説明

光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン

本発明は、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、すなわち、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンまたはS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、及びこれらの調製方法、この化合物またはその薬学的に許容される塩またはエステルを含む医薬製剤、ならびに代謝改善解毒薬の調製に用いられる用途を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン及びその調製方法に関し、また、代謝改善解毒薬の調製に用いられる用途及び医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンは、チオプロニンと通称され、臨床で急性・慢性肝炎、肝硬変などの治療に利用され、肝疾患に優れた治療用途を有し、その調製方法及び医薬製剤も既に数多く開示されている。中国特許出願CNO2129300.7にチオプロニン医薬製剤が開示され、「中国薬物化学雑誌」1997年3月第7巻第1期55〜56頁にチオプロニンの合成プロセスが開示された。しかし、N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの光学活性、すなわち、そのレボ体、デキストロ体については何らも報告されていない。多くの医薬品は、その単一鏡像体は治療効果が高くて不良反応も小さく、ユートマーと呼ばれるのに対し、活性がないまたは活性が低い鏡像体は、ディストマーと呼ばれ、治療効果がないだけでなく、鏡像体の作用を部分的に相殺させ、ひいては、ひどい不良反応を引き起こし得る場合が多い。鏡像医薬品は体内での薬理的活性、代謝過程が著しく異なり、異なる生物活性と薬力を示す。臨床応用において、キラル医薬品の各鏡像体の薬力学的と薬物動態学的挙動が異なることが認識されていないため、得られた結論と治療効果や不良反応の発生とは一致しない、ひいては臨床薬剤投与を間違って指導してしまう場合がある。そのため、医薬品の光学活性に対する検討は極めて必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを提供することを目的とする。
【0004】
本発明は、また、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、また、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの代謝改善解毒薬の調製における用途を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、さらに、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン化合物を含む医薬製剤を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、レボN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、または、デキストロN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンであって、
前記レボN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンは、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン
【0008】
【化1】


のR−配置、またはその薬学的に許容される塩またはエステルであり、ただし、前記塩がアミノ酸塩または金属塩であってもよく、
前記アミノ酸塩の構造式が、
【0009】
【化2】


であり、ただし、Rがアミノ酸であってもよく、このアミノ酸がアルギニン、リシン、グリシン、アスパラギン、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、オルニチン、シスチン、システイン、チロシン、バリン、セリン、ヒスチジン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン、2−アミノ−4−メチルチオ酪酸、プロリン、グルタミン、ヒドロキシプロリンなどであってもよく、
前記金属塩の構造式が、
【0010】
【化3】


であり、ただし、Rがカリウム、ナトリウムなどであってもよく、
前記エステルの構造式が、
【0011】
【化4】


であり、ただし、RがC〜C直鎖アルキルであり、
前記デキストロN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンは、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン
【0012】
【化5】


のS−配置、またはその薬学的に許容される塩またはエステルであり、前記塩がアミノ酸塩または金属塩であってもよく、
前記アミノ酸塩の構造式が、
【0013】
【化6】



であり、
ただし、Rがアミノ酸であってもよく、このアミノ酸がアルギニン、リシン、グリシン、アスパラギン、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、オルニチン、シスチン、システイン、チロシン、バリン、セリン、ヒスチジン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン、2−アミノ−4−メチルチオ酪酸、プロリン、グルタミン、ヒドロキシプロリンなどであってもよく、
前記金属塩の構造式が、
【0014】
【化7】


