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光学材料用樹脂組成物
説明

光学材料用樹脂組成物

【課題】 酸化ジルコニウム粒子及び有機ケイ素化合物を多量に配合しても低粘度であり、黄変を抑制することができ、透明性、耐熱性に優れた高屈折率の樹脂を形成する光学材料用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
平均粒子径が1〜30nmである酸化ジルコニウム粒子と、下記式(1)で示される化合物からなる分散剤と、有機ケイ素化合物と、重合性不飽和基を有する化合物とを含有することを特徴とする光学材料用樹脂組成物である。
ただし、式(1)のRは、分岐鎖を有し炭素数が3ないし24のアルキル基および/又はアルケニル基であり、AOは炭素数が1ないし4のオキシアルキレン基であり、nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す3〜30の範囲の数値であり、Xは炭素原子、水素原子及び/又は酸素原子からなる連結基である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用樹脂組成物に関し、より詳細には、硬化により得られる樹脂の屈折率およびアッベ数が大きく、黄変を抑制することができる低粘度の光学材料用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製のレンズは、カメラ、OA機器、メガネなどに広く利用されている。このような樹脂製レンズには、高い屈折率を有することが求められている。樹脂の屈折率を高めるために、例えば、特許文献1では、有機酸によって表面処理された酸化ジルコニウムなどの金属酸化物微粒子を多量に樹脂中に分散させた分散液が検討されている。また、特許文献2では、金属酸化物微粒子を有機ケイ素化合物によって処理することにより樹脂中に多量に分散させた分散液が検討されている。
【0003】
しかし、上記のように酸化ジルコニウム粒子を樹脂中に分散させると、経時的に樹脂が黄変しやすいという問題が生じる。この樹脂の黄変の問題は、引用文献2のように、有機ケイ素化合物を添加することにより、解決することができる。ところが、光学材料用樹脂組成物では、屈折率を高めるために酸化ジルコニウム粒子の配合量を多くする必要がある。しかしながら、酸化ジルコニウムの配合量が多くなると、分散液自体の粘度が大きく上昇し、場合によっては撹拌できなくなるという問題が生じる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−191167号公報
【特許文献2】特開2008−120605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、酸化ジルコニウム粒子および有機ケイ素化合物の配合量が多いにも拘わらず低粘度であり、得られる硬化樹脂の経時的な黄変を抑制し、透明性および耐熱性に優れた高い屈折率を有する樹脂を形成し得る光学材料用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、平均粒子径が1〜30nmである酸化ジルコニウム粒子と、下記式(1)で示される化合物からなる分散剤と、有機ケイ素化合物と、重合性不飽和基を有する化合物とを含有することを特徴とする。
【0007】
【化1】

【0008】
ただし、式(1)のRは、分岐鎖を有し炭素数が3ないし24のアルキル基および/又はアルケニル基であり、AOは炭素数が1ないし4のオキシアルキレン基であり、nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す3〜30の範囲の数値であり、Xは炭素原子、水素原子及び/又は酸素原子からなる連結基である。
【0009】
ここで、前記分散剤における前記式(1)のXは、炭素数が1ないし15のアルキレン基であることが好ましい。
【0010】
また、前記分散剤における前記式(1)のXは、下記式(2)で示される連結基であることが好ましい。
【0011】
【化2】

【0012】
ただし、式(2)のYは、炭素数が1ないし15のアルキレン基、ビニレン基、フェニレン基およびカルボキシル基含有フェニレン基の中から選択されるいずれかである。
【0013】
本発明においては、前記光学材料用樹脂組成物を100重量%とした場合の前記酸化ジルコニウム粒子の配合量は、0.5〜80重量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、酸化ジルコニウム粒子および有機ケイ素化合物の配合量が多いにも拘わらず低粘度であり、得られる硬化樹脂の経時的な黄変を抑制することができ、透明性および耐熱性に優れ、ヘイズの値も低い高い屈折率の樹脂を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.酸化ジルコニウム粒子
本発明の光学材料用樹脂組成物における分散質粒子である酸化ジルコニウム粒子は、平均粒子径が1〜30nmのものである。この酸化ジルコニウム粒子は、他の金属酸化物を添加することにより、部分安定化されていてもよい。また、結晶状であってもアモルファス状であってもよい。また、本発明における分散剤により分散される前記分散質粒子は等方性粒子であっても異方性粒子であってもよく、繊維状であってもよい。
