説明

光学活性のメチルヒドロキシルアミノプロパノール化合物を中間体として用いる(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンの製造方法

【課題】高い純度と品質を有する(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン、Duloxetine(登録商標))の製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(II)で表される化合物のN,O−開裂反応により、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールを合成した後、ハロナフタレンと反応させて(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンを合成する製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キラル化合物(chiral compounds)を中間体として用いる高い鏡像異性体過剰率(enantiomeric excess, ee)と高い化学的純度を有する(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン及びその薬学的に許容される塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン,Duloxetine(登録商標))塩酸塩は薬物治療において抗鬱薬(antidepressant)として使用されている。このデュロキセチン(Duloxetine(登録商標))には、様々な製造方法があり、例えば、特許文献1においては、キラル性をそのまま維持するために、混合溶剤系(例えば、DMSOとトルエン)中において、(S)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールと、1−フルオロナフタレンとを水酸化カリウムと反応させることにより、デュロキセチンを製造する方法が開示されている。しかしながら、デュロキセチンの製造方法において、異なる種類の有機溶剤が用いられているため、この後の処理コストが増加する。更に、これら混合有機溶剤の使用は、環境保全の面からみても不利を招くものである。そのために、キラルデュロキセチンの製造方法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許7,538,232号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、高い純度と品質を有する簡便、且つ安全なデュロキセチン(Duloxetine(登録商標))の製造方法を提供することにある。特に、本発明は、下記一般式(II)で表される化合物を提供する。
【0005】
【化1】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、その絶対配位におけるキラルセンターはSである。)
【0006】
本発明の一つの態様において、本発明は、一般式(II)で表される化合物を(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン,Duloxetine(登録商標))を製造するための中間体として提供する。
【0007】
本発明の他の態様において、本発明は、一般式(II)で表される中間体化合物から合成される下記一般式(III)で表される構造を有する(S)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールを用いて、高収率、低コストで(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン, Duloxetine(登録商標))を製造する方法を提供する。
【0008】
【化2】

【0009】
本発明において、デュロキセチンの製造方法は、後記スキーム1に要約される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るデュロキセチンの製造方法は、下記の工程を含む:
(i)2−アセチルチオフェン、ホルムアルデヒドと一般式HNCH(OR)で表される化合物とのマンニッヒ反応(Mannich reaction)により、一般式(I)で表される化合物を合成する工程;
(ii)一般式(I)で表される化合物をエナンチオ選択的に還元することにより、一般式(II)で表される化合物を得る工程;
(iii)一般式(II)で表される化合物のN,O−開裂反応により、一般式(III)で表される(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)−プロパン−1−オールを合成する工程;
(iv)(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)−プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応により(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン, Duloxetine(登録商標))を合成する工程。
式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、特に好ましくはメチル基を示し、ハロゲンは、弗素、塩素、臭素又は沃素を示す。
【0011】
更に、本発明の製造方法の工程(iv)において、ナフタレン化反応はKORとDMSOを用いて行われ、式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、より好ましくはブチル基であり、特に好ましくは第三ブチル基である。
【0012】
【化3】

【0013】
本発明の製造方法は具体的には以下の通りである。
(1)(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンの製造方法であって、
下記一般式(II)で表される化合物のN,O−開裂反応により、
【化4】

下記一般式(III)で表される(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールを合成する工程と、
【化5】

次に、一般式(III)で表される(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応により下記一般式で表される(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンを合成する工程と、を含むことを特徴とする製造方法。
【化6】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、ハロ(halo)は、弗素、塩素、臭素又は沃素を示す。)
【0014】
(2)前記Rは、炭素数1〜4のアルキル基である前記(1)に記載の製造方法。
【0015】
(3)前記Rは、メチル基である前記(2)に記載の製造方法。
【0016】
(4)前記ハロナフタレンは、1−フルオロナフタレンである前記(1)に記載の製造方法。
【0017】
(5)前記(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応の工程において、KORとDMSOが使用される前記(1)に記載の製造方法。
【0018】
(6)前記Rは、炭素数1〜6のアルキル基である前記(5)に記載の製造方法。
【0019】
(7)前記Rは、第三ブチル基である前記(6)に記載の製造方法。
【0020】
(8)前記(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応は、過剰量のハロナフタレンの存在下で行われ、前記DMSOは、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール用量の1〜10倍の範囲の量で使用される前記(5)に記載の製造方法。
【0021】
(9)前記DMSOの使用量は、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールの用量の1〜5倍の範囲である前記(8)に記載の製造方法。
【0022】
(10)下記一般式:
【化7】

