説明

光学接続部品および光ファイバの配線方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光素子、光回路パッケージ、光回路装置等の光通信、光情報処理に用いられる光素子、部品、装置間を相互に接続するための光学接続部品(光配線板)および、その光ファイバの配線方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光回路パッケージ内の複数の光素子の接続や、複数の光回路パッケージ相互間、或いは光回路パッケージを搭載する光回路装置の光学接続では、一般的に光素子や光回路パッケージ、光回路装置等の端部に光コネクタを配置して、光ファイバによって相互に接続している。その場合、光ファイバは余長を持って配置する必要があるために、例えば、光回路パッケージ上や光回路装置の内部および/または背面では、光ファイバによる複雑な配線が鳥の巣状に、または輻輳して張り巡らされ、そのために大きな空間を占めているのが現状である。このような複雑な配線のために多大な場所と接続の労力を必要とする光学接続方法に対して、光ファイバを二次元平面上に任意に配線することにより、これらの問題を解決する簡便な方法が提案されている。例えば、特許第2574611号公報および特許第2807403号公報に開示されているような、接着剤が塗布されたシートまたは基板を用い、それによって光ファイバを固定する光学接続部品が提案されている。
【0003】しかしながら、これらの光学接続部品における光ファイバの配線パターンは、1つのポートから配線される光ファイバが、格子状または放射状に配線が広がり、光ファイバ同士が交差する部位が多く、また、交差部が光学接続部品全体に広く存在し、且つそれぞれの光ファイバが互いに交差するように配線されているため、特に、光学接続部品を小さくした場合、各光ファイバの間隔が狭くなり、そのために光ファイバが交差して乗り越える場合には、光ファイバの接着剤への接触長さが小さくなり、配線パターンが崩れて、光ファイバの正確な配線ができなくなる。また、光ファイバの配線密度が大きくなると、光ファイバ同士の交差による重なりが多くなり、前記と同様に光ファイバの接着剤への接触長さが小さくなり、光ファイバの正確な配線ができない。また、光ファイバの重なりが多くなると、光学接続部品の可撓性がなくなるため、小型回路パッケージ内の光素子の接続や、小スペースでの光回路パッケージ相互間、或いは光回路パッケージを搭載する光回路装置の光学接続に用いることが困難であった。
【0004】また、配線設計または配線作業を容易にするために、各ポート毎に逐次配線するのが望ましいが、前記のように各ポートから配線された光ファイバが格子状、または放射状に配線された場合、各ポートごとに配線することにより、光ファイバの交差による光ファイバの重なり本数が多くなり、配線に際しての崩れや光学接続部品の可撓性がなくなるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術における上記のような問題点を解決することを目的としてなされたものである。すなわち、本発明は、上記のように輻輳して配線された複数の光ファイバを配線して光学接続部品を作製する場合に、光ファイバの配線の設計が容易で、小型(小面積)に配線ができ、配線の作業性の良好な配線方法を提供することにある。本発明の他の目的は、上記のような配線方法によって配線された光ファイバ配線パターンを有する、小スペースにおける光回路パッケージ等との接続性の良好な光学接続部品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の光学接続部品は、端部に光学接続するための終端部分を有する複数の光ファイバが、複数のポートに分かれて基材上に二次元平面的に配線されたものであって、各グループそれぞれ3以上になるように2つのグループに分けられた互いに対になる複数の仮想ポートを基材上および/またはその基材の端縁部に設定し、各グループのそれぞれ最も外側にある仮想ポートを互いに交差するように結んだ2本の設計ラインと、複数の仮想ポートを各対ごとに互いに交差しないように結んだ複数の設計ラインとを配線経路とし、それら配線経路に沿って、任意の仮想ポート間に各光ファイバを配線することによって形成された配線パターンを有することを特徴とする。
