説明

光学情報検証装置

【課題】短時間に低コストで適正な光学情報を記録し得る光学情報検証装置を提供する。
【解決手段】2次元コード検証器では、受光センサにより読取対象物に記録された2次元コードを撮像し(S103)、受光センサにより撮像された2次元コードの記録状態を所定の評価項目(セルサイズ、コントラスト、印刷拡張、軸非均一性、誤り訂正未使用率)ついて測定してその測定値を出力し(S109)、これにより得られた測定値と所定の基準値(評価値)等を比較してその比較結果を出力し(S109)、当該比較結果に対応した改善策に変換して液晶表示器に出力する(S111、S113)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示媒体上に表示または印刷により記録された光学情報の記録状態を所定の評価項目について測定し得られた測定値と所定の基準値とを比較し当該比較結果に基づいて光学情報の記録状態を評価する光学情報検証装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコードや2次元コードといった各種の光学情報は、従来より工業製品等に貼付される製品のラベルやフィルムといった表示媒体に印刷され、その多くは当該製品の流通管理等に用いられているが、現在では、新聞や雑誌等の広告にも用いられている。例えば、広告を出した企業等の広告主が管理するインターネット上のホームページへ誘導する情報媒体としても使われていることが少なくない。
【0003】
ところで、このような光学情報は、主に、紙やポリエチレンフィルム等の表示媒体に印刷されるが、その印刷寸法や反射率を仕様通りに正しく設定して印刷したつもりでも、印刷条件の違いによっては異なった印刷品質になる場合がある。また、市場に出回ってからは、環境の変化などにより、印刷品質が劣化するのが一般的である。
【0004】
そして、このような光学情報の印刷品質の劣化は、当該光学情報を付された製品管理に影響を与えるばかりでなく、例えば、当該光学情報が、前述したようなホームページへ誘導する情報媒体として用いられている場合には、当該ホームページへ誘導することができないばかりか、2次元コードが読めないことにより当該広告主の企業イメージを低下させてしまう結果にもなりかねない。
【0005】
そこで、このような光学情報の印刷品質を検証する装置として、例えば、下記特許文献1に開示される「2次元コード検証装置」がある。この「2次元コード検証装置」では、印刷媒体(表示媒体)上に印刷された2次元コードの画像を読み取る読取手段と、この読取手段により読み取られた2次元コード画像に対して評価すべき基準項目が設定された基準項目設定手段、この基準項目設定手段により設定された基準項目に基づいて順次2次元コード画像を評価する評価手段と、この評価手段による評価結果に基づいて印刷媒体上の2次元コードの印刷状態の正否を検証する検証手段とを設けている。これにより、評価基準についてそれぞれ評価してそれらの評価結果から総合的に評価することにより正確に高精度に2次元コードが正しく印刷されているか否かを検証可能にしている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−128469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示される「2次元コード検証装置」によると、2次元コードの印刷状態を検証することは可能であっても、出力される評価結果は、検証すべき基準項目について定量化された評価数値を算出し、この数値に基づいて総合的に良否を判断するに留まっていた。つまり、印刷された光学情報が適正に印刷されているか否かを判断するだけで、例えば、適正に印刷されていないという結果が得られても、そのように印刷された2次元コードの「どこ」を「どのように」修正すれば良いか、また「どのような点」について改善すれば適正な光学情報が印刷できるか等については、評価結果に明示されていなかった。
【0008】
そのため、このような具体的な改善策を的確かつ確実に得るには、例えば、2次元コードの専門家や経験豊富な技術者等に検証結果の分析を依頼して当該光学情報の印字改善について指摘や指導を受けることが必要となる。しかし、これには相当なコストや時間がかかってしまうという問題がある。
【0009】
また、このような専門家等による指摘や指導を受けない場合には、紙やフィルム等の印刷媒体や印刷用のインクやトナーを選択したり、あるいはラベルプリンタの設定やプリンタの機種等を変更したりといった、種々様々に想定される複数の条件を組み合わせた印刷の試行を繰り返し行わなければ的確な改善策を得ることは難しい。このため、このような試行錯誤に要する時間やコストを考慮すると、やはり相当なコストや時間がかかってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、短時間に低コストで適正な光学情報を記録し得る光学情報検証装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学情報検証装置では、表示媒体上に記録された光学情報を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された光学情報の記録状態を所定の評価項目について測定してその測定値を出力する測定手段と、前記測定手段により得られた測定値と所定の基準値とを比較しその比較結果を出力する比較手段と、前記比較手段により出力された比較結果を当該比較結果に対応した改善策に変換して出力する改善策出力手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【0012】
なお、「光学情報」とは、1次元コード(EAN/UPC、インターリーブド2オブ5、コーダバー、コード39/128、スタンダード2オブ5、RSS等)に限られず、2次元コード(QRコード、PDF417、データマトリックス、マキシコード、RSSコンポジット等)等の各種のコードシンボルを含む概念である。
【0013】
特許請求の範囲に記載の請求項2の光学情報検証装置では、請求項1記載の光学情報検証装置において、光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の記録条件を入力するための記録条件入力手段を備え、前記改善策出力手段は、前記比較手段により出力された比較結果と前記記録条件入力手段により入力された記録条件とに対応した改善策に、前記比較結果を変換して出力することを技術的特徴とする。
【0014】