で表される(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンの製造方法であって、
(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールと、KORと、ハロナフタレンとをDMSO中で反応させることを含む(ここで、R は炭素数1〜6のアルキル基を示し、ハロ(halo)は弗素、塩素、臭素又は沃素を示す)ことを特徴とする製造方法。
【0023】
(11)前記Rは、第三ブチル基である前記(10)に記載の製造方法。
【0024】
(12)前記ハロナフタレンは、1−フルオロナフタレンである前記(10)に記載の製造方法。
【0025】
(13)前記(S)−(−)3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール(III)と、KORと、ハロナフタレンとのDMSO中で行われる反応は、過剰量のハロナフタレンの存在下で行われ、前記DMSOの使用量は(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール用量の1〜10倍の範囲の量である前記(10)に記載の製造方法。
【0026】
(14)前記DMSOの使用量は、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール用量の1〜5倍の範囲である前記(13)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明の製造方法によれば、先行技術に比べると、より高い収率と低いコストで、光学的に純度の高いデュロキセチン(Duloxetine(登録商標))を提供することが可能である。又、経済的、環境保護的観点においても、本発明の製造方法は、特に工業規模の生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、具体的な本発明の開示内容を説明する。本発明の技術分野について一般的知識を備える者は、本明細書の記載内容によって、本発明の内容とその他の特徴と効果を簡単に理解できる。
【0029】
本発明は、光学活性を有する一般式(II)で表される化合物を提供する。
【0030】
【化8】

式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。更に、本化合物の絶対配置におけるキラルセンターはSである。
【0031】
又、本発明は、一般式(II)で表される化合物を中間体として用いる(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン, Duloxetine(登録商標))の製造方法を提供する。本発明の製造方法を下記スキーム1に要約する。
【化9】