【0007】また、本発明の光学接続部品の光ファイバ配線方法は、端部に光学接続するための終端部分を有する複数の光ファイバを、複数のポートに分かれて基材上に二次元平面的に配線して光学接続部品を作製するに際して、各グループそれぞれ3以上になるように2つのグループに分けられた互いに対になる複数の仮想ポートを基材上および/またはその基材の端縁部に設定し、各グループのそれぞれ最も外側にある仮想ポートを互いに交差するように結んだ2本の設計ラインと、複数の仮想ポートを各対ごとに互いに交差しないように結んだ複数の設計ラインとを配線経路とし、それら配線経路に沿って、任意の仮想ポート間に各光ファイバを配線することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の光学接続部品の代表的な一例の一部破砕した平面図であり、光ファイバ13の端部は光学接続するための終端部分14になっていて、光学部品15、例えば光コネクタが接続されている。図2は本発明の光学接続部品の一例の断面図であって、基材11の上に接着剤層12を介して光ファイバ13が配線され、その上に接着剤層12′を設けた基材11′が貼着により積層されている。
【0009】本発明の光学接続部品を作製するに際して、基体の上に接着剤層を設け、その上に光ファイバを配線すればよい。本発明は、光ファイバの配線方法に特徴を有するものであって、本発明においては、光ファイバの配線を行うにあたり、まず、配線経路を設定する。図3は、光ファイバを配線するための配線経路の一例を示す図である。まず、複数の仮想ポートを互いに相対するように2つのグループに分けて設定する。
【0010】例えば図3に示すように、入出力ポートのための複数の仮想ポートをグループI(仮想ポート1a〜1h)とグループII(仮想ポート2a〜2h)に分けて、基材上の所定に位置に配置されるように設定する。具体的には、基材上に目印を付ける。次いで、グループIの最も外側にある仮想ポート1aおよび1hと、グループIIの最も外側にある仮想ポート2aと2hとを、互いに交差するように結んで、2本の設計ライン3(3a、3b)を描き、また、グループIの仮想ポートとグループIIの仮想ポートとにおける互いに対になっている仮想ポートを互いに交差しないように結んで設計ライン4a〜4hを描き、そしてこれらの設計ライン3(3a、3b)および4(4a〜4h)を配線のための配線経路とする。光ファイバの配線は、それら配線経路に沿って、所望の仮想ポートと仮想ポートとを連結するように行えばよい。各仮想ポート上には光ファイバが配線されてポートが形成される。なお、仮想ポートは配線路線を設定するためのものであるから、光ファイバは仮想ポートおよび配線経路の全てにおいて配線される必要はない。
【0011】上記のように、配線経路を設定することにより、配線に汎用の規則性を持たせることができ、配線パターンの設計が容易になると共に、設計時間が短縮され、効率的に配線を行うことが可能になる。また、光ファイバの交差位置が限定されて少なくなり、交差部分における重なり本数も少なくすることができ、光学接続部品の可撓性が向上すると共に、小型化が可能になる。さらに図3に示すように配線経路は直線によって設定することができるため、配線される光ファイバの長さも短くすることができ、経済的にも有利である。
【0012】なお、前記仮想ポート間を結ぶ設計ライン4は、それらが互いに交差しなければ、折れ線、円弧、自由曲線等如何なる形状の線であってもよいが、直線であることが好ましい。また、入出力ポートの各ポートの位置も、前記任意の線が描ければ、光学接続部品の如何なる位置に配置してもよい。さらに、各ポートに配線される光ファイバの本数は、互いに同数であっても異なるものであってもよい。
【0013】次に、本発明の光ファイバの配線方法について、より具体的な例を図面によって説明する。図4は、8個の入出力ポートが存在し、各ポートが4本の光ファイバで構成されている場合における仮想ポートからの配線経路(図4(a))および配線された光ファイバの配線パターン(図4(b))を示す。図5〜13は、図4(a)のイの部分の配線経路に配線された光ファイバの配線状態の例を示すものであって、図4(b)のロの部分の拡大図である。
【0014】図4においては、グループIの最も外側にある仮想ポート1aとグループIIの最も外側にある仮想ポート2dとの間およびグループIの最も外側にある仮想ポート1dとグループIIの最も外側にある仮想ポート2aとの間を結ぶ設計ライン3aおよび3b、および互いに対になっている仮想ポートの間を結ぶ設計ライン4a〜4dに沿って光ファイバa〜pが配線されている。なお、1A〜Dおよび2A〜2Dは、仮想ポートに形成されたポートである。