特許請求の範囲に記載の請求項3の光学情報検証装置では、請求項1記載の光学情報検証装置において、光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の読取条件を入力するための読取条件入力手段を備え、前記改善策出力手段は、前記比較手段により出力された比較結果と前記読取条件入力手段により入力された読取条件とに対応した改善策に、前記比較結果を変換して出力することを技術的特徴とする。
【0015】
特許請求の範囲に記載の請求項4の光学情報検証装置では、請求項1記載の光学情報検証装置において、光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の種別を入力するための種別情報入力手段を備え、前記改善策出力手段は、前記比較手段により出力された比較結果と前記種別情報入力手段により入力された光学情報の種別とに対応した改善策に、前記比較結果を変換して出力することを技術的特徴とする。
【0016】
特許請求の範囲に記載の請求項5の光学情報検証装置では、請求項1記載の光学情報検証装置において、光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の記録条件、光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の読取条件および光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の種別のうち、少なくとも1つ以上を入力するための入力手段と、前記入力手段により入力された前記記録条件、前記読取条件および前記種別の少なくとも1つと前記比較手段により出力された比較結果とに対応する改善策を索引可能な改善策変換テーブルと、を備えることを技術的特徴とする。
【0017】
特許請求の範囲に記載の請求項6の光学情報検証装置では、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学情報検証装置は、携帯可能であり、前記光学情報に反射した反射光が入射可能な読取口と、前記読取口から前記反射光の到来方向に延びて設けられ、当該読取口から前記光学情報まで離隔距離で前記測定のための一定距離を明示可能な案内部材と、を備えることを技術的特徴とする。
【0018】
特許請求の範囲に記載の請求項7の光学情報検証装置では、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学情報検証装置は、携帯可能であり、前記光学情報に照明光を照射可能な照明手段と、前記照明手段により照射された照明光が前記光学情報に反射した反射光を取り込み可能な読取口と、前記読取口の開口周囲に筒状に設けられ、前記照明手段から前記光学情報への照明光の照射および前記光学情報から前記読取口への反射光の入射をそれぞれ可能にし、かつ前記照明光および前記反射光以外の外来光の入射を遮断可能な遮光部材と、を備えることを技術的特徴とする。
【0019】
特許請求の範囲に記載の請求項8の光学情報検証装置では、請求項7記載の光学情報検証装置において、前記照明手段は、前記光学情報を読み取り得る光学情報読取装置から前記光学情報に照射される照明光とほぼ同様の発光特性を備えた照明光を照射可能であること技術的特徴とする。
【0020】
特許請求の範囲に記載の請求項9の光学情報検証装置では、請求項8記載の光学情報検証装置において、前記照明光は、光の三原色または白色からなり、これら各色の発光強度、点灯および消灯の各条件をそれぞれ任意に設定可能であることを技術的特徴とする。
【0021】
特許請求の範囲に記載の請求項10の光学情報検証装置では、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学情報検証装置において、前記改善策出力手段は、文字情報、記号情報および図形情報の少なくとも1以上を表示可能な表示手段、または音声および音響の少なくとも1以上を出力可能な出力手段、を介して前記改善策を出力可能であることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明では、撮像手段により、表示媒体上に記録された光学情報を撮像し、測定手段によって、撮像手段により撮像された光学情報の記録状態を所定の評価項目について測定してその測定値を出力し、この測定手段により得られた測定値と所定の基準値とを比較手段により比較してその比較結果を出力する。そして、改善策出力手段によって、比較手段により出力された比較結果を当該比較結果に対応した改善策に変換して出力する。これにより、撮像手段により撮像された光学情報の記録状態が適正ではない場合には、所定の基準値として比較した比較結果に基づいてその比較結果に対応した具体的な改善策が出力されるで、当該記録された光学情報のどこを修正すれば良いか、どのような点を改善すれば良いのか等を的確に把握することができる。したがって、専門家等による指摘や指導を受けることなく、光学情報の記録状態などを適正に修正することができるので、短時間に低コストで適正な光学情報を記録することができる。
【0023】
請求項2の発明では、改善策出力手段によって、記録条件入力手段により入力された光学情報の記録状態に影響を与える光学情報の記録条件と、比較手段により出力された比較結果と、に対応した改善策に、比較結果を変換して出力する。これにより、光学情報の記録条件を踏まえて、改善策を変換して出力することが可能となるので、例えば、光学情報が記録(印刷)される表示媒体(例えば紙やフィルム)の質や記録(印刷)するための機器装置の種類等といった条件に基づいた改善策を出力することができる。したがって、専門家等による指摘等を受けなくても、このような記録条件に基づいた適切な改善策を把握することができるので、さらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。
【0024】
請求項3の発明では、改善策出力手段によって、読取情報入力手段により入力された光学情報の記録状態に影響を与える光学情報の読取条件と、比較手段により出力された比較結果と、に対応した改善策に、比較結果を変換して出力する。これにより、光学情報の読取条件を踏まえて、改善策を変換して出力することが可能となるので、光学情報として、例えば2次元コードを読み取るとき、携帯電話機のイメージャ(CCD等)で読み取る場合と2次元コード専用のスキャナで読み取る場合等の光学情報読取装置の違いに基づいた改善策を出力することができる。したがって、専門家等による指摘等を受けなくても、このような読取条件に基づいた適切な改善策を把握することができるので、さらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。
【0025】
