説明

光学式粒状物選別機における集塵装置

【課題】不良品側に混じる微細な粉塵とともに、良品側に混じる微細な粉塵をも吸引除去することが可能な光学式粒状物選別機における集塵装置を提供する。
【解決手段】選別物回収部6の下方には、良品回収樋61下部と連通し、かつ、一部が通気性部材73a,73bにより形成された良品側塵埃分離シュート71と、不良品回収樋62下部と連通し、かつ、一部が通気性部材74a,74bにより形成された不良品側塵埃分離シュート72と、良品側塵埃分離シュート71及び不良品側塵埃分離シュート72に形成した通気性部材73a,73b,74a,74bを横断させる状態で配設した塵埃吸引ダクト75と、塵埃吸引ダクト75の吸込口に接続され、通気性部材73a,73b,74a,74bで分離した塵埃を機外に吸引排除するための吸引ファン76とを備えた集塵部7を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式粒状物選別機における集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒などの光学式粒状物選別機には集塵装置が設けられている。この種の集塵装置は、光学式粒状物選別機の噴射ノズル装置を備えた選別部において、噴射ノズル装置から噴風される噴風選別作用によって生じる飛散浮遊粉塵を継続的に吸収排除するものであり、これにより、精密機器等で構成される光学検出部に粉塵が侵入することを防止し、ひいては、光学検出部の誤作動を防止し、選別精度を向上させることに寄与されるものである。例えば、特許文献1に開示された色彩選別機における集塵装置は、噴射ノズル口に対向する側に集塵窓部を形成した集塵ボックスと、該集塵ボックスの側部に設けた排風口に接続して粉塵を吸引排除するための集塵ダクトとを備えたものである。
【0003】
上記従来の集塵装置にあっては、噴射ノズル装置からの噴風により吹き飛ばされた不良品に混じる微細な粉塵のみが吸引除去されるものである。そして、噴射ノズル装置の噴風を受けずにそのまま流下する良品の良品回収樋が、噴射ノズル装置よりも下方側に設けられた配置構成であるために、以下のような問題点が生じる。すなわち、1.噴射ノズル装置の噴風作用を受けずにそのまま流下する良品は、良品に混入する微細な粉塵が吸引除去されない。2.集塵装置の吸引力が弱い場合、不良品に混じる微細な粉塵が良品回収樋内に侵入し、良品側に塵埃が混入するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3285076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点にかんがみ、不良品側に混じる微細な粉塵とともに、良品側に混じる微細な粉塵をも吸引除去することが可能な光学式粒状物選別機における集塵装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、粒状物からなる原料を落下させて所定位置において光学的に検出する光学検出手段と、該光学検出手段による検出結果に基づいて前記粒状物を落下軌跡から排除して選別する選別部と、該選別部によって落下軌跡から排除された粒状物を受ける不良品回収樋及び前記選別部によって落下軌跡から排除されずに落下した粒状物を受ける良品回収樋からなる選別物回収部と、を備えた光学式粒状物選別機であって、 前記選別物回収部の下方には、前記良品回収樋下部と連通し、かつ、一部が通気性部材により形成された良品側塵埃分離シュートと、前記不良品回収樋下部と連通し、かつ、一部が通気性部材により形成された不良品側塵埃分離シュートと、前記良品側塵埃分離シュート及び前記不良品側塵埃分離シュートに形成した前記通気性部材を横断させる状態で配設した塵埃吸引ダクトと、該塵埃吸引ダクトの吸込口に接続され、前記通気性部材で分離した塵埃を機外に吸引排除するための吸引ファンとを備えた集塵部を設ける、という技術的手段を講じた。