説明

光学的なセンサ装置および相応する製造方法

本発明は、光学的なセンサ装置、特にサーモパイルセンサ装置であって、センサチップ装置(10;10´)が設けられており、該センサチップ装置(10;10´)が、光学的に透過性の照射範囲(OB;OB´)と、該照射範囲を取り囲むマウント範囲(RB;RB´)と、ワイヤボンディング範囲(BB)とを備えており、光学的に絶縁性のマウントフレーム(MLF;MLF´)が設けられており、該マウントフレーム(MLF;MLF´)が、チップ搭載範囲(DP;DP´)と多数の接続エレメント(AB;AB´;AB´´;AB´´´)とを備えており、光学的に絶縁性のパッケージ装置(MV;MV´;MV´´;MV´´´)が設けられている形式のものにおいて、センサチップ装置(10;10´)が、マウント範囲(RB;RB´)ではチップ搭載範囲(DP;DP´)に、ワイヤボンディング範囲(BB)では1つまたは複数の接続エレメント(AB;AB´;AB´´;AB´´´)にそれぞれ結合されており、チップ搭載範囲(DP;DP´)に、光学的に透過性の照射範囲(OB;OB´)の少なくとも一部が前記チップ搭載範囲(DP;DP´)によって覆われないように配置された窓(F;F´)が設けられており、ほぼ該窓(F;F´)を通じてのみ光学的な放射線がセンサチップ装置(10;10´)に入射し得るようにパッケージ装置(MV;MV´;MV´´;MV´´´)がセンサチップ装置(10;10´)とマウントフレーム(MLF;MLF´)とを取り囲んでいる
ことを特徴とする、光学的なセンサ装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は光学的なセンサ装置および相応する製造方法に関する。
【0002】
本発明は任意の光学的なセンサ装置に対して使用可能ではあるが、以下においては本発明ならびに本発明の根底を成す問題点をサーモパイルセンサ装置(Thermopile-Sensoranordnung)に関して説明する。
【0003】
サーモパイルセンサは熱放射線センサのグループに属している。すなわち、入射した放射線により、受光面と差範囲(ヒートシンク)との間に温度差が生ぜしめられる。この温度差は熱電対を用いて、ゼーベック効果(Seebeck-Effekt)に基づき電圧へ変換される。出力電圧は熱電対のジオメトリ寸法(幾何学的寸法)に関連するのではなく、選択された材料組合せにのみ関連する。等照射された複数の熱電対が直列接続されていることに基づき、こうして実現されたサーモパイルの出力電圧は高められる。
【0004】
マイクロマシニングテクノロジを用いて、サーモパイルをシリコンチップとして、クラシカルな半導体構成素子と同様に典型的な半導体プロセスの使用下に製造することが可能である。マルチレベルテクノロジ(多層技術)の使用は付加的にサーモパイルのジオメトリ寸法の一層の減少を可能にする。この場合、サーモパイルは最大感度を実現するために、できるだけ自由に張設された熱絶縁性のダイヤフラム上に設けられる。エッチングされたシリコンフレームはダイヤフラムの支持体として働くと同時に、熱的な基準媒体としても働く。
【0005】
慣用のマイクロマシニング型のサーモパイルセンサ、たとえばガス検出のための赤外線フィルタを備えたサーモパイルセンサは、光学的な窓を備えたTO05−またはTO08パッケージの形に構築される。この場合、サーモパイルエレメントの光学的に不活性の側はハウジング底部に座着され、フィルタはTOキャップ内に接着されている。フィルタ媒体もしくは窓材料の選択により、このような金属製のハーメティックハウジング内でのセンサのパッケージングの間、主要なセンサ特性、たとえば感度、時定数および捕捉されたスペクトル範囲に影響を与えることができる。
【0006】
このような種類のハウジングは極めて高価であり、しかもキャップに設けられた所要の開口に基づきもはや気密でもない。一般にボンディングワイヤの不働態化は行われない。このことにより、結露、腐食等の理由で環境での使用、特に自動車使用のための適性が疑問視される。
【0007】
