説明

光学活性テトラヒドロピラン化合物の製造方法

【課題】光学活性体な5−ニトロ−4−置換−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールの製造方法の提供。
【解決手段】α、β−不飽和アルデヒド化合物とニトロエタノールを、光学活性2級アミンの存在下に反応させる。好ましくは、アミンと酸とを共存させた触媒を用いてもよい。反応後、塩基を添加して反応することによって、トランス体に富んだ立体異性体を得ることができる。光学活性2級アミンとしては、(2Sまたは2R)−2−ジフェニル−(トリメチルシリルオキシ)メチル−ピロリジンが好ましくは用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性テトラヒドロピラン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5−ニトロ−4−置換−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールは、それ自身が生理活性物質として用いられ得るのみならず、複数の官能基を有するために、種々の化学変換によって医薬、農薬などの生理活性物質へ変換可能であり、有用な化学中間体となる。
5−ニトロ−4−置換−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、例えば、5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールの製造方法としては、桂皮アルデヒドとニトロエタノールとをトリエチルアミンの存在下に反応させる方法が知られている。(非特許文献1)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Organic Magnetic Resonance 第22巻 第11号 710-716頁(1984年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
5−ニトロ−4−置換−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールは、生理活性物質等への適用にあたり、光学活性体であることが望まれていた。
しかしながら、非特許文献1に記載される方法では、得られる5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールはラセミ体であり、5−ニトロ−4−置換−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールの光学活性体を製造する方法は知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況のもと、本発明者らは、光学活性5−ニトロ−4−置換テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールの高い選択性を備えた効率的な製造方法について鋭意検討したところ、式(1)で示されるα、β−不飽和アルデヒド化合物とニトロエタノールとを、光学活性2級アミンの存在下に反応させることにより、光学活性4−置換―2−ヒドロキシ−5−ニトロ−3,6−ジヒドロピランが光学純度よく得られることを見出し、本発明に至った。
【0006】
式(1)
【0007】
【化1】

(式中、Rは、置換基を有していてもよい鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい環式炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有鎖式炭化水素基、または置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)
で示される化合物と、式(2)
【0008】
【化2】

で示される化合物とを、光学活性2級アミンの存在下に反応させる、式(3)
【0009】
【化3】

(式中、Rは上記と同義を表し、*は不斉中心を表す。)で示される光学活性化合物の製造方法に関するものである。
【0010】
前記鎖式炭化水素基、前記環式炭化水素基、前記ヘテロ原子含有鎖式炭化水素基、または前記ヘテロ環基は、
(i)炭素数6〜14の芳香族基;
(ii)炭素数3〜13のヘテロ芳香族基;
(iii)炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状の、アルキル基(ここで、該アルキル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
(iv)炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状の、アルケニル基(ここで、該アルケニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);または
(v)炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状の、アルキニル基(ここで、該アルキニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。)
を表す。
【0011】
前記(i)における芳香族基または前記(ii)におけるヘテロ芳香族基に含まれる水素原子の1〜3個は、それぞれ独立して、
炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状の、アルキル基(ここで、該アルキル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状の、アルケニル基(ここで、該アルケニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状の、アルキニル基(ここで、該アルキニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。)
炭素数6〜14の芳香族基;
炭素数3〜13のヘテロ芳香族基;
ハロゲン原子;
トリフルオロメチル基;
ニトロ基;
シアノ基;
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニル基(ここで、該アルコキシカルボニル基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルキルカルボニルアミノ基(ここで、該アルキルカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);および、
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニルアミノ基(ここで、該アルコキシカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。)
からなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、
前記(iii)におけるアルキル基、前記(iv)におけるアルケニル基または前記(v)におけるアルキニル基に含まれる水素原子の1〜3個は、それぞれ独立して、
炭素数6〜14の芳香族基;
炭素数3〜13のヘテロ芳香族基;
ハロゲン原子;
トリフルオロメチル基;
ニトロ基;
シアノ基;
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニル基(ここで、該アルコキシカルボニル基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルキルカルボニルアミノ基(ここで、該アルキルカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);および、
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニルアミノ基(ここで、該アルコキシカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。)
からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。
【0012】
前記反応は、溶媒の存在下に反応させることが好ましく、溶媒としては、炭素数1〜4のアルコール、特にメタノールが好ましい。
【0013】
前記反応は、酸の存在下に反応させることが好ましく、酸としては特に安息香酸が好ましい。
【0014】
本発明はまた、式(1)
【0015】
【化4】


(式中、Rは前述と同義を表す。)で示される化合物と、式(2)
【0016】
【化5】

で示される化合物とを、光学活性2級アミンの存在下に反応させて得られる式(3)
【0017】
【化6】

(式中、Rは上記と同義を表し、*は不斉中心を表す。)で示される化合物に、塩基を作用させる、式(4)
【0018】
【化7】

(式中、Rは前述と同義を表す。)
または式(5)
【0019】
【化8】

(式中、Rは前述と同義を表す。)で示される光学活性化合物の製造方法に関するものである。
【0020】
前記塩基は、アルカリ金属の炭酸水素塩が好ましく、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0021】
本発明で用いる前記光学活性2級アミンは、2位に不斉中心を有する2−置換ピロリジン誘導体であることが好ましく、式(6)
【0022】
【化9】