【0016】
本発明で被分散質となる酸化ジルコニウム粒子は、公知の方法で得たものが使用できる。微粒子の調製方法としては、粗大粒子を機械的に解砕、微細化していくトップダウン方式と、いくつかの単位粒子を生成させ、それが凝集したクラスター状態を経由して粒子が形成されるボトムアップ方式の2通りの方式があるが、いずれの方法で調製されたものであっても好適に使用できる。また、それらは湿式法、乾式法のいずれの方法によるものであってもよい。また、ボトムアップ方式には、物理的方法と化学的方法があるが、いずれの方法によるものであってもよい。本発明における分散剤は、粗大粒子を機械的に解砕、微細化していくトップダウン方式の工程中で使用してもよく、いくつかの単位粒子を生成させ、それが凝集したクラスター状態を経由して粒子が形成されるボトムアップ方式の工程中で使用してもよく、或いは、事前に前記方法で微粒子を調製後、該微粒子を媒体中から安定に取り出すために表面修飾剤や表面保護剤と称する公知の保護剤で被覆或いは含浸させて取り出された粒子を使用することもできる。保護剤としては前記の公知分散剤で代用することができる。
【0017】
ボトムアップ方式をより具体的に説明するために、前記酸化ジルコニウム粒子の内、金属ナノ粒子の調製法を例示する。ボトムアップ方式の内、物理的方法の代表例としてはバルク金属を不活性ガス中で蒸発させ、ガスとの衝突により冷却凝縮させてナノ粒子を生成するガス中蒸発法がある。また、化学的方法には、液相中で保護剤の存在下で金属イオンを還元し、生成した0価の金属をナノサイズで安定化させる液相還元法や金属錯体の熱分解法などがある。液相還元法としては、化学的還元法、電気化学的還元法、光還元法、または化学的還元法と光照射法を組み合わせた方法などを利用することができる。
【0018】
また、本発明で好適に使用できる酸化ジルコニウム粒子は、前記の如く、トップダウン方式、ボトムアップ方式のいずれも手法で得たものであってもよく、それらは水系、非水系、気相中のいずれの環境下で調製されたものであってもよい。なお、これらの酸化ジルコニウム粒子を使用する際には、各種溶媒に酸化ジルコニウム粒子をあらかじめ分散したものを使用してもよい。
【0019】
本発明においては酸化ジルコニウム粒子を使用しているので、硬化により得られる樹脂の屈折率が高くなり、アッベ数も大きくすることができる。
【0020】
本発明の光学材料用樹脂組成物における酸化ジルコニウム粒子の好ましい配合量は、屈折率および粘度の観点から、組成物全体(100重量%)に対し、0.5〜80重量%であり、より好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは35〜60重量%である。
【0021】
2.分散剤の疎水基(R)について
本発明における分散剤の疎水基(R)は、分岐鎖を有し炭素数が3ないし24のアルキル基および/又はアルケニル基である。分岐鎖を有し炭素数が3ないし24のアルキル基および/又はアルケニルの含有量は、Rの全体に対して70重量%以上であることが好ましい。
【0022】
Rの生成に使用し得る原料アルコールの炭素数は、単一であっても異なる炭素数のアルコールの混合物であってもよい。また、その原料アルコールは合成由来であっても天然由来であってもよく、また、その化学構造は単一組成であっても複数の異性体からなる混合物であってもよい。使用できる原料アルコールは公知のものが選択できるが、具体例としては、合成由来のブタノール、イソブタノール、ペンタノール及び/又はその異性体、ヘキサノール及び/又はその異性体、ヘプタノール及び/又はその異性体、オクタノール及び/又はその異性体、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールの他、プロピレン或いはブテン、又はその混合物から誘導される高級オレフィンを経てオキソ法によって製造されるイソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、シェルケミカルズ社製のネオドール23、25、45、サソール社製のSAFOL23、エクソン・モービル社製のEXXAL7、EXXAL8N、EXXAL9、EXXAL10、EXXAL11及びEXXAL13も好適に使用できる高級アルコールの一例である。更に天然由来のオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール(1−ドデカノール)、ミリスチルアルコール(1−テトラデカノール)、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1−オクタデカノール)、オレイルアルコール(cis−9−オクタデセン−1−オール)なども使用できる高級アルコールの一例である。また、2−アルキル−1−アルカノール型の化学構造をもつゲルベアルコール(Guerbet Alcohol)類の単一組成、或いはその混合物なども好適に使用できる高級アルコールの一例であり、2−エチル−1−ヘキサノール、2−プロピル−1−ヘキサノール、2−ブチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘプタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−ヘプチル−1−ウンデカノール、2−オクチル−1−ドデカノール、2−デシル−1−テトラデカノールの他、分岐アルコールから誘導されるイソステアリルアルコールなどがある。また、上記各種アルコールを2種以上配合して使用することも可能である。但し、本発明における分散剤では、前記の如く疎水基(R)は、炭素数3〜24の分岐型のアルキル基及び/又はアルケニル基を含むものである。