さらに、射出成形もしくはモールディング成形により完全に包埋されたセンサ、たとえばマイクロマシニング型の加速度センサが知られている。この場合、センサ素子の不活性の裏面は支持ストリップ(リードフレーム)に固定される(接着またははんだ付け)。ワイヤボンディング結合を用いて、チップマウント面の縁部に設けられた所定のコンタクト面(いわゆる「リード」)に電気的なコンタクトが形成される。その後に、リードフレームはプラスチック材料の射出成形もしくはモールドコンパウンドのモールディング成形によってプラスチック材料もしくはモールドコンパウンド内に包埋される。モールドコンパウンドはガス検出のためのサーモパイルセンサのための重要な周波数領域(たとえば≧4000波長の赤外領域)では十分に透過性ではないので、サーモパイルセンサに対するこのようなマウント技術(射出成形による完全な包埋)の場合、センサへの光学的な進入路がもはや存在しなくなってしまう。
【0008】
さらに一般に、熱導出を改善する目的でパワーICのための、裏面に露出している(いわゆるexposed)チップマウント範囲(いわゆる「ダイパッド」)を備えたICハウジングも知られている。
【0009】
発明の利点
請求項1の特徴部に記載の特徴を有する本発明による光学的なセンサ装置および請求項15に記載の対応する製造方法は、一連の公知の解決手段に比べて、単純でかつ極めて廉価なマウントが可能となり、しかも全てのボンディング結合部が不働態化されているという利点を持っている。したがって、自動車使用のために適性のあるセンサが得られる。
【0010】
本発明の根底を成す思想は以下の点にある。すなわち、パッケージ装置が、たとえばモールディング成形可能なハウジングの形で、窓の形の光学的に開いた範囲を持ってチップマウント面に設けられていて、この範囲に光学的なセンサが設けられており、この光学的なセンサが、主として前記窓を通じてのみ検出され得る光学的な放射線にさらされている。
【0011】
構築時のマウント公差が極めて大きくなる恐れがあり、かつポンチが活性のチップ面がモールドコンパウンドに対して保護しなければならなくなる、上面にキャビティを備えた公知のパッケージに比べて、本発明によるセンサ装置では、直接にチップを押圧し、そしてこのチップを場合によっては損傷させてしまう恐れのあるポンチが必要とされない。チップ搭載範囲に設けられた窓が、パッケージ材料(たとえばプラスチック、モールドコンパウンド)に対して保護されるだけでよい。非透過性の標準モールドコンパウンドを用いた不働態化が可能となるので、別の不働態化材料は必要とされない。基板へのマウントの場合には、別の光学的なフィルタを基板またはパッケージ自体に設けることが可能となる。したがって、たとえば交換可能なフィルタまたは後装備可能なフィルタを設けることができる。
【0012】
請求項2以下には、本発明の各対象の有利な改良形および改善形が記載されている。
【0013】
本発明の有利な改良形では、センサチップ装置が、互いに反対の側に位置する第1の表面および第2の表面を備えた第1のチップと、互いに反対の側に位置する第3の表面および第4の表面を備えた第2のチップとを有しており、第1第2の両チップが第1の表面および第3の表面を介して互いに結合されていて、1つの中空室を取り囲んでおり、該中空室内にセンサ構造体が配置されており、第1のチップが第1の表面にワイヤボンディングのためのコンタクト範囲を有しており、該コンタクト範囲が側方で第2のチップを超えて突出しており(ボンディング範囲)、該コンタクト範囲へ、接続エレメント(リード)に結合された少なくとも1つのボンディングワイヤが案内されている。
【0014】
本発明の別の有利な改良形では、光学的に透明の、つまり透過性の照射範囲と、該照射範囲を取り囲むマウント範囲とが、第1のチップの第2の表面(基面)に設けられている。
【0015】
本発明のさらに別の有利な改良形では、光学的に透過性の照射範囲と、該照射範囲を取り囲むマウント範囲とが、第2のチップの第4の表面に設けられている。
【0016】
