】
第2の実施形態
次に、本発明を具体化した光学式測定装置10の第2の実施形態を図10〜図11にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の受光部21の構成を変更したのみであるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0075】
第2の実施形態の光学式測定装置10は、第1の実施形態と同様にアーム部材13のハウジング14を含むプローブ15を備えている。プローブ15内に配置される照射部19と導入部20の構成は第1の実施形態と同じであり、これらがプローブ15の先端に配置された測定ユニット用アダプタ18に組み込まれている。なお、図示しないが第2の実施形態においても測定ユニット17はプローブ15の軸線hを中心として周方向に120度ずつ位相を異ならせて3組(第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17c)配置されている。一方、第1の実施形態と相違しているのはこれら測定ユニット17における受光部21の構成である(図10、図11)。なお、第1の実施形態同様に測定ユニット17の具体的説明は第一測定ユニット17aについてのみ行うものとする。
【0076】
第2の実施形態では受光部21は、透過型スクリーンであるリアスクリーン36と、光伝達手段としてのリレーレンズ37と、受光素子27とから構成される。図10にプローブ15の断面図を示すように、外筒16内に嵌入されている測定ユニット用アダプタ18の周壁33に当接してリアスクリーン36が配置されている。このリアスクリーン36は外筒16内径と同径の円形に形成され、外筒16内部を軸方向に仕切るようにプローブ15の軸線hと直交する平面上に配置されている。また、リアスクリーン36が配置されているのはプローブ15の軸線方向において結像レンズ26の結像点が形成される箇所であり、前記第1の実施形態における受光面34と同一面上となる。ただし、外筒16内に配置されている光ファイバー22との干渉を防止するため、リアスクリーン36の周縁のうち測定ユニット用アダプタ18に形成されている案内溝29に対応した位置(3箇所)にはコ字状の切り欠き36aが形成されている。
【0077】
また、リアスクリーン36の基端側には内筒38が収容されている。この内筒38は外筒16より小径の円筒状に形成されており、内筒38の基端はハウジング14に形成された装着フランジ14bに内嵌され、また先端がリアスクリーン36に当接した状態で固定されている。したがって、外筒16内周面と内筒38外周面との間はハウジング14の装着フランジ14bの厚み分だけ離間している。なお、装着フランジ14bには120度間隔で周方向の3箇所に軸方向にわたるコ字状の貫通溝39が形成されており、これらの貫通溝39はハウジング14を貫通してハウジング14内部に連通している。
【0078】
リレーレンズ37はプローブ15のうちリアスクリーン36と受光素子27との間に装着されている。このリレーレンズ37は凸レンズと凹レンズとを組み合わせたタブレットレンズであり、その光軸がプローブ15の軸線と一致するように配置されており、リアスクリーン36を透過した光を受光素子へと伝達する機能を有している。また、リレーレンズ37は、プローブ15の軸線方向においてリアスクリーン36からリレーレンズ37の中心点37aまでの距離と、リレーレンズ37の中心点37aから受光素子27の受光面34までの距離は光学距離が等しくなるように配置されている。リレーレンズ37の焦点距離は、測定対象として想定する穴の深さに見合ったプローブの必要長さにより選定する。ただし、原理上、リレーレンズ37の焦点距離が長くなるにともなって受光素子27の上に結像する像が暗くなる。
【0079】
受光素子27はプローブ15のハウジング14内において開口14aに対向して配置されている。受光素子27はその受光面34がプローブ15の軸線hと直交する面と平行になるよう図示しないブラケットによりハウジング14に取り付けられている。また、第1の実施形態と同様に受光面34上の座標の原点(X0,Y0)はプローブ15の軸線h上に設定されており、受光面34のY軸は仮想線k(図6参照)と平行となるように配置している。一方、第1の実施形態とは異なりY軸は第一測定ユニット17aにおける結像レンズ26に近い側が負の値となるように配置しており、これによりX軸の正負の向きも逆となっている。なお、受光素子27が図示しないコンピュータに電気的に接続されていることは第1の実施形態と同様である。
【0080】
第2の実施形態では、照射部19と導入部20の構成は第1の実施形態と同様であるためその作用の説明は省略し、第1の実施形態と相違する受光部21の作用について説明する。図11に示すように照射部19によって照射された基本光αは、穴51の内壁面52にて乱反射され、そのうちの一部の反射光βが反射光導入孔25を経てプローブ15内部に導入される。この反射光βは結像レンズ26によって集光された状態でリアスクリーン36上に結像するとともに、反射光βの一部がリアスクリーン36を厚み方向に透過してリアスクリーン36の裏面側である内筒38内へと浸入し、リアスクリーン36の裏面に輝点36bが生ずる。
【0081】
内筒38内ではリアスクリーン36と受光素子27との間にリレーレンズ37が配置されているため、リアスクリーン36裏面に生じた輝点36bの実像(これを結像点34bという。)がリレーレンズ37を介して受光素子27の受光面34上に形成される。この結像点34bの位置は途中のリレーレンズ37の作用により得られるものであることから、受光面34上に形成される結像点34bの座標はリアスクリーン36上の輝点36bの位置に対してリレーレンズ37の光軸を中心とした点対称の位置となる。受光素子27は第1の実施形態に対して受光面34の原点34aを中心としてY軸の正負及びX軸の正負の向きが逆となるように配置しているため、受光面34上に形成される結像点34bの座標は第1の実施形態と変わらない。
【0082】
このため、第1の実施形態と同様の測定式を利用することにより基本光αが照射した穴51の内壁面52の座標を求めることができ、3つの測定ユニット17a〜17cを順次作動させて、測定箇所における穴51の内壁面52の座標に基づき円の内径を求めることができる。
【0083】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
* 受光素子27をプローブ15のハウジング14内に配置し、外筒16内に配置していないため、挿入部である外筒16の径が受光素子27の大きさによる規制を受けない。したがって、外筒16を小径化することができる。
【0084】
* リアスクリーン36と受光素子27の間に光伝達手段としてのリレーレンズ37を介在させているため、リアスクリーン36の輝点36bの実像となる結像点34bを受光面34上に形成することができる。
【0085】
なお、本実施形態は第1の実施形態にて述べた変更に加え、以下の様に変更してもよい。
○ 受光素子27は、プローブ15のうち非挿入部であるハウジング14内に配置したが、これに拘わらず受光素子27をプローブ15の外筒16内に配置してもよい。例えば、プローブ15の外筒16径を小さくする必要がないときなどは受光素子27の配置を外筒16内(第1の実施形態)または外筒16外(第2の実施形態)のいずれでも選択することができ、受光素子27の配置について設計の自由度が上がる。
【0086】
○ リレーレンズ37として使用したタブレットレンズを非球面レンズとしてもよい。
第3の実施形態
第3の実施形態では第2の実施形態に比して、内筒38内の構成が異なっている。第2の実施形態ではリアスクリーン36と受光素子27との間に光伝達手段としてタブレットレンズからなるリレーレンズ37を配置していた。これに対して、第3の実施形態では図12に示すように、光伝達手段として内筒38内に先端側のタブレットレンズである第1リレーレンズ40と基端側のタブレットレンズである第2リレーレンズ41の2つのリレーレンズを配置している。
【0087】
光伝達手段である第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41の配置については、リアスクリーン36から第1リレーレンズ40までの距離は第1リレーレンズ40の焦点距離に等しい位置に配置され、また、第2リレーレンズ41から受光面34までの距離も第2リレーレンズ41の焦点距離に等しい位置に配置されている。第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41の距離は、第1リレーレンズによりコリメートされた光線となることと、第2リレーレンズ41と受光面34は無限遠に設定されているため、任意に設定することができる。