請求項4の発明では、改善策出力手段によって、種別情報入力手段より入力された光学情報の記録状態に影響を与える光学情報の種別と、比較手段により出力された出力結果と、に対応した改善策に、比較結果を変換して出力する。これにより、光学情報の種別を踏まえて、改善策を変換して出力することが可能となるので、光学情報の種別として、バーコードであるか2次元コードであるか、またそのサイズ(寸法)等といった違いに基づいた改善策を出力することができる。したがって、専門家等による指摘等を受けなくても、このような光学情報の種別に基づいた適切な改善策を把握することができるので、さらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。
【0026】
請求項5の発明では、光学情報の記録条件、読取条件、種別のうち、少なくとも一つ以上を入力するための入力手段と、この入力手段により入力された記録条件、読取条件および種別の少なくとも一つと比較手段により出力された比較結果とに対応する改善策を索引可能な改善策変換テーブルと、を備える。これにより、このような改善策変換テーブルに基づいて容易に改善策を出力するアルゴリズムを構成することができるので、比較的簡易な構成により改善策出力手段を構成することができる。
【0027】
請求項6の発明では、当該光学情報検証装置は携帯可能であり、光学情報に反射した反射光が入射可能な読取口を設け、この読取口から入射した反射光の到来方向に延びて設けられる案内部材を備えている。そして、この案内部材は、当該読取口から光学情報までの離隔距離で測定のための一定距離を明示可能にしているので、光学情報から読取口までの距離を一定に保ちながら所定の評価項目について測定することができる。このため、当該光学情報検証装置が携帯可能なものであっても、光学情報から読取口までの離隔距離を一定にできるので、当該離隔距離が変動することによって生じる測定誤差を防止することができる。したがって、測定誤差による誤った改善策の出力を防止できる。
【0028】
請求項7の発明では、当該光学情報検証装置は携帯可能であり、光学情報に照明光を照射可能な照射手段と、この照射手段により照射された照明光が光学情報に反射した反射光を読み取り可能な読取口と、この読取口の開口周囲に筒状に設けられ、照明手段から光学情報への照射光の照射および光学情報から読取口への反射光の入射をそれぞれ可能にし、かつ照明光および反射光以外の外来光の入射を遮断可能な遮光材を備える。これにより、照射手段から照射された照明光は、確実に光学情報に照射することができ、またこの光学情報に反射された反射光の入射を確実に読取口に導くことができ、その一方で、外来光の入射を遮光部材により遮断することができる。したがって、例えば、評価項目として、光学情報を構成するコード像のコントラストを検証する場合に、このような遮光部材を設けることで、外部から到来する外来光の影響を防ぐことができるので、外来光の届かない暗室でなくても、当該コントラストについて検証することができる。
【0029】
請求項8の発明では、照射手段は、光学情報を読み取り得る光学情報読取装置から光学情報に照射される照明光とほぼ同様の発光特性を備えた照明光を照射可能にしている。これにより、それぞれの光学情報読取装置に設けられた照明光の特性とほぼ同様の発光特性で所定の評価項目について測定することができるので、実際に使用される光学情報読取装置の装置条件に近い環境で評価をすることができる。したがって、より現実の使用環境に適合した改善策を把握することができるので、さらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。
【0030】
請求項9の発明では、照明光が、光の三原則または白色からなり、これら各色の発光強度、点灯および消灯の各条件をそれぞれ任意に設定可能にしている。これにより、それぞれの光学情報読取装置から照射される照明光の発光状態に近い状態を設定して所定の評価項目について測定することができるので、実際に使用される光学情報読取装置の装置条件に近い環境で評価をすることができる。したがって、より現実の使用環境に適合した改善策を把握することができるので、さらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。
【0031】
請求項10の発明では、改善策出力手段は、文字情報、記号情報および図形情報の少なくとも1以上を表示可能な表示手段、または音声および音響の少なくとも1以上を出力可能な出力手段、を介して具体的対策を出力可能にしている。これにより、当該光学情報検証装置の使用者は、このような表示手段による視覚的に把握可能な出力あるいは出力手段による聴覚的に把握可能な出力によって改善策を把握することができる。したがって、当該使用者は、改善策を容易に把握することができるので、一層、短時間かつ低コストで適正な光学情報の印刷を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の光学情報検証装置の実施形態について図を参照して説明する。まず、本実施形態に係る2次元コード検証器10の構成を図1〜図3に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、2次元コード検証器10は、主に、縦長のほぼ矩形箱状なすハウジング11と、このハウジング11内に収容される回路部20と、同じくこのハウジング11内に収容されて回路部20に駆動電力を供給する電池49と、により構成されている。
【0034】
ハウジング11は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部品で、その一端側に、ハウジング11の裏面方向に前傾するように「首曲がり形状」をなす読取口11aを備えている。この読取口11aは、後述する回路部20の受光センサ23に入射する入射光を導入可能な開口部で、後述するような読取ガイド50や遮光フード60等を取り付け可能に構成している。一方、このハウジング11の他端側には、電池49を収容可能な図略の電池ボックスが形成されている。また、ハウジング11の表面側には液晶表示器46を取付可能な開口部も形成されており、後述するように、2次元コード検証器10の使用者が液晶表示器46に表示する表示内容を視覚的に把握可能に構成している。
【0035】
回路部20は、ハウジング11の内部に収容されているプリント配線板15、16に実装される各種の電子部品18等によって構成されている。即ち、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されている。そして、これらはプリント配線板15、16に実装されたり、あるいはハウジング11内に内装されている。
【0036】