本発明のさらに別の有利な改良形では、チップ搭載範囲(たとえば使用されるリードフレームのダイパッド)が、互いに反対の側に位置する第5の表面および第6の表面を有しており、第5の表面がマウント範囲に結合されている。
【0017】
本発明のさらに別の有利な改良形では、第6の表面がパッケージ装置によって覆われておらず、該パッケージ装置の下面と同一平面に位置している。
【0018】
本発明のさらに別の有利な改良形では、接続エレメントが、パッケージ装置の互いに反対の側に位置する側面から突出しており、前記接続エレメントの端部(たとえばモールディング成形されたハウジングのための規格により)がパッケージ装置の下面と同一平面に位置している。
【0019】
本発明のさらに別の有利な改良形では、接続エレメントの端部および第6の表面が、基板に結合されており(たとえば接着またははんだ付けされており)、該基板が前記窓の範囲に貫通孔を有している。
【0020】
本発明のさらに別の有利な改良形では、第6の表面が部分的にパッケージ装置によって覆われており、該パッケージ装置の下面が、第6の表面よりも下方の平面に位置している。
【0021】
本発明のさらに別の有利な改良形では、第1のチップの第2の表面もしくは第4の表面に、かつ/または基板に前記貫通孔の範囲で、光学的なフィルタ装置が設けられている。
【0022】
図面
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0023】
図1a〜図1dは、本発明によるセンサ装置およびその構造の第1実施例を示しており、
図2aおよび図2bは、本発明によるセンサ装置およびその構造の第2実施例を示しており、
図3a〜図3dは、本発明によるセンサ装置およびその構造の第3実施例を示しており、
図4aおよび図4bは、本発明によるセンサ装置およびその構造の第4実施例を示している。
【0024】
実施例の説明
図面中、同一のコンポーネントまたは同一機能のコンポーネントは同じ符号で示されている。
【0025】
以下の実施例では、本発明による光学的なセンサ装置を自動車使用のための光学的なサーモパイルセンサにつき説明するが、ただし本発明の対象はこのようなサーモパイルセンサに限定されるものではない。特に以下の実施例は、ガス検出のための≧4000nm波長の領域における赤外線を検出するための、組み込まれたフィルタを備えたマイクロマシニング型の光学的なサーモパイルセンサ(COセンサ)に関するものである。
【0026】
図1a、図1b、図1cおよび図1dには、本発明によるセンサ装置およびその構造の第1実施例が示されている。
【0027】
図1aにおいて、符号10は全体的にサーモパイルセンサの形の光学的なセンサチップ装置を示している。このセンサチップ装置10は下側の第1のチップ1aを有しており、この下側の第1のチップ1aは中空室2aを備えている。この中空室2aの上には、ダイヤフラムMが張設されている。ダイヤフラムMには、サーモパイルセンサ素子TPと、このサーモパイルセンサ素子TPの上に位置する吸収層Aとがそれぞれ被着されている。サーモパイルセンサ素子TPからは、導体路LBを介して第1のチップ1aの外側の縁範囲にまで電気的な接続部が案内されている。この外側の縁範囲を以下においては「ワイヤボンディング範囲BB」とも呼ぶ。
【0028】
第1のチップ1aの上側の表面O1には、第2のチップ1bの表面O3がキャップとしてボンディングされている。第2のチップ1bはやはり中空室2bを有しており、この中空室2bは第1のチップ1aの中空室2aに向けられている。第2のチップ1bは、この第2のチップ1bが第1のチップ1aのワイヤボンディング範囲BBを空けておくように寸法設定されかつ位置調整されている。第1のチップ1aの下側の表面O2には、特定の波長をフィルタリング除去するためのフィルタ層FSが被着されている。
【0029】
この第1実施例について付言しておくと、第1のチップ1aおよび第2のチップ1bのシリコンは中赤外領域内の、検出したい光学的な波長に対して十分に透過性である。汎用のサーモパイルセンサ素子TPでは、検出したい光学的な放射線が直接に吸収層Aに向けられる。このことは図1aに示した構造で云えば、光学的な放射線が第2のチップ1bの上側の表面O4に向けて照射されなければならないことを意味する。