【0088】
従って、第3の実施形態によれば、第2の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(1)第3の実施形態では、リアスクリーン36から受光素子27の間に第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41とを介在させている。したがって、第2の実施形態よりもリアスクリーン36と受光素子27との間の距離を長くしても受光素子27上に結像点34bを形成することができ、プローブ15のうち挿入部である外筒16の長さを長くすることができる。
【0089】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41として使用したタブレットレンズを非球面レンズとしてもよい。
【0090】
○ 光伝達手段として、第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41の変わりに、イメージコンジットやロッドレンズ等を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】第1の実施形態の光学式測定装置を示す概略図。
【図2】同光学式測定装置を示す部分拡大概略図。
【図3】プローブ内部の断面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】受光面上の結像点の軌跡を示す模式図。
【図6】穴内部の測定方法を示す概略図。
【図7】穴内部の測定方法を示すフロー図。
【図8】穴内部の測定方法を示す説明図。
【図9】第1の実施形態の別例を示すプローブの断面図。
【図10】第2の実施形態のプローブ内部の断面図。
【図11】第2の実施形態の穴内部の測定方法を示す概略図。
【図12】第3の実施形態のプローブ内部の断面図。
【符号の説明】
【0092】
α・・基本光、β・・反射光、h・・軸線、10・・光学式測定装置、14・・ハウジング(非挿入部)、15・・プローブ、16・・外筒(挿入部)19・・照射部、20・・導入部、21・・受光部、22・・光ファイバー、24・・ボールレンズ、26・・結像レンズ、27・・受光素子、30・・アパーチャ、31・・反射面、34・・受光面、34a・・結像点、37・・リレーレンズ(光伝達手段)、40・・第1リレーレンズ(光伝達手段)、41・・第2リレーレンズ(光伝達手段)、50・・被測定物、51・・穴、52・・内壁面、52a・・反射位置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシリンダブロック等の鋳物類や、種々の機械加工品等に設けられた穴の内径を測定する光学式測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穴の内径を測定する光学式測定装置として散乱光を用いた非接触式のプローブを有する光学式測定装置がある(特許文献1)。この光学式測定装置は、プローブの基体の内部に発光ダイオードと、穴内壁面で反射した散乱光を透過させるピンホールと、この散乱光を受光する一次元位置検出素子(Position Sensitive Detector=PSD)とが収容されている。そして、このPSD上における散乱光の受光位置に基づいて仮想円を求めることで穴の内径や傾きを算出することができる。
【特許文献1】特開2007−24646号公報
【特許文献2】特開平7−260439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に示した光学式測定装置のプローブでは、プローブの先端にPSDが配置され、このPSDより基端側に発光ダイオードが配置されている。穴の内径が測定される対象箇所はプローブの軸線に直交し、発光ダイオードが位置する平面上であるため、かかる構成では、プローブの先端における穴の内径を測定することはできない。
【0004】
また、上記特許文献2に示した内側測定装置のケーシングでは、プローブの先端に反射光をプローブ内に導入させる導入部のレンズ及び反射用の平面鏡が配置されているため、同様にケーシング先端における穴の内径を測定することができない。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明は、プローブのより先端側にて穴の内径を測定することができる光学式測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被測定物に設けられた穴の内径を測定する光学式測定装置であって、前記被測定物の穴の内壁面に向けて基本光を照射する照射部と、前記内壁面で反射された散乱光をプローブ内部に導入させるための導入部と、当該導入部に導入された前記散乱光を受光する受光部とを備えてなる非接触式のプローブと、前記プローブが前記穴の内部に挿入された状態で、前記受光部上における前記散乱光の受光位置に基づき、内壁面の反射位置を円周に含む仮想円を算出する演算手段とを備え、前記照射部を導入部及び受光部よりもプローブの先端側に配置したことを特徴とする光学式測定装置を要旨とする。
【0007】
照射部が、導入部及び受光部よりもプローブの先端側に配置されているため、穴の内壁面に向けて基本光を照射する際に、プローブのより先端側から照射することができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記照射部は、プローブの軸線と直交する方向に基本光を照射するものであり、前記受光部はプローブの軸線と直交する受光面を有する受光素子を備えている請求項1に記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより受光部の受光位置に基づく穴の内径の測定が容易となる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記照射部から照射される基本光の経路上には、同経路上に光軸を有する凸レンズが配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより照射部から照射された基本光が拡散する性質のものであっても比較的集光された状態で穴の内壁面に到達する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記照射部はプローブの軸線を中心として周方向に等間隔で3組設置されており、前記凸レンズはその中心がプローブの軸線と交差する位置に配置されたボールレンズであることを特徴とする請求項3に記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより、プローブの位置を固定させたままでも同箇所における穴の内径を測定することができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記照射部は、プローブの軸線方向に配置され、発光部にて発光された光を伝送する光ファイバーを備えており、その先端は光ファイバーの軸線方向に対して45度の傾斜面に形成され、伝送する光を前記軸線方向に対して直交する方向に射出することを特徴とする請求項1乃至4に記載の光学式測定装置を要旨とする。これの傾斜面により光をプローブの軸線方向に配置された光ファイバーからプローブの軸線方向に直交する方向に光を照射することができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記受光部は、光透過性スクリーンと、光透過性スクリーンに対してプローブの軸線方向に離間して配置された受光素子と、前記光透過性スクリーンと受光素子と間に配置された散乱光伝達手段を備え、前記光透過性スクリーンを透過した前記任散乱光は、光伝達手段を介して前記受光素子上に受光するものである請求項1〜5のいずれかに記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより受光素子をプローブ先端から離間させて配置することができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記受光素子は、プローブ基端側のうち穴内部に挿入されない非挿入部に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光学式測定装置を要旨とする。これにより、受光素子を穴内部に挿入する部分に配置する必要がない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プローブのより先端側にて穴の内径を測定することができる光学式測定装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の実施形態