であり、ただし、Rがカリウム、ナトリウムなどであってもよく、
前記エステルの構造式が、
【0015】
【化8】


であり、ただし、RがC〜C直鎖アルキルである
光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを提供する。
【0016】
本発明はまた、下記のような光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製方法を提供する。
【0017】
一、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製方法:
1.R−(+)−2−クロロプロピオン酸をクロロスルホキシドと反応させてR−(+)−2−クロロプロピオニルクロリドを得る。
【0018】
2.R−(+)−2−クロロプロピオニルクロリドをグリシンと弱アルカリ条件下で反応させてR−(+)−2−クロロプロピオニルグリシンを得る。
【0019】
3.硫化ナトリウムと昇華硫黄とを反応させて二硫化ナトリウムを取得し、R−(+)−2−クロロプロピオニルグリシンを二硫化ナトリウムと反応させ、酸性化させてR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを得る。
【0020】
得られたR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンをさらに酸、アルカリまたはアルコールと反応させて塩またはエステルを得る。
【0021】
二、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製方法:
1.S−(−)−2−クロロプロピオン酸をクロロスルホキシドと反応させてS−(−)−2−クロロプロピオニルクロリドを得る。
【0022】
2.S−(−)−2−クロロプロピオニルクロリドをグリシンと弱アルカリ条件下で反応させてS−(−)−2−クロロプロピオニルグリシンを得る。
【0023】
3.硫化ナトリウムと昇華硫黄とを反応させて二硫化ナトリウムを取得し、S−(−)−2−クロロプロピオニルグリシンを二硫化ナトリウムと反応させ、酸性化させてS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを得る。
【0024】
得られたS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを酸、アルカリまたはアルコールと反応させて塩またはエステルを得る。
【0025】
本発明はまた、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、すなわち、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンやS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンまたはその薬学的に許容される塩やエステルを、代謝改善解毒薬の調製に用いられる用途を提供し、特に、肝組織細胞に対する保護作用や各種の肝炎、例えば、急性・慢性肝炎、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝炎、重金属中毒肝炎などの治療、脂肪肝、急性・慢性肝損傷、肝硬変の治療を含む、急性・慢性肝疾患の治療と肝機能の改善に用いられ、また、放射線や化学療法による外周白血球の減少を予防・治療して肝細胞の復元を促進し、化学療法による不良反応を低減させること、加齢性早期白内障や硝子体混濁の予防・治療、重金属解毒に用いられる用途を提供する。
【0026】
薬力学的試験から、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンとS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンは、いずれも肝損傷に対して良好な保護作用を有し、その作用はいずれもN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンより強いことが分る。
【0027】
薬物代謝動力学的試験から、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンとS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンとは体内で互いに転化されないことが分る。具体的な試験は投薬動物体内の薬物代謝動態学的試験であり、高速液体クロマトグラフ質量分析法により血漿における医薬を測定することを含む。
【0028】
血漿サンプルの処理方法は、血漿を酸性化させて抽出し、誘導化反応を行うことで、サンプル溶液が調合されることを含み、具体的には、
1.血漿の酸性化:ここで、酸性化に用いられる酸は塩酸、リン酸、過塩素酸、酢酸などであってもよいが、塩酸が好ましく、1mol/Lの塩酸がより好ましく、酸の量:血漿サンプルの量は(150μl〜250μl):(2ml〜4ml)であり、200μl:3mlが好ましい。
【0029】
2.酸性化された血漿の抽出:ここで、抽出に用いられる有機溶剤は酢酸エチル、クロロホルム、トリクロロメタン、エチルエーテル、n−へキサンなどであってもよいが、酢酸エチルが好ましい。
【0030】
3.抽出物に対する誘導化反応:ここで用いられる誘導化試薬はフェニルイソチオシアナート、2,3,4,6−テトラ−0−アセチル−β−D−ピラングルコースイソチオシアナート(GITC)溶液などであってもよいが、GITC溶液が好ましく、2mg/mlのGITC溶液がより好ましく、2mg/mlのGITCのテトラヒドロフラン溶液が最も好ましく、誘導化温度は15〜45℃であり、25〜35℃が好ましく、30℃がより好ましく、誘導化時間は10〜30minであり、15〜25minが好ましく、20minがより好ましい。
【0031】
クロマトグラフィーの条件:
流動相A:メタノール。流動相B:水溶液;0.05〜0.20mmol/L塩化ナトリウムと5.0〜6.0mmol/L蟻酸を含み、好ましくは0.10mmol/L塩化ナトリウムと5.3mmol/L蟻酸を含む。ここで、A:Bは(40〜50:50〜60であり、44:56が好ましい)。
質量分析条件:
イオン化方式:エレクトロスプレーイオン化;選択イオンモニタリング;湾曲型脱溶媒装置(Curved Desolvation Line;CDL);温度:200℃〜300℃、好ましくは250℃;加熱ブロック温度:150℃〜250℃、好ましくは200℃;CDL電圧:20V〜30V、好ましくは25V;検出電圧:+1.2kV〜+1.8kV、好ましくは+1.50kV;噴霧ガス流速:1.2L/min〜1.8L/min、好ましくは1.5L/min;乾燥ガス流速:1.5L/min〜2.5L/min、好ましくは2.0L/min;検出イオン:供試医薬誘導体[M+Na」+(m/z):575.20、内標準N−イソブタノイル−D−システイン(NIDC)誘導体[M+Na]+(m/z):603.05;
内標準物質はNIDCであり、内標準ピークとメインピークとの分離度は中華人民共和国薬典の要求に合致すればよい。
【0032】
その結果、単にR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを投与する各時間点でのクロマトグラフィーチャートにおいて、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの存在が顕著に検出されなく、同様に、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを投与した後も、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの存在が検出されないことが示され、それは、両者が動物体内で互いに転化されていないことを意味している。
【0033】
これにより、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンまたはS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを臨床用途に好適な医薬製剤とするのは、実用性がある。
【0034】
本発明は、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンやS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンまたはこれらの薬学的に許容される塩やエステルを活性成分とするとともに、薬学的に許容される助剤を含む臨床用途に好適な医薬製剤とし、前記製剤は経口投与製剤または注射投与製剤である。
【0035】
前記経口投与製剤は、例えば、一般経口製剤として、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、チュアブル錠、発泡錠などであり、即効製剤として、例えば分散錠、口腔内崩壊錠などであり、徐放製剤として、例えば徐放錠剤、徐放ペレットなどであり、また、注射投与製剤としては、例えば注射液、注射用濃溶液、注射用無菌粉末などである。
【0036】
前記経口医薬製剤においては、助剤が充填剤、結合剤、崩壊剤であり、充填剤と崩壊剤の重量組成がそれぞれ10〜60%、2〜30%であり、さらに、流動助剤、潤滑剤、界面活性剤を含んでもよく、三者の重量含有量がそれぞれ0.1〜5%、0.1〜5%、0.005〜1%である。ここで、前記充填剤としては、澱粉、予ゲル化澱粉、カルボキシメチル澱粉、微結晶セルロース、ラクトース、デキストリン、ショ糖、グリコース、マンニトール、ソルビトール、硫酸カルシウム二水和物、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウムであってもよい。前記結合剤としては、トウモロコシ澱粉、予ゲル化トウモロコシ澱粉、予ゲル化澱粉、ゼラチン、ショ糖、アラビアゴム、ポビドン、各種粘度のメチルセルロース、低粘度のカルメロースナトリウム、各種粘度のエチルセルロース、各種粘度のポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール6000、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水またはアルコールの溶液であってもよい。前記崩壊剤としては、澱粉、予ゲル化澱粉、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、リグノセルロース、アルギン酸、カルボキシメチル澱粉ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、グアールガム、クロスポビドン、イオン交換樹脂、メチルセルロース、カルメロースナトリウム、及び有機酸(例えば、クエン酸、酒石酸)と炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム)からなる発泡崩壊剤である。前記潤滑剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、タルク、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ホウ酸、ロイシン、アジピン酸、フマル酸、グリセロールトリアセテート、ポリオキシエチレンモノステアレート、シュクロースモノラウレート、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムであってもよい。前記流動助剤は気相微粉シリカゲル、合成微粉シリカゲル、酸化マグネシウムであってもよい。前記界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ツイーン類、スパン類、セチルトリメチルアミニウムブロマイド、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸スルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンモノステアレートである。処方に矯味剤を加えてもよく、矯味剤としては、ステビア、フルクトース、ショ糖、グリコース、アスパルテーム、プロテオグリカン、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、マルトール、グリチルリチン、シクロヘキシルアミノスルホン酸ナトリウム、バナナエッセンス、オレンジエッセンス、パイナップルエッセンス、ミントエッセンス、ウイキョウ、バニリン、レモンエッセンス、チェリーエッセンス、ローズエッセンスである。処方にはまた、濡れ剤、すなわち、水または濃度が異なるエタノール溶液を含んでもよい。本発明の医薬製剤に用いられるコーティング材としては、セルロース及びその誘導体類、アクリル樹脂類、ビニルポリマーなどであってもよい。
【0037】