(式中、Rは、それぞれ独立して、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基を表し、該芳香族基または該ヘテロ芳香族基に含まれる水素原子の1〜3個は、それぞれ独立して、
炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状の、アルキル基(ここで、該アルキル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状の、アルケニル基(ここで、該アルケニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状の、アルキニル基(ここで、該アルキニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数6〜14の芳香族基;
炭素数3〜13のヘテロ芳香族基;
ハロゲン原子;
トリフルオロメチル基;
ニトロ基;
シアノ基;
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニル基(ここで、該アルコキシカルボニル基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルキルカルボニルアミノ基(ここで、該アルキルカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);および、
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニルアミノ基(ここで、該アルコキシカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。)
からなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、
Xは、水素原子、炭素数1〜12の鎖状のもしくは炭素数3〜12の環状のアルキル基、または式(7)
【0023】
【化10】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜10の鎖状のもしくは炭素数3〜10の環状のアルキル基、またはフェニル基を表す。)で示されるシリル基を表す。)で示される光学活性2−置換ピロリジン誘導体がより好ましい。
【0024】
前記光学活性2−置換ピロリジン誘導体としては、Xが式(7)で示されるシリル基であって、RおよびRがともにメチル基であるもの、またはRがフェニル基(ここで、該フェニル基に含まれる1〜3の水素原子は、炭素数1〜12の鎖状のもしくは炭素数3〜12の環状のアルキル基で置換されていてもよい。)であるものが好ましく、特に好ましくは、Rがフェニル基であり、Xが式(7)で示されるシリル基であって、RおよびRがともにメチル基であるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光学純度の高い5−ニトロ−4−置換−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。
上記式(1)における、Rで示される鎖式または環式炭化水素基としては、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基が挙げられる。Rで示されるヘテロ原子含有鎖式炭化水素基としては、メチレン鎖もしくはメチン鎖の一部がヘテロ原子で置換された形の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基が挙げられる。ヘテロ環基としては、メチレン鎖もしくはメチン鎖の一部がヘテロ原子で置換された形の脂環式炭化水素基またはヘテロ芳香族基が挙げられる。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄が挙げられる。以下、Rの好ましい態様を説明する。
【0027】
の好ましい態様としての、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、シクロヘキシル基、ジヒドロナフチル基、テトラヒドロナフチル基、ペルヒドロナフチル基、ジヒドロアントラセニル基、ペルヒドロアントラセニル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾピラゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリジニル基、キノリニル基、イソキノリリル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、アジリジニル基、フェナンスリジニル基、カルバゾリル基およびプリニル基等が挙げられる。好ましくは、フェニル基、ナフチル基、チエニル基およびフリル基である。
【0028】
の好ましい態様としての、メチレンの1〜3組が酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状のアルキル基、炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状のアルケニル基または炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状のアルキニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基、2―テトラヒドロフラニル基、3―テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロフラニルメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、3−テトラヒドロピラニル基、4−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロピラニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシメチル基、2−テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロチエニルメチル基、ジヒドロフラニル基、ジヒドロピラニル基、アリル基、2−ブテン−1−イル基、3−ブテン−1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、5−ヘキセン−1―イル基、シクロヘキセン−1−イル基、シクロヘキセン−3−イル基、プロパルギル基および3−ブチン−1−イル基等が挙げられる。炭素数3〜7の分枝鎖状あるいは環状のアルキル基が好ましく、イソプロピル基、シクロプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基およびシクロヘキシルメチル基がより好ましい。
【0029】
の好ましい態様としての、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基に含まれる水素原子と置換していてもよい、メチレンの1〜3組が酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状のアルキル基、炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状のアルケニル基または炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状のアルキニル基としては、例えば上述と同様の基が挙げられる。
【0030】
の好ましい態様としての、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基に含まれる水素原子と置換していてもよい、炭素数6〜14の芳香族基もしくは炭素数3〜13のヘテロ芳香族基としては、上述と同様の基が挙げられる。
【0031】
の好ましい態様としての、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基に含まれる水素原子と置換していてもよい、水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0032】
の好ましい態様としての、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基に含まれる水素原子と置換していてもよい、水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状もしくは炭素数4〜13の環状のアルキルカルボニルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、イソプロパノイルアミノ基、ブタノイルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基が挙げられる。
【0033】
の好ましい態様としての、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基に含まれる水素原子と置換していてもよい、水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状もしくは炭素数4〜13の環状のアルコキシカルボニルアミノ基としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、プロピルオキシカルボニルアミノ基、イソピルオキシカルボニルアミノ基、n−ブチルオキシカルボニルアミノ基、t−ブチルオキシカルボニルアミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0034】
の好ましい態様としての、メチレンの1〜3組が、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状のアルキル基、炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状のアルケニル基または炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状のアルキニル基に含まれる水素原子と置換していてもよい、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基としては、例えば、上述と同様の基が挙げられる。
【0035】
の好ましい態様としての、メチレンの1〜3組が、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の鎖状のもしくは炭素数3〜12の環状のアルキル基、炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状のアルケニル基または炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状のアルキニル基に含まれる水素原子と置換していてもよい、水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状のアルコキシカルボニル基、水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状のアルキルカルボニルアミノ基、および水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状のアルコキシカルボニルアミノ基としても、それぞれ上述と同様の基等が挙げられる。
【0036】
式(1)で示されるα、β−不飽和アルデヒドの具体的化合物名を例示すれば、以下のとおりである:桂皮アルデヒド、(E)−3−(2−フルオロフェニル)プロぺナール、(E)−3−(4−フルオロフェニル)プロぺナール、(E)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)プロぺナール、(E)−3−(2,4,5−トリフルオロフェニル)プロぺナール、(E)−3−(4−クロロフェニル)プロぺナール、(E)−3−(2,4−ジクロロフェニル)プロぺナール、(E)−3−(4−ブロモフェニル)プロペナール、(E)−3−(4−メチルフェニル)プロペナール、(E)−3−(4−シアノフェニル)プロペナール、(E)−3−(4−ニトロフェニル)プロペナール、(E)−3−(2−メトキシフェニル)プロペナール、(E)−3−(4−メトキシフェニル)プロペナール、(E)−3−(ナフタレン−2−イル)−プロペナール、(E)−3−(フラン−2−イル)−プロペナール、(E)−3−(チオフェン−2−イル)−プロペナール、(E)−5−フェニル−2−ペンテナール、(E)−3−シクロヘキシル−プロぺナール、(E)−5−メチル−2−ヘキセナール等が挙げられる。
【0037】
式(3)で示される生成物である光学活性テトラヒドロピラン類の具体的化合物名を例示すれば、以下のとおりである:5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(2−フルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(4−フルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(2,4−ジフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(2,4−ジクロロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(4−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(4−シアノフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(4−ニトロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(2−メトキシフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(ナフタレン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(フラン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(チオフェン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(2−フェニルエチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−シクロヘキシル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、5−ニトロ−4−(2−メチルプロピル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール等が挙げられる。
【0038】
式(4)または(5)で示される生成物である光学活性テトラヒドロピラン類の具体的化合物名を例示すれば、以下のとおりである:(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2−フルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2−フルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−フルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−フルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2,4−ジフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2,4−ジフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2,4−ジクロロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2,4−ジクロロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、
(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−シアノフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−シアノフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−ニトロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−ニトロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、
(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2−メトキシフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(2−メトキシフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(ナフタレン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(ナフタレン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4R,5S)−5−ニトロ−4−(フラン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4R,5S)−5−ニトロ−4−(フラン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4R,5S)−5−ニトロ−4−(チオフェン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4R,5S)−5−ニトロ−4−(チオフェン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4R,5S)−5−ニトロ−4−(2−フェニルエチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4R,5S)−5−ニトロ−4−(2−フェニルエチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−シクロヘキシル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−シクロヘキシル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール、(2S,4R,5S)−5−ニトロ−4−(2−メチルプロピル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール(2R,4R,5S)−5−ニトロ−4−(2−メチルプロピル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール等および、それらの鏡像異性体等が挙げられる。
【0039】
光学活性2級アミン触媒としては、特に限定されないが、ピロリジン環を有する2級アミンが好ましい。得られる式(3)〜(5)で表される化合物の光学純度を向上させる点において、ピロリジン環の2位に不斉中心を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、例えば、式(6)で示される光学活性2級アミンが挙げられる。
【0040】
式(6)におけるRとしては、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基が好ましく、該芳香族基またはヘテロ芳香族基に含まれる水素原子の1〜3個と置換していてもよい、メチレンの1〜3組が酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状の、アルキル基、炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状の、アルケニル基、または炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状の、アルキニル基;炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13の、ヘテロ芳香族基;水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状の、または炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニル基;水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状の、または炭素数4〜13の環状の、アルキルカルボニルアミノ基;水素原子の1〜3個がフェニル基で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状の、または炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニルアミノ基としては、例えば、上述と同様の基が挙げられ、メチレンの1〜3組が酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状のアルキル基、アルケニル基が好ましく、炭素数2〜13の鎖状の、または炭素数4〜13の環状の、アルキル基が挙げられる。
【0041】
は、フェニル基、トリル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
【0042】
式(6)におけるXは、水素原子、炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状の、アルキル基、または式(7)で示されるシリル基である。
この内、アルキル基としては、炭素数1〜4の鎖状の、もしくは炭素数3〜4の環状の、アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基等が挙げられる。より好ましくはメチル基である。
【0043】
式(7)で示されるシリル基における、RおよびRで示される炭素数1〜10の鎖状の、もしくは炭素数3〜10の環状のアルキル基、またはフェニル基の、好ましい態様を以下に説明する。
およびRは、好ましくは、炭素数1〜10の鎖状のアルキル基、もしくは炭素数3〜8の環状のアルキル基を含む。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基等が挙げられる。Rは、好ましくは、メチル基、エチル基であり、より好ましくはメチル基である。Rは、好ましくは、メチル基、エチル基、t−ブチル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0044】
式(6)で示される光学活性2級アミン触媒の具体的化合物名を例示すれば、以下のとおりである:(2Sまたは2R)−2−ジフェニル−(トリメチルシリルオキシ)メチル−ピロリジン、(2Sまたは2R)−2−(ビス−4−メチルフェニル)−(トリメチルシリルオキシ)メチル−ピロリジン、(2Sまたは2R)−2−(ビス−3,5−ジメチルフェニル)−(トリメチルシリルオキシ)メチル−ピロリジン、(2Sまたは2R)−2−(ビス−3,5−(トリフルオロメチル)フェニル)−(トリメチルシリルオキシ)メチル−ピロリジン、(2Sまたは2R)−2−ジフェニル−(ヒドロキシ)メチル−ピロリジン、(2Sまたは2R)−2−ジフェニル−(メトキシ)メチル−ピロリジン、(2Sまたは2R)−2−ジフェニル−(エトキシ)メチル−ピロリジン、(2Sまたは2R)−2−ジフェニル−(i−プロポキシ)メチル−ピロリジン等が挙げられる。
【0045】
式(3)〜(5)で表される化合物の光学純度を向上させる観点から、式(6)で示される光学活性2級アミン触媒の特に好ましい態様は、Rが置換基を有していてもよいフェニル基であり、RおよびRがともにメチル基である。例えば、(2Sまたは2R)−2−ジフェニル−(トリメチルシリルオキシ)メチル−ピロリジンである。
【0046】
光学活性2級アミン触媒の量は、式(1)で示される化合物1モルに対して、好ましくは0.001モル〜0.5モル、より好ましくは0.01モル〜0.2モルである。
【0047】
本発明において、反応溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、制限なく使用することが可能であるが、収率を向上させる点において、アルコール溶媒を使用することが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコールのような炭素数1〜4のアルコール溶媒がより好ましく、メタノールが特に好ましい。
【0048】
溶媒の使用量は、式(1)で示される化合物1kgに対して、好ましくは2L〜50L、より好ましくは3L〜20Lである。
【0049】
式(2)で示される2−ニトロエタノールの使用量は、式(1)で示される化合物1モルに対して、好ましくは0.8モル〜3モル、より好ましくは1モル〜2モルである。
【0050】
式(1)で示される化合物のRが炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基である場合は、収率を向上させる観点から、光学活性2級アミン触媒と酸との存在下に反応させることが好ましい。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸等の無機酸;有機スルホン酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸)並びに芳香族カルボン酸および脂肪族カルボン酸等の有機カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、りんご酸、コハク酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、安息香酸、4−ニトロ安息香酸、4−クロロ安息香酸)等が挙げられる。酸としては、有機カルボン酸が好ましく、収率を向上させる観点から、安息香酸がより好ましい。
【0051】
用いる酸の量は、式(1)で示される化合物1モルに対して、好ましくは0.001モル〜1モル、より好ましくは、0.05モル〜0.4モルである。
【0052】
式(1)で示される化合物と2−ニトロエタノールとを、光学活性2級アミン存在下で反応をさせる温度としては、好ましくは−20〜80℃、より好ましくは5〜40℃である。反応時間は、反応させる温度により適宜調節できるが、好ましくは3〜72時間、より好ましくは5〜36時間である。
【0053】
本発明で得られる式(3)で示される光学活性化合物の光学純度は、用いる光学活性2級アミン触媒、酸および溶媒、反応条件等によって変化し得るが、通常50%ee(鏡像体過剰率)以上である。用いる光学活性2級アミン触媒が、式(6)で示される化合物の特に好ましい態様である場合には、好ましくは90%ee以上の光学純度を有する式(3)で示される光学活性化合物が得られる。
ここで、得られる式(3)で示される光学活性化合物には、式(4)または式(5)で示される光学活性化合物が光学異性体の一態様として含まれており、式(3)で示される光学活性化合物に対する式(4)または式(5)で示される化合物の比率は、用いる式(1)で示されるα、β−不飽和アルデヒド等により変化するが、20%程度〜65%程度である。
【0054】
本発明では、式(1)で示される化合物と2−ニトロエタノールとの反応に次いで、塩基を作用させてもよい。式(4)または式(5)で示される化合物の前記比率を上げるためには、塩基を作用させることが好ましい。塩基を作用させることにより、前記比率を65%程度〜95%程度まで上げることができる。
【0055】
用いる塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、および、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジ−sec−ブチルメチルアミン等の有機塩基が挙げられる。その中でも、アルカリ金属の炭酸水素塩が好ましく、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
塩基の使用量は、式(1)で示される化合物1モルに対して、好ましくは1モル〜20モル、より好ましくは2モル〜10モルである。
塩基を作用させる際、反応溶媒を用いることが好ましく、溶媒としては、式(1)で示される化合物と2−ニトロエタノールとの反応に用いられる溶媒と同様のものが挙げられる。
塩基処理の反応時間は、好ましくは−20〜80℃、より好ましくは5〜40℃であり、反応時間は好ましくは3〜72時間、より好ましくは、6〜48時間である。
【0056】
塩基は、式(1)で示される化合物と2−ニトロエタノールとの反応により得られる反応混合物を濃縮、抽出、分液、濾過などの処理に付した後に作用させてもよく、前記処理に付さずに反応混合物と作用させてもよい。工程数削減および経済的な観点から、前記処理を付さずに作用させることが好ましい。
【0057】
得られた式(3)〜(5)で示される化合物は、濃縮、抽出、分液、ろ過などの常法によって後処理され、蒸留、再結晶、光学活性カラムクロマトグラフィー、抽出精製など、常法によって精製して、化学純度、光学純度を向上させることができる。
【0058】
かくして得られる式(3)〜(5)で示される化合物は、高い光学純度を有するだけでなく、非特許文献1(第715頁右欄)に記載される方法により得られるラセミ体5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールの収率が僅か15.34%であるにもかかわらず、好ましくは50%以上の高い収率で得られる。
【0059】
式(3)〜(5)で示される化合物は、例えば以下の反応式で示される方法により式(7)〜(14)で示される化合物へと変換できる。
【0060】
【化11】