以下、本発明を具体化した光学測定装置の第1の実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の光学式測定装置10は、基台11と、同基台11に軸支されてなるアーム部12とを備えており、アーム部12は、複数(本実施形態では3つ)のアーム部材13が互いに回動自在に軸支されてなるものである。これら複数のアーム部材13のうち最も先端側に配設されたアーム部材13は先端にハウジング14を含み被測定物50の穴51内に挿入される部分を有する非接触式プローブ(以下、単にプローブという)15が設置されている(図2参照)。また、光学式測定装置10は制御手段及び演算手段としてのコンピュータとコンピュータに電気的に接続されプローブ15を3次元方向に移動また軸周りに回転させる駆動手段としてのモータを備えている(いずれも図示略)。そして、プローブ15を、シリンダブロック等の被測定物50に形成された穴51(シリンダ)の内部において所定方向へ移動させることで、その穴の内部形状(本実施形態では、穴51の内径、傾斜角度)を測定することができる。
【0016】
ハウジング14の先端面にはハウジング14内外を連通する円形の開口14aが形成されている。この開口14aの周囲には円筒形状の装着フランジ14bが形成されている。また、ハウジング14内部にはレーザダイオード及びコンデンサレンズを備えた発光部としての発光ユニット60が3組設置されている(図3では1組のみ図示)。この発光ユニット60は図示しないコンピュータに電気的に接続されており、同コンピュータからの制御により発光を行う。
【0017】
プローブ15のうちのハウジング14は穴51の内部に挿入されない非挿入部であり、このハウジング14には穴51の内部に挿入される外筒16、及び外筒16内の先端に収納された測定ユニット17とが取着されている。外筒16は金属材料により中空円筒状に形成されており、この外筒16がプローブ15のうち被測定物50に形成された穴51の内部に挿入される挿入部となる。外筒16の基端部(図3中右側)は開口されており、この基端部がハウジング14に形成された装着フランジ14bに外嵌されて固定されている。また、外筒16の先端は閉塞されて蓋部16aとなっており、この蓋部16aから基端部寄りの外筒16の外周面上には外筒の軸線方向に延びる矩形窓16bが形成されている。この矩形窓16bは外筒16の外周面上に周方向に等間隔(120度間隔)で3箇所形成されている。
【0018】
なお、プローブ15、特に外筒16部分の横断面における中心をプローブ15の軸心g(図4参照)、同様にこの軸心gを通り外筒16の軸方向に延びる線をプローブ15の軸線h、軸線hの延びる方向(外筒16の延伸方向)をプローブ15の軸線方向という。
【0019】
本実施形態では、プローブ15の外筒16内に3組の測定ユニット17(第1測定ユニット17a、第2測定ユニット17b、第3測定ユニット17c)が配置されており、それぞれの測定ユニット17はいずれも測定ユニット用アダプタ18に配置されている。各測定ユニット17は、照射部19、導入部20及び受光部21を有している。このうち、照射部19は光ファイバー22、導光管23、ボールレンズ24により構成され、導入部20は反射光導入孔25、結像レンズ26により構成され、受光部21は受光素子27から構成される。
【0020】
これら測定ユニット17を構成する各部材のうち、光ファイバー22、導光管23、反射光導入孔25、結像レンズ26は各測定ユニット17が独立して個々に有する構成である。一方、ボールレンズ24及び受光素子27は全測定ユニット17a〜17cにて共用しているため、プローブ15に配置される測定ユニット17の数(3組)にかかわらず1つずつしか備えていない。各測定ユニット17a〜17cはそれぞれプローブ15の軸線hを中心として周方向に等角度間隔(120度間隔)となるように測定ユニット用アダプタ18に配置されている。
【0021】
測定ユニット用アダプタ18は、略円柱形に形成され、外筒16内に挿入可能な大きさを有している。測定ユニット用アダプタ18が外筒16に内嵌された状態ではその先端は外筒16の蓋部16a内面に当接している。測定ユニット用アダプタ18の先端面にはプローブの軸心gを中心とした円形の収容孔28がプローブ15の軸線方向に向けて穿設されている。この収容孔28は直径と深さが略同一に形成されている。収容孔28内には、ボールレンズ24が外筒16の蓋部16a内面と収容孔28の底面とに当接されて移動不能に配置されている。このボールレンズ24は球状に形成された凸レンズであり、その光軸がプローブ15の軸線hに直交する仮想線k上に位置するように配置されている。なお、このボールレンズ24は球状であるため、その光軸はプローブ15の軸線hに直交し、同軸線hを中心とする360度の範囲に亘る平面として存在する。
【0022】
測定ユニット用アダプタ18には導光管23が3本形成されている。各導光管23は測定ユニット用アダプタ18内を貫通する断面円形の穴であり、各導光管23の軸線は前記ボールレンズ24の光軸と一致する。各導光管23の一部分は収容孔28内を通過している。
【0023】
また、各導光管23の両端部は測定ユニット用アダプタ18の外周面に開口している。3本の導光管23はプローブ15の軸心gを中心として周方向に120度ずつ角度を異ならせて形成されている。各導光管23のうち一方の端部は、穴の径が一定のまま測定ユニット用アダプタ18の外周面に開口しており、測定ユニット用アダプタ18の外周面にはこの開口を始点としてプローブ15の軸線方向の基端側へ向かうコ字状の案内溝29が形成されている。また、導光管23の他方の端部は、測定ユニット用アダプタ18の外周面に到達する直前に穴の径が小さくなったアパーチャ(ピンホール)30が形成されており、導光管23はこのアパーチャ30を介して外周面に開口している。したがって、測定ユニット用アダプタ18の外周面には周方向に60度間隔にて案内溝29とアパーチャ30が交互に形成されていることとなる(図4)。
【0024】
測定ユニット用アダプタ18の外周面に形成された3箇所の案内溝29にはプローブ15の基端側から延びる光ファイバー22が収容されている。光ファイバー22は、中心のコア層22aとコア層22aの外周を覆うクラッド層22bとから構成されている(図示略)。光ファイバー22の基端はアーム部材13の発光ユニット60に連結されており、この発光ユニット60にて発光された光が光ファイバー22のコア層22a内を通ってプローブ15の先端側へと伝送される。一方、光ファイバー22の先端はその軸線方向に対して斜め45度にカットされた傾斜面となっており、光学的な全反射を利用した反射面31が形成されている。光ファイバー22の反射面31は、その反射面が導光管23の開口に臨み、かつボールレンズ24の光軸上に位置するように配置されている。したがって、光ファイバー22のコア層22a内を伝送されてきた光は反射面31によりその進行方向が90度変更され、導光管23内をボールレンズ24の光軸に沿って進むこととなる。なお、ボールレンズ24の中心点(中心)24aからアパーチャ30までの長さとボールレンズ24の中心点24aから反射面31までの長さとは等しく設定されている。
【0025】
測定ユニット用アダプタ18において、各アパーチャ30よりプローブ15の軸線方向の基端側には反射光導入孔25が形成されている。各反射光導入孔25は測定ユニット用アダプタ18の外周面から測定ユニット用アダプタ18の基端部側に向けて測定ユニット用アダプタ18内を貫通形成された断面円形の穴であり、反射光導入孔25はプローブ15の軸線hに対して傾斜して形成されている。反射光導入孔25の基端部側開口には凸レンズである結像レンズ26が設置されている。この結像レンズ26はその光軸が反射光導入孔25の軸線と一致するように配置されている。結像レンズ26の光軸は、ボールレンズ24の光軸とプローブ15の軸線hとにそれぞれ交差している。したがって、ボールレンズ24の光軸と結像レンズ26の光軸とプローブ15の軸線hとにより三角形が形成される。特に、ボールレンズ24の光軸とプローブ15の軸線hとは直交しているため、この三角形は直角三角形となる。