【0030】
しかし、このような汎用の方法とは異なり、この第1実施例では第1のチップ1aの下側の表面O2に光学的な照射範囲OBが規定されている。この照射範囲OBはこの構造に基づき、吸収層Aの直径もしくは吸収層Aの下に位置するサーモパイルセンサ素子TPの直径にわたって延びている。実験の結果、このような照射形式により発生する、サーモパイルセンサ素子TP自体による損失は比較的小さく、全放射線収量の僅か数パーセントに過ぎないことが判った。
【0031】
第1のチップ1aの下側の表面O2では、中央の光学的な照射範囲OBがマウント範囲RBによって環状に取り囲まれている。このマウント範囲RBは以下に詳しく説明するように、このセンサチップ装置10をマウント(搭載)するために利用され、この場合、光学的な照射範囲OBは露出したまま残される。
【0032】
図1bには、第1のチップ1aの下側の表面O2(フィルタ層FSなし)の平面図が示されている。破線により中空室2a、光学的な照射範囲OB、マウント範囲RBならびに反対の側に位置する表面O1に位置するワイヤボンディング範囲BBが描かれている。
【0033】
図1cに示したように、図1aおよび図1bに示したセンサチップ装置10は汎用のリードフレームの形のマウントフレームMLF上にはんだ範囲LBRによって接着されるか、またははんだ付けされる。マウントフレームMLFはこのために、窓Fを備えたチップ搭載範囲DPならびに多数の接続エレメントもしくは接続脚ABを有している。図1cの断面図には図示されていないが、チップ搭載範囲DPは通常ではマウントフレームMLFの角隅で、相応する接続エレメントに懸吊されている。
【0034】
センサチップ装置10のマウント時では、光学的な照射範囲OBを環状に取り囲んでいるマウント範囲RBがチップ搭載範囲DPに結合され、この場合、光学的な照射範囲OBはチップ搭載範囲DPによって覆われない、すなわち窓Fを通じて外部に対して露出している。
【0035】
さらに、接続エレメントABが、相応するボンディングワイヤBDを介して、相応するボンディング面に設けられた導体路LBおよび図示されていない別の導体路に結合される。
【0036】
引き続き次のステップで、センサチップ装置10は全ての結合過程もしくははんだ付け過程または接着過程の終了後に射出成形によってモールドパッケージMV内に包埋されて封止される。この場合、モールドパッケージMVの下面USはチップ搭載範囲DPの下側の表面O6とほぼ同一平面内で整合して延びている。この表面O6は表面O5とは反対の側に位置しており、この表面O5には、第1のチップ1aのマウント範囲RBがマウントされている。第1のチップ1aとチップ搭載範囲DPとの間の結合部はモールディングプロセスのために密でなければならない。
【0037】
接続エレメントABはモールドパッケージMVの側面SS1,SS2から突出している。モールドパッケージMVの平坦な上面は符号OSで示されている。接続エレメントABは汎用の形式で上方または下方へ曲げられている。
【0038】
このような形式のマウントにより提供されるセンサチップ装置10では、光学的な放射線が主として窓Fを通じてのみサーモパイルセンサ素子TPもしくは吸収層Aに入射し得る。なぜならば、モールドパッケージMVもしくは金属製のマウントフレームMLFは当該光学的な放射線に対して透過性ではなく、つまりシールド作用を発揮するからである。
【0039】
モールドパッケージMVの下面USは接続エレメントAB´の端部ともほぼ同一平面内で整合している(SOP形状のモールディング成形されたハウジングのためのJEDEC規格による)。
【0040】