【0061】
(式中、Rは前述と同義である。P〜Pは保護基を表す。Xは脱離基を表す。)
上記反応式において、化合物(5)〜(14)は、それらの鏡像異性体であってもよい。化合物(5)〜(14)が塩を形成できる場合は、塩であってもよい。各工程において得られる化合物を例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーのような通常の精製手段により精製してもよいし、精製に付さず次の工程に用いてもよい。
例えば、Rが2,4,5−トリフルオロフェニル基であり、Rがtert−ブトキシカルボニル基である場合の化合物(14)は、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤の中間体として有用である(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 17 (2007) 4579-4583 参照)。
式(5)で示される化合物から式(7)で示される化合物を製造する方法における好ましい保護基Pとしては、アセチル基が挙げられ、Pがアセチル基である化合物を製造する方法としては、例えば、ピリジンの存在下での無水酢酸との反応が挙げられる。
式(7)で示される化合物から式(8)で示される化合物を製造する還元方法としては、例えば、水酸化パラジウムの存在下、接触水素添加反応が挙げられる。
式(8)で示される化合物から式(9)で示される化合物を製造する方法における好ましい保護基Pは、例えばtert−ブトキシカルボニル基等が挙げられ、その場合、例えば、塩基の存在下、二炭酸ジtert−ブチルとの反応等により製造できる。
式(9)で示される化合物から式(10)で示される化合物を製造する脱保護方法としては、保護基Pがアセチル基の場合、加水分解や加溶媒分解方法が挙げられる。
式(10)で示される化合物から式(11)で示される化合物を製造する方法としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウムによる還元反応等が挙げられる。
式(11)で示される化合物から式(12)で示される化合物を製造する方法において、水酸基を活性化する方法としては、例えば好ましくは、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基の導入が挙げられる。
式(12)で示される化合物から式(13)で示される化合物を製造する環化方法としては、例えば、ベンジルアミンとの反応等が挙げられる。
式(13)で示される化合物から式(14)で示される化合物を製造する脱保護方法としては、例えば、Pがベンジル基の場合、例えばパラジウム触媒等を用いる接触水素化が挙げられる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0063】
実施例1
【0064】
【化12】

【0065】
アルゴン雰囲気下、光学活性2級アミン触媒として、(2S)−2−ジフェニル−(トリメチルシリルオキシ)メチル−ピロリジン(以後、「ジフェニルメチルプロリノール シリルエーテル」と称する)(19.5mg、0.06mmol)と桂皮アルデヒド(79.2mg、0.6mmol)とをメタノール(1.2mL)に溶解し、そこへ安息香酸(14.7mg、0.12mmol)と2−ニトロエタノール(63μL、0.9mmol)を添加した。室温下、混合物を20時間攪拌した後、そこへ炭酸水素ナトリウム(50.4mg、3.0mmol)を添加して2日間攪拌した。得られた混合物をリン酸緩衝液(pH7.0)と混合し、酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、混合物を濾過した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムで溶出)により精製し、化合物1Aと化合物1Bの混合物(115.2mg)を得た。収率86%。
得られた混合物の13C−NMRスペクトルを測定することにより、化合物1Aと化合物1Bのモル比を決定したところ、化合物1A:化合物1Bは89:11であった。
【0066】
IR(液膜法)3396、2943、1549、1112、1016、762、699 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1113NONa:246.0737、found:246.0726
[α]23 −56.4(c 0.53,メタノール)
(備考)HRMS(ESI):高分解能質量分析(Bruker社 ESI−TOF MSにより測定した。)
【0067】
<化合物1Aの主成分>
(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0068】
【化13】

【0069】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.99(1H,dt,J=3.6Hz,J=13.2Hz)、2.13(1H,dd,J=4.4Hz,14Hz)、3.88(1H,dt,J=4.4Hz,J=12.4Hz)、4.08(1H,dd,J=4.8Hz,10.4Hz)、4.43(1H,t,J=10.8Hz)、4.90(1H,dt,J=4.8Hz,J=10.8Hz)、5.41(1H,d,J=2.8Hz)、7.20−7.38(5H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:36.4、39.3、60.6、86.5、90.8、127.2、127.9(2C)、129.0(2C)、138.7
【0070】
<化合物1Aの副成分>
(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0071】
【化14】

【0072】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.84(1H,dt,J=9.2Hz,J=13.2Hz)、2.27(1H,ddd,J=2.4Hz,4.0Hz,13.6Hz)、3.53(1H、ddd,J=4.4Hz,11.2Hz,13.2Hz)、3.95(1H,dd,J=9.6Hz,11.2Hz)、4.44(1H,dd,J=4.4Hz,10.8Hz)、4.82(1H,dt,J=4.8Hz,J=10.8Hz)、5.05(1H,dd,J=2.4Hz,9.6Hz)、7.20−7.38(5H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:38.1、44.3、66.4、86.2、95.7、127.1、128.1(2C)、129.1(2C)、138.1
【0073】
参考例1
【0074】
【化15】

【0075】
実施例1と同様の操作により製造した化合物1A(134mg、0.6mmol)と触媒量の4−ジメチルアミノピリジンとをピリジン(1.2mL)に溶解し、そこへ、室温下で無水酢酸(306.3mg、3.0mmol)を添加した。室温で混合物を2時間攪拌した後、リン酸緩衝液(pH7.0)と混合し、酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、混合物を濾過した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/6〜1/2で溶出)により精製し、化合物1A−アセテート(143.2mg)を得た。収率90%。
HPLC[カラム:キラルパックIA,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像体過剰率(e.e.)95%。
<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物1A−アセテートの主成分11.6分、その鏡像体10.9分
IR(液膜法)1749、1548、1234、1141、991.2、923.7、764.6 cm−1
【0076】
<化合物1A−アセテートの主成分>
(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート
【0077】
【化16】

【0078】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:2.09−2.17(1H,m)、2.09−2.17(1H,m)、2.21(3H,br s)、3.79(1H,dt,J=7.2Hz,J=11.2Hz)、4.16−4.27(1H,m)、4.16−4.27(1H,m)、4.96(1H,ddd,J=5.6Hz,10.0Hz,11.2Hz)、6.24(1H,t,J=2.0Hz)、7.20−7.40(5H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:20.9、35.0、40.0、62.3、85.7、89.8、127.1(2C)、128.1、129.0(2C)、138.0、169.1
(備考)br s:broad singlet
【0079】
<化合物1A−アセテートの副成分>
(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート
【0080】
【化17】

【0081】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:2.00(1H,dt,J=9.6Hz,J=13.6Hz)、2.12(3H,br s)、2.17−2.26(1H,m)、3.59(1H,ddd,J=4.0Hz,10.8Hz,14.8Hz)、4.05(1H,dd,J=9.2Hz,11.2Hz)、4.45(1H,dd,J=5.2Hz,11.6Hz)、4.85(1H,ddd,J=4.8Hz,9.6Hz,10.8Hz)、5.93(1H,dd,J=2.8Hz,6.8Hz)、7.21−7.39(5H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:20.8、35.1、43.5、66.4、85.8、93.0、127.1(2C)、128.1、129.1(2C)、138.0、169.0
【0082】
実施例2
【0083】
【化18】

【0084】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−3−(ナフタレン−2−イル)−プロペナールを用いた以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物2Aと化合物2Bの混合物を製造した。収率92%。化合物2A:化合物2B=87:13。
【0085】
IR(液膜法)3390、2929、1542、1128、1113、1014、869、819、745 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1515NONa:296.0893、found:296.0882
[α]22 −40.9(c 0.36,メタノール)
【0086】
<化合物2Aの主成分>
(2S,4S,5S)−4−(ナフタレン−2−イル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0087】
【化19】

【0088】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:2.10(1H,dt,J=3.6Hz,J=13.2Hz)、2.17(1H,dt,J=4.4Hz,J=13.6Hz)、3.96−4.04(1H,m)、4.12(1H,dd,J=4.4Hz,10.4Hz)、4.49(1H,t,J=10.4Hz)、5.03(1H,dt,J=4.8Hz,J=10.8Hz)5.45(1H,d,J=2.8Hz)、7.37(1H,dd,J=1.6Hz,8.4Hz)、7.44−7.53(2H,m)、7.70(1H,br s)、7.77−7.86(3H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:36.5、39.5、60.6、86.4、90.8、124.7、126.1、126.4、126.5、127.7、127.8、128.9、132.9、133.5、136.2
【0089】
<化合物2Aの副成分>
(2R,4S,5S)−4−(ナフタレン−2−イル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0090】
【化20】