【0032】
上記スキーム1において、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、Xはハロゲン(弗素、塩素、臭素又は沃素)を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、好ましくはブチル基であり、より好ましくは第三ブチル基である。
【0033】
更に詳しくは、本発明の製造方法は下記の工程を含む。
(i)2−アセチルチオフェン、ホルムアルデヒドと一般式HNCH(OR)で表される化合物とのマンニッヒ反応により、一般式(I)で表される化合物を合成する工程;
(ii)一般式(I)で表される化合物をエナンチオ選択的に還元することにより、一般式(II)で表される化合物を得る工程;
(iii)一般式(II)で表される化合物のN,O−開裂反応により、一般式(III)で表される(S)−(−)3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)−プロパン−1−オールを合成する工程;
(iv)(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)−プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応により(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン, Duloxetine(登録商標))を合成する工程。
【0034】
本発明の製造方法における工程(i)は、温度15〜90℃の範囲内で反応が行われるが、好ましくは40〜80℃の範囲内であり、特に好ましくは50〜70℃の範囲内である。この工程(i)で得られる一般式(I)で表される化合物は遊離形であってもよく、又はその酸付加塩であってもよい。
【0035】
次に、工程(ii)における一般式(I)で表される化合物の還元は不斉還元であり、好ましくはキラル還元である。これにより一般式(II)で表される光学活性の化合物が得られる。このような光学活性形は、触媒とキラルリガンド、又は水素化物とキラルリガンドを用いる不斉水素化反応を経て得られる。工程(ii)において、キラル還元反応に用いられるキラル還元剤は、水素化物、ボラン、遷移金属系触媒と微生物性脱水素酵素より構成される複合物から選択して使用する。
【0036】
より好ましい形態において、工程(ii)で実行される一般式(I)で表される化合物の還元は、アルコール(例えば、メタノール)と塩基(例えば、カリウムtert−ブトキシド)との混合液中、触媒の存在下で行われる。当該触媒としては、例えば、鏡像体に富むリン含有二座配位子、遷移金属とジアミン、好ましくは、キラルジアミンが含まれる。当該触媒の具体例としては、RuCl((R)−3,5−キシリルBINAP)((2R)−DAIPEN)が挙げられる。反応液は所定の圧力下で水素化され、高い鏡像異性体過剰率で一般式(II)で表される化合物を得ることができる。
【0037】
本発明の製造方法において、工程(iii)中の一般式(II)で表される化合物のN,O−開裂反応は、ラネーニッケル(Raney−nickel)などの触媒の存在下での水素化反応、又は、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)又は金属亜鉛を還元剤として用いた化学還元方法により行われる。
【0038】
本発明の製造方法において、工程(iv)中、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応は、適量のDMSO中、カリウムtert−ブトキシドなどの適当な塩基を用いて行い、これにより(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン、Duloxetine(登録商標))が得られる。又、約1.5〜4当量範囲の過剰量のハロナフタレンは回収することができる。この反応は、20〜110℃範囲の温度下で行われ、好ましくは、40〜90℃範囲の温度下において1〜24時間反応される。本発明の一つの具体例として、過剰量のハロナフタレンと適量のDMSOとの存在下で反応させることにより、ラセミ化と環境保全の問題を克服する。好ましい具体例において、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール用量の1〜10倍の範囲の量のDMSOが使用され、更に好ましくは、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール用量の1〜5倍の量のDMSOが用いられる。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
3−メトキシメチルアミノ−1−(2−チエニル)−1−プロパノン塩酸塩の合成
【化10】

27.7gのN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、9.3gのパラホルムアルデヒド、6.4gの塩酸(32%)、30.0gの2−アセチルチオフェンと100gのイソプロパノールをフランスコに入れ、60℃下において13時間攪拌した後、反応混合液を室温まで冷却した。析出した結晶を濾過し、30gのイソプロパノールで洗浄し、減圧下で乾燥することにより42.5gの3−メトキシメチルアミノ−1−(2−チエニル)−1−プロパノン塩酸塩を得た(収率75.9%)。得られた塩を用い、測定した1H NMRのデータを以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm)=3.1(s,3H),3.7−3.8(br,4H),4.1(s,3H),7.2(t,J=4.5Hz,1H),7.7(d,J=4.9Hz,1H),7.9(d,J=3.5Hz,1H).
【0041】
[実施例2]
(S)−3−メトキシメチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールの合成
【化11】

アルゴンガスの流通下、RuCl((R)−3,5−キシリルBINAP)((2R)−DAIPEN)(10mg)を含む脱気処理したメタノール溶液(4ml)、3−メトキシメチルアミノ−1−(2−チエニル)−プロパノン(160mg)、 カリウムtert−ブトキシド(100mg)とメタノール(10ml)とをガラス製オートクレーブに入れ、脱気し、アルゴンガスで置換した後、水素ガスを所定の圧力になるまで導入した。得られた溶液を20℃下において12時間水素反応を行い、水素化反応が終了した後、反応液を濃縮して油状の生成物(161mg、HPLC分析値は95.8%、95%ee)を得た。得られた生成物を用い、測定した1H NMRのデータを以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm)=3.0(s,3H),3.0−3.1(m,1H),4.1(s,3H),4.0−4.1(m,3H),6.1 (dt,J=7.4,15.4Hz,1H),6.9(d,J=15.7Hz,1H), 7.0(dd,J=3.7,5.0Hz,1H),7.1(d,J=3.4Hz,1H).
【0042】
[実施例3]
(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)−プロパン−1−オールの合成
【化12】