ここで、回路部20の構成について図2を参照して後述する。図2に示すように、回路部20を構成する光学系は、照明光源21、受光センサ23、マーカ光源25、結像レンズ27等から構成されている。照明光源21は、図1には記載されていないが、照明光発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズ等とから構成されている。本実施形態では受光センサ23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、ハウジング11の読取口11aを介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。
【0037】
なお、本実施形態では、赤色のLEDを用いているが、例えば青色、白色等といった多種多様な発光色を、当該2次元コードQを読み取り得る2次元バーコードリーダ(光学情報読取装置)の照明光Lfの発光色に合わせても良い。これにより、2次元バーコードリーダの照明光の発光状態に近い状態で、照明光源21から照明光Lfを照射できる。
【0038】
受光センサ23は、読取対象物Rや2次元コードQに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を100万個オーダーで2次元に配列したエリアセンサがこれに相当する。この受光センサ23の受光センサ23aには、ハウジング11の外から読取口11aを介して外観可能に構成されており、受光センサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光をこの受光センサ23aで受光可能にプリント配線板15に実装されている。
【0039】
マーカ光源25は、2次元コード検証器10の使用者に対して適切な読取位置を知らせるためのマーカ光Mfを発光可能なマーカ光源として機能するもので、例えばレーザダイオードとこのレーザダイオードの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズやマーカ光MfによるセンターマークMXやコーナーマークMLといったパターンを形成可能なスリット盤、結像レンズ、絞り盤から構成されている。これにより、図6(A) に示すように、読取対象物Rに向けてマーカ光Mfが照射されると、読取対象物Rの表面にはコーナーマークMLやセンターマークMXによるマーカMKが映し出されるので、センターマークMXを中心にコーナーマークMLと2次元コードQの外側とが一致するように位置あわせをすることで、読取対象物Rから読取口11aまでの距離を一定に保つことが可能となる。
【0040】
結像レンズ27は、外部からハウジング11を介して入射する入射光を集光して受光センサ23の受光センサ23aに像を結像可能な結像光学系として機能しうるもので、例えば鏡筒とこの鏡筒に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。なお、図2には示されていないが、図1に示すように、2次元コードQ等に反射して読取口11aに入射した反射光Lrの光路を変更する反射鏡26が読取口11a内に設けられている。
【0041】
次にマイコン系の構成概要を説明する。図2に示すように、マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能しうる制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、前述した光学系により撮像された2次元コードQの画像信号等をハードウエア的およびソフトウエア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該2次元コード検証器10の全体のシステムに関する制御も行っている。
【0042】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号は、増幅回路31に入力されることで所定原因で増幅した後、A/D変換回路33に入力されるとアナログ信号からデジタル信号に変換される。そして、デジタル化された画像信号、つまり画像データはメモリ35に入力されると所定の入力バッファに蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいてメモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0043】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えば読取対象物RAM(DRAM、SRAM等)や読取対象物ROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した所定のバッファ領域やこのほか制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理に利用する作業領域等も確保可能に構成されている。また、ROMには、後述する検証処理等を実行可能な所定のプログラムやその他、照明光源21、受光センサ23やマーカ光源25等の各ハードウェアの制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0044】
制御回路40は、2次元コード検証器10全体の制御を可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェースとからなり、メモリ35と共に情報処理装置を構成し情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等を接続している。これにより、例えば、電源スイッチ41や操作スイッチ42の監視や管理、またインジケータとして機能するLED43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには読み取った2次元コードQの評価結果を表示可能な液晶表示器46の画面制御や外部機器とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。なお、操作スイッチ42には、照明光源21による照明光Lfの照射を指示するトリガースイッチ14が含まれている。
【0045】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等に構成されており、制御回路40により管理されている電源スイッチ41のオンオフによって、前述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な二次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0046】