【0026】
測定ユニット用アダプタ18の基端部は、その軸心gを中心として先端部側から基端部側に向かうにつれて順次径が広くなる逆円錐状部32が形成されており、その外周縁には周壁33が形成されている。反射光導入孔25は測定ユニット用アダプタ18の基端部側においてこの逆円錐状部32に開口している。
【0027】
測定ユニット用アダプタ18の基端部の周壁33に当接して受光素子27が配置されている。この受光素子27は、二次元半導体位置検出素子(Position Sensitive Detector=PSD)であり、光を検知する受光面34と、受光面34に接続されポインティングワイヤや端子ピン(図示略)を備えた基部35とから構成されている。受光素子27は図示しないブラケットにより測定ユニット用アダプタ18の基端部の周壁33端縁に当接した状態で固定されるとともに、コンピュータに電気的に接続されている(図示略)。受光素子27は、その受光面34がプローブ15の軸線hと直交する面と平行に測定ユニット用アダプタ18基端部の逆円錐状部32に対向して設置されている。また、受光面34は結像レンズ26の中心点26aからプローブ15の軸線方向において距離b離間している。
【0028】
この受光素子27は、受光面34上に結像した光の重心位置(受光位置)をX軸及びこれに直交するY軸上の座標(X,Y)として電気信号に変換し出力することができ、このような受光素子27は既存製品の二次元PSDを用いればよく、例えば浜松ホトニクス株式会社の型式名S7848−01がある。また、受光面34上の座標の原点(X0,Y0)はプローブの軸線h上に設定されており、受光面のY軸は仮想線kと平行に、かつY軸は第一測定ユニット17aにおける結像レンズ26に近い側が正の値となるように配置している。受光面34上の結像に基づいて受光素子27から出力された電気信号はポインティングワイヤ及び端子ピンを経て、図示しない電気回線を通じてコンピュータに入力され原点(X0,Y0)から受光位置までの距離sが算出される。なお、この距離sは受光面34の原点(X0,Y0)を中心として前記結像レンズ26側にて結像される場合には正の値(+)として算出され、結像レンズ26の反対側にて結像される場合には負の値(−)として算出される。
【0029】
このように受光素子27は、受光面34上にて結像した光の重心位置の座標を電気信号として出力するものであるため、拡散した光として結像されると座標の特定に誤差が生じやすくなる。したがって、受光素子27上に結像される光はその面積が小さいことが好ましく、そのためには結像レンズ26として受光素子27上に焦点が合わせられている焦点距離を有するものを用いることが好ましい。具体的には、焦点距離fは、1/f=1/a′+1/b′(a′は反射位置52aから結像レンズ26の中心点26aまでの距離、b′は結像レンズ26の中心点26aから受光面34の原点34aまでの距離)として特定することができるため、a′及びb′の値に基づいて結像レンズ26の焦点距離fを定めることができる。
【0030】
以下、本実施形態の測定ユニット17において、光ファイバー22内を伝送されてきた光がプローブ15から照射され、穴51の内壁面52に到達し、そこで生じた散乱光が受光素子27上に結像されるまでの経路を図6等に基づいて説明する。なお、図6は説明の便宜上3組の測定ユニット17a〜17cのうち第一測定ユニット17aのみを図示した模式図である。一方、第二測定ユニット17b、第三測定ユニット17cについても第一測定ユニット17aに対してプローブ15の軸線hを中心として角度を120度ずつ異ならせて配置されているのみであって光の経路については同様であるため、その説明を省略する。
【0031】
発光ユニット60から光ファイバー22内のコア層22aを伝送されてきた光は光ファイバー22の先端に到達する(図3)。光ファイバー22の先端は斜め45度にカットされ、反射面31が形成されているため、それまでコア層22a内を伝送されてきた光は、反射面31によりその進行方向を90度換え、光ファイバー22の軸線方向に対して直交する方向へと向かう。光ファイバー22ではコア層22aの周囲をクラッド層22bが覆っており、反射面31によりその向きが変更された光(基本光)はクラッド層22bに直交する方向に進むがその入射角度は全反射角度に比べて遙かに小さい0度付近となる。このため光学的にはクラッド層22bの存在は無視することができ、基本光αはクラッド層22bをそのまま通過して光ファイバー22の外部へと出て行く。
【0032】
この反射面31は、導光管23の開口に臨み、かつボールレンズ24の光軸である仮想線k上に位置するように配置されているため、反射面31を経て光ファイバー22を出た基本光αは導光管23内を仮想線kに沿って進む。そして、基本光αの進路上に配置されているボールレンズ24を通過することにより集束され、その状態でアパーチャ30を通ってプローブ15の外部に放出される。
【0033】
なお、ボールレンズ24は、ボールレンズ24から射出された光線が集光する位置までの長さがボールレンズ24の中心点24aとアパーチャ30との距離よりも長くなるように設定することが好ましく、その長さは本光学測定装置の測定対象として想定する穴の平均半径が一つの目安となる。集光する位置までの長さの具体的距離として、例えばボールレンズ24の屈折率を1.57、直径を2mmとする。そして、ボールレンズ24の中心点24aと光ファイバー22の反射面31(反射面31のうち光ファイバー22を伝送されてきた光が反射され光が射出する位置)の距離、すなわちボールレンズ24の中心点(中心)24aとアパーチャ30との距離を2mmとした場合、射出した光線はボールレンズ24の中心点24aから3.9mmの位置に集光する。
【0034】
アパーチャ30を通ってプローブ15の外へ出た基本光αはボールレンズ24の光軸である仮想線k上を進み穴51の内壁面52に到達する。なお、基本光αが穴51の内壁面52に当たって反射される箇所も仮想線k上にあり、この箇所を反射位置52aという。ここで、反射位置52aを含めた穴51の内壁面52は中ぐり加工等により形成されたものであり、その表面は肉眼では平坦に見えるものの微視的には細かな凹凸が形成されている。したがって、基本光αは反射位置52aにて乱反射され散乱光となる。この散乱光のうち特定の方向に向かった光(この光を「反射光β」という。)は反射光導入孔25を通過して再度プローブ15内部に導入され、結像レンズ26を通って受光素子27の受光面34上に結像される。反射光βが結像レンズ26を通って受光面34上に結像される受光位置を結像点34bという。
【0035】
図6に図示している反射光βは、理解の便宜のため反射位置52aで反射された散乱光のうち特に結像レンズ26の中心点26aを通るもののみを表しており、反射位置52aから結像点34bまでは直線で結ばれる。つまり、受光面34のうち反射位置52aと結像レンズ26の中心点26aと結んで得られる線の延長上に結像点34bが形成されることとなる。結像点34bは反射位置52aと結像レンズ26の中心点26aとを結んだ線上に位置することから、この結像点34bは、受光面34上であって軸線hを通り仮想線kと平行な仮想線m上の何れか一点に形成される。すなわち、第一測定ユニット17aにあっては、プローブ15と反射位置52aとの距離を異ならせた場合に受光面34上に形成される結像点34bの軌跡(以下、単に「結像点34bの軌跡」という。)は受光面34のY軸(X=0)と一致する。図5では、第一測定ユニット17aを用いた場合の結像点34bの軌跡を一点鎖線にて示している。
【0036】
一方、図6に示す反射位置52aに基づいて受光面34上に形成される結像点34bのおおよその位置を図5に示しているが、仮に、反射位置52aが図6に示した位置よりもプローブ15から離間した位置とすると反射光βの光軸は軸線hに対してより大きな角度差を持って結像レンズ26を通ることとなる。このため、その場合の結像点34bは図6に示す結像点34bよりもY座標値が小さい箇所にて形成される(図8に二点差線にて示したプローブ15の結像点34bを参照)。
【0037】
次に上記実施形態に係る光学式測定装置10を用いた穴51の傾斜角度(プローブ15の軸線方向に対する穴の傾斜角度)θの測定手順について説明する。測定手順の概要は図7のフローチャートに示しており、コンピュータはこのフローチャートの各ステップを実行するためのデータが格納されたROMを備えている(図示略)。以下、図7のフローチャート及び図8に従って説明する。なお、穴51の内径の測定は穴51内の異なる2箇所の深さ位置における穴51の内壁面52を円周とする仮想円の方程式を得ることにより行う。
