説明

光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法、光学式記録ディスクの真空保存方法及び光学式記録ディスクの真空保存装置

【課題】本発明は、光学式記録ディスクでの空気や水分による腐食及び外部の衝撃による破損をよりよく防止することを目的とする。
【解決手段】本発明の光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法は、大気を遮断するフィルムで光学式記録ディスク12aを被い、フィルムの内部を減圧し光学式記録ディスク12aをフィルムで密封することにより、光学式記録ディスク12aを真空パックし光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aを製造することを特徴とし、さらに、光学式記録ディスクの一面又は両面とフィルムとの間にガラス板を配置し、フィルムの内部を減圧しガラス板をフィルムで密封することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式記録ディスクを腐食及び破損することなく長期保存するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータを長期保存する必要性が近年高まっている。デジタルデータを保存する媒体として、半導体メモリ、磁気式メモリ、光学式記録ディスク及び磁気式記録ディスクなどがあげられる。半導体メモリ及び磁気式メモリなどは、経年劣化を発生させやすいため、デジタルデータの長期保存に適していない。光学式記録ディスク及び磁気式記録ディスクなどは、半導体メモリ及び磁気式メモリなどよりは、デジタルデータの長期保存に適している。
【0003】
光学式記録ディスクでは、空気や水分による腐食及び外部の衝撃による破損が問題となる。デジタルデータの保存期間が短期間であるときには、これらはあまり問題とならないが、デジタルデータの保存期間が長期間であるときには、これらが大きな問題となる。特許文献1−3では、光学式記録ディスクでの空気や水分による腐食及び外部の衝撃による破損を防止することと関連して、記憶ディスクや記憶媒体用ガラス基板を収納ケースに収納し、収納ケースを真空パックすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−264986号公報
【特許文献2】特開2009−173295号公報
【特許文献3】特開2009−187630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1−3では、記憶ディスクや記録媒体用ガラス基板を収納ケースから取り出すときに、取り出したい記憶ディスクや記録媒体用ガラス基板の表面が空気や水分にさらされるのみならず、中に残したい記憶ディスクや記録媒体用ガラス基板の表面も空気や水分にさらされる。よって、光学式記録ディスクでの空気や水分による腐食を完全には防止することができない。さらに、特許文献1−3では、隣接する記憶ディスクや記録媒体用ガラス同士を仕切るリブを利用して、記憶ディスクや記録媒体用ガラス基板を緩衝部材などを利用せずにそのまま立て掛けるのみである。よって、光学式記録ディスクでの外部の衝撃による破損を完全には防止することができない。
【0006】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、光学式記録ディスクでの空気や水分による腐食及び外部の衝撃による破損をよりよく防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、大気を遮断するフィルムで光学式記録ディスクを被い、フィルムの内部を減圧し光学式記録ディスクをフィルムで密封することにした。
【0008】
具体的には、本発明は、大気を遮断するフィルムで光学式記録ディスクを被い、前記フィルムの内部を減圧し前記光学式記録ディスクを前記フィルムで密封することにより、前記光学式記録ディスクを真空パックし光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを製造することを特徴とする、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法である。
【0009】
この構成によれば、フィルムの内部の真空を破らない限り、光学式記録ディスクでの空気や水分による腐食をよりよく防止することができる。
【0010】
また、本発明は、前記光学式記録ディスクの一面又は両面と前記フィルムとの間にガラス板を配置し、前記フィルムの内部を減圧し前記ガラス板を前記フィルムで密封することを特徴とする、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法である。
【0011】
この構成によれば、光学式記録ディスクでの外部の衝撃による破損をよりよく防止することができるとともに、光学式記録ディスクの一面又は両面へのガラス板の表面テクスチャの写り込みがない。
【0012】
また、本発明は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法で製造された光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを、大気を遮断する真空カプセルの内部に格納し、前記真空カプセルの内部を減圧し前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを前記真空カプセルに密閉することにより、前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを真空保存することを特徴とする、光学式記録ディスクの真空保存方法である。
【0013】
この構成によれば、真空カプセルの内部の真空を破ったときでも、フィルムの内部の真空を破らない限り、光学式記録ディスクでの空気や水分による腐食をさらによりよく防止することができる。そして、フィルムは高い空気圧に直接にさらされず、フィルムは高い空気圧による破損を防止することができる。