前記注射投与製剤は、注射液、注射用濃溶液及び注射用無菌粉末を含み、助剤が注射剤の要求に合わせた付加剤であり、前記付加剤はpH調整剤、等張化剤、酸化防止剤、キレート剤であり、注射用無菌粉末製剤にまた賦形剤を加えてもよい。pH調整剤としては、塩酸、乳酸、メタンスルホン酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸及びその塩、酢酸及びその塩、クエン酸及びその塩、アミノ酸及びその塩であり、等張化剤としては、グリコース、塩化ナトリウム、グリセリン、硫酸ナトリウムが含まれ、賦形剤としては、ソルビトール、マンニトール、デキストラン、ラクトース、ショ糖、グリコース、加水分解ゼラチン、塩化ナトリウムが含まれ、酸化防止剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはカリウム塩0.01%〜0.1%、亜硫酸ナトリウム0.01〜0.5%、亜硫酸水素ナトリウム0.01%〜0.5%、チオ硫酸ナトリウム0.01%〜0.5%、ホルムアルデヒドスルホキシル酸水素ナトリウム0.1〜0.2%、チオ尿素0.05%〜0.1%、アスコルビン酸0.05%〜0.2%、チオグリセリン0.1%〜0.5%、グルタチオン0.01〜0.2%、アラニン0.01%〜0.5%、システイン0.01%〜0.5%、没食子酸及びそのプロポルエステルまたはオクチルエステル0.01〜0.1%、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール0.01〜0.1%、ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.01%〜0.5%、トコフェロールα、β、γ0.01%〜0.1%、ノルジヒドログアヤレチック酸0.01%〜0.5%またはアスコルビン酸パルミチルエステル0.01%〜0.5%が含まれ、キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸カルシウムナトリウム塩である。
【0038】
本発明による化合物は、代謝改善解毒薬の調製に用いることができる。
【0039】
本発明はまた、高速液体クロマトグラフィーにより光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの光学純度を測定する方法を提供し、具体的な工程は下記の通りである。
【0040】
1)クロマトグラフィーの条件:クロマトグラフィーカラムとして3,5−ジメチルフェニル−アミノ蟻酸グリコペプチドが固定相であるキラルカラムを採用し、流動相がn−へキサン−エタノール−氷酢酸(80〜95:5〜20:0.01〜1.0)であり、(90:10:0.1)が好ましく、検出波長が200nm〜230nmであり、210nmが好ましく、流動相流速が0.2〜3.0ml/minであり、1.0ml/minが好ましい。
【0041】
2)試料溶液の配置:有機溶剤でR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンまたはS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン0.1〜20mg/ml(好ましくは1mg/ml)を含む溶液となるように試料を調合し、前記有機溶剤はn−プロパノール、イソプロパノール、エタノール、n−ブタノール及びメタノールから選ばれるもので、エタノールが好ましい。
【0042】
3)測定:溶液を高速液体クロマトグラフィーに注ぎ、クロマトグラフィーチャートを記録して解析を行う。
【発明を実施するための形態】
【0043】
実施例1:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製
1)乾燥の100ml反応瓶にR−(+)−2−クロロプロピオン酸54.3g(0.5mol)、クロロスルホキシド60g(0.504mol)を加え、湿気から隔離された条件で4時間攪拌還流した。反応が終わった後、過量のクロロスルホキシドを蒸し出して再利用し、bp 95〜105℃の留分を収集して無色液体であるR−(+)−2−クロロプロピオニルクロリド55g、86.6%を得た。
【0044】
2)1000ml反応瓶にグリシン29.9g(0.40mol)、無水炭酸ナトリウム21.2g(0.20mol)及び水250mlを加え、攪拌して溶解させた。氷塩浴で冷却し、激しい攪拌下でR−(+)−2−クロロプロピオニルクロリド50.6g(0.40mol)を滴下するとともに、無水炭酸ナトリウムの飽和溶液を加え、反応液を弱アルカリ性とした。添加した後、3〜5時間攪拌反応し続けて反応が終わった。pH=1になるように濃塩酸で酸性化させ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過して、結晶が析出するまで濾液を減圧濃縮し、放置した。ろ過して乾燥し、白い小針状の結晶体R−(+)−2−クロロプロピオニルグリシン38.6gを得た。mp:120〜124℃、[α]n20=+23.8℃(水)。
【0045】
3)250mlビーカーに硫化ナトリウム(NaS・9HO)26.5g(0.11mol)、昇華硫黄3.52g(0.11mol)及び水120mlを加え、溶解されるまで加熱攪拌し、赤褐色の二硫化ナトリウム溶液を予備として得た。250ml反応瓶にR−(+)−2−クロロプロピオニルグリシン16.4g(0.10mol)、無水炭酸ナトリウム5.6gを加え、気泡が溢れないように徐々に水100mlを加えた。0〜10℃に冷却して前記二硫化ナトリウム溶液を滴下し、滴下し終わった後5〜15℃で10〜15時間反応した。反応が終わった後、0℃程度に降温し、pHが1に近くなるように濃硫酸を滴下した。ろ過し、濾液に攪拌下で亜鉛粉17gを何回かに分けて加え、常温で3時間反応して反応が終わった。ろ過し、濾液を酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過して減圧濃縮し、放置して固体が析出した。ろ過して固体を収集し、酢酸エチルで再結晶し、真空乾燥して白色結晶固体R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン8.4gを得た。mp:102〜104℃、[α]n20=−36.5℃(水)、含有量99.3%(ヨウ素滴定液0.1mol/Lで滴定)、相関物質<2%(薄層クロマトグラフィー:シリカゲルGシートプレート、クロロホルム−アセトン−氷酢酸(9:3:1)、ヨウ素蒸気で発色)。
【0046】
1HNMR (DMSO−D6) δ ppm : 1.35 (d, 3H); 2.79 (d, 1H); 3.54 (m, 1H); 3.77 (m, 2H); 8.25 (t, 1H); 12.5 (bs, 1H)、MS (m/z) 163、元素分析CNOS (%) : C 36.65, H 5.66, N 8.50, S 19.68。
【0047】
実施例2:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製
1)乾燥の100ml反応瓶にS−(−)−2−クロロプロピオン酸54.3g(0.5mol)、クロロスルホキシド60g(0.504mol)を加え、湿気から隔離された条件で4時間攪拌還流した。反応が終わった後、過量のクロロスルホキシドを蒸し出して再利用し、bp 95〜105℃の留分を収集して無色液体S−(−)−2−クロロプロピオニルクロリド56g、88.2%を得た。
【0048】
2)1000ml反応瓶にグリシン29.9g(0.40mol)、無水炭酸ナトリウム21.2g(0.20mol)及び水250mlを加え、攪拌して溶解させた。冰塩浴で冷却し、激しい攪拌下でS−(−)−2−クロロプロピオニルクロリド50.6g(0.40mol)を滴下するとともに、無水炭酸ナトリウムの飽和水溶液を加え、反応液を弱アルカリ性とした。添加した後、3〜5時間攪拌反応し続けて反応が終わった。pH=1になるように濃塩酸で酸化させ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、結晶が析出するまで濾液を減圧濃縮し、放置した。ろ過して乾燥し、白い小針状の結晶体S−(−)−2−クロロプロピオニルグリシン37.8gを得た。mp:120〜124℃、[α]n20=−24.2℃(水)。
【0049】
3)250mlビーカーに硫化ナトリウム(NaS・9H0)26.5g(0.11mol)、昇華硫黄3.52g(0.11mol)及び水120mlを加え、溶解まで加熱攪拌し、赤褐色の二硫化ナトリウム溶液を予備として得た。250ml反応瓶にS−(−)−2−クロロプロピオニルグリシン16.4g(0.10mol)、無水炭酸ナトリウム5.6gを加え、気泡が溢れないように徐々に水100mlを加えた。0〜10℃に冷却して前記二硫化ナトリウム溶液を滴下し、滴下し終わった後5〜15℃で10〜15時間反応した。反応が終わった後、0℃程度に降温し、pHが1に近くなるように濃硫酸を滴下した。ろ過し、濾液に攪拌下で亜鉛粉17gを何回かに分けて加え、常温で3時間反応して反応が終わった。ろ過し、濾液を酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過して減圧濃縮し、放置して固体が析出した。ろ過して固体を収集し、酢酸エチルで再結晶し、真空乾燥して白色結晶固体S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン8.2gを得た。mp:102〜104℃、[α]n20=+37.5℃(水)、含有量99.1%(ヨウ素滴定液0.1mol/Lで滴定)、相関物質<2%(薄層クロマトグラフィー:シリカゲルGシートプレート、クロロホルム−アセトン−氷酢酸(9:3:1)、ヨウ素蒸気で発色)。
【0050】
1HNMR (DMSO−D6) δ ppm : 1.40 (d, 3H); 2.80 (d, 1H); 3.60 (m, 1H); 3.81(m, 2H); 8.28 (t, 1H); 12.8 (bs, 1H)、MS (m/z) 163、元素分析CNOS (%) : C 36.68, H 5.65, N 8.53, S 19.65
実施例3:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製
1)乾燥の100ml反応瓶にS−(−)−2−クロロプロピオン酸54.3g(0.5mol)、クロロスルホキシド60g(0.504mol)を加え、湿気から隔離された条件で4時間攪拌還流した。反応が終わった後、過量のクロロスルホキシドを蒸し出して再利用し、bp 95〜105℃の留分を収集して無色液体S−(−)−2−クロロプロピオニルクロリド54.6gを得た。
【0051】
2)1000ml反応瓶にグリシン29.9g(0.40mol)、無水炭酸ナトリウム21.2g(0.20mol)及び水250mlを加え、攪拌して溶解させた。冰塩浴で冷却し、激しい攪拌下でS−(−)−2−クロロプロピオニルクロリド50.6g(0.40mol)を滴下するとともに、無水炭酸ナトリウムの飽和溶液を加えて反応液を弱アルカリ性とした。添加した後、3〜5時間攪拌反応し続けて反応が終わった。pH=1になるように濃塩酸で酸性化させ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、結晶が析出するまで濾液を減圧濃縮し、放置した。ろ過して乾燥し、白い小針状の結晶体S−(−)−2−クロロプロピオニルグリシン38gを得た。
【0052】
3)250mlビーカーに硫化ナトリウム(NaS・9HO)28.8g(0.12mol)、昇華硫黄3.84g(0.12mol)及びエタノール150mlを加え、溶解まで加熱攪拌し、赤褐色の二硫化ナトリウム溶液を予備として得た。250ml反応瓶にS−(−)−2−クロロプロピオニルグリシン18.3g(0.11mol)、無水炭酸ナトリウム6.3gを加え、気泡が溢れないように徐々に水100mlを加えた。0〜10℃に冷却して前記二硫化ナトリウム溶液を滴下し、滴下し終わった後0〜10℃で12時間反応した。反応が終わった後、pH=1になるように同温度で濃硫酸を滴下した。ろ過し、濾液に攪拌下で亜鉛粉17gを何回かに分けて加え、常温で3時間反応して反応が終わった。ろ過し、濾液を酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過して減圧濃縮し、放置して固体が析出した。ろ過して固体を収集し、酢酸エチルで再結晶し、真空乾燥して白色結晶固体S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン8.1gを得た。含有量99.3%(ヨウ素滴定液0.1mol/Lで滴定)、相関物質<2%(薄層クロマトグラフィー:シリカゲルGシートプレート、クロロホルム−アセトン−氷酢酸(9:3:1)、ヨウ素蒸気で発色)。
【0053】
実施例4:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの光学純度の測定
機器:高速液体クロマトグラフィー、SPD−10Avp紫外検出器、LC−10ADポンプ
流動相:n−へキサン−エタノール−氷酢酸(90:10:0.1)