【0015】図5は、図4(b)のロの部分において、ポート1Aに配線される光ファイバa〜dが、a、bとc、dとに分岐して、その一方c、dが、設計ライン3aと設計ライン4bが交差する位置において、ポート1Bに配線される光ファイバe〜hの分岐した一方のe、fと合流して配線された状態を示す。図6および図7は、図5の場合と同様であるが、ポート1Aに配線される光ファイバc、dとポート1Bに配線される光ファイバe、fとを合流させるにあたり、光ファイバの配列順序を入れ替えた例である。また、図8の場合は、ポート1Aからの分岐した光ファイバa,cの配列順序を入れ替え、また、一方の分岐した光ファイバb、dをポート1Bからの分岐した光ファイバe、gと配列順序を入れ替えて合流させた例である。
【0016】図9の場合は、ポート1Aから分岐した光ファイバc、dのうち、光ファイバcがポート1Bからの分岐した光ファイバfと合流し、また、光ファイバdと、ポート1Bからの光ファイバeとが連結した1本の光ファイバよりなるものであって、ポート1Aと1Bに連通するように配線されている。図10の場合は、図9の場合と同様の配線パターンが形成されているが、配列順序が入れ替えられている。すなわち、ポート1Aからの分岐した光ファイバbと、ポート1Bからの光ファイバfとが連結した1本の光ファイバよりなるものであって、ポート1Aと1Bに連通するように配線され、また、ポート1Bからの分岐した光ファイバgが光ファイバdと合流している。
【0017】また、図11は、図4(b)のロの部分において、ポート1Aに配線される光ファイバa〜dが、a、bとc、dとに分岐して、その一方c、dが、図4(a)の設計ライン3aと設計ライン4bが交差する位置において、ポート1Bに配線される光ファイバe〜hの分岐した一方のe、fと交差した後、分岐した他方のg、hと合流して配線された状態を示す。なお、ポート1Aからの分岐した光ファイバa、bは、ポート1Bからの光ファイバe、fと合流している。図12および図1313は、図11の場合と同様であるが、図12においては、ポート1Aに配線される光ファイバa、bがポート1Bに配線される光ファイバe、fと交差して、分岐された光ファイバg、hと合流し、一方、ポート1Aからの光ファイバc、dがポート1Bからの光ファイバe、fと合流しており、図13においては、図11において、ポート1Aからの光ファイバを合流させるにあたり、光ファイバの配列順序を入れ替えている。
【0018】本発明において、分岐とは、複数の光ファイバが、仮想ポート部分または配線経路の交差点部分で分離してそれぞれ別の設計ラインに沿って配線されることであり、また、交差とは、光ファイバが配線経路の交差点部分で、他の設計ラインに沿って配線される光ファイバと交差することを意味する。なお、光ファイバの配列順序を入れ替えるための交差は、上記の交差を意味するものではない。また、合流とは、他の設計ラインに沿って配線される光ファイバと一緒になって同一の設計ラインに沿って配線されることをいう。
【0019】なお、本発明において、分岐、交差、合流させる光ファイバの本数は特に制限はなく、自由に設定することができる。また、配線経路における全ての設計ラインに沿って光ファイバが配線される必要はない。また、仮想ポートの数は1つのグループに3以上存在するように設定する必要がある。
【0020】上記においては、ポートを基材の両側端縁に設けた場合について説明したが、ポート形成のための仮想ポートは必ずしも基材の両側端縁に設ける必要はない。図14ないし17は、配線経路の例を示すものである。図において、1a〜1hは、グループIの仮想ポート、2a〜2hは、グループIIの仮想ポートを示す。いずれの例においても、各グループの最も外側の仮想ポート1aと2h、1hと2aとを互いに交差するように結んだ2本の設計ライン3が描かれ、各対となる仮想ポートが、各対ごとに互いに交差しないように結んだ複数の設計ライン4が描かれている。本発明においては、これらの設計ラインよりなる配線経路に沿って光ファイバを配線すればよい。なお、光ファイバ本数、ポート数が増加すると、仮想ポートを結んだ2本の設計ラインが交差する箇所で、お互いに交差する光ファイバ本数が増加するために、交差する光ファイバの面積が大きくなる。そのために、仮想ポート対を結んだ設計ライン上に配線する光ファイバも交差するようになり、より光ファイバの重なり本数が増加し、配線パターンの崩れを発生する可能性がある。このような場合は、仮想ポートを結んだ2本の設計ラインが交差する箇所の両隣の仮想ポート対を結んだライン、例えば、図14の1d−1eのポート間の間隔を広げることにより、交差箇所の面積を広く取れば、問題を解決することができる。