【0091】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.96(1H,dt,J=9.6Hz,J=13.6Hz)、2.33(1H,ddd,J=2.4Hz,4.4Hz,13.6Hz)、3.71(1H,ddd,J=3.6Hz,10.8Hz,15.2Hz)、4.06(1H,dd,J=8.0Hz,12.4Hz)、4.49(1H,t,J=5.6Hz)、4.95(1H,dt,J=4.8Hz,J=10.8Hz)5.10(1H,dd,J=2.4Hz,9.2Hz)、7.35(1H,dd,J=1.2Hz,7.2Hz)、7.44−7.53(2H,m)、7.67(1H,br s)、7.77−7.86(3H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:38.2、44.4、66.4、86.1、95.8、124.5、126.0、126.3、126.5、127.7、127.8、129.1、133.0、133.4、135.6
【0092】
化合物1Aの代わりに化合物2Aを用いた以外は参考例1に記載された方法と同様の操作により、化合物2A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIC,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像体過剰率94%。
【0093】
【化21】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物2A−アセテートの主成分28.5分、その鏡像異性体23.5分
【0094】
実施例3
【0095】
【化22】

【0096】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−3−(4−ニトロフェニル)プロペナールを用いた以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物3Aと化合物3Bの混合物を製造した。収率80%。化合物3A:化合物3B=86:14。
【0097】
IR(液膜法)3501、2942、1543、1527、1351、1114、1018 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1112Na:291.0588、found:291.0596
[α]24 −41.5(c 0.06,メタノール)
【0098】
<化合物3Aの主成分>
(2S,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−ニトロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0099】
【化23】

【0100】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1・98(1H,dt,J=3.2Hz,J=13.6Hz)、2.13(1H,dd,J=4.0Hz,13.6Hz)、3.99(1H,ddd,J=9.6Hz,11.2Hz,24.8Hz)、4.12(1H,dd,J=4.8Hz,10.8Hz)、4.43(1H,t,J=10.4Hz)、4.91(1H,dt,J=4.8Hz,J=10.8Hz)、5.43(1H,d,J=2.8Hz)、7.43(2H,d,J=12.8Hz)、8.22(2H,d,J=8.4Hz)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:36.2、39.2、60.3、85.6、90.3、124.3(2C)、128.3(2C)、146.2、147.6
【0101】
<化合物3Aの副成分>
(2R,4S,5S)−5−ニトロ−4−(4−ニトロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0102】
【化24】

【0103】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.85(1H,dt,J=9.2Hz,J=13.6Hz)、2.27(1H,ddd,J=2.8Hz,4.4Hz,14.0Hz)、3.70(1H,ddd,J=4.4Hz,11.2Hz,15.2Hz)、4.05(1H,dd,J=4.0Hz,12.4Hz)、4.47(1H,dd,J=4.8Hz,11.6Hz)、4.83(1H,ddd,J=4.8Hz,10.0Hz,14.8Hz)、5.09(1H,dd,J=2.0Hz,9.2Hz)、7.43(2H,d,J=9.2Hz)、8.20(2H,d,J=8.8Hz)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:37.6、43.9、66.0、85.4、95.3、124.4(2C)、128.3(2C)、145.5、147.8
【0104】
化合物1Aの代わりに化合物3Aを用いた以外は参考例1に記載された方法と同様の操作により、化合物3A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIA,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像体過剰率99%。
【0105】
【化25】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物3A−アセテートの主成分54.1分、その鏡像異性体25.5分
【0106】
実施例4
【0107】
【化26】

【0108】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−3−(4−ブロモフェニル)プロペナールを用いた以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物4Aと化合物4Bの混合物を製造した。収率85%。化合物4A:化合物4B=86:14。
【0109】
IR(液膜法)3376、2942、1538、1493、1254、1115、1076、1018、799、517 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1112BrNONa:323.9842、found:323.9857
[α]23 −41.4(c 0.54,メタノール)
【0110】
<化合物4Aの主成分>
(2S,4S,5S)−4−(4−ブロモフェニル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0111】
【化27】

【0112】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.99(1H,dt,J=1.6Hz,J=13.2Hz)、2.08(1H,dt,J=4.4Hz,J=14.0Hz)、2.77(1H,br s)、3.86(1H,dt,J=4.4Hz,J=12.4Hz)、4.07(1H,dd,J=4.8Hz,10.8Hz),4.41(1H,t,J=10.4Hz)、4.83(1H,dt,J=4.8Hz,J=11.2Hz)、5.40(1H,br s)、7.07−7.16(2H,m)、7.43−7.50(2H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:36.3、38.8、60.5、86.3、90.6、121.8、128.9(2C)、132.2(2C)、137.8
【0113】
<化合物4Aの副成分>
(2R,4S,5S)−4−(4−ブロモフェニル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0114】
【化28】

【0115】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.81(1H,dt,J=9.6Hz,J=13.6Hz)、2.24(1H,ddd,J=2.4Hz,4.4Hz,13.6Hz)、3.20(1H,br s)、3.50(1H,ddd,J=4.0Hz,11.2Hz,15.2Hz)、3.93(1H,dd,J=10.0Hz,11.2Hz)、4.44(1H,t,J=5.2Hz)、4.76(1H,ddd,J=4.8Hz,10.0Hz,10.4Hz)、5.04(1H,d,J=7.6Hz)、7.07−7.16(2H,m)、7.43−7.50(2H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:37.9、43.7、66.2、86.0、95.6、122.1、128.9(2C)、132.3(2C)、137.2
【0116】
化合物1Aの代わりに化合物4Aを用いた以外は参考例1に記載された方法と同様の操作により、化合物4A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIC,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像体過剰率93%。
【0117】
【化29】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物4A−アセテートの主成分25.0分、その鏡像異性体18.8分
【0118】
実施例5
【0119】
【化30】

【0120】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−3−(フラン−2−イル)−プロペナールを用いた以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物5Aと化合物5Bの混合物を製造した。収率80%。化合物5A:化合物5B=80:20。
【0121】
IR(液膜法)3404、2947、1549、1249、1113、1017、947、747 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C11NONa:236.0529、found:236.0528
[α]25 −53.0(c 0.08,メタノール)
【0122】
<化合物5Aの主成分>
(2S,4R,5S)−4−(フラン−2−イル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0123】
【化31】

【0124】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:2.06(1H,ddd,J=3.2Hz,12.0Hz,14.8Hz)、2.17(1H,ddd,J=2.0Hz,4.8Hz,14.0Hz)、4.04(1H,dt,J=4.8Hz,J=9.2Hz)、4.03(1H,dd,J=4.8Hz,10.8Hz)、4.39(1H,t,J=10.8Hz)、4.82(1H,dt,J=4.4Hz,J=10.4Hz)、5.36(1H,d,J=2.4Hz)、6.14(1H,d,J=3,2Hz)、6.29(1H,dd,J=1.6Hz,2.8Hz)、7.30−7.37(1H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:33.1、33.3、60.4、84.3、90.6、106.9、110.3、142.3、152.1
【0125】
<化合物5Aの副成分>
(2R,4R,5S)−4−(フラン−2−イル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0126】
【化32】

【0127】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.88(1H,ddd,J=9.2Hz,12.8Hz,13.6Hz)、2.34(1H,ddd,J=2.8Hz,4.4Hz,14.0Hz)、3.74(1H,ddd,J=4.4Hz,10.4Hz,12.4Hz)、3.92(1H,dd,J=9.2Hz,11.6Hz)、4.39(1H,dd,J=4.8Hz,11.6Hz)、4.78(1H,dt,J=4.8Hz,J=11.2Hz)、5.03(1H,dd,J=2.4Hz,8.8Hz)、6.16(1H,d,J=3.2Hz)、6.26−6.33(1H,m),7.30−7.37(1H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:34.6、37.1、65.2、84.1、95.0、106.8、110.4、142.5、151.5
【0128】
化合物1Aの代わりに化合物5Aを用いた以外は参考例1に記載された方法と同様の操作により、化合物5A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIC,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像体過剰率91%。
【0129】
【化33】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物5A−アセテートの主成分15.8分、その鏡像異性体14.2分
【0130】
実施例6
【0131】
【化34】

【0132】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−3−(チオフェン−2−イル)−プロペナールを用いた以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物6Aと化合物6Bの混合物を製造した。収率82%。化合物6A:化合物6B=90:10。
【0133】
IR(液膜法)3404、2942、1548、1247、1110、1016、943、711 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C11SNONa:252.0301、found:252.0303
[α]23 −50.9(c 0.51,メタノール)
【0134】
<化合物6Aの主成分>
(2S,4R,5S)−5−ニトロ−4−(チオフェン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0135】
【化35】

【0136】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:2.02(1H,dt,J=3.2Hz,J=13.6Hz)、2.27(1H,dd,J=3.2Hz,13.6Hz)、2.90(1H,br s)、4.05(1H,dd,J=4.8Hz,10.8Hz)、4.23(1H,dt,J=4.0Hz,J=12.4Hz)、4.40(1H,t,J=10.8Hz)、4.77(1H,dt,J=4.8Hz,J=10.8Hz)、5.40(1H,br s)、6.86−6.99(2H,m)、7.21(1H,d,J=4.8Hz)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:34.8、37.1、60.6、87.8、90.7、124.6、125.4、127.1、142.0
【0137】
<化合物6Aの副成分>
(2R,4R,5S)−5−ニトロ−4−(チオフェン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0138】
【化36】