流速:1.0ml/min
クロマトグラフィーカラム:CHIRALPAK AD−H(固定相として3,5−ジメチルフェニル−アミノ蟻酸グリコペプチドを採用する)
カラム温度:25℃
検出波長:210nm
試料濃度:0.5mg/ml
以上の条件で測定したところ、実施例1で得られたR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの光学純度は99.3%である。
【0054】
実施例5:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの光学純度の測定
機器:高速液体クロマトグラフィー、SPD−10AvP紫外検出器、LC−10ADポンプ
流動相:n−へキサン−エタノール−氷酢酸(90:10:0.1)
流速:1.0ml/min
クロマトグラフィーカラム:CHIRALPAKAD−H(固定相として3,5−ジメチルフェニル−アミノ蟻酸グリコペプチドを採用した)
カラム温度:25℃
検出波長:210nm
試料濃度:0.5mg/ml
以上の条件で測定したところ、実施例2で得られたS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの光学純度は99.2%である。
【0055】
実施例6:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンアルギニン塩の調製
反応瓶に実施例1で得られたR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン10g、L−アルギニン11.2g、95%メタノール60mlを仕込み、攪拌し、還流まで加熱し、3時間反応した。反応が終わった後、熱いうちにろ過し、室温に濾液を冷却してから冷蔵庫に置いて冷却して晶析させた。ろ過して収集し、乾燥して白色結晶固体19.2gを得た。収率:92.8%。
【0056】
実施例7:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンリシン塩の調製
反応瓶に実施例2で得られたS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン10g、L−リシン9.4g、95%メタノール60mlを仕込み、攪拌し、還流まで加熱し、3時間反応した。反応が終わった後、熱いうちにろ過し、室温に濾液を冷却してから冷蔵庫に置いて冷却して晶析させた。ろ過して収集し、乾燥して白色結晶固体16.8gを得た。収率:88.6%。
【0057】
実施例8:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンナトリウムの調製
1)反応瓶にR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン16.3g(0.10mol)、メタノール45mlを加え、15℃でジチオスレイトール0.15gを加え、15分間攪拌し、モレキュラーシーブ5gを加えた。
【0058】
2)NaOH 4.65gを6回に分けて徐々に前記メタノール溶液に加えた。
【0059】
3)添加した後、15℃で1時間攪拌反応した。そして、20〜25℃で1時間攪拌反応した。反応が終わった後、ろ過して、モレキュラーシーブを濾去し、濾液を130mLアセトンに加え、均一に混合させるように十分にふるった。
【0060】
4)反応液に大量の白色沈殿が現れた場合、吸引ろ過し、ケーキを80℃で乾燥して無水R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンナトリウム12.8gを得た。
【0061】
実施例9:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンナトリウムの調製
1)反応瓶にS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン16.3g(0.10mol)、メタノール45mlを加え、15℃でジチオスレイトール0.15gを加え、15分間攪拌し、モレキュラーシーブ5gを加えた。
【0062】
2)NaOH 4.65gを6回に分けて徐々に前記メタノール溶液に加えた。
【0063】
3)添加した後、15℃で1時間攪拌反応した。そして、20〜25℃で1時間攪拌反応した。反応が終わった後、ろ過し、モレキュラーシーブを濾去し、濾液をアセトン130mLに加え、均一に混合させるように十分にふるった。
【0064】
4)反応液に大量の白色沈殿が現れた場合、吸引ろ過し、ケーキを80℃で乾燥して無水S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンナトリウム13.1gを得た。
【0065】
実施例10:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン錠剤の調製
処方組成:
R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
微結晶セルロース 170g
予ゲル化澱粉 60g
8%澱粉スラリー 適量
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 7g
ステアリン酸マグネシウム 3g
調製プロセス:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン錠を1000錠調製することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。処方量のR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、微結晶セルロース、予ゲル化澱粉を秤取し、均一に混合した後、8%の澱粉スラリーで軟材を製造し、20メッシュのふるいで製粒して乾燥し、乾燥された顆粒を18メッシュのふるいで整粒した。処方量のカルボキシメチル澱粉ナトリウムとステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合し、打錠して得た。錠ごとの重量は約345mgである。
【0066】
実施例11:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンフィルムコーティング錠の調製
実施例10で得られた素錠を取り、8%胃溶型オパドリー(OY−C−7000A)エタノール溶液を調合し、高効率コーティングパンに置いてコーティングし、コーティング粉の用量が素錠重量の2.0〜3.0%である。
【0067】
実施例12:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン腸溶錠の調製
実施例10で得られた素錠を取り、8%腸溶型オパドリーエタノール溶液を調合し、高効率コーティングパンに置いてコーティングし、コーティング粉の用量が素錠重量の4.0〜5.0%である。
【0068】
実施例13:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン徐放錠の調製
処方組成:
R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 150g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(K15M) 150g
ラクトース 50g
3%ポビドン80%エタノール溶液 適量
ステアリン酸マグネシウム 5g
調製プロセス:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン徐放錠を1000錠調製することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。処方量のR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトースを取り、均一に混合した後、3%ポビドン80%エタノール溶液で軟材を製造し、20メッシュのふるいで製粒して乾燥し、乾燥された顆粒を18メッシュのふるいで整粒した。処方量のステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合し、打錠して得た。錠ごとの重量は約360mgである。
【0069】
実施例14:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン分散錠の調製
処方組成:
R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
クロスポビドン 15g
微結晶セルロース 180g
マンニトール 50g
60%エタノール溶液 適量
ドデシル硫酸ナトリウム 0.2g
微粉シリカゲル 5g
ステアリン酸マグネシウム 3g
ステビア 5g
調製プロセス:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン分散錠を1000錠製造することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。処方量のR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、微結晶セルロース、マンニトールを秤取して均一に混合し、60%エタノール溶液で軟材を製造し、製粒して乾燥し、その後整粒した。処方量のクロスポビドン、ドデシル硫酸ナトリウム、微粉シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステビアを加えて均一に混合し、打錠して得た。錠ごとの重量は約360mgである。
【0070】
実施例15:R−(−)−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンカプセルの調製
処方組成:
R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 150g
澱粉 45g
5%ポビドン60%エタノール溶液 適量
ステアリン酸マグネシウム 2g
調製プロセス:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンカプセルを1000粒製造することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。処方量のR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、澱粉を秤取して均一に混合し、5%ポビドン60%エタノール溶液で軟材を製造し、製粒して加熱乾燥した後、整粒した。処方量のステアリン酸マグネシウムを加えて均一に混合し、カプセルに充填して得た。
【0071】
実施例16:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン顆粒剤の調製
処方組成:
R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
マンニトール 350g
ショ糖 350g
カルメロースナトリウム 50g
アスパルテーム 10g
マルトースデキストリン 140g
5%ポビドン80%エタノール溶液 適量
エッセンス 1g
調製プロセス:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン顆粒を1000包調製することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。エッセンスを5%ポビドン80%エタノール溶液に加え、処方量のR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、ショ糖、マンニトール、カルメロースナトリウム、アスパルテーム、マルトースデキストリンを秤取し、5%ポビドン80%エタノール溶液で軟材を製造し、16メッシュのふるいで製粒して乾燥し、14メッシュのふるいで整粒した。60メッシュのふるいで細粉を除去し、分包して得た。包ごとは約1gである。
【0072】
実施例17:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン注射液の調製
処方組成:
R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
注射用水 2000mlに加える
調製プロセス:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン注射液を1000管製造することを例とする。処方量のR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを注射用水1600mlに加え、攪拌して完全に溶解させた。全量2000mlになるように注射用水を追加し、均一に攪拌した。0.1%の針用の活性炭を加えて均一に攪拌し、薬液をチタン棒で脱炭した後、明澄度が要求に合致するように順に0.45μmと0.22μmのミクロポアフィルターを通過させて精密ろ過した。中間体を点検し、合格した場合、管ごとの注封量が約2mlとなるように薬液を窒素ガス流の下で2mlアンプル瓶に注封し、滅菌して得た。