実施例2で得た(S)−3−メトキシメチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールを、8mgのラネーニッケルを含む10mlのメタノール中に溶かした。得られた溶液をガラス製のオートクレーブに入れ、50℃下で12時間水素化反応を行った。水素化反応が終了した後、反応液を濾過し、減圧下で溶剤を除去し、結晶化合物(122mg,HPLC分析値は90.8%,95%ee)を得た。この粗生成物をトルエンで再結晶することにより精製したところ、100%eeの高い光学的純度を示す生成物が得られた。
【0043】
[実施例4]
(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン(デュロキセチン, Duloxetine(登録商標))の合成
【化13】

【0044】
(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール(20.0g)と1−フルオロナフタレン(68.3g)とを4つ首丸底フラスコに入れた。次に、カリウムtert−ブトキシド(13.1g)とDMSO(36.0g)を加え、得られた混合液を60℃に加熱し、8時間反応させた。反応が完了した後、反応混合液を冷却し、水で洗浄した。分液により得た有機層を更に32%の塩酸水溶液(14.7g)で抽出して、1−フルオロナフタレンよりデュロキセチン(Duloxetine(登録商標))を単離した。酸性水溶液層を、45%の水酸化ナトリウム水溶液(17.6g)により、pH12〜13に調整することで、油状液(31.3g, 90%)の遊離形態のデュロキセチンを得た。キラルHPLCにより当該デュロキセチンを測定したところ、その光学的純度は95%e.e.を示した。得られた生成物を用い、測定した1H NMRのデータを以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm)=2.2(m,1H),2.4(m,1H),2.4(s,3H),2.8(m,2H),5.8(m,1H), 6.8(d,1H),6.9(m,1H),7.1(d,1H),7.2(d,1H), 7.3(d,1H),7.4(m,1H),7.5(m,2H),7.8(m,1H), 8.3(m,1H).
【0045】
以上説明した詳細な具体例は、本発明の特徴と利点をより良く理解させるために説明したものに過ぎず、本発明を何んら限定するものではない。したがって、本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲に示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンの製造方法であって、
下記一般式(II)で表される化合物のN,O−開裂反応により、
【化1】

下記一般式(III)で表される(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールを合成する工程と、
【化2】

次に、一般式(III)で表される(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応により下記一般式で表される(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンを合成する工程と、を含むことを特徴とする製造方法。
【化3】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、ハロ(halo)は、弗素、塩素、臭素又は沃素を示す。)
【請求項2】
前記Rは、炭素数1〜4のアルキル基である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記Rは、メチル基である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ハロナフタレンは、1−フルオロナフタレンである請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応の工程において、KORとDMSOが使用される請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記Rは、炭素数1〜6のアルキル基である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記Rは、第三ブチル基である請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールとハロナフタレンとの反応は、過剰量のハロナフタレンの存在下で行われ、前記DMSOは、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール用量の1〜10倍の範囲の量で使用される請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
前記DMSOの使用量は、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールの用量の1〜5倍の範囲である請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
下記一般式:
【化4】

で表される(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンの製造方法であって、
(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オールと、KORと、ハロナフタレンとをDMSO中で反応させることを含む(ここで、R は炭素数1〜6のアルキル基を示し、ハロ(halo)は弗素、塩素、臭素又は沃素を示す)ことを特徴とする製造方法。
【請求項11】
前記Rは、第三ブチル基である請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ハロナフタレンは、1−フルオロナフタレンである請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記(S)−(−)3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール(III)と、KORと、ハロナフタレンとのDMSO中で行われる反応は、過剰量のハロナフタレンの存在下で行われ、前記DMSOの使用量は(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール用量の1〜10倍の範囲の量である請求項10に記載の製造方法。
【請求項14】
前記DMSOの使用量は、(S)−(−)−3−メチルアミノ−1−(2−チエニル)プロパン−1−オール用量の1〜5倍の範囲である請求項13に記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−236195(P2011−236195A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192(P2011−192)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(510068046)旭富製藥科技股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】