次に、このように構成される2次元コード検証器10のハウジング11の読取口11aに取り付けられる読取ガイド50等の例を図3に基づいて説明する。例えば、図3(A) に示すように、2次元コード検証器10aでは、四角筒状からなる読取ガイド50を読取口11aに取り付ける。この読取ガイド50は、2次元コードQから読取口11aまでの離隔距離を一定に保つためのもので、例えば、透明な合成樹脂等により構成される。これにより、前述したようなマーカ光源25によるマーカ光Mfを照射しなくても、読取ガイド50によって2次元コードQから読取口11aまでの離隔距離を一定に保つことができるので、マーカ光源25およびその周辺回路を設ける必要がない分、回路部20を簡易に構成することができる。
【0047】
また、図3(B) に示すように、拡径状の四角筒状からなる遮光フード60を読取口11aに設けても良い。遮光フード60は、光の透過を遮断するもので、例えば、前述した読取ガイド50の材質を遮光性のある合成樹脂に変えることにより構成することができる。この遮光フード60を設けた2次元コード検証器10bでは、2次元コードQから読取口11aまでの距離を一定に保つことができると共に、遮光フード60の外から到来する太陽光やその他の外来光を遮断することができるので、2次元コードQに遮光フード60を被せることで、2次元コードQに外来光が照射されることを防止できる。そのため、正確なコントラストを2次元コードQについて検証する場合、外来光の影響で精度が低下することを防止する必要がある場合、このような遮光フード60を設けることにより、例えば暗室がないところにおいてもこのような検証を実施することができる。
【0048】
さらに、図3(C) に示すように、拡径状の四角筒状からなるミラーフード70を読取口11aに設けても良い。ミラーフード70は、例えば、外来光は反射しても内部の照明光Lf等は内から外へ透過する、いわゆるマジックミラーのような材質ならなる。このようなミラーフード70を備える2次元コード検証器10cでは、例えば太陽光のような外来光はミラーフード70の内部に入射するのを防ぎながら、ミラーフード70の内部に照射される照明光Lfは、内部から外部に透過するので、例えば、外来光による影響に加えて照明光Lfの反射による影響でも精度が低下するような測定項目のある2次元コードQの検証に特に有効となる。
【0049】
ここで、2次元コードQの一例として、QRコードの構成概要を図4を参照して簡単に説明する。図4に示すように、QRコードは、セルCL、切り出しシンボルQS、アライメントパターンAP、タイミングパターンTPおよびクワイエットゾーンQZから構成されている。セルCLは、碁盤の目のような正方形状のマトリックスに配置される白色または黒色の正方形状の領域で、QRコードの最小構成要素である。
【0050】
切り出しシンボルQSは、セルCLによって構成されるマトリックスの3箇所の隅に位置する正方形に配置される複数セルの集合体で、QRコードの位置、大きさ、傾きを検出可能に構成されている。具体的には、3セル×3セルの正方形状に配置された9個の黒色セルCLと、これを取り囲む16個の白色セルCLと、さらにこれらの白色セルCLを取り囲む24個の黒色セルCLとからなる。この切り出しシンボルQSによって360度全方向でQRコードの検出を可能にしている。
【0051】
アライメントパターンAPも、正方形に配置される複数セルの集合体で、QRコードの歪みを補正可能に構成されており、3箇所の切り出しシンボルQSによって規定される正方形範囲内の所定箇所に位置している。具体的には、1セル分の独立した黒色セルCLと、この黒色セルCLの周囲を囲む8個の白色セルCLと、この正方形状の白色セルCLの周囲を囲む16個の黒色セルCLとからなるので、中心座標を検出を容易にしている。
【0052】
タイミングパターンTPは、各セルCLの中心座標を求めるためのタイミング抽出を可能にする、白色、黒色が繰り返し現れるパターンで、白色セルCLと黒色セルCLとを直線状に交互に配置している。例えば、QRコードが歪んだり、セルCLのピッチに誤差が生じている場合、セルCLの中心座標を補正するために用いられる。タイミングパターンTPは、所定のアライメントパターンAPの中心を通るように、QRコードの縦方向および横方向のそれぞれに設けられている。
【0053】
クワイエットゾーンQZは、3箇所の切り出しシンボルQSによって規定される正方形範囲の外側周囲に設けられる余白スペースで、外側方向に向かって4セルCL分以上の幅に設定されている。このクワイエットゾーンQZによってQRコードの境界を検出可能にしている。なお、図4に示す碁盤の目のような正方形状のマトリックスのうち、上述した切り出しシンボルQS、アライメントパターンAPおよびタイミングパターンTPを除いた部分がデータ領域となり、例えば、0/1からなる2値データを白色セルCLと黒色セルCLとに対応させてデータ表現している。
【0054】
次に、このように構成される2次元コード検証器10により実行される評価処理の流れを図5に基づいて説明する。なお、評価処理は前述したメモリ35の読取対象物ROMに格納される評価プログラムを制御回路40が実行することによって行われる。
【0055】
図5に示すように、この評価処理では、まずステップS101による使用条件入力処理が行われる。この処理は、前述した操作スイッチ42を使用者が押すことにより、例えば、液晶表示器46に表示されるメニュー内容によって所定の使用条件、例えば光学情報読取装置が携帯電話機であるのか2次元コードスキャナであるか等の読取条件等を選択する。
【0056】
ステップS101により使用条件が入力されると、次にステップS103により2次元コード撮像処理が行われる。この処理は、例えば、トリガースイッチ14を使用者が押すことにより照明光源21から出射された照明光Lfが2次元コードQに反射してその反射光Lrが読取口11aを介して受光センサ23に入射することによって、受光センサ23で露光されて2次元コードQの画像情報を得ることにより行われる。このとき、マーカ光源25からはマーカ光Mfが照射されるので、2次元コード検証器10の使用者はこのマーカ光Mfによって明示されるセンターマークMXやコーナーマークMLによるマーカMKを目印に2次元コードQとの離隔距離を一定に保つことができる。
【0057】
次にステップS105では適切な画像が取得できたか否かを判断する処理が行われる。この処理では、例えば図6に示すように、マーカ光MfによるマーカMKと2次元コードQとの位置関係を画像認識処理によって判断する。具体的には、図6(A) に示すように、2次元コードQの3箇所の隅に設けられる切り出しシンボル(ファインダパターン)QSの外縁とマーカMKのコーナーマークMLの外縁とが一致しているか否かを判断する。
【0058】
そして、図6(A) に示すように両者が一致している場合には、適切な画像が取得できたと判断して(S105;Yes)、次のステップS107に処理を移行する。一方、図6(B) や図6(C) に示すように切り出しシンボルQSの外縁とコーナーマークMLの外縁とが一致していない場合には(S105;No)、ステップS103に処理を移行して再び2次元コード撮像処理を行う。