さらに図1dに示したように、このようにパッケージ封止されたセンサチップ装置10を基板SUBにはんだ付けすることができる。この基板SUBは窓Fの範囲に、対応する貫通孔DLを有している。相応するはんだ範囲LBRはこの場合、接続エレメントABだけに設けられるのではなく、チップ搭載範囲DPの露出した下側の表面O6にも設けられ得る。このことは装置の安定性を付加的に高め、かつ基板SUBに対する良好な熱結合を生ぜしめる。パッケージ封止されたセンサチップ装置10を、下側の表面O6で露出しているチップ搭載範囲DPにおいて付加的に基板SUBとはんだ付けするか、または接着する、このような手段は、一層高い安定性を生ぜしめるだけでなく、基板SUBに対する一層良好な動的結合をも生ぜしめる。
【0041】
さらに選択的に、基板SUBの表面上もしくは貫通孔DL内に付加的なフィルタ装置FIを設けることができる。たとえば、このような付加的なフィルタ装置FIを交換可能もしくは調節可能に形成することもできる。このことはセンサ装置の自在性を付加的に高める。
【0042】
図2aおよび図2bには、本発明によるセンサ装置およびその構造の第2実施例が示されている。
【0043】
図2aに示した第2実施例では、モールドパッケージMV´が、図1cに示した第1実施例の場合とは異なる形式で形成されている。特にモールドパッケージMV´の下面US´は、チップ搭載範囲DPの下側の表面O6よりも低い平面に位置している。チップ搭載範囲DPの下側の表面O6自体はモールドパッケージMV´によって部分的に覆われている。
【0044】
この第2実施例の場合にも、モールドパッケージMV´の下面US´は接続エレメントAB´の端部とほぼ同一の平面に位置していて、開口MAによっていずれにせよ、センサチップ装置10の光学的な照射範囲OBに設けられた窓Fを開放している。方法的に、チップ搭載範囲DPの下側の表面O6を露出させることは、モールディング成形時にモールディング成形工具にこの範囲で、相応するポンチを設けることにより実現され得る。この場合、両チップ1a,1bはマウントフレームMLFによりポンチに対して保護されている。
【0045】
図2bに示したように、このセンサ装置は相応するはんだ範囲LBRによって接続エレメントAB´を介して、やはり基板SUB´にマウントされ得る。基板SUB´は相応するフィルタ装置FI´を有していてよい。図2bに示した実施例では、基板SUB´に設けられた貫通孔DL´が、上記第1実施例の場合よりも大きな直径を備えている。このことは光学的な照射範囲OBの照射のための立体角度を増大させる。
【0046】
図3a、図3b、図3cおよび図3dには、本発明によるセンサ装置およびその構造の第3実施例が示されている。
【0047】
図3aに示した本発明の第3実施例は特に次の点で、上で説明した第1実施例および第2実施例とは異なっている。すなわち、第3実施例では、光学的な照射範囲OB´が第2のチップ1bの第4の表面O4、つまり第2のチップ1bの上側の表面に位置している。したがって、この第3実施例では、汎用の形式で吸収層Aが照射される。これに相応して、環状の非対称的なマウント範囲RB´が生ぜしめられる。このマウント範囲RB´は光学的な照射範囲OB´を取り囲んでいる。また、フィルタ層FS´もこの第3実施例では第2の表面O2に設けられているのではなく、光学的な照射範囲OB´に対応して第4の表面O4に設けられている。
【0048】
その他の点では、図3aに示した各コンポーネントは図1aにつき既に説明したコンポーネントに相当している。
【0049】
図3bに示したセンサチップ装置10´の上側の平面図からは、光学的な照射範囲OB´と、この光学的な照射範囲OB´を取り囲む(事情によっては非対称的な)マウント範囲RB´と、ワイヤボンディング範囲BBとが認められる。この場合、導体路LBの端部には、それぞれ拡幅されたワイヤボンディング範囲BP1,BP2,BP3(「ボンディングパッド」とも呼ばれる)が設けられている。
【0050】
図1cに示した第1実施例と同様に、第3実施例でも図3cに示したように、第4の表面O4はフィルタ層FS´とマウント範囲LBRとを介して(接着またははんだ付け)チップ搭載範囲DP´にマウントされ、この場合、チップ搭載範囲DP´の窓F´はセンサチップ装置10´の光学的な照射範囲OB´を露出させる。