【0073】
実施例18:R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン注射剤の調製
処方組成:
R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
デキストラン40 50g
亜硫酸水素ナトリウム 1g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.2g
調製プロセス:注射用R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを1000瓶製造することを例とする。処方量のR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、デキストラン40、亜硫酸水素ナトリウムとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを注射用水1600mlに加え、攪拌して完全に溶解させた。pH1.5〜2.5になるように1mol/Lの塩酸で溶液を調整し、また全量2000mlになるように注射用水を追加し、均一に攪拌した。0.1%の針用の活性炭を加え、均一に攪拌し、薬液をチタン棒で脱炭した後、無菌条件で薬液を順に0.45μmと0.22μmのミクロポアフィルターを通過して滅菌ろ過を行った。中間体のpH、含有量と明澄度を検出し、合格した場合、瓶ごとの注封量が約2mlとなるように薬液をシリン瓶に注封し、タンポンで半分塞いで凍結乾燥し、タンポンで塞いで蓋を付け、ランプ検査して得た。
【0074】
実施例19:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン錠剤の調製
処方組成:
S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
微結晶セルロース 170g
予ゲル化澱粉 60g
8%澱粉スラリー 適量
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 7g
ステアリン酸マグネシウム 3g
調製プロセス:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン錠を1000錠調製することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。処方量のS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、微結晶セルロース、予ゲル化澱粉を秤取して均一に混合した後、8%の澱粉スラリーで軟材を製造し、20メッシュのふるいで製粒して乾燥し、乾燥された顆粒を18メッシュのふるいで整粒した。処方量のカルボキシメチル澱粉ナトリウムとステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合し、打錠して得た。錠ごとの重量は約345mgである。
【0075】
実施例20:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンフィルムコーティング錠の調製
実施例19で得られた素錠を取り、8%胃溶型オパドリー(OY−C−7000A)エタノール溶液を調合し、高効率コーティングパンに置いてコーティングし、コーティング粉の用量が素錠重量の2.0〜3.0%である。
【0076】
実施例21:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン腸溶錠の調製
実施例19で得られた素錠を取り、8%腸溶型オパドリーエタノール溶液を調合し、高効率コーティングパンに置いてコーティングし、コーティング粉の用量が素錠重量の4.0〜5.0%である。
【0077】
実施例22:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン徐放錠の調製
処方組成:
S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 150g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(K15M) 150g
ラクトース 50g
3%ポビドン80%エタノール溶液 適量
ステアリン酸マグネシウム 5g
調製プロセス:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン徐放錠を1000錠調製することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。処方量のS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトースを取って均一に混合した後、3%ポビドン80%エタノール溶液で軟材を製造し、20メッシュのふるいで製粒して乾燥し、乾燥された顆粒を18メッシュのふるいで整粒した。処方量のステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合して、打錠して得た。錠ごとの重量は約360mgである。
【0078】
実施例23:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン分散錠の調製
処方組成:
S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
クロスポビドン 15g
微結晶セルロース 180g
マンニトール 50g
60%エタノール溶液 適量
ドデシル硫酸ナトリウム 0.2g
微粉シリカゲル 5g
ステアリン酸マグネシウム 3g
ステビア 5g
調製プロセス:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン分散錠を1000錠製造することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。処方量のS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、微結晶セルロース、マンニトールを秤取して均一に混合し、60%エタノール溶液で軟材を製造し、製粒して乾燥し、その後整粒した。処方量のクロスポビドン、ドデシル硫酸ナトリウム、微粉シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステビアを加えて均一に混合し、打錠して得た。錠ごとの重量は約360mgである。
【0079】
実施例24:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンカプセルの調製
処方組成:
S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 150g
澱粉 45g
5%ポビドン60%エタノール溶液 適量
ステアリン酸マグネシウム 2g
調製プロセス:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンカプセルを1000粒製造することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。処方量のS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、澱粉を秤取して均一に混合し、5%ポビドン60%エタノール溶液で軟材を製造し、製粒して加熱乾燥した後整粒した。処方量のステアリン酸マグネシウムを加えて均一に混合し、カプセルに充填して得た。
【0080】
実施例25:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン顆粒剤の調製
処方組成:
S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
マンニトール 350g
ショ糖 350g
カルメロースナトリウム 50g
アスパルテーム 10g
マルトースデキストリン 140g
5%ポビドン80%エタノール溶液 適量
エッセンス 1g
調製プロセス:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン顆粒を1000包調製することを例とする。元の助剤をそれぞれ粉砕して100メッシュのふるいを通過し、用意しておいた。エッセンスを5%ポビドン80%エタノール溶液に加え、処方量のS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、マンニトール、ショ糖、カルメロースナトリウム、アスパルテーム、マルトースデキストリンを秤取し、5%ポビドン80%エタノール溶液で軟材を製造し、16メッシュのふるいで製粒して乾燥し、14メッシュのふるいで整粒した。60メッシュのふるいで細粉を除去し、分包して得た。包ごとは約1gである。
【0081】
実施例26:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン注射液の調製
処方組成:
S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
ピロ亜硫酸ナトリウム 1g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.2g
注射用水 2000mlに加える
調製プロセス:S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン注射液を1000管製造することを例とする。処方量のS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、ピロ亜硫酸ナトリウムとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを注射用水1600mlに加え、攪拌して完全に溶解させた。全量2000mlになるように注射用水を追加し、均一に攪拌した。0.1%の針用の活性炭を加え、均一に攪拌し、薬液をチタン棒で脱炭した後、明澄度が要求に合致するように順に0.45μmと0.22μmのミクロポアフィルターで精密ろ過した。中間体を検出し、合格した場合、薬液を窒素ガス流の下で2mlアンブル瓶に注封し、管ごとの注封量は約2mlであり、滅菌して得た。
【0082】
実施例27:注射用S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製
処方組成:
S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン 100g
デキストラン40 50g
調製プロセス:注射用S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを1000瓶製造することを例とする。処方量のS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、デキストラン40を注射用水1600mlに加え、攪拌して完全に溶解させた。pHが1.5〜2.5になるように1mol/L塩酸または1mol/L水酸化ナトリウム溶液で溶液を調整し、全量2000mlになるように注射用水を追加し、均一に攪拌した。0.1%の針用の活性炭を加え、均一に攪拌し、薬液をチタン棒で脱炭した後、無菌条件下で薬液を順に0.45μmと0.22μmのミクロポアフィルターを通過して滅菌ろ過した。中間体のpH、含有量と明澄度を検出し、合格した場合、瓶ごとの注封量が約2mlとなるように薬液をシリン瓶に注封し、タンポンで半分塞いで凍結乾燥し、タンポンで塞いで蓋を付け、ランプ検査して得た。
【0083】
実施例28:光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの静脈注射のパラセタモールによるマウスの肝損傷の血清生化学的指標及び肝臓指標への影響。
【0084】
動物を体重によってランダムに10匹ずつ、溶剤対照群、モデル群(パラセタモール400mg/kg、10ml/kg、腹腔注射)、チオプロニン群(MPG)、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群という5群に分ける。12時間禁食させた後、溶剤対照群とモデル群に生理塩水を静脈注射する外に、その他の各試験群にそれぞれ医薬を静脈注射した直後、400/mg/kgパラセタモールを腹腔注射し、肝細胞の急性損傷を引き起こした。モデル作成してから6時間をした後給食し、そして16時間禁食させた。モデル作成してから24時間をした後眼球を摘出して採血し、心から離れて血清を取った。キット法に従ってALT、ASTを測定した。10%肝臓ホモジネートを調製し、肝GSHを測定した。同時に、肝臓と脾臓を取ってその重量を量り、臓器係数を算出した。その結果を表1、2に示す。
【0085】
【表1】