【0139】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.87(1H,dt,J=9.2Hz,J=13.2Hz)、2.42(1H,ddd,J=2.4Hz,3.6Hz,13.6Hz)、3.36(1H,br s)、3.84−3.95(1H,m)、3.92(1H,dd,J=10.0Hz,11.6Hz)、4.40(1H,t,J=11.2Hz)、4.72(1H,dt,J=4.8Hz,J=10.4Hz)、5.03(1H,dd,J=1.6Hz,8.8Hz)、6.86−6.99(2H,m)、7.18−7.25(1H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:38.6、39.2、66.0、87.4、95.4、124.9、125.4、127.1、141.3
【0140】
化合物1Aの代わりに化合物6Aを用いた以外は、参考例1に記載された方法と同様の操作により化合物6A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIC,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像体過剰率94%。
【0141】
【化37】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物6A−アセテート21.9分、その鏡像異性体18.0分
【0142】
実施例7
【0143】
【化38】

【0144】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−3−(4−メトキシフェニル)プロペナールを用いた以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物7Aと化合物7Bの混合物を製造した。収率95%。化合物7A:化合物7B=84:16。
【0145】
IR(液膜法)3401、2963、1542、1516、1255、1112、1030、868、830、789 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1215NONa:276.0842、found:276.0850
[α]24 −53.3(c 0.10,メタノール)
【0146】
<化合物7Aの主成分>
(2S,4S,5S)−4−(4−メトキシフェニル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0147】
【化39】

【0148】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.98(1H,dt,J=3.2Hz,J=13.2Hz)、2.09(1H,ddd,J=1.2Hz,4.4Hz,14Hz)、2.72(1H,br s)、3.78(3H,br s)、3.82(1H,dt,J=4.4Hz,J=12.8Hz)、4.05(1H,dd,J=4.8Hz,10.8Hz)、4.42(1H,t,J=10.8Hz)、4.82(1H,dt,J=4.8Hz,J=11.2Hz)、5.40(1H,d,J=2.4Hz)、6.83−6.90(2H,m)、7.11−7.17(2H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:36.5、38.6,55.3、60.6、87.0、91.0、114.4(2C)、128.3(2C)、130.8、159.2
【0149】
<化合物7Aの副成分>
(2R,4S,5S)−4−(4−メトキシフェニル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0150】
【化40】

【0151】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.81(1H,dt,J=9.2Hz,J=13.2Hz)、2.23(1H,ddd,J=2.4Hz,4.4Hz,13.6Hz)、3.15(1H,br s)、3.46(1H,ddd,J=4.0Hz,11.2Hz,13.2Hz)、3.78(3H,br s)、3.93(1H,dd,J=10.0Hz,11.2Hz)、4.42(1H,t,J=6.4Hz)、4.75(1H,dt,J=4.8Hz,J=10.4Hz)、5.03(1H,d,J=1.6Hz,9.2Hz)、6.83−6.90(2H,m)、7.11−7.17(2H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:38.3、43.6、55.3、66.4、86.6、95.8、114.5(2C)、128.2(2C)、130.2、159.3
【0152】
化合物1Aの代わりに化合物7Aを用いた以外は参考例1に記載された方法と同様の操作により、化合物7A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIC,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像体過剰率93%。
【0153】
【化41】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物7A−アセテートの主成分34.3分、その鏡像異性体28.0分
【0154】
実施例8
【0155】
【化42】

【0156】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−3−(2−メトキシフェニル)プロペナールを用いた以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物8Aと化合物8Bの混合物を製造した。収率94%。化合物8A:化合物8B=85:15。
【0157】
IR(液膜法)3415、2940、1549、1496、1245、1116、1021、756 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1215NONa:276.0842、found:276.0836
[α]25 −47.5(c 0.03,メタノール)
【0158】
<化合物8Aの主成分>
(2S,4S,5S)−4−(2−メトキシフェニル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0159】
【化43】

【0160】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.96−2.08(1H,m)、2.25(1H,dt,J=3.2Hz,J=13.6Hz)、3.86(3H,br s)、4.07(1H,dd,J=4.4Hz,10.4Hz)、4.12(1H,dt,J=4.4Hz,J=12.4Hz)、4.43(1H,t,J=10.4Hz)、5.30(1H,dt,J=4.8Hz,J=11.2Hz)、5.38(1H,d,J=2.8Hz)、6.86−6.96(2H,m)、7.14−7.20(1H,m)、7.21−7.29(1H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:34.5、36.3、55.4、60.7、84.0、91.0、111.3、121.0、126.4、128.8、129.1、157.6
【0161】
<化合物8Bの副成分>
(2R,4S,5S)−4−(2−メトキシフェニル)−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0162】
【化44】

【0163】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.96−2.08(1H,m)、2.19(1H,ddd,J=2.8Hz,4.4Hz,13.6Hz)、3.81(1H,ddd,J=4.4Hz、11.2Hz,13.2Hz)、3.85(3H,br s)、3.95(1H,dd,J=9.6Hz,11.2Hz)、4.42(1H,t,J=11.2Hz)、5.04(1H,dd,J=2.4Hz,9.2Hz)、5.19(1H,dt,J=4.4Hz,J=10.0Hz)、6.86−6.96(2H,m),7.14−7.20(1H,m)、7.21−7.29(1H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:36.4、40.5、55.4、66.1、83.8、95.8、111.3、121.0、126.0、128.7、129.0、157.3
【0164】
化合物1Aの代わりに化合物8Aを用いた以外は、参考例1に記載された方法と同様の操作により化合物8A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIC,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像異性体過剰率94%。
【0165】
【化45】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物8A−アセテートの主成分11.6分、その鏡像異性体16.1分
【0166】
実施例9
【0167】
【化46】

【0168】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−5−フェニル−2−ペンテナールを用い、安息香酸を使用しなかった以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物9Aと化合物9Bの混合物を製造した。収率76%。化合物9A:化合物9B=76:24。
【0169】
IR(液膜法)3396、2937、1544、1248、1115、1021、699 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1317NONa:274.1050、found:274.1049
[α]23 −35.7(c 0.20,メタノール)
【0170】
<化合物9Aの主成分>
(2S,4R,5S)−5−ニトロ−4−(2−フェニルエチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0171】
【化47】

【0172】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.34(1H,dt,J=8.8Hz,J=12.4Hz)、1.43−1.57(1H,m)、1.57−1.70(1H,m)、1.71−1.90(1H,m)、2.11(1H,dd,J=3.2Hz,13.2Hz)、2.46−2.60(1H,m)、2.63−2.80(2H,m),3.91(1H,dd,J=4.4Hz,10.8Hz)、4.28(1H,t,J=10.4Hz)、4.42(1H,ddd,J=4.4Hz,10.4Hz,21.2Hz)、5.24(1H,br s)、7.05−7.32(5H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:31.9、32.7、33.7、36.7、60.4、86.6、90.8、126.2、128.2(2C)、128.5(2C)、141.0
【0173】
<化合物9Aの副成分>
(2R,4R,5S)−5−ニトロ−4−(2−フェニルエチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0174】
【化48】

【0175】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.57−1.70(1H,m)、1.71−1.90(2H,m)、2.20(1H,dt,J=2.4Hz,J=13.6Hz)、2.30−2.45(1H,m)、2.46−2.60(1H,m)、2.63−2.80(2H,m)、3.81(1H,dd,J=9.2Hz,11.2Hz)、4.28(1H,t,J=7.2Hz)、4.33−4.47(1H,m)、4.89(1H,d,J=8.0Hz)、7.05−7.32(5H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:31.9、33.9、34.0、34.9、65.1、85.8、95.2、126.2、128.2(2C)、128.6(2C)、140.6
【0176】
化合物1Aの代わりに化合物9Aを用いた以外は参考例1に記載された方法と同様の操作により、化合物9A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIA,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像体過剰率92%。
【0177】
【化49】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物9A−アセテート18.4分、その鏡像異性体9.5分
【0178】
実施例10
【0179】
【化50】

【0180】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−3−シクロヘキシル−プロペナールを用い、安息香酸を使用しなかった以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物10Aと化合物10Bの混合物を製造した。収率55%。化合物10A:化合物10B=76:24。
IR(液膜法)3405、2938、1536、1109、1008 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1119NONa:252.1206、found:252.1208
[α]28 −57.0(c 0.06,メタノール)
【0181】
<化合物10Aの主成分>
(2S,4S,5S)−4−シクロヘキシル−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0182】
【化51】

【0183】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:0.95(1H,dt,J=2.4Hz,J=11.6Hz)、1.01−1.43(7H,m)、1.48−1.93(3H,m)、2.00(1H,d,J=13.2Hz)、2.61(1H,dt,J=3.6Hz,J=12.0Hz)、3.01(1H,br s)、3.90(1H,dd,J=4.4Hz,10.4Hz)、4.29(1H,t,J=10.4Hz)、4.62(1H,ddd,J=4.4Hz,10.8Hz,26.4Hz)、5.30(1H,br s)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:26.3、26.3、26.5、26.8、30.3、30.4、37.9、38.3、60.6、84.1、91.1
【0184】
<化合物10Aの副成分>
(2R,4S,5S)−4−シクロヘキシル−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0185】
【化52】

【0186】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:0.95(1H,dt,J=3.2Hz,J=24.8Hz)、1.01−1.43(7H,m)、1.48−1.93(4H,m)、2.27(1H,dt,J=3.6Hz,J=12.4Hz)、3.50(1H,br s)、3,82(1H,t,J=9.6Hz)、4.26(1H,dd,J=4.4Hz,8.8Hz)、4.55−4.70(1H,m)、4.90(1H,d,J=8.4Hz)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:26.2、26.3、26.5、27.1、29.3、31.2、37.7、42.6、65.7、83.5、95.9
【0187】
化合物1Aの代わりに化合物10Aを用いた以外は参考例1に記載された方法と同様の操作により、化合物10A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIC,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像異性体過剰率96%。
【0188】
【化53】