【0051】
図3cからよく判るように、非対称的なマウント範囲RB´に基づき、チップ搭載範囲DP´に設けられた窓F´の向きも、その中心に対して非対称的に配置されている。
【0052】
特にワイヤボンディング範囲BBはチップ搭載範囲DP´に対して側方にずらされており、これによりボンディングワイヤBDを用いた接続エレメントAB´´とのコンタクティングが容易に可能になる。
【0053】
チップのマウントおよびワイヤとのコンタクティングの後に、図1cに示した第1実施例の場合と同様に射出成形によるモールドパッケージMV´´の形成が行われ、これによりセンサチップ装置はモールドパッケージMV´´内に包埋される。この場合、チップ接続範囲もしくはチップ搭載範囲DP´の下側の表面O6はモールドパッケージMV´´の下面USと同一平面に延びていて、完全に露出されている。接続エレメントAB´´の端部も、図3cからよく判るようにJEDEC規格に基づいて前記平面の範囲に延びている。
【0054】
図3dに示したように、このように構築されたセンサチップ装置10´は図1dに示した貫通孔と同様に貫通孔DL´´を備えた基板SUB´´にマウントされる。結合は接続エレメントAB´´と基板SUB´´との間および選択的にチップ搭載範囲DP´の表面O6と基板SUB´´との間ではんだ範囲LBRを介して行われる。
【0055】
基板SUB´´の、センサチップ装置10´とは反対の側には、やはりオプショナルなフィルタ装置FI´´が設けられている。
【0056】
図4aおよび図4bには、本発明によるセンサ装置およびその構造の第4実施例が示されている。
【0057】
図4aに示したように、この第4実施例では、下面US´がチップ搭載範囲DP´の表面O6よりも下方の平面に延びている。相応してモールドパッケージMV´´´には開口MA´が設けられており、この開口MA´は窓F´を、ひいては光学的な照射範囲OB´を露出させている。
【0058】
さらに図4bから判るように、この第4実施例では、図3bに示した実施例と同様に、パッケージ封止されたセンサチップ装置10´のマウントが接続エレメントAB´´´とはんだ範囲LBRとを介して基板SUB´´´へ行われる。
【0059】
この場合にも、基板SUB´´´の、センサチップ装置とは反対の側にはフィルタ装置FI´´´が設けられている。
【0060】
以上、本発明を有利な実施例につき詳しく説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々様々に改良可能である。
【0061】
上記実施例では示されていないが、当然ながら接続エレメントはチップ搭載範囲DPに関して任意の方向に向けられていてよい。これにより、基板上での「逆向きの」マウントも可能となり、基板は窓を必要としなくなる。
【0062】
また、センサチップ装置をマウントフレームにはんだ付けするのではなく接着することも可能である。
【0063】
さらに、択一的なフィルタ装置または別のフィルタ装置をチップ搭載範囲の露出した表面に被着させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1a】本発明によるセンサ装置およびその構造の第1実施例を示す図である。
【図1b】本発明によるセンサ装置およびその構造の第1実施例を示す別の図である。
【図1c】本発明によるセンサ装置およびその構造の第1実施例を示すさらに別の図である。
【図1d】本発明によるセンサ装置およびその構造の第1実施例を示すさらに別の図である。
【図2a】本発明によるセンサ装置およびその構造の第2実施例を示す図である。
【図2b】本発明によるセンサ装置およびその構造の第2実施例を示す別の図である。
【図3a】本発明によるセンサ装置およびその構造の第3実施例を示す図である。
【図3b】本発明によるセンサ装置およびその構造の第3実施例を示す別の図である。
【図3c】本発明によるセンサ装置およびその構造の第3実施例を示すさらに別の図である。
【図3d】本発明によるセンサ装置およびその構造の第3実施例を示すさらに別の図である。