【0059】
即ち、図6(B) に示すように、2次元コードQの内側にコーナーマークMLが入り込んでしまいコーナーマークMLの外側に切り出しシンボルQSの一部がはみ出しているような場合には、2次元コードQと読取口11aとの離隔距離が近すぎることを示す。これに対し、図6(C) に示すように、コーナーマークMLの内側に余白部分があり、なおかつ、その内側に切り出しシンボルQSが位置している場合には、2次元コードQと読取口11aとの離隔距離が遠すぎることを示す。このように本実施形態では、マーカ光源25によるマーカ光Mfを照射することにより、それによるコーナーマークMLやセンターマークMXを2次元コードQの上に映し出すことで、2次元コードQと読取口11aとの離隔距離の関係を2次元コード検証器10の使用者に明示可能にしている。
【0060】
ステップS105による判断処理で適切な画像が取得できたと判断されると(S105;Yes)、次のステップS107より画像2値化処理が行われる。この処理は、受光センサ23により取得された画像信号を増幅回路31、A/D変換回路33を介してメモリ35に格納した後、黒色と白色との中間にあたる灰色の色成分を所定のしきい値によって黒色または白色のデータに変換するものである。つまり、グレースケールの白黒以外を白または黒に変換する処理である。
【0061】
具体的には、図7(A) に示すように、受光センサ23により取得された画像信号には、2次元コードを黒色の部分と白色の部分のほかに灰色の部分も含まれているで、この灰色の部分を黒色または白色に変換することで、例えば図7(B) に示すように、白黒の2値に変換する。ここで、図7(B) に示す破線楕円α内はそれを拡大すると、図7(C) に示すような画像データとなる。即ち、図7(C) では、受光センサ23を構成する画素(ピクセル)をグリッド状に表現したもので、各画素に対応して2次元コードQを構成する白黒の画像情報が表れる。そのため、2次元コードQを構成する黒の最小範囲(QRコードのセルCLに相当)の幅や長さ等を画素単位で測定することによって当該2次元コードQが適正に記録されいるか(印刷されているか)否かを判断することができる。このような処理を本実施形態の検証処理では、ステップS109により行っている。
【0062】
図5に示すようにステップS107により画像2値化処理が終わると、次にステップS109により画素計測・評価値計算処理が行われる。この処理では、図7(C) を示して説明したように画素単位で2次元コードQを構成する最小単位(セル)の幅や長さを測定しその測定結果を評価値として計算する。具体的には、例えばセルピッチ(cell pitch)、X方向拡張度(X expand)、Y方向の拡張度(Y expand)等の各測定項目に基づいて測定を行う。このような測定値は、2次元コードQを構成する最小単位(セル)をすべてについて行い、それらの平均値を評価値とする。例えば、セルピッチの評価値は0.5、X方向拡張度の評価値は0.33、Y方向拡張度の評価値は0.l3等といった具合である。
【0063】
続くステップS111では、評価値変換処理が行われる。この処理は、ステップS109により計算された評価値に対応する改善策を変換する処理である。具体的には、例えば図8に示すような評価値変換テーブルが用いられる。この評価値変換テーブルは、メモリ35にあらかじめ格納されており、制御回路40がメモリ35上の評価値変換テーブルを検索することによって当該テーブルに示された番号(0〜19)に基づいて評価および改善策を変換する。
【0064】
例えば、評価項目「セルサイズ」、「コントラスト」、「印刷拡張」、「軸非均一性」、「誤り訂正未使用率」について、「使用環境」、「スキャナ」、「紙」、「プリンタ」が、それぞれ対応する。前述したセルピッチは、セルとセルとの間の間隔を表すのでそれがそのまま「セルサイズ」に対応する。また、X方向拡張度やY方向拡張度は、それぞれ「印刷拡張」に対応する。このため、例えば、前述のセルピッチの評価値が0.5の場合には、セルサイズの評価値として、0.5のところを参照する。すると、セルサイズの評価値が0.5の場合には、評価値「0.25〜」(0.25超過)のところに対応するので、例えばスキャナ(光学情報読取装置)が携帯電話機の場合には「0」、2次元コードスキャナ(2Dスキャナ)の場合には「0」がそれぞれ評価および改善点の番号に対応する。なお、評価および改善点の番号(0〜19)は、図9にその内容が示されている。例えば、番号「0」の場合には、評価は「良好です。」であり、改善点は「問題ありません。」となる。
【0065】
また、X方向拡張度0.33、Y方向拡張度0.13については、評価項目として「印刷拡張」が対応する。このため、例えば、X方向拡張度0.33に対応する印刷拡張の評価値は、−0.50〜+0.50(−0.50以上+0.50未満)に当たるので、その評価および改善策の番号は「0」に対応する。同様に、Y方向拡張度0.13についても、印刷拡張の評価値は、−0.50〜+0.50(−0.50以上+0.50未満)に対応するので、この評価および改善点の番号は「0」が対応する。したがって、図9に示すように、評価は「良好です。」、改善点は「問題ありません。」となる。
【0066】
さらに、コントラストや軸非均一性あるいは誤り訂正未使用率についても、同じような要領で評価することができるが、ここではそれら内容を割愛する。また、使用環境がスキャナ(光学情報読取装置)のほかに、紙(印刷媒体、表示媒体)やプリンタ(表示機器、印刷機器)についてもそれぞれ評価や改善点に対応する番号が付されている。
【0067】
このようにステップS111では、評価値変換処理が行われてそれに対応する評価および改善点の番号が得られるので、この番号に対応したメッセージを続くステップS113の評価結果・改善点表示処理によって液晶表示器46に表示する。
【0068】
ステップS113では評価結果・改善点表示処理が行われる。この処理は、図9に示すメッセージテーブルに基づいて、番号に対応する評価および改善点を液晶表示器46に表示する処理である。例えば、番号「1」の場合には、評価として「セルサイズが小さい。」、また改善点として「セルサイズを大きくして下さい。」というメッセージを液晶表示器46に表示する。また番号「2」の場合には、評価として「セルが太っています。」、改善点として「印刷圧を弱くして下さい。」というメッセージを液晶表示器46に表示する。以下、同様に番号「3」〜番号「19」までそれぞれに対応した評価および改善点を液晶表示器46に表示できるように、当該メッセージテーブルではそれぞれのテキストデータを格納している。このような評価結果は、例えば図10(A) や図10(B) に示すように液晶表示器46に表示される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態にかかる2次元コード検証器10よると、受光センサ23により読取対象物Rに記録された2次元コードQを撮像し、制御回路40およびメモリ35によって、受光センサ23により撮像された2次元コードQの記録状態を所定の評価項目(セルサイズ、コントラスト、印刷拡張、軸非均一性、誤り訂正未使用率)ついて測定してその測定値を出力し、この制御回路40およびメモリ35により得られた測定値と所定の基準値(図8に示す評価値)等を制御回路40およびメモリ35により比較してその比較結果を出力する。そして制御回路40、メモリ35、液晶表示器46によって、当該比較結果に対応した改善策に変換して出力する。
