説明

光学情報読取装置

【課題】 写真の撮影と共に光学情報の読み取りが可能な光学情報読取装置を小型化する。
【解決手段】 カメラモードが選択され、受光センサ23の全領域の画像を取り込む場合は、発光ダイオード21を消灯させる。このため、帯状の強い光が画像中に干渉することがない。一方、発光ダイオード21を点灯させると共に、受光センサ23の発光ダイオード21による帯状の光が照射された領域の画像に基づいてバーコードを読み取る。画素データの一部のみしか処理しないため、読み取り速度を早くすることができる。特に、写真に対応可能な受光センサ23と、帯状の光を照射する発光ダイオード21とを用いるが、一次元センサ(リニアセンサ)及び写真用の照明器を用いないため、バーコード読取装置の小型化が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等に印刷又は貼り付けられているバーコード等の光学情報の読み取りと共に、写真の撮影が可能な光学情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、特許文献1に開示されているように、読み取った商品コードに基づいて、商品の陳列状況を求めるシステムが実用化されている。このシステムでは、商品コードの読み取り順序を予め定めて、読み取った商品コードから対応する商品の陳列位置を認識し、その結果から商品の陳列状況を求めている。即ち、バーコード等の商品コードを用いて在庫管理を行うだけでなく、更に一歩進んで、商品コードを用いて陳列状況を把握している。
【0003】
係る使用態様に対応するためには、バーコード等の読み取りを行う光学情報読取装置に、陳列状況を撮影できるカメラ機能を持たせることが望ましい。特許文献2には、一次元センサと二次元センサとを搭載し、一次元コードのみならず二次元コードをも読み取る情報読み取り装置が開示されている。
【特許文献1】特許第2978514号公報
【特許文献2】特開平10−55402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バーコード等の読み取りを行う光学情報読取装置にカメラ機能を持たせるためには、特許文献2に有るように、一次元センサ及び二次元センサ、更に、一次元センサの撮像域を照明する帯状光の光源と、二次元センサ用の全撮像域を照明する光源とが別々に必要となり、光学情報読取装置が大型化すると共に、製造コストが高くなるという課題が生ずる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、写真の撮影と共に光学情報の読み取りが可能な光学情報読取装置を小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、写真の撮影と共に光学情報の読み取りが可能な光学情報読取装置10であって:
画像を撮像する二次元センサ23と、
光学情報に対して帯状の光を照射する光照射器21、52と、
写真を撮影するカメラモードと光学情報を読み取る読取モードとを選択する選択手段12とを備え、
前記選択手段12により前記カメラモードが選択された場合は、前記光照射器21を消灯させると共に、前記二次元センサ23の全領域の画像を取り込み、
前記読取モードが選択された場合には、前記光照射器21を点灯させると共に、前記二次元センサ23の前記光照射器21、52による帯状の光が照射された領域の画像に基づいて前記二次元センサ23の複数行の画像を取り込む制御手段40と、を備えることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の光学情報読取装置10では、写真を撮影するカメラモードが選択され、二次元センサ23の全領域の画像を取り込む場合は、光照射器21を消灯させる。このため、光学情報を読み取るための帯状の強い光が画像中に干渉することがない。一方、光学情報を読み取る読取モードが選択された場合には、光照射器21を点灯させると共に、二次元センサ23の光照射器21、52による帯状の光が照射された領域の二次元センサ23の複数行の画像に基づいて光学情報を読み取る。即ち、二次元センサ23の全画素データを処理するのではなく、二次元センサ23の画素データの一部(複数行)のみしか処理しないため、読み取り速度を早くすることができる。特に、写真に対応可能な二次元センサ23と、光学情報に対応する帯状の光を照射する光照射器21、52とを用いるが、一次元センサ(リニアセンサ)及び写真用の照明器を用いないため、光学情報読取装置の小型化が可能であると共に、廉価に構成することができる。
【0008】
請求項2の光学情報読取装置では、写真を撮影するカメラモードが選択され、二次元センサ23の全領域の画像を取り込むときと、光学情報を読み取る読取モードが選択され、帯状の光が照射された領域の画像に基づいて光学情報を読み取るときとで、取り込む先頭アドレスと終了アドレスを変える。これにより、二次元センサ23の全領域の画像の取り込みと、当該帯状の光が照射された領域の画像のみの取り込みとの切り替えが可能になる。
【0009】
請求項3の光学情報読取装置では、選択スイッチ12によって、写真を撮影するカメラモードと光学情報を読み取る読取モードとを選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学情報読取装置をバーコード読取装置に適用した実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係るバーコード読取装置10の構成概要を図1〜図5に基づいて説明する。図1は、バーコード読取装置のハウジング等の構成概要を示す部分縦断面図であり、図2は、バーコード読取装置の回路部の構成概要を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、バーコードBを読み取るバーコード読取装置10は、主に、縦長のほぼ矩形箱状なすハウジング11を備える。ハウジング11は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部品で、その一端側に読取口11aを備えている。この読取口11aは、後述する回路部20の受光センサ23に入射する入射光を導入可能な開口部である。このハウジング11の他端側には、二次電池49が収容されている。ハウジング11の表面側には液晶表示器46を取付可能な開口部も形成されており、バーコード読取装置10の使用者が液晶表示器46に表示する表示内容を視覚的に把握可能に構成してある。ハウジング11の内部には、後述する回路部20が収容されている。なお、図1には、回路部20を構成するプリント配線板15,16が図示されている。