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、塵埃吸引ダクトには、その上流側に二次空気取入口を穿設したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明によれば、光学式粒状物選別機を複数並設した構成の装置に、前記集塵部が取り付けられて構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、選別物回収部の下方には、良品回収樋下部と連通し、かつ、一部が通気性部材により形成された良品側塵埃分離シュートと、不良品回収樋下部と連通し、かつ、一部が通気性部材により形成された不良品側塵埃分離シュートと、良品側塵埃分離シュート及び不良品側塵埃分離シュートに形成した通気性部材を横断させる状態で配設した塵埃吸引ダクトと、塵埃吸引ダクトの吸込口に接続され、通気性部材で分離した塵埃を機外に吸引排除するための吸引ファンとを備えた集塵部を設けてあるから、塵埃吸引ダクトによる吸引風が、不良品側塵埃分離シュート及び良品側塵埃分離シュートの複数の通気性部材を順次横断させて通過される構成となっている。つまり、図2に示すように、不良品側塵埃分離シュートの不良品に混じる微細な粉塵とともに、良品側塵埃分離シュートの良品に混じる微細な粉塵をも吸引除去することが可能となる。
【0010】
そして、塵埃吸引ダクトには、その上流側に二次空気取入口を穿設しているから、上流側の良品側塵埃分離シュートと下流側の不良品側塵埃分離シュートの複数の通気性部材を吸引した場合であっても、吸引風力が減衰することはなく、塵埃の吸引除去力が向上する。
【0011】
また、光学式粒状物選別機を複数並設した構成の装置に、前記集塵部が取り付けられているから、幅広いバリエーションの光学式粒状物選別機への適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の光学式粒状物選別機における集塵装置の概略縦断面図である。
【図2】図1の一部拡大断面図である。
【図3】図1に示す選別機を複数並設した構成の選別装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は本発明の光学式粒状物選別機における集塵装置の概略縦断面図であり、図2は図1の一部拡大断面図である。
【0014】
図1において、符号1は、穀粒や樹脂ペレットなどの粒状物からなる原料を、色彩など光学的手段に基づいて良品と不良品とに選別する光学式粒状物選別機である。この選別機1は主として粒状物供給部2、流下シュート3、光学検出部4、選別部5、選別物回収部6及び集塵部7を備えてなる。
【0015】
前記粒状物供給部2は、選別機1の上部に配置され、原料供給樋8内の粒状物を流下シュート3へ向けて安定的に繰り出す振動フィーダ9を備える。流下シュート3は、所定幅を有するものであり、前記粒状物供給部2の下方に傾斜した状態で配置され、前記粒状物供給部2の振動フィーダ9から連続して繰り出される粒状物を該シュートの表面上を流下させるものである。
【0016】
前記光学検出部4は、前記粒状物の落下軌跡の前側に配置される前側光学検出部4aと、落下軌跡の後側に配置される後側光学検出部4bとの一対で構成され、前記粒状物の一粒のほぼ全周囲を監視できる構成となっている。前側光学検出部4aには、前記流下シュート3の下端から幅方向に広がる状態で自由落下する粒状物に対応できるCCD等のラインセンサやエリアセンサを内蔵し、可視光の波長域の光を受光可能としたCCDカメラ40aが内装されている。このCCDカメラ40aと粒状物との間の光学系は、その構造を小型化するためにミラー41aが配設されている。すなわち、粒状物Rから得られる光をミラー41aにより90度反射させてCCDカメラ40aで受光されるような構成となっている。一方、後側光学検出部4bには、前記同様可視光の光を受光可能としたCCDカメラ40bと、近赤外線(NIR)の波長域の光を受光可能としたCCDカメラ42bとが内装される。この光学系にあっても、ミラー41bを配設して、粒状物Rから得られる光をミラー41bにより90度反射させるとともに、さらに、反射させた光をダイクロイックミラーなどの分光フィルター43bにより分光し、可視光の光がCCDカメラ40bに、近赤外光の光がCCDカメラ42bにそれぞれ受光される構成となっている。
【0017】