表1から分るように、溶剤対照群と比較すると、モデル群はマウスの肝臓係数が明らかに増加し、医薬投与群はいずれも血清ALTの向上を明らかに抑制することができ、なかでも、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群の作用がS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群より強い。チオプロニン群はALT値がR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群より低いが、試験過程において、モデル作成後、チオプロニン群はマウスが4匹死亡し、モデル群は2匹死亡し、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群は死亡したマウスがないため、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群はパラセタモールによるマウス肝損傷に対する保護がチオプロニン群より良い。
【0086】
【表2】


表2から分るように、モデル群と比較すると、各医薬投与群はいずれも肝臓総蛋白の含有量が明らかに増加し、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群は明らかに肝臓GSH含有量が増加するとともにMDA含有量が低減したが、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群とチオプロニン群はその作用がない。その結果、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンが強い肝損傷への保護作用を有することは明らかになる。
【0087】
実施例29:N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン及びその光学鏡像体の四塩化炭素によるラットの肝損傷に対する保護作用。
【0088】
動物を体重によってランダムに10匹ずつ、溶剤対照群、モデル群(50%CCl、2ml/kg、腹腔注射)、チオプロニン群(MPG)、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群という5群に分けた。溶剤対照群にオリブ油を腹腔注射する外に、その他の各試験群にそれぞれまず1日に1回ずつ医薬を4日胃内強制(ig)投与し、5日目にCClを1回腹腔注射し、肝細胞の急性損傷を引き起こした。モデル作成の30分間前に、医薬で治療(模型対照群を除く)し、モデル作成してから2時間をした後、医薬を1回投与した。そして16時間禁食させ、CClを注射してから24時間をした後、眼球後静脈叢から採血し、心から離れて血清を取り、キット法に従ってALT、AST、アルブミンを測定した。その結果を表3、4に示す。肝臓左葉を取り、10%肝臓ホモジネートを調製し、GSHとMDA含有量を測定した。その結果を表5に示す。
【0089】
【表3】