【0012】
図2に示すように、回路部20は、主に、赤色発光ダイオード21、集光レンズ52、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ12、13、14A、14B、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されており、前述したプリント配線板15,16に実装あるいはハウジング11内に内装されている。
【0013】
光学系を構成する赤色発光ダイオード21は、帯状の照明光Lfを照射可能な光照射器として機能するもので、拡散レンズと凸レンズとを組み合わせた集光レンズ52により集光させる。本実施形態では、受光センサ23を挟んだ両側に赤色発光ダイオード21が設けられており、ハウジング11の読取口11aを介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。なお、この読取対象物Rには、情報コードとしてのバーコードBが貼付されている。
【0014】
受光センサ23は、読取対象物RやバーコードBに照射されて反射した反射光Lr、更に、写真画像を結像レンズ27を介して受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子から成る二次元イメージセンサにより構成され、図6(A)に示すように、縦1040、横1280の画素を備える。この受光センサ23の受光面23aは、ハウジング11外から読取口11aを介して外観可能に位置している。
【0015】
結像レンズ27は、外部から読取口11aを介して入射する入射光を集光して受光センサ23の受光面23aに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。本実施形態では、赤色発光ダイオード21から照射された照明光LfがバーコードBに反射して読取口11aに入射する反射光Lrを集光することにより、受光センサ23の受光面23aにコード像を結像可能にしている。
【0016】
図3は、赤色発光ダイオード21からの赤色光を帯状に集光する集光プレート50の構成を示す説明図であり、図4(A)は該集光プレート50の平面図であり、図4(B)は、図4(A)中のB−B断面図である。
集光プレート50には、集光レンズ52が透明樹脂材料により成形時に一体に形成されている。図4(A)に示すように、集光レンズ52の内面52iには、照射光を広げるレンチキュラーレンズ(トタン板状レンズ)が形成され、発光ダイオード21からの照射光L1がハウジング11の読取口11aの幅方向にいっぱいに広がってから、ハウジング11の読取口11aから外部に出るように設定されている。一方、図4(B)示すように集光レンズ52の外面52oには、凸レンズが形成され、発光ダイオード21からの照射光L1が、ハウジング11の読取口11aの高さ方向(即ち、バーコードBの高さ方向:図3中のX方向)に絞られ、ハウジング11の読取口11aから外部に出るように設定されている。なお、図中で二点鎖線C2は、発光ダイオード21の照射光の中心軸を示している。
【0017】
次に、図2に戻ってマイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ12、13、14A、14B、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35と中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像されたコード像等の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該バーコード読取装置10の全体システムに関する制御も行っている。
【0018】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されて蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0019】
制御回路40は、バーコード読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ12、13、14A、14B、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。
【0020】
図5(A)はバーコード読取装置10による写真撮影の説明図である。
バーコード読取装置10は、テンキー13と、バーコード等の一次元コード及びQRコード等の二次元コードを読み取りための読取モードと、写真撮影をするためのカメラモードとを切り替えるためのモードキー12と、バーコード等の光学情報を読み取りを開始させるための読取キー14Aと、写真を撮影するためのカメラキー14Bとを備える。図5(B)に示すように、表示器46に選択可能な読取モードとカメラモードとが表示され、モードキー12の操作により何れかが選択される。図5(A)は、カメラモードが選択され、カメラキー14Bの操作により、商品が撮影されている状態を示すものである。撮影された画像は、メモリ35内に保持され、バーコード等のデコード情報と同様に、通信インタフェース48を介して上位装置に転送される。
【0021】
図6(A)は受光センサ23の画素の説明図であり、図6(B)は受光センサ23により読み取りの際に使用する画素の説明図である。バーコード読取装置10は、カメラモードでの写真撮影の際には、受光センサ23の縦1040、横1280の全ての画素データがメモリ35に取り込まれる。即ち、図中左上端が先頭アドレスとなり、右下端が終了アドレスとなって、縦1040、横1280の全ての画素データがメモリ35に取り込まれる。一方、読取モードでのバーコード等の読み取りの際には、受光センサ23の縦1040の内の中央の200×横1280の画素データがメモリ35に取り込まれる。即ち、図中左上端から縦420画素分過ぎた左端位置が先頭アドレスとなり、縦620画素分過ぎた右端位置が終了アドレスとなって、縦200×横1280分の画素データがメモリ35に取り込まれる。
【0022】