【0189】
<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物10A−アセテートの主成分17.5分、その鏡像異性体10.8分
【0190】
実施例11
【0191】
【化54】

【0192】
桂皮アルデヒドの代わりに(E)−5−メチルヘキセ−2−ナールを用い、安息香酸を使用しなかった以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物11Aと化合物11Bの混合物を製造した。収率72%。化合物11A:化合物11B=78:22。
【0193】
IR(液膜法)3396、2958、1555、1536、1099、1011 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C17NONa:226.1050、found:226.1048
[α]18 −28.3(c 0.12,メタノール)
【0194】
<化合物11Aの主成分>
(2S,4R,5S)−4−イソブチル−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0195】
【化55】

【0196】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:0.86(3H,d,J=6.4Hz)、0.89(3H,d,J=6.4Hz)、1.09−1.32(3H,m),1.36(1H,dt,J=3.2Hz,J=14.4Hz)、2.04(1H,ddd,J=2.0Hz,4.4Hz,14.0Hz)、2.69(1H,dtt,J=4.4Hz,J=9.6Hz,14.0Hz)、2.94(1H,br s)、3.91(1H,dt,J=1.2Hz,J=4.0Hz)、4.25−4.38(2H,m)、5.26(1H,br s)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:21.1、23.7、24.2、30.9、34.0、41.5、60.5、87.4、90.9
【0197】
<化合物11Aの副成分>
(2R,4R,5S)−4−イソブチル−5−ニトロテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
【0198】
【化56】

【0199】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:0.85(3H,d,J=6.4Hz)、0.90(3H,d,J=6.8Hz)、1.09−1.32(4H,m)、2.17(1H,ddd,J=2.8Hz,4.4Hz,14.0Hz)、2.35(1H,dtt,J=2.4Hz,J=7.6Hz,12.0Hz)、3.40(1H,d,J=4.8Hz)、3.83(1H,dt,J=1.6Hz,J=10.8Hz)、4.25−4.38(2H,m)、4.91(1H,t,J=3.6Hz)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:21.1、23.6、24.3、35.3、35.4、41.6、65.3、86.6、95.4
【0200】
化合物1Aの代わりに化合物11Aを用いた以外は参考例1に記載された方法と同様の操作により、化合物11A−アセテートに変換し、HPLC[カラム:キラルパックIC,4.6mm x 25cm(ダイセル社製)]にて鏡像体過剰率を決定した。鏡像異性体92%。
【0201】
【化57】

<HPLC分析条件>
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=20/1
流速:1.0mL/分
保持時間:化合物11A−アセテートの主成分14.3分、その鏡像異性体11.0分
【0202】
実施例12
(2S,4R,5R)−5−ニトロ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート
(2R,4R,5R)−5−ニトロ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート
【0203】
【化58】

【0204】
アルゴン雰囲気下、実施例1で用いたと同じ光学活性アミン触媒(ジフェニルメチルプロリノール シリルエーテル)(25mg、0.077mmol)と(E)−3−(2,4,5−トリフルオロフェニル)プロペナール(143mg、0.77mmol)とをメタノール(1.5mL)に溶解し、そこへ安息香酸(18.8mg、0.15mmol)と2−ニトロエタノール(81μL、1.15mmol)を添加した。混合物を、室温下で20時間攪拌した後、減圧濃縮した。
濃縮残渣とピリジン(1.5mL)とを混合し、そこへ、室温下、無水酢酸(145μL、1.5mmol)と触媒量の4−ジメチルアミノピリジンとを添加した。室温下、混合物を12時間攪拌した後、得られた混合物とリン酸緩衝液(pH7.0)と混合し、酢酸エチルを用いて有機物を3回抽出した。合一した有機層を硫酸銅水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。混合物を濾過した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/n−ヘキサン=1/9〜1/3で溶出)により精製し、表題化合物の混合物105mgを得た。収率43%。
【0205】
IR(液膜法)1753、1554、1523、1229、1141、1011、994、934、869 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1623NONa:342.0560、found:342.0545
<主成分>
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.99−2.25(2H,m)、2.20(3H,s)、3.94(1H,dt,J=4.4Hz,J=12.4Hz)、4.14−4.26(2H,m)、5.04(1H,dt,J=5.6Hz,J=10.8Hz)、6.22(1H,d,J=2.0Hz)、6.91−7.01(1H,m)、7.03−7.13(1H,m)
<副成分>
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.99−2.25(2H,m)、2.12(3H,s)、3.76(1H,dt,J=4.4Hz,J=11.2Hz)、4.05(1H,dd,J=8.8Hz,11.6Hz)、4.46(1H,dd,J=4.8Hz,11.6Hz)、4.92(1H,ddd,J=4.8Hz,8.8Hz,10.8Hz)、5.90(1H,dd,J=3.2Hz,9.2Hz)、6.91−7.01(1H,m)、7.03−7.13(1H,m)
【0206】
実施例13
(E)−3−フェニルプロペナールに対して、ジフェニルメチルプロリノール シリルエーテルを2モル%、安息香酸を4モル%使用した以外は実施例1に記載された方法と同様の操作により、化合物1Aと化合物1Bの混合物を製造した。収率87%。化合物1A:化合物1B=84:16。
参考例1に記載された方法と同様に操作により鏡像体過剰率を決定したところ、鏡像体過剰率は96%であった。
【0207】
参考例2
(3S,4S)−3−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン
【0208】
【化59】

【0209】
参考例1により製造した(4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート(53mg、0.2mmol)、トリエチルシラン(64μL、0.4mmol)およびジクロロメタン(0.4mL)を混合し、混合物を−78℃に冷却した。そこへ、トリフルオロボラン ジエチルエーテラート(38μL、0.3mmol)を添加し、混合物を−78℃で15時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と混合し、有機物を酢酸エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/8〜1/3で溶出)により精製し、表題化合物(38.0mg)を単一の異性体として得た。収率93%。
【0210】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.88−2.05(2H,m)、3.39(1H,dt,J=5.2Hz,J=11.2Hz)、3.57(1H,dt、J=4.4Hz,J=11.6Hz)、3.72(1H,t,J=10.8Hz)、4.07(1H,dt,J=2.8Hz,J=12.4Hz)、4.38(1H,dd,J=4.8Hz,10.8Hz)、4.83(1H,dt,J=4.4Hz,J=10.4Hz)、7.17−7.37(5H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:32.4、45.6、68.1、69.6、86.8、127.1(2C)、127.8、128.9(2C)、139.1
IR(液膜法)2862、1550、1132、1119、760.8、669.1 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1113NONa:230.0788、found:230.0780
[α]23 −88.9(c 0.19,メタノール)
【0211】
参考例3
メチル−3−((4S,6R)−6−アセトキシ−3−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパノエート (主成分)
メチル−3−((4S,6S)−6−アセトキシ−3−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパノエート (副成分)
【0212】
【化60】

【0213】
参考例1により製造した(4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート(53.1mg、0.2mmol)、メチル アクリレート(103.3mg、1.2mmol)およびメタノール(0.4mL)を混合し、室温下、攪拌した。そこへ、炭酸セシウム(71.7mg、0.22mmol)を添加し、室温下、1時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液と混合し、有機物を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/6〜1/2で溶出)により精製し、表題化合物(51.3mg)を得た。収率85%。
【0214】
IR(液膜法)1740、1538、1222、1010 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1721NONa:374.1210、found:374.1201
[α]24 +80.3(c 0.37,メタノール)
<主成分>
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.89(1H,dt,J=1.2Hz,J=14.4Hz)、2.14(3H,br s)、2.04−2.34(1H,m)、2.46(1H,ddd,J=4.4Hz,8.4Hz,13.2Hz)、2.69(1H,dt,J=3.2Hz,J=14.0Hz)、3.47(1H,dd,J=3.2Hz,13.2Hz)、3.64(3H,br s)、4.03(1H,d,J=12.8Hz)、4.24(1H,d,J=13.2Hz)、6.36(1H,br s)、7.15−7.24(2H,m)、7.28−7.38(3H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:31.5、32.8、33.1、45.2、78.1、126.3、128.2(2C)、128.6(2C)、140.4、199.7
<副成分>
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:2.03−2.34(1H,m)、2.04−2.34(1H,m),2.43−2.53(1H,m)、2.59(1H,dt,J=9.2Hz,J=13.2Hz)、3.18(1H,dd,J=3.2Hz,12.8Hz)、3.65(3H,br s)、3.87(1H,d,J=12.8Hz)、4.62(1H,d,J=13.2Hz)、5.97(1H,dd,J=4.0Hz,8.8Hz)、7.15−7.24(2H,m)、7.28−7.38(3H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:31.5、32.8、33.1、45.2、78.1、126.3、128.2(2C)、128.6(2C)、140.4、199.7
【0215】
参考例4
(2S,3S)−tert−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)−3−フェニルピロリジン−1−カルボキシレート
【0216】
【化61】

【0217】
室温下、実施例1に記載された方法と同様の操作により製造した(4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール(101.5mg、0.455mmol)、メタノール(1.8mL)および20%水酸化パラジウム(30.5mg)を混合した。水素雰囲気下、混合物を室温で40時間攪拌した。セライトパッドを用いて反応混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣とアセトニトリル(1.8mL)を混合し、室温下、混合物に二炭酸ジtert−ブチル(167μL、0.683mmol)を添加した。室温下、混合物を1時間攪拌した後、反応混合物を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/9〜1/3で溶出)により精製し、表題化合物(100.7mg)を得た。収率80%。H−NMR分析の結果、ロータマー(側鎖配座異性体)の存在が認められた。
【0218】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.50(9H,s)、2.14(1H,quint,J=6.0Hz)、2.27−2.50(1H,m)、3.28−3.40(1H,m)、3.46−3.60(2H,m)、3.60−3.68(1H,m)、4.28(1H,br s)、7.20−7.29(3H,m)、7.30−7.36(2H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:27.9、28.5、46.0、46.2、62.4、64.5、80.3、127.1、127.9、128.6、137.9、157.0
IR(液膜法)3435、2976、1690、1405、1172、1130 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1623NONa:300.1570、found:300.1579
[α]25 +27.6(c 1.1,メタノール)
【0219】
参考例5
(2S,3S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルピロリジン−2−カルボン酸
【0220】
【化62】