表3から分るように、3種類の医薬はいずれもALT、ASTレベルを明らかに低減させることができ、なかでも、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群とR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群はいずれもチオプロニン群より強い。
【0090】
【表4】


表4から分るように、モデル群と比較すると、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群は血清総蛋白、アルブミンとグロブリンの含有量を明らかに増加し、A/G比率を低減することができ、S−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン群もA/G比率を低減することができるが、チオプロニン群は前記指標に顕著な影響がなく、モデル群の結果と一致した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レボN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン、または、デキストロN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンであって、
前記レボN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンは、R−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン
【化9】


のR−配置、またはその薬学的に許容される塩またはエステルであり、
前記デキストロN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンはS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン
【化10】


のS−配置、またはその薬学的に許容される塩またはエステルである
ことを特徴とする光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン。
【請求項2】
前記塩はアミノ酸塩または金属塩であり、
前記アミノ酸塩の構造式が、
【化11】


または
【化12】


であり、ただし、Rがアルギニン、リシン、グリシン、アスパラギン、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、オルニチン、シスチン、システイン、チロシン、バリン、セリン、ヒスチジン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン、2−アミノ−4−メチルチオ酪酸、プロリン、グルタミンやヒドロキシプロリンというアミノ酸であり、
前記金属塩の構造式が、
【化13】


または
【化14】


であり、ただし、Rがカリウムまたはナトリウムである
ことを特徴とする請求項1に記載の光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン。
【請求項3】
前記エステルの構造式は、
【化15】