【0014】
また、本発明は、前記真空カプセルの内部の真空度は、前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの内部の真空度より高いことを特徴とする、光学式記録ディスクの真空保存方法である。
【0015】
この構成によれば、フィルムが内側から外側へと向けて若干膨らむため、光学式記録ディスクのディスク面へのフィルム又はガラス板からの応力が小さくなる。
【0016】
また、本発明は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法で製造された光学式記録ディスク内蔵真空パッケージと、大気を遮断し前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを内部に格納し、内部を減圧され前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを密閉する真空カプセルと、を備えることを特徴とする、光学式記録ディスクの真空保存装置である。
【0017】
この構成によれば、真空カプセルの内部の真空を破ったときでも、フィルムの内部の真空を破らない限り、光学式記録ディスクでの空気や水分による腐食をさらによりよく防止することができる。そして、フィルムは高い空気圧に直接にさらされず、フィルムは高い空気圧による破損を防止することができる。
【0018】
また、本発明は、前記真空カプセルの内部の真空度は、前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの内部の真空度より高いことを特徴とする、光学式記録ディスクの真空保存装置である。
【0019】
この構成によれば、フィルムが内側から外側へと向けて若干膨らむため、光学式記録ディスクのディスク面へのフィルム又はガラス板からの応力が小さくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、光学式記録ディスクでの空気や水分による腐食及び外部の衝撃による破損をよりよく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを示す図である。
【図2】本発明の第2の光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを示す図である。
【図3】本発明の光学式記録ディスクの真空保存装置を示す断面図である。
【図4】本発明の光学式記録ディスクの真空保存状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0023】
(光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ)
図1は、本発明の第1の光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを示す図である。図1(a)は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの平面図を示し、図1(b)は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの矢視X−X断面図を示す。光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aは、真空パック容器11a及び光学式記録ディスク12aから構成されている。図1(b)では、真空パック容器11aの大きさ及び光学式記録ディスク12aの直径と比較して、光学式記録ディスク12aの厚さが実寸よりやや誇張して示されている。
【0024】
真空パック容器11aは、空気や水分などの大気を遮断するフィルムで、光学式記録ディスク12aを被う。フィルムの材料は、光学式記録ディスク12aを長期保存することができる程度に空気や水分などの大気を遮断することができ、光学式記録ディスク12aのディスク面への表面テクスチャの写り込みを減らすことができることが望ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレン(PE)の複合材料であるPET/PE、延伸ナイロン(ON)及びPEの複合材料であるON/PEやアルミ箔複合フィルムなどがあげられ、これらの各材料にDLC(Diamond−like Carbon)をコーティングすることもできる。光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aが、後述の真空カプセル21に格納されるときには、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aが、単体で保存されるときと比較して、フィルムの材料は、空気や水分などの大気を遮断する性能として高い性能を有する必要はなく、例えばPET、PEやONなどを利用することができる。フィルムの形状は、光学式記録ディスク12aの出し入れの役割を果たし真空パック容器11aの内部の真空を確保するシール部111aを有するならば、どのような形状であってもよく、例えば光学式記録ディスク12aの形状に合わせた円盤形状や光学式記録ディスク12aの周囲に余裕を持たせた矩形形状などがあげられる。
【0025】
図1に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aでは、フィルムの形状は光学式記録ディスク12aの周囲に余裕を持たせた矩形形状であり、矩形形状のうち一辺ではシール部111aが設けられ、矩形形状のうち残りの三辺では真空パック容器11aは閉じられている。光学式記録ディスク12aは、真空パック容器11aの内部に収納される。光学式記録ディスク12aが収納された真空パック容器11aの内部が減圧されることにより、光学式記録ディスク12aが真空パック容器11aの内部に真空パックされる。図1(b)では、光学式記録ディスク12aが真空パック容器11aの内部に真空パックされた状態が示されている。光学式記録ディスク12aが占める部分においては、ディスク面及びフィルムが密着しており、光学式記録ディスク12aが占めない部分においては、フィルム同士が密着している。