【0070】
これにより、受光センサ23により撮像された2次元コードQの記録状態が適正でない場合には、所定の基準値として比較した比較結果に基づいてその比較結果に対応した具体的な改善策が液晶表示器46に出力されるので(図10)、当該記録された2次元コードQのどこを修正すれば良いか、どのような点を改善すれば良いか等を的確に把握することができる。したがって、専門家等による指摘や指導を受けることなく、2次元コードQの記録状態等を適正に修正することができるので、短時間に低コストで適正な2次元コードQを記録することができる。
【0071】
なお、図5に示す使用条件入力処理(S101)として、例えば、紙(表示媒体、記録媒体)等の2次元コードQ(光学情報)の記録条件を入力しても良い。これにより、2次元コードQ(光学情報)の記録条件を踏まえて、改善策を変換して出力することが可能となるので、例えば2次元コードQが記録(印刷)される表示媒体(例えば紙やフィルムの質(紙であれば、再生紙、上質紙、コート紙)や記録(印刷)するための機器装置の種類(インクジェットプリンタ、レーザプリンタ)等といった条件に基づいた改善策を出力することができる。したがって、専門家等による指摘を受けなくてもこのような記録条件に基づいた適切な改善策を把握することができるので、さらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。
【0072】
また、図5に示す使用条件入力処理(S101)により、光学情報の種別として、例えばバーコード、2次元コード等といったコードの種類を入力するようにしても良い。これにより、光学情報の種別を踏まえて改善策を変換して出力することになるので、このようなバーコードであるか2次元コードであるかの違い、あるいはそのサイズ(寸法)等といった違いに基づいた改善策を出力することができる。したがって、このような場合にも専門家等による指摘を受けなくても光学情報の種別に基づいた適切な改善策を把握することができるので、さらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。
【0073】
なお、上述した実施形態では、図8に示すように2次元コードQの記録条件として、その記録媒体である紙が「再生紙」、「上質紙」および「コート紙」のいずれであるかによって、あるいは光学情報読取装置であるスキャナが「携帯電話機」によるものであるか「2次元コードスキャナ」であるかによって、各評価項目に対応する評価および改善点の番号を評価値変換テーブルに設定したが、例えば、光学情報の種別(例えば、バーコード、2次元コード)の違いを加えても良い。これにより、バーコードや2次元コードといった光学情報の種別を踏まえて改善策を変換して出力することが可能になるので、このような光学情報の種別に基づいた適切な改善策を、専門家等の指摘を受けることなく把握することができる。このため、よりさらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。なお、光学情報の種別としてバーコードや2次元コードの違いのほかにバーコードや2次元コードのサイズ(寸法)といったものも含めることができる。
【0074】
また、上述した実施形態では、照明光源21を制御回路40で制御することにより、LED43が所定条件で点灯・消灯したり、あるいは発光強度や発光色が設定されていたが、例えば、実際に使用されるバーコードリーダ等の光学情報読取装置の機種に対応した条件で、LED43を点灯・消灯させたり、LED43の発光強度や発光色を設定しても良い。これにより、実際に使用されるバーコードリーダ等の装置条件に近い環境で評価をすることができるので、より現実の使用環境に適合した改善策を把握することができ、さらに短時間に低コストで適正な光学情報の記録を可能にすることができる。
【0075】
さらに、上述した実施形態では、照明光源21を設けて2次元コードQに照明光Lfを照射するように構成したが、例えば、太陽光等の外来光を2次元コードQに照射して当該2次元コードQを読み取る場合の検証では、照明光源21を必要とすることなく、上述した各検証を行うことができる。
【0076】
さらにまた、上述した実施形態では、評価結果や改善策を日本語文字として液晶表示器46に表示したが、これに代えてまたはこれに加えて、例えば、ブザー44等の音響装置を介してビープ音や疑似音声で評価結果や改善策の意味内容を音響出力しても良い。
【0077】
なお、上述した実施形態等では、光学情報として、2次元コードの場合を例示して説明したが、本発明はこれに限られることはなく、光学情報であれば、例えば、いわゆるバーコード(EAN/UPC、インターリーブド2オブ5、コーダバー、コード39/128、スタンダード2オブ5、RSS等の1次元コード)の検証にも適用することができる。また、上述した実施形態等では、光学情報として、特に、マトリックスコード(マトリックスシンボル)体系のQRコードを例示して説明したが、本発明はこれに限られることはなく、他のマトリックスコード体系のもの(データマトリックス、マキシコード、マイクロQRコード等)や、マルチローコード(マルチローシンボル)体系(PDF417、マイクロPDF417、RSSコンポジット等)の検証にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態に係る2次元コード検証器の構成を示す模式的な縦断面図である。
【図2】本実施形態に係る2次元コード検証器の回路構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る2次元コード検証器の改変例を示す模式的な説明図で、図3(A) は読取ガイドを設けた例、図3(B) は遮光フードを設けた例、図3(C) はミラーフードを設けた例、である。
【図4】2次元コードの一例として、QRコードの構成概要を示す説明図である。
【図5】本実施形態に係る2次元コード検証器による検証処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る2次元コード検証器から照射されるマーカ光による離隔距離の設定例を示す説明図で、図6(A) は適正距離に設定された例、図6(B) は適正距離よりも近くに設定された例、図6(C) は適正距離よりも遠くに設定された例、である。