または
【化16】


であり、ただし、RがC−C直鎖アルキルである
ことを特徴とする請求項1に記載の光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシン。
【請求項4】
R−(+)−2−クロロプロピオン酸をクロロスルホキシドと反応させてR−(+)−2−クロロプロピオニルクロリドを取得し、前記R−(+)−2−クロロプロピオニルクロリドをグリシンと弱アルカリ条件下で反応させてR−(+)−2−クロロプロピオニルグリシンを取得し、前記R−(+)−2−クロロプロピオニルグリシンを二硫化ナトリウムと反応させ、酸性化させてR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを得る工程、
または、
S−(−)−2−クロロプロピオン酸をクロロスルホキシドと反応させてS−(−)−2−クロロプロピオニルクロリドを取得し、前記S−(−)−2−クロロプロピオニルクロリドをグリシンと弱アルカリ条件下で反応させてS−(−)−2−クロロプロピオニルグリシンを取得し、前記S−(−)−2−クロロプロピオニルグリシンを二硫化ナトリウムと反応させ、酸化させてS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを得る工程を含み、
前記二硫化ナトリウムは、硫化ナトリウムと昇華硫黄が反応して得られたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの調製方法。
【請求項5】
急性・慢性肝炎、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎や薬物性肝炎、重金属中毒肝炎、脂肪肝、急性・慢性肝損傷、肝硬変を含む急性・慢性肝疾患、放射線や化学療法による外周白血球減少症、加齢性早期白内障または硝子体混濁を治療する、経口投与製剤または注射投与製剤となる医薬の調製に用いられる、
請求項1に記載の光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンまたはその薬学的に許容される塩やエステルの医薬用途。
【請求項6】
前記医薬は、活性成分としてR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンやS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンまたはこれらの薬学的に許容される塩やエステルを含むとともに、薬学的に許容される助剤を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の医薬用途。
【請求項7】
前記製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、チュアブル錠や発泡錠を含む一般経口製剤、分散錠や口腔内崩壊錠を含む即効経口製剤、または徐放錠剤や徐放ペレットを含む徐放製剤からなる経口製剤である
ことを特徴とする請求項5に記載の医薬用途。
【請求項8】
前記製剤は、注射液、注射用濃溶液や注射用無菌粉末を含む注射投与製剤である
ことを特徴とする請求項5に記載の医薬用途。
【請求項9】
前記経口製剤の助剤は充填剤、結合剤または崩壊剤であり、充填剤と崩壊剤の重量含有量がそれぞれ10〜60%、2−30%であり、さらに流動助剤、潤滑剤及び/または界面活性剤を含んでもよく、三者の重量含有量がそれぞれ0.1〜5%、0.1〜5%、0.005〜1%である
ことを特徴とする請求項6または7に記載の用途。
【請求項10】
前記注射投与製剤の助剤は、pH調整剤、等張化剤、酸化防止剤、キレート剤または/及び賦形剤を含む、注射剤の要求に合致する付加剤である、
ことを特徴とする請求項6または8に記載の用途。
【請求項11】
光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの光学純度を測定する液体クロマトグラフィーにおいて、
(1)クロマトグラフィー条件:クロマトグラフィーカラムとして3,5−ジメチルフェニル−アミノ蟻酸グリコペプチドが固定相であるキラルカラムを採用し、流動相がn−へキサン−エタノール−氷酢酸(80〜95:5〜20:0.01〜1.0)であり、(90:10:0.1)が好ましく、検出波長が200nm〜230nmであり、210nmが好ましく、流動相流速が0.2〜3.0ml/minであり、1.0ml/minが好ましく、
(2)試料溶液の配置:試料であるR−(−)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンまたはS−(+)−N−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンを有機溶剤で濃度0.1〜20mg/ml(好ましくは1mg/ml)の溶液に調合し、前記有機溶剤がn−プロパノール、イソプロパノール、エタノール、n−ブタノール及びメタノールから選ばれるもので、エタノールが好ましく、
(3)測定:溶液を高速液体クロマトグラフィーに注ぎ、クロマトグラフィーチャートを記録して解析を行う
ことを特徴とする液体クロマトグラフィー。
【請求項12】
高速液体クロマトグラフ質量分析法により投薬動物血漿における医薬濃度を測定することを含む、光学活性のN−(α−メルカプトプロピオニル)グリシンの薬物動態学的特性の測定に用いられる方法において、
血漿サンプルの処理方法は、血漿を酸性化させて抽出し、誘導化反応を行うことで、サンプル溶液が調合されることを含み、具体的には、
(1)血漿の酸性化:ここで、酸性化に用いられる酸は塩酸、リン酸、過塩素酸、酢酸などであってもよいが、塩酸が好ましく、lmol/Lの塩酸がより好ましく、酸の量:血漿サンプルの量が(150μl〜250μl):(2ml〜4ml)であり、200μl:3mlが好ましく、
(2)酸性化された血漿の抽出:ここで、抽出に用いられる有機溶剤は酢酸エチル、クロロホルム、トリクロロメタン、エチルエーテル、n−へキサンなどであってもよいが、酢酸エチルが好ましく、
(3)抽出物に対する誘導化反応:ここで用いられる誘導化試薬はフェニルイソチオシアナート、2,3,4,6−テトラ−0−アセチル−β−D−ピラングルコースイソチオシアナート(GITC)溶液などであってもよいが、GITC溶液が好ましく、2mg/mlのGITC溶液がより好ましく、2mg/mlのGITCのテトラヒドロフラン溶液が最も好ましく、誘導化温度は15〜45℃であり、25〜35℃が好ましく、30℃がより好ましく、誘導化時間は10〜30minであり、15〜25minが好ましく、20minがより好ましく、
クロマトグラフィーの条件:
流動相A:メタノール;流動相B:水溶液、0.05〜0.20mmol/L塩化ナトリウムと5.0〜6.0mmol/L蟻酸を含み、好ましくは0.10 mmol/L塩化ナトリウムと5.3mmol/L蟻酸を含み、ここで、A:Bは(40〜50:50〜60であり、44:56が好ましく)、
質量分析条件:
イオン化方式:エレクトロスプレーイオン化;選択イオンモニタリング、湾曲型脱溶媒装置(CDL);温度:200℃〜300℃、好ましくは250℃;加熱ブロック温度:150℃〜250℃、好ましくは200℃;CDL電圧:20V〜30V、好ましくは25V;検出電圧:+1.2kV〜+1.8kV、好ましくは+1.50kV;噴霧ガス流速:1.2L/min〜1.8L/min、好ましくは1.5L/min;乾燥ガス流速:1.5L/min〜2.5L/min、好ましくは2.0L/min;検出イオン:供試医薬誘導体[M+Na]+(m/z):575.20、内標準N−イソブタノイル−D−システイン(NIDC)誘導体[M+Na]+(m/z):603.05;内標準ピークとメインピークとの分離度は中華人民共和国薬典の要求に合致すればよい
ことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2010−532767(P2010−532767A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515337(P2010−515337)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003859
【国際公開番号】WO2009/006773
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(509349484)南京▲聖▼和▲薬▼▲業▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】