【0026】
図1に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aでは、真空パック容器11aの内部の真空を破らない限り、光学式記録ディスク12aでの空気や水分による腐食をよりよく防止することができる。
【0027】
図2は、本発明の第2の光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを示す図である。図2(a)は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの平面図を示し、図2(b)は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの矢視Y−Y断面図を示す。光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bは、真空パック容器11b、光学式記録ディスク12b及び板状部材13bから構成されている。図2(b)では、真空パック容器11bの大きさ並びに光学式記録ディスク12b及び板状部材13bの直径と比較して、光学式記録ディスク12b及び板状部材13bの厚さが実寸よりやや誇張して示されている。
【0028】
図2に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bが図1に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aと相違する部分について以下に説明する。板状部材13bは、光学式記録ディスク12bの両面に接触するように、真空パック容器11bの内部に収納されている。板状部材13bは、光学式記録ディスク12bの一面に接触するように、真空パック容器11bの内部に収納されてもよい。図2(b)では、光学式記録ディスク12b及び板状部材13bが真空パック容器11bの内部に真空パックされた状態が示されている。光学式記録ディスク12b及び板状部材13bが占める部分においては、板状部材13bの表面及びフィルムが密着しており、光学式記録ディスク12b及び板状部材13bが占めない部分においては、フィルム同士が密着している。
【0029】
板状部材13bの材料は、光学式記録ディスク12bを外部の衝撃による破損から保護することができ、光学式記録ディスク12bのディスク面への表面テクスチャの写り込みを減らすことができることが望ましく、例えばガラスやプラスチックなどがあげられる。板状部材13bの材料は、ガラスであることがより望ましい。ガラスは不織布などとは異なり、表面テクスチャを有さないためである。
【0030】
板状部材13bの形状は、板状部材13bが占める部分が光学式記録ディスク12bが占める部分を包含することが望ましく、例えば光学式記録ディスク12bの円盤形状に合わせた円盤形状や真空パック容器11bの矩形形状に合わせた矩形形状などがあげられる。板状部材13bの形状は、板状部材13b及び光学式記録ディスク12bの中心が一致するような円盤形状であることがより望ましい。光学式記録ディスク12bのディスク面への板状部材13bからの応力が、光学式記録ディスク12bのディスク面全体で均一になるためである。
【0031】
フィルムの材料は、光学式記録ディスク12bを長期保存することができる程度に空気や水分などの大気を遮断することができればよい。板状部材13bが光学式記録ディスク12bの両面に接触するときには、フィルムの材料は光学式記録ディスク12bのディスク面への表面テクスチャの写り込みを減らさなくてもよい。板状部材13bが光学式記録ディスク12bの一面に接触するときには、フィルムの材料は光学式記録ディスク12bのディスク面への表面テクスチャの写り込みを減らすことが望ましい。
【0032】
図2に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bでは、真空パック容器11bの内部の真空を破らない限り、光学式記録ディスク12bでの空気や水分による腐食をよりよく防止することができる。そして、板状部材13bが光学式記録ディスク12bのディスク面に接触するため、光学式記録ディスク12bでの外部の衝撃による破損をよりよく防止することができる。さらに、板状部材13bがガラスであるならば、光学式記録ディスク12bのディスク面への板状部材13bの表面テクスチャの写り込みがない。
【0033】
(光学式記録ディスクの真空保存装置)
図3は、本発明の光学式記録ディスクの真空保存装置を示す断面図である。光学式記録ディスクの真空保存装置2は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1及び真空カプセル21から構成されている。光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1は、図1に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a又は図2に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bである。真空カプセル21は、格納部211、開閉部212、シール部213、排気部214及び排気弁215から構成されている。
【0034】
格納部211は、筒状形状を有しており、筒状形状の一端は閉じられており、筒状形状の他端は開かれている。格納部211は、筒状形状の軸方向に、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1を配置して収納する。格納部211の材料は、光学式記録ディスク12a、12bを長期保存することができる程度に空気や水分などの大気を遮断することができ、光学式記録ディスク12a、12bを外部の衝撃による破損から保護することができることが望ましく、例えば強度の高いアクリル材料又はガラス材料や光透過性の低い金属材料などがあげられる。格納部211の形状は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1を配置して収納することができるのであれば、どのような形状であってもよく、例えば光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1の形状に合わせた、底面が円盤形状や矩形形状などである筒状形状があげられる。