【0023】
なお、疎水基(R)が水素或いは炭素数が1〜2の炭化水素基である場合、炭素数が25を超える場合、および疎水基(R)の炭素数が3〜24の範囲にある場合でも直鎖型のアルキル基及び/又はアルケニル基の含有量が30重量%を超える場合には、分散媒中で酸化ジルコニウム粒子を安定に分散させることができないか、又は使用できる分散媒の選択範囲が限定されたり、分散体の調製工程において異種の分散媒への置換や混合が生じることがある。その結果、分散体の安定性が著しく低下して直ちに沈降物を生じたり、経時安定性が著しく低下して最終製品の付加価値低下、生産性低下、加工特性低下および品質劣化などの問題を生じる。これらの問題を回避し、更に本発明において分散剤の作用を特に効果的なものにするためには、疎水基(R)は炭素数8〜18の分岐型のアルキル基であることがより好ましい。
【0024】
3.分散剤のオキシアルキレン基(AO)n
本発明において分散剤に好適に選択されるアルキレンオキシド種は、式(1)においてAOは炭素数1ないし4のオキシアルキレン基を示すものであり、具体的には炭素数2のアルキレンオキシドはエチレンオキシドである。炭素数3のアルキレンオキシドはプロピレンオキシドである。炭素数4のアルキレンオキシドは、テトラヒドロフラン或いはブチレンオキシドであるが、好ましくは、1,2−ブチレンオキシドまたは2,3−ブチレンオキシドである。分散剤においてオキシアルキレン鎖(−(AO)n−)は分散剤の分散媒親和性を調整する目的でアルキレンオキシドは単独重合鎖であっても、2種以上のアルキレンオキサイドのランダム重合鎖でもブロック重合鎖でもよく、また、その組み合わせであってもよい。式(1)のアルキレンオキシドの平均付加モル数を示すnは3ないし30の範囲であるが、5ないし20の範囲にあることが好ましい。
【0025】
4.分散剤の連結基(X)
連結基(X)は炭素原子、水素原子、酸素原子からなる公知の構造から選択可能であるが、好ましくは飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、エーテル基、カルボニル基、エステル基からなり、脂環構造、芳香環構造を有していてもよく、また、繰り返し単位を有していてもよい。連結基Xに窒素原子及び/又は硫黄原子及び/又はリン原子などを含む場合は、カルボキシル基の分散質への親和効果を弱める作用があるために本発明における分散剤の構造因子としては適さない。
【0026】
また、式(1)のXは炭素数が1ないし15のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1ないし8のアルキレン基であることがより好ましい。
【0027】
また、式(1)のXは、前述の式(2)で示される物質であることが好ましい。ただし、式(2)におけるYは、炭素数が1ないし15のアルキレン基、ビニレン基、フェニレン基およびカルボキシル基含有フェニレン基の中から選択されるいずれかである。
【0028】
5.一層好ましい分散剤
本発明においては、下記式(3)に記載の分散剤を使用することが一層好ましい。
【0029】
【化3】

【0030】
但し、式(3)においてRは炭素数が8ないし18の分岐型のアルキル基が好適で、nはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、5ないし20の範囲が好適である。分散剤の組成をこの範囲に限定することで、分散体の調製に使用できる分散媒の選択範囲の拡大、異種の分散媒の混合、置換に対する適用性が向上する。このように、分散剤の組成範囲を限定することで、分散体の経時安定性に対して更に好適に作用し、その結果、最終製品の付加価値向上、生産性向上、加工特性向上および品質安定化などを達成できる。
【0031】
6.分散剤の配合量
本発明における分散剤の配合量は特に限定される物ではないが、酸化ジルコニウム粒子に対して0.5重量%以上かつ25重量%以下であり、0.5〜20重量%が好ましく、1.25重量%以上かつ10重量%以下がより好ましい。
【0032】
7.分散剤の製造方法
本発明における分散剤は公知の方法で製造することができる。例えば、アルコール、アミン、チオールに公知の方法でアルキレンオキシドを付加した一般的な非イオン界面活性剤化合物を原料として、モノハロゲン化低級カルボン酸またはその塩を用い、塩基存在下でアルキレンオキシド末端の水酸基と反応させる方法、または、酸無水物を用いてアルキレンオキシド末端の水酸基との開環反応による方法により製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0033】
また、前述の範囲で疎水基の種類、アルキレンオキシド種とその付加形態、付加モル量、連結基などを特に限定して組成を最適選定することにより、公知の分散剤よりも、より広範な種類の分散質を分散でき、より広範な種類の分散媒に分散質を分散安定化できる点で産業上の利用価値は大きい。