【図4a】本発明によるセンサ装置およびその構造の第4実施例を示す図である。
【図4b】本発明によるセンサ装置およびその構造の第4実施例を示す別の図である。
【符号の説明】
【0065】
BB ワイヤボンディング
OB,OB´ 光学的な照射範囲
RB,RB´ マウント範囲
10,10´ センサチップ装置
1a 第1のチップ
1b 第2のチップ
2a,2b 中空室
O1,O2,O3,O4,O5,O6 表面
M ダイヤフラム
TP サーモパイルセンサ
A 吸収層
FS,FS´ フィルタ層
LBR ろう範囲
MLF,MLF´ マウントフレーム
DP,DP´ チップ搭載範囲
AB,AB´,AB´´,AB´´´ 接続エレメント
MV,MV´,MV´´,MV´´´ モールドパッケージ
BD ボンディングワイヤ
US,US´ 下面
OS 上面
SS1,SS2 側面
F,F´ 窓
DL,DL´,DL´´,DL´´´ 貫通孔
MA,MA´ 開口
SUB,SUB´,SUB´´,SUB´´´ 基板
FI,FI´,FI´´,FI´´´ フィルタ装置
BP1,BP2,BP3 ボンディング面
LB 導体路











【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的なセンサ装置、特にサーモパイルセンサ装置であって、
センサチップ装置(10;10´)が設けられており、該センサチップ装置(10;10´)が、光学的に透過性の照射範囲(OB;OB´)と、該照射範囲を取り囲むマウント範囲(RB;RB´)と、ワイヤボンディング範囲(BB)とを備えており、
光学的に絶縁性のマウントフレーム(MLF;MLF´)が設けられており、該マウントフレーム(MLF;MLF´)が、チップ搭載範囲(DP;DP´)と多数の接続エレメント(AB;AB´;AB´´;AB´´´)とを備えており、
光学的に絶縁性のパッケージ装置(MV;MV´;MV´´;MV´´´)が設けられている
形式のものにおいて、
センサチップ装置(10;10´)が、マウント範囲(RB;RB´)ではチップ搭載範囲(DP;DP´)に、ワイヤボンディング範囲(BB)では1つまたは複数の接続エレメント(AB;AB´;AB´´;AB´´´)にそれぞれ結合されており、
チップ搭載範囲(DP;DP´)に、光学的に透過性の照射範囲(OB;OB´)の少なくとも一部が前記チップ搭載範囲(DP;DP´)によって覆われないように配置された窓(F;F´)が設けられており、
ほぼ該窓(F;F´)を通じてのみ光学的な放射線がセンサチップ装置(10;10´)に入射し得るようにパッケージ装置(MV;MV´;MV´´;MV´´´)がセンサチップ装置(10;10´)とマウントフレーム(MLF;MLF´)とを取り囲んでいる
ことを特徴とする、光学的なセンサ装置。
【請求項2】
センサチップ装置(10;10´)が、互いに反対の側に位置する第1の表面(O1)および第2の表面(O2)を備えた第1のチップ(1a)と、互いに反対の側に位置する第3の表面(O3)および第4の表面(O4)を備えた第2のチップ(1b)とを有しており、第1第2の両チップ(1a,1b)が第1の表面(O1)および第3の表面(O3)を介して互いに結合されていて、中空室(2a,2b)を取り囲んでおり、該中空室(2a,2b)内にセンサ(A,TP,M)が配置されており、第1のチップ(1a)が第1の表面(O1)にワイヤボンディング範囲(BB)を有しており、該ワイヤボンディング範囲(BB)が側方で第2のチップ(1b)を超えて突出しており、該ワイヤボンディング範囲(BB)で少なくとも1つのボンディングワイヤが、導体路(LB)の端部に設けられたボンディングパッドとコンタクティングされている、請求項1記載の光学的なセンサ装置。
【請求項3】
光学的に透過性の照射範囲(OB;OB´)と、該照射範囲を取り囲むマウント範囲(RB;RB´)とが、第1のチップ(1a)の第2の表面(O2)に設けられている、請求項2記載の光学的なセンサ装置。
【請求項4】