【0021】本発明においては、上記のように配線経路に沿って分岐した光ファイバの一方を他の光ファイバと合流させるので、中央部または同一方向のポートの光ファイバを集めて配線することができ、したがって、従来のランダムあるいは分岐、交差を繰り返して行う配線の場合のように配線パターンが広がることがなく、小さな面積で配線をすることができる。また、配線経路に沿って分岐、交差、合流を行えばよいので、配線経路の変更が容易であり、所望のポートに容易にフリーアクセス配線をすることが可能になる。また、交差箇所を配線経路の交差部位に集めることで、交差部を少なくすることが可能であり、さらに、交差部の光ファイバの重なりを2本にすることができる。
【0022】本発明の光学接続部品において、配線された光ファイバを支持するための二次元平面を有する可撓性のある基材は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス−エポキシ樹脂複合基板、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、シリコーンまたはウレタン樹脂等の有機材料のゲル状物、ゴム状物またはフォーム状物等、通常の電子部品、電気部品で使用される基材であれば如何なるものでも使用することが可能である。また、本発明の光学接続部品は、使用目的によっては可撓性である必要はなく、剛直なものでもよい。例えば、剛直な高分子材料よりなる基板、セラミック基板等を使用することができ、その形状も如何なるものでもよい。
【0023】本発明で配線される光ファイバは、光学接続部品の適用目的に応じて適宜選択して使用され、例えば、石英またはプラスチック製のシングルモード光ファイバ、マルチモード光ファイバ等が好ましく使用される。
【0024】本発明の光学接続部品を作製するためには、上記の基材上に光ファイバを配線すればよい。光ファイバを基材上に配線する最も簡便な方法は、基材の上に接着剤層を設けて行えばよい。この場合において、接着剤層を構成する接着剤としては、配線される光ファイバの曲げで生じる張力に対して光ファイバの形状を維持する接着力を有するものであれば、如何なるものでも使用できる。例えば、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、ナイロン系、フェノール系、ポリイミド系、ビニル系、シリコーン系、ゴム系、フッ素化エポキシ系、フッ素化アクリル系等各種の感圧接着剤(粘着剤)、熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤を使用することができる。光ファイバの配線の容易さからは、感圧接着剤および熱可塑性接着剤が好ましく使用される。
【0025】本発明の光学接続部品は、使用目的に適した構造を適宜選択して用いればよく、その構造は特に限定されるものではない。また、その作製方法も適宜選択して用いればよく、これも特に限定されるものではない。例えば、配線された光ファイバの上に接着剤層を設けた上記と同様の基材を貼着して積層構造にしてもよい。
【0026】本発明の光学接続部品においては、通常、光コネクタとの接続のために、光学接続部品本体の端面の所望のポートから光ファイバが引き出されて終端部分を形成しており、そこに光コネクタが接続されるか、または光コネクタに接続された光ファイバと融着接続される。本発明の光学接続部品に接続される光コネクタは特に限定されないが、好適には単心または多心の小型光コネクタが選択される。例えば、MPO光コネクタ、MT光コネクタ、MU光コネクタ、FPC光コネクタ(NTT R&D,Vol.45 No.6,第589頁)、或いは、光学接続に用いられるV溝部品等があげられる。なお、光コネクタ接続の方法は何ら限定されず、終端部分と光コネクタが一体となっていてもよい。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1n−ブチルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(=82/15/2.7/0.3(重量比))からなるアクリル系樹脂の30%酢酸エチル溶液100部に、コロネートL(日本ポリウレタン工業社製)1.0部を配合して混合した。