【0034】
また、本発明に使用される分散剤は、公知の精製法により含有するイオン種、特にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、重金属イオン、ハロゲンイオンの各イオンの含有量を低減して用いることができる。分散剤中のイオン種は分散体の分散安定性、耐触性、耐酸化性、分散塗膜の電気特性(導電特性、絶縁特性)、経時安定性、耐熱性、低湿性、耐候性に大きく影響するため、上記イオンの含有量は適宜決定することができるが、分散剤中で10ppm未満であることが望ましい。
【0035】
また、本発明の光学材料用樹脂組成物は公知の撹拌手段、均一化手段、分散化手段を用いて調製することができる。採用することができる分散機の一例としては、2本ロール、3本ロールなどのロールミル、ボールミル、振動ボールミルなどのボールミル、ペイントシェーカー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミルなどのビーズミル、サンドミル、ジェットミルなどが挙げられる。また、超音波発生浴中において分散処理を行うことも出来る。
【0036】
8.有機ケイ素化合物
本発明の光学材料用樹脂組成物における有機ケイ素化合物としては、酸化ジルコニウム粒子を表面修飾した際に、酸化、還元反応などの化学反応に対して反応性が低く、または反応性がなく、かつ水、有機溶媒、樹脂等の分散媒に対して親和性の高いものが好ましい。中でも、特に好ましいのは、変性シリコーン、シリコーンレジン、アルコキシシラン化合物、クロロシラン化合物、シラザン化合物の群から選択される1種または2種以上である。
【0037】
変性シリコーンとしては、例えば、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、シラノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メタクリレート変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フェニルメチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられる。この変性シリコーンとしては、酸化ジルコニウム粒子の表面活性に影響を与えない範囲、かつ樹脂と複合体を構成する際に樹脂の光学的特性や機械的特性を損なわない範囲で、ビニル基および/またはケイ素原子に結合した官能基を有するものを用いてもよい。
【0038】
シリコーンレジンとしては、例えば、メチルシリコーンレジン、フェニルメチルシリコーンレジン、ジフェニルシリコーンレジン等が挙げられる。
【0039】
アルコキシシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0040】
クロロシラン化合物としては、アルキルクロロシランが挙げられ、アルキルクロロシランとしては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等が挙げられる。
【0041】
シラノール化合物としては、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール等が挙げられる。
【0042】
これらアルコキシシラン化合物、クロロシラン化合物及びシラノール化合物は、酸化ジルコニウム粒子の表面活性に影響を与えない範囲、かつ樹脂と複合体を構成する際に樹脂の光学的特性や機械的特性を損なわない範囲で、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などの反応性官能基を含有するシランカップリング剤と併用してもよい。
【0043】
シラザン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
【0044】
9.重合性不飽和基を有する化合物
本発明に於いて使用し得る重合性不飽和基を有する化合物は、塗膜形成後に硬化反応をすることができる重合性官能基を有するものであれば特に限定されるものではないが、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル、ビニル化合物およびウレタンアクリレートを好適に使用することができる。
【0045】
カルボン酸基含有不飽和重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびイタコン酸などが挙げられる。
【0046】
カルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ビシクロ[3,3,1]ノニル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メトキシエチレングリコール(メタ) アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ) アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシエチレングリコール(メタ) アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ) アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ) アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ) アクリレート、エトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシプロピレングリコール(メタ) アクリレートおよびプロポキシポリプロピレングリコール(メタ) アクリレートなどのモノ(メタ)アクリル酸エステル、エチレングリコールジ(メタ) アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ) アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびグリセリントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート化合物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびソルビトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのヘキサ(メタ)アクリレート化合物、などが挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0047】
ビニル化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエンおよびイソプレンが挙げられる。
【0048】
ウレタンアクリレートは、ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させたものである。
【0049】
ウレタンアクリレートに使用しうるポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネートおよびこれらの変性体が挙げられる。
【0050】
また、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させてなるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーもポリイソシアネートとして使用することができる。このようなポリオールとしては、特に限定されないが、アルキレングリコール、トリメチロールアルカン、グリセリンおよびペンタエリスルトールなどのポリオール化合物の他、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオールなども挙げられる。
【0051】
ウレタンアクリレートに使用しうる水酸基含有(メタ)アクリレートは、分子中に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物である。このような化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、光重合反応や熱重合反応など、公知の重合反応により重合することができる。その際、光重合開始剤や熱重合開始剤などの公知の重合開始剤を使用することができる。
【0053】
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系重合開始剤、アセトフェノン系重合開始剤、アントラキノン光重合開始剤などが挙げられる。
【0054】
熱重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、置換エタン系重合開始剤の他、過硫酸塩および過酸化物などの過酸化物系開始剤と、亜硫酸塩、亜酸水素塩および金属塩などの還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤が挙げられる。
【0055】
重合開始剤の使用量は、通常、重合性不飽和基を有する化合物100重量部に対して、0.005〜10重量部が適当である。
【0056】
また、重合方法としては、乳化重合などの公知の方法が用いられる。
【0057】
重合温度は、前記重合開始剤の種類によって調整されるが、例えば20℃〜100℃が好ましい。
【0058】
本発明においては、上記重合性不飽和基を有する化合物のうち、硬度が高くなりより傷つきを防止できる観点から、1分子中に3つ以上の重合性官能基を有するものが好ましい。
【0059】
更に、この1分子中に3つ以上の重合性官能基を有する重合性不飽和基を有する化合物と、前述の分散質粒子として酸化ジルコニウムとを併用した光学材料用樹脂組成物は、更に高い屈折率を有する塗膜を提供することが可能となり、種々の分野での利用が可能となる。
【0060】
重合性不飽和基を有する化合物の好ましい配合量は、本発明の光学材料用樹脂組成物の全体に対して1〜80重量%であり、より好ましくは30〜70重量%である。
【0061】
10.任意成分
本発明の光学材料用樹脂組成物には、上記各成分に加えて、通常の塗料用や粘接着用、成型用に利用されている各種樹脂類、オリゴマー類、単量体類も特に制限無く使用できる。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコールなどを添加してもよい。また、1気圧における沸点が100℃未満の有機溶媒を添加してもよい。