前記光学検出部4には、前記粒状物Rの落下軌跡上における検出位置を照明する蛍光灯やハロゲンランプ、LED光源等の照明手段44a,44bと、粒状物を撮像する際の背景となるバックグラウンドとを備えている。
【0018】
前記選別部5は、前記光学検出部4の撮像信号に基づいて前記粒状物を良品と不良品とに判別する判別装置51と、該判別装置51の判別結果に基づいて前記不良品を排除し、前記粒状物を良品と不良品とに選別する噴射ノズル装置52を備えてなる。噴射ノズル装置52は、前記光学検出部4と同様に、前記流下シュート3の下端から幅方向に広がる状態で自由落下する粒状物に対応できるものであって、前記幅方向に形成される複数のノズル孔から選択的にエアを噴射して不良品を排除することができるものである。
【0019】
前記選別物回収部6は、前記噴射ノズル装置52からのエアの噴射を受けずにそのまま良品として回収される筒状の良品回収樋61と、前記噴射ノズル装置52からのエアの噴射を受けて落下軌跡から排除されるホッパ形状の不良品回収樋62とから形成される。なお、符号63は良品回収樋61に設けられたサンプル取り出し用扉である。
【0020】
次に、本発明の要部となる集塵部7について説明する。集塵部7は、一部が通気性部材73a,73bにより形成されていて、前記良品回収樋61下部と連通する良品側塵埃分離シュート71と、一部が通気性部材74a,74bにより形成されていて、前記不良品回収樋62下部と連通する不良品側塵埃分離シュート72と、前記良品側塵埃分離シュート71及び前記不良品側塵埃分離シュート72を落下する粒状物の落下経路にあって、前記通気性部材73a,73b,74a,74bを横断させる状態で配設される塵埃吸引ダクト75と、塵埃を回収するための吸引ファン76と、該吸引ファン76の吸引側76aと前記塵埃吸引ダクト75の吸込口75aとの間を接続するフレキシブルダクト77とを備えている。
【0021】
前記良品側塵埃分離シュート71及び不良品側塵埃分離シュート72の一部に形成される通気性部材73a,73b,74a,74bは、シュートを落下する粒状物を通さない程度の目幅のパンチングメタルや織網で形成すればよい。また、前記塵埃吸引ダクト75は、上流側に二次空気取入口75bが穿設されており、該二次空気取入口75bから取り入れた外気を、前記通気性部材73a,73b及び前記通気性部材74a,74bを順次横断させる状態で、吸込口75aに向けて吸引排出するように構成されている。つまり、図2に示すように、前記不良品回収樋62から落下して不良品側塵埃分離シュート72に至る不良品に混じる微細な粉塵とともに、良品回収樋61から落下して良品側塵埃分離シュート71に至る良品に混じる微細な粉塵をも吸引除去することが可能な構成となっている。
【0022】
図3は、図1に示す選別機1を複数並設した構成の選別装置100の斜視図である。この選別装置100は、第1選別ユニット1A、第2選別ユニット1B及び第3選別ユニット1Cからなる複数の選別ユニットを並設してある。これにより、第1選別ユニット1A及び第2選別ユニット1Bを一次選別用に設定する一方、第3選別ユニット1Cを二次選別用に設定することや、第1選別ユニット1Aを一次選別用、第2選別ユニット1Bを二次選別用及び第3選別ユニット1Cを三次選別用にそれぞれ設定することも可能となる。つまり、被選別物の品種、流量及び異物混入率などの原料の状態が変わったときに、当該原料にふさわしい選別形態に適宜変更することができる。このような選別装置100にあっても、本発明の要部となる集塵部7を適用することができる。
【0023】
すなわち、図3の第1選別ユニット1A、第2選別ユニット1B及び第3選別ユニット1Cには、それぞれ良品側塵埃分離シュート71A,71B,71C及び不良品側塵埃分離シュート72A,72B,72Cが設けられ、また、共通の塵埃吸引ダクト75も設けられている。その余の構成(吸引ファン76及びフレキシブルダクト77)は図3では図示されていないが、図1及び図2と同様の構成となっている。そして、この複数の選別ユニットを並設した構成にあっても、塵埃吸引ダクト75には、上流側に二次空気取入口75bが穿設されているから、図2と同様に、前記不良品側塵埃分離シュート72A,72B,72Cに至る不良品に混じる微細な粉塵とともに、良品側塵埃分離シュート71A,71B,71Cに至る良品に混じる微細な粉塵をも吸引除去することが可能な構成となっている。