得られたアクリル系感圧接着剤(粘着剤)用塗布液を、ロールコーティングにより、厚さ125μmのポリイミドフィルムの一面に、乾燥後の膜厚が100μmになるように一様に塗布し、アクリル系接着剤層を形成して、接着シート(サイズ70mm×50mm)を2枚作製した。なお、一方のポリイミドフィルムの一面には、予め図18に示すように仮想ポートを設定し、設計ラインを描いておいた。すなわち、仮想ポート8個を、それぞれ4ポートよりなるグループI(1a〜1d)およびグループII(2a〜2d)に分割し、ポリイミドフィルムの両側の短辺に互いに相対するように配置し、そして各グループの最も外側の仮想ポート同士(1aと2d間、1dと2a間)を互いに交差する2本の折れ線で結んで設計ライン3を描き、また、各グループの相対する仮想ポート間(1aと2a、1bと2b、1cと2c、1dと2d)を互いに交差しないように直線で結んで設計ライン4を描いた。なお、各仮想ポート間のピッチは10mmとした。
【0028】このポリイミドフィルムの接着剤層の上に、光ファイバ心線(古河電工社製、250μm径)を、各ポート(光学接続部品からの光ファイバ取り出し部分)当りの光ファイバ4本で構成し、入力ポートおよび出力ポートを各4個で構成した4ポート×4ポートの配線を図19に示す配列順序になるように行なった。
【0029】配線は次のように行った。仮想ポート1aに配線されたポート1Aからの光ファイバa〜dを、配線経路の設計ラインに沿って、それぞれ仮想ポート2a、2b、2c、2dに配線した。同様に仮想ポート1bからの光ファイバe〜h、仮想ポート1cからの光ファイバi〜l、仮想ポート1dからの光ファイバm〜pを、設計ラインに沿ってそれぞれ仮想ポート2a、2b、2c、2dに配線した。より具体的には、例えば、仮想ポート1aからの光ファイバa〜dを交差点Aの近傍でa、bとc、dに分岐させ、a、bは交差点Bの方向に、c、dは交差点Cの方向に設計ラインに沿って配線した。分岐した光ファイバaは交差点B近傍で、他の光ファイバと合流して、仮想ポート2aに、また、光ファイバbは、仮想ポート2bに配線した。交差点Aで分岐した光ファイバc、dは、設計ラインに沿って交差点Cで他の光ファイバと交差し、光ファイバcは交差点Eで光ファイバdと分岐し、他の光ファイバーと合流して仮想ポート2cに、また光ファイバdは仮想ポート2dに配線した。他の光ファイバe〜pも上記と同様にして配線した。それにより、形成される各ポート1A〜1Dおよび2A〜2Dの間に、図19に示す配置の配線パターンが形成された。
【0030】上記のように配線した光ファイバの上に、上記の接着層を設けた他の基材を貼着した。その後、引き出された光ファイバに4心MTコネクタを接続して、光学接続部品を得た。接続したすべての光ファイバの損失を測定したところ、光コネクタの接続損失も含めて、0.6dB以下であり、光学接続部品として十分使用可能なことが分かった。
【0031】作製された光学接続部品の光ファイバの配線パターンは、図20に示すように、非常に小型化され、また交差点数は5か所と少なく、さらに光ファイバの重なり本数も2本以下となり、十分な可撓性を示した。また、重なり本数が2本以下であるため、光ファイバと接着剤層との接触面積も十分であり、配線後の光ファイバの配線パターン崩れや光ファイバの浮きも認められなかった。さらに、配線経路の設定が非常に簡単で、各交差点およびその近傍において、光ファイバを配線させる仮想ポートに向かって分岐、交差、合流を行えばよく、非常に配線が容易であり、配線パターンを設計する時間も少なかった。さらにまた、配線される光ファイバ長さも短くなり、経済的であった。
【0032】実施例2実施例1において、基材シートのサイズを30mm×25mm、各ポートのピッチを6mmにした以外は、実施例1と同様にして光ファイバを配線し、同様に光学接続部品を作製した。それにより光ファイバの配線パターン崩れのない配線を行うことができた。接続したすべての光ファイバの損失を測定したところ、光コネクタの接続損失も含めて、0.8dB以下であり、光学接続部品として十分使用可能なことが分かった。
【0033】以下の実施例は、本発明による配線パターンの他の例を説明するものである。
実施例3入出力ポートのための仮想ポート16個を、それぞれ8ポートよりなるグループI(1a〜1h)およびグループII(2a〜2h)に分割し、四辺形の基材の両側端辺に互いに相対するように配設した。まず、各グループの最も外側の仮想ポート同士(1aと2h間、1hと2a間)を互いに交差する2本の折れ線(設計ライン3)で結び、また、各グループの相対する仮想ポート間(1aと2a、1bと2b、・・・1hと2h)を互いに交差しないように直線(設計ライン4)で結んだ。設計した配線路線を図14に示す。設計した配線路線は規則性があり、設計がしやすく、設計時間が短縮でき、そしてその配線路線に沿って配線することにより、8×8ポートのフリーアクセス配線を容易に行うことができた。