【0062】
11.使用方法
本発明の光学材料用樹脂組成物を基材上に塗布し、溶剤を蒸発させた後、硬化させることにより、本発明のハードコート被覆物が得られる。塗工の対象となる基材としては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルム、ガラスコンポジット、セラミックス、金属、鋼板、などを挙げることができる。また、塗工方法としては、スピンコート、バーコート、スプレー、スクリーン、グラビア、オフセット、凸版、凹版、インクジェットなどを挙げることができるが、これらに限定されることなく、通常用いられる装置、器具等を用いて行うことが出来る。また、塗工した膜の硬化には、熱、紫外線、放射線などの公知のものを使用することができる。
【0063】
また、本発明の光学材料用樹脂組成物を用いて、成形型で成形するなどにより、レンズなどの光学材料を作製することもできる。
【実施例】
【0064】
以下に本発明の実施例および比較例について説明する。なお、以下において、配合量を示す「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。言うまでもないが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更や修正が可能である。
【0065】
<分散剤の合成>
[製造例1(分散剤Aの合成)]
トルエン溶媒中に、分岐C11〜14アルキルアルコール(製品名:EXXAL13、エクソン・モービル社製)エチレンオキシド10モル付加物640g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム152g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度を60℃の条件で水酸化ナトリウム52gを添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去することにより、分散剤A(R:分岐C11〜14アルキル、AO:エチレンオキシド、n:10、X:CH)を得た。
【0066】
[製造例2(分散剤Bの合成)]
製造例1において、分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド10モル付加物に代えて、イソデシルアルコールエチレンオキシド10モル付加物598g(1モル)としたこと以外は製造例1と同様の方法を実施し、分散剤B(R:イソデシル、AO:エチレンオキシド、n:10、X:CH)を得た。
【0067】
[製造例3(分散剤Cの合成)]
製造例1において、分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド10モル付加物に代えて、分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド5モル付加物420g(1モル)としたこと以外は製造例1と同様の方法を実施し、分散剤C(R:分岐C11〜14アルキル、AO:エチレンオキシド、n:5、X:CH)を得た。
【0068】
[製造例4(分散剤Dの合成)]
分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド10モル付加物640g(1モル)およびコハク酸無水物100g(1モル)を120℃で2時間反応させることにより、分散剤D(R:分岐C11〜14アルキル、AO:エチレンオキシド、n:10、X:COCHCH)を得た。
【0069】
[製造例5(分散剤Eの合成)]
製造例1において、分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド10モル付加物に代えて、2−エチルヘキシルアルコールエチレンオキシド10モル付加物570g(1モル)としたこと以外は製造例1と同様の方法を実施し、分散剤E(R:2−エチルヘキシル、AO:エチレンオキシド、n:10、X:CH)を得た。
【0070】
[製造例6(分散剤aの合成)]
製造例1において、分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド10モル付加物に代えて、メタノールエチレンオキシド10モル付加物472g(1モル)としたこと以外は製造例1と同様の方法を実施し、分散剤a(R:メチル、AO:エチレンオキシド、n:10、X:CH)を得た。
【0071】
[製造例7(ウレタンアクリレートAの合成)]
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)の3量体504g(1モル)と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:PET−3、第一工業製薬社製)894g(3モル)と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.8gを添加し、70℃〜80℃で残存イソシアネート濃度が0.1重量%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレートAを得た。
【0072】
[実施例1]