【0035】
開閉部212は、板状形状を有しており、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1を真空カプセル21に導入するときに、格納部211の上述の他端を開く位置にあり、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1を真空カプセル21に保存するときに、格納部211の上述の他端を閉じる位置にある。シール部213は、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1を真空カプセル21に保存するにあたり、開閉部212が格納部211の上述の他端を閉じる位置にあるときに、格納部211及び開閉部212の間をシールする。排気部214は、開閉部212から不図示の真空ポンプへと導く配管である。排気弁215は、排気部214の途上に配置され、真空カプセル21の内部の減圧を行うときに開かれ、真空カプセル21の内部の減圧を中止するときに閉じられる。
【0036】
図3に示した光学式記録ディスクの真空保存装置2を適用すれば、真空カプセル21の内部の真空を破ったときでも、真空パック容器11a、11bの内部の真空を破らない限り、光学式記録ディスク12a、12bでの空気や水分による腐食をさらによりよく防止することができる。そして、真空パック容器11a、11bは高い空気圧に直接にさらされず、真空パック容器11a、11bは高い空気圧による破損を防止することができる。
【0037】
図4は、本発明の光学式記録ディスクの真空保存状態を示す図である。図4(a)は、真空カプセル21の内部の真空度が、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bの内部の真空度以下であるときの真空保存状態を示し、図4(b)は、真空カプセル21の内部の真空度が、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bの内部の真空度より高いときの真空保存状態を示す。
【0038】
図4(b)の真空保存状態では、図4(a)の真空保存状態と比較して、真空パック容器11bが内側から外側に向けて若干膨らんでいる。よって、図4(b)の真空保存状態では、図4(a)の真空保存状態と比較して、光学式記録ディスク12bは板状部材13bからの応力を図4(b)の左右方向に小さくしか受けない。ただし、図4(b)の真空保存状態でも、図4(a)の真空保存状態と同様に、光学式記録ディスク12bは板状部材13bに対して図4(b)の上下方向に移動することができない。ここで、図4(b)の真空保存状態では、光学式記録ディスク12bは板状部材13bからの応力を図4(b)の左右方向に小さくしか受けないことを示すために、図4(b)では、光学式記録ディスク12b及び板状部材13bの間に空隙をやや誇張して示している。
【0039】
真空カプセル21の内部の真空度が光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a、1bの内部の真空度より高いときに、真空パック容器11a、11bが内側から外側に向けて若干膨らむことは、図2に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bのみならず、図1に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a及び板状部材13bが光学式記録ディスク12bの一方に接触している光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bにおいても同様である。
【0040】
真空カプセル21の内部の真空度を光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a、1bの内部の真空度より高くすれば、真空パック容器11a、11bが内側から外側へと向けて若干膨らむ。よって、板状部材13bが光学式記録ディスク12bに接触するときには、光学式記録ディスク12bのディスク面への板状部材13bからの応力が小さくなり、光学式記録ディスク12bが過度の応力を受けることを防止することができる。そして、フィルムが光学式記録ディスク12a、12bに接触するときには、光学式記録ディスク12a、12bのディスク面へのフィルムからの応力が小さくなり、光学式記録ディスク12a、12bのディスク面へのフィルムの表面テクスチャの写り込みを低減することができる。
【0041】
(光学式記録ディスクの真空保存方法)
まず、図1に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aの製造方法について説明する。まず、シール部111aを開き、大気を遮断するフィルムで光学式記録ディスク12aを被う。次に、シール部111aを閉じ、フィルムの内部を減圧し光学式記録ディスク12aをフィルムで密封する。このように、光学式記録ディスク12aを真空パックし、図1(b)のように光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1aを製造する。
【0042】
次に、図2に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bの製造方法について説明する。まず、シール部111bを開き、大気を遮断するフィルムで光学式記録ディスク12bを被い、光学式記録ディスク12bの一面又は両面とフィルムとの間に板状部材13bを配置する。次に、シール部111bを閉じ、フィルムの内部を減圧し光学式記録ディスク12b及び板状部材13bをフィルムで密封する。このように、光学式記録ディスク12b及び板状部材13bを真空パックし、図2(b)のように光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bを製造する。