【0038】
ステップ1(S1)
まず、コンピュータは駆動手段を駆動させてプローブ15を穴51内部の第一測定位置101へと移動させる(図8の実線にて示す位置)。測定対象となる穴51は加工用データに基づいて深さ、内径等が設定されており、穴51の形状を正確に測定するために第一測定位置101においてプローブ15の軸線方向が穴51の形成方向とほぼ平行となるようにしておく方が好ましい。なお、第一測定位置101は穴51の内部であればその深さは限定されないが、穴51の下端に近いとプローブ15がさらに移動することができなくなる。ただし、この場合にはこの次の測定の際に上方に移動させた位置にて測定すればよい。
【0039】
ステップ2(S2)
第一測定位置101へ移動した後に穴51の形状(内径)を算出するための座標測定を行う。穴51の内径を測定する段階では穴51の中心および半径はいずれも判明していない。このため、第一測定位置101において、同位置にあるプローブ15のうち基本光αの経路上におけるプローブの軸心gを座標原点(X=0,Y=0)とした場合の、同位置における穴51の内壁面52の円周上の異なる3箇所の座標を測定する。なお、この場合の座標は受光面34の座標と同じ座標が示されたマップを用いてもよいし、異なるマップを用いてもよい。測定対象となる3箇所の座標は第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b、第三測定ユニット17cを順次作動させて行う。測定ユニット17を個別に作動させるのは、受光素子27が受光面34にて受光した光の重心座標を出力する機能を有するため、複数の測定ユニット17を同時に作動させると、受光素子27には同時に3箇所に結像点34bが形成されることとなる。受光素子27はその結果として3箇所の結像点34bの重心となる一点の座標を出力することになってしまうからである。
【0040】
以下、第一測定ユニット17aを用いた測定方法を例に説明する。
まず、結像レンズ26の中心点26aを通り、プローブ15の軸線hに平行な仮想線nを想定する(図6)。仮想線kはプローブ15の軸線hに直交することから、仮想線kは仮想線nに対しても直交する関係にある。穴51の内壁面52に到達した基本光αは反射位置52aにおいて散乱光として反射し、その散乱光の一部は反射光βとして結像レンズ26を通って受光面34上に結像する。この反射光βのうち結像レンズ26の中心点26aを通る光軸を仮想線pとする。
【0041】
ここで、図6において仮想線kと仮想線nとの交点を点Bとし仮想線nと受光面34上の仮想線mとの交点を点Dとする。また基本光αの反射位置52aを点A、結像レンズ26の中心点26aを点Oとし、反射光βの受光面34上の結像点34bを点Cとすると、同一平面上に三角形OABと三角形OCDの2つの直角三角形を形成することができる。
【0042】
この三角形OABと三角形OCDのそれぞれ点Oを頂点とする内角は対角であるため同じ角度であり、また点B、点Dをそれぞれ頂点とする内角はいずれも直角であるため、二組の角が等しい三角形となり、三角形OABと三角形OCDは相似条件を満たす。また、辺OBは距離a、辺ODは距離bに設定されているため、相似条件により辺OAの距離:辺OCの距離=距離a:距離bの関係が成立する。
【0043】
一方、辺ABは仮想線kの一部であるから、アパーチャ30の表面から反射位置52a(点A)までの距離をL、軸線hからアパーチャ30表面までの距離を距離r、軸線hから結像レンズ26の中心点26a(点O)までの距離を距離cとすると、辺ABの距離はL+r−cにて表すことができる。このうち、距離r及び距離cは予め距離が特定されている。他方、辺DCは、仮想線kと平行な仮想線m上の一部であり、受光面34上の軸線hから点Dまでの距離は軸線hから結像レンズ26の中心点26aまでの距離(=距離c)に等しい。また、辺DCの距離は、座標の正負を考慮した場合、軸線hから結像レンズ26の中心点26aまでの距離cから、軸線hから点Cまでの距離sを除したものであるから、辺DCの距離=距離c−距離sにて表すことができる。
【0044】
そして、前記の三角形の相似条件から、L+r−c:c−s=a:bの関係が成り立つ。この式を展開すると、以下の式(1)となる。
【0045】
[数1]
L=a(c−s)/b−(r−c)・・(1)
この式の右辺において距離a,距離b,距離c,距離rはいずれも距離が判明しており、距離sのみが変化する値である。したがって、距離sを求めることにより上記式を用いて距離Lを求めることができる。ここで、距離Lと距離sとの関係は上記式(1)にて示したように1次の直線となるから、式(1)を距離sで微分して得られる距離sの微小変化dsに対する距離Lの微小変化dLの割合、すなわち受光素子27における検出感度は、dL/ds=−a/bと一定となり、距離L、距離sに依存しない。
【0046】
距離sは受光面34上の原点34aから結像点34b(点C)までの距離(ただし、Y座標が負の時は距離sは負の値)であり、結像点34b(点C)は座標(0,Y1)にて特定されるため、s=Y1として特定することができる。これにより求めたsの値を上記式に代入することにより、アパーチャ30表面から穴51の内壁面52である反射位置52aまでの距離L、さらには反射位置52aの座標値(X11,Y11)を測定することができる。第一測定ユニット17aによる測定にて求められた第一測定位置101での反射位置52aの座標(X11,Y11)は、コンピュータのRAM(図示略)に格納される。
【0047】
第一測定位置101における仮想円である第一仮想円R1の式を求めるには異なる3箇所の座標が必要であるため、同様の手順にて第二測定ユニット17b、第三測定ユニット17cを順次作動させて異なる二つの反射位置52aの座標値(X12,Y12)(X13,Y13)を求める。このうち、第二測定ユニット17bは、第一測定ユニット17aに対して軸線hを中心として図4中時計回りに120度回転させた位置に配置されている。このため、第二測定ユニット17bによる受光面34上の結像点34bの軌跡は原点34aを通りY軸に対して時計回りに120度傾いた直線(Y=−1/√3X)上に形成される(図5にて二点鎖線で示す)。
【0048】
また、第三測定ユニット17cは、第一測定ユニット17aに対して軸線hを中心として図4中反時計回りに120度回転させた位置に配置されていることから、第三測定ユニット17cによる受光面34上の結像点34bの軌跡は原点34aを通りY軸に対して反時計回りに120度傾いた直線(Y=1/√3X)上に形成される(図5にて破線で示す)。そして、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17cを用いてそれぞれ測定した受光面34上の結像点34b(点C)の座標値(X12,X12)、(X13,X13)は、いずれも反射位置52aがプローブ15に近い場合にはそのY座標値が小さく反射位置が離れるにしたがってY座標値が大きくなる。
【0049】
したがって、第二測定ユニット17b並びに第三測定ユニット17cの結像点34b(点C)の座標値に基づくそれぞれの距離sは、以下の式(2)又は式(3)にて求めることができる。
【0050】
[数2]
Y>0のとき s=−√(X2+Y2)・・(2)
Y≦0のとき s=√(X2+Y2)・・(3)
上記の式により求められた距離sを式(1)に代入することにより、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17cにおけるアパーチャ30の表面から各反射位置52aまでの距離Lをそれぞれ求めることができ、更には第一測定位置101での各反射位置52aの座標値(X12,Y12)(X13,Y13)を求めることができる。この座標値もコンピュータのRAM(図示略)に格納される。
【0051】
ステップ3(S3)
上記ステップ2により求めた穴51の内壁面52の3箇所の座標値に基づいて第一仮想円R1の式を算出する。まず、既に求めた3つの反射位置52aの座標値(X11,Y11)(X12,Y12)(X13,Y13)のうち任意の2点の座標値(Xi,Yi)、(Xi+1,Yi+1)を、下記式(4)の円の方程式に代入する。なお、本実施形態では、穴51の断面形状を略真円と仮定する。
【0052】
[数3]
(X−Cx)2+(Y−Cy)2=R2・・(4)
X,Y:反射位置の座標値
Cx,Cy:円の中心
R:円の半径