市販の酸化ジルコニウム分散体(堺化学社製の商品名SZR−M、一次粒子径3nm、30重量%の酸化ジルコニウムを含有するメタノール分散体)100部と、製造例1で製造した分散剤Aを1.5部と、フェニルトリエトキシシラン(商品名:KBE−103、信越シリコーン社製)1.5部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:ニューフロンティアPET−3、第一工業製薬社製)18.9部と、フェノキシエチルアクリレート(商品名:ニューフロンティアPHE、第一工業製薬社製)8.1部とを混合した。この混合物からロータリーエバボレーターを用いてメタノールを減圧除去することにより、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0073】
[実施例2]
分散剤A1.5部に代えて、製造例2に記載の分散剤Bの1.5部を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0074】
[実施例3]
分散剤A1.5部に代えて、製造例3に記載の分散剤Cの1.5部を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0075】
[実施例4]
分散剤A1.5部に代えて、製造例4に記載の分散剤Dの1.5部を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0076】
[実施例5]
分散剤A1.5部に代えて、製造例5に記載の分散剤Eを1.5部使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0077】
[実施例6]
フェニルトリエトキシシラン1.5部に代えて、メチルトリエトキシシラン(商品名:KBE−13、信越シリコーン社製)を1.5部使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0078】
[実施例7]
フェニルトリエトキシシラン1.5部に代えて、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−503、信越シリコーン社製)を1.5部使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0079】
[実施例8]
フェノキシエチルアクリレート8.1部に代えて、フェノキシエチルアクリレート4部および製造例7に記載のウレタンアクリレートAを4.1部使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0080】
[実施例9]
ペンタエリスリトールトリアクリレート18.9部に代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート9.5部およびトリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD R−684)9.4部を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0081】
[実施例10]
フェノキシエチルアクリレート8.1部に代えてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:ニューフロンティアMPEM−400、第一工業製薬社製)4部およびビスフェノールAポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:ニューフロンティアBPEM−10、第一工業製薬社製)4.1部を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0082】
[実施例11]
フェノキシエチルアクリレート8.1部に代えてフェニルチオエチルアクリレート8.1部使用したこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0083】
[実施例12]
ペンタエリスリトールトリアクリレート18.9部とフェノキシエチルアクリレート8.1部に代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート29.4部とフェノキシエチルアクリレート12.6部にしたこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0084】
[実施例13]
ペンタエリスリトールトリアクリレート18.9部とフェノキシエチルアクリレート8.1部に代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート17.2部とフェノキシエチルアクリレート7.3部にしたこと以外は実施例1と同様に行い、本実施例の光学材料用樹脂組成物を得た。
【0085】
[比較例1]
実施例1の分散剤Aに代えて、ラウリン酸を同量用いたこと以外は同様の方法を実施し、本比較例の組成物を得た。
【0086】
[比較例2]
実施例1の分散剤Aに代えて、2−エチルヘキサン酸を同量用いたこと以外は同様の方法を実施し、本比較例の組成物を得た。
【0087】
[比較例3]
実施例1の分散剤Aに代えて、製造例6に記載の分散剤aを同量用いたこと以外は同様の方法を実施し、本比較例の組成物を得た。
【0088】