【0034】実施例4実施例3の場合と同様に16個の仮想ポートを2つのグループに分け、四辺形の基材の隣接する2つの側端辺に90°の角度で互いに相対するように配設した。各グループの最も外側の仮想ポート同士(1aと2h間、1hと2a間)を互いに交差する2本の折れ線(設計ライン3)で結び、また、各グループの相対する仮想ポート間(1aと2a、1bと2b、・・・1hと2h)を互いに交差しないように折れ線(設計ライン4)で結んだ。設計した配線路線を図15に示す。設計した配線路線は規則性があり、設計がしやすく、設計時間が短縮でき、そしてその配線路線に沿って配線することにより、8×8ポートのフリーアクセス配線を容易に行うことができた。
【0035】実施例5実施例3の場合と同様に16個の仮想ポートを2つのグループに分け、四辺形の基材の1側端辺に、各グループを隣接して配設した。各グループの最も外側の仮想ポート同士(1aと2h間、1hと2a間)を互いに交差する2本の折れ線(設計ライン3)で結び、また、各グループの相対する仮想ポート間(1aと2a、1bと2b、・・・1hと2h)を互いに交差しないように折れ線(設計ライン4)で結んだ。設計した配線路線を図16R>6に示す。設計した配線路線は規則性があり、設計がしやすく、設計時間が短縮でき、そしてその配線路線に沿って配線することにより、8×8ポートのフリーアクセス配線を容易に行うことができた。
【0036】実施例6実施例3の場合と同様に16個の仮想ポートを2つのグループに分け、四辺形の基材の全側端辺に、それぞれ1側端辺に4個の仮想ポートが配設されるように設定した。各グループの最も外側の仮想ポート同士(1aと2h間、1hと2a間)を互いに交差する2本の直線(設計ライン3)で結び、また、各グループの相対する仮想ポート間(1aと2a、1bと2b、・・・1hと2h)を互いに交差しないように折れ線(設計ライン4)で結んだ。設計した配線路線を図17に示す。設計した配線路線は規則性があり、設計がしやすく、設計時間が短縮でき、そしてその配線路線に沿って配線することにより、8×8ポートのフリーアクセス配線を容易に行うことができた。
【0037】
【発明の効果】本発明の光学接続部品の配線方法は、上記のように、予め複数の仮想ポートを2分割し、それぞれのグループの最も外側の仮想ポートを互いに交差するように結んだ2本の設計ラインと、3対以上の仮想ポートを各対ごとに互いに交差しないように結んだ複数の設計ラインとを配線経路とし、それら配線経路に沿って、任意の仮想ポート間に各光ファイバを配線するから、配線が規則性のある単純化されたものとなり、配線パターンの設計が容易になると共に、配線される光ファイバの長さが短くなり、また配線する面積を小さくすることができる。また、配線された光ファイバは交差点の数が少なくなり、さらに光ファイバの重なりも2本にすることも可能なため、可撓性の優れた小型な光学接続部品を作製することができる。また、得られた光学接続部品は、光ファイバの配線パターン崩れや光ファイバの浮きもない優れた特性を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学接続部品の一例の一部破砕した平面図である。
【図2】 本発明の光学接続部品の一例の断面図である。
【図3】 光ファイバを配線するための配線経路の一例を示す図である。
【図4】 光ファイバの配線経路および配線状態の一例を説明する説明図である。
【図5】 図4(b)のロの部分の一例の拡大図である。
【図6】 図4(b)のロの部分の他の一例の拡大図である。
【図7】 図4(b)のロの部分の他の一例の拡大図である。
【図8】 図4(b)のロの部分の他の一例の拡大図である。
【図9】 図4(b)のロの部分の他の一例の拡大図である。
【図10】 図4(b)のロの部分の他の一例の拡大図である。
【図11】 図4(b)のロの部分の他の一例の拡大図である。
【図12】 図4(b)のロの部分の他の一例の拡大図である。
【図13】 図4(b)のロの部分の他の一例の拡大図である。
【図14】 本発明における配線経路の一例を示す説明図である。
【図15】 本発明における配線経路の他の一例を示す説明図である。
【図16】 本発明における配線経路の他の一例を示す説明図である。