【図7】図7(A) は受光センサにより得られた画像情報の一例を示す説明図で、図7(B) は図7(A) の画像情報を2値化処理した後の画像情報の例を示す説明図で、図7(C) は図7(B) に示す破線α内を画素単位に区切った画像情報の例を示す説明図である。
【図8】本実施形態に係る2次元コード検証器が持つ評価値変換テーブルの一例を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る2次元コード検証器が持つメッセージテーブルの一例を示す説明図である。
【図10】本実施形態に係る2次元コード検証器の液晶表示器に出力される評価結果の表示例で、図10(A) は評価が良好の場合、図10(B) は評価が良好ではない場合、をそれぞれ示すものである。
【符号の説明】
【0079】
10、10a、10b、10c…2次元コード検証器
11…ハウジング
11a…読取口
14…トリガースイッチ
15、16…プリント配線板
21…照明光源
23…受光センサ(撮像手段)
25…マーカ光源
35…メモリ(測定手段、改善策出力手段)
40…制御回路(測定手段、改善策出力手段)
42…操作スイッチ(読取条件入力手段、入力手段)
44…ブザー(出力手段)
46…液晶表示器(表示手段)
50…読取ガイド(案内部材)
60…遮光フード(遮光部材)
70…ミラーフード(遮光部材)
Lf…照明光
Lr…反射光
MK…マーカ
ML…コーナーマーク
MX…センターマーク
Mf…マーカ光
Mr…マーカ反射光
Q…2次元コード(光学情報)
QS…切り出しシンボル
R…読取対象物(表示媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示媒体上に記録された光学情報を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された光学情報の記録状態を所定の評価項目について測定してその測定値を出力する測定手段と、
前記測定手段により得られた測定値と所定の基準値とを比較しその比較結果を出力する比較手段と、
前記比較手段により出力された比較結果を当該比較結果に対応した改善策に変換して出力する改善策出力手段と、
を備えることを特徴とする光学情報検証装置。
【請求項2】
光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の記録条件を入力するための記録条件入力手段を備え、
前記改善策出力手段は、前記比較手段により出力された比較結果と前記記録条件入力手段により入力された記録条件とに対応した改善策に、前記比較結果を変換して出力することを特徴とする請求項1記載の光学情報検証装置。
【請求項3】
光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の読取条件を入力するための読取条件入力手段を備え、
前記改善策出力手段は、前記比較手段により出力された比較結果と前記読取条件入力手段により入力された読取条件とに対応した改善策に、前記比較結果を変換して出力することを特徴とする請求項1記載の光学情報検証装置。
【請求項4】
光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の種別を入力するための種別情報入力手段を備え、
前記改善策出力手段は、前記比較手段により出力された比較結果と前記種別情報入力手段により入力された光学情報の種別とに対応した改善策に、前記比較結果を変換して出力することを特徴とする請求項1記載の光学情報検証装置。
【請求項5】
光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の記録条件、光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の読取条件および光学情報の前記記録状態に影響を与える光学情報の種別のうち、少なくとも1つ以上を入力するための入力手段と、
前記入力手段により入力された前記記録条件、前記読取条件および前記種別の少なくとも1つと前記比較手段により出力された比較結果とに対応する改善策を索引可能な改善策変換テーブルと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の光学情報検証装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学情報検証装置は、携帯可能であり、
前記光学情報に反射した反射光が入射可能な読取口と、
前記読取口から前記反射光の到来方向に延びて設けられ、当該読取口から前記光学情報まで離隔距離で前記測定のための一定距離を明示可能な案内部材と、
を備えることを特徴とする光学情報検証装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学情報検証装置は、携帯可能であり、
前記光学情報に照明光を照射可能な照明手段と、
前記照明手段により照射された照明光が前記光学情報に反射した反射光を取り込み可能な読取口と、
前記読取口の開口周囲に筒状に設けられ、前記照明手段から前記光学情報への照明光の照射および前記光学情報から前記読取口への反射光の入射をそれぞれ可能にし、かつ前記照明光および前記反射光以外の外来光の入射を遮断可能な遮光部材と、
を備えることを特徴とする光学情報検証装置。
【請求項8】
前記照明手段は、前記光学情報を読み取り得る光学情報読取装置から前記光学情報に照射される照明光とほぼ同様の発光特性を備えた照明光を照射可能であること特徴とする請求項7記載の光学情報検証装置。
【請求項9】
前記照明光は、光の三原色または白色からなり、これら各色の発光強度、点灯および消灯の各条件をそれぞれ任意に設定可能であることを特徴とする請求項8記載の光学情報検証装置。
【請求項10】
前記改善策出力手段は、文字情報、記号情報および図形情報の少なくとも1以上を表示可能な表示手段、または音声および音響の少なくとも1以上を出力可能な出力手段、を介して前記改善策を出力可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学情報検証装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−122243(P2007−122243A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311265(P2005−311265)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)