[比較例4]
実施例1のフェニルトリエトキシシランの配合量を3部とし、分散剤Aを使用しないこと以外は同様の方法を実施し、本比較例の組成物を得た。
【0089】
<分散体(分散液)の特性評価>
上記実施例および比較例の光学材料用樹脂組成物について、分散性、粘度の評価を行い、その結果を表1に示した。評価方法は以下のとおりである。
【0090】
(分散性)
目視により沈殿物の有無を確認し、沈殿物がない場合を○、沈殿物がある場合を×とした。
【0091】
(粘度)
JIS K5600−2−3に準じて、E型粘度計(東機産業社製 RE80R)を使用し、25℃における分散体の粘度を測定した。
【0092】
<硬化物の特性評価>
上記各実施例および各比較例で調製した光半導体封止材組成物5gに、重合開始剤であるLucirin TPO(商品名、BASFジャパン社製)を0.15g加えて溶解させた後、25μmのスペーサーを挟んだガラス板で作製したケースに入れ、積算400mJのUVを照射して硬化させることにより、厚さ25μmの硬化物を得た。この硬化物について、外観、屈折率、ヘイズ、耐熱試験後の黄変度を表1に示した。評価方法は以下のとおりである。
【0093】
(硬化物の外観)
目視により硬化物の外観を観察し、析出物およびクラックが見られない場合を○、析出物あるいはクラックが見られる場合を×とした。
【0094】
(屈折率)
プリズムカプラ(METRICON社製METRICONプリズムカプラ モデル2010)を使用し、波長589nmにおける屈折率を測定した。
【0095】
(アッベ数)
JIS K0062に準じて、プリズムカプラ(商品名:METRICONプリズムカプラ モデル2010、METRICON社製)を使用し、波長405nm、532nmおよび633nmにおける硬化物の屈折率を測定し、得られた測定値からアッベ数を算出した。
【0096】
(ヘイズ)
JIS K 7136に準じて、ヘイズメーター(スガ製作所製 HGM型)を使用して硬化物のヘイズを測定した。
【0097】
(耐熱試験・黄変度)
上記硬化物を250℃のホットプレート上にのせ、JIS K7105に従って、加熱前と5分後の黄変度の測定値からΔYIを算出した。
【0098】
【表1】

【0099】
<結果>
表1から明らかなように、各実施例の光学材料用樹脂組成物は、分散性および粘度の何れの評価においても優れた結果を示している。これに対して、比較例1及び2の樹脂組成物は、分散性の評価において劣り、また、比較例1〜4の樹脂組成物は、粘度が大きくなり、均一混合することが困難となり、硬化物を形成することができなかった。
【0100】
また、各実施例の光学材料用樹脂組成物から得られる硬化物は、外観、屈折率、アッベ数、ヘイズおよび黄変度の何れの評価においても優れた結果を示している。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、酸化ジルコニウム粒子および有機ケイ素化合物の配合量が多いにも拘わらず低粘度であり、得られる硬化樹脂の経時的な黄変を抑制することができ、透明性および耐熱性に優れた高い屈折率を有する樹脂を形成し得るので、光学機器の製造等の分野で利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1〜30nmである酸化ジルコニウム粒子と、下記式(1)で示される化合物からなる分散剤と、有機ケイ素化合物と、重合性不飽和基を有する化合物とを含有することを特徴とする光学材料用樹脂組成物。
【化1】

ただし、式(1)のRは、分岐鎖を有し炭素数が3ないし24のアルキル基および/又はアルケニル基であり、AOは炭素数が1ないし4のオキシアルキレン基であり、nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す3〜30の範囲の数値であり、Xは炭素原子、水素原子及び/又は酸素原子からなる連結基である。
【請求項2】
前記分散剤における前記式(1)のXは、炭素数が1ないし15のアルキレン基であることを特徴とする請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項3】
前記分散剤における前記式(1)のXは、下記式(2)で示される連結基であることを特徴とする請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
【化2】

ただし、式(2)のYは、炭素数が1ないし15のアルキレン基、ビニレン基、フェニレン基およびカルボキシル基含有フェニレン基の中から選択されるいずれかである。
【請求項4】
前記光学材料用樹脂組成物を100重量%とした場合の前記酸化ジルコニウム粒子の配合量が、0.5〜80重量%であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学材料用樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−112707(P2013−112707A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257960(P2011−257960)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】