【0043】
次に、図1に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a又は図2に示した光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1bを真空カプセル21の内部に真空保存する光学式記録ディスクの真空保存方法について説明する。まず、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a、1bを、大気を遮断する真空カプセル21の内部に格納する。ここで、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a、1bを格納部211に導入できるように、開閉部212を開いている。
【0044】
次に、真空カプセル21の内部を減圧し光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a、1bを真空カプセル21に密閉することにより、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a、1bを真空保存する。ここで、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ1a、1bを格納部211に保存できるように、開閉部212を閉じておりシール部213によるシールを行っている。そして、まず、排気弁215を開き、排気部214を介した不図示の真空ポンプによる減圧を行ない、次に、排気弁215を閉じ、排気部214を介した不図示の真空ポンプによる減圧を中止する。不図示の真空ポンプによる減圧は、真空カプセル21の内部の真空度が所望の真空度に到達するまで行なわれる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法、光学式記録ディスクの真空保存方法及び光学式記録ディスクの真空保存装置は、CD、DVD及びMOディスクなどのあらゆる光学式記録ディスクの長期保存に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1、1a、1b:光学式記録ディスク内蔵真空パッケージ
2:光学式記録ディスクの真空保存装置
11a、11b:真空パック容器
12a、12b:光学式記録ディスク
13b:板状部材
21:真空カプセル
111a、111b:シール部
211:格納部
212:開閉部
213:シール部
214:排気部
215:排気弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気を遮断するフィルムで光学式記録ディスクを被い、前記フィルムの内部を減圧し前記光学式記録ディスクを前記フィルムで密封することにより、前記光学式記録ディスクを真空パックし光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを製造することを特徴とする、光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法。
【請求項2】
前記光学式記録ディスクの一面又は両面と前記フィルムとの間にガラス板を配置し、前記フィルムの内部を減圧し前記ガラス板を前記フィルムで密封することを特徴とする、請求項1に記載の光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法で製造された光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを、大気を遮断する真空カプセルの内部に格納し、前記真空カプセルの内部を減圧し前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを前記真空カプセルに密閉することにより、前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを真空保存することを特徴とする、光学式記録ディスクの真空保存方法。
【請求項4】
前記真空カプセルの内部の真空度は、前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの内部の真空度より高いことを特徴とする、請求項3に記載の光学式記録ディスクの真空保存方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの製造方法で製造された光学式記録ディスク内蔵真空パッケージと、
大気を遮断し前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを内部に格納し、内部を減圧され前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージを密閉する真空カプセルと、
を備えることを特徴とする、光学式記録ディスクの真空保存装置。
【請求項6】
前記真空カプセルの内部の真空度は、前記光学式記録ディスク内蔵真空パッケージの内部の真空度より高いことを特徴とする、請求項5に記載の光学式記録ディスクの真空保存装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−22732(P2012−22732A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158310(P2010−158310)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年2月8日 インターネットアドレス「http://www.dcin.or.jp/index.html」 「http://www.dcin.or.jp/summary.html」 「http://www.dcin.or.jp/actives/ip002/0001pro.html」 「http://www.dcin.or.jp/actives/ip002/0005.html」に発表
【出願人】(510192097)