【0221】
室温下、参考例4により製造した(2S,3S)−tert−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)−3−フェニルピロリジン−1−カルボキシレート(25.3mg、0.0912mmol)をジメチルスルホキシド(364μL)と混合した。そこへ、室温下、o−ヨードキシ安息香酸(IBX)(51.0mg、0.182mmol)を添加し、混合物を2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と混合し、酢酸エチルを用いて混合物を3回抽出した。合一した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣を、亜リン酸・二水和物(42.7mg、0.274mmol)、2−メチル−2−ブテン(48.5μL、0.456mmol)、tert−ブチルアルコール(342μL)および水(114μL)と混合物し、そこへ、室温下、亜塩素酸ナトリウム(20.6mg、0.182mmol、80%)を添加した。室温下、混合物を1時間攪拌した後、リン酸緩衝液(pH7.0)と混合し、酢酸エチルで3回抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3で溶出)により精製し、表題化合物(17.2mg)を得た。収率65%。H−NMRおよび13C−NMR分光分析の結果、ロータマーの存在が認められた。
【0222】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.31(6.3H,s)、1.40(2.7H,s)、1.99−2.11(1H,m)、2.35−2.55(1H,m)、3.30−3.42(1H,m)、3.52−3.65(1H,m)、3.68−3.80(1H,m)、4.37(0.7H,d,J=8.8Hz)、4.47(0.3H,d,J=8.4Hz)、7.11−7.25(5H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:27.4、28.3、28.4、45.7、46.1、47.0、47.9、63.4、64.0、80.3、80.5、127.5、127.6、127.8、127.9、128.4、136.3、136.4、153.7、154.5、174.9、176.4
IR(液膜法)2978、1704、1416、1170、1135、757、699 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1621NONa:314.1363、found:314.1373
[α]24 +88.6(c 1.1,クロロホルム)
【0223】
生成物をジアゾメタンと処理することによりメチルエステルへ変換し、メチルエステルの比旋光度を文献(テトラへドロン、2002年、第58巻、10475−10484頁)に記載された値([α]20 +91(c 1.5,クロロホルム))と比較することで、生成物の絶対配置を決定した。
[α]20 +88(c 1.0,クロロホルム)
【0224】
参考例6
(2R,3S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルピロリジン−2−カルボン酸
【0225】
【化63】

【0226】
室温下、参考例4により製造した(2S,3S)−tert−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)−3−フェニルピロリジン−1−カルボキシレート(65.6mg、0.237mmol)をジメチルスルホキシド(0.95mL)と混合した。そこへ、室温下、o−ヨードキシ安息香酸(IBX)(132mg、0.473mmol)を添加し、混合物を2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と混合し、酢酸エチルを用いて混合物を3回抽出した。合一した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をジクロロメタン(0.95mL)に溶解し、そこへ、室温下、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン(10.7μL)を添加した。室温下、混合物を4時間攪拌した後、反応混合物をリン酸緩衝液(pH7.0)と混合し、酢酸エチルを用いて3回抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣を、亜リン酸・二水和物(110.9mg、0.711mmol)、2−メチル−2−ブテン(125.9μL、1.12mmol)、tert−ブチルアルコール(713μL)および水(237μL)と混合物し、そこへ、室温下、亜塩素酸ナトリウム(53.6mg、0.474mmol、80%)を添加した。室温下、混合物を1時間攪拌した後、リン酸緩衝液(pH7.0)と混合し、酢酸エチルで3回抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3で溶出)により精製し、表題化合物(44.3mg)を得た。収率64%。
【0227】
分光分析の結果は、文献(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、2004年、第69巻、4984−4990頁)に記載された値と合致した。
【0228】
参考例7
(2R,4S,5S)−5−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート
(2S,4S,5S)−5−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート
【0229】
【化64】

【0230】
参考例1に記載された方法と同様の操作により製造した(4S,5S)−5−ニトロ−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート(18.6mg、0.070mmol)、メタノール(0.28mL)および20%水酸化パラジウム(2.0mg)を混合した。水素雰囲気下、混合物を室温で6時間攪拌した。セライトパッドを用いて反応混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣とアセトニトリル(0.28mL)を混合し、室温下、混合物にジイソプロピルエチルアミン(37.5μL、0.21mmol)とベンジルオキシカルボニル クロリド(19.7μL、0.14mmol)を添加した。室温下、混合物を1時間攪拌した後、反応混合物をリン酸緩衝液(pH7.0)と混合し、酢酸エチルにて3回抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/9〜1/3で溶出)により精製し、表題化合物(20.5mg)を得た。収率83%。
【0231】
IR(液膜法)3328、1719、1532、1231、982、699 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C2123NONa:392.1468、found:392.1477
[α]25 +40.2(c 0.32,メタノール)
<主成分>
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:2.00−2.07(2H,m)、2.15(3H,s)、3.00(1H,s)、3.63(1H,t,J=11.6Hz)、3.92−4.10(2H,m)、4.42−4.60(1H,m)、4.90−5.02(2H,m)、6.19(1H,s)、7.08−7.40(10H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:21.1、37.0、41.8、50.7、64.3、66.7、90.7、127.3、127.4(2C)、127.8(2C)、128.0、128.4(2C)、128.9(2C)、136.2、140.3、155.6、169.5
<副成分>
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:2.00−2.07(2H,m)、2.10(3H,s)、2.40(1H,s)、3.38−3.50(1H,m)、3.92−4.10(2H,m)、4.25−4.35(1H,m)、4.90−5.02(2H,m)、5.79(1H,d,J=8.0Hz)、7.08−7.40(10H,m)
【0232】
参考例8
(5S,6S,E)−エチル 6−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−7−ヒドロキシ−5−フェニルへプテ−2−ノエート
【0233】
【化65】

【0234】
参考例7により製造した(4S,5S)−5−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル アセテート(24.4mg、0.0687mmol)をメタノール(0.69mL)と混合し、混合物を0℃に冷却した。そこへ、炭酸カリウム(19.0mg、0.137mmol)を添加し、混合物を0℃で10分間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液と混合し、酢酸エチルにて3回抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をトルエン(0.69mL)と混合し、室温下、混合物にエチル トリフェニルホスホラニリデン アセテート(Wittig試薬)を添加した。混合物を110℃に加熱して4時間攪拌し、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/9〜1/1で溶出)により精製し、表題化合物(18.5mg)を得た。収率68%。
【0235】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.24(3H,t,J=7.2Hz)、2.00(1H,br s)、2.57−2.74(2H,m)、3.10−3.22(1H,m)、3.56(2H,s)、3.94−4.04(1H,m)、4.12(2H,q,J=7.2Hz)、4.60−4.72(1H,m)、5.07(2H,s)、5.80(1H,d,J=15.6Hz)、6.78(1H,dt,J=15.6Hz,J=6.8Hz)、7.15(2H,d,J=7.2Hz)、7.20−7.40(8H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:14.2、34.8、45.2、55.8、60.2、63.6、67.0、123.3、127.4、128.0(2C)、128.2、128.4(2C)、128.5(2C)、128.8(2C)、136.3、139.0、146.0、156.6、166.3
IR(液膜法)3342、2938、1714、1530、1268、1045、700 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C2327NONa:420.1781、found:420.1764
[α]26 +50.4(c 0.67,メタノール)
【0236】
参考例9
(5S,6S,E)−1−エチル 7−メチル 6−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−5−フェニルへプテ−2−エン−ジオエート
【0237】
【化66】

【0238】
室温下、参考例8により製造した(5S,6S,E)−エチル 6−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−7−ヒドロキシ−5−フェニルへプテ−2−ノエート(12.8mg、0.0334mmol)をジメチルスルホキシド(0.33mL)と混合した。そこへ、室温下、o−ヨードキシ安息香酸(IBX)(18.7mg、0.0688mmol)を添加し、混合物を2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と混合し、酢酸エチルを用いて混合物を3回抽出した。合一した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣を、亜リン酸・二水和物(15.6mg、0.10mmol)、2−メチル−2−ブテン(17.7μL、1.12mmol)、tert−ブチルアルコール(251μL)および水(83μL)と混合物し、そこへ、室温下、亜塩素酸ナトリウム(7.6mg、0.0668mmol、80%)を添加した。室温下、混合物を1時間攪拌した後、リン酸緩衝液(pH7.0)と混合し、酢酸エチルで3回抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をジクロロメタン(1.0mL)と混合し、混合物を0℃に冷却した後、過剰のジアゾメタン/エーテル溶液を添加した。混合物を1時間攪拌し、酢酸と混合した後、酢酸エチルにて3回抽出した。合一した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固形物を濾去した後、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/9〜1/1で溶出)により精製し、表題化合物(6.8mg)を得た。収率50%。
【0239】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.26(3H,t,J=7.2Hz)、2.60−2.78(2H,m)、3.38−3.46(1H,m)、3,69(3H,s)、4.13(2H,q,J=7.2Hz)、4.69−4.78(1H,m)、5.11(2H,s)、5.85(1H,d,J=16.0Hz)、6.82(1H,dt,J=15.6Hz,J=6.8Hz)、7.08(2H,d,J=6.8Hz)、7.24−7.40(8H,m)
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ ppm:14.2、34.0、46.7、52.4、57.6、60.2、67.3、123.8、127.8、128.0(2C)、128.2(2C)、128.3、128.6(2C)、128.7、128.9(2C)、136.0、137.5、145.3、156.3、166.3、171.3
IR(液膜法)3340、2927、1716、1507、1209、1043、699 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C2427NONa:448.1731、found:448.1741
[α]20 +37.6(c 0.31,クロロホルム)
【0240】
参考例10
tert−ブチル (2R,3R)−1,5−ジヒドロキシ−3−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ペンタン−2−イルカーバメート
【0241】
【化67】