そして、各座標値をそれぞれ代入した後に得られた双方の式を減算し、Cx,Cyについて整理すると、下記式(5)が得られる。なお、n点(本実施形態では3点)の測定結果においては、式(5)が(n−1)個得られる。
【0053】
[数4]
2(Xi+1−Xi)Cx+2(Yi+1−Yi)Cy=
Xi+12−Xi2+Yi+12−Yi2・・(5)
ここで、式(5)を下記の式(6)〜(8)のようにおくと、
【0054】
[数5]
Ai=2(Xi+1−Xi)・・(6)
Bi=2(Yi+1−Yi)・・(7)
Ki=Xi+12−Xi2+Yi+12−Yi2・・(8)
(但し1≦i≦n−1)
上記式(5)は、下記の式(9)のように表される。
【0055】
[数6]
AiCx+BiCy=Ki・・(9) (但し1≦i≦n−1)
なお、n点(本実施形態では3点)の測定結果からは、(n−1)個の式(9a)及び式(9b)が得られる。
【0056】
[数7]
AiCx+BiCy=Ki・・(9a)
Ai+1Cx+Bi+1Cy=Ki+1・・(9b)
上記式(9a)と(9b)の連立方程式から次式(10)(11)により穴の中心座標(Cx,Cy)を求めることができる。
【0057】
[数8]
Cx=(BiKi+1−Bi+1Ki)/(BiAi+1−Bi+1Ai)・・(10)
Cy=(AiKi+1−Ai+1Ki)/(AiBi+1−Ai+1Bi)・・(11)
但し、i=1である。これにより、第一仮想円R1の中心座標が求められる。そして、この中心座標を決定した後、下記式(12)により各反射位置の座標値に対応したRiを求め、その平均値を仮想円の半径の測定値Rとする。
【0058】
【数9】
【0059】
但し、Σの範囲は1≦i≦nである。このようにして仮想円の半径を求めることで、穴の内径(仮想円の直径)が算出される。したがって、円周上の3箇所の異なる座標を得ることができれば上記円の方程式の3つの定数を算出することができる。算出した第一仮想円R1の式はコンピュータのRAMに格納される。
【0060】
ステップ4(S4)
ステップ4において、コンピュータは駆動手段を駆動させてプローブ15を第二測定位置102(図8の二点差線で示す位置)へと移動させる。この第二測定位置102は第一測定位置101におけるプローブ15をその軸線h上に穴51の深さ方向Fへ向けて所定距離tだけ移動させた位置である。
【0061】
ステップ5(S5)
プローブ15を第二測定位置102へ移動した後には同位置における穴51の形状を測定する。この測定方法はステップ2の測定方法と同じであり、第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17cを順次動作させてこの第二測定位置102における穴51の内壁面52の異なる3箇所の座標値(X21,Y21)(X22,Y22)(X23,Y23)を測定する。
【0062】
ステップ6(S6)
上記ステップ5により求めた第二測定位置102における穴51の内壁面52の3箇所の座標値に基づいて第二仮想円R2の式を算出する。算出方法はステップ3と同じであり、算出した第二仮想円R2の式はコンピュータのRAM(図示略)に格納される。
【0063】
ステップ7(S7)
コンピュータは、ステップ3で求めた第一仮想円R1とステップ6で求めた第二仮想円R2の式をRAMから読み出して穴51の傾斜角度θを演算する。すなわち、プローブ15の軸線方向に対する穴51の傾斜角度θは第一仮想円R1の中心座標と第二仮想円R2の中心座標とを結ぶ線により求めることができる。ここで、穴51の傾斜角度θが零で、内壁面52がプローブ15の軸線方向と一致する場合には、第一仮想円R1の中心座標と第二仮想円R2の中心座標とは一致するはずである。一方、第一測定位置にて求めた第一仮想円R1の中心座標に対して第二測定位置にて求めた第二仮想円R2の中心座標が一致しない場合(図8に示す状態)には、プローブ15の軸線方向に対して穴51が傾いていることになる。このため、第一仮想円R1の中心座標と第二仮想円R2の中心座標とプローブ15の距離tとの関係から穴51の傾斜角度θを算出することができる。
【0064】
上記実施形態の光学式測定装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
* 本実施形態の光学式測定装置では各測定ユニット17(17a,17b,17c)から基本光αを穴51の内壁面52に対して照射することで各反射位置52aの座標値を求め、穴51の内部における任意の箇所で1つの仮想円を同定することにより穴51の内径が測定される。特に、測定ユニット17を構成する照射部19、導入部20、受光部21のうち照射部19を導入部20、受光部21よりもプローブ15の先端側に配置しているため、プローブ15の先端に近い箇所から基本光αを照射させることができる。このため、プローブ15の先端近くの穴51の内径を測定することができ、穴51の底部近くも測定することができる。
【0065】
* 基本光αの経路上にボールレンズ24の光軸が位置するよう配置しているため、光ファイバー22から出た光(基本光α)が拡散してもボールレンズ24を通過することにより集光された状態でプローブ15の外部へ照射することができる。また、ボールレンズ24は光軸がプローブ15の軸線hに直交する面として存在するため、測定ユニット17をプローブ15の軸線hに対して位相を異ならせて配置しても1つのボールレンズ24にて対応することができる。
【0066】
* 光ファイバー22の先端を軸線方向に対して斜め45度にカットし全反射による反射面31とし、基本光αの照射方向を光ファイバー22の延伸方向に拘わらず目的に方向に変更している。このため、プローブ15の先端に反射ミラー等の照射方向を変更するための別部材を設置する必要がなく、その分プローブ15のうち穴内へ挿入させる部分である外筒16を小型化することができる。
【0067】
* プローブ15の軸線方向に対して直交する方向に基本光を照射して散乱光を集光するため、深穴の入り口からの測定位置が固定される。また散乱光を集光しているため、加工による対象物の傾斜角に影響されない。
【0068】
* 3組の測定ユニット17(第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17c)を有しており、これらが順次動作することにより穴51の内径を測定することができる。このため、プローブ15を特定の測定位置にて固定した状態で同位置での穴51の内径を測定することができ、プローブ15を回転等させる必要がない。
【0069】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 基本光αの収束のためにボールレンズ24を使用したが、プローブ15の軸線hと直交する平面上に光軸を有するものであればその形状を変更してもよい。例えば、ボールレンズ24のうちレンズとして機能しない上下端をカットして図9のような形状としてもよい。これによってさらにプローブ15の先端に近い箇所から基本光αを照射させることができる。
【0070】
○ 上記実施形態ではレーザダイオードを備えた発光ユニット60によりレーザ光を伝達させて基本光αとして使用していたが、レーザ以外の光でもよい。
○ 上記実施形態ではプローブ15に測定ユニット17を3組(第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17c)備えていたが、少なくとも1組の測定ユニット17を備えていれば足りる。なお、穴51の内径を測定するためには少なくとも異なる3箇所の内壁面の座標が必要となる。プローブ15内に配置されている測定ユニット17が2組以下のときにはプローブ15を固定したままでは異なる2箇所の座標しか得られないため、プローブ15を回転させて少なくとも異なる3箇所の内壁面の座標を得る必要がある。
【0071】
○ 上記実施形態では、穴51内においてプローブ15の軸線方向における異なる2箇所にてそれぞれ仮想円を求めることにより穴51の傾斜角度を算出した。これに対して、穴51の傾斜角度ではなく穴51内の特定箇所における内径や中心座標を求める場合には一箇所のみの測定でたりる。
【0072】
○ 微細加工が必要な光ファイバー22の先端に形成する反射面31に変えて光ファイバー22の先端に別体の反射ミラーを設けてもよい。反射ミラーを設けることにより部品数の増加、大径化の要因となるが、小径化の必要がないプローブ15に対しては有効となる。
【0073】
○ プローブ15の挿入部の径は基端から同一でなくてもよい。例えば受光素子の配置箇所より先端側をより小径にすることもできる。これにより、プローブ15の先端がより小径化され、先端が穴51の内壁面52に接触しにくくなる。