【0024】
以上のように本発明によれば、集塵部7が、一部が通気性部材73a,73bにより形成された良品側塵埃分離シュート71と、一部が通気性部材74a,74bにより形成された不良品側塵埃分離シュート72と、前記良品側塵埃分離シュート71及び前記不良品側塵埃分離シュート72を落下する粒状物の落下経路であって前記通気性部材73a,73b,74a,74bを横断させる状態で吸引する塵埃吸引ダクト75と、塵埃を回収するための吸引ファン76と、該吸引ファン76の吸引側76aと前記塵埃吸引ダクト75の吸込口75aとの間を接続するフレキシブルダクト77とを備えたものであるから、前記不良品側塵埃分離シュート72に至る不良品に混じる微細な粉塵とともに、良品側塵埃分離シュート71に至る良品に混じる微細な粉塵をも吸引除去することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、米・麦類・豆類・ナッツ類等の穀粒、ペレット・ビーズ等の樹脂片、医薬品、鉱石類、シラス等の細かい物品、その他の粒状物からなる原料を良品と不良品に選別したり、原料に混入する異物等を排除したりする光学式粒状物選別機に適用することができ、また、当該光学式粒状物選別機を複数並設した構成の選別装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 光学式粒状物選別機
1A 第1選別ユニット
1B 第2選別ユニット
1C 第3選別ユニット
2 粒状物供給部
3 流下シュート
4 光学検出部
4a 前側光学検出部
4b 後側光学検出部
40a CCDカメラ
40b CCDカメラ
41a ミラー
41b ミラー
42b CCDカメラ
43b 分光フィルター
44a 照明手段
44b 照明手段
5 選別部
51 判別装置
52 噴射ノズル装置
6 選別物回収部
61 良品回収樋
62 不良品回収樋
63 良品用シュート
64 不良品用シュート
65 サンプル取り出し用扉
7 集塵部
71 良品側塵埃分離シュート
72 不良品側塵埃分離シュート
73 通気性部材
74 通気性部材
75 塵埃吸引ダクト
75a 吸込口
75b 二次空気取入口
76 吸引ファン
77 フレキシブルダクト
8 原料供給樋
9 振動フィーダ
100 選別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物からなる原料を落下させて所定位置において光学的に検出する光学検出手段と、
該光学検出手段による検出結果に基づいて前記粒状物を落下軌跡から排除して選別する選別部と、
該選別部によって落下軌跡から排除された粒状物を受ける不良品回収樋及び前記選別部によって落下軌跡から排除されずに落下した粒状物を受ける良品回収樋からなる選別物回収部と、を備えた光学式粒状物選別機であって、
前記選別物回収部の下方には、前記良品回収樋下部と連通し、かつ、一部が通気性部材により形成された良品側塵埃分離シュートと、前記不良品回収樋下部と連通し、かつ、一部が通気性部材により形成された不良品側塵埃分離シュートと、前記良品側塵埃分離シュート及び前記不良品側塵埃分離シュートに形成した前記通気性部材を横断させる状態で配設した塵埃吸引ダクトと、該塵埃吸引ダクトの吸引口に接続され、前記通気性部材で分離した塵埃を機外に吸引排除するための吸引ファンとを備えた集塵部を設けたことを特徴とする光学式粒状物選別機における集塵装置。
【請求項2】
前記塵埃吸引ダクトには、その上流側に二次空気取入口を穿設してなる請求項1記載の光学式粒状物選別機における集塵装置。
【請求項3】
前記光学式粒状物選別機を複数並設した構成の装置に、前記集塵部が取り付けられて構成されている請求項1又は2に記載の光学式粒状物選別機における集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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