光学的に透過性の照射範囲(OB;OB´)と、該照射範囲を取り囲むマウント範囲(RB;RB´)とが、第2のチップ(1b)の第4の表面(O4)に設けられている、請求項2記載の光学的なセンサ装置。
【請求項5】
チップ搭載範囲(DP;DP´)が、互いに反対の側に位置する第5の表面(O5)および第6の表面(O6)を有しており、第5の表面(O5)がマウント範囲(RB)に結合されている、請求項3または4記載の光学的なセンサ装置。
【請求項6】
第6の表面(O6)がパッケージ装置(MV,MV´´)によって覆われておらず、該パッケージ装置(MV,MV´´)の下面(US)と同一平面に位置している、請求項5記載の光学的なセンサ装置。
【請求項7】
接続エレメント(AB,AB´´)が、パッケージ装置(MV,MV´´)の互いに反対の側に位置する側面(SS1,SS2)から突出しており、前記接続エレメント(AB,AB´´)の端部がパッケージ装置(MV,MV´´)の下面(US)と同一平面に位置している、請求項6記載の光学的なセンサ装置。
【請求項8】
接続エレメント(AB,AB´´)の端部および選択的に第6の表面(O6)が、基板(SUB,SUB´´)に結合されており、該基板が前記窓(F;F´)の範囲に貫通孔(DL,DL´,DL´´,DL´´´)を有している、請求項7記載の光学的なセンサ装置。
【請求項9】
第6の表面(O6)が部分的にパッケージ装置(MV,MV´´)によって覆われており、該パッケージ装置(MV,MV´´)の下面(US´)が、第6の表面(O6)よりも下方の平面に位置している、請求項5記載の光学的なセンサ装置。
【請求項10】
接続エレメント(AB,AB´´)が、パッケージ装置(MV,MV´´)の互いに反対の側に位置する側面(SS1,SS2)から突出しており、接続エレメント(AB,AB´´)の端部がパッケージ装置(MV,MV´´)の下面(US´)と同一平面に位置している、請求項9記載の光学的なセンサ装置。
【請求項11】
接続エレメント(AB,AB´´)の端部が基板(SUB,SUB´)に結合されており、該基板が前記窓(F;F´)の範囲に貫通孔(DL−DL´´)を有している、請求項10記載の光学的なセンサ装置。
【請求項12】
第1のチップ(1a)の第2の表面(O2)もしくは第4の表面(O4)に、かつ/または基板(SUB,SUB´´)に前記貫通孔(DL−DL´´´)の範囲で、光学的なフィルタ装置(FS;FI;FI´´)が設けられている、請求項8または11記載の光学的なセンサ装置。
【請求項13】
マウントフレーム(MLF;MLF´)がはんだ付けフレームである、請求項1から12までのいずれか1項記載の光学的なセンサ装置。
【請求項14】
ワイヤボンディング範囲(BB)が側方でチップ搭載範囲(DP´)を超えて突出している、請求項4から13までのいずれか1項記載の光学的なセンサ装置。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の光学的なセンサ装置を製造するための方法において、以下のステップ;
センサチップ装置(10;10´)をマウント範囲(RB;RB´)ではチップ搭載範囲(DP;DP´)に、ワイヤボンディング範囲(BB)では1つまたは複数の接続エレメント(AB;AB´;AB´´;AB´´´)にそれぞれ結合し、
パッケージ装置(MV;MV´;MV´´;MV´´´)をモールディングプロセスで被着させる
を実施することを特徴とする、光学的なセンサ装置を製造するための方法。

【公表番号】特表2007−506935(P2007−506935A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515663(P2006−515663)
【出願日】平成16年5月15日(2004.5.15)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001027
【国際公開番号】WO2004/114403
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】