図6(C)は、受光センサ23の受光範囲に対する発光ダイオード21からの照射範囲を示す説明図である。発光ダイオード21からの光は集光レンズ52で帯状の光に集光され、図6(B)を参照して上述したコード読み取りの際に使用する受光センサ23の縦1040の内の中央の200×横1280の画素に対応する位置を照射する。他方、カメラモードの際には、発光ダイオード21は消灯する。
【0023】
引き続き、図7に示すフローチャートを参照してバーコード読取装置の制御回路40による処理を説明する。
先ず、カメラモードかを判断し(S12)、カメラモードでは無い場合には(S12:No)、バーコード等の光学情報を読み取りを開始させるための読取キー14Aの操作が有った際には(S14:Yes)、発光ダイオード21を点灯して帯状の赤色光を光学情報に照射し(S16)、受光センサ23で撮像した画素の内、図6(B)を参照して上述したように、縦1040の内の中央の200×横1280の画素データをメモリ35に取り込み、デコードを行う(S18)。そして、デコードに成功すると(S20:Yes)、デコード結果を上位装置側へ出力する(S30)。
【0024】
一方、カメラモードにおいては(S12:Yes)、写真を撮影するためのカメラキー14Bの操作が有った際には(S22:Yes)、発光ダイオード21を点灯することなくて受光センサ23で撮像した全ての画素分(縦1040×横1280)のデータを取り込み(S26)、一旦メモリ35に保存する(S28)。そして、保存した画像データを上位装置側へ出力する(S30)。
【0025】
コンピュータ等から成る上位装置では、バーコード読取装置10から送られた写真データとバーコードのデコードデータに基づき、商品の陳列状況の解析等を行う。
【0026】
本実施形態の光学情報読取装置10では、写真を撮影するカメラモードが選択され、受光センサ23の全領域の画像を取り込む場合は、発光ダイオード21を消灯させる。このため、バーコード等の光学情報を読み取るための帯状の強い光が画像中に干渉することがない。一方、光学情報を読み取る読取モードが選択された場合には、発光ダイオード21を点灯させると共に、受光センサ23の集光レンズ52による帯状の光が照射された領域の画像(200行分の画像)を取り込んで光学情報を読み取る。即ち、受光センサ23の全画素データを処理するのではなく、受光センサ23の画素データの一部(200行分)のみしか処理しないため、読み取り速度を早くすることができる。特に、写真に対応可能な受光センサ23と、一次元光学情報に対応する帯状の光を照射する発光ダイオード21及び集光レンズ52とを用いるが、一次元センサ(リニアセンサ)及び写真用の照明器を用いないため、バーコード読取装置の小型化が可能であると共に、廉価に構成することができる。
【0027】
また、本実施形態のバーコード読取装置では、写真を撮影するカメラモードが選択され、受光センサ23の全領域の画像を取り込むときと、光学情報を読み取る読取モードが選択され、帯状の光が照射された領域の画像に基づいて光学情報を読み取るときとで、取り込む先頭アドレスと終了アドレスとを変える。これにより、受光センサ23の全領域の画像の取り込みと、当該帯状の光が照射された領域の画像のみの取り込みとの切り替えが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係るバーコード読取装置の断面図である。
【図2】図1に示すバーコード読取装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】赤色発光ダイオードからの赤色光を帯状に集光する集光プレートの構成を示す説明図である。
【図4】図4(A)は集光プレートの平面図であり、図4(B)は、図4(A)中のB−B断面図である。
【図5】図5(A)は、バーコード読取装置による写真撮影の説明図であり、図5(B)は、バーコード読取装置の表示器の表示例を示す説明図である。
【図6】図6(A)は受光センサの画素の説明図であり、図6(B)は受光センサによるバーコード読み取りに使用する画素の説明図であり、図6(C)は、受光センサの受光範囲に対する発光ダイオードからの照射範囲を示す説明図である。
【図7】バーコード読取装置による処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
10 バーコード読取装置
12 モードキー
14A 読取キー
14B カメラキー
21 発光ダイオード
23 受光センサ
40 制御回路
52 集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真の撮影と共に光学情報の読み取りが可能な光学情報読取装置であって:
画像を撮像する二次元センサと、
光学情報に対して帯状の光を照射する光照射器と、
写真を撮影するカメラモードと光学情報を読み取る読取モードとを選択する選択手段とを備え、
前記選択手段により前記カメラモードが選択された場合は、前記光照射器を消灯させると共に、前記二次元センサの全領域の画像を取り込み、
前記読取モードが選択された場合には、前記光照射器を点灯させると共に、前記二次元センサの前記光照射器による帯状の光が照射された領域の画像に基づいて前記二次元センサの複数行の画像を取り込む制御手段と、を備えることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記二次元センサの全領域の画像を取り込むときと、前記帯状の光が照射された領域の画像に基づいて前記光学情報を読み取るときとで、取り込む先頭アドレスと終了アドレスとを変えることを特徴とする請求項1の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記写真を撮影するカメラモードと前記光学情報を読み取る読取モードとを選択するための選択スイッチを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2の光学情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−241730(P2007−241730A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64390(P2006−64390)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】