【図17】 本発明における配線経路の他の一例を示す説明図である。
【図18】 実施例1における配線経路を示す図である。
【図19】 実施例1における光ファイバの配線状態を示す図である。
【図20】 実施例1における光ファイバの配線パターンを示す図である。
【符号の説明】
1a〜1h…グループIの仮想ポート、1A〜1D…ポート、2a〜2h…グループIIの仮想ポート、2A〜2D…ポート、3,4…設計ライン、11,11′…基材、12,12′…接着剤層、13…光ファイバ、14…終端部分、15…光学部品、A〜E…交差点、a〜p…光ファイバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 端部に光学接続するための終端部分を有する複数の光ファイバが、複数のポートに分かれて基材上に二次元平面的に配線された光学接続部品において、各グループそれぞれ3以上になるように2つのグループに分けられた互いに対になる複数の仮想ポートを基材上および/または該基材の端縁部に設定し、各グループのそれぞれ最も外側にある仮想ポートを互いに交差するように結んだ2本の設計ラインと、複数の仮想ポートを各対ごとに互いに交差しないように結んだ複数の設計ラインとを配線経路とし、それら配線経路に沿って、任意の仮想ポート間に各光ファイバを配線することによって形成された配線パターンを有することを特徴とする光学接続部品。
【請求項2】 複数のポートが、基材の両側端縁に設けられている請求項1記載の光学接続部品。
【請求項3】 端部に光学接続するための終端部分を有する複数の光ファイバを、複数のポートに分かれて基材上に二次元平面的に配線して光学接続部品を作製するに際して、各グループそれぞれ3以上になるように2つのグループに分けられた互いに対になる複数の仮想ポートを基材上および/または該基材の端縁部に設定し、各グループのそれぞれ最も外側にある仮想ポートを互いに交差するように結んだ2本の設計ラインと、複数の仮想ポートを各対ごとに互いに交差しないように結んだ複数の設計ラインとを配線経路とし、それら配線経路に沿って、任意の仮想ポート間に各光ファイバを配線することを特徴とする光学接続部品の光ファイバ配線方法。
【請求項4】 最も外側にある仮想ポートを互いに交差するように結んだ設計ラインの交差する部位および/または該設計ラインと3対以上の仮想ポートの各対ごとに結んだ設計ラインとが交差する部位において、任意の一つの仮想ポートから配線される複数の光ファイバの一部を分岐させ、少なくとも分岐した光ファイバが、他の仮想ポートから配線される光ファイバの少なくとも一部と合流する配線パターンが少なくとも1箇所形成されるように配線することを特徴とする請求項3記載の光ファイバ配線方法。
【請求項5】 最も外側にある仮想ポートを互いに交差するように結んだ設計ラインの交差する部位および/または該設計ラインと3対以上の仮想ポートの各対ごとに結んだ設計ラインとが交差する部位において、任意の一つの仮想ポートから配線される複数の光ファイバの一部を分岐させ、少なくとも分岐した光ファイバが、他の仮想ポートから配線される光ファイバの少なくとも一部と交差し、他の仮想ポートから配線される光ファイバの少なくとも一部と合流する配線パターンが少なくとも1箇所形成されるように配線することを特徴とする請求項3記載の光ファイバ配線方法。
【請求項6】 複数の仮想ポートを基材の両側端縁に設定することを特徴とする請求項3記載の光ファイバ配線方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【特許番号】特許第3472535号(P3472535)
【登録日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【発行日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−260235(P2000−260235)
【出願日】平成12年8月30日(2000.8.30)
【公開番号】特開2002−71969(P2002−71969A)
【公開日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【審査請求日】平成13年8月8日(2001.8.8)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【参考文献】
【文献】特開 平6−347670(JP,A)
【文献】特開 昭57−186703(JP,A)