【0074】
第2の実施形態
次に、本発明を具体化した光学式測定装置10の第2の実施形態を図10〜図11にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の受光部21の構成を変更したのみであるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0075】
第2の実施形態の光学式測定装置10は、第1の実施形態と同様にアーム部材13のハウジング14を含むプローブ15を備えている。プローブ15内に配置される照射部19と導入部20の構成は第1の実施形態と同じであり、これらがプローブ15の先端に配置された測定ユニット用アダプタ18に組み込まれている。なお、図示しないが第2の実施形態においても測定ユニット17はプローブ15の軸線hを中心として周方向に120度ずつ位相を異ならせて3組(第一測定ユニット17a、第二測定ユニット17b及び第三測定ユニット17c)配置されている。一方、第1の実施形態と相違しているのはこれら測定ユニット17における受光部21の構成である(図10、図11)。なお、第1の実施形態同様に測定ユニット17の具体的説明は第一測定ユニット17aについてのみ行うものとする。
【0076】
第2の実施形態では受光部21は、透過型スクリーンであるリアスクリーン36と、光伝達手段としてのリレーレンズ37と、受光素子27とから構成される。図10にプローブ15の断面図を示すように、外筒16内に嵌入されている測定ユニット用アダプタ18の周壁33に当接してリアスクリーン36が配置されている。このリアスクリーン36は外筒16内径と同径の円形に形成され、外筒16内部を軸方向に仕切るようにプローブ15の軸線hと直交する平面上に配置されている。また、リアスクリーン36が配置されているのはプローブ15の軸線方向において結像レンズ26の結像点が形成される箇所であり、前記第1の実施形態における受光面34と同一面上となる。ただし、外筒16内に配置されている光ファイバー22との干渉を防止するため、リアスクリーン36の周縁のうち測定ユニット用アダプタ18に形成されている案内溝29に対応した位置(3箇所)にはコ字状の切り欠き36aが形成されている。
【0077】
また、リアスクリーン36の基端側には内筒38が収容されている。この内筒38は外筒16より小径の円筒状に形成されており、内筒38の基端はハウジング14に形成された装着フランジ14bに内嵌され、また先端がリアスクリーン36に当接した状態で固定されている。したがって、外筒16内周面と内筒38外周面との間はハウジング14の装着フランジ14bの厚み分だけ離間している。なお、装着フランジ14bには120度間隔で周方向の3箇所に軸方向にわたるコ字状の貫通溝39が形成されており、これらの貫通溝39はハウジング14を貫通してハウジング14内部に連通している。
【0078】
リレーレンズ37はプローブ15のうちリアスクリーン36と受光素子27との間に装着されている。このリレーレンズ37は凸レンズと凹レンズとを組み合わせたタブレットレンズであり、その光軸がプローブ15の軸線と一致するように配置されており、リアスクリーン36を透過した光を受光素子へと伝達する機能を有している。また、リレーレンズ37は、プローブ15の軸線方向においてリアスクリーン36からリレーレンズ37の中心点37aまでの距離と、リレーレンズ37の中心点37aから受光素子27の受光面34までの距離は光学距離が等しくなるように配置されている。リレーレンズ37の焦点距離は、測定対象として想定する穴の深さに見合ったプローブの必要長さにより選定する。ただし、原理上、リレーレンズ37の焦点距離が長くなるにともなって受光素子27の上に結像する像が暗くなる。
【0079】
受光素子27はプローブ15のハウジング14内において開口14aに対向して配置されている。受光素子27はその受光面34がプローブ15の軸線hと直交する面と平行になるよう図示しないブラケットによりハウジング14に取り付けられている。また、第1の実施形態と同様に受光面34上の座標の原点(X0,Y0)はプローブ15の軸線h上に設定されており、受光面34のY軸は仮想線k(図6参照)と平行となるように配置している。一方、第1の実施形態とは異なりY軸は第一測定ユニット17aにおける結像レンズ26に近い側が負の値となるように配置しており、これによりX軸の正負の向きも逆となっている。なお、受光素子27が図示しないコンピュータに電気的に接続されていることは第1の実施形態と同様である。
【0080】
第2の実施形態では、照射部19と導入部20の構成は第1の実施形態と同様であるためその作用の説明は省略し、第1の実施形態と相違する受光部21の作用について説明する。図11に示すように照射部19によって照射された基本光αは、穴51の内壁面52にて乱反射され、そのうちの一部の反射光βが反射光導入孔25を経てプローブ15内部に導入される。この反射光βは結像レンズ26によって集光された状態でリアスクリーン36上に結像するとともに、反射光βの一部がリアスクリーン36を厚み方向に透過してリアスクリーン36の裏面側である内筒38内へと浸入し、リアスクリーン36の裏面に輝点36bが生ずる。
【0081】
内筒38内ではリアスクリーン36と受光素子27との間にリレーレンズ37が配置されているため、リアスクリーン36裏面に生じた輝点36bの実像(これを結像点34bという。)がリレーレンズ37を介して受光素子27の受光面34上に形成される。この結像点34bの位置は途中のリレーレンズ37の作用により得られるものであることから、受光面34上に形成される結像点34bの座標はリアスクリーン36上の輝点36bの位置に対してリレーレンズ37の光軸を中心とした点対称の位置となる。受光素子27は第1の実施形態に対して受光面34の原点34aを中心としてY軸の正負及びX軸の正負の向きが逆となるように配置しているため、受光面34上に形成される結像点34bの座標は第1の実施形態と変わらない。
【0082】
このため、第1の実施形態と同様の測定式を利用することにより基本光αが照射した穴51の内壁面52の座標を求めることができ、3つの測定ユニット17a〜17cを順次作動させて、測定箇所における穴51の内壁面52の座標に基づき円の内径を求めることができる。
【0083】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
* 受光素子27をプローブ15のハウジング14内に配置し、外筒16内に配置していないため、挿入部である外筒16の径が受光素子27の大きさによる規制を受けない。したがって、外筒16を小径化することができる。
【0084】
* リアスクリーン36と受光素子27の間に光伝達手段としてのリレーレンズ37を介在させているため、リアスクリーン36の輝点36bの実像となる結像点34bを受光面34上に形成することができる。
【0085】
なお、本実施形態は第1の実施形態にて述べた変更に加え、以下の様に変更してもよい。
○ 受光素子27は、プローブ15のうち非挿入部であるハウジング14内に配置したが、これに拘わらず受光素子27をプローブ15の外筒16内に配置してもよい。例えば、プローブ15の外筒16径を小さくする必要がないときなどは受光素子27の配置を外筒16内(第1の実施形態)または外筒16外(第2の実施形態)のいずれでも選択することができ、受光素子27の配置について設計の自由度が上がる。
【0086】
○ リレーレンズ37として使用したタブレットレンズを非球面レンズとしてもよい。
第3の実施形態
第3の実施形態では第2の実施形態に比して、内筒38内の構成が異なっている。第2の実施形態ではリアスクリーン36と受光素子27との間に光伝達手段としてタブレットレンズからなるリレーレンズ37を配置していた。これに対して、第3の実施形態では図12に示すように、光伝達手段として内筒38内に先端側のタブレットレンズである第1リレーレンズ40と基端側のタブレットレンズである第2リレーレンズ41の2つのリレーレンズを配置している。
【0087】
光伝達手段である第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41の配置については、リアスクリーン36から第1リレーレンズ40までの距離は第1リレーレンズ40の焦点距離に等しい位置に配置され、また、第2リレーレンズ41から受光面34までの距離も第2リレーレンズ41の焦点距離に等しい位置に配置されている。第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41の距離は、第1リレーレンズによりコリメートされた光線となることと、第2リレーレンズ41と受光面34は無限遠に設定されているため、任意に設定することができる。