【0242】
実施例12で得た化合物(61.6mg、0.193mmol)とメタノール(0.77mL)とを混合し、そこへ、室温下、20%水酸化パラジウム(18mg)を添加した。混合物を、水素雰囲気下、室温で15時間攪拌した後、アルゴン雰囲気下、混合物へ二炭酸ジ−tert−ブチル(57μL、0.23mmol)を添加した。混合物を室温で6時間攪拌した後、混合物を0℃まで冷却した。冷却した混合物へメタノール(0.77mL)と炭酸カリウム(80mg、0.58mmol)とを添加し、0℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、0℃下、水素化ホウ素ナトリウム(73mg、1.9mmol)を添加し、混合物を0℃で4時間攪拌した。得られた混合物とリン酸緩衝液(pH7.0)とを混合し、酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、混合物を濾過した後、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/6〜1/2で溶出)により精製し、表題化合物34mgを得た。収率51%。H−NMR分析の結果、ロータマーの存在が認められた。
【0243】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.35(9H,s)、1.86(1H,ddd,J=4.4Hz,10.0Hz,19.2Hz)、2.12−2.15(1H,m)、3.37−3.53(2H,m)、3.66(1H,quint,J=4.8Hz)、3.74(2H,d,J=4.4Hz)、3.85−3.96(1H,m)、4.62(1H,br s)、6.91(1H,dt,J=6.8Hz,J=10.0Hz)、7.08(1H,ddd,J=6.8Hz,8.8Hz,11.2Hz)
IR(液膜法)3371、2978、1693、1519、1168、1058 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C1622NONa:372.1393、found:372.1394
[α]21 −28.5(c 0.34,クロロホルム)
【0244】
参考例11
tert−ブチル (3R,4R)−1−ベンジル−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−3−イルカーバメート
【0245】
【化68】

【0246】
参考例10で得た化合物(17.7mg、0.051mmol)とジイソプロピルエチルアミン(63μL、0.36mmol)とジクロロメタン(200μL)とを混合し、混合物を0℃まで冷却した。冷却した混合物へ塩化メタンスルホニル(20μL、0.25mmol)を添加し、混合物を30分間攪拌した。0℃下、得られた混合物とベンジルアミン(200μL、1.8mmol)とを混合し、混合物を室温で12時間攪拌した。得られた混合物とリン酸緩衝液(pH7.0)とを混合し、酢酸エチルで有機物を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9〜1/3で溶出)により精製し、表題化合物7.5mgを得た。収率35%。H−NMR分析の結果、ロータマーの存在が認められた。
【0247】
H−NMR(CDCl,400MHz)δ ppm:1.29(9H,s)、1.75−1.84(2H,m)、1.84−1.95(1H,m)、1.97−2.10(1H,m)、2.58−2.74(1H,m)、2.91(1H,d,J=10.4Hz)、3.21(1H,d,J=8.0Hz)、3.46−3.70(2H,m)、3.90(1H,m)、4.24(1H,br s)、6.87(1H,dt,J=6.8Hz,J=10.0Hz)、7.10−7.22(1H,m)、7.27−7.36(5H,m)
IR(液膜法)3373、2932、1685、1520、1170 cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calculated for C2327Na:443.1917、found:443.1915
[α]22 −3.0(c 0.46,メタノール)
【産業上の利用可能性】
【0248】
本発明は、それ自身が医薬、農薬などの生理活性物質として用いられ得るのみならず、他の生理活性物質の有用な化学中間体となり得る光学活性体5−ニトロ−4−置換−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オールの、効率的な製造方法を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】


(式中、Rは、置換基を有していてもよい鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい環式炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有鎖式炭化水素基、または置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)
で示される化合物と、式(2)
【化2】

で示される化合物とを、光学活性2級アミンの存在下に反応させる、式(3)
【化3】

(式中、Rは上記と同義を表し、*は不斉中心を表す。)で示される光学活性化合物の製造方法。
【請求項2】
前記鎖式炭化水素基、前記環式炭化水素基、前記ヘテロ原子含有鎖式炭化水素基、または前記ヘテロ環基は、
(i)炭素数6〜14の芳香族基;
(ii)炭素数3〜13のヘテロ芳香族基;
(iii)炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状の、アルキル基(ここで、該アルキル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
(iv)炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状の、アルケニル基(ここで、該アルケニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);または
(v)炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状の、アルキニル基(ここで、該アルキニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。)
を表す、請求項1に記載される製造方法。
【請求項3】
前記(i)における芳香族基または前記(ii)におけるヘテロ芳香族基に含まれる水素原子の1〜3個は、それぞれ独立して、
炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状の、アルキル基(ここで、該アルキル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状の、アルケニル基(ここで、該アルケニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状の、アルキニル基(ここで、該アルキニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。)
炭素数6〜14の芳香族基;
炭素数3〜13のヘテロ芳香族基;
ハロゲン原子;
トリフルオロメチル基;
ニトロ基;
シアノ基;
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニル基(ここで、該アルコキシカルボニル基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルキルカルボニルアミノ基(ここで、該アルキルカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);および、
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニルアミノ基(ここで、該アルコキシカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。)
からなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、
前記(iii)におけるアルキル基、前記(iv)におけるアルケニル基または前記(v)におけるアルキニル基に含まれる水素原子の1〜3個は、それぞれ独立して、
炭素数6〜14の芳香族基;
炭素数3〜13のヘテロ芳香族基;
ハロゲン原子;
トリフルオロメチル基;
ニトロ基;
シアノ基;
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニル基(ここで、該アルコキシカルボニル基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルキルカルボニルアミノ基(ここで、該アルキルカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);および、
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニルアミノ基(ここで、該アルコキシカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。)
からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい、
請求項2に記載される製造方法。
【請求項4】
溶媒の存在下に反応させる、請求項1〜3のいずれかに記載される製造方法。
【請求項5】
溶媒が炭素数1〜4のアルコールである、請求項4に記載される製造方法。
【請求項6】
溶媒がメタノールである、請求項4に記載される製造方法。
【請求項7】
酸の存在下に反応させる、請求項1〜6のいずれかに記載される製造方法。
【請求項8】
酸が安息香酸である、請求項7に記載される製造方法。
【請求項9】
式(1)
【化4】


(式中、Rは前述と同義を表す。)で示される化合物と、式(2)
【化5】

で示される化合物とを、光学活性2級アミンの存在下に反応させて得られる式(3)
【化6】

(式中、Rは上記と同義を表し、*は不斉中心を表す。)で示される化合物に、塩基を作用させる、式(4)
【化7】

(式中、Rは前述と同義を表す。)
または式(5)
【化8】

(式中、Rは前述と同義を表す。)で示される光学活性化合物の製造方法。
【請求項10】
塩基がアルカリ金属の炭酸水素塩である、請求項9に記載される製造方法。
【請求項11】
塩基が炭酸水素ナトリウムである、請求項9に記載される製造方法。
【請求項12】
光学活性2級アミンが、2位に不斉中心を有する2−置換ピロリジンである、請求項1または9に記載される製造方法。
【請求項13】
光学活性2級アミンが式(6)
【化9】

(式中、Rは、それぞれ独立して、炭素数6〜14の芳香族基または炭素数3〜13のヘテロ芳香族基を表し、該芳香族基または該ヘテロ芳香族基に含まれる水素原子の1〜3個は、それぞれ独立して、
炭素数1〜12の鎖状の、もしくは炭素数3〜12の環状の、アルキル基(ここで、該アルキル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数4〜12の環状の、アルケニル基(ここで、該アルケニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数2〜12の鎖状の、もしくは炭素数7〜12の環状の、アルキニル基(ここで、該アルキニル基に含まれるメチレンの1〜3組は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。);
炭素数6〜14の芳香族基;
炭素数3〜13のヘテロ芳香族基;
ハロゲン原子;
トリフルオロメチル基;
ニトロ基;
シアノ基;
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニル基(ここで、該アルコキシカルボニル基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルキルカルボニルアミノ基(ここで、該アルキルカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。);および、
炭素数2〜13の鎖状の、もしくは炭素数4〜13の環状の、アルコキシカルボニルアミノ基(ここで、該アルコキシカルボニルアミノ基に含まれる水素原子の1〜3個は、フェニル基で置換されていてもよい。)
からなる群から選ばれる基で置換されていてもよく、
Xは、水素原子、炭素数1〜12の鎖状のもしくは炭素数3〜12の環状のアルキル基、または式(7)
【化10】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜10の鎖状のもしくは炭素数3〜10の環状のアルキル基、またはフェニル基を表す。)で示されるシリル基を表す。)で示される2−置換ピロリジンである、請求項1または9に記載される製造方法。
【請求項14】
Xが式(7)で示されるシリル基であって、RおよびRがともにメチル基である、請求項13に記載される製造方法。
【請求項15】
がフェニル基(ここで、該フェニル基に含まれる1〜3の水素原子は、炭素数1〜12の鎖状のもしくは炭素数3〜12の環状のアルキル基で置換されていてもよい。)である、請求項13に記載される製造方法。
【請求項16】
がフェニル基であり、Xが式(7)で示されるシリル基であって、RおよびRがともにメチル基である、請求項13に記載される製造方法。

【公開番号】特開2011−20934(P2011−20934A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165510(P2009−165510)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】