【0088】
従って、第3の実施形態によれば、第2の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(1)第3の実施形態では、リアスクリーン36から受光素子27の間に第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41とを介在させている。したがって、第2の実施形態よりもリアスクリーン36と受光素子27との間の距離を長くしても受光素子27上に結像点34bを形成することができ、プローブ15のうち挿入部である外筒16の長さを長くすることができる。
【0089】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41として使用したタブレットレンズを非球面レンズとしてもよい。
【0090】
○ 光伝達手段として、第1リレーレンズ40と第2リレーレンズ41の変わりに、イメージコンジットやロッドレンズ等を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】第1の実施形態の光学式測定装置を示す概略図。
【図2】同光学式測定装置を示す部分拡大概略図。
【図3】プローブ内部の断面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】受光面上の結像点の軌跡を示す模式図。
【図6】穴内部の測定方法を示す概略図。
【図7】穴内部の測定方法を示すフロー図。
【図8】穴内部の測定方法を示す説明図。
【図9】第1の実施形態の別例を示すプローブの断面図。
【図10】第2の実施形態のプローブ内部の断面図。
【図11】第2の実施形態の穴内部の測定方法を示す概略図。
【図12】第3の実施形態のプローブ内部の断面図。
【符号の説明】
【0092】
α・・基本光、β・・反射光、h・・軸線、10・・光学式測定装置、14・・ハウジング(非挿入部)、15・・プローブ、16・・外筒(挿入部)19・・照射部、20・・導入部、21・・受光部、22・・光ファイバー、24・・ボールレンズ、26・・結像レンズ、27・・受光素子、30・・アパーチャ、31・・反射面、34・・受光面、34a・・結像点、37・・リレーレンズ(光伝達手段)、40・・第1リレーレンズ(光伝達手段)、41・・第2リレーレンズ(光伝達手段)、50・・被測定物、51・・穴、52・・内壁面、52a・・反射位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に設けられた穴の内径を測定する光学式測定装置であって、
前記被測定物の穴の内壁面に向けて基本光を照射する照射部と、前記内壁面で反射された散乱光をプローブ内部に導入させるための導入部と、当該導入部に導入された前記散乱光を受光する受光部とを備えてなる非接触式のプローブと、
前記プローブが前記穴の内部に挿入された状態で、前記受光部上における前記散乱光の受光位置に基づき、内壁面の反射位置を円周に含む仮想円を算出する演算手段とを備え、
前記照射部を導入部及び受光部よりもプローブの先端側に配置したことを特徴とする光学式測定装置。
【請求項2】
前記照射部は、プローブの軸線と直交する方向に基本光を照射するものであり、前記受光部はプローブの軸線と直交する受光面を有する受光素子を備えている請求項1に記載の光学式測定装置。
【請求項3】
前記照射部から照射される基本光の経路上には、同経路上に光軸を有する凸レンズが配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式測定装置。
【請求項4】
前記照射部はプローブの軸線を中心として周方向に等間隔で3組設置されており、前記凸レンズはその中心がプローブの軸線と交差する位置に配置されたボールレンズであることを特徴とする請求項3に記載の光学式測定装置。
【請求項5】
前記照射部は、プローブの軸線方向に配置され、発光部にて発光された光を伝送する光ファイバーを備えており、その先端は光ファイバーの軸線方向に対して45度の傾斜面に形成され、伝送する光を前記軸線方向に対して直交する方向に射出することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の光学式測定装置。
【請求項6】
前記受光部は、光透過性スクリーンと、光透過性スクリーンに対してプローブの軸線方向に離間して配置された受光素子と、前記光透過性スクリーンと受光素子と間に配置された光伝達手段を備え、
前記光透過性スクリーンを透過した前記散乱光は、光伝達手段を介して前記受光素子上に受光するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学式測定装置。
【請求項7】
前記受光素子は、プローブのうち穴内部に挿入されない非挿入部に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光学式測定装置。
【請求項1】
被測定物に設けられた穴の内径を測定する光学式測定装置であって、
前記被測定物の穴の内壁面に向けて基本光を照射する照射部と、前記内壁面で反射された散乱光をプローブ内部に導入させるための導入部と、当該導入部に導入された前記散乱光を受光する受光部とを備えてなる非接触式のプローブと、
前記プローブが前記穴の内部に挿入された状態で、前記受光部上における前記散乱光の受光位置に基づき、内壁面の反射位置を円周に含む仮想円を算出する演算手段とを備え、
前記照射部を導入部及び受光部よりもプローブの先端側に配置したことを特徴とする光学式測定装置。
【請求項2】
前記照射部は、プローブの軸線と直交する方向に基本光を照射するものであり、前記受光部はプローブの軸線と直交する受光面を有する受光素子を備えている請求項1に記載の光学式測定装置。
【請求項3】
前記照射部から照射される基本光の経路上には、同経路上に光軸を有する凸レンズが配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式測定装置。
【請求項4】
前記照射部はプローブの軸線を中心として周方向に等間隔で3組設置されており、前記凸レンズはその中心がプローブの軸線と交差する位置に配置されたボールレンズであることを特徴とする請求項3に記載の光学式測定装置。
【請求項5】
前記照射部は、プローブの軸線方向に配置され、発光部にて発光された光を伝送する光ファイバーを備えており、その先端は光ファイバーの軸線方向に対して45度の傾斜面に形成され、伝送する光を前記軸線方向に対して直交する方向に射出することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の光学式測定装置。
【請求項6】
前記受光部は、光透過性スクリーンと、光透過性スクリーンに対してプローブの軸線方向に離間して配置された受光素子と、前記光透過性スクリーンと受光素子と間に配置された光伝達手段を備え、
前記光透過性スクリーンを透過した前記散乱光は、光伝達手段を介して前記受光素子上に受光するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学式測定装置。
【請求項7】
前記受光素子は、プローブのうち穴内部に挿入されない非挿入部に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光学式測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−180637(P2009−180637A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20562(P2008−20562)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(391002487)学校法人大同学園 (23)
【出願人】(393011038)菱栄エンジニアリング株式会社 (59)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(391002487)学校法人大同学園 (23)
【出願人】(393011038)菱栄エンジニアリング株式会社 (59)
【Fターム(参考)】
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